プラズマ処理システムにおける障害の自動的な検出及び分類、並びにその方法
【解決手段】基板処理中に自動的に障害状態を検出及び分類するための方法が提供される。方法は、基板処理中にセンサのセットによって処理データを収集することを含む。方法は、また、処理データを障害検出/分類コンポーネントに送信することを含む。方法は、更に、障害検出/分類コンポーネントによって処理データのデータ操作を実施することを含む。方法は、尚もまた、処理データと、障害ライブラリに保存されている複数の障害モデルとの間で比較を実施することを含む。複数の障害モデルの各障害モデルは、特定の障害状態を特徴付けるデータのセットを表している。各障害モデルは、少なくとも、障害徴候と、障害境界と、主成分解析(PCA)パラメータのセットとを含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
例えば半導体ウエハやフラットパネルなどの基板を処理するために、プラズマ処理システムが長らく用いられてきた。プラズマ処理システムは、デポジション、エッチング、洗浄などのプロセスを実施するために用いることができる。
【0002】
例えば半導体デバイスを作成するために用いられるプラズマ処理システムでは、可能な限り最高の歩留まり及び最少の所有コストで電子デバイスを作成することが非常に望ましい。高い歩留まりの実現、及び所有コストの増加につながるツールのダウンタイムの短縮には、障害を迅速に検出及び分類し、ウエハ及び/又はプラズマ処理システムコンポーネントへの損傷を最小限に抑えることが重要である。障害状態は、例えば、チャンバコンポーネントの誤動作、チャンバコンポーネントの摩耗、正しく装着されなかったチャンバコンポーネント、並びに/又はプラズマ処理システムの1つ若しくは2つ以上のサブシステムの洗浄、メインテナンス、及び/若しくは交換を要するその他の任意の状態に起因して発生する恐れがある。
【0003】
最新のプラズマ処理システムは、発光、電圧、電流、圧力、温度などの様々なプロセスパラメータを監視するために、数々のセンサを用いることができる。各センサによって実施されるデータ監視は、最大で幾百サンプル毎秒又はそれを超えるレートでデータを出力するであろう。関与しているセンサの数の多さゆえに、最新のプラズマ処理システムは、処理された所定のウエハについて、膨大な量のセンサデータを生成するであろう。もし、センサデータの解析が手動で実施される場合は、膨大なセンサデータから適時に障害状態を正確に検出及び/又は分類することがしばしば不可能である。もし、障害状態が適時に検出されないと、更なる処理が、1枚若しくは2枚以上のウエハへの及び/又はチャンバコンポーネントへの損傷を及ぼす恐れがある。プラズマ処理が停止された後も尚、膨大なセンサデータを調べて発生した障害を突き止めて障害の修復を促すために、多くの時間を費やす必要がある。
【0004】
手動による障害の検出及び解析は、極めて膨大なデータを調べるために、高度に熟練した技術者も要する。これらの高度に熟練した技術者は、人材不足であるうえに雇用コストがかさみ、いずれも、ツールの所有者にとって所有コストの増大を招く。手動による障害の検出及び解析のプロセスは、また、誤差を生じやすくもある。
【0005】
これまでも、障害状態を自動的に検出するために及びセンサデータを解析して障害を分類するために、試みがなされてきた。これらの努力は、生産環境及び市場において、様々な度合いの成功を収めてきた。技術者らは、より迅速に障害状態を検出する及び正確に障害を分類する方法を常に探している。本出願は、障害状態を自動的に検出するための及び自動的に且つ適時に障害状態を分類するための、改善された方法と装置とに関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面において、本発明は、限定的なものではなく例示的なものとして示され、図中、類似の参照符号は、同様の要素を指す。
【0007】
【図1】下側電極と、外側カバーリングと、上部カバーリングとを含む下側電極サブシステムの一例を示した図である。
【0008】
【図2】発明の一実施形態にしたがって、自動的で且つ適時な障害状態検出と自動的で且つ適時な障害分類とが可能なプラズマ処理チャンバの各種のサブコンポーネントを示した論理ブロック図である。
【0009】
【図3】発明の一実施形態にしたがって、障害モデルを作成するための方法の一例を示した図である。
【0010】
【図4】発明の一実施形態にしたがって、自動チャネルフィルタリングに関係付けられたステップを示した図である。
【0011】
【図5】発明の一実施形態にしたがって、データ次元を縮小するための重み付きPCA技術を示した図である。
【0012】
【図6A】発明の一実施形態にしたがって、チャンバドリフトを自動的に打ち消しつつ(障害徴候を表す)障害ベクトルを定めるためのステップを示した図である。
【図6B】発明の一実施形態にしたがって、チャンバドリフトを自動的に打ち消しつつ(障害徴候を表す)障害ベクトルを定めるためのステップを示した図である。
【図6C】発明の一実施形態にしたがって、チャンバドリフトを自動的に打ち消しつつ(障害徴候を表す)障害ベクトルを定めるためのステップを示した図である。
【図6D】発明の一実施形態にしたがって、チャンバドリフトを自動的に打ち消しつつ(障害徴候を表す)障害ベクトルを定めるためのステップを示した図である。
【0013】
【図7A】ウエハサンプルベクトルVkを障害ベクトルVFに投影したときに障害の大きさを表す項r(k)によって相関が数値化可能であることを示した図である。
【図7B】ウエハサンプルベクトルVkを障害ベクトルVFに投影したときに障害の大きさを表す項r(k)によって相関が数値化可能であることを示した図である。
【図7C】ウエハサンプルベクトルVkを障害ベクトルVFに投影したときに障害の大きさを表す項r(k)によって相関が数値化可能であることを示した図である。
【0014】
【図8】発明の一実施形態にしたがって、障害徴候の境界を設定するためのステップを示した図である。
【0015】
【図9】発明の一実施形態にしたがって、障害モデルを検証するためのステップを示した図である。
【0016】
【図10】発明の一実施形態にしたがって、ウエハプロセスデータから1つ若しくは2つ以上の障害状態を検出及び/又は分類するためのステップを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付の図面に示されるような幾つかの実施形態を参照にして、本発明が詳細に説明される。以下の説明では、本発明の完全な理解を与えるために、多くの詳細が明記されている。しかしながら、当業者ならば、本発明が、これらの一部又は全部の詳細を伴わずとも実施されえることが明らかである。また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセスステップ及び/又は構造の詳細な説明は省略されている。
【0018】
方法及び技術を含む様々な実施形態が、以下で説明される。発明は、発明による技術の実施形態を実行に移すためのコンピュータ可読命令を格納されたコンピュータ可読媒体を含む製造品も包含しえることを念頭に置かれるべきである。コンピュータ可読媒体には、例えば、コンピュータ可読コードを格納するための、半導体、磁気、光磁気、光、又はその他の形態のコンピュータ可読媒体が挙げられる。更に、発明は、発明の実施形態を実施するための装置も対象としえる。このような装置は、発明の実施形態に関連したタスクを実行に移すための、専用及び/又はプログラム可能な回路を含みえる。このような装置の例には、適切にプログラムされたときの汎用コンピュータ及び/又は専用計算機器があり、コンピュータ/計算機器と、発明の実施形態に関連した様々なタスクに適応された専用の/プログラム可能な回路との組み合わせが挙げられる。
【0019】
発明の実施形態は、1枚又は2枚以上のテスト対象ウエハに関係付けられた任意のセンサデータセットに対して障害の検出及び分類を行うための、高度に自動的で且つ時間的に効率が良く且つ堅牢な方法に関する。
【0020】
議論を促すために、図1は、下側電極102と、外側カバーリング104と、上部カバーリング106とを含む下側電極サブシステム100の一例を示している。ウエハ108もまた、示されている。上部カバーリング106は、部分的に摩耗しており、これは、プラズマに影響しえる且つ処理結果を有害に変化させえる障害状態のタイプの一例を表している。生産設定において、図1に示された障害状態を適時に検出すること、及び、その障害を、摩耗した上部カバーリングに関係付けられたものとして適時に且つ正確に分類することは、引き続き処理される基板への損傷及び/又はプラズマ処理システムのその他のコンポーネントへの損傷を阻止するために、並びに修復/メインテナンス後にシステムを迅速に回復させるために、非常に望ましい。
【0021】
図2は、発明の一実施形態にしたがって、自動的で且つ適時な障害状態検出と自動的で且つ適時な障害分類とが可能なプラズマ処理チャンバ200の各種のサブコンポーネントの論理ブロック図を示している。図2を参照すると、下側電極204と、外側カバーリング206と、上部カバーリング208とを含む下側電極サブシステムを内部に有するプラズマ処理チャンバ202が示されている。図解を容易にするために、上部電極、RFジェネレータ、(1つ又は2つ以上の)ターボポンプ、質量流量コントローラ、温度制御などのその他の様々な従来のサブシステムは、省略されている。
【0022】
複数のセンサの例210、212、及び214が示されている。センサ210は、例えば、チャンバ圧力を監視するための圧力計を表してよい。センサ212は、例えば、チャンバ内におけるプラズマの発光を監視するための光学センサを表してよい。センサ214は、例えば、V−Iプローブを表してよい。当業者にならば周知であるように、その他のセンサが用いられてもよい。
【0023】
センサ210、212、及び214は、供給されたセンサデータに基づいて障害検出及び/若しくは障害分類を自動的に実施するためのソフトウェア並びに/又はハードウェアを含む障害検出/分類ユニット220にセンサデータを提供する。障害ライブラリ222が示され、これは、(障害状態フィンガープリントを各自含む)障害モデルのデータベースを表している。各障害モデルは、特定の障害状態を特徴付けるデータのセットである。これらの障害モデルは、本明細書において後ほど論じられるように、前もって生成され、発明の1つ又は2つ以上の実施形態にしたがって障害検出及び/又は障害分類を実施するために用いられる。
【0024】
