説明

プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法

【課題】 プラズマを簡便な機構にて安定化できるようにすること。
【解決手段】 放電を発生させるための対を成す電極11,13が配置された放電空間20と、前記電極間11,13に電圧を印加する電圧印加手段2と、前記放電空間に不活性ガス或いは不活性ガスと反応ガスの混合気体から成る作動ガスを供給する作動ガス供給手段4とを有し、前記電圧印加手段2にて電圧を印加することにより前記電極間11,13に発生する放電にて前記放電空間20に供給した前記作動ガスを励起して放電プラズマを発生させ、該発生した放電プラズマを用いて被処理体を処理するプラズマ処理装置において、前記ガス供給手段4により前記放電空間に供給される前記作動ガスの流量もしくは流速、あるいは圧力の少なくともいずれか1つを周期的に変動させる周期変動付与手段7を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電を安定化させることにより、安定性の高いプラズマジェットを生成することのできるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、安定性の高いプラズマジェット、つまりは、プラズマジェット中の所定領域において、所定温度以上の高温プラズマが時系列的に安定して生成し、その所定領域(高温プラズマ領域)内において、高温プラズマの発生にムラ等を生じることのないプラズマジェットを得るための方法としては、(1)作動ガスを放電ノズル内で旋回させる方法、(2)外部磁場を放電ノズル部に印加する方法、(3)陰極を3電極にする方法等が存在する。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−289067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの方法はいずれも、ある程度において、生成されるプラズマジェットを安定化させることが可能であるが、大流量のプラズマを生成させようとすると、作動ガスの流速を高めた場合等においては、安定性が損なわれてしまう場合があるとともに、これら安定化を行うために大型の装置が必要となってしまうという問題があり、これら大流量のプラズマを、簡便な機構にて安定化することのできる装置や方法が切望されていた。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、大流量のプラズマを、簡便な機構にて安定化することのできるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のプラズマ処理装置は、
放電を発生させるための対を成す電極が配置された放電空間と、前記電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記放電空間に不活性ガス或いは不活性ガスと反応ガスの混合気体から成る作動ガスを供給する作動ガス供給手段とを有し、前記電圧印加手段にて電圧を印加することにより、前記電極間に発生する放電にて前記放電空間に供給した前記作動ガスを励起して放電プラズマを発生させ、該発生した放電プラズマを用いて被処理体を処理するプラズマ処理装置において、
前記ガス供給手段により前記放電空間に供給される前記作動ガスの流量もしくは流速、あるいは圧力の少なくともいずれか1つを周期的に変動させる周期変動付与手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、作動ガスの流量もしくは流速、あるいは圧力の少なくともいずれか1つを周期的に変動させることで、放電における放電スポットの位置が定常的に移動するようになるので電極間の放電を、例えば作動ガスの流速が大きな場合でも安定化でき、よって、大流量プラズマにおいても安定性の高いプラズマジェットを生成でき、例えばプラズマ溶射であれば、注入微粒子を均一に加熱、加速できるとともに、前記周期的な変動による電極の放電スポットの位置の変動により、電極の長寿命化により、運転コストも低減できる。
【0007】
本発明の請求項2に記載のプラズマ処理装置は、請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、
前記周期変動付与手段は、前記変動の周期を連続的に変更するための周期変更手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、使用する作用ガスの種類や電極に印加される高周波電圧の周波数や電圧等の条件に応じて、放電が安定する最適な周期に変動の周期を変更することができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載のプラズマ処理装置は、請求項1または2に記載のプラズマ処理装置であって、
前記周期変動付与手段が、前記作動ガスを通過可能な通過路と作動ガスが通過不能な遮断部とが形成された回転体と、前記作動ガスを供給する供給経路上に前記回転体を回転可能に配置するための配置部と、前記回転体を回転駆動する駆動部とから構成され、前記回転体が回転されることで該回転体を作動ガスが通過または非通過となることで供給経路から供給される作動ガスに周期変動を与えることを特徴としている。
