説明

フロアコンベヤ用の操舵および車輪駆動装置

本発明は、駆動エンジン(モータ)(2)、駆動ギヤ(21)、操舵エンジン(モータ)(4)および操舵ギヤ(5、32、32’)を有する、産業車両用の操舵および駆動装置(1、53、54)に関するもので、同装置は、垂直軸(V)の周囲でホイールハブ(22)に配置された少なくとも1つの走行輪(23)を駆動し、旋回させる。コンパクトで費用のかからない操舵および駆動装置を提供するために、駆動エンジン(2)、操舵エンジン(4)および操舵ギヤ(5、32、32’)は、相互の関連で同軸に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の上位概念に従う、フロアコンベヤ(構内搬送車)用の操舵および車輪駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DE4110792C2から、2輪駆動式のフロアコンベヤ用の操舵可能な車輪駆動装置が知られている。この2つの駆動輪の間には、2つのベベルギヤセットを有するベベルギヤシステムが配置されており、それらの各々の出力軸が駆動輪を駆動する。このベベルギヤシステムは、本装置の中心回転軸に対して平行または同軸に配置されている電気駆動モータによって遊星ギヤを介して駆動される。さらに、車輪ギヤハウジングの外側で、フロアコンベヤのシャーシに直に固定された、または、シャーシに回転しないように取り付けられた補助ヘッドプレートに固定された操舵駆動モータが設けられている。この操舵駆動モータを作動させると、当該モータは、操舵ギヤ段を経て、車輪ギヤハウジングを、あるいは、その環(リム)歯車ベアリング内の歯車キャリヤを、そしてそれによって車輪ギヤも2つの駆動輪とともに、操舵軸の周りを回転させる。この操舵可能な車輪駆動装置には、少なくとも操舵駆動モータの横の配置が装置全体の小型化を困難にしているという欠点がある。
【0003】
この他に、DE19904552A1が、電気走行モータと当該電気モータによって駆動される走行ギヤとが走行ホイールのホイールハブの長軸に対して同軸に配置されている、というフロアコンベヤ用の車輪駆動装置を示している。前記走行モータは、この場合、パンケーキモータとして形成されている。さらに、前記車輪駆動装置は、操舵モータと操舵ギヤとを有する電気モータ式操舵装置を有しており、当該装置では操舵モータは平面に対し主として垂直に調整されており、当該操舵装置は、車輪(走行ホイール)が回転する際、ホイールハブ、走行モータおよび走行ギヤの共通の長軸により、ぴんと伸張される。操舵ギヤは、例を挙げると、ウォルフロム(Wolfrom)ギヤである。
【0004】
この車輪駆動装置は、上述のホイールハブ駆動装置ならびに操舵モータと操舵ギヤとの装置全体の中への統合によって非常にコンパクトになったものの、その機構的構造、特にホイールハブ部分の狭隘な状況は、比較的複雑であり、そのためにコストが掛かる。さらに、走行モータと走行ギヤならびに操舵モータと操舵ギヤの開示された組合せは、比較的径の大きい車輪駆動装置を生じさせている。これは、欠点と看做される。
【0005】
こうした背景を基に、本発明は、構造高さが受容可能な際に既知の操舵および車輪駆動装置と比べて径が小さく、製造コストが比較的安く製造できる、フロアコンベヤ用で構造的に単純な電気モータの操舵および走行駆動装置を創造することを課題とする。
【発明の開示】
【0006】
本課題の解決は、主たる請求項の特徴部分から明らかである。他方、本発明の更なる有利な形成や実施の形態は、従属の請求項から読み取ることができる。
【0007】
それによると、本発明は、走行モータ、走行ギヤ、操舵モータおよび操舵ギヤを備えたフロアコンベヤ用の操舵および車輪駆動装置に関するものであり、当該駆動装置により、フロアコンベヤのホイールハブ上に配置された少なくとも1つの車輪が駆動可能であり、かつ、垂直軸の回りで旋回可能である。この操舵および車輪駆動装置では、走行モータ、操舵モータおよび操舵ギヤが互いに同軸に配置されていることに重要な意味がある。これによって、受容できる構造高さの場合、特に径方向に非常にコンパクトな設計が可能で、ならびに、統合度を高めること、例えば、ハウジングの構成部品を兼用することによって、比較的少ない製造コストが可能である。
【0008】
本発明の特に好ましい実施の形態は、走行モータ、操舵モータおよび操舵ギヤがこの順番で順次軸方向に配置されている一方、アングルギヤとして形成された走行ギヤが、操舵モータによって操舵ギヤを経由して駆動される環歯車(Drehkranz)と結合しており、軸方向に操舵ギヤの背後に配置されている、ということを考慮している。
【0009】
