説明

プラズマ加工ステップセットの調整方法及び装置

【課題】純粋化学エッチング並びにRIEエッチングにおいてエッチング速度の均一性向上のための方法を提供する。
【解決手段】プラズマ加工システムで利用するプラズマ加工ステップの調整方法において、プラズマ加工システムのプラズマ反応器内で中性分子とイオンとを含んだ第1プラズマをストライク処理するステップを含む。この方法はさらに、基板上の複数層を第1エッチングステップでエッチングするステップと、基板周囲に可動均一リング302を設置するステップとを含む。均一性リングの底面は基板の上面とほぼ同じ高さである。方法はさらに、プラズマ加工システムのプラズマ反応器内で本質的に中性分子で成る第2プラズマをストライク処理するステップを含む。方法はさらに、基板上の複数層を第2エッチングステップでエッチングするステップをむ。第1ステップのエッチングと第2ステップのエッチングとは実質的に均等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には基板製造技術に関し、特にはプラズマ加工ステップセットの調整方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体またはフラットパネル表示器製造に使用されるガラスパネルのごとき基板の加工にはプラズマが多用される。例えば、基板の加工の一部として基板は複数のダイスまたは方形領域に分割され、それぞれが集積回路となる。電気コンポーネントの形成のために基板は一連のステップで加工され、材料が選択的に除去(エッチング)及び堆積される。
【0003】
例示的プラズマ加工プロセスでは基板はエッチングに先立って硬化エマルジョン(フォトレジストマスク等)の薄膜で被膜される。硬化エマルジョンの領域は選択的に除去され、下側層のコンポーネントを露出させる。その後に基板はチャックと呼称される単極または双極電極を含んだ基板支持構造体上のプラズマ加工チャンバに入れられる。続いて基板上の様々な露出層をエッチングするために適したプラズマがストライク処理される(strike)。
【0004】
プラズマは一般的には部分的にイオン化されたガス体を含んで成る。プラズマ放電はRF駆動で弱イオン化されているため、プラズマ内の電子はイオンと熱平衡していない。すなわち重イオンは背景ガス(例えばアルゴン)との衝突でエネルギーを効率的に交換するが、電子は熱エネルギーを吸収する。電子はイオンよりも相当に少ない質量であるため、電子熱運動速度はイオンの熱運動速度よりもずっと大きい。この特徴によって速く移動する電子はプラズマ加工システム内において表面から奪われ、プラズマと表面との間で正荷電したイオン鞘を発生させる。イオン鞘に入るイオンは表面内に加速される。
【0005】
低RD周波数は1RFサイクル以内にてプラズマイオンにイオン鞘を横断させ、イオンエネルギーに大きなバリエーションを与える。同様に、高RF周波数は数RFサイクルにてプラズマイオンにイオン鞘を横断させ、さらに安定したイオンエネルギーのセットを創出する。高周波数は類似電力レベルで低周波信号によって励起されるときよりも低いイオン鞘電圧をもたらす。
【0006】
図1にはプラズマ加工システムコンポーネントの概略図が図示されている。一般的に、適したガスセットがガス供給システム122から入口108を通過してチャンバ102内に流入する。その後、これらプラズマ加工ガスは、静電チャック116上に配置されたエッジリング115と共に設置された半導体基板またはガラス板のごとき基板114の露出領域を加工(例えばエッチングまたは堆積処理)するプラズマ110を形成するためにイオン化される。さらに裏打材117はプラズマとプラズマ加工チャンバとの間にバリアを提供し、基板114上のプラズマ110の最良化を助ける。
【0007】
通常、ガス供給システム122はプラズマ加工ガス(例えばC48、C46、CHF3、CH23、CF4、HBr、CH3F、C22、N2、O2、Ar、Xe、He、H2、NH3、SF6、BCl3、Cl2、WF6等々)を含む圧縮ガスシンリンダ124aから124fを含む。ガスシリンダ124aから124fは局部排気換気を提供する収容器128でさらに保護ができる。流量制御装置126aから126fは普通は自己完結装置(トランスジューサ、制御バルブ及び信号処理電子機器で構成)であり、半導体産業において普通に使用され、プラズマ加工システムへのガス流量を測定及び規制する。インジェクタ109はプラズマ加工ガス124をチャンバ102内に送る。
【0008】
誘導コイル131は誘電窓104でプラズマから分離されており、一般的にプラズマ110を発生させるためにプラズマ処理ガスに経時変動電流を誘導する。誘電窓は誘導コイルをプラズマ110から保護し、発生したRF界をプラズマ加工チャンバ内へ浸通させる。さらに、リード130aと130bで誘導コイル131に結合されているのは、RF発生器138にさらに結合できる整合ネットワーク132である。整合ネットワーク132は、典型的には13.56MHzと50オームで作動するRF発生器138のインピーダンスとプラズマ110のインピーダンスとの整合を図る。
