フィルムシール装置
【課題】大径の連続包装体を用いて大きい内容物を包装してシールする場合であっても、シール不良の発生を確実に少なくでき、しかもシール後に確実に切断可能なフィルムシール装置を提供する。
【解決手段】フィルム装着部と、フィルム駆動部と、フィルムのシール部をシールして切断するためのフィルムシール部と、フィルム駆動部とフィルムシール部の作動を制御する制御部40とを備える。制御部40は、フィルム挟持手段およびフィルム圧着手段を作動させ、ヒーター6に設けられた熱電対36からの検出結果によりフィルムを所定の融着温度に加熱させると共に圧着させて、フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせ、ヒーター6に設けられた熱電対36からの検出結果により、所定の冷却温度に達した後、フィルム圧着手段の圧着状態を解除するように、フィルム駆動部およびフィルムシール部を制御する。
【解決手段】フィルム装着部と、フィルム駆動部と、フィルムのシール部をシールして切断するためのフィルムシール部と、フィルム駆動部とフィルムシール部の作動を制御する制御部40とを備える。制御部40は、フィルム挟持手段およびフィルム圧着手段を作動させ、ヒーター6に設けられた熱電対36からの検出結果によりフィルムを所定の融着温度に加熱させると共に圧着させて、フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせ、ヒーター6に設けられた熱電対36からの検出結果により、所定の冷却温度に達した後、フィルム圧着手段の圧着状態を解除するように、フィルム駆動部およびフィルムシール部を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムシール装置に関し、詳しくは、内容物が収容された熱融着可能なチューブ状樹脂製フィルムをシールし、シール部を切断するためのフィルムシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続的に送り出されるチューブ状樹脂製フィルム内に各種被包装物たる内容物を包み込むと共に、内容物を包み込んだ包装体の所定長さ位置を加熱して熱融着しシールした後、わずかに張力を作用させて溶断・分離して、被包装物を樹脂製フィルムの袋体に収納させるフィルムシール装置(以下、「ヒートシーラー」ということがある)は利便性が高く、種々な用途に使用されている。
【0003】
その場合、内容物を収納した樹脂製フィルムの包装袋を熱融着してシールするのに、簡便性、確実性などの利点を有するインパルス式ヒートシール装置が採用されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−187143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、包装体を構成するフィルムにしわの入らないことが確実に熱融着してシールする条件であるため、薄いフィルムを扱う都合上、被シール箇所については、しわが入らないように細心の注意を払う必要があり、作業者には少なくない手間を要していた。しかも、内容物は種々の大きさ、形状のものがあるため、内容物によっては、包装体に不必要なしわが少なからず発生し、融着不良が発生率も少なくなかった。
【0006】
更に、内容物が特別に大きい場合には、包装体も大きくせざるを得ないが、その場合、限られたヒートシーラーのシール箇所では一度でシールできないため、数回に分けてシールすると、シール作業にかなりの時間と手間を要することになる。そこで、包装体をヒートシーラーのシール長さに合わせるようにすれば、シール箇所にしわが入らざるを得ず、シール不良が顕著に増加し、いずれの場合も包装体を大きくする場合には、シールに困難を伴っていた。
【0007】
また、しわが入ったシール箇所を確実にシールするため、熱板加熱方式でシールすると、フィルムの溶融温度に達した後、一定時間後に通電を切断するようにしているため、しわの重なった箇所と重なっていない箇所とを均一に熱融着してシールすることができず、部分的にシール不良を生じるという問題がある。しかも、しわの重なった箇所では融着後の切断が困難な場合が発生し、その都度、作業者が切断トラブルを解消するという煩わしさがあった。
【0008】
また、しわが入ったシール箇所を確実にシールするため、インパルス制御を行っても時間で制御されたものは、しわの重なった箇所と重なっていない箇所とを均一に熱融着してシールすることができず、部分的にシール不良を生じるという問題がある。しかも、しわの重なった箇所では融着後の切断が困難な場合が発生し、その都度、作業者が切断トラブルを解消するという煩わしさがあった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑みて、大径の連続包装体を用いて大きい内容物を包装してシールする場合であっても、シール不良の発生を確実に少なくでき、しかもシール後に確実に切断可能なフィルムシール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係るフィルムシール装置の特徴構成は、内容物が収容された熱融着可能なチューブ状樹脂製フィルムをシールし、シール部を切断するためのフィルムシール装置であって、
前記フィルムを収納・配置するフィルム装着部と
前記フィルムを送り出し方向に駆動して、フィルムのシール部を所定位置に送り出すフィルム駆動部と、
前記フィルムのシール部をシールして切断するためのフィルムシール部と、
前記フィルム駆動部とフィルムシール部の作動を制御する制御部とを備え、
前記フィルムシール部は、
前記フィルムのシール部近傍を挟持するフィルム挟持手段と、
前記フィルムのシール部を圧着すると共に加熱手段を有してシール部を加熱・圧着するフィルム圧着手段と、
前記フィルムのシール部を切断するフィルム切断手段とを備え、
前記制御部は、前記フィルムを所定位置に送り出して停止させた後、フィルム挟持手段およびフィルム圧着手段を作動させ、前記加熱手段に設けられた温度検出手段からの検出結果により前記フィルムを所定の融着温度に加熱させると共に圧着させて、前記フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせた後、前記フィルム圧着手段の圧着状態を保持し、所定の冷却温度に達した時に、前記フィルム圧着手段の圧着状態を解除するように、前記フィルム駆動部およびフィルムシール部を制御することにある。
【0011】
この構成によれば、大径のチューブ状樹脂製フィルムに内容物を収納して熱融着しシールする場合に、シール部を加熱・圧着する所定長さのフィルム圧着手段に対処すべくフィルムにしわを入れたとしても、加熱手段に設けられた温度検出器の検出結果に基づいて適正な温度で加熱するため、多重に重なり合ったフィルム箇所も重なりの少ないフィルム箇所も、確実に均質に熱融着されるようになる。そして、フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせた後、前記フィルム圧着手段の圧着状態を保持し、所定の冷却温度に達した時に、前記フィルム圧着手段の圧着状態を解除するようにしているので、従来技術において時間制御する場合に生じたような、圧着状態を早く解除した場合にシール部分が半溶融状態になって不規則に破れたりするトラブルを、確実に防止または低減できる。その後、フィルム切断手段によりシール部を切断することによって、内容物をシールした袋体として取り出すことができ、作業者の労力を大幅に低減できる。
【0012】
その結果、大径の連続包装体を用いて大きい内容物を包装してシールする場合であっても、シール不良の発生を確実に少なくでき、しかもシール後に確実に切断可能なフィルムシール装置を提供することができた。
【0013】
前記制御部は、フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせた後、フィルム圧着手段の圧着状態を解除すると共に、フィルムを戻し方向に所定量駆動するように、フィルム駆動部およびフィルムシール部を制御することが好ましい。
【0014】
この構成のフィルムシール装置において、フィルムをシールして切断するまでの手順は、次のようにして行われる。すなわち、フィルムをフィルム駆動部により送り出した後、所定位置にて停止させる。シール部の冷却後に、フィルム挟持手段およびフィルム圧着手段を作動させて、フィルムを加熱・圧着させる。フィルム圧着手段により、フィルムを加熱することでシール部が溶融しシールされる。また、フィルム切断手段により、シール部に対する切断作用を行わせる。次に、フィルム圧着手段の圧着状態を解除し、フィルムを戻し方向に所定量駆動する。このとき、フィルム挟持手段によるフィルムの挟持状態は維持したままである。従って、フィルムを戻し方向に駆動することで、シール部の切断個所が引っ張られることになるので、確実に分離することができる。これにより、フィルムにしわがよっていることで、切断が不十分であったとしても、強制的に分離させることができる。その結果、チューブ状フィルムを用いて内容物の収容されたフィルムをシール及び切断するに際し、確実に切断作用を行わせることができるフィルムシール装置を提供することができる。