上記の構造原理の設計上のさらなる展開においては、走行モータ軸が中実軸として形成され、操舵モータ軸が中空軸として形成され、また、走行モータ軸が操舵モータ軸の中を同軸で導かれている、ということが考慮される。
【0010】
さらに、走行モータ軸は、走行モータから遠い端部で平歯車を支持しており、当該平歯車はベベルギヤシステムとして形成された走行ギヤの入力軸上で(別の)平歯車と噛合する、ということが考慮される。前記走行ギヤの出力軸は、少なくとも一つの車輪のホイールハブと結合している。
【0011】
本発明の別の実施の形態では、操舵ギヤが多段式遊星ギヤとしてまたはウォルフロムギヤとして形成されており、その際、後者は、軸方向の長さが短いために、ギヤ比が大きい場合、それに関する利点を有している。
【0012】
さらに本発明は、操舵モータと操舵ギヤとの間、および、操舵ギヤと車両ギヤないし当該車両ギヤに結合する少なくとも1つの車輪の旋回駆動装置との間の、駆動技術上の結合に関する。この関係において、操舵モータ軸が第1太陽歯車として形成され、当該歯車の外歯が操舵ギヤの遊星歯車の歯と噛合している、ということが考慮される。
【0013】
多段式遊星ギヤを操舵ギヤとして使用する場合、第1遊星歯車段の遊星歯車は、前述の第1太陽歯車と噛合し、第1遊星キャリヤ上で回転可能に支持されており、当該キャリヤは第2太陽歯車と回転しないように固定締結されていることが好ましくは考慮される。第2遊星キャリヤ上で回転可能に支持された第2遊星歯車段の遊星歯車は、さらに第2太陽歯車の外歯と噛合し、そのとき、第1および第2遊星歯車段の遊星歯車は、1個の定置された内歯歯車または2個の定置された内歯歯車と噛合する。さらに、第2遊星キャリヤが第3太陽歯車と回転しないように固定締結されていること、第3太陽歯車が第3遊星歯車段の複数の遊星歯車と噛合すること、第3遊星歯車段の複数の遊星歯車が第3遊星キャリヤ上で回転可能に支持され、当該キャリヤは内歯歯車と回転しないように固定締結されていること、及び、第3遊星歯車セットの複数の遊星歯車が環歯車ベアリングのインナーリングの内歯と噛合し、当該ベアリングインナーリングは環歯車と回転しないように固定締結されているかあるいは走行ギヤハウジングに直接結合されていること、が考慮される。
【0014】
本発明のもう一つの詳細は、環歯車ベアリングのアウターリングがフロアコンベヤの車両フレームに回転しないように固定締結されていること、によって特徴づけられている。
【0015】
さらに、操舵モータのハウジングが、固定具を介して、軸方向にベアリングアウターリング上に保持される、ということが考慮され得る。さらに、この操舵および車輪駆動装置のコンパクトな構造は、操舵モータハウジングの外壁とベアリングアウターリングとの間に上記内歯歯車と第3遊星キャリヤの径方向の外端とが軸方向に(順番に)配置されることによって、有利になる。この態様において、操舵モータハウジングは、同時に操舵ギヤハウジングとして作用する内歯歯車と第3遊星キャリヤとが軸方向に相互に結合されるというように、環歯車ベアリングのアウターリングに対して上述の固定具で固定され得る。
【0016】
しかし、それとは異なって、操舵ギヤハウジングが別の固定具を介して環歯車ベアリングのアウターリングに回転しないように固定締結される、ということも考慮され得る。
【0017】
本発明の好ましい変形は、操舵および車輪駆動装置の走行ギヤから遠い端部に、走行モータ軸に作用するブレーキが配置されていることによって、与えられる。同ブレーキは、好ましくは、電気的に操作可能なブレーキとして形成される一方、操舵モータに関しては、これをパンケーキモータとして形成することが有意義と考えられる。
【0018】
さらに、走行モータのハウジングが操舵モータのハウジングに固定されている、または、これらの二つのユニットによって共通のハウジングが使用される、ということが考慮され得る。このハウジングおよび/または個々のハウジングは、例えば板金構造(Blechkonstruktionen)で構成されている。
【0019】
さらに、操舵ギヤハウジング、環歯車ベアリングのアウターリングまたは環歯車が回転角センサーの取付け穴を有していて、そのセンサーを使って操舵軸回りの車輪の旋回が算出可能で、制御装置に伝達可能であれば、有利と評価される。
【0020】
操舵角の検知に関して、操舵および車輪駆動装置に組み込まれる制御装置内で使用するには、操舵モータの回転子、環歯車ベアリングの固定アウターリング、及び/または環歯車に、回転角を検知するために上記回転角センサーと協働する、ソレノイド(Magnete)のような信号装置が設けられ得る。
【0021】
本発明のもう一つの視点によると、操舵ギヤハウジングならびに操舵モータハウジングに、それぞれ一つの径方向の外側に向いたカラー、好ましくはリングカラー、が形成されており、そのそれぞれの軸方向の穴を通して当該カラーをベアリングアウターリングに固定するための固定ボルトが通されている、ということが考慮される。
