説明

フレキシブル配線基板、電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器

【課題】在庫管理が楽になったり、かかる工数やコストを抑えたりすることが可能なフレキシブル配線基板、電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器を提供する。
【解決手段】液晶パネル100に接続されるフレキシブル配線基板200は、フレキシブル配線基板200の第1辺に沿って配置された複数の接続端子部を有する外部接続端子部52と、第1辺に対向する第2辺と外部接続端子部52との間に配置され、複数の接続端子部にそれぞれ電気的に接続された複数の第1接続端子を有する第1FPC接続端子部45と、第2辺と第1FPC接続端子部45との間に配置され、第1FPC接続端子部45と電気的に接続されると共に、複数の第1接続端子の端子数より少ない数の複数の第2接続端子を有する第2FPC接続端子部46と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線基板、電気光学装置、電気光学装置の製造方法、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記電気光学装置の一つとして、例えば、液晶プロジェクターのライトバルブとして用いられるTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置がある。当該液晶装置は、液晶パネルと、液晶パネルを外部回路に接続するためのFPC(Flexible Printed Circuits)と、を備えた構成になっている。
【0003】
具体的には、FPCが接続される液晶パネルの接続端子部は、例えば、液晶パネルの機種によって配置ピッチなどの配列が異なる複数の接続端子を有している。したがって、液晶パネルの機種ごとに接続端子部に合ったFPCを専用に作製する必要があった。それゆえに、数種類のFPCを管理するため在庫管理が大変であったり、専用にFPCを作製するのでコストがかかったりするという問題がある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、基板上に複数のピッチと幅を有するテストパットを設け、各々のテストパットが連結されたプリント基板が開示されている。このプリント基板は、半導体装置の評価・解析用として用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−297754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のプリント基板は、同数のテストパット同士を接続させる配線を有するものである。これに対して液晶パネルは、機種によって接続端子数が異なる場合などがあり、接続端子の配列仕様が異なる複数種の液晶パネルに接続可能なFPCの構造については開示されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係るフレキシブル配線基板は、基板の第1辺に沿って配置された複数の外部接続端子を有する外部接続端子部と、前記基板の前記第1辺に対向する第2辺と前記外部接続端子部との間に配置され、前記複数の外部接続端子にそれぞれ電気的に接続された複数の第1接続端子を有する第1接続端子部と、前記基板の前記第2辺と前記第1接続端子部との間に配置され、前記第1接続端子部と電気的に接続されると共に、前記複数の第1接続端子の端子数より少ない数の複数の第2接続端子を有する第2接続端子部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、一つのフレキシブル配線基板に端子数の異なる第1接続端子部と第2接続端子部とを少なくとも備えているので、例えば、フレキシブル配線基板を電気光学パネルに接続する場合、電気光学パネルの端子数に合わせて第1接続端子部または第2接続端子部を選択して、複数種の電気光学パネルとフレキシブル配線基板とを接続させることができる。これにより、電気光学パネルの種類に合わせて専用にフレキシブル配線基板を作成することなく、1本のフレキシブル配線基板で対応することができる。その結果、専用のフレキシブル配線基板を作成しないので、在庫管理が楽になったり、かかる工数やコストを抑えたりすることができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係るフレキシブル配線基板において、前記複数の第1接続端子の一部は、前記複数の第2接続端子に電気的に接続されていないことが好ましい。
【0011】
