説明

プライマー及び該プライマーからなる樹脂塗膜を有する積層体

【課題】包装材の基材層と、印刷インキ層、コーティング剤層乃至接着剤層との密着性の向上を図り、以って、印刷インキの転移性やドット再現性に優れる印刷適性と易接着性を兼ね備える包装用積層体を得るためのプライマー組成物及び該組成物の乾燥皮膜を有する積層体を提供する。
【解決手段】第一に、(a)不飽和ニトリルと、(b)水酸基を有する不飽和化合物と、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素、ビニルエステル及びハロゲン化ビニルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物とを単量体とする共重合体からなる主剤と、イソシアネート基を有する化合物からなる硬化剤を有することを特徴とするプライマー。第二に、前記したプライマーの乾燥皮膜を有する積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、医薬品等の軟包装材分野において、優れた接着性、耐熱水性と高精細印刷性を兼ね備えた積層体を得るための印刷プライマー及び該プライマーの塗膜層を有する積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な基材に印刷を施す事が増えているが、多くの基材は必ずしも印刷適性に優れているわけではない。その上で益々美麗な高精細印刷を要求されている。同時に、包装材用基材には、内容物保護の観点から、耐熱性、耐レトルト性、耐水性、ガスバリア性等の様々な適性が求められている。
【0003】
印刷適性の改善には、通常、(1)コロナ放電処理やフレーム処理、プラズマ処理により基材の表面を改質することで印刷インキの密着性、転移性を改良する方法、(2)基材表面に易接着性を付与する樹脂層を設けることで印刷適性・接着性向上を図る方法がある。これらのうち、現状、プラスチック表面の印刷性を改良するためには、手段の容易さ、処理機器の普及により、コロナ放電処理やフレーム処理、プラズマ処理による表面改質が大多数を占めている。近年、前記した易接着性を付与するための樹脂層として、ウレタン系樹脂(例えば、特許文献1,2参照)、ポリエステル系樹脂(例えば、特許文献3,4参照)、アクリルポリオール系樹脂(例えば、特許文献5参照)等があり、エポキシ系やイソシアネート系硬化剤を併用することも少なくない。
【0004】
しかしながら、コロナ放電処理やフレーム処理では経時的に表面の改質効果が劣化したり、高湿度下での接着性が不十分であったり問題がある。具体的には、コロナ処理や通常のフレーム処理をしたOPPフィルムの場合、その表面濡れ性が、処理直後は50mN/m程度の水準を示すのに対し、6ヵ月後には40mN/m程度の水準まで低下し、印刷インキの接着性やドット再現性が低下することが多い。
【0005】
また、特殊なフレーム処理としてケイ酸炎を使用した処理方法があり、この方法は基材表面にアミノシランを結合させることによって表面濡れ性を70mN/m以上の水準に向上させ、美麗な高精細印刷を実現することが可能であるが、耐摩擦性や耐熱水性、高湿度下の接着性に劣り、接着する印刷インキや接着剤も親水性基を持つ材料に制限される。
【0006】
易接着性の樹脂層としてウレタン系樹脂層を構成する方法では高湿度下での接着性が不十分であり、ポリエステル系樹脂層を構成する方法では高結晶性ポリエステルと低結晶性ポリエステルを混合、もしくは高融点ポリエステルと低融点ポリエステルを混合する方法が一般的であるが、前者は接着性の不安定性や耐熱水性の不足といった問題がある。
【0007】
PETフィルム上にウレタン樹脂を易接着層として構成した場合、ウレタン系包装用グラビアインキの密着性は大幅に向上するものの、アクリル系等、他の樹脂系の密着性やインキのドット再現性が劣る。
【0008】
易接着性の樹脂層としてアクリルポリオールとイソシアネート系硬化剤を組み合わせる方法(特許文献5)はアクリル樹脂を使用して蒸着層との接着性を向上させているが、耐溶剤性の不足から有機溶剤を使用する印刷インキによって溶解されることにより印刷画像が劣化する事がある。
【特許文献1】特開平11−20103号公報
【特許文献2】特開2002−80705号公報
【特許文献3】特公昭64−10188号公報
【特許文献4】特開平4−33853号公報
【特許文献5】特開2006−116704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、前記した問題点を解決するものであり、第一に、包装材の基材層と、印刷インキ層、コーティング剤層乃至接着剤層との密着性の向上を図り、以って、印刷インキの転移性やドット再現性に優れる印刷適性と易接着性を兼ね備える(包装用)積層体を得るためのプライマー組成物を提供することにある。第二に、該プライマー層を有する(包装用)積層体を提供する。特に耐熱水性に優れる基材を用いた耐熱水性にも優れた積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
鋭意検討の結果、包装用積層体に於いて、残留モノマーが懸念されている不飽和ニトリルを、残留モノマーとしての懸念を回避し、単量体の1種とする共重合体を含有するプライマー層を配置することで、上記課題を解決した。
【0011】
すなわち、本発明は、第一に、(a)不飽和ニトリルと、(b)水酸基を有する不飽和化合物と、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素、ビニルエステル及びハロゲン化ビニルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物とを単量体とする共重合体からなる主剤と、イソシアネート基を有する化合物からなる硬化剤を有するプライマーを提供する。
【0012】
本発明は第二に、基材上に、前記したプライマーの主剤と硬化剤とを反応させて得られる樹脂塗膜を有する積層体を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のプライマーにより、包装材の基材層と、印刷インキ層、コーティング剤層乃至接着剤層との密着性の向上を図り、以って、印刷インキの転移性やドット再現性に優れる印刷適性と易接着性を兼ね備える(包装用)積層体を提供することができる。特に耐熱水性に優れる基材を用いた耐熱水性にも優れた積層体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、前記したように、包装用基材層と、印刷インキ層、コーティング剤層乃至接着剤層との密着性の向上を図り、以って、印刷インキの転移性やドット再現性に優れる印刷適性と易接着性を兼ね備える包装用積層体を得るための包装材用のプライマーとしてなされたものである。
【0015】
本発明のプライマーは、(a)不飽和ニトリルと、(b)水酸基を有する不飽和化合物と、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素、ビニルエステル及びハロゲン化ビニルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物とを単量体とする共重合体からなる主剤と、イソシアネート基を有する化合物からなる硬化剤を有することを特徴とするプライマーである。
【0016】
本発明のプライマーは、基材上に、プライマーの主剤と硬化剤とを反応させて得られる樹脂塗膜を有する積層体として形成され、該積層体は、高精細な印刷に適用でき、例えば、意匠性に優れる各種包装材用途に広く用いられる。
【0017】
本発明のプライマーを構成する主剤は、前記した(a)不飽和ニトリルと、(b)水酸基を有する不飽和化合物と、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素、ビニルエステル及びハロゲン化ビニルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物とを単量体とする共重合体から主としてなる。
【0018】
