説明

ブロー成形装置

【課題】小型でコンパクトに構成され、プリフォーム等の搬送を効率良く、確実に行い得るブロー成形装置を提案すること。
【解決手段】ブロー成形装置1の移送機構13は、円環状ガイドレールに沿ってプリフォーム等の保持部を備えたスライダをスライド可能に配置し、各スライダをターンテーブルの回転に応じて左右にスライドさせて、保持部に保持されるプリフォーム等の送りピッチを変更する。反転移送機構16は、ターンテーブルの回転に応じて、プリフォームを受け取って反転する動作、反転したプリフォームの口部にマンドレルを差し込む動作、ブロー成形品を受け取ってその口部からマンドレルを引き抜く動作、マンドレルを引き抜いた後のブロー成形品を反転させる動作を行う。型開閉機構33は、昇降軸による昇降運動をスライダのスライド運動に変換し、スライド運動を一対の操作アームによって型支持部材を左右に開閉する開閉運動に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次成形品であるプリフォームを加熱してブロー成形することによりペットボトルなどのプラスチック製容器を製造するブロー成形装置に関するものである。さらに詳しくは、プリフォームの送りピッチを変更するための移送機構、プリフォームあるいはブロー成形品を反転させるための反転移送機構、および左右に開閉するブロー成形型の開閉機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルなどのブロー成形品を製造する二軸延伸ブロー成形装置としては各種のものが知られているが、基本的には、プリフォーム供給ステーションと、プリフォームを加熱する加熱ステーションと、加熱したプリフォームを二軸延伸ブローするブロー成形型を備えたブローステーションと、ブロー成形型からブロー成形品を回収する回収ステーションを備えている。かかる構成の二軸延伸ブロー成形装置は、例えば本願人によって提案されている(特許文献1)。また、ブローステーションとしては、複数のブロー成形型をターンテーブル上に一定の角度間隔で搭載したロータリ式のものが知られている。
【0003】
ここで、この構成のブロー成形装置では、加熱ステーションにおいては狭い送りピッチでプリフォームを搬送することにより効率良く多数本のプリフォームを加熱して、装置の小型化を図っている。このため、加熱ステーションからブローステーションに加熱後のプリフォームを引き渡す際には、ブロー成形型の送りピッチに合うように、送りピッチを広げる必要がある。送りピッチを広げてプリフォームを移送する機構としては、下記の特許文献2に開示されているように、狭い送りピッチで円環状搬送路に沿って搬送されるプリフォームを、大きな送りピッチで別の円環状搬送路に沿って搬送されるグリッパ装置によって把持する構成のものが知られている。各グリッパ装置は、これを左右に揺動運動させる揺動機構および、前後に直線運動させる直線運動機構によって保持されており、プリフォームを受け取る際には、狭い送りピッチで搬送されるプリフォームと同一の送りピッチとなるように各グリッパ装置を搬送しながらプリフォームを受け取るように構成されている。
【0004】
また、プリフォームはキャリアに倒立姿勢で担持された状態で、加熱ステーション、ブローステーションを経由して搬送される。一般には、プリフォーム供給ステーションから供給された正立姿勢のプリフォームを反転させて、その口部に下側からマンドレルを差し込み、以後はこの状態でプリフォームを搬送している。そして、ブロー成形金型によってブロー成形されてブロー成形品となった後は、当該ブロー成形品の口部から下方にマンドレルを抜き取り、しかる後に、ブロー成形品を反転させて回収ステーションで回収するようにしている。プリフォームを反転させてキャリアに担持させる機構も、下記の特許文献2に開示されている。
【0005】
一方、ブロー成形型としては左右一対の成形型部材を左右に開閉して型開きおよび型締めを行う構成のものが知られている。この構成のブロー成形型の型開閉機構としては、リンク機構を用いたものが下記の特許文献3、4などに開示されている。
【特許文献1】特開2000−117821号公報
【特許文献2】特開平11−115039号公報
【特許文献3】特開平6−15724号公報
【特許文献4】特開平6−39909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の送りピッチ変換用の移送機構においては、揺動機構による揺動運動と、直線運動機構による直線運動との複合運動によって、グリッパ装置の位置決めが行われる。しかし、かかる複合運動によりグリッパ装置をプリフォームの受け取り位置あるいは引渡し位置に位置決めするためには、各機構の構成部品を精度良く製造する必要があり、また、精度良く組み付ける必要があるので、製造が困難であり、また、製造コストが高くなるという問題がある。
【0007】
さらに、円環状搬送路相互間でプリフォーム、ブロー成形品の受渡しを行う場合には、それらの搬送路の半径方向の両側からグリッパ装置を対峙させて行うことが望ましい。しかしながら、従来の機構では、グリッパ装置の向きが半径方向に向くのはプリフォーム等の受渡しを行う瞬間のみである。このために、プリフォーム等の受渡しを確実に行うことができない惧れがある。
【0008】
次に、従来のブロー成形装置においては、一般に、プリフォームを反転させる操作を行うためのターンテーブル、ブロー成形品を反転させる操作を行うためのターンテーブル、プリフォームにマンドレルを挿入する操作を行うためのターンテーブル、およびブロー成形品からマンドレルを抜き取る操作を行うためのターンテーブルが必要とされている。上記のようにプリフォームの送りピッチを変更すると共にプリフォームを反転させる機構が提案されているが、基本的には4つのテーブルを必要としているので、装置寸法が増大し、製造価格が高くなるという問題がある。
【0009】
一方、従来のブロー成形装置における左右に開閉可能なブロー成形型の型開閉機構においては、それを構成しているリンク機構が、各ブロー成形型の背面から各ブロー成形型を旋回させるターンテーブルの中心に向けて平面方向に延びている。ここで、ターンテーブルには多数個の重量のあるブロー成形型が搭載されており、各ブロー成形型の搬送は精度良く行う必要がある。従って、ターンテーブルを回転自在の状態で支持している軸受部材は、なるべく重量物の直下、すなわち、ターンテーブルにおけるブロー成形型の直下に配置することが望ましい。しかしながら、従来の型開閉機構は各ブロー成形型からターンテーブルの回転中心に向けて平面方向に長いので、軸受部材を、当該型開閉機構に干渉しないように、ターンテーブルの回転中心により近い位置に設置せざるを得ないという問題点がある。
【0010】
本発明の課題は、小型でコンパクトに構成され、しかも、プリフォームやブロー成形品の搬送を効率良くしかも確実に行うことのできるブロー成形装置を提案することにある。
【0011】
また、本発明の課題は、円環状搬送路に沿って搬送されるプリフォーム等の送りピッチを簡単な機構により変更でき、しかも、プリフォーム等の受渡しを確実に行うことのできるブロー成形装置の移送機構を提案することにある。
