説明

フォトレジスト用樹脂の製造方法、フォトレジスト用樹脂、フォトレジスト用樹脂組成物、及びパターン形成方法

【課題】分子量が小さなポリマーやオリゴマーの混入が極めて低いフォトレジスト用樹脂を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明のフォトレジスト用樹脂の製造方法は、少なくとも単量体を含有する溶液を滴下重合する工程を有するフォトレジスト用樹脂の製造方法であって、T1(℃)に保持した反応容器に前記溶液を滴下し、前記溶液中に含有する全単量体の15重量%以上、100重量%以下が滴下終了した時点で、反応容器の温度を下記T2(℃)まで降温する工程を有することを特徴とする。
2(℃):(T1−50)(℃)以上、(T1−5)(℃)以下

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体の微細加工等に用いるフォトレジスト用樹脂の製造方法、該製造方法により得られるフォトレジスト用樹脂、該製造方法により得られるフォトレジスト用樹脂を用いるフォトレジスト用樹脂組成物、及び該フォトレジスト用樹脂組成物を用いるパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリレート重合体から成るフォトレジスト用樹脂の製造方法としては、単量体、重合開始剤、及び必要に応じて連鎖移動剤を、混合して若しくは別々に、重合温度に保持した状態で供給する、又は重合温度に保持した系内に供給する方法、いわゆる滴下重合法が一般的に用いられている(特許文献1、2)。
【0003】
一般的に滴下重合法を用いた場合、単量体の滴下終了時点では未反応の単量体が系内に多く存在する。その未反応の単量体を減らす為に、単量体の滴下終了後、更に系内温度を重合温度に保持し、必要に応じて重合開始剤を添加して、重合反応を進行させてから反応を終了させることが行われる。しかし、滴下終了後は、重合反応の進行と共に単量体濃度が低くなるため、滴下終了時から重合反応終了時の間には、単量体の滴下中に生成したポリマーと比べて分子量が小さなポリマーやオリゴマーが多く生成し、これらの分子量が小さなポリマーやオリゴマーは、酸の拡散を増大させ、レジスト性能を悪化させることが知られている。
【0004】
フォトレジスト用樹脂に上記分子量が小さなポリマーやオリゴマーが混入することを防止する方法としては、下記方法等が知られている(特許文献3、4)。
1、フォトレジスト用樹脂を晶析して分子量が小さなポリマーやオリゴマーを除去する方法。
2、単量体の滴下終了前、又は滴下終了後において残存モノマーの50%が消費される前に反応を停止させる方法。
【0005】
しかし、上記1の方法では、精製によりオリゴマーを除去する為、収率低下によって生産効率が悪化することが問題であった。また、上記2の方法では、反応を途中で停止させる為、収率低下によって生産効率が悪化し、重合停止の仕方によっては、得られる樹脂にばらつきが発生することが問題であった。
【0006】
半導体素子の微細化が進む中、フォトレジスト用樹脂への分子量が小さなポリマーやオリゴマーの混入を抑制することは、レジスト性能を向上する上で非常に重要な課題であるものの、未だ、有効な手段が見出されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−269855号公報
【特許文献2】特開2004−355023号公報
【特許文献3】特開2008−013733号公報
【特許文献4】特開2008−248245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、分子量が小さなポリマーやオリゴマーの混入が極めて低いフォトレジスト用樹脂を効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、単量体を滴下重合する工程において、重合温度を調整すると、収率を低下させることなく、分子量が小さなポリマーやオリゴマーの混入が極めて低い、均一性に優れたポリマーを製造することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、少なくとも単量体を含有する溶液を滴下重合する工程を有するフォトレジスト用樹脂の製造方法であって、T1(℃)に保持した反応容器に前記溶液を滴下し、前記溶液中に含有する全単量体の15重量%以上、100重量%以下が滴下終了した時点で、反応容器の温度を下記T2(℃)まで降温する工程を有することを特徴とするフォトレジスト用樹脂の製造方法を提供する。
2(℃):(T1−50)(℃)以上、(T1−5)(℃)以下
【0011】
降温後、更に、前記T2(℃)を保持しつつ熟成させる工程を有することが好ましい。
【0012】
降温速度としては、−1℃/1分〜−1℃/60分の範囲内であることが好ましい。
【0013】
少なくとも単量体を含有する溶液が、単量体と重合開始剤を含有することが好ましい。
【0014】
少なくとも単量体を含有する溶液の滴下中に生成するポリマーの重量平均分子量をMwa、数平均分子量をMnaとし、前記溶液の滴下終了時から重合反応終了時までに生成するポリマーの重量平均分子量をMwb、数平均分子量をMnbとすると、(Mwa/Mna)及び(Mwb/Mnb)が共に2.0以下で、且つ、(Mna−Mnb)が1500以下であることが好ましい。
【0015】
フォトレジスト用樹脂は、下記式(1)
【化1】

(式中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、R1は酸によりその一部が脱離してアルカリ可溶性となる基を示す)
で表される重合単位を含むことが好ましい。
【0016】
フォトレジスト用樹脂は、下記式(2)
【化2】

(式中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2はラクトン環を含む炭素数4〜20の基を示す)
で表される重合単位を含むことが好ましい。
【0017】
フォトレジスト用樹脂が重合単位として、下記式(3)
【化3】