(a)不飽和ニトリルとしては、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル等を用いることができるが、反応性を考慮すると(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
【0019】
(a)不飽和ニトリル成分の、共重合体中の含有量は10〜50質量%であることが好ましい。更に好ましくは、25〜40質量%である。(a)不飽和ニトリル成分が10質量%未満では、耐溶剤性に劣る傾向にあり、その結果インキのドット再現性がやや劣る傾向があり、50質量%を超えると、共重合体の有機溶剤に対する溶解性が低下し、重合時の分子量増加を妨げる傾向があり塗料化が困難になる。その結果、プライマーの透明性が劣り、平滑性に欠け、インキドット再現性が劣る傾向がある。
【0020】
(a)不飽和ニトリル成分は、塗膜強度、熱水処理耐性を発現させる目的で硬化剤との間で架橋構造を形成するため、主剤共重合体中に水酸基を含有させる必要がある。(b)水酸基を有する不飽和化合物はそのために用いられる。
【0021】
(b)水酸基を有する不飽和化合物としては、例えば、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、γ−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のC2〜C8ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、上記C2〜C8ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を用いることができるが、反応性や水酸基価を考慮するとβ−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。尚、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを表す。
【0022】
これらのうち、特に良好な重合安定性が得られること、及び、イソシアネート基との反応性が特に良好なことから、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、β−ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。(b)水酸基を有する不飽和化合物の共重合体中の含有量は10〜40質量%であることが好ましい。更に好ましくは、20〜30質量%である。(b)水酸基を有する不飽和化合物の共重合体中の含有量が10質量%未満であると、十分な架橋構造となりにくく塗膜強度と基材への密着性が不足する傾向がある。一方、(b)水酸基を有する不飽和化合物の共重合体中の含有量が40質量%を超えると、インキドット再現性が劣る傾向がある。
【0023】
本発明のプライマーは、該プライマーの皮膜を形成する際に、重合安定性、塗膜の造膜性及び耐水性を得るために、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素、ビニルエステル及びハロゲン化ビニルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物を単量体の必須成分として含有する。
【0024】
不飽和カルボン酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、コーティング適性や耐熱水性、ガラス転移点(Tg)等を考慮するとメチル(メタ)アクリレートが好ましく、特にメチルメタクリレートが最も好ましい。
【0025】
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸等が挙げられる。
【0026】
不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン等が挙げられる。
【0027】
ビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類が挙げられる。
【0028】
ハロゲン化ビニルとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等が挙げられる。
【0029】
これらのうち、メチル(メタ)アクリレートが好ましく、特にメチルメタクリレートが最も好ましい。
【0030】
(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素、ビニルエステル及びハロゲン化ビニルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物の共重合体中の含有量は30〜55質量%であることが好ましい。共重合体中の含有量が30質量%未満であると、(a)不飽和ニトリル及び(b)水酸基を有する不飽和化合物の相対量が多くなり、溶剤に対する溶解性が劣る傾向がある。共重合体中の含有量が55質量%を超えると、逆に、共重合成分中の、(a)不飽和ニトリル及び(b)水酸基を有する不飽和化合物の相対量が減少し、架橋構造の不足に伴う塗膜強度や熱水処理耐性が不足するとともに、インキドット再現性が劣る傾向がある。
【0031】
(c)の不飽和化合物が不飽和カルボン酸として、アクリル酸又はメタクリル酸を含有する場合は、アクリル酸又はメタクリル酸の含有量は、共重合体の0.05〜3質量%であることが好ましい。
【0032】
(c)の不飽和化合物がスチレンを含有する場合は、スチレンの含有量は、共重合体の0.01〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%である。
【0033】
(c)の不飽和化合物が不飽和カルボン酸エステルとして、ブチル(メタ)アクリレートを含有する場合は、ブチル(メタ)アクリレートの含有量は、共重合体の0.01〜30質量%であることが好ましい。
【0034】
本発明のプライマーの主剤に使用できる溶剤としては、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、ソルベッソ、イソホロン、キシレン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メタノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本発明のプライマーは主剤と硬化剤の反応で架橋皮膜を形成する。硬化剤としては、主剤である共重合体が側鎖として有する水酸基と反応するイソシアネート基を有する化合物が用いられる。
【0036】
イソシアネート基を有する化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、
【0037】
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、
【0038】
イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、
【0039】
これらの有機ジイソシアネートのウレタント変性体、アロファネート変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、ウレトジオン変性体、ウレトイミン変性体、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。なお、これらは、単品でも混合物でもよい。
【0040】
これらのイソシアネート化合物の中でも耐熱水性を得るために、好ましくはo−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等芳香環にイソシアネート基が直接結合していない芳香族イソシアネートや、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートが望ましい。
【0041】
硬化剤に使用できる溶剤としては、例えば、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、ソルベッソ、イソホロン、キシレン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
