ヒータ駆動制御方法
【課題】 比較的に少ない作業工数にて均一温度制御のための調整作業を完了することができると共に、ある温度にて均一温度制御を達成したのち、別の温度による均一温度制御に切り換えたとしても、その都度、均一温度制御のための調整作業は不要となるヒータ駆動制御方法を提供する。
【解決手段】 操作出力値生成用の粗テーブルを生成する第1のステップと、操作出力値生成用の精細テーブルを生成する第2のステップと、参照温度が指定される毎に、指定された参照温度をキーとして操作出力値生成用の精細テーブルを検索することにより、その参照温度に対応する各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを抽出すると共に、このデータに基づいて生成される各操作出力値をそれぞれ該当する領域の駆動系に与える第3のステップと、を具備する。
【解決手段】 操作出力値生成用の粗テーブルを生成する第1のステップと、操作出力値生成用の精細テーブルを生成する第2のステップと、参照温度が指定される毎に、指定された参照温度をキーとして操作出力値生成用の精細テーブルを検索することにより、その参照温度に対応する各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを抽出すると共に、このデータに基づいて生成される各操作出力値をそれぞれ該当する領域の駆動系に与える第3のステップと、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被加熱物体上を適宜に区画してなる複数の領域のそれぞれを個別に加熱する各ヒータの駆動系に対して適宜な操作出力を与えることにより、一定の温度分布傾向(例えば、全面均一温度、傾斜分布温度、同心円分布温度等々)を有する温度分布パターンを被加熱物体上に出現させるためのヒータ駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被加熱物体上を適宜に区画してなる複数の領域のそれぞれを個別に加熱する各ヒータの駆動系に対して適宜な操作出力を与えることにより、一定の温度分布傾向(例えば、全面均一温度等)を有する温度分布パターンを被加熱物体上に出現させると言った制御系は、液晶ガラスや半導体ウェーハの加熱工程等々にしばしば採用される。
【0003】
この種の均一温度制御系(N:N制御)のイメージ図の一例が図15に示されている。同図において、5−1〜5−7は偏差増幅器、6−1〜6−7はPID演算器、7−1〜7−7は駆動回路と可変調節器等とを含む駆動系、8は7系統のヒータを含む制御対象、9−1〜9−7は温度センサである。なお、ここで、「均一温度制御」とは、シート状や棒状等のワーク上に配置された複数の検出ポイントの温度バラツキをなくすための制御を意味している。
【0004】
N:N制御の場合には、制御対象8に含まれる7個のヒータのそれぞれ毎に、偏差増幅器5とPID演算器6と調整手段7と温度センサ9とからなるサーボ系が用意される。すなわち、偏差増幅器5−1〜5−7のそれぞれは、温度センサ9−1〜9−7のそれぞれから得られる第1検出値(PV1)〜第7検出値(PV7)と第1設定値(SP1)〜第7設定値(SP7)との偏差を増幅する。偏差増幅器5−1〜5−7の各出力は、第1PID演算器6−1〜第7演算器6−7のそれぞれにより、PID演算が施されて操作出力(MV1〜MV7)が生成される。駆動系7−1〜7−7は、第1PID演算器6−1〜第7演算器6−7の各操作出力(MV1〜MV7)に基づいて、制御対象8を構成する図示しない7個のヒータのそれぞれを駆動する。7個のヒータのそれぞれに対応する領域の温度は、それらの領域に設けられた温度センサ9−1〜9−7により検出され、それらの検出値(PV1〜PV7)が偏差増幅器5−1〜5−7に送られる。これにより、1つの入力に対して1つの出力制御がペアとなって作動するサーボ系が構成される。
【0005】
また、他の均一温度制御系(M:N制御)のイメージ図の一例が図16に示されている。同図において、5,5−1,5−2は偏差増幅器、6,6−1,6−2はPID演算器、7−1〜7−7は駆動回路と可変調整器等とを含む駆動系、8は7個のヒータを含む制御対象、9,9−1,9−2は温度センサである。
【0006】
M:N制御として、この例では、PID演算器が1つの場合(同図(a))と複数の場合(同図(b))とが示されている。すなわち、同図(a)に示される場合には、偏差増幅器5は、温度センサ9の検出値(PV)と設定値(SP)との偏差を増幅する。偏差増幅器5の出力は、PID演算器6により、PID演算が施されて操作出力(MV)が生成される。駆動系7−1〜7−7は、PID演算器6の操作出力(MV)に基づいて、制御対象8を構成する図示しない7個のヒータのそれぞれを駆動する。7個のヒータのそれぞれに対応する領域の温度は、それらの領域のうちの代表領域に設けられた1個の温度センサ9により検出され、その検出値(PV)が偏差増幅器5に送られる。これにより、1つの入力に対して7つの出力制御がペアとなって作動するサーボ系が構成される。
【0007】
一方、同図(b)に示される場合には、偏差増幅器5−1は、温度センサ9−1の検出値(PV1)と設定値(SP1)との偏差を増幅する。偏差増幅器5−1の出力は、PID演算器6−1により、PID演算が施されて操作出力(MV1)が生成される。駆動系7−1〜7−3は、PID演算器6−1の操作出力(MV1)に基づいて、制御対象8を構成する図示しない3個のヒータのそれぞれを駆動する。3個のヒータのそれぞれを駆動する。3個のヒータのそれぞれに対応する領域の温度は、それらの領域のうちの代表領域に設けられた1個の温度センサ9−1により検出され、その検出値(PV1)が偏差増幅器5に送られる。同様にして、偏差増幅器5−2は、温度センサ9−2の検出値(PV2)と設定値(SP2)との偏差を増幅する。偏差増幅器5−2の出力は、PID演算器6−2により、PID演算が施されて操作出力(MV2)が生成される。駆動系7−4〜7−7は、PID演算器6−2の出力(MV2)に基づいて、制御対象8を構成する図示しない4個のヒータのそれぞれを駆動する。4個のヒータのそれぞれに対応する領域の温度は、それらの領域のうちの代表領域に設けられた1個の温度センサ9−2により検出され、その検出値(PV2)が偏差増幅器5−2に送られる。これにより、2つの入力に対して7つの出力制御がペアとなって作動するサーボ系が構成される。
【0008】
ところで、図15及び図16に示される均一温度制御系は、温度制御のために1もしくは2以上のサーボ系を有するとはいえ、被加熱物上の各区画された領域のうち、特に隣接する領域間には熱的な干渉作用が存在するため、単に、個々のサーボ系に対して同一の目標値を設定しただけでは、被加熱物上に均一な温度分布を即座に出現させることは難しく、どうしても人手による調整作業が必要とされる。
【0009】
この調整作業は、図15及び図16の場合には、駆動系7−1〜7−7に含まれる駆動回路(ソリッドステートリレーや電力調整器)に組み込まれた可変調整器(可変抵抗器等のハードウェアで構成される)を操作したり、その前段に位置するPID演算器7−1〜7−7の操作出力に対してソフトウェア的に適当な数値を加減算する、と言った手法が採用される。
【0010】
なお、この調整作業を自動化する試みもなされている。すなわち、本出願人は、先に、隣接領域間での干渉があるために、特に、過渡時や外乱時に温度のバラツキが顕著となって均一な温度制御が困難であり、或いは、各領域を異なる目標温度に制御することが困難であると言った問題点を解決するために、領域相互間における熱的干渉補償制御技術の1つ(以下、「傾斜温度制御」と称する)を提案している。
【0011】
この傾斜温度制御は、制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段から得られる検出温度を、複数の検出温度に基づく傾斜温度に変換するとともに、代表的な代表温度に変換する手段と、変換手段からの傾斜温度または代表温度を制御量として操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段と、各温度制御手段からの操作信号を、制御対象を加熱する複数の加熱手段に、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段とを具備するものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−187514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来の均一温度制御のためのヒータ駆動制御方法にあっては、複数の出力制御を行う場合には、次のような問題点が指摘されている。
【0013】
第1には、装置の出荷時において、均一温度となる条件出し作業のために、膨大な時間を要する、と言った問題点がある。すなわち、ヒータ間の熱的な干渉により、1つのヒータ温度の調整が隣接するヒータ温度に影響を及ぼすために、調整済みのヒータに立ち戻って再度温度調節しなければならないことがあり、ヒータ数が多いと調整の作業工数は膨大なものとなる。しかも、ある温度にて均一温度制御が達成されたとしても、均一温度制御すべき温度が変更されると、その都度、当初の調整時と同様に膨大な作業工数が必要となる。
【0014】
第2には、調整は勘と経験によるところが多く、技術の伝承も難しいと言った問題点がある。すなわち、熟練した作業者は、経験と勘により隣接するヒータへの熱的干渉の影響を予め予測し温度調整することにより、ある程度、再調整の回数を減らすことができるが、制御対象により影響の度合いが異なるため、技術トレーニング等により他の人間に伝承するのが困難である。
【0015】
第3には、M:N制御を行う場合には特に手間がかかると言った問題点がある。すなわち、ユーザによっては、M:N制御を行う場合が多いのであるが、一般的に、装置の通常稼働時には装置出荷時と比較して超すとダウンやスペース削減の目的でセンサの数を場合が多い。このとき、調整時と稼働時ではセンサの数が異なるため、再度調整の手間がかかる場合がある。
【0016】
第4には、M:N制御を行う場合には、N:N制御と比較して、均一温度の条件を出すためのパラメータが増加し、調整の難易度はさらに増えるが、この場合にも技術者の経験と勘による調整となり、膨大な作業時間を要することとなると言った問題点がある。すなわち、ヒータ間の熱的な干渉の影響が顕著であり、加工物の温度を均一にするためには、複数のヒータの出力のバランスを取る必要があり、この調整には膨大な調整工数を必要とする。
【0017】
この発明は上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、比較的に少ない作業工数にて均一温度制御のための調整作業を完了することができると共に、ある温度にて均一温度制御を達成したのち、別の温度による均一温度制御に切り換えたとしても、その都度、均一温度制御のための調整作業は不要となり、しかも、N:N制御にて均一温度制御の調整を行ったのち、M:N制御による均一温度制御に切り換えても、支障なく運転を継続することが可能なヒータ駆動制御方法を提供することにある。
【0018】
この発明のさらに他の目的ならびに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解される筈である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のヒータ駆動制御方法は、被加熱物体上を適宜に区画してなる複数の領域のそれぞれを個別に加熱する各ヒータの駆動系に対して適宜な操作出力を与えることにより、一定の温度分布傾向を有しかつ所定の分解能で選択可能な任意の参照温度を含む温度分布パターンを被加熱物体上に出現させるためのものである。
【0020】
このヒータ駆動制御方法は、第1のステップと、第2のステップと、第3のステップとからなる3つのステップを含んでいる。
【0021】
第1のステップは、各領域のそれぞれ毎に設けられた温度センサからの検出値と各領域のそれぞれ毎の目標値との偏差を入力として所定の補正演算を行ない各領域のそれぞれ毎の操作出力を生成する各領域毎のサーボ系に対して、領域相互間における熱的干渉補償制御を適用しつつ、一群の領域全体としての実温度分布パターンを1の参照温度に予め関連づけられた目標温度分布パターンに整合させる処理を、参照温度分解能よりも十分に大きな間隔で参照温度を変更しては繰り返すと共に、実温度分布パターンが目標温度分布パターンに整合する毎に、その整合状態における各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを取得してはそのときの参照温度と関連づけて所定のメモリに記憶させることにより、操作出力値生成用の粗テーブルを生成する。