(式中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、R3は極性基を有する脂環式骨格を含む炭素数4〜20の基を示す)
で表される重合単位を含むことが好ましい。
【0018】
本発明は、また、上記フォトレジスト用樹脂の製造方法により得られるフォトレジスト用樹脂を提供する。
【0019】
本発明は、更に、上記フォトレジスト用樹脂と、感放射線性酸発生剤を含有するフォトレジスト用樹脂組成物を提供する。
【0020】
本発明は、更にまた、上記フォトレジスト用樹脂組成物を基板に塗布し、露光後、アルカリ溶解する工程を含むパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るフォトレジスト用樹脂の製造方法によれば、単量体を含有する溶液を滴下重合する工程において、特定の割合の単量体が滴下終了した時点で、反応容器の温度を特定の範囲に低下させるため、単量体滴下終了後に生成するポリマーの分子量を単量体滴下中に生成したポリマーの分子量と同等に維持することができ、分子量が小さなポリマーやオリゴマーの生成を抑制することができる。そのため、本発明に係るフォトレジスト用樹脂を使用すると、フォトリソグラフィ工程において露光時に酸の過拡散を防止することができ、極めて微細なパターンを精度よく形成することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[フォトレジスト用樹脂]
本発明におけるフォトレジスト用樹脂は、酸の作用によりその一部が脱離してアルカリ可溶となる基を含む重合単位を含有する。前記酸によりその一部が脱離してアルカリ可溶となる基を含む重合単位としては、露光によって光酸発生剤から発生する酸の作用により一部分が脱離して、アルカリ現像液に対し可溶性を示す基(酸脱離性基)を有するものであればよく、例えば、上記式(1)で表される。上記式(1)中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、R1は酸によりその一部が脱離してアルカリ可溶性となる基を示す。
【0023】
上記式(1)で表される重合単位に相当する単量体(1)としては、例えば、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を含有し且つ酸の作用によりその一部が脱離してアルカリ可溶となる基を有している不飽和カルボン酸エステル等が挙げられる。「炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を含有し且つ酸の作用によりその一部が脱離してアルカリ可溶となる基を有している不飽和カルボン酸エステル」には、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有すると共に、不飽和カルボン酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子との結合部位に第3級炭素原子を有する不飽和カルボン酸エステルが含まれる。前記脂環式炭化水素基は、不飽和カルボン酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。前記炭素数5〜20の脂環式炭化水素基は単環式炭化水素基であってもよく、多環式(橋かけ環式)炭化水素基であってもよい
【0024】
また、「炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を含有し且つ酸の作用によりその一部が脱離してアルカリ可溶となる基を有している不飽和カルボン酸エステル」には、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有すると共に、該脂環式炭化水素基に−COORa基(Raは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、又はオキセパニル基を示す)が直接又は連結基を介して結合している不飽和カルボン酸エステルも含まれる。−COORa基のRaにおける第3級炭化水素基としては、例えば、t−ブチル、t−アミル、2−メチル−2−アダマンチル、(1−メチル−1−アダマンチル)エチル基等が挙げられる。この第3級炭化水素基が有していてもよい置換基として、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(例えば、C1-4アルキル基等)、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基[例えば、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基等のC1-4アルコキシ基)等]、オキソ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基[例えば、−COORb基等:前記Rbは水素原子又はアルキル基を示し、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基]等が挙げられる。また、Raにおけるテトラヒドロフラニル基には2−テトラヒドロフラニル基が、テトラヒドロピラニル基には2−テトラヒドロピラニル基が、オキセパニル基には2−オキセパニル基が含まれる。前記連結基としては、アルキレン基(例えば、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基)等が挙げられる。前記脂環式炭化水素基は、不飽和カルボン酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。前記炭素数5〜20の脂環式炭化水素基は単環式炭化水素基であってもよく、多環式(橋かけ環式)炭化水素基であってもよい。このような不飽和カルボン酸エステルの代表的な例として、下記式(1a)、(1b)、(1c)で表される単位が例示される。
【0025】
【化4】

【0026】
また、単量体(1)の他の例として、不飽和カルボン酸ヘミアセタールエステルが挙げられる。具体的には、下記式(1d)で表される化合物が例示される。
【0027】
【化5】

