説明

フローはんだ付け装置およびフローはんだ付け方法

本発明は、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスが電子回路基板に塗布される場合であっても、はんだ付け不良の発生を抑制することができるフローはんだ付け装置を提供する。すなわち、本発明に係るフローはんだ付け装置は、基板の表面の残留水分量を測定する水分センサーと、複数枚の基板のサンプルを用いて予め取得された前記サンプル基板の表面の残留水分値と前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値との相関関係に基づいて、前記水分センサーにより測定された残留水分量から取得された前記基板の表面の残留水分値を用いてはんだ付け品質の良否を判定するモニター装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスに適したフローはんだ付け装置およびフローはんだ付け方法に関する。VOCは、Volatile Organic Commpoundsの略である。
【背景技術】
【0002】
フローはんだ付けは、電子回路基板に電子部品をはんだ付けするための技術である。その概要は次の通りである。まず、電子回路基板の一方の主面に電子部品が搭載される。搭載された電子部品のリードは、電子回路基板のスルーホールに挿入され、電子回路基板の他方の主面から突出している。そして、そのリードが突出している面に溶融はんだが接触して、電子回路基板に電子部品がはんだ付けされる。以降、電子部品が搭載される一方の主面は部品面と称され、溶融はんだが接触する他方の主面は、はんだ付け面と称される。
【0003】
フローはんだ付け装置は、フラクサー、プレヒータ、噴流はんだ槽、冷却機などの処理装置を備える。フラクサー、プレヒータ、噴流はんだ槽、冷却機は、この順序で電子回路基板の搬送方向に向けて配置されている。このフローはんだ付け装置に電子回路基板が投入される。上述したように、この装置に投入される電子回路基板には予め電子部品が搭載されており、その搭載された電子部品のリードがはんだ付け面から突出している。この装置に投入された電子回路基板は、フローはんだ付け装置に設置されたコンベアにより搬送される。フローはんだ付け装置に電子回路基板が投入されると、まず、その投入された電子回路基板のはんだ付け面に、フラクサーによりフラックスが塗布される。その後すぐに、フラックスが塗布された電子回路基板がプレヒータで予備加熱される。次に、予備加熱された電子回路基板のはんだ付け面に、噴流はんだ槽により高温の溶融はんだが付着される。その後すぐに、溶融はんだが付着された電子回路基板が冷却機で冷却される。これらの工程により、電子回路基板に電子部品がはんだ付けされる。
【0004】
以上のように、リードが突出しているはんだ付け面にフラックスが塗布された後に、はんだ付け面に溶融はんだが接触する。フラックスを塗布するのは、はんだ付け面に付着している酸化被膜と汚れを除去するためである。一般に、はんだ付けには、液状のフラックスが使用される。液状のフラックスは、溶剤とその溶剤に溶解されたロジン等の活性剤を含む。液状のフラックスを電子回路基板のはんだ付け面に塗布するフラクサーには、発泡フラクサー、スプレーフラクサーなどの種類がある。プレヒータは、はんだ付け面に塗布されたフラックスを100〜150°Cの温度で予備加熱する。この予備加熱によって活性剤はその作用を発揮して電子回路基板のはんだ付け面を洗浄する。この予備加熱がなければ、はんだ付け面は洗浄されない。また、液状のフラックスには、活性剤を溶解させるための溶剤が使用されている。その溶剤が電子回路基板のはんだ付け面に残留していると、品質の良いはんだ付けが達成されない。溶剤を除去するためにもプレヒータによる予備加熱が必要となる。
【0005】
ロジン等の活性剤は、イソプロピルアルコールなどのアルコール類によく溶解する。そこで、フラックスの溶剤にはアルコール類が使用されていた。しかし、アルコールのような揮発性有機化合物(VOC)が大気中に放出されると、揮発性有機化合物が紫外線などにより分解されて、ラジカルを発生させる。このラジカルは、光化学スモッグなどの発生因子である。そのため、日本国においては、改正された大気汚染防止法により、VOCの使用が2010年から規制される。この規制は、はんだ付け分野にも適用される。このような理由から、溶剤としてVOCを使用しない液状のVOCフリーフラックス、およびVOCの量を減らした液状の低VOCフラックスが開発されている。低VOCフラックスは、一般的に5重量%以下のVOCを含む。
【0006】
溶剤として沸点が低いアルコール類を使用した液状のフラックスがはんだ付け面に塗布される場合、100〜150°Cの温度の予備加熱がなされれば、溶剤は蒸発する。一方、近年開発されつつあるVOCフリーフラックスおよび低VOCフラックスは、溶剤として、アルコール類よりも揮発性に乏しい水を使用している。その溶剤として使用されている水分を100〜150°Cの予備加熱温度で、電子回路基板に溶融はんだが接触する前に完全に除去することは困難である。したがって、噴流はんだ槽により、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスが塗付された電子回路基板に高温の溶融はんだが付着すると、例えば、はんだボールや、はんだ濡れ上がり不良、はんだブリッジなどが発生する問題が起こる。そのため、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスが塗付される場合、溶剤としてアルコール類を使用したVOCフラックスが塗布される場合と同等の仕上りを得ることができないでいた。このような理由から、噴流はんだ槽により溶融はんだが電子回路基板に付着される前に電子回路基板から水分を除去するための技術が提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1には、フラクサーの前に設置された予備加熱装置を備えるフローはんだ付け装置が開示されている。このフローはんだ付け装置は、予備加熱装置により100〜200°Cの温度で電子回路基板を予備加熱し、その予備加熱された電子回路基板にフラクサーから液状のフラックスを塗布する。このフローはんだ付け装置によれば、塗布されたフラックスに含まれる水分は、電子回路基板の熱により蒸発する。
