説明

ブラケット

【課題】自動車パネルに自動車用ガーニッシュ(装飾部品)を固定するためのブラケットに関し、台座に対し、取付部材の組み付け方向を変えることにより、取付部材の高さを所望の複数の高さ位置に、容易に取り付けることができるようにしたものである。
【解決手段】ブラケット10は、台座20と、取付部材30とを備える。台座20は、自動車用ガーニッシュ12と一体若しくは固着されるベース部50を有するものである。取付部材30は、ファスナー40を介して自動車パネル11に固定される固定部、固定部から軸状に延び、台座20に嵌合する軸部、軸部をはさんで固定部と反対側に位置し、複数の方向から台座20に対し嵌合可能であり、当該嵌合する方向を変更することにより、軸部の軸方向の異なる複数位置に係止可能な係止部を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車パネルに自動車用ガーニッシュ(装飾部品)を固定するためのブラケットに関し、台座に対し、取付部材の組み付け方向を変えることにより、取付部材の高さを所望の複数の高さ位置に、容易に取り付けることができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内筒であるベース部材と、当該ベース部材に外嵌する外筒であるファスナー部材の内外周面に、互いにはまり合う鋸歯状の凹部と凸部とを複数段設け、ベース部材に対するファスナー部材の高さを段階的に調節することができるようにしたファスナーブラケットが知られている(特許文献1の段落番号「0016」及び「0017」、図2及び図6参照)。
【0003】
また、従来、ガーニッシュに座部を一体に成形し、クリップに組付部を一体に成形し、座部に複数段の凹部を設け、組付部に前記凹部に嵌合する複数段の凸部を設けたクリップが知られている(特許文献1の段落番号「0009」、「0014」、「00015」、図1及び図4〜図6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6-59612号公報
【特許文献2】特開2004-360752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の前者のファスナーブラケット(実開平6-59612号公報)では、ベース部材に対するファスナー部材の高さを段階的に調節するようにしていたので、ファスナー部材を所望の高さ位置に停止させるのが困難であるという第1の問題点があった。
また、上記した従来の後者のクリップでは、組付部がクリップに一体に成形されていたので、既存のクリップが使用できず、汎用性に乏しいという第2の問題点があった。
【0006】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する第1及び第2問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、台座に対し、取付部材の組み付け方向を変えることにより、取付部材の高さを所望の複数の高さ位置に、容易に取り付けることができるようにしたものである。
【0007】
これに加え、請求項1に記載の発明は、ファスナーを介して自動車パネルに取付部材を固定することができるようにしたものである。
このため、請求項1に記載の発明によれば、既存のファスナーを使用できるので、ブラケットの汎用を向上することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項2に記載の発明は、凹凸形状により、取付部材の高さを調節することができるようにしたものである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0009】
すなわち、請求項3に記載の発明は、凸部を複数個形成し、軸部の軸方向の高さを互いに異ならせることで、凸部を利用して、取付部材の高さを調節することができるようにしたものである。
これに加え、請求項3に記載の発明は、異なる高さの凸部を、複数の方向から突出させることで、複数の方向から取付部材を組み付けることができるようにしたものである。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0010】
すなわち、請求項4に記載の発明は、凹部を複数個形成し、軸部の軸方向の高さを互いに異ならせることで、凹部を利用して、取付部材の高さを調節することができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0011】
すなわち、請求項5に記載の発明は、既存のファスナーを、固定部の装着部の装着することができるようにしたものである。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0012】
すなわち、請求項6に記載の発明は、台座の弾性を利用して、軸部を台座の嵌合溝にはめ込むことができ、又、はめ込んだ後は、開口の幅が軸部の直径より小さくなることで、嵌合溝から軸部の抜けを防止することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0014】