【0028】
上記式中、環Z1は置換基を有していてもよい炭素数5〜20の脂環式炭化水素環を示す。R’は水素原子、フッ素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0029】
4〜R6は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R7は環Z1に結合している置換基であって、同一又は異なって、オキソ基、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示す。保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基としては、前記と同様の例を挙げることができる。また、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基としては、前記保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基が炭素数1〜6のアルキレン基を介して結合している基等が挙げられる。但し、p個のR7のうち少なくとも1つは、−COORa基を示す。前記Raは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、又はオキセパニル基を示す。nは1〜3の整数を示す。R8、R9は、同一又は異なって、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。R10は水素原子又は有機基を示す。R8、R9、R10のうち少なくとも2つが互いに結合して隣接する原子とともに環を形成していてもよい。
【0030】
式(1a)〜(1d)中、環Z1における炭素数5〜20の脂環式炭化水素環は単環であっても、縮合環や橋かけ環等の多環であってもよい。代表的な脂環式炭化水素環として、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロデカン環、アダマンタン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、ボルナン環、イソボルナン環、パーヒドロインデン環、デカリン環、パーヒドロフルオレン環(トリシクロ[7.4.0.03,8]トリデカン環)、パーヒドロアントラセン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、トリシクロ[4.2.2.12,5]ウンデカン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環等が挙げられる。脂環式炭化水素環には、メチル基等のアルキル基(例えば、C1-4アルキル基等)、塩素原子等のハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、オキソ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基等の置換基を有していてもよい。保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基としては、前記と同様の例を挙げることができる。
【0031】
式(1a)、(1b)、(1d)中のR4〜R6、R8、R9における置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素1〜6のアルキル基;トリフルオロメチル基等の炭素1〜6のハロアルキル基等が挙げられる。式(1c)中、R7におけるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素1〜20程度のアルキル基が挙げられる。R7において、−COORa基のRaは前記と同様である。
【0032】
10における有機基としては、炭化水素基及び/又は複素環式基を含有する基が挙げられる。炭化水素基には脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及びこれらが2以上結合した基が含まれる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル基等の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基(C1-8アルキル基等);アリル基等の直鎖状または分岐鎖状のアルケニル基(C2-8アルケニル基等);プロピニル基等の直鎖状または分岐鎖状のアルキニル基(C2-8アルキニル基)等が挙げられる。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(3〜8員シクロアルキル基等);シクロペンテニル、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基(3〜8員シクロアルケニル基等);アダマンチル、ノルボルニル基等の橋架け炭素環式基(C4-20橋架け炭素環式基)等が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ナフチル基等のC6-14芳香族炭化水素基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基としては、ベンジル、2−フェニルエチル基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、アルキル基(C1-4アルキル基等)、ハロアルキル基(C1-4ハロアルキル基等)、ハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、オキソ基等の置換基を有していてもよい。保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基の例としては、前記と同様の例を挙げることができる。複素環式基としては、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択された少なくとも1種のヘテロ原子を含む複素環式基が挙げられる。
【0033】
10における好ましい有機基としては、C1-8アルキル基、環式骨格を含む有機基等が挙げられる。前記環式骨格を構成する「環」には、単環又は多環の非芳香族性又は芳香族性の炭素環又は複素環が含まれる。なかでも、単環又は多環の非芳香族性炭素環、ラクトン環(非芳香族性炭素環が縮合していてもよい)が特に好ましい。単環の非芳香族性炭素環として、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の3〜15員程度のシクロアルカン環等が挙げられる。
【0034】
多環の非芳香族性炭素環(橋架け炭素環)として、例えば、アダマンタン環、ノルボルナン環、ノルボルンネン環、ボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環;ノルボルナン環、ノルボルネン環、ボルナン環、イソボルナン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン環等のノルボルナン環又はノルボルネン環を含む環;パーヒドロインデン環、デカリン環(パーヒドロナフタレン環)、パーヒドロフルオレン環(トリシクロ[7.4.0.03,8]トリデカン環)、パーヒドロアントラセン環等の多環の芳香族縮合環が水素添加された環(好ましくは完全水素添加された環);トリシクロ[4.2.2.12,5]ウンデカン環等の2環系、3環系、4環系等の橋架け炭素環(例えば、炭素数6〜20程度の橋架け炭素環)等が挙げられる。前記ラクトン環として、例えば、γ−ブチロラクトン環、4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オン環、4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン環、4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン環等が挙げられる。
【0035】
前記環式骨格を構成する環は、メチル基等のアルキル基(例えば、C1-4アルキル基等)、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基(例えば、C1-4ハロアルキル基等)、塩素原子やフッ素原子等のハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいスルホン酸基等の置換基を有していてもよい。保護基で保護されていてもよいメルカプト基としては、メルカプト基、置換チオ基(メチルチオ、エチルチオ基等のC1-6アルキルチオ基;シクロヘキシルチオ基等のシクロアルキルチオ基;フェニルチオ基等のアリールチオ基;アセチルチオ基等のアシルチオ基等)が挙げられる。保護基で保護されていてもよいアミノ基としては、アミノ基、置換アミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ基等のC1-4アルキルアミノ基)等が挙げられる。保護基で保護されていてもよいスルホン酸基としては、−SO3c基等が挙げられる。前記Rcは水素原子又はアルキル基を示し、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。また、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基の例としては、前記と同様の例を挙げることができる。
【0036】
前記環式骨格を構成する環は、式(1d)中に示される酸素原子(R10の隣接位の酸素原子)と直接結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;カルボニル基;酸素原子(エーテル結合;−O−);オキシカルボニル基(エステル結合:−COO−);アミノカルボニル基(アミド結合:−CONH−);及びこれらが複数個結合した基等が挙げられる。
【0037】
8、R9、R10のうち少なくとも2つは、互いに結合して隣接する原子とともに環を形成していてもよい。該環としては、例えば、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等のシクロアルカン環;テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、オキセパン環等の含酸素環;橋架け環等が挙げられる。
【0038】
式(1a)〜(1d)で表される化合物には、それぞれ立体異性体が存在しうる。これらは単独で又は2種以上の混合物として使用できる。
【0039】
式(1a)で表される化合物としては、例えば、1−メチル−1−(メタ)アクリロイルオキシシクロペンタン、1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシシクロペンタン、1−イソプロピル−1−(メタ)アクリロイルオキシシクロペンタン、1−t−ブチル−1−(メタ)アクリロイルオキシシクロペンタン、1−メチル−1−(メタ)アクリロイルオキシシクロヘキサン、1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシシクロヘキサン、1−イソプロピル−1−(メタ)アクリロイルオキシシクロヘキサン、1−t−ブチル−1−(メタ)アクリロイルオキシシクロヘキサン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−イソプロピルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−t−ブチルアダマンタン、1−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、5−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、1,5−ジヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−6−(メタ)アクリロイルオキシ−6−メチルアダマンタン、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン、1−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン、5−ヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン、1,5−ジヒドロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−エチルアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−6−(メタ)アクリロイルオキシ−6−エチルアダマンタン等が挙げられる。
【0040】
上記式(1a)で表される化合物は、例えば、対応する環式アルコールと不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体とを、酸触媒やエステル交換触媒、塩基等を用いた慣用のエステル化法に従って反応させることにより得ることができる。
【0041】
式(1b)で表される化合物としては、例えば、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン、1−(1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アダマンタン、1−ヒドロキシ−3−(1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アダマンタン、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルプロピル)アダマンタン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルプロピル)アダマンタン、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジメチルプロピル)アダマンタン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジメチルプロピル)アダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−5−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン、1−(1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−3,5−ジヒドロキシアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−5−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルプロピル)アダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−5−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジメチルプロピル)アダマンタン、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)シクロプロパン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)シクロプロパン、1−(1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)シクロプロパン、1−ヒドロキシ−3−(1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)シクロプロパン、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルプロピル)シクロプロパン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルプロピル)シクロプロパン、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジメチルプロピル)シクロプロパン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジメチルプロピル)シクロプロパン、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチル)シクロヘキサン、1−(1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−3−(1−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)シクロヘキサン、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルプロピル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルプロピル)シクロヘキサン、1−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジメチルプロピル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−3−(1−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2−ジメチルプロピル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0042】
上記式(1b)で表される化合物は、例えば、対応する1位に脂環式基を有するメタノール誘導体と不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体とを、酸触媒やエステル交換触媒、塩基等を用いた慣用のエステル化法に従って反応させることにより得ることができる。
【0043】
式(1c)で表される化合物としては、例えば、1−t−ブトキシカルボニル−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ビス(t−ブトキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−t−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ビス(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−ヒドロキシ−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン等が挙げられる。
【0044】
上記式(1c)で表される化合物は、例えば、対応する環式アルコールと不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体とを、酸触媒やエステル交換触媒、塩基等を用いた慣用のエステル化法に従って反応させることにより得ることができる。
【0045】
式(1d)で表される化合物としては、例えば、1−アダマンチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチルオキシ−1−メチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチルメチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−(1−アダマンチルエチル)オキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−アダマンチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−アダマンチルオキシ−1−メチル(メタ)アクリレート、2−アダマンチルメチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−(2−アダマンチルエチル)オキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、1−ボルニルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−ノルボルニルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロフラニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
上記式(1d)で表される化合物は、例えば、対応するビニルエーテル化合物と不飽和カルボン酸とを酸触媒を用いた慣用の方法で反応させることにより得ることができる。例えば、1−アダマンチルオキシ−1−エチル(メタ)アクリレートは、1−アダマンチル−ビニル−エーテルと(メタ)アクリル酸とを酸触媒の存在下で反応させることにより製造できる。
【0047】
単量体(1)としては、上記式(1a)〜(1d)で表される化合物の他に、エステル結合を構成する酸素原子がラクトン環のβ位に結合し且つラクトン環のα位に少なくとも1つの水素原子を有する、ラクトン環を含む不飽和カルボン酸エステル等を用いることも可能である。
【0048】
上記単量体(1)は1種のみであってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。本発明における単量体(1)としては、前記式(1a)〜(1d)から選択された少なくとも1種の化合物であるのが好ましい。
【0049】
また、本発明におけるフォトレジスト用樹脂は、上記式(2)で表される重合単位を有することが好ましい。上記式(2)中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2はラクトン環を含む炭素数4〜20の基を示す。
【0050】
上記式(2)で表される重合単位に相当する単量体(2)には、ラクトン環を含有する炭素数6〜20の脂環式炭化水素基[ラクトン環と単環又は多環(橋かけ環)の脂環式炭素環とが縮合した構造を有する基等]がエステル結合を構成する酸素原子に結合している不飽和カルボン酸エステルが含まれる。このような単量体(2)の代表的な例としては、下記式(2a)〜(2c)で表される化合物が例示される。
【0051】
【化6】