【0022】
このように、上記特徴を個別にあるいはすべて備えて形成され、高度に統合された操舵および車輪駆動装置は、さらなる利点として、特に荷重切換時(Lastwechseln)の騒音負荷を低減しており、また保守が少なくて済む、あるいは保守不要である。なぜなら、操舵ギヤは長寿命潤滑材で満たすことができるからであり、操舵モータも、標準仕様またはパンケーキ仕様のブラシレスの直流電流モータまたは交流電流モータを使用することによって、保守不要に形成され得る。
【0023】
製造コストを下げるために、遊星キャリヤを板金構成で無蓋または密閉構造で実施することが、さらに提案される。
【0024】
本発明を明確にするために、操舵および車輪駆動装置の3つの実施形態を示している図面を添付する。
【0025】
図1は、フロアコンベヤ用の電気モータによる操舵および車輪駆動装置を一部断面で示した側面図である。
【0026】
図2は、図1と同様であるが、本発明のさらに2つの実施の形態を示している。
【0027】
図1によると、本発明に従って形成されたフロアコンベヤ用の操舵および車輪駆動装置1は、主要な構成要素として、まず走行モータ2を有しており、その走行モータ軸3を介してさらに詳述する方法で走行ギヤ21を経由して車輪23が駆動される。フロアコンベヤ1を操縦(制御)するために、車輪23は走行ギヤ21とともに垂直軸V回りに旋回できる。この旋回運動を実施するために、操舵および車輪駆動装置1は、電気操舵モータ4を有しており、その出力側に、操舵モータの回転数を減速するための操舵ギヤ5が付属されている。この操舵ギヤ5の出力は、走行ギヤ21のハウジング(ボックス)51と回転しないように固定締結されている環歯車27に作用する。本発明に従って構成された操舵および車輪駆動装置1の場合に特に重要なのは、走行モータ2、操舵モータ4および操舵ギヤ5が互いに同軸に配置されていることである。
【0028】
詳述すると、この操舵および車輪駆動装置1は、走行モータ軸3が中実軸として形成され、中空軸として形成されている操舵モータ軸9の中を通して導かれる、というように構成されている。その軸の走行モータから遠い端部の走行モータ軸3に平歯車19が固定されている。当該歯車は、ここには示されていない走行ギヤ21のギヤ入力軸上にある平歯車20と噛合している。この走行ギヤ内では、駆動トルクは、それ自体周知の方法で、直角駆動(Winkeltrieb)を介して、ホイールハブ22と回転しないように固定締結されているギヤ出力軸に導かれる。このホイールハブ22に、車輪23がボルトで固定されている。
【0029】
さらに走行モータ2の上には、垂直軸Vに対して同軸に、ブレーキ42が走行モータハウジングに固定されている。当該ブレーキは必要に応じて走行モータ軸3に作用し、好ましくはバネの弾力で作動され、そして電気的に持ち上げられる(gelueftet)。
【0030】
操舵モータ4は、ここではパンケーキモータ(Scheibenlaeufermotor)として形成されておリ、固定子(ステータ)6と回転子(ロータ)7を有しており、それらは操舵モータハウジング8、8’に収容されている。このとき固定子6は、それ以上は記されていない固定具を介して、操舵モータハウジング8、8’と結合している。他方、回転子7は、前述の操舵モータ軸9に固定されている。
【0031】
図1で垂直軸Vの左に示されているように、走行モータ2のハウジングは、取付けボルト28を使って操舵モータハウジング8に固定されている。一方、図面右半分は、それとは異なる形態を示している。その形態では、操舵モータ4と走行モータ2とが共通のハウジング8’を有している。
【0032】
さらに図1では、操舵モータ4の走行モータから遠い側がカバー47で覆われている。当該カバーは、操舵モータ3のハウジング8、8’とハウジング要素としても役立っている内歯歯車16との間で軸方向に挟まれている。
【0033】
操舵モータ軸9は、転がり軸受30、31を介して、ベアリングシールドとして役立っているカバー47と操舵および/または走行モータのハウジング8、8’のところで回転可能に支持されており、またシールを介して密閉されている。前記モータ軸9は、操舵モータ4に対して駆動技術上後置されている多段式遊星操舵ギヤ5内で第1太陽歯車として用いられている。このとき、この第1太陽歯車9の外歯は、第1遊星キャリヤ11に回転可能に支持されている第1遊星歯車段の遊星歯車10の歯と噛合する。この第1遊星キャリヤ11は、第2太陽歯車13と回転しないように固定締結されており、当該歯車は軸上で平歯車19の方向に第1太陽歯車9(操舵モータ軸9)に連結している。
【0034】