主剤と硬化剤は、基材に塗工する際に混合して用いる。主剤と硬化剤の混合比率は、主剤中の水酸基に対する硬化剤中のNCO過剰率として、50%〜200%程度であることが好ましい。
【0043】
本発明のプライマーを使用する際には、上記成分の他に、公知である硬化促進触媒,充填剤、軟化剤、老化防止剤、安定剤、接着促進剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、無機フィラー、粘着付与性樹脂、繊維類、顔料等の着色剤、可使用時間延長剤等を使用することもできる。
【0044】
接着促進剤として公知の各種カップリング剤、エポキシ樹脂、無水酸を有する化合物を使用することも出来る。特に、基材表面への付着を改良するためにシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等を用いることができる。シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤としては、何れも特に限定されない。
【0045】
シラン系カップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
【0046】
チタン系カップリング剤としては、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、チタンアシレート(アシロキシチタネート)、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート等が挙げられる。
【0047】
アルミニウム系カップリング剤としては、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレート、
【0048】
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピル等のアルキルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、
【0049】
アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム−モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムラウリルアセトアセテート等が挙げられる。
【0050】
ジルコニウム系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシステアレート、テトラノルマルプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム等が挙げられ、これらカップリング剤の1種類以上を混合して用いることができ、基材の種類によって使い分ける。
【0051】
エポキシ樹脂としては、オリゴマータイプを使用することもできる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ノボラック、o−クレゾールノボラック、p−アルキルフェノールノボラック等の各種フェノール化合物とエピクロロヒドリンとの縮合反応により生成されるエポキシ化合物が挙げられる。
【0052】
無水酸を持つ化合物としては無水マレイン酸、無水トリメリット酸、四塩基酸無水物等あるが、金属のように極性の高い基材へ塗工する場合は、特に四塩基酸無水物のように2つ以上の無水酸を持つ化合物が良好である。
【0053】
本発明のプライマーは、基本的に各種基材に塗工された積層体として評価する。プライマーの基材への接着性、プライマー乾燥硬化皮膜上での印刷インキの密着性、ドット再現性、インキ転移性等の印刷適性、更に、接着剤を介して第二の基材フィルムと貼合した積層体として、ラミネート強度、レトルト後のラミネート強度等の耐熱適性等が評価対象となり、以下のような積層体構造が想定される。
【0054】
(積層体構造1)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(以降、PETフィルム)等の基材フィルム(1)上にプライマーを各種塗工方式で塗工し、プライマーの乾燥硬化皮膜(2)を形成した積層体。図1に示す。
【0055】
(積層体構造2)
積層体構造1のプライマー皮膜(2)上に、グラビアインキ等の印刷インキで印刷層(3)を設けた積層体。図2に示す。
【0056】
(積層体構造3)
積層体構造1のプライマー皮膜(2)上に、グラビアインキ等の印刷インキで印刷層(3)を設けた積層体構造2の印刷層上に、接着剤層(4)を介して、未延伸ポリプロピレンフィルム(以降:PPフィルム)等の貼合フィルム(5)をラミネートした積層体。図3に示す。
【0057】
(積層体構造4)
アルミ蒸着層(6)を有するPETフィルム等の基材フィルム(1)上にプライマーを各種塗工方式で塗工してプライマーの乾燥硬化皮膜(2)を形成し、該プライマー皮膜(2)上に、グラビアインキ等の印刷インキで印刷層(3)を設けた積層体の印刷層(3)上に接着剤層(4)を介して、未延伸PPフィルム等の貼合フィルム(5)をラミネートした積層体。図4に示す。
【0058】
(積層体構造5)
前記したPETフィルム等の基材フィルム(1)上にプライマーを各種塗工方式で塗工し、プライマーの乾燥硬化皮膜(2)を形成した積層体構造1に相当する積層体の皮膜面に酸化反応蒸着方式にて50nmの酸化アルミ蒸着層(6)を設けた積層体。図5に示す。
【0059】
(積層体構造6)
前記したPETフィルム等の基材フィルム(1)上にプライマーを各種塗工方式で塗工し、プライマーの乾燥硬化皮膜(2)を形成した積層体構造1に相当する積層体の皮膜面に酸化反応蒸着方式にて50nmの酸化アルミ蒸着層(6)を設けた前記積層体構造5に相当する積層体の蒸着面に、更にプライマーを各種塗工方式で塗工し、プライマーの乾燥硬化皮膜(2)を形成した積層体。図6に示す。
【0060】
(積層体構造7)
前記したPETフィルム等の基材フィルム(1)上にプライマーを各種塗工方式で塗工し、プライマーの乾燥硬化皮膜(2)を形成した積層体構造1に相当する積層体の皮膜面に酸化反応蒸着方式にて50nmの酸化アルミ蒸着層(6)を設けた前記積層体構造5に相当する積層体の蒸着面に、更にプライマーを各種塗工方式で塗工し、プライマーの乾燥硬化皮膜(2)を形成した積層体構造6に相当する積層体の塗工面に、更に、グラビアインキ等の印刷インキで印刷層(3)を設けた積層体。図7に示す。
【0061】
(積層体構造8)
前記したPETフィルム等の基材フィルム(1)上にプライマーを各種塗工方式で塗工し、プライマーの乾燥硬化皮膜(2)を形成した積層体構造1に相当する積層体の皮膜面に酸化反応蒸着方式にて50nmの酸化アルミ蒸着層(6)を設けた前記積層体構造5に相当する積層体の蒸着面に、更にプライマーを各種塗工方式で塗工し、プライマーの乾燥硬化皮膜(2)を形成した積層体構造6に相当する積層体の塗工面に、更に、グラビアインキ等の印刷インキで印刷層(3)を設けた積層体構造7に相当する積層体の印刷層(3)上に接着剤層(4)を介して、未延伸PPフィルム等の貼合フィルム(5)をラミネートした積層体。図8に示す。
【0062】
使用する基材フィルムとしては、コロナ処理されたPETフィルム、酸化アルミ蒸着PETフィルム、シリカ蒸着PETフィルム、ポリ乳酸系生分解フィルム等を用いることができる。
【0063】
更に前記した積層体構造で、特に、シーラントフィルム用に用いられる貼合フィルムとしては、未延伸PPフィルムが主に用いられる。
【0064】
本発明のプライマーを各種基材に塗工する塗工方式としては、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、マイクログラビアコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、リップコーター、スピンコーター、スロットダイコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター及びコンマコーター等を用いることが出来る。特に、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、マイクログラビアコーターを使用することで均一な連続薄膜を形成することができる。
【0065】