【0008】
特許文献2には、フラクサーと噴流はんだ槽との間に設置された熱風乾燥装置を備えるフローはんだ付け装置が開示されている。このフローはんだ付け装置は、液状のフラックスが塗布された電子回路基板に熱風を送風することにより、塗布されたフラックスに含まれる水分を蒸発させる。
【0009】
ところで、電子回路基板のスルーホールの水分を完全に除去することは困難であり、電子回路基板の表面が乾いていてもスルーホールは湿っている。そのため、電子回路基板の表面が乾いていても、スルーホールの水分量が多い場合には、そのスルーホールの水分が溶融はんだの熱で水蒸気化され、その水蒸気により溶融はんだが飛散する。しかしながら、これまでのフローはんだ付け装置の予備加熱プロファイルは、スルーホールの水分を考慮した設定となっていない。したがって、上記したフローはんだ付け装置では、はんだ付け不良が発生するおそれがある。
【0010】
また、フローはんだ付け装置に投入される個々の電子回路基板に予め含まれる水分量にはばらつきがあり、フラクサーによるフラックスの塗布状態にもばらつきがある。上記したフローはんだ付け装置は、作業対象の電子回路基板に含まれる水分量を把握することができない。そのため、上記したばらつきに起因して、水分の除去が不十分な電子回路基板が噴流はんだ槽へ搬送されるおそれがある。水分の除去が不十分な場合、溶融はんだが飛散する。したがって、上記したフローはんだ付け装置では、はんだ付け不良が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−229674号公報
【特許文献2】特開平7−162139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスが電子回路基板に塗布される場合であっても、はんだ付け不良の発生を抑制することができるフローはんだ付け装置およびフローはんだ付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係るフローはんだ付け装置は、複数のスルーホールが形成されている基板を搬送するコンベアと、前記基板にフラックスを塗付するディスペンサと、前記フラックスが塗布された前記基板に溶融はんだを付着させるはんだ付着装置と、前記はんだ付着装置に前記基板が搬送される前までに前記基板を予備加熱する予備加熱装置と、前記基板の表面の残留水分量を測定する水分センサーと、サンプル基板の表面の残留水分値と前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値との相関関係に基づいて、前記水分センサーにより測定された残留水分量から取得された前記基板の表面の残留水分値を用いてはんだ付け品質を検査するモニター装置と、を備える。
【0014】
上記した本発明に係るフローはんだ付け装置において、前記モニター装置が、前記相関関係に基づいて、前記水分センサーにより測定された残留水分量から取得された前記基板の表面の残留水分値を用いて前記予備加熱装置の加熱温度を調整してもよい。
【0015】
上記した本発明に係るフローはんだ付け装置において、前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値は、前記サンプル基板のスルーホールに挿入された円筒の治具を用いて取得されていてもよい。この円筒の治具の材質は、アクリル系樹脂またはポリビニール系樹脂または綿であってもよい。
【0016】
上記した本発明に係るフローはんだ付け装置において、前記予備加熱装置が、前記ディスペンサの前に配置された第1の予備加熱装置と、前記ディスペンサの後に配置された第2の予備加熱装置とを含み、前記水分センサーが、前記第1の予備加熱装置で予備加熱された前記基板の表面の残留水分量を測定する第1の水分センサーと、前記第2の予備加熱装置で予備加熱された前記基板の表面の残留水分量を測定する第2の水分センサーとを含み、前記モニター装置が、前記基板の表面の残留水分値として、前記第1の水分センサーと前記第2の水分センサーの各々により測定された残留水分量の差を取得してもよい。この場合、前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値は、前記第1の予備加熱装置で予備加熱された前記サンプル基板の第1のスルーホールに予め挿入されている第1の円筒の治具から前記第1の水分センサーにより測定された残留水分量と、前記第2の予備加熱装置で予備加熱された前記サンプル基板の第2のスルーホールに予め挿入されている第2の円筒の治具から前記第2の水分センサーにより測定された残留水分量との差であってもよい。それらの第1と第2の円筒の治具の材質は、アクリル系樹脂またはポリビニール系樹脂または綿であってもよい。
【0017】
上記した本発明に係るフローはんだ付け装置において、前記水分センサーは、近赤外線センサーまたは赤外線センサーであってもよい。
【0018】
上記した本発明に係るフローはんだ付け装置において、前記フラックスは、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスであってもよい。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明に係るフローはんだ付け方法は、投入された基板にフラックスが塗付されるステップと、前記フラックスを塗布された前記基板に溶融はんだが付着するステップと、前記基板に溶融はんだが付着する前までに前記基板が予備加熱されるステップと、前記基板に溶融はんだが付着する前に、サンプル基板の表面の残留水分値と前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値との相関関係に基づいて、前記基板の表面の残留水分値からはんだ付け品質が検査されるステップと、を具備する。