第1に、ブラケット(10)は、例えば図1〜3に示すように、次の構成を備える。
(1)台座(20)
(2)取付部材(30)
第2に、台座(20)は、例えば図1〜3に示すように、自動車用ガーニッシュ(12)と一体若しくは固着されるベース部(50)を有するものである。
【0015】
第3に、取付部材(30)は、例えば図1〜3に示すように、ファスナー(40)を介して自動車パネル(11)に固定される固定部(70)、固定部(70)から軸状に延び、台座(20)に嵌合する軸部(80)、軸部(80)をはさんで固定部(70)と反対側に位置し、複数の方向から台座(20)に対し嵌合可能であり、当該嵌合する方向を変更することにより、軸部(80)の軸方向の異なる複数の高さ位置に係止可能な係止部(90)を有するものである。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0016】
第1に、係止部(90)と台座(20)との両対向面のどちらか一方(例えば係止部90)には、例えば図1に示すように、他方(台座20)に向かって突出した凸部(100)を形成する。
第2に、他方(台座20)には、例えば図1に示すように、凸部(100)にはまり合う凹部(120)を形成する。
第3に、凸部(100)と凹部(120)とは、例えば図1に示すように、軸部(80)の軸方向の高さを略一致させている。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0017】
第1に、凸部(100)は、例えば図1に示すように、係止部(90)と台座(20)との両対向面のどちらか一方に複数個形成される。
第2に、複数個の凸部(100)は、例えば図1に示すように、異なる複数の方向に向かって突出するとともに、軸部(80)の軸方向の高さを互いに異ならせている。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項2又は請求項3に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0018】
第1に、凹部(120)は、例えば図1に示すように、係止部(90)と台座(20)との両対向面のどちらか他方に複数個形成される。
第2に、複数個の凹部(120)は、例えば図1に示すように、軸部(80)の軸方向の高さを互いに異ならせている。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0019】
すなわち、固定部(70)は、例えば図2及び図3に示すように、自動車パネル(11)にファスナー(40)を介して固定されるとともに、ファスナー(40)を装着する装着部(71)が設けられている。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0020】
第1に、台座(20)には、例えば図1に示すように、軸部(80)を受け入れ可能な開口(67)を有する嵌合溝(66)を形成する。
第2に、開口(67)の幅を、軸部(80)の直径より小さく設定し、台座(20)の弾性を利用して軸部(80)を嵌合溝(66)にはめ込むようにしている。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
請求項1に記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、台座に対し、取付部材の組み付け方向を変えることにより、取付部材の高さを所望の複数の高さ位置に、容易に取り付けることができる。
【0022】
これに加え、請求項1に記載の発明によれば、ファスナーを介して自動車パネルに取付部材を固定することができる。
このため、請求項1に記載の発明によれば、既存のファスナーを使用できるので、ブラケットの汎用を向上することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明によれば、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0023】
すなわち、請求項2に記載の発明によれば、凹凸形状により、取付部材の高さを調節することができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明によれば、上記した請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0024】
すなわち、請求項3に記載の発明によれば、凸部を複数個形成し、軸部の軸方向の高さを互いに異ならせることで、凸部を利用して、取付部材の高さを調節することができる。
これに加え、請求項3に記載の発明によれば、異なる高さの凸部を、複数の方向から突出させることで、複数の方向から取付部材を組み付けることができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明によれば、上記した請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0025】
すなわち、請求項4に記載の発明によれば、凹部を複数個形成し、軸部の軸方向の高さを互いに異ならせることで、凹部を利用して、取付部材の高さを調節することができる。
