説明

ブレーキ制御装置

【課題】タンデム型マスタシリンダから出力される二系統のうちの片系統の液圧漏れを高い精度で検出する。
【解決手段】マスタシリンダの液圧が最低剛性液圧以下で、且つ、プライマリピストンの位置がセカンダリピストンに接触している可能性があり、且つ、マスタシリンダの液量が増加している場合、片系統失陥状態であると判定し、それ以外の状態を片系統失陥状態でないと判定する。これにより、タンデム型マスタシリンダから出力される二系統のうちの片系統の液圧漏れを高い精度で検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のブレーキ装置の作動を制御するブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のブレーキ装置においては、タンデム型マスタシリンダと電動倍力装置とを含むブレーキ制御装置が実用化されている。このようなブレーキ制御装置では、マスタシリンダのプライマリ室(液圧室)に液漏れが発生した場合、運転者にブレーキペダルからの反力が伝わらない状態で減速度が増すため、運転者に違和感を与えるおそれがある。そこで、特許文献1には、プライマリ系統の液圧管路に設けられた液圧センサの出力値とセカンダリ系統の液圧管路に設けられた液圧センサの出力値とを比較することで、二系統のうちの片系統の液圧漏れを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】2010−126106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の発明では、液圧漏れ検出手段は、車両停止中に駆動モータによりプライマリピストンを移動させた時、プライマリ系統の液圧管路に設けられた液圧センサの液圧が変化しない場合にプライマリ液圧室の液圧漏れを検出するので、車両停止中以外、すなわち、走行中に液圧漏れが発生した場合、プライマリ液圧室の液圧上昇後に液圧が抜けてしまうような場合、あるいは、車両停車中であって液圧の変化が小さな場合には、液圧漏れを検出できない可能性があった。
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、タンデム型マスタシリンダから出力される二系統のうちの片系統の液圧漏れを車両停車中に限ることなく、検出し得るブレーキ制御装置を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のブレーキ制御装置は、2つのピストンの移動によって発生したブレーキ液圧を複数のホイールシリンダへ二系統で供給するタンデム型マスタシリンダと、ブレーキペダルの操作によって進退移動する入力部材と、前記入力部材の進退移動に応じて駆動される電動アクチュエータと、前記入力部材に対して相対移動可能に設けられ、前記電動アクチュエータの駆動によって進退移動して前記ピストンを移動させるアシスト部材と、前記タンデム型マスタシリンダから出力される二系統のうちの片系統のブレーキ液圧を検出する液圧検出手段と、前記入力部材の移動量を検出する入力部材移動量検出手段と、前記アシスト部材の移動量を検出するアシスト部材移動量検出手段と、前記入力部材移動量検出手段の検出値に基づいて前記アシスト部材を進退移動させる目標位置を算出し、前記電動アクチュエータを制御することにより前記アシスト部材を進退移動させて目標位置に位置決めさせる制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記入力部材移動量検出手段の検出値に基づいて前記タンデム型マスタシリンダから供給されるブレーキ液量に対応する推定ブレーキ液圧値を算出し、前記液圧検出手段の検出値が前記推定ブレーキ液圧値以下の場合に、前記タンデム型マスタシリンダから出力される二系統のうちのいずれかの系統での失陥を判定する片系統失陥検出手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、タンデム型マスタシリンダから出力される二系統のうちの片系統の液圧漏れを車両停車中以外にも検出し得るブレーキ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態のブレーキ制御装置の概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態のマスタ圧制御装置の概略構成を示す回路図である。
【図3】本実施形態のマスタシリンダにおける液量に対する最低剛性液圧との関係を示す図表である。
【図4】本実施形態のマスタ圧制御ユニットの片系統失陥検出手段としての処理のメインのフローチャート図である。
【図5】マスタシリンダの液圧が最低剛性液圧以下であるか否かを判定する、図4に示されるフローチャート図のサブフローチャートA図である。
