説明

ビニル末端の測定方法

ポリエステルポリマー中のビニル末端濃度の測定方法であって、前記ポリマーをフッ素化カルボン酸又はフッ素化カルボン酸無水物を含む液体溶液中に溶解させ、任意選択で前記液体溶液又は前記混合物を約30〜300℃の温度に加熱し、得られた混合物を、フッ素原子又はフッ素含有化合物に関する定量的シグナルが生成される分析に供し、そして前記定量的シグナルからビニル末端の量又は濃度を算出する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルポリマー中のビニル末端濃度の測定方法に関する。更に詳しくは、本発明は、少なくとも1種のフッ素化カルボン酸又はフッ素化カルボン酸無水物を含む液体溶液を用いて混合物を形成し、任意的に前記液体溶液又は前記混合物を約30〜300℃の温度に加熱し、前記混合物をフッ素原子又はフッ素含有化合物に対する定量的シグナルを生成する分析に供し、そして前記定量的シグナルからビニル末端の量又は濃度を算出することを含んでなる、ポリエステルポリマー中のビニル末端の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルポリマー、特にポリエチレンテレフタレートポリマーは、シート、板、押出吹込成形ボトル、押出積層品、容器及び飲料ボトルのような種々の用途に広く使用されている。衝撃強度、成形性、明澄度、透明度及び色を含むいくつかの物理的特性は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステルポリマー及びポリエステルポリマー粒子を包装用途に望ましいものとする。しかし、特定の用途によっては、特に押出吹込成形品に望ましい他の特性及び性質がある。
【0003】
例えば、ポリエステルポリマー、特にPET(ポリエチレンテレフタレート)はウォーターボトル及び炭酸清涼飲料(CSD)ボトル用途において広く使用されている。これらのボトルの典型的な製造方法は、PETペレットの溶融加工によるボトルプレフォームの形成とそれに続く押出吹込成形によるボトルの形成による。この用途においては、アセトアルデヒド(AA)の濃度レベルが問題となる。特に問題なのは2つの型のアセトアルデヒド(AA)である。第一は、押出吹込成形において原料として使用されるポリエステルペレット又はポリエステル粒子中に含まれる残留又は遊離AAである。AAの第二の型は、プレフォームAA又はPETペレットを溶融加工してボトルプレフォームを形成する場合に発生するAAである。ポリエステルの分解及び/若しくは溶融時に反応し得る固体ポリエステル粒子、化合物又は化学官能基中のAA前駆体は、プレフォーム中に許容され得ないレベルのAAを生成し得る。更に、ボトルプレフォームを製造するための射出成形プロセスの場合のように、ポリエステルポリマーを溶融状態に保持する場合には、新たなAA前駆体が形成される。アセトアルデヒドはそれとわかる風味を有し、飲料容器用途においては非常に望ましくない可能性がある。プレフォームを吹込成形することによってボトルを形成する場合には、許容され得ないほど高いAAレベルは、これらのボトル中に含まれる飲料の風味に悪影響を与えるものである。水のような比較的に無味の飲料は、AAの風味によって特に悪影響を受ける。多くのウォーターボトル用途では、プレフォームAAレベルが炭酸清涼飲料(CSD)ボトル用途よりも低くなければならない。
【0004】
ポリエステルメルト又はポリエステルメルトの凝固によって生成されるその後の全てのポリエステル粒子の一般に望ましい特性の別の例は、低いビニル末端濃度という特性である。式:−CO2−CH=CH2によって表されるビニル末端は周知のAA前駆体である。溶融ポリエステル中でAAを発生する1つの一般に認められているメカニズムは、ポリエステルポリマー鎖の内部鎖切断によるビニル末端基及びカルボン酸末端基の形成である。ビニル末端基はヒドロキシエチル末端基又は水と反応して、残留又は遊離AAと新たな内部エステル結合を形成し得る。高濃度のビニル末端がこのように望ましくないのは、ポリエステルポリマーのその後の溶融加工の間にビニル末端が反応してAAを形成し得るためであることが一般に認識されている。
【0005】
AAのその後の生成は問題となり得るので、AA前駆体濃度の正確な定量的測定、特にビニル末端濃度の定量的測定を行うことは多くの点で有利である。例えば、ビニル末端を定量的に測定することによって、ボトル押出吹込成形装置の運転条件(例えば、特に運転温度、滞留時間)を調整して、成形プロセス中に発生するAAの量を最小限に抑えることは、ボトル製造業者にとって有利であろう。別の例においては、ビニル末端を定量的に測定することによって、既知の固相重合プロセスの運転条件を調整して、ポリエステルポリマー生成物をウォーターボトル及び/又はCSD用途にふさわしいものとするように充分なAAを除去することは、PETペレットの製造業者にとって有利であろう。更に別の例において、ビニル末端を定量的に測定することによって、ビニル末端の分解から予想されるAA発生量と釣り合うようにポリエステルポリマーへのAAスキャベンジャーの添加量を調整することが有利であろう。
【0006】
AA発生以外にも、ポリエステルポリマーのビニル末端濃度の定量的測定には別の利点がある。例えば、改質及び未改質ポリエステルポリマーの溶融熱安定性を改善するためには、オレフィン末端(例えばビニル末端)は通常は少ない方が好ましい。詳細には、ペレット、プレフォーム及び/又はボトル間に極限粘度数(intrinsic viscosity)のばらつきが大きいと、最終利用においてばらつきを生じ得るので、通常は望ましくない。炭酸飲料水又はウォーターボトルのような飲料用途の場合には、極限粘度数の差は通常は0.04dL/g以下、好ましくは0.03dL/g以下、最も好ましくは0.02dL/g以下である。更に、ビニル末端は重合して、PETの黄色変化の原因となり得るポリビニルエステルとなる可能性もあることがわかっている。