この第2太陽歯車13の外歯は、第2遊星歯車段の遊星歯車12の歯と噛合し、当該遊星歯車は第2遊星キャリヤ14に回転可能に支持されている。このとき、第1および第2遊星歯車段の遊星歯車10、12は、固定された内歯歯車16と噛合する。
【0035】
第2遊星キャリヤ14は、第3太陽歯車15と回転しないように固定締結されている。当該歯車は第3遊星歯車段の遊星歯車17と噛合する。第3遊星歯車段のこれら遊星歯車17は、第3遊星キャリヤ18に回転可能に支持されており、当該キャリヤは上記内歯歯車16と回転しないように締結している。
【0036】
最終的に、第3遊星歯車セットの遊星歯車18は、環歯車ベアリング(リムベアリング)24のインナーリング25の内歯と駆動作用のある形で噛合し、当該インナーリングは固定ボルト44を介して環歯車27と固定締結されている。この環歯車ベアリング24には、アウターリング50ならびにこれらの二つのリング25、50の間に包囲された転がり体(Waelzkoerper)29が属する。
【0037】
さらに図1では、好ましいことに、走行ギヤハウジング51も固定ボルト46で環歯車27と固定締結されていることがわかる。さらにこの図は、走行モータ軸3が、平歯車19の上側で環歯車26内の転がり軸受48を介して、そして当該歯車の下側で走行ギヤハウジング51内の転がり軸受け49を介して回転支持されていること、を明らかにしている。
【0038】
環歯車ベアリング24のアウターリング50は、ここには示されていないフロアコンベヤのシャーシと締結可能であり、そのためにこのアウターリング50の中にねじ切りされた穴26が設けられており、その中にこれら二つの部品を結合する取付けボルトをねじ込むことができる。
【0039】
最終的に、図1は、操舵モータ4のハウジング8に、径方向の外側に向いた一つまたは複数のタブ(Laschen)としても構成され得るカラー52が配置されており、その軸方向穴に固定ボルト37が通されること、を示している。この取付けボルト37のネジ山の一部は、環歯車ベアリング24のアウターリング50内のネジにねじ込まれており、その結果、操舵モータのハウジング8’は、ハウジングの一部として役立っている内歯歯車16および第3遊星キャリヤ18ならびにカバー47とベアリングアウターリング50に対して軸方向で、そしてそれによってフロアコンベヤのシャーシに対しても、固定されている。
【0040】
図2に示された、本発明に従って形成された操舵および車輪駆動装置53、54の二つの更なるバリエーションの構造は、図1に示された操舵および車輪駆動装置1とは、操舵ギヤがここでは多段式遊星ギヤとしてではなくウォルフロムギヤ32、32’として構成されていることによって、区別される。
【0041】
この二つの実施の形態の場合でも、操舵モータ軸55は太陽歯車として用いられ、それによって遊星歯車33ないし35の歯と噛合する外歯を支持している。垂直軸Vの右に示されている二つ目の構造変形例では、遊星歯車33が遊星キャリヤ34に回転支持されており、さらに径の内側に向いた操舵ギヤハウジング43の一部の内歯と噛合する。さらに遊星歯車33は、すでに図1から知られた環歯車ベアリング24のインナーリング25の内歯と噛合し、その結果、環歯車27は、操舵モータ4の垂直軸Vの回りを回転できる。
【0042】
内歯歯車36は、そのとき、径方向の内側に突き出ている操舵ギヤハウジング43の一部に固定されているか、あるいは、ハウジングとともに統合されている。それ(ハウジング)は、それの側(ハウジング側)で固定ボルト45を使って環歯車ベアリング24のアウターリング50に固定されている
図2の垂直軸Vの右側が示すように、固定ボルト45が操舵モータハウジング8のカラー52の受入れ開口部ならびに操舵ギヤハウジング43のカラー58の穴に入れられると、その結果、上の二つの駆動装置2、4が操舵ギヤハウジング43に対し中心に配置され、環歯車ベアリング24のアウターリング50に対して固定される、と言う関係において有利である。
【0043】
垂直軸Vの左に示された第3の変形例の場合、ウォルフロムギヤ32’の遊星歯車35は、前述の遊星歯車33とは異なった幾何形状を有している。この場合、それらが遊星キャリヤの回転軸の受入穴を有しているのではなくて、遊星歯車33に形成された回転軸を有している、ということが特に注意を引く。これら回転軸は、ここでは示唆的にのみ示されている遊星キャリヤの受入穴に入り込む。
【0044】
さらに図2では、軸方向に非常に短い構造となっている操舵ギヤ32’が内歯歯車36を有しており、当該内歯歯車36と遊星歯車35が噛合していることがわかる。この内歯歯車36は、径方向の内側を向いている操舵ギヤハウジング43の一部と固定締結しているかあるいは統合されている。操舵ギヤハウジング43は、操舵モータ4のカバーないしベアリングシールド47の中間層の下で、軸方向にモータのハウジング8と環歯車ベアリング24のアウターリング50との間に挟まれている。
