説明

プラグドア装置

【課題】ドアに車両の前後方向への力を作用させるドア駆動機構で開閉動作とプラグ動作とを行え、閉鎖時にがたつきなくドアをロックできる、小型のプラグドア装置を提供する。
【解決手段】スライドベース12は、固定ベース11に対して車幅方向にスライド移動可能に設置される。連結部19を介して1枚のドア104を車両の前後方向移動させるドア駆動機構13は、スライドベース12に設置される。ガイド部15は、連結部19に設けられた軸部14を車幅方向へ移動させるように案内する。2つのラック(16a、16b)間にピニオン16cが配置された倍速レール16にて、一方のラック16bがスライドベース12に連結されて他方のラック16aがドア104側に連結され、ピニオン16cが連結部19側に連結される。ロック機構17において、ドア104の閉鎖位置にて、ロック固定部36に対して車幅方向の内側でロック移動部37が当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗降口に設置され、ドアの開閉動作、及び、車両の幅方向にドアを移動させるプラグ動作を行うプラグドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗降口に設置され、ドアの開閉動作、及び、車両の幅方向にドアを移動させるプラグ動作を行うプラグドア装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示されたプラグドア装置は、乗降口に設置された一対のドアとして設けられた両引きの引き分けドアを開閉するプラグドア装置として構成されている。そして、このプラグドア装置は、車両の本体に固定された固定ベースと、車両の幅方向に移動可能に固定ベースに設けられたスライドベースと、スライドベースに設けられ、連結部を介してドアを車両の前後方向へ移動させるドア駆動装置として設けられたドア駆動機構と、を備えている。
【0003】
また、特許文献1のプラグドア装置には、連結部に設けられた軸部と、固定ベースに回動自在に設けられ、ドアを開く際、軸部と当接しつつ回動して軸部が車両の幅方向の一方に移動するように軸部を案内するとともに、ドアを閉じる際、軸部と当接しつつ回動して軸部が車両の幅方向の他方に移動するように軸部を案内するガイド部とが、更に設けられている。これにより、このプラグドア装置は、ドアに対して車両の前後方向への力を作用させるドア駆動機構で開閉動作とプラグ動作とを行うことができる小型のプラグドア装置として構成されることになる。
【0004】
また、特許文献1のプラグドア装置においては、ドアの閉鎖位置でこのドアの移動を制限するようにロック可能なロック機構が設けられている。そして、特許文献1においては、このロック機構として、特許文献2に開示されたロック機構を用いることが可能であることが記載されている。
【0005】
一方、特許文献2に開示されたロック機構は、ドアが閉鎖位置のときにドア側に設けられたロックピンと係合してドアの移動をロック可能に構成されている。このロック機構は、直線状態と屈曲状態とに変形可能なリンク機構と、リンク機構の両端部近傍に回動自在に設置されてドアが閉鎖位置以外にあるときにリンク機構を屈曲状態に保持するリンク保持機構とを備えて構成されている。そして、リンク保持機構は、閉鎖位置においてロックピンに係合する第1係合部と、同じ閉鎖位置において直線状態のリンク機構の端部に係合する第2係合部と、が設けられた一対の係合部材として構成されている。これにより、ドアの移動をロック可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−95939号公報
【特許文献2】特開2008−121244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に開示されたロック機構がプラグドア装置に設置されることで、ドアの閉鎖位置においてドアの移動を制限するようにロックすることができる。しかしながら、特許文献2のロック機構は、リンク機構の両端部近傍に回動自在に設置された一対の係合部材が、直線状態のリンク機構の端部に係合することでロック動作が行われる。このため、ドアの閉鎖時において、ドアを車両の幅方向に移動させるプラグ動作を行うためのプラグ機構に外力が作用することで、ドアにがたつきが生じてしまう虞がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、ドアに対して車両の前後方向への力を作用させるドア駆動機構で開閉動作とプラグ動作とを行うことができる小型のプラグドア装置を実現でき、更に、閉鎖時においてがたつきなくドアをロックすることができる、プラグドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1発明に係るプラグドア装置は、車両の乗降口に設置され、ドアの開閉動作、及び、前記車両の幅方向に前記ドアを移動させるプラグ動作を行うプラグドア装置であって、前記車両の本体に固定された固定ベースと、前記固定ベースに対して前記車両の幅方向にスライド移動可能に前記固定ベースに設置されたスライドベースと、前記スライドベースに設置され、連結部を介して前記ドアを前記車両の前後方向へ移動させるドア駆動機構と、前記ドア又は前記連結部に設けられた軸部と、前記固定ベースに回転自在に設置され、前記ドアが開く際に、前記軸部と当接しつつ回動して当該軸部が前記車両の幅方向の一方に移動するように当該軸部を案内するとともに、前記ドアが閉じる際に、当該軸部と当接しつつ回動して当該軸部が前記車両の幅方向の他方に移動するように当該軸部を案内するガイド部と、対面する2つのラックと当該2つのラックの間に配置されたピニオンとを有し、当該2つのラックは前記車両の前後方向に延びるように設置され、当該2つのラックのうちの一方が前記スライドベースに連結されて他方が前記ドア側に連結され、前記ピニオンが前記連結部側に連結されている倍速レールと、前記ドアの閉鎖位置で当該ドアの移動を制限するようにロック可能なロック機構と、を備えている。そして、第1発明に係るプラグドア装置は、前記ロック機構は、前記固定ベースに固定されて設けられたロック固定部と、前記遊星歯車機構から前記ロック機構へ出力される駆動力によって移動可能に設けられ、前記ドアの閉鎖位置において、前記ロック固定部に対して前記車両の幅方向における内側で当接するロック移動部と、を有し、前記ドアの閉鎖時において、当該ドアの前記車両の幅方向における外側への移動を規制することを特徴とする。
【0010】
この発明によると、ガイド部は、軸部に当接して回動することで軸部を車両の幅方向(以下「車幅方向」とも記載する)に案内する。そのため、ガイド部の動作は、ドアの車幅方向への移動に追従するような動作となる。これにより、ドアの車幅方向への移動状況に合わせて、車幅方向においてガイド部が占有するスペースをより小さくすることができる。これにより、ドアに対して車両の前後方向への力を作用させるドア駆動機構で開閉動作とプラグ動作とを行うことができる小型のプラグドア装置を実現できる。また、ドア駆動機構は、2つのラック及びピニオンにより構成される倍速レールを介してドアを車両の前後方向に移動させるため、ドア駆動機構の作動ストロークを倍増させて効率よくドアを移動させることができる。このため、車両の前後方向においても更に小型のプラグドア装置を実現することができる。
【0011】
そして、この発明によると、固定ベース側に固定されたロック固定部に対してロック移動部が車幅方向内側で当接することで、閉鎖時におけるドアの車幅方向外側への移動が規制される。このため、ドアの閉鎖時において、よりがたつきなく確実にドアが車幅方向外側に移動しないように拘束されることになる。よって、閉鎖時においてがたつきなくドアをロックすることができる。
【0012】
従って、本発明によると、ドアに対して車両の前後方向への力を作用させるドア駆動機構で開閉動作とプラグ動作とを行うことができる小型のプラグドア装置を実現でき、更に、閉鎖時においてがたつきなくドアをロックすることができる、プラグドア装置を提供することができる。
【0013】
第2発明に係るプラグドア装置は、第1発明のプラグドア装置において、前記ロック移動部は、前記ロック固定部に当接可能なスライド当接部と、前記スライドベースに固定され、前記スライド当接部のスライド移動方向を規制するスライドレールと、前記遊星歯車機構から前記ロック機構へ出力される駆動力を前記スライド当接部に伝達する伝達部材と、を有していることを特徴とする。
【0014】
この発明によると、遊星歯車機構からの駆動力が伝達部材を介してスライド当接部に伝達され、これにより、スライド当接部が、スライドレール上を所定の規制された方向に沿ってスライド移動してロック固定部に当接する。このため、遊星歯車機構からの駆動力によってスライド当接部がスライドレール上を滑らかに移動するため、遊星歯車機構の強度を高く設定する必要性を抑制することができる。これにより、遊星歯車機構をよりコンパクトに構成することができる。
【0015】
第3発明に係るプラグドア装置は、第2発明のプラグドア装置において、前記スライド当接部は、ブロック状に設けられ、前記スライドレールによってスライド移動方向を規制されるスライドブロックと、前記スライドブロックに対して回転自在に支持され、前記ロック固定部に当接可能なローラと、を有していることを特徴とする。
【0016】
この発明によると、スライド当接部は、回転自在なローラにてロック固定部に当接しながら、スライドブロックにてスライドレール上を移動することができる。このため、ロック固定部との摩擦力がスライド当接部のスライドレール上の移動を妨げてしまうことが抑制され、スライド当接部がスライドレール上を滑らかに移動することができる。
【0017】
第4発明に係るプラグドア装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかのプラグドア装置において、前記ドア駆動機構は、電動モータを含む駆動部、及び、前記駆動部からの駆動力が入力されることで前記連結部を移動させるラックアンドピニオン機構、を有し、前記駆動部は、サンギア、当該サンギアに噛み合うとともに自転しながら当該サンギアの周囲を公転するプラネタリギア、当該プラネタリギアを自転自在に支持するとともに当該プラネタリギアを公転自在に支持するキャリア、及び、当該プラネタリギアに噛み合うリングギアを含み、前記電動モータからの駆動力が入力される遊星歯車機構、を更に有し、前記電動モータからの駆動力が、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアの何れか1つに入力され、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアの何れか1つから出力される駆動力が、前記ラックアンドピニオン機構に入力され、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアのうちの残りの1つから出力される駆動力が、前記ロック機構に入力されることを特徴とする。
【0018】
この発明によると、ドア駆動機構が、電動モータを有する駆動部と、この駆動部からの駆動力によって作動することで連結部を介してドアを移動させるラックアンドピニオン機構とで構成される。このため、ラックアンドピニオン機構における互いに逆方向に移動する一対の駆動ラックによって、乗降口に設置された一対のドアとして設けられた両引きの引き分けドアを同時に開閉駆動することができる。よって、1台の電動モータによって引き分けドアの開閉動作を行うことができる。また、この発明によると、駆動部が電動モータと遊星歯車機構とで構成される。そして、遊星歯車機構のサンギア、キャリア、リングギアにおいて、その1つに電動モータの駆動力が入力され、他の1つからの駆動力がラックアンドピニオン機構に出力され、残る1つからの駆動力がロック機構に出力される。このため、1台の電動モータによって、両引きの引き分けドアの開閉動作、プラグ動作、ロック機構によるドアのロック動作を行うことができ、コンパクトで効率の良い駆動部を実現することができる。
【0019】
第5発明に係るプラグドア装置は、第1発明乃至第3発明のいずれかのプラグドア装置において、前記ドア駆動機構は、電動モータを含む駆動部、前記駆動部からの駆動力が入力される駆動輪部材、前記駆動輪部材に対応して設けられた少なくとも1つの従動輪部材、及び、前記駆動輪部材と前記従動輪部材とに対して周回するように掛け回されて当該駆動輪部材の回転に伴って当該従動輪部材を回転させる無端状部材、を有し、1枚の前記ドアを前記車両の前後方向へ移動させ、前記駆動部は、サンギア、当該サンギアに噛み合うとともに自転しながら当該サンギアの周囲を公転するプラネタリギア、当該プラネタリギアを自転自在に支持するとともに当該プラネタリギアを公転自在に支持するキャリア、及び、当該プラネタリギアに噛み合うリングギアを含み、前記電動モータからの駆動力が入力される遊星歯車機構、を更に有し、前記電動モータからの駆動力が、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアの何れか1つに入力され、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアの何れか1つから出力される駆動力が、前記駆動輪部材に入力され、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアのうちの残りの1つから出力される駆動力が、前記ロック機構に入力されることを特徴とする。
【0020】
この発明によると、スライドベースに設置されて連結部及び倍速レールを介して1枚のドアを車両の前後方向へ移動させる1つのドア駆動機構が、電動モータを含む駆動部、駆動部からの駆動力が入力される駆動輪部材、従動輪部材、駆動輪部材の回転に伴って従動輪部材を回転させる無端状部材を備えて構成されている。このため、ドア駆動機構の作動の際に、駆動輪部材及び従動輪部材が移動することがない。これにより、ドア駆動機構の一部が、ドアが設置される乗降口に対して大きく突出してしまうことがない。よって、設置スペースの制約が生じることが大幅に抑制され、片引きのドアに対しても容易に適用されることになる。尚、駆動輪部材、従動輪部材としては、例えばプーリ、スプロケット、等を用いることができ、無端状部材としては、例えば、ベルト、チェーン、ワイヤ、等を用いることができる。
【0021】
そして、この発明によると、駆動部が電動モータと遊星歯車機構とで構成される。そして、遊星歯車機構のサンギア、キャリア、リングギアにおいて、その1つに電動モータの駆動力が入力され、他の1つからの駆動力が駆動輪部材に出力され、残る1つからの駆動力がロック機構に出力される。このため、1台の電動モータによって、ドアの開閉動作、プラグ動作、ロック機構によるドアのロック動作を行うことができ、コンパクトで効率の良い駆動部を実現することができる。
【0022】
第6発明に係るプラグドア装置は、第5発明のプラグドア装置において、前記ロック固定部には、前記車両の幅方向に対して直交する面として形成され、前記ドアの閉鎖時において前記ロック移動部と当接することで当該ドアの前記車両の幅方向における外側への移動を規制する第1面と、前記車両の前後方向に対して直交するとともに前記ロック移動部に当接可能な面として形成され、前記遊星歯車機構から前記駆動輪部材に入力される駆動力によって当該駆動輪部材が回転駆動されるように、前記遊星歯車機構から前記ロック機構に入力される駆動力と釣り合う反力を発生させる第2面と、が設けられていることを特徴とする。