【0007】
高改質ポリエステルポリマー中のオレフィン末端濃度の周知の測定方法は、例えば非特許文献1(参考文献A)に報告されている。しかし、記載された方法は、一般に、ビニル末端ではなくシクロビニリデン及びメチルシクロヘキセン末端基の測定に関連している。シクロビニリデン及びメチルシクロヘキセン末端基は、シクロヘキサンジメタノール改質ポリエチレンテレフタレートポリマーに特有である。非特許文献1(参考文献A)はビニル末端濃度の2つの測定方法に言及している。記載されているいずれの方法にもかなりの欠点がある。第1の方法は、プロトン1H−NMR(プロトン核磁気共鳴)スペクトルの取得を利用する。第2の方法は、ビニル末端を臭素と反応させた後に電量的な臭素化を測定する学術論文(非特許文献2)に基づく変法である。この方法は、臭素と反応する他の化合物に対して補正を行うための第2の測定を必要とする。この方法はビニル末端基の分析に対して特異的でなく、この方法において記載した補正を行ったとしても、結果は臭素を消費する他の反応と混合されるであろう。
【0008】
非特許文献1(参考文献A)に報告されるように、PETホモポリマー中のビニル末端の量は、シクロヘキサンジメタノール改質ポリマー中のシクロビニリデン及びメチルシクロヘキセン末端基の含量に比較して少ない。更に、非特許文献1(参考文献A)はまた、PETホモポリマーに関して両方法を用いたビニル末端濃度の値の定量的差は実験誤差の結果であるか又はビニル末端ではなく他の不飽和種の存在の結果である可能性があることを示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Polymer Scienece A,volume 39,issue 5,665−674
【非特許文献2】J.G.M.Aalbers,and G.D.B. van Houwelingen,Fresenius Z Anal.Chem.,314(5),472−475(1983)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの方法は低濃度レベルでのビニル末端の検出に関しては感受性が低く且つ1つの方法がビニル末端ののみの検出に対して特異的というわけでないので、これらの方法は完全には満足できるものではない。従って、ビニル末端の測定に対して特異的であり、低いビニル末端濃度レベルについて感受性があり且つ正確であり、しかもPETホモポリマー中のビニル末端を測定する場合に有効に利用できる、ポリエステルポリマー、特にポリエチレンテレフタレートポリマー中のビニル末端濃度の測定方法を開発することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、ポリエステルポリマー中のビニル末端濃度の測定方法を提供することにある。本発明の一実施態様においては、
a)ポリエステルポリマーを、少なくとも1種のフッ素化カルボン酸又はフッ素化カルボン酸無水物を含む液体溶液を用いて溶解させて、無水混合物を形成し;
b)前記混合物を、フッ素又はフッ素含有化合物に関する定量的シグナルを生成する分析に供し;そして
c)前記定量的シグナルからビニル末端の量又は濃度を算出する
ことを含んでなるポリエステルポリマー中のビニル末端濃度の測定方法が提供される。
【0012】
本発明の別の実施態様においては、
a)ポリエステルポリマーを、少なくとも1種のフッ素化カルボン酸又はフッ素化カルボン酸無水物を含む液体溶液を用いて溶解させて、無水混合物を形成し;
b)任意的に、前記液体溶液又は前記混合物を約30〜300℃の温度に加熱し;
c)前記混合物を、フッ素又はフッ素含有化合物に関する定量的シグナルを生成する分析に供し;そして
d)前記定量的シグナルからビニル末端の量又は濃度を算出する
ことを含んでなるポリエステルポリマー中のビニル末端濃度の測定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
(原文に記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の発明の詳細な説明を参照することによってより理解し易くなるであろう。本発明の方法において、「ポリエステルポリマー」は、1種若しくはそれ以上のジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体を含むジカルボン酸部分とジオール部分を含む。ジカルボン酸部分の例としては、テレフタル酸、テレフタル酸誘導体、イソフタル酸、イソフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。ジカルボン酸部分の他の例としては、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸又は炭素数8〜12の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
【0015】
