説明

ヒータ

【課題】加熱面を横断して比較的に一様な加熱特性を有するPTC(正の温度係数)特性を有するヒータを付与する。
【解決手段】基板層12と、バス層28であって、バス層28の一側部に隣接して形成される第一電極及び第二電極と、第一電極からコネクタ部への電気的連通を付与するためのバスとを有し、コネクタ部は、第一電極と第二電極との間の距離よりも大きな、第二電極からの距離でバス層上に形成される、バス層28と、選択的な伝導層44であって、第一伝導ストリップと連通する第三電極と、第二伝導ストリップと連通する第四電極とを有し、第三電極は、第二電極と電気的連通し、第四電極はコネクタ部と電気的連通している、選択的な伝導層44と、第一伝導ストリップと第二伝導ストリップとの間で電気的連通を付与するサーミスタ層52と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTC(正の温度係数)要素を有するヒータパッド及び電流路の距離を均衡化するバスシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
当業界において、ワット(Watt)の特許文献1及び2等のPTC(正の温度係数)ヒータは、温度増加に応じて増加する抵抗を有する。これは、この抵抗に対してかけられるほぼ一定の電圧に関する熱エネルギ出力を基本的に減じ、それにより、過加熱を防ぐのに役立ち、それゆえ、自動車の鏡の霜除去等の、周囲温度を変化させる用途に有用である。いくつかの用途において、使用者は、電気的接続を簡単化し、標準の電気回路を収容するために、ヒータの一面を横断する両電極を有するヒータを望んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4857711号
【特許文献2】米国特許第4931627号
【0004】
しかしながら、このような構成では、しばしば、種々の電気的通路を通して一様でない抵抗をもたらし、それにより、加熱面を横断した一様でない加熱、電流の供給(draw)の増加及び要求されるバス幅の増加を結果として生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、本発明の目的は、加熱面を横断して比較的に一様な加熱特性を有するPTC(正の温度係数)特性を有するヒータを付与することである。
【0006】
それゆえ、本発明のさらなる目的は、ヒータの加熱面の種々の電気的通路を通した比較的に一様な抵抗を有するPTC特性を有するヒータを付与することである。
【0007】
それゆえ、本発明のさらなる目的は、電流供給を低減するPTC特性を有するヒータを付与することである。
【0008】
それゆえ、本発明のさらなる目的は、主バス幅に関する要求を減じるPTC特性を有するヒータを付与することである。
【0009】
それゆえ、本発明のさらなる目的は、標準の電気的接続を収容するために、一つの面を横断した電極を有するPTC特性を有するヒータを付与することである。
【0010】
これらの及び他の目的は、ポリエステル基板上に形成されるフィーダバス層を有するヒータを付与することによって得られる。フィーダバス層は、隣接する絶縁層において二つの対角的に反対の角部における伝導コンジットを通して電極からの電気的連通を付与する伝導部を有する。伝導コンジットは、さらに隣接する主バス層(あるいは、PTCコンダクタ層として知られている)の対角的に反対の角部と電気的連通している。主バス層は、隣接するPTCサーミスタ層への電流を付与する。電気的絶縁を付与するためにかつ自動車の鏡等の、隣接した面へヒータを固定する能力を付与するために、接着層がPTCサーミスタ層に隣接して形成されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のさらなる目的及び利点は、以下の記載及び特許請求の範囲、添付図面から明らかになる。種々の図面を通して同様な番号が同様な要素を示す、詳細な図面を参照すると、図1は本発明のヒータ10の分解図である。図2に示されているように、自動車のリヤビューミラーの霜除去するために付与される時、ヒータ10は、角の丸いほぼ矩形形状で示されている。しかしながら、他の用途について他の形状も適切である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のヒータの分解図である。
【図2】本発明のヒータの平面図である。
【図3】本発明のヒータのフィーダバス層の平面図である。
【図4】本発明のヒータの主バス又はPTFコンダクタ層の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ポリエステル基板12は、電気的絶縁のためと共に、ヒータの次の層を支持する。以後に記載される他の全ての層と同様に、ポリエステル基板12は、好ましくはヒータ10とほぼ同じ形状及び寸法であり、ヒータ10とほぼ同じ空間に広がっている。正電極14及び負電極16は、ポリエステル基板12の側部26の角部22、24の内側に隣接して形成される、端アイレット18、20それぞれを通過する。ヒータ10の一側部に沿って形成される電極14、16は、外部電圧源(図示せず)への簡単な接続を提供する。
【0014】
選択的に印刷されたフィーダバス(feeder buss) 層28が、ポリエステル基板12に隣接している。印刷されたフィーダバス層28は好ましくはスクリーン印刷されるが、当業者は他の印刷方法も可能であるということを認識する。正電極14と電気的連通する、伝導部分30がフィーダバス層28上に形成される。フィーダバス層28は、層28の側部34の内側に隣接して形成される伝導バス32をさらに有する(図3参照)。伝導バス32は、負電極16と、延長電極部36との間の電気的連通を付与する。延長電極部36は、伝導部30及び正電極14と対角的に反対の角部に形成される。
【0015】
印刷された絶縁層38は、フィーダバス層28に隣接し、絶縁層の対角的に対向する角部において、穴40、42を有し、(正電極14と電気的連通した)伝導部30及びフィーダバス層28の(負電極16と電気的連通した)延長電極部36は、穴40、42それぞれを通過する。印刷された絶縁層28は好ましくはスクリーン印刷されるが、当業者は他の印刷方法も可能であるということを認識する。
【0016】