【0022】
第2のステップは、所定のメモリに参照温度と関連づけて記憶された各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータ同士の間を、前記温度分布傾向に基づきかつ少なくとも参照温度分解能に対応する間隔で内挿補間して所定のメモリに記憶させるとにより、操作出力値生成用の精細テーブルを生成する。
【0023】
第3のステップは、参照温度が指定される毎に、指定された参照温度をキーとして操作出力値生成用の精細テーブルを検索することにより、その参照温度に対応する各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを抽出すると共に、このデータに基づいて生成される各操作出力値をそれぞれ該当する領域の駆動系に与える。
【0024】
ここで、「一定の温度分布傾向」には、全ての領域の温度が均一である均一温度分布パターンが含まれることは勿論のこと、それに外にも、一定の方向に沿って温度が徐々に上昇又は下降すると言った傾斜した温度分布パターン、あるいは、同心円上に半径方向へ向かって温度が徐々に上昇又は下降すると言った温度分布パターン等々、様々な温度分布パターンを含んでいる。
【0025】
また、「各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータ」には、代表領域として定められた1の領域のサーボ系の操作出力値と、その代表領域の操作出力値と他の領域のそれぞれの操作出力値との相関データとを含んでいる他、代表領域のみならず、その他の領域についても、相関データでなくて、個々の操作出力値を含むようにしてもよい。ここで、「相関データ」については比率(例えば、パーセント)、偏差、等々を広く採用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、比較的に少ない作業工数にて均一温度制御のための調整作業を完了することができると共に、ある温度にて均一温度制御を達成したのち、別の温度による均一温度制御に切り換えたとしても、最早、均一温度制御のための調整作業は不要となり、しかも、N:N制御にて均一温度制御の調整を行ったのち、M:N制御による均一温度制御に切り換えても、支障なく運転を継続することが可能なヒータ駆動制御方法を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明に係るヒータ駆動制御方法の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
先に説明したように、本発明のヒータ駆動制御方法は、被加熱物体上を適宜に区画してなる複数の領域のそれぞれを個別に加熱する各ヒータの駆動系に対して適宜な操作出力を与えることにより、一定の温度分布傾向を有しかつ所定の分解能で選択可能な任意の参照温度を含む温度分布パターンを被加熱物体上に出現させるために実施される。
【0029】
この方法は、操作出力生成用の粗テーブルを生成するための第1のステップと、操作出力生成用の精細テーブルを生成するための第2のステップと、各操作出力値をそれぞれ該当する領域の駆動系に与えるための第3のステップとを備えている。
【0030】
第1のステップでは、各領域のそれぞれ毎に設けられた温度センサからの検出値と各領域のそれぞれ毎の目標値との偏差を入力として所定の補正演算を行ない各領域のそれぞれ毎の操作出力を生成する各領域毎のサーボ系に対して、領域相互間における熱的干渉補償制御を適用しつつ、一群の領域全体としての実温度分布パターンを1の参照温度に予め関連づけられた目標温度分布パターンに整合させる処理を、参照温度分解能よりも十分に大きな間隔で参照温度を変更しては繰り返すと共に、実温度分布パターンが目標温度分布パターンに整合する毎に、その整合状態における各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを取得してはそのときの参照温度と関連づけて所定のメモリに記憶させることにより、操作出力値生成用の粗テーブルを生成する動作が実行される。
【0031】
続く第2のステップでは、所定のメモリに参照温度と関連づけて記憶された各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータ同士の間を、前記温度分布傾向に基づきかつ少なくとも参照温度分解能に対応する間隔で内挿補間して所定のメモリに記憶させるとにより、操作出力値生成用の精細テーブルを生成する動作が実行される。
【0032】
続く第3のステップでは、参照温度が指定される毎に、指定された参照温度をキーとして操作出力値生成用の精細テーブルを検索することにより、その参照温度に対応する各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを抽出すると共に、このデータに基づいて生成される各操作出力値をそれぞれ該当する領域の駆動系に与える動作が実行される。
【0033】
上述の各ステップのうちで、第1のステップにおける動作を実行するためには、先に図15や図16を参照して説明したサーボ制御機能(好ましくは、N:N制御)と、本出願人が先に特開2000−187514号公報にて提案した「傾斜温度制御」等の領域相互間における熱的干渉補償機能、が必要とされる。なお、傾斜温度制御については、同公報により詳細に説明されているが、要するに、制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段から得られる検出温度を、複数の検出温度に基づく傾斜温度に変換するとともに、代表的な代表温度に変換する手段と、変換手段からの傾斜温度または代表温度を制御量として操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段と、各温度制御手段からの操作信号を、制御対象を加熱する複数の加熱手段に、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段とを具備するものである。
【0034】
また、第2のステップにおける動作を実行するためには、数値データ列間の内挿補間を行うための内挿補間演算機能が必要とされる。
【0035】
さらに、第3のステップにおける動作を実行するためには、与えられた目標温度を引数として複数の領域のそれぞれに対する操作出力値を検索して出力するテーブル検索機能が必要とされる。
【0036】
これらの機能(サーボ制御機能、熱的干渉補償機能、内挿補間演算機能、テーブル検索機能等々)は、全て、汎用パソコン等で実施することができるから、本発明方法の各ステップの実行に必要な機能をパソコンに組み込むことにより、本発明方法は実現手段としてパソコンを使用したヒータ駆動制御装置として具現化することができる。
【0037】
一方、サーボ制御機能については、PID温度調節器等の商品名で販売されている温度調節器、PID演算用のファンクションブロックが用意されたプログラマブル・コントローラ(以下、「PLC」と称する)等々においても組み込まれているため、本発明方法の各ステップの実行に必要な各機能をそれらの機器に組み込むことにより、本発明方法はそのようなヒータ駆動制御機能を有する温度調節器やPLCとして具現化することもできる。
【0038】
本発明の各ステップを実行するための機能を含むパソコン、温度調節器、PLC等々を「制御装置」として一般化すると、本発明が適用される温度制御系のシステム構成は、制御装置と駆動系とヒータとセンサとに簡略化される。
【0039】
そこで、以下に、制御装置と、駆動系と、ヒータと、センサとを含むシステム構成を有する温度制御系(特に、この例では、均一温度制御系)を前提として、本発明のヒータ駆動制御方法について詳細に説明する。
【0040】
なお、このヒータ駆動制御方法に使用される制御装置は、キャリブレーションモードと通常モードとからなる2つの動作モードが用意されている(図3参照)。そして、本発明の第1及び第2のステップはキャリブレーションモードにおいて実施されるのに対して、本発明の第3のステップは通常モードにおいて実施される。なお、これらの動作モードに対応する処理の切換は、ユーザによる所定フラグのオンオフ操作に応じて(ステップ301)、自動的に実行される(ステップ302又は303)。
【0041】
キャリブレーションモードにおける制御系のシステム構成を示す説明図が図1に示されている。同図に示されるように、この均一温度制御系は、制御装置1と、駆動系2と、ヒータプレート3と、9個のセンサS1〜S9とを含んでいる。
【0042】
制御装置1には、先に図15を参照して説明した偏差増幅器5−1〜5−7やPID演算器6−1〜6−7に相当する9系統の偏差演算器並びにPID演算器の機能が組み込まれている。加えて、この制御装置には、本発明の第1〜第3のステップを実行するための機能も組み込まれている。これらの機能については、後に、図4及び図9のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0043】
駆動系2は、この例にあっては、9系統の独立した駆動系要素(2−1〜2−9)を含んでいる。駆動系要素(2−1〜2−9)の具体的なハードウェア構成は、制御装置1から出力される9系統の操作出力(MV1〜MV9)の信号形態により決定される。すなわち、操作出力(MV1〜MV9)の信号形態がアナログ量である場合、要素駆動系としては、連続的に電力調整が可能な電力調整器が採用される。これに対して、操作出力の信号形態がPWM信号等のパルス列の場合、要素駆動系としてはチョッパ制御が可能なソリッドステートリレー(SSR)等が採用される。なお、信号線4aには、9系統の操作出力(MV1〜MV9)が含まれている。
【0044】
ヒータプレート3は、この例にあっては、縦方向3行×横方向3列の9個の領域に区画されており、各領域のそれぞれそには、個々の領域を個別に加熱するヒータH1〜H9が設けられている。そして、これら9個のヒータH1〜H9のそれぞれが、駆動系2に含まれる9系統の駆動系要素(2−1〜2−9)の各出力にて駆動される。
【0045】
ヒータプレート3の各区画された9個の領域のそれぞれには、各領域の温度を検出するための温度センサS1〜S9が着脱自在に設けられている。これらの温度センサS1〜S9の出力は、検出値(PV1〜PV9)として、制御装置1内の9系統の偏差増幅器のそれぞれに送られ、各偏差増幅器において所定の目標値(SP1〜SP9)と比較される。9系統の偏差増幅器の各偏差出力は、それぞれその後段に配置される9系統のPID演算器へと与えられ、それらのPID演算器からは新たな操作出力が生成される。なお、信号線4bには、9系統の温度検出値に相当するセンサ出力信号が含まれている。
【0046】
次に、キャリブレーションモード処理の詳細を示すフローチャートが図4に示されている。なお、このフローチャートで示される処理は、図1のシステム構成に含まれる制御装置1により実行される。
【0047】
同図において処理が開始されると、操作出力生成用の粗テーブル生成のための前処理として、プロファイルを作成すべき複数の測定点温度をあらかじめコントローラ(制御装置1の意味)のメモリに、T1,T2・・・Tm,・・・Tnの如くに格納する処理が実行される(ステップ401)。ここで、「プロファイル」とは、ヒータH1〜H9に対応する9個の領域の温度をある測定点温度において均一化した状態における一群の操作出力(MV1〜MV9)を取得して、対応するデータをコントローラのメモリに記憶させることを言う。
【0048】
このとき、Tn−T1は均一制御したい温度範囲の上下限を考慮して決定される。また、プロファイルを作成すべき測定点温度間隔T2−T1,T3−T2,T4−T3・・・は、目的とする温度分解能よりも十分に大きな任意の値に決定することができる。
【0049】
キャリブレーションモード時の測定点(ポイント)例を示す説明図が図5に示されている。同図に示されるように、この例にあっては、制御範囲の下限は0℃、上限は1000℃とされ、測定点温度間隔は50℃とされている。
【0050】
