説明

プラズマ放電処理液生成装置及びエマルジョン原料油、並びにエマルジョン製造方法、エマルジョン燃料・食品・化粧品

【課題】界面活性剤を特別に用いることなく油と水とを十分に混合、乳化させたエマルジョンが得られるようにする。
【解決手段】プラズマ放電処理油生成装置は、油を貯留した液槽Vと、この液槽の油面上の空間に配設される放電用の陽電極Pと、この液槽の油中に少なくとも一部を臨ませた陰電極Mと、その陰電極Mより油中に電子を過度に放出させて陽電極Pと油面との間でプラズマ放電を生じさせ得るように該陽電極Pと陰電極Mとの間で高電圧放電を行うための高電圧放電手段Eとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ放電処理液生成装置及びエマルジョン原料油、並びにエマルジョン製造方法、該方法により製造されたエマルジョン燃料・食品・化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
油と水とを界面活性剤を用いて乳化・分散させて十分に混合させたエマルジョンは、例えば燃料、食品、化粧品等に利用することが従来より知られている。
【0003】
例えば、灯油、廃棄用油等の燃料油と水とを混合させたエマルジョン燃料は、これに含まれる水の水蒸気潜熱に起因して排気中のNOx濃度の低減に有効であり、またエマルジョン燃料中の水は、エンジンの高速運転時にピストン内の高熱の影響を受けて、水自体が燃焼を始めることにより、未燃焼の炭化水素との燃焼反応を起こし、PM等の粒子状物質の低減にも有効である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記エマルジョン燃料では、燃料油と水を乳化・分散させるために使用される界面活性剤が、燃焼後に発癌性のある有害物質に変換する虞れがある。
【0005】
また食用油と水を混合したマヨネーズ、ドレッシング等のエマルジョン食品においては、食用油と水を乳化・分散させるために使用される界面活性剤が、体内に入ったり皮膚に付着することで健康に悪影響を及ぼす虞れがある。
【0006】
同じく化粧用油と水を混合した化粧乳液等のエマルジョン化粧品においては、化粧用油と水を乳化・分散させるために使用される界面活性剤が、皮膚に付着することで健康に悪影響を及ぼす虞れがある。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、油と水とを界面活性剤を特別に用いることなく乳化・分散させて十分に混合したエマルジョンが得られるようにすることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、プラズマ放電処理油生成装置であって、油を貯留した液槽と、この液槽の油面上の空間に配設される放電用の陽電極と、この液槽の油中に少なくとも一部を臨ませた陰電極と、その陰電極より油中に電子を過度に放出させて陽電極と油面との間でプラズマ放電を生じさせ得るように該陽電極と陰電極との間で高電圧放電を行うための高電圧放電手段とを少なくとも備えたことを特徴とする。
【0009】
また請求項2の発明は、水と混合、乳化されてエマルジョンを形成するためのエマルジョン原料油であって、前記請求項1に記載されたプラズマ放電処理油生成装置によりプラズマ放電処理されたことを特徴とする。
【0010】
また請求項3の発明は、エマルジョン製造方法であって、液体を貯留した液槽と、この液槽の液面上の空間に配設される放電用の陽電極と、この液槽の液中に少なくとも一部を臨ませた陰電極と、その陰電極より液中に電子を過度に放出させて陽電極と液面との間でプラズマ放電を生じさせ得るように該陽電極と陰電極との間で高電圧放電を行うための高電圧放電手段とを少なくとも備えてなるプラズマ放電処理液生成装置を用いて、油と水を別々にプラズマ放電処理し、次いで、そのプラズマ放電処理された油と水とを混合してエマルジョンを得ることを特徴とする。