障害検出/分類ユニット220は、複数のセンサからセンサデータを受信する。代表的な最新のプラズマ処理システム内に存在するセンサの数の多さゆえに、そして各センサが1秒あたり幾百以上のデータサンプルを送信するであろうという事実ゆえに、障害検出/分類ユニット220は、障害を効率良く且つ適時に検出及び/又は分類することを可能にするために、発明によるデータ操作を実施する。障害の適時な検出及び/又は分類を可能にするためのデータ操作の特徴は、本明細書において後ほど論じられる。障害識別及び/又は障害分類は、(例えば、更なる障害が生じえる前にツールを適時に停止させる、又は障害を排除するためにその場(in-situ)調整を行うなどのように)プラズマツールを制御するために、コントローラ224によって用いられてよい。
【0025】
図3は、発明の一実施形態にしたがって、障害モデルを作成するための方法の一例を示している。これらの障害モデルは、障害検出及び/又は分類のために生産時に使用されるように、障害ライブラリ(例えば障害ライブラリ222)に保存される。ステップ302では、複数のウエハについて、センサからのセンサデータが収集される。これらのセンサデータに関係付けられたウエハは、「不良」、「優良」、又は「未知」としてタグ付けすることができる(ステップ304)。例えば、技術者は、所定のウエハ又はウエハセットが(意図的であるにせよ、そうでないにせよ)摩耗したフォーカスリングゆえに不良であることを知っており、それらのウエハに関係付けられたセンサデータを、摩耗したフォーカスリングについての障害モデルを導き出すために用いることができる。優れた障害モデルは、その他の任意の障害モデルがそうであるように、分類の目的にも有用である。
【0026】
ステップ306では、ほとんど変動を示さないチャネルを除外するために、センサチャネルがプレフィルタリングされる。プレフィルタリングは、障害検出及び/又は解析中に扱われるデータの量を減らすためのデータ操作の一環である。関与しているセンサの数の多さと、各センサが1秒あたり幾百以上のデータサンプルを生成しえるという事実とを考慮すると、データ操作は、障害検出/フィルタリングの適時性及び効率性を向上させるための非常に有用なステップである。一実施形態では、障害検出に寄与しない(例えば、問題となる障害に対して不変である)センサチャネルからのデータを、プレフィルタリング中に除外することができる。プレフィルタリングは、この後のフローチャートにおいて更に詳しく論じられる。
【0027】
ステップ308では、全てのウエハデータサンプルに関係付けられた残りのデータチャネルに対して重み付き主成分分析(PCA)が実施される。重み付きPCAは、データ次元を縮小することが狙いであり、扱われるデータの量を減らして障害検出/フィルタリングの適時性及び効率性を向上させるためのデータ操作の別の一環である。重み付きPCAは、この後のフローチャートにおいて更に詳しく論じられる。重み付きPCAの結果、ウエハについてのデータサンプルは、多次元PCA空間において表わされる(ステップ310)。
【0028】
ステップ312では、一部には、ユーザ指定の「不良」サンプルを使用して、障害徴候が定められる。既述のように、ユーザは、所定のウエハに関係付けられた所定のセンサデータセットを既知の「不良」ウエハサンプルとして指定してよく、この既知の障害を特徴付ける障害徴候を構築するために、それらのセンサデータセットを使用することができる。障害徴候は、概して、PCA空間におけるベクトルである。障害徴候は、この後の図において更に詳しく論じられる。
【0029】
ステップ314では、ウエハに関係付けられたデータサンプルが、2D相関プロットで表される。この表現は、データサンプルの大きさ(障害の深刻度)と、障害徴候との類似性(データサンプルと障害徴候との間の角度)とに基づいた、障害状態可能性の効率的な解析を容易にする。2D相関プロットでの表現は、この後の図において更に詳しく論じられる。
【0030】
ステップ316では、(障害であるとみなされるデータパラメータの境界を定める)障害境界が、2D相関プロットをもとに計算される。障害境界の計算は、この後の図において更に詳しく論じられる。
【0031】
ステップ318では、障害モデルの堅牢性が検証される。本明細書で使用される障害モデルという用語は、少なくとも、障害徴候と、障害境界と、PCAパラメータ(例えば、重み付きPCA後のPCAチャネルに関係付けられたPCA係数)とを含むモデルを言う。障害モデルの検証は、この後の図において更に詳しく論じられる。
【0032】
図4は、発明の一実施形態にしたがって、自動チャネルフィルタリング(図3のプレフィルタリングステップ306)に関係付けられたステップを示している。図4のステップは、有利な一実施形態を表しており、変動に寄与しないチャネルを排除することによってデータチャネルの数を減らすためにプレフィルタリングを実施するやり方は、ほかにもある。
【0033】
ステップ402では、投入された全てのウエハに対して個々のチャネルについて(平均、メジアン、最大、最小、ノイズなどの)要約統計量が計算される。一実施形態では、ノイズは、局所的な線形適合を使用して推定されてよい。例えば、ウエハが10枚、センサデータのためのチャネルが200本あるとすると、一実施形態において、要約統計量は、ステップ402の一環として、ウエハごとに200本の全てのチャネルについて尚且つ10枚の全てのウエハに対して計算される。
【0034】
ステップ404では、各チャネルについて、全てのウエハサンプルにわたるメジアン統計量の変動が計算される。例えば、チャネル#37が圧力を測定し、ウエハ#5に対するメジアン圧力測定値が17mTで、ウエハ#6に対するメジアンが19mTである場合は、チャネル#37について、全てのウエハにわたるメジアン統計量の変動が算出される。変動は、例えば、標準偏差測定値によって表されてよい。メジアンの使用が好ましいのは、それが、たとえセンサデータ収集中にそのチャネルにおけるサンプルの一部が時折脱落したとしても、より信頼性のある統計量をチャネルデータに関して与えられる傾向があるからである。しかしながら、実施形態によっては、(平均などの)その他の統計測定値が用いられてもよい。
【0035】
ステップ406では、障害状態に対して不変だとみなされるデータチャネル(すなわち、障害状態の判別に寄与するのに十分に明白に変化しないデータ)が除外される。不変データチャネルを除外する有利な方法は、1つには、上述された、そのチャネルのメジアン統計量の変動を、そのチャネルについてのノイズ閾値又はチャネル解像度などの所定の閾値と比較することを伴う。チャネル解像度は、センサ設計特性に依存し、ステップ408において、予め投入されたリストから読み出されてよい。なお、不変データチャネルを排除するその他の方法も用いられてよいことが、理解されるべきである。
【0036】
ステップ406からわかるように、もし、データチャネルのメジアン統計量の変動がゼロである場合、又は、データチャネルのメジアン統計量の変動がノイズの数倍未満である場合、又は、データチャネルのメジアン統計量の変動がチャネル解像度(すなわち、センサの製造ゆえにそのチャネルに関係付けられた製造公差や、伝送線路公差など)の数倍未満である場合は、そのデータチャネルは、含められるのに十分には変化しないとみなされる。その場合は、そのデータチャネルは、除外される(ステップ410)。それ以外の場合は、データチャネルは、障害モデルの構築並びに/又は障害の検出及び/若しくは解析のために含められる(ステップ412)。
【0037】
図5は、発明の一実施形態にしたがって、データ次元を縮小するための重み付きPCA技術を示している。総じて、PCAでは、データ次元を縮小するために、チャネル変動間の相関が解析される。例えば、100次元のデータ空間において変動を表す代わりに、それらの変動の大半を、より少ない次元数のPCA空間において捉えることができる。障害検出モデリングでは、正常サンプルから不良サンプルへのチャネル変動をPCAデータ空間において捉えることが求められる。
【0038】
しかしながら、もし、「不良」サンプルの数が「優良」及び「未知」サンプルの数と比べて非常に少ない場合は、「不良」サンプルからの寄与が軽微すぎる恐れがあり、これは、この変動をPCAデータ空間において捉えることを難しくする。
【0039】
図5の重み付きPCA技術では、「不良」サンプル対「優良」及び「未知」サンプルの許容閾値比が予め定められる。もし、「不良」サンプル対「優良」及び「未知」サンプルの比がこの比未満である場合は、「不良」サンプルは、閾値に達するまで複製される。こうすれば、たとえもし「不良」サンプルの数がPCAデータ空間において所望の変動を捉えられるには小さすぎるかもしれない場合でも、「不良」サンプルと優良/未知サンプルとの間の所望の変動を捉えることが可能である。
【0040】
図5を参照すると、ステップ502では、N1個の「不良」サンプルとN2個の「優良」及び/又は「未知」サンプルとを含むデータセットが用意される。ステップ504では、「不良」サンプルの数N1が「優良」及び/又は「未知」サンプルN2の数に対する何らかの既定の比率未満であるかどうかが確認される。ステップ504の目的は、「不良」サンプルの数N1が、「不良」サンプルによって寄与される所望の変動を捉えられるには小さすぎるかどうかを確認することにある。図5の実装形態では、この比率は、N2の10分の1に設定されているが、任意の適切な比率が使用されてよい。
【0041】
もし、「不良」サンプルの数N1が十分でない場合は、「不良」サンプルは、「不良」サンプルの数が既定の比率に対して十分になるまで複製される(ステップ506)。「不良」サンプルの数N1が十分であることを保証するための措置が(ステップ504において)とられた後、いずれにせよ、次いで、データセットに対してPCAが実施される(ステップ508)。
【0042】
ステップ510では、変動の80%(又はその他の何らかの所望の割合)を十分に捉えるために、主成分が保持される。ステップ508及びステップ510は、PCAに精通した者には周知であり、ここでは詳述されない。
【0043】
図6A、6B、6C、及び6Dは、発明の一実施形態にしたがって、チャンバドリフトを自動的に打ち消しつつ(障害徴候を表す)障害ベクトルを定めるためのステップを示している。図6Aでは、全てのデータサンプルが、縮小されたPCA空間(図6では三次元として示されているが、図5のPCAステップの要求に合わせて何次元であってもよい)にプロットされている。未修正障害ベクトルV1は、好ましくは「優良」データサンプルの中心から、又は、「未知」データサンプルの中心から、「不良」サンプルの中心に至るベクトルとして定められる。
【0044】
ベクトルV0は、チャンバドリフトベクトルであるように定められ、図6Aの縮小PCAデータ空間において図のように表される。時間の経過に伴うチャンバドリフトは、プラズマに影響し(これは、時間の経過とともに、例えば「優良」サンプルの中心に影響する)、障害徴候モデリングの精度を向上させるためには打ち消す必要がある。例えば、もし、「不良」サンプルが「優良」データサンプルと異なるタイムフレームで取得される場合は、チャンバドリフトは、「不良」サンプルと、それよりも前に取得された「優良」サンプルとの間の変動に対する重要な寄与を表すであろう。障害徴候を作成するにあたって障害成分をチャンバドリフト成分から分離することによって、より正確な障害検出と解析とが達成されるであろう。これは、先行技術からの著しい改善である。