【0015】
前記制御部は、前記フィルムの所定融着温度で所定時間保持後、所定温度まで一旦冷却し、再度フィルムの融着温度にまで加熱するように制御することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、フィルムの重なり箇所が多い場合であっても、適正に熱融着できて、確実にシールでき、一層融着不良を低減することができる。もとより、所定時間保持後、所定温度まで一旦冷却してから再度フィルムの融着温度にまで加熱する操作を複数回繰り返すこともでき、回数については特に限定されるものではない。
【0017】
前記フィルム圧着手段は、前記フィルムのシール部を圧着する第1圧着体と第2圧着体とを備え、この第1圧着体に前記フィルムを加熱するためのヒーターと、フィルム切断手段とが組み込まれており、加熱作用と切断作用を同時に行えるように構成したことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、フィルム圧着手段を構成する一対の圧着体のうち、第1圧着体のほうにヒーターと、フィルム圧着手段が組み込まれており、ヒーターで加熱すると共に、切断作用も同時に行うことができるため、フィルム圧着手段とフィルム切断手段を同じように駆動することができるので、フィルムシール部の構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<フィルムシール装置の構成>
本発明にかかるフィルムシール装置の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るフィルムシール装置の半断面構造を示し、図2はカバーを取り外し、フィルムを装着していない状態のフィルムシール装置本体を示し、図3は、フィルムシール装置本体の平面構造を示し、図4は、図2のフィルムシール装置本体の裏面側から見た斜視構造を示し、図5は、図2のフィルムシール装置本体の裏面側から見た平面構造を示す。図6はカバーを取り外した後の正面構造を示し、図7は図3のVII−VII断面構造を示す。
【0020】
このフィルムシール装置Sは、図1に示すように、4本の脚部S3を下方に向けて延設したフィルムシール装置本体S1と、その下部に内容物を収納してシールした包装体を一時的に貯留する、引き手付きの包装体貯留ケースS2とから構成されている。
【0021】
フィルムシール装置本体S1は、図2,3に示すように、比較的面積の広い支持プレート1の上におわん状に形成されたガイド部材2が取り付けられて構成されている。ガイド部材2は、側面2aがテーパ状に形成されており、底部にガイド孔2bが形成されている。図1は、折り畳んだ状態のチューブ状フィルムFを装着した状態を示す。ガイド部材2の周囲が、フィルム装着部として機能する。支持プレート1の下面側には、フィルムをシールして切断するための機構部3が装着されている。なお、図2,3における図番38は把手である。
【0022】
環状に折り畳んだ状態のフィルムFをセッティングする時の操作は、後述するように、折り畳んだフィルムFの一番外側の部分F1を手で持ち上げて、ガイド部材2の中の穴2bから見える搬送ローラ対32に挟持される位置まで押し込めばよい。その後、搬送ローラを駆動することで、フィルムFは下方に引き込まれていく。
【0023】
次に、機構部3について説明する。図4は、フィルムシール装置本体(脚部は省略)を裏面側から見た斜視図である。図5は、フィルムシール装置を裏面側から見た平面図である。図6は、機構部の側面図であり、図7は、図3のVII−VII断面図であり、図6の機構部の側断面図に相当する。
【0024】
まず、フィルムシール部の機能について説明する。第1圧着体4と第2圧着体5とが設けられており、図7にも示すように、これら第1・第2圧着体4,5は、お互いに離間した待機位置と、圧着面が互いに接触してフィルムFを圧着する圧着位置との間を移動可能(矢印A,B参照)に構成される。第1・第2圧着体4,5の圧着面4a,5a(フィルム圧着手段に相当)は、フィルムFのシール部の形状に対応して幅方向に延びたライン状に形成されている。第1圧着体4の圧着面4aには、加熱手段であるライン状に延びたヒーター6が取り付けられている。ヒーター6は、金属製の抵抗体であり不図示の加熱回路により加熱される。また、ヒーター6の表面には、後述する(図17の説明)ように、ヒーター6と同様にライン状に延びた切断部材7(フィルム切断手段に相当)が設けられている。ヒーター6と切断部材7を覆うようにカバー部材が設けられている。カバー部材は、テフロン(登録商標)製のシート部材である。第2圧着体5の圧着面5aには、シリコンゴムスポンジ製の支持部材9が取り付けられている。一対の圧着面4a,5aどうしで、フィルムFを圧着する。
【0025】
第1圧着体4の圧着面4aとは反対側の端面には、第1バネ支持軸10が2本植設されている。第1バネ支持軸10には、第1バネ11が挿入されている。第1バネ11は、第1付勢手段として機能し、圧縮コイルスプリングにより形成される。第2圧着体5の圧着面5aとは反対側の面にも、第2バネ支持軸12が2本植設されており、第1バネ11と同様に第2バネ13が挿入されている。第2バネ13は、第2付勢手段として機能する。
【0026】
第1圧着体4には、第1圧着体4に対して相対的に移動可能な第1挟持体14(フィルム挟持手段に相当)が取り付け支持されている。第1挟持体14は、第1圧着体4を囲うように側断面視で略コの字状に形成されている。第1挟持体14の先端部は挟持面14aとして機能し、シリコンゴム製の第1挟持部材15が取り付けられている。第1挟持体14の挟持面14aとは反対側の端面14bには、先ほど説明した第1バネ11が作用している。従って、第1圧着体4と第2圧着体5とが離間している位置では、第1バネ11の付勢力により、第1挟持体14の端面14bは、第1圧着体4の後端面4bに当接した状態である。また、この状態で挟持面14aは、圧着面4aよりも突出した状態に設定されている。
【0027】
第2圧着体5にも、第2圧着体5に対して相対的に移動可能な第2挟持体16(フィルム挟持手段に相当)が取り付け支持されている。第2挟持体16も、側断面視で略コの字状に形成されている。第2挟持体16の先端部は挟持面16aとして機能し、シリコンゴム製の第2挟持部材21が取り付けられている。第2挟持体16の挟持面16aとは反対側の端面16bには、第2バネ13が作用している。従って、第1圧着体4と第2圧着体5とが離間している位置では、第2バネ13の付勢力により、第2挟持体16の端面16bは、第2圧着体5の後端面5bに当接した状態である。また、この状態で挟持面16aは、圧着面5aよりも突出した状態に設定されている。
【0028】
第1挟持体14が第1圧着体4に対してスムーズに相対移動できるように、ガイドプレート17が第1圧着体4に対してネジ18により結合されている(図4参照)。第1圧着体4とガイドプレート17との間で、第1挟持体14がガイドされる。同様に、第2挟持体16が第2圧着体5に対してスムーズに相対移動できるように、ガイドプレート19が第2圧着体5に対してネジ20により結合されている。第2圧着体5とガイドプレート19との間で、第2挟持体16がガイドされる。
【0029】
第1・第2挟持体14,16は、第1・第2圧着体4,5よりも下方側に設けられる。すなわち、フィルムの送り方向の下流側に配置される。
【0030】
次に、フィルムシール部を駆動するシール駆動部の構成を説明する。シール駆動部は、駆動源としての駆動モータ22を備えている。駆動モータ22のモータ軸には駆動板23が結合されている。駆動リンク部材24が回転軸24a周りに回転可能に軸支されている。駆動リンク部材24には、回転軸24aから所定半径距離だけ離れた個所に第1リンク軸24bと第2リンク軸24cとが植設されている。駆動板23と第1リンク軸24bとは、連結バー25により連結されている。図4には示されていないが、駆動板23の回転中心から所定半径距離離れた個所に連結軸が植設されており、この連結軸と第1リンク軸24bとの間に連結バー25が掛け渡されている。連結軸において、駆動板23と連結バー25とは、相対的に回転自在であり、第1リンク軸24bにおいて、連結バー25と駆動リンク部材24とは、相対的に回転自在に連結される。