ジオール部分の例としては、エチレングリコール、炭素数が好ましくは6〜20の脂環式ジオール及び/又は炭素数が好ましくは3〜20の脂肪族ジオールが挙げられるが、これらに限定するものではない。このようなジオールのより具体的な例としては、ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;プロパン−1,3−ジオール;ブタン−1,4−ジオール;ペンタン−1,5−ジオール;ヘキサン−1,6−ジオール;3−メチルペンタンジオール−(2,4);2−メチルペンタンジオール−(1,4);2,2,4−トリメチルペンタン−ジオール−(1,3);2,5−エチルヘキサンジオール−(1,3);2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3);ヘキサンジオール−(1,3);1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン;2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン;2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン;並びに2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパン及びジエチレングリコールが挙げられる。
【0016】
特に問題なのは、ポリマー鎖中にアルキレンテレフタレート又はアルキレンナフタレート反復単位のようなアルキレンアリール反復単位を含むポリエステルポリマーである。これらの反復単位のより具体的な例としては、エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート及びトリメチレンテレフタレートが挙げられる。ポリエステルポリマーの一例は、
(i)テレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物の残基を、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%に基づき、少なくとも80モル%含むカルボン酸成分、及び
(ii)エチレングリコール又はプロパンジオールの残基を、ポリエステルポリマー中のヒドロキシル成分残基100モル%に基づき、少なくとも80モル%含むヒドロキシル成分
を含むものである。
【0017】
ポリエステルポリマーの一部であるカルボン酸基又はその誘導体を含む化合物は全て、「カルボン酸成分残基」を含む。ポリエステルポリマー中に存在するカルボン酸基又はその誘導体を含む化合物全てのモル%は、合計100となる。
【0018】
ポリエステルポリマーの一部であるヒドロキシル基又はその誘導体を含む化合物は全て、ヒドロキシル成分を含む。ポリエステルポリマー中に存在するヒドロキシル基又はその誘導体を含む化合物全てのモル%は、合計100となる。
【0019】
ポリエステルポリマーの別の例は、
(a)ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%に基づき、少なくとも90モル%、又は少なくとも92モル%又は少なくとも96モル%のテレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物の残基、より好ましくはテレフタル酸又はテレフタル酸誘導体の残基を含むカルボン酸成分及び
(b)ポリエステル中のヒドロキル成分残基100モル%に基づき、少なくとも90モル%、又は少なくとも92モル%、又は少なくとも96モル%のエチレングリコール又はプロパンジオールの残基、より好ましくはエチレングリコールの残基を含むヒドロキシル成分
を含むものである。
【0020】
本発明の一実施態様においては、ポリエステルポリマー中のビニル末端濃度の測定方法が提供される。ポリエステルポリマーを、少なくとも1種のフッ素化カルボン酸又はフッ素化カルボン酸無水物、好ましくは少なくとも1種のパーフルオロ化カルボン酸又はパーフルオロ化カルボン酸無水物を含む液体溶液と合する。フッ素化カルボン酸は、一般に、炭素と結合した水素原子の少なくとも1つがフッ素で置き換えられた直鎖もしくは分岐鎖脂肪族又は芳香族カルボン酸である。本明細書中で使用する用語「パーフルオロ化」は、炭素と結合した水素原子の全てがフッ素で置き換えられていることを意味する。適当なフッ素化酸及び無水物の例としては、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ヘプタフルオロ酪酸、パーフルオロペンタン酸、パーフルオロヘキサン酸、クロロジフルオロ酢酸、2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸、α,α,α−トリフルオロトルイル酸、ペンタフルオロ安息香酸及びそれらの無水物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0021】
使用するポリエステルポリマーの量は限定しない。しかし、本発明の方法の1つの利点は、この方法の感度及び精度が、ビニル末端濃度の定量的測定にポリエステルポリマーを少量しか必要としないようなものであることである。典型的には、液体溶液と合するポリエステルポリマーの量は、少なくとも0.01g又は少なくとも0.05g又は少なくとも0.1g又は少なくとも0.3gであって、且つ約1.0g以下又は約5.0g以下又は約10g以下又は約100g以下の範囲である。液体溶液の量は一般に、周囲温度においてポリエステルポリマーを溶解させるのに必要な量である。フッ素化又はパーフルオロ化酸又は無水物の量は一般に、ポリエステル中のビニル末端の数と反応するのに充分な数のフッ素化又はパーフルオロ化カルボン酸部分(酸又は無水物に由来)を提供するのに必要な量である。
【0022】
パーフルオロ化酸及び無水物、特にトリフルオロ酢酸及びトリフルオロ酢酸無水物並びにそれらの混合物は、広範な種類のポリエステルポリマーを可溶化又は溶解することができるので、本発明の方法において特に有効である。PET(ポリエチレンテレフタレート)ポリマー、より具体的にはCSD及びウォーターボトル用途に通常使用される高結晶化度のPETポリマーのペレットの具体例において、これらのペレットを溶解させるのに適切な溶媒を見つけることは困難である。
【0023】