【0023】
この発明によると、ドアの閉鎖時においては、ロック移動部がロック固定部の第1面に当接し、ドアがロックされる。一方、ドアの開閉時においては、ロック移動部とロック固定部の第2面とが当接して両者間で作用する力が釣り合った状態となり、遊星歯車機構からロック機構への出力が固定された状態となる。そして、遊星歯車機構から駆動輪部材に入力される駆動力によって、駆動輪部材、従動輪部材及び無端状部材が作動し、ドアの開閉動作が行われることになる。このため、直交する第1面及び第2面が設けられたロック固定部によって、遊星歯車機構からの駆動輪部材及びロック機構への駆動力の配分が行われることになる。よって、ロック固定部に第1面及び第2面を設けるという簡素な機構によって、駆動力を駆動輪部材及びロック機構へ効率よく配分する構成を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、ドアに対して車両の前後方向への力を作用させるドア駆動機構で開閉動作とプラグ動作とを行うことができる小型のプラグドア装置を実現でき、更に、閉鎖時においてがたつきなくドアをロックすることができる、プラグドア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプラグドア装置の全体を示す模式図である。
【図2】図1のA−A線矢視位置から見た断面を示す模式図である。
【図3】図1に示すプラグドア装置の正面図としての模式図である。
【図4】図3に示すプラグドア装置の平面図としての模式図である。
【図5】図2におけるドアの上部を拡大して示す模式図である。
【図6】図3に示すプラグドア装置におけるドア駆動機構の車両の前後方向における中央部の断面構造を模式的に示す図である。
【図7】図3に示すプラグドア装置におけるプラグ機構の平面図である。
【図8】図7に示すプラグ機構のD−D線矢視位置から見た一部断面を含む図である。
【図9】図7に示すプラグ機構の側面図であってE線矢視方向から見た図である。
【図10】図7に示すプラグ機構の背面図であってF線矢視方向から見た一部断面を含む図である。
【図11】図7に示すプラグ機構の作動を説明するための平面図である。
【図12】図2におけるドアの下部を拡大して示す模式図である。
【図13】図3に示すプラグドア装置におけるロック機構の正面図である。
【図14】図13に示すロック機構の平面図である。
【図15】図3に示すプラグドア装置の平面図としての模式図であり、開放動作が行われたドアの位置も示す図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係るプラグドア装置の全体を示す模式図である。
【図17】図16のJ−J線矢視位置から見た断面を示す模式図である。
【図18】図16に示すプラグドア装置の正面図としての模式図である。
【図19】図18に示すプラグドア装置の平面図としての模式図である。
【図20】図18の一部を拡大して示す図である。
【図21】図17におけるドアの上部を拡大して示す模式図である。
【図22】図18に示すプラグドア装置におけるロック機構の一部を示す正面図である。
【図23】図18に示すロック機構の一部を模式的に示す図である。
【図24】図18に示すロック機構の一部を模式的に示す図であり、図23とは異なる作動状態を示す図である。
【図25】図18に示すロック機構の一部を模式的に示す図であり、図23とは異なる作動状態を示す図である。
【図26】図18に示すロック機構の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態ついて図面を参照しつつ説明する。本発明は、車両の乗降口に設置され、ドアの開閉動作、及び、車両の幅方向にドアを移動させるプラグ動作を行うプラグドア装置として適用できるものである。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るプラグドア装置1の全体を示す模式図である。図1に示すプラグドア装置1は、1枚で構成される片引きのドアに対しても適用できるものである。尚、図1は、車両内側から見た模式図であり、車両の乗降口102に対してドア104とともに設置された状態を示す図である。図2は、図1のA−A線矢視位置から見た断面を示す模式図である。図3は、プラグドア装置1の正面図としての模式図であって、図1におけるドア104の上部を拡大して示す図である。尚、図1では、プラグドア装置1が乗降口102の上部において車両に収納された状態を破線で示しており、図3では、車両側の要素の図示を省略して示している。図4は、図3に示すプラグドア装置1の平面図としての模式図であり、ドア104とともに示している。図5は、プラグドア装置1の側面図としての模式図であって、図2におけるドア104の上部を拡大して示す図である。
【0028】
〔全体構成について〕
図1に示すように、車両側壁101には、乗降口102が設けられている。尚、図1は、ドア104が閉じられた状態を図示しており、乗降口102を破線で示している。乗降口102の上部には、車両の前後方向に延びるようにフレーム103が固定されている。ここで、車両の前後方向とは、車両の進行方向と平行な方向であり、図1において両端矢印Bで示す方向である。尚、車両側壁101及びフレーム103は、車両の本体の一部を構成している。
【0029】
また、乗降口102を覆うように1枚のドア104が設置されている。1枚のドア104は、片引きのドアであって、プラグドア装置1により開閉される。そして、図2によく示すように、ドア104は、その下方側において、車両の幅方向の外側に向かって緩やかに湾曲して張り出すように形成されている。ここで、車両の幅方向(以下、「車幅方向」とも記載する)とは、車両の前後方向及び上下方向に対して垂直な方向であり、図2において両端矢印Cで示す方向である。尚、ドア104は、閉じられた位置である閉鎖位置(図1及び図2にて示す位置)において、乗降口102を略密閉するように構成されている。
【0030】
図1乃至図5に示すプラグドア装置1は、車両の乗降口102に設置され、ドア104の開閉動作、及び、車幅方向にドア104を移動させるプラグ動作を行う装置として設けられている。そして、このプラグドア装置1は、固定ベース11、スライドベース12、1枚のドア104を車両の前後方向へ移動させるように駆動するドア駆動機構13、ドア駆動機構13により車両の前後方向に駆動される軸部14、軸部14を案内するガイド部15、倍速レール16、ロック機構17、回動アーム18、等を備えて構成されている。尚、図4では、固定ベース11の図示が省略されている。
【0031】
固定ベース11は、車両の本体を構成するフレーム103の一部である板状部材103aに固定されている(図5を参照)。これにより、固定ベース11は、車両の本体に対して相対移動しないように固定されている。また、固定ベース11は、水平に設置される平坦な板状部11aと、板状部11aにおける車両の前後方向における両側に設けられた一対のスライド支持部(11b、11b)とが備えられている。スライド支持部11bは、ブロック状で車幅方向に延びるように設置された部材として設けられている。そして、各スライド支持部11bには、スライドベース12を車幅方向にスライド移動可能に支持するためのレール部材11cが固定されている。尚、本実施形態では、板状部11aが、車両の本体に対してそれぞれ固定される2枚の板状の部材として構成された形態を例示している。
【0032】
図3乃至図5に示すスライドベース12は、固定ベース11の下方において、固定ベース11に対して車両の幅方向にスライド移動可能にこの固定ベース11に対して設置されている。そして、スライドベース12には、水平方向で平坦に延びるように設置される本体部12aと、ブラケット部12bと、車輪部12cとが設けられている。
【0033】
ブラケット部12bは、本体部12aにおける車幅方向の外側(ドア104側)の端部にて本体部12aに対して下方に屈曲した後さらに水平方向に車幅方向外側に向かって屈曲するように延びる部分として設けられている。このブラケット部12bには、後述の倍速レール16が設置されている。また、車輪部12cは、本体部12aにおける車両の前後方向の両側に設置されており、車幅方向に延びたレール部材11c上を転動する車輪を備えて構成されている。これにより、スライドベース12が固定ベース11に対して車幅方向にスライド移動可能に構成されている。
【0034】
〔ドア駆動機構、倍速レールについて〕
図3乃至図5に示すドア駆動機構13は、スライドベース12の本体部12aに設置され、連結部19を介して1枚のドア104を車両の前後方向へ移動させる機構として設けられている。尚、本実施形態では、ドア駆動機構13は、本体部12aの下方側に設置されている。そして、このドア駆動機構13は、ダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21(後述する図6を参照)を含む駆動部13a、駆動プーリ13b、複数の従動プーリ13c、駆動ベルト13d、複数のアイドラプーリ13e、等を備えて構成されている。
【0035】
駆動プーリ13bは、駆動部13aからの駆動力が入力されるプーリとして設けられている。従動プーリ13cは、駆動プーリ13aに対応して設けられ、本実施形態では、2つ設けられている。駆動プーリ13bは、本実施形態の駆動輪部材を、複数の従動プーリ13cは、本実施形態の従動輪部材を、駆動ベルト13dは、本実施形態の無端状部材を構成している。そして、この駆動ベルト13dは、歯付ベルトであって、駆動プーリ13bと複数の従動プーリ(13c、13c)とに対して周回するようにそれらの外周に掛け回され、駆動プーリ13bの回転に伴って複数の従動プーリ(13c、13c)を回転させる輪状のベルト部材として設けられている。また、駆動ベルト13dには、連結部19がとりつけられている。
【0036】
アイドラプーリ13eは、本実施形態では2つ設けられ、駆動プーリ13bと各従動プーリ13cとの間において、駆動ベルト13dの外側から内側に向かって駆動ベルト13dに対して押し付けられる位置に配置されている。これにより、駆動ベルト13dが各アイドラプーリ13eの外周に対して所定の角度で巻き掛けられ、駆動ベルト13dに所定の張力を発生させるように構成されている。
【0037】
尚、駆動部13a及び駆動プーリ13bは、スライドベース12における車両の前後方向の中央部分に配置されている。そして、複数の従動プーリ(13c、13c)は、駆動プーリ13bに対して車両の前後方向における両側に配置されている。
【0038】
図6は、ドア駆動機構13の車両の前後方向における中央部の断面構造を模式的に示す図であって、車両の前後方向と垂直な面の断面構造を示している。図6は、構成要素を一部省略して簡略化した状態で図示しており、更に、図示した構成要素を明瞭に示す観点から断面状態を示すハッチングも省略している。尚、図6では、後述するロック機構17の外形も図示している。
【0039】
図6に示すように、駆動部13aは、駆動源として設けられて本実施形態の電動モータを構成するブラスレス電動モータ21に加え、更に、ブラシレス電動モータ21からの駆動力が入力される遊星歯車機構20を備えて構成されている。遊星歯車機構20は、サンギア20a、複数のプラネタリギア20b、キャリア20c、リングギア20d、等を備えて構成されている。
【0040】
サンギア20aには、ブラシレス電動モータ21からの駆動力が入力される。複数のプラネタリギア20bは、サンギア20aの周囲に配置され、サンギア20aに噛み合うとともに自転しながらこのサンギア20aの周囲を公転するように設けられている。キャリア20cは、複数のプラネタリギア20bのそれぞれを自転自在に支持するとともに、これらのプラネタリギア20bを公転自在に支持する枠部材として設けられている。リングギア20dは、各プラネタリギア20bに噛み合う内歯が内周に形成されたリング状のギアとして設けられている。
【0041】
尚、リングギア20dは、各プラネタリギア20bに噛み合う内歯が形成されたリング状の部分が、筒状に設けられた駆動プーリ13bの内側でこの駆動プーリ13bに対して一体に形成されている。これにより、部品点数の削減が図られている。また、ドア駆動機構13は、遊星歯車機構20におけるサンギア20a、プラネタリギア20b及びリングギア20dが駆動プーリ13bの内側に配置されているため、小型化が図られることになる。このため、プラグドア装置1としての更なる小型化が図られることになる。
【0042】
また、キャリア20cにおける外周部の一部は、ロック出力部22に連結されている。ロック出力部22は、キャリア20cがサンギア20aの軸心を中心として揺動することでキャリア20cから出力される駆動力を後述するロック機構17に対して入力する機構として設けられている。このロック出力部22は、キャリア20cが揺動することで出力された駆動力について、その駆動力の作用方向を変換し、車両の前後方向と平行な直線方向の駆動力として出力するように構成されている。また、ロック出力部22における駆動力を出力する先端部分には、出力ローラ22aが設けられている。この出力ローラ22aを介してキャリア20cの駆動力が、後述のロック機構17に入力されることになる。
【0043】
尚、本実施形態では、ダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21からの駆動力が、サンギア20aに入力され、リングギア20dから出力される駆動力が、駆動プーリ13bに入力され、キャリア20cから出力される駆動力が、ロック機構17に入力される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。ブラシレス電動モータ21からの駆動力が、サンギア20a、キャリア20c、及びリングギア20dの何れか1つに入力され、サンギア20a、キャリア20c、及びリングギア20dの何れか1つから出力される駆動力が、駆動プーリ20bに入力され、サンギア20a、キャリア20c、及びリングギア20dのうちの残りの1つから出力される駆動力が、ロック機構17に入力されるように構成されていればよい。
【0044】
駆動ベルト13dに取り付けられてドア駆動機構13からの駆動力を伝達する連結部19は、屈曲形成された板状の部材によって構成されている。そして、連結部19の端部は、駆動ベルト13dに対して、2つの従動プーリ(13c、13c)に駆動プーリ13bを介さずに巻きつけられた側におけるこれらの従動プーリ(13c、13c)の間の位置にて、固定されている。
【0045】
また、連結部19は、駆動ベルト13dに固定された部分から一旦下方に延びた後に屈曲して水平にドア104側に向かって延び、更に屈曲して上方に延びるように構成されている。そして、連結部19は、上方に延びた部分の端部で後述の倍速レール16における支持レール16dに固定されている。
【0046】
また、連結部19には、上方に延びた部分の端部から部分的に屈曲して水平に突出して延びる突出端部19aが設けられている。この突出端部19aには、上方に向かって延びるように片持ち状に突出する軸部14が設けられている。尚、軸部14には、軸部14における突出端部19aに固定される軸本体に対して回転自在に取り付けられた軸部ローラ14aが設けられている。