PTF(ポリマー厚膜)コンダクタ(又は、スクリーン印刷又は他の方法によって印刷された銀の主バス)層44は、絶縁層38に隣接する。PTFコンダクタ層44は、フィーダバス層28の伝導部30と電気的連通した正電極46と、フィーダバス層28の延長電極部36と電気的連通した負電極48とを、対角的に対向した角部において有する。PTFコンダクタ層に隣接したPTCサーミスタ層52と電気的連通させるために、バス55を介して負電極48と電気的連通している平行な伝導要素51と交互に(伝導要素51と平行に)、PTFコンダクタ層44は、バス56を介して、正電極46と電気的連通した、平行な伝導要素50(図4参照)を有する。平行な伝導要素50は、PTCサーミスタ層52だけを実質的に通して、平行な要素51と電気的連通している。PTCサーミスタ層52は、正の温度係数特性(すなわち、温度増加に対する抵抗増加、それにより、ほぼ一定電圧が付与される時に、熱的加熱(thermal heating) を基本的に減じる)を有する抵抗を介した熱的加熱を含む。PTCサーミスタ層52は好ましくはスクリーン印刷されるが、当業者は他の印刷方法も可能であるということを認識する。PTF伝導層44の対角的に対向する角部において正電極46と負電極48との間において電圧をかけることによって、PTFコンダクタ層44を横断する電流路距離は、実質的に均衡化され(図4における矢印によって示される通路を参照)、それにより、PTCサーミスタ層52を横断した、空間的により一層一様な熱生成、電流の供給の減少及びバス55、56のために必要とされる幅の減少という結果を生じる。
【0017】
薄膜状の接着層54は、PTCサーミスタ層52に隣接する。薄膜状の接着層54は、電気絶縁性を付与し、自動車の外部のリヤビューミラーの後面等の、加熱される面への取り付け手段をさらに付与する。
【0018】
結果としての回路は、電圧源(図示せず)から、負電極16を通して、バス32を横断して、延長電極部36及びPTF伝導層54の負電極48、平行な伝導要素51へ、PTCサーミスタ層52、平行な伝導要素50を通して、PTC層44の正電極46、伝導部30、正電極14、電圧源(図示せず)へ戻されて形成されている。
【0019】
この実施形態の変形例は、フィーダバス層28をPTFコンダクタ44及びPTCサーミスタ層52ヘ接続するための貫通穴として(適切に再配置されているように)端アイレット18、20を使用しながら、ポリエステル基板12の反対側面上に、フィーダバス層28及び絶縁層38又は薄膜状の接着層54を付与することである。
【0020】
ヒータ10を使用するために、取り付ける人は、ヒータ10を加熱される面へ取り付け、電極14及び16への電圧源をさらに設ける。接着層54又は同様な手段を使用して、ヒータ10を取り付けれることができる。
【0021】
こうして、いくつかの前述の目的及び利点は、最も有効に得られる。本発明の一つの好適な実施形態がここに詳細に開示及び記載されたが、本発明は決してこの実施形態によって制限されず、本発明の範囲は、添付された請求の範囲によって決定されるべきであるということが理解されるはずである。
【符号の説明】
【0022】
10 ヒータ
12 基板
14 電極
16 電極
28 バス層
44 伝導層
46 電極
48 電極
50 伝導ストリップ
51 伝導ストリップ
52 サーミスタ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板層と、
バス層であって、前記バス層の一側部に隣接して形成される第一電極及び第二電極と、前記第一電極から延長電極部への電気的連通を付与するための第一バスとを有し、前記延長電極部は、前記第一電極と前記第二電極との間の距離よりも大きな、前記第二電極からの距離で前記バス層上に形成される、バス層と、
選択的な伝導層であって、第二バスを介して第一伝導ストリップと連通する第三電極と、第三バスを介して第二伝導ストリップと連通する第四電極とを有し、前記第三電極は、前記第二電極と電気的連通し、前記第四電極は前記延長電極部と電気的連通している、選択的な伝導層と、
前記第一伝導ストリップと前記第二伝導ストリップとの間で電気的連通を付与するサーミスタ層と、を有するヒータ。
【請求項2】
前記基板層、前記バス層、前記選択的伝導層及び前記サーミスタ層はほぼ同じ空間に延びる請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記サーミスタ層は、温度増加に対して抵抗増加を有する請求項2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記ヒータはほぼ矩形であり、前記延長電極部は対角的に前記第二電極と反対である請求項3に記載のヒータ。
【請求項5】
前記バス層と前記選択的伝導層との間において絶縁層をさらに有する請求項4に記載のヒータ。
【請求項6】
前記絶縁層は通路を有し、前記通路のそれぞれを通して、前記第三電極は、前記第二電極と電気的連通し、前記四電極は前記延長電極部と電気的連通する請求項5に記載のヒータ。
【請求項7】
前記第一伝導ストリップは互いに平行であり、前記第二伝導ストリップは、互いに平行でありかつ前記第一伝導ストリップに平行であり、前記第一伝導ストリップは、前記選択的な伝導層上で前記第二伝導ストリップと交互である請求項6に記載のヒータ。
【請求項8】
前記第一伝導ストリップは、前記サーミスタ層を通した以外に、前記第二伝導ストリップとの電気的接続が実質的にない請求項7に記載のヒータ。
【請求項9】
前記絶縁層、前記選択的絶縁層及び前記サーミスタ層は、スクリーン印刷される請求項8に記載のヒータ。
【請求項10】
前記ヒータの外面上に接着層をさらに有する請求項9に記載のヒータ。
【請求項11】
前記基板層は、ポリエステルであり、アイレットを有し、前記第一電極及び前記第二電極は、前記アイレットを通して、前記バス層へ通過する請求項10に記載のヒータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−92875(P2010−92875A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282244(P2009−282244)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【分割の表示】特願2000−95258(P2000−95258)の分割
【原出願日】平成12年3月29日(2000.3.29)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】