説明

ピッキング設備およびピッキング方法

【課題】1種類の集品容器によりピッキング作業と詰め合わせ作業を併せて実行でき、コストを削減でき、さらに複数の集品容器により形成される群の境目を明確に認識でき、物品の詰め合わせミスを改善できるピッキング設備を提供する。
【解決手段】搬送ラインBにより搬送される、袋掛けされた各集品容器10に、フローラック15より取り出した物品11を投入する対象の集品容器10であることを示す投入作業指示の表示を行う第1の機能を備えた投入表示器26を設け、各投入表示器26に、投入表示器26が設けられた集品容器10に関する情報として、例えば群の情報の表示を行う第2の機能を備え、投入表示器26は、ストレージラインAにおいて集品作業を行うとき、前記第1の機能による表示を行い、封印エリアDおよび詰め替えエリアEにおいて集品容器10から袋27ごと物品を取り出す作業を行うとき、前記第2の機能による表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品のピッキング作業を行うピッキング設備およびピッキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の配送センターや倉庫等におけるピッキング設備では、顧客から注文された物品をピッキングして、コンテナ等の集品容器へ投入する、いわゆるピッキング作業が行われる。このようなピッキング作業の中でも、複数の顧客で商品をまとめて注文して購入する共同購入方式のように、複数の顧客によりグループが形成されている場合等には、顧客毎に注文された物品をピッキングして、集品容器に投入した物品を、更にグループ毎に、詰め合わせを行って(まとめて)から出荷を行うことが望ましい。
このような顧客毎に集品容器に集品した物品を、更にグループ毎に、詰め合わせを行ってから出荷を行うピッキング設備が特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0003】
まず特許文献1に開示されたピッキング設備について説明する。
このピッキング設備では、出荷容器(親箱)を供給する出荷容器供給用のコンベヤと、集品容器(子箱)を供給する集品容器供給用のコンベヤとが配置され、所定の合流部で出荷容器供給用のコンベヤが集品容器供給用のコンベヤに合流されている。前記集品容器供給用のコンベヤは、循環ライン(エンドレス)となっている。合流部の下流には、顧客とグループを特定するラベルを印刷するラベラーが配置されている。また、前記集品容器供給用のコンベヤに沿って、物品を収納した棚(ピッキング部)が配置され、袋掛けされた前記出荷容器および集品容器に対して、各出荷容器と集品容器にそれぞれ割り当てられた顧客の注文に応じて、前記棚から取り出した物品が投入され、集品されるように構成されている。
【0004】
上記ピッキング設備における動作を説明する。
出荷容器及び集品容器に袋(容器)が掛けられ、出荷容器が、1以上の集品容器に合流される。次に、出荷容器自体に、前記グループを特定するラベルが貼り付けられ、出荷容器の袋および各集品容器の袋に、前記顧客を特定するラベルが貼り付けられる。次に、出荷容器および集品容器の袋にそれぞれ、各顧客から注文された物品が、棚から取り出されて投入され、集品される。次に、各出荷容器と集品容器は全ての集品が終了すると、それぞれ袋の口が閉じられ、集品容器の袋が出荷容器に詰め合わされ、出荷容器が出荷される。
このように、顧客毎に、袋に物品がピッキングされ、グループ毎に、出荷容器に前記袋が分別して詰め合わされて、出荷されるため、出荷先において、出荷容器内の物品を顧客毎に再仕分けする作業が不要となる。
【0005】
次に、特許文献2に開示されたピッキング設備について説明する。
この特許文献2に開示されたピッキング設備は、物品を投入する、袋掛けされた複数の集品容器によりグループが形成されている。これら集品容器のうち、最下流の集品容器は出荷容器して機能し、残余の集品容器は通常の集品容器として機能する。これらの集品容器をコンベヤ装置により搬送しながら、各集品容器にそれぞれ、各顧客から注文された物品が、棚から取り出されて投入され、集品される。全ての物品の投入が完了すると、集品容器内の物品が投入された袋が閉じられ、グループを形成する集品容器内の袋が最下流の集品容器(出荷容器)に詰め合わされ、出荷容器の出荷が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2964437号公報
【特許文献2】特許第3994687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1および特許文献2に記載の従来のピッキング設備では、作業者に、集品作業時は、ラベルの表示により各集品容器あるいは出荷容器に対してそれぞれ、集品作業の実行のための情報が示されているが、物品の集品作業が実行された後には、各集品容器あるいは出荷容器に対してそれぞれ何ら物品を取り出す作業を実行するときの集品容器に関する情報、例えば、物品が正確に集品してあるのか確認するための情報(検品を行うため総数)が示されないために、各集品容器あるいは出荷容器に対する作業の効率が悪くなり、作業が混乱する恐れがあった。
また特許文献1に記載の従来のピッキング設備では、2種類の容器、すなわち出荷容器と集品容器が必要となるために、2種類の容器を別々に用意する必要があり、コストが膨らむという問題があった。さらに出荷容器供給用コンベヤと、集品容器供給用コンベヤが必要となるため、ピッキング設備のコストが高くなるという問題があった。
また、特許文献2に記載の従来のピッキング設備では、集品容器により形成されるグループの切れ目が表示されないため、グループの切れ目が作業者により認識しづらいものとなり、物品の詰め合わせミスを招く可能性があった。
【0008】
そこで、本発明は、各集品容器毎に、集品作業時に集品作業の表示を行うことができ、集品作業終了時に、集品容器に関する情報の表示を行うことができるピッキング設備およびピッキング方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る発明は、物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有する物品保管手段を備え、前記物品保管手段に沿って、それぞれ仕分け先、または仕分け先の物品要求情報が割り付けられた複数の集品容器を搬送する搬送手段を備え、前記仕分け先の物品要求情報に応じて、前記物品保管手段の物品収納部から取り出した物品を集品容器に投入する集品作業を行い、集品が終了すると、集品容器に集品された物品を出荷するピッキング設備であって、
前記各集品容器に、前記物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを示す投入作業指示の表示を行う第1の機能を備えた投入表示器を設け、前記投入表示器に、この投入表示器が設けられた集品容器に関する情報の表示を行う第2の機能を備え、前記投入表示器は、前記集品作業を行うとき、前記第1の機能による表示を行い、前記集品が終了して集品容器に集品された物品に対する、前記集品作業とは別の作業を行うとき、前記第2の機能による表示を行うことを特徴とするものである。
【0010】
上記構成によれば、各集品容器に設けられた投入表示器は、第1の機能による表示と、第2の機能による表示が切換え可能とされ、集品作業を行うとき、前記物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを示す投入作業指示が表示され、集品が終了して集品容器に集品された物品に対する、前記集品作業とは別の作業を行うとき、投入表示器が設けられた集品容器に関する情報が表示される。作業者は、これら表示により、集品作業を実行できるとともに、集品作業の終了後、集品容器に関する情報に基づいて集品容器に集品された物品に対する、前記集品作業とは別の作業を行うことができる。
【0011】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、前記投入表示器は、前記第2の機能の表示として、前記投入表示器が設けられた前記集品容器内へ前記仕分け先の物品要求情報に応じて集品された物品の総数の表示を行うことを特徴とするものである。
【0012】
上記構成によれば、集品容器に設けられた投入表示器により、集品容器内へ仕分け先の物品要求情報に応じて集品された物品の総数の表示が行われる。これにより、集品容器へ、集品作業により物品が正しく集品されているか否かの検品作業を行うことが可能とされ、設備の信頼性を向上させることができる。
【0013】
また請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明であって、前記各集品容器により予め群を形成し、前記投入表示器は、前記第2の機能の表示として、前記搬送手段により搬送されている各集品容器が形成している群を判別可能とする表示を行うことを特徴とするものである。
上記構成によれば、投入表示器により、搬送手段により搬送されている各集品容器が形成している群が判別可能に表示される。これにより、集品容器を形成する群を認識でき、群毎に出荷するとき等に、誤って出荷する恐れが低減される。
また請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、前記投入表示器は、前記第2の機能の表示として、投入表示器が設けられた集品容器が、形成している前記群の先頭を搬送されているときには、群の先頭であること、または投入表示器が設けられた集品容器が、形成している前記群の終端を搬送されているときには、群の終端であることの少なくともいずれか一方の表示を行うことを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、形成している群において先頭を搬送されている集品容器に設けられた投入表示器による、群の先頭であること、形成している群において終端を搬送されている集品容器に設けられた投入表示器による、群の終端であることの少なくともいずれか一方の表示が行われる。これにより、群の終端と、次の群の先頭との境目(群、グループの切れ目)が明確に認識されるため、集品容器が別の群に認識される可能性を低減でき、設備の信頼性を向上させることができる。
【0015】
また請求項5に係る発明は、物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有する物品保管手段を備え、前記物品保管手段に沿って、それぞれ仕分け先、または仕分け先の物品要求情報が割り付けられた複数の集品容器を搬送する搬送手段を備え、前記仕分け先の物品要求情報に応じて、前記物品保管手段の物品収納部から取り出した物品を集品容器に投入する集品作業を行い、集品が終了すると、集品容器に集品された物品を出荷するピッキング方法であって、
前記各集品容器に対して、前記集品作業を行うとき、前記物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを示す投入作業指示の表示を行い、集品が終了して集品容器に集品された物品に対する、前記集品作業とは別の作業を行うとき、この集品容器に関する情報の表示を行うことを特徴とするものである。
【0016】
上記方法によれば、各集品容器に対して、集品作業を行うとき、物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを示す投入作業指示が表示され、集品が終了して集品容器に集品された物品に対する、前記集品作業とは別の作業を行うとき、この集品容器に関する情報が表示される。作業者は、これら表示により、集品作業を実行できるとともに、集品容器に関する情報に基づいて集品容器に集品された物品に対する、前記集品作業とは別の作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のピッキング設備およびピッキング方法は、集品作業を行うとき、物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを示す投入作業指示が表示され、集品が終了して集品容器に集品された物品に対する、前記集品作業とは別の作業を行うとき、投入表示器が設けられた集品容器に関する情報が表示されることにより、作業者は、これら表示により、集品作業を実行できるとともに、集品作業の終了後、集品容器に関する情報に基づいて集品容器に集品された物品に対する、前記集品作業とは別の作業を行うことができ、作業効率を改善できる、という効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態におけるピッキング設備の概略構成図である。