【0011】
また請求項4の発明は、エマルジョン製造方法であって、請求項2に記載のエマルジョン原料油を、酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化してエマルジョンを得ることを特徴とする、エマルジョン製造方法
さらに請求項5の発明は、請求項3又は4に記載のエマルジョン製造方法により得られたエマルジョン燃料であって、プラズマ放電処理された燃料油を、プラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化して構成されることを特徴とする。
【0012】
さらに請求項6の発明は、請求項3又は4に記載のエマルジョン製造方法により得られたエマルジョン食品であって、プラズマ放電処理された食用油を、プラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化して構成されることを特徴とする。
【0013】
さらに請求項7の発明は、請求項3又は4に記載のエマルジョン製造方法により得られたエマルジョン化粧品であって、プラズマ放電処理された化粧用油を、プラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化して構成されることを特徴とする。
【0014】
さらに請求項8の発明は、内部に液体を貯留した液槽と、この液槽の液面上の空間に配設される放電用の陽電極と、この液槽の液中に少なくとも一部を臨ませた陰電極と、その陰電極より液中に電子を過度に放出させて陽電極と液面との間でプラズマ放電を生じさせ得るように該陽電極と陰電極との間で高電圧放電を行うための高電圧放電手段とを少なくとも備えてなるプラズマ放電処理液生成装置であって、前記液槽は、その内部を少なくとも2室に分割する堰を備え、その2室間には、その第1室から第2室に向けて収容液を強制的に還流させる還流手段が設けられていて、その第2室に還流された収容液が前記堰の上端部を超えて第1室側にオーバフロー可能であり、前記堰の上端部には、そこをオーバフローしようとする収容液中に浸漬されるように前記陰電極が該上端部の長手方向に沿って配設されることを特徴とする。
【0015】
さらに請求項9の発明は、請求項8に記載のプラズマ放電処理液生成装置の構成に加えて、前記陰電極は、金網で前記堰の上端部にこれを跨ぐように形成され、前記陽電極は、前記陰電極の上方空間に前記堰の上端部の長手方向に互いに間隔をおいて並設されて各々の先端が該陰電極に向かって延びる導電性材料よりなる多数の放電用針を備えることを特徴とする。
【0016】
尚、本発明において、「液中に電子を過度に放出させ」とは、液槽内の液体が電子を保持できるマイナス電荷数を超えて液中に多数の電子を放出させること、即ち液中に電子を過飽和状態となってもなお放出させることを意味している。この電子の過度の放出により、余剰の電子は液面から空中の放電用陽電極に向かって飛び出し可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、油をプラズマ放電処理することにより、水との親和性が良好なプラズマ放電処理油が得られるので、この油と水とが混合、乳化したエマルジョンを、有害な界面活性剤を特別に用いることなく効率よく得ることができ、エマルジョンの汎用性を広げることができる。
【0018】
また特に請求項3の発明によれば、油だけでなく、水もプラズマ放電処理されるため、油と水との親和性が頗る良好となり、その油と水が均一に分散した高品質のエマルジョンが容易に且つ更に効率よく得られ、その上、エマルジョン化後においても長時間に亘りエマルジョン状態を維持できるから、保存性に優れ、利便性が一層良好である。
【0019】