【図6】プライマリピストンがセカンダリピストンに接触している可能性があるか否かを判定する、図4に示されるフローチャート図のサブフローチャートB図である。
【図7】マスタシリンダの液量の差分Dが正の値であるか否かを判定する、図4に示されるフローチャート図のサブフローチャートC図である。
【図8】過去に片系統失陥状態であると判定したことがあるか否かを判定する、図4に示されるフローチャート図のサブフローチャートD図である。
【図9】油圧ユニットがマスタシリンダの液圧を使用する機能が動作中であるか否かを判定する、図4に示されるフローチャート図のサブフローチャートE図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
図1に示されるように、ブレーキ制御装置1は、自動車の制動装置に適用して、左前輪Wa、右後輪Wb、右前輪Wc、左後輪Wdの4輪の制動力を制御するためのものである。ブレーキ制御装置1は、マスタシリンダ2と、マスタシリンダ2に一体に組込まれたマスタ圧制御機構3と、マスタ圧制御機構3の作動を制御するマスタ圧制御ユニット4(制御手段)と、各車輪Wa、Wb、Wc、Wdに装着された液圧ブレーキBa、Bb、Bc、Bdのホイールシリンダに供給する液圧を制御するホイール圧制御機構5と、このホイール圧制御機構5の作動を制御するホイール圧制御ユニット6とを備えている。
【0010】
マスタシリンダ2は、タンデム型マスタシリンダであって、ブレーキ液が充填されたシリンダ7内の開口側にプライマリピストン8(ピストン)が挿入され、底部側にセカンダリピストン9が挿入され、プライマリピストン8とセカンダリピストン9との間にプライマリ室10が形成され、セカンダリピストン9とシリンダ7の底部との間にセカンダリ室11が形成されている。そして、プライマリピストン8が前進されることで、プライマリ室10内のブレーキ液が加圧されると共に、セカンダリピストン9が前進されることで、セカンダリ室11内のブレーキ液が加圧され、これにより、プライマリポート12及びセカンダリポート13からホイール圧制御機構5を介して液圧ブレーキBa、Bb、Bc、Bdのホイールシリンダへブレーキ液が供給される。プライマリ室10及びセカンダリ室11には、リザーバ14が接続されている。リザーバ14は、プライマリピストン8及びセカンダリピストン9が原位置にあるとき(図1参照)、プライマリ10室及びセカンダリ室11に連通して、マスタシリンダ2にブレーキ液を適宜補充する。プライマリピストン8及セカンダリピストン9は、戻しばね15、16によって原位置へ付勢されている。
【0011】
このように、プライマリピストン8及びセカンダリピストン9の2つのピストンによってプライマリポート12及びセカンダリポート13からプライマリ系統及びセカンダリ系統からなる2系統の液圧回路にブレーキ液を供給することにより、万一、一方の系統の液圧回路が失陥した場合でも、正常な他方の系統の液圧回路によって液圧を供給することできるため、対角2輪分の制動力が確保され、車両の挙動を安定に保つことができる。プライマリピストン8の中心部には、入力ピストン17が摺動可能かつ液密的に貫通され、入力ピストン17の先端部がプライマリ室10内に挿入されている。入力ピストン17の後端部には、インプットロッド18(入力部材)が連結され、インプットロッド18は、マスタ圧制御機構3を貫通して外部へ伸ばされ、その端部にブレーキペダル19が連結されている。プライマリピストン8と入力ピストン17との間には、一対の中立ばね20、21が介装され、プライマリピストン8及び入力ピストン17は、中立ばね20、21のばね力によって中立位置に弾性的に保持され、これらピストン8及び17の軸方向の相対変位に対して中立ばね20、21のばね力が作用するように構成されている。
【0012】
マスタ圧制御機構3は、プライマリピストン8を駆動するアクチュエータである電動モータ22と、プライマリピストン8と電動モータ22との間に介装された回転/直動変換機構であるボールねじ機構23及び減速機構であるベルト減速機構24とを備えている。電動モータ22は、その回転位置を検出する位置センサ25を備え、マスタ圧制御装置4からの指令によって作動して、指定された回転位置に位置決めされるように構成されている。電動モータ22は、例えば、公知のDCモータ、DCブラシレスモータ、ACモータ等とすることができるが、制御性、静粛性、耐久性等の観点から本実施形態ではDCブラシレスモータが採用されている。
【0013】
ボールねじ機構23は、インプットロッド18が挿入された中空の直動部材26(アシスト部材)と、直動部材26が挿入された円筒状の回転部材27と、これらの間に形成されたねじ溝に装填された複数の転動体であるボール28(鋼球)とを備え、直動部材26の前端部がプライマリピストン8の後端部に当接し、回転部材27が軸受29によってシリンダ7に回転可能に支持されている。これにより、電動モータ22によってベルト減速機構24を介して回転部材27を回転させると、ねじ溝内をボール28が転動して直動部材26が直線運動し、プライマリピストン8が軸方向へ移動するように構成されている。なお、直動部材26は、戻しばね30によって後退端位置(図1参照)へ向けて付勢されている。また、直動部材26の位置及び移動量は、電動モータ22の回転位置を検出する位置センサ25の出力信号に基づき、マスタ圧制御装置4のアシスト部材移動量検出手段としての機能を用いて算出することができる。
