ヒータミラーの製造方法及びヒータミラー
【課題】ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラーを、低コストで製造する。
【解決手段】ヒータミラー10の製造方法であって、反射膜12が形成された基板11を準備し、導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板11の裏面上に正負一対の電極13a、13bを少なくとも一つ吐出形成し、導電性ペーストよりも抵抗率の高い高抵抗導電性ペーストであって、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、一対の電極13a、13bの一方及び他方を電気的に接続してなる抵抗発熱体14を少なくとも一つ吐出形成する。
【解決手段】ヒータミラー10の製造方法であって、反射膜12が形成された基板11を準備し、導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板11の裏面上に正負一対の電極13a、13bを少なくとも一つ吐出形成し、導電性ペーストよりも抵抗率の高い高抵抗導電性ペーストであって、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、一対の電極13a、13bの一方及び他方を電気的に接続してなる抵抗発熱体14を少なくとも一つ吐出形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータミラーの製造方法及びヒータミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続した一本の電熱線からなる面状発熱体(平面ヒータ)をミラー裏面に固着したヒータミラーが知られている(特許文献1)。また、一対の櫛歯状電極を有する基板の一面にPTC発熱材料を塗布した面状発熱体が知られている(特許文献2)。この櫛歯状電極は、基板への銅メッキ等により形成される。
【0003】
また、フィルム面上への印刷により形成された電極と、この電極上に重ねて印刷することで楕円膜状に形成された抵抗発熱体とを用いた自動車ミラー用ヒータ(特許文献3)、射出成形により、金属のリードフレームと一体成形された面状発熱体(発熱体層)を用いたミラー用面状ヒータ(特許文献4)及びヒータミラー(特許文献5)が知られている。
【特許文献1】実開昭59−40145号公報
【特許文献2】実開平5−45987号公報
【特許文献3】特開2000−12201号公報
【特許文献4】特開2002−231426号公報
【特許文献5】特開2002−270350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連続した一本の電熱線からなる面状発熱体を用いた場合、ミラーの表面温度を所望の温度にするために、複雑なパターン形状の電熱線が必要になる。そのため、設計や製造工程が複雑化し、製造コストが高くなる。
【0005】
また、基板にPTC発熱材料を塗布することにより面状発熱体を形成する場合や、印刷により抵抗発熱体又は電極を形成する場合には、発熱体のパターンに合わせた版等の治工具を要する。射出成形により発熱体層を形成する場合、発熱体のパターンに合わせた金型等の治工具を要する。
【0006】
しかし、例えば自動車用のヒータミラーを製造する場合、車種に応じて様々な形状、サイズのミラーを製造する必要がある。そのため、発熱体のパターンに合わせた版や金型等の治工具を用いるとすれば、車種に応じて個別の治工具を用いることとなり、コストが高くなってしまう。
【0007】
また、電極をメッキ等により形成する場合、電極のパターン形成のためのエッチング処理等が必要になり、工程が複雑化し、製造コストが高くなる。
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題を解決できるヒータミラーの製造方法及びヒータミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
【0010】
(構成1)ヒータミラーの製造方法であって、反射膜が形成された基板を準備し、導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板の裏面上に正負一対の電極を少なくとも一つ吐出形成し、導電性ペーストよりも抵抗率の高い高抵抗導電性ペーストであって、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、一対の電極の一方及び他方を電気的に接続してなる抵抗発熱体を少なくとも一つ吐出形成する。
【0011】
このようにすれば、ヒータミラーを、簡単な工程にて、低コストで製造することができる。尚、基板の裏面とは、反射膜及び基板により形成される鏡の裏側の面である。反射膜及び基板が表面鏡を構成する場合、基板の裏面は、反射膜が形成されていない方の主表面である。また、反射膜及び基板が裏面鏡を構成する場合、基板の裏面は、反射膜が形成されている方の主表面である。反射膜及び基板が裏面鏡を構成する場合、反射膜の上に、更に絶縁層を形成するのが好ましい。この場合、一対の電極は、絶縁層の上に吐出形成されてよい。
【0012】
(構成2)ヒータミラーの製造方法であって、反射膜が形成された基板を準備し、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板の裏面上に抵抗発熱体を少なくとも一つ吐出形成し、抵抗発熱体と一部が重なることにより一方及び他方が電気的に接続される正負一対の電極を、高抵抗導電性ペーストよりも抵抗率の低い導電性ペーストを線状に吐出することにより少なくとも一つ吐出形成する。このようにすれば、構成1と同様の効果を得ることができる。また、抵抗発熱体と基板裏面との密着度がより高まるため、基板をより効率よく加熱できる。
【0013】
(構成3)導電性ペースト及び高抵抗導電性ペーストを、ディスペンサを用いて吐出する。このようにすれば、電極及び抵抗発熱体を、低コストかつ高精度で形成できる。
【0014】
(構成4)正負一対の電極を複数備え、当該正負一対の電極を、ほぼ平行に形成し、基板の裏面において、放熱の度合いに応じて抵抗発熱体の間隔を適宜決定し、放熱し易い部分の抵抗発熱体の間隔が小さくなるように、それぞれの抵抗発熱体の間隔を決定し、決定した間隔で並ぶ複数の抵抗発熱体を、それぞれの抵抗発熱体が一対の電極のそれぞれとほぼ直交するように吐出形成する。このようにすれば、放熱し易い基板端部付近をより強く加熱することにより、基板の裏面温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。
【0015】
(構成5)基板の裏面の各部における放熱の度合いに応じて、複数の抵抗発熱体のそれぞれを形成するための高抵抗導電性ペーストの吐出量を決定し、決定した吐出量により、それぞれの抵抗発熱体を吐出形成する。このようにすれば、基板の裏面温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。
【0016】
(構成6)複数の正負一対の電極をほぼ平行に配列するように形成すると共に、正負一対の電極とほぼ直交するように抵抗発熱体を形成し、この配列の中央部に位置する電極である中央部電極から離隔した位置にある正負一対の電極である離隔電極を電気的に接続する抵抗発熱体を形成するための高抵抗導電性ペーストの吐出量を、中央部電極から当該離隔電極までの距離に対応して増大させる。このようにすれば、放熱し易い基板端部付近をより強く加熱することにより、基板の裏面温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。
【0017】
(構成7)ヒータミラーであって、反射膜が形成された基板と、導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板の裏面上に吐出形成された正負一対の電極を少なくとも一つと、導電性ペーストよりも抵抗率の高い高抵抗導電性ペーストであって、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより吐出形成された、一対の電極の一方及び他方を電気的に接続してなる抵抗発熱体を少なくとも一つとを備える。このようにすれば、簡単な工程にて、低コストで製造することができるヒータミラーを具現できる。
【0018】
(構成8)ヒータミラーであって、反射膜が形成された基板と、基板の裏面上に、ほぼ平行に延伸する正負一対の電極を複数備え、正負一対の各電極のそれぞれとほぼ直交するように配列した複数の抵抗発熱体を備え、並びの中央から遠い抵抗発熱体の断面積は、並びの中央付近の抵抗発熱体の断面積よりも大きい。このように構成すれば、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラーを、低コストで具現できる。
【0019】
(構成9)ヒータミラーであって、反射膜が形成された基板と、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板の裏面上に吐出形成された抵抗発熱体を少なくとも一つと、抵抗発熱体と一部が重なることにより一方及び他方が電気的に接続された正負一対の電極であって、高抵抗導電性ペーストよりも抵抗率の低い導電性ペーストを線状に吐出することにより吐出形成された正負一対の電極を少なくとも一つとを備える。このように構成すれば、構成7と同様の効果を得ることができる。
【0020】
(構成10)ヒータミラーであって、反射膜が形成された基板と、基板の裏面上に、ほぼ平行に延伸して配列した複数の抵抗発熱体を備え、複数の抵抗発熱体のそれぞれとほぼ直交するようにほぼ平行に延伸する正負一対の電極を複数備え、複数の抵抗発熱体の中央部に位置する抵抗発熱体である中央部抵抗発熱体から離隔した位置にある抵抗発熱体である離隔抵抗発熱体の横断面積は、中央部抵抗発熱体から離隔抵抗発熱体までの距離に対応して、中央部抵抗発熱体の横断面積よりも大きい。このように構成すれば、構成8と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ヒータミラーを、簡単な工程にて、低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態に係るヒータミラー10の構成の一例を示す。図1は、ヒータミラー10の分解斜視図である。図2は、ヒータミラー10の斜視図である。図3は、ヒータミラー10の断面図である。ヒータミラー10は、自動車等の車両用のヒータミラーである。ヒータミラー10は、例えば、樹脂等で形成された筐体(ミラーボデー)に収容されて、車体に取り付けられる。本実施形態は、簡単な工程にて低コストで製造できるヒータミラーを提供することを目的とする。
【0023】
ヒータミラー10は、基板11、反射膜12、一対の電極13a、13b、電極接続部13a’、13b’、複数の抵抗発熱体14、保護層15、及びリード線16を備える。基板11は、ガラス等で形成された透光性の平面板状体である。反射膜12は、基板11の一方の主表面上に形成された金属膜であり、ヒータミラー10と共に、表面鏡を構成する。反射膜12は、例えば基板11上へのCrスパッタリングにより形成される。
