説明

フッ素ゴムシート及びフッ素ゴムシートを用いた面状ヒーター及びその製造方法

【課題】ガラスクロスにフッ素ゴムを含浸させたフッ素ゴムシート及びこのシートを用いたフッ素ゴム面状ヒーターにおいては、フッ素ゴムとガラスクロスの密着性が弱いため界面剥離の原因となっていた。また、そのため絶縁抵抗・絶縁耐圧の低下が起きていた。
【解決手段】本発明のフッ素ゴムシートは、ガラスクロスと、このガラスクロスに接着力強化剤を介して含浸せしめたフッ素ゴム層とより成ることを特徴とする。本発明のフッ素ゴム面状ヒーターは、ガラスクロスに接着力強化剤を塗布した後フッ素ゴムを含浸せしめてシートを得、このシートに対し加熱、加圧を複数回加え、得られたシートをヒーターエレメントに接着力強化剤を介して熱圧着せしめて製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフッ素ゴムシート及びフッ素ゴムシートを用いた面状ヒーター及びその製造方法、特に、ガラスクロスを用いたフッ素ゴムシート及びフッ素ゴムシートを用いた面状ヒーター及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発熱線をフッ素樹脂で絶縁被覆して成る面状ヒーターは例えば特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開平11−219776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、面状ヒーターの主流となっているシリコン面状ヒーターでは発生するシロキサンのアウトガスによる腐食が問題となっており、これを解決するために、代替面状ヒーターとしてフッ素ゴム面状ヒーターの開発が進められている。
【0004】
ガラスクロスにフッ素ゴムを含浸させて得たフッ素ゴムシートを用いたフッ素ゴム面状ヒーターにおいては、フッ素ゴムとガラスクロスの密着性が弱いため界面剥離の原因となっていた。また、そのため絶縁抵抗、絶縁耐圧の低下が起きていた。
【0005】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフッ素ゴムシートは、ガラスクロスと、このガラスクロスに接着力強化剤を介して含浸せしめたフッ素ゴム層とより成ることを特徴とする。
【0007】
本発明のフッ素ゴム面状ヒーターは、ヒーターエレメントと、このヒーターエレメントに接着せしめたフッ素ゴムシートとより成り、上記フッ素ゴムシートがガラスクロスと、このガラスクロスに接着力強化剤を介して含浸せしめたフッ素ゴム層とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のフッ素ゴム面状ヒーターの製造方法は、ガラスクロスに接着力強化剤を塗布した後フッ素ゴムを含浸せしめてシートを得る工程と、上記シートに対し加熱、加圧を複数回加える工程と、得られたシートをヒーターエレメントに接着力強化剤を介して熱圧着せしめる工程とより成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって得たフッ素ゴムシート及びフッ素ゴム面状ヒーターは、耐熱性、耐寒性、耐酸、耐油、耐溶剤性に優れ、ゴム弾性体のため屈曲性と耐衝撃性にも優れている。
【0010】
また、フッ素ゴムとガラスクロスの密着性が強いため界面剥離を生じないようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明のフッ素ゴムシートは、図1に示すようにガラスクロス1に接着力強化剤(プライマー)2を塗布した後フッ素ゴム3を含浸させてシート4を形成し、このシート4を50℃で15分乾燥し(第一乾燥)、乾燥後のシート4を圧着ロールにて強制的に押圧し、その後、80〜120℃で30分乾燥させ(第二乾燥)、この操作を何回か繰り返して所定の厚さにする。
【実施例2】
【0013】
本発明のフッ素ゴム面状ヒーターは、ヒーターエレメントになるSUS箔(図示せず)にプライマーを塗布し、これに上記シート4を150℃、5kg/cm2で2分間熱圧着する。
【0014】
上記プライマーは例えば、株式会社横浜高分子研究所製の「モニカス」(商標)シリーズである。
【0015】
本発明においてはガラスクロスにプライマーを介してフッ素ゴムを含浸せしめたのでガラスクロスとフッ素ゴム間に界面剥離が生じないようになる。また上記シートに加熱、加圧を複数回加えるようにしたのでガラスクロスに対するフッ素ゴムの楔効果を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のフッ素ゴム面状ヒーターの断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ガラスクロス
2 接着力強化剤(プライマー)
3 フッ素ゴム
4 シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスクロスと、このガラスクロスに接着力強化剤を介して含浸せしめたフッ素ゴム層とより成ることを特徴とするフッ素ゴムシート。
【請求項2】
ヒーターエレメントと、このヒーターエレメントに接着せしめたフッ素ゴムシートとより成り、上記フッ素ゴムシートがガラスクロスと、このガラスクロスに接着力強化剤を介して含浸せしめたフッ素ゴム層とを有することを特徴とするフッ素ゴム面状ヒーター。
【請求項3】
ガラスクロスに接着力強化剤を塗布した後フッ素ゴムを含浸せしめてシートを得る工程と、
上記シートに対し加熱、加圧を複数回加える工程と、
得られたシートをヒーターエレメントに接着力強化剤を介して熱圧着せしめる工程と
より成ることを特徴とするフッ素ゴム面状ヒーターの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−224208(P2007−224208A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48712(P2006−48712)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(500070097)株式会社アルファ・オイコス (21)
【Fターム(参考)】