この構成によれば、変則的な接続端子配列を有する電気光学パネルにも対応可能である。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係るフレキシブル配線基板において、前記フレキシブル配線基板に前記第2接続端子部を分離する際の外形的な切断基準が設けられていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、第1接続端子部を用いてフレキシブル配線と電気光学パネルとを接続する場合、外形的な切断基準(位置決め)を基準に先の不要な部分(第2接続端子部の領域)を除くことにより、フレキシブル配線基板の第1接続端子部を電気光学パネルの端子部に容易に配置することが可能となる。
【0014】
[適用例4]本適用例に係る電気光学装置は、上記に記載のフレキシブル配線基板と、前記フレキシブル配線基板と電気的に接続される電気光学パネルと、を備えることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、電気光学パネルの種類が異なっていても、同一のフレキシブル配線基板を用いて、電気光学パネルとフレキシブル配線基板とが電気的に接続された電気光学装置を提供することができる。
【0016】
[適用例5]本適用例に係る電気光学装置の製造方法は、電気光学パネルと、前記電気光学パネルと電気的に接続されるフレキシブル配線基板と、を備える電気光学装置の製造方法であって、
前記電気光学パネルには、前記フレキシブル配線基板と電気的に接続するための複数のパネル接続端子を備えたパネル接続端子部が設けられており、前記フレキシブル配線基板には、前記フレキシブル配線基板の第1辺に沿って配置された複数の外部接続端子を有する外部接続端子部と、前記フレキシブル配線基板の前記第1辺に対向する第2辺と前記外部接続端子部との間に配置され、前記複数の外部接続端子にそれぞれ電気的に接続された複数の第1接続端子を有する第1接続端子部と、前記フレキシブル配線基板の前記第2辺と前記第1接続端子部との間に配置され、前記第1接続端子部と電気的に接続されると共に、前記複数の第1接続端子の端子数より少ない数の複数の第2接続端子を有する第2接続端子部と、が設けられており、前記第1接続端子部又は前記第2接続端子部のいずれかを選択して、前記パネル接続端子部と電気的に接合する接合工程を有することを特徴とする。
【0017】
この方法によれば、1つのフレキシブル配線基板に端子数の異なる第1接続端子部と第2接続端子部とを少なくとも備えているので、電気光学パネルのパネル接続端子部の端子数に合わせて第1接続端子部又は第2接続端子部を選択し、電気光学パネルとフレキシブル配線基板とを電気的に接合することができる。これにより、電気光学パネルの種類に合わせて専用にフレキシブル配線基板を作成しなくても、1本のフレキシブル配線基板で対応することができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例に係る電気光学装置の製造方法において、前記電気光学パネルに接続する接続端子部を前記第1接続端子部に選択した場合、前記接合工程の前に、前記第2接続端子部を切断する切断工程を有することが好ましい。
【0019】
この方法によれば、第1接続端子部を用いてフレキシブル配線基板と電気光学パネルとを接続する場合、第2接続端子部(第1接続端子部より先端側)を切断することにより第1接続端子部がフレキシブル配線基板の端部に配置される。よって、電気光学パネルとフレキシブル配線基板とが接続しやすくなり、互いを電気的に接続することができる。
【0020】
[適用例7]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、上記した電気光学装置を備えているので、フレキシブル配線基板の在庫管理などが簡略化でき、かかるコストを抑え、高いコストパフォーマンスを有する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電気光学装置としての液晶装置の構成を模式的に示す斜視図。
【図2】液晶装置を構成する液晶パネルの構造を示す模式平面図。
【図3】図2に示す液晶パネルのA−A'線に沿う模式断面図。
【図4】液晶パネルの電気的な構成を示す等価回路図。
【図5】液晶装置を構成する液晶パネルとフレキシブル配線基板との接続状態を示す模式平面図。
【図6】液晶パネル及びフレキシブル配線基板の接続前の状態を示す分解図。
【図7】フレキシブル配線基板における端子配列の具体例を示す模式平面図。
【図8】液晶装置の製造方法を工程順に示すフローチャート。
【図9】液晶装置の製造方法のうち一部の工程を示す模式平面図。
【図10】液晶装置の製造方法のうち一部の工程を示す模式平面図。
【図11】電子機器の一例として液晶プロジェクターの構成を示す模式図。
【図12】液晶装置の変形例の構造を示す模式平面図。
【図13】フレキシブル配線基板の変形例の構造を示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。本実施形態では、電気光学装置の一例として、投射型映像装置である液晶プロジェクターにおいてライトバルブとして用いられるTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例に挙げて説明する。