(請求項5)
請求項5に記載の発明によれば、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0026】
すなわち、請求項5に記載の発明によれば、既存のファスナーを、固定部の装着部の装着することができる。
(請求項6)
請求項6に記載の発明によれば、上記した請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0027】
すなわち、請求項6に記載の発明によれば、台座の弾性を利用して、軸部を台座の嵌合溝にはめ込むことができ、又、はめ込んだ後は、開口の幅が軸部の直径より小さくなることで、嵌合溝から軸部の抜けを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ブラケットの分解斜視図である。
【図2】ブラケットの取付状態を示す一部断面図である。
【図3】ブラケット及びファスナーの取付手順を説明するための側面図である。
【図4】台座の斜視図である。
【図5】台座の正面図である。
【図6】台座の平面図である。
【図7】台座の側面図である。
【図8】図5のA部の拡大図である。
【図9】図5のB−B線に沿う断面図である。
【図10】取付部材の斜視図である。
【図11】取付部材の正面図である。
【図12】取付部材の平面図である。
【図13】取付部材の底面図である。
【図14】図11のC−C線に沿う断面図である。
【図15】図1のA方向に取付部材をはめ込む際のブラケットの分解平面図である。
【図16】図15の取付状態を示すブラケットの正面図である。
【図17】図16のD−D線に沿う断面図である。
【図18】図1のB方向に取付部材をはめ込む際のブラケットの分解平面図である。
【図19】図18の取付状態を示すブラケットの正面図である。
【図20】図19のE−E線に沿う断面図である。
【図21】図1のC方向に取付部材をはめ込む際のブラケットの分解平面図である。
【図22】図21の取付状態を示すブラケットの正面図である。
【図23】図22のF−F線に沿う断面図である。
【図24】図1のD方向に取付部材をはめ込む際のブラケットの分解平面図である。
【図25】図24の取付状態を示すブラケットの正面図である。
【図26】図25のG−G線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(ブラケット10)
図1〜3中、10は、ブラケットを示し、このブラケット10は、自動車パネル11に自動車用ガーニッシュ12(装飾部品)を固定するのに使用される。
ブラケット10は、図1に示すように、大別すると、次のパーツから構成されている。
なお、ブラケット10のパーツは、次の(1)及び(2)に限定されない。
【0030】
(1)台座20
台座20は、図2に示すように、自動車用ガーニッシュ12側に固定される。
(2)取付部材30
取付部材30は、図2及び図3に示すように、ファスナー40を介して自動車パネル11に固定される。台座20と取付部材30とは、互いにはまり合うことで連結され、自動車パネル11に対し、自動車用ガーニッシュ12が固定される。
【0031】
なお、取付部材30を、ファスナー40を介して自動車パネル11に固定したが、これに限定されず、取付部材30を自動車パネル11に直接固定したり、或いはファスナー40以外のパーツ、例えばネジ等を使用して自動車パネル11に固定しても良い。
(台座20)
台座20は、図1及び図2に示すように、自動車用ガーニッシュ12と一体若しくは固着されるベース部50を有するものである。本実施の形態では、ベース部50を自動車用ガーニッシュ12と別体に形成し、自動車用ガーニッシュ12に熱溶着している。
【0032】
なお、ベース部50を、自動車用ガーニッシュ12と別体に形成したが、一体的に形成するようにしても良い。また、台座20を熱溶着したが、これに限定されず、接着したり、或いはネジ止めしても良い。
台座20は、適度な弾性と剛性とを有し、例えばPP(ポリプロピレン)等の熱可塑性合成樹脂により一体的に成形される。
【0033】
台座20は、図4〜9に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)ベース部50
(2)台座本体60
なお、台座20の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されず、例えば台座本体60を自動車用ガーニッシュ12に一体的に形成しても良い。
(取付部材30)
取付部材30は、図1及び図15〜26に示すように、複数の方向、例えば図1のA〜Dの四方から台座20に対し嵌合可能であり、当該嵌合する方向を変更することにより、軸部80の軸方向の異なる複数の高さ位置、例えば4段階の高さ位置に係止可能なものである。
【0034】
なお、取付部材30を嵌合する方向として、四方を例示したが、これに限定されず、四方のうち、2方向や3方向、或いは5方向以上としても良い。また、取付部材30の高さの調節位置として、4段階を例示したが、これに限定されず、2段階、3段階、或いは5段階以上としても良い。