塗工膜の厚さは、0.1〜10g/m(dry)程度であり、更に好ましくは、0.3〜3g/m(dry)である。
【実施例】
【0066】
(主剤調製例)
以下の表1に示す、モノマー配合組成で主剤溶液を調製した。溶剤組成は、MEK、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルが、70:14:6であり、不揮発分は10%に調整した。
【0067】
【表1】

【0068】
尚、表1中の略号は以下を示す。
MMA :メチルメタクリレート
AN :アクリロニトリル
β−HEMA:β−ヒドロキシエチルメタクリレート(表中標記ではβ省略)
ST :スチレン
MA :メチルアクリレート
EA :エチルアクリレート
BA :ブチルアクリレート
BMA :ブチルメタクリレート
MAA :メタクリル酸
AA :アクリル酸
【0069】
(硬化剤)
硬化剤配合を以下の表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
尚、表2中の略号は以下を示す。
XDI :キシリレンジイソシアネート
IPDI :イソホロンジイソシアネート
HDI :ヘキサメチレンジイソシアネート
t−MXDI:テトラメチルキシリレンジイソシアネート
H6XDI :水素化キシリレンジイソシアネート
ヌレート体 :イソシアネートの3量体の一つ
TMP :トリメチロールプロパン
【0072】
(評価項目及び評価方法)
(1.透過性)
実施例積層体をHAZE・透過率測定装置ヘイズ−ガードII(東洋精機製作所製)を用いASTM D 1003に記載の方法で測定する。
【0073】
(2.HAZE)
実施例積層体をHAZE・透過率測定装置ヘイズ−ガードII(東洋精機製作所製)を用いASTM D 1003に記載の方法で測定する。
【0074】
(3.プライマー接着性)
本発明プライマーを基材に塗工後、印刷面にニチバン製15mm巾セロハン粘着テープを貼り付け剥離する。
<評価基準>
◎ :全くインキが剥離しない
○ :インキの剥離が僅かにある
△ :インキの剥離が20%未満
× :インキの剥離が20%以上
【0075】
(4.インキドット再現性)
溶剤系グラビアインキを40m/minの印刷速度で、本発明積層体に印刷。版はベタ版を使用しインキドット再現性を評価した。尚、評価はマイクロスコープ(KEYENCE製VH−8000)を用い、400倍に拡大して目視評価を行った。
<評価基準>
◎:印刷物にはじき、インキ抜けが無い
○:印刷物にはじきが無く、20%セルにおいて僅かにインキ抜けが見られるもの
△:印刷物にはじきが無く、20%セルにおいて多くのインキ抜けが見られるもの
×:印刷物にはじき及びインキ抜けが多数見られるもの
【0076】
(5.インキ転移性)
(グラデーション転移性)
溶剤系グラビアインキを40m/minの印刷速度で、本発明積層体に印刷。版は、グラデーション版、ベタ版を使用し、トーンジャンプの有無、ハイライトの入り、ベタ部の転移性を評価した。尚、評価は目視評価を行った。
<評価基準>
◎:印刷物にトーンジャンプが無いもの
○:印刷物にトーンジャンプが40%セルから見られるもの
△:印刷物にトーンジャンプが60%セルから見られるもの
×:印刷物にトーンジャンプが80%セルから見られるもの
【0077】
(6.インキ密着性)
印刷インキを塗工後、印刷面にニチバン製15mm巾セロハン粘着テープを貼り付け剥離する。
<評価基準>
◎:全くインキが剥離しない。
○:インキの剥離が僅かにある
△:インキの剥離が20%未満
×:インキの剥離が20%以上
【0078】
(7.接着剤密着性)
ラミネート強度を測定した際、剥離界面をIR分光分析にて測定確認した。
<評価基準>
◎:本発明コーティング剤と接着剤が剥離しない
○:本発明コーティング剤と接着剤が僅かに剥離
△:本発明コーティング剤と接着剤が20%未満の面積剥離
×:本発明コーティング剤と接着剤が20%以上剥離
【0079】
(8.ラミネート強度)
実施例にある積層体を作成後、40℃にて72時間硬化させた後にJIS K6854に準じる方法を用い、180°剥離試験にて200mm/minの剥離速度でラミネート強度を測定した。
【0080】
(9.レトルト後ラミネート強度)
実施例にある構成を作成後、40℃にて72時間硬化させ、このフィルム構成を使用して縦290mm、横210mmのパウチを作成し純水を充填して121℃にて30分レトルト処理を行った。十分冷却した後にJIS K6854に準じる方法を用い、180°剥離試験にて200mm/minの剥離速度でラミネート強度を測定した。
【0081】
(PETフィルム及び延伸PPフィルムへの密着に関する評価及び複数の不飽和カルボン酸エステルに関する評価)
以下の積層体を調製し、透明性、HAZE値及びプライマー接着性を評価した。結果を表3に示す。
【0082】
(積層体の作成)
(積層体1)
表1に記載の配合1の樹脂溶液100部に対し、表2に記載の硬化剤11を10部配合した塗料(プライマー1)を作成し、25μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し積層体1を得た。
【0083】
(積層体2)
表1に記載の配合16の樹脂溶液100部に対し、表2に記載の硬化剤13を10部配合した塗料(プライマー2)を作成し、12μmPETフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ルミラーP60」)上にダイレクトグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し積層体2を得た。
【0084】
(積層体3)
表1に記載の配合39の樹脂溶液100部に対し、表2に記載の硬化剤17を8部配合した塗料(プライマー3)を作成し、30μm延伸PPフィルム(二村化学工業製「FOR」)上にダイレクトグラビア方式にて、ドライ塗布量1.0g/m塗工し積層体3を得た。
【0085】
積層体1、2は基材をPETフィルムとし、本発明の印刷プライマーの主剤中「不飽和カルボン酸エステル」にそれぞれMMAとBAを使用したものである。これにより、「不飽和カルボン酸エステル」としてMMAとBAの何れを使用した場合にも本発明の効果があるということがわかる。積層体3は基材を延伸PPフィルムとし、本発明印刷プライマーの主剤中「不飽和カルボン酸エステル」としてBMAを使用したものであるが、これにより延伸PPフィルムに対しても十分密着し、本発明の効果もあるということがわかる。表3の結果は、本発明のプライマーは、PETフィルムもしくは延伸PPフィルムを基材とした場合、十分な密着強度と透明性が得られることを示す。
【0086】
【表3】

【0087】
(不飽和ニトリル化合物(a)及び水酸基を持つ不飽和化合物(b)の比率に関する評価(1))
【0088】
(積層体の作成)
表1の樹脂溶液13〜26をそれぞれ100部と、表2の硬化剤溶液17をそれぞれ10部配合した塗料(プライマー4−1)〜(プライマー4−14)を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量0.5g/m塗工し積層体4〜17を得た。
【0089】
表1の樹脂溶液44を100部と、表2の硬化剤17を10部配合した塗料(プライマー4−15)を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量0.5g/m塗工し、積層体17−2を得た。
【0090】
表1の樹脂溶液45を100部と、表2の硬化剤17を10部配合した塗料(プライマー4−16)を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量0.5g/m塗工し、積層体17−3を得た。
【0091】
表1の樹脂溶液46を100部と、表2の硬化剤17を10部配合した塗料(プライマー4−17)を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量0.5g/m塗工し、積層体17−4を得た。
【0092】
(比較例積層体の調製)
表1の樹脂溶液47(比1)を100部と、表2の硬化剤17を10部配合した塗料を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量0.5g/m塗工し、比較例積層体1を得た。