【0024】
電極13a、13bは、それぞれの櫛歯状部分がほぼ平行に延伸する一対の櫛歯状電極であり、導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板11の裏面上に吐出形成される。この導電性ペーストは、例えば導電性銀ペースト又は導電性銅ペースト等の金属ペーストであってよい。電極13aは、+極の電極であり、電極接続部13a’を介して、リード線16と接続される。電極13bは、−極の電極であり、電極接続部13b’を介して、リード線16と接続される。尚、電極13a、13bは、互いに平行な線状に形成されてもよい。
【0025】
複数の抵抗発熱体14は、例えばヒータミラー10の曇りを暖めて除去するために用いられるヒータであり、電極13aと電極13bとを電気的に接続する。抵抗発熱体14は、線状の抵抗発熱体であり、電極13a、13bのそれぞれとほぼ直交するように、基板11の裏面上に並べて形成される。抵抗発熱体14は、電極13a、13b上及び基板11上に高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、電極13a、13bのそれぞれと一部が重なるように吐出形成される。高抵抗導電性ペーストは、例えばPTC発熱材料等の温度上昇に対して抵抗率が増大する材料を含むペーストであり、電極13a、13bの形成に用いる導電性ペーストよりも高い抵抗率を有する。
【0026】
保護層15は、例えばRVシリコン樹脂により形成されており、電極13a、13b及び抵抗発熱体14を挟んで基板11の裏面と対向するように、電極13a、13b及び抵抗発熱体14上に設けられる。このように構成すれば、電極13a、13b及び抵抗発熱体14を適切に保護することができる。リード線16は、電源とヒータミラー10とを接続する配線であり、電源の正極と電極接続部13a’とを接続し、電源の負極と電極接続部13b’とを接続する。
【0027】
図4は、ヒータミラー10の製造方法の一例を示す。図4(a)は、この製造方法を示すフローチャートである。この製造方法においては、最初に、反射膜12が形成された基板11を準備する(工程S102)。次に、導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板11の裏面上に一対の電極13a、13bを吐出形成し(工程S104)、電極13a、13bとリード線16とを接続する(工程S106)。
【0028】
次に、抵抗発熱体14を並べる間隔、及び吐出形成における吐出量を決定し(工程S108)、決定した吐出量で高抵抗導電性ペーストを、それぞれの抵抗発熱体14が電極13a、13bのそれぞれとほぼ直交するように線状に吐出して、決定した間隔で並ぶ複数の抵抗発熱体14を吐出形成する(工程S110)。次に、電極13a、13b及び抵抗発熱体14を保護層15で被覆して(工程S112)、フローチャートを終了する。
【0029】
以上に説明した製造方法によれば、吐出形成により電極13a、13b、及び抵抗発熱体14を形成するため、版や金型等のパターンに合わせた治工具が不要となる。また、電極13a、13b、及び抵抗発熱体14の材料にムダが生じない。そのため、ヒータミラー10を、簡単な工程にて、低コストで製造することができる。
【0030】
また、本実施形態において、抵抗発熱体14は、基板11上に直接形成される。また、吐出形成により形成される抵抗発熱体14は、基板11に対する密着性が良好である。そのため、本実施形態によれば、高い熱効果により基板11を加熱することができる。
【0031】
また、抵抗発熱体14と電極13a、13bとのコンタクト性も良好であるため、多数の抵抗発熱体14を並列に用いることが容易である。そのため、例えば複雑なパターンの一本の抵抗発熱体を用いる場合と異なり、抵抗発熱体14の構造を簡単にできる。
【0032】
更には、本実施形態において、基板11の横(長手)方向に延伸する電極13a、13bと、基板11の縦(短手)方向に延伸する抵抗発熱体14とは、それぞれが横及び縦方向の格子線とる格子状に形成される。そのため、格子の間隔を適宜調整することにより、ヒータミラー10の表面温度を調整することができる。また、電極13a、13b、及び抵抗発熱体14は、パターンに合わせた治工具を用いずに吐出成形されるため、格子間隔の設計変更が容易である。そのため、本実施形態によれば、所望の表面温度が得られるヒータミラー10を、簡単な工程により、低コストで製造することができる。
【0033】
図4(b)は、吐出形成の方法を示す図である。本実施形態において、電極13a、13b、及び抵抗発熱体14は、定量吐出装置であるディスペンサ40を用いて吐出形成される。例えば、工程S104において、基板11裏面上に電極材料である導電性ペーストを、ディスペンサ40にて、横方向に複数本の線状に吐出して、電極13a、13bを吐出成形する。また、工程S110において、抵抗発熱体14の材料である高抵抗導電性ペーストを、ディスペンサ40にて、縦方向に複数本吐出して、電極13a、13bにほぼ直交したパターンの複数の抵抗発熱体14を吐出成形する。このようにすれば、電極13a、13b、及び抵抗発熱体14を、低コストかつ高精度で形成できる。
【0034】
以下、本実施形態の実施例を具体的に説明する。
(実施例1)
工程S102において、基板11として平面ガラスを用い、反射膜12としてCrをスパッタリングしたCr平面鏡(Cr表面鏡)を準備した。
【0035】
そして、工程S104において、銀フィラー90%入りフェノール系樹脂の導電性銀ペーストをφ0.5のノズルのディスペンサ(兵神装備株式会社製ロボディスペンサ)にて吐出し、櫛歯状の電極13a、13bを形成した。この導電性銀ペーストは導電性ペーストの一例である。電極13a、13bのそれぞれの線幅は1.2mmとした。導電性銀ペーストの体積抵抗は9×10−5Ω・cm、粘度は300d・Pa・s(ビスコテスター粘度計)である。
【0036】
櫛歯状の電極13aは、図1に示すように、上辺に沿った横方向の第1の線状部分、第1の線状部分とほぼ平行な横方向の第2の線状部分、及び第1の線状部分と第2の線状部分とを接続する縦方向の線状部分を有する。また、櫛歯状の電極13bは、下辺に沿った横方向の第1の線状部分、第1の線状部分とほぼ平行な横方向の第2の線状部分、及び第1の線状部分と第2の線状部分とを接続する縦方向の線状部分を有する。電極13a、13bの第2の線状部分は、第1の線状部分よりも、基板11の中央寄りに形成される。また、電極13aの第2の線状部分は、電極13bにおける第1の線状部分と第2の線状部分との間に形成される。電極13bの第2の線状部分は、電極13aにおける第1の線状部分と第2の線状部分との間に形成される。このように構成すれば、電極13a、13bの第1の線状部分及び第2の線状部分を、それぞれ別個の電極として機能させることができる。
【0037】
そして、工程106において、導電性銀ペーストにて、リード線16を、電極13a、13bにポッティング接続し、電極接続部13a’、13b’を形成した。加熱硬化の条件は、150℃で30分間とした。また、導電性銀ペーストは、工程S104と同じものを用いた。
【0038】
そして、工程S110にて、カーボン65%入りオレフィン系樹脂の高抵抗導電性ペーストをφ0.5のノズルのディスペンサにて吐出し、電極13a、13bにほぼ直交する縦方向に、電極13a、13bと共に格子形状を構成するように、複数の抵抗発熱体14を形成した。抵抗発熱体14の線幅は1.5mmとした。抵抗発熱体14が並ぶ格子間隔は15mmとした。この線幅に対応する吐出量、及び抵抗発熱体14の格子間隔は、工程S108において決定される。高抵抗導電性ペーストは、60℃で30分間乾燥させた。また、高抵抗導電性ペーストの体積抵抗は1×10−1Ω・cm、粘度は280d・Pa・s(ビスコテスター粘度計)である。
【0039】
そして、S112において、RVシリコン樹脂(アルコール型1成分シリコンシーラント)のロール塗装にて保護層15を形成し、電極13a、13b、及び抵抗発熱体14を被覆した。保護層15の膜厚は600μmとし、常温で硬化させた。尚、保護層15は、電極接続部13a’、13b’を同時に被覆するように形成されてもよい。
【0040】
実施例1に係るヒータミラー10の表面温度を室温25℃の環境で測定したところ、ミラー表面中央の温度は65℃となった。また、PTC機能により、一定温度を維持した。実施例1により、適切な表面温度を実現するヒータミラー10を、低コストで製造できることを確認した。
【0041】
(実施例2)
工程S110にて、高抵抗導電性ペーストとして、体積抵抗が8×10−1Ω・cm、粘度は270d・Pa・s(ビスコテスター粘度計)のカーボン50%入りオレフィン系樹脂を用いた点、抵抗発熱体14が並ぶ格子間隔を10mmとした点以外は実施例1と同様にして、実施例2に係るヒータミラー10を製造した。
【0042】
実施例2に係るヒータミラー10の表面温度を室温25℃の環境で測定したところ、ミラー表面中央の温度は62℃となった。また、PTC機能により、一定温度を維持した。実施例2により、適切な表面温度を実現するヒータミラー10を、低コストで製造できることを確認した。
【0043】
図5は、抵抗発熱体14の構成を変更したヒータミラー10の構成例を示す概念図である。図5(a)は、抵抗発熱体14が並ぶ格子間隔を、基板11(図1参照)上の位置に応じて変えたヒータミラー10の構成を示す。この構成において、それぞれの抵抗発熱体14の間隔は、基板11裏面の各部の放熱し易さに応じて、放熱し易い部分の抵抗発熱体14の間隔が小さくなるように決定される。そして、それぞれの抵抗発熱体14は、決定された間隔で並べられる。
【0044】
例えば、基板11の裏面において、基板端部付近は、中央付近より放熱し易い。そのため、例えば、並びの中央から最も遠い、横方向の基板端部近くの2本の抵抗発熱体14の間隔L2は、並びの中央の2本の抵抗発熱体14の間隔をL1よりも小さくするのが好ましい。このように形成すれば、基板11の裏面温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。また、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー10を、低コストで製造することができる。
【0045】
図5(b)は、抵抗発熱体14の太さを、基板11上の位置に応じて変えたヒータミラー10の構成を示す。この構成において、それぞれの抵抗発熱体14を形成するための高抵抗導電性ペーストの吐出量は、基板11裏面の各部の放熱し易さに応じて決定される。そして、それぞれの抵抗発熱体14は、決定された吐出量で吐出形成される。
【0046】
例えば、並びの中央から最も遠い、横方向の基板端部付近の抵抗発熱体14の断面積が、並びの中央付近の抵抗発熱体14の断面積よりも大きくなるように、基板端部の抵抗発熱体14を、中央付近の抵抗発熱体14を形成する場合よりも大きな吐出量で吐出する。この吐出量は、例えば基板中央部の電極13a、13bからの距離に対応させて増大させてよい。このように形成した場合、基板端部付近における抵抗発熱体14の径W2は、中央付近における抵抗発熱体14の径W1よりも大きくなる。また、基板端部付近における抵抗発熱体14の横断面積は、中央付近における抵抗発熱体14の横断面積よりも大きくなる。このように形成すれば、基板11裏面の温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。また、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー10を、低コストで製造することができる。
