説明

ビタミンB群配合末梢静脈栄養輸液

【課題】本発明の目的は、配合された栄養素の代謝利用性を勘案したビタミンB群との組合せにより、潜在的ビタミン欠乏のある患者においても安全に効率的なエネルギー補給が可能であり、かつ簡易な操作で投与できる、製剤学的に安定な末梢静脈栄養輸液製剤を提供することである。
【解決手段】糖質、アミノ酸、電解質を主成分とし、複室容器に充填される末梢静脈栄養輸液製剤において、ブドウ糖液側とアミノ酸輸液側に、各種ビタミンB群並びに電解質を振り分けた末梢静脈栄養輸液製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアミノ酸、糖質、電解質及び水溶性ビタミンであるビタミンB群を含む末梢静脈用栄養輸液製剤に関する。さらに詳しくは、低栄養状態にある患者あるいは特に高齢者などで食事摂取が不足し易い患者で、潜在的あるいは顕在化されたビタミン欠乏にある場合に、投与されるブドウ糖あるいはアミノ酸などの栄養物が代謝利用されるように、糖代謝に影響するビタミンと糖質を共存させ、またアミノ酸代謝に影響するビタミンとアミノ酸を共存させることにより、栄養素の代謝障害に基づく重篤な副作用を発現することのない安全性の高い輸液製剤、特に末梢静脈栄養輸液製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
経口的に栄養摂取が出来ない、あるいは不足している患者に対しては、アミノ酸、糖質、電解質等の必要な栄養素を経静脈的に投与する。この場合、糖質(特に還元糖)とアミノ酸はメイラード反応を起こすため、複室容器に分離して充填保存しておき、使用前に各室を連通させて、それぞれの液を混合してから患者に投与される。一方、複室容器を使用しない場合は輸液pHを極端に酸性側に維持するとメイラード反応は抑制されるが、そうした製剤では輸液点滴時に血管痛、血管障害やアシドーシスを発生するなど、実用上は種々の問題が発生する。このため、最近では高カロリー輸液製剤や末梢静脈栄養輸液製剤として複室容器を用いた栄養輸液製剤が汎用されている。
【0003】
高カロリー輸液療法の場合、その輸液療法が長期に亘ることが多いことから、ビタミン類あるいは微量元素の欠乏を来すことがないようにこれらの栄養素が用時添加されて用いられる。最近ではビタミン類を糖・アミノ酸・電解質を配合した高カロリー輸液に配合した製剤が開発され、高カロリー輸液施行中のビタミン欠乏などは生じない配慮がなされている(非特許文献1参照)。
【0004】
一方、末梢静脈栄養輸液の場合はその投与期間が約2週間以内と短期であり、経口食など他の栄養補給に早期に切り換えるか、あるいは併用することが前提となるため、部分的なエネルギー補給として利用され、ビタミン配合の必要性はないと考えられていた。
しかし、最近では末梢静脈栄養輸液療法においてもビタミン類の配合は考慮すべきとの指摘があり、最近、末梢静脈栄養輸液の対象となる患者においても、ビタミン類の潜在的欠乏があり、高カロリー輸液施行時のみならず、末梢栄養輸液施行時にもビタミン類の配合に配慮すべきであるとの報告が散見されるようになった(非特許文献2および3参照)。
このような事情から、末梢静脈栄養輸液製剤においても、ビタミンB1のみについては、欠乏時にアシドーシスなどの重篤な副作用を来す可能性があることから、配合が考慮されるべきと考えられ、ビタミンB1を配合した末梢静脈栄養輸液製剤の特許が出願されている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、低栄養状態にある患者、特に高齢者で栄養輸液療法が必要な患者において、単一のビタミンが欠乏することはなく、貯蓄性の少ない水溶性のビタミン、特にビタミンB群はその多くが短期に欠乏を来し易い。
一方、補給される栄養輸液中のブドウ糖やアミノ酸が代謝利用されるためには、ビタミンB群が必須不可欠であり、これらが欠乏あるいは不足した場合は、重篤な代謝障害が起こることが知られている(非特許文献4参照)。
すなわち、ブドウ糖の代謝においてビタミンB1が欠乏した状態では、ピルビン酸からのアセチルCoAを経由したクエン酸回路が障害され、アシドーシスを来すことが知られている。またB6欠乏の場合はアミノ基転移、脱アミノ基、脱炭酸など様々なアミノ酸代謝が影響を受け、口内炎、口角炎、脂漏性皮膚炎などの皮膚症状や、末梢神経炎、痙攣、貧血などの症状発現に関与してくる。さらに、ビタミンB群には相互作用のあることも知られており、例えば動脈硬化の因子の一つと考えられているホモシステインの代謝については、ビタミンB2、B6、B12、葉酸が協同して代謝制御しており、単一のビタミン補充療法では十分な効果が期待できない。この他にも高齢者の多くが潜在的ビタミンB12欠乏状態にあり、軽度のB12欠乏でも集中力の低下や抑うつ状態の症状が認められることが知られてきている。