米国特許第5,852,164号には、非特許文献1(参考文献A)に記載したのと同様か又はおそらく同一である、1H−NMR(プロトン核磁気共鳴)を用いたクロロホルム溶媒中の高改質ポリエステルポリマーのビニル末端の計数方法が記載されている。高改質ポリエステルポリマー、例えば30モル%超のシクロヘキサンジメタノールで改質されたポリエチレンテレフタレートは、一般に、結晶質ではなくて非晶質である。結晶化度が高く且つ平均分子量が大きいPETポリマーペレットに関してビニル末端を測定する場合において、米国特許第5,852,164号及び非特許文献1(参考文献A)に記載された方法は、ポリエステルがクロロホルム溶媒中に溶解しないか、或いはビニル末端のその後の計数の感度及び/又は精度に影響を与えるような過剰な溶媒対ポリエステル重量比を使用する必要があるので、一般的には適用できない。更に、記載された他の方法では、本発明の感度又は特異性でビニル末端濃度を測定することはできない。詳細には、ここで利用した方法の考察において、非特許文献1(参考文献A)は、電量的臭素化の欠点はビニル末端に対する特異性の欠如であることを示している。更に、非特許文献1(参考文献A)の考察部分において、1H−NMR法と変更された電量的臭素化法によって得られる濃度値の差は実験誤差の結果であるか又はポリマー中の他の不飽和種の存在の結果であり得ることが更に推測されている。更に、非特許文献1(参考文献A)は、ビニル末端基はかなりの熱分解を受けたPETサンプル中でしか検出できなかったので、1H−NMR法の欠点は感度の欠如であることを示している。おそらく、ポリマーの熱分解は、ビニル末端の定量的測定値を得るために1H−NMR法を使用できるようにビニル末端の数を増加させるのに必要であった。
【0024】
本発明において、パーフルオロ化酸及び無水物、特にトリフルオロ酢酸及びトリフルオロ酢酸無水物並びそれらの混合物は、フッ素核磁気共鳴(FMR)測定に対して感受性があり且つ識別性のあるFMRシグナルを生じる化学構造をポリマー内にもたらすので、特に有用である。従って、他の方法と異なり、本発明の方法はポリエステルポリマー中のビニル末端の計数に対して特異的で且つ感受性がある。詳細には、この方法の感度は、約0.5gのポリエステルサンプルの塊に基づき、ビニル末端が少なくとも0.01ミリモル/kg(ポリマー)(mmol/kg)又は少なくとも0.05mmol/kg又は少なくとも0.1mmol/kgであって且つ約0.5mmol/kg以下又は約10.0mmol/kg以下又は約100mmol/kg以下の範囲で検出可能なものである。他の方法と比べて、本発明は、ビニル末端基の測定に対してより感受性があり且つより特異的である。臭素化法の測定値の報告範囲は1〜20mmol/kgである。臭素化法の報告精度は1〜20mmol/kgのビニル末端濃度に関して0.25mmol/kgである。1H−NMR法は高精度の測定値又は範囲を報告しない。
【0025】
パーフルオロ化酸及び無水物中のポリエステルポリマーの溶解度は高いので、液体溶液中へのポリエステルポリマーの溶解は助けを借りずに進行し得る。しかし、本発明の一実施態様においては、ポリエステルポリマーと溶液との組合せを撹拌し且つ/又は加熱して、ポリエステルポリマーの分解及びビニル末端基の反応を促進することができることが示される。撹拌は、当業界で知られた任意の手段によって実施できる。例えば、撹拌は機械的撹拌によって達成できる。更に、加熱は当業界で知られた任意の手段によって実施できる。好ましい実施態様において、液体溶液又は溶液とポリマーとの混合物は約30℃まで又は約50℃まで又は約150℃まで又は約300℃まで加熱できる。液体溶液がトリフルオロ酢酸及びトリフルオロ酢酸無水物を無水条件下で含む場合においては、加熱及び撹拌を用いて、ビニル末端基と過剰のパーフルオロ化部分との反応を促進することができる。
【0026】
液体溶液及び/又は溶液とポリマーとの混合物はまた、他の化合物を含むことができる。例えば液体溶液はトリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸無水物及び溶媒の混合物であることができる。特に適当な溶媒としては、ポリエステルポリマーが若干の溶解度を示す液体(例えばクロロホルム)が挙げられる。一般に、適当な溶媒は脂肪族及び芳香族炭化水素、エステル及びエーテルを含むことができる。これらの溶媒は脂肪族炭化水素、エステル又はエーテルのハロゲン化誘導体であることができる。更に、これらの溶媒の分子を構成する任意の水素原子をジュウテリウム又はトリチウムで置換するか又は置き換えることができる。液体溶液及び/又は溶液とポリマーとの混合物はまた、フッ素含有化合物の存在がビニル末端濃度の測定を妨げない限りでは、フッ素を含む他の化合物を含むことができる。適当な化合物の例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、アセトニトリル、酢酸ブチル、tert−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、2−メトキシエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ニトロメタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、アニソール、ピリジン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、塩化メチレン、塩化メチレン−d2、クロロホルム、クロロホルム−d、クロロブタン、四塩化炭素ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラクロロエタン−d2、テトラクロロエチレン、クロロジフルオロ酢酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。