また特に請求項4の発明によれば、プラズマ放電処理された油を、酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化してエマルジョンを形成するので、油と水との親和性が良好となり、エマルジョンが効率よく得られる。
【0020】
また特に請求項5の発明では、プラズマ放電処理された燃料油を、プラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化して構成されるエマルジョン燃料が得られるので、水の混入によっても良好に燃焼させることができ、しかもその燃焼の際にエマルジョンに含まれる水の水蒸気潜熱に起因して排気中のNOx濃度の低減に有効であり、またエマルジョン中の水自体が燃焼を始めることにより、未燃焼の炭化水素との燃焼反応を起こして、PM等の粒子状物質の低減にも有効である。その上、エマルジョン化のために有害な界面活性剤を使用しないため、界面活性剤の燃焼による有害物質が発生する心配もない。
【0021】
また特に請求項6の発明では、プラズマ放電処理された食用油を、プラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化して構成されるエマルジョン食品が得られるので、エマルジョン化のために有害な界面活性剤を使用しない安全なエマルジョン食品を提供することができる。
【0022】
また特に請求項7の発明では、プラズマ放電処理された化粧用油を、プラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化して構成されるエマルジョン化粧品が得られるので、エマルジョン化のために有害な界面活性剤を使用しない安全なエマルジョン化粧品を提供することができる。
【0023】
また特に請求項8の発明によれば、液槽の第1室と第2室間で収容液を循環させながらその収容液に対しプラズマ放電処理を継続的且つ十分に行うことができ、従って、プラズマ放電処理液の量産化やコスト節減を図る上で有利である。
【0024】
また特に請求項9の発明によれば、多数の放電用針から液面に向かって多数の(従って広範囲に亘り)プラズマ放電流を発生させることができ、そのプラズマ放電効果によりプラズマ放電処理を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0026】
添付図面において、図1〜図6は、本発明の第1実施例を示すものであって、図1は、プラズマ放電処理液生成装置を示す全体縦断面図、図2は、前記プラズマ放電処理液生成装置の平断面図(図1の2−2線断面図)、図3は、図1の3矢視部の拡大縦断面図、図4は、プラズマ放電の原理を説明するための実験モデル図、図5は、陽電極と陰電極間でのプラズマ放電流の発生状態を簡略的に示す説明図、図6は、プラズマ放電処理済みの油及び水を混合、乳化させる攪拌器の一例を示す縦断面図である。また図7は、本発明の第2実施例に係るプラズマ放電処理液生成装置を示す、図1対応図であり、さらに図8は、本発明の第3実施例に係るプラズマ放電処理液生成装置を示す、図1対応図である。さらに図9〜図12は、本発明の第4実施例を示すものであって、図9は、プラズマ放電処理液生成装置を示す全体縦断面図、図10は、図9の10矢視平面図、図11は、プラズマ放電処理液生成装置の要部を示す斜視図(図9の11矢視より見た斜視図)、図12は、陽電極と陰電極間でのプラズマ放電流の発生状態を簡略的に示す説明図(図11の12−12線拡大断面図である。
【0027】
先ず、図1〜図5に示す第1実施例に係るプラズマ放電処理液生成装置Aにおいて、固定ベース1上には、液槽支持台2と、その一側に起立する支柱3とが固定的に設けられており、これら固定ベース1、支持台2および支柱3はいずれも絶縁体より構成される。液槽支持台2上には、銅線を渦巻き状に且つ多層に巻き回してなる扁平円板状の渦巻きコイル4が載置、固定され、更にその渦巻きコイル4の上面に、絶縁体又は誘電体製(例えばガラス、PET樹脂等)の液槽Vが載置、固定されている。