【0014】
また、回転/直動変換機構は、電動モータ22(減速機構24)の回転運動を直線運動に変換してプライマリピストン8に伝達するものであれば、ラックアンドピニオン機構等の他の機構を用いることができるが、本実施形態では、遊びの小ささ、効率、耐久性等の観点から、ボールねじ機構23が採用されている。このボールねじ機構23は、バックドライバビリティを有しており、直動部材26の直線運動によって回転部材27を回転させることができる。直動部材26は、プライマリピストン8の後端部(図1における右側端部)に当接し、これにより、プライマリピストン8は、直動部材26から離れて単独で前進することが可能である。したがって、万一、電動モータ22が断線等によって作動不能になった場合、直動部材26が戻しばね30のばね力によって後退端位置に戻される。このとき、プライマリピストン8は単独で移動することができるので、ブレーキの引き摺りを防止することができ、また、ブレーキペダル19によって入力ピストン17を操作し、インプットロッド18を介してプライマリピストン8を操作することで、液圧を発生させることが可能である。
【0015】
ベルト減速機構24は、電動モータ22の出力軸に取付けられた駆動プーリ31と、ボールねじ機構23の回転部材27の周囲に取付けられた従動プーリ32と、これらの間に巻装されたベルト33とを含み、電動モータ22の出力軸の回転を既定の減速比で減速してボールねじ機構23へ伝達する。なお、ベルト減速機構24に、歯車減速機構等の他の減速機構を組み合わせることもできる。また、ベルト減速機構24の代りに、公知の歯車減速機構、チェーン減速機構、差動減速機構等を用いることができるが、電動モータ22によって充分大きなトルクが得られる場合には、減速機構を省略して、電動モータ22によって回転/直動変換機構を直接駆動するように構成してもよい。
【0016】
インプットロッド18には、ブレーキ操作量検出装置34(ストローク検出手段)が連結されている。ブレーキ操作量検出装置34は、少なくともインプットロッド18の位置または移動量(ストローク)を検出する入力部材移動量検出手段としての機能を有するものであり、インプットロッド18の変位センサを含む複数の位置センサと、運転者によるブレーキペダル19の踏力を検出する力センサとを含むことができる。
【0017】
ホイール圧制御機構5は、マスタシリンダ2のプライマリポート12からの液圧を左前輪Wa及び右後輪Wbのブレーキ装置Ba、Bbに供給するための第1液圧回路5A(プライマリ系統)と、セカンダリポート13からの液圧を右前輪Wc及び左後輪Wdのブレーキ装置Bc、Bdに供給するための第2液圧回路5B(セカンダリ系統)とからなる2系統の液圧回路を有する。本実施形態では、ブレーキ装置Ba〜Bdは、液圧を各ホイールシリンダに供給してピストンを前進させ、ブレーキパッドを車輪と共に回転するディスクロータに押圧させて制動力を発生させる液圧式ディスクブレーキとしているが、公知のドラムブレーキ等の他の液圧式ブレーキであってもよい。第1液圧回路5Aと第2液圧回路5Bとは同様の構成であり、各車輪Wa〜Wdのブレーキ装置Ba〜Bdに接続された液圧回路の構成も同様の構成である。したがって、以下の説明において参照符号の添え字A及びB並びにa〜dは、それぞれ、第1液圧回路5A及び第2液圧回路5B並びに各車輪Wa〜Wdに対応することを示す。
【0018】
ホイール圧制御機構5は、マスタシリンダ2から各車輪Wa〜Wdのブレーキ装置Ba〜Bdのホイールシリンダへの液圧の供給を制御する供給弁35A、35B(電磁開閉弁)と、ブレーキ装置Ba〜Bdへの液圧の供給を制御する増圧弁36a〜36d(電磁開閉弁)と、ブレーキ装置Ba〜Bdから液圧を解放するためのリザーバ37A、37Bと、ブレーキ装置Ba〜Bdからリザーバ37A、37Bへの液圧の解放を制御する減圧弁38a〜38d(電磁開閉弁)と、ブレーキ装置Ba〜Bdに液圧を供給するためポンプ39A、39Bと、ポンプ39A、39Bを駆動するポンプモータ40と、マスタシリンダ2からポンプ39A、39Bの吸込み側への液圧の供給を制御する加圧弁41A、41B(電磁開閉弁)と、ポンプ39A、39Bの下流側から上流側への逆流を防止するための逆止弁42A、42B、43A、43B、44A、44Bと、マスタシリンダ2のプライマリポート12及びセカンダリポート13の液圧を検出する液圧センサ45A、45Bとを含む。
【0019】