【0012】
さらに、本発明の課題は、プリフォームおよびブロー成形容器を反転する機構、プリフォームにキャリアのマンドレルを差し込む機構、およびブロー成形容器からキャリアのマンドレルを抜き取る機構が単一のターンテーブル上に構成されたブロー成形装置の反転移送機構を提案することにある。
【0013】
さらにまた、本発明の課題は、ブロー成形型が搭載されているターンテーブルを支持している軸受をブロー成形型の直下に近い位置に配置可能なブロー成形装置の型開閉機構を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、正立状態でプリフォームを供給するプリフォーム供給ステーションと、プリフォームを搬送しながら、ブロー成形に適した温度状態に加熱する加熱ステーションと、加熱後のプリフォームをブローしてブロー成形品を成形するブローステーションと、ブロー成形品を回収する回収ステーションとを有するブロー成形装置において、
前記プリフォーム供給ステーションから供給されるプリフォームを、第1の送りピッチで搬送する第1の円環状搬送路と、
この第1の円環状搬送路からプリフォームを受け取り、第2の円環状搬送路に沿って搬送しながら送りピッチを第1の送りピッチよりも広い第2の送りピッチに変更する第1の移送機構と、
この第2の円環状搬送路から、第2の送りピッチで搬送されるプリフォームを受け取り、第3の円環状搬送路に沿って搬送しながらプリフォームを倒立状態に反転し、しかる後に、倒立状態のプリフォームの口部に下側からマンドレルを差し込む反転移送機構と、
前記第3の円環状搬送路から、マンドレルが差し込まれた状態で搬送されているプリフォームを受け取り、第4の円環状搬送路に沿って搬送しながら、送りピッチを第2の送りピッチから第1の送りピッチに変更する第2の移送機構と、
前記加熱ステーションに形成された、前記第4の円環状搬送路からマンドレルが差し込まれた状態のプリフォームを受け取る円弧状搬送路部分と、
前記円弧状搬送路部分から、加熱後のプリフォームを受け取り、第5の円環状搬送路に沿って搬送しながら、送りピッチを第1の送りピッチから第2の送りピッチに変更する第3の移送機構とを有し、
前記ブローステーションにおいて第6の円環状搬送路に沿って第2の送りピッチで搬送されているブロー成形型により、前記第5の円環状搬送路に沿って第2の送りピッチで搬送されているプリフォームを受け取り、
前記反転移送機構は、前記ブロー成形型からブロー成形品を受け取り、前記第3の円環状搬送路に沿って搬送しながら、倒立状態のブロー成形品の口部に差し込まれているマンドレルを下方に引き抜き、しかる後に、倒立状態のブロー成形品を反転して正立状態にし、
当該反転移送機構から前記回収ステーションにブロー成形品が回収されることを特徴としている。
【0015】
ここで、前記第1、第2、第3の移送機構は、それぞれ、
ターンテーブルと、
このターンテーブルの表面に、当該ターンテーブルの回転中心が中心となるように固定した円環状ガイドレールと、
この円環状ガイドレールに沿ってスライド可能な複数個のスライダと、
各スライダに形成された、プリフォーム、ブロー成形品あるいはマンドレルを保持するための保持部と、
前記ターンテーブルにおける前記円弧状ガイドレールの内側位置において、当該ターンテーブルの回転中心を中心とする同心円上に一定の角度間隔で回転自在の状態で配列された揺動ピンと、
前記ターンテーブルの回転に伴って、各揺動ピンを中心として前記ターンテーブルの表面に沿って揺動する複数の揺動アームと、
各揺動アームの揺動端を、各スライダに対して当該揺動アームの軸線方向にスライド可能な状態で連結しているスライド式連結部とを有していることを特徴としている。
【0016】
各揺動アームを前記ターンテーブルの回転に伴って揺動させる揺動用カム機構は、各揺動ピンから直交する方向に延びているアームと、このアームの先端に取り付けたカムフォロワと、このカムフォロワがスライドするカム溝が形成されている固定盤とを備えた構成とすることができる。
【0017】
本発明のブロー成形装置の移送機構においては、円環状ガイドレールに沿ってスライドするスライダに保持部を取りつけ、スライダをターンテーブルの回転に応じて揺動アームによって左右に揺動させることにより、送りピッチを変更している。簡単な機構により精度良く送りピッチの変更を行うことができる。また、スライダに取り付けたプリフォーム等を保持するための保持部は常に半径方向に向いているので、円環状搬送路に沿って搬送されるプリフォーム等を受け取る動作、およびプリフォーム等を別の円環状搬送路に引き渡す動作を確実に行うことができる。
【0018】
次に、第1の円環状搬送路に沿って搬送される正立あるいは倒立姿勢のプリフォームあるいはブロー成形品を受け取り、第2の円環状搬送路に沿って搬送しながら、姿勢を反転させた後に、第3の円環状搬送路に引き渡すブロー成形装置の反転移送機構は、
ターンテーブルと、
このターンテーブルの表面において、当該ターンテーブルの回転中心を中心として放射状に延びていると共に、当該ターンテーブルによって回転可能な状態で支持されている円筒部材と、
この円筒部材の中空部を貫通して延びていると共に、当該円筒部材と一体回転する軸部材と、
この軸部材の外端に取り付けられ、プリフォームあるいはブロー成形品の口部を保持可能であり、前記ターンテーブルが回転すると前記第2の円環状搬送路に沿って移動するグリッパと、
前記ターンテーブルの回転に伴って、前記円筒部材を180度回転させる回転用カム機構とを有していることを特徴としている。
【0019】
ここで、前記回転用カム機構は、
前記円筒部材の軸線方向に往復移動可能なスライダに形成された第1および第2のカムフォロワと、
前記円筒部材の外周面に沿って螺旋状に180度の角度範囲に亘って形成された、前記第1のカムフォロワがスライドする第1のカム溝と、
固定盤の表面に形成された、前記第2のカムフォロワがスライドする第2のカム溝とを備えており、
前記ターンテーブルの回転に応じて、前記スライダが半径方向に往復移動するように、前記第2のカム溝の形状が規定された構成とすることができる。
【0020】
また、前記グリッパは開閉可能な一対の開閉爪を備えており、
さらに、前記開閉爪を開閉する爪開閉機構を有し、
この爪開閉機構は、前記軸部材を前記円筒部材の軸線方向にスライドさせるスライド用カム機構と、前記軸部材のスライドを前記開閉爪の開閉動作に変換するリンク機構とを備えた構成とすることができる。
【0021】
さらに、倒立状態の当該プリフォームあるいはブロー成形品の口部に対して、マンドレルを抜き差しするための抜き差し機構を有しており、
この抜き差し機構は、各グリッパの直下の位置において昇降可能なマンドレル支持部材と、このマンドレル支持部材を前記ターンテーブルの回転に応じて昇降させる昇降用カム機構とを備えた構成とすることができる。
【0022】
次に、複数のブロー成形型が一定の送りピッチで円環状搬送路に沿って搬送され、各ブロー成形型が左右に開閉可能な一対の成形型部材から構成されているブロー成形装置の型開閉機構において、