【0009】
一般的に、プラズマ点火後に熱平衡を達成するために冷却システムがチャックに結合される。冷却システム自体はチャックの空隙部を通過させてクーラントを送り込む冷却器と、チャックと基板との間に送られるヘリウムガスとを含んでいる。発生熱を取り除くことに加えて、ヘリウムガスは冷却システムに熱放散の迅速制御を行わせる。すなわちヘリウム圧の増加は結果的に熱移動速度をも増加させる。大抵のプラズマ加工システムはさらに操作ソフトウェアプログラムを含んだ複雑なコンピュータで制御されている。典型的な稼動環境では製造工程パラメータ(例えば電圧、ガス混合流、ガス流速、ガス圧、等々)は一般的に特定プラズマ加工システム及び特定製法のために設計されている。
【0010】
一般的に、基板の様々な層をエッチングするのに使用される3種のエッチングプロセスが存在する。すなわち純粋化学エッチング、純粋物理エッチング及び反応イオンエッチングである。
【0011】
純粋化学エッチングは一般的に物理的衝突は関与せず、基板上の材料(例えばアルミニウム等)との中性分子の化学反応が関与する。その化学反応速度はプロセスによっては非常に速いことも遅いこともある。例えば、フッ素系分子は基板上の誘電材料と化学反応する傾向にあり、酸素系分子はフォトレジストのごとき基板上の有機材料と化学反応する傾向にある。
【0012】
スパッタリングと呼称される純粋イオンエッチングは基板から材料(酸化物等)を除去するのに使用される。普通、アルゴンのごとき不活性ガスがプラズマでイオン化され、負荷電された基板に向かって加速される。純粋イオンエッチングは異方性(すなわち主として単方向)及び非選択的である。すなわち特定材料に対する選択性は非常に劣る傾向にある。なぜなら大抵の材料のスパッタリング速度は類似しているからである。さらにイオン衝突の束密度及びエネルギーによっては純粋イオンエッチングのエッチング速度は遅いのが普通である。
【0013】
反応性イオンエッチング(RIE)はイオン支援エッチングとも呼称され、基板から材料(例えばフォトレジスト、BARC、TiN、酸化物、等々)を除去するために化学処理及びイオン処理を組み合わせている。一般的にプラズマ内のイオンは基板表面に衝突することで化学プロセスを増強し、化学プロセスの分子との反応を促進するために表面原子の化学結合を破壊する。化学エッチングが垂直及び軸方向であるのに対して、イオンエッチングは主として垂直であるので、垂直エッチング速度は水平方向よりもずっと速い。さらにRIEは異方性プロフィールを有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし純粋化学エッチング並びにRIEエッチングの両方に関わる1つの問題はそれらも非均一エッチング速度であった。エッチング速度とは一般的に材料がエッチングによってどれだけ素早く除去されるかを表す測定値である。エッチング速度は一般的にエッチングプロセス前後の厚みを測定し、それらの厚み差をエッチング時間で割り算することで算出される。
【0015】

図1

均一性は一般的にエッチングプロセス前後の選択ポイントで厚みを測定することによる基板厚マッピングと、これら選択ポイントでのエッチング速度の計算により測定される。
測定平均値は次の式で表される。
【0016】
【数1】

図2
【0017】
xは基板上の特定ポイントのエッチング速度であり、Nは全ポイント数である。
【0018】
最大マイナス最低非均一度は次の式で表される。
【0019】
【数2】

図3
【0020】
例えば、基板の1領域は他の領域よりも速くエッチングされる。一般的に、非均一エッチングはトレンチ側壁のアンダーカットを引き起こす。典型的にはアンダーカットは導電線の太さを減少させ、場合によっては導電線破断を引き起こし、装置を故障させる。さらに非均一エッチングは一般的にエッチングプロセス時間を長くし、プロセス効率を低下させる。
【0021】
この問題は異なるタイプの連続エッチングプロセス化学作用によって増幅される。例えば、化学エッチングプロセスまたはRIEエッチングプロセス中にしばしばエッチング速度は基板エッジで高くなる。基板エッジでは局部エッチング速度は表面化学反応あるいは基板表面への限定エチャント移動によって支配される。
【0022】
図2Aから図2Cでは基板上にイオンと中性分子とを含むプラズマが概略的に図示されている。1回のプロセスセッション中(すなわち現位置)に可能な限り多くの基板層をエッチングすることは基板処理には有利である。例えば、現位置プロセスは各基板の扱いを最小限とし、作業効率を高め、生産量を増加させ、必要なプラズマ処理チャンバの数も最小にする。従って中性分子密度並びにイオン密度が様々なタイプのプラズマ化学作用で実質的に均一であるようにプラズマ加工チャンバを設計することが望ましい。なぜなら実質的に均一なプラズマ密度は一般的に実質的に均一なエッチングを提供するからである。図2Aはプラズマ加工チャンバの概略図であり、中性分子密度110aとイオン密度110bは基板114の表面で実質的に均一である。