上記供給弁35A、35B、増圧弁36a〜36d、減圧弁38a〜38d、加圧弁41A、41B及びポンプモータ40の作動はホイール圧制御ユニット6により制御される。ここで、供給弁35A、35B及び増圧弁36a〜36dを開き、減圧弁38a〜38d、加圧弁41A、41Bを閉じることにより、マスタシリンダ2から各車輪Wa〜Wdのブレーキ装置Ba〜Bdへ液圧が供給される。また、減圧弁38a〜38dを開き、供給弁35A、35B、増圧弁36a〜36d及び加圧弁41A、41Bを閉じることにより、ブレーキ装置Ba〜Bdの液圧がリザーバ37A、37Bに解放されて減圧される。また、増圧弁36a〜36d及び減圧弁38a〜38dを閉じることにより、ブレーキ装置Ba〜Bdの液圧が保持される。また、増圧弁36a〜36dを開き、供給弁35A、35B、減圧弁38a〜38d及び加圧弁41A、41Bを閉じて、ポンプモータ40を作動させることにより、マスタシリンダ2の液圧にかかわらず、ブレーキ装置Ba〜Bdの液圧が増圧される。さらに、加圧弁41A、41B及び増圧弁36a〜36dを開き、減圧弁38a〜38d及び供給弁35A、35Bを閉じて、ポンプモータ40を作動させることにより、マスタシリンダ2からの液圧がポンプ42A、42Bによって更に加圧してブレーキ装置Ba〜Bdへ供給される。
【0020】
このように構成することで、各種ブレーキ制御を実行することができる。例えば、制動時に接地荷重等に応じて各車輪に適切に制動力を配分する制動力配分制御、制動時に各車輪の制動力を自動的に調整して車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ制御、走行中の車輪の横滑りを検知して各車輪に適宜自動的に制動力を付与することにより、アンダーステア及びオーバステアを抑制して車両の挙動を安定させる車両安定性制御、坂道(特に上り坂)において制動状態を保持して発進を補助する坂道発進補助制御、発進時等において車輪の空転を防止するトラクション制御、先行車両に対して一定の車間を保持する車両追従制御、走行車線を保持する車線逸脱回避制御、障害物との衝突を回避する障害物回避制御等を実行することができる。
【0021】
なお、ポンプ39A、39Bとしては、例えばプランジャポンプ、トロコイドポンプ、ギヤポンプ等の公知の液圧ポンプを用いることができるが、車載性、静粛性、ポンプ効率等を考慮するとギヤポンプとすることが望ましい。ポンプモータ40としては、例えば、DCモータ、DCブラシレスモータ、ACモータ等の公知のモータを用いることができるが、制御性、静粛性、耐久性、車載性等の観点からDCブラシレスモータとすることが望ましい。
【0022】
また、ホイール圧制御機構5の電磁開閉弁の特性は、使用態様に応じて適宜設定することができるが、供給弁35A、35B及び増圧弁36a〜36dを常開弁とし、減圧弁38a〜38d及び加圧弁41A、41Bを常閉弁とすることにより、ホイール圧制御ユニット6からの制御信号がない場合に、マスタシリンダ12からブレーキ装置Ba〜Bdへ液圧を供給することができるので、フェイルセーフ及び制御効率の観点から、このような構成とすることが望ましい。
【0023】
図2に、マスタ圧制御ユニット4(制御手段)の回路構成の一例を示す。マスタ圧制御ユニット4は、中央処理ユニット46(CPU)と、電動モータ22(三相DCブラシレスモータ)に駆動電流を出力する三相モータ駆動回路47と、マスタ圧制御機構3の回転角検出センサ25、変位センサを含むペダル操作量検出装置34、温度センサ48、並びに、マスタシリンダ2のプライマリ室10及びセカンダリ室11の圧力を検出する圧力センサ45A、45Bからの各種検出信号を中央処理ユニット46に受入れるための回転角検出センサインタフェイス49、温度センサインタフェイス50、変位センサインタフェイス51、51及び圧力センサインタフェイス52とを有する。また、マスタ圧制御ユニット4は、ホイール圧制御ユニット6を含む車載器機からのCAN信号を受入れるためのCAN通信インタフェイス53と、中央処理ユニット46(CPU)が処理を実行するための各種情報を格納した記憶装置54(EEPROM)と、中央処理ユニット46へ安定電力を供給する第1及び第2電源回路55、56と、中央処理ユニット46並びに第1及び第2電源ユニット55、56の異常を監視する監視用制御回路57と、フェイルセーフリレー58及びECU電源リレー59と、フィルタ回路60とを有する。
【0024】
中央処理ユニット46は、回転角検出センサ25、操作量検出装置34、温度センサ48及び圧力センサ45A、45B等からの各種検出信号、ホイール圧制御ユニット6を含む各種車載器機等からのCAN信号による各種情報、並びに、記憶装置54(EEPROM)の記憶情報等に基づいてこれらを既定の論理規則によって処理し、三相モータ駆動回路47に指令信号を出力して電動モータ22の作動を制御する。
【0025】