複数のブロー成形型が一定の角度間隔で搭載されたターンテーブルと、
このターンテーブルの回転に伴って昇降する昇降軸と、
前記昇降軸の昇降に伴って、前記ブロー成形型の開閉方向に直交する方向にスライドするスライダと、
このスライダのスライド運動を前記ブロー成形型の開閉運動に変換する一対の操作アームとを有していることを特徴としている。
【0023】
ここで、前記スライダと前記一対の成形型部材との間に前記昇降軸を配置することができる。
【0024】
また、前記成形型部材をそれぞれ支持している左右の型支持部材と、
当該型支持部材を閉じ状態に保持するための閉止機構とを有しており、
この閉止機構は、昇降式の止めピンと、この止めピンを上側から差し込み可能な前記型支持部材の開閉端に形成されたピン穴と、前記止めピンを前記ピン穴から抜かれた状態にロックするためのロック機構とを備えており、
このロック機構は、前記止めピンの外周面に形成したくぼみと、このくぼみに嵌め込み可能な前記型支持部材の側に配置したボールと、このボールを前記止めピンの側に付勢しているばね部材とを備えた構成とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明のブロー成形装置の移送機構では、円環状ガイドレールに沿ってプリフォーム等を保持する保持部を備えたスライダをスライド可能に配置し、各スライダをターンテーブルの回転に応じて左右にスライドさせることにより、保持部に保持されるプリフォーム等の送りピッチを変更するようにしている。
【0026】
従って、従来における揺動運動と伸縮運動とが組み合わされた複合運動により保持部に保持されるプリフォーム等の送りピッチを変更する機構に比べて、構成が簡素化できるので、精度良く送りピッチを変更できる。また、円環状ガイドレールに沿ってスライドするスライダに取り付けられている保持部は常にターンテーブルの半径方向を向いた状態であるので、円環状搬送路に沿って搬送されているプリフォーム等を受け取る動作および、円環状搬送路にプリフォーム等を引き渡す動作を確実に行うことができる。
【0027】
また、本発明のブロー成形装置の反転移送機構では、ターンテーブルの回転に応じて、プリフォームを受け取って反転する動作、反転したプリフォームの口部にマンドレルを差し込む動作、ブロー成形品を受け取ってその口部からマンドレルを引き抜く動作、およびマンドレルを引き抜いた後のブロー成形品を反転させる動作を行うように構成されている。従って、これらの各動作を別個のターンテーブルを用いて行っていた従来のブロー成形装置に比べて、プリフォーム、ブロー成形品の搬送機構を小型でコンパクトに構成できる。また、搬送経路を短くできるので生産効率も改善される。
【0028】
次に、本発明のブロー成形装置の型開閉機構では、昇降軸による昇降運動をスライダのスライド運動に変換し、このスライド運動を一対の操作アームによって型支持部材を左右に開閉する開閉運動に変換するようにしている。従って、従来のように3本以上の操作アームを用いたリンク機構から構成される型開閉機構に比べて、型開閉機構を小型でコンパクトに構成できる。
【0029】
特に、ターンテーブルにブロー成形型が搭載されたロータリ式のブローステーションの場合には、ブロー成形型の背面側の部位に設置される型開閉機構に干渉することなく、ターンテーブルの軸受部材を、ブロー成形型の直下に近い位置に配置できる。この結果、重量のあるブロー成形型が搭載されたターンテーブルの回転を円滑に行うことができるという効果が得られる。
【0030】
一方、本発明のブロー成形装置は、上記構成の移送機構、反転移送機構および型開閉機構を備えているので、全体として、小型でコンパクトに構成することができる。また、プリフォームおよびブロー成形品の搬送を確実かつ効率良く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したブロー成形装置の実施の形態を説明する。
【0032】
(全体構成)
図1は、本実施の形態に係る二軸延伸ブロー成形装置の全体構成を示す概略平面図である。この図を参照して説明すると、二軸延伸ブロー成形装置1は、例えば、飲料用のペットボトルの製造装置であり、プリフォーム2を供給するプリフォーム供給ステーション3と、プリフォーム2を搬送しながら、ブロー成形に適した温度状態に加熱する加熱ステーション4と、加熱後のプリフォーム2をブローしてペットボトル5(ブロー成形品)を成形するロータリ式のブローステーション6と、ペットボトル5を回収する回収ステーション7とを有している。
【0033】
プリフォーム供給ステーション3は、供給先に向けて下方に傾斜しているガイドレール8を備えており、ここに、プリフォーム2の口部2aのフランジ2bが吊り下げられ、この正立状態でプリフォーム2が自重によってガイドレール8に沿って落下する(プリフォーム2については、例えば後述の図3参照)。
【0034】
プリフォーム供給ステーション3におけるガイドレール8の下端には、プリフォーム供給ステーション3から供給されるプリフォーム2を、第1の送りピッチp1で搬送する第1の円環状搬送路9が水平に形成されている。この第1の円環状搬送路9は、外周端面にラチェット状の送り溝が第1の送りピッチと同一間隔で形成されているターンテーブル10と、このターンテーブル10の外周端面10aに対向して、ほぼ180度の角度に亘って形成されている円弧状ガイド面11とを備えている。プリフォーム2は、その口部2aがこれらの間に挟まれた状態で第1の送りピッチp1で第1の円環状搬送路9に沿って送り出される。
【0035】
この第1の円環状搬送路9の隣接位置には、この第1の円環状搬送路9からプリフォーム2を受け取り、当該第1の円環状搬送路9に外接している第2の円環状搬送路12に沿ってプリフォーム2を搬送しながら、その送りピッチを第1の送りピッチp1よりも広い第2の送りピッチp2に変更する第1の移送機構13が配置されている。
【0036】
また、この第2の円環状搬送路12から、第2の送りピッチp2で搬送されるプリフォーム2を受け取り、当該第2の円環状搬送路12に外接している第3の円環状搬送路14に沿って搬送しながらプリフォーム2を倒立状態に反転し、しかる後に、倒立状態のプリフォーム2の口部2aに下側からマンドレル15を差し込む反転移送機構16が配置されている。
【0037】
さらに、第3の円環状搬送路14から、口部2aにマンドレル15が差し込まれた状態で搬送されているプリフォーム2、換言すると、プリフォーム2が差し込まれた状態で搬送されているマンドレル15を受け取り、当該第3の円環状搬送路14に外接している第4の円環状搬送路17に沿って搬送しながら、送りピッチを第2の送りピッチp2から第1の送りピッチp1に戻す第2の移送機構18が配置されている。
【0038】