【0052】
上記式中、R’は前記に同じ。R11〜R13は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、又は保護基で保護されていてもよいカルボキシル基を示し、V1〜V3は、同一又は異なって、−CH2−、−CO−又は−COO−を示す。但し、(i)V1〜V3のうち少なくとも1つは−COO−である。R14〜R18は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいスルホン酸基を示す。qは1又は2、rは0又は1を示す。
【0053】
式(2a)〜(2c)中、R11〜R18におけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜13のアルキル基等が挙げられる。これらのなかでも、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、及び保護基で保護されていてもよいスルホン酸基としては、前記と同様の例を挙げることができる。Rbは前記と同様である。
【0054】
式(2a)〜(2c)で表される化合物には、それぞれ立体異性体が存在しうる。これらは単独で又は2種以上の混合物として使用できる。
【0055】
式(2a)で表される化合物としては、例えば、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−5−オン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4,7−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−5,8−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4,8−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−5,7−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−5,7−ジオキサトリシクロ[4.4.1.13,9]ドデカン−4,8−ジオン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5−ジヒドロキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5,7−トリヒドロキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−ヒドロキシ−5,7−ジメチルアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−カルボキシアダマンタン等が挙げられる。
【0056】
上記式(2a)で表される化合物は、対応する環式アルコール誘導体と不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体とを、酸触媒やエステル交換触媒、塩基等を用いた慣用のエステル化法に従って反応させることにより得ることができる。
【0057】
式(2b)で表される化合物としては、例えば、5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−5−メチル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−9−メチル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−9−カルボキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−シアノ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−トリフルオロメチル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−1−フルオロ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン−1−メチルエステル、5−(メタ)アクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン−1−トリフルオロメチルエステル、5−(メタ)アクリロイルオキシ−9−メトキシカルボニル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−メタクリロイルオキシメチルカルボキシル−1−シアノ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−メタクリロイルオキシメチルカルボキシル−1−トリフルオロメチル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−メタクリロイルオキシメチルカルボキシル−1−フルオロ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−メタクリロイルオキシメチルカルボキシル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン−1−メチルエステル、5−メタクリロイルオキシメチルカルボキシル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン−1−トリフルオロメチルエステル、5−メタクリロイルオキシメチルカルボキシル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−9−エトキシカルボニル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−9−t−ブトキシカルボニル−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン等が挙げられる。
【0058】
上記式(2b)で表される化合物は、対応する環式アルコール誘導体と不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体とを、酸触媒やエステル交換触媒、塩基等を用いた慣用のエステル化法に従って、反応させることにより得ることができる。なお、その際に原料として用いる環式アルコール誘導体は、例えば、対応する5−ノルボルネン−2−カルボン酸誘導体又はそのエステルを過酸(過酢酸、m−クロロ過安息香酸等)又は過酸化物(過酸化水素、過酸化水素+酸化タングステンやタングステン酸等の金属化合物)と反応(エポキシ化及び環化反応)させることにより得ることができる。
【0059】
式(2c)で表される化合物としては、例えば、8−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−5−オン等が挙げられる。
【0060】
上記式(2c)で表される化合物は、対応する環式アルコール誘導体と不飽和カルボン酸又はその反応性誘導体とを、酸触媒やエステル交換触媒、塩基等を用いた慣用のエステル化法に従って反応させることにより得ることができる。
【0061】
単量体(2)は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。単量体(2)としては、前記式(2a)〜(2c)から選択された少なくとも1種の単量体であるのが好ましい。
【0062】
更にまた、本発明におけるフォトレジスト用樹脂は、上記式(3)で表される重合単位(上記式(2)で表される重合単位を除く)を有することが好ましい。上記式(3)中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、R3は極性基を有する脂環式骨格を含む炭素数4〜20の基を示す。上記式(3)で表される重合単位を樹脂に導入することにより、極性基によりシリコンウェハ等の基板に対する密着性を付与すると共に、脂環式骨格によりドライエッチング耐性を付与することができる。
【0063】
上記式(3)で表される重合単位に相当する単量体(3)には、下記式(3a)で表される化合物が例示される。
【0064】
【化7】

