説明

プッシュロッド保持具を備えるガスケット

ロッカ部材と下側本体(34、14)から上側本体(42、34)へと延びるプッシュロッド(44)との中間にある心棒(36)の周りで揺動するようになされ、ロッカ部材(41)の端部に係合するロッカ部材(32)を有するエンジン(10)において、下部本体を上部本体に対してシールするガスケット(48、58)が提供される。ガスケット(48、54)は、上側本体の少なくとも一部分を下側本体に対して実質的にシールするようになされたシール部分(56、58)と、シール部分(56、58)から外側へと延び、プッシュロッド(44)に係合するようになされたプッシュロッド支持部(60)とを備える。プッシュロッド(44)に係合するプッシュロッド支持部(60)の少なくとも一部分は、プッシュロッドの材料よりも軟質の材料で構築される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「プッシュロッド保持具(pushrod retainer)を備えるガスケット」という名称の、2003年11月20日出願の米国特許出願第10/718,431号の利益を要求するものである。
【0002】
本発明は、弁を動作させるためにプッシュロッドを使用するエンジンに関し、より詳細には、組立て時にプッシュロッドを位置合せするためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
弁を動作させるためにプッシュロッド(pushrod)を使用するエンジンでは、プッシュロッドは、大抵ロッカ(rocker)の端部とカム・フォロア(cam follower)またはリフタ(lifter)の間で捉えられる。ロッカおよびリフタは、プッシュロッドをエンジン内での動作のために軸方向および横方向に配置し、また、プッシュロッドがそこを通るヘッドおよびブロック内の通路は、プッシュロッドの周囲で緩む。たとえばヘッドとの組立て前またはそうではなくロッカが取り外されたときなど、ロッカが存在しない場合、プッシュロッドは定位置に保持されず、通路の横に倒れる。したがって、ロッカをヘッドに組み付ける間、プッシュロッドをロッカの端部と位置合せして支持しなければならない。
【0004】
ロッカをヘッドに組み付けるときにプッシュロッドをロッカの端部に位置合せして保持することは、困難であることが多い。プッシュロッドへのアクセスは、プッシュロッドに隣接するその他の構成要素、およびヘッド本体またはロッカ・ボックス自体によって限定されている。プッシュロッドへのアクセスが困難であることに加え、プッシュロッドを支持しながらロッカを設置するには、高度な器用さが求められる。プッシュロッドを支持すること、プッシュロッドをロッカの端部に係合すること、ロッカをロッカ・ボックス内に配置すること、ロッカの反対側端部を弁または弁帽に係合させること、ロッカを定位置に保持するいかなるボルトも初めにねじ込むことなどを含むいくつかの作業を同時に行わなければならない。エンジンのサイズが大きくなるにつれて、部品がより大きくより重くより扱いにくくなるので、組立てはより難しくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ロッカとプッシュロッドの組立てを単純化する装置およびその使用法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プッシュロッドをロッカに対して支持するための装置、および、プッシュロッドをロッカに対して支持するようにしてエンジンを組み立てる方法に関する。
【0007】
例示的な一実施形態は、エンジンの下側本体をエンジンの上側本体に対してシールするためのガスケットに関する。エンジンは、ロッカ部材と下側本体から上側本体へと延びロッカ部材の一端部に係合するプッシュロッドとの中間にある軸の周りで揺動するようになされた、ロッカ部材を備える。ガスケットは、上側部分の少なくとも一部分を下側部分に対して実質的にシールするようになされたシール部分と、シール部分から外側へと延び、プッシュロッドに係合するようになされたプッシュロッド支持部とを備える。プッシュロッドに係合するプッシュロッド支持部の少なくとも一部分は、プッシュロッドの材料よりも軟質の材料から構築される。
【0008】