【図2】同ピッキング設備の投入表示器の表示切換の説明図である。
【図3】同ピッキング設備のストレージラインの要部斜視図である。
【図4】同ピッキング設備のストレージラインの側面図である。
【図5】同ピッキング設備のストレージラインの要部平面図である。
【図6】同ピッキング設備の投入表示器を取り付けた集品容器の斜視図である。
【図7】同ピッキング設備の投入表示器の図であり、(a)は斜視図、(b)は制御構成図である。
【図8】同ピッキング設備の封印エリアと詰め替えエリアの斜視図である。
【図9】同ピッキング設備の封印エリアの制御構成図である。
【図10】同ピッキング設備の詰め替えエリアの制御構成図である。
【図11】同ピッキング設備の全体制御構成図である。
【図12】同ピッキング設備の投入表示器に対する通信制御構成図である。
【図13】同ピッキング設備の送信データを説明する図であり、(a)は送信データの構成図、(b)〜(d)は送信データに使用するコードの説明図である。
【図14】同ピッキング設備の投入表示器の表示切換の制御構成図である。
【図15】同ピッキング設備の具体的な送信データの構成を示す図であり、(a)は表示切換コントローラによる寄せエリアにおける指令データの構成図、(b)はゾーンコントローラによるストレージライン(集品エリア)における指令データの構成図である。
【図16】同ピッキング設備の全体ピッキングデータを示す図である。
【図17】同ピッキング設備の各ゾーンにおける制御構成図である。
【図18】同ピッキング設備のゾーンコントローラにおける制御ブロック図である。
【図19】同ピッキング設備の各ゾーンにおける集品容器の移動の説明図である。
【図20】(a)は同ピッキング設備のストレージラインの作業者の作業範囲を説明する図であり、(b)は投入ゾーンを集品容器2個分下流側へずらしたときの説明図である。
【図21】本発明の他の実施の形態におけるピッキング設備の投入表示器の動作説明図である。
【図22】本発明の他の実施の形態におけるピッキング設備の集品容器が搭載されるトレイに関する図であり、(a)はトレイの斜視図、(b)は、トレイに対して集品容器を搭載するエリアの斜視図である。
【図23】本発明の他の実施の形態におけるピッキング設備の投入表示器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。このピッキング設備は、個別の予め登録されたユーザー(仕分け先の一例)からオーダー(注文;物品要求情報)を受けた物品を、ユーザーのオーダーが割り付けられた集品容器に集めて配送するピッキング設備である。なお、本ピッキング設備では、複数のユーザーにより配送方面別のグループ(群の一例)が形成されている。
図1に本発明の実施の形態におけるピッキング設備の概略構成図を示す。
ピッキング設備は、
集品される物品11(図3)が収納される収納箱12(図3)が保管されるストレージラインAと、
ピッキングされた物品11を収納する集品容器10を循環搬送する搬送ラインB(搬送手段の一例)と、
ストレージラインAにおいて、ピッキング作業が終了して搬送ラインBにより搬送されてきた集品容器10内の物品11を封印する封印エリアDと、
封印エリアDより下流に配置され、搬送ラインBにより搬送されてきた集品容器10の封印済み物品11(集品済み物品11)を寄せ箱(出荷箱)13へ詰め替える詰め替えエリアEと、
詰め替えエリアEより搬送ラインBにより搬送されてきた集品容器10(物品11の詰め替えが終了して空となった集品容器10)に袋掛けを行う袋掛けエリアFと
から構成されている。
【0020】
『ストレージラインA』;ストレージラインAは、図1〜図5に示すように、フローラック(物品保管部の一例)15から構成され、フローラック15は、1種類(1品目)の物品11が収納された収納箱12が載置される(収納される)間口16(物品収納部の一例)を複数列有する棚17を、上下に複数段(本実施の形態では3段;3段以上が好ましい)配置して構成され、複数の間口16(本実施の形態では、棚が3段で、間口が8列の計24個)毎に、集品容器10へ集品する物品11の取り出し作業を実行するピッキングゾーンP(ゾーンの一例)が設定(形成)されている。そして、ピッキングゾーンP毎にそれぞれ、ピッキング作業を行う作業者(ピッキング作業者)Hが1人ずつ配置され、ゾーンコントローラ24(図17)が備えられている。またこれら作業者Hを挟んで、ストレージラインA(フローラック15)と搬送ラインB(後述する、第1直進搬送ライン21A)は反対側に配置されている。
【0021】
またフローラック15の各棚17の先端(搬送ラインBに面する作業者Hの端部)で、各間口16の前面にはそれぞれ、取り出す物品11の数量を表示する数量表示器19Aと、ランプ部を有する完了押釦スイッチ19Bから構成された間口表示器19が設けられ、最下段の棚17より上の棚17の間口16に設けられた間口表示器19の表示の向きは、正面(作業者H側の面)の向きとされ、最下段の棚17の間口16に設けられた間口表示器19の表示の向きは、斜め前方(搬送ラインB側)の向きとされ、それぞれ異なる表示の向きとされている。また完了押釦スイッチ19Bのランプ部の色(ランプの色)は、ピッキングゾーンP毎に交互に異なる色(本実施の形態では、奇数ゾーンは赤色、偶数ゾーンは緑色)としている。また前記収納箱12は、上面が開放され、物品11を上方から取り出すことできる箱(ボックス)にて構成とされている。
【0022】
またフローラック15には、ピッキングゾーンP毎に、上流位置に、ピッキング対象の物品11(収納箱12)が収納された間口16が存在する棚17の段数をそれぞれ表示する複数個(本実施の形態では、棚が3段なので3個)のランプ20Aを縦方向に並べてなるベイ表示器20が設けられている。
作業者Hは、ベイ表示器20の表示により、ピッキング対象の物品11(収納箱12)が収納された間口16が存在する棚17の段数を特定し、各間口表示器19の表示に従って、間口16(収納箱12)から物品11をピッキングして集品容器10に投入する。
【0023】
『搬送ラインB』;搬送ラインBは、図1および図2に示すように、集品容器10を循環する循環ラインを構成しており、フローラック15に沿って集品容器10を搬送する第1直進搬送ライン21Aと、第1直進搬送ライン21Aと平行で搬送方向を逆としている第2直進搬送ライン21Bと、第1直進搬送ライン21Aの下流端と第2直進搬送ライン21Bの上流端を連結する第1カーブ搬送ライン21Cと、第2直進搬送ライン21Bの下流端と第1直進搬送ライン21Aの上流端を連結する第2カーブ搬送ライン21Dとから構成されている。
【0024】
第1直進搬送ライン21A、および袋掛けエリアFの袋掛機60(後述する)の周囲を除く第2直進搬送ライン21Bは、アキュムレーションコンベヤ(集品容器1個毎に蓄積・移動可能で、集品容器が互いにぶつからないで集積するように設計されたコンベヤ)から構成され、1個の集品容器10毎に、集品容器10を蓄積・順送り可能なアキュムレーション部22を備えており、各アキュムレーション部22はそれぞれ、公知のように、前に空き(集品容器10が存在しない)のアキュムレーション部22があるとき、集品容器10を前送りする機能を有している。
【0025】
また2本のカーブ搬送ライン21C,21D、および袋掛けエリアFの袋掛機60の周囲の第2直進搬送ライン21Bは、駆動ローラコンベヤから構成されている。
また第1直進搬送ライン21Aに、図1、図3および図5に示すように、各ピッキングゾーンPに対応して、ピッキングゾーンPにおいて取り出した物品11の投入対象となる複数の集品容器10を区分する投入ゾーンZを設定(形成)しており、投入ゾーンZ毎に、上記アキュムレーション部22は、複数個(実施の形態では6個)設けられ、すなわち各投入ゾーンZは、最大6個(複数個の一例)の集品容器10を蓄積・順送り可能とされている。また投入ゾーンZ毎にそれぞれ、テープスイッチ23が備えられている。
【0026】
また上述したようにアキュムレーション部22は、集品容器10を前送りする機能を有しているが、各投入ゾーンZの最下流に位置するアキュムレーション部22には、前送りに許可条件が付されており、前に空きのアキュムレーション部22があり、且つ、位置している投入ゾーンZに対応するピッキングゾーンPに設けられたゾーンコントローラ24より前送り許可信号(詳細は後述する)を受け取ったとき、集品容器10を前送りするように構成されている。
【0027】
なお、本実施の形態では、ストレージラインAの各ピッキングゾーンPと搬送ラインBの各投入ゾーンZは、集品容器10の搬送方向に並べた同じ区画に位置するように配置されており、互いに正対して配置されているピッキングゾーンPと投入ゾーンZとは、搬送方向にずれがなく配置されている。そして、基本的に、各投入ゾーンZに、搬送ラインBにより搬送されてくる各集品容器10に対して、投入ゾーンZに正対して配置されている(前記同じ区画に位置する)ストレージラインAのピッキングゾーンPに保管された物品11が投入され集品されるよう構成されている。
【0028】
「集品容器10」;集品容器10は、箱形状のコンテナ25から構成され、図3に示すように、コンテナ25の短軸方向の側面で且つストレージラインAの作業者H向きとなる側面に、ピッキングゾーンPにおいて取り出した物品11を投入する投入対象の集品容器10であることを表示する投入表示器26が取り付けられており、袋掛けエリアFにおいて袋27が掛けられた状態で第1直進搬送ライン21AによりストレージラインAへ搬送されてくる。なお、図3に示すように、各集品容器10は、第1直進搬送ライン21Aにより、コンテナ25の長軸方向が搬送方向正面となり、投入表示器26が作業者H側に位置するように搬送され、上述したように、投入ゾーンZ毎に複数個(実施の形態では最大6個)の集品容器10が、蓄積・順送り可能とされている。
【0029】
「投入表示器26」;投入表示器26は、図7に示すように、縦長の箱状の表示器本体30と、長軸方向の表示器本体30の表面に順に配置された、第1ランプ部(第1の表示手段の一例)31、バーコードと3桁の数字を表示可能な電子ペーパーからなるディジタル表示器(表示画面の一例)32、および第2ランプ部(第2の表示手段の一例)33と、表示器本体30に内蔵されたRFID(Radio Frequency Identification;データを書き込み・消去可能なRFタグ)34、表示器コントローラ35、アンテナ内蔵の無線機(データ受信器の一例)36、およびバッテリ37から構成されており、第1直進搬送ライン21Aによる集品容器10の搬送方向(以下、容器搬送方向と略す)に、ディジタル表示部32が第1ランプ部31と第2ランプ部33の中央に位置されるように、すなわち容器搬送方向に、上流側から順に第1ランプ部31、ディジタル表示部32、および第2ランプ部33が並ぶように、集品容器10(コンテナ25)に取り付けられ、投入表示器26は、図7(a)に示すように、容器搬送方向と一致する対称軸に対称な構造(上下に対称な構造)とされている。前記RFID34に、オーダー・ナンバー(独自の符号の一例)が書き込まれ、記憶される(詳細は後述する)。また投入表示器26にディジタル表示器32を設けることにより、集品容器10を特定できる前記オーダー・ナンバー等を表示でき、集品容器10を特定することが可能となる。
【0030】