【0023】
さらに、基板エッジを越えて延び出るプラズマ部分は基板中央ではなく基板エッジをエッチング加工するのに利用可能な大容量の中性分子を発生させる。図2Bはプラズマ加工チャンバの概略図であり、中性分子密度110aは実質的に均一ではなく、基板114の表面で非均一なエッチングプロフィールを創出する。
【0024】
別な解決策は基板上で中性分子の量を実質的に均衡させるため、プラズマチャンバの直径を小さくすることである。しかし実質的にイオンを使用するプロセスではチャンバを狭くすることはさらに多くのイオンをチャンバ壁との衝突で消費させることになる。これはイオン密度を減少させ、基板エッジでのエッチング速度を低下させる。図2Cはプラズマ加工チャンバの概略図であり、そこではイオン密度110bは実質的に均一ではなく、基板114の表面で非均一エッチングプロフィールを創出する。
【0025】
以上の観点から、プラズマ加工ステップセットを調整する方法及び装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は1実施例によるプラズマ加工システムを使用したプラズマ加工ステップの調整方法に関する。この方法は中性分子及びイオンを含む第1プラズマをプラズマ加工システムのプラズマ反応器内でストライク処理(strike)するステップを含む。この方法は第1エッチングステップで基板の複数層をエッチングし、基板周囲に可動均一リングを配置するステップを含む。この均一リングの底面は基板の上面とほぼ同一の高さである。方法はさらにプラズマ加工システムのプラズマ反応器内にて本質的に中性分子で成る第2プラズマをストライク処理するステップを含んでいる。方法は基板上の複数層を第2エッチングステップにてエッチングするステップをさらに含んでいる。第1ステップのエッチング並びに第2ステップのエッチングは実質的に均等である。
【0027】
本発明は別実施例によるプラズマ反応器を含むプラズマ加工システムを使用したプラズマ加工ステップの調整方法にも関する。この方法は基板周囲に可動均一リングを配置するステップを含んでいる。この均一リングの上面はプラズマ反応器の底面上方の第1高に提供されている。この方法はさらにプラズマ反応器内で中性分子とイオンを含む第1プラズマをストライク処理するステップと、基板上の複数層を第1エッチングステップにてエッチングするステップとを含んでいる。これで基板上での第1量のエッチング均一性が達成される。方法はさらに基板周囲に可動均一リングを再設置するステップを含んでいる。この均一性リングの上面はプラズマ反応器の底面上方の第2高に提供されている。方法はさらに本質的に中性分子で成る第2プラズマをストライク処理するステップと、基板上の複数層を第2エッチングステップにてエッチングするステップとを含んでいる。これで基板上での第2量のエッチング均一性が達成される。第1量のエッチング均一性と第2量のエッチング均一性とは実質的に均等である。
【0028】
本発明は別実施例によるプラズマ加工のためのプラズマ加工ステップを調整する装置に関する。この装置はプラズマ加工システムのプラズマ反応器内で中性分子及びイオンを含んだ第1プラズマをストライク処理する手段を含む。この装置はさらに基板上の複数層を第1エッチングステップにてエッチングする手段と、基板周囲に可動均一リングを配置する手段とを含む。この均一リングの底面は基板の上面とほぼ同一の高さである。装置はさらにプラズマ反応器内で本質的に中性分子で成る第2プラズマをストライク処理する手段を含む。装置はさらに基板上の複数層を第2エッチングステップにてエッチングする手段を含む。第1ステップのエッチングと第2ステップのエッチングとは実質的に均等である。
【0029】
本発明は別実施例によるプラズマ反応器を含んだプラズマ加工システムで利用するプラズマ加工ステップの調整のための装置に関する。この装置は基板周囲に可動均一リングを設置する手段を含む。この均一リングの上面はプラズマ反応器の底面上方の第1高に提供される。装置はまたプラズマ反応器内で中性分子とイオンとを含んだ第1プラズマをストライク処理する手段を含む。装置は基板上の複数層を第1エッチングステップにてエッチングする手段も含む。これで基板上での第1量のエッチング均一性が達成される。装置は基板周囲に可動均一リングを再配置する手段をさらに含む。均一リングの上面はプラズマ反応器の底面上方の第2高に提供される。装置はさらに本質的に中性分子で成る第2プラズマをストライク処理する手段を含む。装置はさらに基板上の複数層を第2エッチングステップにてエッチングする手段を含む。第1量のエッチング均一性と第2量のエッチング均一性とは実質的に均等である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明のこれら及び他の特徴は添付図面を利用して以下においてさらに詳細に説明する。本発明をいくつかの実施例に基づき、添付図面を利用して詳細に解説する。本発明の完全理解のために多数の細部が記載されているが、それらの一部あるいは全部を省略することも可能である。