【0047】
図6は、抵抗発熱体14の構成の変形例を示す。この変形例において、少なくとも一部の抵抗発熱体14は、部分毎に異なる吐出量で形成される。例えば、抵抗発熱体14において、基板11の中央から遠い、縦方向の基板端部付近の部分を、中央付近の部分を形成する場合よりも小さな吐出量で吐出形成する。このように形成した場合、基板端部付近における抵抗発熱体14の径W3は、中央付近における径W4よりも小さくなる。また、この抵抗発熱体14において、ヒータミラー10の中央から遠い部分の断面積は、中央に近い部分の断面積よりも小さくなる。そのため、このように構成すれば、放熱し易い基板端部付近をより強く加熱することにより、基板の裏面温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。また、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー10を、低コストで製造することができる。
【0048】
尚、更なる変形例においては、例えば、吐出量を連続的に徐々に変化させながら抵抗発熱体14を吐出形成してもよい。この場合、抵抗発熱体14は、例えばエンタシス状等の、最も太い中央付近から両端に向かって徐々に細くなる形状を有する。この場合も、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー10を、低コストで製造することができる。
【0049】
図7〜図9は、本発明の第2の実施形態に係るヒータミラー20の構成の一例を示す。図7は、ヒータミラー20の分解斜視図である。図8は、ヒータミラー20の斜視図である。図9は、ヒータミラー20の断面図である。本実施形態において、ヒータミラー20は、基板21、反射膜22、一対の電極23a、23b、電極接続部23a’23b’、複数の抵抗発熱体24、保護層25、及びリード線26を備える。尚、以下に説明する以外の点について、ヒータミラー20、基板21、反射膜22、電極23a、23b、電極接続部23a’、23b’、抵抗発熱体24、保護層25、及びリード線26は、図1〜3を用いて説明したヒータミラー10、基板11、反射膜12、電極13a、13b、電極接続部13a’、13b’、抵抗発熱体14、保護層15、及びリード線16と同一又は同様の機能及び構成を有する。
【0050】
本実施形態において、基板21は、曲面ガラスで形成された曲面の板状体である。反射膜22は、基板21の凸面へのCrスパッタリングにより形成される。また、基板21の裏面は、凹面であり、電極23a、23b、及び抵抗発熱体24は、この凹面上に吐出形成される。
【0051】
ここで、版や金型等を用いて電極や抵抗発熱体を形成する場合、版や金型の形状を、基板21の曲面に合わせる必要がある。そのため、例えば様々な車種に応じて曲率の異なる自動車用のヒータミラーを製造する場合、コストが大きく増大することとなる。また、基板21の曲面形状には、ばらつきが生じる場合があり、版や金型等を用いた場合には、製造歩留まりが低下してしまうおそれがある。
【0052】
しかし、本実施形態によれば、曲面状の基板21に対しても、電極23a、23b、及び抵抗発熱体24を、適切に形成することができる。そのため、本実施形態によれば、ミラーの表面温度を適切に保つことができる曲面状のヒータミラー20を、低コストで製造することができる。尚、ヒータミラー20は、例えば、図4を用いて説明したヒータミラー10の製造方法と同一又は同様の製造方法により製造される。また、図5、6を用いて説明した変形例は、抵抗発熱体24に適用することもできる。
【0053】
以下、本実施形態の実施例を具体的に説明する。
(実施例3、4)
曲面ガラスの基板21を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3に係るヒータミラー20を製造した。また、曲面ガラスの基板21を用いた以外は実施例2と同様にして、実施例4に係るヒータミラー20を製造した。
【0054】
実施例3、4に係るヒータミラー20の表面温度を室温25℃の環境で測定したところ、ミラー表面中央の温度は、実施例3において63℃、実施例4において60℃となった。また、PTC機能により、一定温度を維持した。実施例3、4により、適切な表面温度を実現するヒータミラー20を、低コストで製造できることを確認した。
【0055】
図10は、本発明の第3の実施形態に係るヒータミラー30の構成の一例を示す断面図である。本実施形態において、ヒータミラー30は、基板31、反射膜32、一対の電極33a、33b(図示せず)、電極接続部33a’33b’(図示せず)、複数の抵抗発熱体34、保護層35、及びリード線36を備える。尚、以下に説明する点を除き、ヒータミラー30、基板31、反射膜32、電極33a、33b、電極接続部33a’、33b’、抵抗発熱体34、保護層35、及びリード線36は、図1〜3を用いて説明したヒータミラー10、基板11、反射膜12、電極13a、13b、電極接続部13a’、13b’、抵抗発熱体14、保護層15、及びリード線16と同一又は同様の機能及び構成を有する。基板31は、基板21(図7参照)と同様な曲面ガラスの基板であってもよい。
【0056】
本実施形態において、基板31及び反射膜32は、裏面鏡を構成しており、反射膜32は、基板31の裏面上に形成される。また、ヒータミラー30は、反射膜32の上に、絶縁層37を更に備える。そのため、電極33a、33b及び抵抗発熱体34は、絶縁層37上に吐出形成される。また、電極接続部33a’33b’も、絶縁層37上に形成される。このように構成した場合も、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー30を、低コストで製造することができる。
【0057】
尚、ヒータミラー30は、例えば、図4を用いて説明したヒータミラー10の製造方法と同一又は同様の製造方法により製造される。また、図5、6を用いて説明した変形例は、抵抗発熱体34に適用することもできる。
【0058】
図11〜図13は、本発明の第4の実施形態に係るヒータミラー50の構成の一例を示す。図11は、ヒータミラー50の分解斜視図である。図12は、ヒータミラー50の斜視図である。図13は、ヒータミラー50の断面図である。本実施形態において、ヒータミラー50は、基板51、反射膜52、一対の電極53a、53b、電極接続部53a’53b’、複数の抵抗発熱体54、保護層55、及びリード線56を備える。尚、以下に説明する以外の点について、ヒータミラー50、基板51、反射膜52、電極53a、53b、電極接続部53a’、53b’、抵抗発熱体54、保護層55、及びリード線56は、図1〜3を用いて説明したヒータミラー10、基板11、反射膜12、電極13a、13b、電極接続部13a’、13b’、抵抗発熱体14、保護層15、及びリード線16と同一又は同様の機能及び構成を有する。また、図5、6を用いて説明した変形例は、抵抗発熱体54に適用することもできる。
【0059】
本実施形態において、抵抗発熱体54は、電極53a、53bよりも先に吐出形成される。また、ヒータミラー50は、例えば、図4を用いて説明したヒータミラー10の製造方法において、工程S108及び工程S110を工程S104より先に行うのと同一又は同様の製造方法で製造される。このように製造されることにより、正負一対の電極53a、53bは、抵抗発熱体54と一部が重なり、互いに電気的に接続される。このように構成した場合も、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー50を、低コストで製造することができる。
【0060】
以下、本実施形態の実施例を具体的に説明する。
(実施例5)
基板51として平面ガラスを用い、反射膜52としてCrをスパッタリングしたCr平面鏡(Cr表面鏡)を準備した。
【0061】
そして、カーボン30%入りポリエステル系樹脂の高抵抗導電性ペーストをφ0.5のノズルのディスペンサにて吐出し、複数の抵抗発熱体54を形成した。複数の抵抗発熱体54は、後に形成する櫛歯状の電極53a、53bと共に格子形状を構成するように、電極53a、53bとほぼ直交すべき縦方向に延伸する。抵抗発熱体54の線幅は1.8mmとした。抵抗発熱体54が並ぶ格子間隔は10mmとした。この線幅に対応する吐出量、及び抵抗発熱体14の格子間隔は、基板51の裏面の各部における放熱の度合いに応じて予め決定した。高抵抗導電性ペーストの体積抵抗は1×10−2Ω・cm、粘度は200d・Pa・s(ビスコテスター粘度計)である。高抵抗導電性ペーストは、自然乾燥させた。
【0062】
次に、銅フィラー95%入りフェノール系樹脂の導電性銅ペーストをφ0.5のノズルのディスペンサにて吐出し、櫛歯状の電極53a、53bを形成した。この導電性銅ペーストは導電性ペーストの一例である。電極53a、53bのそれぞれの線幅は1.4mmとした。導電性銅ペーストの体積抵抗は9×10−5Ω・cm、粘度は300d・Pa・s(ビスコテスター粘度計)である。導電性銅ペーストは、自然乾燥させた。
【0063】
櫛歯状の電極53aは、図11に示すように、上辺に沿った横方向の第1の線状部分、第1の線状部分とほぼ平行な横方向の第2の線状部分、及び第1の線状部分と第2の線状部分とを接続する縦方向の線状部分を有する。また、櫛歯状の電極53bは、下辺に沿った横方向の第1の線状部分、第1の線状部分とほぼ平行な横方向の第2の線状部分、及び第1の線状部分と第2の線状部分とを接続する縦方向の線状部分を有する。電極53a、53bの第2の線状部分は、第1の線状部分よりも、基板51の中央寄りに形成される。また、電極53aの第2の線状部分は、電極53bにおける第1の線状部分と第2の線状部分との間に形成される。電極53bの第2の線状部分は、電極53aにおける第1の線状部分と第2の線状部分との間に形成される。このように構成すれば、電極53a、53bの第1の線状部分及び第2の線状部分を、それぞれ別個の電極として機能させることができる。
【0064】
そして、電極53a、53bの形成に用いたのと同じ導電性銅ペーストにて、リード線56を、電極53a、53bにポッティング接続し、電極接続部53a’、53b’を形成した。電極53a、53bの自然乾燥後、抵抗発熱体54、電極53a、53b、及び電極接続部53a’、53b’を同時に加熱硬化させた。加熱硬化の条件は、150℃で30分間とした。
【0065】
そして、RVシリコン樹脂(アルコール型1成分シリコンシーラント)のロール塗装にて保護層55を形成し、電極53a、53b、及び抵抗発熱体54を被覆した。保護層55の膜厚は600μmとし、常温で硬化させた。尚、保護層55は、電極接続部53a’、53b’を同時に被覆するように形成されてもよい。
【0066】
実施例5に係るヒータミラー50の表面温度を室温25℃の環境で測定したところ、ミラー表面中央の温度は、62℃となった。また、PTC機能により、一定温度を維持した。実施例5により、適切な表面温度を実現するヒータミラー50を、低コストで製造できることを確認した。