【0065】
上記式(3a)中、環Z2は炭素数6〜20の脂環式炭化水素環を示す。R’は前記に同じ。R19は環Z2に結合している置換基であって、同一又は異なって、オキソ基、アルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、又は保護基で保護されていてもよいスルホン酸基を示す。但し、s個のR19のうち少なくとも1つは、オキソ基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、又は保護基で保護されていてもよいスルホン酸基を示す。sは1〜3の整数を示す。
【0066】
環Z2における炭素数6〜20の脂環式炭化水素環の例としては、上記環Z1における炭素数6〜20の脂環式炭化水素環の例と同様の例を挙げることができる。脂環式炭化水素環には、メチル基等のアルキル基(例えば、C1-4アルキル基等)、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、フッ素原子や塩素原子等のハロゲン原子、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、オキソ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいスルホン酸基等の置換基を有していてもよい。保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいメルカプト基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいスルホン酸基としては、前記と同様の例を挙げることができる。環Z2としては、なかでも、アダマンタン環等の多環の脂環式炭化水素環(橋かけ環式炭化水素環)が好ましい。
【0067】
式(3a)中、R19におけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜20程度のアルキル基が挙げられる。R19における保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいスルホン酸基としては、前記と同様の例を挙げることができる。
【0068】
式(3a)で表される化合物としては、例えば、1−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジカルボキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−カルボキシ−3−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−t−ブトキシカルボニル−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ビス(t−ブトキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−t−ブトキシカルボニル−3−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−3−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ビス(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−ヒドロキシ−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニル)−5−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上の混合物として使用できる。
【0069】
本発明におけるフォトレジスト用樹脂には、アルカリ可溶性(酸脱離性)、基板密着性、ドライエッチング耐性、レジスト溶剤への溶解性等の特性を損なわない範囲で、上記単量体(1)、単量体(2)、単量体(3)以外の他の単量体をコモノマーとして用いてもよい。他の単量体としては、単量体(1)、単量体(2)、及び単量体(3)と共重合可能な単量体であって、且つレジスト特性を損なわないようなものであれば特に限定されない。
【0070】
他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸又はその誘導体、マレイン酸又はその誘導体、フマル酸又はその誘導体、環状オレフィン類等が挙げられる。前記(メタ)アクリル酸又はその誘導体としては、例えば、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン等の、ラクトン環(γ−ブチロラクトン環、δ−バレロラクトン環等)を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。このラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステルは、ポリマーに基板密着性を付与しうる。
【0071】
本発明のフォトレジスト用樹脂における上記式(1)で表される重合単位の割合としては、特に限定されないが、例えば、フォトレジスト用樹脂を構成する全モノマー単位に対して、一般には1〜100モル%、好ましくは5〜80モル%、さらに好ましくは10〜60モル%程度である。また、前記式(2)で表される重合単位の重合単位は、例えば、フォトレジスト用樹脂を構成する全モノマー単位に対して、0〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、さらに好ましくは20〜60モル%程度である。更に、前記式(3)で表される重合単位の割合は、例えば、フォトレジスト用樹脂を構成する全モノマー単位に対して、0〜70モル%、好ましくは5〜60モル%、さらに好ましくは10〜50モル%程度である。
【0072】
[フォトレジスト用樹脂の製造方法]
本発明に係るフォトレジスト用樹脂の製造方法は、少なくとも、上記重合単位に相当する単量体を含有する溶液(以後、「単量体溶液」と称する場合がある)を滴下重合する工程を有するフォトレジスト用樹脂の製造方法であって、T1(℃)に保持した反応容器に前記溶液を滴下し、前記単量体溶液中に含有する全単量体の15重量%以上、100重量%以下が滴下終了した時点で、反応容器の温度を下記T2(℃)まで降温する工程を有することを特徴とする。
2(℃):(T1−50)(℃)以上、(T1−5)(℃)以下
【0073】
上記、T1(℃)としては、例えば、30〜150℃程度(好ましくは、60〜120℃程度)である。T1(℃)が上記範囲を上回ると、分子量が低下する傾向がある上、単量体及び生成したポリマーの安定性が低下し易くなる傾向がある。一方、T1(℃)が上記範囲を下回ると、分子量が大きくなり過ぎる傾向がある。
【0074】
温度降下開始時間としては、単量体溶液を滴下開始後、前記単量体溶液中に含有する全単量体の15重量%以上、100重量%以下が滴下終了した時点であり、好ましくは、15重量%以上、90重量%以下、特に好ましくは20重量%以上、80重量%以下が滴下終了した時点である。温度降下開始時間が早すぎると、分子量が大き過ぎるポリマーが生成する可能性があり、一方、温度降下開始時間が遅すぎると、温度降下が完了するまでに重合反応が進行し、分子量が小さなポリマーやオリゴマーの生成を抑制することが困難となる為である。
【0075】
温度の降下範囲としては、5〜50℃であり、好ましくは、5〜30℃、特に好ましくは、5〜20℃である。T2(℃)としては、例えば、25〜120℃程度(好ましくは、60〜80℃程度)である。降下温度が上記範囲を上回ると、分子量が大き過ぎるポリマーが生成し易くなる傾向があり、一方、降下温度が上記範囲を下回ると、分子量が小さなポリマーやオリゴマーの生成を抑制することが困難となる傾向がある。
【0076】
また、上記T1(℃)からT2(℃)への降温速度としては、−1℃/1分〜−1℃/60分程度(好ましくは、−1℃/3分〜−1℃/30分)が好ましい。降温速度が上記範囲を下回ると、分子量が小さなポリマーやオリゴマーの生成を抑制することが困難となる傾向があり、一方、降温速度が上記範囲を上回ると、分子量が大き過ぎるポリマーが生成し易くなる傾向がある。
【0077】
2(℃)へ降温後は、更に、前記T2(℃)を保持しつつ熟成させる工程を設けることが好ましい。前記熟成工程を設けることにより、目的とするフォトレジスト用樹脂の収率を著しく向上させることができる。熟成時間としては、例えば、1〜10時間程度、好ましくは1〜5時間程度である。
【0078】
上記反応温度[T1、及びT2(℃)]は、振れ幅を極力小さくするように温度制御することが望ましく、設定温度に対して±5℃以内(好ましくは±3℃以内、さらに好ましくは±1℃以内)に制御することが好ましい。
【0079】
単量体溶液の全滴下時間は、重合温度及び単量体の種類等によって異なるが、一般には1〜10時間、好ましくは2〜8時間、さらに好ましくは3〜7時間程度である。
【0080】
滴下する単量体溶液の温度としては、40℃以下が好ましい。単量体溶液が40℃を超えると、分子量が大き過ぎるポリマーが生成し易くなる傾向がある。また、単量体溶液は、冷やしすぎると結晶化する場合がある。そのため、単量体溶液の温度としては−10℃〜40℃の範囲がより好ましい。
【0081】
滴下重合は、(i)予め単量体混合物を重合溶媒に溶解した単量体溶液と、重合開始剤を重合溶媒に溶解した重合開始剤溶液とをそれぞれ調製し、重合溶媒中に前記単量体溶液と重合開始剤溶液とを別個の容器から各々独立に滴下しても良く、(ii)単量体と重合開始剤とを重合溶媒に溶解した混合溶液を、重合溶媒中に滴下しても良い。
【0082】
重合溶媒としては、例えば、グリコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒、1価アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、これらの混合溶媒等が挙げられる。グリコール系溶媒には、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエチレングリコール系溶媒等が挙げられる。エステル系溶媒には、乳酸エチル等の乳酸エステル系溶媒;3−メトキシプロピオン酸メチル等のプロピオン酸エステル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶媒等が挙げられる。ケトン系溶媒には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エーテル系溶媒には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。アミド系溶媒には、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。スルホキシド系溶媒には、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。1価アルコール系溶媒には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。炭化水素系溶媒には、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
【0083】
好ましい重合溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒、乳酸エチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0084】
重合開始剤としては公知のラジカル重合開始剤を使用することができ、例えば、アゾ系化合物、過酸化物系化合物、レドックス系化合物が挙げられ、特に、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−t−ブチルパーオキシド、イソ−ブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキシド、ジシンナミルパーオキシド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、過硫酸アンモニウム等が好ましい。重合開始剤の使用量は、所望の重量平均分子量を有するポリマーを得るために必要な量であればよく、例えば、単量体混合物1モルに対して、0.001〜120モル、好ましくは0.01〜20モル程度である。
【0085】
滴下重合において、予め仕込まれる溶媒の量と滴下する溶液(単量体溶液、重合開始剤溶液)の総量との比率は、生産性や経済性、作業性、操作性等を考慮しつつ、樹脂の品質を損なわない範囲で適宜設定できるが、一般には、前者/後者(重量比)=5/95〜90/10、好ましくは10/90〜70/30、さらに好ましくは20/80〜60/40の範囲である。使用する重合溶媒の総量(予め仕込まれる溶媒の量+滴下する溶液中の溶媒の量)は、作業性、操作性、反応効率、生成するポリマーの溶解性等を考慮して適宜選択できるが、単量体の総量100重量部に対して、一般には100〜2000重量部、好ましくは200〜1000重量部、さらに好ましくは200〜500重量部程度である。
【0086】
滴下重合により生成したポリマーは沈殿(再沈殿を含む)により単離できる。例えば、重合溶液(ポリマードープ)を溶媒(沈殿溶媒)中に添加してポリマーを沈殿させるか、又は該ポリマーを再度適当な溶媒に溶解させ、この溶液を溶媒(再沈殿溶媒)中に添加して再沈殿させるか、或いはまた、重合溶液(ポリマードープ)中に溶媒(再沈殿溶媒)を添加することにより目的のポリマーを得ることができる。沈殿又は再沈殿溶媒は有機溶媒及び水の何れであってもよく、また混合溶媒であってもよい。
【0087】
沈殿又は再沈殿溶媒として用いる有機溶媒として、例えば、炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素等)、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタン等)、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリル等)、エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン等)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、カーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等)、カルボン酸(酢酸等)、これらの溶媒を含む混合溶媒等が挙げられる。
【0088】
なかでも、前記沈殿又は再沈殿溶媒として用いる有機溶媒として、少なくとも炭化水素(特に、ヘキサンやヘプタン等の脂肪族炭化水素)もしくは、アルコール(特に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等)を含む溶媒が好ましい。このような少なくとも炭化水素を含む溶媒において、炭化水素(例えば、ヘキサンやヘプタン等の脂肪族炭化水素)と他の溶媒(例えば、酢酸エチル等のエステル類等)との比率は、例えば前者/後者(体積比;25℃)=10/90〜99/1、好ましくは前者/後者(体積比:25℃)=30/70〜98/2、さらに好ましくは前者/後者(体積比:25℃)=50/50〜97/3程度である。
【0089】
沈殿(再沈殿を含む)で得られたポリマーは、必要に応じて、リパルプ処理やリンス処理に付される。リパルプ処理後にリンス処理を施してもよい。重合により生成したポリマーを溶媒でリパルプしたり、リンスすることにより、ポリマーに付着している残存モノマーや低分子量オリゴマー等を効率よく除くことができる。
【0090】
本発明においては、なかでも、前記リパルプ処理やリンス処理溶媒として用いる有機溶媒として、少なくとも炭化水素(特に、ヘキサンやヘプタン等の脂肪族炭化水素)もしくは、アルコール(特に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等)を含む溶媒が好ましい。
【0091】
上記フォトレジスト用樹脂の製造方法によれば、分子量が小さなポリマーやオリゴマーの含有率が極めて低く、分子量分布が狭い、均一性に優れたフォトレジスト用樹脂が得られる。
【0092】
上記滴下重合により得られるフォトレジスト用樹脂のうち、単量体溶液の滴下中に生成するポリマーの重量平均分子量をMwa、数平均分子量をMnaとし、前記単量体溶液の滴下終了時から重合反応終了時までに生成するポリマーの重量平均分子量をMwb、数平均分子量をMnbとすると、Mwaは、例えば、3000〜50000の範囲であり、好ましくは4000〜20000、さらに好ましくは5000〜15000である。分子量分布(Mwa/Mna)は、例えば、2.00以下であることが好ましい。
【0093】
また、Mwbは、例えば3000〜50000の範囲であり、好ましくは4000〜20000、さらに好ましくは5000〜15000である。分子量分布(Mwb/Mnb)は、に2.00以下であることが好ましい。
【0094】
また、MnaとMnbとの差(Mna−Mnb)は、例えば、1500以下[好ましくは、1200以下(例えば、−2000〜1200)、さらに好ましくは−1000〜1000]であることが好ましい。
【0095】
[フォトレジスト用樹脂組成物]
本発明に係るフォトレジスト用樹脂組成物は、上記フォトレジスト用樹脂と、感放射線性酸発生剤を含有する。
【0096】