【0006】
すなわち、栄養輸液の主成分であるブドウ糖やアミノ酸の代謝利用のためにはビタミン類は必須の栄養素であり、特に高齢者や低栄養状態にある患者ではビタミンB群が欠乏しやすく、特許文献1に示されるビタミンB1のみを配合した栄養輸液を投与した場合、ビタミンB1以外のビタミンB群が不足するという問題がある。
従って、医療の現場において、ブドウ糖やアミノ酸の代謝利用のために必要な量のビタミンB群が配合された末梢静脈栄養輸液製剤の提供が望まれている。
【0007】
しかしながら、ビタミンB12、ナイアシンおよび葉酸等は、一般的な複室容器タイプの末梢静脈輸液製剤における糖質を含む薬液(以下、糖質液という)やアミノ酸を含む薬液(以下、アミノ酸液という)に添加した場合、分解が生じる等の理由により安定な製剤が得られないといった問題があった。
特許文献1に記載される末梢静脈栄養輸液製剤においては、ビタミンB12および葉酸の配合は、糖質液およびアミノ酸液とは隔離された第3室の薬液に配合される場合のみに限定されている。また、非特許文献1に記載される高カロリー輸液製剤においても、シアノコバラミン(ビタミンB12)および葉酸は、糖質液およびアミノ酸液とは隔離された第3室の薬液に配合されている。これらは、ビタミンB12は輸液中ではビタミンB1、ナイアシン、アスコルビン酸などと配合変化を起こすこと、ナイアシンは強い酸やアルカリ条件では分解すること、葉酸は2価の金属陽イオン、リン酸リボフラビン、アスコルビン酸などと配合変化を起こすことや酸性領域では濁りを生ずるといった問題点を解消するための工夫と思われる。
【0008】
【特許文献1】特開2004−188039号公報
【非特許文献1】フルカリック(登録商標)添付文書,2003年12月改訂
【非特許文献2】「外科と代謝・栄養」 36(6), p.307, 2002
【非特許文献3】「外科と代謝・栄養」 37(1), p.23, 2003
【非特許文献4】「エキスパートのためのビタミン・サプリメント」 II.ビタミン欠乏症 p.19〜42、橋詰直孝編、医歯薬出版(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、配合された栄養素の代謝利用性を勘案したビタミンB群との組合せにより、潜在的ビタミン欠乏のある患者においても安全に効率的なエネルギー補給が可能であり、かつ簡易な操作で投与できる、製剤学的に安定な末梢静脈栄養輸液製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、糖質、アミノ酸、電解質を主成分とし、複室容器に充填される末梢静脈栄養輸液製剤において、ブドウ糖液側とアミノ酸輸液側に、各種ビタミンB群並びに電解質を振り分けることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1) 糖質を含有する糖質液とアミノ酸を含有するアミノ酸液が複室容器の別々の室に収容され、さらに、電解質、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシンおよび葉酸を含有することを特徴とする末梢静脈栄養輸液製剤、
(2) 糖質1g当たりビタミンB1を2〜20μg、ビタミンB2を2〜20μgおよびナイアシンを10〜100μgナイアシン等量含有し、アミノ酸1g当たりビタミンB6を10〜100μg含有する、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(3) 1L当たりビタミンB12を0.5〜5.0μg、葉酸を30〜300μg含有する、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(4) 糖質液とアミノ酸液を混合した後の混合液中において、各成分が下記の組成範囲となるように配合されている、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
ブドウ糖 30 〜 125 g/L
アミノ酸 10 〜 40 g/L
Na+ 20 〜 80 mEq/L
+ 10 〜 40 mEq/L
Mg2+ 0 〜 10 mEq/L
Ca2+ 0 〜 10 mEq/L
Cl- 20 〜 80 mEq/L
P 0 〜 20 mmol/L
Zn 0 〜 30 μmol/L
ビタミンB1 60 〜 2500μg/L
ビタミンB2 60 〜 2500μg/L
ビタミンB6 100 〜 4000μg/L
ビタミンB12 0.5 〜 5μg/L
ナイアシン 300 〜 12500μg/L
葉酸 30 〜 300μg/L