ここで、加熱ステーション4は、駆動側スプロケット19と従動側スプロケット20と、これらの間に架け渡したチェーン21と、チェーン21に一定の間隔で取り付けたマンドレルキャリア22とを備えており、マンドレルキャリア22は長円形の搬送路23に沿って搬送される。この搬送路23には、第2の移送機構18の第4の円環状搬送路17からプリフォーム2を受け取りマンドレルキャリア22に担持させる半円形の搬送路部分25(円弧状搬送路部分)が含まれている。搬送路23に沿って、複数の加熱部24(1)〜24(5)が配置されており、第2の移送機構18からプリフォーム2を受け取った各マンドレルキャリア22が搬送路23に沿って搬送される間に、これらの加熱部を通って、当該プリフォーム2がブロー成形に適した温度状態に加熱される。
【0039】
半円形の搬送路部分25における第2の移送機構18とは反対側の隣接位置には、当該搬送路部分25から、加熱後のプリフォーム2をマンドレルキャリア22に受け取り、第5の円環状搬送路26に沿って搬送しながら、送りピッチを第1の送りピッチp1から第2の送りピッチp2に広げる第3の移送機構27が配置されている。
【0040】
この第3の移送機構27の隣接位置に、ブローステーション6が配置されている。ブローステーション6は、ターンテーブル28と、この表面に同心円状に第2の送りピッチp2に対応する間隔で配列された複数台のブロー成形型29が搭載されている。ブロー成形型29は左右に開閉する一対の成形型部材30、31から構成されており、各ブロー成形型29の背面側には成形型部材30、31を開閉するための型開閉機構33が配置されている。
【0041】
このブローステーション6においては、ターンテーブル28の回転によって、ブロー成形型29は第6の円環状搬送路34に沿って第2の送りピッチp2で循環する。各ブロー成形型29は、型開き状態において、上記の第5の円環状搬送路26に沿って第2の送りピッチp2で搬送されるプリフォーム2を受け取り、第6の円環状搬送路34に沿って搬送されながら型締め状態になり、プリフォーム2の二軸延伸ブロー成形を行う。これにより得られたペットボトル5は、型開き状態のブロー成形型29から、スターホイール35に引き渡される。スターホイール35の外周面には第2の送りピッチp2に対応する間隔で円弧溝35aが形成されており、この円弧溝35aによってペットボトル5は反転移送機構16に向けて搬送される。
【0042】
反転移送機構16は、スターホイール35からペットボトル5を受け取り、第3の円環状搬送路14に沿って搬送しながら、倒立状態のペットボトル5の口部2aに差し込まれているマンドレル15を下方に引き抜き、しかる後に、倒立状態のペットボトル5を反転して正立状態にする。そして、スターホイール36を介して回収ステーション7にペットボトル5を引き渡す。
【0043】
この構成の二軸延伸ブロー成形装置1では、反転移送機構16によって、プリフォーム2およびブロー成形品であるペットボトル5の反転操作、プリフォーム2の口部2aにマンドレル15を差し込む操作、およびペットボトル5の口部2aからマンドレル15を引き抜く操作が行われる。従って、これらの操作を、別個の場所で行っていた従来の二軸延伸ブロー成形装置に比べて、装置を小型でコンパクトに構成でき、製造コストも低く抑えることができる。
【0044】
(移送機構)
図2および図3は、上記の第1の移送機構13を示す平面図および断面図である。これらの図を参照して説明すると、第1の移送機構13は、上述のように、第1の円環状搬送路9に沿って第1の送りピッチp1で搬送されているプリフォーム2を受け取り、第2の円環状搬送路12に沿って当該プリフォーム2を搬送しながら、送りピッチを第1の送りピッチp1から第2の送りピッチp2に広げて、反転移送機構16の第3の円環状搬送路14に引き渡すためのものである。
【0045】
この第1の移送機構13は、装置架台40に垂直に固定した円筒状ハウジング41と、この円筒状ハウジング41の内部に回転自在の状態で同軸状に支持されている回転軸42とを備え、この回転軸42が不図示の駆動モータによって回転駆動される。回転軸42の上端には円盤状のターンテーブル43が同軸状態で水平に固定されている。このターンテーブル43の表面には、当該ターンテーブル43の回転中心43aが中心となるように、すなわち同心状態で、円環状ガイドレール44が固定されている。
【0046】
この円環状ガイドレール44には、扁平な直方体形状のスライダ45が半径方向に向いた姿勢でスライド可能に複数個取り付けられている。図示の例では6個のスライダ45が取り付けられている。各スライダ45の外端には、プリフォーム2の口部フランジ2aを乗せることのできる半円形の保持溝46aが形成された保持板46が水平に取り付けられている。
【0047】
ターンテーブル43における円環状ガイドレール44よりも中心側の部分には、同心円状に、一定の角度間隔で、複数本の揺動ピン47が回転自在の状態で垂直に取り付けられている。すなわち、ターンテーブル43を貫通して延びる円筒状のベアリングホルダ48によって各揺動ピン47が回転自在の状態で保持されている。ベアリングホルダ48の上端から上方に突出している揺動ピン47の上端には、揺動アーム49の内端が固定されている。各揺動アーム49は、ターンテーブル43の表面に沿ってその外周側に向けて延びており、揺動ピン47を中心としてターンテーブル43の表面に沿って左右に揺動可能である。
【0048】
各揺動アーム49の先端はスライド式連結部50を介して各スライダ45の内端部側に連結されている。スライド式連結部50は、揺動アーム49の先端部に形成された当該揺動アーム49の軸線方向に長い長孔51と、この長孔51に沿ってスライド可能なカムフォロワピン52とを備え、このカムフォロワピン52がスライダ45の上面中央における内端側の部位に固定されている。
【0049】
ここで、各揺動アーム49は、カム機構53によって、ターンテーブル43の回転に伴って左右に揺動するように構成されている。カム機構53は、ターンテーブル43の裏面から一定の距離だけ離れた位置においてハウジング41に水平に固定された固定円盤54と、この固定円盤54の表面に形成された変形ハート型をしたカム溝55と、このカム溝55に沿ってスライドするローラ状のカムフォロワ56とを備えている。ターンテーブル43の裏面からは揺動ピン47の下端が下方に突出しており、ここには、揺動アーム49とは直交する方向に延びるアーム57の元端部分が固定され、当該アーム57の先端にカムフォロワ56が取り付けられている。
【0050】
この構成の第1の移送機構13の動作を説明する。ターンテーブル43を矢印の方向に回転すると、この上に載っている円環状ガイドレール44、各スライダ45および揺動アーム49も同一方向に回転する。ここで、各揺動アーム49に連結されているカム機構53のカムフォロワ56は、固定円盤54に形成されている変形ハート型のカム溝55に沿ってスライドする。カム溝55は変形ハート型の軌跡を描いているので、カムフォロワ56が当該カム溝55に沿ってスライドすると、カムフォロワ56は固定位置にある揺動ピン47に対して半径方向に移動する。この結果、揺動ピン47は左右に回転させられ、揺動ピン47に内端が固定されている揺動アーム49も左右に揺動する。揺動アーム49の先端にはその軸線方向にスライド可能な状態で各スライダ45が連結されているので、揺動アーム49が左右に揺動すると、スライダ45は円環状ガイドレール44に沿って左右にスライドする。すなわち、各スライダ45は変形ハート型のカム溝55の形状に従って、接近および離れる方向に相対移動しながら、ターンテーブル43と共に同一方向に回転する。