【0045】
補正障害ベクトルVFは、チャンバドリフトの打ち消し後における未修正障害ベクトルV1の重要成分を表す。数学的には、修正障害ベクトルVFの計算は、図6Bに示されている。図6Bにおいて、修正障害ベクトルVFは、未修正障害ベクトルV1とチャンバドリフトV0の単位ベクトルとの内積にチャンバドリフト(V0)の単位ベクトルを乗じたものを未修正障害ベクトルV1から減じたものに等しい。修正障害ベクトルVFは、図6Aでは、「不良」サンプルの中心をドリフトベクトルV0に垂直にドリフトベクトルV0につないだ線に沿ったものとして示されている。未修正障害ベクトルV1の計算は、図6Cに示されており、ドリフトベクトルV0の計算は、図6Dに示されている。図6Cを使用して得られた未修正障害ベクトルV1と、図6Dを使用して得られたドリフトベクトルV0の計算とをもとにして、図6Bに示された等式を使用して、未修正障害ベクトルV1が見いだされる。
【0046】
図6Cを参照すると、ステップ630では、少なくとも1つの優良サンプルがタグ付けされているかどうかが確認される。1つのサンプルは、詳しくは、1枚のウエハについてデータチャネルを特徴付けたデータのセットを含んでいる。図6のケースでは、サンプルは、PCAデータ空間内である。もし、優良サンプルがある場合は、未修正障害ベクトルV1は、「優良」サンプルの中心から「不良」サンプルの中心までとして定められる(ステップ632)。それ以外の場合は、未修正障害ベクトルV1は、「未知」サンプルの中心から「不良」サンプルの中心までとして定められる(ステップ634)。つまり、「優良」サンプルの中心は、「優良」サンプルが存在する場合にのみ未修正障害ベクトルV1を定めるために使用される。
【0047】
ドリフトベクトルV0の計算が成される図6Dを参照すると、全ての「優良」サンプル及び「未知」サンプルに対して(最小二乗線形適合などの)適合技術が用いられる(ステップ652)。もし、適合度が所定の閾値(図6Dの例では0.7であるが、要求に合わせて可変である)を下回る場合(ステップ654)は、ドリフトベクトルV0は、ゼロに設定される(ステップ656)。反対に、もし、適合度が閾値を上回る場合(ステップ654)は、この適合V0に投影されたデータサンプルがそれらのタイムスタンプとよく相関しているかどうかを見るために、更なるチェックが実施される(なぜならば、データサンプルは、時間の経過に伴ってドリフトベクトルに沿ってドリフトの方向に分布されることを予期されるからである)。
【0048】
したがって、ステップ658では、適合V0に投影されたデータとそれらのタイムスタンプとの間の相関が確認される。もし、相関が別の閾値(図6Dの例では0.7であるが、要求に合わせて可変である)を上回る場合は、適合V0は、ドリフトベクトルとして受け入れられる(ステップ660)。それ以外の場合は、ドリフトベクトルV0は、ゼロに設定される(ステップ656)。
【0049】
障害ベクトルVFが定められたら、任意のウエハサンプルVkが障害特性を示すかどうかを検出するために、及びもし可能であれば、(ウエハサンプルVkを種々の障害を表す種々の障害ベクトルと繰り返し比較することによって)障害を分類するために、そのウエハサンプルベクトルVkと障害ベクトルVFとの間の相関を計算することができる。図7Aは、ウエハサンプルベクトルVkが障害ベクトルVFに投影されたときに障害の大きさを表す項r(k)によって相関が数値化可能であることを示している。数学的には、この関係は、図7Bに示されている。更に、ウエハサンプルベクトルVkと障害ベクトルVFとの間の角度θは、ウエハサンプルがどの程度障害に似ているかを反映している。数学的には、この関係は、図7Cに示されている。
【0050】
各データサンプルkをr(k)、θ(k)にプロットされたデータサンプルの2D座標系表示を得るために、様々なサンプルを障害ベクトルVFに対して計算することができる。
【0051】
図8は、発明の一実施形態にしたがって、障害徴候の境界を設定するためのステップを示している。各データサンプルをr(k)、θ(k)にプロットされたデータサンプルの2D座標系表示が得られたら、障害状態の境界が確立されてよい。図8は、「優良」又は「未知」サンプルを領域802内に集められた2Dデータサンプルプロットの一例を示している。「不良」サンプルは、領域804内に集められている。領域804の中の「不良」サンプルによって表される障害状態の境界を設定するために、「不良」サンプルのなかで最大の角度θを示す「不良」サンプルの最大θ(max)が特定される。
【0052】
誤差の許容範囲を提供するために、障害状態の境界角は、この最大θ(max)の何倍か(整数倍又は非整数倍)である。図8の例では、点808が、水平軸(θ=0)からの角度が最大θ(max)であるサンプルを表している。点808のサンプルに関係付けられた角度θ(max)は、最大境界θ(b)を得るために、1.2(任意数であり、要求に合わせて可変である)で乗じられる。
【0053】
誤差の許容範囲を提供するために、最小r(k)を有するデータサンプルに関係付けられた半径rが特定される。この最小半径r(k)は、何らかの小数点定数(図8の例では0.8であるが、要求に合わせて可変である)で乗じられる。図8を参照すると、境界812は、障害状態の境界を表しており、境界812内に入るデータサンプルは、その障害状態に分類されてよい。
【0054】
もし、「不良」データ点が1つしかない場合は、障害状態の境界となる角度θ(b)は、或いは、「優良」サンプルの外側に幾らかの余裕を持たせたパラメータ値を反映することができる。一実施形態では、障害状態の境界となる角度θ(b)を導き出すために、全ての優良/未知サンプルの最小θ(min)が、何らかの小数点定数によって縮小される。図8に関しては、点814が、最小θ(min)値を有する「優良」サンプルを表すものと想定される。線816は、「優良」又は「未知」サンプルの最小の角度に関係付けられたこの角度θ(mini)を示している。この最小θ(min)を小数点定数(この例では0.8であるが、要求に合わせて可変である)によって縮小することによって、境界角θ(b)が得られ、これは、図8において線820によって示されている。
【0055】
図9は、発明の一実施形態にしたがって、障害モデルを検証するためのステップを示している。ステップ902では、全ての「不良」サンプルが障害境界内であるかどうか、並びに全ての「優良」及び「未知」サンプルが障害境界外であるかどうかが確認される。もしそうでない場合は、障害モデルは、却下される(ステップ906)。反対に、もしステップ902の条件がともに真である場合は、更に、障害モデルを繰り返し再検証するためにどの「不良」サンプルも少なくとも一度は「不良」サンプル集団から取り出されたかどうかが確認される(ステップ904)。もし、障害モデルを繰り返し再検証するためにどの「不良」サンプルも少なくとも一度は「不良」サンプル集団から取り出され、尚且つこのような再検証が却下をトリガしていない(ステップ902/906)場合は、モデルは、受け入れられる(ステップ908)。
【0056】
反対に、もし、障害モデルを繰り返し再検証するために「不良」サンプル集団から取り出されるべき「不良」サンプルが1つ又は2つ以上残っている場合は、まだ取り出されていない「不良」サンプルは、障害モデルの再検証を促すために不良サンプル集団から引き出される(ステップ910)。変更された「不良」サンプルプールによって、障害ベクトル及び障害境界の計算(図3のステップ312〜316)が、(ステップ912において)再び実施される。一実施形態では、「不良」サンプル集団から「不良」サンプルが引き出されるたびに、直前に引き出された「不良」サンプルが、集団に戻される。このように、障害ベクトル及び障害境界の再計算は、一度に1つの「不良」サンプルのみが欠落している状態で実施される。もちろん、1つ又は2つ以上のその他の実施形態では、繰り返しのたびに1セットの「不良」サンプルを引き出す(そして直前のセットと置き換える)ことも可能である。このケースでは、障害ベクトル及び障害境界の再計算は、一度に1セットの「不良」サンプルのみが欠落している状態で実施される。
【0057】
全ての「不良」サンプルが少なくとも一度は引き出され、尚且つ障害モデルのテストが満足のいく結果であれば、検証は、ステップ908において終了する。
【0058】
図10は、発明の一実施形態にしたがって、ウエハプロセスデータ(ブロック1002)から1つ又は2つ以上の障害状態を検出及び/又は分類するためのステップを示している。ステップ1004では、データチャネルについて要約統計量が計算される。この計算は、例えば、図4に関連して先述されている。
【0059】
図10は、また、予め構築された障害モデルのデータ蓄積1006を表す障害モデルのライブラリ(ブロック1006)も示している。先述のように、障害モデルは、障害徴候と、障害境界と、PCAパラメータとを含む。異なる障害モデルは、(摩耗したエッジリング、崩壊したアースストラップ、不適当なチャンバギャップ、誤った圧力などの)異なる既知障害を特徴付けることができる。テストのために、障害モデルのライブラリから一障害モデルが選択される(ステップ1008)。
【0060】
ステップ1010では、テスト対象ウエハに関係付けられたウエハプロセスセンサデータが、ステップ1008において選択された障害モデルに照らした検出及び分類を促すために、同選択された障害モデルと同じPCA空間に変換される。ステップ1012では、ウエハプロセスデータの相関(θ及びr)が、ステップ1008において選択された障害モデルに関係付けられた障害ベクトルVFに照らして計算される。ステップ1014では、テスト対象ウエハプロセスデータが、ステップ1008において選択された障害モデルの障害境界内にあるかどうかが確認される。もし、テスト対象ウエハプロセスデータが、ステップ1008において選択された障害モデルの障害境界内にある場合は、ステップ1018において、アラームがトリガされ、これは、障害可能性の検出を示すとともに、ステップ1008において選択された障害モデルにしたがって障害をタイプ分けする。
【0061】
他方、もし、テスト対象ウエハプロセスデータが、ステップ1008において選択された障害モデルの障害境界内にない場合は、プロセスは、ステップ1016に進み、再テストされるべき別の障害状態があるかどうかを確認する。場合によっては、たとえ障害可能性が既に検出されている場合でも、複数の障害可能性があるかどうかを判定するために、ウエハプロセスデータを他の障害モデルに照らしてテストすることが望ましいであろう。もし、テストされるべき障害状態が他にもある場合は、プロセスは、ステップ1008に進み、再テストされるべき別の障害モデルを選択する。プロセスは、ステップ1016において、これ以上テストされるべき障害モデルが他にはないことが確認されるまで続く。ステップ1020では、障害の相関結果、及び/又は発見/分類された任意の障害可能性を報告するために、レポートが作成される。