【0047】
図3乃至図5に示す倍速レール16は、車両の前後方向に延びるように設けられている。そして、倍速レール16は、対面する2つのラック(16a、16b)と、ピニオン16cと、支持レール16dとを備えて構成されている。対面する2つのラック(16a、16b)は、上側に配置される上側ラック16aと、下側に配置される下側ラック16bとで構成されている。上側ラック16a及び下側ラック16bは、車両の前後方向において互いに平行に延びるように配置されている。
【0048】
ピニオン16cは、2つのラック(16a、16b)の間に配置され、各ラック(16a、16b)に設けられた歯に対して噛み合うように配置されている。そして、このピニオン16cは、支持レール16dにおいて回転自在に支持されている。これにより、ピニオン16cは、連結部19側に連結されている。即ち、ピニオン16cは、支持レール16dを介して連結部19に連結されている。このため、駆動ベルト13dに固定された連結部19と、支持レール16dと、ピニオン16cとは、相対位置が変化しないように互いに連結されている。
【0049】
また、ピニオン16cを回転自在に支持する支持レール16dは、上側ラック16a及び下側ラック16bを車幅方向の両側から挟んだ状態で支持するように構成されている。尚、支持レール16cは、上側ラック16a及び下側ラック16bのそれぞれを車両の前後方向にスライド移動自在に支持している。
【0050】
また、倍速レール16においては、2つのラック(16a、16b)のうちの一方の下側ラック16bがスライドベース12のブラケット部12bに固定されて連結され、他方の上側ラック16aがドア104側に連結されている。尚、上側ラック16aは、ドア104に対して、ドア支持部材104aを介して連結されている。また、ドア支持部材104aは、ドア104を懸架した状態で支持している。
【0051】
倍速レール16が上記のように構成されていることで、ドア駆動機構13の駆動プーリ13dが駆動されると、駆動ベルト13dに固定された連結部19とともに支持レール16d及びピニオン16cが車両の前後方向において移動する。これにより、スライドベース12に固定された下側ラック16dに対して、ピニオン16cが噛み合いながら車両の前後方向の一方に移動する。そして、この移動するピニオン16cに対して、ピニオン16cに噛み合う上側レール16aが車両の前後方向における同方向に移動する。このため、上側ラック16aは、下側ラック16bに対し、ピニオン16cの移動速度に対して倍の速度で移動することになる。そして、上側ラック16aの下側ラック16bに対する移動量は、ピニオン16aの下側ラック16bに対する移動量に対して、同じ方向で倍の移動量となる。また、上側ラック16aにドア支持部材104aを介して連結されたドア104も、上側ラック16aと同じ速度で移動することになる。そして、下側ラック16bが連結部19を介して連結されるスライドベース12に対して、ドア104が車両の前後方向に移動することになる。
【0052】
〔プラグ機構について〕
プラグドア装置1において、ドア104を車幅方向に移動させるプラグ動作を行うためのプラグ機構は、軸部14、ガイド部15、及びローラガイド23を備えて構成されている。図7は、プラグ機構を示す平面図である。図8は、プラグ機構の図7のD−D線矢視位置から見た一部断面を含む図である。図9は、プラグ機構の側面図であって図7のE線矢視方向から見た図である。図10は、プラグ機構の背面図であって図7のF線矢視方向から見た一部断面を含む図である。図11は、プラグ機構の作動を説明するための平面図である。尚、図8乃至図10は、図7及び図11に対して拡大して示している。また、図8乃至図10は、ドア104が閉鎖位置のときのプラグ機構の状態を示している。一方、図11は、ドア104が閉鎖位置から開く際において、プラグ動作が完了した直後の状態を示している。
【0053】
図3乃至図5、図7乃至図10に示すプラグ機構(軸部14、ガイド部15、ローラガイド23)は、固定ベース11とスライドベース12との間に配置されている。軸部14は、前述のように、連結部19の突出端部19aに設けられている。ローラガイド23は、固定ベース11の板状部11aの下面側に固定されている。ガイド部15は、第1リンク24及び第2リンク25を備えて構成され、固定ベース11の下側に設置されている。そして、このガイド部15は、第1リンク24において、固定ベース11に回転自在に設置されている。
【0054】
第1リンク24は、略長方形形状の板状部材であって、一端側を固定ベース11に対して回動自在に設けられている。具体的には、第1リンク24は、 略鉛直方向を向く第1回動軸26の周りに回動自在に設けられる。また、第1リンク24の他端側の周縁には、軸部14の軸部ローラ14aを収容可能な第1切り欠き部24aが形成されている。
【0055】
第2リンク25は、板状部材であって、第1リンク24に回動自在に設けられている。具体的には、第2リンク25は、第1リンク24の第1切り欠き部24aの近傍に設けられた略鉛直方向を向く第2回動軸27の周りに回動自在に設けられる。また、第2リンク25の周縁には、軸部14の軸部ローラ14aを収容可能な第2切り欠き部25aが形成されている。また、第2リンク25には、鉛直軸周りに回転自在に取り付けられたガイド部ローラ28が設けられている。ガイド部ローラ28は、第2リンク25 から上方に突出する回転軸29に対して回転自在に取り付けられており、固定ベース11に固定されたローラガイド23と略同じ高さに配置されている。
【0056】
ドア104が閉鎖位置である場合は、図7に示すように、上方から見た状態において、第1リンク24の第1切り欠き部24aと第2リンク25の第2切り欠き部25aとで軸部14の周囲が囲まれる。具体的は、第1リンク24は、第1切り欠き部24aの開口側を車幅方向外側を向けるように保持され、また、第2リンク25は、第2切り欠き部25aの開口側を、第1回動軸26に向かう方向とは逆方向に向けるように保持される。これにより、第1リンク24における第1切り欠き部24a内から外側に向かって軸部14が移動することが、第2リンク25によって拘束される。
【0057】
また、ドア104が閉鎖位置にある状態においては、第2リンク25のガイド部ローラ28は、第2切り欠き部25aよりも車幅方向外側に位置している。そして、第2リンク25の第2回動軸27は、第2切り欠き部25aよりも車幅方向内側に位置している。
【0058】
また、第1リンク24と第2リンク25との間には、付勢手段としてのつるまきバネ30が設けられている。つるまきバネ30の一端は、第2リンク25における第2回動軸27とガイド部ローラ28との略中間部に設けられており、他端は、第1リンク24における第1回動軸26に近い位置に設けられている。これにより、第2リンク25は、軸部14の拘束を解除する方向(上方から見て第2回動軸27を中心とした時計周りの方向)に回動するようにつるまきバネ30に付勢される。つまり、第2リンク25は、つるまきバネ30によって、ガイド部ローラ28がローラガイド23に近づく方向に付勢される。
【0059】
ローラガイド23は、板状の部材として設けられている。そして、ローラガイド23には、その側面において、ガイド部ローラ28を案内する斜面23aと、この斜面23aに連続してガイド部ローラ28を案内する曲面23bとが設けられている。
【0060】
斜面23aは、ローラガイド23の側面の一部として設けられ、ドア104が開く方向(以下、開方向と記載する。図7において矢印G1で示す。)に向かうほど、車幅方向外側に位置するように形成される平坦な面として構成されている。
【0061】
曲面23bは、ローラガイド23の側面の一部として設けられ、斜面23aから連続し、略半円弧状に出っ張るように曲がった後に更に略半円弧状に窪むように曲がりつつ車幅方向内側に向かって延びる曲面として構成されている。尚、曲面23bは、車幅方向における外側に近い位置においては、開方向に凸であり、車幅方向における内側に近い位置においては、ドア104が閉じる方向(開方向と逆方向であり、以下、閉方向と記載する。図7において矢印G2で示す。)に向かって凹んでいる。
【0062】
〔回動アームについて〕
図12は、図2におけるドア104の下部を拡大して示す模式図である。図1乃至図5、図12に示すように、乗降口102の上部および下部には、回動することで、ドア104を車幅方向に案内する回動アーム18(18a、18b)が設けられている。尚、乗降口102の上部には、上側回動アーム18aが設けられ、乗降口102の下部には、下側回動アーム18bが設けられている。
【0063】
上側回動アーム18aは、略鉛直方向に延びる連結軸31の上端側に固定され、連結軸31から水平方向に片持ち状に突出して設置されている。また、連結軸31は、上下両端において、車両側壁101における乗降口102の縁部分から延びるブラケットに回動自在に取り付けられている。また、上側回動アーム18aの先端部には、略鉛直上方に延びる回転軸周りに回転自在に設けられた上側ローラ32が設けられている。また、スライドベース12の本体部12aには、車両の前後方向に延びる長孔33が設けられている(図4を参照)。上側ローラ32は、長孔33に下方から挿入され、長孔33に沿って相対的に移動可能に配置されている。
【0064】
下側回動アーム18bは、連結軸31の下側に固定され、連結軸31から水平方向に片持ち状に突出して設置されている。このため、下側回動アーム18bは、上側回動アーム18aが回動することで、連結軸31とともに回動するように構成されている。また、下側回動アーム18bの先端部には、略鉛直上方に延びる回転軸周りに回転自在に設けられた下側ローラ34が設けられている。そして、ドア104の車幅方向内側における下端側には、車両の前後方向に延びるドアレール35が設けられている。このドアレール35には、下方に開口して車両の前後方向に延びる溝が形成されている。下側ローラ34は、ドアレール35の溝に、下方から挿入されており、ドアレール35に沿って相対的に移動可能に構成されている(図12を参照)。
【0065】
〔ロック機構について〕
図13は、ロック機構17の正面図である。また、図14は、ロック機構17の平面図である。図3乃至図6、図13、及び図14に示すロック機構17は、ドア104の閉鎖位置でドア104の移動を制限するようにロック可能な機構として設けられている。そして、このロック機構17は、ロック固定部36とロック移動部37とを備えて構成されている。
【0066】
ロック固定部36は、固定ベース11に固定されて設けられたブロック状の部材として構成されている。尚、図4、図6、図13及び図14では、固定ベース11の図示が省略されている。ロック固定部36は、本実施形態ではブロック状の部材として設けられているが、この通りでなくてもよく、板状の部材、或いは、ピン状の部材、等として固定ベース11に固定されて設けられていてもよい。
【0067】
ロック移動部37は、遊星歯車機構20のキャリア20cからロック機構17へ出力される駆動力によって移動可能に設けられている。そして、このロック移動部37は、ドア104の閉鎖位置において、ロック固定部36に対して車両の幅方向における内側で当接するように構成されている。このように、ロック機構17は、ロック移動部37がロック固定部36に当接することで、ドア104の閉鎖時において、ドア104の車幅方向における外側への移動を規制するように設けられている。
【0068】
また、ロック移動部37は、ロック固定部36に当接可能なスライド当接部38と、スライドレール39と、伝達部材40とを備えて構成されている。スライドレール39は、スライドベース12に固定されて車両の前後方向に延びるレール部材として設けられている。これにより、スライドレール39は、スライド当接部38のスライド移動方向を車両の前後方向に平行な方向に規制するように構成されている。
【0069】
伝達部材40は、板状の部材として設けられ、上下方向に延びるように配置されている。そして、この伝達部材40は、遊星歯車機構20のキャリア20cからロック機構17へ出力される駆動力をスライド当接部38に伝達する部材として設けられている。尚、本実施形態では、伝達部材40には、その下端側に切り欠き部分40aが設けられており、この切り欠き部分40aに、ロック出力部22の出力ローラ22aが嵌まり込んだ状態で配置されている。また、伝達部材40の上端側は、スライド当接部38に連結されている。
【0070】
上記により、ロック機構17は、キャリア20cからロック出力部22を介して出力される駆動力が、伝達部材40において入力されるように構成されている。そして、遊星歯車機構20からの駆動力による出力ローラ22aの移動とともに、伝達部材40が、車両の前後方向に移動することになる。更に、伝達部材40の移動とともに、スライドレール39でスライド移動方向が規制されたスライド当接部38が、車両の前後方向に移動することになる。
【0071】
尚、出力ローラ22aは、その先端部が、ガイドプレート43に形成された長孔43aの内側に配置されている。そして、出力ローラ22aは、この長孔43aに沿って移動可能に配置さている(図13を参照)。これにより、出力ローラ22aの車両の前後方向における移動が確保されるように構成されている。尚、ガイドプレート43は、スライドベース12に設置された駆動部13aのハウジング等に対して固定された板状の部材として設けられている。
【0072】
また、スライド当接部38は、スライドブロック41とローラ42とを備えて構成されている。スライドブロック41は、ブロック状に設けられ、スライドレール39によってスライド移動方向を車両の前後方向に規制される部材として設けられている。尚、本実施形態では、スライドブロック41は、複数の部材が一体化されるように固定されることで構成されている。そして、一体化されたうちの一方の部材に伝達部材40の上端側が固定され、一体化されたうちの他方の部材においてスライドレール39のレール面上を摺動してスライド移動可能に嵌まり込む溝が形成されている。
【0073】
ローラ42は、スライドブロック41に対して、鉛直軸周りに回転自在に支持されている。そして、ローラ42は、その外周側面において、ロック固定部36の側面に対して当接可能に配置されている。
【0074】
また、ロック固定部36は、図6、図13及び図14によく示すように、直交する2つのブロック状の部分が一体化された形状の部材として設けられている。そして、このロック固定部36の側面には、ローラ42が当接可能な第1面36a、第2面36b、及び傾斜面36cが設けられている。
【0075】
第1面36aは、ロック固定部36において車幅方向の内側に面する側面として設けられている。そして、この第1面36aは、車幅方向に対して直交する面として形成され、ドア104の閉鎖時においてロック移動部37のスライド当接部38におけるローラ42の外周と当接することで、ドア104の車幅方向における外側への移動を規制するように構成されている。
【0076】
第2面36bは、ロック固定部36において車両の前後方向における開方向側に面する側面として設けられている。そして、この第2面36bは、車両の前後方向に対して直交するとともにロック移動部37のローラ42の外周に当接可能な面として形成されている。これにより、第2面36bは、遊星歯車機構20のリングギア20dから駆動プーリ13bに入力される駆動力によってこの駆動プーリ13bが回転駆動されるように、遊星歯車機構20のキャリア20cからロック機構17に入力される駆動力と釣り合う反力を発生させるように構成されている。