【0024】
<電気光学装置の構成>
図1は、電気光学装置としての液晶装置の構成を模式的に示す斜視図である。以下、液晶装置の構成を、図1を参照しながら説明する。
【0025】
図1に示すように、液晶装置10は、電気光学パネルとしての液晶パネル100と、フレキシブル配線基板200と、フレーム300とを備えて構成されている。なお、フレーム300は、図示しないフックによって、液晶パネル100と固定されている。
【0026】
液晶パネル100の表裏面には、防塵ガラス(図示省略)が貼着される。詳述すると、防塵ガラスは、液晶パネル100の少なくとも表示領域に塵埃等が付着することを防止するために設けられる。また、フレキシブル配線基板200には、例えば、駆動用IC400が搭載されている。
【0027】
駆動用IC400は、例えば、図示しないデータ線駆動回路の一部を含んで構成されている。また、駆動用IC400は、TAB(Tape Automated Bonding)技術を用いて、電気的及び機械的にフレキシブル配線基板200に実装されている。フレキシブル配線基板200は、例えば、ポリイミド等の絶縁性を有する基材と、基材上においてパターニング形成された配線とを有している。
【0028】
図2は、液晶装置を構成する液晶パネルの構造を示す模式平面図である。図3は、図2に示す液晶パネルのA−A'線に沿う模式断面図である。以下、液晶装置の構造を、図2及び図3を参照しながら説明する。なお、図2及び図3は、フレキシブル配線基板の図示を省略している。
【0029】
図2及び図3に示すように、液晶装置10を構成する液晶パネル100は、例えば、薄膜トランジスター(以下、「TFT(Thin Film Transistor)素子」と称する。)を画素のスイッチング素子として用いたTFTアクティブマトリクス方式の液晶パネルである。液晶パネル100は、一対の基板を構成する素子基板12と対向基板13とが、平面視略矩形枠状のシール材14を介して貼り合わされている。
【0030】
素子基板12及び対向基板13は、例えば、石英などの透光性材料によって構成されている。液晶パネル100は、シール材14に囲まれた領域内に液晶層15が封入された構成になっている。なお、シール材14には液晶を注入するための液晶注入口16が設けられ、液晶注入口16は封止材17により封止されている。
【0031】
液晶層15としては、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料が用いられる。液晶パネル100は、シール材14の内周近傍に沿って遮光性材料からなる平面視矩形枠状の額縁遮光膜18が対向基板13に形成されており、この額縁遮光膜18の内側の領域が表示領域19となっている。
【0032】
額縁遮光膜18は、例えば、遮光性材料であるアルミ(Al)で形成されており、対向基板13側の表示領域19の外周を区画するように設けられている。
【0033】
表示領域19内には、画素領域21がマトリクス状に設けられている。画素領域21は、表示領域19の最小表示単位となる1画素を構成している。シール材14の外側の領域には、データ線駆動回路22及びパネル接続端子41aが素子基板12の一辺(図2における下側)に沿って形成されている。パネル接続端子41aには、外部と接続するためのフレキシブル配線基板200が、第2接続端子46aを介して電気的に接続されている。
【0034】
また、シール材14の内側の領域には、この一辺に隣接する二辺に沿って走査線駆動回路24がそれぞれ形成されている。素子基板12の残る一辺(図2における上側)には、検査回路25が形成されている。対向基板13側に形成された額縁遮光膜18は、例えば、素子基板12上に形成された走査線駆動回路24及び検査回路25に対向する位置(平面的に重なる位置)に形成されている。
【0035】
一方、対向基板13の各角部(例えば、シール材14のコーナー部の4箇所)には、素子基板12と対向基板13との間の電気的導通をとるための、上下導通端子26(銀点)が配設されている。
【0036】
また、図3に示すように、素子基板12の液晶層15側には、複数の画素電極27が形成されており、これら画素電極27を覆うように第1配向膜28が形成されている。画素電極27は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる導電膜である。
【0037】
一方、対向基板13の液晶層15側には、格子状の遮光膜(BM:ブラックマトリクス)(図示せず)が形成され、その上に平面ベタ状の共通電極31が形成されている。そして、共通電極31上には、第2配向膜32が形成されている。共通電極31は、ITO等の透明導電材料からなる導電膜である。
【0038】