(5) 糖質液中にカルシウム、マグネシウム、ビタミンB1およびビタミンB2を含有し、アミノ酸液中にビタミンB12および葉酸を含有する、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(6) 糖質液中にクエン酸を含有する、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(7) 糖質液のpHが4.0〜6.0に調整されている、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(8) アミノ酸液のpHが6.5〜8.0に調整されている、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(9) 糖質液とアミノ酸液を混合した後の混合液のpHが6.0〜7.5である、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、
(10) 複室容器が2室からなる容器である、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤、および
(11) 易剥離シールで分割された2室を有する可撓性プラスチックバッグの、一方の室に糖質液が収容され、他方の室にアミノ酸液が収容されてなる、上記(1)記載の末梢静脈栄養輸液製剤
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、栄養素の代謝能が低下した高齢者にも安全な末梢静脈栄養輸液が提供される。すなわち、低栄養状態あるいは高齢者などで経口から十分な栄養補給ができない患者に対して、ブドウ糖、アミノ酸の代謝利用に関与する適切な量のビタミンB群が補給されることから、重篤な代謝障害を来すことのない安全で利用性の高い栄養補給が可能となる。
また、本発明の末梢静脈栄養輸液製剤は、糖質液側に糖代謝やエネルギー代謝に関与するビタミン群を配合し、アミノ酸液側にアミノ酸代謝に関与するビタミン群を配合しているため、複室容器の2室を用時連通させずに一方の薬液のみを投与してしまった場合にも、ビタミン欠乏に伴う糖やアミノ酸の代謝障害による副作用発現を未然に防止することができ、安全性が高い製剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の末梢静脈栄養輸液製剤は、糖質、アミノ酸および電解質を含有する末梢静脈栄養輸液が複室容器に収容された製剤であって、糖質を含有する糖質液とアミノ酸を含有するアミノ酸液とが各々複室容器の別々の室に収容されている。
本発明の末梢静脈栄養輸液製剤は、さらにビタミンB1(化学名:チアミン)、ビタミンB2(化学名:リボフラビン)、ビタミンB6(化学名:ピリドキシン)、ビタミンB12(化学名:シアノコバラミン)、ナイアシンおよび葉酸を含有することを特徴とする。本発明の末梢静脈栄養輸液製剤に含有されるこれらのビタミンB群は、代わりにそれらの誘導体、前駆体あるいは同様の作用効果を有する化合物を使用してもよい。
【0014】
ブドウ糖の代謝にはピルビン酸脱水素酵素の補酵素であるビタミンB1がその代謝を直接制御しており、ビタミンB1不足の場合はブドウ糖利用が円滑に進まず、アシドーシスなどの副作用をきたすことから、ビタミンB1の補給はブドウ糖補給量に応じて適切な量が補給される必要がある。また、ブドウ糖並びにアミノ酸双方のエネルギー代謝に不可欠な補酵素のFADやFMNとして働くビタミンB2と、脱水素反応の補酵素であるNADとNADPとして働くナイアシンは、エネルギー補給量に応じて、適切な量が補給される必要がある。さらに、アミノ酸の代謝にはアミノトランスフェラーゼやトリプトファンからナイアシンへの代謝に関与するビタミンB6が重要であり、B6の不足時にはアミノ酸代謝障害を生ずることから、B6補給はアミノ酸補給量に応じて適切な量が補給される必要がある。
【0015】
すなわち、本発明の末梢静脈栄養輸液製剤においては、ビタミンB1、ビタミンB2及びナイアシン配合量は糖質液の糖質量に応じて決定され、ビタミンB6の配合量はアミノ酸液のアミノ酸量に応じて決定されることが好ましい。具体的には、配合されている糖質1g当たり、ビタミンB1を2〜20μg、ビタミンB2を1.2〜12μg、及びナイアシンを10〜100μgナイアシン等量を配合することが好ましい。これにより、ビタミンが欠乏した状態の患者に投与した場合においても、無理なくブドウ糖が代謝利用される。また、本発明の末梢静脈栄養輸液製剤において、アミノ酸1g当たり、ビタミンB6を10〜100μgを配合することが好ましい。これにより、ビタミンB6欠乏状態の患者に投与した場合においても、アミノ酸の代謝利用性が良好である。
さらにビタミンB群の中で早期に欠乏を来しやすく、これらのビタミンとの相互作用を有するビタミン類(葉酸、ビタミンB12等)を本発明の末梢静脈栄養輸液製剤に配合させることが好ましく、これにより高ホモシステイン血症などの代謝異常を来しにくい製剤を得ることができる。