【0028】
その液槽V内には、プラズマ放電処理すべき液体Wが入れられており、その液中に浸漬されてマイナス電荷、即ち電子を帯電可能な帯電部材5が、液槽Vの底壁Va上に載置、固定される。この帯電部材5は、図示例では活性炭素繊維を平板状の所定形状に成形して構成され、その活性炭素繊維の正孔(OH基)に電子を帯電し得るようになっている。而してこの実施例では、絶縁体又は誘電体よりなる液槽底壁Vaと、帯電部材5と、渦巻きコイル4とが互いに協働して本発明の陰電極Mを構成している。
【0029】
また支柱3の上部には、液槽Vの上部空間に向かって延びる支持腕3aが連設されており、この支持腕3aの先部には、液槽Vの液面Wf上の空中に配置した放電用の陽電極Pが支持される。次にこの放電用の陽電極Pの構造の一例を、図3を併せて参照して具体的に説明する。
【0030】
その陽電極Pは、液槽Vの液面Wf上の空中に相互に間隔をおいて並設されると共に各先端が液槽V内の液面に向かって下向きに延びる多数の放電用針7と、それら放電用針7の上部が貫通、支持される絶縁性基板8と、その絶縁性基板8の上面と各放電用針7の膨大頭部との間に介装されて各放電用針7を絶縁性基板8上に安定よく支持させるワッシャリング9と、絶縁性基板8の下面に重ねられて各放電用針7相互を電気的に接続する平板状の導電部材10と、絶縁性基板8の上下両面にそれぞれ接着又は接合されて各放電用針7の上半部とワッシャリング9と導電部材10とを覆う上下一対の絶縁性カバー11とより構成される。その絶縁性カバー11の下面からは各放電用針7の先鋭な下半部7aが突出して延びており、また、導電部材10の一部は、絶縁カバー11の側部から外部に引き出されていて、その引き出し部には、後述する高周波高電圧パルス放電用電源Eの印加側端子Eaから延びる印加側の外部配線Laが接続される。
【0031】
前記放電用針7の構成材料としては、導電性を有する金属、望ましくは耐腐食性の金属(例えばステンレス)が選択される。また前記絶縁性基板8の構成材料としては、絶縁性材料、例えばガラスエポキシ基板、ポリアミド基板、石英ガラス基板等が選択される。また前記ワッシャリング9の構成材料としては、放電用針7の頭部に対する固定、支持に適した材料であれば、導電性の有無に関係なく選択される。さらに前記導電部材10の構成材料としては、導電性を有し且つ放電用針7と接続、固定が可能であり且つ外部配線Laとの接続、固定が可能な材料であればよく、種々の導電性金属、活性炭素繊維成形体、導電性金属メッキ材等が選択される。さらに前記絶縁性カバー11としては、絶縁性を有し且つ絶縁性基板8に接着又は接合可能な材料、例えばエポキシ系樹脂やポリアミド樹脂が選択される。
【0032】
固定ベース1の一側には、高電圧放電手段としての高周波高電圧パルス放電用電源Eが設置されており、この電源Eの印加側端子Eaに接続した印加側の外部配線Laが、導電部材10を介して前記陽電極Pの放電用針7に接続される。また同電源Eのグランド側端子Ebに接続したグランド側の外部配線Lbは接地Gされており、その外部配線Lbの途中には前記渦巻きコイル4が介装される。即ち、電源Eのグランド側端子Ebは、渦巻きコイル4を介して接地Gされる。
【0033】
前記高周波高電圧パルス放電用電源Eは、図示例では周波数が高く(例えば10KHz)、電圧が高い(例えば10KV)の高周波高電圧パルスを少なくとも所定時間(例えば10分)以上放電し得るように構成され、その放電出力波形は矩形波に、電極波形はサイン波に調整される。
【0034】
而して液槽V内に水を入れた場合において、その液槽Vの液面Wf上の空中に存する前記陽電極Pと、液槽Vの水中に少なくとも一部(図示例では液槽底壁Vaの上面及び帯電部材5)を浸漬させた陰電極Mとの間で、高周波高電圧パルス放電用電源Eにより高周波高電圧パルスを放電させると、後述するように陽電極Pと液面Wfとの間でプラズマ放電流Xが生じる。そして、このプラズマ放電流Xを液槽V内の液体W、例えば水に作用させることにより、この水が、プラズマ放電前の状態よりもオゾン濃度が高く且つ酸化還元電位が低く且つまた溶存酸素量が少ないプラズマ放電処理水となる。