別の例示的な実施形態は、プッシュロッドによって動作する1つまたは複数の弁を備えるエンジンに関する。エンジンは、エンジン・ブロック・アセンブリ、およびエンジン・ブロック・アセンブリ上に取り付けられたヘッドを備える。ヘッドは、プッシュロッドおよび1つまたは複数の弁を少なくとも部分的に受ける。上側本体は、ヘッド上に取り付けられる。ガスケットは、ヘッドと上側本体の間にある。ガスケットは、上側本体をヘッドに対して実質的にシールするようになされたシール部分、および、シール部分から外側へと延びプッシュロッドに係合するプッシュロッド支持タブを備える。プッシュロッドに係合するプッシュロッド支持タブの少なくとも一部分は、エンジンが動作するとき磨耗するようになされる。
【0009】
さらに別の例示的な実施形態は、エンジン・アセンブリの一部分を組み立てる方法に関する。この方法は、プッシュロッド係合部材を有するガスケットを下側エンジン本体上に配置することを含む。プッシュロッド係合部材は、エンジン動作時に磨耗するようになされる。細長いプッシュロッドは、エンジン本体内に、ガスケットのプッシュロッド係合部材と当接係合して配置される。細長い押圧部材はその後、ガスケットとともに細長い押圧部材の長手軸に対して実質的に垂直にして支持される。
【0010】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細を、添付の図面および以下の説明において示す。本発明のその他の特徴、目的、および利点は、説明および図面、ならびに添付の特許請求項の範囲から明らかになる。
【0011】
様々な図面における同様の参照符号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず図1Aおよび図1Bを参照すると、本発明にしたがって構築された例示的な一実施形態で、エンジン10が、ブロック12およびヘッド14を備える。ヘッド14は、エンジン10の内部、たとえば燃焼室と連通する対応する数の入口および出口ポート22内に少なくとも部分的に存在する、1つまたは複数の直線往復運動する弁20を備える。弁20は、入口および出口ポート22を通りエンジン10の内部へと流れる流体の流れを制御するように動作する。弁20は、それぞれのポート22とエンジン10内部の間の流れを可能にする開位置と、それぞれのポート22とエンジン10内部の間の流れを遮断する閉位置との間で、実質的に直線往復運動する。図1Aおよび図1Bの例示的な実施形態では、弁20は、最高位置にあるときに閉じられ、最低位置にあるときに開く。弁を閉位置に偏倚させるためのばね30が、各弁20に設けられる。
【0013】
弁20は、ヘッド14のロッカ・ボックス34によって旋回可能に担持される1つまたは複数のロッカ32によって、開位置と閉位置の間で平行移動する。ロッカ・ボックス34は、ヘッド14と一体とすることができ、またヘッド14に固定された別個の部片とすることもできる。ロッカ32はその両端部の中間に、ロッカ32を少なくとも1つの平面内でヘッド14に対して揺動させることが可能になるようになされた旋回軸36を有する。図1Aおよび図1Bの例示的な実施形態で、旋回軸36は、ロッカ・ボックス34によって支持された円筒心棒40を受ける、円筒ボア(cylindrical bore)38をロッカ32内に備える。ロッカ・ボックス・カバーまたは弁カバー42が、ロッカ・ボックス34内の弁20およびロッカ32を実質的に取り囲むように、ロッカ・ボックス34に取り付けられる。
【0014】
ロッカ32の一端部は、弁20の一端部上に作用するように構成される。図1Aおよび図1Bの例示的な実施形態では、ロッカ32は、2つの隣接する弁20の一端部上の弁帽43を介して弁20に作用し、それによって2つの弁20をほぼ同時に押し下げる。ただしロッカ32は、弁20上に直接、またはいかなる数の弁20に係合する弁帽43を介して作用することもできる。ロッカ32の反対側の端部は、ヘッド14を貫通して上方へと延びる細長いプッシュロッド44に係合するようになされる。プッシュロッド44に対するロッカ32の係合は、ロッカ32とプッシュロッドの間の相対的な角運動を可能にしながら、プッシュロッド44の端部に横方向の支持をもたらすタイプのものである。図3の例示的な実施形態で、ロッカ32の端部は、プッシュロッド44上の対応する球面プロファイル45と対合する、球面プロファイル41を有する。球面プロファイル41は、雄または雌プロファイルのいずれかとすることができ、したがってそれに対応する球面プロファイル45は、雄雌をそれと反対にする。ただし、ロッカ32およびプッシュロッド44のその他の構成が、本発明の範囲内で可能であることに留意することが重要である。
