説明

ビール酵母で発酵させたアルコール飲料からコラーゲン産生促進作用を有する組成物を製造する方法及びその組成物

【課題】 本発明は、ビール酵母で発酵させたアルコール飲料から、コラーゲン産生促進作用を有する組成物を製造する方法を提供する。
【解決手段】 炭酸ガスを除去する第1の工程と、アルコールを除去する第2の工程と、多糖及びタンパク質を除去する第3の工程と、イオン交換樹脂により精製する第4の工程とを備える、ビール酵母で発酵させたアルコール飲料からコラーゲン産生促進作用を有する組成物を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール酵母で発酵させたアルコール飲料からコラーゲン産生促進作用を有する組成物を製造する方法及びその組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールや発泡酒類などのビール酵母で発酵させたアルコール飲料は、全世界で年間1億4700万kl醸造され(2003年)、多くの人々に愛飲されている代表的な低アルコール飲料である。
【0003】
ビール及び発泡酒類などのビール酵母で発酵させたアルコール飲料は、麦芽をはじめとする各種穀類、ビール酵母、ホップ及び水を原料としている。したがって、これらのアルコール飲料には、糖質、タンパク質、アミノ酸類、ビタミン類、ミネラル類、アルコール類及びホップ抽出物などと多岐にわたる栄養成分がバランスよく含まれている。
【0004】
これまで、麹カビで発酵させた清酒などを利用した化粧品類、浴用剤、医薬部外品又は医薬品などが多数報告されている(特許文献1〜6)が、ビールについては、活性炭で処理することにより化粧料を製造する方法しか開示されていない(特許文献7)。
【0005】
一方、プロリンは、毛髪や皮膚中のコラーゲンやケラチンの産生を促進する作用を有することが報告されている(特許文献8及び9)。
【0006】
【特許文献1】特開平6−172124
【特許文献2】特開平8−81350
【特許文献3】特開平8−133960
【特許文献4】特開平8−168378
【特許文献5】特開平08−048612
【特許文献6】特開平9−110668
【特許文献7】特開2001−106610
【特許文献8】特開平10−087444
【特許文献9】特開2002−080321
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記ビールから化粧料を製造する方法は、単にアルデヒド類、ケトン類及び有機酸類などを除去することを目的としている。この方法により製造された化粧料の効果は、清涼感、しっとり感、洗浄効果、保湿効果が高いことにとどまっている。
【0008】
ビール酵母は発酵過程においてアミノ酸の1種であるプロリンを利用しないことがビール醸造業界では知られており、ビール酵母で発酵させたアルコール飲料にはプロリンが比較的多く含まれることが予想されるが、これまで、ビール酵母で発酵させたアルコール飲料からコラーゲン産生促進作用を有する組成物を製造する発想や試みはなかった。
【0009】
したがって、本発明は、ビール酵母で発酵させたアルコール飲料から、コラーゲン産生促進作用を有する新規な組成物を製造する方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ビールからコラーゲン産生促進作用を有する組成物を製造することに成功し、この組成物は、プロリンをはじめとするアミノ酸及びオリゴ糖などを含むことを見出した。さらに、驚くべきことに、この組成物はコラーゲン産生促進作用のほか、老化防止作用、保湿作用及び美白作用を有すること、並びにこの組成物を含む化粧品には皮膚を滑らかにする作用及び毛髪を保護する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、炭酸ガスを除去する第1の工程と、アルコールを除去する第2の工程と、多糖及びタンパク質を除去する第3の工程と、イオン交換樹脂により精製する第4の工程とを備える、ビール酵母で発酵させたアルコール飲料からコラーゲン産生促進作用を有する組成物を製造する方法を提供する。この方法により、ビール酵母で発酵させたアルコール飲料から皮膚に刺激を与えるアルコールや高分子の多糖及びタンパク質を除去するとともに、コラーゲン産生促進作用を有するプロリンなどのアミノ酸や保湿作用を有するオリゴ糖などの有効成分を抽出することが可能である。この方法により製造された新規な組成物は、コラーゲン産生促進作用のほか、老化防止作用、保湿作用及び美白作用を有する。
【0012】
上記ビール酵母で発酵させたアルコール飲料は、ビール、発泡酒及びビール様アルコール飲料からなる群より選択される少なくとも1つのアルコール飲料であることが好ましい。これらのアルコール飲料は、炭素源、窒素源、ホップ、ビール酵母及び水を原料とし、似たような製造方法で製造されているため、これらのアルコール飲料の1種、又は2種以上の混合物を原料に本発明の方法にしたがって製造された組成物は、プロリン及びオリゴ糖をはじめとする成分が似ていると予想される。したがって、これらのアルコール飲料からコラーゲン産生促進作用のほか、老化防止作用、保湿作用及び美白作用を有する新規な組成物を製造することが可能である。
【0013】
本発明の方法の第1の工程はアルコール飲料の撹拌により行われることが好ましい。アルコール飲料を撹拌するにより、化学変化を伴わず炭酸ガスを発生させ除去することが可能である。
【0014】
本発明の方法の第2の工程及び第3の工程は減圧濃縮により同時に行われることが好ましい。減圧減縮により、化学変化を伴わずアルコールを蒸発させ除去すると同時に、高分子の多糖やタンパク質を可溶化できなくして澱として除去することができる。