液晶パネル100は透過型であって、素子基板12及び対向基板13における光の入射側と出射側とにそれぞれ偏光板(図示せず)等が配置されて用いられる。なお、液晶パネル100の構成は、これに限定されず、反射型や半透過型の構成であってもよい。
【0039】
図4は、液晶パネルの電気的な構成を示す等価回路図である。以下、液晶パネルの電気的な構成を、図4を参照しながら説明する。
【0040】
図4に示すように、液晶パネル100は、表示領域19を構成する複数の画素領域21を有している。各画素領域21には、それぞれ画素電極27が配置されている。また、画素領域21には、TFT素子33が形成されている。
【0041】
TFT素子33は、画素電極27へ通電制御を行うスイッチング素子である。TFT素子33のソース側には、データ線34が電気的に接続されている。各データ線34には、例えば、データ線駆動回路22(図2参照)から画像信号S1,S2,…,Snが供給されるようになっている。
【0042】
また、TFT素子33のゲート側には、走査線35が電気的に接続されている。走査線35には、例えば、走査線駆動回路24(図2参照)から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1,G2,…,Gmが供給されるようになっている。また、TFT素子33のドレイン側には、画素電極27が電気的に接続されている。
【0043】
走査線35から供給された走査信号G1,G2,…,Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子33が一定期間だけオン状態となることで、データ線34から供給された画像信号S1,S2,…,Snが、画素電極27を介して画素領域21に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0044】
画素領域21に書き込まれた所定レベルの画像信号S1,S2,…,Snは、画素電極27と共通電極31(図3参照)との間で形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1,S2,…,Snがリークするのを防止するために、画素電極27に電気的に接続された画素電位側容量電極と、容量線の一例であるシールド層(図示せず)に電気的に接続された容量電極36との間に蓄積容量37が形成されている。
【0045】
このように、液晶層15に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより、液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶層15に入射した光が変調されて、画像光が生成されるようになっている。
【0046】
<フレキシブル配線基板の構成>
図5は、本実施形態の液晶装置の構成を示す模式平面図である。図6は、液晶パネル及びフレキシブル配線基板の接続前の状態を示す分解平面図である。以下、液晶装置、及び液晶装置を構成する液晶パネル及びフレキシブル配線基板の構造を、図5及び図6を参照しながら説明する。なお、図5に示す液晶装置10は、フレーム300や駆動用ICなどの図示を省略している。
【0047】
図5に示すように、液晶装置10は、液晶パネル100とフレキシブル配線基板200とが、接続端子部51において図示しない異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を介して電気的に接続されている。具体的には、液晶パネル100の素子基板12(図3参照)上には、データ線駆動回路22や走査線駆動回路24と電気的に接続されている配線(データ線34、走査線35など)が設けられており、これら配線が接続端子部51を介して、フレキシブル配線基板200に設けられた駆動用IC400や外部接続端子部52に電気的に接続されている。
【0048】
配線を介して入力される画像信号は、駆動用IC400を介して、画像表示のためのスイッチング素子、データ線34などの各種回路素子に供給されることによって、表示領域19に所望の画像が表示される。
【0049】
図6に示すように、液晶パネル100には、フレキシブル配線基板200と電気的に接続するための複数のパネル接続端子41aが密集して配置されたパネル接続端子部41が設けられている。パネル接続端子部41の端子配列は、液晶パネル100の機種によって異なっている場合がある。
【0050】
例えば、パネル接続端子41aのピッチが異なったり、パネル接続端子41aの数量が異なったりする。よって、従来のフレキシブル配線基板は、全ての機種の液晶パネルに共通に使用できるわけではなく、液晶パネルの機種によって、適合する専用のフレキシブル配線基板が必要となる。
【0051】