【0015】
プッシュロッド44は、プッシュロッドの長手軸とほぼ同時にプッシュロッド44を往復運動させるリフタのフォロア(特に図示せず)などによって、カムに結合される。プッシュロッド44、ロッカ32、および弁20は、プッシュロッド44がロッカ32の端部に向かって動くことによって、ロッカ32が弁20に向かって揺動し、弁20に対して作用し、かつ弁20を開位置へと平行移動させることになるように構成される。その後、プッシュロッド44がロッカ32から離れて動くことによって、ロッカ32が弁20から離れて揺動することが可能になる。ばね30は、弁20を偏倚させて閉じ、ロッカ32をプッシュロッド44の方へと戻して揺動させる。
【0016】
組み立てられると、プッシュロッド44は、カムとロッカ32の間で横方向および軸方向に拘束される。ただしロッカ32との組立て前に、プッシュロッド44は、ヘッドおよび/またはロッカ・ボックス内で横方向にあちこち動き回ることができる。組立て時は、ロッカ32をロッカ・ボックス34に取り付けるときに、各プッシュロッド44をロッカ32の端部と位置合せし、定位置に保持しなければならない。ロッカ・ボックス34の上面は、ロッカ・ボックス34の周囲を実質的に取り囲み弁カバー42上の対応する弁カバーシール面46と対合する、上側シール面47を画成する。弁カバー・ガスケット48が、弁カバーシール面46と上側シール面47の間に設けられており、上側シール面47を実質的に取り囲むシール部分(seal portion)56を有する。シール部分56は、ロッカ・ボックス34と弁カバー42の間でオイルおよびエンジン冷媒などの流体の通過を実質的にシールするようになされる。ロッカ・ボックス34がヘッド14と一体でない場合、ロッカ・ボックス34の下面は、ロッカ・ボックス34の周囲を実質的に取り囲みヘッド14上の対応するヘッドシール面52と対合する、下側シール面50を画成する。下側ロッカ・ボックス・ガスケット54が、下側シール面50とヘッドシール面52の間に設けられ、下側シール面50を実質的に取り囲むシール部分58を有する。シール部分58は、ロッカ・ボックス34とヘッド14の間でオイルおよび冷媒などの流体の通過を実質的にシールするようになされる。
【0017】
下側ロッカ・ボックス・ガスケット54および弁カバー・ガスケット48が耐えなければならない温度および圧力は、たとえばエンジン・ブロックに対してヘッドをシールする典型的なヘッド・ガスケット(特に図示しない)など、その付近のその他のエンジン・ガスケットに比べて比較的低い。ヘッド・ガスケットは、1300℃(2370°F)の範囲の高い燃焼温度、および14,000kPa(2000psi)の範囲の燃焼圧力に耐えなければならず、通常たとえば175℃(350°F)未満および700kPa(100psi)未満の温度および圧力下におかれる下側ロッカ・ボックス・ガスケット54または弁カバー・ガスケット48と非常に異なる。したがって、下側ロッカ・ボックス・ガスケット54および弁カバー・ガスケット48は、ガスケットをヘッド・ガスケットと異なり軟質かつ可撓性にすることを可能にする、ポリマー材料(たとえばゴム、シリコーン、アラミド)およびセルロース(たとえばコルク、紙)など様々な材料製とすることができる。場合によっては、ポリマーまたはセルロース材料を、鋼、アルミニウム、または銅などの、金属支持体上に付着させる。反対にヘッド・ガスケットは、金属(鋼、アルミニウム、または銅)またはグラファイトなど、一般に硬質で剛性のシール面を有する。
【0018】