第1及び第2電源回路55、56には、車載の電源ライン61からECU電源リレー59を介して電力が供給される。このとき、ECU電源リレー59は、CAN通信インタフェイス53によるCAN信号の受信、または、イグニッションスイッチ、ブレーキスイッチ、ドアスイッチ等からの既定の起動信号W/Uの受信のいずれかを検知することで、第1及び第2電源回路55、56へ電力を供給する。また、三相モータ駆動回路47には、電源ライン61からフィルタ回路60及びフェイルセーフリレー58を介して電力が供給される。このとき、フィルタ回路60によって三相モータ駆動回路47へ供給される電力のノイズが除去される。
【0026】
三相モータ駆動回路47の三相出力の各相は、相電流モニタ回路47A及び相電圧モニタ回路47Bによって監視されている。中央処理ユニット46は、これらの監視値及び記憶装置54に記憶された故障情報等に基づき、マスタ圧制御ユニット4の故障診断を実行し、故障ありと判断したとき、故障信号を監視用制御回路57に出力する。監視用制御回路57は、中央処理ユニット46からの故障信号、第1及び第2電源回路55、56の電圧等の各種作動情報に基づいて異常と判断した時には、フェイルセーフリレー58を作動させて三相モータ駆動回路47への電力の供給を遮断する。
【0027】
次に、マスタ圧制御ユニット4によるマスタ圧制御機構3の制御について説明する。
本実施形態では、運転者のブレーキ操作によるインプットロッド18の移動量に応じてプライマリピストン8を移動させることで、インプットロッド18の推力が増幅されてプライマリ室10が加圧される。このときの増幅比(以下、倍力比という)は、インプットロッド18とプライマリピストン8との移動量の比、インプットロッド18の断面積(AIR)とプライマリピストン8の断面積(APP)との比、等に基づき決定される。ここで、インプットロッド18の移動量に対して同一の移動量でプライマリピストン8を移動させた場合の倍力比は、(AIR+APP)/AIRで一定であることが知られている。すなわち、必要な倍力比からAIRとAPPとを設定し、プライマリピストン8の移動量をインプットロッド18の移動量と等しくなるように制御することで、常時一定の倍引き比を得ることができる。なお、プライマリピストン8の移動量は、図示しない位置センサの出力信号に基づきマスタ圧制御装置4によって算出することができる。
【0028】
また、本実施形態では、インプットロッド18の移動量に比例ゲインK1を乗じた量だけプライマリピストン8を移動させる倍力可変制御が行われている。ここで、比例ゲインK1は、制御性の観点から1であることが望ましいが、緊急ブレーキ等の運転者のブレーキ操作量を上回る制動力が必要な場合、一時的に、1を上回る値に変更することが可能である。これにより、ブレーキ操作量が同一である場合でも、マスタ圧が通常時(K1=1)よりも引き上げられるため、より大きい制動力を発生させることができる。なお、緊急ブレーキであるか否かの判定は、例えば、ブレーキ操作量検出装置34の出力信号の時間変化率に基づき実施することができる。このように、倍力可変制御を行うことにより、運転者のブレーキ要求に従うインプットロッド18の移動量に応じてマスタ圧が増圧/減圧されるため、運転者の要求に応じた制動力を発生させることができる。また、比例ゲインK1を1よりも小さい値に設定することで、ハイブリッド車両における回生制動力分だけ液圧ブレーキの制動力を減少させる回生協調ブレーキ制御への適用が可能となる。
【0029】
次に、本実施形態のマスタ圧制御ユニット4の片系統失陥検出手段、すなわち、タンデム型マスタシリンダ2から出力される二系統のうちのいずれかの系統での失陥を判定する処理を説明する。
【0030】
図3は、本実施形態のマスタシリンダ2における推定液量、すなわち、運転者のブレーキ操作に対する液圧回路へ供給されるブレーキ液の液量に対する最低剛性液圧との関係を示す図表であり、この図に示されるL1は、原点 (0,0)と、本実施形態のマスタシリンダ2において0.65 (G)の減速度を発生させるために必要な液圧4.49 (MPa)とを結ぶ直線である。ここで、0.65 (G)の減速度は、法規要件を満たすために必要なサービスブレーキの最低剛性性能であり、プライマリピストン8のフルストローク時の推定液量(最大送出液量)である15700 (mm3)のブレーキ液が液圧回路へ供給された場合に0.65 (G)の減速度が発生する液圧条件が最低剛性液圧条件となる。
【0031】
そこで、本実施形態のマスタ圧制御ユニット4では、図3におけるL1よりも下方の領域を最低剛性液圧以下の状態、すなわち、液量と液圧とが0.65 (G)の減速度を発生させることができない条件であると判定する。なお、L1、すなわち、0.65 (G)の減速度を発生させるための条件は、使用されるマスタシリンダ2によって異なる。また、推定液量Vは以下の(数式1)によって示すことができる。
V=S×D+S×D (数式1)