図4に戻って、前処理が終了したならば、本発明の第1のステップに相当する一連の処理が実行される(ステップ402〜405)。すなわち、先ず、サーボ制御系を構成する9系統の偏差増幅器(図15の符号5−1〜5−7参照)のそれぞれに対して設定値(SP1〜SP9)として測定点温度Tm(=T1)を代入する一方、一連の9系統のサーボ制御系に対して、領域相互間における熱的干渉補償技術を適用することにより、各領域の温度をPID制御により測定点温度Tm(=T1)にまで上昇させて整定させる処理を実行する(ステップ402)。
【0051】
このとき、領域相互間における熱的干渉補償技術としては、本出願人が先に特開2000−187514号公報にて提案した「傾斜温度制御」を利用することができる。なお、傾斜温度制御については、同公報により詳細に説明されているが、要するに、制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段から得られる検出温度を、複数の検出温度に基づく傾斜温度に変換するとともに、代表的な代表温度に変換する手段と、変換手段からの傾斜温度または代表温度を制御量として操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段と、各温度制御手段からの操作信号を、制御対象を加熱する複数の加熱手段に、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段とを具備するものである。
【0052】
9個の領域の温度が測定点温度Tm(=T1)にまで上昇して整定されたならば、続いて、各領域に対応する9系統(9CH)のPID演算器(図15の符号15−1〜15−7参照)の操作出力(MV1〜MV9)を取得してメモリに記憶させることにより、その測定点温度におけるプロファイルが生成される(ステップ403)。
【0053】
このようにして、測定点温度Tm(=T1)についてのプロファイルが生成されたならば、続いて、そのときの測定点温度Tmが上限温度Tnに達しているか否かの判定が行われ(ステップ404)、未だ上限温度に達していなければ(ステップ404NO)、測定点温度Tmを1つ上の測定点温度に変更しては(ステップ405)、以上の処理(ステップ402,403)が繰り返し実行され、T1(MV1〜MV9),T2(MV1〜MV9),T3(MV1〜MV9)・・・の如く、各測定温度毎のプロファイルがメモリ内に格納されて行くこととなる(図5の昇温グラフ参照)。
【0054】
操作出力値(MV値)とメモリ格納アドレスとの関係を示す説明図が図6に示されている。同図に示されるように、測定点温度T1における各チャネル(CH1〜CH9)の操作出力値(MV1〜MV9)は、メモリアドレス0001〜0009に格納される。同様にして、測定点温度T2における各チャネル(CH1〜CH9)の操作出力値(MV1〜MV9)は、メモリアドレス0010〜0018に格納される。
【0055】
測定点温度Tmをステップ的に上昇させつつプロファイルを生成する間に、測定点温度Tmと上限温度Tnとが一致すると(ステップ404YES)、メモリ内の所定エリアには、各測定点温度(T1〜Tn)毎に9チャネルの操作出力値(MV1〜MV9)が記憶される。
【0056】
このようにして、各測定点温度(T1〜Tn)毎に9チャネルの操作出力値(MV1〜MV9)が記憶されたならば、続いて、それらの操作出力値を正規化することにより、本発明の操作出力生成用の粗テーブルが生成される(ステップ406)。この正規化処理は、後述する通常モード時に中心となるチャネル(この例では5CH)の操作出力値(MV5)を基準(100%)として、他のチャネル(1CH〜4CH,6CH〜9CH)の操作出力値の百分率を求めることにより実行される。このようにして求められた中心となるチャネルの操作出力値(MV5)と他のチャネル(1CH〜4CH,6CH〜9CH)の操作出力値の百分率とを関係づけてメモリに記憶させることにより、操作出力生成用の粗テーブルが生成されるのである。
【0057】
このようにして生成された操作出力生成用の粗テーブルが図7に示されている。同図に示されるように、この操作出力生成用の粗テーブルには、50℃間隔で設定された複数の測定点温度毎に、9個のチャネル(CH1〜CH9)のそれぞれにおける操作出力値(MV1〜MV9)が、中心となる5CHの操作出力値(MV5)に対する百分率値として記憶されている。すなわち、こうして得られる各チャネルの百分率値が、各チャネルの操作出力値(MV1〜MV9)に相当するデータとなる。
【0058】
このようにして操作出力生成用の粗テーブルが生成されたならば、続いて、本発明の第2のステップに相当する内挿補間処理が実行される(ステップ407)。この内挿補間処理(ステップ407)においては、図8のグラフに示されるように、隣接する測定点温度間の9系統の操作出力値(MV1〜MV9)間を公知の内挿補間技術を利用してなだらかな曲線で繋ぐことにより、隣接温度間隔50℃を所定の分解能で分割してなる各測定点温度毎の9系統の操作出力値(MV1〜MV9)を演算により求め、メモリの所定エリアに格納することにより、全温度範囲に対応するプロファイルである操作出力生成用の精細テーブルが完成する(ステップ408)。
【0059】
なお、図8のグラフにおいて、ドット(○、三角、四角、×等々)が表示されている点が操作出力の実測値であり、それらのドットを結ぶ線が内挿補間された演算値である。50℃間隔をさらに刻む分解能としては、1℃単位、5℃単位、10℃単位等々を挙げることができる。また、図において、aはCH1の操作出力、bはCH2の操作出力、cはCH3の操作出力、dはCH4の操作出力、eはCH5の操作出力、fはCH6の操作出力、gはCH7の操作出力、hはCH8の操作出力、iはCH9の操作出力である。
【0060】
次に、制御装置2における通常モード処理を詳細に説明する。通常モード時における制御系のシステム構成を示す説明図が図2に示されている。同図に示されるように、通常モード時にあっては、1個のセンサS9を除いて、他の8個のセンサS1〜S8はシステムからは除去されている。これは、キャリブレーションモード時はフィードバック制御の必要性から各領域に温度センサを設けるのであるが、通常モード時はフィードバック制御は行わないので、温度制御の観点からは基本的には温度センサは一切不要である。従って、本発明に係る制御系は、顧客に納入する段階では温度表示の目的以外では温度センサは不要であり、その分だけコストダウンを図ることができる。
【0061】
通常モード処理の詳細を示すフローチャートが図9に示されている。この通常モード処理においては、本発明の第3のステップの処理が実行される。同図において、処理が開始されると、先ず、ユーザの設定操作と連動して、設定値(SP)の設定が行われる(ステップ901)。ここで、設定値(SP)とは、被加熱物体上の9個の領域を均一な温度にするについて、何℃にて均一化するかの設定を意味している。この具体的な例にあっては、0℃〜1000℃の温度範囲において、何℃において被加熱物体上の9個の領域を均一化するかを設定する。
【0062】
このようにして、設定温度値(SP)の設定が完了したならば(ステップ901)、続いて、キャリブレーションモードで求めたプロファイルデータ(出力値生成用の精細テーブル)から、設定温度値(SP)の各チャネル(CH1〜CH9)の操作出力値(MV1〜MV9)の比率(%)を読み出す(ステップ902)。換言すれば、指定された参照温度(設定温度値(SP))をキーとして操作出力値生成用の精細テーブル(図8のグラフ参照)を検索することにより、その参照温度に対応する各領域(CH1〜CH9)毎のサーボ系の操作出力値(MV1〜MV9)に相当するデータ(比率(%))を抽出するのである。
【0063】
このようにして、設定温度(SP)に対応する各領域(CH1〜CH9)毎のサーボ系の操作出力値(MV1〜MV9)に相当するデータ(比率(%))が抽出されたならば、続いて、制御の中心となるリファレンスポイント(この例では5CH)の操作出力値(MV5)に対して、各チャネル(CH1〜CH9)の操作出力値(MV1〜MV9)を乗算することにより、各チャネルの操作出力値(MV1〜MV9)を再生すると共に、これらの操作出力値(MV1〜MV9)を、各系統の駆動系要素へと出力する処理を実行する(ステップ903)。
【0064】
すると、各系統の駆動系要素には、それぞれの領域が設定温度(SP)で均一化した状態における各操作出力値と同一の値が与えられるから、各ヒータH1〜Hのそれぞれに対応する領域の温度は、フィードバック系に頼らずとも、ひとりでに設定温度(SP)において均一化されるのである。その後、温度均一を維持しつつ、均一化すべき温度を変更したいときには、その変更後の温度を設定温度(SP)として、制御装置1に与えればよいのである。すると、先の場合と同様な処理(ステップ901〜903)が実行されることにより、各ヒータH1〜Hのそれぞれに対応する領域の温度は、ひとりでに新たな設定温度(SP)において均一化されるのである。
【0065】
次に、本発明に係るヒータ駆動制御方法の他の実施形態を図10〜図12を参照しつつ詳細に説明する。この実施形態にあっては、整定状態のみならず、整定時に至る期間についても、各チャネル間における温度均一化を保証するようにしている。
【0066】
この実施形態においても、ハードウェア的なシステム構成については、図1及び図2に示されるものと同様であり、また図3に示されるように、キャリブレーションモード処理と通常モード処理とを備えている。
【0067】
整定時に至る期間についても、各チャネル間における温度均一化を達成する場合におけるキャリブレーション処理のフローチャートが図10に示されている、同図において、処理が開始されると、先ず、立上から過渡、過渡から整定時に移行する温度値(PV値)を決定する処理がユーザ操作と連動して行われる(ステップ1001)。この例にあっては、立上から過渡に移行する温度値(PV値)はT1℃、過渡から整定時に移行する温度値(PV値)はT2℃と決定される。
【0068】
サーボ系の目標値(SP)として希望する昇温温度(この例では、160℃)を設定した後(ステップ1002)、N:N制御によるPID演算制御を実行させて昇温動作を行わせつつ、所定の分解能をもって各チャネル(この例ではCH1〜CH5)の操作出力(MV1〜MV5)を時系列的に取得する処理(ステップ1003)を、現在温度(PV)がサーボ系の目標値(SP)に達するまで(ステップ1004NO)、繰り返し実行することとなる。
【0069】
この間に、現在温度(PV)がサーボ系の目標値(SP)に達したならば(ステップ1004YES)、制御開始から温度T1を越えた時点まで(「立上期間」)に取得された各チャネル(CH1〜CH5)の操作出力(MV1〜MV5)の平均値を演算により求め、その結果を所定のメモリに格納する処理を実行する(ステップ1005)。これにより、立上時に各チャネルの温度値(PV1〜PV5)を均一化するに要する一群の操作出力値(MV1〜MV5)が求められて、立上時における操作出力生成のための粗テーブルが完成する。
【0070】
このようにして、立上時における温度均一化のためめの操作出力生成のための粗テーブルが完成したならば、続いて、この粗テーブルの中から操作量の一番大きいチャネル(CH)の平均操作量(MVmax)と、その操作量(MVmax)と各チャネルの操作量(MV1〜MV5)との比率(百分率)を求め、メモリの所定エリアに記憶することにより、立上時における温度均一化のためめの操作出力生成のための精細テーブルが完成する(ステップ1006)。
【0071】
しかるのち、N:N制御によるPID演算制御を実行させて昇温動作を行わせつつ、所定の分解能をもって各チャネル(この例ではCH1〜CH5)の操作出力(MV1〜MV5)を時系列的に取得する処理(ステップ1007)を、現在温度(PV)がサーボ系の目標値(SP)に達するまで(ステップ1008NO)、繰り返し実行することとなる。
【0072】
この間に、現在温度(PV)がサーボ系の目標値(SP)に達したならば(ステップ1008YES)、制御開始から温度T1を越えた時点まで(「過渡期間」)に取得された各チャネル(CH1〜CH5)の操作出力(MV1〜MV5)の平均値を演算により求め、その結果を所定のメモリに格納する処理を実行する(ステップ1009)。これにより、過渡時に各チャネルの温度値(PV1〜PV5)を均一化するに要する一群の操作出力値(MV1〜MV5)が求められて、過渡時における操作出力生成のための粗テーブルが完成する。
【0073】