取付部材30は、台座20と同様に、適度な弾性と剛性とを有し、例えばPP(ポリプロピレン)等の熱可塑性合成樹脂により一体的に成形される。
【0035】
取付部材30は、図10〜14に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
(1)固定部70
(2)軸部80
(3)係止部90
なお、取付部材30のの各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(ファスナー40)
ファスナー40は、図2及び図3に示すように、自動車パネル11と取付部材30の後述する固定部70との間に位置し、両者を連結するものである。
【0036】
ファスナー40は、適度な弾性と剛性とを有し、熱可塑性合成樹脂により一体的に成形される。
ファスナー40は、図2及び図3に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、ファスナー40の各部は、次の(1)〜(3)に限定されない。
(1)フランジ部41
フランジ部41は、図2及び図3に示すように、ファスナー40の高さの途中に位置し、円盤形に張り出している。フランジ部41の直径は、自動車パネル11の貫通孔の内径より大きく設定されている。
【0037】
(2)ボス部42
ボス部42は、図2及び図3に示すように、フランジ部41の上面から上方に向かって延び、取付部材30の後述する固定部70の溝状の装着部71にはまり込むことで、取付部材30に対して固定されている。
(3)脚部43
脚部43は、図2及び図3に示すように、フランジ部41をはさんでボス部42と反対側に位置し、フランジ部41の下面から下方に向かって延び、自動車パネル11の貫通孔に挿入されることで、自動車パネル11に対して固定される。脚部43は、高さの中央が膨らみ、先端部が細くなった形状に形成され、中央の膨らんだ部分の外径を、自動車パネル11の貫通孔より少し大きく設定している。
【0038】
このため、脚部43を自動車パネル11の貫通孔に合わせて挿入すると、貫通孔の内縁部に押され、中央の膨らんだ部分の外径が弾性的に縮径し、貫通孔を通過後、自動車パネル11の下側で、樹脂の弾性力により復元する。このため、中央の膨らんだ部分と、フランジ部41との間で、自動車パネル11をその厚み方向にはさみ持つことで、貫通孔に対してファスナー40が固定される。
(ベース部50)
ベース部50は、図1及び図2に示すように、自動車用ガーニッシュ12と一体若しくは固着されるものである。
【0039】
本実施の形態においては、ベース部50は、図4〜6に示すように、板状に形成され、その底面を自動車用ガーニッシュ12の表面に熱溶着している。
なお、ベース部50を、自動車用ガーニッシュ12と別体に形成したが、一体的に形成するようにしても良い。
ベース部50は、図4及び図5に示すように、次の各部を備える。
【0040】
なお、ベース部50の各部は、次の(1)に限定されない。
(1)リブ51
リブ51は、図4及び図5に示すように、ベース部50の底面から複数個、突出する。リブ51は、加熱することで、自動車用ガーニッシュ12に溶着する。
(台座本体60)
台座本体60は、図4〜9に示すように、ベース部50の上面から枠状に延びる。
【0041】
台座本体60は、図4〜9に示すように、次の各部を備える。
なお、台座本体60の各部は、次の(1)〜(6)に限定されない。
(1)左側壁61、右側壁62
左側壁61、右側壁62は、図4に示すように、ベース部50の左右方向に離れて位置し、ベース部50の上面から上方に向かって延びる。
【0042】
(2)奥壁63
奥壁63は、図9に示すように、ベース部50の前後の幅方向の一端部に位置し、左側壁61及び右側壁62に隣接し、後述する中空部65の後面を塞ぐものである。
(3)蓋壁64
蓋壁64は、図4に示すように、ベース部50の上面から上方に離れて位置し、左側壁61、右側壁62及び奥壁63に隣接し、後述する中空部65の上面を塞ぐものである。
【0043】
(4)中空部65
中空部65は、図4に示すように、ベース部50の上面、左側壁61、右側壁62、奥壁63及び蓋壁64で囲まれた内側に位置し、前面が開放する。
中空部65は、取付部材30の後述する係止部90がはまり込むものであり、中空部65の高さを係止部90の高さより高く設定している。中空部65を係止部90を高く設定しているのは、中空部65の高さ方向において、係止部90を上下動できるようにするためである。
【0044】
(4)嵌合溝66、開口67
嵌合溝66は、図4に示すように、蓋壁64を上下方向に貫通し、一端に開口67を有し、略U字形に形成されている。嵌合溝66の溝幅は、取付部材30の後述する軸部80の直径に略一致させている。
(5)張出部68
張出部68は、図4及び図6に示すように、嵌合溝66と開口67との間に位置し、開口67の開口幅を、取付部材30の後述する軸部80の直径より小さく狭めるものである。
【0045】
(6)突起69
突起69は、嵌合溝66の周囲に複数個、例えば4個形成され、蓋壁64の上面から半球形に突出する。突起69は、取付部材30の後述する軸部80を嵌合溝66にはめ込む際に、同じく後述する固定部70と蓋壁64の上面とが接した際に、両者の間の摩擦抵抗を低減するためのものである。