【0062】
以上からわかるように、発明の実施形態は、障害分類の複雑性及び関与しているセンサデータの量の多さにもかかわらず、自動的で、効率的で、尚且つ適時な障害状態の検出と分類とを容易にする。
【0063】
より重要なのは、発明の実施形態が、障害モデルの構築のプロセスを体系化及び単純作業化することである。どのデータチャネルを選択して含めるか、ベースラインドリフトをどのように打ち消すか、及び境界条件をどのように設定するかを知るために、もはや、人間のオペレータは不要である。これらの判定は、障害モデルの構築のプロセスにおいて体系化及び自動化されている。場合によっては、障害モデルの構築に必要とされるのは、障害状態の識別と、そのウエハに関係付けられたデータサンプルを適切な「不良」タグでタグ付することだけである。
【0064】
発明の方法は、次いで、データチャネルをプレフィルタリングするために及び更にPCAを通じてウエハのデータ次元を縮小するために、自動的にデータ操作を実施する。なかでも特に、重み付きPCA、ベースライン(チャンバ)ドリフトの自動打ちけし、並びに/又は障害モデル作成、2Dデータマッピング、及び障害境界設定に基づく発明による障害分類方法は、障害モデルの構築のプロセスと、障害の検出及び分類とを、高度に自動化し、堅牢にし、尚且つ効率的にする。
【0065】
本発明は、幾つかの好ましい実施形態の観点から説明されているが、本発明の範囲に入る代替、置換、及び均等物がある。もし、本明細書において「セット」という用語が用いられる場合は、このような用語は、ゼロの、1つの、又は2つ以上の構成要素を包含した通常理解の数学的意味を有することを意図している。また、本発明の方法及び装置を実現するものとして、多くの代替的手法があることも留意されるべきである。更に、本発明の実施形態は、その他の応用でも有用であろう。概要部分は、便宜のために提供され、文字数制限ゆえに、読むのに都合の良いように記載されており、特許請求の範囲を制限するために用いられるべきでない。したがって、以下の添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲に含まれるものとして、このようなあらゆる代替、置換、及び均等物を含むものと解釈される。
【背景技術】
【0001】
例えば半導体ウエハやフラットパネルなどの基板を処理するために、プラズマ処理システムが長らく用いられてきた。プラズマ処理システムは、デポジション、エッチング、洗浄などのプロセスを実施するために用いることができる。
【0002】
例えば半導体デバイスを作成するために用いられるプラズマ処理システムでは、可能な限り最高の歩留まり及び最少の所有コストで電子デバイスを作成することが非常に望ましい。高い歩留まりの実現、及び所有コストの増加につながるツールのダウンタイムの短縮には、障害を迅速に検出及び分類し、ウエハ及び/又はプラズマ処理システムコンポーネントへの損傷を最小限に抑えることが重要である。障害状態は、例えば、チャンバコンポーネントの誤動作、チャンバコンポーネントの摩耗、正しく装着されなかったチャンバコンポーネント、並びに/又はプラズマ処理システムの1つ若しくは2つ以上のサブシステムの洗浄、メインテナンス、及び/若しくは交換を要するその他の任意の状態に起因して発生する恐れがある。
【0003】
最新のプラズマ処理システムは、発光、電圧、電流、圧力、温度などの様々なプロセスパラメータを監視するために、数々のセンサを用いることができる。各センサによって実施されるデータ監視は、最大で幾百サンプル毎秒又はそれを超えるレートでデータを出力するであろう。関与しているセンサの数の多さゆえに、最新のプラズマ処理システムは、処理された所定のウエハについて、膨大な量のセンサデータを生成するであろう。もし、センサデータの解析が手動で実施される場合は、膨大なセンサデータから適時に障害状態を正確に検出及び/又は分類することがしばしば不可能である。もし、障害状態が適時に検出されないと、更なる処理が、1枚若しくは2枚以上のウエハへの及び/又はチャンバコンポーネントへの損傷を及ぼす恐れがある。プラズマ処理が停止された後も尚、膨大なセンサデータを調べて発生した障害を突き止めて障害の修復を促すために、多くの時間を費やす必要がある。
【0004】
手動による障害の検出及び解析は、極めて膨大なデータを調べるために、高度に熟練した技術者も要する。これらの高度に熟練した技術者は、人材不足であるうえに雇用コストがかさみ、いずれも、ツールの所有者にとって所有コストの増大を招く。手動による障害の検出及び解析のプロセスは、また、誤差を生じやすくもある。
【0005】
これまでも、障害状態を自動的に検出するために及びセンサデータを解析して障害を分類するために、試みがなされてきた。これらの努力は、生産環境及び市場において、様々な度合いの成功を収めてきた。技術者らは、より迅速に障害状態を検出する及び正確に障害を分類する方法を常に探している。本出願は、障害状態を自動的に検出するための及び自動的に且つ適時に障害状態を分類するための、改善された方法と装置とに関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面において、本発明は、限定的なものではなく例示的なものとして示され、図中、類似の参照符号は、同様の要素を指す。
【0007】
【図1】下側電極と、外側カバーリングと、上部カバーリングとを含む下側電極サブシステムの一例を示した図である。
【0008】
【図2】発明の一実施形態にしたがって、自動的で且つ適時な障害状態検出と自動的で且つ適時な障害分類とが可能なプラズマ処理チャンバの各種のサブコンポーネントを示した論理ブロック図である。
【0009】
【図3】発明の一実施形態にしたがって、障害モデルを作成するための方法の一例を示した図である。
【0010】
【図4】発明の一実施形態にしたがって、自動チャネルフィルタリングに関係付けられたステップを示した図である。
【0011】
【図5】発明の一実施形態にしたがって、データ次元を縮小するための重み付きPCA技術を示した図である。
【0012】
【図6A】発明の一実施形態にしたがって、チャンバドリフトを自動的に打ち消しつつ(障害徴候を表す)障害ベクトルを定めるためのステップを示した図である。
【図6B】発明の一実施形態にしたがって、チャンバドリフトを自動的に打ち消しつつ(障害徴候を表す)障害ベクトルを定めるためのステップを示した図である。
【図6C】発明の一実施形態にしたがって、チャンバドリフトを自動的に打ち消しつつ(障害徴候を表す)障害ベクトルを定めるためのステップを示した図である。
【図6D】発明の一実施形態にしたがって、チャンバドリフトを自動的に打ち消しつつ(障害徴候を表す)障害ベクトルを定めるためのステップを示した図である。
【0013】
【図7A】ウエハサンプルベクトルVkを障害ベクトルVFに投影したときに障害の大きさを表す項r(k)によって相関が数値化可能であることを示した図である。
【図7B】ウエハサンプルベクトルVkを障害ベクトルVFに投影したときに障害の大きさを表す項r(k)によって相関が数値化可能であることを示した図である。
【図7C】ウエハサンプルベクトルVkを障害ベクトルVFに投影したときに障害の大きさを表す項r(k)によって相関が数値化可能であることを示した図である。
【0014】
【図8】発明の一実施形態にしたがって、障害徴候の境界を設定するためのステップを示した図である。
【0015】
【図9】発明の一実施形態にしたがって、障害モデルを検証するためのステップを示した図である。
【0016】
【図10】発明の一実施形態にしたがって、ウエハプロセスデータから1つ若しくは2つ以上の障害状態を検出及び/又は分類するためのステップを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付の図面に示されるような幾つかの実施形態を参照にして、本発明が詳細に説明される。以下の説明では、本発明の完全な理解を与えるために、多くの詳細が明記されている。しかしながら、当業者ならば、本発明が、これらの一部又は全部の詳細を伴わずとも実施されえることが明らかである。また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセスステップ及び/又は構造の詳細な説明は省略されている。
【0018】
方法及び技術を含む様々な実施形態が、以下で説明される。発明は、発明による技術の実施形態を実行に移すためのコンピュータ可読命令を格納されたコンピュータ可読媒体を含む製造品も包含しえることを念頭に置かれるべきである。コンピュータ可読媒体には、例えば、コンピュータ可読コードを格納するための、半導体、磁気、光磁気、光、又はその他の形態のコンピュータ可読媒体が挙げられる。更に、発明は、発明の実施形態を実施するための装置も対象としえる。このような装置は、発明の実施形態に関連したタスクを実行に移すための、専用及び/又はプログラム可能な回路を含みえる。このような装置の例には、適切にプログラムされたときの汎用コンピュータ及び/又は専用計算機器があり、コンピュータ/計算機器と、発明の実施形態に関連した様々なタスクに適応された専用の/プログラム可能な回路との組み合わせが挙げられる。
【0019】
発明の実施形態は、1枚又は2枚以上のテスト対象ウエハに関係付けられた任意のセンサデータセットに対して障害の検出及び分類を行うための、高度に自動的で且つ時間的に効率が良く且つ堅牢な方法に関する。
【0020】
議論を促すために、図1は、下側電極102と、外側カバーリング104と、上部カバーリング106とを含む下側電極サブシステム100の一例を示している。ウエハ108もまた、示されている。上部カバーリング106は、部分的に摩耗しており、これは、プラズマに影響しえる且つ処理結果を有害に変化させえる障害状態のタイプの一例を表している。生産設定において、図1に示された障害状態を適時に検出すること、及び、その障害を、摩耗した上部カバーリングに関係付けられたものとして適時に且つ正確に分類することは、引き続き処理される基板への損傷及び/又はプラズマ処理システムのその他のコンポーネントへの損傷を阻止するために、並びに修復/メインテナンス後にシステムを迅速に回復させるために、非常に望ましい。
【0021】