【0020】
上記した本発明に係るフローはんだ付け方法において、はんだ付け品質が検査される際に、前記相関関係に基づいて、前記基板の表面の残留水分値から前記基板の予備加熱プロファイルが調整されてもよい。
【0021】
上記した本発明に係るフローはんだ付け方法において、前記基板の表面の残留水分値は、前記フラックスが塗布される前に予備加熱された前記基板の表面から測定された残留水分量と、前記フラックスが塗布された後に予備加熱された前記基板の表面から測定された残留水分量との差であってもよい。
【0022】
上記した本発明に係るフローはんだ付け方法において、前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値は、前記サンプル基板のスルーホールに挿入された円筒の治具を用いて取得されていてもよい。あるいは、前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値は、前記フラックスが塗布される前に予備加熱された前記サンプル基板の第1のスルーホールに予め挿入されている第1の円筒の治具から測定された残留水分量と、前記フラックスが塗布された後に予備加熱された前記サンプル基板の第2のスルーホールに予め挿入されている第2の円筒の治具から測定された残留水分量と、の差から取得されていてもよい。前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値を取得するために用いる前記円筒の治具の材質は、アクリル系樹脂またはポリビニール系樹脂または綿であってもよい。
【0023】
上記した本発明に係るフローはんだ付け方法において、前記基板の表面の残留水分値、前記サンプル基板の表面の残留水分値、および前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値は、近赤外線センサーまたは赤外線センサーを用いて取得されてもよい。
【0024】
上記した本発明に係るフローはんだ付け方法において、前記フラックスは、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスであってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の好ましい形態によれば、サンプル基板のスルーホールの残留水分値とサンプル基板の表面の残留水分値との相関に基づいて、作業対象の基板の表面の残留水分値からはんだ付け品質を検査することができる。よって、はんだ付け品質が不良となる基板をフローはんだ付けラインから取り除くことができる。さらに、予備加熱プロファイルを調整することもできる。したがって、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスが電子回路基板に塗布される場合であっても、はんだ付け不良の発生を抑制することができ、良好なはんだ付け品質が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明の実施の形態におけるフローはんだ付け装置の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態におけるスルーホールの水分量の測定に用いる筒状の治具の一例を示す図である。
【図3A】図3Aは本実施の形態におけるスルーホールの水分量の測定方法の手順の一部を説明するための図である。
【図3B】図3Bは本実施の形態におけるスルーホールの水分量の測定方法の手順の一部を説明するための図である。
【図3C】図3Cは本実施の形態におけるスルーホールの水分量の測定方法の手順の一部を説明するための図である。
【図3D】図3Dは本実施の形態におけるスルーホールの水分量の測定方法の手順の一部を説明するための図である。
【図3E】図3Eは本実施の形態におけるスルーホールの水分量の測定方法の手順の一部を説明するための図である。
【図3F】図3Fは本実施の形態におけるスルーホールの水分量の測定方法の手順の一部を説明するための図である。
【図3G】図3Gは本実施の形態におけるスルーホールの水分量の測定方法の手順の一部を説明するための図である。
【図4】図4は本実施の形態におけるはんだ付け面の残留水分値とスルーホールの残留水分値の関係の一例を示す図である。
【図5】図5は本実施の形態におけるはんだ付け面の残留水分値とはんだボールの発生件数の関係の一例を示す図である。
【図6】図6は本実施の形態におけるはんだ付け面の残留水分値とはんだブリッジの発生件数の関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は本発明の実施の形態におけるフローはんだ付け装置の構成の一例を示す図である。フローはんだ付けラインに水分センサーが組み込まれ、その水分センサーから送られる信号を基に、加熱プロファイルがフィードバック制御される。まず、本フローはんだ付け装置の構成の概要を説明する。
【0028】
図1に示すように、このフローはんだ付け装置には、多数のスルーホールが形成された電子回路基板1が投入される。この装置に投入される電子回路基板1の部品面には予め電子部品が搭載されている。基板に搭載された電子部品のリードは、電子回路基板1のスルーホールに挿入され、はんだ付け面から突出している。
【0029】