この特徴によれば、比較的簡素な構成により、前記変動の周期を連続的に変更することのできる周期変動付与手段を形成することができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載のプラズマ処理方法は、
放電を発生させるための対を成す電極が配置された放電空間に不活性ガス或いは不活性ガスと反応ガスの混合気体から成る作動ガスを供給し、前記電極間に電圧を印加することにより、該電極間に発生する放電にて前記放電空間に供給した前記作動ガスを励起して放電プラズマを発生させ、該発生した放電プラズマを用いて被処理体を処理するプラズマ処理方法において、
前記放電空間に供給される前記作動ガスの流量もしくは流速、あるいは圧力の少なくともいずれか1つを周期的に変動させることを特徴としている。
この特徴によれば、作動ガスの流量もしくは流速、あるいは圧力の少なくともいずれか1つを周期的に変動させることで、放電における放電スポットの位置が定常的に移動するようになるので電極間の放電を、例えば作動ガスの流速が大きな場合でも安定化でき、よって、大流量プラズマにおいても安定性の高いプラズマジェットを生成でき、例えばプラズマ溶射であれば、注入微粒子を均一に加熱、加速できるとともに、前記周期的な変動による電極の放電スポットの位置の変動により、電極の長寿命化により、運転コストも低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施例を以下に説明する。尚、以下の説明においては、プラズマ処理の一例をして、生成したプラズマジェットを溶射に用いた例を示すが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら生成したプラズマジェットを溶射以外の表面処理、例えばエッチング等によるパターンニング等にも使用可能なことは言うまでもない。
【実施例】
【0011】
本発明のプラズマ処理方法が適用された本実施例のプラズマ処理装置は、図1に示すような装置構成とされており、その構成自体は、通常のプラズマ処理装置と同様に、プラズマジェットを生成するプラズマトーチ1と、これらプラズマトーチ1内の両電極間に印加される直流電力を供給する本発明における電圧印加手段となる直流電源装置2と、前記プラズマトーチ1に接続されて、プラズマジェットによるプラズマ溶射を行う溶射材料の粒子をプラズマトーチ1内に供給する粒子供給装置3と、前記直流電源装置2や粒子供給装置3や前記プラズマトーチ1内に供給する供給ガス(本実施例では一次ガスであるアルゴン、二次ガスであるアルゴン・窒素・水素、三次ガスであるアルゴンの3種)とが接続され、これらプラズマトーチ1内に供給されるガスの流量や組成比率、供給電力、供給溶射粒子の量(速度)等の溶射条件を制御するための本発明における作動ガス供給手段となる制御装置4とから成るプラズマ処理装置(プラズマ溶射装置)とされている。尚、図1中においては供給ガスとしてアルゴン、窒素、水素の3種の気体が制御装置4に接続されているが、制御装置4では、これら各気体を分配供給可能とされており、通常は一次ガス〜三次ガスの全てにアルゴンガスを使用し、2次ガスとして適宜、窒素ガスや水素ガスを使用することが可能である。
【0012】
また、プラズマトーチ1へ各種の供給ガスを供給するガス供給路5上には、供給される各種ガスの流量を検出するための流量検出部6が設けられているとともに、該流量検出部6のプラズマトーチ1側である下流部位置には、供給される供給ガスの主体ガスとなる一次ガスであるアルゴンガスの流量を周期的に変動させるための流量変動弁装置7が設けられているとともに、これら流量検出部6と流量変動弁装置7には、該流量変動弁装置7によるアルゴンガスの周期的な流量変動を制御するための制御コンピュータからなる流量変動弁制御装置8が接続されており、これら流量変動弁制御装置8において、流量変動弁の動作、具体的には後述するように流量変動弁となるバルブスピンドル73の回転数を制御することで、流量検出部6におけるプラズマトーチ1に供給されるアルゴンガスの周期的な流量変動を制御できるようになっている。尚、この流量変動弁制御装置8は前述の制御装置4に接続されていて、該制御装置4と連動した動作が可能とされている。
【0013】
次に、本実施例に用いた流量変動弁装置7について説明すると、該流量変動弁装置7は、図2に示すように、略円筒状の筐体70の内部を、その一方の側部から他方の側部に貫通するアルゴンガスが流通可能な流路71’、72’が設けられており、その一方端をガスインレット71とし、他方端をガスアウトレット72とする。この筐体70内の流路71’、72’の略中央位置には図2に示すように、該流路71’、72’に直交するように、断面視円形とされた円筒状の本発明における回転体となるバルブスピンドル73を装着可能なバルブスピンドル装着部74が形成されているとともに、該バルブスピンドル装着部74の前記流路71’、72’に直交する延長線上には、該バルブスピンドル装着部74に装着される円筒状のバルブスピンドル73を回転可能に軸支する軸受け部75が設けられており、該バルブスピンドル73の一方端が本発明における駆動部となる駆動モータ(サーボモータ)76の駆動軸77に接続(ジョイント)されることで、該駆動モータ76により回転駆動される。尚、本実施例では、前記した軸受け部75としてアンギュラ軸受けを用いており、温度変化によりバルブスピンドル73が膨張した場合に回転精度を高く保つことができるようになっている。