【0045】
図2は、最終的に、操舵および車輪駆動装置32、32’において、センサー38、40が有利に取り付けられ得て、それらを用いて環歯車27の回転がその上に位置する駆動装置に対して測定され得る、ということを示している。
【0046】
操舵および車輪駆動装置の第2の変形例32のケースでは、この回転角センサー40が、径方向の内側に向きベアリングシールドとしても用いられている、走行モータおよび操舵モータの共通ハウジング8の一部57の取付け穴41に挿入され、操舵モータ4の回転子7のところで上記の回転運動を測定する。
【0047】
操舵および車輪駆動装置の第3の変形例32’(垂直軸Vの左に示されている)のケースでは、そのようなセンサー38が環歯車ベアリング24のアウターリング50の受入開口部39に挿入されている。この場合、回転はアウターリング50と環歯車27との間で測定され、ここに示されていない制御装置に伝達される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】フロアコンベヤ用の電気モータによる操舵および車輪駆動装置を一部断面で示した側面図である。
【図2】図1と同様であるが、本発明のさらに2つの実施の形態を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行モータ(2)、
走行ギヤ(21)、
操舵モータ(4)、及び、
操舵ギヤ(5、32、32’)
を有するフロアコンベヤ用の操舵および車輪駆動装置(1、53、54)であって、
当該装置により、ホイールハブ(22)上に配置されている少なくとも一つの走行車輪(23)を駆動可能であり、かつ、垂直軸(V)回りに旋回可能であり、
走行モータ(2)、操舵モータ(4)、及び、操舵ギヤ(5、32、32’)が互いに同軸に配置されている
ことを特徴とする操舵および車輪駆動装置。
【請求項2】
走行モータ(2)、操舵モータ(4)および操舵ギヤ(5、32、32’)は、軸方向にこの順番で順次配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項3】
走行モータ軸(3)が中実軸として形成され、
操舵モータ軸(9、55)が中空軸として形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項4】
走行モータ軸(3)は、操舵モータ軸(9、55)の中を同軸に導かれている
ことを特徴とする請求項3に記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項5】
走行モータ軸(3)は、走行モータ(2)から遠い端部で平歯車(19)を支持しており、当該歯車は走行ギヤ(21)の入力軸上の平歯車(20)と噛合している
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項6】
平歯車(20)は、ベベルギヤシステムとして形成された走行ギヤ(21)の入力軸上に固定されており、その出力軸は、少なくとも一つの車輪(23)のホイールハブ(22)と結合している
ことを特徴とする請求項5に記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項7】
操舵ギヤ(5)は、多段式遊星ギヤとしてまたはウォルフロムギヤ(32、32’)として形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項8】
操舵モータ軸は、第1太陽歯車(9、55)として形成されており、当該歯車の外歯が操舵ギヤ(5、32、32’)の遊星歯車(10、33、35)の歯と噛合している
ことを特徴とする請求項7に記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項9】
第1遊星歯車段の遊星歯車(10)が、第1太陽歯車(9)と噛合し、第1遊星キャリヤ(11)上で回転可能に支持されており、当該キャリヤは第2太陽歯車(13)と回転しないように固定締結されており、
第2遊星キャリヤ(14)上で回転可能に支持された第2遊星歯車段の遊星歯車(12)が第2太陽歯車(13)の外歯と噛合しており、
第1および第2遊星歯車段の遊星歯車(11、12)が1個の定置された内歯歯車(16)と噛合しており、
第2遊星キャリヤ(14)が第3太陽歯車(15)と回転しないように固定締結されており、
第3太陽歯車(15)が第3遊星歯車段の複数の遊星歯車(17)と噛合しており、
第3遊星歯車段の複数の遊星歯車(17)が第3遊星キャリヤ(18)上で回転可能に支持されており、当該キャリヤは内歯歯車(16)と回転しないように固定締結されており、