このようにして、過渡時における温度均一化のためめの操作出力生成のための粗テーブルが完成したならば、続いて、この粗テーブルの中から操作量の一番大きいチャネル(CH)の平均操作量(MVmax)と、その操作量(MVmax)と各チャネルの操作量(MV1〜MV5)との比率(百分率)を求め、メモリの所定エリアに記憶することにより、過渡時における温度均一化のためめの操作出力生成のための精細テーブルが完成する(ステップ1010)。
【0074】
このようにして生成された「立上時」並びに「過渡時」の温度均一化のためめの操作出力生成のための粗テーブルの内容を図11のグラフに示す。同図に示されるように、整定状態に至る期間は、「立上時」と「過渡時」とからなる2つのフェーズに切り分けられている。
【0075】
「立上時」における各チャネル(CH1〜CH5)の平均操作量の値は、この例では、3,5CHの平均操作量>1CHの平均操作量>4CHの平均操作量>2CHの平均操作量の大小関係が成立している。この場合、粗テーブルの中から操作量の一番大きいチャネル(3CH又は5CH)の平均操作量(MVmax)と、その操作量(MVmax)と各チャネルの操作量(MV1〜MV5)との比率(百分率)を求め、メモリの所定エリアに記憶することにより、立上時における温度均一化のためめの操作出力生成のための精細テーブルが完成する。
【0076】
「過渡時」における各チャネル(CH1〜CH5)の平均操作量の値は、この例では、3CHの平均操作量>5CHの平均操作量>4CHの平均操作量>1CHの平均操作量>2CHの平均操作量の大小関係が成立している。この場合、粗テーブルの中から操作量の一番大きいチャネル(3CH)の平均操作量(MVmax)と、その操作量(MVmax)と各チャネルの操作量(MV1〜MV5)との比率(百分率)を求め、メモリの所定エリアに記憶することにより、過渡時における温度均一化のためめの操作出力生成のための精細テーブルが完成する。
【0077】
なお、整定状態に至る期間の切り分けは、現在値(PV値)を基に、経過時間を基に、或いは操作量(MV値)を基に、等々と言ったように、制御対象に応じて最適な切り分け方法を採用すればよい。この例にあっては、「整定時」に至る期間は、開始から温度T1に至る間に相当する「立上時」と温度T2に至る間に相当する「過渡時」との2つの期間に切り分けられている。
【0078】
次に、通常モード処理について説明する。整定時に至る期間についても温度均一化を達成する場合の通常モード処理が図12のフローチャートに示されている。同図において、処理が開始されると、先ず、ユーザ操作と連動して、ユーザにより指定された指示温度(SP)を5系統のサーボ系(偏差増幅器並びにPID演算器を含む)の設定温度としてセットする処理が実行される(ステップ1201)。ここで言う「指示温度(SP)」とは、この例にあっては、被加熱物体上に設定された5つの領域を均一温度化するについて、何℃で均一温度化するかを決めるものである。
【0079】
なお、制御装置1のメモリ内には、「立上時」、「過渡時」、「整定時」にそれぞれ各系統の駆動系に与えられるべき3種類の操作出力(MV1〜MV5)を含む精細テーブルが、指示温度(SP)と関連づけて記憶されている。
【0080】
指示温度(SP)のセットが完了したならば、続いて、キャリブレーションモードでメモリに格納した「立上時」の各チャネル(CH1〜CH5)の平均操作量(MV値)を「立上時」の精細テーブルから読み出すと共に、それらの平均操作量を各チャネルの駆動系に与える処理(ステップ1202)が、領域の検知温度(PV)が「立上時」と「過渡時」との境界を規定する温度T1に到達するまで(ステップ1203NO)、繰り返し実行される。
【0081】
この間に、領域の検知温度(PV)が「立上時」と「過渡時」との境界を規定する温度T1に到達すると(ステップ1203YES)、続いて、キャリブレーションモードでメモリに格納した「過渡時」の各チャネル(CH1〜CH5)の平均操作量(MV値)を「過渡時」の精細テーブルから読み出すと共に、それらの平均操作量を各チャネルの駆動系に与える処理(ステップ1204)が、領域の検知温度(PV)が「過渡時」と「整定時」との境界を規定する温度T2に到達するまで(ステップ1205NO)、繰り返し実行される。
【0082】
この間に、領域の検知温度(PV)が「過渡時」と「整定時」との境界を規定する温度T2に到達すると(ステップ1205YES)、続いて、キャリブレーションモードでメモリに格納した「整定時」の各チャネル(CH1〜CH5)の操作量(MV値)を「整定時」の精細テーブルから読み出すと共に、それらの操作量を各チャネルの駆動系に与える処理(ステップ1206)が、実行される。これにより、各チャネルに対応する複数の領域の温度は、図11に示されるように、「立上時」、「過渡時」、「整定時」のいずれにおいても、均一な温度に保たれる。
【0083】
最後に、本発明方法を実施するためのより具体的なシステム構成について説明する。先に説明したように、図1及び図2のシステム構成における制御装置1の機能は、PID演算機能が組み込まれた制御用パソコン、PID演算用のファンクションブロックが組み込まれたPLD、PID演算機能が組み込まれた温度調節器等々に対して、本発明方法の各ステップに相当する処理を組み込むことで実現することができる。
【0084】
そこで、一例として、本発明が適用された均一温度制御装置のPLCによる構成例を図が図13に示すこととする。制御装置として機能するPLC1aは、電源ユニット11と、CPUユニット12と、アナログ入力ユニット13と、出力ユニット14とを有する。
【0085】
PLC11aのCPUユニット12には、図14に示されるように、システムプログラム(ファームウェア)を格納するROM12aと、CPUユニット全体を統括制御するマイクロプロセッサ12bと、ユーザがラダー図言語やファンクションブロックを使用して任意に作成したユーザプログラムを格納するためのユーザプログラムメモリ12cと、マイクロプロセッサ12bが各種の演算を実行する際にワークエリアとして使用されるワークRAM12dと、演算に必要な各種のデータが格納されるデータ格納用不揮発性メモリ12eと、ユーザプログラムメモリ12cから各種のユーザ命令を読み出して実行する機能を有するASIC12fと、外部入出力ユニットに含まれる入力又は出力信号に対応するデータを格納する入出力メモリ12gとが含まれている。
【0086】
ユーザはラダー図言語やPID演算用のファンクションブロック等々を使用して、図15に示されるサーボ制御系に相当する機能を実現するユーザプロクラムを作成する。こうして作成されたユーザプログラムは、ユーザプロクラムメモリ12cに格納される。また、ユーザは、図3〜図5のフローチャートに示される機能に相当するユーザプログラムについても、ラダー図言語やPID演算用のファンクションブロック等々を使用して実現する。このとき、図6〜図8に示される操作出力生成用の粗テーブル並びにこれを内挿補間処理してなる精細テーブルについては、データ格納用不揮発性メモリ12eに格納される。これにより、PLC1aが起動されると、図3に示されるように、キャリブレーションモード処理(ステップ302)と通常モード処理(ステップ303)とが実行されて、本発明に係るヒータ駆動制御が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、比較的に少ない作業工数にて均一温度制御のための調整作業を完了することができると共に、ある温度にて均一温度制御を達成したのち、別の温度による均一温度制御に切り換えたとしても、最早、均一温度制御のための再調整作業は不要となり、しかも、N:N制御にて均一温度制御の調整を行ったのち、M:N制御による均一温度制御に切り換えても、支障なく運転を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】キャリブレーションモード時における制御系のシステム構成を示す説明図である。
【図2】通常モード時における制御系のシステム構成を示す説明図である。
【図3】本発明方法が適用された均一温度制御装置の動作を示すゼネラルフローチャートである。
【図4】キャリブレーションモード処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】キャリブレーションモード時の測定ポイント例を示す説明図である。
【図6】操作出力値(MV値)とメモリ格納アドレスとの関係を示す説明図である。
【図7】操作出力生成用粗テーブルの内容を表にして示す説明図である。
【図8】操作出力生成用精細テーブルの内容をグラフに示す説明図である。
【図9】通常モード処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】整定時に至る期間についても温度均一化を達成する場合のキャリブレーション処理を示すフローチャートである。
【図11】整定時に至る期間についても温度均一化を達成する場合の操作量を示す説明図である。
【図12】整定時に至る期間についても温度均一化を達成する場合の通常モード処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明が適用された均一温度制御装置のPLCによる構成例を示す説明図である。
【図14】PLCのCPUユニットのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図15】均一温度制御装置(N:N制御)のイメージ図である。
【図16】均一温度制御装置(M:N制御)のイメージ図である。
【符号の説明】
【0089】
1 制御装置
1a PLC
2 駆動系
3 ヒータプレート
4a 信号線(操作出力信号を含む)
4b 信号線(温度検出信号を含む)
5,5−1〜5−7 偏差増幅器
6,6−1〜6−7 PID演算器
7−1〜7−7 駆動系
8 制御対象
9,9−1,9−2 温度センサ
11 電源ユニット
12 CPUユニット
12a システムROM
12b マイクロプロセッサ(MPU)
12c ユーザプログラムメモリ(UM)
12d ワークRAM
12e データ可能用不揮発性メモリ
12f 命令実行機能を有するASDIC
12g 入出力メモリ(IOM)
13 アナログ入力ユニット
14 出力ユニット
a ch1の内挿補完曲線
b ch2の内挿補完曲線
c ch3の内挿補完曲線
d ch4の内挿補完曲線
e ch5の内挿補完曲線
f ch6の内挿補完曲線
g ch7の内挿補完曲線
h ch8の内挿補完曲線
i ch9の内挿補完曲線
H1〜H9 ヒータ
S1〜S9 温度センサ
【技術分野】
【0001】
この発明は、被加熱物体上を適宜に区画してなる複数の領域のそれぞれを個別に加熱する各ヒータの駆動系に対して適宜な操作出力を与えることにより、一定の温度分布傾向(例えば、全面均一温度、傾斜分布温度、同心円分布温度等々)を有する温度分布パターンを被加熱物体上に出現させるためのヒータ駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被加熱物体上を適宜に区画してなる複数の領域のそれぞれを個別に加熱する各ヒータの駆動系に対して適宜な操作出力を与えることにより、一定の温度分布傾向(例えば、全面均一温度等)を有する温度分布パターンを被加熱物体上に出現させると言った制御系は、液晶ガラスや半導体ウェーハの加熱工程等々にしばしば採用される。
【0003】
この種の均一温度制御系(N:N制御)のイメージ図の一例が図15に示されている。同図において、5−1〜5−7は偏差増幅器、6−1〜6−7はPID演算器、7−1〜7−7は駆動回路と可変調節器等とを含む駆動系、8は7系統のヒータを含む制御対象、9−1〜9−7は温度センサである。なお、ここで、「均一温度制御」とは、シート状や棒状等のワーク上に配置された複数の検出ポイントの温度バラツキをなくすための制御を意味している。
【0004】
N:N制御の場合には、制御対象8に含まれる7個のヒータのそれぞれ毎に、偏差増幅器5とPID演算器6と調整手段7と温度センサ9とからなるサーボ系が用意される。すなわち、偏差増幅器5−1〜5−7のそれぞれは、温度センサ9−1〜9−7のそれぞれから得られる第1検出値(PV1)〜第7検出値(PV7)と第1設定値(SP1)〜第7設定値(SP7)との偏差を増幅する。偏差増幅器5−1〜5−7の各出力は、第1PID演算器6−1〜第7演算器6−7のそれぞれにより、PID演算が施されて操作出力(MV1〜MV7)が生成される。駆動系7−1〜7−7は、第1PID演算器6−1〜第7演算器6−7の各操作出力(MV1〜MV7)に基づいて、制御対象8を構成する図示しない7個のヒータのそれぞれを駆動する。7個のヒータのそれぞれに対応する領域の温度は、それらの領域に設けられた温度センサ9−1〜9−7により検出され、それらの検出値(PV1〜PV7)が偏差増幅器5−1〜5−7に送られる。これにより、1つの入力に対して1つの出力制御がペアとなって作動するサーボ系が構成される。