【0031】
第1圧着体支持プレート26には、第1圧着体4が固定された状態で支持される。第1圧着体支持プレート26の幅方向両側には、一対の側面部26aが形成されている。この側面部26aにリンク軸26bが植設される。このリンク軸26bと第1リンク軸24bとの間に、第1リンクレバー27が連結される。同様に、第2圧着体支持プレート28には、第2圧着体5が固定された状態で支持される。第2圧着体支持プレート28の幅方向両側には、一対の側面部28aが形成されている。この側面部28aにリンク軸28bが植設される。このリンク軸28bと第2リンク軸24cとの間に、第2リンクレバー29が連結される。以上のようなリンク機構により、フィルムシール部が駆動される。なお、同じリンク機構が幅方向の反対側の側面にも設けられている。駆動モータ22を駆動することで、駆動リンク部材24を回転させ、第1圧着体4と第2圧着体5とを同時に駆動させることができる。
【0032】
第1圧着体4と第2圧着体5をスムーズにガイドするためのガイド機構30が、第1・第2圧着体4,5の幅方向両側に設けられている。ガイド機構30は、フレーム部材31に固定される固定部分と、側面部26a,28aに固定される可動部分とを備える。
【0033】
フィルムFを送り出すためのフィルム駆動部として、搬送ローラ対32が設けられている。搬送ローラ対32は、幅方向に沿って2箇所に設けられている。2箇所の搬送ローラ対32の間をフィルムFが通過できるように構成される。搬送ローラ対32を駆動するための駆動モータ33が設けられており(図4参照)、不図示の伝達機構(減速機構)を介して搬送ローラ対32と連結されている。支持プレート1には、制御回路34(制御部に相当)が搭載されており、フィルムシール装置の各部の作動の制御を行う。なお、図7の図番8は、フィルムFの送りをガイドする受け板である。
【0034】
<制御ブロック>
次に、図8により制御関係の構成を説明する。制御部40は、装置各部の作動制御を司る中枢部である。駆動系ドライバー部41は、搬送ローラ32を駆動するための駆動モータ33と、フィルムシール部を駆動する駆動モータ22とを制御すると共に、搬送ローラおよびフィルムシール部を微調整するためのソレノイド35を制御する。ヒータートランスドライバー部43は、ヒータートランス42及びヒーター6を駆動する加熱回路により構成される。更に、ヒーター6に対しては、温度検出手段の1種である熱電対36を取り付けると共に、熱電対36からの信号を増幅する熱電対アンプ部37を設けて、熱電対アンプ部37からの信号を受けて適正な温度でフィルムを加熱できるように温度制御するようにしていると共に、適正な温度までシール後のフィルムを冷却するよう温度制御している。
【0035】
このように、シールされた箇所が冷却され、安定した固化状態になっていることを熱電対36からの信号により確認した後、圧着状態を解除するので、従来技術において時間制御する場合に生じたような、圧着状態を早く解除した場合にシール部分が半溶融状態になって不規則に破れたりするトラブルを確実に防止または低減できる。
【0036】
なお、その他にヒーター6や駆動モータ22,33の駆動時間を設定するタイマーを設けてもよく、制御部40は、設定されている時間に従って、ヒーター6等を駆動させるようにしてもよい。スイッチは、シール動作を行わせるための起動スイッチとして機能する。フィルムシール装置がシール状態であるか、使用可能状態であるか否かを外部に表示するためのLEDなどの各種表示ランプを設けると共に、制御部40により、表示ランプの点灯を制御させることができる。更に、シール部分が予定温度に達したことを知らせるために、ブザーや音声などの報知音や、LED等の各種表示ランプ、液晶などによる文字、イラスト、マーク等の知覚表示物などを設けると共に、制御部40により、報知音や知覚表示物などを制御するようにすることができる。
【0037】
<シール動作の説明>
次に、図9の加熱パターン図と図10〜16の作動図とにより、フィルムFにシールを行うときの作動を説明する。予め、連続円筒状をしたフィルムFの底部を閉鎖して、上方のみ開口した袋状にするための運転を行う(図10〜15)。
【0038】
すなわち、フィルム装着部を構成するガイド部材2の周囲に、環状に折り畳んで配置されているフィルムの最外部を手で把持して引っ張り、中央方向に移動させて、搬送ローラ32の位置にまで移動させる。この状態で、フィルムシール装置本体の前面操作パネル50に設けられているスイッチを入れる。このスイッチによる指令を受けて制御部40は、駆動モータ33を正転させる。これにより、搬送ローラ対32は送り方向に回転され(図10の矢印)、円筒状をしたフィルムFの両端部が搬送ローラ対32により挟持されて下方(図11の矢印)に送り出される。駆動モータ33を正転させる時間は、予めタイマーに設定されるようにしてもよいし、手動で所定時間経過後、駆動モータ33を停止させてもよい。これにより、フィルムFが所定量送り出され、フィルムFのシール部がヒーター6の位置にセットされる。シール部は、シールされる個所を指して呼ぶものであり、フィルムFに何らかの識別マークが付されていることを意味するものではない。もとより、そのような識別マークを付していてもよい。
【0039】
次に、駆動モータ33の停止と同時に、第1・第2圧着体4,5を駆動するため、駆動モータ22を回転(正転)させる。第1・第2圧着体4,5は、待機位置から、矢印で示すように、互いに近づく方向に駆動される(図12)。第1・第2圧着体4,5に夫々支持されている第1・第2挟持体14,16も同じように互いに近づく方向に駆動される。第1・第2圧着体4,5の圧着面4a,5aよりも、第1・第2挟持体14,16の挟持面14a,16aのほうが突出しているので、まず最初に挟持面14a,16a同士が当接する(図12)。これにより、第1・第2挟持体14,16は、これ以上移動できない状態となる。
【0040】
しかし、駆動モータ22は引き続き駆動状態にあり、第1・第2圧着体4,5は、さらに圧着面4a,5a同士が近づく方向に駆動される。このとき、第1バネ11と第2バネ13が徐々に圧縮されていく。圧着面4a,5a同士が当接した状態が図12及び図13に示される。駆動モータ22は、予め設定された所定時間だけ駆動された後、停止される。この停止と同時にヒーター6を加熱する。ヒーター6の加熱パターンは、図9に示されている通りである。
【0041】
ヒーター6は、常時は室温と同程度の低い温度状態であるが、加熱駆動をすることで、昇温して所定の加熱温度(T1)になる(図9。1次加熱)。この場合、ヒーター6に近接して(フィルムのシール部にも近接している)配置されている熱電対36により、ヒーター6によるフィルムシール部の加熱温度が検知されており、熱電対36からの検出結果の送信により、制御器40が所定の融着温度に達したと判断すると、制御器40によりON−OFF制御されるため、適正な融着温度で制御できる。もとより、フィルムの材質に応じた適正な設定温度と加熱時間は、予め求められている。
【0042】
これにより、フィルムの重なりの多い箇所と重なりの少ない箇所が混在しているもの、あるいは、バリアー性を高めるため中心にナイロン樹脂を配置し両面にポリエチレン樹脂を配置したラミネートフィルムのようなものでも、常時適正な融着温度で加熱・熱融着されることになる。従って、従来技術のように、フィルムシール部近傍の温度を直接測定することなく、フィルムの材質に応じて決められた溶融温度(所定電流値による通電)に、タイマーによる一定時間だけ加熱保持する方式に比べて、フィルムシール部を一層適正な融着温度に維持して保持できるため、シール不良を確実に低減できる。
【0043】
予め設定された所定の加熱時間が経過すると、ヒーター6をオフにし、ヒーター6は自然に冷却され、温度が低下していく。その際、フィルムのシール部での重なりが特に多いような場合には、所定の温度まで下がったら、フィルムの硬化温度(T3)より幾分高い温度(T2)で再度通電(T1まで昇温時の通電量の50%程度の通電量が好ましい)し、溶融温度まで加熱(2次加熱)して、その後通電をオフにして冷却する。このようにすると、一層確実に適正な熱融着ができて、シール不良を低減することができる。
【0044】
図17に示すように、ヒーター6の表面には切断部材7が設けられているので、ヒーター6の加熱と共に、切断作用も同タイミングで行われる。従って、シール部の溶着が行われてフィルムを袋状にすることができ、内容物が収納されている場合には、内容物を密封すると共に、シール部に対する切断作用も行われる。
【0045】