このフローはんだ付け装置には、投入された電子回路基板1を搬送するためのコンベア2が設置されている。さらに、このフローはんだ付け装置には、第1の予備加熱装置である第1のプレヒータ3、第1の水分センサー4、ディスペンサであるフラクサー5、第2の予備加熱装置である乾燥装置6および第2のプレヒータ7、第2の水分センサー8、はんだ付着装置である噴流はんだ槽9、冷却機10がこの順に電子回路基板1の搬送方向に向けて配置されている。また、このフローはんだ付け装置は、フラクサー5と乾燥装置6との間に配置された第3の水分センサー11を備え、このフローはんだ付け装置はモニター装置12を備える。
【0030】
第1のプレヒータ3は、電子回路基板1を予備加熱する。第1の水分センサー4は、第1のプレヒータ3で予備加熱された電子回路基板1のはんだ付け面の水分量を測定する。フラクサー5は電子回路基板1のはんだ付け面にフラックスを塗布する。フラックスには、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスを用いる。低VOCフラックスは、例えばVOCを5重量%以下含む。第3の水分センサー11は、フラックスが塗付された電子回路基板1のはんだ付け面の水分量を測定する。乾燥装置6は、電子回路基板1に塗付されたフラックスに含まれる水分を蒸発させる。第2のプレヒータ7は、電子回路基板1を予備加熱する。第2の水分センサー8は、第2のプレヒータ7で予備加熱された電子回路基板1のはんだ付け面の水分量を測定する。噴流はんだ槽9は、フラックスが塗付されたはんだ付け面に噴流している高温の溶融はんだを接触させることにより、電子回路基板1のはんだ付け面に溶融はんだを付着させる。冷却機10は、溶融はんだが付着した電子回路基板1を冷却する。
【0031】
モニター装置12は、複数枚の電子回路基板のサンプル基板を用いて予め取得されたサンプル基板のはんだ付け面の残留水分値とサンプル基板のスルーホールの残留水分値との相関関係を記憶している。以下、サンプル基板はサンプルと略記される。モニター装置12は、その記憶している相関関係に基づいて、水分センサー4および8により測定された残留水分量から取得される作業対象の電子回路基板のはんだ付け面の残留水分値を用いてはんだ付け品質を検査するように構成されている。詳しくは、モニター装置12は、作業対象の電子回路基板のはんだ付け品質の良否を予測する。この予測は、作業対象の電子回路基板1が噴流はんだ槽9に搬送される前に実行される。
【0032】
このフローはんだ付け装置は、フローはんだ付けラインから、モニター装置12によってはんだ付け品質が不良と予測された電子回路基板を排除するための機構を備えている。この排除は、不良と予測された電子回路基板が噴流はんだ槽9に搬送される前に実行される。図1に符号13で示す矢印は、はんだ付け品質が不良と予測された電子回路基板がフローはんだ付けラインから排除されることを表している。例えば、電子回路基板をラインから排除する搬送ロボットが設置されていてもよい。この場合、はんだ付け品質が不良と予測された電子回路基板をラインから排除させる指令がモニター装置12により搬送ロボットへ送信されてもよい。また、電子回路基板をラインから排除する分流コンベアがコンベア2に接続されていてもよい。また、モニター装置12が、モニター装置12に設置されている画面に、はんだ付け品質が不良であることを表示し、その表示を確認した作業者が、その後に電子回路基板をフローはんだ付けラインから排除してもよい。
【0033】
またモニター装置12は、上記した相関関係を用いて、電子回路基板のはんだ付け面の残留水分値を基に予備加熱プロファイルを調整するように構成されている。ここでは、乾燥装置6の加熱温度と第2のプレヒータ7の加熱温度が調整される。さらにモニター装置12は、第3の水分センサー11により測定された水分量を基にフラックスの塗布量を制御するように構成されている。
【0034】
このように、随時、はんだ付け品質が不良と予測された電子回路基板がフローはんだ付けラインから排除され、乾燥装置6の加熱温度と第2のプレヒータ7の加熱温度が調整される。したがって、適正な乾燥状態の電子回路基板に高温の溶融はんだが接触するので、はんだボールやブリッジが発生しない良好な品質のはんだ付けを達成することができる。
【0035】
続いて、本フローはんだ付け装置の詳細について説明する。第1のプレヒータ3、乾燥装置6および第2のプレヒータ7には、赤外線乾燥装置、熱風乾燥装置あるいはこれらを併用した乾燥装置を使用することができる。水分センサー4、8および11は、はんだ付け面の同じ測定ポイントの水分量を測定する。測定ポイントは、乾燥しにくく問題がおきやすい個所から選択する。水分センサー4、8および11には、近赤外線反射方式の水分センサーまたは赤外線反射方式の水分センサーを使用するのが好適である。近赤外線反射方式の水分センサーや赤外線反射方式の水分センサーは、水分量を瞬時に数値で測定することができる。よって、近赤外線反射方式の水分センサーまたは赤外線反射方式の水分センサーを使用した場合、電子回路基板の搬送を停止させることなく水分量を測定することができ、かつ水分量をデータで取り込むことができる。
【0036】
第1のプレヒータ3は、フローはんだ付け装置に投入された電子回路基板1に予め含まれる水分を除去する。第1の水分センサー4は、第1のプレヒータ3を通過した電子回路基板1のはんだ付け面の水分量(残留水分量:W)を測定する。第1のプレヒータ3により、電子回路基板1のはんだ付け面の残留水分量は0.1〜0.3%程度となる。第3の水分センサー11は、フラックスが塗付された電子回路基板1のはんだ付け面の水分量を測定する(残留水分量:W1)。乾燥装置6は、電子回路基板のはんだ付け面に塗布されたフラックスに含まれる水分を蒸発させる。第2のプレヒータ7は、電子回路基板1になお残留する水分を除去するとともに、フラックスを活性化させる。第2の水分センサー8は、第2のプレヒータ7を通過した電子回路基板1のはんだ付け面の水分量(残留水分量W)を測定する。水分センサー4、8および11は測定した残留水分量を示す信号をモニター装置12へ送る。