【0016】
<ビタミンB群および電解質の配合>
本発明の末梢静脈栄養輸液製剤において、ビタミンB群および電解質は通常、以下のように糖質液あるいはアミノ酸液に振り分けて配合される。
まず、ビタミンB1は酸性域で安定であるため、糖質液側に配合される。また、ビタミンB1は亜硫酸塩が存在すると不安定となるため、糖質液には亜硫酸塩が含まれないことが望ましい。
ビタミンB12は、ビタミンB1と反応し配合変化をおこすため、アミノ酸液に配合される。
【0017】
葉酸は2価の電解質(カルシウム、マグネシウム等)およびビタミンB2と反応し、配合変化をおこすため、分離して配合されることが好ましい。従って、第3の室を要しない2室容器製剤を製造する場合には、ビタミンB2と2価の電解質を共存させることになる。しかしながら、ビタミンB2は、通常pH5以上でカルシウムと反応し、不溶性の塩を生じることから、ビタミンB2および2価の電解質(カルシウム、マグネシウム等)は酸性の糖質液に配合することがことが好ましい。
さらに、糖質液中にはpH調製剤としてクエン酸を含有させることが好ましい。クエン酸の添加により、pH6程度の薬液中であってもビタミンB2とカルシウムの反応による不溶性塩の生成を防止することができる。
【0018】
以上のことから、本発明の末梢静脈栄養輸液製剤においては、糖質液中にカルシウム、マグネシウム、ビタミンB1およびビタミンB2を含有し、アミノ酸液中にビタミンB12および葉酸を含有することが好ましく、また糖質液中にクエン酸を含有することが好ましい。また、混合後の製剤学的安定性の面からアミノ酸液中にもクエン酸を含有することが好ましい。
さらに、複室容器の2室を用時連通させずに一方の薬液のみを投与してしまった場合の安全性を考慮すると、糖質液中にエネルギー代謝に関与するナイアシンを含有し、アミノ酸液中にアミノ酸代謝に関与するビタミンB6を含有することが好ましい。
【0019】
<糖質液>
本発明の糖質液に用いる糖質としては、ブドウ糖、フルクトース、マルトース等の還元糖や、キシリトール、ソルビトール、グリセリン等の非還元糖が挙げられる。これらのうち、1種又は2種以上の糖質を配合することができる。これらの糖質のうち、血糖管理などの観点から言えば、ブドウ糖を用いるのが好ましい。
糖質液中の糖質の配合量は、血管傷害性の少ない配合量として、糖質濃度を60〜140g/Lとするのが好ましい。また、複室容器の一室に収容する糖質液の液量は、通常、200〜1000mLである。また、アミノ酸液との混合後の最終的な糖質濃度が、30〜125g/Lであることが好ましい。糖質液の溶媒としては、通常、注射用水が用いられる。
【0020】
本発明の糖質液は、通常、電解質として、カルシウムおよびマグネシウムを含有し、ビタミンB群として、ビタミンB1、ビタミンB2およびナイアシンを含有する。ビタミン群の含有量は、糖質1g当たり、ビタミンB1が2〜20μg、ビタミンB2が2〜20μg、ナイアシンが10〜100μgであることが好ましい。
また、電解質等の沈殿を防止するために、糖質液のpHは、pH調整剤で4.0〜6.0の範囲に調製することが好ましく、さらに4.5〜5.5の範囲に調整するのが望ましい。pH調整剤としては、クエン酸を用いることが好ましい。
さらに、ビタミンB1の分解を避けるため、亜硫酸水素ナトリウム等の安定化剤などは含有されないことが好ましい。
【0021】
<アミノ酸液>
本発明におけるアミノ酸は、少なくとも必須アミノ酸からなるアミノ酸組成物を含有している。使用される各アミノ酸は、一般のアミノ酸輸液と同様、純粋結晶状アミノ酸であるのが好ましい。これらは、通常、遊離アミノ酸の形態で用いられるが、特に遊離形態でなくてもよく、薬理学的に許容される塩、エステル、N-アシル誘導体、2種のアミノ酸の塩やペプチドの形態で用いることもできる。
また、本発明のアミノ酸液は、経末梢静脈投与用として調製する場合、アミノ酸濃度を遊離アミノ酸換算で80〜120g/Lとするのが好ましい。複室容器の一室に収容するアミノ酸液の液量は、通常、100〜500mLである。また、糖質液との混合後の最終的なアミノ酸濃度が、10〜40g/Lであることが好ましい。アミノ酸液の溶媒としては、通常、注射用蒸留水が用いられる。
【0022】
アミノ酸液のアミノ酸組成としては、遊離アミノ酸換算で、L-ロイシン:5-20(g/L)、L-イソロイシン:5-15(g/L)、L-バリン:5-15(g/L)、L-リジン:5-15(g/L)、L-トレオニン:2-10(g/L)、L-トリプトファン:0.5-5(g/L)、L-メチオニン:1-8(g/L)、L-フェニルアラニン:3-15(g/L)、L-システイン:0.1-3(g/L)、L-チロジン:0.1-2(g/L)、L-アルギニン:5-15(g/L)、L-ヒスチジン:2-10(g/L)、L-アラニン:5-15(g/L)、L-プロリン:2-10(g/L)、L-セリン:0.5-7(g/L)、グリシン:2-15(g/L)、L-アスパラギン酸:0.2-3(g/L)、L-グルタミン酸:0.2-3 (g/L)の範囲が好ましい。