【0093】
積層体4〜17は、基材PET上に本発明印刷プライマーをコートした積層体構造1に相当する積層体である。4〜10は水酸基を有する不飽和化合物をβ−HEMAを25%に固定し、不飽和ニトリル化合物としてアクリロニトリルを10〜50%と変化させ、残りの不飽和カルボン酸エステルをMMAに固定した本発明プライマーを使用しており、11〜17は水酸基を有する不飽和化合物をβ−HEMAを30%に固定し、不飽和ニトリル化合物としてアクリロニトリルを10〜50%と振り、残りの不飽和カルボン酸エステルをMMAに固定した本発明プライマーを使用している。下記の表4に示す結果は、基材をPETフィルムとした場合、本発明のプライマーと基材の密着についてはアクリロニトリルの量に依存しないこと、及びβ−HEMAが25%〜30%で本発明の効果が特に得られることを示している。
【0094】
表4で、積層体17−2、17−4は透明性に劣る傾向があり、平滑さがやや劣る。積層体17−2に於いては、主剤中の(a)不飽和ニトリル化合物の比率がやや多いこと、積層体17−4に於いては、主剤中の(b)水酸基を持つ不飽和化合物の比率がやや多いことで、溶液安定性を保ちにくいことに起因する。
【0095】
【表4】

【0096】
(不飽和ニトリル化合物(a)及び水酸基を持つ不飽和化合物(b)の比率に関する評価(2))
表1の樹脂溶液13〜26をそれぞれ100部と、表2の硬化剤溶液17をそれぞれ10部配合した塗料(プライマー4−1)〜(プライマー4−14)を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量0.5g/m塗工し積層体4〜17と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。更に、このプライマー乾燥硬化塗膜面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体構造3に相当する積層体18〜31を得た。尚、大日本インキ化学工業製グラビアインキであるユニビアAは、印刷時にインキ原液100部に対して大日本インキ化学工業製「CVLハードナー#10」を3部添加して印刷を行い、40℃にて48時間硬化エージングを行う。
【0097】
積層体18〜24は水酸基を有する不飽和化合物をβ−HEMAを25%に固定し、不飽和ニトリル化合物としてアクリロニトリルを10〜50%と振り、残りの不飽和カルボン酸エステルをMMAに固定した本発明のプライマー(プライマー4−1〜プライマー4−7)を使用しており、25〜31は水酸基を有する不飽和化合物をβ−HEMAを30%に固定し、不飽和ニトリル化合物としてアクリロニトリルを10〜50%と振り、残りの不飽和カルボン酸エステルをMMAに固定した本発明のプライマー(プライマー4−8〜プライマー4−14)を使用している。
【0098】
表5に於ける、比13(=比較積層体13)は、表面処理度45mN/mのコロナ処理を施した厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡社製E5100)に、表5に於ける比15(=比較積層体15)は、市販の易接着処理を施された厚さ12μmPETフィルム(ユニチカ社製PTM)に、グラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体(比4)及び積層体(比5)を得たものである。
【0099】
下記表5の結果から、基材をPETフィルムとした場合、本発明のプライマーと基材の密着についてはアクリロニトリルの量に依存しないこと、及びβ−HEMAが25%〜30%で本発明の効果が得られることを確認した。しかしながら、コロナ処理されたPET面や易接着処理されたPET(ユニチカ株式会社製PTM)と比較すると、インキの転移性、インキドット再現性、ラミネート強度についてはアクリロニトリル10〜40%品では優れ、50%品で劣る結果となった。
【0100】
【表5】

【0101】
(不飽和ニトリル化合物(a)及び水酸基を持つ不飽和化合物(b)の比率に関する評価(3))
表1の樹脂溶液13〜26をそれぞれ100部と、表2の硬化剤溶液17をそれぞれ10部配合した塗料(プライマー4−1)〜(プライマー4−14)を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量0.5g/m塗工し積層体4〜17と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。更に、このプライマー乾燥硬化塗膜面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体構造3に相当する積層体18〜31を得た。更に、この印刷面と未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−963」)を使用してドライラミネートして積層体構造4に相当する積層体32〜45を得た。
【0102】
尚、ドライラミネート接着剤を使用する場合の配合は以下の通りである。
ディックドライLX−963:ディックドライLX−963/KO−40=8/1
ディックドライLX−500:ディックドライLX−500/KO−55=9/1
ディックドライLX−703VL:ディックドライLX−703VL/KR−90=15/1
以上の配合で約3〜5g/m(dry)塗工・ラミネートを行い、40℃にて48時間硬化エージングを行う。
【0103】
積層体32〜38は水酸基を有する不飽和化合物をβ−HEMAを25%に固定し、不飽和ニトリル化合物としてアクリロニトリルを10〜50%と振り、残りの不飽和カルボン酸エステルをMMAに固定した本発明のプライマーを使用しており、39〜45は水酸基を有する不飽和化合物をβ−HEMAを30%に固定し、不飽和ニトリル化合物としてアクリロニトリルを10〜50%と振り、残りの不飽和カルボン酸エステルをMMAに固定した本発明のプライマーを使用している。
【0104】
表6に於ける、比14(=比較積層体14)は、表面処理度45mN/mのコロナ処理を施した厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡社製E5100)に、表6に於ける比16(=比較積層体16)は、市販の易接着処理を施された厚さ12μmのPETフィルム(ユニチカ社製PTM)に、グラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、更に、この印刷面と未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−963」)を使用してドライラミネートして比較積層体6及び7を得たものである。
【0105】
下記の表6の結果から、ラミネート強度についてはアクリロニトリル10〜40%品では優れ、50%品で劣る結果となった。
【0106】
【表6】

【0107】
(主剤と硬化剤の比率、及び印刷インキの印刷性と接着剤との密着、耐熱水性に関する評価−1)
表1の樹脂溶液34と表2の硬化剤溶液23を表7に示すような比率で配合した。すなわち、本発明印刷プライマーの主剤と硬化剤の混合比をNCO過剰率として、50〜200%に変化させた。配合した塗料(プライマー5−1〜5−8)を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し積層体46〜53を得た。得られた積層体について、プライマー接着性を評価した。本結果から硬化剤のNCO過剰率90〜160%(つまり表7では積層体48〜52、表8では積層体56〜60、表9では積層体64〜68に相当する。)では全ての項目で本発明の効果を十分発揮している。
【0108】
【表7】

【0109】
(主剤と硬化剤の比率、及び印刷インキの印刷性と接着剤との密着、耐熱水性に関する評価−2)