【0005】
また、他の均一温度制御系(M:N制御)のイメージ図の一例が図16に示されている。同図において、5,5−1,5−2は偏差増幅器、6,6−1,6−2はPID演算器、7−1〜7−7は駆動回路と可変調整器等とを含む駆動系、8は7個のヒータを含む制御対象、9,9−1,9−2は温度センサである。
【0006】
M:N制御として、この例では、PID演算器が1つの場合(同図(a))と複数の場合(同図(b))とが示されている。すなわち、同図(a)に示される場合には、偏差増幅器5は、温度センサ9の検出値(PV)と設定値(SP)との偏差を増幅する。偏差増幅器5の出力は、PID演算器6により、PID演算が施されて操作出力(MV)が生成される。駆動系7−1〜7−7は、PID演算器6の操作出力(MV)に基づいて、制御対象8を構成する図示しない7個のヒータのそれぞれを駆動する。7個のヒータのそれぞれに対応する領域の温度は、それらの領域のうちの代表領域に設けられた1個の温度センサ9により検出され、その検出値(PV)が偏差増幅器5に送られる。これにより、1つの入力に対して7つの出力制御がペアとなって作動するサーボ系が構成される。
【0007】
一方、同図(b)に示される場合には、偏差増幅器5−1は、温度センサ9−1の検出値(PV1)と設定値(SP1)との偏差を増幅する。偏差増幅器5−1の出力は、PID演算器6−1により、PID演算が施されて操作出力(MV1)が生成される。駆動系7−1〜7−3は、PID演算器6−1の操作出力(MV1)に基づいて、制御対象8を構成する図示しない3個のヒータのそれぞれを駆動する。3個のヒータのそれぞれを駆動する。3個のヒータのそれぞれに対応する領域の温度は、それらの領域のうちの代表領域に設けられた1個の温度センサ9−1により検出され、その検出値(PV1)が偏差増幅器5に送られる。同様にして、偏差増幅器5−2は、温度センサ9−2の検出値(PV2)と設定値(SP2)との偏差を増幅する。偏差増幅器5−2の出力は、PID演算器6−2により、PID演算が施されて操作出力(MV2)が生成される。駆動系7−4〜7−7は、PID演算器6−2の出力(MV2)に基づいて、制御対象8を構成する図示しない4個のヒータのそれぞれを駆動する。4個のヒータのそれぞれに対応する領域の温度は、それらの領域のうちの代表領域に設けられた1個の温度センサ9−2により検出され、その検出値(PV2)が偏差増幅器5−2に送られる。これにより、2つの入力に対して7つの出力制御がペアとなって作動するサーボ系が構成される。
【0008】
ところで、図15及び図16に示される均一温度制御系は、温度制御のために1もしくは2以上のサーボ系を有するとはいえ、被加熱物上の各区画された領域のうち、特に隣接する領域間には熱的な干渉作用が存在するため、単に、個々のサーボ系に対して同一の目標値を設定しただけでは、被加熱物上に均一な温度分布を即座に出現させることは難しく、どうしても人手による調整作業が必要とされる。
【0009】
この調整作業は、図15及び図16の場合には、駆動系7−1〜7−7に含まれる駆動回路(ソリッドステートリレーや電力調整器)に組み込まれた可変調整器(可変抵抗器等のハードウェアで構成される)を操作したり、その前段に位置するPID演算器7−1〜7−7の操作出力に対してソフトウェア的に適当な数値を加減算する、と言った手法が採用される。
【0010】
なお、この調整作業を自動化する試みもなされている。すなわち、本出願人は、先に、隣接領域間での干渉があるために、特に、過渡時や外乱時に温度のバラツキが顕著となって均一な温度制御が困難であり、或いは、各領域を異なる目標温度に制御することが困難であると言った問題点を解決するために、領域相互間における熱的干渉補償制御技術の1つ(以下、「傾斜温度制御」と称する)を提案している。
【0011】
この傾斜温度制御は、制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段から得られる検出温度を、複数の検出温度に基づく傾斜温度に変換するとともに、代表的な代表温度に変換する手段と、変換手段からの傾斜温度または代表温度を制御量として操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段と、各温度制御手段からの操作信号を、制御対象を加熱する複数の加熱手段に、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段とを具備するものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−187514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来の均一温度制御のためのヒータ駆動制御方法にあっては、複数の出力制御を行う場合には、次のような問題点が指摘されている。
【0013】
第1には、装置の出荷時において、均一温度となる条件出し作業のために、膨大な時間を要する、と言った問題点がある。すなわち、ヒータ間の熱的な干渉により、1つのヒータ温度の調整が隣接するヒータ温度に影響を及ぼすために、調整済みのヒータに立ち戻って再度温度調節しなければならないことがあり、ヒータ数が多いと調整の作業工数は膨大なものとなる。しかも、ある温度にて均一温度制御が達成されたとしても、均一温度制御すべき温度が変更されると、その都度、当初の調整時と同様に膨大な作業工数が必要となる。
【0014】
第2には、調整は勘と経験によるところが多く、技術の伝承も難しいと言った問題点がある。すなわち、熟練した作業者は、経験と勘により隣接するヒータへの熱的干渉の影響を予め予測し温度調整することにより、ある程度、再調整の回数を減らすことができるが、制御対象により影響の度合いが異なるため、技術トレーニング等により他の人間に伝承するのが困難である。
【0015】
第3には、M:N制御を行う場合には特に手間がかかると言った問題点がある。すなわち、ユーザによっては、M:N制御を行う場合が多いのであるが、一般的に、装置の通常稼働時には装置出荷時と比較して超すとダウンやスペース削減の目的でセンサの数を場合が多い。このとき、調整時と稼働時ではセンサの数が異なるため、再度調整の手間がかかる場合がある。
【0016】
第4には、M:N制御を行う場合には、N:N制御と比較して、均一温度の条件を出すためのパラメータが増加し、調整の難易度はさらに増えるが、この場合にも技術者の経験と勘による調整となり、膨大な作業時間を要することとなると言った問題点がある。すなわち、ヒータ間の熱的な干渉の影響が顕著であり、加工物の温度を均一にするためには、複数のヒータの出力のバランスを取る必要があり、この調整には膨大な調整工数を必要とする。
【0017】
この発明は上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、比較的に少ない作業工数にて均一温度制御のための調整作業を完了することができると共に、ある温度にて均一温度制御を達成したのち、別の温度による均一温度制御に切り換えたとしても、その都度、均一温度制御のための調整作業は不要となり、しかも、N:N制御にて均一温度制御の調整を行ったのち、M:N制御による均一温度制御に切り換えても、支障なく運転を継続することが可能なヒータ駆動制御方法を提供することにある。
【0018】
この発明のさらに他の目的ならびに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解される筈である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のヒータ駆動制御方法は、被加熱物体上を適宜に区画してなる複数の領域のそれぞれを個別に加熱する各ヒータの駆動系に対して適宜な操作出力を与えることにより、一定の温度分布傾向を有しかつ所定の分解能で選択可能な任意の参照温度を含む温度分布パターンを被加熱物体上に出現させるためのものである。
【0020】
このヒータ駆動制御方法は、第1のステップと、第2のステップと、第3のステップとからなる3つのステップを含んでいる。
【0021】
第1のステップは、各領域のそれぞれ毎に設けられた温度センサからの検出値と各領域のそれぞれ毎の目標値との偏差を入力として所定の補正演算を行ない各領域のそれぞれ毎の操作出力を生成する各領域毎のサーボ系に対して、領域相互間における熱的干渉補償制御を適用しつつ、一群の領域全体としての実温度分布パターンを1の参照温度に予め関連づけられた目標温度分布パターンに整合させる処理を、参照温度分解能よりも十分に大きな間隔で参照温度を変更しては繰り返すと共に、実温度分布パターンが目標温度分布パターンに整合する毎に、その整合状態における各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを取得してはそのときの参照温度と関連づけて所定のメモリに記憶させることにより、操作出力値生成用の粗テーブルを生成する。
【0022】
第2のステップは、所定のメモリに参照温度と関連づけて記憶された各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータ同士の間を、前記温度分布傾向に基づきかつ少なくとも参照温度分解能に対応する間隔で内挿補間して所定のメモリに記憶させるとにより、操作出力値生成用の精細テーブルを生成する。
【0023】
第3のステップは、参照温度が指定される毎に、指定された参照温度をキーとして操作出力値生成用の精細テーブルを検索することにより、その参照温度に対応する各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを抽出すると共に、このデータに基づいて生成される各操作出力値をそれぞれ該当する領域の駆動系に与える。
【0024】
ここで、「一定の温度分布傾向」には、全ての領域の温度が均一である均一温度分布パターンが含まれることは勿論のこと、それに外にも、一定の方向に沿って温度が徐々に上昇又は下降すると言った傾斜した温度分布パターン、あるいは、同心円上に半径方向へ向かって温度が徐々に上昇又は下降すると言った温度分布パターン等々、様々な温度分布パターンを含んでいる。
【0025】
また、「各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータ」には、代表領域として定められた1の領域のサーボ系の操作出力値と、その代表領域の操作出力値と他の領域のそれぞれの操作出力値との相関データとを含んでいる他、代表領域のみならず、その他の領域についても、相関データでなくて、個々の操作出力値を含むようにしてもよい。ここで、「相関データ」については比率(例えば、パーセント)、偏差、等々を広く採用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、比較的に少ない作業工数にて均一温度制御のための調整作業を完了することができると共に、ある温度にて均一温度制御を達成したのち、別の温度による均一温度制御に切り換えたとしても、最早、均一温度制御のための調整作業は不要となり、しかも、N:N制御にて均一温度制御の調整を行ったのち、M:N制御による均一温度制御に切り換えても、支障なく運転を継続することが可能なヒータ駆動制御方法を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明に係るヒータ駆動制御方法の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
先に説明したように、本発明のヒータ駆動制御方法は、被加熱物体上を適宜に区画してなる複数の領域のそれぞれを個別に加熱する各ヒータの駆動系に対して適宜な操作出力を与えることにより、一定の温度分布傾向を有しかつ所定の分解能で選択可能な任意の参照温度を含む温度分布パターンを被加熱物体上に出現させるために実施される。
【0029】
この方法は、操作出力生成用の粗テーブルを生成するための第1のステップと、操作出力生成用の精細テーブルを生成するための第2のステップと、各操作出力値をそれぞれ該当する領域の駆動系に与えるための第3のステップとを備えている。
【0030】
