説明

プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法

【課題】プラズマ生成空間から処理空間に進入するプラズマの光エネルギーを低下させ、生産性を向上することができるプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係るプラズマ処理装置は、被処理物を載置する載置部103を有する処理容器101と、前記被処理物Wを処理するためにプロセスガスを活性化してプラズマを生成するプラズマ生成部6と、前記プラズマを生成した空間と前記被処理物を処理する空間7の間に設けられた遮光部8とを備え、前記遮光部は、内壁部に遮光面を持つ開口部を有し、前記プラズマの光が前記遮光面に遮られることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマを利用したドライプロセスは、半導体製造装置、金属部品の表面硬化、プラスチック部品の表面活性化、無薬剤殺菌など、幅広い技術分野において活用されている。例えば、半導体装置や液晶ディスプレイなどの製造に関しては、アッシング、ドライエッチング、成膜あるいは表面改質などの各種のプラズマ処理が用いられている。プラズマを利用したドライプロセスは、低コストで、高速であり、薬剤を用いないために環境汚染を低減できる点でも有利である。
【0003】
しかし、プラズマを利用するドライプロセスにおいて、強力な光を発生するプラズマの光エネルギーは、被処理物の生産性に影響を及ぼすという既存の問題点がある。
例えば、半導体の製造工程において、シリコン基板にイオンを注入する際のマスクとして使用されたフォトレジストの表層に残存した硬化層は、通常フッ素を含むガスを用いて除去処理を行うが、フッ素はシリコンもエッチングするため、プラズマの光のエネルギーにより活性化され、シリコン基板の表面荒れを引き起こしてしまう。
また、例えば、プラズマの光のエネルギーによって被処理物の温度が上昇することでプラズマ処理に寄与する生成物の生成を妨げ、プラズマ処理効率が低下してしまう。
そこで、特許文献1のように、プラズマ生成空間と処理空間との間にプラズマの光を遮光する遮光手段を設け、プラズマ生成空間から処理空間へのプラズマの光の侵入を防止する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−282530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような遮光手段は、遮光手段に設けられたプラズマ生成物通過用の開口からプラズマの直進光を通過させてしまうため、プラズマ生成空間から処理空間に進入するプラズマ光を遮光するには十分でない。
【0006】
そこで、本発明の実施形態では、プラズマ生成空間から処理空間に進入するプラズマの光エネルギーを低下させ、生産性を向上することができるプラズマ処理装置及びプラズマ処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施例によれば、被処理物を載置する載置部を有する処理容器と、前記被処理物を処理するためにプロセスガスを活性化してプラズマを生成するプラズマ生成部と、前記プラズマを生成した空間と前記被処理物を処理する空間の間に設けられた遮光部とを備え、前記遮光部は、内壁部に遮光面を持つ開口部を有し、前記プラズマの光が前記遮光面に遮られることを特徴としたプラズマ処理装置を提供する。
また、本実施例によれば、処理容器内に設けられた載置部に被処理物を載置し、前記被処理物を処理するためにプロセスガスを活性化してプラズマを生成し、前記プラズマで生成されたプラズマ生成物を、前記プラズマを生成した空間と前記被処理物を処理する空間の間に設けられた内壁部に遮光面を持つ開口部を有する遮光部を通過させて前記被処理物に飛散させることで、前記被処理物をプラズマ処理するプラズマ処理方法を提供する
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、プラズマ生成空間から処理空間に進入するプラズマの光エネルギーを低下させ、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態に係るプラズマ処理装置を例示するための模式図
【図2】本実施の形態に係る開口部を例示するための模式図
【図3】他の実施の形態に係る遮光部の開口部を例示するための断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
尚、本実施の形態において、「遮光」、「遮られる」とは、光を完全に遮光するだけでなく、光エネルギーの減衰、直接光の進入を防ぐ意味も包含するものとする。
【0011】
図1は、本実施の形態に係るプラズマ処理装置100を例示するための模式図である。
図1に示すように、プラズマ処理装置100には、プラズマ発生部1、処理容器101、窓部102、載置部103、ガス供給部104、減圧部108、ゲートバルブ107などが設けられている。プラズマ発生部1には、マイクロ波発生部2、導波管3、スロット4が設けられている。
【0012】
マイクロ波発生部2は、所定の周波数(例えば、2.45GHz)を有するマイクロ波Mを発生させ、導波管3に向けて放射する。
以下、図1を参照して本実施形態に関わるプラズマ処理装置100を説明する。
処理容器101は、有底の略円筒形状を呈し、大気よりも減圧された雰囲気を維持可能となっている。また、処理容器101は、ステンレスやアルミニウム合金などの金属材料から形成されている。
【0013】
処理容器101の内部には載置部103が設けられており、この載置部103の上には被処理物Wが載置されている。被処理物Wは、例えば、半導体ウェーハやフォトマスク基板やフラットパネルディスプレイ用のガラス基板などとすることができる。載置部103には被処理物Wを保持するための保持機構(例えば静電チャック)や、被処理物Wを温調するヒータを設けることもできる。その他、被処理物Wの受け渡しを行うためのリフトピンを設けることもできる。
【0014】
処理容器101の底面には、排気口109が設けられている。排気口109には、排気管110、圧力制御部111を介して減圧部108が接続されている。
減圧部108は、処理容器101の内部が所定の圧力となるように減圧する。減圧部108は、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。
【0015】
圧力制御部111は、処理容器101の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、処理容器101の内圧が所定の圧力となるように制御する。圧力制御部111は、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0016】
処理容器101の側壁には被処理物Wを処理容器101内部に搬入したり、被処理物Wを処理容器101内部から搬出したりするための搬入搬出口106が設けられている。そして、搬入搬出口106を気密に閉鎖できるようにゲートバルブ107が設けられている。
ゲートバルブ107は、O(オー)リングのような図示しないシール部材を備える扉107aを有し、ゲート開閉機構107bにより開閉される。扉107aが閉まった時には、図示しないシール部材が搬入搬出口106の近傍の壁面に押しつけられ、搬入搬出口106が気密に閉鎖されるようになっている。
【0017】
処理容器101の上部は開口しており、その開口には窓部102が設けられている。窓部102は石英やアルミナなどの誘電体材料で形成され、マイクロ波Mを透過させることができる。
【0018】
窓部102の上方には、端部をマイクロ波生成部に接続された導波管3が設けられている。導波管3は窓部102と接触する部分にスロット4が設けられている。マイクロ波生成部から導波管3に放射されたマイクロ波Mは導波管3を導波し、スロット4を介して窓部102に導入される。
【0019】
処理容器101の側壁にはガス供給部104が設けられ、ガス配管104a、ガス導入孔を介してプロセスガスGをプラズマ生成空間6に導入することができる。ガス導入孔は、窓部102の下方に位置するプラズマ生成空間6にプロセスガスGを導入することができる位置に設けられている。ガス導入部には図示しない流量制御部が設けられ、ガス流量や圧力を適宜設定することができる。
【0020】
プロセスガスGは、プラズマ処理の種類などにより適宜選択される。例えば、被処理物Wのエッチング処理を行う場合には、プロセスガスGは、酸素ガス(O)単体、あるいは酸素ガスにCF、NF、SFなどのフッ素系ガスを添加した混合ガス、これらのガスに水素ガスを添加したガスなどとすることができる。なお、プロセスガスGは例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0021】
以上のように構成されたプラズマ処理装置100において、プラズマ生成空間6に導入されたプロセスガスGが、スロット4から窓部102を介して処理容器101内に導入されたマイクロ波により励起されて、プラズマ生成空間6にてプラズマが生成される。
処理容器101内のプラズマ生成空間6と被処理物W表面の間の位置には遮光部8が設けられている。遮光部8は処理容器101と同様、光透過率が低く、耐プラズマ性の高いアルミニウム合金などの金属材料で形成することができる。また、遮光部8は表面にプラズマ光を吸収するような表面加工を施すこともできる。
【0022】
ここで、遮光部8について図2を参照して説明する。