【0014】
このように駆動モータ76にて回転駆動されるバルブスピンドル73には、図3に示すように、該バルブスピンドル73が装着された際に、所定の回転位置において前記ガスインレット側の流路71’と、ガスアウトレット側の流路72’とを連通させるように、該円筒体の回転中心を通過して他方の対向する外周面に貫通するように、各流路71’、72’の径内に臨むように設けられた通過路78a〜78cを、回転角度に対して120度毎に3つ有しており、該バルブスピンドル73が回転することで、ガスインレット側の流路71’とガスアウトレット側の流路72’との連通・非連通の状態が連続的に出現する回転弁が形成されており、これら駆動モータ76にて通過路78a〜78cが形成されたバルブスピンドル73を回転させた回転弁とし、これら駆動モータ76の回転を前記流量変動弁制御装置8にて制御(変更)することで、ガス流量の変動の周期を連続的に変更することができ、よって該流量変動弁制御装置8にて本発明における周期変更手段が形成されている。
【0015】
尚、ガスインレット側の流路71’並びにガスアウトレット側の流路72’を形成する流路ユニット71U、72Uは、筐体に対してボルト79にて着脱可能とされており、これら流路ユニット71U、72Uを異なる径の流路ユニットに変更することで、バルブスピンドル73に形成された3つの通過路78a〜78cの使用状態を変更することにより、変動波形を変更できるようになっているとともに、バルブスピンドル73に設けられた通過路78a〜78cの形状、本数、本体との隙間を変えることも簡便に実施でき、これらによっても変動波形を変更できるようになっている。
【0016】
次に、本実施例に用いたプラズマトーチ1について、図9に基づいて簡潔に説明すると、図9中の11は一段目陽極ノズル、12は2段目陽極ノズルであり、図中の13の陰極との間でアーク放電させる。
【0017】
この本実施例に用いたプラズマトーチ1における動作を説明すると、1次ガス(アルゴンガス)を1次ガス流路14に流すと、該1次ガスが絶縁体の旋回部15を通り、軸方向旋回流として陰極13と一段目陽極ノズル11間の放電空間20でプラズマジェットを発生させるとともに、2次ガス(アルゴン・窒素もしくは水素ガス)を2次ガス流路16に流すと、該2次ガスが絶縁体の強旋回流部17を通り、強旋回流として、陰極13と2段目陽極ノズル12の間の2次放電により、主プラズマ流を発生させる。また、放電ノズル出口部18において、粒径10〜20μmの溶射材料の粉体をキャリアガス(アルゴンガス)を通して3次ガス流路19から供給することが可能である。
【0018】
以下、本実施例のプラズマ処理装置における測定結果を図4から図8に示す。図4は、本実施例の前記流量変動弁装置7のガスアウトレット側に内径4mmの管を継ぎ、管の解放端から熱線流速計を挿入した時のガス速度と、該流量変動弁装置7のガスアウトレット側の出口直後に設けられた圧力センサにより計測した圧力を示す。図5は、2次ガス(アルゴンガス)流量に流量変動を与えた時の、本実施例のプラズマ処理装置により生成したプラズマジェットの電子温度、電子密度、ガス温度、放射強度の時間変化を示す。この図において、放電電流は100Aであり、ガス流量は30SL/minである。また、放射強度は先端に細管を取り付けたフォトダイオードを用いて測定した。
【0019】
図6は、CCDカメラから得られた画像とその放射強度分布を示した図であり、放射強度が最大を示す位置を中心軸位置とし、本実施例ではプラズマジェットの半径方向の半値幅を解析し、プラズマジェット幅とした。
【0020】
また図7は、2次ガス(アルゴンガス)流量の流量変動の周波数が0(無変動),0.5Hz,1Hz,2Hz,5Hz,10Hzと変化させ、1000回分の半値幅wの標準偏差w’を示す。ここで標準偏差w’は変動強度を表す。
【0021】
また図8は、2次ガス(アルゴンガス)の流量変動の周波数が300Hzにおける圧力分布を示す。
【0022】
まず、前記した図4からわかるように、本実施例の流量変動弁装置7を用いた場合には、ガス流速の波形と圧力変化の波形はほぼ一致し、これらガス流速と圧力変化とには相関関係があることが判り、その結果、圧力変動の波形から流量変動の特性を予測することが可能であることが判るので、圧力変動を測定することで流量変動を特定することができることが判る。
【0023】
そして図5に示す、ガス流量を周期的に変化させた場合のプラズマ温度と放射強度が相関関係の結果から、ガス圧力があがるとプラズマ温度と放射強度も増加することが判る。
【0024】