第1のステップでは、各領域のそれぞれ毎に設けられた温度センサからの検出値と各領域のそれぞれ毎の目標値との偏差を入力として所定の補正演算を行ない各領域のそれぞれ毎の操作出力を生成する各領域毎のサーボ系に対して、領域相互間における熱的干渉補償制御を適用しつつ、一群の領域全体としての実温度分布パターンを1の参照温度に予め関連づけられた目標温度分布パターンに整合させる処理を、参照温度分解能よりも十分に大きな間隔で参照温度を変更しては繰り返すと共に、実温度分布パターンが目標温度分布パターンに整合する毎に、その整合状態における各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを取得してはそのときの参照温度と関連づけて所定のメモリに記憶させることにより、操作出力値生成用の粗テーブルを生成する動作が実行される。
【0031】
続く第2のステップでは、所定のメモリに参照温度と関連づけて記憶された各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータ同士の間を、前記温度分布傾向に基づきかつ少なくとも参照温度分解能に対応する間隔で内挿補間して所定のメモリに記憶させるとにより、操作出力値生成用の精細テーブルを生成する動作が実行される。
【0032】
続く第3のステップでは、参照温度が指定される毎に、指定された参照温度をキーとして操作出力値生成用の精細テーブルを検索することにより、その参照温度に対応する各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを抽出すると共に、このデータに基づいて生成される各操作出力値をそれぞれ該当する領域の駆動系に与える動作が実行される。
【0033】
上述の各ステップのうちで、第1のステップにおける動作を実行するためには、先に図15や図16を参照して説明したサーボ制御機能(好ましくは、N:N制御)と、本出願人が先に特開2000−187514号公報にて提案した「傾斜温度制御」等の領域相互間における熱的干渉補償機能、が必要とされる。なお、傾斜温度制御については、同公報により詳細に説明されているが、要するに、制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段から得られる検出温度を、複数の検出温度に基づく傾斜温度に変換するとともに、代表的な代表温度に変換する手段と、変換手段からの傾斜温度または代表温度を制御量として操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段と、各温度制御手段からの操作信号を、制御対象を加熱する複数の加熱手段に、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段とを具備するものである。
【0034】
また、第2のステップにおける動作を実行するためには、数値データ列間の内挿補間を行うための内挿補間演算機能が必要とされる。
【0035】
さらに、第3のステップにおける動作を実行するためには、与えられた目標温度を引数として複数の領域のそれぞれに対する操作出力値を検索して出力するテーブル検索機能が必要とされる。
【0036】
これらの機能(サーボ制御機能、熱的干渉補償機能、内挿補間演算機能、テーブル検索機能等々)は、全て、汎用パソコン等で実施することができるから、本発明方法の各ステップの実行に必要な機能をパソコンに組み込むことにより、本発明方法は実現手段としてパソコンを使用したヒータ駆動制御装置として具現化することができる。
【0037】
一方、サーボ制御機能については、PID温度調節器等の商品名で販売されている温度調節器、PID演算用のファンクションブロックが用意されたプログラマブル・コントローラ(以下、「PLC」と称する)等々においても組み込まれているため、本発明方法の各ステップの実行に必要な各機能をそれらの機器に組み込むことにより、本発明方法はそのようなヒータ駆動制御機能を有する温度調節器やPLCとして具現化することもできる。
【0038】
本発明の各ステップを実行するための機能を含むパソコン、温度調節器、PLC等々を「制御装置」として一般化すると、本発明が適用される温度制御系のシステム構成は、制御装置と駆動系とヒータとセンサとに簡略化される。
【0039】
そこで、以下に、制御装置と、駆動系と、ヒータと、センサとを含むシステム構成を有する温度制御系(特に、この例では、均一温度制御系)を前提として、本発明のヒータ駆動制御方法について詳細に説明する。
【0040】
なお、このヒータ駆動制御方法に使用される制御装置は、キャリブレーションモードと通常モードとからなる2つの動作モードが用意されている(図3参照)。そして、本発明の第1及び第2のステップはキャリブレーションモードにおいて実施されるのに対して、本発明の第3のステップは通常モードにおいて実施される。なお、これらの動作モードに対応する処理の切換は、ユーザによる所定フラグのオンオフ操作に応じて(ステップ301)、自動的に実行される(ステップ302又は303)。
【0041】
キャリブレーションモードにおける制御系のシステム構成を示す説明図が図1に示されている。同図に示されるように、この均一温度制御系は、制御装置1と、駆動系2と、ヒータプレート3と、9個のセンサS1〜S9とを含んでいる。
【0042】
制御装置1には、先に図15を参照して説明した偏差増幅器5−1〜5−7やPID演算器6−1〜6−7に相当する9系統の偏差演算器並びにPID演算器の機能が組み込まれている。加えて、この制御装置には、本発明の第1〜第3のステップを実行するための機能も組み込まれている。これらの機能については、後に、図4及び図9のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0043】
駆動系2は、この例にあっては、9系統の独立した駆動系要素(2−1〜2−9)を含んでいる。駆動系要素(2−1〜2−9)の具体的なハードウェア構成は、制御装置1から出力される9系統の操作出力(MV1〜MV9)の信号形態により決定される。すなわち、操作出力(MV1〜MV9)の信号形態がアナログ量である場合、要素駆動系としては、連続的に電力調整が可能な電力調整器が採用される。これに対して、操作出力の信号形態がPWM信号等のパルス列の場合、要素駆動系としてはチョッパ制御が可能なソリッドステートリレー(SSR)等が採用される。なお、信号線4aには、9系統の操作出力(MV1〜MV9)が含まれている。
【0044】
ヒータプレート3は、この例にあっては、縦方向3行×横方向3列の9個の領域に区画されており、各領域のそれぞれそには、個々の領域を個別に加熱するヒータH1〜H9が設けられている。そして、これら9個のヒータH1〜H9のそれぞれが、駆動系2に含まれる9系統の駆動系要素(2−1〜2−9)の各出力にて駆動される。
【0045】
ヒータプレート3の各区画された9個の領域のそれぞれには、各領域の温度を検出するための温度センサS1〜S9が着脱自在に設けられている。これらの温度センサS1〜S9の出力は、検出値(PV1〜PV9)として、制御装置1内の9系統の偏差増幅器のそれぞれに送られ、各偏差増幅器において所定の目標値(SP1〜SP9)と比較される。9系統の偏差増幅器の各偏差出力は、それぞれその後段に配置される9系統のPID演算器へと与えられ、それらのPID演算器からは新たな操作出力が生成される。なお、信号線4bには、9系統の温度検出値に相当するセンサ出力信号が含まれている。
【0046】
次に、キャリブレーションモード処理の詳細を示すフローチャートが図4に示されている。なお、このフローチャートで示される処理は、図1のシステム構成に含まれる制御装置1により実行される。
【0047】
同図において処理が開始されると、操作出力生成用の粗テーブル生成のための前処理として、プロファイルを作成すべき複数の測定点温度をあらかじめコントローラ(制御装置1の意味)のメモリに、T1,T2・・・Tm,・・・Tnの如くに格納する処理が実行される(ステップ401)。ここで、「プロファイル」とは、ヒータH1〜H9に対応する9個の領域の温度をある測定点温度において均一化した状態における一群の操作出力(MV1〜MV9)を取得して、対応するデータをコントローラのメモリに記憶させることを言う。
【0048】
このとき、Tn−T1は均一制御したい温度範囲の上下限を考慮して決定される。また、プロファイルを作成すべき測定点温度間隔T2−T1,T3−T2,T4−T3・・・は、目的とする温度分解能よりも十分に大きな任意の値に決定することができる。
【0049】
キャリブレーションモード時の測定点(ポイント)例を示す説明図が図5に示されている。同図に示されるように、この例にあっては、制御範囲の下限は0℃、上限は1000℃とされ、測定点温度間隔は50℃とされている。
【0050】
図4に戻って、前処理が終了したならば、本発明の第1のステップに相当する一連の処理が実行される(ステップ402〜405)。すなわち、先ず、サーボ制御系を構成する9系統の偏差増幅器(図15の符号5−1〜5−7参照)のそれぞれに対して設定値(SP1〜SP9)として測定点温度Tm(=T1)を代入する一方、一連の9系統のサーボ制御系に対して、領域相互間における熱的干渉補償技術を適用することにより、各領域の温度をPID制御により測定点温度Tm(=T1)にまで上昇させて整定させる処理を実行する(ステップ402)。
【0051】
このとき、領域相互間における熱的干渉補償技術としては、本出願人が先に特開2000−187514号公報にて提案した「傾斜温度制御」を利用することができる。なお、傾斜温度制御については、同公報により詳細に説明されているが、要するに、制御対象の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段から得られる検出温度を、複数の検出温度に基づく傾斜温度に変換するとともに、代表的な代表温度に変換する手段と、変換手段からの傾斜温度または代表温度を制御量として操作信号をそれぞれ出力する複数の温度制御手段と、各温度制御手段からの操作信号を、制御対象を加熱する複数の加熱手段に、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は小さくするように配分する配分手段とを具備するものである。
【0052】
9個の領域の温度が測定点温度Tm(=T1)にまで上昇して整定されたならば、続いて、各領域に対応する9系統(9CH)のPID演算器(図15の符号15−1〜15−7参照)の操作出力(MV1〜MV9)を取得してメモリに記憶させることにより、その測定点温度におけるプロファイルが生成される(ステップ403)。
【0053】
このようにして、測定点温度Tm(=T1)についてのプロファイルが生成されたならば、続いて、そのときの測定点温度Tmが上限温度Tnに達しているか否かの判定が行われ(ステップ404)、未だ上限温度に達していなければ(ステップ404NO)、測定点温度Tmを1つ上の測定点温度に変更しては(ステップ405)、以上の処理(ステップ402,403)が繰り返し実行され、T1(MV1〜MV9),T2(MV1〜MV9),T3(MV1〜MV9)・・・の如く、各測定温度毎のプロファイルがメモリ内に格納されて行くこととなる(図5の昇温グラフ参照)。
【0054】
操作出力値(MV値)とメモリ格納アドレスとの関係を示す説明図が図6に示されている。同図に示されるように、測定点温度T1における各チャネル(CH1〜CH9)の操作出力値(MV1〜MV9)は、メモリアドレス0001〜0009に格納される。同様にして、測定点温度T2における各チャネル(CH1〜CH9)の操作出力値(MV1〜MV9)は、メモリアドレス0010〜0018に格納される。
【0055】
測定点温度Tmをステップ的に上昇させつつプロファイルを生成する間に、測定点温度Tmと上限温度Tnとが一致すると(ステップ404YES)、メモリ内の所定エリアには、各測定点温度(T1〜Tn)毎に9チャネルの操作出力値(MV1〜MV9)が記憶される。
【0056】
このようにして、各測定点温度(T1〜Tn)毎に9チャネルの操作出力値(MV1〜MV9)が記憶されたならば、続いて、それらの操作出力値を正規化することにより、本発明の操作出力生成用の粗テーブルが生成される(ステップ406)。この正規化処理は、後述する通常モード時に中心となるチャネル(この例では5CH)の操作出力値(MV5)を基準(100%)として、他のチャネル(1CH〜4CH,6CH〜9CH)の操作出力値の百分率を求めることにより実行される。このようにして求められた中心となるチャネルの操作出力値(MV5)と他のチャネル(1CH〜4CH,6CH〜9CH)の操作出力値の百分率とを関係づけてメモリに記憶させることにより、操作出力生成用の粗テーブルが生成されるのである。