【0023】
本発明のアミノ酸液は、通常、ビタミンB群として、ビタミンB6、ビタミンB12および葉酸を含有する。ビタミンB群の含有量は、アミノ酸1g当たり、ビタミンB6が10〜100μgであることが好ましい。
通常、カルシウム、マグネシウム等の2価の電解質は含まない。また、亜硫酸水素ナトリウム等の安定化剤などは含有されないことが好ましい。
【0024】
アミノ酸液は、必要に応じてpH調整剤を少量添加して、pH6.0〜8.0、好ましくはpH6.5〜8.0、さらに好ましくはpH6.5〜7.5に調整される。pHが6.0未満であると、糖質液とアミノ酸液を混合した後の混合液のpHを後記する至適範囲に維持できなくなり、またpH8.0を超えるとビタミンB12が分解するなどの問題が生じ、好ましくない。
【0025】
本発明の末梢静脈栄養輸液製剤において、ビタミンB12および葉酸は、アミノ酸や糖質の配合量にはよらず、1L相当の輸液製剤当たり、ビタミンB12は0.5〜5μg、葉酸は30〜300μg添加されることが好ましく、製剤学的安定性の面からアミノ酸輸液側に配合されることが好ましい。
【0026】
<電解質>
本発明の輸液製剤に用いられる電解質としては、一般の電解質輸液などに用いられる化合物と同様のものを使用できる。電解質供給源の具体例を挙げると、
ナトリウム供給源としては、例えば塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等を挙げることができる。
カルシウム供給源としては、例えば塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム等を挙げることができる。
マグネシウム供給源としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム等を挙げることができる。
カリウムの供給源としては、例えば塩化カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、グリセロリン酸カリウム、硫酸カリウム、乳酸カリウム等を挙げることができる。これらのうち、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、グリセロリン酸カリウムなどのリン酸塩は、リン供給源にもなるので好適である。これらのカリウム供給源は水和物形態であってもよい。しかし、本発明において、カルシウム及び/またはマグネシウムを含有する場合は、葉酸と反応し配合変化を生ずることから、これらの電解質はブドウ糖側に配合し、葉酸と分離しておくことが好ましい。
【0027】
リン供給源としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、グリセロリン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、グリセロリン酸ナトリウム等を挙げることができる。
塩素供給源としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルウシム、塩化マグネシウム等を挙げることができる。
亜鉛供給源としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を挙げることができる。
各電解質の供給源は水和物形態であってもよい。
【0028】
本発明の末梢静脈栄養輸液製剤において、上記供給源から供給される電解質は、主に糖質液に配合されるが、リン酸など一部の電解質はアミノ酸液に配合させても、また両液に振り分けて配合させても差し支えない。
本発明の末梢静脈栄養輸液製剤は、使用時に、複室に収容された前記の糖質液とアミノ酸液を混合する。この混合液は、患者に血管痛を起こさないようにするために、pHが6〜7.5、滴定酸度が5〜10の範囲であることが好ましい。このため、各室に収容された薬液のpHを前記の範囲とするのが好ましい。また、電解質としては、解離度が100%に近い強電解質を多く用いることが好ましい。
【0029】
なお、本発明の末梢静脈栄養輸液製剤を投与する際には、必要に応じて他のビタミン剤、例えば水溶性ビタミンではビタミンCやビオチン、パントテン酸等を添加して用いても良い。ただし、これらのビタミンは他のビタミンB群の分解を促進することもあることから、添加後直ちに投与することが好ましい。また、あらかじめ、他のビタミン剤を製剤中に配合する場合は、糖質液およびアミノ酸液が収容された2室とは別の第3室を設けて収容し、用時混合して投与することが好ましい。