【0067】
図14〜図16は、本発明の第5の実施形態に係るヒータミラー60の構成の一例を示す。図14は、ヒータミラー60の分解斜視図である。図15は、ヒータミラー60の斜視図である。図16は、ヒータミラー60の断面図である。本実施形態において、ヒータミラー60は、基板61、反射膜62、一対の電極63a、63b、電極接続部63a’63b’、複数の抵抗発熱体64、保護層65、及びリード線66を備える。尚、以下に説明する以外の点について、ヒータミラー60、基板61、反射膜62、電極63a、63b、電極接続部63a’、63b’、抵抗発熱体64、保護層65、及びリード線66は、図11〜13を用いて説明したヒータミラー50、基板51、反射膜52、電極53a、53b、電極接続部53a’、53b’、抵抗発熱体54、保護層55、及びリード線56と同一又は同様の機能及び構成を有する。
【0068】
本実施形態において、基板61は、曲面ガラスで形成された曲面の板状体である。反射膜62は、基板61の凸面へのCrスパッタリングにより形成される。また、基板61の裏面は、凹面であり、電極63a、63b、及び抵抗発熱体64は、この凹面上に吐出形成される。本実施形態によれば、ミラーの表面温度を適切に保つことができる曲面状のヒータミラー60を、低コストで製造することができる。尚、ヒータミラー60は、例えば、図11〜13を用いて説明したヒータミラー50の製造方法と同一又は同様の製造方法により製造される。また、図5、6を用いて説明した変形例は、抵抗発熱体64に適用することもできる。
【0069】
以下、本実施形態の実施例を具体的に説明する。
(実施例6)
曲面ガラスの基板61を用いた以外は実施例5と同様にして、実施例6に係るヒータミラー60を製造した。実施例6に係るヒータミラー60の表面温度を室温25℃の環境で測定したところ、ミラー表面中央の温度は、63℃となった。また、PTC機能により、一定温度を維持した。実施例6により、適切な表面温度を実現するヒータミラー60を、低コストで製造できることを確認した。
【0070】
図17は、本発明の第6の実施形態に係るヒータミラー70の構成の一例を示す断面図である。本実施形態において、ヒータミラー70は、基板71、反射膜72、一対の電極73a、73b(図示せず)、電極接続部73a’73b’(図示せず)、複数の抵抗発熱体74、保護層75、及びリード線76を備える。尚、以下に説明する点を除き、ヒータミラー70、基板71、反射膜72、電極73a、73b、電極接続部73a’、73b’、抵抗発熱体74、保護層75、及びリード線76は、図11〜13を用いて説明したヒータミラー50、基板51、反射膜52、電極53a、電極接続部53a’、抵抗発熱体54、保護層55、及びリード線56と同一又は同様の機能及び構成を有する。基板71は、基板61(図14参照)と同様な曲面ガラスの基板であってもよい。
【0071】
本実施形態において、基板71及び反射膜72は、裏面鏡を構成しており、反射膜72は、基板71の裏面上に形成される。また、ヒータミラー70は、反射膜72の上に、絶縁層77を更に備える。そのため、電極73a、73b及び抵抗発熱体74は、絶縁層77上に吐出形成される。また、電極接続部73a’73b’も、絶縁層77上に形成される。このように構成した場合も、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー70を、低コストで製造することができる。
【0072】
尚、ヒータミラー70は、例えば、図11〜13を用いて説明したヒータミラー50の製造方法と同一又は同様の製造方法により製造される。また、図5、6を用いて説明した変形例は、抵抗発熱体74に適用することもできる。
【0073】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば自動車用のヒータミラーに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るヒータミラー10の分解斜視図である。
【図2】ヒータミラー10の斜視図である。
【図3】ヒータミラー10の断面図である。
【図4】ヒータミラー10の製造方法の一例を示す図である。 図4(a)は、この製造方法を示すフローチャートである。 図4(b)は、吐出形成の方法を示す。
【図5】抵抗発熱体14の構成を変更したヒータミラー10の構成例を示す概念図である。 図5(a)は、抵抗発熱体14が並ぶ格子間隔を、基板11(図1参照)上の位置に応じて変えたヒータミラー10の構成を示す。 図5(b)は、抵抗発熱体14の太さを、基板11上の位置に応じて変えたヒータミラー10の構成を示す。
【図6】抵抗発熱体14の構成の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るヒータミラー20の分解斜視図である。
【図8】ヒータミラー20の斜視図である。
【図9】ヒータミラー20の断面図である。
【図10】ヒータミラー30の断面図である。
【図11】ヒータミラー50の分解斜視図である。
【図12】ヒータミラー50の斜視図である。
【図13】ヒータミラー50の断面図である。
【図14】ヒータミラー60の分解斜視図である。
【図15】ヒータミラー60の斜視図である。
【図16】ヒータミラー60の断面図である。
【図17】ヒータミラー70の断面図である。
【符号の説明】
【0076】
10・・・ヒータミラー、11・・・基板、12・・・反射膜、13a、b・・・電極、13a’、b’・・・電極接続部、14・・・抵抗発熱体、15・・・保護層、16・・・リード線、20・・・ヒータミラー、21・・・基板、22・・・反射膜、23a、b・・・電極、23a’、b’・・・電極接続部、24・・・抵抗発熱体、25・・・保護層、26・・・リード線、30・・・ヒータミラー、31・・・基板、32・・・反射膜、33a・・・電極、33a’・・・電極接続部、34・・・抵抗発熱体、35・・・保護層、36・・・リード線、37・・・絶縁層、40・・・ディスペンサ、50・・・ヒータミラー、51・・・基板、52・・・反射膜、53a、b・・・電極、53a’、b’・・・電極接続部、54・・・抵抗発熱体、55・・・保護層、56・・・リード線、60・・・ヒータミラー、61・・・基板、62・・・反射膜、63a、b・・・電極、63a’、b’・・・電極接続部、64・・・抵抗発熱体、65・・・保護層、66・・・リード線、70・・・ヒータミラー、71・・・基板、72・・・反射膜、73a・・・電極、73a’・・・電極接続部、74・・・抵抗発熱体、75・・・保護層、76・・・リード線、77・・・絶縁層
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータミラーの製造方法及びヒータミラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連続した一本の電熱線からなる面状発熱体(平面ヒータ)をミラー裏面に固着したヒータミラーが知られている(特許文献1)。また、一対の櫛歯状電極を有する基板の一面にPTC発熱材料を塗布した面状発熱体が知られている(特許文献2)。この櫛歯状電極は、基板への銅メッキ等により形成される。
【0003】
また、フィルム面上への印刷により形成された電極と、この電極上に重ねて印刷することで楕円膜状に形成された抵抗発熱体とを用いた自動車ミラー用ヒータ(特許文献3)、射出成形により、金属のリードフレームと一体成形された面状発熱体(発熱体層)を用いたミラー用面状ヒータ(特許文献4)及びヒータミラー(特許文献5)が知られている。
【特許文献1】実開昭59−40145号公報
【特許文献2】実開平5−45987号公報
【特許文献3】特開2000−12201号公報
【特許文献4】特開2002−231426号公報
【特許文献5】特開2002−270350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
連続した一本の電熱線からなる面状発熱体を用いた場合、ミラーの表面温度を所望の温度にするために、複雑なパターン形状の電熱線が必要になる。そのため、設計や製造工程が複雑化し、製造コストが高くなる。
【0005】
また、基板にPTC発熱材料を塗布することにより面状発熱体を形成する場合や、印刷により抵抗発熱体又は電極を形成する場合には、発熱体のパターンに合わせた版等の治工具を要する。射出成形により発熱体層を形成する場合、発熱体のパターンに合わせた金型等の治工具を要する。
【0006】
しかし、例えば自動車用のヒータミラーを製造する場合、車種に応じて様々な形状、サイズのミラーを製造する必要がある。そのため、発熱体のパターンに合わせた版や金型等の治工具を用いるとすれば、車種に応じて個別の治工具を用いることとなり、コストが高くなってしまう。
【0007】
また、電極をメッキ等により形成する場合、電極のパターン形成のためのエッチング処理等が必要になり、工程が複雑化し、製造コストが高くなる。
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題を解決できるヒータミラーの製造方法及びヒータミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
【0010】
(構成1)ヒータミラーの製造方法であって、反射膜が形成された基板を準備し、導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板の裏面上に正負一対の電極を少なくとも一つ吐出形成し、導電性ペーストよりも抵抗率の高い高抵抗導電性ペーストであって、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、一対の電極の一方及び他方を電気的に接続してなる抵抗発熱体を少なくとも一つ吐出形成する。
【0011】
このようにすれば、ヒータミラーを、簡単な工程にて、低コストで製造することができる。尚、基板の裏面とは、反射膜及び基板により形成される鏡の裏側の面である。反射膜及び基板が表面鏡を構成する場合、基板の裏面は、反射膜が形成されていない方の主表面である。また、反射膜及び基板が裏面鏡を構成する場合、基板の裏面は、反射膜が形成されている方の主表面である。反射膜及び基板が裏面鏡を構成する場合、反射膜の上に、更に絶縁層を形成するのが好ましい。この場合、一対の電極は、絶縁層の上に吐出形成されてよい。
【0012】
(構成2)ヒータミラーの製造方法であって、反射膜が形成された基板を準備し、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板の裏面上に抵抗発熱体を少なくとも一つ吐出形成し、抵抗発熱体と一部が重なることにより一方及び他方が電気的に接続される正負一対の電極を、高抵抗導電性ペーストよりも抵抗率の低い導電性ペーストを線状に吐出することにより少なくとも一つ吐出形成する。このようにすれば、構成1と同様の効果を得ることができる。また、抵抗発熱体と基板裏面との密着度がより高まるため、基板をより効率よく加熱できる。
【0013】
(構成3)導電性ペースト及び高抵抗導電性ペーストを、ディスペンサを用いて吐出する。このようにすれば、電極及び抵抗発熱体を、低コストかつ高精度で形成できる。