更に、液体溶液及び/又は溶液とポリマーとの混合物中の水又はアルコールの存在は推奨されない。フッ素化及びパーフルオロ化酸部分はポリマーのビニル末端と反応する。液体中の水又はアルコールの存在は不所望な化学反応をもたらす恐れがある。例えば、水の存在は加水分解生成物の形成をもたらす恐れがある。ある状況下では、例えばトリフルオロ酢酸無水物のようなパーフルオロ化カルボン酸無水物を含む液体溶液及び/又は溶液とポリマーとの混合物を用いる場合には、化学量論的過剰の無水物を用いるのが好ましい場合がある。しかし、大過剰の無水物は一般に望ましくない。例えば、トリフルオロ酢酸及びトリフルオロ酢酸無水物を含む液体溶液を使用する場合には、ビニル末端を示す特定のフッ素化合物に関する定量的FMRシグナルのその後の分析は、トリフルオロ酢酸無水物に関連する見分けがつかないFMRシグナルである可能性がある。
【0027】
過剰量のフッ素化又はパーフルオロ化酸部分を使用する場合には、過剰量のフッ素化又はパーフルオロ化酸部分を除去するか又はビニル末端の定量的測定の妨げにならない1種又は複数の化合物に反応させる本発明の実施態様が提供される。例えば、液体溶液及び/又は溶液とポリマーとの混合物がトリフルオロ酢酸及びトリフルオロ酢酸無水物を含む場合には、フッ素に関する定量的シグナルを生じる分析に混合物を供する前に、トリフルオロ酢酸無水物部分の濃度を低下させるのが有利なことがある。混合物をFMR(フッ素核磁気共鳴)測定に供する場合には、トリフルオロ酢酸無水物は、ビニル末端基シグナルに比較してFMRスペクトルのシグナルサイズが大きいため、測定に関連する問題を引き起こす可能性がある。しかし、少量のトリフルオロ酢酸無水物が混合物中に残ることは有利でもあり得る。わずかに過剰のトリフルオロ酢酸無水物を使用して、水の導入による加水分解を防ぎ(即ち無水条件を保持し)且つトリフルオロ酢酸部分とビニル末端との反応を確実に完了させることができる。好ましい実施態様において、フッ素化又はパーフルオロ化酸部分対ビニル末端部分のモル比は、少なくとも約1:1(酸部分:ビニル末端部分)又は少なくとも約5:1又は少なくとも約10:1であって且つ約1000:1以下又は約10000:1以下又は約30000:1以下の範囲である。
【0028】
過剰のフッ素化又はパーフルオロ化部分の除去方法は、当業界で知られた任意の方法であることができる。例えば過剰のフッ素化又はパーフルオロ化部分(例えばフッ素化又はパーフルオロ化カルボン酸又は無水物)は蒸発又は蒸留によって除去できる。例えば、液体溶液及び/又は溶液とポリマーとの混合物がトリフルオロ酢酸無水物及びトリフルオロ酢酸を含む場合には、無水物は酸よりも実質的に低い沸点を有するので、液体溶液を加熱して無水物を優先的に蒸発させることによって無水物を除去することが可能である。別の例においては、凝縮器及び還流ヘッドを有する蒸留カラムを用いることによってトリフルオロ酢酸無水物のような低沸点成分を沸点がより的高い成分から選択的に分別蒸留して、無水物を除去することが可能であり得る。更に、全てのフッ素化又はパーフルオロ化部分の除去後に、前記フッ素化又はパーフルオロ化部分を含む任意の化合物の一定量を、前記液体溶液又はそれから得られる混合物に、直接的に又は間接的に、加え戻して、わずかに過剰のフッ素化又はパーフルオロ化部分を含む混合物を形成できる。
【0029】
本発明の好ましい実施態様においては、過剰量のフッ素化又はパーフルオロ化酸部分を、ビニル末端の定量的測定の妨げにならない1種又は複数の化合物に反応させることができる。例えば、トリフルオロ酢酸及び無水物を含む液体溶液及び/又は溶液とポリマーとの混合物を用いる場合には、全ての過剰無水物と反応できる非フッ素化有機酸を加えることができる。適当な有機酸としては、合計約20以下の炭素原子を含む非置換又は置換、飽和、脂肪族又は芳香族カルボン酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。非置換有機酸は典型的には2〜18個、好ましくは約2〜6個の炭素原子を含む。有機酸は、約12個以下の炭素原子を含むアルコキシ、塩素及び臭素のようなハロゲンから選ばれた1個又はそれ以上の、典型的には1個以下の炭素数約12以下の置換基で置換されることができる。有機酸は第2のカルボキシル基、例えばアジピン酸、アゼライン酸などで置換されることができる。有機酸は、好ましくは約2〜6個の炭素原子を含む非置換アルカン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、n−ブタン酸など)である。有機酸はまた、適当な有機酸の混合物を含むことができる。例えば約2〜6個の炭素原子を含む2種又はそれ以上のアルカン酸を含む混合物(例えば概ね90%の酢酸及び約10%のプロパン酸を含む混合物)を使用できる。有機酸は、非フッ素化酸部分対フッ素化部分の比が、フッ素化酸部分1部に対して非フッ素化酸部分少なくとも約2部から又はフッ素化酸部分1部に対して非フッ素化酸部分約3部から、フッ素化酸部分1部に対して非フッ素化酸部分約8部まで又はフッ素化酸部分1部に対して非フッ素化酸部分約10部までの範囲となるような量で使用できる。
【0030】