ヒーター6をオフにして所定の冷却温度に達すると、第1・第2圧着体4,5を開き方向に移動させるため、駆動モータ22を逆転させる。逆転させる時間は、第1・第2圧着体4,5を、少しだけ開いた状態にできる時間に設定することができる(図13)。圧着状態にある第1・第2圧着体4,5を開き方向に駆動し始めても(図13の矢印)、第1バネ11と第2バネ13の付勢力が作用しているため、第1・第2挟持体14,16はフィルムFを挟持した状態を維持している(図13)。駆動モータ22をわずかに逆転させた後、停止する。これと同時に、駆動モータ33を逆転させる。これにより、搬送ローラ対32は、逆方向に回転され(図14)、フィルムFが戻し方向に駆動される。搬送ローラ対32の逆転量は、わずかでよい。このフィルムFの戻し動作により、切断部材7による切断個所が強制的に分離される(図14)。戻し量は、フィルムFと搬送ローラ対32のかみ込み状態が外れない程度であれば良い。これにより、切断部材7によるフィルムFの切断が不十分であったとしても、確実にフィルムFを分離させることができる。
【0046】
駆動モータ33の逆転動作が終了した後、第1・第2圧着体4,5を待機位置に戻すため、駆動モータ22を逆転駆動させて待機位置に復帰させる。第1・第2圧着体4,5が待機位置に復帰する途中で、第1・第2挟持体14,16によるフィルムFの挟持も解除される。これにより、切断されたフィルムF’(上部は融着されてシールされているが、下部は開放されたままである)は、下方にある貯留ケースS2に向けて落下する(図15)。駆動モータ22を停止した後、戻し動作で戻したフィルムを所定のシールを行う位置まで移動させるため、駆動モータ33を正転させる。所定時間駆動モータ33を正転させた後、駆動モータ33を停止させる。これにより、ガイド部材2に残ったフィルムFを袋状にする動作が完了し、これを1サイクルとして、以後内容物を収納した場合においても、同様な動作を繰り返す。切断されて残ったフィルムFの底部F1は、シールされて袋状になる。
【0047】
そして、図16に示すように、内容物CをフィルムF内に収容して、上記と同一の手順により、フィルムF’内に内容物を収納し、シールして下方の貯留ケースS2に落下させることができる。
【0048】
また、フィルムFに内容物を収容できることを表示するLEDの表示を消灯し、1サイクルの動作が終了した時間で点灯させ、この点灯を確認することで、フィルムFに内容物を収容してもよいことが外部に表示されるようにすることができる。この場合、フィルムFのシール動作を行っていることを表示するLEDを設けて、その間点灯させるようにしてもよい。
<フィルムシール部のヒーターの作用の説明>
図17(イ)〜(ホ)により、熱融着動作時のヒーターの作用を説明する。図17(イ)は、図11に示す状態に相当し、互いに離間した第1圧着部4と第2圧着部5との間にフィルムFが送られてくる。第1圧着部4の圧着面4aには、上記したように、ヒーター6と、その表面側に突起条をした切断部材7とが装着されていて、更にその表面に離型性のよい樹脂製のカバー部材(不図示)が被覆されている。第2圧着部5の圧着面5aには、シリコンゴムスポンジ製の支持部材9が装着されていると共に、更にその表面に離型性のよい樹脂製のカバー部材(不図示)が被覆されている。
【0049】
ヒーター6の下部は、ガラス繊維製シートやサーコンシートが敷設されており、ヒーター6自体は、その短辺方向の中央部が第1圧着部4の圧着面4aから略90°の角度で突出し、先端が幾分丸味を帯びた断面形状となっていると共に、第1圧着部4の幅方向にライン状に延設した突条に構成されている。もっとも、突出部の形状はこれに限定されるものではなく、断面三角形状、断面半円形状など種々のものにすることができる。
【0050】
次いで、第1圧着部4と第2圧着部5とを左右から近接させ、フィルムFを圧着すると、ヒーター6の表面形状に合わせてフィルムFおよび支持部材9が変形し(図17(ロ))、その状態でヒーターを加熱する。ヒーターの加熱パターンは、上記した通りである。加熱に伴い、フィルムFの熱融着した箇所Gは、ゲル化した状態となる(図17(ハ))。
【0051】
加熱が終了し、シール部分が所定の温度まで冷却された後、第1圧着部4と第2圧着部5とを左右に離間させると、フィルムFの熱融着した箇所Gは固化するが、その表面には厚み薄い箇所が形成される(図17(ニ))。この段階で、内容物が袋状をしたフィルムFに収納されていれば、その重量により切断されて下方に落下する。しかし、フィルムFの重なり箇所が多く厚くなっている場合などでは、図14に示したように、搬送ローラ対32を逆方向に回転させて、フィルムFを切断する(図17(ホ))。
【0052】
〔別実施の形態〕
(1)フィルムシール装置の形式は特に限定されるものではなく、図1,2に示したようなフィルムシール装置以外の他の卓上式フィルムシール装置、脱気式フィルムシール装置、足踏みペダル式フィルムシール装置などであってもよい。
(2)包装袋に封入される内容物は、特に限定されるものではなく、食品、機械部品、医療用器具、各種日用品など、種々のものに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルムシール装置の半断面斜視図本発明の一実施形態に係るフィルムシール装置の作動を説明する正面図
【図2】図1のフィルムシール装置のカバーを取り外したフィルムシール装置本体を示す斜視図(フィルムを装着する前の状態)
【図3】図2のフィルムシール装置本体の平面図
【図4】図2のフィルムシール装置本体の裏面側から見た斜視図
【図5】図2のフィルムシール装置本体の裏面側から見た平面図
【図6】図2のフィルムシール装置本体の正面図
【図7】図3のVII−VII断面図
【図8】制御ブロックを示す図
【図9】シール動作を説明する加熱パターン図
【図10】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図11】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図12】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図13】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図14】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図15】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図16】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図17】(イ)〜(ホ)は熱融着動作の細部を説明する図
【符号の説明】
【0054】
4 第1圧着体
5 第2圧着体
6 加熱手段
7 フィルム切断手段
14,16 フィルム挟持手段
40 制御部
F フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムシール装置に関し、詳しくは、内容物が収容された熱融着可能なチューブ状樹脂製フィルムをシールし、シール部を切断するためのフィルムシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続的に送り出されるチューブ状樹脂製フィルム内に各種被包装物たる内容物を包み込むと共に、内容物を包み込んだ包装体の所定長さ位置を加熱して熱融着しシールした後、わずかに張力を作用させて溶断・分離して、被包装物を樹脂製フィルムの袋体に収納させるフィルムシール装置(以下、「ヒートシーラー」ということがある)は利便性が高く、種々な用途に使用されている。
【0003】
その場合、内容物を収納した樹脂製フィルムの包装袋を熱融着してシールするのに、簡便性、確実性などの利点を有するインパルス式ヒートシール装置が採用されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平7−187143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、包装体を構成するフィルムにしわの入らないことが確実に熱融着してシールする条件であるため、薄いフィルムを扱う都合上、被シール箇所については、しわが入らないように細心の注意を払う必要があり、作業者には少なくない手間を要していた。しかも、内容物は種々の大きさ、形状のものがあるため、内容物によっては、包装体に不必要なしわが少なからず発生し、融着不良が発生率も少なくなかった。
【0006】
更に、内容物が特別に大きい場合には、包装体も大きくせざるを得ないが、その場合、限られたヒートシーラーのシール箇所では一度でシールできないため、数回に分けてシールすると、シール作業にかなりの時間と手間を要することになる。そこで、包装体をヒートシーラーのシール長さに合わせるようにすれば、シール箇所にしわが入らざるを得ず、シール不良が顕著に増加し、いずれの場合も包装体を大きくする場合には、シールに困難を伴っていた。