【0014】
(構成4)正負一対の電極を複数備え、当該正負一対の電極を、ほぼ平行に形成し、基板の裏面において、放熱の度合いに応じて抵抗発熱体の間隔を適宜決定し、放熱し易い部分の抵抗発熱体の間隔が小さくなるように、それぞれの抵抗発熱体の間隔を決定し、決定した間隔で並ぶ複数の抵抗発熱体を、それぞれの抵抗発熱体が一対の電極のそれぞれとほぼ直交するように吐出形成する。このようにすれば、放熱し易い基板端部付近をより強く加熱することにより、基板の裏面温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。
【0015】
(構成5)基板の裏面の各部における放熱の度合いに応じて、複数の抵抗発熱体のそれぞれを形成するための高抵抗導電性ペーストの吐出量を決定し、決定した吐出量により、それぞれの抵抗発熱体を吐出形成する。このようにすれば、基板の裏面温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。
【0016】
(構成6)複数の正負一対の電極をほぼ平行に配列するように形成すると共に、正負一対の電極とほぼ直交するように抵抗発熱体を形成し、この配列の中央部に位置する電極である中央部電極から離隔した位置にある正負一対の電極である離隔電極を電気的に接続する抵抗発熱体を形成するための高抵抗導電性ペーストの吐出量を、中央部電極から当該離隔電極までの距離に対応して増大させる。このようにすれば、放熱し易い基板端部付近をより強く加熱することにより、基板の裏面温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。
【0017】
(構成7)ヒータミラーであって、反射膜が形成された基板と、導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板の裏面上に吐出形成された正負一対の電極を少なくとも一つと、導電性ペーストよりも抵抗率の高い高抵抗導電性ペーストであって、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより吐出形成された、一対の電極の一方及び他方を電気的に接続してなる抵抗発熱体を少なくとも一つとを備える。このようにすれば、簡単な工程にて、低コストで製造することができるヒータミラーを具現できる。
【0018】
(構成8)ヒータミラーであって、反射膜が形成された基板と、基板の裏面上に、ほぼ平行に延伸する正負一対の電極を複数備え、正負一対の各電極のそれぞれとほぼ直交するように配列した複数の抵抗発熱体を備え、並びの中央から遠い抵抗発熱体の断面積は、並びの中央付近の抵抗発熱体の断面積よりも大きい。このように構成すれば、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラーを、低コストで具現できる。
【0019】
(構成9)ヒータミラーであって、反射膜が形成された基板と、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板の裏面上に吐出形成された抵抗発熱体を少なくとも一つと、抵抗発熱体と一部が重なることにより一方及び他方が電気的に接続された正負一対の電極であって、高抵抗導電性ペーストよりも抵抗率の低い導電性ペーストを線状に吐出することにより吐出形成された正負一対の電極を少なくとも一つとを備える。このように構成すれば、構成7と同様の効果を得ることができる。
【0020】
(構成10)ヒータミラーであって、反射膜が形成された基板と、基板の裏面上に、ほぼ平行に延伸して配列した複数の抵抗発熱体を備え、複数の抵抗発熱体のそれぞれとほぼ直交するようにほぼ平行に延伸する正負一対の電極を複数備え、複数の抵抗発熱体の中央部に位置する抵抗発熱体である中央部抵抗発熱体から離隔した位置にある抵抗発熱体である離隔抵抗発熱体の横断面積は、中央部抵抗発熱体から離隔抵抗発熱体までの距離に対応して、中央部抵抗発熱体の横断面積よりも大きい。このように構成すれば、構成8と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ヒータミラーを、簡単な工程にて、低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態に係るヒータミラー10の構成の一例を示す。図1は、ヒータミラー10の分解斜視図である。図2は、ヒータミラー10の斜視図である。図3は、ヒータミラー10の断面図である。ヒータミラー10は、自動車等の車両用のヒータミラーである。ヒータミラー10は、例えば、樹脂等で形成された筐体(ミラーボデー)に収容されて、車体に取り付けられる。本実施形態は、簡単な工程にて低コストで製造できるヒータミラーを提供することを目的とする。
【0023】
ヒータミラー10は、基板11、反射膜12、一対の電極13a、13b、電極接続部13a’、13b’、複数の抵抗発熱体14、保護層15、及びリード線16を備える。基板11は、ガラス等で形成された透光性の平面板状体である。反射膜12は、基板11の一方の主表面上に形成された金属膜であり、ヒータミラー10と共に、表面鏡を構成する。反射膜12は、例えば基板11上へのCrスパッタリングにより形成される。
【0024】
電極13a、13bは、それぞれの櫛歯状部分がほぼ平行に延伸する一対の櫛歯状電極であり、導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板11の裏面上に吐出形成される。この導電性ペーストは、例えば導電性銀ペースト又は導電性銅ペースト等の金属ペーストであってよい。電極13aは、+極の電極であり、電極接続部13a’を介して、リード線16と接続される。電極13bは、−極の電極であり、電極接続部13b’を介して、リード線16と接続される。尚、電極13a、13bは、互いに平行な線状に形成されてもよい。
【0025】
複数の抵抗発熱体14は、例えばヒータミラー10の曇りを暖めて除去するために用いられるヒータであり、電極13aと電極13bとを電気的に接続する。抵抗発熱体14は、線状の抵抗発熱体であり、電極13a、13bのそれぞれとほぼ直交するように、基板11の裏面上に並べて形成される。抵抗発熱体14は、電極13a、13b上及び基板11上に高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、電極13a、13bのそれぞれと一部が重なるように吐出形成される。高抵抗導電性ペーストは、例えばPTC発熱材料等の温度上昇に対して抵抗率が増大する材料を含むペーストであり、電極13a、13bの形成に用いる導電性ペーストよりも高い抵抗率を有する。
【0026】
保護層15は、例えばRVシリコン樹脂により形成されており、電極13a、13b及び抵抗発熱体14を挟んで基板11の裏面と対向するように、電極13a、13b及び抵抗発熱体14上に設けられる。このように構成すれば、電極13a、13b及び抵抗発熱体14を適切に保護することができる。リード線16は、電源とヒータミラー10とを接続する配線であり、電源の正極と電極接続部13a’とを接続し、電源の負極と電極接続部13b’とを接続する。
【0027】
図4は、ヒータミラー10の製造方法の一例を示す。図4(a)は、この製造方法を示すフローチャートである。この製造方法においては、最初に、反射膜12が形成された基板11を準備する(工程S102)。次に、導電性ペーストを線状に吐出することにより、基板11の裏面上に一対の電極13a、13bを吐出形成し(工程S104)、電極13a、13bとリード線16とを接続する(工程S106)。
【0028】
次に、抵抗発熱体14を並べる間隔、及び吐出形成における吐出量を決定し(工程S108)、決定した吐出量で高抵抗導電性ペーストを、それぞれの抵抗発熱体14が電極13a、13bのそれぞれとほぼ直交するように線状に吐出して、決定した間隔で並ぶ複数の抵抗発熱体14を吐出形成する(工程S110)。次に、電極13a、13b及び抵抗発熱体14を保護層15で被覆して(工程S112)、フローチャートを終了する。
【0029】
以上に説明した製造方法によれば、吐出形成により電極13a、13b、及び抵抗発熱体14を形成するため、版や金型等のパターンに合わせた治工具が不要となる。また、電極13a、13b、及び抵抗発熱体14の材料にムダが生じない。そのため、ヒータミラー10を、簡単な工程にて、低コストで製造することができる。
【0030】
また、本実施形態において、抵抗発熱体14は、基板11上に直接形成される。また、吐出形成により形成される抵抗発熱体14は、基板11に対する密着性が良好である。そのため、本実施形態によれば、高い熱効果により基板11を加熱することができる。
【0031】
また、抵抗発熱体14と電極13a、13bとのコンタクト性も良好であるため、多数の抵抗発熱体14を並列に用いることが容易である。そのため、例えば複雑なパターンの一本の抵抗発熱体を用いる場合と異なり、抵抗発熱体14の構造を簡単にできる。
【0032】
更には、本実施形態において、基板11の横(長手)方向に延伸する電極13a、13bと、基板11の縦(短手)方向に延伸する抵抗発熱体14とは、それぞれが横及び縦方向の格子線とる格子状に形成される。そのため、格子の間隔を適宜調整することにより、ヒータミラー10の表面温度を調整することができる。また、電極13a、13b、及び抵抗発熱体14は、パターンに合わせた治工具を用いずに吐出成形されるため、格子間隔の設計変更が容易である。そのため、本実施形態によれば、所望の表面温度が得られるヒータミラー10を、簡単な工程により、低コストで製造することができる。
【0033】
図4(b)は、吐出形成の方法を示す図である。本実施形態において、電極13a、13b、及び抵抗発熱体14は、定量吐出装置であるディスペンサ40を用いて吐出形成される。例えば、工程S104において、基板11裏面上に電極材料である導電性ペーストを、ディスペンサ40にて、横方向に複数本の線状に吐出して、電極13a、13bを吐出成形する。また、工程S110において、抵抗発熱体14の材料である高抵抗導電性ペーストを、ディスペンサ40にて、縦方向に複数本吐出して、電極13a、13bにほぼ直交したパターンの複数の抵抗発熱体14を吐出成形する。このようにすれば、電極13a、13b、及び抵抗発熱体14を、低コストかつ高精度で形成できる。
【0034】
以下、本実施形態の実施例を具体的に説明する。
(実施例1)
工程S102において、基板11として平面ガラスを用い、反射膜12としてCrをスパッタリングしたCr平面鏡(Cr表面鏡)を準備した。
【0035】
そして、工程S104において、銀フィラー90%入りフェノール系樹脂の導電性銀ペーストをφ0.5のノズルのディスペンサ(兵神装備株式会社製ロボディスペンサ)にて吐出し、櫛歯状の電極13a、13bを形成した。この導電性銀ペーストは導電性ペーストの一例である。電極13a、13bのそれぞれの線幅は1.2mmとした。導電性銀ペーストの体積抵抗は9×10−5Ω・cm、粘度は300d・Pa・s(ビスコテスター粘度計)である。
【0036】