【0015】
本発明の方法の第4の工程は陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂による精製であることが好ましい。陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂の両方を用いることにより、除去したい色成分や香り成分を完全に除去することが可能である。また、この工程により、プロリンをはじめとするアミノ酸やオリゴ糖などが除去されず、最終産物である本発明の組成物に含ませることができる。
【0016】
本発明は、また、ビール酵母で発酵させたアルコール飲料から上記の方法により得られるコラーゲン産生促進作用を有する組成物を提供する。この組成物はプロリン及びオリゴ糖を含み、コラーゲン産生促進作用のほか、老化防止作用、保湿作用及び美白作用をも有する。また、この組成物をその用途に応じて、各種化粧品、育毛剤又は医薬部外品に配合することが可能である。
【0017】
本発明は、また、上記の組成物を含む化粧品を提供する。本発明の化粧品は、コラーゲン産生促進作用、老化防止作用、保湿作用及び美白作用を有する本発明の組成物を有効成分として含むことにより、美肌、保湿、美白、老化防止及び毛髪保護などの効果を発揮することが可能である。
【0018】
本発明は、また、上記の組成物を含む育毛剤を提供する。本発明の育毛剤は、コラーゲン産生促進作用、老化防止作用、保湿作用及び美白作用を有する本発明の組成物を有効成分として含むことにより、育毛、増毛及び発毛促進などの効果を発揮することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の方法によれば、ビール酵母で発酵させたアルコール飲料からコラーゲン産生促進作用を有する新規な組成物が得られる。この組成物は、コラーゲン産生促進作用のほか、老化防止作用、保湿作用及び美白作用を有する。この組成物を含む化粧品は皮膚を滑らかにする及び毛髪を保護するなどの作用を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0021】
まず、本発明に使用されるビール酵母で発酵させたアルコール飲料について説明する。本発明に使用されるアルコール飲料は、ビール、発泡酒及びビール様アルコール飲料などのビール酵母で発酵させたアルコール飲料を含む。これらのアルコール飲料は、市販されるものでよいが、製造過程における発酵後のものからビール酵母を除いたものでもよい。また、これらのアルコール飲料を単独に使用してもよいが、2つ以上を混合して使用してもよい。
【0022】
ビール及び発泡酒は、麦芽を主原料とし、米、コーン、スターチなどの澱粉質、ホップ及び水を副原料としてビール酵母で発酵させ製造されるアルコール飲料である。わが国の酒税法上、ビールは、水を除いた上記原料のうち麦芽の使用比率が66.7質量%以上であり、一方、発泡酒は、麦芽の使用比率が66.7質量%未満であると規定されている。
【0023】
ビール様アルコール飲料は、麦類及び麦芽を使用せず、少なくとも炭素源を含有するシロップ、窒素源、ホップ及び水を原料として、ビール酵母で発酵させ製造される、ビール及び発泡酒の香味、色及び泡などの特性に近似するアルコール飲料であり、わが国の酒税法上、その他の雑酒(2)に分類されている。このようなアルコール飲料は、例えば、エンドウ豆タンパクを原料に製造することができる。
【0024】
次に、本発明のコラーゲン産生促進作用を有する組成物の製造方法について説明する。本発明のビール酵母で発酵させたアルコール飲料からコラーゲン産生促進作用を有する組成物を製造する方法は、炭酸ガスを除去する第1の工程と、アルコールを除去する第2の工程と、多糖及びタンパク質を除去する第3の工程と、イオン交換樹脂により精製する第4の工程とを備える。以下、これらの工程を詳しく説明する。
【0025】
炭酸ガスが存在すると、後のイオン交換樹脂により精製する工程の精製効率を低減するため、先に除去することが好ましい。炭酸ガスを除去する工程としては、通常使用される方法であれば特に限定されないが、本発明に使用されるアルコール飲料の撹拌により行うことが簡便であり、化学変化を伴わないため特に好ましい。
【0026】
アルコールは皮膚に刺激を与えるため除去することが好ましい。アルコールを除去する工程としては、通常使用される方法であれば特に限定されないが、減圧濃縮により行うことが、化学変化を伴わないため特に好ましい。
【0027】
本発明に使用されるアルコール飲料に含まれる多糖やタンパク質、特に分子量5000以上の多糖及びタンパク質が本発明の組成物に含まれていると、時間の経過につれて不溶性成分として析出したり、濁りが生じたりすることがある。また、このような多糖及びタンパク質はアレルギーの要因となる場合もあるため、除去することが好ましい。多糖及びタンパク質を除去する工程としては、通常使用される方法であれば特に限定されないが、例えば、限外濾過法により除去することも可能であるが、減圧濃縮により可溶化できなくして澱として除去することも可能である。減圧濃縮を行うことによりアルコールをも同時に除去できるため、特に好ましい。
【0028】