(固定部70)
固定部70は、図1〜3に示すように、装着部71を介して自動車パネル11に固定されるものである。
【0046】
固定部70は、図10〜12及び図14に示すように、前面が開放した中空の箱形に形成されている。
固定部70は、図10〜12及び図14に示すように、次の各部を備える。
なお、固定部70の各部は、次の(1)及び(2)に限定されない。
(1)装着部71
装着部71は、図2に示すように、ファスナー40を装着するものである。装着部71は、図10〜12及び図14に示すように、上下方向に貫通し、一端に開口し、略U字形の溝状に形成されている。装着部71には、ファスナー40のボス部42がはめ込まれ、ボス部42を介してファスナー40が固定部70に固定される。
【0047】
(2)突起72
突起72は、図10〜12及び図14に示すように、溝状の装着部71の周囲に複数個、例えば4個形成され、固定部70の上面から半球形に突出する。突起72は、ファスナー40のボス部42を溝状の装着部71にはめ込んだ際に、ボス部42と摺接する。
(軸部80)
軸部80は、図2、図3、図11及び図14に示すように、固定部70から軸状に延び、台座20に嵌合するものである。
【0048】
軸部80は、図11及び図14に示すように、固定部70の下面の中央から下方に向かって円柱状に延び、その下端部が後述する係止部90の上面の中央に連設する。
(係止部90)
係止部90は、図1及び図10〜14に示すように、軸部80をはさんで固定部70と反対側に位置し、複数の方向、例えば図1のA〜Dの四方から台座20に対し嵌合可能であり、当該嵌合する方向を変更することにより、軸部80の軸方向の異なる複数の高さ位置、例えば4段階の高さ位置に係止可能なものである。
【0049】
なお、係止部90を嵌合する方向として、四方を例示したが、これに限定されず、四方のうち、2方向や3方向、或いは5方向以上としても良い。また、係止部90の高さの調節位置として、4段階を例示したが、これに限定されず、2段階、3段階、或いは5段階以上としても良い。
係止部90は、図10〜14に示すように、下面及び後面が開放した中空の箱形に形成されている。
【0050】
係止部90は、図10〜14に示すように、次の各部を備える。
なお、係止部90の各部は、次の(1)〜(3)に限定されない。
(1)上壁91
上壁91は、図11及び図14に示すように、軸部80の下端部に連設する。
(2)前壁92
前壁92は、図10〜14に示すように、上壁91の前縁部から下方に向かって延びる。
【0051】
(3)左側壁93、右側壁94
左側壁93、右側壁94は、図10〜14に示すように、上壁91の左右の両側縁部から下方に向かって延び、前壁92に隣接している。
(台座本体60と係止部90との間の高さ調節機構)
台座本体60と係止部90との間には、図1に示すように、軸部80の軸方向の高さを調節するための高さ調節機構を設けている。
【0052】
高さ調節機構は、図1に示すように、大別すると、次の各部を備える。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)凸部100
(2)凹部120
なお、高さ調節機構は、上記した(1)及び(2)の構造に限定されない。
(凸部100)
凸部100は、図1に示すように、後述する凹部120にはまり込むのであり、台座本体60と係止部90とのどちらか一方、例えば係止部90に形成されている。
【0053】
なお、凸部100を係止部90に形成したが、逆に台座本体60側に形成しても良い。
凸部100は、図10〜14に示すように、複数個、例えば計4個の、後述する片101〜104から構成され、4個の片101〜104は、異なる複数の方向に向かって突出するとともに、軸部80の軸方向の高さを互いに異ならせている。
なお、凸部100を、4個の片101〜104から構成したが、2個、3個或いは5個以上の片から構成しても良い。
【0054】
凸部100は、図10〜14に示すように、舌片状に突出し、横方向に長い板状に形成されている。
凸部100は、図10〜14に示すように、次の各片101〜104から構成されている。
なお、凸部100の各片101〜104は、次の(1)〜(4)に限定されない。
(1)前片101
前片101は、図10〜14に示すように、前壁92から外向きに突出する。前片101は、前壁92の左右の長さ方向の中央で、且つ高さの中央に位置する。
【0055】
(2)後片102
後片102は、図12〜14に示すように、上壁91の後縁部から外向きに突出する。後片102は、上壁91の左右の長さ方向の中央に位置し、前片101と比較して上側、すなわち上段に位置する。
(3)左片103
左片103は、図10〜13に示すように、左側壁93から外向きに突出する。左片103は、左側壁93の後側に位置し、前片101と同様に上段に位置する。
【0056】
(4)右片104
右片104は、図10〜13に示すように、右側壁94から外向きに突出する。右片104は、右側壁94の前側に位置し、前片101と比較して下側、すなわち下段に位置する。
(凹部120)