【0031】
基板エッチング均一性を達成するために可動均一リングをプラズマ加工に利用できる。
【0032】
可動均一性リングは基板エッジ上方でのプラズマ逆拡散を最小とするために基板エッジと基板を越えて延びるプラズマチャンバ部分との間で物理的境界を創出できる。すなわち可動均一リングは壁体により基板を包囲するように設置できる。壁体は中性(化学)反応物質の一部、特に、高密度中性反応物質領域に位置する中性反応物質を基板内に拡散させない。
【0033】
さらに、均一リングを現位置で調整させることで、まず基板を取り出して均一リングを調整することなく各加工ステップの均一性は最良化できる。すなわち、完全なエッチング適用が、均一リングが必要とされる加工ステップ(すなわち、エッチング速度が表面の化学反応速度により限定)と、均一リングが不要な加工ステップとを含むなら、固定均一リングの使用または均一リングを使用しないことは最良以下である全体的均一性をもたらすであろう。
【0034】
一般的に可動均一リングはプラズマ加工において使用されなかった。なぜなら加工中に移動構造物を基板上に置くことにより汚染が発生するからである。すなわちそのような構造物はエッチング副産物(例えばポリマー)を堆積させる表面を提供する。均一リングが移動されると堆積物は基板上に落下し、粒子汚染を引き起こすであろう。しかし本発明はプラズマ攻撃に抵抗性のある物質を使用して汚染を減少させるように設計されている。そのような物質とは酸化イットリウム(Y23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al22)、酸化セリウム(CeO2)及び水晶である。
【0035】
テフロン、ベスペルその他の純粋プラスチックのごときプラズマ化学物質に曝露されたときに揮発性エッチング生成物のみを発生させる他の物質も可動均一リングの製造に利用が可能である。さらに無ウェハ自動洗浄プロセスを利用したチャンバの洗浄により、落下堆積物の蓄積は最小となる。
【0036】
本明細書で使用する“エッチング特徴部”とはトレンチ、コンタクト、バイアス等を含む。エッチングは基板がプラズマ加工チャンバ内のチャック上に置かれているときに実施される。
【0037】
1実施例では、均一リングは基板と実質的に等しい高さ(均一リングの底部が基板に等しい)あるいは基板下方(均一リングの上部が基板の上部に等しいかその下方)へと現位置にて移動される。
【0038】
1実施例では、均一リングは基板と均一な高さから基板の下方までの範囲で現位置にて移動される。
【0039】
別実施例では、均一リングは基板の上方(均一リングの底部と基板の上部との間にギャップが存在)から基板底部の位置の範囲で移動される。
【0040】
別実施例では、可動均一リングは好適にはチャンバ内に存在するプラズマによるエッチングに対して抵抗性である材料(例えば反応性物質に対して不活性)により形成される。可動均一リングは基板をさほど汚染せずにプラズマ環境に耐えることができる材料で形成されるべきである。
【0041】
別実施例ではセラミック材料が利用される。別実施例では酸化イットリウム(Y23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化セリウム(CeO2)または水晶のごとき材料が使用される。別実施例ではイットリウム、ジルコニウム、アルミニウムまたはセリウムを含む材料が使用される。さらに均一リングは前記の材料を被膜した別材料で形成することもできる。
【0042】
別実施例では、可動均一リングはテフロン、ベスペル等の揮発性エッチング製品で形成される。
【0043】
別実施例では、可動均一リングは加熱され、エッチング加工工程全体に均一温度を提供し、均一リングの表面の蓄積ポリマー量を減少させる。一般的にプラズマ加工工程の堆積量は表面温度に関係する。すなわち温度が低いほど洗浄を必要とする堆積物量が多くなる。従って可動均一リングは好適には充分に加熱され、均一リングの側壁でのポリマー堆積が防止される。
【0044】
例えば可動均一リングは熱伝導あるいは熱輻射で加熱できる。これは均一リングの内側あるいは外側の加熱コイル(例えば電気加熱コイル)、加熱灯、加熱液流等により可能である。別実施例では可動均一リングの温度は自動的に制御される。例えば、プラズマがチャージされたとき、一般的にはチャンバ内の温度は上昇し、コントローラは適切な温度を維持するために加熱電力を低下させるように設計されている。よって熱はプラズマが存在しないときにヒータによって発生する。
【0045】
図3Aと図3Bは本発明の1実施例による可動均一リングの概略図である。図3Aで示す可動均一リング302は基板303の下方に位置する。すなわち可動均一リング302は静電チャック314から上昇されていない。均一リングはチャック314の方向にプラズマの材料を向かわせる形状で提供された開口部308をも含む。さらに均一リングは加工工程中に基板に提供される物質の量の制御を助けるべく壁厚及び/又はテーパを有して設計できる。