第1ランプ部31と第2ランプ部33は、表示器本体30の表面から突出した、2色で点灯・点滅が可能なランプ38と、各ランプ38をカバーするカバー39A(第1の遮蔽手段の一例),39B(第2の遮蔽手段の一例)から構成され、第1ランプ部31と第2ランプ部33の表示手段であるランプ38は同一のランプ(ランプの取付金具を含む)を使用しており、相互に付け替え可能な構造となっている。このように、ランプ38(ランプの取付金具を含む)を同一の構造とすることにより、投入表示器26の部品点数を削減でき、低コストによる製作を可能としている。
【0031】
カバー39Aは、正面からランプ38の点灯・点滅状態を認識でき、且つ容器搬送方向の下流側から認識できないように、正面が開放されているカバーであり、またカバー39Bは逆に、容器搬送方向の下流側からランプ38の点灯状態を認識でき、且つ正面から認識できないように、容器搬送方向のみが開放されているカバーである。これにより、第1ランプ部31のランプ38の点灯状態は、取り付けた集品容器10が位置する投入ゾーンZからのみ認識でき、また、第2ランプ部33のランプ38の点灯状態は、取り付けた集品容器10が位置する投入ゾーンZの(容器搬送方向)下流側の投入ゾーンZからのみ認識できる。
【0032】
また、カバー39A、カバー39Bは、遮光性のある柔らかい材料(例えば、遮光性樹脂など)から構成され、カバー39A、カバー39Bの両端から挟みこんで、変形させることにより、投入表示器26から簡単に取り外しを行うことができ、また取り外したカバー39A,39Bは、投入表示器26にはめ込み、両端からの挟み込みを解除すると、元の形状に復元することにより、投入表示器26へ簡単に取り付けを行うことできる構造となっている。よって、カバー39A,39Bを、ネジ等を用いて、投入表示器26に固定する場合と比較して、部品点数を少なくできるので、設備コストの向上を低減できる。さらに、カバー39A,39Bの取り付け、取り外し作業に要する時間も節約できる。
【0033】
また、カバー39Aのはめ込み部分の形状と、カバー39Bのはめ込み部分の形状は、同一とされており、カバー39A,39Bは、投入表示器26に対して、相互に付け替え可能な構造となっている。
【0034】
また図6に示すように、投入表示器26は治具40により、コンテナ25に袋27を掛けることができるように、コンテナ25の側面との間に隙間41を設けて、コンテナ25に取り付けられている。前記投入表示器26は、第1ランプ部31、電子ペーパーからなるディジタル表示器32、および第2ランプ部33が上向きとなる姿勢(あるいは斜め上向きとなる姿勢)となるようにして、集品容器10へ取り付けられている。
【0035】
また投入表示器26は、上下に対称な構造とされていることにより、治具40に、上下反転して付け替えることができ、すなわち、集品容器10に対して、上下反転して付け替えることができるように構成されている。なお、集品容器10に対して、投入表示器26を上下反転して付け替えた際には、ディジタル表示器32の表示も反転して表示される。
【0036】
またこれらランプ部31,33のランプ38と、ディジタル表示器32と、RFID34と、アンテナ内蔵の無線機36は、表示器コントローラ35に接続されている。
表示器コントローラ35は、投入表示器26に対して実行する、フローラック15(間口16)より取り出した物品11の投入対象の集品容器10であることを示す投入作業指示の表示を行う第1の機能と、投入表示器26が設けられた集品容器10に関する情報の表示を行う第2の機能を備えており、RFID34に書き込まれたオーダー・ナンバー(後述する)と、無線機36により受信した指令・データ(詳細は後述する)に基づいて、ランプ部31,33のランプ38の点灯・点滅・消灯(点灯なし)、およびディジタル表示器32の表示を制御している。
前記第1の機能は、集品容器10へ物品11の集品作業(ピッキング作業)を行うとき、すなわち、ストレージラインAにおいて実行され、また第2の機能は、集品が終了して集品容器10に集品された物品11に対する出荷前作業(集品作業とは別の作業の一例)が行われるとき、例えば、集品容器10から袋27ごと物品10を取り出す作業を行うとき、すなわち、封印エリアDおよび詰め替えエリアEにおいて実行される。
前記ディジタル表示器32には、第1直進搬送ライン21AによりストレージラインAを投入表示器26、すなわち集品容器10が移動中には、RFID34に書き込まれた「オーダー・ナンバー」、または無線機36により受信したデータによる「END」が表示され、また第2直進搬送ライン21Bにより封印エリアD、詰め替えエリアEを移動中には、無線機36により受信したデータによる、集品容器10に集品されている「物品11の総数」(検数;検品数量)が表示される(詳細は後述する)。
またバッテリ37により、ランプ部31,33のランプ38と、ディジタル表示器32と、無線機36と、表示器コントローラ35に給電されている。
【0037】
「RFIDリーダ/ライタ」;表示器コントローラ35に内蔵されたRFID34に書き込まれたIDを読み取るRFIDリーダ(符号読み出し手段の一例)42Aが、第1直進搬送ライン21Aに沿って、前記投入ゾーンZの上流端(投入ゾーンZの境目)毎に移動可能に設けられ、また第2直進搬送ライン21Bに沿って、詰め替えエリアEの上流端に設けられている。
またRFID34に、集品容器10に割り付けられたオーダー・ナンバー(後述する)を書き込む、または書き込まれたオーダー・ナンバーを消去するRFIDライタ42Bが、第2直進搬送ライン21Bに沿って、詰め替えエリアEより下流側で袋掛けエリアFの上流側に設けられ、さらに第2直進搬送ライン21Bの下流端から第2カーブ搬送ライン21Dへかかる箇所に設けられている。
投入表示器26に内蔵されたRFID34には、第2カーブ搬送ライン21Dへかかる箇所に設けたRFIDライタ42Bにより、ピッキング開始時点で(ストレージラインAへ入る前に)前記オーダー・ナンバーが書き込まれ、この時点で、表示器コントローラ35によりRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーがディジタル表示器32に表示される。またこのオーダー・ナンバーは、詰め替えエリアEより下流側で袋掛けエリアFの上流側に設けられたRFIDライタ42Bにより、消去される。
また、RFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーは、各RFIDリーダ42Aにより読み取られることにより、RFID34の位置、すなわちRFID34が組み込まれた投入表示器26の位置、すなわち投入表示器26を取り付けた集品容器10の位置が特定される。
「アンテナ」;第1直進搬送ライン21Aおよび第2直進搬送ライン21Bの上方には、投入表示器26の無線機36との間で、データの送受信を行うためのアンテナ43{図7(b)、図12}が敷設されている。
【0038】
『封印エリアD』;封印エリアDには、図1および図9に示すように、ストレージラインAの下流端に設けたRFIDリーダ42Aに接続された、コンピュータからなる封印コントローラ49と、封印コントローラ49より出力されるラベルデータによりユーザーを特定するラベルを発行するラベルプリンタ50が設けられ、さらに前記ラベルプリンタ50の下流にRFIDリーダ42Aが設けられ、このRFIDリーダ42Aの下流にバーコードリーダ51が設けられている。また封印エリアDには、第2直進搬送ライン21Bに沿って、2人の作業者Hが、第1直進搬送ライン21Aに沿ってストレージラインAに配置された作業者Hとは、逆のサイドに配置されている。
【0039】
第1の作業者Hは、ラベルプリンタ50の設置位置より上流に配置されており、投入表示器26のディジタル表示器32に表示された、集品容器10に集品されている物品11の総数(詳細は後述する)と、集品容器10内の物品11の数量が一致するかどうかを確認し(検品し)、検品良好のとき、集品容器10に掛けられていた袋27を折り畳み、集品された物品11を包む作業(集品作業とは別の作業の一例)を実行する。また検品不良のときは袋27の折り畳みを実行せずに開放したまま下流へ流す。
また第2の作業者Hは、ラベルプリンタ50により発行されたラベルを袋27に貼り付ける作業を実行する。検品良好のとき、袋27はラベルにより封印され、また検品不良のときは袋27に単に貼り付けられる。
【0040】
前記封印コントローラ49には、図9に示すように、ストレージラインAの下流端のRFIDリーダ42Aと、ラベルプリンタ50と、ラベルプリンタ50の下流に配置されたRFIDリーダ42Aと、バーコードリーダ51が接続されている。
【0041】
また封印コントローラ49には、予め、投入表示器26に内蔵されたRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーに割り付けられた(紐付けされた)ユーザーと、ユーザー毎に割り付けられたバーコードを含むラベルデータが記憶されており、封印コントローラ49は、ストレージラインAの下流端に設けたRFIDリーダ42Aにより、搬送されてきた集品容器10に取り付けられた投入表示器26に内蔵のRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーが読み取られると、オーダー・ナンバーに紐付けされたユーザーを検索し、検索したユーザーにより、このユーザーに設定されたラベルデータを検索し、ラベルデータをラベルプリンタ50へ出力して、バーコード付きラベルを発行させる。
【0042】
また封印コントローラ49は、ラベルプリンタ50の下流に配置されたRFIDリーダ42AよりRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーを入力し、バーコードリーダ51により読み取られたバーコードを入力すると、オーダー・ナンバーとバーコードにそれぞれ割り付けられたユーザーが一致するかどうかを確認し、ラベルが間違いなく、対応する集品容器10の袋27に貼り付けられているかどうかを確認する。間違いであると確認すると、後述する詰替コントローラ57へオーダー・ナンバーを含む間違いデータを出力する。また検品不良のとき、開放された袋27にラベルが取り付けられ、バーコードを読み取ることができないときも、同様に、詰替コントローラ57へオーダー・ナンバーを含む間違いデータを出力する。
【0043】
このように、第1の作業者Hは、検品し、検品が良好なとき、集品容器10に掛けられていた袋27を折り畳み、集品された物品11を包み、第2の作業者Hは、第2直進搬送ライン21Bにより順に搬送されてくる集品容器10に、発行されたラベルを貼り付ける。またラベルにより封印されて下流へ搬送されているとき、ラベルが間違いなく袋27に貼り付けられているかどうかが確認される。
【0044】
『詰め替えエリアE』;詰め替えエリアEには、図1、図2、および図8に示すように、空の寄せ箱13が積まれた第1フリーコンベヤ53と、搬送ラインBにより搬送されてきた集品容器10の封印済み物品11(集品済み物品11)を詰め替えた寄せ箱13を送りだす第2フリーコンベヤ54と、集品容器10内の物品11を包んだ袋27に貼り付けられたラベルのバーコードを読み取るバーコードリーダ55と、第2フリーコンベヤ54の下流位置に配置されて出荷ラベルを発行するラベルプリンタ56と、コンピュータからなる詰替コントローラ57と、詰替コントローラ57より出力されるデータ等を表示する表示器(表示画面)58が設けられている。また詰め替えエリアEには、2人の作業者が配置されている。
【0045】
第1の作業者Hは、第2フリーコンベヤ54の上流位置に配置されており、第1フリーコンベヤ53より空の寄せ箱13を第2フリーコンベヤ54上に引き込み、この寄せ箱13に、配送方面別に集品容器10の封印済み物品11(集品済み物品11)を詰め替え、詰め替える最終の物品11を包んだ袋27に貼り付けられたラベルのバーコードをバーコードリーダ55により読み取り、下流側へ押し出す作業を実行する。配送方面別への寄せ箱13の取り替えは、集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38の点灯および色によって、集品容器10が形成している配送方面別のグループを判別可能とする表示が行われることにより、判断できる。すなわち、第1ランプ部31のランプ38は配送方面先端(先頭)のとき緑色、配送方面終端のとき赤色に点灯され、それ以外では消灯されることにより、配送方面別のグループの切れ目が表示され(詳細は後述する)、それによって判断できる。