【0051】
従って、変形ハート型のカム溝55の形状を適切に設定しておくことにより、スライダ45の外端に取り付けた保持板46の保持溝46aの中心が描く第2の円環状搬送路12と第1の円環状搬送路9との外接位置において、スライダ45の間隔を狭めて、それらを第1の送りピッチp1で搬送することができる。また、第2の円環状搬送路12と、プリフォーム引渡し先の第3の円環状搬送路14との外接位置において、スライダ45の間隔を広げて、第2の送りピッチp2で搬送することができる。この結果、第1の円環状搬送路9に沿って第1の送りピッチp1で搬送されるプリフォーム2をスライダ45の先端に取り付けた保持板46の保持溝46aで受け取り、第2の送りピッチで、当該プリフォーム2を第3の円環状搬送路14に引き渡すことができる。
【0052】
この構成の第1の移送機構13では、従来のピッチ変換用の移送機構のような揺動アームを伸縮させてピッチ変換を行う機構に比べて、揺動アームを揺動させるだけでよいので機構が簡単になる。また、構成部品の組み付けも簡単になり、組み付け誤差も抑制できる。さらに、揺動アーム49によって揺動するスライダ45は円環状ガイドレール44に沿ってスライドするので、その先端に取り付けられている保持板46の半円形の保持溝46aは常に半径方向を向いている。従って、円環状搬送路に沿って搬送されるプリフォームの受渡し動作を確実に行うことができる。
【0053】
なお、第2の移送機構18および第3の移送機構27も上記の第1の移送機構13と同様に構成されているので、それらの説明は省略するものとする。
【0054】
(反転移送機構)
次に、図4および図5は、反転移送機構16を示す断面図および拡大部分断面図である。上述したように、反転移送機構16は、第1の移送機構13の第2の円環状搬送路12に沿って搬送されている正立姿勢のプリフォーム2を受け取り、第3の円環状搬送路14に沿って搬送しながら、姿勢を反転させて倒立姿勢とした後に、その口部2aに下側からマンドレル15を差し込み、しかる後に、第2の移送機構18の第4の円環状搬送路17に引き渡すためのものである。また、ブローステーション6の各ブロー成形型29から倒立姿勢のペットボトル5を受け取り、第3の円環状搬送路14に沿って搬送しながら、その口部2aからマンドレル15を下方に引き抜いた後に、姿勢を反転させて正立状態とし、しかる後に、回収ステーション7のスターホイール36に引き渡すものである。
【0055】
図1、4、5を参照して説明すると、反転移送機構16は、装置架台40に垂直に固定された円筒状ハウジング61と、このハウジング61の内部に同軸状態で回転自在に支持された回転軸62とを備えており、この回転軸62の上端部分に、同軸状態でターンテーブル63が水平に固定されている。ターンテーブル63は回転軸62を介して不図示の駆動モータによって回転駆動される。
【0056】
ターンテーブル63の表面には、その回転中心63aを中心として一定の角度間隔で複数の円筒部材65が水平状態で放射状に配置され、各円筒部材65はその軸線65aを中心として回転自在の状態でターンテーブル63の表面に支持されている。図示の例では8本の円筒部材65が配列されている。各円筒部材65には、その中空部を貫通してスライド軸66が同軸状に配置されており、このスライド軸66は円筒部材65と一体回転すると共に、当該円筒部材65に対してその軸線65aの方向にスライド可能となっている。
【0057】
また、各円筒部材65の外端には、リンク機構67を介して、プリフォーム2およびペットボトル5の口部2aを両側から把持可能な一対の開閉爪68a、68bを備えたグリッパ68が連結されている。各グリッパ68に把持されたプリフォーム2およびペットボトル5はターンテーブル63が回転すると第3の円環状搬送路14に沿って搬送されるようになっている。
【0058】
垂直な回転軸62の上端は、円筒状のベアリングホルダ69に支持された軸受によって回転自在の状態で支持されており、このベアリングホルダ69は、その上端面に同軸状態に固定された水平固定円盤70を介して装置架台の側に固定されている。
【0059】
ここで、ターンテーブル63の回転に伴って、円筒部材65の先端に連結されているグリッパ68を180度回転させて、ここに把持されているプリフォーム2あるいはペットボトル5を反転させる反転用カム機構が備わっている。この反転用カム機構は、円筒部材65の上側位置において、当該円筒部材65の軸線65aの方向に往復移動可能なスライダ71と、このスライダ71の下面に取り付けた第1のカムフォロワ72と、このスライダ71の上面に取り付けた第2のカムフォロワ73とを備えている。また、円筒部材65の外周面に沿って螺旋状に180度の角度範囲に亘って形成された第1のカム溝74を備えており、このカム溝74に沿って第1のカムフォロワ72がスライドするようになっている。さらに、水平固定円盤70の裏面に形成された第2のカム溝75を備えており、このカム溝75に沿って第2のカムフォロワ73がスライドするようになっている。
【0060】
第2のカム溝75の形状を適切に設定しておくことにより、ターンテーブル63が回転すると、当該カム溝75に沿ってスライドする第2のカムフォロワ73は円筒部材65の軸線65aの方向に往復移動させることができる。第2のカムフォロワ73が取り付けられているスライダ71には第1のカムフォロワ72が取り付けられており、この第1のカムフォロワ72が軸線65aの方向に往復移動すると、回転自在の状態で支持されている円筒部材65が180度回転するので、当該円筒部材65と一体となって回転するスライド軸66およびリンク機構67も180度回転する。また、円筒部材65の先端に連結されているグリッパ68を180度反転させることができる。
【0061】
次に、スライド軸66を軸線65aの方向にスライドさせて、グリッパ68を開閉する開閉用カム機構を説明する。この開閉用カム機構は、ベアリングホルダ69の外周面に形成された円筒カム面81と、スライド軸66の内端に取り付けたローラ82と、ローラ82を円筒カム面81に押付けているコイルばね83とを備えている。ターンテーブル63の回転に伴って、スライド軸66のローラ82が円筒カム面81に沿って移動する。よって、当該円筒カム面81の輪郭形状を適切に設定しておくことにより、スライド軸66を軸線65aに沿って往復移動させることができる。スライド軸66の先端とグリッパ68の間を連結しているリンク機構67は、例えば、スライド軸66が外方に押し出されると、グリッパ68の開閉爪68a、68bを左右に押し開き、スライド軸66が内方に引き込まれると開閉爪68a、68bを閉じるように動作する。
【0062】