下側ロッカ・ボックス・ガスケット54または弁カバー・ガスケット48のうち少なくとも一方に、ロッカ・ボックス・ガスケット54に関連して図2に最もよく示される、1つまたは複数のプッシュロッド支持タブ60が設けられる。プッシュロッド支持タブ60は、実質的に平坦であり、ガスケット48および54の隣接するシール部分56および58とほぼ共面である。プッシュロッド支持タブ60は、シール部分56または58から外側に延び、少なくとも1つのプッシュロッド44と係合する(図1A)。そのような係合は、プッシュロッド44を、ロッカ32の端部と位置合せまたは大まかに位置合せして横方向に支持し、ロッカ32がまだ定位置にない場合は、さらに実質的に位置合せすることなくロッカ32の端部を容易に係合させるための位置で、横方向に支持する。たとえば、対合する球面プロファイル41および45を使用する一実施形態(図3)では、プッシュロッド支持タブ60がプッシュロッド44を係合させることによって、球面プロファイル45の中心が球面プロファイル41の中心より球面プロファイル41の片側の半径内に入るように、ロッカ32に対してプッシュロッド44を横方向に維持することができ、球面プロファイル41および45が、ロッカ32を設置するときに必要ないかなる追加の細かい位置合せを実現することも可能になる。
【0019】
図1Aおよび図1Bの例示的な実施形態で、タブ60は、2つのプッシュロッド44に同時に係合する。プッシュロッド支持タブ60は、エンジン10内のすべてのプッシュロッド44、またはエンジン10内のそれより少ないプッシュロッド44を支持するために設けることができる。プッシュロッド支持タブ60には、支持スタブまたは締結具66(図1A)をシール部分56、58より内側で受けるための1つまたは複数の開口64を設けることもでき、プッシュロッド支持タブ60は、ヘッド14またはロッカ・ボックス34によって担持することができる。支持スタブまたは締結具66は、開口64から挿入され、タブ60を、ロッカ・ボックス34に対して所望の向きに支持する。図1Aの例示的な実施形態で、支持スタブまたは締結具66は、プッシュロッド支持タブ60を、プッシュロッド44の長手軸に対してほぼ垂直に支持する。開口64および支持スタブまたは締結具66を設けることによって、プッシュロッド支持タブ60を、ガスケットから外側に片持ち梁のように支持し、1つの縁部のみに沿ってシール部分56または58に取り付けることができる。必要に応じて、開口64および支持スタブまたは締結具66を省略することができる。
【0020】
プッシュロッド支持タブ60は、プッシュロッド44を様々なやり方で係合することができる。たとえば、係合は、プッシュロッド44を横方向に支持する単なる当接係合とすることができ、または、プッシュロッド44を受けるように構成された開口62を支持タブ60に設け、プッシュロッド44を横方向に支持することができる。図1Aおよび図1Bの例示的な実施形態で、開口62は、C字形であり、C字形の開口部を通してプッシュロッド44を受け、その後プッシュロッド44を少なくとも部分的に取り囲み横方向に支持する。開口62は、C字形であるまたはプッシュロッド44の一部を取り囲む必要はなく、完全な円形開口、切欠き、くぼみなどの、プッシュロッド44に横方向の支持をもたらすその他様々な形状とすることができる。
【0021】
支持タブ60は、シール部分56または58と実質的に同じ材料で構成することができ、あるいは、支持タブ60は代わりにまたはさらに、別の材料を含むことができる。別の材料は、支持タブ60に剛度をもたらすために、シール部分56または58の材料より可撓性を低くすることができる。たとえば、支持タブ60は、外部にポリマー材料を付着させまたは形成した金属支持体とすることができ、または、開口62に挿入されたポリマーのブシュを備えることができる。開口62などの、プッシュロッド44に係合する材料の少なくとも一部分は、それが接触するプッシュロッド44の材料よりはるかに軟質でよい。したがってたとえば、プッシュロッド44は通常、硬化鋼または硬化アルミニウム製であり、プッシュロッド44に係合する支持タブ60の少なくとも一部分は、シール部分56または58のポリマーまたはセルロース材料などのはるかに軟質の材料製とすることができる。より軟質な材料は、エンジンが係合位置でプッシュロッド44に悪影響を及ぼしたり早すぎる磨耗を生じたりすることなく動作するとき(プッシュロッド44の運動によって)比較的急速に劣化または磨耗するように選択することができる。そのようなより軟質な材料を用いる場合、プッシュロッド44のさらなる硬化または陽極処理は不要である。金属プッシュロッド44の例では、エンジンがプッシュロッド44に悪影響を及ぼしたり早すぎる磨耗を生じたりすることなく動作するとき、ポリマーまたはセルロース材料は急速に磨耗する。
【0022】