また第2の作業者Hは、詰め替えが終了して下流側へ押し出されてきた寄せ箱13に、ラベルプリンタ56より発行された出荷ラベルを貼り付け、出荷する作業を実行する。出荷作業としては、例えば、出荷用の台車等に積み付ける。
【0046】
前記詰替コントローラ57には、図10に示すように、バーコードリーダ55と、ラベルプリンタ56と、表示器(表示画面)58が接続され、予め、ユーザーに割り当てられたバーコードにより設定された出荷ラベルのデータが記憶され、バーコードリーダ55によりラベルのバーコードが読み取られると、このバーコードに設定された出荷ラベルデータを検索し、出荷ラベルデータをラベルプリンタ56へ出力して、出荷ラベルを発行させる。また封印コントローラ49より、オーダー・ナンバーを含む間違いデータを入力すると、表示器(表示画面)58へ、オーダー・ナンバーを含む検品不良またはラベル貼り付けミス発生の警報を表示させ、寄せ箱13への詰め替えを中止させる。
このように、詰め替えエリアEにおいて封印済み物品11は寄せ箱13へ詰め替えられ、出荷される。
【0047】
『袋掛けエリアF』;袋掛けエリアFには、図1に示すように、詰め替えエリアEより搬送ラインBにより搬送されてきた集品容器10(物品11の詰め替えが終了して空となった集品容器10)に袋掛けを行う袋掛機60が設けられており、袋掛機60により、コンテナ25に袋27が自動で掛けられる。このとき、コンテナ25の側面と投入表示器26の間に隙間41を設けていることにより、袋27は何ら支障なくコンテナ25に掛けられる。
また袋掛けエリアFでは、袋掛機60の上流に設けられたRFIDライタ42Bにより、RFID34よりオーダー・ナンバーが消去され、袋掛機60の下流に設けられたRFIDライタ42Bにより、RFID34へ新たなオーダー・ナンバーが書き込まれる。
【0048】
上記ピッキング設備の全体構成により、集品容器10は、搬送ラインBにより循環し、集品容器10自体が出荷されることはなく、空の集品容器10に袋掛けエリアFにおいて、袋27が掛けられ、RFID34に、新たなオーダー・ナンバーが書き込まれ、このオーダー・ナンバーに基づいて、ストレージラインAに保管された物品11の集品が実行され、集品が終了すると、封印エリアDにおいて検品が実行され、袋27が折り畳まれて封印され、ユーザーを特定するラベルが貼り付けられ、さらに詰め替えエリアFにおいて、封印済み物品11は、配送方面別に寄せ箱13に詰め替えられ、出荷される。封印済み物品11が取り出されて空となった集品容器10は、袋掛けエリアFにおいて、袋27が掛けられ、RFID34に、新たなオーダー・ナンバーが書き込まれ集品が実行される。
このように、全ての集品容器10は循環して、1日に何度も再利用され、循環する毎に、新たなオーダー・ナンバーが割り付けられる。このように、循環するために、投入表示器26にRFID34を設けて、オーダー・ナンバーを自動的に書き換えることに意味がある。
【0049】
『制御構成』;図11にピッキング設備の制御構成を示す。
ピッキング設備の制御手段として、上記ピッキングゾーンP毎のゾーンコントローラ24と、封印コントローラ49と、詰替コントローラ57に加えて、統括コントローラ62と、通信コントローラ63と、表示切換コントローラ64が備えられている。
【0050】
「通信コントローラ63」;通信コントローラ63には、図12に示すように、アンテナ43が接続された送受信装置65が接続され、通信コントローラ63は、前記アンテナ43、送受信装置65を介して、各投入表示器26の無線機36とデータの送受信を実行する。
通信コントローラ63から、各投入表示器26の無線機36へ送信される送信データは、図13(a)に示すように、投入表示器26のオーダー・ナンバーと、第1ランプ部31の表示を指令する第1ランプ部コードと、第2ランプ部33の表示を指令する第2ランプ部コードと、ディジタル表示器32の表示を指令するディジタル表示器コードから構成されている。第1ランプ部コードと第2ランプ部コードは、図13(b),(c)に示すように、ランプ部31,33の点灯するランプの色(赤、緑)と、点滅の有無により、コード“1”〜“4”が割り当てられ、ランプの消灯にコード“5”が割り当てられている。またディジタル表示器コードは、図13(d)に示すように、RFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーを表示するのか、通信コントローラ63から送信される送信データに含まれるデータを表示するのか、表示の向きを逆にするのかにより、コード“1”〜“4”が割り当てられている。表示器コントローラ35は、これら送信データを構成するコードにしたがって、第1ランプ部31、第2ランプ部33、ディジタル表示器32の表示を行う機能を有し、上記第1の機能、および第2の機能を実現している。
【0051】
「統括コントローラ62」;統括コントローラ62には、ピッキングゾーンP毎のゾーンコントローラ24と、封印コントローラ49と、詰替コントローラ57と、通信コントローラ63と、表示切換コントローラ64が接続され、さらに第1直進搬送ライン21Aと、第2直進搬送ライン21Bと、第1カーブ搬送ライン21Cと、第2カーブ搬送ライン21Dと、袋掛機60と、袋掛機60の下流に設けられた(第2カーブ搬送ライン21Dへかかる箇所に設けられた)RFIDライタ42Bと、詰め替えエリアEより下流側で袋掛けエリアFの上流側に設けられたRFIDライタ42Bが接続されている。
そして、統括コントローラ62には、予め次のデータが設定されている。
・配送方面別に、登録された各ユーザーに割り付けられた、独自のバーコード。
・注文対象の物品11がそれぞれ格納されているピッキングゾーンPの間口16の配列データ(各物品11に対応するピッキングゾーンPの間口16のデータ)。
【0052】
統括コントローラ62は次の機能を有している。
(イ).ピッキングゾーンP毎のゾーンコントローラ24と、封印コントローラ49と、詰替コントローラ57と、通信コントローラ63へ作業の開始指令と終了指令を出力する。
(ロ).第1直進搬送ライン21Aと、第2直進搬送ライン21Bと、第1カーブ搬送ライン21Cと、第2カーブ搬送ライン21Dと、袋掛機60を起動し、停止する。
(ハ).予め登録された各個別のユーザーからオーダー{注文:各仕分け先からの物品要求情報の一例;物品を特定する情報(例えば、物品の品種、物品名、物品コード等)と数量(個数)からなる単数または複数のデータ}を受け付けると、図16に示すように、オーダーを受けた予め登録されたユーザーの順に、ユーザーのオーダーに(あるいはユーザーに)、連続したオーダー・ナンバー(独自の符号の一例)を割り付け、各ピッキングゾーンPの各間口16にオーダーの数量(ピッキング数量)を書き込み、ストレージラインAのピッキングデータを形成する。このとき、ストレージラインAにおいて、各ユーザー・オーダーにおけるピッキングが終了する場合には、ピッキングが終了するゾーン・ナンバーを求めて記憶する。
(ニ).各ユーザーに割り付けたオーダー・ナンバーと、形成したストレージラインAのピッキングデータ(ピッキングが終了するゾーン・ナンバーを含む)を、各ピッキングゾーンPのゾーンコントローラ24へ出力する。
【0053】
(ホ).ユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバー毎に、注文データからピッキングされる物品11の総数を求め、各オーダー・ナンバーの物品11の総数を、ユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバーとユーザーの配送方面のデータとともに表示切換コントローラ64へ出力する。
(ヘ).ユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバーおよびバーコードを、封印コントローラ49、および詰替コントローラ57へ出力する。
(ト).袋掛機60の下流に設けられた(第2カーブ搬送ライン21Dへかかる箇所に設けられた)RFIDライタ42Bにより、RFID34が検出されると、予め登録されたユーザーの順に、ユーザーのオーダーに割り当てられたオーダー・ナンバーをRFIDライタ42Bへ出力してRFID34にオーダー・ナンバーを書き込ませる。これにより、投入表示器26を取り付けた集品容器10に、オーダー・ナンバーが割り付けられる。
このように、統括コントローラ62において、ライン21A,21B,21C,21Dと、袋掛機60の起動・停止が実行され、さらに各ユーザーからの注文(オーダー)が入力されると、ストレージラインAのピッキングデータ(ピッキングゾーンP毎のピッキングデータ)が形成され、オーダー・ナンバー等のデータが各コントローラへ出力される。
【0054】
「表示切換コントローラ64」;表示切換コントローラ64には、図14に示すように、ストレージラインAの下流端に設けたRFIDリーダ42Aと、通信コントローラ63が接続され、予め、各オーダー・ナンバー毎の物品11の総数とユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバーとユーザーの配送方面のデータが、統括コントローラ62より入力される。
表示切換コントローラ64は、RFIDリーダ42AによりRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーによりユーザーを求め、また物品11の総数を求め、さらにこのユーザーが、配送方面の先端(先頭)かどうか、終端かどうかを求める。
【0055】
そして、下記データを通信コントローラ63へ出力し、送受信装置65およびアンテナ43を介して、発信させる。なお、ストレージラインAの下流の封印エリアDにおいて、ストレージラインAの作業者Hと搬送ラインBに対して逆のサイドに第1の作業者Hが位置するために、投入表示器26のディジタル表示器(表示画面)32の表示を見やすい向きとするように、表示を逆向きに表示させるデータ(表示逆向き指令)を出力する。
・ユーザーが配送方面の先端のとき…オーダー・ナンバーとともに、カバー39A付きの第1ランプ部31のランプ38を「緑色」に点灯させ、且つ第2ランプ部33のランプ38を消灯させるデータ、およびディジタル表示器32へ物品11の総数を逆向きに表示させるデータ(表示逆向き指令の一例)。この送信データは、図15(a)に示すように、オーダー・ナンバー、第1ランプ部コード“2”、第2ランプ部コード“5”、ディジタル表示器コード“4”(総数を表示)と構成される。
・ユーザーが配送方面の先端でも終端でもないとき…オーダー・ナンバーとともに、第1ランプ部31および第2ランプ部33のランプ38は消灯させるデータ、およびディジタル表示器32へ物品11の総数を逆向きに表示させるデータ(表示逆向き指令の一例)。この送信データは、図15(a)に示すように、オーダー・ナンバー、第1ランプ部コード“5”、第2ランプ部コード“5”、ディジタル表示器コード“4”(総数を表示)と構成される。
・ユーザーが配送方面の終端のとき…オーダー・ナンバーとともに、カバー39A付きの第1ランプ部31のランプ38を「赤色」に点灯させ、且つ第2ランプ部33のランプ38を消灯させるデータ、およびディジタル表示器32へ物品11の総数を逆向きに表示させるデータ(表示逆向き指令の一例)。この送信データは、図15(a)に示すように、オーダー・ナンバー、第1ランプ部コード“1”、第2ランプ部コード“5”、ディジタル表示器コード“4”(総数を表示)と構成される。
【0056】