本発明に使用されるアルコール飲料に含まれるアルデヒド類やケトン類などの色成分や香り成分は、化粧品や育毛剤の外観などの品質に影響を与えるほか、皮膚に刺激を与える場合があるため、除去することが好ましい。これらを除去する工程としては、通常使用される方法であれば特に限定されないが、イオン交換樹脂やイオン交換基を導入した吸着樹脂により精製することが好ましい。この場合は、イオン樹脂処理の効率を上げるために、炭酸ガス及び高分子の多糖やタンパク質を除去した後に行うことが好ましい。また、プロリンなどのアミノ酸がイオン交換樹脂により吸着除去されないように、イオン交換樹脂による処理の前に試料のpHを調製することが好ましい。使用されるイオン交換樹脂は、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂との両方であることが好ましく、種類としては、陽イオン交換樹脂の場合、例えばスルホン酸基やカルボン酸基を交換基とするもの、陰イオン交換樹脂の場合、例えば4級アンモニウム基や一級1、2、3アミン基を交換基とするものなど通常使用されるものであれば特に限定されない。陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とで処理する順番は特に限定されないが、処理順番によって投入する試料のpHを調整することが好ましい。例えば、先に陰イオン交換樹脂で処理する場合には、予め試料のpHを3.0〜5.0として、除去すべき色成分及び香り成分をイオン化しておいて、陰イオン交換樹脂により処理し陰イオンを除去してから、陽イオン交換樹脂により処理し陽イオンを除去する。逆に先に陽イオン交換樹脂を使用する場合には、予め試料のpHを8.0程度とする。
【0029】
本発明のコラーゲン産生促進作用を有する組成物の製造方法は、化粧品や育毛剤などに配合可能な組成物を製造するため、必要に応じて、さらに例えばpHや濃度の調整を行うなどの工程を含むことができる。
【0030】
本発明の化粧品は、化粧水、乳液、美容液、一般クリーム、クレンジングクリームなどの洗顔料、パック、髭剃り用クリーム、日焼けクリーム、日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼けローション、化粧石鹸、ファンデーション、おしろい、パウダー、口紅、リップクリーム、アイライナー、アイクリーム、アイシャドウ、マスカラ、浴用化粧品、シャンプー、リンス、染毛料、頭髪用化粧品などの各種化粧品を含む。化粧品中の本発明の組成物の配合量は、0.001〜100%の範囲内であればよいが、好ましくは0.1〜40%、より好ましくは0.5〜10%である。
【0031】
本発明の化粧品は、下記に列挙されているような、化粧品や医薬部外品などにおいて通常使用されている各種成分や添加剤の中から用途に適したものを任意に選択、併用して製造することができる。
【0032】
例えば、コラーゲン、コラーゲン加水分解物、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、エラスチン、エラスチン加水分解物、ラクトフェリン、ケラチン、ケラチン加水分解物、カゼイン、アルブミンなどのタンパク質及びタンパク質の加水分解物。
【0033】
ヒアルロン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、アルギン酸及びその塩、ペクチン、コンドロイチン硫酸及びその塩、水溶性キチン、キトサン誘導体及びその塩、デオキシリボ核酸、アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然高分子及びそれらの誘導体。
【0034】
甘草エキス、アロエエキス、カモミラエキス、シソエキス、などの植物組成物。酵母エキスなどの微生物由来物。海藻末や海藻エキス。プラセンタエキスなどの動物由来物。
【0035】
カルボキシビニルポリマー及びその塩、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース及びその塩などの酸性ポリマー、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロースポリビニルメチルエーテルなどの中性ポリマー。カチオン化セルロース、ポリエチレンイミン、カチオン化グアーガムなどのカチオン性ポリマー。
【0036】
エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類。グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類。
【0037】
パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、アントラニエール酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などの紫外線吸収剤。
【0038】
ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、リン酸L−アスコルビルマグネシウム及びその誘導体、ビタミンD群、酢酸d−α−トコフェノール、ビタミンE群、葉酸類、β−カロチン、γ−オリザノール、ニコチン酸、パントテン酸類、ビオチン類、フェルラ酸などのビタミン類。
【0039】
グリチルリチン酸及びその塩類、グアイアズレン及びその誘導体、アラントインなどの抗炎症剤。
【0040】
ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアセレテン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、パラヒドロキシアニソール、没食子プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポールなどの抗酸化剤。
【0041】