【0030】
本発明の末梢静脈栄養輸液の好ましい態様としては、糖質液とアミノ酸液を混合した後の混合液中において、各成分が下記の組成範囲となるように配合された末梢静脈栄養輸液製剤が上げられる。
ブドウ糖 30 〜 125 g/L
アミノ酸 10 〜 40 g/L
Na+ 20 〜 80 mEq/L
+ 10 〜 40 mEq/L
Mg2+ 0 〜 10 mEq/L
Ca2+ 0 〜 10 mEq/L
Cl- 20 〜 80 mEq/L
P 0 〜 20 mmol/L
Zn 0 〜 30 μmol/L
ビタミンB1 60 〜 2500μg/L
ビタミンB2 60 〜 2500μg/L
ビタミンB6 100 〜 4000μg/L
ビタミンB12 0.5 〜 5μg/L
ナイアシン 300 〜 12500μg/L
葉酸 30 〜 300μg/L
【0031】
<複室容器>
本発明の輸液製剤を収容する複室容器としては、連通可能な2室を有するものであれば特に限定されないが、例えば易剥離シールにより隔壁が形成されたもの(特開平2−4671号公報、実開平5−5138号公報等)、室間をクリップで挟むことにより隔壁が形成されたもの(特開昭63−309263号公報等)、隔壁に開通可能な種々の連通手段を設けたもの(特公昭63−20550号公報等)などのように開通可能な隔壁で隔てられた2室を有する輸液バッグが挙げられる。これらのうち、大量生産に適しており、また連通作業も容易であることから、隔壁が易剥離シールにより形成された輸液バッグが好ましい。また連通時操作の簡便性の観点から、複室容器は2室からなる容器であることが好ましい。2室には、それぞれ上記の糖質液とアミノ酸液が収容される。
【0032】
また、上記複室容器の材質としては、医療用容器等に慣用されている各種のガス透過性プラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、架橋エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、これら各ポリマーのブレンドや積層体などの可撓性(柔軟性)プラスチックが挙げられる。本発明の複室容器は衛生面、安全面を考慮して製造後、高圧蒸気滅菌等の熱滅菌や、高周波滅菌などの滅菌処理をすることが望ましいため、それらに耐えられる材質が好ましい。
【0033】
複室容器への薬液の充填、収容は、常法に従って行うことができる。例えば、各液を各室に不活性ガス雰囲気下で充填後、施栓し、加熱滅菌する方法が挙げられる。ここで、加熱滅菌は、高圧蒸気滅菌、熱水シャワー滅菌等の公知の方法を採用することができ、必要に応じて二酸化炭素、ヘリウム、窒素等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。薬液が収容される室の気体は窒素置換などの処置をより完全に行うことが、薬液の安定性維持のために好ましい。
【0034】
さらに、上記複室容器に収容された輸液製剤は、変質、酸化等を確実に防止するために、複室容器を脱酸素剤と共に酸素バリア性外装袋で包装するのが好ましい。また、必要に応じて不活性ガス充填包装等を行うこともできる。
【0035】
酸素バリア性外装袋の材質としては、一般に医療用として汎用されている各種材質のフィルム、シート等を使用できる。具体例としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル等、又はこれらの少なくとも1種を含む材質からなるフィルム、シート等が挙げられる。
また、脱酸素剤としては、種々公知のものを用いることができ、例えば水酸化鉄、酸化鉄、炭化鉄等の鉄化合物を有効成分とする鉄系の脱酸素剤や、低分子フェノールと活性炭を用いたものを使用することができる。代表的な市販商品名としては、「エージレス」(三菱ガス化学社製)、「タモツ」(王子化工社製)、「モジュラン」(日本化薬社製)、「セキュール」(日本曹達社製)等が挙げられる。
【0036】
さらに、ビタミンB2、B6、B12や葉酸は、光により分解しやすいため、保存時は遮光保存されることが好ましく、用時においても遮光容器等を用いて遮光状態を維持しながら投与を行うことが好ましい。すなわち、本発明の末梢静脈栄養輸液製剤はあらかじめ遮光容器に収容されることが望ましく、また、複室容器が遮光性を有する材料から形成されていてもよい。
【0037】
以下に実施例をあげて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0038】
<糖質液の調製>
ブドウ糖および下記の各電解質を窒素雰囲気下に注射用水に溶解し、下記組成の糖質液を調製した。ついで、この液に適宜pH調整剤(クエン酸)を加えることによりpH約5.0に調整後、塩酸チアミン、リン酸リボフラビンナトリウム及びナイアシンを溶解させた。