図2は、発明の一実施形態にしたがって、自動的で且つ適時な障害状態検出と自動的で且つ適時な障害分類とが可能なプラズマ処理チャンバ200の各種のサブコンポーネントの論理ブロック図を示している。図2を参照すると、下側電極204と、外側カバーリング206と、上部カバーリング208とを含む下側電極サブシステムを内部に有するプラズマ処理チャンバ202が示されている。図解を容易にするために、上部電極、RFジェネレータ、(1つ又は2つ以上の)ターボポンプ、質量流量コントローラ、温度制御などのその他の様々な従来のサブシステムは、省略されている。
【0022】
複数のセンサの例210、212、及び214が示されている。センサ210は、例えば、チャンバ圧力を監視するための圧力計を表してよい。センサ212は、例えば、チャンバ内におけるプラズマの発光を監視するための光学センサを表してよい。センサ214は、例えば、V−Iプローブを表してよい。当業者にならば周知であるように、その他のセンサが用いられてもよい。
【0023】
センサ210、212、及び214は、供給されたセンサデータに基づいて障害検出及び/若しくは障害分類を自動的に実施するためのソフトウェア並びに/又はハードウェアを含む障害検出/分類ユニット220にセンサデータを提供する。障害ライブラリ222が示され、これは、(障害状態フィンガープリントを各自含む)障害モデルのデータベースを表している。各障害モデルは、特定の障害状態を特徴付けるデータのセットである。これらの障害モデルは、本明細書において後ほど論じられるように、前もって生成され、発明の1つ又は2つ以上の実施形態にしたがって障害検出及び/又は障害分類を実施するために用いられる。
【0024】
障害検出/分類ユニット220は、複数のセンサからセンサデータを受信する。代表的な最新のプラズマ処理システム内に存在するセンサの数の多さゆえに、そして各センサが1秒あたり幾百以上のデータサンプルを送信するであろうという事実ゆえに、障害検出/分類ユニット220は、障害を効率良く且つ適時に検出及び/又は分類することを可能にするために、発明によるデータ操作を実施する。障害の適時な検出及び/又は分類を可能にするためのデータ操作の特徴は、本明細書において後ほど論じられる。障害識別及び/又は障害分類は、(例えば、更なる障害が生じえる前にツールを適時に停止させる、又は障害を排除するためにその場(in-situ)調整を行うなどのように)プラズマツールを制御するために、コントローラ224によって用いられてよい。
【0025】
図3は、発明の一実施形態にしたがって、障害モデルを作成するための方法の一例を示している。これらの障害モデルは、障害検出及び/又は分類のために生産時に使用されるように、障害ライブラリ(例えば障害ライブラリ222)に保存される。ステップ302では、複数のウエハについて、センサからのセンサデータが収集される。これらのセンサデータに関係付けられたウエハは、「不良」、「優良」、又は「未知」としてタグ付けすることができる(ステップ304)。例えば、技術者は、所定のウエハ又はウエハセットが(意図的であるにせよ、そうでないにせよ)摩耗したフォーカスリングゆえに不良であることを知っており、それらのウエハに関係付けられたセンサデータを、摩耗したフォーカスリングについての障害モデルを導き出すために用いることができる。優れた障害モデルは、その他の任意の障害モデルがそうであるように、分類の目的にも有用である。
【0026】
ステップ306では、ほとんど変動を示さないチャネルを除外するために、センサチャネルがプレフィルタリングされる。プレフィルタリングは、障害検出及び/又は解析中に扱われるデータの量を減らすためのデータ操作の一環である。関与しているセンサの数の多さと、各センサが1秒あたり幾百以上のデータサンプルを生成しえるという事実とを考慮すると、データ操作は、障害検出/フィルタリングの適時性及び効率性を向上させるための非常に有用なステップである。一実施形態では、障害検出に寄与しない(例えば、問題となる障害に対して不変である)センサチャネルからのデータを、プレフィルタリング中に除外することができる。プレフィルタリングは、この後のフローチャートにおいて更に詳しく論じられる。
【0027】
ステップ308では、全てのウエハデータサンプルに関係付けられた残りのデータチャネルに対して重み付き主成分分析(PCA)が実施される。重み付きPCAは、データ次元を縮小することが狙いであり、扱われるデータの量を減らして障害検出/フィルタリングの適時性及び効率性を向上させるためのデータ操作の別の一環である。重み付きPCAは、この後のフローチャートにおいて更に詳しく論じられる。重み付きPCAの結果、ウエハについてのデータサンプルは、多次元PCA空間において表わされる(ステップ310)。
【0028】
ステップ312では、一部には、ユーザ指定の「不良」サンプルを使用して、障害徴候が定められる。既述のように、ユーザは、所定のウエハに関係付けられた所定のセンサデータセットを既知の「不良」ウエハサンプルとして指定してよく、この既知の障害を特徴付ける障害徴候を構築するために、それらのセンサデータセットを使用することができる。障害徴候は、概して、PCA空間におけるベクトルである。障害徴候は、この後の図において更に詳しく論じられる。
【0029】
ステップ314では、ウエハに関係付けられたデータサンプルが、2D相関プロットで表される。この表現は、データサンプルの大きさ(障害の深刻度)と、障害徴候との類似性(データサンプルと障害徴候との間の角度)とに基づいた、障害状態可能性の効率的な解析を容易にする。2D相関プロットでの表現は、この後の図において更に詳しく論じられる。
【0030】
ステップ316では、(障害であるとみなされるデータパラメータの境界を定める)障害境界が、2D相関プロットをもとに計算される。障害境界の計算は、この後の図において更に詳しく論じられる。
【0031】
ステップ318では、障害モデルの堅牢性が検証される。本明細書で使用される障害モデルという用語は、少なくとも、障害徴候と、障害境界と、PCAパラメータ(例えば、重み付きPCA後のPCAチャネルに関係付けられたPCA係数)とを含むモデルを言う。障害モデルの検証は、この後の図において更に詳しく論じられる。
【0032】
図4は、発明の一実施形態にしたがって、自動チャネルフィルタリング(図3のプレフィルタリングステップ306)に関係付けられたステップを示している。図4のステップは、有利な一実施形態を表しており、変動に寄与しないチャネルを排除することによってデータチャネルの数を減らすためにプレフィルタリングを実施するやり方は、ほかにもある。
【0033】
ステップ402では、投入された全てのウエハに対して個々のチャネルについて(平均、メジアン、最大、最小、ノイズなどの)要約統計量が計算される。一実施形態では、ノイズは、局所的な線形適合を使用して推定されてよい。例えば、ウエハが10枚、センサデータのためのチャネルが200本あるとすると、一実施形態において、要約統計量は、ステップ402の一環として、ウエハごとに200本の全てのチャネルについて尚且つ10枚の全てのウエハに対して計算される。
【0034】
ステップ404では、各チャネルについて、全てのウエハサンプルにわたるメジアン統計量の変動が計算される。例えば、チャネル#37が圧力を測定し、ウエハ#5に対するメジアン圧力測定値が17mTで、ウエハ#6に対するメジアンが19mTである場合は、チャネル#37について、全てのウエハにわたるメジアン統計量の変動が算出される。変動は、例えば、標準偏差測定値によって表されてよい。メジアンの使用が好ましいのは、それが、たとえセンサデータ収集中にそのチャネルにおけるサンプルの一部が時折脱落したとしても、より信頼性のある統計量をチャネルデータに関して与えられる傾向があるからである。しかしながら、実施形態によっては、(平均などの)その他の統計測定値が用いられてもよい。
【0035】
ステップ406では、障害状態に対して不変だとみなされるデータチャネル(すなわち、障害状態の判別に寄与するのに十分に明白に変化しないデータ)が除外される。不変データチャネルを除外する有利な方法は、1つには、上述された、そのチャネルのメジアン統計量の変動を、そのチャネルについてのノイズ閾値又はチャネル解像度などの所定の閾値と比較することを伴う。チャネル解像度は、センサ設計特性に依存し、ステップ408において、予め投入されたリストから読み出されてよい。なお、不変データチャネルを排除するその他の方法も用いられてよいことが、理解されるべきである。
【0036】
ステップ406からわかるように、もし、データチャネルのメジアン統計量の変動がゼロである場合、又は、データチャネルのメジアン統計量の変動がノイズの数倍未満である場合、又は、データチャネルのメジアン統計量の変動がチャネル解像度(すなわち、センサの製造ゆえにそのチャネルに関係付けられた製造公差や、伝送線路公差など)の数倍未満である場合は、そのデータチャネルは、含められるのに十分には変化しないとみなされる。その場合は、そのデータチャネルは、除外される(ステップ410)。それ以外の場合は、データチャネルは、障害モデルの構築並びに/又は障害の検出及び/若しくは解析のために含められる(ステップ412)。
【0037】
図5は、発明の一実施形態にしたがって、データ次元を縮小するための重み付きPCA技術を示している。総じて、PCAでは、データ次元を縮小するために、チャネル変動間の相関が解析される。例えば、100次元のデータ空間において変動を表す代わりに、それらの変動の大半を、より少ない次元数のPCA空間において捉えることができる。障害検出モデリングでは、正常サンプルから不良サンプルへのチャネル変動をPCAデータ空間において捉えることが求められる。
【0038】
しかしながら、もし、「不良」サンプルの数が「優良」及び「未知」サンプルの数と比べて非常に少ない場合は、「不良」サンプルからの寄与が軽微すぎる恐れがあり、これは、この変動をPCAデータ空間において捉えることを難しくする。
【0039】
図5の重み付きPCA技術では、「不良」サンプル対「優良」及び「未知」サンプルの許容閾値比が予め定められる。もし、「不良」サンプル対「優良」及び「未知」サンプルの比がこの比未満である場合は、「不良」サンプルは、閾値に達するまで複製される。こうすれば、たとえもし「不良」サンプルの数がPCAデータ空間において所望の変動を捉えられるには小さすぎるかもしれない場合でも、「不良」サンプルと優良/未知サンプルとの間の所望の変動を捉えることが可能である。
【0040】
図5を参照すると、ステップ502では、N1個の「不良」サンプルとN2個の「優良」及び/又は「未知」サンプルとを含むデータセットが用意される。ステップ504では、「不良」サンプルの数N1が「優良」及び/又は「未知」サンプルN2の数に対する何らかの既定の比率未満であるかどうかが確認される。ステップ504の目的は、「不良」サンプルの数N1が、「不良」サンプルによって寄与される所望の変動を捉えられるには小さすぎるかどうかを確認することにある。図5の実装形態では、この比率は、N2の10分の1に設定されているが、任意の適切な比率が使用されてよい。
【0041】