パラ安息香酸メチル、パラ安息香酸エチル、パラ安息香酸プロピル、パラ安息香酸ブチルなどのパラ安息香酸エステル類、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、フェノキシエタノール、安息香酸などの防腐剤。
【0042】
エデト酸、エデト酸二ナトリウムなどのエデト酸及びその塩類、フィチン酸、ヒドロキシエタンジスルホン酸などの金属イオン封鎖剤。
【0043】
L−アスパラギン酸、DL−アラニン、L−アルギニン、L−システイン、L−グルタミン酸、グリシンなどのアミノ酸類及びその塩。
【0044】
マルチトール、ソルビトール、キシロビオース、N−アセチル−D−グルコサミンなどの糖類。
【0045】
クエン酸、乳酸、α−ヒドロキシ酢酸、ピロリドンカルボン酸などの有機酸類及びその塩類。
【0046】
流動パラフィン、スクワラン、ワセリンなどの炭化水素類。
【0047】
オリーブ油、ヤシ油、月見草油、ホホバ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油などの油脂類。
【0048】
ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの脂肪酸類。
【0049】
ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール類。
【0050】
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、トリオクタン酸グリセリン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリルなどのエステル類。
【0051】
レシチン及びその誘導体などのリン脂質類。
【0052】
ウシ骨髄脂やウシ脳脂質などの動植物由来脂質。ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキル硫酸塩。
【0053】
ポリオキシエチレン(2EO)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン(なお、EOはエチレンオキサイドでEOの前の数値はエチレンオキサイドの付加モル数を示す。)、ポリオキシエチレン(3EO)アルキル(炭素数11〜15のいずれか又は2種以上の混合物)エーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキル硫酸塩。 ポリオキシエチレン(3EO)トリデシルエーテル酢酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩。
【0054】
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩。
【0055】
ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ラウロイルメチル−L−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸−L−グルタミン酸トリエタノールアミン。ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウムなどのN−アシルアミノ酸塩、エーテル硫酸アルカンスルホン酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、ウンデシノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム、オクチルフェノキシジエントキシエチルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸アミノスルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(炭素鎖12〜15)エーテルリン酸(8〜10EO)、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤。塩化ステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤。2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル−DL−ピロリドンカルボン酸塩などの両性界面活性剤。ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エーテル(7EO)、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルステアリルジエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール・ラノリン(40EO)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシプロピレンステアリルエーテルなどのノニオン性界面活性剤。
【0056】
イソステアリン酸ジエタノールアミド、ウンデシレン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪酸モノエタノールアミド、硬化牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸エタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸エタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラノリン脂肪酸ジエタノールアミドなどの増粘剤。