表示切換コントローラ64より出力され、通信コントローラ63から送信された上記送信データが、投入表示器26の無線機36により受信されると、表示器コントローラ35は、受信したデータのオーダー・ナンバーにより、受信データが自分宛かどうかを確認し、確認すると、受信データの第1ランプ部コード、第2ランプ部コード、およびディジタル表示器コードに従って、上記「表示器コントローラ35の第2の機能」による表示を実行する。
すなわち、受信したデータのオーダー・ナンバーは、ストレージラインAの下流端を通過した投入表示器26のものであるから、下流端を通過した投入表示器26において、第1ランプ部31のランプ38は、第1ランプ部コードに従って、先端(先頭)のとき緑色、終端のとき赤色に点灯され、それ以外では消灯され、第2ランプ部コードに従って、第2ランプ部33のランプ38は消灯される。またディジタル表示器コードに従って、ディジタル表示器32には、表示していた「オーダー・ナンバー」(あるいは「END」)に代えて、「総数」(物品11の総数;検数)が逆向きに表示される。
【0057】
上記表示により、図2に示すように、配送方面の切れ目が、第1ランプ部31のランプ38の色により表示され、よって配送方面のグループの終端と、次の配送方面のグループの先頭との境目(配送方面の切れ目)が明確に認識されるため、配送方面のグループ毎に物品11(袋27)の詰め合わせを行う際に、集品容器10が別の配送方面のグループに認識される可能性(物品11の詰め合わせミス)が低減され、設備の信頼性を向上される。
また検品用として、ディジタル表示器32に集品容器10に集品されている物品11の総数が表示されることにより、集品作業により物品11が正しく集品されているか否かの検品作業を行うことができ、設備の信頼性が向上され、さらに物品11の総数が逆向きに、すなわちストレージラインAに配置された作業者Hとは、搬送ラインBの異なるサイドに位置する封印エリアDの第1の作業者Hが見やすい向きに、表示されることにより、作業者Hの位置によって、ディジタル表示器32の表示が、見づらく、判別しづらくなるという問題が回避される。
【0058】
「ゾーンコントローラ24」;各ゾーンコントローラ24には、図17に示すように、担当するピッキングゾーン(以下、自ピッキングゾーンと称す)Pの間口表示器19、ベイ表示器20、自ピッキングゾーンPに正対して配置された(対応された)投入ゾーン(対応投入ゾーン、以下、自投入ゾーンと称す)Zのテープスイッチ23、この自投入ゾーンZの上流に隣接する上流投入ゾーンZのテープスイッチ23、さらに自投入ゾーンZの最下流のアキュムレーション部22、前記上流投入ゾーンZの上流端に設けられたRFIDリーダ(上流ゾーンRFIDリーダと略す)42A、自投入ゾーンZの上流端に設けられたRFIDリーダ(自ゾーンRFIDリーダと略す)42A、自投入ゾーンZに下流に隣接する下流投入ゾーンZの上流端に設けられたRFIDリーダ(下流ゾーンRFIDリーダと略す)42A、および統括コントローラ62が接続されている。
【0059】
また各ゾーンコントローラ24には、予め、自ピッキングゾーンPと自投入ゾーンZを特定するナンバーが設定され、さらに自ピッキングゾーンPの間口16の配列、および各間口16に収納されている物品11のデータ(配列データ)が設定され、また統括コントローラ62より、ユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバー、および各オーダー・ナンバーにより特定される自ピッキングゾーンPの各間口16から取り出す物品11のデータ(ピッキングデータ)が入力される。
【0060】
「ゾーンコントローラ24の制御構成」;ゾーンコントローラ24は、第1直進搬送ライン21Aにより搬送されている集品容器10に対して、自ピッキングゾーンPの間口16から物品11を取り出して投入するピッキング作業を制御する。ゾーンコントローラ24の制御構成図を図18に示す。
ゾーンコントローラ24は、上記配列データ、各ユーザーに割り当てられたオーダー・ナンバー、ピッキングデータ(ピッキングが終了するゾーン・ナンバーを含む)、およびピッキングデータによるピッキング作業が終了しているか否かが記憶されるピッキングメモリ71と、上流投入ゾーンZに上流から下流に向けて位置する(移動してきている)最大6個の各集品容器10に取り付けられた投入表示器26のRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーが記憶される上流ゾーンメモリ72と、自投入ゾーンZに上流から下流に向けて位置する最大6個の各集品容器10の同様のオーダー・ナンバーが記憶される自ゾーンメモリ73と、前記ピッキングメモリ71へ、統括コントローラ62から入力された上記各ユーザーに割り当てられたオーダー・ナンバー、およびピッキングデータを記憶するデータ処理部74と、上流ゾーン容器検出部75と、自ゾーン容器検出部76と、上流ゾーン先行表示制御部77と、自ゾーン先行表示制御部78と、ピッキング制御部79と、前送り許可制御部80から構成されている。
【0061】
「上流ゾーン容器検出部75」;上流ゾーン容器検出部75は、上流ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを最も上流の集品容器10のオーダー・ナンバーとして上流ゾーンメモリ72に記憶し、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。また自ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを上流ゾーンメモリ72より消去して、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。
【0062】
「自ゾーン容器検出部76」;自ゾーン容器検出部76は、自ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを最も上流の集品容器10のオーダー・ナンバーとして自ゾーンメモリ73に記憶し、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。また下流ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを自ゾーンメモリ73より消去して、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。
このように、上流ゾーンメモリ72と自ゾーンメモリ73には、上流より下流に向けて、上流投入ゾーンZと自投入ゾーンZに位置する集電容器10のオーダー・ナンバーが記憶され、更新される。またRFIDリーダ42Aよりのオーダー・ナンバーの入力により、各投入ゾーンZに位置する集品容器10のオーダー・ナンバーを記憶していることから、RFIDリーダ42Aの取付位置を上流側、あるいは下流側に移動することにより、例えば図19(b)に示すように、RFIDリーダ42Aの取付位置を下流側へ集品容器2個分移動することにより、投入ゾーンZの範囲を可変することができる。
【0063】
「自ゾーン先行表示制御部78」;自ゾーン先行表示制御部78は、自ゾーンメモリ73に記憶されているオーダー・ナンバーを確認し、各オーダー・ナンバーにより、ピッキングメモリ71を検索して、ピッキングデータの有無(自ピッキングゾーンPの間口16よりピッキングして自投入ゾーンZに位置する集品容器10へ投入する物品11が有るか否か;ピッキング作業が終了している場合はピッキングデータ無し、と見なされる)を求める。
ピッキングデータが有るとき、そのオーダー・ナンバーを記憶し、さらに最も下流のオーダー・ナンバー(集品容器10)をピッキング作業対象のオーダー・ナンバー(集品容器)として決定し、そのオーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバーを加えてピッキング制御部79へ出力する。またこのピッキング作業対象の集品容器10のオーダー・ナンバーを除いた他のオーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた自ゾーン点灯データを通信コントローラ63へ出力する。
また検索してピッキングデータが無かったオーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた自ゾーン消灯データを通信コントローラ63へ出力する。またピッキングデータが全く無いとき、ピッキングデータ無し信号を上流ゾーン先行表示制御部77へ出力する。
【0064】
「上流ゾーン先行表示制御部77」;上流ゾーン先行表示制御部77は、上流ゾーンメモリ72に記憶されているオーダー・ナンバーを確認し、各オーダー・ナンバーにより、ピッキングメモリ71を検索して、ピッキングデータの有無(自ピッキングゾーンPの間口16よりピッキングして上流投入ゾーンZに位置する集品容器10へ投入する物品11が有るか否か;ピッキング作業が終了している場合はピッキングデータ無しと見なされる)を求める。
ピッキングデータが有るとき、オーダー・ナンバーを記憶し、続いて自ゾーン先行表示制御部78より前記ピッキングデータ無し信号を入力しているかどうかを確認する。ピッキングデータ無し信号を確認すると、最も下流のオーダー・ナンバー(集品容器10)をピッキング作業対象のオーダー・ナンバー(集品容器)として決定し、そのオーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー(自投入ゾーンZのナンバーより1を減算)を加えてピッキング制御部79へ出力する。
またこのピッキング作業対象の集品容器10のオーダー・ナンバーを除いた他のオーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた上流ゾーン点灯データを通信コントローラ63へ出力する。またピッキングデータが無かったオーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた上流ゾーン消灯データを通信コントローラ63へ出力する。
【0065】
「ピッキング制御部79」;ピッキング制御部79は、自ゾーン先行表示制御部78または上流ゾーン先行表示制御部77より、ピッキング作業対象の集品容器10のオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーによりピッキングメモリ71のピッキングデータを検索する。また入力したオーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバーまたは上流投入ゾーンZのナンバー、および点滅信号であることを加えた自ゾーン点滅データ、または上流ゾーン点滅データを通信コントローラ63へ出力する。
続いて検索したピッキング作業対象の集品容器10のピッキングデータにしたがって、間口表示器19により、物品11を取り出す間口16と取り出す物品11の数量を表示し、さらにベイ表示器20により物品11を取り出す間口16が有る棚17の段数を知らせる。そして、間口表示器19の完了押釦スイッチ19Bの操作により、間口16からの物品11の取り出しを確認し、自投入ゾーンZのテープスイッチ23(自投入ゾーンZの集品容器10へ物品11を投入したとき)、または上流投入ゾーンZのテープスイッチ23(上流投入ゾーンZの集品容器10へ物品11を投入したとき)の操作により、集品容器10へのピッキング作業終了を確認する。確認すると、実行したピッキングメモリ71のピッキングデータをピッキング作業終了とし、ピッキング作業が終了したオーダー・ナンバーを、前送り許可制御部80へ出力し、続いてピッキングデータにおいて、自ピッキングゾーンPがピッキング終了ゾーンに設定されているかどうかを確認する。
また自ピッキングゾーンPがピッキング終了ゾーンに設定されている場合、オーダー・ナンバーに、「END」(“物品の投入終了”の表示の一例)表示指令、および消灯信号であることを加えたゾーン終了消灯データを通信コントローラ63へ出力する。
【0066】