【0007】
また、しわが入ったシール箇所を確実にシールするため、熱板加熱方式でシールすると、フィルムの溶融温度に達した後、一定時間後に通電を切断するようにしているため、しわの重なった箇所と重なっていない箇所とを均一に熱融着してシールすることができず、部分的にシール不良を生じるという問題がある。しかも、しわの重なった箇所では融着後の切断が困難な場合が発生し、その都度、作業者が切断トラブルを解消するという煩わしさがあった。
【0008】
また、しわが入ったシール箇所を確実にシールするため、インパルス制御を行っても時間で制御されたものは、しわの重なった箇所と重なっていない箇所とを均一に熱融着してシールすることができず、部分的にシール不良を生じるという問題がある。しかも、しわの重なった箇所では融着後の切断が困難な場合が発生し、その都度、作業者が切断トラブルを解消するという煩わしさがあった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑みて、大径の連続包装体を用いて大きい内容物を包装してシールする場合であっても、シール不良の発生を確実に少なくでき、しかもシール後に確実に切断可能なフィルムシール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係るフィルムシール装置の特徴構成は、内容物が収容された熱融着可能なチューブ状樹脂製フィルムをシールし、シール部を切断するためのフィルムシール装置であって、
前記フィルムを収納・配置するフィルム装着部と
前記フィルムを送り出し方向に駆動して、フィルムのシール部を所定位置に送り出すフィルム駆動部と、
前記フィルムのシール部をシールして切断するためのフィルムシール部と、
前記フィルム駆動部とフィルムシール部の作動を制御する制御部とを備え、
前記フィルムシール部は、
前記フィルムのシール部近傍を挟持するフィルム挟持手段と、
前記フィルムのシール部を圧着すると共に加熱手段を有してシール部を加熱・圧着するフィルム圧着手段と、
前記フィルムのシール部を切断するフィルム切断手段とを備え、
前記制御部は、前記フィルムを所定位置に送り出して停止させた後、フィルム挟持手段およびフィルム圧着手段を作動させ、前記加熱手段に設けられた温度検出手段からの検出結果により前記フィルムを所定の融着温度に加熱させると共に圧着させて、前記フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせた後、前記フィルム圧着手段の圧着状態を保持し、所定の冷却温度に達した時に、前記フィルム圧着手段の圧着状態を解除するように、前記フィルム駆動部およびフィルムシール部を制御することにある。
【0011】
この構成によれば、大径のチューブ状樹脂製フィルムに内容物を収納して熱融着しシールする場合に、シール部を加熱・圧着する所定長さのフィルム圧着手段に対処すべくフィルムにしわを入れたとしても、加熱手段に設けられた温度検出器の検出結果に基づいて適正な温度で加熱するため、多重に重なり合ったフィルム箇所も重なりの少ないフィルム箇所も、確実に均質に熱融着されるようになる。そして、フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせた後、前記フィルム圧着手段の圧着状態を保持し、所定の冷却温度に達した時に、前記フィルム圧着手段の圧着状態を解除するようにしているので、従来技術において時間制御する場合に生じたような、圧着状態を早く解除した場合にシール部分が半溶融状態になって不規則に破れたりするトラブルを、確実に防止または低減できる。その後、フィルム切断手段によりシール部を切断することによって、内容物をシールした袋体として取り出すことができ、作業者の労力を大幅に低減できる。
【0012】
その結果、大径の連続包装体を用いて大きい内容物を包装してシールする場合であっても、シール不良の発生を確実に少なくでき、しかもシール後に確実に切断可能なフィルムシール装置を提供することができた。
【0013】
前記制御部は、フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせた後、フィルム圧着手段の圧着状態を解除すると共に、フィルムを戻し方向に所定量駆動するように、フィルム駆動部およびフィルムシール部を制御することが好ましい。
【0014】
この構成のフィルムシール装置において、フィルムをシールして切断するまでの手順は、次のようにして行われる。すなわち、フィルムをフィルム駆動部により送り出した後、所定位置にて停止させる。シール部の冷却後に、フィルム挟持手段およびフィルム圧着手段を作動させて、フィルムを加熱・圧着させる。フィルム圧着手段により、フィルムを加熱することでシール部が溶融しシールされる。また、フィルム切断手段により、シール部に対する切断作用を行わせる。次に、フィルム圧着手段の圧着状態を解除し、フィルムを戻し方向に所定量駆動する。このとき、フィルム挟持手段によるフィルムの挟持状態は維持したままである。従って、フィルムを戻し方向に駆動することで、シール部の切断個所が引っ張られることになるので、確実に分離することができる。これにより、フィルムにしわがよっていることで、切断が不十分であったとしても、強制的に分離させることができる。その結果、チューブ状フィルムを用いて内容物の収容されたフィルムをシール及び切断するに際し、確実に切断作用を行わせることができるフィルムシール装置を提供することができる。
【0015】
前記制御部は、前記フィルムの所定融着温度で所定時間保持後、所定温度まで一旦冷却し、再度フィルムの融着温度にまで加熱するように制御することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、フィルムの重なり箇所が多い場合であっても、適正に熱融着できて、確実にシールでき、一層融着不良を低減することができる。もとより、所定時間保持後、所定温度まで一旦冷却してから再度フィルムの融着温度にまで加熱する操作を複数回繰り返すこともでき、回数については特に限定されるものではない。
【0017】
前記フィルム圧着手段は、前記フィルムのシール部を圧着する第1圧着体と第2圧着体とを備え、この第1圧着体に前記フィルムを加熱するためのヒーターと、フィルム切断手段とが組み込まれており、加熱作用と切断作用を同時に行えるように構成したことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、フィルム圧着手段を構成する一対の圧着体のうち、第1圧着体のほうにヒーターと、フィルム圧着手段が組み込まれており、ヒーターで加熱すると共に、切断作用も同時に行うことができるため、フィルム圧着手段とフィルム切断手段を同じように駆動することができるので、フィルムシール部の構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<フィルムシール装置の構成>
本発明にかかるフィルムシール装置の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るフィルムシール装置の半断面構造を示し、図2はカバーを取り外し、フィルムを装着していない状態のフィルムシール装置本体を示し、図3は、フィルムシール装置本体の平面構造を示し、図4は、図2のフィルムシール装置本体の裏面側から見た斜視構造を示し、図5は、図2のフィルムシール装置本体の裏面側から見た平面構造を示す。図6はカバーを取り外した後の正面構造を示し、図7は図3のVII−VII断面構造を示す。
【0020】
このフィルムシール装置Sは、図1に示すように、4本の脚部S3を下方に向けて延設したフィルムシール装置本体S1と、その下部に内容物を収納してシールした包装体を一時的に貯留する、引き手付きの包装体貯留ケースS2とから構成されている。
【0021】
フィルムシール装置本体S1は、図2,3に示すように、比較的面積の広い支持プレート1の上におわん状に形成されたガイド部材2が取り付けられて構成されている。ガイド部材2は、側面2aがテーパ状に形成されており、底部にガイド孔2bが形成されている。図1は、折り畳んだ状態のチューブ状フィルムFを装着した状態を示す。ガイド部材2の周囲が、フィルム装着部として機能する。支持プレート1の下面側には、フィルムをシールして切断するための機構部3が装着されている。なお、図2,3における図番38は把手である。
【0022】