感放射線性酸発生剤としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線による露光により、効率よく酸を発生する慣用乃至公知の化合物を使用することができ、母核と発生する酸とからなる化合物である。前記母核としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩(テトラヒドロチオフェニウム塩を含む)、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、ジスルホニルジアゾメタン化合物、ジスルホニルメタン化合物、オキシムスルホネート化合物、ヒドラジンスルホネート化合物等が挙げられる。また、前記露光により発生する酸としては、例えば、アルキルあるいはフッ化アルキルスルホン酸、アルキルあるいはフッ化アルキルカルボン酸、アルキルあるいはフッ化アルキルスルホニルイミド酸等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0097】
感放射線性酸発生剤の使用量は、放射線の照射により生成する酸の強度やフォトレジスト用樹脂における各繰り返し単位の比率等に応じて適宜選択でき、例えば、フォトレジスト用樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは2〜20重量部程度の範囲から選択できる。
【0098】
フォトレジスト用樹脂組成物は、例えば、上記フォトレジスト用樹脂と、感放射線性酸発生剤を、レジスト用溶剤中で混合することにより調製することができる。前記レジスト用溶剤としては、前記重合溶媒として例示したグリコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、これらの混合溶媒等を使用することができる。
【0099】
フォトレジスト用樹脂組成物中のフォトレジスト用樹脂濃度は、例えば、3〜40重量%程度である。フォトレジスト用樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、カルボキシル基含有樹脂)等のアルカリ可溶成分、着色剤(例えば、染料)等を含んでいてもよい。
【0100】
こうして得られるフォトレジスト用樹脂組成物を基材又は基板上に塗布し、乾燥した後、所定のマスクを介して、塗膜(レジスト膜)に露光して(又は、さらに露光後ベークを行い)潜像パターンを形成し、次いでアルカリ溶解することにより、微細なパターンを高い精度で形成することができる。
【0101】
基材又は基板としては、シリコンウェハ、金属、プラスチック、ガラス、セラミック等が挙げられる。フォトレジスト用樹脂組成物の塗布は、スピンコータ、ディップコータ、ローラコータ等の慣用の塗布手段を用いて行うことができる。塗膜の厚みは、例えば0.05〜20μm、好ましくは0.1〜2μm程度である。
【0102】
露光には、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線を利用することができる。
【0103】
露光により感放射線性酸発生剤から酸が生成し、この酸により、フォトレジスト用樹脂組成物の酸の作用によりアルカリ可溶となる重合単位(酸脱離性基を有する繰り返し単位)のカルボキシル基等の保護基(脱離性基)が速やかに脱離して、可溶化に寄与するカルボキシル基等が生成する。そのため、アルカリ現像液による現像により、所定のパターンを精度よく形成できる。
【実施例】
【0104】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、屈折率系(RI)を用い、テトラヒドロフラン溶媒を用いたGPC測定により求めた標準ポリスチレン換算値である。GPC測定には、GPC(商品名「KF−806L」、昭和電工株式会社製)を3本直列につないだものを使用し、カラム温度40℃、RI温度40℃、テトラヒドロフラン流速0.8ml/分の条件で行った。
【0105】
実施例1
(単量体溶液の調製)
5−メタクリロイルオキシ−3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン 13.10g(59.1mmol)、1−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシアダマンタン 3.48g(14.7mmol)、1−エチル−1−メタクリロイルオキシシクロペンタン 13.42g(73.7mmol)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート[商品名「V−601」、和光純薬工業(株)製]1.50g、シクロヘキサノン 58.50gを混合した単量体溶液(1)を調製した。
【0106】
(滴下重合)
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を85℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(1)を6時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後4時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/12分)で2時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続けた。
【0107】
(回収)
重合反応終了後、該反応溶液の7倍量のヘプタンと酢酸エチルの9:1(重量比;25℃)混合液中に撹拌しながら滴下した。生じた沈殿物を濾別、減圧乾燥することにより、樹脂 27.4gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9500、分子量分布(Mw/Mn)が1.81であった。
【0108】
実施例2
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート[商品名「V−601」、和光純薬工業(株)製]の量を1.50gから1.35gに変更した以外は実施例1と同様にして単量体溶液(2)を調製した。
【0109】
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を90℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(2)を6時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後4時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/8分)で2時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続けた。
【0110】
実施例1と同様の方法で回収して、樹脂 27.7gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9100、分子量分布(Mw/Mn)が1.76であった。
【0111】
実施例3
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を90℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(1)を6時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後2時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/16分)で4時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続けた。
【0112】
実施例1と同様の方法で回収して、樹脂 28.4gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9500、分子量分布(Mw/Mn)が1.87であった。
【0113】
実施例4
単量体溶液滴下終了後の撹拌時間を4時間に変更した以外は実施例1と同様にして、樹脂 27.7gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9400、分子量分布(Mw/Mn)が1.83であった。
【0114】
実施例5
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を85℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(1)を6時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後2時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/24分)で4時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに4時間撹拌を続けた。
【0115】
実施例1と同様の方法で回収して、樹脂 27.6gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が10000、分子量分布(Mw/Mn)が1.83であった。
【0116】
実施例6
ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート[商品名「V−601」、和光純薬工業(株)製]の量を1.50gから1.80gに変更した以外は実施例1と同様にして単量体溶液(3)を調製した。
【0117】
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を90℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(2)を6時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後4時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/8分)で2時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに4時間撹拌を続けた。
【0118】
実施例1と同様の方法で回収して、樹脂 27.0gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9200、分子量分布(Mw/Mn)が1.75であった。
【0119】
実施例7
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を90℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(1)を6時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後2時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/16分)で4時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに4時間撹拌を続けた。
【0120】
実施例1と同様の方法で回収して、樹脂 29.2gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9500、分子量分布(Mw/Mn)が1.87であった。
【0121】
実施例8
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を85℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(3)を4時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後2時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/12分)で2時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続けた。
【0122】
実施例1と同様の方法で回収して、樹脂 27.1gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9200、分子量分布(Mw/Mn)が1.85であった。
【0123】
実施例9
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を90℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(3)を4時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後3時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/6分)で2時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続けた。
【0124】
実施例1と同様の方法で回収して、樹脂 28.2gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が8600、分子量分布(Mw/Mn)が1.80であった。
【0125】
実施例10
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を90℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(1)を4時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後2時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/8分)で2時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続けた。
【0126】
実施例1と同様の方法で回収して、樹脂 28.0gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9200、分子量分布(Mw/Mn)が1.82であった。
【0127】
実施例11
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を90℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(2)を4時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後3時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/4分)で1時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに2時間撹拌を続けた。
【0128】
実施例1と同様の方法で回収して、樹脂 27.6gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9200、分子量分布(Mw/Mn)が1.85であった。
【0129】
実施例12
還流管、撹拌子、3方コックを備えた丸底フラスコに、窒素雰囲気下、シクロヘキサノン31.50gを入れて温度を85℃に保ち、撹拌しながら、単量体溶液(3)を4時間かけて一定速度で滴下した。
滴下開始後2時間の段階から一定速度(降温速度:−1℃/12分)で2時間かけて75℃まで重合温度を降下させた。滴下終了後、さらに4時間撹拌を続けた。
【0130】
実施例1と同様の方法で回収して、樹脂 28.3gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9300、分子量分布(Mw/Mn)が1.84であった。
【0131】
比較例1
単量体溶液(2)を使用し、滴下重合中は温度降下せず、一定温度(85℃)を保持した以外は、実施例1と同様にして、樹脂 28.0gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9100、分子量分布(Mw/Mn)が1.82であった。
【0132】
比較例2
単量体溶液(2)を使用し、滴下重合中は温度降下せず、一定温度(85℃)を保持し、滴下終了後の撹拌時間を2時間から4時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂 28.0gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9200、分子量分布(Mw/Mn)が1.84であった。
【0133】
比較例3
滴下速度を6時間かけて滴下から、4時間かけて滴下に変更し、滴下重合中は温度降下せず、一定温度(85℃)を保持した以外は、実施例1と同様にして、樹脂 28.4gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9200、分子量分布(Mw/Mn)が1.87であった。
【0134】
比較例4
滴下速度を6時間かけて滴下から、4時間かけて滴下に変更し、滴下重合中は温度降下せず、一定温度(85℃)を保持し、滴下終了後の撹拌時間を2時間から4時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂 28.4gを得た。得られた樹脂をGPC分析したところ、Mw(重量平均分子量)が9100、分子量分布(Mw/Mn)が1.88であった。
【0135】
実施例及び比較例の樹脂合成条件を下記表1にまとめて示す。
【表1】