次に、ターンテーブル63の外周端から外方に突出している各グリッパ68の直下には、マンドレル15をプリフォーム2あるいはペットボトル5の口部2aに下側から差し込むと共に、当該口部2aからマンドレル15を下方に引き抜くためのマンドレルホルダ85が配置されている。このマンドレルホルダ85は、ターンテーブル63の裏面における各グリッパ68に対応する位置から下方に垂直に延びるガイド軸86に沿って昇降する昇降スライダ87に取り付けられている。この昇降スライダ87にはカムフォロワ88が固定されており、このカムフォロワ88は、装置架台40に固定した円筒部材89の外周面に形成した円筒カム溝89aに沿ってスライドするようになっている。円筒カム溝89aを適切に設定しておくことにより、ターンテーブル63の回転に伴って、マンドレルホルダ85を昇降させて、倒立状態のプリフォーム2の口部2aに下側からマンドレル15を差し込むことができる。また、倒立状態のペットボトル5の口部2aから下側にマンドレル15を引き抜くことができる。
【0063】
本実施の形態では、図1に示すように、第3の円環状搬送路14における区間14aにおいてプリフォーム2が倒立状態に反転される、次の区間14bの前半において倒立状態のプリフォーム2の口部2aに下側からマンドレル15が差し込まれる。また、区間14cにおいて倒立状態のペットボトル5の口部2aから下方にマンドレル15が引き抜かれ、次の区間14dにおいてペットボトル5が反転されて正立姿勢になる。
【0064】
この構成の反転移送機構16では、1枚のターンテーブル63の回転に伴って、プリフォーム2の反転、マンドレル15の差し込み、ペットボトル5からのマンドレル15の引き抜き、およびペットボトル5の反転を行うことができる。よって、従来のように4箇所に配置されたターンテーブルにおいてそれぞれの動作を行うように構成されているブロー成形装置に比べて、搬送経路をコンパクトに構成できるので、その分、装置寸法を小さくでき、製造コストも下げることができる。
【0065】
(型開閉機構)
次に、図6はロータリ式のブローステーション6を示す部分断面図であり、図7はそのブロー成形型29の型開閉機構33を示す部分断面図であり、図8は型開閉機構33の平面構成図である。また、図9は型開閉機構の開閉端側の側面を示す側面図であり、図10は型開閉機構の開閉中心側の側面を示す側面図である。これらの図を参照して、ブローステーション6の全体構成およびブロー成形型29の型開閉機構33を説明する。
【0066】
前述のように、ブローステーション6は、複数のブロー成形型29がターンテーブル28上において第6の円環状搬送路34に沿って第2の送りピッチp2で循環するロータリ式のものである。ターンテーブル28は、装置架台40に支持されているスラスト軸受91によって、回転中心線28aを中心として回転自在の状態で水平に支持されている。すなわち、ターンテーブル28はスラスト軸受91の内輪91aに固定されており、この内輪91aの内周面には内歯91bが形成されている。この内歯91bは、不図示の駆動モータによって回転駆動される垂直回転軸92の上端に同軸状態で固定されている駆動側外歯歯車93に噛み合っている。駆動モータによりターンテーブル28はその回転中心線28aを中心として回転する。
【0067】
各ブロー成形型29は左右に開閉可能な成形型部材30、31を備えており、各成形型部材30、31はそれぞれ外側面に固定した左右の型支持部材94、95によって支持されている。これらの型支持部材94、95は、垂直軸96を中心として左右に開閉可能であり、垂直軸96は、ターンテーブル28の上面に固定した型支持板97によって支持されている。
【0068】
左右の成形型部材30、31を支持している型支持部材94、95は、リンク機構からなる型開閉機構33によって左右に開閉されるようになっている。この型開閉機構33は、垂直軸96の背面側(ターンテーブル28の中心側)の位置に配置されている昇降軸98を備え、この昇降軸98は型支持板97およびターンテーブル28を貫通して延びている。この昇降軸98の背面側(ターンテーブル28の中心側)の位置には、型支持板97に取り付けたスライドガイド99が配置されている。このスライドガイド99はブロー成形型29からターンテーブル28の回転中心線28aに向かって延びており、このスライドガイド99に沿ってスライダ100がスライド可能となっている。このスライダ100と、昇降軸98における型支持板97の上方に突出している部分との間は、それぞれにピン結合された連結アーム101によって連結されている。
【0069】
スライダ100と、左右の型支持部材94、95との間は、スライダ100のスライド運動を型支持部材94、95の開閉運動に変換する開閉用リンク機構102により連結されている。開閉用リンク機構102は、図8から良く分かるように、左右一対の操作アーム103、104を備えている。これらの操作アーム103、104は左右対称な形状をしており、一端がスライダ100に対して連結ピン105a、105bを中心として左右に回転自在の状態で連結されており、ここから左右に広がる方向に延びている折れ曲がり腕部分103a、104aと、これらの先端から相互に平行に延びている平行腕部分103b、104bとを備えている。平行腕部分103b、104bの先端は連結ピン106a、106bを中心として左右に回転自在の状態で型支持部材94、95の背面側の両端に連結されている。
【0070】
型開閉機構33は、型締め状態においては図6、図8において実線で示す状態にある。この状態から昇降軸98を下降させると、スライダ100はターンテーブル28の中心側に向けて水平方向にスライドして、想像線で示す位置100Aに到る。スライダ100がスライドすると、ここに連結されている左右の操作アーム103、104も全体としてターンテーブル28の中心側に移動する。この結果、操作アーム103、104の端に連結されている左右の型支持部材94、95が垂直軸96を中心として左右に開き、図8において想像線で示す位置となり、これらに支持されている左右の成形型部材30、31が開く。これにより型開き状態が形成される。この状態において、昇降軸98を上昇させて図6において実線で示す位置に戻すと、スライダ100がブロー成形型29に接近する方向にスライドするので、操作アーム103、104の端に連結されている左右の型支持部材94、95が垂直軸96を中心として相互に閉じた状態になり、型締め状態が形成される。
【0071】
ここで、昇降軸98の昇降は、昇降用カム機構110によって行われる。昇降用カム機構110は、昇降軸98の下端部分に取り付けたカムフォロワ111と、装置架台40に支持されている円筒状部材112の外周面に形成された円筒カム溝113を備えている。ターンテーブル28が回転すると、カムフォロワ111が円筒カム溝113に沿ってスライドする。ターンテーブル28の回転位置に応じて円筒カム溝113が上下するようにしておけば、昇降軸98をターンテーブル28の回転に応じて昇降させることができる。すなわち、ブロー成形型29をターンテーブル28の回転角度位置に応じて開閉することができる。
【0072】