ただし、Sはプライマリピストン8の断面積、Sはインプットロッド18の断面積、Dはプライマリピストン8の移動量、Dはインプットロッド18の移動量である。
なお、(数式1)を用いて推定液量Vを算出する代わりに、実際にマスタシリンダ2から送出された液量を用いることができる。また、推定液量Vの他に、例えば、液圧センサの電圧等によって液圧の変化を推定してもよい。
【0032】
図4に示されるのは、本実施形態のマスタ圧制御ユニット4の片系統失陥検出手段としての処理のメインフローである。このメインフローと以下で説明する図5〜図9のサブフローとは、マスタ液圧制御ユニット4が起動しているとき、すなわち、車両の停車中または走行中を問わず処理を行うようになっている。まず、図4のステップS22では、図5に示されるサブフローの処理が行われる。このサブフローでは、まず、プライマリピストン8の位置とインプットロッド18の位置とから推定液量を算出する(図5のステップS1)。次に、算出された推定液量から図3に示される最低剛性液圧線L1に基づいて最低剛性液圧を算出する(図5のステップS2)。なお、図5のステップS1において、プライマリピストン8の位置とインプットロッド18の位置とを用いて推定液量を算出したが、このうち、プライマリピストン8の位置については、プライマリピストン8の位置を推定することが可能な電動モータ22の電流値を用いることができる。
【0033】
次に、算出された最低剛性液圧とマスタシリンダ2の液圧(プライマリ室10の圧力)とを比較し、マスタシリンダ2の液圧が、最低剛性液圧以下であるか否か、すなわち、図3におけるL1を含むL1よりも下方の領域であるか否かを判定する(図5のステップS3)。そして、マスタシリンダ2の液圧が最低剛性液圧以下であると判定された場合(図5のステップS3のYES)、マスタシリンダ2の液圧が最低剛性液圧以下である場合の既定の処理として、中央処理ユニット46内の記憶装置への書き込みが行われた後(図5のステップS4)、図4に示されるメインフローに戻る。なお、以下において既定の処理とは、上記のような中央処理ユニット46内の記憶装置への書き込みを示すものとして説明を行う。他方、マスタシリンダ2の液圧が最低剛性液圧よりも大きいと判定された場合(図5のステップS3のNO)、マスタシリンダ2の液圧が最低剛性液圧よりも大きい場合の既定の処理が行われた後(図5のステップS5)、図4に示されるメインフローに戻る。
【0034】
図4のステップS23では、図4のステップS22における処理(図5参照)の結果に基づき、マスタシリンダ2の液圧が最低剛性液圧以下であるか否かを判定する。ここで、マスタシリンダ2の液圧が最低剛性液圧以下であると判定された場合(図4のステップS23のYES)、図6に示されるサブフローの処理が行われる(図4のステップS24)。このサブフローでは、まず、プライマリピストン8の位置を電動モータ22の位置情報から算出する(図6のステップS6)。次に、プライマリピストン8の位置の算出結果に基づき、プライマリピストン8がセカンダリピストン9に接触している可能性があるか否かを判定する(図6のステップS7)。なお、セカンダリ室11の液圧の急上昇を検出することで、プライマリピストン8がセカンダリピストン9に接触している可能性があると判定することもできる。
【0035】
そして、プライマリピストン8がセカンダリピストン9に接触している可能性があると判定された場合(図6のステップS7のYES)、プライマリピストン8がセカンダリピストン9に接触している可能性がある場合の既定の処理が行われた後(図6のステップS8)、図4に示されるメインフローに戻る。他方、プライマリピストン8がセカンダリピストン9に接触している可能性がないと判定された場合(図6のステップS7のNO)、プライマリピストン8がセカンダリピストン9に接触している可能性がない場合の既定の処理が行われた後(図6のステップS9)、図4に示されるメインフローに戻る。
【0036】
図4のステップS25では、図4のステップS24における処理(図6参照)の結果に基づき、プライマリピストン8がセカンダリピストン9に接触している可能性があるか否かを判定する。ここで、プライマリピストン8がセカンダリピストン9に接触している可能性があると判定された場合(図4のステップS25のYES)、図7に示されるサブフローの処理が行われる(図4のステップS26)。このサブフローでは、まず、プライマリピストン8の速度とインプットロッド18の速度とからマスタシリンダ2の液量の差分Dを算出する(図7のステップS10)。
【0037】
なお、マスタシリンダ2の液量の差分Dは、以下の(数式2)によって算出することができる。
D=S×V−S×V (数式2)
ただし、Sはプライマリピストン8の断面積、Sはインプットロッド18の断面積、Vはプライマリピストン8の速度、Vはインプットロッド18の速度である。