劣化または磨耗するより軟質な材料を提供する、またはそのようなより軟質な材料と組み合わせる代わりに、プッシュロッド44がロッカ32の設置によってさらに位置合せされるときまで、プッシュロッド44が開口62の内部に係合するように、1つまたは複数の開口62をサイズ決めすることができる。ロッカ32によって係合されるとき、プッシュロッド44は、開口62の内部で支持され、開口62の内部または支持タブ60に実質的に接触せずに、その正常な運動範囲で動くことができる。本明細書における例示的な実施形態でのプッシュロッド44の正常な運動範囲は、プッシュロッド44の長手軸に沿った往復運動、ならびに、ロッカ32の揺動によって生じるいくらかの横方向運動を含む。
【0023】
プッシュロッド支持タブ60を有する、下側ロッカ・ボックス・ガスケット54または弁カバー・ガスケット48を使用することにより、エンジン10の組立てが容易になる。ヘッド14をブロック12に設置した後、下側ロッカ・ボックス・ガスケット54をヘッド14およびヘッド14に固定されたロッカ・ボックス34上に配置することができる。プッシュロッド44は、カムと結合するようにヘッド14を貫通して挿入され、また、プッシュロッド44を支持するために、下側ロッカ・ボックス・ガスケット54のプッシュロッド支持タブ60によって係合される。C字形開口62の場合、プッシュロッド44は、開口52によって実質的に取り囲まれるように、C字形の開口部を通して受けられる。たとえばロッカ・ボックス34がヘッド14と一体であるなどロッカ・ボックス・ガスケット54を使用しない、あるいはロッカ・ボックス・ガスケット54にプッシュロッド支持タブ60が設けられない場合、プッシュロッド支持タブ60を備える弁カバー・ガスケット48が、ロッカ・ボックス34上に設置され、プッシュロッド44が、弁カバー・ガスケット48のプッシュロッド支持タブ60によって係合される。いずれの場合も、プッシュロッド44は、それぞれのロッカ32の端部と容易に係合するための定位置で支持される。ロッカ32は次いで、実質的なさらなる支持またはプッシュロッド44への位置合せなしで設置することができ、プッシュロッド44は、カム・フォロアまたはリフタおよびロッカ32によって支持されることになる。エンジン10の動作時に、プッシュロッド支持タブ60は劣化または磨耗するが、プッシュロッド44はカム・フォロアまたはリフタとロッカ32の間で横方向に支持されているので、プッシュロッド支持タブ60によってもたらされる支持は不必要となる。さらに、プッシュロッド44に係合するプッシュロッド支持タブ60の少なくとも一部分がプッシュロッド44の材料よりも軟質の材料製である場合、プッシュロッド支持タブ60は、プッシュロッド44に悪影響を与えたり早すぎる磨耗を生じたりしない。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態を説明してきた。ただし、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正を加えることができることが理解されるであろう。したがって、その他の実施形態は添付の特許請求の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】本発明による、プッシュロッド支持タブを有する下側ロッカ・ボックス・ガスケットを備えるエンジンの部分分解斜視図である。
【図1B】本発明による、プッシュロッド支持タブを有する弁カバー・ガスケットを備えるエンジンの部分分解斜視図である。
【図2】本発明の下側ロッカ・ボックス・ガスケットの平面図である。
【図3】ロッカおよびプッシュロッドの詳細断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの下側本体を前記エンジンの上側本体に対してシールするためのガスケットであって、前記エンジンが、ロッカ部材とプッシュロッドの中間にある軸の周りで揺動するようになされたロッカ部材を有し、前記ロッカ部材が、前記上側本体内に配置され、前記プッシュロッドが、前記下側本体から前記上側本体へと延び前記ロッカ部材の一端部に係合し、前記ガスケットが、
前記上側本体の少なくとも一部分を前記下側部分に対して実質的にシールするようになされたシール部分と、
前記シール部分から外側へと延び、前記プッシュロッドに係合するようになされたプッシュロッド支持部であって、前記プッシュロッドに係合する前記プッシュロッド支持部の少なくとも一部分が前記プッシュロッドの材料よりも軟質の材料で構築される、プッシュロッド支持部とを備え、