表1の樹脂溶液34と表2の硬化剤溶液23を表7に示すような比率で配合した。すなわち、本発明印刷プライマーの主剤と硬化剤の混合比を硬化剤のNCO過剰率50〜200%に変化させた。配合した塗料(プライマー5−1〜5−8)を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、積層体46〜53と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。更に、この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し積層体構造2に相当する積層体54〜61を得た。得られた積層体について、印刷インキのドット再現性、インキ転移性及び密着性の評価を通して、印刷適性を評価した。
【0110】
表8に示す本結果から、硬化剤のNCO過剰率90〜160%では全ての項目で本発明の効果を十分発揮している。50%では基材への密着性及びラミネート接着性が劣り、70%では使用に耐えるレベルではあるが基材への密着性が僅かに90〜160%品に劣る。また、200%ではインキ密着性が90〜160%品に僅かに劣る。コロナ処理されたPET面及び易接着処理面に対し本発明コーティングの方がインキの転移性、インキドット再現性に優れている。
【0111】
【表8】

【0112】
(主剤と硬化剤の比率、及び印刷インキの印刷性と接着剤との密着、耐熱水性に関する評価−3)
表1の樹脂溶液34と表2の硬化剤溶液23を表7に示すような比率で配合した。すなわち、本発明印刷プライマーの主剤と硬化剤の混合比を硬化剤のNCO過剰率50〜200%に変化させた。配合した塗料(プライマー5−1〜5−8)を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、積層体46〜53と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。更に、この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、前記積層体54〜61と同じ積層体構造2に相当する積層体を得た。この印刷面に更に、この印刷面と未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−963」)を使用してドライラミネートして積層体構造3に相当する積層体62〜69を得た。得られた積層体について、接着剤密着性、ラミネート強度及びレトルト後のラミネート強度の評価を通して、熱特性を評価した。
【0113】
表9に示す本結果から、硬化剤のNCO過剰率90〜160%では全ての項目で本発明の効果を十分発揮している。50%では基材への密着性及びラミネート接着性が劣り、70%では使用に耐えるレベルではあるが基材への密着性が僅かに90〜160%品に劣る。また、200%ではインキ密着性が90〜160%品に僅かに劣る。
【0114】
【表9】

【0115】
(本発明プライマーと無機蒸着コーティングとの密着、及び耐熱水性に関する評価)
表1の樹脂溶液36を100部に対し表2の硬化剤溶液11を10部の比率で配合した塗料(プライマー6)を作成し、12μmPETフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、積層体70を得た。この塗工面に酸化反応蒸着方式にて50nmの酸化アルミ蒸着を行い、積層体71を得た。更にこの蒸着面に再度リバースグラビア方式にて上記配合塗料をドライ塗布量0.5g/m塗工し積層体72を得た。更に、この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体73を得た。更に、この印刷面と未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−500」)を使用してドライラミネートして、積層体74を得た。評価結果を表10に示す。積層体70〜74は、PETを基材として本発明印刷プライマーをコーティングし、その上に透明アルミナ蒸着を行い、更に本発明のプライマーをコーティング、ウレタン系グラビアインキを印刷後、ドライラミネート接着剤を用いて未延伸PPとラミネートを行った。表10の結果から、本発明のプライマーは無機蒸着コーティングとウレタン系グラビアインキとの密着性に優れ、さらに耐熱水性(121℃、30分)にも優れる。
【0116】
【表10】

【0117】
(積層体構造1:各種基材フィルムに対するプライマーの接着性等の評価)
表1の樹脂溶液43を100部と表2の硬化剤溶液17を5部、硬化剤溶液19を5部の比率で配合した塗料(プライマー7)を作成し、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製「バリアロックスVM−PET1011(HG)」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、積層体構造1に相当する積層体75を得た。
【0118】
同様に、12μmシリカ蒸着PETフィルム(凸版印刷株式会社製「GL−E)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、積層体78を得た。
【0119】
同様に、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(大日本印刷株式会社製「IB−PET−PC)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、積層体81を得た。
【0120】
同様に、12μmシリカ蒸着PETフィルム(凸版印刷株式会社製「GL−E)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量3.0g/m塗工し、積層体78に比べ、塗布量を増加させた積層体84を得た。
【0121】
同様に、ポリ乳酸系生分解フィルム(ユニチカ株式会社製「テラマックTF)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量3.0g/m塗工し、積層体87を得た。
【0122】
表1の樹脂溶液41を100部と表2の硬化剤溶液17を5部、硬化剤溶液19を5部の比率で配合した塗料(プライマー8)を作成し、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製「バリアロックスVM−PET1011(HG)」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、積層体90を得た。
【0123】
同様に、表1の樹脂溶液42を100部と表2の硬化剤溶液17を5部、硬化剤溶液19を5部の比率で配合した塗料(プライマー9)を作成し、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製「バリアロックスVM−PET1011(HG)」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、積層体91を得た。
【0124】
透過性、HAZE値及びプライマーの接着性について評価した。結果を表11に示す。尚、表中の「アルミ1」は、東レフィルム加工株式会社製の酸化アルミ蒸着PETフィルム「バリアロックスVM−PET1011(HG)」を、「アルミ2」は、大日本印刷株式会社製の酸化アルミ蒸着PETフィルム「IB−PET−PC)を、「シリカ」は、凸版印刷株式会社製(GL−E)を、「乳酸」は、ポリ乳酸系生分解フィルム(ユニチカ株式会社製「テラマックTF)を表す。
【0125】
(各種無機蒸着面に対する印刷性、耐熱水性に関する評価)
積層体75〜77、78〜80、81〜83、84〜86は、それぞれ基材を東レ製酸化アルミ蒸着PET、凸版印刷株式会社製、シリカ蒸着PET、大日本印刷株式会社製酸化アルミ蒸着PET、ユニチカ株式会社製ポリ乳酸系生分解フィルム上に本発明のプライマーをコーティング、ウレタン系グラビアインキを印刷、ドライラミネート接着剤を使用して未延伸PPフィルムとラミネートしたものである。結果を表11〜13に示す。結果から、それぞれ本発明の目的としているインキ密着性、インキ転移性、インキドット再現性、ドライラミネート接着性、耐熱水性(121℃、30分)に優れる。但し、ポリ乳酸系生分解フィルムについては、耐熱仕様ではないので、耐熱性を評価していない。
【0126】
(ポリ乳酸系生分解フィルムに対する密着)