もし、「不良」サンプルの数N1が十分でない場合は、「不良」サンプルは、「不良」サンプルの数が既定の比率に対して十分になるまで複製される(ステップ506)。「不良」サンプルの数N1が十分であることを保証するための措置が(ステップ504において)とられた後、いずれにせよ、次いで、データセットに対してPCAが実施される(ステップ508)。
【0042】
ステップ510では、変動の80%(又はその他の何らかの所望の割合)を十分に捉えるために、主成分が保持される。ステップ508及びステップ510は、PCAに精通した者には周知であり、ここでは詳述されない。
【0043】
図6A、6B、6C、及び6Dは、発明の一実施形態にしたがって、チャンバドリフトを自動的に打ち消しつつ(障害徴候を表す)障害ベクトルを定めるためのステップを示している。図6Aでは、全てのデータサンプルが、縮小されたPCA空間(図6では三次元として示されているが、図5のPCAステップの要求に合わせて何次元であってもよい)にプロットされている。未修正障害ベクトルV1は、好ましくは「優良」データサンプルの中心から、又は、「未知」データサンプルの中心から、「不良」サンプルの中心に至るベクトルとして定められる。
【0044】
ベクトルV0は、チャンバドリフトベクトルであるように定められ、図6Aの縮小PCAデータ空間において図のように表される。時間の経過に伴うチャンバドリフトは、プラズマに影響し(これは、時間の経過とともに、例えば「優良」サンプルの中心に影響する)、障害徴候モデリングの精度を向上させるためには打ち消す必要がある。例えば、もし、「不良」サンプルが「優良」データサンプルと異なるタイムフレームで取得される場合は、チャンバドリフトは、「不良」サンプルと、それよりも前に取得された「優良」サンプルとの間の変動に対する重要な寄与を表すであろう。障害徴候を作成するにあたって障害成分をチャンバドリフト成分から分離することによって、より正確な障害検出と解析とが達成されるであろう。これは、先行技術からの著しい改善である。
【0045】
補正障害ベクトルVFは、チャンバドリフトの打ち消し後における未修正障害ベクトルV1の重要成分を表す。数学的には、修正障害ベクトルVFの計算は、図6Bに示されている。図6Bにおいて、修正障害ベクトルVFは、未修正障害ベクトルV1とチャンバドリフトV0の単位ベクトルとの内積にチャンバドリフト(V0)の単位ベクトルを乗じたものを未修正障害ベクトルV1から減じたものに等しい。修正障害ベクトルVFは、図6Aでは、「不良」サンプルの中心をドリフトベクトルV0に垂直にドリフトベクトルV0につないだ線に沿ったものとして示されている。未修正障害ベクトルV1の計算は、図6Cに示されており、ドリフトベクトルV0の計算は、図6Dに示されている。図6Cを使用して得られた未修正障害ベクトルV1と、図6Dを使用して得られたドリフトベクトルV0の計算とをもとにして、図6Bに示された等式を使用して、未修正障害ベクトルV1が見いだされる。
【0046】
図6Cを参照すると、ステップ630では、少なくとも1つの優良サンプルがタグ付けされているかどうかが確認される。1つのサンプルは、詳しくは、1枚のウエハについてデータチャネルを特徴付けたデータのセットを含んでいる。図6のケースでは、サンプルは、PCAデータ空間内である。もし、優良サンプルがある場合は、未修正障害ベクトルV1は、「優良」サンプルの中心から「不良」サンプルの中心までとして定められる(ステップ632)。それ以外の場合は、未修正障害ベクトルV1は、「未知」サンプルの中心から「不良」サンプルの中心までとして定められる(ステップ634)。つまり、「優良」サンプルの中心は、「優良」サンプルが存在する場合にのみ未修正障害ベクトルV1を定めるために使用される。
【0047】
ドリフトベクトルV0の計算が成される図6Dを参照すると、全ての「優良」サンプル及び「未知」サンプルに対して(最小二乗線形適合などの)適合技術が用いられる(ステップ652)。もし、適合度が所定の閾値(図6Dの例では0.7であるが、要求に合わせて可変である)を下回る場合(ステップ654)は、ドリフトベクトルV0は、ゼロに設定される(ステップ656)。反対に、もし、適合度が閾値を上回る場合(ステップ654)は、この適合V0に投影されたデータサンプルがそれらのタイムスタンプとよく相関しているかどうかを見るために、更なるチェックが実施される(なぜならば、データサンプルは、時間の経過に伴ってドリフトベクトルに沿ってドリフトの方向に分布されることを予期されるからである)。
【0048】
したがって、ステップ658では、適合V0に投影されたデータとそれらのタイムスタンプとの間の相関が確認される。もし、相関が別の閾値(図6Dの例では0.7であるが、要求に合わせて可変である)を上回る場合は、適合V0は、ドリフトベクトルとして受け入れられる(ステップ660)。それ以外の場合は、ドリフトベクトルV0は、ゼロに設定される(ステップ656)。
【0049】
障害ベクトルVFが定められたら、任意のウエハサンプルVkが障害特性を示すかどうかを検出するために、及びもし可能であれば、(ウエハサンプルVkを種々の障害を表す種々の障害ベクトルと繰り返し比較することによって)障害を分類するために、そのウエハサンプルベクトルVkと障害ベクトルVFとの間の相関を計算することができる。図7Aは、ウエハサンプルベクトルVkが障害ベクトルVFに投影されたときに障害の大きさを表す項r(k)によって相関が数値化可能であることを示している。数学的には、この関係は、図7Bに示されている。更に、ウエハサンプルベクトルVkと障害ベクトルVFとの間の角度θは、ウエハサンプルがどの程度障害に似ているかを反映している。数学的には、この関係は、図7Cに示されている。
【0050】
各データサンプルkをr(k)、θ(k)にプロットされたデータサンプルの2D座標系表示を得るために、様々なサンプルを障害ベクトルVFに対して計算することができる。
【0051】
図8は、発明の一実施形態にしたがって、障害徴候の境界を設定するためのステップを示している。各データサンプルをr(k)、θ(k)にプロットされたデータサンプルの2D座標系表示が得られたら、障害状態の境界が確立されてよい。図8は、「優良」又は「未知」サンプルを領域802内に集められた2Dデータサンプルプロットの一例を示している。「不良」サンプルは、領域804内に集められている。領域804の中の「不良」サンプルによって表される障害状態の境界を設定するために、「不良」サンプルのなかで最大の角度θを示す「不良」サンプルの最大θ(max)が特定される。
【0052】
誤差の許容範囲を提供するために、障害状態の境界角は、この最大θ(max)の何倍か(整数倍又は非整数倍)である。図8の例では、点808が、水平軸(θ=0)からの角度が最大θ(max)であるサンプルを表している。点808のサンプルに関係付けられた角度θ(max)は、最大境界θ(b)を得るために、1.2(任意数であり、要求に合わせて可変である)で乗じられる。
【0053】
誤差の許容範囲を提供するために、最小r(k)を有するデータサンプルに関係付けられた半径rが特定される。この最小半径r(k)は、何らかの小数点定数(図8の例では0.8であるが、要求に合わせて可変である)で乗じられる。図8を参照すると、境界812は、障害状態の境界を表しており、境界812内に入るデータサンプルは、その障害状態に分類されてよい。
【0054】
もし、「不良」データ点が1つしかない場合は、障害状態の境界となる角度θ(b)は、或いは、「優良」サンプルの外側に幾らかの余裕を持たせたパラメータ値を反映することができる。一実施形態では、障害状態の境界となる角度θ(b)を導き出すために、全ての優良/未知サンプルの最小θ(min)が、何らかの小数点定数によって縮小される。図8に関しては、点814が、最小θ(min)値を有する「優良」サンプルを表すものと想定される。線816は、「優良」又は「未知」サンプルの最小の角度に関係付けられたこの角度θ(mini)を示している。この最小θ(min)を小数点定数(この例では0.8であるが、要求に合わせて可変である)によって縮小することによって、境界角θ(b)が得られ、これは、図8において線820によって示されている。
【0055】
図9は、発明の一実施形態にしたがって、障害モデルを検証するためのステップを示している。ステップ902では、全ての「不良」サンプルが障害境界内であるかどうか、並びに全ての「優良」及び「未知」サンプルが障害境界外であるかどうかが確認される。もしそうでない場合は、障害モデルは、却下される(ステップ906)。反対に、もしステップ902の条件がともに真である場合は、更に、障害モデルを繰り返し再検証するためにどの「不良」サンプルも少なくとも一度は「不良」サンプル集団から取り出されたかどうかが確認される(ステップ904)。もし、障害モデルを繰り返し再検証するためにどの「不良」サンプルも少なくとも一度は「不良」サンプル集団から取り出され、尚且つこのような再検証が却下をトリガしていない(ステップ902/906)場合は、モデルは、受け入れられる(ステップ908)。
【0056】
反対に、もし、障害モデルを繰り返し再検証するために「不良」サンプル集団から取り出されるべき「不良」サンプルが1つ又は2つ以上残っている場合は、まだ取り出されていない「不良」サンプルは、障害モデルの再検証を促すために不良サンプル集団から引き出される(ステップ910)。変更された「不良」サンプルプールによって、障害ベクトル及び障害境界の計算(図3のステップ312〜316)が、(ステップ912において)再び実施される。一実施形態では、「不良」サンプル集団から「不良」サンプルが引き出されるたびに、直前に引き出された「不良」サンプルが、集団に戻される。このように、障害ベクトル及び障害境界の再計算は、一度に1つの「不良」サンプルのみが欠落している状態で実施される。もちろん、1つ又は2つ以上のその他の実施形態では、繰り返しのたびに1セットの「不良」サンプルを引き出す(そして直前のセットと置き換える)ことも可能である。このケースでは、障害ベクトル及び障害境界の再計算は、一度に1セットの「不良」サンプルのみが欠落している状態で実施される。
【0057】
全ての「不良」サンプルが少なくとも一度は引き出され、尚且つ障害モデルのテストが満足のいく結果であれば、検証は、ステップ908において終了する。
【0058】
図10は、発明の一実施形態にしたがって、ウエハプロセスデータ(ブロック1002)から1つ又は2つ以上の障害状態を検出及び/又は分類するためのステップを示している。ステップ1004では、データチャネルについて要約統計量が計算される。この計算は、例えば、図4に関連して先述されている。
【0059】