そして図7に示す結果から、流量変動の周波数を大きくしていくと、流量変動を与えない無変動時よりも半値幅の変動強度が小さくなる。これらガス流量を周期的に変化させると、陰極13と一段目陽極ノズル11間のアーク放電における両電極の放電スポットの位置が定常的に移動する。つまり、これらの測定結果から、これら流量変動を与えることで、より安定した半値幅のプラズマジェットを得ることができることが判るとともに、これら流量変動を作動ガスに付与することで、放電スポットの定常的な移動が得られるようになるので電極の局部的な損耗が低減でき、よって電極の長寿命化により、運転コストも低減できる。
【0025】
更に、図8から、本実施例の流量変動弁装置7は流量変動の周波数を500Hzまで、変動可能である。変動周波数を300Hzにした場合の圧力分布は変動周波数に追従していることがわかる。尚、位相が異なる理由は、速度の計測位置が圧力計測位置に比べて下流側にあることに基づくものである。
【0026】
以上、本実施例によれば、作動ガス(アルゴンガス)の流量もしくは流速、あるいは圧力の少なくともいずれか1つを周期的に変動させることで、アーク放電における放電スポットの位置が定常的に移動するようになるので電極間のアーク放電を、例えば作動ガスの流速が大きな場合でも安定化でき、よって、大流量プラズマにおいても安定性の高いプラズマジェットを生成でき、例えばプラズマ溶射であれば、注入微粒子を均一に加熱、加速できるとともに、前記周期的な変動による電極の放電スポットの位置の変動により、電極の長寿命化により、運転コストも低減できる。
【0027】
また、本実施例によれば、駆動モータ76の回転を連続的に変化させることで、供給ガス(作動ガス)であるアルゴンガスの流量(圧力)の周期的な変動を、連続的に変化させることができので、使用する作用ガスの種類や電極に印加される電圧等の条件に応じて、アーク放電が安定する最適な周期に変動の周期を変更することができる。
【0028】
また、本実施例によれば、流量変動弁装置7を用いることで、比較的簡素な構成により、作業ガスであるアルゴンガスの変動の周期を連続的に変更することのできる周期変動付与手段を形成することができる。
【0029】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0030】
例えば、前記実施例では、供給ガスに周期的な流量変動を付与する周期変動付与手段として、回転するバルブスピンドル73を用いた回転弁機構によりガスの通過・非通過を行う流量変動弁装置7を用いており、このようにすることは、例えばこれら周期変動付与手段として、自動車等に用いられているバルブ機構等を用いた場合に比較して、その構成を非常に簡素なものとすることができ、且つ、これら流量変動弁装置7を従来のプラズマ処理装置にも容易に取付けることで本発明のプラズマ処理装置とすることができることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら周期変動付与手段としては、供給ガスに周期的な流量変動を付与できる弁機能を備えるものであれば好適に使用することができる。
【0031】
また、前記実施例では、作動ガス(供給ガス)であるアルゴンガスの流量と圧力とを周期的に変動するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば圧力は一定で流速と流量を変動させても良いし、流量は一定で、圧力と流速とを変動させても良く、つまりは、作動ガスの流量もしくは流速、あるいは圧力の少なくともいずれか1つを周期的に変動させれば良い。
【0032】
また、前記実施例では、作動ガス(供給ガス)のうち、アルゴンガスの流量(圧力)を周期的に変動するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらアルゴンガス以外のその他の作動ガス(供給ガス)の流量(圧力)も周期的に変動するようにしても良い。
【0033】
また、前記実施例では、電極間に印加する電力として直流電力を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら電力として高周波の交流電力を印加するようにしても良い。
【0034】
また、前記実施例では、直流電力の印加により電極間にアーク放電を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら放電の形態としては、グロー放電でもコロナ放電でも、沿面放電であっても良い。
【0035】
また、本発明における電圧印加手段となる前記実施例の直流電源装置2は、電極間に直流電圧を印加することで、当然のことながら放電により電極間に直流電流(高周波電圧を印加する場合には、交流電流)を供給することになるので、これら電圧印加手段は同様に電流印加手段でもある。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の活用例として、前述のプラズマ溶射以外に、被処理物の表面に存在する有機物等の異物のクリーニング、レジストの剥離、有機フィルムの密着性の改善、金属酸化物の還元、成膜、表面改質などのプラズマ処理に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例におけるプラズマ処理装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施例に用いた流量変動弁装置の構成を示す平面断面図である。