【0077】
傾斜面36cは、ロック固定部36において第1面36aと第2面36bとの間に配置されるとともに第1面36a及び第2面36bに連続する側面として設けられている。そして、この傾斜面36cは、水平方向に対して垂直な面として形成されるとともに、第1面36a及び第2面36bとの両方に対して傾斜する面として設けられている。ローラ42は、第1面36a及び第2面36bにてロック固定部36に対して当接可能に配置されているが、この傾斜面36cが設けられていることにより、互いに直交する第1面36a及び第2面36b間でのローラ42の移動が滑らかに行われるように構成されている。
【0078】
〔プラグドア装置の作動について〕
次に、プラグドア装置1の作動について説明する。図1乃至図5に示すようにドア104が閉鎖位置のときは、軸部14は、上方から見た状態において第1リンク24の第1切り欠き部24aおよび第2リンク25の第2切り欠き部25aの双方に係合している(図7を参照)。即ち、軸部14が、切り欠き部(24a、25a)内に位置している。
【0079】
また、ドア104が閉鎖位置のときは、図6、図13及び図14に示すように、ロック機構17は、ローラ42がロック固定部36の第1面36aに当接している。このため、ロック機構17及び遊星歯車機構20のキャリア20cを介して、スライドベース12の車幅方向外側への移動が規制された状態となっている。これにより、プラグ機構による車幅方向外側へのプラグ動作が規制され、ドア104の移動が制限されるようにロックされている。
【0080】
上記の閉鎖位置の状態から、ドア駆動機構13のダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21が駆動されることにより、遊星歯車機構20のサンギア20aが回転を開始し、サンギア20aの周囲のプラネタリギア20bがリングギア20dと噛み合いながらサンギア20aの周囲を公転し始めることになる。そして、プラネタリギア20bの公転に伴うキャリア20cの揺動により、出力ローラ22aが図13において二点鎖線の矢印Iで示す方向に長孔43a内を移動する。これにより、出力ローラ22aとともに伝達部材40が車両の前後方向における開方向と平行に移動し、スライドブロック41もスライドレール39上を開方向と平行に移動する。
【0081】
上記により、第1面36aに当接していたローラ42が、第1面36aから外れる位置まで移動することになる。尚、図13及び図14では、第1面36aから外れた位置まで移動したローラ42の位置を二点鎖線のローラ42aとして図示している。これにより、ロック機構17によるドア104のロック状態が解除され、プラグ機構による車幅方向外側へのプラグ動作が可能な状態となる。
【0082】
上記のように、車幅方向外側へのプラグ動作が可能な状態に移行すると、更に連続して、ドア駆動機構13のブラシレス電動モータ21の駆動が継続される。これにより、リングギア20dを介して駆動プーリ13bに出力される駆動力が、更に、駆動ベルト13d及び連結部19を介して軸部14に伝達される。このため、軸部14は、開方向に移動しようとして、第2リンク25を同方向へ付勢する。
【0083】
ここで、図7に示すように、第2リンク25の第1リンク24に対する回動(上方から見て第2回動軸27を中心とした時計周りの方向への回動)は、ガイド部ローラ28がローラガイド23の斜面23aに当接する位置で規制されている。そのため、第2リンク25は、第1リンク24に対してほとんど回動せず、第2回動軸27を介して第1リンク24に、第1回動軸26を中心とする回動力(上方から見て時計周りの方向への回動力)を与えることになる。結果として、ガイド部ローラ28は斜面23aに沿って移動するとともに、第1リンク24は、第1回動軸26を中心として図中矢印Hで示す方向に向かって回動する。
【0084】
第1リンク24が上方から見て時計周り方向に回動している間、第2リンク25のガイド部ローラ28は、ローラガイド23の斜面23aに沿って移動する。このとき、第2 リンク25は、つるまきバネ30により斜面23a側に引きつけられているので、斜面23aからガイド部ローラ28が離れることはない。また、ガイド部ローラ28が斜面23aに沿って移動しているときは、第1リンク24の第1切り欠き部24aと第2リンク25の第2切り欠き部25aとが軸部14の周囲を囲んだ状態が維持される。
【0085】
上記の状態から、更に軸部14が開方向に移動すると、ガイド部ローラ28とローラガイド23との接触位置が斜面23aから曲面23bに移行する。これにより、ガイド部ローラ28が、曲面23bに沿って車幅方向内側に引き込まれるとともに、第2リンク25が、第1リンク24に対して、第2回動軸27を中心として上方から見て時計周り方向に相対回転する。即ち、図11に示すように、第2リンク25による軸部14の拘束が解除される。また、このとき、第1リンク24の矢印H方向の回動は、ローラガイド23に固定されたストッパ44に対して第1リンク24が当接することで、規制されている。
【0086】
上記のように、ガイド部15は、ドア104が開く際に、軸部14と当接しつつ回動して軸部14が車幅方向の一方(開方向)に移動するように軸部14を案内する機構として構成されている。
【0087】
尚、本実施形態では、ドア104が閉鎖位置の状態において、第1切り欠き部24aが第1回動軸26の位置よりも車幅方向外側に位置するように、第1リンク24が配置されている。また、ドア104が閉鎖位置の状態において、ガイド部ローラ28が軸部14の中心よりも車幅方向外側に位置し、かつ、第2回動軸27が軸部14の中心よりも車幅方向内側に位置するように、第2リンク25が配置されている。このような構成により、ガイド部15は、軸部14からの付勢力を効率よく第1リンク24の回動のために用いることができるように構成されている。
【0088】
また、上述のように第1リンク24が回動する際、軸部14に対して、車幅方向外側を向く力が作用することになる。そのため、軸部14に対して連結部19を介して連結されるドア駆動機構13にも車幅方向外側に向かう力が作用するとともに、ドア駆動機構13 が設置されるスライドベース12にも、車幅方向外側に向かう力が作用する。
【0089】
上記により、ドア駆動機構13およびスライドベース12が、固定ベース11におけるスライド支持部11bに案内されて車幅方向外側に移動することになる。結果として、ドア104が車幅方向外側に移動するプラグ動作が行われることになる。そして、プラグ動作が行われることで、ドア104の開方向への移動が可能な状態となる。
【0090】
また、プラグ機構による車幅方向外側へのプラグ動作が完了すると、スライドベース12に固定されたスライドレール39上に設置されたスライド当接部38も、スライドベース12とともに車幅方向外側へ移動することになる。これにより、図14において二点鎖線のローラ42aとして示す位置に位置していたローラ42が、一点鎖線のローラ42bとして示す位置に移動することになる。そして、ローラ42(42b)は、ロック固定部36の第2面36bに当接した状態に移行することになる。
【0091】
尚、遊星歯車機構20のキャリア20cに連結されたロック出力部22には、出力ローラ22aを図13において二点鎖線の矢印Iで示す方向と反対方向に付勢するバネ等の付勢手段(図示せず)が設けられている。ローラ42が第2面36bに当接した状態では、上記の付勢手段の付勢力が出力ローラ22a及び伝達部材40を介してスライド当接部38に作用することにより、ローラ42が第2面36bに押し付けられた状態が維持される。
【0092】
また、ローラ42が第2面36bに押し付けられて当接した状態では、遊星歯車機構20のキャリア20cからロック機構17に入力される駆動力と釣り合う反力が第2面36bにおいて発生することになる。これにより、遊星歯車機構20のリングギア20dから駆動プーリ13bに入力される駆動力によって駆動プーリ13bが回転駆動される。
【0093】
そして、駆動プーリ13bの回転に伴い、駆動ベルト13dが駆動され、連結部19とともに倍速レール16における支持レール16d及びピニオン16cが移動する。このため、スライドベース12に固定された下側ラック16bに対して、ドア104に連結された上側ラック16aが、ピニオン16cに対して倍速で移動することになる。これにより、ドア104が開方向へ移動し、ドア104の開放動作が行われることになる。尚、ドア104の開方向への移動中は、軸部14は、ガイド部15から車幅方向に力を受けることはなく、連結部19とともに開方向に直線的に移動することになる。
【0094】
図15は、図3に示すプラグドア装置1の平面図としての模式図であり、開放動作が行われたドア104の位置も示す図である。ドア104の開放動作が完了すると、図15において二点鎖線で示す位置までドア104が移動することになる。
【0095】
一方、ドア104が閉じる際は、上述したドア104の開放動作と逆の動作が行われる。即ち、ドア駆動機構13におけるダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21が駆動され、遊星歯車機構20を介して駆動される駆動プーリ13bが前述の開放動作の場合とは逆方向に回転する。これにより、連結部19に連結された支持レール16d及びピニオン16cが前述の開放動作の場合と逆方向に移動する。そして、スライドベース12に固定された下側ラック16bに対して、ドア104に連結された上側ラック16aが、ピニオン16cに対して倍速で移動する。これにより、ドア104が閉方向へ移動し、ドア104の閉鎖動作が行われることになる。また、軸部14は、ガイド部15に向かって直線的に閉方向に移動することになる。
【0096】
尚、ガイド部15においては、ドア104が開いた状態では、つるまきバネ30により第2リンク25に上方から見て時計周り方向の回動力が作用している。即ち、ガイド部ローラ28がローラガイド23の曲面23bに当接した位置に位置するように、つるまきバネ30から引っ張りの力が第2リンク25に作用している。本実施形態においては、ガイド部ローラ28は、曲面23bにおけるガイド部ローラ28の外周形状と略同じ半円弧形状を有する凹部に嵌まり込んでいる。従って、第1リンク24および第2リンク25が所定の位置で安定して保持される。具体的には、閉方向に直線的に移動してきた軸部14が第2切り欠き部25aの内縁に当接できる位置で、第2リンク25が保持される。また、第1リンク24も、閉方向に直線的に移動してきた軸部14を第1切り欠き部24a内に収容できる位置で保持される(図11を参照)。
【0097】
従って、軸部14は、ドア104が全開の状態の位置から閉方向に所定量移動したときに第2リンク25の第2切り欠き部25aの内縁に当接し(図11を参照)、この第2リンク25を付勢する。このとき、第2リンク25は、つるまきバネ30の力に抗して、第2回動軸27を中心として上方から見て反時計方向に回動するので、軸部14の閉方向への直線的な移動が妨げられることはない。この第2リンク25の回動時においては、ガイド部ローラ28は、ローラガイド23の曲面23bに沿って移動することになる。 尚、第2リンク25の回動時においては、第1リンク24は、ほとんど回動することなく所定の位置もしくはその近傍部で保持される。
【0098】
そして、軸部14は、第1リンク24の第1切り欠き部24aの内縁に当接する位置まで閉方向に移動し、第1リンク24を閉方向に付勢する。これにより、第1リンク24が第1回動軸26を中心として上方から見て反時計方向に回動するとともに、軸部14が車幅方向内側に案内される。
【0099】
このとき、ドア104は、軸部14と同様に移動する。即ち、ドア104は、全開の状態の位置からから閉方向に直線的に移動するとともに、閉鎖位置近傍部において、車幅方向内側に引き込まれて閉鎖位置に移行する。これにより、プラグ機構による車両幅方向内側へのプラグ動作が完了することになる。
【0100】
上記のように、ガイド部15は、ドア104が閉じる際に、軸部14と当接しつつ回動して軸部14が車両の幅方向の他方(閉方向)に移動するように軸部14を案内する機構として構成されている。
【0101】
また、プラグ機構による車幅方向内側へのプラグ動作が完了すると、スライドベース12に固定されたスライドレール39上に設置されたスライド当接部38も、スライドベース12とともに車幅方向内側へ移動することになる。これにより、図14において一点鎖線のローラ42bとして示す位置に位置していたローラ42が、二点鎖線のローラ42aとして示す位置に移動することになる。
【0102】
そして、上記のようにローラ42が移動すると、ロック固定部36の第2面36bからの反力がローラ42に作用しない状態となる。このため、遊星歯車機構20のキャリア20cから出力ローラ22aを介して入力される駆動力により、伝達部材40が車両の前後方向における閉方向と平行に移動し、スライドブロック41もスライドレール39上を閉方向と平行に移動する。
【0103】
上記により、図14において二点鎖線のローラ42aとして示す位置からロック固定部36の第1面36aに当接する位置までローラ42が移動することになる。これにより、ロック機構17によるドア104のロック状態が確保され、プラグ機構による車幅方向外側へのプラグ動作ができない状態となる。
【0104】
尚、上述したドア104の開放動作及び閉鎖動作が行われる際には、乗降口102の上部及び下部に設けられた回動アーム18(18a、18b)がそれぞれ回動する。これにより、ドア104の車幅方向の移動が上下の回動アーム18(18a、18b)によっても案内され、ドア104の滑らかなプラグ動作が行われることになる。
【0105】
〔プラグドア装置の効果について〕
以上説明したプラグドア装置1によると、ガイド部15は、軸部14に当接して回動することで軸部14を車幅方向に案内する。そのため、ガイド部15の動作は、ドア104の車幅方向への移動に追従するような動作となる。これにより、ドア104の車幅方向への移動状況に合わせて、車幅方向においてガイド部15が占有するスペースをより小さくすることができる。これにより、ドア104に対して車両の前後方向への力を作用させるドア駆動機構13で開閉動作とプラグ動作とを行うことができる小型のプラグドア装置1を実現できる。また、ドア駆動機構13は、2つのラック(16a、16b)及びピニオン16cにより構成される倍速レール16を介してドア104を車両の前後方向に移動させるため、ドア駆動機構13の作動ストロークを倍増させて効率よくドア104を移動させることができる。このため、車両の前後方向においても更に小型のプラグドア装置1を実現することができる。
【0106】
そして、プラグドア装置1によると、固定ベース11側に固定されたロック固定部36に対してロック移動部37が車幅方向内側で当接することで、閉鎖時におけるドア104の車幅方向外側への移動が規制される。このため、ドア104の閉鎖時において、よりがたつきなく確実にドア104が車幅方向外側に移動しないように拘束されることになる。よって、閉鎖時においてがたつきなくドア104をロックすることができる。
【0107】