図10は、また、予め構築された障害モデルのデータ蓄積1006を表す障害モデルのライブラリ(ブロック1006)も示している。先述のように、障害モデルは、障害徴候と、障害境界と、PCAパラメータとを含む。異なる障害モデルは、(摩耗したエッジリング、崩壊したアースストラップ、不適当なチャンバギャップ、誤った圧力などの)異なる既知障害を特徴付けることができる。テストのために、障害モデルのライブラリから一障害モデルが選択される(ステップ1008)。
【0060】
ステップ1010では、テスト対象ウエハに関係付けられたウエハプロセスセンサデータが、ステップ1008において選択された障害モデルに照らした検出及び分類を促すために、同選択された障害モデルと同じPCA空間に変換される。ステップ1012では、ウエハプロセスデータの相関(θ及びr)が、ステップ1008において選択された障害モデルに関係付けられた障害ベクトルVFに照らして計算される。ステップ1014では、テスト対象ウエハプロセスデータが、ステップ1008において選択された障害モデルの障害境界内にあるかどうかが確認される。もし、テスト対象ウエハプロセスデータが、ステップ1008において選択された障害モデルの障害境界内にある場合は、ステップ1018において、アラームがトリガされ、これは、障害可能性の検出を示すとともに、ステップ1008において選択された障害モデルにしたがって障害をタイプ分けする。
【0061】
他方、もし、テスト対象ウエハプロセスデータが、ステップ1008において選択された障害モデルの障害境界内にない場合は、プロセスは、ステップ1016に進み、再テストされるべき別の障害状態があるかどうかを確認する。場合によっては、たとえ障害可能性が既に検出されている場合でも、複数の障害可能性があるかどうかを判定するために、ウエハプロセスデータを他の障害モデルに照らしてテストすることが望ましいであろう。もし、テストされるべき障害状態が他にもある場合は、プロセスは、ステップ1008に進み、再テストされるべき別の障害モデルを選択する。プロセスは、ステップ1016において、これ以上テストされるべき障害モデルが他にはないことが確認されるまで続く。ステップ1020では、障害の相関結果、及び/又は発見/分類された任意の障害可能性を報告するために、レポートが作成される。
【0062】
以上からわかるように、発明の実施形態は、障害分類の複雑性及び関与しているセンサデータの量の多さにもかかわらず、自動的で、効率的で、尚且つ適時な障害状態の検出と分類とを容易にする。
【0063】
より重要なのは、発明の実施形態が、障害モデルの構築のプロセスを体系化及び単純作業化することである。どのデータチャネルを選択して含めるか、ベースラインドリフトをどのように打ち消すか、及び境界条件をどのように設定するかを知るために、もはや、人間のオペレータは不要である。これらの判定は、障害モデルの構築のプロセスにおいて体系化及び自動化されている。場合によっては、障害モデルの構築に必要とされるのは、障害状態の識別と、そのウエハに関係付けられたデータサンプルを適切な「不良」タグでタグ付することだけである。
【0064】
発明の方法は、次いで、データチャネルをプレフィルタリングするために及び更にPCAを通じてウエハのデータ次元を縮小するために、自動的にデータ操作を実施する。なかでも特に、重み付きPCA、ベースライン(チャンバ)ドリフトの自動打ちけし、並びに/又は障害モデル作成、2Dデータマッピング、及び障害境界設定に基づく発明による障害分類方法は、障害モデルの構築のプロセスと、障害の検出及び分類とを、高度に自動化し、堅牢にし、尚且つ効率的にする。
【0065】
本発明は、幾つかの好ましい実施形態の観点から説明されているが、本発明の範囲に入る代替、置換、及び均等物がある。もし、本明細書において「セット」という用語が用いられる場合は、このような用語は、ゼロの、1つの、又は2つ以上の構成要素を包含した通常理解の数学的意味を有することを意図している。また、本発明の方法及び装置を実現するものとして、多くの代替的手法があることも留意されるべきである。更に、本発明の実施形態は、その他の応用でも有用であろう。概要部分は、便宜のために提供され、文字数制限ゆえに、読むのに都合の良いように記載されており、特許請求の範囲を制限するために用いられるべきでない。したがって、以下の添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲に含まれるものとして、このようなあらゆる代替、置換、及び均等物を含むものと解釈される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理中に自動的に障害状態を検出及び分類するための方法であって、
前記基板処理中に、センサのセットによって処理データを収集することと、
前記処理データを障害検出/分類コンポーネントに送信することと、
前記障害検出/分類コンポーネントによって前記処理データのデータ操作を実施することと、
前記処理データと、障害ライブラリに保存されている複数の障害モデルとの間で比較を実施することと、
を備え、
前記複数の障害モデルの各障害モデルは、特定の障害状態を特徴付けるデータのセットを表し、前記各障害モデルは、少なくとも、障害徴候と、障害境界と、主成分分析(PCA)パラメータのセットとを含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによる前記処理データの前記データ操作は、各センサチャネルについて要約統計量の計算を実施することを含み、
前記要約統計量の計算の前記実施は、前記障害状態に対して不変である第1セットのセンサチャネルを除外するために、少なくとも、前記センサデータのセットに対してプレフィルタリングを実施することを含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記データ操作は、更に、第2セットのセンサチャネルに対して重み付きPCAを実施することを含み、前記第2セットのセンサチャネルは、前記第1セットのセンサチャネルを含まない、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記データ操作は、更に、前記PCAパラメータのセットに基づいて、多次元PCA空間において表されるデータサンプルのセットを生成することを含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記複数の障害モデルとの前記比較は、第1の障害モデルに関係付けられた障害ベクトルのセットに前記計算された処理データを相関させることを含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記比較は、更に、前記処理データが前記第1の障害モデルの障害境界内であるかどうかを決定することを含み、この際、 前記処理データが前記第1の障害モデルの前記障害境界内である場合に、障害状態可能性を示す警告を生成し、
前記処理データが前記第1の障害モデルの前記障害境界外である場合に、前記処理データとの比較を実施するために別の障害モデルを特定する、
方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記各障害モデルは、
複数の基板について複数のセンサデータを収集することと、
前記複数のセンサデータの各センサデータのセットに、不良センサデータセットと優良センサデータセットと未知センサデータセットのうちの1つを含む指定を割り振ることと、
障害検出に寄与するセンサデータを含まない第1セットのセンサチャネルを除外するために、複数のセンサチャネルに対してプレフィルタリングを実施することと、
によって生成され、
前記プレフィルタリングは、前記複数の基板に対して前記複数のセンサチャネルの各チャネルについて要約統計データを計算することを含む、
方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記各センサデータのセットの前記指定は、前記処理チャンバのコンポーネントの状態と、前記各センサデータのセットに関係付けられた基板の状態と、のうちの少なくとも1つに関係付けられた特性に基づく、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記要約統計データの前記計算は、前記各チャネルについてセンサデータに対して局所的な線形適合を適用することを含む、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記プレフィルタリングは、更に、前記要約統計データの変動を計算することを含む、方法。
【請求項11】
プラズマ処理システムの処理チャンバ内において、基板処理中に自動的に障害状態を検出及び分類するための装置であって、
基板処理中に前記処理チャンバを監視するように及び処理データを収集するように構成されたセンサのセットと、
複数の障害モデルを保存するように少なくとも構成された障害ライブラリであって、前記複数の障害モデルの各障害モデルは、特定の障害状態を特徴付けるデータのセットを表す、障害ライブラリと、
前記処理データに対して解析を実施するように構成された障害検出/分類コンポーネントと、
を備え、
前記解析は、前記処理データを前記複数の障害モデルの少なくとも1つの障害モデルと比較することを含み、各障害モデルは、少なくとも、障害徴候と、障害境界と、主成分解析(PCA)パラメータのセットとを含む、
装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、更に、
前記障害検出/分類コンポーネントの出力に基づいて前記プラズマ処理システムを制御するように構成されたコントローラを備える装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによって実施される前記解析は、各データチャネルについて要約統計量の計算を実施することを含み、
前記要約統計量の計算の前記実施は、前記障害状態に対して不変である第1セットのセンサチャネルを除外するために、少なくとも、前記センサデータのセットに対してプレフィルタリングを実施することを含む、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによって実施される前記解析は、第2セットのセンサチャネルに対して重み付きPCAを実施することを含み、前記第2セットのセンサチャネルは、前記第1セットのセンサチャネルを含まない、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによって実施される前記解析は、PCAパラメータに基づいて、多次元PCA空間において表されるデータサンプルのセットを生成することを含む、装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによって実施される前記解析は、第1の障害モデルに関係付けられた障害ベクトルのセットに前記計算された処理データを相関させることを含む、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによって実施される前記解析は、前記処理データが前記第1の障害モデルの障害境界内であるかどうかを決定することを含み、この際、