【0046】
前述したように、プラズマ310a内のイオン密度320bと中性分子密度320aは基板表面に提供される物質のエッチング均一性を決定する。一般的に、中性反応物質の密度が基板エッジで高いとき、基板中央部と基板エッジとの間に非均一性が現れる。
【0047】
図3Bで示す可動均一リング302は基板303と実質的に等しい高さで提供されている。すなわち可動均一リング302は318の量だけチャック314から上昇されている(304)。図3Aとは異なり、チャックの上方で基板周囲を包囲するように均一リングを提供することで、基板エッジ周囲の中性反応物質は基板エッジとの反応を実質的に妨害される。基板エッジ周囲の中性反応物質束密度の減少はさらに均一な全体的中性分子密度320aを提供し、均一なエッチング速度を提供する。
【0048】
現位置で可動均一リングの高さを選択的に調整することで、中性分子密度及びイオン密度は1つの加工セッション中に使用される多様なタイプのプラズマ化学反応で実質的に最良化される。この調整は最終的な作業効率を高める。
【0049】
基板均一性の改善は相当なものである。例えば図4に示す例示的基板の層スタックはTCP2300プラズマ反応器内で現位置エッチングされている。この反応器は米国カルフォルニア州フレモント市のラム・リサーチコーポレーション製である。
【0050】
層スタックの底部には酸化ケイ素層414が存在する。層414上方にはTiN層412が提供されている。層412の上方にはアルミニウム層410が提供されている。層410の上方にはTiN層408が提供されている。層408の上方にはBARC層406が提供されている。層406の上方にはフォトレジスト層404が提供されている。
【0051】
一般的にそれぞれの加工ステップはプラズマ加工条件と、エッチングされる材料のために最良化されたプラズマ加工法とを含む。ステップ1ではフォトレジスト層404とBARC層406とがフッ素系エッチングプロセスでRIEを使用してエッチングされる(例えば、圧力10mT、1000ワット誘導電力200ワットバイアス電力、100SCCMのCF4流、基板温度40℃)。イオンは一般的に化学プロセスを助けるので、可動均一リングは基板と等しい高さに配置される必要がある。
【0052】
ステップ2ではTiN層408はRIEを使用して(例えば、圧力10mT、1000ワット誘導電力、200Wバイアス電力、100SCCMのCl2、100SCCMのBCl3、30SCCM以下の流量の可能な添加物CH4、N2及び/又はCHF3、基板温度40℃)塩素系エッチング処理によりエッチングされる。ステップ1の場合と同様に、イオンは一般的に化学プロセスを助けるので、可動均一リングは基板とほぼ等しい高さで設置される必要がある。
【0053】
ステップ3ではAl層410は化学処理を使用して(例えば、圧力10mT、600ワット誘導電力、200ワットバイアス電力、100SCCMのCl2、100SCCMのBCl3、30SCCM以下の流量の添加物CH4、N2及びCHF3、基板温度40℃)エッチングされる。しかし前のステップとは異なり、可動均一リングは均一リングの底部が基板とほぼ同じ高さであるように配置されている。前述したように、可動均一リングは中性分子を基板エッジと反応させないようにしている。可動均一リングが設置されると、最大マイナス最低非均一度の約8%から約15%が達成される。可動均一リングがないと最大マイナス最低非均一度は約2%から約5%である。
【0054】
ステップ4ではTiN層408がRIEを使用して塩素系エチャントによりエッチングされる。
【0055】
最後にステップ5では、可動均一リングを必要とせずに酸化ケイ素層414がRIEまたは化学処理を利用して(例えば、圧力10mT、800ワット誘導電力、200ワットバイアス電力、100SCCMのCl2、100SCCMのBCl3、基板温度40℃)エッチングされる。
【0056】
本発明をいくつかの好適実施例を使用して解説したが、本発明の範囲内でそれらの変更は可能である。例えば本発明はラム・リサーチコーポレーションのプラズマ加工システム(例えば、Exelan、ExelanHP、ExelanHPT、2300、VersysStar、等)を使用するが、他のプラズマ加工システムでも利用可能である。本発明は様々な径の基板で利用できる(例えば、200mm、300mm、液晶表示装置、等)。本発明の方法は様々に利用することが可能である。
【0057】
本発明の利点にはプラズマ加工システムで利用する最良調整方法と装置の提供が含まれる。さらなる利点には、プラズマチャンバ内でのエッチングプロセスのエッチング均一性、製造に関わる問題の解決及び生産効率の最良化が含まれる。
【0058】
以上、本発明の例示的実施例を説明した。本発明の範囲内でそれらの改良や変更は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1はプラズマ加工システムの概略図である。
【図2A】図2Aは基板上のイオンと中性分子を含んだプラズマの概略図である。