【0057】
鎖状又は環状メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンポリエチレングリコール共重合体、ジメチルポリシロキサンポリプロピレン共重合体、アミノ変性シリコンオイル、第四級アンモニウム変性シリコンオイルなどのシリコンオイル。
【0058】
その他、pH調整剤、着色料、香料、安定化剤、清涼剤、血流促進剤、角質溶解剤、収斂剤、創傷治療剤、増泡剤、口腔用剤、消臭・脱臭剤、抗アレルギー剤、細胞賦活剤と共に配合し、併用することもできる。
【0059】
本発明の育毛剤は、脱毛を防止し、毛髪を保護し、毛髪の成長を促すもの、又は毛髪が抜落後に新しい毛髪の発毛を促進するものを含む。本発明の育毛剤の形態は、ローション、エアゾール、ゲル、ゼリー、及びクリームなどでよいが、特にこれらの形態に限定されることはない。育毛剤中の本発明の組成物の配合量は、0.001〜100%であればよいが、好ましくは0.1〜40%、より好ましくは0.5〜10%である。本発明の育毛剤には、必要に応じて、溶解補助剤、界面活性剤、乳化安定剤、及び吸収促進剤などを配合してもよい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
(実施例1 ビール抽出物の調製)
原料として20Lの市販ビールを使用した。まずビールを撹拌し炭酸ガスを発生させ除去した。次に、減圧濃縮機(柴田科学、R−250など)を用い、アルコールを除去するとともにビールを濃縮した。濃縮により可溶化できなくなって澱となった高分子の多糖及びタンパク質を除去した後、1.8Lの濃縮液を得た。濃縮液を5Lに希釈するとともに、pHを5.0に調整した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学ダイヤイオン(登録商標)WA21J)を用いて、空間速度10L/hrで処理した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学ダイヤイオン(登録商標)WK40)で処理した。得られた処理液を固形物が5%になるように濃度を調整し、同時にpHを6.5に調整した。フェノキシエタノールなどの防腐剤を所定量添加し、0.2μmのろ過膜により無菌ろ過を行い、最終的に7Lの無色透明の液体を得た。以下、この液体をビール抽出物と称する。
【0062】
上記ビール抽出物の成分分析を行った。具体的に、pH値はガラス電極法により、固形分は105℃乾燥減量法により、全窒素量はケルダール法により、全糖量はグルコースを基準としたフェノール硫酸法により、直鎖オリゴ糖量は糖分析HPLC(日本ダイオネクス社)で、遊離アミノ酸量はアミノ分析機JCL500(日本電子社)で測定を行った。その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
(実施例2 コラーゲン産生促進試験)
直径35mmの細胞培養用プラスチックシャーレに、10%FBSを含むDMEM培地2mL、ヒト由来正常線維芽細胞を4×10個/シャーレで添加し、5%CO濃度、37℃で24時間培養した。細胞がコンフルエントになったのを確認後、細胞をリン酸緩衝液で十分に洗浄し、所定濃度(v/v)のビール抽出物を含む無血清DMEM培地を添加して72時間培養した。細胞の産生するコラーゲン量は、タカラバイオメディカル製PIP EIA Kitを用いて、培養上清中のコラーゲン量を測定することにより測定した。ビール抽出物を加えないものをコントロールとした。測定の結果を表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
表2に示したように、ビール抽出物には顕著なコラーゲンの産生促進作用を有し、その作用は濃度依存的であることを判明した。
【0067】
(実施例3 細胞賦活試験)
直径35mmの細胞培養用プラスチックシャーレに、10%FBSを含むDMEM培地2mL、ヒト由来正常線維芽細胞を1.5×10個/シャーレで添加し、5%CO濃度、37℃で24時間培養した。細胞の伸展と定着を確認した後、培地を捨て、細胞をリン酸緩衝液で3回洗浄し、所定濃度(v/v)のビール抽出物を含む10%FBS入りDMEM培地を添加してさらに48時間培養した。トリプシン−EDTA処理により細胞を剥離し、細胞数を血球計算盤により計測した。結果を表3に示す。
【0068】
【表3】

【0069】
表3に示したように、ビール抽出物は顕著な細胞増殖促進作用、すなわち細胞賦活作用を有することを判明した。
【0070】
(実施例4 保湿作用試験)
直径35mmの細胞培養用プラスチックシャーレに、10%FBSを含むDMEM培地2mL、ヒト由来正常線維芽細胞を1.5×10個/シャーレで添加し、5%CO濃度、37℃で7日間培養した。細胞がコンフルエントになったのを確認後、細胞をリン酸緩衝液又はビール抽出物を1%含むリン酸緩衝液で2mL×3回で洗浄した。細胞に乾燥負荷を与えるために、シャーレの蓋を取り、5%CO濃度、37℃で、95%以上の湿度で一定時間乾燥処理した。乾燥処理後、生細胞数をMTTアッセイ法により測定した。生細胞数比を(生細胞数比=ビール抽出物含有リン酸緩衝液処理の生細胞数/リン酸緩衝液処理の生細胞数)の式により計算した。結果を表4に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
表4に示したように、ビール抽出物は明らかな保湿作用を有することを判明した。
【0073】
(実施例5 メラニン生成抑制試験)