【0057】
このようにして生成された操作出力生成用の粗テーブルが図7に示されている。同図に示されるように、この操作出力生成用の粗テーブルには、50℃間隔で設定された複数の測定点温度毎に、9個のチャネル(CH1〜CH9)のそれぞれにおける操作出力値(MV1〜MV9)が、中心となる5CHの操作出力値(MV5)に対する百分率値として記憶されている。すなわち、こうして得られる各チャネルの百分率値が、各チャネルの操作出力値(MV1〜MV9)に相当するデータとなる。
【0058】
このようにして操作出力生成用の粗テーブルが生成されたならば、続いて、本発明の第2のステップに相当する内挿補間処理が実行される(ステップ407)。この内挿補間処理(ステップ407)においては、図8のグラフに示されるように、隣接する測定点温度間の9系統の操作出力値(MV1〜MV9)間を公知の内挿補間技術を利用してなだらかな曲線で繋ぐことにより、隣接温度間隔50℃を所定の分解能で分割してなる各測定点温度毎の9系統の操作出力値(MV1〜MV9)を演算により求め、メモリの所定エリアに格納することにより、全温度範囲に対応するプロファイルである操作出力生成用の精細テーブルが完成する(ステップ408)。
【0059】
なお、図8のグラフにおいて、ドット(○、三角、四角、×等々)が表示されている点が操作出力の実測値であり、それらのドットを結ぶ線が内挿補間された演算値である。50℃間隔をさらに刻む分解能としては、1℃単位、5℃単位、10℃単位等々を挙げることができる。また、図において、aはCH1の操作出力、bはCH2の操作出力、cはCH3の操作出力、dはCH4の操作出力、eはCH5の操作出力、fはCH6の操作出力、gはCH7の操作出力、hはCH8の操作出力、iはCH9の操作出力である。
【0060】
次に、制御装置2における通常モード処理を詳細に説明する。通常モード時における制御系のシステム構成を示す説明図が図2に示されている。同図に示されるように、通常モード時にあっては、1個のセンサS9を除いて、他の8個のセンサS1〜S8はシステムからは除去されている。これは、キャリブレーションモード時はフィードバック制御の必要性から各領域に温度センサを設けるのであるが、通常モード時はフィードバック制御は行わないので、温度制御の観点からは基本的には温度センサは一切不要である。従って、本発明に係る制御系は、顧客に納入する段階では温度表示の目的以外では温度センサは不要であり、その分だけコストダウンを図ることができる。
【0061】
通常モード処理の詳細を示すフローチャートが図9に示されている。この通常モード処理においては、本発明の第3のステップの処理が実行される。同図において、処理が開始されると、先ず、ユーザの設定操作と連動して、設定値(SP)の設定が行われる(ステップ901)。ここで、設定値(SP)とは、被加熱物体上の9個の領域を均一な温度にするについて、何℃にて均一化するかの設定を意味している。この具体的な例にあっては、0℃〜1000℃の温度範囲において、何℃において被加熱物体上の9個の領域を均一化するかを設定する。
【0062】
このようにして、設定温度値(SP)の設定が完了したならば(ステップ901)、続いて、キャリブレーションモードで求めたプロファイルデータ(出力値生成用の精細テーブル)から、設定温度値(SP)の各チャネル(CH1〜CH9)の操作出力値(MV1〜MV9)の比率(%)を読み出す(ステップ902)。換言すれば、指定された参照温度(設定温度値(SP))をキーとして操作出力値生成用の精細テーブル(図8のグラフ参照)を検索することにより、その参照温度に対応する各領域(CH1〜CH9)毎のサーボ系の操作出力値(MV1〜MV9)に相当するデータ(比率(%))を抽出するのである。
【0063】
このようにして、設定温度(SP)に対応する各領域(CH1〜CH9)毎のサーボ系の操作出力値(MV1〜MV9)に相当するデータ(比率(%))が抽出されたならば、続いて、制御の中心となるリファレンスポイント(この例では5CH)の操作出力値(MV5)に対して、各チャネル(CH1〜CH9)の操作出力値(MV1〜MV9)を乗算することにより、各チャネルの操作出力値(MV1〜MV9)を再生すると共に、これらの操作出力値(MV1〜MV9)を、各系統の駆動系要素へと出力する処理を実行する(ステップ903)。
【0064】
すると、各系統の駆動系要素には、それぞれの領域が設定温度(SP)で均一化した状態における各操作出力値と同一の値が与えられるから、各ヒータH1〜Hのそれぞれに対応する領域の温度は、フィードバック系に頼らずとも、ひとりでに設定温度(SP)において均一化されるのである。その後、温度均一を維持しつつ、均一化すべき温度を変更したいときには、その変更後の温度を設定温度(SP)として、制御装置1に与えればよいのである。すると、先の場合と同様な処理(ステップ901〜903)が実行されることにより、各ヒータH1〜Hのそれぞれに対応する領域の温度は、ひとりでに新たな設定温度(SP)において均一化されるのである。
【0065】
次に、本発明に係るヒータ駆動制御方法の他の実施形態を図10〜図12を参照しつつ詳細に説明する。この実施形態にあっては、整定状態のみならず、整定時に至る期間についても、各チャネル間における温度均一化を保証するようにしている。
【0066】
この実施形態においても、ハードウェア的なシステム構成については、図1及び図2に示されるものと同様であり、また図3に示されるように、キャリブレーションモード処理と通常モード処理とを備えている。
【0067】
整定時に至る期間についても、各チャネル間における温度均一化を達成する場合におけるキャリブレーション処理のフローチャートが図10に示されている、同図において、処理が開始されると、先ず、立上から過渡、過渡から整定時に移行する温度値(PV値)を決定する処理がユーザ操作と連動して行われる(ステップ1001)。この例にあっては、立上から過渡に移行する温度値(PV値)はT1℃、過渡から整定時に移行する温度値(PV値)はT2℃と決定される。
【0068】
サーボ系の目標値(SP)として希望する昇温温度(この例では、160℃)を設定した後(ステップ1002)、N:N制御によるPID演算制御を実行させて昇温動作を行わせつつ、所定の分解能をもって各チャネル(この例ではCH1〜CH5)の操作出力(MV1〜MV5)を時系列的に取得する処理(ステップ1003)を、現在温度(PV)がサーボ系の目標値(SP)に達するまで(ステップ1004NO)、繰り返し実行することとなる。
【0069】
この間に、現在温度(PV)がサーボ系の目標値(SP)に達したならば(ステップ1004YES)、制御開始から温度T1を越えた時点まで(「立上期間」)に取得された各チャネル(CH1〜CH5)の操作出力(MV1〜MV5)の平均値を演算により求め、その結果を所定のメモリに格納する処理を実行する(ステップ1005)。これにより、立上時に各チャネルの温度値(PV1〜PV5)を均一化するに要する一群の操作出力値(MV1〜MV5)が求められて、立上時における操作出力生成のための粗テーブルが完成する。
【0070】
このようにして、立上時における温度均一化のためめの操作出力生成のための粗テーブルが完成したならば、続いて、この粗テーブルの中から操作量の一番大きいチャネル(CH)の平均操作量(MVmax)と、その操作量(MVmax)と各チャネルの操作量(MV1〜MV5)との比率(百分率)を求め、メモリの所定エリアに記憶することにより、立上時における温度均一化のためめの操作出力生成のための精細テーブルが完成する(ステップ1006)。
【0071】
しかるのち、N:N制御によるPID演算制御を実行させて昇温動作を行わせつつ、所定の分解能をもって各チャネル(この例ではCH1〜CH5)の操作出力(MV1〜MV5)を時系列的に取得する処理(ステップ1007)を、現在温度(PV)がサーボ系の目標値(SP)に達するまで(ステップ1008NO)、繰り返し実行することとなる。
【0072】
この間に、現在温度(PV)がサーボ系の目標値(SP)に達したならば(ステップ1008YES)、制御開始から温度T1を越えた時点まで(「過渡期間」)に取得された各チャネル(CH1〜CH5)の操作出力(MV1〜MV5)の平均値を演算により求め、その結果を所定のメモリに格納する処理を実行する(ステップ1009)。これにより、過渡時に各チャネルの温度値(PV1〜PV5)を均一化するに要する一群の操作出力値(MV1〜MV5)が求められて、過渡時における操作出力生成のための粗テーブルが完成する。
【0073】
このようにして、過渡時における温度均一化のためめの操作出力生成のための粗テーブルが完成したならば、続いて、この粗テーブルの中から操作量の一番大きいチャネル(CH)の平均操作量(MVmax)と、その操作量(MVmax)と各チャネルの操作量(MV1〜MV5)との比率(百分率)を求め、メモリの所定エリアに記憶することにより、過渡時における温度均一化のためめの操作出力生成のための精細テーブルが完成する(ステップ1010)。
【0074】
このようにして生成された「立上時」並びに「過渡時」の温度均一化のためめの操作出力生成のための粗テーブルの内容を図11のグラフに示す。同図に示されるように、整定状態に至る期間は、「立上時」と「過渡時」とからなる2つのフェーズに切り分けられている。
【0075】
「立上時」における各チャネル(CH1〜CH5)の平均操作量の値は、この例では、3,5CHの平均操作量>1CHの平均操作量>4CHの平均操作量>2CHの平均操作量の大小関係が成立している。この場合、粗テーブルの中から操作量の一番大きいチャネル(3CH又は5CH)の平均操作量(MVmax)と、その操作量(MVmax)と各チャネルの操作量(MV1〜MV5)との比率(百分率)を求め、メモリの所定エリアに記憶することにより、立上時における温度均一化のためめの操作出力生成のための精細テーブルが完成する。
【0076】
「過渡時」における各チャネル(CH1〜CH5)の平均操作量の値は、この例では、3CHの平均操作量>5CHの平均操作量>4CHの平均操作量>1CHの平均操作量>2CHの平均操作量の大小関係が成立している。この場合、粗テーブルの中から操作量の一番大きいチャネル(3CH)の平均操作量(MVmax)と、その操作量(MVmax)と各チャネルの操作量(MV1〜MV5)との比率(百分率)を求め、メモリの所定エリアに記憶することにより、過渡時における温度均一化のためめの操作出力生成のための精細テーブルが完成する。
【0077】
なお、整定状態に至る期間の切り分けは、現在値(PV値)を基に、経過時間を基に、或いは操作量(MV値)を基に、等々と言ったように、制御対象に応じて最適な切り分け方法を採用すればよい。この例にあっては、「整定時」に至る期間は、開始から温度T1に至る間に相当する「立上時」と温度T2に至る間に相当する「過渡時」との2つの期間に切り分けられている。
【0078】
次に、通常モード処理について説明する。整定時に至る期間についても温度均一化を達成する場合の通常モード処理が図12のフローチャートに示されている。同図において、処理が開始されると、先ず、ユーザ操作と連動して、ユーザにより指定された指示温度(SP)を5系統のサーボ系(偏差増幅器並びにPID演算器を含む)の設定温度としてセットする処理が実行される(ステップ1201)。ここで言う「指示温度(SP)」とは、この例にあっては、被加熱物体上に設定された5つの領域を均一温度化するについて、何℃で均一温度化するかを決めるものである。
【0079】
なお、制御装置1のメモリ内には、「立上時」、「過渡時」、「整定時」にそれぞれ各系統の駆動系に与えられるべき3種類の操作出力(MV1〜MV5)を含む精細テーブルが、指示温度(SP)と関連づけて記憶されている。
【0080】
指示温度(SP)のセットが完了したならば、続いて、キャリブレーションモードでメモリに格納した「立上時」の各チャネル(CH1〜CH5)の平均操作量(MV値)を「立上時」の精細テーブルから読み出すと共に、それらの平均操作量を各チャネルの駆動系に与える処理(ステップ1202)が、領域の検知温度(PV)が「立上時」と「過渡時」との境界を規定する温度T1に到達するまで(ステップ1203NO)、繰り返し実行される。
【0081】