前記上側本体がロッカ・ボックスを備え、前記下側本体がヘッドを備え、前記シール部分が前記ロッカ・ボックスの少なくとも一部分を前記ヘッドに対して実質的にシールするようになされたガスケット。
【請求項2】
エンジンの下側本体を前記エンジンの上側本体に対してシールするためのガスケットであって、前記エンジンが、ロッカ部材とプッシュロッドの中間にある軸の周りで揺動するようになされたロッカ部材を有し、前記ロッカ部材が、前記上側本体内に配置され、前記プッシュロッドが、前記下側本体から前記上側本体へと延び前記ロッカ部材の一端部に係合し、前記ガスケットが、
前記上側本体の少なくとも一部分を前記下側本体に対して実質的にシールするようになされたシール部分と、
前記シール部分から外側へと延び、前記プッシュロッドに係合するようになされたプッシュロッド支持部であって、前記プッシュロッドに係合する前記プッシュロッド支持部の少なくとも一部分が前記プッシュロッドの材料よりも軟質の材料で構築される、プッシュロッド支持部とを備え、
前記上側本体が弁カバーを備え、前記下側本体がヘッドを備え、前記シール部分が前記弁カバーの少なくとも一部分を前記ヘッドに対して実質的にシールするようになされたガスケット。
【請求項3】
前記プッシュロッドに係合する前記プッシュロッド支持部の少なくとも一部分が、ポリマーおよびセルロースからなる群から選択される材料を含む、請求項1または2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記プッシュロッドが、金属を含む材料から構築される、請求項3に記載のガスケット。
【請求項5】
前記シール部分が、前記プッシュロッド支持部と実質的に同じ材料を含む、請求項1または2に記載のガスケット。
【請求項6】
前記プッシュロッド支持部がさらに、前記プッシュロッドを受け前記プッシュロッドの横方向運動に対抗する実質的な支持を提供するようになされたほぼC字形の開口部を備える、請求項1または2に記載のガスケット。
【請求項7】
前記プッシュロッド支持部がさらに、前記プッシュロッドを受け前記プッシュロッドを前記プッシュロッド支持部に対して実質的に支持するようになされた開口を備える、請求項1または2に記載のガスケット。
【請求項8】
金属ガスケット上に付着させたポリマー材料をさらに含む、請求項7に記載のガスケット。
【請求項9】
プッシュロッドによって動作する1つまたは複数の弁を備えるエンジンにおいて、
エンジン・ブロック・アセンブリと、
前記エンジン・ブロック・アセンブリに取り付けられ、前記プッシュロッドおよび前記1つまたは複数の弁を少なくとも部分的に受けるヘッドと、
前記ヘッド上に取り付けられた上側本体と、
前記ヘッドと前記上側本体の間のガスケットであって、前記ガスケットが、前記上側本体を前記ヘッドに対して実質的にシールするようになされたシール部分、および前記シール部分から外側へと延び前記プッシュロッドに係合するプッシュロッド支持タブを備え、前記プッシュロッドに係合する前記プッシュロッド支持タブの少なくとも一部分は、前記エンジンが動作するときに磨耗するようになされたガスケットとを備え、
前記上側本体が弁カバーであるエンジン。
【請求項10】
プッシュロッドによって動作する1つまたは複数の弁を備えるエンジンにおいて、
エンジン・ブロック・アセンブリと、
前記エンジン・ブロック・アセンブリに取り付けられ、前記プッシュロッドおよび前記1つまたは複数の弁を少なくとも部分的に受けるヘッドと、
前記ヘッド上に取り付けられた上側本体と、
前記ヘッドと前記上側本体の間のガスケットであって、前記ガスケットが、前記上側本体を前記ヘッドに対して実質的にシールするようになされたシール部分、および前記シール部分から外側へと延び前記プッシュロッドに係合するプッシュロッド支持タブを備え、前記プッシュロッドに係合する前記プッシュロッド支持タブの少なくとも一部分は、前記エンジンが動作するときに磨耗するようになされたガスケットとを備え、前記上側本体がロッカ・ボックスであるエンジン。
【請求項11】
前記プッシュロッドが金属を含み、前記ガスケットがポリマー材料およびセルロース材料の少なくとも一方を含む、請求項9または10に記載のエンジン。
【請求項12】