ユニチカ株式会社製ポリ乳酸系生分解フィルムについても本発明のプライマーは密着し、本発明の目的としているインキ密着性、インキ転移性、インキドット再現性、ドライラミネート接着性に優れる。
【0127】
【表11】

【0128】
(積層体構造2:印刷適性評価)
(積層体76の調製)
表1の樹脂溶液43を100部と表2の硬化剤溶液17を5部、硬化剤溶液19を5部の比率で配合した塗料(プライマー7)を作成し、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製「バリアロックスVM−PET1011(HG)」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、前記した積層体75と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体構造2に相当する積層体76を得た。
【0129】
(積層体79の調製)
同様に、12μmシリカ蒸着PETフィルム(凸版印刷株式会社製「GL−E)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、前記した積層体78と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体79を得た。
【0130】
(積層体82の調製)
同様に、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(大日本印刷株式会社製「IB−PET−PC)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、前記した積層体81と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体82を得た。
【0131】
(積層体85の調製)
同様に、12μmシリカ蒸着PETフィルム(凸版印刷株式会社製「GL−E)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量3.0g/m塗工し、積層体78に比べ、塗布量を増加させた積層体84と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体85を得た。
【0132】
(積層体88の調製)
同様に、ポリ乳酸系生分解フィルム(ユニチカ株式会社製「テラマックTF)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量3.0g/m塗工し、前記した積層体87と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体88を得た。
【0133】
(積層体92の調製)
表1の樹脂溶液41を100部と表2の硬化剤溶液17を5部、硬化剤溶液19を5部の比率で配合した塗料(プライマー8)を作成し、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製「バリアロックスVM−PET1011(HG)」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、前記した積層体90と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体92を得た。
【0134】
(積層体93の調製)
同様に、表1の樹脂溶液42を100部と表2の硬化剤溶液17を5部、硬化剤溶液19を5部の比率で配合した塗料(プライマー9)を作成し、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製「バリアロックスVM−PET1011(HG)」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、前記した積層体91と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、積層体93を得た。
【0135】
得られたこれらの積層体について、インキドット再現性、インキ転移性、インキ密着性の評価を通して印刷適性を評価した。結果を表12に示す。尚、表中の「アルミ1」は、東レフィルム加工株式会社製の酸化アルミ蒸着PETフィルム「バリアロックスVM−PET1011(HG)」を、「アルミ2」は、大日本印刷株式会社製の酸化アルミ蒸着PETフィルム「IB−PET−PC)を、「シリカ」は、凸版印刷株式会社製(GL−E)を、「乳酸」は、ポリ乳酸系生分解フィルム(ユニチカ株式会社製「テラマックTF)を表す。
【0136】
【表12】

【0137】
(積層体構造3:熱特性評価)
(積層体77の調製)
表1の樹脂溶液43を100部と表2の硬化剤溶液17を5部、硬化剤溶液19を5部の比率で配合した塗料を作成し、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製「バリアロックスVM−PET1011(HG)」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、前記した積層体75と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、前記した積層体76と同じ積層体構造2に相当する積層体を得た。更に、この印刷面と未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−500」)を使用してドライラミネートして、積層体構造3に相当する積層体77を得た。
【0138】
(積層体80の調製)
同様に、12μmシリカ蒸着PETフィルム(凸版印刷株式会社製「GL−E)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、前記した積層体78と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、前記した積層体79と同じ積層体構造2に相当する積層体を得た。更に、この印刷面と未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−500」)を使用してドライラミネートして、積層体80を得た。
【0139】
(積層体83の調製)
同様に、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(大日本印刷株式会社製「IB−PET−PC)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、前記した積層体81と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、前記した積層体82と同じ積層体構造2に相当する積層体を得た。更に、この印刷面と未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−500」)を使用してドライラミネートして、積層体83を得た。
【0140】
(積層体86の調製)
同様に、12μmシリカ蒸着PETフィルム(凸版印刷株式会社製「GL−E)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量3.0g/m塗工し、積層体78に比べ、塗布量を増加させた積層体84と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、前記した積層体85と同じ積層体構造2に相当する積層体を得た。更に、この印刷面と未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−703VL」)を使用してドライラミネートして、積層体86を得た。
【0141】
(積層体89の調製)
同様に、ポリ乳酸系生分解フィルム(ユニチカ株式会社製「テラマックTF)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量3.0g/m塗工し、前記した積層体87と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、前記した積層体88と同じ積層体構造2に相当する積層体を得た。更に、この印刷面と未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−703VL」)を使用してドライラミネートして、積層体89を得た。