環状に折り畳んだ状態のフィルムFをセッティングする時の操作は、後述するように、折り畳んだフィルムFの一番外側の部分F1を手で持ち上げて、ガイド部材2の中の穴2bから見える搬送ローラ対32に挟持される位置まで押し込めばよい。その後、搬送ローラを駆動することで、フィルムFは下方に引き込まれていく。
【0023】
次に、機構部3について説明する。図4は、フィルムシール装置本体(脚部は省略)を裏面側から見た斜視図である。図5は、フィルムシール装置を裏面側から見た平面図である。図6は、機構部の側面図であり、図7は、図3のVII−VII断面図であり、図6の機構部の側断面図に相当する。
【0024】
まず、フィルムシール部の機能について説明する。第1圧着体4と第2圧着体5とが設けられており、図7にも示すように、これら第1・第2圧着体4,5は、お互いに離間した待機位置と、圧着面が互いに接触してフィルムFを圧着する圧着位置との間を移動可能(矢印A,B参照)に構成される。第1・第2圧着体4,5の圧着面4a,5a(フィルム圧着手段に相当)は、フィルムFのシール部の形状に対応して幅方向に延びたライン状に形成されている。第1圧着体4の圧着面4aには、加熱手段であるライン状に延びたヒーター6が取り付けられている。ヒーター6は、金属製の抵抗体であり不図示の加熱回路により加熱される。また、ヒーター6の表面には、後述する(図17の説明)ように、ヒーター6と同様にライン状に延びた切断部材7(フィルム切断手段に相当)が設けられている。ヒーター6と切断部材7を覆うようにカバー部材が設けられている。カバー部材は、テフロン(登録商標)製のシート部材である。第2圧着体5の圧着面5aには、シリコンゴムスポンジ製の支持部材9が取り付けられている。一対の圧着面4a,5aどうしで、フィルムFを圧着する。
【0025】
第1圧着体4の圧着面4aとは反対側の端面には、第1バネ支持軸10が2本植設されている。第1バネ支持軸10には、第1バネ11が挿入されている。第1バネ11は、第1付勢手段として機能し、圧縮コイルスプリングにより形成される。第2圧着体5の圧着面5aとは反対側の面にも、第2バネ支持軸12が2本植設されており、第1バネ11と同様に第2バネ13が挿入されている。第2バネ13は、第2付勢手段として機能する。
【0026】
第1圧着体4には、第1圧着体4に対して相対的に移動可能な第1挟持体14(フィルム挟持手段に相当)が取り付け支持されている。第1挟持体14は、第1圧着体4を囲うように側断面視で略コの字状に形成されている。第1挟持体14の先端部は挟持面14aとして機能し、シリコンゴム製の第1挟持部材15が取り付けられている。第1挟持体14の挟持面14aとは反対側の端面14bには、先ほど説明した第1バネ11が作用している。従って、第1圧着体4と第2圧着体5とが離間している位置では、第1バネ11の付勢力により、第1挟持体14の端面14bは、第1圧着体4の後端面4bに当接した状態である。また、この状態で挟持面14aは、圧着面4aよりも突出した状態に設定されている。
【0027】
第2圧着体5にも、第2圧着体5に対して相対的に移動可能な第2挟持体16(フィルム挟持手段に相当)が取り付け支持されている。第2挟持体16も、側断面視で略コの字状に形成されている。第2挟持体16の先端部は挟持面16aとして機能し、シリコンゴム製の第2挟持部材21が取り付けられている。第2挟持体16の挟持面16aとは反対側の端面16bには、第2バネ13が作用している。従って、第1圧着体4と第2圧着体5とが離間している位置では、第2バネ13の付勢力により、第2挟持体16の端面16bは、第2圧着体5の後端面5bに当接した状態である。また、この状態で挟持面16aは、圧着面5aよりも突出した状態に設定されている。
【0028】
第1挟持体14が第1圧着体4に対してスムーズに相対移動できるように、ガイドプレート17が第1圧着体4に対してネジ18により結合されている(図4参照)。第1圧着体4とガイドプレート17との間で、第1挟持体14がガイドされる。同様に、第2挟持体16が第2圧着体5に対してスムーズに相対移動できるように、ガイドプレート19が第2圧着体5に対してネジ20により結合されている。第2圧着体5とガイドプレート19との間で、第2挟持体16がガイドされる。
【0029】
第1・第2挟持体14,16は、第1・第2圧着体4,5よりも下方側に設けられる。すなわち、フィルムの送り方向の下流側に配置される。
【0030】
次に、フィルムシール部を駆動するシール駆動部の構成を説明する。シール駆動部は、駆動源としての駆動モータ22を備えている。駆動モータ22のモータ軸には駆動板23が結合されている。駆動リンク部材24が回転軸24a周りに回転可能に軸支されている。駆動リンク部材24には、回転軸24aから所定半径距離だけ離れた個所に第1リンク軸24bと第2リンク軸24cとが植設されている。駆動板23と第1リンク軸24bとは、連結バー25により連結されている。図4には示されていないが、駆動板23の回転中心から所定半径距離離れた個所に連結軸が植設されており、この連結軸と第1リンク軸24bとの間に連結バー25が掛け渡されている。連結軸において、駆動板23と連結バー25とは、相対的に回転自在であり、第1リンク軸24bにおいて、連結バー25と駆動リンク部材24とは、相対的に回転自在に連結される。
【0031】
第1圧着体支持プレート26には、第1圧着体4が固定された状態で支持される。第1圧着体支持プレート26の幅方向両側には、一対の側面部26aが形成されている。この側面部26aにリンク軸26bが植設される。このリンク軸26bと第1リンク軸24bとの間に、第1リンクレバー27が連結される。同様に、第2圧着体支持プレート28には、第2圧着体5が固定された状態で支持される。第2圧着体支持プレート28の幅方向両側には、一対の側面部28aが形成されている。この側面部28aにリンク軸28bが植設される。このリンク軸28bと第2リンク軸24cとの間に、第2リンクレバー29が連結される。以上のようなリンク機構により、フィルムシール部が駆動される。なお、同じリンク機構が幅方向の反対側の側面にも設けられている。駆動モータ22を駆動することで、駆動リンク部材24を回転させ、第1圧着体4と第2圧着体5とを同時に駆動させることができる。
【0032】
第1圧着体4と第2圧着体5をスムーズにガイドするためのガイド機構30が、第1・第2圧着体4,5の幅方向両側に設けられている。ガイド機構30は、フレーム部材31に固定される固定部分と、側面部26a,28aに固定される可動部分とを備える。
【0033】
フィルムFを送り出すためのフィルム駆動部として、搬送ローラ対32が設けられている。搬送ローラ対32は、幅方向に沿って2箇所に設けられている。2箇所の搬送ローラ対32の間をフィルムFが通過できるように構成される。搬送ローラ対32を駆動するための駆動モータ33が設けられており(図4参照)、不図示の伝達機構(減速機構)を介して搬送ローラ対32と連結されている。支持プレート1には、制御回路34(制御部に相当)が搭載されており、フィルムシール装置の各部の作動の制御を行う。なお、図7の図番8は、フィルムFの送りをガイドする受け板である。
【0034】
<制御ブロック>
次に、図8により制御関係の構成を説明する。制御部40は、装置各部の作動制御を司る中枢部である。駆動系ドライバー部41は、搬送ローラ32を駆動するための駆動モータ33と、フィルムシール部を駆動する駆動モータ22とを制御すると共に、搬送ローラおよびフィルムシール部を微調整するためのソレノイド35を制御する。ヒータートランスドライバー部43は、ヒータートランス42及びヒーター6を駆動する加熱回路により構成される。更に、ヒーター6に対しては、温度検出手段の1種である熱電対36を取り付けると共に、熱電対36からの信号を増幅する熱電対アンプ部37を設けて、熱電対アンプ部37からの信号を受けて適正な温度でフィルムを加熱できるように温度制御するようにしていると共に、適正な温度までシール後のフィルムを冷却するよう温度制御している。
【0035】
このように、シールされた箇所が冷却され、安定した固化状態になっていることを熱電対36からの信号により確認した後、圧着状態を解除するので、従来技術において時間制御する場合に生じたような、圧着状態を早く解除した場合にシール部分が半溶融状態になって不規則に破れたりするトラブルを確実に防止または低減できる。
【0036】
なお、その他にヒーター6や駆動モータ22,33の駆動時間を設定するタイマーを設けてもよく、制御部40は、設定されている時間に従って、ヒーター6等を駆動させるようにしてもよい。スイッチは、シール動作を行わせるための起動スイッチとして機能する。フィルムシール装置がシール状態であるか、使用可能状態であるか否かを外部に表示するためのLEDなどの各種表示ランプを設けると共に、制御部40により、表示ランプの点灯を制御させることができる。更に、シール部分が予定温度に達したことを知らせるために、ブザーや音声などの報知音や、LED等の各種表示ランプ、液晶などによる文字、イラスト、マーク等の知覚表示物などを設けると共に、制御部40により、報知音や知覚表示物などを制御するようにすることができる。