なお、昇降軸98の下端部分には昇降スライダ114が固定されており、この昇降スライダ114は、型支持板97に形成した下方に垂直に延びている垂直板部分に取り付けた垂直スライドガイド115に沿って昇降するようになっている。
【0073】
次に、左右の型支持部材94、95の開閉端には、当該型支持部材を閉じ状態に保持するための閉止機構120が備わっている。この閉止機構120は、昇降式の止めピン121と、この止めピン121を上側から差し込み可能な型支持部材94、95の開閉端に形成されたピン穴94a、95aと、止めピン121をピン穴94a、95aから差し抜かれた状態にロックするためのロック機構122とを備えている。また、止めピン121を昇降させるためのカム機構123を備えている。
【0074】
ロック機構122は、止めピン121の外周面に形成した溝121aと、この溝121aに嵌め込み可能な型支持部材の側に配置したボール124と、このボール124を止めピン121の外周面にむけて付勢しているコイルばね125とを備えたプランジャから構成されている。また、カム機構123は、止めピン121の下端に取り付けたカムフォロワ126と、このカムフォロワ126がスライドするカム溝127とを備えている。カム溝127は、装置架台40に支持されている部材の円形内周面に形成されたカム溝である。
【0075】
ターンテーブル28の回転位置に応じて、止めピン121は図6、7、9に示すロック位置に下降すると共に、ピン穴94a、95aから外れた位置まで上昇する。型開閉機構33の開閉に連動させ、止めピン121を昇降させて、型締め状態においては止めピン121によって閉じ状態に保持する。また、開き状態においては、プランジャからなるロック機構によって止めピン121がピン穴94a、95aから落下することが防止される。
【0076】
このように構成したブロー成形型29の型開閉機構33では、昇降軸98の昇降運動をスライダ100のスライド運動に変換し、スライダ100のスライド運動を一対の操作アーム103、104を介して、左右の成形型部材30、31を支持している型支持部材94、95の開閉運動に変換するようにしている。従って、3本以上の多数のアームを用いて構成されるリンク機構によって型開きおよび型締めを行う従来の型開閉機構に比べて、型開閉機構を小型でコンパクトに構成できる。特に、ブロー成形型29の背面からターンテーブルの中心方向への長さ寸法を短くできる。この結果、ターンテーブル28を回転自在に支持しているスラスト軸受91を、ブロー成形型29の直下に近い位置に設置できる。よって、重量のあるブロー成形型が搭載されているターンテーブル28の回転運動を円滑に行わせることができる。
【0077】
また、左右の型支持部材94、95を閉じ状態にロックするためのロック機構122は、止めピン121の外周面に形成した溝121aにボール124を嵌めこむ構成であるから、確実に止めピン121を固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明を適用した二軸延伸ブロー成形装置の全体構成を示す概略平面図である。
【図2】図1の二軸延伸ブロー成形装置における第1の移送機構を示す平面図である。
【図3】図2の第1の移送機構を示す断面図である。
【図4】図1の二軸延伸ブロー成形装置における反転移送機構を示す断面図である。
【図5】図4の反転移送機構の拡大部分断面図である。
【図6】図1の二軸延伸ブロー成形装置におけるロータリ式のブローステーションを示す部分断面図である。
【図7】図6のブロー成形型の型開閉機構を示す部分断面図である。
【図8】図6のブロー成形型の型開閉機構の平面構成図である。
【図9】図6の型開閉機構の開閉端側の側面を示す側面図である。
【図10】図6の型開閉機構の開閉中心側の側面を示す側面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 二軸延伸ブロー成形装置
2 プリフォーム
2a 口部
2b 口部フランジ
3 プリフォーム供給ステーション
4 加熱ステーション
5 ペットボトル
6 ブローステーション
7 回収ステーション
9 第1の円環状搬送路
12 第2の円環状搬送路
13 第1の移送機構
14 第3の円環状搬送路
15 マンドレル
16 反転移送機構
17 第4の円環状搬送路
18 第2の移送機構
25 搬送路部分
26 第5の円環状搬送路
27 第3の移送機構
28 ターンテーブル
28a 回転中心線
29 ブロー成形型
30、31 左右の成形型部材
33 型開閉機構
34 第6の円環状搬送路
40 装置架台
43 ターンテーブル
44 円環状ガイドレール
45 スライダ
46 保持板
46a 保持溝
47 揺動ピン
49 揺動アーム
50 スライド式連結部
51 長孔
52 カムフォロワピン
53 カム機構
55 変形ハート型のカム溝
56 カムフォロワ
63 ターンテーブル
65 円筒部材
65a 軸線
66 スライド軸
67 リンク機構
68 グリッパ
68a、68b 開閉爪
71 スライダ
72 第1のカムフォロワ
73 第2のカムフォロワ
74 第1のカム溝
75 第2のカム溝
81 円筒カム面
82 ローラ
83 コイルばね
85 マンドレルホルダ
86 ガイド軸
87 昇降スライダ
88 カムフォロワ
89a 円筒カム溝
91 スラスト軸受
94、95 型支持部材
94a、95a ピン穴
96 垂直軸
97 型支持板
98 昇降軸
99 スライドガイド
100 スライダ
101 連結アーム
102 開閉用リンク機構
103、104 操作アーム
110 昇降用カム機構
111 カムフォロワ
113 円筒カム溝
114 昇降スライダ
120 閉止機構
121 止めピン
121a 溝
122 ロック機構
123 カム機構
124 ボール
125 コイルばね
126 カムフォロワ
127 カム溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正立状態でプリフォームを供給するプリフォーム供給ステーションと、プリフォームを搬送しながら、ブロー成形に適した温度状態に加熱する加熱ステーションと、加熱後のプリフォームをブローしてブロー成形品を成形するブローステーションと、ブロー成形品を回収する回収ステーションとを有するブロー成形装置において、
前記プリフォーム供給ステーションから供給されるプリフォームを、第1の送りピッチで搬送する第1の円環状搬送路と、
この第1の円環状搬送路からプリフォームを受け取り、第2の円環状搬送路に沿って搬送しながら送りピッチを第1の送りピッチよりも広い第2の送りピッチに変更する第1の移送機構と、
この第2の円環状搬送路から、第2の送りピッチで搬送されるプリフォームを受け取り、第3の円環状搬送路に沿って搬送しながらプリフォームを倒立状態に反転し、しかる後に、倒立状態のプリフォームの口部に下側からマンドレルを差し込む反転移送機構と、
前記第3の円環状搬送路から、マンドレルが差し込まれた状態で搬送されているプリフォームを受け取り、第4の円環状搬送路に沿って搬送しながら、送りピッチを第2の送りピッチから第1の送りピッチに変更する第2の移送機構と、