なお、プライマリピストン8の速度Vは電動モータ22の速度から算出され、インプットロッド18の速度Vはインプットロッド18の位置の現在値と1タスク周期前の値との差に基づき算出することができる。
【0038】
次に、算出されたマスタシリンダ2の液量の差分Dが、正の値(D>0)であるか否かを判定する(図7のステップS11)。そして、マスタシリンダ2の液量の差分Dが正の値であると判定された場合(図7のステップS11のYES)、マスタシリンダ2の液量が増加している場合の既定の処理が行われた後(図7のステップS12)、図4に示されるメインフローに戻る。他方、マスタシリンダ2の液量の差分Dが負の値であると判定された場合(図7のステップS11のNO)、マスタシリンダ2の液量が増加していない場合の既定の処理が行われた後(図7のステップS13)、図4に示されるメインフローに戻る。
【0039】
図4のステップS27では、図4のステップS26における処理(図7参照)の結果に基づき、マスタシリンダ2の液量が増加しているか否かを判定する。ここで、マスタシリンダ2の液量が増加していると判定された場合(図4のステップS27のYES)、マスタシリンダ2から出力される二系統のうちのいずれかの系統での失陥状態、すなわち、片系統失陥状態であると判定する(図4のステップS28)。次に、図4に示されるステップS28では、図8に示されるサブフローの処理が行われる。このサブフローでは、マスタ液圧制御ユニット4の記憶装置に、過去に生じた片系統失陥の発生が記憶されているか否かが判定される(図8のステップS14)。ここで、過去に生じた片系統失陥の発生が記憶されていると判定された場合(図8のステップS14のYES)、過去に片系統失陥状態が発生したと判定された場合の既定の処理が行われた後(図8のステップS15)、図4に示されるメインフローに戻る。他方、過去の片系統失陥発生を記憶していないと判定された場合(図8のステップS14のNO)、過去の片系統失陥状態が発生していないと判定された場合の既定の処理が行われた後(図8のステップS16)、図4に示されるメインフローに戻る。
【0040】
図4のステップS30では、図4のステップS29における処理(図8参照)の結果に基づき、過去に片系統失陥状態であると判定されたことがあるか否かが判定される。ここで、過去に片系統失陥状態であると判定されたことがあると判定された場合(図4のステップS30のYES)、片系統失陥中であると判定される(図4のステップS33)。他方、過去に片系統失陥状態であると判定されたことがないと判定された場合(図4のステップS30のNO)、図9に示されるサブフローの処理が行われる。
【0041】
図9のサブフローでは、まず、VDC(車両姿勢制御)が作動中であるか否かが判定される(図9のステップS17)。ここで、VDCが作動中でないと判定された場合(図9のステップS17のNO)、TCS(トラクション制御)が作動中であるか否かが判定される(図9のステップS18)。そして、TCSが作動中でないと判定された場合(図9のステップS18のNO)、BAS(ホイール制御機構5によるブレーキアシスト制御)が作動中であるか否かが判定される(図9のステップS19)。ここで、BASが作動中でないと判定された場合(図9のステップS19のNO)、油圧ユニットがマスタシリンダ2の液圧を使用する機能が動作中でないと判定され、油圧ユニットがマスタシリンダ2の液圧を使用する機能が動作中でない場合の既定の処理が行われた後(図9のステップS20)、図4に示されるメインフローに戻る。
【0042】
なお、VDCが作動中であると判定された場合(図9のステップS17のYES)、TCSが作動中であると判定された場合(図9のステップS18のYES)並びにBASが作動中であると判定された場合(図9のステップS19のYES)、油圧ユニットがマスタシリンダ2の液圧を使用する機能が動作中であると判定され、油圧ユニットがマスタシリンダ2の液圧を使用する機能が動作中である場合の既定の処理が行われた後(図9のステップS21)、図4に示されるメインフローに戻る。
【0043】
図4のステップS32では、図4のステップS31における処理(図9参照)の結果に基づき、油圧ユニットがマスタシリンダ2の液圧を使用する機能が動作中であるか否かが判定される。ここで、油圧ユニットがマスタシリンダ2の液圧を使用する機能が動作中でないと判定された場合(図4のステップS32のNO)、ステップS23でマスタシリンダ2の液圧が最低剛性液圧以下と判定したのは、油圧ユニットの作動によるものではないとして、片系統失陥中であると判定される(図4のステップS33)。そして、マスタシリンダ2の液圧が最低剛性液圧よりも大きいと判定された場合(図4のステップS23のNO)、プライマリピストン8がセカンダリピストン9に接触している可能性がないと判定された場合(図4のステップS25のNO)、マスタシリンダ2の液量が増加していないと判定された場合(図4のステップS27のNO)並びに油圧ユニットがマスタシリンダ2の液圧を使用する機能が動作中であると判定された場合(図4のステップS32のYES)、片系統失陥状態でないと判定され(図4のステップS34)、片系統失陥状態でない場合の既定の処理が行われる(図4のステップS34)。また、図4のステップS33で片系統失陥中であると判定され束アイには、ステップS32で片系統失陥の発生をマスタ液圧制御ユニット4の記憶装置に記憶する(図4のステップS35)。