本発明の別の実施態様においては、フッ素又はフッ素化合物に関する定量的シグナルと比較できる標準の役割を果たすことができる少なくとも1種の化合物も添加するか又は存在させる。例えば、FMRを使用する特定の場合において、特定のフッ素化合物に関する定量的シグナルは多くの場合、既知の量で存在するフッ素を含む別の化合物に関する定量的シグナルに対して比較する。フッ素化合物の数は限定しない。しかし、適当なフッ素化合物は、周囲条件において液体であり且つ液体混合物中の他の化合物との化学反応性が全くないか又は最小である任意のフッ素化及び/又はパーフルオロ化化合物を含む。好ましくは、フッ素化及び/又はパーフルオロ化化合物は、液体混合物中の他のフッ素含有化合物と比較してはっきりと区別できる(即ち液体混合物中の他のフッ素含有化合物と重なり合わない)シグナルをFMRスペクトル内に示す。好ましいのは、α,α,α−トリフルオロトルエン、α,α,α−トリフルオロトルイル酸、(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、(トリフルオロメトキシ)トルエン、α,α,α−トリフルオロトルニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、オクタフルオロトルエン、トリフルオロアセトニトリル、トリフルオロアセトアミドのような(これらに限定するものではないが)フッ素含有化合物である。
【0031】
ポリエステルポリマー及び少なくとも1種のフッ素化カルボン酸又はフッ素化カルボン酸無水物を含む適当な混合物を生成したら、混合物を、ビニル末端基と反応したフッ素又はフッ素化合物に関する定量的シグナルを生じる分析に供する。フッ素に関するシグナルを生じる方法はたくさん知られている。フッ素は1/2の核スピン、強いシグナル及び大きい結合定数を有するので、NMR(核磁気共鳴)スペクトル分析が好ましい。更に好ましいのはFMRである。ビニル末端基と反応したフッ素検体に特異的なシグナルを提供する他の手段としては、ガスクロマトグラフィー、赤外分光法、ラマン分光法及び質量分析法が挙げられるが、これらに限定するものではない。一般に、市販の装置(例えばFMR装置、NMR装置、マススペクトロメーターなど)を用いて、定量的シグナルを提供できる。
【0032】
適当なシグナルが得られたら、ポリエステルポリマー中のビニル末端の量又は濃度を計算によって求める。典型的には、商業装置は、離散カウント又はスペクトルの形態でシグナルを生じる。例えば、FMR装置はスペクトルの形態で定量的データをもたらすことができ、曲線下の面積からビニル末端に関するシグナルを計算できる。面積シグナルを適切な周知の方法で測定し、計算の一環として既知標準のシグナルの面積と比較することによって、ポリエステルポリマー中のビニル末端の量及び/又は濃度を求めることができる。
【0033】
適当な計算が完了したら、ポリエステルポリマー中のビニル末端の濃度又は量の数値を報告するか又は表示する。この数値は、コンピュータースクリーン又はモニターのようなディスプレイ上に報告するか又は記録することができる。数値又は一連の数値はアーカイブメディアに報告又は記録できる。アーカイブメディアは、その後のアクセスのために数値を記録するのに使用される任意の有形物である。アーカイブメディアの例としては、紙のノート、ペーパージャーナル、コンピューター磁気記憶ドライブ、コンピューター光学記憶ドライブ及びメモリーチップが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【実施例】
【0034】
本発明をその実施態様のその他の例によって更に説明することができるが、これらの例は説明のためにのみ記載するのであって、本発明の範囲を限定するものではないことがわかるであろう。
【0035】
実施例1
ポリ(エチレンテレフタレート)ポリエステル中のビニル末端基の測定を、以下のようにして実施する。
【0036】
サンプル約0.4gを最も近いmgまで秤量し、Teflon被覆撹拌子と共に4ドラムスクリュートップバイアル中に入れる。新鮮な溶媒混合物(溶液A)を、クロロホルム−d(CDCL3,Aldrich Chemical Company)75部、トリフルオロ酢酸(TFA)19部及びトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)6部を測り取ることによって正確な容量比で調製する。サンプルバイアルに溶液Aを正確に4.00ml加え、バイアルを閉じ、ポリコーンスクリュートップクロージャーでシールする。バイアルをアルミニウムヒートブロック中で50℃に加熱し、16時間撹拌する。次いで、バイアルをヒートブロックから取り出し、冷却する。新鮮な溶液(溶液B)を、正確な容量比で2部の溶液Aと1部の酢酸を混合することによって調製する。バイアルクロージャーを開け、このバイアルに溶液Bを正確に1.00ml、α,α,α−トリフルオロトルエン(TFT)を正確に50μl加える。バイアルを閉じ、よく混合する。調製した溶液の一部をNMRチューブに装填し、Bruker Avance 500MHz装置上で、フッ素の19NMR実験の場合に定量的シグナルをもたらす条件を用いて、又は同様な能力を有するNMR装置で、NMRスペクトルを分析のために記録する。Key NMR装置の条件は;パルス遅延時間=5秒;掃引(sweep)幅=32.795ppm;平均走査数=512;データ点数=65536;線幅拡大=2.0Hzである。代表的なスペクトルを図1及び2に示す。α,α,α−トリフルオロトルエンピークに関する13.0ppmの化学シフトを基準とする。スピニングサイドバンドの面積を含む13ppmのα,α,α−トリフルオロトルエンピークの面積を、約0.4ppmのビニル末端基ピークの正確な面積と共に正確に測定する。ビニル末端基シグナルが隣接ピークからベースライン分割されない場合には、面積は曲線適合法又は他の許容され得る面積測定法を用いて測定できる。下記式においては、精度を高めるために、1.1の補正因子乗数を用いてビニル末端基の面積を補正する。この方法の標準偏差は5.6mmol/kgのビニル末端基レベルにおいては0.43mmol/kg、0.76mmol/kgのビニル末端基レベルにおいては0.11mmol/kgである。