図2(a)は遮光部8の平面図である。遮光部8は、例えば処理容器101の内径に対応するように外径を設定された板状体とすることができ、図示しない保持部材によって処理容器101の内壁に保持されている。
【0023】
この遮光部8には、プラズマ生成空間6から処理空間7に通ずる開口部9が設けられている。開口部9はプラズマ生成空間6において生成されたラジカルなどのプラズマ生成物が、処理空間7に通過できる程度の大きさに開口されている。尚、本実施形態において処理空間7とは、処理容器101内の遮光部8より下方に形成された空間であり、より具体的には、被処理物表面を含む上方空間や被処理物の表裏面の周縁部分近傍の空間などの、被処理物Wが処理される空間を指している。
【0024】
遮光部8に設ける開口部9の実施形態について説明する。
図2(b)は図2(a)におけるA−A断面図である。
図2(b)のように開口部9は入射口9aと出射口9bを有し、その内壁面部には遮光面10を有するものとすることができる。入射口9aはプラズマ生成空間6側の開口部分、出射口9bは処理空間7側の開口部分を指し、遮光面10は開口部9の内壁面部のうち、入射口9aから出射口9bに向けて通過しようとする光が衝突する面を指している。
【0025】
遮光面10の一例として、遮光部8の内壁部が、遮光部8の表面から傾斜角をもって傾斜している面を示すことができる。要は入射口から入射したプラズマ光がたとえ出射口から出光するとしても、その間に少なくとも1回は開口部の内壁部に形成された遮光面10と衝突するような構成とすることができる。つまり、プラズマ生成空間6で発生し、処理空間7へ向かうプラズマPの光が開口部9を通過する際に遮光面によって遮光されるように(遮光面の傾斜角度を規定することができる。そうすれば、プラズマPの直接光は処理空間7に進入しないようにすることができる。よって、プラズマ生成空間6と被処理物W表面の間に遮光面を持った開口部9を有する遮光部8を設けることによって、プラズマ生成空間6で発せられる光エネルギーよりも処理空間7においての光エネルギーが低下するようにできる。
【0026】
このようなことを考慮して、図2(b)は開口部9の断面形状が「くの字」になるように設けている。開口部9の内壁部が二つの傾斜した遮光面を有し、開口部10の断面形状が「くの字」となるようにすることもできる。遮光面を2つ以上設けることにより、遮光面表面に対して垂直に入射するプラズマPの光も、遮光面表面に対して斜めから入射するプラズマPの光も遮光することができ、遮光をより確実に行うことができる。
【0027】
第1の遮光面と第2の遮光面の対向面とはどの位置で接するようにしてもよいが、遮蔽部8の第1の遮光面10aと、第2の遮光面10bの対向面とが、開口部9の厚さの2等分線B−B上で接し、平面視において開口部9の入射口9aと出射口9bが重なるように設けると、形状が簡易になるため加工が容易となる。この場合、第1の遮光面10aまたは第2の遮光面10bの傾斜角度は、開口部9の孔径と開口部9の厚さの比から求めることができる。例えば、孔径:開口部9の厚さ=1:2のとき傾斜角度は45度以下とすることができる。ただし、図2(b)に示す本実施形態での傾斜角度とは、遮光面10aに関しては断面線B−Bに対して反時計方向に測った角度、遮光面10bに関しては断面線B−Bに対して時計方向に測った角度をいう。
【0028】
この第1の遮光面10a、または第2の遮光面10bの傾斜角度がなるべく大きい方がプラズマ生成空間にて生成されたプラズマ生成物(例えばラジカル)の衝突回数が減り、プラズマ生成物の失活を抑制することができるので、被処理物Wの処理効率の低下を抑止することができる。例えば、最大傾斜角度よりマイナス5度の範囲で設けることができ、孔径:開口部9の厚さが1:2のときは傾斜角度を40〜44度の範囲で設けることができる。
また、光エネルギーは発光強度に比例するものであるから、発光強度計でプラズマの発光強度分布を計測し、その結果により、遮光面の傾斜角度を決定することもできる。例えば、プラズマ発生領域の中心部の発光強度が高い場合、対応する中心部の遮光面の傾斜角度を遮光部8表面に近づくように設計することができる。
【0029】
遮光部8に設ける開口部9の数や位置は任意に設定することができ、所望の被処理物Wの処理効率やプラズマPの光の発光強度分布によって開口部9の配置の粗密さを決定することができる。
例えば、複数の開口部9は遮光部8に均等に配置することができる。これにより、プラズマ生成物が処理空間7に均一に飛散し、被処理物Wが均一に処理されるようにすることができる。
また、光のエネルギーは発光強度に比例するため、プラズマ発光強度計でプラズマの発光強度分布を計測し、その結果により、開口部9の数や配置を決定することもできる。例えば、プラズマ発生領域の中心部の発光強度が高い場合、遮光部8における、プラズマ発生領域の中心部に対応する部分に形成する開口部9を粗に配置することができる。
【0030】