前記加熱ステーションに形成された、前記第4の円環状搬送路からマンドレルが差し込まれた状態のプリフォームを受け取る円弧状搬送路部分と、
前記円弧状搬送路部分から、加熱後のプリフォームを受け取り、第5の円環状搬送路に沿って搬送しながら、送りピッチを第1の送りピッチから第2の送りピッチに変更する第3の移送機構とを有し、
前記ブローステーションにおいて第6の円環状搬送路に沿って第2の送りピッチで搬送されているブロー成形型により、前記第5の円環状搬送路に沿って第2の送りピッチで搬送されているプリフォームを受け取り、
前記反転移送機構は、前記ブロー成形型からブロー成形品を受け取り、前記第3の円環状搬送路に沿って搬送しながら、倒立状態のブロー成形品の口部に差し込まれているマンドレルを下方に引き抜き、しかる後に、倒立状態のブロー成形品を反転して正立状態にし、
当該反転移送機構から前記回収ステーションにブロー成形品が回収されることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1、第2および第3の移送機構は、
ターンテーブルと、
このターンテーブルの表面に、当該ターンテーブルの回転中心が中心となるように固定した円環状ガイドレールと、
この円環状ガイドレールに沿ってスライド可能な複数個のスライダと、
各スライダに形成された、プリフォームあるいはブロー成形品を保持するための保持部と、
前記ターンテーブルにおける前記円弧状ガイドレールの内側位置において、当該ターンテーブルの回転中心を中心とする同心円上に一定の角度間隔で回転自在の状態で配列された揺動ピンと、
前記ターンテーブルの回転に伴って、各揺動ピンを中心として前記ターンテーブルの表面に沿って揺動する複数の揺動アームと、
各揺動アームの揺動端を、各スライダに対して当該揺動アームの軸線方向にスライド可能な状態で連結しているスライド式連結部と、
を有していることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項3】
請求項2において、
各揺動アームを前記ターンテーブルの回転に伴って揺動させる揺動用カム機構を有し、
このカム機構は、各揺動ピンから直交する方向に延びているアームと、このアームの先端に取り付けたカムフォロワと、このカムフォロワがスライドするカム溝が形成されている固定盤とを備えていることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項4】
請求項1、2または3において、
前記反転移送機構は、
ターンテーブルと、
このターンテーブルの表面において、当該ターンテーブルの回転中心を中心として放射状に延びていると共に、当該ターンテーブルによって回転可能な状態で支持されている円筒部材と、
この円筒部材の中空部を貫通して延びていると共に、当該円筒部材と一体回転する軸部材と、
この軸部材の外端に取り付けられ、プリフォームおよびブロー成形品の口部を保持可能であり、前記ターンテーブルが回転すると前記第2の円環状搬送路に沿って移動するグリッパと、
前記ターンテーブルの回転に伴って、前記円筒部材を180度回転させる回転用カム機構と、
倒立状態の当該プリフォームあるいはブロー成形品の口部に対して、マンドレルを抜き差しするための抜き差し機構とを有していることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記回転用カム機構は、
前記円筒部材の軸線方向に往復移動可能なスライダに形成された第1および第2のカムフォロワと、
前記円筒部材の外周面に沿って螺旋状に180度の角度範囲に亘って形成された、前記第1のカムフォロワがスライドする第1のカム溝と、
固定盤の表面に形成された、前記第2のカムフォロワがスライドする第2のカム溝とを備えており、
前記ターンテーブルの回転に応じて、前記スライダが半径方向に往復移動するように、前記第2のカム溝の形状が規定されていることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記グリッパは開閉可能な一対の開閉爪を備えており、
さらに、前記開閉爪を開閉する爪開閉機構を有し、
この爪開閉機構は、前記軸部材を前記円筒部材の軸線方向にスライドさせるスライド用カム機構と、前記軸部材のスライドを前記開閉爪の開閉動作に変換するリンク機構とを備えていることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項7】
請求項4、5または6において、
前記抜き差し機構は、各グリッパの直下の位置において昇降可能なマンドレル支持部材と、このマンドレル支持部材を前記ターンテーブルの回転に応じて昇降させる昇降用カム機構とを備えていることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項において、
前記ブロー成形型は、左右に開閉可能な一対の成形型部材から構成されており、
さらに、当該ブロー成形型を左右に開閉するための型開閉機構を有しており、
この型開閉機構は、
複数のブロー成形型が一定の角度間隔で搭載されたターンテーブルと、
このターンテーブルの回転に伴って昇降する昇降軸と、
前記昇降軸の昇降に伴って、前記ブロー成形型の開閉方向に直交する方向にスライドするスライダと、
このスライダのスライド運動を前記ブロー成形型の開閉運動に変換する一対の操作アームと、
を有していることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記スライダと前記一対の成形型部材との間に前記昇降軸が配置されていることを特徴とするブロー成形装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記成形型部材をそれぞれ支持している左右の型支持部材と、
当該型支持部材を閉じ状態に保持するための閉止機構とを有しており、
この閉止機構は、昇降式の止めピンと、この止めピンを上側から差し込み可能な前記型支持部材の開閉端に形成されたピン穴と、前記止めピンを前記ピン穴から抜かれた状態でロックするためのロック機構とを備えており、
このロック機構は、前記止めピンの外周面に形成したくぼみと、このくぼみに嵌め込み可能な前記型支持部材の側に配置したボールと、このボールを前記止めピンの側に付勢しているばね部材とを備えていることを特徴とするブロー成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−302707(P2008−302707A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243510(P2008−243510)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【分割の表示】特願2002−325050(P2002−325050)の分割
【原出願日】平成14年11月8日(2002.11.8)
【出願人】(594082648)株式会社フロンティア (34)
【Fターム(参考)】