【0037】
代表的な計算は以下の通りである:
ビニル末端基mmol/kg=((ビニル末端基の面積)×1.1×0.0595×1,000,000)÷((TFTピークの面積)×146.1×(サンプル重量gm))。
【0038】
比較例1
結晶化PETペレット0.06gをクロロホルム5mlに加え、50℃において48時間撹拌及び加熱した。観察によれば、ペレットは溶解もしないし、変形もしなかった。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリエステルポリマーを、少なくとも1種のフッ素化カルボン酸又はフッ素化カルボン酸無水物を含む液体溶液で溶解させて、無水混合物を形成し;
b)任意的に、前記液体溶液又は前記混合物を約30〜300℃の温度に加熱し;
c)前記未加熱又は加熱混合物を、フッ素又はフッ素含有化合物に関する定量的シグナルを生成する分析に供し;そして
d)前記定量的シグナルからビニル末端の量又は濃度を算出する
ことを含んでなるポリエステルポリマー中のビニル末端濃度の測定方法。
【請求項2】
前記ポリエステルポリマーがテレフタル酸又はそれのエステル形成性誘導体を含むジカルボン酸部分及びエチレングリコールを含むジオール部分を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリエステルポリマーがイソフタル酸又はそれのエステル形成性誘導体を含むジカルボン酸部分及びエチレングリコールを含むジオール部分を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリエステルポリマーがナフタレンジカルボン酸又はそれのエステル形成性誘導体を含むジカルボン酸部分及びエチレングリコールを含むジオール部分を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フッ素化カルボン酸が、炭素と結合した水素原子の少なくとも1つがフッ素で置き換えられた少なくとも1種の線状もしくは分岐鎖脂肪族又は芳香族カルボン酸を含んでなる(ここでパーフルオロ化は炭素と結合した水素原子が全てフッ素で置き換えられていることをいい、適当なフッ素化酸の例としては、これらに限定するものではないが、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ヘプタフルオロ酪酸、パーフルオロペンタン酸、パーフルオロヘキサン酸、クロロジフルオロ酢酸、2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸、α,α,α−トリフルオロトルイル酸、ペンタフルオロ安息香酸又はそれらの混合物が挙げられる)請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フッ素化カルボン酸無水物が、炭素と結合した水素原子の少なくとも1つがフッ素で置き換えられた少なくとも1種の線状もしくは分岐鎖脂肪族又は芳香族カルボン酸無水物、又は混合無水物を含んでなる(ここでパーフルオロ化は炭素と結合した水素原子が全てフッ素で置き換えられていることをいい、適当なフッ素化無水物の例としては、これらに限定するものではないが、モノフルオロ酢酸無水物、ジフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロ酪酸無水物、パーフルオロペンタン酸無水物、パーフルオロヘキサン酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸無水物、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸無水物、α,α,α−トリフルオロトルイル酸無水物、ペンタフルオロ安息香酸無水物又はそれらの混合物が挙げられる)請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記液体溶液又は前記混合物中のフッ素化カルボン酸部分対ビニル末端基のモル比が1:1〜30000:1である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記液体溶液又は前記混合物中のフッ素化カルボン酸部分対ビニル末端基のモル比が5:1〜10000:1である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記液体溶液又は前記混合物中のフッ素化カルボン酸部分対ビニル末端基のモル比が10:1〜1000:1である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記液体溶液又は前記混合物が少なくとも1種の溶媒を含み、前記溶媒がブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、アセトニトリル、酢酸ブチル、tert−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、2−メトキシエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ニトロメタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、アニソール、ピリジン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、塩化メチレン、塩化メチレン−d2、クロロホルム、クロロホルム−d、クロロブタン、四塩化炭素ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラクロロエタン−d2、テトラクロロエチレン又はクロロジフルオロ酢酸の少なくとも1種を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記液体溶液又は前記混合物が少なくとも1種の化学化合物標準を既知量で含み、前記標準がα,α,α−トリフルオロトルエン、α,α,α−トリフルオロトルイル酸、(トリフルオロメトキシ)ベンゼン、(トリフルオロメトキシ)トルエン、α,α,α−トリフルオロトルニトリル、ヘキサフルオロベンゼン、オクタフルオロトルエン、トリフルオロアセトニトリル、トリフルオロアセトアミド又はそれらの混合物のうちの少なくとも1種を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記定量的シグナルを1つ又はそれ以上の核磁気共鳴装置によって生成させる請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記核磁気共鳴装置がフッ素核磁気共鳴装置を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記定量的シグナルを1つ又はそれ以上のガスクロマトグラフィー装置によって生成させる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記定量的シグナルを1つ又はそれ以上の赤外分光装置によって生成させる請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記赤外分光装置がフーリエ変換赤外分光計を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記定量的シグナルを1つ又はそれ以上のラマン分光装置によって生成させる請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ポリエステルポリマーの前記溶解がポリエステルポリマー0.01〜100gの量である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ポリエステルポリマーの前記溶解がポリエステルポリマー0.05〜10gの量である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ポリエステルポリマーの前記溶解がポリエステルポリマー0.1〜5gの量である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記液体溶液又は前記混合物から過剰のフッ素化部分を除去する追加工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記液体溶液又は前記混合物からの過剰のフッ素化部分の前記除去が蒸発による請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記液体溶液又は前記混合物からの過剰のフッ素化部分の前記除去が蒸留による請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記液体溶液又は前記混合物内の過剰のフッ素化部分を非フッ素化有機酸と反応させる追加工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記非フッ素化有機酸が炭素数が合計約20以下の非置換又は置換、飽和、脂肪族又は芳香族カルボン酸のうち少なくとも1種を含んでなる(ここで、前記非置換有機酸が典型的には2〜18個、好ましくは約2〜6個の炭素原子を含み、前記有機酸が炭素数約12以下のアルコキシ、塩素及び臭素のようなハロゲンから選ばれた1個又はそれ以上の、典型的には1個以下の炭素数約12以下の置換基で置換されることができ、適当な化合物の例としては、これらに限定するものではないが、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、トルイル酸又はそれらの混合物が挙げられる)請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記液体溶液又は前記混合物の前記加熱が約50〜150℃の温度までである請求項1に記載の方法。
【請求項27】
ポリエステルポリマー内のビニル末端濃度又は量を数値として記載する方法であって、アーカイブメディア又はディスプレイ中又はその上に数値を報告することを含んでなり、前記数値が請求項1の方法によって得られたものである方法。
【請求項28】
ポリエステルポリマー内のビニル末端濃度又は量を数値範囲として記載する方法であって、アーカイブメディア又はディスプレイ中又はその上に数値範囲を報告することを含んでなり、前記数値範囲が請求項1の方法によって得られたものである方法。
【請求項29】
前記アーカイブメディアが紙のノート、ペーパージャーナル、コンピューター磁気記憶ドライブ、コンピューター光学記憶ドライブ、メモリーチップ又はそれらの組合せのうち少なくとも1つを含む請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記ディスプレイがコンピュータースクリーン又はコンピューターモニターを含む請求項27又は28に記載の方法。

【公表番号】特表2010−518377(P2010−518377A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548261(P2009−548261)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/000558
【国際公開番号】WO2008/097416
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】