また、図2(b)では遮光部8に設けた開口部9すべての断面形状を「くの字」としたが、遮光部8には遮光面10を有する開口部9と、従来の垂直に貫通した開口部とを混在して配置することができる。例えば、プラズマPの光の発光強度が小さく、プラズマ生成物を処理空間7により多く導入したい領域には従来の垂直に貫通した開口を配置し、それ以外の領域には遮光面を有する開口部を配置することができる。
【0031】
次に、本実施形態におけるプラズマ処理装置100の作用について例示をする。
ゲートバルブ107の扉107aをゲート開閉機構107bにより開く。
被処理物Wは図示しない搬入部によって、搬入搬出口106より搬入されたあと載置部103に載置され、載置部103に内蔵された静電チャックなどの保持部により保持される。
【0032】
ゲート開閉機構107bによりゲートバルブ107の扉107aを閉じる。
減圧部108により処理容器101内が所定の圧力となるように減圧される。この際、処理容器101の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、処理容器101内が所定の圧力となるように圧力制御部111により制御される。
次に、ガス供給部104からガス導入孔104bを介して処理容器101の内部にプロセスガスGを供給する。この際、図示しないMFC(Mass Flow Controller)などにより供給するプロセスガスGの流量や圧力などが制御される。
【0033】
一方、マイクロ波発生部2から所定の周波数(例えば、2.45GHz)を有するマイクロ波Mが導波管3に向けて放射される。導波管3に放射されたマイクロ波Mは、導波管3を伝播し、スロット4を介して窓部102に導入される。
窓部102に導入されたマイクロ波Mは、窓部102の表面を伝播して、処理容器101内に放射される。そして、処理容器101内に放射されたマイクロ波Mのエネルギーにより、プラズマPがプラズマ生成空間6において発生する。
【0034】
プラズマP中の電子密度が導入されるマイクロ波Mを遮蔽できる密度(カットオフ密度)以上となると、マイクロ波Mは窓部102の下面から一定距離(スキンデプス)だけ入るまでの間に反射されるようになる。そのため、マイクロ波Mの定在波が形成されることになる。すると、マイクロ波Mの反射面がプラズマ励起面となって、このプラズマ励起面で安定的にプラズマPが励起されるようになる。このプラズマ励起面で励起された安定的なプラズマP中においては、イオンや電子がプロセスガスGの分子と衝突することにより、励起された原子や分子、遊離原子(ラジカル)などのプラズマ生成物が生成される。生成されたプラズマ生成物は、処理容器101内を下方に拡散して遮光部8の開口部9を通過して被処理物Wの表面に飛来することで、エッチング、アッシング、薄膜堆積、表面改質、プラズマドーピングなどの各種のプラズマ処理が行われる。ただしこの時、プラズマPからの光は、その一部が遮光部8に設けられる開口部9の入射口9aから入射するが、内壁部に設けられた遮光面10に衝突することで遮光させられることになる。
【0035】
プラズマ処理が終了した被処理物Wは搬入搬出口106を介して処理容器101の外に搬出される。以後、同様にして他の被処理物Wのプラズマ処理を行うこともできる。
本実施例はプラズマ生成空間6と処理空間7の間に傾斜面からなる遮光面10を有する開口部9を設けた遮光部8を設けることによって、プラズマ生成空間6から処理空間7に進入するプラズマの光エネルギーを低下させ、生産性を向上することができる。
【0036】
ここで遮光部9に形成される開口部9は、要は入射口から入射したプラズマ光がたとえ出射口から出光するとしても、その間に少なくとも1回は開口部の内壁部に形成された遮光面10と衝突するような構成となっていればよい。
【0037】
図3は他の実施の形態に係る遮光部の開口部を例示するための断面模式図である。図3では開口部9の断面形状を説明するために、遮光部10の開口部9周辺の一部を拡大して図示している。
遮光部9は図3(a)のように、平面視において入射口9aと出射口9bが重ならないように開口部9を設けることもできる。
また、遮光部9の断面形状は、図3(b)のようにくの字形状が複数重なるような形状にしたり、図3(c)のようにカーブ状、第3(d)のように遮光面を傾斜面とせず、水平面あるいは垂直面としたクランク状にすることもできる。
いずれの場合も、遮光面10を入射口9aの円周と出射口9bの円周とを結ぶ線上に設けるようにすれば、プラズマ光の直進光を遮光することができる。また、入射口9aと出射口9bとは異なる大きさの内径を有していてもよい。
【0038】