表面積25cmの細胞培養用ボトルに10%FBSを含むDMEM培地10mL、メラニン生産細胞であるB16細胞の懸濁液(2.5×10個/mL、10%FBSを含むDMEM培地)1mLを添加し、CO濃度5%、37℃で24時間培養した。所定濃度(v/v)のビール抽出物を含む10%FBS入りDMEM培地を添加して、3日間培養した後、同量の培地及び試料を取り換え、更に3日間培養した。トリプシン−EDTA処理により細胞を剥離し、得られた細胞を1000ppmで1分間遠心分離して、上澄みを取り除いた後、細胞の色相を観察した。コウジ酸を0.01%(v/v)添加したものをポジティブコントロールとし、試料を加えないものをコントロールとした。結果を表5に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
表5に示したように、ビール抽出物は顕著なメラニン生成抑制作用、すなわち美白作用を有することを判明した。
【0076】
(実施例6 化粧水の製造)
表6の処方に従い、(1)〜(10)の原料を80℃で混合撹拌し、溶解後室温に冷却し、化粧水を得た。得られた化粧水はいずれも清澄であり、かつ40℃、RH75%の条件下に3か月間保存しても白濁を生じることなく安定であった。
【0077】
【表6】

【0078】
この化粧水について、専門パネラー10名による官能試験を行なった。評価は下記(1)〜(3)の項目についてそれぞれ5段階の評点評価を実施した。パネラー10名の評点の平均を表7に示す。
【0079】
(1) 肌のしっとりさ
1.かさつく
2.ややかさつく
3.普通
4.ややしっとりする
5.しっとりする
(2) 肌の滑らかさ
1 ざらつく
2 ややざらつく
3 普通
4 やや滑らか
5 滑らか
(3) 肌のべたつき
1 べたつく
2 ややべたつく
3 普通
4 ややさっぱり
5 さっぱり
【表7】

【0080】
表7に示したように、ビール抽出物を配合した実施品は、ビール抽出物無配合の比較品に比べて優れた保湿性及び皮膚平滑性を有することを判明した。
【0081】
(実施例7 シャンプー剤の製造)
表8の処方に従い、(1)〜(8)の原料を70℃で混合撹拌し、室温まで冷却させてシャンプー剤を得た。
【0082】
【表8】

【0083】
得られた製品を用いて洗髪したところ、髪の感触が滑らかで、髪に潤いを与えるものであることを判明した。
【0084】
(実施例8 クリーム剤の製造)
表9に示す処方に従い、(1)〜(7)の原料を80℃で混合撹拌したものに、別途(8)〜(12)の原料を80℃で混合攪拌したものを加え、ホモジナイズし、攪拌しながら室温まで冷却し、クリーム剤を得た。
【0085】
【表9】

【0086】
得られた製品は使用中にべたつかず、肌をしっとりとさせるものであることを判明した。
【0087】
(実施例9 ボディジェル剤の製造)
表10の処方に従い、(1)〜(8)の原料を混合撹拌し、溶解する。
【0088】
【表10】

【0089】
得られた製品は使用中にべたつかず、肌をしっとりとさせるものであることを判明した。
【0090】
(実施例10 ヘアパック剤の製造)
表11に示す処方に従い、(1)及び(2)の原料を80℃混合撹拌したものに、別途(3)〜(13)の原料を80℃で混合撹拌したものを加え、80℃で混合攪拌しながら(14)及び(15)の原料をさらに添加し混合攪拌し、室温まで冷却し、ヘアパック剤を得た。
【0091】
【表11】

【0092】
得られた製品を用いて髪のトリートメントをしたところ、髪の感触が滑らかで、髪に潤いを与えるものであることを判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビール酵母で発酵させたアルコール飲料からコラーゲン産生促進作用を有する組成物を製造する方法であって、
炭酸ガスを除去する第1の工程と、
アルコールを除去する第2の工程と、
多糖及びタンパク質を除去する第3の工程と、
イオン交換樹脂により精製する第4の工程と
を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記ビール酵母で発酵させたアルコール飲料が、ビール、発泡酒及びビール様アルコール飲料からなる群より選択される少なくとも1つのアルコール飲料であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1の工程が、アルコール飲料の撹拌により行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第2の工程及び第3の工程が、減圧濃縮により同時に行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記第4の工程が、陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂による精製であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により得られる組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物を含む化粧品。
【請求項8】
請求項6に記載の組成物を含む育毛剤。

【公開番号】特開2007−39397(P2007−39397A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227011(P2005−227011)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)
【出願人】(000240950)片倉チッカリン株式会社 (24)
【Fターム(参考)】