【図2B】図2Bは基板上のイオンと中性分子を含んだプラズマの概略図である。
【図2C】図2Cは基板上のイオンと中性分子を含んだプラズマの概略図である。
【図3A】図3Aは本発明の1実施例による可動均一リングの概略図である。
【図3B】図3Bは本発明の1実施例による可動均一リングの概略図である。
【図4】図4は本発明の1実施例によりTCP2300プラズマ反応器で現位置エッチングされている例示的基板の層スタックの概略図を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ加工システムで利用するプラズマ加工ステップを調整する方法であって、
プラズマ加工システムのプラズマ反応器内で第1プラズマをストライク処理するステップと、
前記基板周囲に可動均一リングを、前記可動均一リングの底面が前記基板の上面と略同一の高さとなるように配置するステップと、
基板上の複数層を第1エッチングステップでエッチングするステップと、
前記基板周囲に可動均一リングを、前記可動均一リングの底面が前記基板の上面に対して異なる高さとなるように再設置するステップと、
前記プラズマ加工システムの前記プラズマ反応器内で、前記第1プラズマと異なる第2プラズマをストライク処理するステップと、
前記基板上の前記複数層を第2エッチングステップでエッチングするステップと、
を含んでおり、
前記可動均一リングが第1エッチングステップ中及び第2エッチングステップ中に加熱されることを特徴とする方法。
【請求項2】
プラズマ反応器を洗浄するステップが第1プラズマのストライク処理ステップに先立って実施されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
プラズマ反応器を洗浄するステップは無ウェハ自動洗浄プロセスを含んでいることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
可動均一リングはプラズマ攻撃に対して抵抗性である材料を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
材料は水晶を含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
材料はY23を含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
材料はイットリウムを含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項8】
材料はCeO2を含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項9】
材料はセリウムを含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項10】
材料はAlO3を含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項11】
材料はアルミニウムを含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項12】
材料はZrO2を含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項13】
材料はジルコニウムを含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項14】
可動均一リングは、第1プラズマと第2プラズマとに曝露されたとき、揮発性エッチング生成物を発生させる材料を含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
材料はテフロンを含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項16】
材料はベスペルを含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項17】
材料は実質的に純粋なプラスチックを含んでいることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項18】
材料はセラミックを含んでいることを特徴とする請求項4記載の方法。


【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−58766(P2013−58766A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230581(P2012−230581)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2007−533634(P2007−533634)の分割
【原出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504401617)ラム リサーチ コーポレーション (87)
【Fターム(参考)】