従って、本実施形態によると、ドア104に対して車両の前後方向への力を作用させるドア駆動機構13で開閉動作とプラグ動作とを行うことができる小型のプラグドア装置1を実現でき、更に、閉鎖時においてがたつきなくドア104をロックすることができる、プラグドア装置1を提供することができる。
【0108】
また、プラグドア装置1によると、遊星歯車機構20からの駆動力が伝達部材40を介してスライド当接部38に伝達され、これにより、スライド当接部38が、スライドレール39上を所定の規制された方向に沿ってスライド移動してロック固定部36に当接する。このため、遊星歯車機構20からの駆動力によってスライド当接部38がスライドレール39上を滑らかに移動するため、遊星歯車機構20の強度を高く設定する必要性を抑制することができる。これにより、遊星歯車機構20をよりコンパクトに構成することができる。
【0109】
また、プラグドア装置1によると、スライド当接部38は、回転自在なローラ42にてロック固定部36に当接しながら、スライドブロック41にてスライドレール39上を移動することができる。このため、ロック固定部36との摩擦力がスライド当接部38のスライドレール39上の移動を妨げてしまうことが抑制され、スライド当接部38がスライドレール39上を滑らかに移動することができる。
【0110】
また、プラグドア装置1によると、スライドベース12に設置されて連結部19及び倍速レール16を介して1枚のドア104を車両の前後方向へ移動させる1つのドア駆動機構13が、ブラシレス電動モータ21を含む駆動部13a、駆動部13aからの駆動力が入力される駆動プーリ13b、従動プーリ13c、駆動プーリ13bの回転に伴って従動プーリ13cを回転させる駆動ベルト13dを備えて構成されている。このため、ドア駆動機構13の作動の際に、駆動プーリ13b及び従動プーリ13cが移動することがない。これにより、ドア駆動機構13の一部が、ドア104が設置される乗降口102に対して大きく突出してしまうことがない。よって、設置スペースの制約が生じることが大幅に抑制され、片引きのドア104に対しても容易に適用されることになる。
【0111】
また、プラグドア装置1によると、駆動部13aがダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21と遊星歯車機構20とで構成される。そして、遊星歯車機構20のサンギア20a、キャリア20c、リングギア20dにおいて、その1つにブラシレス電動モータ21の駆動力が入力され、他の1つからの駆動力が駆動プーリ13bに出力され、残る1つからの駆動力がロック機構17に出力される。このため、1台のダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21によって、ドア104の開閉動作、プラグ動作、ロック機構によるドア104のロック動作を行うことができ、コンパクトで効率の良い駆動部13aを実現することができる。
【0112】
また、プラグドア装置1によると、ドア104の閉鎖時においては、ロック移動部37がロック固定部36の第1面36aに当接し、ドア104がロックされる。一方、ドア104の開閉時においては、ロック移動部37とロック固定部36の第2面36bとが当接して両者間で作用する力が釣り合った状態となり、遊星歯車機構20からロック機構17への出力が固定された状態となる。そして、遊星歯車機構20から駆動プーリ13bに入力される駆動力によって、駆動プーリ13b、従動プーリ13c及び駆動ベルト13dが作動し、ドア104の開閉動作が行われることになる。このため、直交する第1面36a及び第2面36bが設けられたロック固定部36によって、遊星歯車機構20からの駆動プーリ13b及びロック機構17への駆動力の配分が行われることになる。よって、ロック固定部36に第1面36a及び第2面36bを設けるという簡素な機構によって、駆動力を駆動プーリ13b及びロック機構17へ効率よく配分する構成を実現することができる。
【0113】
[第2実施形態]
図16は、本発明の第2実施形態に係るプラグドア装置2の全体を示す模式図である。図16に示すプラグドア装置2は、2枚で構成される両引きの引き分けドアに対して好適なものである。尚、図16は、車両内側から見た模式図であり、車両の乗降口106に対してドア(108、109)とともに設置された状態を示す図である。図17は、図16のJ−J線矢視位置から見た断面を示す模式図である。図18は、プラグドア装置2の正面図としての模式図であって、図16におけるドア108の上部を拡大して示す図である。尚、図16及び図18では、乗降口106の上部において車両にプラグドア装置2が収納される際の車両内側に配置されるカバーの図を省略して示している。図19は、図18に示すプラグドア装置2の平面図としての模式図であり、ドア(108、109)とともに示している。図20は、図18の一部を拡大して示す図である。図21は、プラグドア装置2の側面図としての模式図であって、図17におけるドア(108、109)の上部を拡大して示す図である。
【0114】
尚、以下の第2実施形態の説明においては、第1実施形態と同様に構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、又は、同一の符号を引用することで、適宜説明を省略する。
【0115】
〔全体構成について〕
図16に示すように、車両側壁105には、乗降口106が設けられている。尚、図16は、ドア(108、109)が閉じられた状態を図示しており、乗降口106を破線で示している。乗降口106の上部には、車両の前後方向に延びるようにフレーム107が固定されている。ここで、車両の前後方向とは、第1実施形態と同様に、車両の進行方向と平行な方向であり、図16において両端矢印Bで示す方向である。尚、車両側壁105及びフレーム107は、車両の本体の一部を構成している。
【0116】
また、乗降口106を覆うように2枚のドア(108、109)が設置されている。2枚のドア(108、109)は、両引きの引き分けドアであって、プラグドア装置2により開閉される。そして、ドア(108、109)は、その下方側において、車両の幅方向の外側に向かって緩やかに湾曲して張り出すように形成されている(図17を参照)。ここで、車両の幅方向(以下、「車幅方向」とも記載する)とは、第1実施形態と同様に、車両の前後方向及び上下方向に対して垂直な方向であり、図17において両端矢印Cで示す方向である。尚、ドア(108、109)は、閉じられた位置である閉鎖位置(図16及び図17にて示す位置)において、乗降口106を略密閉するように構成されている。
【0117】
図16乃至図21に示すプラグドア装置2は、車両の乗降口106に設置され、ドア(108、109)の開閉動作、及び、車幅方向にドア(108、109)を移動させるプラグ動作を行う装置として設けられている。そして、このプラグドア装置2は、固定ベース51、スライドベース52、2枚の引き分けドア(108、109)を車両の前後方向へ移動させるように駆動するドア駆動機構53、ドア駆動機構53により車両の前後方向に駆動される軸部54(54a、54b)、軸部54(54a、54b)を案内するガイド部55(55a、55b)、倍速レール56(56a、56b)、ロック機構57、回動アーム58(58a、58b)、等を備えて構成されている。
【0118】
固定ベース51は、車両の本体を構成するフレーム107の一部であるブラケット107aに固定されている。これにより、固定ベース51は、車両の本体に対して相対移動しないように固定されている。また、固定ベース51には、水平に設置される平坦な板状部51aと、板状部51aにおける車両の前後方向における両側に設けられた一対のスライド支持部(51b、51b)とが備えられている。スライド支持部51bは、ブロック状で車幅方向に延びるように設置された部材として設けられている。そして、各スライド支持部51bには、スライドベース52を車幅方向にスライド移動可能に支持するためのレール部材51cが固定されている。
【0119】
図18及び図21に示すスライドベース52は、固定ベース51の下方において、固定ベース51に対して車両の幅方向にスライド移動可能にこの固定ベース51に対して設置されている。そして、スライドベース52には、水平方向で平坦に延びるように設置される本体部52aと、ブラケット部52bと、車輪部52cとが設けられている。
【0120】
ブラケット部52bは、本体部52aにおける車幅方向の外側(ドア108、109側)の端部にて本体部52aに対して下方に屈曲した後さらに水平方向に車幅方向外側に向かって屈曲するように延びる部分として設けられている。そして、ブラケット部52aは、複数設けられ、本体部52aに対して車両の前後方向における複数個所から延びるように設けられている。各ブラケット部52bには、後述の倍速レール56(56a、56b)が設置されている。また、車輪部52cは、本体部52aにおける車両の前後方向の両側に設置されており、車幅方向に延びたレール部材51c上を転動する車輪を備えて構成されている。これにより、スライドベース52が固定ベース51に対して車幅方向にスライド移動可能に構成されている。
【0121】
〔ドア駆動機構、倍速レールについて〕
図18乃至図21に示すドア駆動機構53は、スライドベース52の本体部52aに設置され、連結部59を介して2枚のドア(108、109)を車両の前後方向へ移動させる機構として設けられている。尚、本実施形態では、ドア駆動機構53は、本体部52aの下方側に設置されている。そして、このドア駆動機構53は、第1実施形態のブラシレス電動モータ21と同様に構成されるダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21(第1実施形態の図6を参照。図18乃至図21では図示を省略。)を含む駆動部53a、ラックアンドピニオン機構53b、等を備えて構成されている。
【0122】
ラックアンドピニオン機構53bは、駆動部53aからの駆動力が入力されることで連結部59を移動させる機構として設けられている。そして、このラックアンドピニオン機構53bは、対面する2つの駆動ラック60(60a、60b)と、駆動ピニオン61とを備えて構成されている。対面する2つの駆動ラック60(60a、60b)は、車幅方向の外側に配置される外側駆動ラック60aと、車幅方向の内側に配置される内側駆動ラック60bとで構成されている。外側駆動ラック60a及び内側駆動ラック60bは、車両の前後方向において互いに平行に延びるように配置されている。
【0123】
駆動ピニオン61は、2つの駆動ラック(60a、60b)の間に配置され、各駆動ラック(60a、60b)における互いに対向する側に設けられた歯に対して噛み合うように配置されている。そして、この駆動ピニオン61は、回転軸心が鉛直方向を向くように配置されている。また、この駆動ピニオン61は、駆動部53aにおける遊星歯車機構20のリングギア20dに対して同心状に固定されている。このため、リングギア20dの回転とともに同じ回転軸心を中心として回転するように構成されている。リングギア20dとともに駆動ピニオン61が回転することで、駆動ピニオン61に噛み合う2つの駆動ラック(60a、60b)が、車両の前後方向において互いに逆方向に移動する。
【0124】
また、駆動部53aとラックアンドピニオン機構53bにおける駆動ピニオン61とは、スライドベース52における車両の前後方向の中央部分に配置されている。そして、ラックアンドピニオン機構53bにおける駆動ラック60(60a、60b)には、連結部59が取り付けられている。
【0125】
駆動部53aは、第1実施形態の駆動部13aと同様に構成されている。即ち、駆動部53aは、駆動源として設けられて本実施形態の電動モータを構成するブラスレス電動モータ21に加え、更に、ブラシレス電動モータ21からの駆動力が入力される遊星歯車機構20を備えて構成されている。遊星歯車機構20は、第1実施形態と同様に、サンギア20a、複数のプラネタリギア20b、キャリア20c、リングギア20d、等を備えて構成されている。
【0126】
サンギア20a、プラネタリギア20b、キャリア20c、及びリングギア20dは、第1実施形態と同様に構成されている。即ち、サンギア20aにはブラシレス電動モータ21からの駆動力が入力され、複数のプラネタリギア20bがサンギア20aの周囲を公転するように配置され、キャリア20cがプラネタリギア20bを公転自在に支持する枠部材として設けられている。リングギア20dは、各プラネタリギア20bに噛み合う内歯が内周に形成されたリング状のギアとして設けられている。リングギア20dには、前述のように、ラックアンドピニオン機構13bにおける駆動ピニオン61が固定されている。
【0127】
また、キャリア20cにおける外周部の一部は、第1実施形態と同様に設けられるロック出力部22に連結されている。ロック出力部22は、キャリア20cがサンギア20aの軸心を中心として揺動することでキャリア20cから出力される駆動力をロック機構57に対して入力する機構として設けられている。このロック出力部22は、キャリア20cが揺動することで出力された駆動力について、その駆動力の作用方向を変換し、車両の前後方向と平行な直線方向の駆動力として出力するように構成されている。また、ロック出力部22における駆動力を出力する先端部分には、出力ローラ22aが設けられている。また、ロック出力部22には、出力ローラ22aを回転自在に支持する出力ローラ軸22bが設けられており、この出力ローラ軸22bを介してキャリア20cの駆動力が、ロック機構57の伝達部材40に入力されることになる。
【0128】
尚、本実施形態では、ダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21からの駆動力が、サンギア20aに入力され、リングギア20dから出力される駆動力が、ラックアンドピニオン機構53bに入力され、キャリア20cから出力される駆動力が、ロック機構57に入力される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。ブラシレス電動モータ21からの駆動力が、サンギア20a、キャリア20c、及びリングギア20dの何れか1つに入力され、サンギア20a、キャリア20c、及びリングギア20dの何れか1つから出力される駆動力が、ラックアンドピニオン機構53bに入力され、サンギア20a、キャリア20c、及びリングギア20dのうちの残りの1つから出力される駆動力が、ロック機構57に入力されるように構成されていればよい。
【0129】
駆動ラック60(60a、60b)に取り付けられてドア駆動機構53からの駆動力を伝達する連結部59は、外側駆動ラック60aに取り付けられる連結部59aと、内側駆動ラック60bに取り付けられる連結部59bとで構成されている。連結部59a及び連結部59bは、いずれも、屈曲形成された板状の部材によって構成されている。そして、連結部59aは、外側駆動ラック60aに対して、車両の前後方向におけるドア108側の端部にて、固定されている。連結部59bは、内側駆動ラック60bに対して、車両の前後方向におけるドア109側の端部にて、固定されている。
【0130】