前記処理データが前記第1の障害モデルの前記障害境界内である場合に、障害状態可能性を示す警告を生成し、
前記処理データが前記第1の障害モデルの前記障害境界外である場合に、前記処理データとの比較を実施するために別の障害モデルを特定する、
装置。
【請求項18】
請求項11に記載の装置であって、
前記各障害モデルは、
複数の基板について複数のセンサデータを収集することと、
前記複数のセンサデータの各センサデータのセットに、不良センサデータセットと優良センサデータセットと未知センサデータセットのうちの1つを含む指定を割り振ることと、
障害検出に寄与するセンサデータを含まない第1セットのセンサチャネルを除外するために、複数のセンサチャネルに対してプレフィルタリングを実施することと、
によって生成され、
前記プレフィルタリングは、前記複数の基板に対して前記複数のセンサチャネルの各チャネルについて要約統計データを計算することを含む、
装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、
前記各センサデータのセットの前記指定は、前記処理チャンバのコンポーネントの状態と、前記各センサデータのセットに関係付けられた基板の状態と、のうちの少なくとも1つに関係付けられた特性に基づく、装置。
【請求項20】
請求項17に記載の装置であって、
前記要約統計データの前記計算は、前記各チャネルについてセンサデータに対して局所的な線形適合を適用することを含む、装置。
【請求項1】
基板処理中に自動的に障害状態を検出及び分類するための方法であって、
前記基板処理中に、センサのセットによって処理データを収集することと、
前記処理データを障害検出/分類コンポーネントに送信することと、
前記障害検出/分類コンポーネントによって前記処理データのデータ操作を実施することと、
前記処理データと、障害ライブラリに保存されている複数の障害モデルとの間で比較を実施することと、
を備え、
前記複数の障害モデルの各障害モデルは、特定の障害状態を特徴付けるデータのセットを表し、前記各障害モデルは、少なくとも、障害徴候と、障害境界と、主成分分析(PCA)パラメータのセットとを含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによる前記処理データの前記データ操作は、各センサチャネルについて要約統計量の計算を実施することを含み、
前記要約統計量の計算の前記実施は、前記障害状態に対して不変である第1セットのセンサチャネルを除外するために、少なくとも、前記センサデータのセットに対してプレフィルタリングを実施することを含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記データ操作は、更に、第2セットのセンサチャネルに対して重み付きPCAを実施することを含み、前記第2セットのセンサチャネルは、前記第1セットのセンサチャネルを含まない、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
前記データ操作は、更に、前記PCAパラメータのセットに基づいて、多次元PCA空間において表されるデータサンプルのセットを生成することを含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記複数の障害モデルとの前記比較は、第1の障害モデルに関係付けられた障害ベクトルのセットに前記計算された処理データを相関させることを含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記比較は、更に、前記処理データが前記第1の障害モデルの障害境界内であるかどうかを決定することを含み、この際、 前記処理データが前記第1の障害モデルの前記障害境界内である場合に、障害状態可能性を示す警告を生成し、
前記処理データが前記第1の障害モデルの前記障害境界外である場合に、前記処理データとの比較を実施するために別の障害モデルを特定する、
方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記各障害モデルは、
複数の基板について複数のセンサデータを収集することと、
前記複数のセンサデータの各センサデータのセットに、不良センサデータセットと優良センサデータセットと未知センサデータセットのうちの1つを含む指定を割り振ることと、
障害検出に寄与するセンサデータを含まない第1セットのセンサチャネルを除外するために、複数のセンサチャネルに対してプレフィルタリングを実施することと、
によって生成され、
前記プレフィルタリングは、前記複数の基板に対して前記複数のセンサチャネルの各チャネルについて要約統計データを計算することを含む、
方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記各センサデータのセットの前記指定は、前記処理チャンバのコンポーネントの状態と、前記各センサデータのセットに関係付けられた基板の状態と、のうちの少なくとも1つに関係付けられた特性に基づく、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記要約統計データの前記計算は、前記各チャネルについてセンサデータに対して局所的な線形適合を適用することを含む、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記プレフィルタリングは、更に、前記要約統計データの変動を計算することを含む、方法。
【請求項11】
プラズマ処理システムの処理チャンバ内において、基板処理中に自動的に障害状態を検出及び分類するための装置であって、
基板処理中に前記処理チャンバを監視するように及び処理データを収集するように構成されたセンサのセットと、
複数の障害モデルを保存するように少なくとも構成された障害ライブラリであって、前記複数の障害モデルの各障害モデルは、特定の障害状態を特徴付けるデータのセットを表す、障害ライブラリと、
前記処理データに対して解析を実施するように構成された障害検出/分類コンポーネントと、
を備え、
前記解析は、前記処理データを前記複数の障害モデルの少なくとも1つの障害モデルと比較することを含み、各障害モデルは、少なくとも、障害徴候と、障害境界と、主成分解析(PCA)パラメータのセットとを含む、
装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、更に、
前記障害検出/分類コンポーネントの出力に基づいて前記プラズマ処理システムを制御するように構成されたコントローラを備える装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによって実施される前記解析は、各データチャネルについて要約統計量の計算を実施することを含み、
前記要約統計量の計算の前記実施は、前記障害状態に対して不変である第1セットのセンサチャネルを除外するために、少なくとも、前記センサデータのセットに対してプレフィルタリングを実施することを含む、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによって実施される前記解析は、第2セットのセンサチャネルに対して重み付きPCAを実施することを含み、前記第2セットのセンサチャネルは、前記第1セットのセンサチャネルを含まない、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによって実施される前記解析は、PCAパラメータに基づいて、多次元PCA空間において表されるデータサンプルのセットを生成することを含む、装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによって実施される前記解析は、第1の障害モデルに関係付けられた障害ベクトルのセットに前記計算された処理データを相関させることを含む、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、
前記障害検出/分類コンポーネントによって実施される前記解析は、前記処理データが前記第1の障害モデルの障害境界内であるかどうかを決定することを含み、この際、
前記処理データが前記第1の障害モデルの前記障害境界内である場合に、障害状態可能性を示す警告を生成し、
前記処理データが前記第1の障害モデルの前記障害境界外である場合に、前記処理データとの比較を実施するために別の障害モデルを特定する、
装置。
【請求項18】
請求項11に記載の装置であって、
前記各障害モデルは、
複数の基板について複数のセンサデータを収集することと、
前記複数のセンサデータの各センサデータのセットに、不良センサデータセットと優良センサデータセットと未知センサデータセットのうちの1つを含む指定を割り振ることと、
障害検出に寄与するセンサデータを含まない第1セットのセンサチャネルを除外するために、複数のセンサチャネルに対してプレフィルタリングを実施することと、
によって生成され、
前記プレフィルタリングは、前記複数の基板に対して前記複数のセンサチャネルの各チャネルについて要約統計データを計算することを含む、
装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、
前記各センサデータのセットの前記指定は、前記処理チャンバのコンポーネントの状態と、前記各センサデータのセットに関係付けられた基板の状態と、のうちの少なくとも1つに関係付けられた特性に基づく、装置。
【請求項20】
請求項17に記載の装置であって、
前記要約統計データの前記計算は、前記各チャネルについてセンサデータに対して局所的な線形適合を適用することを含む、装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−532425(P2012−532425A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518580(P2012−518580)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040452
【国際公開番号】WO2011/002798
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040452
【国際公開番号】WO2011/002798
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
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