この間に、領域の検知温度(PV)が「立上時」と「過渡時」との境界を規定する温度T1に到達すると(ステップ1203YES)、続いて、キャリブレーションモードでメモリに格納した「過渡時」の各チャネル(CH1〜CH5)の平均操作量(MV値)を「過渡時」の精細テーブルから読み出すと共に、それらの平均操作量を各チャネルの駆動系に与える処理(ステップ1204)が、領域の検知温度(PV)が「過渡時」と「整定時」との境界を規定する温度T2に到達するまで(ステップ1205NO)、繰り返し実行される。
【0082】
この間に、領域の検知温度(PV)が「過渡時」と「整定時」との境界を規定する温度T2に到達すると(ステップ1205YES)、続いて、キャリブレーションモードでメモリに格納した「整定時」の各チャネル(CH1〜CH5)の操作量(MV値)を「整定時」の精細テーブルから読み出すと共に、それらの操作量を各チャネルの駆動系に与える処理(ステップ1206)が、実行される。これにより、各チャネルに対応する複数の領域の温度は、図11に示されるように、「立上時」、「過渡時」、「整定時」のいずれにおいても、均一な温度に保たれる。
【0083】
最後に、本発明方法を実施するためのより具体的なシステム構成について説明する。先に説明したように、図1及び図2のシステム構成における制御装置1の機能は、PID演算機能が組み込まれた制御用パソコン、PID演算用のファンクションブロックが組み込まれたPLD、PID演算機能が組み込まれた温度調節器等々に対して、本発明方法の各ステップに相当する処理を組み込むことで実現することができる。
【0084】
そこで、一例として、本発明が適用された均一温度制御装置のPLCによる構成例を図が図13に示すこととする。制御装置として機能するPLC1aは、電源ユニット11と、CPUユニット12と、アナログ入力ユニット13と、出力ユニット14とを有する。
【0085】
PLC11aのCPUユニット12には、図14に示されるように、システムプログラム(ファームウェア)を格納するROM12aと、CPUユニット全体を統括制御するマイクロプロセッサ12bと、ユーザがラダー図言語やファンクションブロックを使用して任意に作成したユーザプログラムを格納するためのユーザプログラムメモリ12cと、マイクロプロセッサ12bが各種の演算を実行する際にワークエリアとして使用されるワークRAM12dと、演算に必要な各種のデータが格納されるデータ格納用不揮発性メモリ12eと、ユーザプログラムメモリ12cから各種のユーザ命令を読み出して実行する機能を有するASIC12fと、外部入出力ユニットに含まれる入力又は出力信号に対応するデータを格納する入出力メモリ12gとが含まれている。
【0086】
ユーザはラダー図言語やPID演算用のファンクションブロック等々を使用して、図15に示されるサーボ制御系に相当する機能を実現するユーザプロクラムを作成する。こうして作成されたユーザプログラムは、ユーザプロクラムメモリ12cに格納される。また、ユーザは、図3〜図5のフローチャートに示される機能に相当するユーザプログラムについても、ラダー図言語やPID演算用のファンクションブロック等々を使用して実現する。このとき、図6〜図8に示される操作出力生成用の粗テーブル並びにこれを内挿補間処理してなる精細テーブルについては、データ格納用不揮発性メモリ12eに格納される。これにより、PLC1aが起動されると、図3に示されるように、キャリブレーションモード処理(ステップ302)と通常モード処理(ステップ303)とが実行されて、本発明に係るヒータ駆動制御が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、比較的に少ない作業工数にて均一温度制御のための調整作業を完了することができると共に、ある温度にて均一温度制御を達成したのち、別の温度による均一温度制御に切り換えたとしても、最早、均一温度制御のための再調整作業は不要となり、しかも、N:N制御にて均一温度制御の調整を行ったのち、M:N制御による均一温度制御に切り換えても、支障なく運転を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】キャリブレーションモード時における制御系のシステム構成を示す説明図である。
【図2】通常モード時における制御系のシステム構成を示す説明図である。
【図3】本発明方法が適用された均一温度制御装置の動作を示すゼネラルフローチャートである。
【図4】キャリブレーションモード処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】キャリブレーションモード時の測定ポイント例を示す説明図である。
【図6】操作出力値(MV値)とメモリ格納アドレスとの関係を示す説明図である。
【図7】操作出力生成用粗テーブルの内容を表にして示す説明図である。
【図8】操作出力生成用精細テーブルの内容をグラフに示す説明図である。
【図9】通常モード処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】整定時に至る期間についても温度均一化を達成する場合のキャリブレーション処理を示すフローチャートである。
【図11】整定時に至る期間についても温度均一化を達成する場合の操作量を示す説明図である。
【図12】整定時に至る期間についても温度均一化を達成する場合の通常モード処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明が適用された均一温度制御装置のPLCによる構成例を示す説明図である。
【図14】PLCのCPUユニットのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図15】均一温度制御装置(N:N制御)のイメージ図である。
【図16】均一温度制御装置(M:N制御)のイメージ図である。
【符号の説明】
【0089】
1 制御装置
1a PLC
2 駆動系
3 ヒータプレート
4a 信号線(操作出力信号を含む)
4b 信号線(温度検出信号を含む)
5,5−1〜5−7 偏差増幅器
6,6−1〜6−7 PID演算器
7−1〜7−7 駆動系
8 制御対象
9,9−1,9−2 温度センサ
11 電源ユニット
12 CPUユニット
12a システムROM
12b マイクロプロセッサ(MPU)
12c ユーザプログラムメモリ(UM)
12d ワークRAM
12e データ可能用不揮発性メモリ
12f 命令実行機能を有するASDIC
12g 入出力メモリ(IOM)
13 アナログ入力ユニット
14 出力ユニット
a ch1の内挿補完曲線
b ch2の内挿補完曲線
c ch3の内挿補完曲線
d ch4の内挿補完曲線
e ch5の内挿補完曲線
f ch6の内挿補完曲線
g ch7の内挿補完曲線
h ch8の内挿補完曲線
i ch9の内挿補完曲線
H1〜H9 ヒータ
S1〜S9 温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物体上を適宜に区画してなる複数の領域のそれぞれを個別に加熱する各ヒータの駆動系に対して適宜な操作出力を与えることにより、一定の温度分布傾向を有しかつ所定の分解能で選択可能な任意の参照温度を含む温度分布パターンを被加熱物体上に出現させるためのヒータ駆動制御方法であって、
各領域のそれぞれ毎に設けられた温度センサからの検出値と各領域のそれぞれ毎の目標値との偏差を入力として所定の補正演算を行ない各領域のそれぞれ毎の操作出力を生成する各領域毎のサーボ系に対して、領域相互間における熱的干渉補償制御を適用しつつ、一群の領域全体としての実温度分布パターンを1の参照温度に予め関連づけられた目標温度分布パターンに整合させる処理を、参照温度分解能よりも十分に大きな間隔で参照温度を変更しては繰り返すと共に、実温度分布パターンが目標温度分布パターンに整合する毎に、その整合状態における各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを取得してはそのときの参照温度と関連づけて所定のメモリに記憶させることにより、操作出力値生成用の粗テーブルを生成する第1のステップと、
所定のメモリに参照温度と関連づけて記憶された各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータ同士の間を、前記温度分布傾向に基づきかつ少なくとも参照温度分解能に対応する間隔で内挿補間して所定のメモリに記憶させるとにより、操作出力値生成用の精細テーブルを生成する第2のステップと、
参照温度が指定される毎に、指定された参照温度をキーとして操作出力値生成用の精細テーブルを検索することにより、その参照温度に対応する各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを抽出すると共に、このデータに基づいて生成される各操作出力値をそれぞれ該当する領域の駆動系に与える第3のステップと、
を具備することを特徴とするヒータ駆動制御方法。
【請求項2】
一定の温度分布傾向が、全ての領域の温度が均一なことである、ことを特徴とする請求項1に記載のヒータ駆動制御方法。
【請求項3】
各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータが、代表領域として定められた1の領域のサーボ系の操作出力値と、その代表領域の操作出力値と他の領域のそれぞれの操作出力値との相関データとを含んでいる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒータ駆動制御方法。
【請求項1】
被加熱物体上を適宜に区画してなる複数の領域のそれぞれを個別に加熱する各ヒータの駆動系に対して適宜な操作出力を与えることにより、一定の温度分布傾向を有しかつ所定の分解能で選択可能な任意の参照温度を含む温度分布パターンを被加熱物体上に出現させるためのヒータ駆動制御方法であって、
各領域のそれぞれ毎に設けられた温度センサからの検出値と各領域のそれぞれ毎の目標値との偏差を入力として所定の補正演算を行ない各領域のそれぞれ毎の操作出力を生成する各領域毎のサーボ系に対して、領域相互間における熱的干渉補償制御を適用しつつ、一群の領域全体としての実温度分布パターンを1の参照温度に予め関連づけられた目標温度分布パターンに整合させる処理を、参照温度分解能よりも十分に大きな間隔で参照温度を変更しては繰り返すと共に、実温度分布パターンが目標温度分布パターンに整合する毎に、その整合状態における各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを取得してはそのときの参照温度と関連づけて所定のメモリに記憶させることにより、操作出力値生成用の粗テーブルを生成する第1のステップと、
所定のメモリに参照温度と関連づけて記憶された各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータ同士の間を、前記温度分布傾向に基づきかつ少なくとも参照温度分解能に対応する間隔で内挿補間して所定のメモリに記憶させるとにより、操作出力値生成用の精細テーブルを生成する第2のステップと、
参照温度が指定される毎に、指定された参照温度をキーとして操作出力値生成用の精細テーブルを検索することにより、その参照温度に対応する各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータを抽出すると共に、このデータに基づいて生成される各操作出力値をそれぞれ該当する領域の駆動系に与える第3のステップと、
を具備することを特徴とするヒータ駆動制御方法。
【請求項2】
一定の温度分布傾向が、全ての領域の温度が均一なことである、ことを特徴とする請求項1に記載のヒータ駆動制御方法。
【請求項3】
各領域毎のサーボ系の操作出力値に相当するデータが、代表領域として定められた1の領域のサーボ系の操作出力値と、その代表領域の操作出力値と他の領域のそれぞれの操作出力値との相関データとを含んでいる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒータ駆動制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−193527(P2007−193527A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10363(P2006−10363)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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