櫛歯状の電極13aは、図1に示すように、上辺に沿った横方向の第1の線状部分、第1の線状部分とほぼ平行な横方向の第2の線状部分、及び第1の線状部分と第2の線状部分とを接続する縦方向の線状部分を有する。また、櫛歯状の電極13bは、下辺に沿った横方向の第1の線状部分、第1の線状部分とほぼ平行な横方向の第2の線状部分、及び第1の線状部分と第2の線状部分とを接続する縦方向の線状部分を有する。電極13a、13bの第2の線状部分は、第1の線状部分よりも、基板11の中央寄りに形成される。また、電極13aの第2の線状部分は、電極13bにおける第1の線状部分と第2の線状部分との間に形成される。電極13bの第2の線状部分は、電極13aにおける第1の線状部分と第2の線状部分との間に形成される。このように構成すれば、電極13a、13bの第1の線状部分及び第2の線状部分を、それぞれ別個の電極として機能させることができる。
【0037】
そして、工程106において、導電性銀ペーストにて、リード線16を、電極13a、13bにポッティング接続し、電極接続部13a’、13b’を形成した。加熱硬化の条件は、150℃で30分間とした。また、導電性銀ペーストは、工程S104と同じものを用いた。
【0038】
そして、工程S110にて、カーボン65%入りオレフィン系樹脂の高抵抗導電性ペーストをφ0.5のノズルのディスペンサにて吐出し、電極13a、13bにほぼ直交する縦方向に、電極13a、13bと共に格子形状を構成するように、複数の抵抗発熱体14を形成した。抵抗発熱体14の線幅は1.5mmとした。抵抗発熱体14が並ぶ格子間隔は15mmとした。この線幅に対応する吐出量、及び抵抗発熱体14の格子間隔は、工程S108において決定される。高抵抗導電性ペーストは、60℃で30分間乾燥させた。また、高抵抗導電性ペーストの体積抵抗は1×10−1Ω・cm、粘度は280d・Pa・s(ビスコテスター粘度計)である。
【0039】
そして、S112において、RVシリコン樹脂(アルコール型1成分シリコンシーラント)のロール塗装にて保護層15を形成し、電極13a、13b、及び抵抗発熱体14を被覆した。保護層15の膜厚は600μmとし、常温で硬化させた。尚、保護層15は、電極接続部13a’、13b’を同時に被覆するように形成されてもよい。
【0040】
実施例1に係るヒータミラー10の表面温度を室温25℃の環境で測定したところ、ミラー表面中央の温度は65℃となった。また、PTC機能により、一定温度を維持した。実施例1により、適切な表面温度を実現するヒータミラー10を、低コストで製造できることを確認した。
【0041】
(実施例2)
工程S110にて、高抵抗導電性ペーストとして、体積抵抗が8×10−1Ω・cm、粘度は270d・Pa・s(ビスコテスター粘度計)のカーボン50%入りオレフィン系樹脂を用いた点、抵抗発熱体14が並ぶ格子間隔を10mmとした点以外は実施例1と同様にして、実施例2に係るヒータミラー10を製造した。
【0042】
実施例2に係るヒータミラー10の表面温度を室温25℃の環境で測定したところ、ミラー表面中央の温度は62℃となった。また、PTC機能により、一定温度を維持した。実施例2により、適切な表面温度を実現するヒータミラー10を、低コストで製造できることを確認した。
【0043】
図5は、抵抗発熱体14の構成を変更したヒータミラー10の構成例を示す概念図である。図5(a)は、抵抗発熱体14が並ぶ格子間隔を、基板11(図1参照)上の位置に応じて変えたヒータミラー10の構成を示す。この構成において、それぞれの抵抗発熱体14の間隔は、基板11裏面の各部の放熱し易さに応じて、放熱し易い部分の抵抗発熱体14の間隔が小さくなるように決定される。そして、それぞれの抵抗発熱体14は、決定された間隔で並べられる。
【0044】
例えば、基板11の裏面において、基板端部付近は、中央付近より放熱し易い。そのため、例えば、並びの中央から最も遠い、横方向の基板端部近くの2本の抵抗発熱体14の間隔L2は、並びの中央の2本の抵抗発熱体14の間隔をL1よりも小さくするのが好ましい。このように形成すれば、基板11の裏面温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。また、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー10を、低コストで製造することができる。
【0045】
図5(b)は、抵抗発熱体14の太さを、基板11上の位置に応じて変えたヒータミラー10の構成を示す。この構成において、それぞれの抵抗発熱体14を形成するための高抵抗導電性ペーストの吐出量は、基板11裏面の各部の放熱し易さに応じて決定される。そして、それぞれの抵抗発熱体14は、決定された吐出量で吐出形成される。
【0046】
例えば、並びの中央から最も遠い、横方向の基板端部付近の抵抗発熱体14の断面積が、並びの中央付近の抵抗発熱体14の断面積よりも大きくなるように、基板端部の抵抗発熱体14を、中央付近の抵抗発熱体14を形成する場合よりも大きな吐出量で吐出する。この吐出量は、例えば基板中央部の電極13a、13bからの距離に対応させて増大させてよい。このように形成した場合、基板端部付近における抵抗発熱体14の径W2は、中央付近における抵抗発熱体14の径W1よりも大きくなる。また、基板端部付近における抵抗発熱体14の横断面積は、中央付近における抵抗発熱体14の横断面積よりも大きくなる。このように形成すれば、基板11裏面の温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。また、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー10を、低コストで製造することができる。
【0047】
図6は、抵抗発熱体14の構成の変形例を示す。この変形例において、少なくとも一部の抵抗発熱体14は、部分毎に異なる吐出量で形成される。例えば、抵抗発熱体14において、基板11の中央から遠い、縦方向の基板端部付近の部分を、中央付近の部分を形成する場合よりも小さな吐出量で吐出形成する。このように形成した場合、基板端部付近における抵抗発熱体14の径W3は、中央付近における径W4よりも小さくなる。また、この抵抗発熱体14において、ヒータミラー10の中央から遠い部分の断面積は、中央に近い部分の断面積よりも小さくなる。そのため、このように構成すれば、放熱し易い基板端部付近をより強く加熱することにより、基板の裏面温度を均一に上昇させ、ミラーの表面温度を適切に保つことができる。また、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー10を、低コストで製造することができる。
【0048】
尚、更なる変形例においては、例えば、吐出量を連続的に徐々に変化させながら抵抗発熱体14を吐出形成してもよい。この場合、抵抗発熱体14は、例えばエンタシス状等の、最も太い中央付近から両端に向かって徐々に細くなる形状を有する。この場合も、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー10を、低コストで製造することができる。
【0049】
図7〜図9は、本発明の第2の実施形態に係るヒータミラー20の構成の一例を示す。図7は、ヒータミラー20の分解斜視図である。図8は、ヒータミラー20の斜視図である。図9は、ヒータミラー20の断面図である。本実施形態において、ヒータミラー20は、基板21、反射膜22、一対の電極23a、23b、電極接続部23a’23b’、複数の抵抗発熱体24、保護層25、及びリード線26を備える。尚、以下に説明する以外の点について、ヒータミラー20、基板21、反射膜22、電極23a、23b、電極接続部23a’、23b’、抵抗発熱体24、保護層25、及びリード線26は、図1〜3を用いて説明したヒータミラー10、基板11、反射膜12、電極13a、13b、電極接続部13a’、13b’、抵抗発熱体14、保護層15、及びリード線16と同一又は同様の機能及び構成を有する。
【0050】
本実施形態において、基板21は、曲面ガラスで形成された曲面の板状体である。反射膜22は、基板21の凸面へのCrスパッタリングにより形成される。また、基板21の裏面は、凹面であり、電極23a、23b、及び抵抗発熱体24は、この凹面上に吐出形成される。
【0051】
ここで、版や金型等を用いて電極や抵抗発熱体を形成する場合、版や金型の形状を、基板21の曲面に合わせる必要がある。そのため、例えば様々な車種に応じて曲率の異なる自動車用のヒータミラーを製造する場合、コストが大きく増大することとなる。また、基板21の曲面形状には、ばらつきが生じる場合があり、版や金型等を用いた場合には、製造歩留まりが低下してしまうおそれがある。
【0052】
しかし、本実施形態によれば、曲面状の基板21に対しても、電極23a、23b、及び抵抗発熱体24を、適切に形成することができる。そのため、本実施形態によれば、ミラーの表面温度を適切に保つことができる曲面状のヒータミラー20を、低コストで製造することができる。尚、ヒータミラー20は、例えば、図4を用いて説明したヒータミラー10の製造方法と同一又は同様の製造方法により製造される。また、図5、6を用いて説明した変形例は、抵抗発熱体24に適用することもできる。
【0053】
以下、本実施形態の実施例を具体的に説明する。
(実施例3、4)
曲面ガラスの基板21を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3に係るヒータミラー20を製造した。また、曲面ガラスの基板21を用いた以外は実施例2と同様にして、実施例4に係るヒータミラー20を製造した。
【0054】
実施例3、4に係るヒータミラー20の表面温度を室温25℃の環境で測定したところ、ミラー表面中央の温度は、実施例3において63℃、実施例4において60℃となった。また、PTC機能により、一定温度を維持した。実施例3、4により、適切な表面温度を実現するヒータミラー20を、低コストで製造できることを確認した。
【0055】
図10は、本発明の第3の実施形態に係るヒータミラー30の構成の一例を示す断面図である。本実施形態において、ヒータミラー30は、基板31、反射膜32、一対の電極33a、33b(図示せず)、電極接続部33a’33b’(図示せず)、複数の抵抗発熱体34、保護層35、及びリード線36を備える。尚、以下に説明する点を除き、ヒータミラー30、基板31、反射膜32、電極33a、33b、電極接続部33a’、33b’、抵抗発熱体34、保護層35、及びリード線36は、図1〜3を用いて説明したヒータミラー10、基板11、反射膜12、電極13a、13b、電極接続部13a’、13b’、抵抗発熱体14、保護層15、及びリード線16と同一又は同様の機能及び構成を有する。基板31は、基板21(図7参照)と同様な曲面ガラスの基板であってもよい。
【0056】
本実施形態において、基板31及び反射膜32は、裏面鏡を構成しており、反射膜32は、基板31の裏面上に形成される。また、ヒータミラー30は、反射膜32の上に、絶縁層37を更に備える。そのため、電極33a、33b及び抵抗発熱体34は、絶縁層37上に吐出形成される。また、電極接続部33a’33b’も、絶縁層37上に形成される。このように構成した場合も、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー30を、低コストで製造することができる。