【0142】
(積層体94の調製)
表1の樹脂溶液41を100部と表2の硬化剤溶液17を5部、硬化剤溶液19を5部の比率で配合した塗料を作成し、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製「バリアロックスVM−PET1011(HG)」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、前記した積層体90と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、前記した積層体92と同じ積層体構造2に相当する積層体を得た。更に、この印刷面と未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−500」)を使用してドライラミネートして、積層体94を得た。
【0143】
(積層体95の調製)
同様に、表1の樹脂溶液42を100部と表2の硬化剤溶液17を5部、硬化剤溶液19を5部の比率で配合した塗料を作成し、12μm酸化アルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工株式会社製「バリアロックスVM−PET1011(HG)」)上にリバースグラビア方式にてドライ塗布量1.0g/m塗工し、前記した積層体91と同じ積層体構造1に相当する積層体を得た。この塗工面にグラビアインキ(大日本インキ化学工業株式会社製「ユニビアA 407中黄、105紅、507原色藍、805墨、793白」)を印刷し、前記した積層体93と同じ積層体構造2に相当する積層体を得た。更に、この印刷面と未延伸PPフィルム(東レフィルム加工株式会社製「ZK−93KM」)を接着剤(大日本インキ化学工業株式会社製「ディックドライLX−500」)を使用してドライラミネートして、積層体95を得た。
【0144】
これらの積層体について、接着剤密着性、ラミネート強度、レトルト後ラミネート強度について評価した。結果を表13に示す。尚、表中の「アルミ1」は、東レフィルム加工株式会社製の酸化アルミ蒸着PETフィルム「バリアロックスVM−PET1011(HG)」を、「アルミ2」は、大日本印刷株式会社製の酸化アルミ蒸着PETフィルム「IB−PET−PC)を、「シリカ」は、凸版印刷株式会社製(GL−E)を、「乳酸」は、ポリ乳酸系生分解フィルム(ユニチカ株式会社製「テラマックTF)を表す。
【0145】
【表13】

【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明のプライマーは、包装材用のプライマーとして、包装材の基材層と、印刷インキ層、コーティング剤層乃至接着剤層との密着性の向上を図り、印刷インキの転移性やドット再現性に優れる印刷適性と易接着性を兼ね備える性能を有する。これにより、従来、高精細な印刷が困難であった各種の包装材表面に、意匠性に優れる高精細印刷を施すことが可能となり、広く包装材料に展開できる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の積層体(構造1)の断面図
【図2】本発明の積層体(構造2)の断面図
【図3】本発明の積層体(構造3)の断面図
【図4】本発明の積層体(構造4)の断面図
【図5】本発明の積層体(構造5)の断面図
【図6】本発明の積層体(構造6)の断面図
【図7】本発明の積層体(構造7)の断面図
【図8】本発明の積層体(構造8)の断面図
【符号の説明】
【0148】
1 基材
2 本発明のプライマー乾燥硬化皮膜層
3 印刷インキ皮膜層
4 接着剤層
5 貼合フィルム(シーラント材層)
6 蒸着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)不飽和ニトリルと、(b)水酸基を有する不飽和化合物と、(c)不飽和カルボン酸エステル、スチレン、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素、ビニルエステル及びハロゲン化ビニルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物とを単量体とする共重合体からなる主剤と、イソシアネート基を有する化合物からなる硬化剤を有することを特徴とするプライマー。
【請求項2】
前記(a)の不飽和ニトリルがアクリロニトリルを含有し、アクリロニトリルが前記主剤となる共重合体の10〜50質量%を構成する請求項1に記載のプライマー。
【請求項3】
前記(b)の水酸基を有する不飽和化合物が、前記主剤となる共重合体の10〜40質量%を構成する請求項1に記載のプライマー。
【請求項4】
前記(a)の不飽和ニトリルがアクリロニトリルを含有し、アクリロニトリルが前記主剤となる共重合体の25〜40質量%を構成する請求項1に記載のプライマー。
【請求項5】
前記(b)の水酸基を有する不飽和化合物がβ−ヒドロキシエチルメタクリレートを含有し、β−ヒドロキシエチルメタクリレートが、前記主剤となる共重合体の20〜30質量%を構成する請求項1に記載のプライマー。
【請求項6】
前記(c)の不飽和化合物が不飽和カルボン酸エステルとしてメチルメタクリレートを含有し、メチルメタクリレートが、前記主剤となる共重合体の30〜55質量%を構成する請求項1に記載のプライマー。
【請求項7】
前記(c)の不飽和化合物が不飽和カルボン酸としてアクリル酸またはメタクリル酸を含有し、アクリル酸またはメタクリル酸が、前記主剤となる共重合体の0.05〜3質量%を構成する請求項1に記載のプライマー。
【請求項8】
前記(c)の不飽和化合物がスチレンを含有し、スチレンが、前記主剤となる共重合体の0.01〜30質量%を構成する請求項1に記載のプライマー。
【請求項9】
前記(c)の不飽和化合物が不飽和カルボン酸エステルとしてブチルアクリレートまたはブチルメタクリレートを含有し、ブチルアクリレートまたはブチルメタクリレートが、前記主剤となる共重合体の0.01〜30質量%を構成する請求項1に記載のプライマー。
【請求項10】
基材上に、請求項1から9のいずれか一項に記載のプライマーの主剤と硬化剤とを反応させて得られる樹脂塗膜を有する積層体。
【請求項11】
基材(蒸着ポリエチレンテレフタレートを除く。)上に、請求項1から9のいずれか一項に記載のプライマーの主剤と硬化剤とを反応させて得られる樹脂塗膜を有する積層体。
【請求項12】
基材上に、請求項1から9のいずれか一項に記載のプライマーの主剤(単量体として、アクリロニトリル、β−ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートを含有する共重合体を除く。)と硬化剤とを反応させて得られる樹脂塗膜を有する積層体。
【請求項13】
前記基材が、紙、金属、ガラスまたはプラスチックからなる請求項10に記載の積層体。
【請求項14】
前記樹脂塗膜の上に、インキ層、接着剤層およびシーラント層からなる群のうちいずれか1つ以上を有する請求項10から13のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項15】
前記樹脂塗膜の上にインキ層を有し、該インキ層の上に接着剤層を有し、該接着剤層の上にシーラント層を有する請求項10から13のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項16】
前記樹脂塗膜の上に樹脂塗膜を有する請求項10から13のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項17】
前記樹脂塗膜の上に無機薄膜を有する請求項10から13のいずれか一項に記載の積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−239911(P2008−239911A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86349(P2007−86349)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】