また、遮光部8は一体物ではなく、1つの遮光面を持った開口部9を有する複数の板状体を重ね合わせたものであってもよい。例えば、図3(e)のように、遮光面20aを持つ第1の遮光板8aと、遮光面20bを持つ第2の遮光板8bを重ね合わせることができる。この場合、それぞれの板状体の遮光面の傾斜角度は第1と第2の遮光板8a、8bの表面を水平面としたときにそれぞれ異なるものであり、重ねあわせた上下の板状体の開口部19aと開口部19bが連通するように重ねあわせることによって、例えば上述した図2(b)で示したような、複数の遮光面を有する遮光部8と同様の構成とすることができる。遮光部8が一体物であるものと比較して開口部9の加工が容易であるため、遮光部8の厚みを小さくすることができ、プラズマ生成物が通過する際の障害を小さくすることができる。そのため、プラズマ生成物の失活を抑制することができる。
【0039】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。例えば、前述の実施の形態においては、表面波プラズマ処理装置について例示をしたが、平行平板型プラズマ処理装置やプラズマを用いた成膜装置やスパッタリング装置についても適用可能である。また、プラズマ生成空間と処理空間が別の処理容器にて形成されるプラズマ処理装置、例えばリモートプラズマ処理装置にも適用可能である。
【0040】
また、プラズマ処理装置100が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、処理容器101は円筒形状ではなく、楕円柱形状や多角柱形状であってもよい。処理容器101の形状に合わせて遮光部8も多角形や楕円状の板状体であってもよい。 また、遮光部8の主面を被処理物W表面と平行にしなくてもよく、遮光部8の主面を被処理物W表面に対して傾斜させてもよい。
開口部9の平面視においての穴形状も、長孔、丸孔に限られず、楕円、短冊、正方形、三角になるように設けられていてもよい。
以上のように、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0041】
1 プラズマ発生部、2 マイクロ波発生部、3 導波管、4 スロット、6 プラズマ生成空間、7 処理空間、8 遮光部、8a 第1の遮光板、8b 第2の遮光板、9 開口部、9a、9b、10 遮光面、10a 第1の遮光面、10b 第2の遮光板、19a 開口部、19b 開口部、20a 遮光面、20b 遮光面、29a 入射口、29b 出射口、100 プラズマ処理装置、101処理容器、102 窓部、103 載置部、104 ガス供給部、104a ガス配管、104b ガス導入口、106 搬入搬出口、107 ゲートバルブ、107a 扉、107b ゲート開閉機構、108 減圧部、109 排気口、110 排気管、111 圧力制御部
G プロセスガス、P プラズマ、M マイクロ波、W 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を載置する載置部を有する処理容器と、
前記被処理物を処理するためにプロセスガスを活性化してプラズマを生成するプラズマ生成部と、
前記プラズマを生成した空間と前記被処理物を処理する空間の間に設けられた遮光部とを備え、
前記遮光部は、内壁部に遮光面を持つ開口部を有し、前記プラズマの光が前記遮光面に遮られることを特徴としたプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記開口部は、断面視において「くの字」形状を成す第1の遮光面と第2の遮光面とを有することを特徴とした請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1の遮光面または第2の遮光面の傾斜角は前記開口部の孔径と厚さによって規定されることを特徴とする請求項2記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記遮光部は1つの傾斜面を持つ開口部を有した複数の板状体を重ねあわせて構成されることを特徴とした請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
処理容器内に設けられた載置部に被処理物を載置し、
前記被処理物を処理するためにプロセスガスを活性化してプラズマを生成し、
前記プラズマで生成されたプラズマ生成物を、前記プラズマを生成した空間と前記被処理物を処理する空間の間に設けられた内壁部に遮光面を持つ開口部を有する遮光部を通過させて前記被処理物に飛散させることで、
前記被処理物をプラズマ処理するプラズマ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−212789(P2012−212789A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77781(P2011−77781)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】