【0037】
<シール動作の説明>
次に、図9の加熱パターン図と図10〜16の作動図とにより、フィルムFにシールを行うときの作動を説明する。予め、連続円筒状をしたフィルムFの底部を閉鎖して、上方のみ開口した袋状にするための運転を行う(図10〜15)。
【0038】
すなわち、フィルム装着部を構成するガイド部材2の周囲に、環状に折り畳んで配置されているフィルムの最外部を手で把持して引っ張り、中央方向に移動させて、搬送ローラ32の位置にまで移動させる。この状態で、フィルムシール装置本体の前面操作パネル50に設けられているスイッチを入れる。このスイッチによる指令を受けて制御部40は、駆動モータ33を正転させる。これにより、搬送ローラ対32は送り方向に回転され(図10の矢印)、円筒状をしたフィルムFの両端部が搬送ローラ対32により挟持されて下方(図11の矢印)に送り出される。駆動モータ33を正転させる時間は、予めタイマーに設定されるようにしてもよいし、手動で所定時間経過後、駆動モータ33を停止させてもよい。これにより、フィルムFが所定量送り出され、フィルムFのシール部がヒーター6の位置にセットされる。シール部は、シールされる個所を指して呼ぶものであり、フィルムFに何らかの識別マークが付されていることを意味するものではない。もとより、そのような識別マークを付していてもよい。
【0039】
次に、駆動モータ33の停止と同時に、第1・第2圧着体4,5を駆動するため、駆動モータ22を回転(正転)させる。第1・第2圧着体4,5は、待機位置から、矢印で示すように、互いに近づく方向に駆動される(図12)。第1・第2圧着体4,5に夫々支持されている第1・第2挟持体14,16も同じように互いに近づく方向に駆動される。第1・第2圧着体4,5の圧着面4a,5aよりも、第1・第2挟持体14,16の挟持面14a,16aのほうが突出しているので、まず最初に挟持面14a,16a同士が当接する(図12)。これにより、第1・第2挟持体14,16は、これ以上移動できない状態となる。
【0040】
しかし、駆動モータ22は引き続き駆動状態にあり、第1・第2圧着体4,5は、さらに圧着面4a,5a同士が近づく方向に駆動される。このとき、第1バネ11と第2バネ13が徐々に圧縮されていく。圧着面4a,5a同士が当接した状態が図12及び図13に示される。駆動モータ22は、予め設定された所定時間だけ駆動された後、停止される。この停止と同時にヒーター6を加熱する。ヒーター6の加熱パターンは、図9に示されている通りである。
【0041】
ヒーター6は、常時は室温と同程度の低い温度状態であるが、加熱駆動をすることで、昇温して所定の加熱温度(T1)になる(図9。1次加熱)。この場合、ヒーター6に近接して(フィルムのシール部にも近接している)配置されている熱電対36により、ヒーター6によるフィルムシール部の加熱温度が検知されており、熱電対36からの検出結果の送信により、制御器40が所定の融着温度に達したと判断すると、制御器40によりON−OFF制御されるため、適正な融着温度で制御できる。もとより、フィルムの材質に応じた適正な設定温度と加熱時間は、予め求められている。
【0042】
これにより、フィルムの重なりの多い箇所と重なりの少ない箇所が混在しているもの、あるいは、バリアー性を高めるため中心にナイロン樹脂を配置し両面にポリエチレン樹脂を配置したラミネートフィルムのようなものでも、常時適正な融着温度で加熱・熱融着されることになる。従って、従来技術のように、フィルムシール部近傍の温度を直接測定することなく、フィルムの材質に応じて決められた溶融温度(所定電流値による通電)に、タイマーによる一定時間だけ加熱保持する方式に比べて、フィルムシール部を一層適正な融着温度に維持して保持できるため、シール不良を確実に低減できる。
【0043】
予め設定された所定の加熱時間が経過すると、ヒーター6をオフにし、ヒーター6は自然に冷却され、温度が低下していく。その際、フィルムのシール部での重なりが特に多いような場合には、所定の温度まで下がったら、フィルムの硬化温度(T3)より幾分高い温度(T2)で再度通電(T1まで昇温時の通電量の50%程度の通電量が好ましい)し、溶融温度まで加熱(2次加熱)して、その後通電をオフにして冷却する。このようにすると、一層確実に適正な熱融着ができて、シール不良を低減することができる。
【0044】
図17に示すように、ヒーター6の表面には切断部材7が設けられているので、ヒーター6の加熱と共に、切断作用も同タイミングで行われる。従って、シール部の溶着が行われてフィルムを袋状にすることができ、内容物が収納されている場合には、内容物を密封すると共に、シール部に対する切断作用も行われる。
【0045】
ヒーター6をオフにして所定の冷却温度に達すると、第1・第2圧着体4,5を開き方向に移動させるため、駆動モータ22を逆転させる。逆転させる時間は、第1・第2圧着体4,5を、少しだけ開いた状態にできる時間に設定することができる(図13)。圧着状態にある第1・第2圧着体4,5を開き方向に駆動し始めても(図13の矢印)、第1バネ11と第2バネ13の付勢力が作用しているため、第1・第2挟持体14,16はフィルムFを挟持した状態を維持している(図13)。駆動モータ22をわずかに逆転させた後、停止する。これと同時に、駆動モータ33を逆転させる。これにより、搬送ローラ対32は、逆方向に回転され(図14)、フィルムFが戻し方向に駆動される。搬送ローラ対32の逆転量は、わずかでよい。このフィルムFの戻し動作により、切断部材7による切断個所が強制的に分離される(図14)。戻し量は、フィルムFと搬送ローラ対32のかみ込み状態が外れない程度であれば良い。これにより、切断部材7によるフィルムFの切断が不十分であったとしても、確実にフィルムFを分離させることができる。
【0046】
駆動モータ33の逆転動作が終了した後、第1・第2圧着体4,5を待機位置に戻すため、駆動モータ22を逆転駆動させて待機位置に復帰させる。第1・第2圧着体4,5が待機位置に復帰する途中で、第1・第2挟持体14,16によるフィルムFの挟持も解除される。これにより、切断されたフィルムF’(上部は融着されてシールされているが、下部は開放されたままである)は、下方にある貯留ケースS2に向けて落下する(図15)。駆動モータ22を停止した後、戻し動作で戻したフィルムを所定のシールを行う位置まで移動させるため、駆動モータ33を正転させる。所定時間駆動モータ33を正転させた後、駆動モータ33を停止させる。これにより、ガイド部材2に残ったフィルムFを袋状にする動作が完了し、これを1サイクルとして、以後内容物を収納した場合においても、同様な動作を繰り返す。切断されて残ったフィルムFの底部F1は、シールされて袋状になる。
【0047】
そして、図16に示すように、内容物CをフィルムF内に収容して、上記と同一の手順により、フィルムF’内に内容物を収納し、シールして下方の貯留ケースS2に落下させることができる。
【0048】
また、フィルムFに内容物を収容できることを表示するLEDの表示を消灯し、1サイクルの動作が終了した時間で点灯させ、この点灯を確認することで、フィルムFに内容物を収容してもよいことが外部に表示されるようにすることができる。この場合、フィルムFのシール動作を行っていることを表示するLEDを設けて、その間点灯させるようにしてもよい。
<フィルムシール部のヒーターの作用の説明>
図17(イ)〜(ホ)により、熱融着動作時のヒーターの作用を説明する。図17(イ)は、図11に示す状態に相当し、互いに離間した第1圧着部4と第2圧着部5との間にフィルムFが送られてくる。第1圧着部4の圧着面4aには、上記したように、ヒーター6と、その表面側に突起条をした切断部材7とが装着されていて、更にその表面に離型性のよい樹脂製のカバー部材(不図示)が被覆されている。第2圧着部5の圧着面5aには、シリコンゴムスポンジ製の支持部材9が装着されていると共に、更にその表面に離型性のよい樹脂製のカバー部材(不図示)が被覆されている。
【0049】
ヒーター6の下部は、ガラス繊維製シートやサーコンシートが敷設されており、ヒーター6自体は、その短辺方向の中央部が第1圧着部4の圧着面4aから略90°の角度で突出し、先端が幾分丸味を帯びた断面形状となっていると共に、第1圧着部4の幅方向にライン状に延設した突条に構成されている。もっとも、突出部の形状はこれに限定されるものではなく、断面三角形状、断面半円形状など種々のものにすることができる。
【0050】