【図3】本発明の実施例に用いた流量変動弁装置のバルブスピンドルを示す断面図である。
【図4】本実施例の流量変動弁装置のガスアウトレット側の出口直後におけるガス速度とガス圧力との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例におけるプラズマ処理装置において、2次ガス(アルゴンガス)流量に流量変動を与えた時のプラズマジェットの電子温度、電子密度、ガス温度、放射強度の時間変化を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例におけるプラズマ処理装置におけるプラズマジェットの画像とその放射強度分布を示した図である。
【図7】本発明の実施例におけるプラズマ処理装置における流量変動の各周波数における半値幅wの標準偏差w’を示す図である。
【図8】本発明の実施例に用いた流量変動弁装置における2次ガス(アルゴンガス)の流量変動の周波数が300Hzにおける圧力分布を示す。
【図9】本発明の実施例に用いたプラズマトーチの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 プラズマトーチ
2 直流電源装置
3 粒子供給装置
4 制御装置
5 ガス供給路
6 流量検出部
7 流量変動弁装置
8 流量変動弁制御装置
11 1段目陽極ノズル
12 2段目陽極ノズル
13 陰極
14 1次ガス流路
15 旋回部
16 2次ガス流路
17 強旋回流部
18 放電ノズル出口部
19 3次ガス流路
70 筐体
71 ガスインレット
71’ 流路
71U 流路ユニット
72 ガスアウトレット
72’ 流路
72U 流路ユニット
73 バルブスピンドル
74 バルブスピンドル装着部
75 軸受け部
76 駆動モータ
77 駆動軸
78a 通過路
79 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電を発生させるための対を成す電極が配置された放電空間と、前記電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記放電空間に不活性ガス或いは不活性ガスと反応ガスの混合気体から成る作動ガスを供給する作動ガス供給手段とを有し、前記電圧印加手段にて電圧を印加することにより、前記電極間に発生する放電にて前記放電空間に供給した前記作動ガスを励起して放電プラズマを発生させ、該発生した放電プラズマを用いて被処理体を処理するプラズマ処理装置において、
前記ガス供給手段により前記放電空間に供給される前記作動ガスの流量もしくは流速、あるいは圧力の少なくともいずれか1つを周期的に変動させる周期変動付与手段を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記周期変動付与手段は、前記変動の周期を連続的に変更するための周期変更手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記周期変動付与手段が、前記作動ガスを通過可能な通過路と作動ガスが通過不能な遮断部とが形成された回転体と、前記作動ガスを供給する供給経路上に前記回転体を回転可能に配置するための配置部と、前記回転体を回転駆動する駆動部とから構成され、前記回転体が回転されることで該回転体を作動ガスが通過または非通過となることで供給経路から供給される作動ガスに周期変動を与えることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
放電を発生させるための対を成す電極が配置された放電空間に不活性ガス或いは不活性ガスと反応ガスの混合気体から成る作動ガスを供給し、前記電極間に電圧を印加することにより、該電極間に発生する放電にて前記放電空間に供給した前記作動ガスを励起して放電プラズマを発生させ、該発生した放電プラズマを用いて被処理体を処理するプラズマ処理方法において、
前記放電空間に供給される前記作動ガスの流量もしくは流速、あるいは圧力の少なくともいずれか1つを周期的に変動させることを特徴とするプラズマ処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図9】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−190493(P2006−190493A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381699(P2004−381699)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(899000035)株式会社東北テクノアーチ (68)
【Fターム(参考)】