しかしながら、本実施形態のフレキシブル配線基板200には、液晶パネル100と電気的に接続するための複数の第1接続端子45aを有する第1FPC接続端子部45(第1接続端子部)、及び複数の第2接続端子46aを有する第2FPC接続端子部46(第2接続端子部)が設けられている。第2FPC接続端子部46は、フレキシブル配線基板200において第1FPC接続端子部45より先端側(液晶パネル100側)に配置されている。また、第2FPC接続端子部46は、第1FPC接続端子部45と端子配列が異なっており、例えば、端子数が少なくなっている。
【0052】
本実施形態では、例えば、パネル接続端子部41(41a)の端子配列と第2FPC接続端子部46(46a)の端子配列とが同じであるので、これらの端子同士が、図5に示すように接続される。このように、1つのフレキシブル配線基板200で複数機種の液晶パネルの端子配列に対応できるので、液晶パネル100の機種に合わせて専用のフレキシブル配線基板200を作製せずに済み、フレキシブル配線基板200の在庫管理が楽になったり、フレキシブル配線基板200にかかる工数やコストを抑えたりすることができる。
【0053】
図7は、フレキシブル配線基板における第1FPC接続端子部及び第2FPC接続端子部の端子配列の具体例を示す模式平面図である。以下、端子配列の具体例について、図7を参照しながら説明する。
【0054】
まず、図7(a)、図7(b)に示すフレキシブル配線基板201,202の一端側には、複数の第1接続端子45aを有する第1FPC接続端子部45と、複数の第2接続端子46aを有する第2FPC接続端子部46とが設けられている(複数の接続端子の図示は省略する)。また、第1FPC接続端子部45の端子数よりも、第2FPC接続端子部46の端子数が少なくなっている。
【0055】
具体的には、例えば、図7(a)に示すフレキシブル配線基板201のように、第2FPC接続端子部46は、第1FPC接続端子部45における画像信号の一部(端子領域45b)と接続される端子が省かれている。言い換えれば、第1FPC接続端子部45の一部(45b)は、第2FPC接続端子部46に電気的に接続されていない。
【0056】
このように、FPC接続端子部45,46の端子配列が異なる理由としては、液晶装置10の機種に応じて画像信号の書き込み時間を確保するために複数本用意される画像信号転送用の画像信号線の数が異なる場合、すなわち相展開数が異なる場合などが挙げられる。例えば、12相展開と6相展開とでは、画像信号線の数が12と6というように異なる。しかしそれ以外の制御信号線は同数だとすると、画像信号線に割り当てられた部分の端子のみ数が異なるように設けられることになる。また、低解像度の機種や高解像度の機種に応じて端子配列を変える必要がある。
【0057】
液晶パネル100のパネル接続端子部41の端子配列と、第1FPC接続端子部45の端子配列とが対応する場合は、第1FPC接続端子部45を選択して接続する。パネル接続端子部41の端子配列と、第2FPC接続端子部46の端子配列とが対応する場合は、第2FPC接続端子部46を選択して接続する。
【0058】
また、図7(b)に示すフレキシブル配線基板202のように、例えば、第2FPC接続端子部46は、第1FPC接続端子部45における画像信号の一部(端子領域45c,45d,45e)と接続される端子が省かれている。言い換えれば、第1FPC接続端子部45の一部(45c,45d,45e)は、第2FPC接続端子部46に電気的に接続されていない。
【0059】
上記と同様に、液晶パネル100のパネル接続端子部41の端子配列と、第1FPC接続端子部45の端子配列とが対応する場合は、第1FPC接続端子部45を選択して接続する。パネル接続端子部41の端子配列と、第2FPC接続端子部46の端子配列とが対応する場合は、第2FPC接続端子部46を選択して接続する。以下、液晶装置10の製造方法を説明する。
【0060】
<電気光学装置の製造方法>
図8は、電気光学装置としての液晶装置の製造方法を工程順に示すフローチャートである。図9及び図10は、液晶装置の製造方法のうち一部の工程を示す模式平面図である。以下、液晶装置の製造方法を、図8〜図10を参照しながら説明する。
【0061】
最初に、素子基板12側の製造方法を説明する。ステップS11では、石英基板などからなる素子基板12上にTFT素子33等を形成する。具体的には、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、素子基板12上にTFT素子33などを形成する。
【0062】
ステップS12では、画素電極27を形成する。具体的には、TFT素子33等の形成と同様に、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、素子基板12上のTFT素子33の上方に画素電極27を形成する。
【0063】
ステップS13では、画素電極27の上方に第1配向膜28を形成する。第1配向膜28の製造方法としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料を斜方蒸着する斜方蒸着法が用いられる。以上により、素子基板12側が完成する。