【0136】
実施例及び比較例において、単量体溶液滴下中に生成した樹脂、及び、単量体溶液滴下終了時から重合反応終了時の間に生成した樹脂について、下記の方法で分子量を求めた。
(樹脂の分子量測定)
下記A、Cの時点で反応溶液をサンプリングし、それぞれ反応溶液(A)、(C)とした。
A:単量体溶液滴下終了時
C:重合反応終了時
【0137】
反応溶液(A)のGPC測定を行い、単量体溶液滴下中に生成した樹脂の平均分子量(重量平均分子量:Mwa、数平均分子量:Mna)を求めた。
また、反応溶液(C)のGPC測定を行い、重合反応終了時に生成した樹脂の平均分子量(重量平均分子量:Mwc、数平均分子量:Mnc)を求めた。
そして、単量体溶液滴下終了時〜重合反応終了時の間に生成した樹脂の平均分子量(重量平均分子量:Mwb、数平均分子量:Mnb)を、下記式により算出した。
Mwb=HwT/HBT
Mnb=HnT/HBT
尚、上記式中のHwT、HBT、HnTは下記方法により算出した値を使用した。
反応溶液Aの反応率をCoA、反応溶液Cの反応率をCoCとする。
反応溶液のGPCチャートにおいて、保持時間tにおけるポリスチレン換算の分子量をMtとする。
反応溶液AのGPCチャートにおいて、任意のMtのピーク高さをHAとする。
反応溶液AのGPCチャートにおいて、各Mt毎のピーク高さの総和をHATとする。
反応溶液CのGPCチャートにおいて、任意のMtのピーク高さをHCとする。
反応溶液CのGPCチャートにおいて、各Mt毎のピーク高さの総和をHCTとする。
各Mt毎に以下の計算を行い、得られた値をそれぞれHB、Hw、Hnとする。
B=(CoB・HB/HBT)−(CoA・HA/HAT
w=HB・Mt
n=HB/Mt
各Mt毎のHBの総和をHBTとする。
各Mt毎のHwの総和をHwTとする。
各Mt毎のHnの総和をHnTとする。
【0138】
上記結果を下記表2にまとめて示す。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも単量体を含有する溶液を滴下重合する工程を有するフォトレジスト用樹脂の製造方法であって、T1(℃)に保持した反応容器に前記溶液を滴下し、前記溶液中に含有する全単量体の15重量%以上、100重量%以下が滴下終了した時点で、反応容器の温度を下記T2(℃)まで降温する工程を有することを特徴とするフォトレジスト用樹脂の製造方法。
2(℃):(T1−50)(℃)以上、(T1−5)(℃)以下
【請求項2】
降温後、更に、前記T2(℃)を保持しつつ熟成させる工程を有する請求項1に記載のフォトレジスト用樹脂の製造方法。
【請求項3】
降温速度が、−1℃/1分〜−1℃/60分の範囲内である請求項1又は2に記載のフォトレジスト用樹脂の製造方法。
【請求項4】
少なくとも単量体を含有する溶液が、単量体と重合開始剤を含有する請求項1〜3の何れかの項に記載のフォトレジスト用樹脂の製造方法。
【請求項5】
少なくとも単量体を含有する溶液の滴下中に生成するポリマーの重量平均分子量をMwa、数平均分子量をMnaとし、前記溶液の滴下終了時から重合反応終了時までに生成するポリマーの重量平均分子量をMwb、数平均分子量をMnbとすると、(Mwa/Mna)及び(Mwb/Mnb)が共に2.0以下で、且つ、(Mna−Mnb)が1500以下である請求項1〜4の何れかの項に記載のフォトレジスト用樹脂の製造方法。
【請求項6】
フォトレジスト用樹脂が、下記式(1)
【化1】