【0037】
モニター装置12は、上記した相関関係を用いて、作業対象の電子回路基板のはんだ付け面の残留水分値を基に、はんだ付け品質の良否を予測するとともに予備加熱プロファイルを調整するように構成されている。具体的には、モニター装置12は、第1の水分センサー4で測定された残留水分量Wと第2の水分センサー8で測定された残留水分量Wの差W−Wを、電子回路基板1のはんだ付け面の残留水分値として取得する。この残留水分値W−Wは、フラックスに起因する残留水分量を表している。モニター装置12は、その残留水分値W−Wから、はんだ付け品質を予測する。はんだ付け品質が不良と予測された場合、モニター装置12は、はんだ付け品質が不良と予測された電子回路基板がフローはんだ付けラインから排除されるようにする。さらに、モニター装置12は、乾燥装置6の加熱温度と第2のプレヒータ7の加熱温度を共に増加させる。但し、電子回路基板に搭載されている電子部品の耐熱温度から、乾燥装置6の加熱温度と第2のプレヒータ7の加熱温度の上限値を予め決めておき、電子部品の温度が耐熱温度以上にならないようにする必要がある。
【0038】
以上説明したように、モニター装置12は、複数枚の電子回路基板のサンプルを用いて予め取得されたサンプルのはんだ付け面の残留水分値とサンプルのスルーホールの残留水分値との相関関係に基づいて構成されている。以下、サンプルのはんだ付け面の残留水分値とサンプルのスルーホールの残留水分値との間の相関関係の取得方法について説明する。
【0039】
サンプルのはんだ付け面の残留水分値とサンプルのスルーホールの残留水分値は、上記した本実施の形態におけるフローはんだ付け装置を用いて取得することができる。サンプルのはんだ付け面の残留水分値に関しては、サンプルのフローはんだ付け時に水分センサーを用いて取得することができる。すなわち、サンプルのはんだ付け面の残留水分値は、サンプルのフローはんだ付け時に第1の水分センサー4と第2の水分センサー8の各々が測定した残留水分量の差から求めることができる。一方、スルーホールの水分量を水分センサーで測定することは困難であるので、その水分量は次に説明する方法で測定する。
【0040】
図2は本実施の形態におけるスルーホールの水分量の測定に用いる筒状の治具の一例を示す図、図3A〜図3Gは本発明における電子回路基板のスルーホールの水分量の測定方法の手順を説明するための図である。この測定方法は、図2に示すような筒状の治具14を用いる。
【0041】
まず、電子回路基板のサンプルに形成されている3つの同じ配列パターンのスルーホールのそれぞれに筒状の治具14が装着される。次に、筒状の治具14が装着されたスルーホール15に電子部品のリード16が挿入される。図3Aを参照。このような状態の電子回路基板のサンプルがフローはんだ付け装置のラインに投入される。この投入されたサンプルは、まず第1のプレヒータ3により予備加熱される。図3Bを参照。サンプルは、第1のプレヒータ3を通過した時点でがラインから取り外され、第1パターンのスルーホールに装着された筒状の治具14がピンセットにて抜き取られ、その抜き取られた筒状の治具14の水分量が第1の水分センサー4により測定される。図3Cを参照。第1の水分センサー4の測定値は、筒状の治具14に予め吸湿されていると考えられる水分量を示す。第1の水分センサー4の測定値を初期状態I0(%)とする。
【0042】
次に、第1パターンのスルーホールから筒状の治具が抜き取られたサンプルは、ラインの第1のプレヒータ3の後に再投入される。この再投入されたサンプルに、フラクサー5からVOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスが塗布される。図3Dを参照。サンプルは、フラックスが塗布された時点でラインから取り外され、第3パターンのスルーホールに装着された筒状の治具14がピンセットにて抜き取られ、その抜き取られた筒状の治具14の水分量が第3の水分センサー11により測定される。図3Eを参照。抜き取られた円筒の治具14は、塗布されたVOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスに含まれる水分を吸収している。第3の水分センサー11の測定値をフラックス塗布状態I1(%)とする。
【0043】
次に、第3パターンのスルーホールから筒状の治具が抜き取られたサンプルは、ラインのフラクサー5の後に再投入される。この再投入されたサンプルは、乾燥装置を通過し、第2のプレヒータ7により予備加熱される。図3Fを参照。サンプルは、第2のプレヒータ7を通過した時点でラインから取り外され、第2パターンのスルーホールに装着された筒状の治具14がピンセットにて抜き取られ、その抜き取られた筒状の治具14の水分量が第2の水分センサー8により測定される。図3Gを参照。第2の水分センサー8の測定値は、蒸発しきれずに残った水分量を示す。第2の水分センサー8の測定値を乾燥状態I2(%)とする。
【0044】
上述したように、初期状態I0(%)は円筒の治具14に予め吸湿されている水分量であり、フラックス塗布状態I1(%)は、フラックスに含まれる水分を吸収した円筒の治具14の水分量である。よって、I1−I0が、フラックスの塗布によって増加した水分量となる。また乾燥状態I2(%)は蒸発しきれずに残った水分量であり、I2−I0がスルーホールの残留水分値となる。つまり、はんだ付け面の残留水分値の測定方法と同様に、スルーホールの残留水分値は、サンプルのフローはんだ付け時に水分センサー4および8を用いて取得することができる。
【0045】