糖質液 750mL中
ブドウ糖 75.0g
塩化ナトリウム 0.709g
塩化カリウム 0.746g
酢酸ナトリウム 3.112g
グルコン酸カルシウム 0.673g
硫酸マグネシウム 0.370g
硫酸亜鉛 1.438mg
塩酸チアミン(ビタミンB1) 1.0mg
リン酸リボフラビンナトリウム(ビタミンB2) 1.0mg
ナイアシン 5.0mgNE
pH調整剤(クエン酸)
【0039】
<アミノ酸液の調製>
一方、下記の各アミノ酸及び電解質を窒素雰囲気下に注射用水に溶解し、下記組成のアミノ酸液を調製した。ついで、この液にpH調整剤として微量のクエン酸を添加して、液のpHを約7.5に調整し、その後、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン及び葉酸を溶解させた。
アミノ酸液 250mL中
L-ロイシン 2.50g
L-イソロイシン 2.50g
L-バリン 2.50g
塩酸L-リジン 2.35g
L-トレオニン 1.875g
L-トリプトファン 0.625g
L-メチオニン 1.25g
L-フェニルアラニン 1.875g
アセチルシステイン 0.338g
L-チロジン 0.125g
L-アルギニン 2.50g
L-ヒスチジン 1.10g
L-アラニン 1.875g
L-プロリン 1.25g
L-セリン 0.375g
グリシン 1.875g
L-アスパラギン酸 0.25g
L-グルタミン酸 0.25g
グリセロリン酸カリウム 1.241g
塩酸ピリドキシン(ビタミンB6) 2.0mg
シアノコバラミン(ビタミンB12) 0.002mg
葉酸 0.1mg
pH調整剤(クエン酸)
【0040】
<輸液製剤の製造>
上記で得られた両液を常法に従ってろ過後、糖質液750mL及びアミノ酸液250mLを、それぞれポリプロピレン製(ポリオレフィン系)の2室バッグ(易剥離シールで分割された2室を有するバッグ)の各室に充填し、窒素置換を行い、密封した後、常法に従い高圧蒸気滅菌を行って、末梢静脈栄養輸液製剤を得た。
なお、両液(糖質液とアミノ酸液)混合後のpHは約6であった。
【実施例2】
【0041】
<糖質液の調製>
ブドウ糖および下記の各電解質を窒素雰囲気下に注射用水に溶解し、下記組成の糖質液を調製した。ついで、この液に適宜pH調整剤(クエン酸)を加えることによりpH約5.0に調整後、塩酸チアミン、リン酸リボフラビンナトリウム及びナイアシンを溶解させた。
糖質液 700mL中
ブドウ糖 75.0g
塩化ナトリウム 0.80g
乳酸ナトリウム 2.29g
グルコン酸カルシウム 1.12g
硫酸マグネシウム 0.62g
硫酸亜鉛 1.40mg
塩酸チアミン(ビタミンB1) 1.0mg
リン酸リボフラビンナトリウム(ビタミンB2) 1.0mg
ナイアシン 5.0mgNE
pH調整剤(クエン酸)
【0042】
<アミノ酸液の調製>
一方、下記の各アミノ酸及び電解質を窒素雰囲気下に注射用水に溶解し、下記組成のアミノ酸液を調製した。ついで、この液にpH調整剤として微量のクエン酸またはNaOHを添加して、液のpHを約7.5に調整し、その後、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、葉酸を溶解させた。
アミノ酸液 300mL中
L-ロイシン 4.20g
L-イソロイシン 2.40g
L-バリン 2.40g
塩酸L-リジン 3.93g
L-トレオニン 1.71g
L-トリプトファン 0.60g
L-メチオニン 1.17g
L-フェニルアラニン 2.10g
アセチルシステイン 0.40g
L-チロジン 0.15g
L-アルギニン 3.15g
L-ヒスチジン 1.50g
L-アラニン 2.40g
L-プロリン 1.50g
L-セリン 0.90g
グリシン 1.77g
L-アスパラギン酸 0.30g
L-グルタミン酸 0.30g
リン酸水素二カリウム 1.74g
塩酸ピリドキシン(ビタミンB6) 2.0mg
シアノコバラミン(ビタミンB12) 0.002mg
葉酸 0.1mg
pH調整剤(クエン酸)
【0043】
<輸液製剤の製造>
上記で得られた両液を常法に従ってろ過後、糖・電解質・ビタミン液700mL及びアミノ酸・電解質・ビタミン液300mLを、それぞれポリプロピレン製(ポリオレフィン系)の2室バッグ(易剥離シールで分割された2室を有するバッグ)の各室に充填し、アミノ酸液については窒素置換を行い、密封した後、常法に従い高圧蒸気滅菌を行って、末梢静脈栄養輸液製剤を得た。
なお、両液(糖質液とアミノ酸液)混合後のpHは約7であった。
【0044】
(試験例1)
実施例1の製剤を室温で2ヶ月及び8ヶ月保存し、配合ビタミン類の含量を測定した成績を表1に示した。
【0045】
【表1】

【0046】