凹部120は、図1に示すように、凸部100にはまり合うものであり、台座本体60と係止部90とのどちらか他方、例えば台座本体60に形成されている。
【0057】
なお、凹部120を台座本体60に形成したが、逆に係止部90側に形成しても良い。
凹部120は、図8及び図9に示すように、大別すると、次の各部から構成されている。
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
(1)穴部130
(2)溝部140
なお、凹部120の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されず、いずれか一方のみから凹部120を構成しても良い。
(穴部130)
穴部130は、図8及び図9に示すように、台座本体60の奥壁63に貫通状に形成され、係止部90の各片101〜104がはまり込むものである。
【0058】
穴部130は、図8及び図9に示すように、大別すると、次の各穴131〜136から構成されている。
なお、穴部130の穴131〜136は、次の(1)〜(6)に限定されず、又、個数も6個に限定されない。
(1)中上穴131
中上穴131は、図8及び図9に示すように、台座本体60の奥壁63の左右の長さ方向の中央で、且つ高さの方向の上側に位置する。
【0059】
(2)中下穴132
中下穴132は、図8及び図9に示すように、中上穴131の下側に位置する。
(3)左上穴133
左上穴133は、図8に示すように、中上穴131の左側に位置し、当該中上穴131より上方に位置する。
【0060】
(4)左下穴134
左下穴134は、図8に示すように、左上穴133の下側に位置し、中上穴131と中下穴132との中間に位置する。
(5)右上穴135
右上穴135は、図8に示すように、中上穴131の右側に位置し、左上穴133と同じ高さに位置する。
【0061】
(6)右下穴136
右下穴136は、図8に示すように、右上穴135の下側に位置し、左下穴134と同じ高さに位置する。
(溝部140)
溝部140は、図8及び図9に示すように、左側壁93と右側壁94の相対向する内側面にそれぞれ形成され、左側壁93及び右側壁94の前後方向に長く形成されている。
【0062】
溝部140は、図8及び図9に示すように、大別すると、次の各溝141〜146から構成されている。
なお、穴部130の溝141〜146は、次の(1)〜(6)に限定されず、又、個数も6個に限定されない。
(1)左上溝141
左上溝141は、図8及び図9に示すように、左側壁93の上方に位置する。
【0063】
(2)左中溝142
左中溝142は、図8及び図9に示すように、左上溝141の下側に位置する。
(3)左下溝143
左下溝143は、図8及び図9に示すように、左中溝142の下側に位置する。
(4)右上溝144
右上溝144は、図8に示すように、右側壁94の上方に位置し、左上溝141と同じ高さに位置する。
【0064】
(5)右中溝145
右中溝145は、図8に示すように、右上溝144の下側に位置し、左中溝142と左下溝143との間に位置する。
(6)右下溝146
右下溝146は、図8に示すように、右中溝145の下側に位置し、左下溝143より少し高い位置に位置する。
(ブラケット10の取付方法)
上記した構成を有するブラケット10の取付方法について説明する。
【0065】
台座20は、図2に示すように、そのベース部50の底面を、自動車用ガーニッシュ12の表面に熱溶着する。
ファスナー40は、図2及び図3に示すように、そのボス部42を取付部材30の固定部70の装着部71にはめ込み、ファスナー40を取付部材30に固定する。
その後、取付部材30の軸部80を、図1〜3に示すように、台座20の開口67に合わせてはめ込み、嵌合溝66内に位置させる。このとき、取付部材30の係止部90を、台座20の中空部65の開放面から内部にはめ込む。
【0066】
取付部材30を台座20に組み付けることで、ブラケット10を介して自動車用ガーニッシュ12にファスナー40が固定される。
最後に、ファスナー40の脚部43を、図2に示すように、自動車パネル11の貫通孔に挿入する。
これにより、自動車用ガーニッシュ12は、ファスナー40ブラケット10を介して、自動車パネル11に固定される。
【0067】
なお、ファスナー40を、取付部材30に取り付けてから、当該取付部材30を台座20にはめ込み、最後にファスナー40を自動車パネル11に固定したが、この取付手順に限定されず、ファスナー40を取り付けることなしに、取付部材30を台座20にはめ込み、その後、ファスナー40を取り付けても良いし、或いはファスナー40を自動車パネル11に固定した後、取付部材30に取り付け、当該取付部材30を最後に台座20にはめ込んでも良いし、又、取付部材30を台座20にはめ込んだ後、当該取付部材30に最後にファスナー40を取り付けても良い。
(係止部90の組み付け方向)
つぎに、係止部90の組み付け方向A〜Dと、台座20のベース部50の底面から取付部材30の固定部70の上面迄の高さa〜dとの関係について、図1及び図15〜26を用いて説明する。
(図1のA方向)
係止部90を、図1のA方向から組み付けた場合には、図16に示すベース部50から固定部70迄の高さaが最も低くなる。