連結部59aは、外側駆動ラック60aに固定された部分から水平にドア108側に向かって延びた後、屈曲して上方に延びるように構成されている。そして、連結部59aは、上方に延びた部分の端部において、倍速レール56のうち車両の前後方向におけるドア108側に設置された倍速レール56aにおける支持レール16dに固定されている。連結部59bは、内側駆動ラック60bに固定された部分から水平にドア108側に向かって延びた後、屈曲して上方に延びるように構成されている。そして、連結部59bは、上方に延びた部分の端部において、倍速レール56のうち車両の前後方向におけるドア109側に設置された倍速レール56bにおける支持レール16dに固定されている。
【0131】
また、連結部59aには、上方に延びた部分の端部から部分的に屈曲して水平に突出して延びる突出端部が設けられている。この突出端部には、上方に向かって延びるように片持ち状に突出する軸部54aが設けられている。尚、軸部54aは、第1実施形態の軸部14と同様に構成され、軸部54aにおける突出端部に固定される軸本体に対して回転自在に取り付けられた軸部ローラが設けられている。
【0132】
また、連結部59bには、上方に延びた部分の端部から部分的に屈曲して水平に突出して延びる突出端部が設けられている。この突出端部には、上方に向かって延びるように片持ち状に突出する軸部54bが設けられている。尚、軸部54bは、第1実施形態の軸部14と同様に構成され、軸部54bにおける突出端部に固定される軸本体に対して回転自在に取り付けられた軸部ローラが設けられている。
【0133】
図18乃至図21に示す倍速レール56(56a、56b)は、車両の前後方向におけるドア108側に設置される倍速レール56aと、車両の前後方向におけるドア109側に設置される倍速レール56bとで構成されている。そして、倍速レール56a及び倍速レール56bは、車両の前後方向に延びるように設けられ、いずれも、第1実施形態の倍速レール16と同様に構成されている。即ち、倍速レール(56a、56b)は、いずれも、車両の前後方向において互いに平行に延びるとともに対面する2つのラック(上側ラック16a、下側ラック16b)と、両ラック(16a、16b)に噛み合うピニオン16cと、ピニオン16cを回転自在に支持するとともに両ラック(16a、16b)を車両の前後方向にスライド移動自在に支持する支持レール16dと、を備えて構成されている。
【0134】
倍速レール56aにおけるピニオン16cは、連結部59a側に連結されている。即ち、倍速レール56aのピニオン16cは、倍速レール56aの支持レール16dを介して連結部59aに連結されている。このため、駆動ラック60aに固定された連結部59aと、倍速レール56aにおける支持レール16d及びピニオン16cとは、相対位置が変化しないように互いに連結されている。
【0135】
一方、倍速レール56bにおけるピニオン16cは、連結部59b側に連結されている。即ち、倍速レール56bのピニオン16cは、倍速レール56bの支持レール16dを介して連結部59bに連結されている。このため、駆動ラック60bに固定された連結部59bと、倍速レール56bにおける支持レール16d及びピニオン16cとは、相対位置が変化しないように互いに連結されている。
【0136】
また、倍速レール56aにおいては、2つのラック(16a、16b)のうちの一方の下側ラック16bがスライドベース52のブラケット部52bに固定されて連結され、他方の上側ラック16aがドア108側に連結されている。尚、上側ラック16aは、ドア108に対して、ドア支持部材108aを介して連結されている。また、ドア支持部材108aは、ドア108を懸架した状態で支持している。
【0137】
また、倍速レール56bにおいては、2つのラック(16a、16b)のうちの一方の下側ラック16bがスライドベース52のブラケット部52bに固定されて連結され、他方の上側ラック16aがドア109側に連結されている。尚、上側ラック16aは、ドア109に対して、ドア支持部材108aと同様に構成されるドア支持部材を介して連結されている。また、このドア支持部材は、ドア109を懸架した状態で支持している。
【0138】
ドア駆動機構53の駆動ピニオン61が駆動されると、駆動ラック60aに固定された連結部59aとともに倍速レール56aの支持レール16d及びピニオン16cが車両の前後方向において移動する。これにより、倍速レール56aでは、第1実施形態の倍速レール16と同様に、上側ラック16aが、下側ラック16bに対して、ピニオン16cの移動速度の倍の速度でピニオン16cの移動距離の倍の距離を移動する。その結果、倍速レール56aの下側ラック16bが連結部59aを介して連結されるスライドベース52に対して、上側ラック16aにドア支持部材108aを介して連結されたドア108が車両の前後方向における一方へ移動することになる。
【0139】
また、駆動ピニオン61が駆動されると、上記の倍速レール56aの作動タイミングと同時タイミングで、駆動ラック60bに固定された連結部59bとともに倍速レール56bの支持レール16d及びピニオン16cも車両の前後方向において移動する。このとき、駆動ラック60bが駆動ラック60aと逆方向に移動し、倍速レール56bのピニオン16cが倍速レール56aのピニオン16cと逆方向に移動する。そして、倍速レール56bにおいても、上側ラック16aが、下側ラック16bに対して、ピニオン16cの移動速度の倍の速度でピニオン16cの移動距離の倍の距離を移動する。その結果、倍速レール56bの下側ラック16bが連結部59bを介して連結されるスライドベース52に対して、上側ラック16aにドア支持部材を介して連結されたドア109が車両の前後方向における他方へ移動することになる。即ち、ドア109が、車両の前後方向におけるドア108の移動方向と逆方向へ移動することになる。このため、プラグドア装置2においては、両引きの引き分けドア(108、109)が対称的に開閉駆動されるように構成されている。
【0140】
〔プラグ機構、回動アームについて〕
プラグドア装置2において、ドア(108、109)を車幅方向に移動させるプラグ動作を行うためのプラグ機構は、軸部54(54a、54b)、ガイド部55(55a、55b)、及びローラガイド(23、23)を備えて構成されている。尚、ドア108側のプラグ動作を行うプラグ機構が、軸部54a、ガイド部55a及びローラガイド23で構成され、ドア109側のプラグ動作を行うプラグ機構が、軸部54b、ガイド部55b及びローラガイド23で構成されている。
【0141】
ドア108側のプラグ動作を行うプラグ機構と、ドア109側のプラグ動作を行うプラグ機構とは、いずれも、第1実施形態のプラグ機構(軸部14、ガイド部15、ローラガイド23)と同様に構成されている。そして、ドア108側のプラグ機構のガイド部55aは、第1実施形態のガイド部14と同様に第1リンク24及び第2リンク25を備えて構成され、連結部59aの突出端部に設けられた軸部54aを案内するように設けられている。また、ドア109側のプラグ機構のガイド部55bは、第1実施形態のガイド部14と同様に第1リンク24及び第2リンク25を備えて構成され、連結部59bの突出端部に設けられた軸部54bを案内するように設けられている。
【0142】
尚、ドア108側のプラグ機構は、車両の前後方向及び車幅方向に対する各構成要素の配置構成が、第1実施形態のプラグ機構(軸部14、ガイド部15、ローラガイド23)と同様となるように設定されている。一方、ドア109側のプラグ機構は、車両の前後方向及び車幅方向に対する各構成要素の配置構成が、ドア108側のプラグ機構に対して、乗降口106における車両の前後方向の中央位置を通って水平に車幅方向に延びる仮想の線を中心とした線対称の配置状態となるように設定されている。
【0143】
回動アーム58は、乗降口106に対して車両の前後方向の両側における上部及び下部に設置され、この回動アーム58として、ドア108を車幅方向に案内する回動アーム58aと、ドア109を車幅方向に案内する回動アーム58bとが設けられている。回動アーム58a及び回動アーム58bは、いずれも、第1実施形態の回動アーム18と同様に構成され、連結軸31の上端側に固定された上側回動アーム18aと、連結軸31の下端側に固定された下側回動アーム18bとを備えて構成されている。
【0144】
尚、回動アーム58aは、車両の前後方向及び車幅方向に対する各構成要素の配置構成が、第1実施形態の回動アーム18と同様となるように設定されている。一方、回動アーム58bは、車両の前後方向及び車幅方向に対する各構成要素の配置構成が、回動アーム58aに対して、乗降口106における車両の前後方向の中央位置を通って水平に車幅方向に延びる仮想の線を中心とした線対称の配置状態となるように設定されている。
【0145】
〔ロック機構について〕
図18、図20及び図21に示すロック機構57は、ドア(108、109)の閉鎖位置でドア(108、109)の移動を制限するようにロック可能な機構として設けられている。そして、このロック機構57は、ロックピン63(63a、63b)と、リンク機構64(64a、64b、64c)と、リンク保持機構65と、ロック固定部62と、ロック移動部37と、を備えて構成されている。
【0146】
ロックピン63(63a、63b)は、駆動ラック60(60a、60b)又は連結部59(59a、59b)に固定されたアーム部材(66a、66b)に設置されたピン状の部分として設けられている。アーム部材66aは、駆動ラック60a又は連結部59aに対して固定されている。アーム部材66bは、駆動ラック60b又は連結部59bに対して固定されている。また、アーム部材(66a、66b)は、駆動ラック60(60a、60b)又は連結部59(59a、59b)から車幅方向の内側に向かって延びるように設けられている。そして、アーム部材(66a、66b)には、車幅方向の内側の端部側において、車両の前後方向に沿って突出する部分が更に設けられている。アーム部材(66a、66b)において車両の前後方向に突出する部分は、車両の前方側及び後方側から乗降口106における車両の前後方向の中央側に向かって片持ち状に突出するように配置されている。そして、各アーム部材(66a、66b)における車両の前後方向で片持ち状に突出する先端側の端部に、各ロックピン(63a、63b)が固定されている。尚、ロックピン63aは、アーム部材66aの先端側の端部から車幅方向の外側に向かって突出するように設けられている。一方、ロックピン63bは、アーム部材66bの先端側の端部から車幅方向の外側に向かって突出するように設けられている。
【0147】
図22は、リンク機構64及びリンク保持機構65についてガイドプレート43とともに示す正面図である。図20及び図22によく示すように、リンク機構64は、鉛直面内で直線状態と屈曲状態とに変形可能な機構として設けられている。このリンク機構64は、3つのリンク(64a、64b、64c)が直列に連結されることで構成されている。中央のリンク64aは、中央部において連結ピン67aによりガイドプレート43に対して回動自在に支持されている。尚、ガイドプレート43は、第1実施形態と同様に、スライドベース52に設置された駆動部53aのハウジング等に対して固定された板状の部材として設けられている。そして、ガイドプレート43には、連結ピン67aが取り付けられる位置の下方において、出力ローラ22aが配置される長孔43aが形成されている。出力ローラ22aは、この長孔43aに沿って移動することで、車両の前後方向に移動する。
【0148】
また、中央のリンク64aの一端には、連結ピン67bを介してリンク64bの一端が回動自在に連結されている。中央のリンク64aの他端には、連結ピン67cを介してリンク64cの一端が回動自在に連結されている。また、リンク64bにおけるリンク64aに連結される側と反対側の端部には、ピン67dが設けられている。そして、リンク64cにおけるリンク64aに連結される側と反対側の端部には、ピン67eが設けられている。リンク機構64における端部に設けられた上記のピン(67d、67e)は、ガイドプレート43において車両の前後方向と平行に延びる長孔状のガイド溝(43b、43c)に端部が遊嵌状態で挿入されている。
【0149】
また、中央のリンク64aにおいては、連結ピン67aと連結ピン67bとの中間部分から下方に向かって突出した部分が設けられており、この突出した部分の縁部によって、長孔43aに対向する位置で開口して出力ローラ22aに当接可能な凹み部68が形成されている。リンク機構64においては、長孔43aに沿って移動する出力ローラ22aに対して凹み部68で当接したリンク64aが、連結ピン67aを中心として回動する。そして、リンク64aの回動とともに、ピン(67d、67e)の移動方向がガイド溝(43b、43c)によって規制されたリンク(64b、64c)が、連結ピン(67b、67c)を中心としてリンク64aに対して相対的に回動する。これにより、リンク機構64は、直線状態から屈曲状態に変形することになる。
【0150】
リンク保持機構65は、一対の係合部材(69a、69b)と、一対の付勢バネ(70a、70b)とを備えて構成されている。一対の係合部材(69a、69b)は、リンク機構64の両端部近傍において、リンク機構64に対して(連結ピン67aに対して)対称に、鉛直面内で回動自在に設置されている。尚、係合部材69aは、ガイドプレート43に対して、回動軸73aを介して回動自在に支持されている。また、係合部材69bは、ガイドプレート43に対して、回動軸73bを介して回動自在に支持されている。
【0151】
各係合部材(69a、69b)には、その周縁部において、凹み状に形成された第1係合部(71a、71b)及び第2係合部(72a、72b)が設けられている。第1係合部71a及び第2係合部72aは、係合部材69aに設けられ、第1係合部71b及び第2係合部72bは、係合部材69bに設けられている。
【0152】
第1係合部71aは、ロックピン63aに係合可能な凹み部分として設けられ、第1係合部71bは、ロックピン63bに係合可能な凹み部分として設けられている。また、第2係合部72aは、ピン67dに係合可能な凹み部分として設けられ、第2係合部72bは、ピン67eに係合可能な凹み部分として設けられている。尚、ピン67dにおいて、第2係合部72aに係合可能な部分は、ガイド溝43bに当接可能な部分に対して同一軸心上で段状に拡径した部分として設けられている。そして、ピン67eにおいて、第2係合部72bに係合可能な部分は、ガイド溝43cに当接可能な部分に対して同一軸心上で段状に拡径した部分として設けられている。
【0153】
一対の付勢バネ(70a、70b)は、一対の係合部材(69a、69b)をそれぞれ所定方向に回動するように付勢するコイル状のバネ部材として設けられている。付勢バネ70aは、コイル状に巻かれたバネ部材における一端がガイドプレート43に設けられた突起に対して係止され、回動軸73aの周りを巻き回された後に、コイル状に巻かれたバネ部材における他端が係合部材69aに設けられた突起に対して係止されている。これにより、付勢バネ70aは、回動軸73aを中心として、車幅方向内側から見て反時計周り方向に係合部材69aを回動させるように付勢するよう構成されている。
【0154】
また、付勢バネ70bは、コイル状に巻かれたバネ部材における一端がガイドプレート43に設けられた突起に対して係止され、回動軸73bの周りを巻き回された後に、コイル状に巻かれたバネ部材における他端が係合部材69bに設けられた突起に対して係止されている。これにより、付勢バネ70bは、回動軸73bを中心として、車幅方向内側から見て時計周り方向に係合部材69aを回動させるように付勢するよう構成されている。