前記ガスケットおよびプッシュロッド支持タブが、ポリマー材料を含む、請求項9または10に記載のエンジン。
【請求項13】
前記ヘッドによって担持され、前記プッシュロッド支持タブを前記プッシュロッドの長手軸に対して実質的に垂直に支持するようになされたタブ支持部材をさらに備える、請求項9または10に記載のエンジン。
【請求項14】
エンジン・アセンブリの一部分を組み立てる方法であって、
前記エンジンの動作時に磨耗するようになされたプッシュロッド係合部材を備えるガスケットを、下側エンジン本体上に配置することと、
細長いプッシュロッドを前記エンジン本体内に、前記ガスケットの前記プッシュロッド係合部材と当接係合させて配置することと、
前記細長いプッシュロッドを、前記ガスケットを用いて前記細長いプッシュロッドの長手軸とほぼ垂直に支持することとを含み、
前記下側エンジン部材がエンジン・ヘッドである方法。
【請求項15】
エンジン・アセンブリの一部分を組み立てる方法であって、
前記エンジンの動作時に磨耗するようになされたプッシュロッド係合部材を備えるガスケットを、下側エンジン本体上に配置することと、
細長いプッシュロッドを前記エンジン本体内に、前記ガスケットの前記プッシュロッド係合部材と当接係合させて配置することと、
前記細長いプッシュロッドを、前記ガスケットを用いて前記細長いプッシュロッドの長手軸とほぼ垂直に支持することとを含み、
前記プッシュロッドが金属を含み、前記プッシュロッド係合部材の少なくとも一部分が、ポリマーおよびセルロース材料の少なくとも一方を含む方法。
【請求項16】
前記プッシュロッドを、前記プッシュロッド係合部材のプッシュロッド係合開口内に挿入することをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記プッシュロッド係合部材を、前記エンジン本体によって担持される支持スタブ上で支持することをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項18】
エンジンの下側本体を前記エンジンの上側本体に対してシールするためのガスケットであって、
前記エンジンが、前記下側本体から前記上側本体へ延びるプッシュロッドに係合するロッカ部材を備え、前記ガスケットが、
前記上側本体の少なくとも一部分を前記下側本体に対して実質的にシールするようになされたシール部分と、
前記プッシュロッドに係合し、前記ロッカ部材を前記プッシュロッドに係合させる前に前記プッシュロッドを前記ロッカ部材の一端部と大まかに位置合せして支持するようになされ、前記ロッカ部材を前記プッシュロッドに係合させた後に、プッシュロッドと実質的に接触せずに存在するようになされた前記シール部分から外側へと延びるプッシュロッド支持部とを備え、
前記上側本体がロッカ・ボックスを備え、前記下側本体がヘッドを備え、前記シール部分が前記ロッカ・ボックスの少なくとも一部分を前記ヘッドに対して実質的にシールするようになされたガスケット。
【請求項19】
エンジンの下側本体を前記エンジンの上側本体に対してシールするためのガスケットであって、前記エンジンが、前記下側本体から前記上側本体へ延びるプッシュロッドに係合するロッカ部材を備え、前記ガスケットが、
前記上側本体の少なくとも一部分を前記下側本体に対して実質的にシールするようになされたシール部分と、
前記プッシュロッドに係合し、前記ロッカ部材を前記プッシュロッドに係合させる前に前記プッシュロッドを前記ロッカ部材の一端部と大まかに位置合せして係合し、支持するようになされ、前記ロッカ部材を前記プッシュロッドに係合させた後に、プッシュロッドと実質的に接触せずに存在するようになされた前記シール部分から外側へと延びるプッシュロッド支持部とを備え、
前記上側本体が弁カバーを備え、前記下側本体がヘッドを備え、前記シール部分が前記弁カバーの少なくとも一部分を前記ヘッドに対して実質的にシールするようになされたガスケット。
【請求項20】
前記プッシュロッドに係合する前記プッシュロッド支持部の少なくとも一部分が、ポリマーおよびセルロースからなる群から選択される材料を含む、請求項23または24に記載のガスケット。
【請求項21】
前記シール部分が、前記プッシュロッド支持部と実質的に同じ材料を含む、請求項23または24に記載のガスケット。
【請求項22】