次いで、第1圧着部4と第2圧着部5とを左右から近接させ、フィルムFを圧着すると、ヒーター6の表面形状に合わせてフィルムFおよび支持部材9が変形し(図17(ロ))、その状態でヒーターを加熱する。ヒーターの加熱パターンは、上記した通りである。加熱に伴い、フィルムFの熱融着した箇所Gは、ゲル化した状態となる(図17(ハ))。
【0051】
加熱が終了し、シール部分が所定の温度まで冷却された後、第1圧着部4と第2圧着部5とを左右に離間させると、フィルムFの熱融着した箇所Gは固化するが、その表面には厚み薄い箇所が形成される(図17(ニ))。この段階で、内容物が袋状をしたフィルムFに収納されていれば、その重量により切断されて下方に落下する。しかし、フィルムFの重なり箇所が多く厚くなっている場合などでは、図14に示したように、搬送ローラ対32を逆方向に回転させて、フィルムFを切断する(図17(ホ))。
【0052】
〔別実施の形態〕
(1)フィルムシール装置の形式は特に限定されるものではなく、図1,2に示したようなフィルムシール装置以外の他の卓上式フィルムシール装置、脱気式フィルムシール装置、足踏みペダル式フィルムシール装置などであってもよい。
(2)包装袋に封入される内容物は、特に限定されるものではなく、食品、機械部品、医療用器具、各種日用品など、種々のものに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルムシール装置の半断面斜視図本発明の一実施形態に係るフィルムシール装置の作動を説明する正面図
【図2】図1のフィルムシール装置のカバーを取り外したフィルムシール装置本体を示す斜視図(フィルムを装着する前の状態)
【図3】図2のフィルムシール装置本体の平面図
【図4】図2のフィルムシール装置本体の裏面側から見た斜視図
【図5】図2のフィルムシール装置本体の裏面側から見た平面図
【図6】図2のフィルムシール装置本体の正面図
【図7】図3のVII−VII断面図
【図8】制御ブロックを示す図
【図9】シール動作を説明する加熱パターン図
【図10】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図11】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図12】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図13】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図14】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図15】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図16】フィルムシール装置の動作を説明する図7と同様な図
【図17】(イ)〜(ホ)は熱融着動作の細部を説明する図
【符号の説明】
【0054】
4 第1圧着体
5 第2圧着体
6 加熱手段
7 フィルム切断手段
14,16 フィルム挟持手段
40 制御部
F フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された熱融着可能なチューブ状樹脂製フィルムをシールし、シール部を切断するためのフィルムシール装置であって、
前記フィルムを収納・配置するフィルム装着部と
前記フィルムを送り出し方向に駆動して、フィルムのシール部を所定位置に送り出すフィルム駆動部と、
前記フィルムのシール部をシールして切断するためのフィルムシール部と、
前記フィルム駆動部とフィルムシール部の作動を制御する制御部とを備え、
前記フィルムシール部は、
前記フィルムのシール部近傍を挟持するフィルム挟持手段と、
前記フィルムのシール部を圧着すると共に加熱手段を有してシール部を加熱・圧着するフィルム圧着手段と、
前記フィルムのシール部を切断するフィルム切断手段とを備え、
前記制御部は、前記フィルムを所定位置に送り出して停止させた後、フィルム挟持手段およびフィルム圧着手段を作動させ、前記加熱手段に設けられた温度検出手段からの検出結果により前記フィルムを所定の融着温度に加熱させると共に圧着させて、前記フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせた後、前記フィルム圧着手段の圧着状態を保持し、所定の冷却温度に達した時に、前記フィルム圧着手段の圧着状態を解除するように、前記フィルム駆動部およびフィルムシール部を制御することを特徴とするフィルムシール装置。
【請求項2】
前記制御部は、フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせた後、フィルム圧着手段の圧着状態を解除すると共に、フィルムを戻し方向に所定量駆動するように、フィルム駆動部およびフィルムシール部を制御する請求項1記載のフィルムシール装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記フィルムの所定融着温度で所定時間保持後、所定温度まで一旦冷却し、再度フィルムの融着温度にまで加熱するように制御する請求項1又は2記載のフィルムシール装置。
【請求項4】
前記フィルム圧着手段は、前記フィルムのシール部を圧着する第1圧着体と第2圧着体とを備え、この第1圧着体に前記フィルムを加熱するためのヒーターと、フィルム切断手段とが組み込まれており、加熱作用と切断作用を同時に行えるように構成した請求項1〜3のいずれか1項記載のフィルムシール装置。
【請求項1】
内容物が収容された熱融着可能なチューブ状樹脂製フィルムをシールし、シール部を切断するためのフィルムシール装置であって、
前記フィルムを収納・配置するフィルム装着部と
前記フィルムを送り出し方向に駆動して、フィルムのシール部を所定位置に送り出すフィルム駆動部と、
前記フィルムのシール部をシールして切断するためのフィルムシール部と、
前記フィルム駆動部とフィルムシール部の作動を制御する制御部とを備え、
前記フィルムシール部は、
前記フィルムのシール部近傍を挟持するフィルム挟持手段と、
前記フィルムのシール部を圧着すると共に加熱手段を有してシール部を加熱・圧着するフィルム圧着手段と、
前記フィルムのシール部を切断するフィルム切断手段とを備え、
前記制御部は、前記フィルムを所定位置に送り出して停止させた後、フィルム挟持手段およびフィルム圧着手段を作動させ、前記加熱手段に設けられた温度検出手段からの検出結果により前記フィルムを所定の融着温度に加熱させると共に圧着させて、前記フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせた後、前記フィルム圧着手段の圧着状態を保持し、所定の冷却温度に達した時に、前記フィルム圧着手段の圧着状態を解除するように、前記フィルム駆動部およびフィルムシール部を制御することを特徴とするフィルムシール装置。
【請求項2】
前記制御部は、フィルム切断手段によるシール部に対する切断作用を行わせた後、フィルム圧着手段の圧着状態を解除すると共に、フィルムを戻し方向に所定量駆動するように、フィルム駆動部およびフィルムシール部を制御する請求項1記載のフィルムシール装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記フィルムの所定融着温度で所定時間保持後、所定温度まで一旦冷却し、再度フィルムの融着温度にまで加熱するように制御する請求項1又は2記載のフィルムシール装置。
【請求項4】
前記フィルム圧着手段は、前記フィルムのシール部を圧着する第1圧着体と第2圧着体とを備え、この第1圧着体に前記フィルムを加熱するためのヒーターと、フィルム切断手段とが組み込まれており、加熱作用と切断作用を同時に行えるように構成した請求項1〜3のいずれか1項記載のフィルムシール装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−126195(P2007−126195A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321904(P2005−321904)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000236964)富士インパルス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000236964)富士インパルス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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