【0155】
図23は、ドア(108、109)が閉鎖位置の状態において、リンク機構64が直線状態で係合部材(69a、69b)の第2係合部(72a、72b)に係合した状態を模式的に示す図である。尚、図23では、リンク機構64、係合部材(69a、69b)、長孔43a、ガイド溝(43b、43c)、出力ローラ22a、等の正面側から(車幅方向内側から)見た位置関係を模式的に示している。
【0156】
図22及び図23に示す状態では、リンク機構64が直線状態で係合部材(69a、69b)に係合しており、係合部材(69a、69b)は、第1係合部(71a、71b)においてロックピン(63a、63b)に係合している。この状態において、遊星歯車機構20のキャリア20cが揺動して出力された駆動力がロック出力部22の出力ローラ22aに出力されると、出力ローラ22aが長孔43aを図中矢印K方向に移動する。
【0157】
上記により、出力ローラ22aがリンク64aの凹み部68に当接し、リンク64aが連結ピン67aを中心として回動する。そして、リンク(64b、64c)がリンク64aに対して相対的に回動してリンク機構64が屈曲状態となる。これにより、係合部材(69a、69b)の第2係合部(72a、72b)に対するリンク機構64の両端部の係合が外れた状態となる。そして、遊星歯車機構20のリングギア20dからの出力された駆動力によってラックアンドピニオン機構53bが作動して駆動ラック(60a、60b)又は連結部(59a、59b)とともにアーム部材(66a、66b)が移動すると、ロックピン(63a、63b)もドア(108、109)の開方向に向かって互いに離間する方向に移動することになる。
【0158】
上記のようにロックピン(63a、63b)が移動すると、リンク機構64と係合部材(69a、69b)との係合が外れているため、係合部材(69a、69b)が、付勢バネ(70a、70b)で付勢されている方向に回動し、ロックピン(63a、63b)と係合部材(69a、69b)の第1係合部(71a、71b)との係合が外れることになる。そして、リンク機構64及び係合部材(69a、69b)の状態が、図24に示す状態に移行することになる。
【0159】
図24に示す状態では、リンク保持機構65は、外部から力を受けていない状態となっており、係合部材(69a、69b)は、付勢バネ(70a、70b)によるバネ力によって図24に示す状態に保持される。そして、この状態においては、係合部材(69a、69b)は、リンク機構64が直線状態に延びる動きを外縁部(74a、74b)によって拘束している。即ち、係合部材69aの外縁部74aがリンク機構64におけるピン67d側の端部の動きを拘束し、係合部材69bの外縁部74bがリンク機構64におけるピン67e側の動きを拘束している。このように、リンク機構64が、リンク保持機構65によって屈曲状態に保持されているときは、出力ローラ22aがリンク64aの凹み部68に保持され、遊星歯車機構20におけるキャリア20cへの出力が固定された状態に維持される。
【0160】
一方、ラックアンドピニオン機構53bが上記と逆方向に作動すると、アーム部材(66a、66b)とともにロックピン(63a、63b)がドア(108、109)の閉方向に向かって互いに接近する方向に移動することになる。このようにロックピン(63a、63b)が移動すると、ロックピン(63a、63b)が係合部材(69a、69b)の第1係合部(71a、71b)に係合し、係合部材(69a、69b)が、付勢バネ(70a、70b)で付勢されている方向と反対方向に回動する。そして、リンク機構64及び係合部材(69a、69b)の状態が、図25に示す状態に移行することになる。
【0161】
図25に示す状態では、係合部材(69a、69b)の第2係合部(72a、72b)がリンク機構64の両端部に対向しており、リンク機構64が係合部材(69a、69b)に係合可能な状態となっている。この状態において、遊星歯車機構20のキャリア20cが揺動し、ロック出力部22の出力ローラ22aが長孔43aを図中矢印L方向に移動することで、リンク64aが連結ピン67cの近傍で出力ローラ22aに付勢されることになる。これにより、リンク64aが連結ピン67aを中心として回動し、リンク機構64が屈曲状態から直線状態に変形することになる。そして、図22及び図23に示すように、リンク機構64の両端部が係合部材(69a、69b)の第2係合部(72a、72b)に係合することになる。
【0162】
図26は、ロック機構57におけるロック固定部62及びロック移動部37を示す平面図である。ロック固定部62は、固定ベース51に固定されて設けられたブロック状の部材として構成されている。このロック固定部62には、第1実施形態のロック固定部36と同様に構成される第1面36a及び傾斜面36bが設けられている。但し、ロック固定部62は、第2面36bが設けられていない点において、第1実施形態のロック固定部36とは異なっている。
【0163】
尚、第2実施形態では、リンク保持機構65の係合部材(69a、69b)において、リンク機構64を屈曲状態に保持する外縁部(74a、74b)が設けられている。このため、この外縁部(74a、74b)により、遊星歯車機構20のリングギア20dからラックアンドピニオン機構53bに入力される駆動力によって駆動ピニオン61が回転駆動されるように、遊星歯車機構20のキャリア20cからロック機構57に入力される駆動力と釣り合う反力を発生させる機能が果たされることになる。これにより、ロック固定部62に第1実施形態と同様の第2面36bを設けることが不要となる。
【0164】
ロック移動部37は、遊星歯車機構20のキャリア20cからロック機構57へ出力される駆動力によって移動可能に設けられている。そして、このロック移動部37は、ドア104の閉鎖位置において、ロック固定部62に対して車両の幅方向における内側で当接するように構成されている。このように、ロック機構57は、ロック移動部37がロック固定部62に当接することで、ドア(108、109)の閉鎖時において、ドア(108、109)の車幅方向における外側への移動を規制するように設けられている。
【0165】
ロック移動部37は、第1実施形態のロック移動部37と同様に構成され、ロック固定部62に当接可能なスライド当接部38と、スライドレール39と、伝達部材40とを備えて構成されている。スライド当接部38は、第1実施形態と同様に、スライドブロック41とローラ42とを備えて構成されている。スライドレール39及び伝達部材40についても、第1実施形態と同様に構成されている。
【0166】
尚、第2実施形態においては、伝達部材40は、ロック出力部22における出力ローラ軸22bに固定されている(図21を参照)。図21ではガイドプレート43の図示を省略しているが、出力ローラ軸22bは、ガイドプレート43の長孔43aを貫通し、伝達部材40の下端側に固定されている。また、長孔43aを貫通する出力ローラ軸22bに対して、長孔43aに対応する位置で、出力ローラ22aが回転自在に支持されている。
【0167】
〔プラグドア装置の作動について〕
次に、プラグドア装置1の作動について説明する。図16乃至図21に示すようにドア(108、109)が閉鎖位置のときは、軸部54(54a、54b)は、ガイド部55(55a、55b)のそれぞれにおける第1リンク24及び第2リンク25に係合している。
【0168】
また、ドア(108、109)が閉鎖位置のときは、図20、図21及び図26に示すように、ロック機構57は、ローラ42がロック固定部62の第1面36aに当接している。このため、ロック機構57及び遊星歯車機構20のキャリア20cを介して、スライドベース52の車幅方向外側への移動が規制された状態となっている。これにより、プラグ機構による車幅方向外側へのプラグ動作が規制され、ドア(108、109)の移動が制限されるようにロックされている。
【0169】
上記の閉鎖位置の状態から、ドア駆動機構53のダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21が駆動されることにより、遊星歯車機構20のサンギア20aが回転を開始し、サンギア20aの周囲のプラネタリギア20bがリングギア20dと噛み合いながらサンギア20aの周囲を公転し始めることになる。そして、プラネタリギア20bの公転に伴うキャリア20cの揺動により、出力ローラ22a及び出力ローラ軸22bが図23において矢印Kで示す方向に長孔43a内を移動する。
【0170】
これにより、出力ローラ軸22bとともに伝達部材40が車両の前後方向におけるドア108の開方向と平行に移動し、スライドブロック41もスライドレール39上をドア108の開方向と平行に移動する。そして、リンク機構24が、両端部で係合部材(69a、69b)の第2係合部(72a、72b)に係合した直線状態(図22及び図23を参照)から、両端部の第2係合部(72a、72b)への係合が外れた屈曲状態に移行することになる。
【0171】
上記により、第1面36aに当接していたローラ42が、第1面36aから外れる位置まで移動することになる。そして、係合部材(69a、69b)の第1係合部(71a、71b)に係合していたロックピン(63a、63)が、第1係合部(71a、71b)から外れる位置まで移動することになる。尚、図26では、第1面36aから外れた位置まで移動したローラ42の位置を二点鎖線のローラ42aとして図示している。これにより、ロック機構57によるドア(108、109)のロック状態が解除され、プラグ機構による車幅方向外側へのプラグ動作が可能な状態となる。
【0172】
上記のように、車幅方向外側へのプラグ動作が可能な状態に移行すると、更に連続して、ドア駆動機構53のブラシレス電動モータ21の駆動が継続される。これにより、リングギア20dを介してラックアンドピニオン機構53bの駆動ピニオン61に出力される駆動力が、更に、駆動ラック(60a、60b)及び連結部(59a、59b)を介して軸部(54a、54b)に伝達される。このため、軸部(54a、54b)のそれぞれは、ドア(108、109)をそれぞれ開方向に移動しようとして、各ガイド部(55a、55b)の第2リンク25を同方向へ付勢する。そして、各ガイド部(55a、55b)が第1実施形態のガイド部15と同様に作動する。即ち、ガイド部(55a、55b)は、ドア(108、109)が開く際に、軸部(54a、54b)と当接しつつ回動して軸部(54a、54b)が車幅方向の一方(ドア108の開方向及びドア109の開方向)に移動するように軸部(54a、54b)を案内する。
【0173】
また、上述のようにガイド部(55a、55b)が作動する際、軸部(54a、54b)に対して、車幅方向外側を向く力が作用することになる。そのため、軸部(54a、54b)に対して連結部(59a、59b)を介して連結されるドア駆動機構53にも車幅方向外側に向かう力が作用するとともに、ドア駆動機構53 が設置されるスライドベース52にも、車幅方向外側に向かう力が作用する。
【0174】
上記により、ドア駆動機構53およびスライドベース52が、固定ベース51におけるスライド支持部51bに案内されて車幅方向外側に移動することになる。結果として、ドア(108、109)が車幅方向外側に移動するプラグ動作が行われることになる。そして、プラグ動作が行われることで、ドア(108、109)の開方向への移動が可能な状態となる。
【0175】
また、プラグ機構による車幅方向外側へのプラグ動作が完了すると、スライドベース52に固定されたスライドレール39上に設置されたスライド当接部38も、スライドベース52とともに車幅方向外側へ移動することになる。これにより、図26において二点鎖線のローラ42aとして示す位置に位置していたローラ42が、一点鎖線のローラ42bとして示す位置に移動することになる。このとき、第1実施形態とは異なり、ローラ42は、ロック固定部62には当接していない。しかし、図24に示すように、屈曲状態のリンク機構64の両端部の動きが、係合部材(69a、69b)の外縁部(74a、74b)によって拘束されている。
【0176】
尚、遊星歯車機構20のキャリア20cに連結されたロック出力部22には、出力ローラ22aを図23において矢印Kで示す方向と反対方向に付勢するバネ等の付勢手段(図示せず)が設けられている。リンク機構64の両端部が係合部材(69a、69b)の外縁部(74a、74b)に当接して拘束された状態では、上記の付勢手段の付勢力が出力ローラ22a及びリンク機構64に作用することにより、リンク機構64が係合部材(69a、69b)の外縁部(74a、74b)に押し付けられた状態が維持される。
【0177】
また、リンク機構64の両端部が係合部材(69a、69b)の外縁部(74a、74b)に押し付けられて当接した状態では、遊星歯車機構20のキャリア20cからロック機構57に入力される駆動力と釣り合う反力が外縁部(74a、74b)において発生することになる。これにより、遊星歯車機構20のリングギア20dから駆動ピニオン61に入力される駆動力によって駆動ピニオン61が回転駆動される。
【0178】
そして、駆動ピニオン61の回転に伴い、駆動ラック(60a、60b)が互いに逆方向に駆動され、連結部(59a、59b)とともに倍速レール(56a、56b)における支持レール16d及びピニオン16cが移動する。このため、各倍速レール(56a、56b)において、スライドベース52に固定された下側ラック16bに対して、ドア104に連結された上側ラック16aが、ピニオン16cに対して倍速で移動することになる。これにより、ドア(108、109)がそれぞれ開方向へ移動し、ドア(108、109)の開放動作が行われることになる。尚、ドア(108、109)の開方向への移動中は、軸部(54a、54b)は、ガイド部(55 、55b)から車幅方向に力を受けることはなく、連結部(59a、59b)とともにドア(108、109)の開方向に直線的に移動することになる。
【0179】
一方、ドア(108、109)が閉じる際は、上述したドア(108、109)の開放動作と逆の動作が行われる。即ち、ドア駆動機構53におけるダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21が駆動され、遊星歯車機構20を介して駆動される駆動ピニオン61が前述の開放動作の場合とは逆方向に回転する。これにより、連結部(59a、59b)に連結された各倍速レール(56a、56b)における支持レール16d及びピニオン16cが前述の開放動作の場合と逆方向に移動する。そして、各倍速レール(56a、56b)において、スライドベース52に固定された下側ラック16bに対して、ドア104に連結された上側ラック16aが、ピニオン16cに対して倍速で移動する。これにより、ドア(108、109)が閉方向へ移動し、ドア(108、109)の閉鎖動作が行われることになる。また、軸部(54a、54b)は、ガイド部(55a、55b)に向かってそれぞれ直線的に閉方向に移動することになる。
【0180】