このように、サンプルのスルーホールの残留水分値は、サンプルのスルーホールに挿入された円筒の治具を用いて取得される。すなわち、サンプルのスルーホールの残留水分値は、第1のプレヒータ3で予備加熱されたサンプルの第1パターンのスルーホールに予め挿入されている円筒の治具14から第1の水分センサー4により測定された残留水分量と、第2のプレヒータ7で予備加熱されたサンプルの第2パターンのスルーホールに予め挿入されている円筒の治具14から第2の水分センサー8により測定された残留水分量との差である。
【0046】
ここで、スルーホールの残留水分値の測定方法について具体的に説明する。ここでは、厚さ1.6mm、最小スルーホール径1.0mmのガラスエポキシ基板を用いた。また、筒状の治具14の寸法は、高さh=1.6mm、外径D1=1.0mm、内径D2=0.7mm、厚さt=0.15mmとした。図2を参照。電子部品のリードは直径0.5mmとした。筒状の治具14の材質には、弾力性があり、ガラスエポキシよりも吸水率が良いアクリル樹脂を用いる。ここでは、代表的なアクリル樹脂であるポリアクリル酸エステルが使用される。
【0047】
筒状の治具は、1枚のサンプルの同じ配列パターンでスルーホールが存在する3つの領域へ分けられ、それらの領域の各々に、同数ずつ、例えば10個ずつ装着される。筒状の治具は、部品面やはんだ付け面からはみ出さないように、スルーホールに押し込まれる。
【0048】
このように30個の筒状の治具が装着された電子回路基板のサンプルを用いてスルーホールの残留水分値が測定される場合、図3Cに示すように、第1のプレヒータ3を通過したサンプルの第1の領域のスルーホールから抜き取られた10個の筒状の治具14の初期状態I0(%)がまず測定され、次に、図3Eに示すように、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスが塗布されたサンプルの第3の領域のスルーホールから抜き取られた10個の筒状の治具14のフラックス塗布状態I1(%)が測定され、次に、図3Gに示すように、第2のプレヒータ7を通過したサンプルの第2の領域のスルーホールから抜き取られた10個の筒状の治具14の乾燥状態I2(%)が測定される。
【0049】
このように、ここではアクリル樹脂製の筒状の治具を10個使用して水分量の測定が行われた。円筒の治具が1個の場合、正確に水分量が測れない。一方、円筒の治具が100個の場合、手間がかかり、測定までの間に樹脂製の筒状の治具が乾いてしまうため、乾燥状態が変わってしまう。したがって、筒状の治具の数は10個程度が適当である。
【0050】
また、ここでは、1枚のサンプルを同じ配列パターンのスルーホールが存在する3つの領域に分け、それらの領域の各々に10個の筒状の治具を装着した。例えば、四角形の領域内に筒状の治具を配置する場合には、中央、4隅、各辺の中央、および他の任意の1箇所に治具を配置してもよい。他の任意の1箇所は、乾燥しにくく、問題が起こりにくい場所にしてもよい。このように30個の筒状の治具が配置されれば、電子回路基板のスルーホールの平均水分量が把握できる。
【0051】
なお、筒状の治具は極小さい。そこで、透明な容器に入れられた10個の筒状の治具の水分量を測定するようにしてもよい。また、ここでは、筒状の治具の材質に、典型的なアクリル樹脂であるポリアクリル酸エステルを使用したが、材質はこれに限られるものではなく、透明な樹脂で吸水性がよいポリメタクリル酸メチルやビニロンを使用することも可能である。また、吸収性の高い綿材を使用してもよい。
【0052】
以上説明したはんだ付け面の残留水分値の測定とスルーホールの残留水分値の測定を、複数枚の電子回路基板のサンプルを用いて同時に行い、それらの残留水分値の関係を取得する。図4は、はんだ付け面の残留水分値とスルーホールの残留水分値の関係の一例を示す図である。厚さ1.6mm、最小スルーホール径1.0mmのガラスエポキシ基板に、高さh=1.6mm、外径D1=1.0mm、内径D2=0.7mm、厚さt=0.15mmのポリアクリル酸エステル製の筒状の治具14を30個装着するとともに、直径0.5mmのリードを有する電子部品を搭載した場合、図4に示すように、はんだ付け面の残留水分値とスルーホールの残留水分値との間に一次関数で表される相関関係があることがわかった。
【0053】
また、はんだ付け面の残留水分値とスルーホールの残留水分値の相関関係の取得に際して、はんだ付け面の残留水分値とはんだ付け品質の関係も取得した。図5は、はんだ付け面の残留水分値とはんだボールの発生件数の関係の一例を示す図、図6は、はんだ付け面の残留水分値とブリッジの発生件数の関係の一例を示す図である。図5、図6は、1000枚の電子回路基板のサンプルをフローはんだ付けした場合の結果を示している。ここでは、1000枚のサンプルから、5%未満の残留水分値のサンプル、5%以上10%未満の残留水分値のサンプル、10%以上20%未満の残留水分値のサンプル、20%以上30%未満の残留水分値のサンプル、30%以上の残留水分値のサンプルをそれぞれ100枚ずつ抜き出して、はんだボールとブリッジの発生を検査した。また、ここでは、はんだボールとブリッジの件数を、1枚のサンプルにつき1件としてカウントした。
【0054】
図5、図6に示すように、5%未満の残留水分値のサンプルおいては、はんだボールの発生件数が8件、ブリッジの発生件数が4件であり、はんだボール、ブリッジ共に、比較的発生数が少ない結果となった。また、5%以上10%未満の残留水分値のサンプルにおいては、はんだボールの発生件数が29件、ブリッジの発生件数が11件であり、はんだボール、ブリッジ共に、発生数が多い結果となった。
【0055】