【0057】
尚、ヒータミラー30は、例えば、図4を用いて説明したヒータミラー10の製造方法と同一又は同様の製造方法により製造される。また、図5、6を用いて説明した変形例は、抵抗発熱体34に適用することもできる。
【0058】
図11〜図13は、本発明の第4の実施形態に係るヒータミラー50の構成の一例を示す。図11は、ヒータミラー50の分解斜視図である。図12は、ヒータミラー50の斜視図である。図13は、ヒータミラー50の断面図である。本実施形態において、ヒータミラー50は、基板51、反射膜52、一対の電極53a、53b、電極接続部53a’53b’、複数の抵抗発熱体54、保護層55、及びリード線56を備える。尚、以下に説明する以外の点について、ヒータミラー50、基板51、反射膜52、電極53a、53b、電極接続部53a’、53b’、抵抗発熱体54、保護層55、及びリード線56は、図1〜3を用いて説明したヒータミラー10、基板11、反射膜12、電極13a、13b、電極接続部13a’、13b’、抵抗発熱体14、保護層15、及びリード線16と同一又は同様の機能及び構成を有する。また、図5、6を用いて説明した変形例は、抵抗発熱体54に適用することもできる。
【0059】
本実施形態において、抵抗発熱体54は、電極53a、53bよりも先に吐出形成される。また、ヒータミラー50は、例えば、図4を用いて説明したヒータミラー10の製造方法において、工程S108及び工程S110を工程S104より先に行うのと同一又は同様の製造方法で製造される。このように製造されることにより、正負一対の電極53a、53bは、抵抗発熱体54と一部が重なり、互いに電気的に接続される。このように構成した場合も、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー50を、低コストで製造することができる。
【0060】
以下、本実施形態の実施例を具体的に説明する。
(実施例5)
基板51として平面ガラスを用い、反射膜52としてCrをスパッタリングしたCr平面鏡(Cr表面鏡)を準備した。
【0061】
そして、カーボン30%入りポリエステル系樹脂の高抵抗導電性ペーストをφ0.5のノズルのディスペンサにて吐出し、複数の抵抗発熱体54を形成した。複数の抵抗発熱体54は、後に形成する櫛歯状の電極53a、53bと共に格子形状を構成するように、電極53a、53bとほぼ直交すべき縦方向に延伸する。抵抗発熱体54の線幅は1.8mmとした。抵抗発熱体54が並ぶ格子間隔は10mmとした。この線幅に対応する吐出量、及び抵抗発熱体14の格子間隔は、基板51の裏面の各部における放熱の度合いに応じて予め決定した。高抵抗導電性ペーストの体積抵抗は1×10−2Ω・cm、粘度は200d・Pa・s(ビスコテスター粘度計)である。高抵抗導電性ペーストは、自然乾燥させた。
【0062】
次に、銅フィラー95%入りフェノール系樹脂の導電性銅ペーストをφ0.5のノズルのディスペンサにて吐出し、櫛歯状の電極53a、53bを形成した。この導電性銅ペーストは導電性ペーストの一例である。電極53a、53bのそれぞれの線幅は1.4mmとした。導電性銅ペーストの体積抵抗は9×10−5Ω・cm、粘度は300d・Pa・s(ビスコテスター粘度計)である。導電性銅ペーストは、自然乾燥させた。
【0063】
櫛歯状の電極53aは、図11に示すように、上辺に沿った横方向の第1の線状部分、第1の線状部分とほぼ平行な横方向の第2の線状部分、及び第1の線状部分と第2の線状部分とを接続する縦方向の線状部分を有する。また、櫛歯状の電極53bは、下辺に沿った横方向の第1の線状部分、第1の線状部分とほぼ平行な横方向の第2の線状部分、及び第1の線状部分と第2の線状部分とを接続する縦方向の線状部分を有する。電極53a、53bの第2の線状部分は、第1の線状部分よりも、基板51の中央寄りに形成される。また、電極53aの第2の線状部分は、電極53bにおける第1の線状部分と第2の線状部分との間に形成される。電極53bの第2の線状部分は、電極53aにおける第1の線状部分と第2の線状部分との間に形成される。このように構成すれば、電極53a、53bの第1の線状部分及び第2の線状部分を、それぞれ別個の電極として機能させることができる。
【0064】
そして、電極53a、53bの形成に用いたのと同じ導電性銅ペーストにて、リード線56を、電極53a、53bにポッティング接続し、電極接続部53a’、53b’を形成した。電極53a、53bの自然乾燥後、抵抗発熱体54、電極53a、53b、及び電極接続部53a’、53b’を同時に加熱硬化させた。加熱硬化の条件は、150℃で30分間とした。
【0065】
そして、RVシリコン樹脂(アルコール型1成分シリコンシーラント)のロール塗装にて保護層55を形成し、電極53a、53b、及び抵抗発熱体54を被覆した。保護層55の膜厚は600μmとし、常温で硬化させた。尚、保護層55は、電極接続部53a’、53b’を同時に被覆するように形成されてもよい。
【0066】
実施例5に係るヒータミラー50の表面温度を室温25℃の環境で測定したところ、ミラー表面中央の温度は、62℃となった。また、PTC機能により、一定温度を維持した。実施例5により、適切な表面温度を実現するヒータミラー50を、低コストで製造できることを確認した。
【0067】
図14〜図16は、本発明の第5の実施形態に係るヒータミラー60の構成の一例を示す。図14は、ヒータミラー60の分解斜視図である。図15は、ヒータミラー60の斜視図である。図16は、ヒータミラー60の断面図である。本実施形態において、ヒータミラー60は、基板61、反射膜62、一対の電極63a、63b、電極接続部63a’63b’、複数の抵抗発熱体64、保護層65、及びリード線66を備える。尚、以下に説明する以外の点について、ヒータミラー60、基板61、反射膜62、電極63a、63b、電極接続部63a’、63b’、抵抗発熱体64、保護層65、及びリード線66は、図11〜13を用いて説明したヒータミラー50、基板51、反射膜52、電極53a、53b、電極接続部53a’、53b’、抵抗発熱体54、保護層55、及びリード線56と同一又は同様の機能及び構成を有する。
【0068】
本実施形態において、基板61は、曲面ガラスで形成された曲面の板状体である。反射膜62は、基板61の凸面へのCrスパッタリングにより形成される。また、基板61の裏面は、凹面であり、電極63a、63b、及び抵抗発熱体64は、この凹面上に吐出形成される。本実施形態によれば、ミラーの表面温度を適切に保つことができる曲面状のヒータミラー60を、低コストで製造することができる。尚、ヒータミラー60は、例えば、図11〜13を用いて説明したヒータミラー50の製造方法と同一又は同様の製造方法により製造される。また、図5、6を用いて説明した変形例は、抵抗発熱体64に適用することもできる。
【0069】
以下、本実施形態の実施例を具体的に説明する。
(実施例6)
曲面ガラスの基板61を用いた以外は実施例5と同様にして、実施例6に係るヒータミラー60を製造した。実施例6に係るヒータミラー60の表面温度を室温25℃の環境で測定したところ、ミラー表面中央の温度は、63℃となった。また、PTC機能により、一定温度を維持した。実施例6により、適切な表面温度を実現するヒータミラー60を、低コストで製造できることを確認した。
【0070】
図17は、本発明の第6の実施形態に係るヒータミラー70の構成の一例を示す断面図である。本実施形態において、ヒータミラー70は、基板71、反射膜72、一対の電極73a、73b(図示せず)、電極接続部73a’73b’(図示せず)、複数の抵抗発熱体74、保護層75、及びリード線76を備える。尚、以下に説明する点を除き、ヒータミラー70、基板71、反射膜72、電極73a、73b、電極接続部73a’、73b’、抵抗発熱体74、保護層75、及びリード線76は、図11〜13を用いて説明したヒータミラー50、基板51、反射膜52、電極53a、電極接続部53a’、抵抗発熱体54、保護層55、及びリード線56と同一又は同様の機能及び構成を有する。基板71は、基板61(図14参照)と同様な曲面ガラスの基板であってもよい。
【0071】
本実施形態において、基板71及び反射膜72は、裏面鏡を構成しており、反射膜72は、基板71の裏面上に形成される。また、ヒータミラー70は、反射膜72の上に、絶縁層77を更に備える。そのため、電極73a、73b及び抵抗発熱体74は、絶縁層77上に吐出形成される。また、電極接続部73a’73b’も、絶縁層77上に形成される。このように構成した場合も、ミラーの表面温度を適切に保つことができるヒータミラー70を、低コストで製造することができる。
【0072】
尚、ヒータミラー70は、例えば、図11〜13を用いて説明したヒータミラー50の製造方法と同一又は同様の製造方法により製造される。また、図5、6を用いて説明した変形例は、抵抗発熱体74に適用することもできる。
【0073】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば自動車用のヒータミラーに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るヒータミラー10の分解斜視図である。
【図2】ヒータミラー10の斜視図である。
【図3】ヒータミラー10の断面図である。
【図4】ヒータミラー10の製造方法の一例を示す図である。 図4(a)は、この製造方法を示すフローチャートである。 図4(b)は、吐出形成の方法を示す。
【図5】抵抗発熱体14の構成を変更したヒータミラー10の構成例を示す概念図である。 図5(a)は、抵抗発熱体14が並ぶ格子間隔を、基板11(図1参照)上の位置に応じて変えたヒータミラー10の構成を示す。 図5(b)は、抵抗発熱体14の太さを、基板11上の位置に応じて変えたヒータミラー10の構成を示す。
【図6】抵抗発熱体14の構成の変形例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るヒータミラー20の分解斜視図である。
【図8】ヒータミラー20の斜視図である。
【図9】ヒータミラー20の断面図である。
【図10】ヒータミラー30の断面図である。
【図11】ヒータミラー50の分解斜視図である。
【図12】ヒータミラー50の斜視図である。
【図13】ヒータミラー50の断面図である。
【図14】ヒータミラー60の分解斜視図である。
【図15】ヒータミラー60の斜視図である。
【図16】ヒータミラー60の断面図である。
【図17】ヒータミラー70の断面図である。
【符号の説明】
【0076】