【0035】
また、液槽V内に燃料油、例えば灯油を入れた場合において、前記陽電極Pと陰電極Mとの間で、高周波高電圧パルス放電用電源Eにより高周波高電圧パルスを放電させると、後述するように陽電極Pと液面Wfとの間でプラズマ放電流Xが生じる。そして、このプラズマ放電流Xを液槽V内の灯油に作用させることにより、オゾンが灯油中に引きずり込まれ該油の分子レベルでの溶解を起こし、その油が、水に分散、乳化してエマルジョン化が可能なプラズマ放電処理灯油となる。
【0036】
次に第1実施例の作用を説明する。
【0037】
先ず、前記プラズマ放電の原理を、図4を併せて参照して説明する。
【0038】
図4に示す実験モデルでは、前記実施例における陰電極Mの構造(即ち渦巻きコイル4と液槽底壁Vaと蓄電部材5相互のサンドイッチ構造)を模して、渦巻きコイル4と絶縁体又は誘電体製の平板20(図示例ではガラス板)と蓄電部材5相互のサンドイッチ構造体が支持台21の上面に載置、固定されており、その渦巻きコイル4と電池22(例えば8ボルト)と開閉スイッチ23とが閉回路24で直列に接続される。
【0039】
このモデルにおいて、開閉スイッチ23を手動で小刻み(毎秒数回程度)に開閉操作したときの電子の放出状況を、陰電極Mの上方空間に配した電子測定器25により確認すると、2〜3KV/mの数値が測定された。このことから、次のような事象の発生が推測される。即ち、上記スイッチ23の開閉に伴い渦巻きコイル4の上方空間に発生する磁場の強弱が、ガラス板20を隔ててコンデンサ作用を起こして、そのガラス板20の下面(コイル接触面)にはプラス電荷が、また同ガラス板20の上面にはマイナス電荷、即ち電子がそれぞれ集まり、そのガラス板20の上面に集まった電子がガラス板20上の蓄電部材5即ち活性炭素繊維の正孔(OH基)に蓄電されるため、スイッチ23の開閉を繰り返すと、蓄電された電子が活性炭素繊維において過飽和になって、その正孔から外部(上方空間)に放出されているものと考えられる。
【0040】
而して、本実施例のプラズマ放電処理液生成装置Aにおいて、その高周波高電圧パルス放電用電源Eにより高周波高電圧パルス放電を実施した場合には、その電源Eのグランド側端子Ebに連なる渦巻きコイル4には高周波のマイナスパルスが印加され、即ち、マイナスの直流電圧が断続的に渦巻きコイル4に通電されることとなり、結果的には、前記実験モデルで開閉スイッチ23を断続的に開閉した状態と同じになり、しかもその開閉の回数は10KHzと極めて高速である。
【0041】
従って、液槽V内に液体Wとしての水が貯溜される場合において、陰電極Mにおける蓄電部材5を構成する活性炭素繊維の正孔には、上記高周波高電圧パルス放電に伴い短時間のうちに極めて多数の電子が液槽V内の水中に放出されることになるが、その放出電子が、水の保持できるマイナス電荷数を超えると(即ち水中への電子の放出が過度になされて、水中の電子が過飽和となると)、その放出電子は、水面Wfよりその上方の陽電極Pの放電用針7に向かって空中に飛び出す。そして、この飛び出した多数の電子は、空中の酸素分子と衝突して、例えばマイナス電荷を有する酸素ラジカルと、プラス電荷を有するスーパーオキサイト群を生じさせ、それらが同じ空間に同時に多数混在分布することで、図5に模式的に示すような発光状態のプラズマ放電流Xが、各放電用針7とその直下の水面Wfとの間でそれぞれ発生する。このとき、水面Wfには、各プラズマ放電流Xに対応してすり鉢状の凹部sが形成されており、この凹部sの存在からも、プラズマ放電流Xのエネルギが放電用針7から水面Wf側に向かい、その水面下に入り込む様子が容易に窺い知れる。