第3遊星歯車段の複数の遊星歯車(17)は環歯車ベアリング(24)のインナーリング(25)の内歯と噛合し、当該ベアリングインナーリングは環歯車(27)と回転しないように固定締結されているか、あるいは、走行ギヤ(21)のハウジング(51)に直接結合されている
ことを特徴とする請求項7または8に記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項10】
環歯車ベアリング(24)のアウターリング(50)は、フロアコンベヤの車両フレームに回転しないように固定締結されている
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項11】
操舵モータ(4)のハウジング(8、8’)は、固定具(37)を介して、軸方向にベアリングアウターリング(50)に結合している
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項12】
操舵モータハウジング(8、8’)の外壁とベアリングアウターリング(50)との間に、内歯歯車(16)と第3遊星キャリヤ(18)の径方向の外端とが配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項13】
操舵ギヤハウジング(内歯歯車16)は、別の固定具を介して、環歯車ベアリング(24)のアウターリング(50)に回転しないように固定締結されている
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項14】
当該操舵および車輪駆動装置の走行ギヤから遠い端部に、走行モータ軸(3)に作用するブレーキ(42)が配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項15】
操舵モータ(4)は、パンケーキモータとして形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項16】
走行モータ(2)のハウジングは、操舵モータ(4)のハウジング(8)に固定されている、あるいは、これらの二つのユニットが共通のハウジング(8’)を使用する
ことを特徴とする請求項15に記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項17】
操舵モータハウジング(8’)は、回転角センサー(40)を取り付けるための取付け穴(41)を有している
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項18】
環歯車ベアリング(24)のアウターリング(50)または環歯車(27)が、回転角センサー(38)を取り付けるための取付け穴(39)を有している
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項19】
操舵モータ(4)の回転子(7)、環歯車ベアリング(24)の固定アウターリング(50)、及び/または環歯車(27)に、回転角を検知するために前記回転角センサーと協働する信号装置が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。
【請求項20】
操舵ギヤ(32、32’)のハウジング(43)ならびに操舵モータのハウジング(8、8’)に、それぞれ一つの径方向の外側に向いたカラー(Kragen)(52)またはタブ(Laschen)(58)が形成されており、そのそれぞれの軸方向の穴を通してそれらをベアリングアウターリング(50)に固定するための固定ボルト(45)が通されている
ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の操舵および車輪駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−522013(P2007−522013A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552486(P2006−552486)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000485
【国際公開番号】WO2005/077695
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(500045121)ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト (312)
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
【Fターム(参考)】