10・・・ヒータミラー、11・・・基板、12・・・反射膜、13a、b・・・電極、13a’、b’・・・電極接続部、14・・・抵抗発熱体、15・・・保護層、16・・・リード線、20・・・ヒータミラー、21・・・基板、22・・・反射膜、23a、b・・・電極、23a’、b’・・・電極接続部、24・・・抵抗発熱体、25・・・保護層、26・・・リード線、30・・・ヒータミラー、31・・・基板、32・・・反射膜、33a・・・電極、33a’・・・電極接続部、34・・・抵抗発熱体、35・・・保護層、36・・・リード線、37・・・絶縁層、40・・・ディスペンサ、50・・・ヒータミラー、51・・・基板、52・・・反射膜、53a、b・・・電極、53a’、b’・・・電極接続部、54・・・抵抗発熱体、55・・・保護層、56・・・リード線、60・・・ヒータミラー、61・・・基板、62・・・反射膜、63a、b・・・電極、63a’、b’・・・電極接続部、64・・・抵抗発熱体、65・・・保護層、66・・・リード線、70・・・ヒータミラー、71・・・基板、72・・・反射膜、73a・・・電極、73a’・・・電極接続部、74・・・抵抗発熱体、75・・・保護層、76・・・リード線、77・・・絶縁層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータミラーの製造方法であって、
反射膜が形成された基板を準備し、
導電性ペーストを線状に吐出することにより、前記基板の裏面上に正負一対の電極を少なくとも一つ吐出形成し、
前記導電性ペーストよりも抵抗率の高い高抵抗導電性ペーストであって、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、前記一対の電極の一方及び他方を電気的に接続してなる抵抗発熱体を少なくとも一つ吐出形成することを特徴とするヒータミラーの製造方法。
【請求項2】
ヒータミラーの製造方法であって、
反射膜が形成された基板を準備し、
温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、前記基板の裏面上に抵抗発熱体を少なくとも一つ吐出形成し、
前記抵抗発熱体と一部が重なることにより一方及び他方が電気的に接続される正負一対の電極を、前記高抵抗導電性ペーストよりも抵抗率の低い導電性ペーストを線状に吐出することにより少なくとも一つ吐出形成することを特徴とするヒータミラーの製造方法。
【請求項3】
ヒータミラーの製造方法であって、前記導電性ペースト及び前記高抵抗導電性ペーストを、ディスペンサを用いて吐出することを特徴とする請求項1又は2に記載のヒータミラーの製造方法。
【請求項4】
ヒータミラーの製造方法であって、前記正負一対の電極を複数備え、前記正負一対の電極を、ほぼ平行に形成し、
前記基板の裏面において、放熱の度合いに応じて前記抵抗発熱体の間隔を適宜決定し、
決定した前記間隔で並ぶ複数の前記抵抗発熱体を、それぞれの前記抵抗発熱体が前記一対の電極のそれぞれとほぼ直交するように吐出形成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のヒータミラーの製造方法。
【請求項5】
ヒータミラーの製造方法であって、前記基板の裏面の各部における放熱の度合いに応じて、複数の前記抵抗発熱体のそれぞれを形成するための前記高抵抗導電性ペーストの吐出量を決定し、
決定した前記吐出量により、それぞれの前記抵抗発熱体を吐出形成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のヒータミラーの製造方法。
【請求項6】
ヒータミラーの製造方法であって、複数の前記正負一対の電極をほぼ平行に配列するように形成すると共に、前記正負一対の電極とほぼ直交するように前記抵抗発熱体を形成し、
この配列の中央部に位置する前記電極である中央部電極から離隔した位置にある前記正負一対の電極である離隔電極を電気的に接続する前記抵抗発熱体を形成するための前記高抵抗導電性ペーストの前記吐出量を、前記中央部電極から当該離隔電極までの距離に対応して増大させることを特徴とする請求項5に記載のヒータミラーの製造方法。
【請求項7】
ヒータミラーであって、
反射膜が形成された基板と、
導電性ペーストを線状に吐出することにより、前記基板の裏面上に吐出形成された正負一対の電極を少なくとも一つと、
前記導電性ペーストよりも抵抗率の高い高抵抗導電性ペーストであって、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより吐出形成された、前記一対の電極の一方及び他方を電気的に接続してなる抵抗発熱体を少なくとも一つと
を備えることを特徴とするヒータミラー。
【請求項8】
ヒータミラーであって、
反射膜が形成された基板と、
前記基板の裏面上に、ほぼ平行に延伸する正負一対の電極を複数備え、
前記正負一対の各電極のそれぞれとほぼ直交するように配列した複数の抵抗発熱体を備え、
前記複数の抵抗発熱体の中央部に位置する前記抵抗発熱体である中央部抵抗発熱体から離隔した位置にある前記抵抗発熱体である離隔抵抗発熱体の横断面積は、前記中央部抵抗発熱体から前記離隔抵抗発熱体までの距離に対応して、前記中央部抵抗発熱体の横断面積よりも大きいことを特徴とするヒータミラー。
【請求項9】
ヒータミラーであって、
反射膜が形成された基板と、
温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、前記基板の裏面上に吐出形成された抵抗発熱体を少なくとも一つと、
前記抵抗発熱体と一部が重なることにより一方及び他方が電気的に接続された正負一対の電極であって、前記高抵抗導電性ペーストよりも抵抗率の低い導電性ペーストを線状に吐出することにより吐出形成された正負一対の電極を少なくとも一つと
を備えることを特徴とするヒータミラー。
【請求項10】
ヒータミラーであって、
反射膜が形成された基板と、
前記基板の裏面上に、ほぼ平行に延伸して配列した複数の抵抗発熱体を備え、
前記複数の抵抗発熱体のそれぞれとほぼ直交するようにほぼ平行に延伸する正負一対の電極を複数備え、
前記複数の抵抗発熱体の中央部に位置する前記抵抗発熱体である中央部抵抗発熱体から離隔した位置にある前記抵抗発熱体である離隔抵抗発熱体の横断面積は、前記中央部抵抗発熱体から前記離隔抵抗発熱体までの距離に対応して、前記中央部抵抗発熱体の横断面積よりも大きいことを特徴とするヒータミラー。
【請求項1】
ヒータミラーの製造方法であって、
反射膜が形成された基板を準備し、
導電性ペーストを線状に吐出することにより、前記基板の裏面上に正負一対の電極を少なくとも一つ吐出形成し、
前記導電性ペーストよりも抵抗率の高い高抵抗導電性ペーストであって、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、前記一対の電極の一方及び他方を電気的に接続してなる抵抗発熱体を少なくとも一つ吐出形成することを特徴とするヒータミラーの製造方法。
【請求項2】
ヒータミラーの製造方法であって、
反射膜が形成された基板を準備し、
温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、前記基板の裏面上に抵抗発熱体を少なくとも一つ吐出形成し、
前記抵抗発熱体と一部が重なることにより一方及び他方が電気的に接続される正負一対の電極を、前記高抵抗導電性ペーストよりも抵抗率の低い導電性ペーストを線状に吐出することにより少なくとも一つ吐出形成することを特徴とするヒータミラーの製造方法。
【請求項3】
ヒータミラーの製造方法であって、前記導電性ペースト及び前記高抵抗導電性ペーストを、ディスペンサを用いて吐出することを特徴とする請求項1又は2に記載のヒータミラーの製造方法。
【請求項4】
ヒータミラーの製造方法であって、前記正負一対の電極を複数備え、前記正負一対の電極を、ほぼ平行に形成し、
前記基板の裏面において、放熱の度合いに応じて前記抵抗発熱体の間隔を適宜決定し、
決定した前記間隔で並ぶ複数の前記抵抗発熱体を、それぞれの前記抵抗発熱体が前記一対の電極のそれぞれとほぼ直交するように吐出形成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のヒータミラーの製造方法。
【請求項5】
ヒータミラーの製造方法であって、前記基板の裏面の各部における放熱の度合いに応じて、複数の前記抵抗発熱体のそれぞれを形成するための前記高抵抗導電性ペーストの吐出量を決定し、
決定した前記吐出量により、それぞれの前記抵抗発熱体を吐出形成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のヒータミラーの製造方法。
【請求項6】
ヒータミラーの製造方法であって、複数の前記正負一対の電極をほぼ平行に配列するように形成すると共に、前記正負一対の電極とほぼ直交するように前記抵抗発熱体を形成し、
この配列の中央部に位置する前記電極である中央部電極から離隔した位置にある前記正負一対の電極である離隔電極を電気的に接続する前記抵抗発熱体を形成するための前記高抵抗導電性ペーストの前記吐出量を、前記中央部電極から当該離隔電極までの距離に対応して増大させることを特徴とする請求項5に記載のヒータミラーの製造方法。
【請求項7】
ヒータミラーであって、
反射膜が形成された基板と、
導電性ペーストを線状に吐出することにより、前記基板の裏面上に吐出形成された正負一対の電極を少なくとも一つと、
前記導電性ペーストよりも抵抗率の高い高抵抗導電性ペーストであって、温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより吐出形成された、前記一対の電極の一方及び他方を電気的に接続してなる抵抗発熱体を少なくとも一つと
を備えることを特徴とするヒータミラー。
【請求項8】
ヒータミラーであって、
反射膜が形成された基板と、
前記基板の裏面上に、ほぼ平行に延伸する正負一対の電極を複数備え、
前記正負一対の各電極のそれぞれとほぼ直交するように配列した複数の抵抗発熱体を備え、
前記複数の抵抗発熱体の中央部に位置する前記抵抗発熱体である中央部抵抗発熱体から離隔した位置にある前記抵抗発熱体である離隔抵抗発熱体の横断面積は、前記中央部抵抗発熱体から前記離隔抵抗発熱体までの距離に対応して、前記中央部抵抗発熱体の横断面積よりも大きいことを特徴とするヒータミラー。
【請求項9】
ヒータミラーであって、
反射膜が形成された基板と、
温度上昇と共に抵抗率が増大する高抵抗導電性ペーストを線状に吐出することにより、前記基板の裏面上に吐出形成された抵抗発熱体を少なくとも一つと、
前記抵抗発熱体と一部が重なることにより一方及び他方が電気的に接続された正負一対の電極であって、前記高抵抗導電性ペーストよりも抵抗率の低い導電性ペーストを線状に吐出することにより吐出形成された正負一対の電極を少なくとも一つと
を備えることを特徴とするヒータミラー。
【請求項10】
ヒータミラーであって、
反射膜が形成された基板と、
前記基板の裏面上に、ほぼ平行に延伸して配列した複数の抵抗発熱体を備え、
前記複数の抵抗発熱体のそれぞれとほぼ直交するようにほぼ平行に延伸する正負一対の電極を複数備え、
前記複数の抵抗発熱体の中央部に位置する前記抵抗発熱体である中央部抵抗発熱体から離隔した位置にある前記抵抗発熱体である離隔抵抗発熱体の横断面積は、前記中央部抵抗発熱体から前記離隔抵抗発熱体までの距離に対応して、前記中央部抵抗発熱体の横断面積よりも大きいことを特徴とするヒータミラー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−120600(P2006−120600A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138425(P2005−138425)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]