【0064】
次に、対向基板13側の製造方法を説明する。まず、ステップS21では、石英基板等の透光性材料からなる対向基板13上に、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、共通電極31を形成する。
【0065】
ステップS22では、共通電極31上に第2配向膜32を形成する。第2配向膜32の製造方法は、第1配向膜28と同様であり、例えば、斜方蒸着法を用いる。以上により、対向基板13側が完成する。次に、素子基板12と対向基板13とを貼り合わせる方法を説明する。
【0066】
ステップS31では、素子基板12上にシール材14を塗布する。詳しくは、素子基板12とディスペンサー(吐出装置でも可能)との相対的な位置関係を変化させて、素子基板12における表示領域19の周縁部に(表示領域19を囲むように)シール材14を塗布する。
【0067】
ステップS32では、素子基板12と対向基板13とを貼り合わせる。具体的には、素子基板12に塗布されたシール材14を介して素子基板12と対向基板13とを貼り合わせる。より具体的には、互いの基板12,13の平面的な縦方向や横方向の位置精度を確保しながら行う。
【0068】
ステップS33では、液晶注入口16(図2参照)から構造体の内部に液晶を注入し、その後、液晶注入口16を封止する。封止には、例えば、樹脂等の封止材17が用いられる。
【0069】
ステップS34では、液晶パネル100にフレキシブル配線基板200を接続(接合)する(接合工程)。具体的には、図9及び図10を参照しながら説明する。まず、図9(a)に示すように、切断されていないフレキシブル配線基板、つまり、第1FPC接続端子部45〜第3FPC接続端子部47が設けられたフレキシブル配線基板200aを準備する。なお、第1FPC接続端子部45から第3FPC接続端子部47に向かって端子数が少なくなっている。
【0070】
そして、液晶パネル100のパネル接続端子部41の配列パターンに対応する、フレキシブル配線基板200aのFPC接続端子部45〜47を選択する。ここでは、例えば、第2FPC接続端子部46の端子配列と、パネル接続端子部41の端子配列とが適合するとする。
【0071】
次に、図9(b)に示すように、第2FPC接続端子部46とパネル接続端子部41とが電気的に接続できるように、第2FPC接続端子部46の端部がフレキシブル配線基板200aの先端に配置されるように、その先端側を切断する(切断工程)。
【0072】
次に、図10に示すように、液晶パネル100のパネル接続端子部41に、フレキシブル配線基板200の第2FPC接続端子部46を接続する。例えば、図示しないACFを介してパネル接続端子部41と第2FPC接続端子部46とを熱圧着することにより、液晶パネル100にフレキシブル配線基板200を電気的に接続する。なお、本実施形態では、第1FPC接続端子部45は使用しない。以上により、液晶装置10が完成する。
【0073】
<電子機器の構成>
図11は、上記した液晶装置を備えた電子機器の一例として液晶プロジェクターの構成を示す模式図である。以下、液晶装置を備えた液晶プロジェクターの構成を、図11を参照しながら説明する。
【0074】
図11に示すように、液晶プロジェクター901は、上記した液晶装置10が採用された液晶モジュールを3つ配置し、それぞれRGB用のライトバルブ911R,911G,911Bとして用いた構造となっている。
【0075】
詳しくは、メタルハイドロランプ等の白色光源のランプユニット912から投射光が発せられると、3枚のミラー913及び2枚のダイクロイックミラー914によって、RGBの三原色に対応する光成分R,G,Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ911R,911G,911Bにそれぞれ導かれる。特に光成分Bは、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ915、リレーレンズ916、出射レンズ917からなるリレーレンズ系918を介して導かれる。
【0076】
ライトバルブ911R,911G,911Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分R,G,Bは、ダイクロイックプリズム919により再度合成された後、投射レンズ920を介して、スクリーン921にカラー画像として投射される。
【0077】
なお、上記したように、3つの液晶モジュールを配置した液晶プロジェクター901に限定されず、例えば、1つの液晶モジュールを配置した液晶プロジェクターに適用するようにしてもよい。
【0078】