このように、厚さ1.6mm、最小スルーホール径1.0mmのガラスエポキシ基板に、高さh=1.6mm、外径D1=1.0mm、内径D2=0.7mm、厚さt=0.15mmのポリアクリル酸エステル製の筒状の治具を30個装着するとともに、直径0.5mmのリードを有する電子部品を搭載した場合、はんだ付け面の残留水分値とスルーホールの残留水分値との間に一次関数で表される相関関係があることがわかった。また、はんだ付け面の残留水分値が5%未満の場合、図4に示すようにスルーホールの残留水分値が8%未満となり、図5、図6に示すようにはんだボールとブリッジの発生件数が少なくなることがわかった。したがって、これら一連の関係から、溶融はんだが付着する前のはんだ付け面の残留水分値が5%未満であれば、はんだ付け品質は不良になりにくいと予測できる。よって、電子回路基板のはんだ付け面の残留水分値が5%未満であるか否かによってはんだ付け品質の良否を予測すれば、不良基板の発生件数が減り、品質の良いはんだ付けが実現できると期待できる。つまり、この場合、モニター装置12は、上述したサンプルのはんだ付け面の残留水分値とサンプルのスルーホールの残留水分値との相関関係に基づいて、電子回路基板のはんだ付け面の残留水分値が5%未満であるか否かによってはんだ付け品質の良否を予測するとともに、そのはんだ付け面の残留水分値から予備加熱プロファイルを調整するように構成すればよい。
【0056】
以上説明した図1に示す構成のフローはんだ付け装置によるフローはんだ付け方法について説明する。ここでは、電子回路基板1として、厚さ1.6mm、最小スルーホール径1.0mmのガラスエポキシ基板を用いる場合について説明する。この場合、上述したように、不良が発生しにくいと予測される残留水分値が5%未満に定義される。
【0057】
装置に投入された電子回路基板1は、コンベア2により搬送される。電子回路基板1は、まず第1のプレヒータ3を通過する。第1のプレヒータ3は、電子回路基板1を予備加熱することにより、電子回路基板1に吸湿されていた水分を除去する。その後すぐに、電子回路基板1のはんだ付け面の水分量が第1の水分センサー4により測定されてから、フラクサー5により電子回路基板1のはんだ付け面に、霧状となったVOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスが塗布される。フラックスが塗布された電子回路基板1のはんだ付け面の残留水分量は、第3の水分センサー11により測定される。第1の水分センサー4と第3の水分センサー11は、測定した残留水分量を示す信号をモニター装置12へ転送する。
【0058】
その後すぐに、電子回路基板1は乾燥装置6を通過する。乾燥装置6は、電子回路基板1のはんだ付け面に塗布されたVOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスに含まれる水分を蒸発させる。
【0059】
その後すぐに、電子回路基板1は第2のプレヒータ7を通過する。第2のプレヒータ7は、電子回路基板1を予備加熱することにより、フラックスを活性化させるとともに、電子回路基板1に残留する水分を除去する。電子回路基板1のはんだ付け面の残留水分量は、第2の水分センサー8により測定される。第2の水分センサー8は、測定した残留水分量を示す信号をモニター装置12へ転送する。
【0060】
モニター装置12は、第2の水分センサー8により測定された残留水分量と第1の水分センサー4により測定された残留水分量との差を算出する。その差である残留水分値が、不良が発生しやすいと予測される5%以上の場合、モニター装置12は、はんだ付けラインから電子回路基板が排除されるようにする。さらにモニター装置12は、乾燥装置6の加熱温度と第2のプレヒータ7の加熱温度を上昇させる。一方、残留水分値が5%未満の場合には、電子回路基板1は次の工程に進む。つまり、電子回路基板1は、はんだ付け面に溶融はんだを付着させる噴流はんだ槽9を通過した後、電子回路基板1を冷却させる冷却機10を通過する。このような工程により、電子回路基板1のはんだ付けが完了する。
【0061】
以上、厚さ1.6mm、最小スルーホール径1.0mmのガラスエポキシ基板を例に説明したが、基板の材質にはガラスエポキシ以外にも例えば紙フェノールなど様々な材質があり、基板の厚さ、スルーホールの径、基板の寸法などにも様々な値がある。また、電子回路基板上の部品の密集度や配置によって熱容量が異なる。つまり、乾燥のしやすさが異なる。そのため、処理する基板の種類ごとに、スルーホールの残留水分値とはんだ付け面の残留水分値との関係を取得するとともに、その取得した関係に基づいて適正な残留水分値を設定することが望ましい。
【0062】
また、ここでは、モニター装置12が、第1の水分センサー4と第2の水分センサー8の各々が測定した水分量の差から、はんだ付け品質の良否の判定および乾燥装置6の加熱温度と第2のプレヒータ7の加熱温度の調整を行う場合について説明したが、サンプルのはんだ付け面の残留水分値とサンプルのスルーホールの残留水分値との相関関係に基づいて、第1の水分センサー4が測定した水分量から第1のプレヒータ3の加熱温度を調整する機構を、モニター装置12に付加することもできる。さらに、上記した相関関係を用いて、第3の水分センサー11により測定された水分量を基にフラックスの塗布量を調整する機構をモニター装置12に付加することもできる。
【0063】
また、ここでは、乾燥装置6の加熱温度と第2のプレヒータ7の加熱温度が調整される場合について説明したが、乾燥装置6と第2のプレヒータ7のいずれか一方の加熱温度のみが調整されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明にかかるフローはんだ付け装置およびフローはんだ付け方法は、はんだ付け不良の発生を抑制することができ、良好なはんだ付け品質を確保することができ、特にVOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスが塗布される電子回路基板のフローはんだ付けに有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスルーホールが形成されている基板を搬送するコンベアと、
前記基板にフラックスを塗付するディスペンサと、
前記フラックスが塗布された前記基板に溶融はんだを付着させるはんだ付着装置と、