【0044】
上述したように、本実施形態では、マスタシリンダ2の液圧が最低剛性液圧以下で、且つ、プライマリピストン8の位置がセカンダリピストン9に接触している可能性があり、且つ、マスタシリンダ2の液量が増加している場合、片系統失陥状態であると判定し、それ以外の状態を片系統失陥状態でないと判定する。
また、片系統失陥状態であると判定され、過去に片系統失陥状態であると判定されたことがある場合、片系統失陥中であると判定される。
さらに、片系統失陥状態であると判定された場合であっても、過去に片系統失陥状態であると判定されたことがない場合、油圧ユニットがマスタシリンダ2の液圧を使用する機能が動作中であると判定された場合、片系統失陥中であると判定されない。
本実施形態によれば、マスタシリンダ2の液量と最低剛性液圧との関係から片系統失陥状態を判定するので、タンデム型マスタシリンダ2から出力される二系統のうちの片系統の液圧漏れを車両停車中以外でも検出することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ブレーキ制御装置、2 マスタシリンダ(タンデム型マスタシリンダ)、4 マスタ圧制御ユニット(制御手段、片系統失陥検出手段)、5A 第1液圧回路(プライマリ系統)、5B 第2液圧回路(セカンダリ系統)、8 プライマリピストン、9 セカンダリピストン、18 インプットロッド(入力部材)、19 ブレーキペダル、22 電動モータ(電動アクチュエータ)、26 直動部材(アシスト部材)、45A,45B 液圧センサ(液圧検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのピストンの移動によって発生したブレーキ液圧を複数のホイールシリンダへ二系統で供給するタンデム型マスタシリンダと、
ブレーキペダルの操作によって進退移動する入力部材と、
前記入力部材の進退移動に応じて駆動される電動アクチュエータと、
前記入力部材に対して相対移動可能に設けられ、前記電動アクチュエータの駆動によって進退移動して前記ピストンを移動させるアシスト部材と、
前記タンデム型マスタシリンダから出力される二系統のうちの片系統のブレーキ液圧を検出する液圧検出手段と、
前記入力部材の移動量を検出する入力部材移動量検出手段と、
前記アシスト部材の移動量を検出するアシスト部材移動量検出手段と、
前記入力部材移動量検出手段の検出値に基づいて前記アシスト部材を進退移動させる目標位置を算出し、前記電動アクチュエータを制御することにより前記アシスト部材を進退移動させて目標位置に位置決めさせる制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記入力部材移動量検出手段の検出値に基づいて前記タンデム型マスタシリンダから供給されるブレーキ液量に対応する推定ブレーキ液圧値を算出し、前記液圧検出手段の検出値が前記推定ブレーキ液圧値以下の場合に、前記タンデム型マスタシリンダから出力される二系統のうちのいずれかの系統での失陥を判定する片系統失陥検出手段を有することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記片系統失陥検出手段は、前記アシスト部材移動量検出手段の検出値が、前記タンデム型マスタシリンダの2つのピストンが当接していることを示し、かつ、前記入力部材移動量検出手段の検出値に基づく前記タンデム型マスタシリンダから供給されるブレーキ液量が増加している状態で、片系統失陥状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記片系統失陥検出手段は、前記片系統失陥状態であると判定した時点で、過去にも片系統失陥状態であると判定したことがあるか、あるいは、前記タンデム型マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間に設けられたホイール圧制御機構が非作動状態である場合に、片系統失陥中であると判定することを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−116293(P2012−116293A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266804(P2010−266804)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】