【0068】
このとき、係止部90の右片104は、図16に示すように、台座20の左側壁61の左下溝143にはまり込む。係止部90の左片103は、台座20の右側壁62の右中溝145にはまり込む。係止部90の前片101は、図17に示すように、台座20の中下穴132にはまり込む。
(図1のB方向)
係止部90を、図1のB方向から組み付けた場合には、図19に示すベース部50から固定部70迄の高さbが二番目に低くなる。
【0069】
このとき、係止部90の左片103は、図19に示すように、台座20の左側壁61の左中溝142にはまり込む。係止部90の右片104は、台座20の右側壁62の右下溝146にはまり込む。係止部90の後片102は、図20に示すように、台座20の中上穴131にはまり込む。
(図1のC方向)
係止部90を、図1のC方向から組み付けた場合には、図22に示すベース部50から固定部70迄の高さcが三番目に低くなる。
【0070】
このとき、係止部90の後片102は、図22に示すように、台座20の左側壁61の左上溝141にはまり込む。係止部90の前片101は、台座20の右側壁62の右中溝145にはまり込む。係止部90の右片104は、図23に示すように、台座20の右下穴136にはまり込む。
(図1のD方向)
係止部90を、図1のD方向から組み付けた場合には、図25に示すベース部50から固定部70迄の高さcが最も高くなる。
【0071】
このとき、係止部90の前片101は、図25に示すように、台座20の左側壁61の左中溝142にはまり込む。係止部90の後片102は、台座20の右側壁62の右上溝144にはまり込む。係止部90の左片103は、図23に示すように、台座20の右上穴135にはまり込む。
【符号の説明】
【0072】
10 ブラケット
11 自動車パネル 12 自動車用ガーニッシュ
20 台座 30 取付部材
40 ファスナー 41 フランジ部
42 ボス部 43 脚部
50 ベース部 51 リブ
60 台座本体 61 左側壁
62 右側壁 63 奥壁
64 蓋壁 65 中空部
66 嵌合溝 67 開口
68 張出部 69 突起
70 固定部
71 装着部 72 突起
80 軸部 90 係止部
91 上壁 92 前壁
93 左側壁 94 右側壁
100 凸部
101 前片 102 後片
103 左片 104 右片
120 凹部 130 穴部
131 中上穴 132 中下穴
133 左上穴 134 左下穴
135 右上穴 136 右下穴
140 溝部
141 左上溝 142 左中溝
143 左下溝 144 右上溝
145 右中溝 146 右下溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ガーニッシュと一体若しくは固着されるベース部を有する台座と、
ファスナーを介して自動車パネルに固定される固定部、前記固定部から軸状に延び、前記台座に嵌合する軸部、前記軸部をはさんで前記固定部と反対側に位置し、複数の方向から前記台座に対し嵌合可能であり、当該嵌合する方向を変更することにより、前記軸部の軸方向の異なる複数の高さ位置に係止可能な係止部を有する取付部材とを備えていることを特徴とするブラケット。
【請求項2】
前記係止部と前記台座との両対向面のどちらか一方には、
他方に向かって突出した凸部を形成し、
他方には、
前記凸部にはまり合う凹部を形成し、
前記凸部と前記凹部とは、
前記軸部の軸方向の高さを略一致させていることを特徴とする請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
前記凸部は、
前記係止部と前記台座との両対向面のどちらか一方に複数個形成され、
前記複数個の凸部は、
異なる複数の方向に向かって突出するとともに、
前記軸部の軸方向の高さを互いに異ならせていることを特徴とする請求項2に記載のブラケット。
【請求項4】
前記凹部は、
前記係止部と前記台座との両対向面のどちらか他方に複数個形成され、
前記複数個の凹部は、
前記軸部の軸方向の高さを互いに異ならせていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のブラケット。
【請求項5】
前記固定部は、
前記ファスナーを装着する装着部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項にに記載のブラケット。
【請求項6】
前記台座には、
前記軸部を受け入れ可能な開口を有する嵌合溝を形成し、
前記開口の幅を、前記軸部の直径より小さく設定し、
前記台座の弾性を利用して前記軸部を前記嵌合溝にはめ込むようにしていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のブラケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−127394(P2012−127394A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278143(P2010−278143)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】