「前送り許可制御部80」;前送り許可制御部80は、自ゾーンメモリ73の最下流のオーダー・ナンバーにより、ピッキングメモリ71のピッキングデータを検索して、ピッキング作業の有無を確認しており、ピッキング作業無しのとき、最下流のアキュムレーション部22へ上記前送り許可信号を出力する。またピッキング作業有りのとき、ピッキング制御部79より、ピッキング作業が終了したオーダー・ナンバーを入力するまで待ち、自投入ゾーンZから、ピッキング作業が終了していない集品容器10が下流投入ゾーンZへ移動することを阻止し、オーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーが自ゾーンメモリ73の最下流のオーダー・ナンバーと一致するかどうかを確認し、一致すると、最下流のアキュムレーション部22へ上記前送り許可信号を出力する。
【0067】
前記通信コントローラ63は、上記「オーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた自ゾーン点灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた自ゾーン消灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、“END”表示指令、および消灯信号であることを加えたゾーン終了消灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた上流ゾーン点灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた上流ゾーン消灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、自投入ゾーンZのナンバー、および点滅信号であることを加えた自ゾーン点滅データ」、または「オーダー・ナンバーに、上流投入ゾーンZのナンバー、および点滅信号であることを加えた上流ゾーン点滅データ」を入力すると、送受信装置65およびアンテナ43を介して、送信する。
上記送信データは、図15(b)に示すように構成される。
・自ゾーン点灯データ…オーダー・ナンバー、第1ランプ部コード“1”(自ゾーンが奇数ゾーン;赤)または“2”(自ゾーンが偶数ゾーン;緑)、ディジタル表示器コード“1”。
・自ゾーン消灯データ…オーダー・ナンバー、第1ランプ部コード“5”、ディジタル表示器コード“1”。
・自ゾーン点滅データ…オーダー・ナンバー、第1ランプ部コード“3”(自ゾーンが奇数ゾーン;赤)または“4”(自ゾーンが偶数ゾーン;緑)、ディジタル表示器コード“1”。
・上流ゾーン点灯データ…オーダー・ナンバー、第2ランプ部コード“2”(上流ゾーンが偶数ゾーン;緑)、“1”(上流ゾーンが奇数ゾーン;赤)、ディジタル表示器コード“1”。
・上流ゾーン消灯データ…オーダー・ナンバー、第2ランプ部コード“5”、ディジタル表示器コード“1”。
・上流ゾーン点滅データ…第2ランプ部コード“4”(上流ゾーンが偶数ゾーン;緑)、“3”(上流ゾーンが奇数ゾーン;赤)、ディジタル表示器コード“1”。
・ゾーン終了消灯データ…オーダー・ナンバー、第1ランプ部コード“5”、第2ランプ部コード“5”、ディジタル表示器コード“4”(END表示)。
送信データは、前記オーダー・ナンバー(投入表示器26)毎に、上記自ゾーン点灯/消灯/点滅データと上流ゾーン点灯/消灯/点滅データの組合せにより形成され、あるいはゾーン終了消灯データにより形成される。
【0068】
ゾーンコントローラ24より出力され、通信コントローラ63により送信された送信データが、投入表示器26の無線機36により受信されると、表示器コントローラ35は、受信したデータのオーダー・ナンバーにより、受信データが自分宛かどうかを確認し、確認すると、受信データの第1ランプ部コード、第2ランプ部コード、およびディジタル表示器コードに従って、上記「表示器コントローラ35の第1の機能」による表示を実行する。
すなわち、図2に示すように、RFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーをディジタル表示器32へ表示させ、あるいはゾーン終了消灯データのときには“END”をディジタル表示器32へ表示させ、下記のように第1ランプ部31および第2ランプ部33のランプ38を点灯/点滅/消灯する。なお、投入ゾーンZのナンバーが奇数のとき赤色、偶数のとき緑色を点灯・点滅しているものとしている。
・自ゾーン点灯データ…第1ランプ部31のランプ38を点灯。
・自ゾーン消灯データまたはゾーン終了消灯データ…第1ランプ部31のランプ38を消灯。
・自ゾーン点滅データ…第1ランプ部31のランプ38を点滅。
・上流ゾーン点灯データ…第2ランプ部33のランプ38を点灯。
・上流ゾーン消灯データ…第2ランプ部33のランプ38を消灯。
・上流ゾーン点滅データ…第2ランプ部33のランプ38を点滅。
【0069】
このようなゾーンコントローラ24からの指令に基づく表示器コントローラ35の第1の機能により、自投入ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38は、点灯/点滅/消灯され、点灯で、ピッキング作業予定の集品容器10であることが表示され、点滅で、今、ピッキング作業実行対象の集品容器10であることが表示され、消灯で、ピッキング作業の対象でない集品容器10であることが表示され、第1ランプ部31により、投入表示器26を取り付けた、自投入ゾーンZに位置する集品容器10が、自ピッキングゾーンPにおいて取り出された物品11の投入対象の集品容器であるか否かが示される。
【0070】
また上流投入ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第2ランプ部33のランプ38は、点灯/点滅/消灯され、点灯で、ピッキング作業予定の集品容器10であることが表示され、点滅で、今、ピッキング作業実行対象の集品容器10であることが表示され、消灯で、ピッキング作業の対象でない集品容器10であることが表示され、第2ランプ部33により、投入表示器26を取り付けた、上流投入ゾーンZに位置する集品容器10が、自ピッキングゾーンPにおいて取り出された物品11の投入対象の集品容器であるか否かが示される。
このように、表示器コントローラ35の第1の機能によって、ピッキング作業(集品作業)を行うとき、投入表示器26により、フローラック15の間口16より取り出した物品11の投入対象の集品容器10であることを示す投入作業指示が表示される。
【0071】
「ストレージラインAにおける集品容器10の移動動作」;上記第1直進搬送ライン21Aの構成と、ゾーンコントローラ24の構成による投入ゾーンZ毎の集品容器10の移動動作は、次のようになる。
a.投入ゾーンZ内では、空きのアキュムレーション部22があると、前詰めされる。
b.投入ゾーンZに渡る移動は、ピッキング作業対象ではない集品容器10のとき、無条件で、自投入ゾーンZに対向する対応する自ピッキングゾーンPのゾーンコントローラ24より前送り許可信号が出力され、下流投入ゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生すると移動する。
c.投入ゾーンZに渡る移動は、ピッキング作業対象の集品容器10Aのとき、投入ゾーンZのゾーンコントローラ24より前送り許可信号が出力されるまで、すなわちピッキング作業が終了するまで、下流の投入ゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生したとしても移動することはなく停止し、ピッキング作業が終了していない最下流の集品容器10が下流の投入ゾーンZへ移動してしまうことが阻止され、前送り許可信号の出力により、はじめて下流の投入ゾーンZへ移動する(下流の投入ゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生していることが条件)。
【0072】
このように、投入ゾーンZを渡ることが可能な(許可されている)集品容器10は、投入ゾーンZに渡って移動するとき、下流の投入ゾーンZが詰まっている場合(空きのアキュムレーション部22が無い場合)には待機し、下流の投入ゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生した状態になれば移動する。
またピッキング作業が終了していない集品容器10(自投入ゾーンZの最下流の集品容器10)が下流投入ゾーンZへ移動することが阻止されることにより、オーダーされた物品11が不足した集品容器10の発生を阻止される。またこのとき、下流投入ゾーンZおよびこの下流投入ゾーンZの下流に位置する投入ゾーンZでは、通常通り、続けて複数の集品容器10の蓄積・移動が実行され、集品容器10の移動が効率的に行われ、作業者の能力が最大に生かされる。
【0073】
図19を参照しながら、具体例を説明する。
各投入ゾーンZに6個のアキュムレーション部22が設けられており、図19(a)に示すように、ゾーン2における下流側の2つの集品容器10がピッキング作業対象ではなく、隣接する下流のゾーン3の上流に2つ分の空き(集品容器10無し)のアキュムレーション部22があると、図19(b)に示すように、アキュムレーションコンベヤの機能により、ゾーン2における下流側の2つの集品容器10は、隣接する下流のゾーン3へ移送され、前詰めされる。このとき、ゾーン2のピッキング作業対象の集品容器10Aは、ゾーンの下流端まで移送されるが、ピッキングゾーンPのゾーンコントローラ24よりピッキング作業が終了して前送り許可信号が出力されるまで、ゾーン3へ移送されることはない。
また図19(a)に示すように、ゾーン1において空き(集品容器10無し)のアキュムレーション部22があると、図19(b)に示すように、上流の集品容器10は前詰めされ、また図19(b)に示すように、ゾーン2における集品容器10の移送により空きのアキュムレーション部22が発生すると、ゾーン1の下流端のピッキング作業対象ではない集品容器10は、ゾーン2へ移送され、前詰めされる。このとき、ゾーン1のピッキング作業対象の集品容器10Aは、ゾーンの下流端まで移送されるが、ピッキングゾーンPのゾーンコントローラ24よりピッキング作業が終了して前送り許可信号が出力されるまで、ゾーン2へ移送されることはない。
【0074】
このように、集品容器10は、部分的に下流へ投入ゾーンZを渡って移動できることにより、ピッキング作業対象の集品容器10Aに対して、作業者Hは自投入ゾーンZの移動範囲でピッキング作業を行う機会が増加し、作業の効率を改善することができる。(先行して上流の投入ゾーンZにおいてピッキング作業を行うことができるが、ピッキング作業対象の集品容器10Aが自投入ゾーンZに移送されてきたほうが、作業効率は改善できる。)
また投入ゾーンZ内で、ピッキング作業が実行される集品容器10Aは、投入ゾーンZでのピッキング作業が終了するまで、下流投入ゾーンZに移送されることを回避でき、欠品の発生を防止できる。
【0075】
「ピッキング作業」;ゾーンコントローラ24の構成による作用を、ピッキングゾーンPに配置された作業者Hのピッキング作業動作とともに説明する。
図5に示すように、自投入ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38は、点灯または点滅または消灯し、点灯によりピッキング作業あり、点滅によりピッキング作業実行、消灯によりピッキング作業無しが表示され、このとき、自ピッキングゾーンPのベイ表示器20と、各間口表示器19が表示される。
自ピッキングゾーンPに配置された作業者Hは、ベイ表示器20の表示と、各間口表示器19の表示に基づいて、集品容器10へ投入する物品11を収納箱12より取り出して、取り出す毎に、間口表示器19の完了押釦スイッチ19Bを押し、間口表示器19の表示の消灯を確認して、物品11を取り出し、振り返って、自投入ゾーンZに搬送されてきており、且つ第1ランプ部31のランプ38が点滅している投入表示器26が取り付けられた集品容器10へ投入する(ピッキング作業を実行する)。そして、全ての物品11の投入が終了すると、自投入ゾーンZのテープスイッチ23を押し、対象の集品容器10に対するピッキング作業を終了する。このように、第1ランプ部31のランプ38は、投入表示器26が取り付けられた集品容器10が自投入ゾーンZに位置するとき、自ピッキングゾーンPからのみ見ることが可能で、ピッキング作業を可能とする自ゾーンランプを形成している。