(式中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、R1は酸によりその一部が脱離してアルカリ可溶性となる基を示す)
で表される重合単位を含む請求項1〜5の何れかの項に記載のフォトレジスト用樹脂の製造方法。
【請求項7】
フォトレジスト用樹脂が、下記式(2)
【化2】

(式中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2はラクトン環を含む炭素数4〜20の基を示す)
で表される重合単位を含む請求項1〜6の何れかの項に記載のフォトレジスト用樹脂の製造方法。
【請求項8】
フォトレジスト用樹脂が重合単位として、下記式(3)
【化3】

(式中、Rは水素原子、フッ素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示し、R3は極性基を有する脂環式骨格を含む炭素数4〜20の基を示す)
で表される重合単位を含む請求項1〜7の何れかの項に記載のフォトレジスト用樹脂の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかの項に記載のフォトレジスト用樹脂の製造方法により得られるフォトレジスト用樹脂。
【請求項10】
請求項9に記載のフォトレジスト用樹脂と、感放射線性酸発生剤を含有するフォトレジスト用樹脂組成物。
【請求項11】
請求項10に記載のフォトレジスト用樹脂組成物を基板に塗布し、露光後、アルカリ溶解する工程を含むパターン形成方法。

【公開番号】特開2012−171992(P2012−171992A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32806(P2011−32806)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000002901)株式会社ダイセル (1,236)
【Fターム(参考)】