従って、軸部(54a、54b)は、ドア(108、109)が全開の状態の位置から閉方向に所定量移動したときに各ガイド部(55a、55b)における第2リンク25に当接してこの第2リンク25を付勢する。そして、各ガイド部(55a、55b)が第1実施形態のガイド部15と同様に作動する。即ち、ガイド部(55a、55b)は、ドア(108、109)が閉じる際に、軸部(54a、54b)と当接しつつ回動して軸部(54a、54b)が車幅方向の他方(ドア108の閉方向及びドア109の閉方向)に移動するように軸部(54a、54b)を案内する。また、このとき、ドア(108、109)は、軸部(54a、54b)と同様に移動する。即ち、ドア(108、109)は、全開の状態の位置からから閉方向に直線的に移動するとともに、閉鎖位置近傍部において、車幅方向内側に引き込まれて閉鎖位置に移行する。これにより、プラグ機構による車両幅方向内側へのプラグ動作が完了することになる。
【0181】
また、プラグ機構による車幅方向内側へのプラグ動作が完了すると、スライドベース52に固定されたスライドレール39上に設置されたスライド当接部38も、スライドベース52とともに車幅方向内側へ移動することになる。これにより、図26において一点鎖線のローラ42bとして示す位置に位置していたローラ42が、二点鎖線のローラ42aとして示す位置に移動することになる。また、このとき、ロックピン(63a、63b)は、係合部材(69a、69b)の第1係合部(71a、71b)にそれぞれ係合し、係合部材(69a、69b)を回動させている。これにより、係合部材(69a、69b)の第2係合部(72a、72b)が、屈曲状態のリンク機構64の両端部に対向した状態となっている。
【0182】
そして、上記のように係合部材(69a、69b)が回動すると、係合部材(69a、69b)の外縁部(74a、74b)によるリンク機構64の拘束が解除された状態となる。このため、遊星歯車機構20のキャリア20cから出力ローラ22aを介して入力される駆動力により、リンク64aが回動し、リンク機構64が屈曲状態から直線状態に変形する。そして、リンク機構64の両端部が、係合部材(69a、69b)の第2係合部(72a、72b)に係合することになる。
【0183】
また、このとき、キャリア20cから出力ローラ軸22bを介して入力される駆動力により、伝達部材40が車両の前後方向におけるドア108の閉方向と平行に移動し、スライドブロック41もスライドレール39上をドア108の閉方向と平行に移動する。そして、図26において二点鎖線のローラ42aとして示す位置からロック固定部62の第1面36aに当接する位置までローラ42が移動することになる。これにより、ロック機構57によるドア(108、109)のロック状態が確保され、プラグ機構による車幅方向外側へのプラグ動作ができない状態となる。
【0184】
尚、上述したドア(108、109)の開放動作及び閉鎖動作が行われる際には、乗降口106における車両の前後方向の両側の上下に設けられた回動アーム58(58a、58b)がそれぞれ回動する。これにより、ドア(108、109)の車幅方向の移動が回動アーム58(58a、58b)によっても案内され、ドア(108、109)の滑らかなプラグ動作が行われることになる。
【0185】
〔プラグドア装置の効果について〕
以上説明したプラグドア装置2によると、ガイド部55(55a、55b)は、軸部54(54a、54b)に当接して回動することで軸部54(54a、54b)を車幅方向に案内する。そのため、ガイド部55(55a、55b)の動作は、ドア(108、109)の車幅方向への移動に追従するような動作となる。これにより、ドア(108、109)の車幅方向への移動状況に合わせて、車幅方向においてガイド部55(55a、55b)が占有するスペースをより小さくすることができる。これにより、ドア(108、109)に対して車両の前後方向への力を作用させるドア駆動機構53で開閉動作とプラグ動作とを行うことができる小型のプラグドア装置2を実現できる。また、ドア駆動機構53は、2つのラック(16a、16b)及びピニオン16cにより構成される倍速レール56(56a、56b)を介してドア(108、109)を車両の前後方向に移動させるため、ドア駆動機構53の作動ストロークを倍増させて効率よくドア(108、109)を移動させることができる。このため、車両の前後方向においても更に小型のプラグドア装置2を実現することができる。
【0186】
そして、プラグドア装置2によると、固定ベース51側に固定されたロック固定部62に対してロック移動部37が車幅方向内側で当接することで、閉鎖時におけるドア(108、109)の車幅方向外側への移動が規制される。このため、ドア(108、109)の閉鎖時において、よりがたつきなく確実にドア(108、109)が車幅方向外側に移動しないように拘束されることになる。よって、閉鎖時においてがたつきなくドア(108、109)をロックすることができる。
【0187】
従って、本実施形態によると、ドア(108、109)に対して車両の前後方向への力を作用させるドア駆動機構53で開閉動作とプラグ動作とを行うことができる小型のプラグドア装置2を実現でき、更に、閉鎖時においてがたつきなくドア(108、109)をロックすることができる、プラグドア装置2を提供することができる。
【0188】
また、プラグドア装置2によると、ドア駆動機構が、ダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21を有する駆動部53aと、この駆動部53aからの駆動力によって作動することで連結部(59a、59b)を介してドア(108、109)を移動させるラックアンドピニオン機構53bとで構成される。このため、ラックアンドピニオン機構53bにおける互いに逆方向に移動する一対の駆動ラック(60a、60b)によって、乗降口106に設置された一対のドア(108、109)として設けられた両引きの引き分けドアを同時に開閉駆動することができる。よって、1台のブラシレス電動モータ21によって引き分けドア(108、109)の開閉動作を行うことができる。また、プラグドア装置2によると、駆動部53aがダイレクトドライブ方式のブラシレス電動モータ21と遊星歯車機構20とで構成される。そして、遊星歯車機構20のサンギア20a、キャリア20c、リングギア20dにおいて、その1つにブラシレス電動モータ21の駆動力が入力され、他の1つからの駆動力がラックアンドピニオン機構53bに出力され、残る1つからの駆動力がロック機構57に出力される。このため、1台のブラシレス電動モータ21によって、両引きの引き分けドア(108、109)の開閉動作、プラグ動作、ロック機構57によるドア(108、109)のロック動作を行うことができ、コンパクトで効率の良い駆動部53aを実現することができる。
【0189】
[変形例について]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0190】
(1)第1実施形態では、ドア駆動機構において、従動プーリが2つ設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。従動プーリが1つ又は3つ以上設けられている形態であってもよい。
【0191】
(2)第1実施形態では、駆動輪部材、従動輪部材として駆動プーリ、従動プーリを例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。駆動輪部材、従動輪部材がスプロケット等として構成されてもよい。また、無端状部材として歯付の駆動ベルトを例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。無端状部材として、Vベルト、チェーン、ワイヤ、等が用いられる形態であってもよい。
【0192】
(3)第1及び第2実施形態では、軸部が連結部に設けられている形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。軸部がドアに直接に設けられた形態であってもよい。
【0193】
(4)ガイド部の形状については、上述の実施形態で例示した形状でなくてもよい。即ち、ガイド部は、固定ベースに回転自在に設置され、ドアが開く際に、軸部と当接しつつ回動して軸部が車両の幅方向の一方に移動するように軸部を案内するとともに、ドアが閉じる際に、軸部と当接しつつ回動して軸部が車両の幅方向の他方に移動するように軸部を案内可能な形状であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本発明は、車両の乗降口に設置され、ドアの開閉動作、及び、車両の幅方向にドアを移動させるプラグ動作を行うプラグドア装置として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0195】
1 プラグドア装置
11 固定ベース
12 スライドベース
13 ドア駆動機構
14 軸部
15 ガイド部
16 倍速レール
16a、16b ラック
16c ピニオン
17 ロック機構
19 連結部
36 ロック固定部
37 ロック移動部
102 乗降口
104 ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗降口に設置され、ドアの開閉動作、及び、前記車両の幅方向に前記ドアを移動させるプラグ動作を行うプラグドア装置であって、
前記車両の本体に固定された固定ベースと、
前記固定ベースに対して前記車両の幅方向にスライド移動可能に前記固定ベースに設置されたスライドベースと、
前記スライドベースに設置され、連結部を介して前記ドアを前記車両の前後方向へ移動させるドア駆動機構と、
前記ドア又は前記連結部に設けられた軸部と、
前記固定ベースに回転自在に設置され、前記ドアが開く際に、前記軸部と当接しつつ回動して当該軸部が前記車両の幅方向の一方に移動するように当該軸部を案内するとともに、前記ドアが閉じる際に、当該軸部と当接しつつ回動して当該軸部が前記車両の幅方向の他方に移動するように当該軸部を案内するガイド部と、
対面する2つのラックと当該2つのラックの間に配置されたピニオンとを有し、当該2つのラックは前記車両の前後方向に延びるように設置され、当該2つのラックのうちの一方が前記スライドベースに連結されて他方が前記ドア側に連結され、前記ピニオンが前記連結部側に連結されている倍速レールと、
前記ドアの閉鎖位置で当該ドアの移動を制限するようにロック可能なロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、
前記固定ベースに固定されて設けられたロック固定部と、
前記遊星歯車機構から前記ロック機構へ出力される駆動力によって移動可能に設けられ、前記ドアの閉鎖位置において、前記ロック固定部に対して前記車両の幅方向における内側で当接するロック移動部と、
を有し、
前記ドアの閉鎖時において、当該ドアの前記車両の幅方向における外側への移動を規制することを特徴とする、プラグドア装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグドア装置であって、
前記ロック移動部は、
前記ロック固定部に当接可能なスライド当接部と、
前記スライドベースに固定され、前記スライド当接部のスライド移動方向を規制するスライドレールと、
前記遊星歯車機構から前記ロック機構へ出力される駆動力を前記スライド当接部に伝達する伝達部材と、
を有していることを特徴とする、プラグドア装置。
【請求項3】
請求項2に記載のプラグドア装置であって、
前記スライド当接部は、
ブロック状に設けられ、前記スライドレールによってスライド移動方向を規制されるスライドブロックと、
前記スライドブロックに対して回転自在に支持され、前記ロック固定部に当接可能なローラと、
を有していることを特徴とする、プラグドア装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラグドア装置であって、
前記ドア駆動機構は、電動モータを含む駆動部、及び、前記駆動部からの駆動力が入力されることで前記連結部を移動させるラックアンドピニオン機構、を有し、
前記駆動部は、サンギア、当該サンギアに噛み合うとともに自転しながら当該サンギアの周囲を公転するプラネタリギア、当該プラネタリギアを自転自在に支持するとともに当該プラネタリギアを公転自在に支持するキャリア、及び、当該プラネタリギアに噛み合うリングギアを含み、前記電動モータからの駆動力が入力される遊星歯車機構、を更に有し、
前記電動モータからの駆動力が、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアの何れか1つに入力され、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアの何れか1つから出力される駆動力が、前記ラックアンドピニオン機構に入力され、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアのうちの残りの1つから出力される駆動力が、前記ロック機構に入力されることを特徴とする、プラグドア装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラグドア装置であって、
前記ドア駆動機構は、電動モータを含む駆動部、前記駆動部からの駆動力が入力される駆動輪部材、前記駆動輪部材に対応して設けられた少なくとも1つの従動輪部材、及び、前記駆動輪部材と前記従動輪部材とに対して周回するように掛け回されて当該駆動輪部材の回転に伴って当該従動輪部材を回転させる無端状部材、を有し、1枚の前記ドアを前記車両の前後方向へ移動させ、
前記駆動部は、サンギア、当該サンギアに噛み合うとともに自転しながら当該サンギアの周囲を公転するプラネタリギア、当該プラネタリギアを自転自在に支持するとともに当該プラネタリギアを公転自在に支持するキャリア、及び、当該プラネタリギアに噛み合うリングギアを含み、前記電動モータからの駆動力が入力される遊星歯車機構、を更に有し、
前記電動モータからの駆動力が、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアの何れか1つに入力され、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアの何れか1つから出力される駆動力が、前記駆動輪部材に入力され、前記サンギア、前記キャリア、及び前記リングギアのうちの残りの1つから出力される駆動力が、前記ロック機構に入力されることを特徴とする、プラグドア装置。
【請求項6】
請求項5に記載のプラグドア装置であって、
前記ロック固定部には、
前記車両の幅方向に対して直交する面として形成され、前記ドアの閉鎖時において前記ロック移動部と当接することで当該ドアの前記車両の幅方向における外側への移動を規制する第1面と、
前記車両の前後方向に対して直交するとともに前記ロック移動部に当接可能な面として形成され、前記遊星歯車機構から前記駆動輪部材に入力される駆動力によって当該駆動輪部材が回転駆動されるように、前記遊星歯車機構から前記ロック機構に入力される駆動力と釣り合う反力を発生させる第2面と、
が設けられていることを特徴とする、プラグドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−188858(P2012−188858A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53106(P2011−53106)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】