このような構成の液晶プロジェクター901は、上記した液晶装置10が採用された液晶モジュールを介すことによって、かかるコストを抑え、効率よく組み立てることができる。なお、液晶装置10を備えた電子機器は、上記した液晶プロジェクター901の他、高精細EVF(Electric View Finder)、携帯電話機、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、テレビ、ディスプレイ、車載機器、オーディオ機器、照明機器などの各種電子機器に用いることができる。
【0079】
以上詳述したように、本実施形態のフレキシブル配線基板200、それを備えた液晶装置10、液晶装置10の製造方法、及び電子機器によれば、以下に示す効果が得られる。
【0080】
(1)本実施形態のフレキシブル配線基板200によれば、一つのフレキシブル配線基板200に端子数の異なる第1FPC接続端子部45と第2FPC接続端子部46とを少なくとも備えているので、例えば、フレキシブル配線基板200を液晶パネル100に接続する場合、液晶パネルの端子数に合わせて第1FPC接続端子部45または第2FPC接続端子部46を選択して、複数種の液晶パネルとフレキシブル配線基板200とを接続させることができる。これにより、液晶パネルの種類に合わせて専用にフレキシブル配線基板を作成することなく、1本のフレキシブル配線基板200で対応することができる。その結果、専用のフレキシブル配線基板を作成しないので、在庫管理が楽になったり、かかる工数やコストを抑えたりすることができる。また、変則的な接続端子配列を有する液晶パネルにも対応可能である。
【0081】
(2)本実施形態の液晶装置10によれば、液晶パネル100の種類が異なっていても、同一のフレキシブル配線基板200を用いて、液晶パネル100とフレキシブル配線基板200とが電気的に接続された液晶装置10を提供することができる。
【0082】
(3)本実施形態の液晶装置10の製造方法によれば、第1FPC接続端子部45を用いてフレキシブル配線基板200と液晶パネル100とを接続する場合、第2FPC接続端子部46(第1FPC接続端子部45より先端側)を切断することにより第1FPC接続端子部45がフレキシブル配線基板200の端部に配置される。よって、液晶パネル100とフレキシブル配線基板200とが接続しやすくなり、互いを電気的に接続することができる。
【0083】
(4)本実施形態の電子機器によれば、上記した液晶装置10を備えることにより、フレキシブル配線基板200の在庫管理などが簡略化でき、かかるコストを抑え、高いコストパフォーマンスを有する電子機器を提供することができる。
【0084】
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0085】
(変形例1)
上記したように、第3FPC接続端子部47の領域を切断して、第2FPC接続端子部46と液晶パネル100のパネル接続端子部41とを接続することに限定されず、以下に示すような接続方法でもよい。図12(a)に示す液晶装置110は、フレキシブル配線基板200aの第3FPC接続端子部47を用いる場合の接続方法を示している。具体的には、フレキシブル配線基板200aにおける一番先端部分に配置された第3FPC接続端子部47を用いるため、フレキシブル配線基板200aを切断せずに液晶パネル100と接続している。この場合であっても、パネル接続端子部41の端子配列に対応させて接続することができる。
【0086】
図12(b)に示す液晶装置210は、フレキシブル配線基板200bの第1FPC接続端子部45を用いる場合の接続方法を示している。具体的には、フレキシブル配線基板200bにおける一番内側に配置された第1FPC接続端子部45を用いるため、第2FPC接続端子部46及び第3FPC接続端子部47の領域を切断している。この場合であっても、パネル接続端子部41の端子配列に対応させて接続することができる。
【0087】
(変形例2)
上記したように、第3FPC接続端子部47の領域、及び第2FPC接続端子部46の領域を切断する際、切断する部分に外形的な基準を設けるようにしてもよい。具体的には、図13に示すように、フレキシブル配線基板200cにおける、第1FPC接続端子部45を用いる場合の切断ラインの端部、及び第2FPC接続端子部46を用いる場合の切断ラインの端部に、例えば、凹部48a,48bを形成する。また、V状に形成するようにしてもよいし、凸状に形成するようにしてもよい。これによれば、切断ラインに沿って外形的な基準が設けられているので、切断する際、切断ラインの位置決めがしやすくなる。
【0088】
(変形例3)
上記したように、フレキシブル配線基板200は、3種類のFPC接続端子部45〜47が設けられていることに限定されず、それよりもFPC接続端子部の数が少なくてもよいし、多い構造でもよい。
【0089】
(変形例4)