前記はんだ付着装置に前記基板が搬送される前までに前記基板を予備加熱する予備加熱装置と、
前記基板の表面の残留水分量を測定する水分センサーと、
サンプル基板の表面の残留水分値と前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値との相関関係に基づいて、前記水分センサーにより測定された前記基板の表面の残留水分量から取得された前記基板の表面の残留水分値を用いてはんだ付け品質を検査するモニター装置と、
を備えたフローはんだ付け装置。
【請求項2】
前記モニター装置は、前記相関関係に基づいて、前記水分センサーにより測定された残留水分量から取得された前記基板の表面の残留水分値を用いて前記予備加熱装置の加熱温度を調整する請求項1記載のフローはんだ付け装置。
【請求項3】
前記予備加熱装置は、前記ディスペンサの前に配置された第1の予備加熱装置と、前記ディスペンサの後に配置された第2の予備加熱装置とを含み、
前記水分センサーは、前記第1の予備加熱装置で予備加熱された前記基板の表面の残留水分量を測定する第1の水分センサーと、前記第2の予備加熱装置で予備加熱された前記基板の表面の残量水分量を測定する第2の水分センサーとを含み、
前記モニター装置は、前記基板の表面の残留水分値として、前記第1の水分センサーと前記第2の水分センサーの各々により測定された残留水分量の差を取得する
請求項1記載のフローはんだ付け装置。
【請求項4】
前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値は、前記サンプル基板のスルーホールに挿入された円筒の治具を用いて取得されている請求項1記載のフローはんだ付け装置。
【請求項5】
前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値は、前記第1の予備加熱装置で予備加熱された前記サンプル基板の第1のスルーホールに予め挿入されている第1の円筒の治具から前記第1の水分センサーにより測定された残留水分量と、前記第2の予備加熱装置で予備加熱された前記サンプル基板の第2のスルーホールに予め挿入されている第2の円筒の治具から前記第2の水分センサーにより測定された残留水分量との差である
請求項3記載のフローはんだ付け装置。
【請求項6】
前記円筒の治具の材質は、アクリル系樹脂またはポリビニール系樹脂または綿である請求項4記載のフローはんだ付け装置。
【請求項7】
前記水分センサーは、近赤外線センサーまたは赤外線センサーである請求項1記載のフローはんだ付け装置。
【請求項8】
前記フラックスは、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスである請求項1記載のフローはんだ付け装置。
【請求項9】
投入された基板にフラックスが塗付されるステップと、
前記フラックスを塗布された前記基板に溶融はんだが付着するステップと、
前記基板に溶融はんだが付着する前までに前記基板が予備加熱されるステップと、
前記基板に溶融はんだが付着する前に、サンプル基板の表面の残留水分値と前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値との相関関係に基づいて、前記基板の表面の残留水分値からはんだ付け品質が検査されるステップと、
を具備するフローはんだ付け方法。
【請求項10】
はんだ付け品質が検査される際に、前記相関関係に基づいて、前記基板の表面の残留水分値から前記基板の予備加熱プロファイルが調整される請求項9記載のフローはんだ付け方法。
【請求項11】
前記基板の表面の残留水分値は、前記フラックスが塗布される前に予備加熱された前記基板の表面から測定された残留水分量と、前記フラックスが塗布された後に予備加熱された前記基板の表面から測定された残留水分量との差である請求項9記載のフローはんだ付け方法。
【請求項12】
前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値は、前記サンプル基板のスルーホールに挿入された円筒の治具を用いて取得されている請求項9記載のフローはんだ付け方法。
【請求項13】
前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値は、前記フラックスが塗布される前に予備加熱された前記サンプル基板の第1のスルーホールに予め挿入されている第1の円筒の治具から測定された残留水分量と、前記フラックスが塗布された後に予備加熱された前記サンプル基板の第2のスルーホールに予め挿入されている第2の円筒の治具から測定された残留水分量と、の差から取得されている請求項9記載のフローはんだ付け方法。
【請求項14】
前記円筒の治具の材質は、アクリル系樹脂またはポリビニール系樹脂または綿である請求項12記載のフローはんだ付け方法。
【請求項15】
近赤外線センサーまたは赤外線センサーを用いて、前記基板の表面の残留水分値、前記サンプル基板の表面の残留水分値、および前記サンプル基板のスルーホールの残留水分値が取得される請求項9記載のフローはんだ付け方法。
【請求項16】
前記フラックスは、VOCフリーフラックスまたは低VOCフラックスである請求項9記載のフローはんだ付け方法。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−511431(P2011−511431A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526876(P2010−526876)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【国際出願番号】PCT/JP2009/001661
【国際公開番号】WO2009/125601
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】