【0042】
尚、空気の主要成分である窒素分子は、酸素分子に比べ安定度が高く、本条件による電子衝突エネルギではラジカル分子を発生せず、上記プラズマ放電流Xの発生によってもNOx等の有害成分を生じさせないことが確認された。
【0043】
而して、上記プラズマ放電流Xは、放電用針7から水面Wf側に向かう途中でその周囲空間の酸素分子や上記スーパーオキサイト群を巻き込んでオゾンを生じさせると共に、そのオゾンを水中に強力に引擦り込んでオゾンの水中への分子レベルでの溶解を起こす。また、それと同時に、水中に元々溶解していた一部の酸素分子が空中に放出される。
【0044】
かくして、液槽V内の水に対し所定時間(例えば10分間)に亘り上記のプラズマ放電処理を行えば、その水は、本発明のプラズマ放電処理水となり、それは、下記の表1に示されるようにプラズマ放電前の状態よりもオゾン濃度が高く且つ酸化還元電位が低く且つまた溶存酸素量が少ない特性を有している。
【0045】
【表1】

【0046】
しかも、このプラズマ放電処理水は、生成後、比較的長期(約1カ月以上)に亘って水中にオゾンを高い濃度のまま溶解させておくことができることが確認された。これは、前述のようにプラズマ放電流Xによりオゾンを水中に強力に引擦り込んで、オゾンの水中への分子レベルでの溶解を促進できるためと考えられる。従って、上記プラズマ放電処理水は、長期の保存に適したオゾン水となるものであり、そして、このオゾン水は、生成後、直ぐに使用する必要がないことから、プラズマ放電処理液生成装置Aをオゾン水の使用現場近くに設置する必要がなく、利便性や量産性に優れている。
【0047】
一方、前記プラズマ処理水を生成したプラズマ処理液生成装置Aと同一構造のプラズマ処理液生成装置Aの液槽V内に燃料油としての灯油を入れて、前記と同様のプラズマ処理を行った場合には、水の場合と同様に、各放電用針7とその直下の油面Wfとの間で発光状態のプラズマ放電流Xが発生する。このとき、プラズマ放電流Xは、放電用針7から油面Wf側に向かう途中でその周囲空間の酸素分子や上記スーパーオキサイト群を巻き込んでオゾンを生じさせると共に、そのオゾンを液槽V内の灯油中に強力に引擦り込んでオゾンの水中への分子レベルでの溶解を起こし、またそれと同時に、燃料油中に元々溶解していた一部の酸素分子が空中に放出される。
【0048】
この場合において、灯油に溶解したスーパーオキサイト(オゾン等)は、灯油(C1226)を酸化して、灯油中のごく一部がC1123COO- のイオン構造をとると推測される。そして、このようなイオン構造は、従来普通に使用される界面活性剤中のカルボン酸塩であるラウリン酸(C1123COOH)(石鹸に分類)の水中でのイオン構造と同等のものである。
【0049】
従って、このような状態のプラズマ放電処理灯油に水、特に前記したプラズマ放電処理水{ごく一部分がOH・(水酸基ラジカル)H・(水素ラジカル)として水中に分離している}を混合攪拌すると、本来混じらないはずの灯油と水が、界面活性剤を特別に使用することなくエマルジョン(水と灯油が微細に混合拡散して乳化した状態)となる。
【0050】
【化1】

【0051】
かくして、液槽V内の燃料油としての灯油に対し所定時間(例えば10分間)に亘り上記のプラズマ放電処理を行えば、その灯油は、本発明のプラズマ放電処理油となり、水、特に前記したプラズマ放電処理水と混合、乳化することでエマルジョン燃料となる。
【0052】