【0076】
また上流投入ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第2ランプ部33のランプ38(自ピッキングゾーンPからのみ見ることが可能)は、点灯または点滅または消灯し、点灯によりピッキング作業あり、点滅によりピッキング作業実行、消灯によりピッキング作業無しが表示される。
第2ランプ部33のランプ38の点滅しているとき、自ピッキングゾーンPに配置された作業者Hは、自ピッキングゾーンPのベイ表示器20の表示と、各間口表示器19の表示に基づいて、隣接する上流投入ゾーンZに位置し、第2ランプ部33のランプ38が点滅している投入表示器26が取り付けられた集品容器10に対して、自ピッキングゾーンPの間口16から取り出した物品11を投入する(上流ゾーンにおける先行ピッキング作業を実行する)。そして、全ての物品11の投入が終了すると、上流投入ゾーンZのテープスイッチ23を押し、対象の集品容器10に対するピッキング作業を終了する。このように、第2ランプ部33のランプ38は、投入表示器26が取り付けられた集品容器10が上流投入ゾーンZに位置するとき、自ピッキングゾーンPからのみ見ることが可能で、先行ピッキング作業を可能とする先行ゾーンランプを形成している。
【0077】
上記のように、作業者Hは、自ピッキングゾーンPから取り出した物品11を、自投入ゾーンZおよび上流投入ゾーンZにおいて搬送されている集品容器10に投入することができ、図5に示すように、作業者H毎に、連続した2つの投入ゾーンZに渡って投入作業を行うことができる範囲が形成される。またこれより、図20(a)に示すように、最下流の投入ゾーンZを除いて、最上流の投入ゾーンZから、2人で集品容器10への投入作業を行う投入ゾーンZが続き、最下流の投入ゾーンZのみ作業者が1人で集品容器10への投入作業を行う投入ゾーンZとなる。また上述したように、ピッキングゾーンPに対して投入ゾーンZを下流側にずらした場合においても、図20(b)に示すように、同様に、最下流の投入ゾーンZを除いて、最上流の投入ゾーンZから、2人で集品容器10への投入作業を行う投入ゾーンZが続き、最下流の投入ゾーンZのみ作業者が1人で集品容器10への投入作業を行う投入ゾーンZとなる。
【0078】
またピッキング作業の実行終了により、この集品容器10へのピッキング作業が終了した場合、ディジタル表示器32に、“END”が表示される。
また投入表示器26のディジタル器(表示画面)32は、第1ランプ部31のランプ(自ゾーンランプ)38と第2のランプ部33のランプ(先行ゾーンランプ)38の中央に取り付けられることにより、投入表示器26が取り付けられた集品容器10に物品11を投入する作業者より最も、見やすくされている。
またピッキング作業の実行が終了し、封印エリアD(詰め合わせエリアE)に投入表示器26が設けられた集品容器10が搬入され、集品容器10から物品11を取り出す作業が表示され、例えば、検品作業と詰め合わせ作業を行うとき、この投入表示器26が設けられた集品容器10に関する情報が表示される。この投入表示器26が設けられた集品容器10に関する情報は、例えば、ディジタル表示器32に表示される集品容器10に集品されている物品11の総数であり、例えば、第1ランプ部31のランプ部38の、配送方面先端(先頭)を搬送されているときの、緑色の点灯、配送方面終端を搬送されているときの、赤色の点灯である。
【0079】
以上のように、本実施の形態によれば、各集品容器10に設けられた投入表示器26は、フローラック15(間口16)より取り出した物品11の投入対象の集品容器10であることを示す投入作業指示の表示を行う第1の機能と、この投入表示器26が設けられた集品容器10に関する情報の表示を行う第2の機能とを備え、ストレージラインAにおいては、第1の機能による表示が行われ、封印エリアDおよび詰め合わせエリアEにおいては、第2の機能による表示が行われることにより、図2に示すように、ピッキング作業(集品作業)を行うとき、フローラック15(間口16)より取り出した物品11の投入対象の集品容器10であることを示す投入作業指示が表示され、集品が終了して集品容器10から袋27ごと物品11を取り出す作業を行うとき、投入表示器26が設けられた集品容器10に関する情報として、集品容器10が形成するグループ(群)の情報、すなわち、集品容器10のユーザーの配送方面の情報(グループの境目の情報)が表示される。したがって、作業者Hは、これら表示により、集品作業を実行できるとともに、集品容器10に関する情報として、集品容器10が形成する群の情報(ユーザーの配送方面の情報)を確認することができ、作業効率を改善することができる。
また搬送ラインBにより循環ラインが形成され、投入表示器26が設けられる集品容器10が循環して使用されるが、投入表示器26は上記2つの表示を切換えて表示できることから、投入表示器26を集品容器10に設けたままで有効に循環して使用できる。
また1種類の集品容器10を使用して集品作業(ピッキング作業)と寄せる作業(詰め合わせ作業)を併せて実行でき、コストを削減することが可能となる。
【0080】
また本実施の形態によれば、投入表示器26は、封印エリアFおよび詰め替えエリアEにおいて、第2の機能の表示として、投入表示器26が設けられた集品容器10内へユーザーからのオーダーに応じて集品された物品10の総数をディジタル表示器32により表示することにより、集品容器10へ、集品作業により物品11が正しく集品されているか否かの検品作業を行うことができ、設備の信頼性を向上させることができる。
【0081】
また本実施の形態によれば、投入表示器26は、封印エリアFおよび詰め替えエリアEにおいて、第2の機能の表示として、投入表示器26が設けられた集品容器10が、配送方面の先頭を搬送されているときは、第1ランプ部31の色(実施の形態では、緑)により表示され、投入表示器26が設けられた集品容器10が、配送方面の終端を搬送されているときは、前記先頭のときとは異なる第1ランプ部31の色(実施の形態では、赤)により表示されることにより、作業者は、配送方面のグループの終端と、次の配送方面のグループの先頭との境目(配送方面の切れ目)を明確に認識でき、よって配送方面のグループ毎に物品11(袋27)の詰め合わせを行う際に、取り出した袋27(物品11)を、正確に配送方面毎に寄せ箱13へ寄せることができ、集品容器10が別の配送方面のグループに認識される可能性(物品11の詰め合わせミス)を低減でき、設備の信頼性を向上させることができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、配送方面別に複数のユーザーからグループ(群)を形成しているが、複数のユーザーから形成されるグループ(群)は、配送方面別に限ることはなく、店舗別、地域別、搬送トラック別などとすることもできる。
【0083】
また本実施の形態では、封印エリアDおよび詰め合わせエリアEにおいては、投入表示器26により、第2の機能の表示として、集品容器10が形成している配送方面別のグループを判別可能とする表示を、配送方面別のグループの先端(先頭)であることと、配送方面別のグループの終端であることとを両方表示することにより行っているが、配送方面別のグループの先端(先頭)であること、または配送方面別のグループの終端であることのいずれか一方のみ表示することにより行うようにしてもよい。
また本実施の形態では、投入表示器26により、第2の機能の表示として、集品容器10が形成している配送方面別のグループを判別可能とする表示を、集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38を配送方面別のグループの先端(先頭)のとき緑色、配送方面別のグループの終端のとき赤色に点灯し、それ以外では消灯することにより、行っているが、1つの配送方面別のグループを形成する全ての集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38を点灯し、続く配送方面別のグループを形成する全て集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38を消灯することを、グループ毎に交互に繰り返すことにより、あるいは、1つの配送方面別のグループの全ての第1ランプ部31のランプ38を赤色に点灯し、続く配送方面別のグループの全ての第1ランプ部31のランプ38を緑色に点灯することを、グループ毎に交互に繰り返すことにより、行うようにすることもできる。
このような場合であっても、配送方面別のグループの終端と、続く次の配送方面別のグループの先頭との境目(群、グループの切れ目)が明確に認識されるため、配送方面別のグループ毎に物品(袋)の詰め合わせを行う際に、集品容器が別の群に認識される可能性(物品の詰め合わせミス)を低減でき、設備の信頼性を向上させることができる。
また本実施の形態では、集品作業とは別の作業の一例を、出荷前作業としているが、集品作業とは別の作業には、物品11の出荷作業、集品容器10に対する伝票やチラシの投入作業等、物品11を集品する作業以外の種々の作業が有り、投入表示器26の第2の機能は、これら各作業の指示に対応して実行することが可能である。
【0084】
また本実施の形態では、詰め替えエリアEにおいて、搬送ラインB(第2直進搬送ライン21B)により集品容器10を搬送しながら、集品容器10に集品された封印済み物品11を寄せ箱13に詰め替えて出荷しているが、一旦、搬送ラインB(第2直進搬送ライン21B)により搬送されている集品容器10を取り出し{このとき、代わりに空の集品容器10(投入表示器26付き)を投入する}、取り出した集品容器10に集品された封印済み物品11を寄せ箱13に詰め替えて、この寄せ箱13を出荷し、または、取り出した集品容器10をそのまま出荷することも可能である。また特定の集品容器10のみ搬送ラインB(第2直進搬送ライン21B)から取り出し{このとき、取り出す特定の集品容器10の代わりに空の集品容器10(投入表示器26付き)を投入する。また他の集品容器10はそのまま搬送を継続する}、そのまま出荷することも可能である。
【0085】
また本実施の形態では、集品容器10が形成するグループの情報を、グループ終端と先頭の第1ランプ部31のランプ38の点灯および色により表示しているが、これに限ることはなく、全第1ランプ部31を点灯するとともに、グループ毎に第1ランプ部31の色を変更するようにしてもよく、またディジタル表示器32に、グループ毎に異なる記号や名称を表示するようにしてもよい。
また本実施の形態では、集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38を配送方面先端(先頭)のとき緑色、配送方面終端のとき赤色に点灯され、それ以外では消灯されることにより、配送方面の切れ目を表示しており、その際、第2ランプ部33のランプ38は消灯されているが、第1ランプ部31のランプ38が点灯・消灯される際に、第2ランプ部33のランプ38を第1ランプ部31のランプ38と同様に点灯・消灯されるようにして、配送方面の切れ目を表示するようにしてもよい。 これにより、配送方面の切れ目の表示を、より明確に行うことができる。
【0086】
また本実施の形態では、第1ランプ部31および第2ランプ部33にはそれぞれ、遮光性のあるカバー39A,39Bを設けているが、第1ランプ部31および第2ランプ部33に、これらカバー39A,39Bを設けない構成としてもよい。第1ランプ部31および第2ランプ部33に、カバー39A,39Bを設けない構成にあっては、番号が奇数の投入ゾーンZへの投入指示を第1ランプ部31により表示し、番号が偶数の投入ゾーンZへの投入指示を第2ランプ部33により表示するようにすることもできる{図21(b)}。これにより、各ピッキングゾーンPに配置された作業者Hは、自分の配置されたピッキングゾーンP(投入ゾーンZ)に対応する投入表示器26の投入表示のみを見ていればよいため、作業者Hの負担が軽減され、集品容器10への物品11の投入ミスが生じる可能性が低減され、設備の信頼性を向上できる。なお、番号が偶数の投入ゾーンZへの投入指示を第1ランプ部31により表示し、番号が奇数の投入ゾーンZへの投入指示を第2ランプ部33により表示するようにしてもよい。