いずれの配合ビタミン類も室温8ヶ月の時点でも90%以上の含量を示し、目的とするビタミン補給が可能な製剤であることが判明した。
【0047】
(試験例2)
実施例1の組成で液性を変化させた場合のビタミン類の安定性を表2に示した。糖質液のpHを4以下にした場合はビタミンB2の安定性が低下し、pHを6以上にした場合はビタミンB1の安定性が低下すること、並びにアミノ酸液のpHを6以下あるいは8以上にした場合、葉酸の安定性が低下した。これらの成績から糖質液のpHは4〜6、アミノ酸液のpHは6〜8の範囲が各々のビタミンの安定性に好都合と考えられた。
【0048】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、糖質、アミノ酸、電解質及びビタミンを含み、複室容器に収容された末梢静脈栄養輸液製剤であって、糖質、アミノ酸の代謝利用を円滑にするビタミンB群の共存により、重篤な副作用を発現することのない安全な輸液製剤として、医療用に用いることができる。特に、高齢者や低栄養状態にある患者でビタミン欠乏あるいは潜在的ビタミン欠乏状態にある場合の末梢静脈用栄養輸液として、医療用に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖質を含有する糖質液とアミノ酸を含有するアミノ酸液が複室容器の別々の室に収容され、さらに、電解質、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシンおよび葉酸を含有することを特徴とする末梢静脈栄養輸液製剤。
【請求項2】
糖質1g当たりビタミンB1を2〜20μg、ビタミンB2を2〜20μgおよびナイアシンを10〜100μgナイアシン等量含有し、アミノ酸1g当たりビタミンB6を10〜100μg含有する、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
【請求項3】
1L当たりビタミンB12を0.5〜5.0μg、葉酸を30〜300μg含有する、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
【請求項4】
糖質液とアミノ酸液を混合した後の混合液中において、各成分が下記の組成範囲となるように配合されている、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
ブドウ糖 30 〜 125 g/L
アミノ酸 10 〜 40 g/L
Na+ 20 〜 80 mEq/L
+ 10 〜 40 mEq/L
Mg2+ 0 〜 10 mEq/L
Ca2+ 0 〜 10 mEq/L
Cl- 20 〜 80 mEq/L
P 0 〜 20 mmol/L
Zn 0 〜 30 μmol/L
ビタミンB1 60 〜 2500μg/L
ビタミンB2 60 〜 2500μg/L
ビタミンB6 100 〜 4000μg/L
ビタミンB12 0.5 〜 5μg/L
ナイアシン 300 〜 12500μg/L
葉酸 30 〜 300μg/L
【請求項5】
糖質液中にカルシウム、マグネシウム、ビタミンB1およびビタミンB2を含有し、アミノ酸液中にビタミンB12および葉酸を含有する、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
【請求項6】
糖質液中にクエン酸を含有する、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
【請求項7】
糖質液のpHが4.0〜6.0に調整されている、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
【請求項8】
アミノ酸液のpHが6.5〜8.0に調整されている、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
【請求項9】
糖質液とアミノ酸液を混合した後の混合液のpHが6.0〜7.5である、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
【請求項10】
複室容器が2室からなる容器である、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。
【請求項11】
易剥離シールで分割された2室を有する可撓性プラスチックバッグの、一方の室に糖質液が収容され、他方の室にアミノ酸液が収容されてなる、請求項1記載の末梢静脈栄養輸液製剤。

【公開番号】特開2006−137745(P2006−137745A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297411(P2005−297411)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】