上記したように、図7に示すフレキシブル配線基板201,202において、第1FPC接続端子部45から第2FPC接続端子部46に接続する配線は、以下のような形態でもよい。例えば、図7に示すように、端子領域45b〜45eと接続される配線が、第1FPC接続端子部45から第2FPC接続端子部46の間において全てない状態であるが、これを、45b〜45eに対応する配線が設けられており、配線の途中が切断された形態でもよい。これによれば、45b〜45eに対応する配線が断線しているので、電気的に接続される端子数が減ることになる。
【符号の説明】
【0090】
10,110,210…電気光学装置としての液晶装置、12…素子基板、13…対向基板、14…シール材、15…液晶層、16…液晶注入口、17…封止材、18…額縁遮光膜、19…表示領域、21…画素領域、22…データ線駆動回路、24…走査線駆動回路、25…検査回路、26…上下導通端子、27…画素電極、28…第1配向膜、31…共通電極、32…第2配向膜、33…TFT素子、34…データ線、35…走査線、36…容量電極、37…蓄積容量、41…パネル接続端子部、41a…パネル接続端子、45…第1接続端子部としての第1FPC接続端子部、45a…第1接続端子、45b〜45e…端子領域、46…第2接続端子部としての第2FPC接続端子部、46a…第2接続端子、47…第3FPC接続端子部、48a,48b…凹部、51…接続端子部、52…外部接続端子部、100…電気光学パネルとしての液晶パネル、200,200a,200b,200c,201,202…フレキシブル配線基板、300…フレーム、400…駆動用IC、901…液晶プロジェクター、911R,911G,911B…ライトバルブ、912…ランプユニット、913…ミラー、914…ダイクロイックミラー、915…入射レンズ、916…リレーレンズ、917…出射レンズ、918…リレーレンズ系、919…ダイクロイックプリズム、920…投射レンズ、921…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1辺に沿って配置された複数の外部接続端子を有する外部接続端子部と、
前記基板の前記第1辺に対向する第2辺と前記外部接続端子部との間に配置され、前記複数の外部接続端子にそれぞれ電気的に接続された複数の第1接続端子を有する第1接続端子部と、
前記基板の前記第2辺と前記第1接続端子部との間に配置され、前記第1接続端子部と電気的に接続されると共に、前記複数の第1接続端子の端子数より少ない数の複数の第2接続端子を有する第2接続端子部と、
を備えることを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載のフレキシブル配線基板であって、
前記複数の第1接続端子の一部は、前記複数の第2接続端子に電気的に接続されていないことを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のフレキシブル配線基板であって、
前記フレキシブル配線基板に前記第2接続端子部を分離する際の外形的な切断基準が設けられていることを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のフレキシブル配線基板と、前記フレキシブル配線基板と電気的に接続される電気光学パネルと、を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
電気光学パネルと、前記電気光学パネルと電気的に接続されるフレキシブル配線基板と、を備える電気光学装置の製造方法であって、
前記電気光学パネルには、前記フレキシブル配線基板と電気的に接続するための複数のパネル接続端子を備えたパネル接続端子部が設けられており、
前記フレキシブル配線基板には、前記フレキシブル配線基板の第1辺に沿って配置された複数の外部接続端子を有する外部接続端子部と、前記フレキシブル配線基板の前記第1辺に対向する第2辺と前記外部接続端子部との間に配置され、前記複数の外部接続端子にそれぞれ電気的に接続された複数の第1接続端子を有する第1接続端子部と、前記フレキシブル配線基板の前記第2辺と前記第1接続端子部との間に配置され、前記第1接続端子部と電気的に接続されると共に、前記複数の第1接続端子の端子数より少ない数の複数の第2接続端子を有する第2接続端子部と、が設けられており、
前記第1接続端子部又は前記第2接続端子部のいずれかを選択して、前記パネル接続端子部と電気的に接合する接合工程を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記電気光学パネルに接続する接続端子部を前記第1接続端子部に選択した場合、前記接合工程の前に、前記第2接続端子部を切断する切断工程を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−209407(P2012−209407A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73542(P2011−73542)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】