エンジンの下側本体を前記エンジンの上側本体に対してシールするためのガスケットであって、前記エンジンが、前記下側本体から前記上側本体へと延びるプッシュロッドに係合するロッカ部材を備え、前記ガスケットが、
前記上側本体の少なくとも一部分を前記下側本体に対して実質的にシールするシール部分と、
前記プッシュロッドに係合し、前記ロッカ部材を前記プッシュロッドに係合させる前に前記プッシュロッドを前記ロッカ部材の一端部と大まかに位置合せして支持するようになされ、前記ロッカ部材を前記プッシュロッドに係合させた後に、プッシュロッドと実質的に接触せずに存在するようになされた、前記シール部分から外側へと延びるプッシュロッド支持部を備え、
前記プッシュロッド支持部がさらに、前記プッシュロッドを受け前記プッシュロッドの横方向運動に対する実質的な支持を受けるようになされる実質的にC字形の開口部を備えるガスケット。
【請求項23】
前記プッシュロッド支持部がさらに、前記プッシュロッドを受け前記プッシュロッドを前記プッシュロッド支持部に対して実質的に支持するようになされた開口を備える、請求項23または24に記載のガスケット。
【請求項24】
前記プッシュロッドに係合する前記プッシュロッド支持部の少なくとも一部分が、前記プッシュロッドの材料よりも軟質の材料で構築される、請求項23または24に記載のガスケット。
【請求項25】
エンジン・アセンブリの一部分を組み立てる方法であって、
プッシュロッド係合部材を備えるガスケットを下側エンジン本体上に配置することと、
細長いプッシュロッドを前記エンジン本体内に、前記ガスケットの前記プッシュロッド係合部材と当接係合させて配置することと、
前記細長いプッシュロッドを、前記ガスケットを用いて前記細長いプッシュロッド部材の長手軸に対して実質的に横方向に支持することと、
前記細長いプッシュロッドをロッカ部材に係合させ、それによって前記細長い押圧部材を前記ガスケットと実質的に非係合となるように動かすこととを含み、
前記下側エンジン部材がエンジン・ヘッドである方法。
【請求項26】
エンジン・アセンブリの一部分を組み立てる方法であって、
プッシュロッド係合部材を備えるガスケットを下側エンジン本体上に配置することと、
細長いプッシュロッドを前記エンジン本体内に、前記ガスケットの前記プッシュロッド係合部材と当接係合させて配置することと、
前記細長いプッシュロッドを、前記ガスケットを用いて前記細長いプッシュロッド部材の長手軸に対して実質的に横方向に支持することと、
前記細長いプッシュロッドをロッカ部材に係合させ、それによって前記細長い押圧部材を前記ガスケットと実質的に非係合となるように動かすことと、
さらに、前記プッシュロッド係合部材を、前記エンジン本体によって担持される支持スタブ上に支持することを含む方法。
【請求項27】
前記細長いプッシュロッドが金属を含み、前記プッシュロッド係合部材の少なくとも一部分がポリマーまたはセルロース材料の少なくとも一方を含む、請求項31または33に記載の方法。
【請求項28】
前記細長いプッシュロッドを、前記プッシュロッド係合部材のプッシュロッド係合開口内に挿入することを含む、請求項31または33に記載の方法。
【請求項29】
前記プッシュロッドを一端部で受けるロッカを、前記ロッカと前記プッシュロッドとをさらに実質的に位置合せすることなく、前記エンジン本体に取り付けることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項30】
前記プッシュロッドを前記ロッカ部材に係合させることが、前記ロッカ部材と前記細長いプッシュロッドとをさらに実質的に位置合せすることなく、前記プッシュロッドを前記ロッカ部材に係合させることを含む、請求項25または26に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2007−512473(P2007−512473A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541220(P2006−541220)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/036665
【国際公開番号】WO2005/052323
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(502122473)ドレッサ、インク (24)
【Fターム(参考)】