【0087】
また本実施の形態では、投入表示器26を集品容器10に取り付けるようにしているが、図22に示すように、投入表示器26を、集品容器10を載せるトレイ85に設けて、トレイ85を介して集品容器10に投入表示器26を設けるように(対応するように)してもよい。またこのような投入表示器26付きトレイ85を複数、搬送ラインBにより循環し、循環しているトレイ85に対して集品容器10を自動で投入し、自動で払い出す構成とすることもできる。このとき、投入表示器26は、トレイ85に対して、上下反転して付け替えることができるように構成されている。なお、トレイ85に対して、投入表示器26を上下反転して付け替えた際には、ディジタル表示器32の表示も反転して表示される。
また本実施の形態では、投入表示器26は、集品容器10に取り付けられて集品容器10とともにも搬送ラインBにより循環されているが、ストレージラインAと、このラインAにつながる封印エリアDおよび詰め合わせエリアEにおいて、集品容器10に設けられて一緒に移動すればよい。すなわち、詰め合わせエリアEを通過した後に、集品容器10より投入表示器26を取り外し、ストレージラインAに入る前に、再び投入表示器26を集品容器10に取り付けるようにすることも可能である。このとき、投入表示器26を、集品容器10との間で自動で脱着する機能を有する機構を配置してもよい。
【0088】
また本実施の形態では、投入表示器26のディジタル器(表示画面)32に、オーダー・ナンバー、“END”、集品容器10に投入される物品11の総数量(検数)を表示しているが、ピッキングゾーンPにおいて間口16から取り出した物品11の商品名を、取り出し毎に、この物品11を投入する集品容器10に取り付けられた投入表示器26のディジタル器(表示画面)32に、表示していた「オーダー・ナンバー」(あるいは「END」)に代えて、表示するようにすることも可能である。これによれば、作業者Hは、集品容器10へ投入する物品11に間違いがないかどうかを確認でき、誤投入を防止することができる。また本実施の形態では、逆向きに表示させるデータ(表示逆向き指令の一例)に基づいて、「総数」(物品11の総数)のみをディジタル器32に逆向きに表示させているが、勿論、同様に、逆向きに表示させるデータ(表示逆向き指令の一例)により、「オーダー・ナンバー」と「END」と「商品名」を逆向きに表示させることができる。 また本実施の形態では、投入表示器26の第1ランプ部31と第2ランプ部33の表示手段であるランプ38として同じランプ(ランプの取付金具を含む)を使用して、相互に付け替え可能な構造としているが、同じ前記取付金具が使用できるのであれば、第1ランプ部31と第2ランプ部33のランプ38に、形状や点灯する色が異なるランプを使用してもよいことは勿論である。ランプが異なっても、投入表示器26の表示手段は、相互に付け替え可能な構造となる。
また本実施の形態では、集品容器10としてコンテナを用いているが、この集品容器10は、投入表示器26を治具40により取り付け可能で、物品11を一時収納することができればどのような容器であってもよく、例えば、段ボール等を用いることができる。
また本実施の形態では、ユーザーのオーダーを特定する独自の符号として数字(オーダー・ナンバー)を使用しているが、アルファベットなどの文字や絵文字等を使用することもできる。このとき、文字や絵文字に順を決めて、その順にユーザーのオーダーに割り付けて、RFIDライタ42Bにより、RFID34へ書き込む。
また本実施の形態では、各ピッキングゾーンPに、1人の作業者Hを配置する構成としているが、各ピッキングゾーンPに複数(例えば、2人)の作業者Hを配置する構成とすることもできる。これにより、投入ゾーンZ内にピッキング対象の集品容器10が間を置くことなく搬入される状況にあっても、投入ゾーンZ内の作業速度が向上するため、各投入ゾーンZに集品容器10が滞留する恐れを低減でき、ピッキング作業の効率を向上できる。またピッキングゾーンPの作業者Hは、ピッキングした物品11を直接、集品容器10へ投入しているが(手動投入しているが)、ピッキングゾーンP毎に、第1直進搬送ライン21A上に、物品11の集品容器10への自動投入を行う自動投入装置を配置して物品11を自動投入するようにすることもできる。
また本実施の形態では、投入表示器26には、図7に示すように、長軸方向の表示器本体30の表面に、ディジタル表示器32と第1ランプ部31とを配置し、第1ランプ部31にはカバー39Aを設けているが、図23に示すように、前記ディジタル表示器32に代えて、5桁の数字を表示可能なディジタル表示器(表示画面の一例)32’を設け、また前記カバー39Aに代えて、正面が開放され正面からはランプ38の点灯・点滅状態を認識でき、且つ容器搬送方向とは直角な一方の方向(側方)と容器搬送方向の下流側および上流側の略半分が遮蔽され、一方の側方からランプ38の点灯・点滅状態を認識できず、さらに容器搬送方向の下流側および上流側からランプ38の点灯・点滅状態を認識できにくくしたカバー39A’を設けるようにしてもよい。
このように、5桁の数字を表示可能なディジタル表示器(表示画面の一例)32’とすることにより、集品容器10を特定するオーダー・ナンバーを、3桁から5桁の数字に増やして表示することが可能となる。またカバー39A’により、容器搬送方向の下流側および上流側に位置する作業者Hから、ランプ38の点灯・点滅状態を判りにくくできるとともに、ピッキング作業等を実行する作業者Hとは、直進搬送ライン21A,21Bを挟んで反対側にいる作業者Hからランプ38の点灯・点滅状態を認識できないようにすることができる。
また本実施の形態では、搬送ラインBを、アキュムレーションコンベヤと駆動ローラコンベヤから構成しているが、フリーコンベヤにより構成することも可能である。
また本実施の形態では、作業者Hを挟んで、フローラック15と第1直進搬送ライン21Aを反対側に配置しているが、作業者Hに対して、ストレージラインA(フローラック15)と搬送ラインB(第1直進搬送ライン21A)を同じ側に配設するようにしてもよい。これにより、間口16より取り出した物品11を、取り出した(ピッキングした)手の軌道でそのまま投入ゾーンZに搬送されてきている集品容器10へ投入する(ピッキング作業を実行する)ことができ、作業性を向上させることができる。
また本実施の形態では、フローラック15を第1直進搬送ライン21Aに沿って配置しているが、間口(物品収納部)16がピッキングゾーンP毎に配置されていればよく、ピッキングゾーンP毎に第1直進搬送ライン21Aとは、直角な向きに配置してもよい。
また本実施の形態では、搬送ラインBを、1本の循環ラインにより構成しているが、複数、例えば2本の循環ラインにより構成することも可能であり、さらにこれら循環ラインの集品容器10の搬送面の高さを変えることも可能である。
また本実施の形態では、物品保管手段としてフローラック15を使用しているが、物品11または収納箱が移動しない一般棚を使用することもできる。また、物品保管手段として、物品11を単なる床置き、すなわち、床面を区画し、区画した領域内に各種物品11を収納するフロアを使用することができる。
また本実施の形態では、フローラック15の各棚17に載置されている物品11は収納箱12に収納されているが、ピース単位とすることもでき、棚17の段数を増加させることが可能である。
また本実施の形態では、フローラック15の各棚17は固定されているが、任意に前後(第1直進搬送ライン21Aの方向)に移動・調整できる構成とすることもできる。
また本実施の形態では、集品容器10への物品11の完了を入力手段として、テープスイッチ23を使用しているが、単に完了を入力するスイッチであればよく、単なる押釦スイッチでもよい。
また本実施の形態では、仕分け先をユーザー別としているが、ユーザーに限ることはなく、店舗別、商品などのカテゴリー別あるいは区分別、地域別、搬送トラック別などとすることもできる。
【符号の説明】
【0089】
A ストレージライン
B 搬送ライン
D 封印エリア
E 詰め替えエリア
P ピッキングゾーン
H 作業者
Z 投入ゾーン
10 集品容器
11 物品
13 寄せ箱
15 フローラック
16 間口
26 投入表示器
27 袋
31 第1ランプ部
32,32’ ディジタル表示器
33 第2ランプ部
35 表示器コントローラ
38 ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有する物品保管手段を備え、
前記物品保管手段に沿って、それぞれ仕分け先、または仕分け先の物品要求情報が割り付けられた複数の集品容器を搬送する搬送手段を備え、
前記仕分け先の物品要求情報に応じて、前記物品保管手段の物品収納部から取り出した物品を集品容器に投入する集品作業を行い、集品が終了すると、集品容器に集品された物品を出荷するピッキング設備であって、
前記各集品容器に、前記物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを示す投入作業指示の表示を行う第1の機能を備えた投入表示器を設け、
前記投入表示器に、この投入表示器が設けられた集品容器に関する情報の表示を行う第2の機能を備え、
前記投入表示器は、前記集品作業を行うとき、前記第1の機能による表示を行い、前記集品作業とは別の作業を行うとき、前記第2の機能による表示を行うこと
を特徴とするピッキング設備。
【請求項2】
前記投入表示器は、前記第2の機能の表示として、前記投入表示器が設けられた前記集品容器内へ前記仕分け先の物品要求情報に応じて集品された物品の総数の表示を行うこと
を特徴とする請求項1に記載のピッキング設備。
【請求項3】
前記各集品容器により予め群を形成し、
前記投入表示器は、前記第2の機能の表示として、前記搬送手段により搬送されている各集品容器が形成している群を判別可能とする表示を行うこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のピッキング設備。
【請求項4】
前記投入表示器は、前記第2の機能の表示として、投入表示器が設けられた集品容器が、形成している前記群の先頭を搬送されているときには、群の先頭であること、または投入表示器が設けられた集品容器が、形成している前記群の終端を搬送されているときには、群の終端であることの少なくともいずれか一方の表示を行うこと
を特徴とする請求項3に記載のピッキング設備。
【請求項5】
物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有する物品保管手段を備え、
前記物品保管手段に沿って、それぞれ仕分け先、または仕分け先の物品要求情報が割り付けられた複数の集品容器を搬送する搬送手段を備え、
前記仕分け先の物品要求情報に応じて、前記物品保管手段の物品収納部から取り出した物品を集品容器に投入する集品作業を行い、集品が終了すると、集品容器に集品された物品を出荷するピッキング方法であって、
前記各集品容器に対して、
前記集品作業を行うとき、前記物品収納部より取り出した物品の投入対象の集品容器であることを示す投入作業指示の表示を行い、前記集品作業とは別の作業を行うとき、この集品容器に関する情報の表示を行うこと
を特徴とするピッキング方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2012−41126(P2012−41126A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183526(P2010−183526)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】