図6には、そのプラズマ放電処理油とプラズマ放電処理水とを攪拌、混合するための攪拌器MIの一例が示される。この攪拌器MIは、上端にモータ38を支持した機枠30と、その機枠30に回転自在に軸支されて該機枠30を縦通し且つモータ38により回転駆動される回転軸31と、その回転軸31の下端に固定された攪拌羽根32と、その攪拌羽根32を覆うように機枠30の下部に連設された攪拌ハウジング33とを備えている。その攪拌ハウジング33の開放下面は目の細かいネット34で覆われ、またその攪拌ハウジング33の上部には、その内外を連通させる複数の連通孔33aが穿設される。前記回転軸31の中間部は中空に形成されていて、機枠30の上部に形成された供給室35と、攪拌ハウジング33内とを連通させる連通路として機能する。前記供給室35には、本発明に係るプラズマ放電処理液生成装置Aにより予め別々にプラズマ放電処理された灯油及び水の各供給源36,37が並列に接続される。
【0053】
従って、攪拌器MIの攪拌ハウジング33を攪拌処理容器39内に臨ませた状態で、モータ38を作動させて攪拌羽根32を回転させつつ、機枠30内の供給室35に灯油供給源36及び水供給源37から各々プラズマ放電処理された灯油及び水を所定の流量割合でそれぞれ供給すれば、その灯油及び水が攪拌ハウジング33内で攪拌羽根32により攪拌されて攪拌処理容器39内に所定の混合割合で溜まる。そして、その攪拌処理容器39内で攪拌ハウジング33を貯溜液面下に浸漬させれば、貯溜液面下の灯油及び水が更に十分に攪拌、混合されて、エマルジョン状態となる。
【0054】
尚、前記灯油供給源36及び水供給源37を機枠30内の供給室35に接続しないで、本発明に係るプラズマ放電処理液生成装置Aにより予め別々にプラズマ放電処理された灯油及び水を攪拌処理容器39内に所定の混合割合で入れておき、その容器39内に上下に二層をなして貯溜された灯油及び水を攪拌器MIの攪拌羽根32により攪拌してエマルジョンを得るようにしてもよい。前記混合割合は、例えば水/灯油の比率が適宜(最大で3程度)に設定され、水の比率を減らせば、それだけエマルジョン燃料の引火点を下げることが可能となる。
【0055】
而して各々プラズマ放電処理された灯油と水とを攪拌、混合して乳化させてエマルジョン状態にしたので、このような灯油と水とからなるエマルジョン燃料を、有害な界面活性剤を特別に用いることなく効率よく得ることができる。この場合、プラズマ放電処理された灯油には、前述のようにその一部が、界面活性剤中のカルボン酸塩であるラウリン酸(C1123COO- )と類似のイオン構造をとると推測されるため、その灯油と、同じくプラズマ放電処理された水とを混合させるようにすれば、油と水との親和性が頗る良好となって、その油と水が均一に分散した高品質のエマルジョンが容易に且つ効率よく得られ、その上、エマルジョン化後においても長時間に亘りエマルジョン状態を維持できるから、保存性に優れ、利便性が一層良好である。尚、上記のようにして得られたエマルジョン燃料は、時間の経過と共に、油と水とが徐々に分離してしまうが、それらを再度、攪拌、混合すれば、再びエマルジョン燃料が容易に得られる。
【0056】
ところでプラズマ放電処理していない通常の水であっても、その酸化還元電位を300mV以下に調整すれば、プラズマ放電処理された油と十分に混合、乳化してエマルジョン化することが可能であることが実験により確認された。この場合、水の酸化還元電位を300mV以下に調整する手法としては、例えば水に紫外線を照射したり、又は水に超音波をかけたり、又は水にオゾンガスを吹き込んだり、又は水に空気のマイクロバブルもしくはナノバブルを混合させたり、又は水を高所から落下させたり、又は水中でイオン化傾向の異なる金属を使用して放電したり、又は所定の磁極配列の磁石で生じた磁界中に水を流したり、又は水に遠赤外線を照射したりすること等々が考えられる。尚、何れの手法の水を用いても、プラズマ放電処理された水を用いてエマルジョン化するよりも、エマルジョン状態が維持される時間は短かった。
【0057】
而して、本実施例のようにプラズマ放電処理された灯油を、同じくプラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位を300mV以下に調整された水と混合、乳化してエマルジョン燃料とすれば、水の混入によっても灯油を良好に燃焼させることができ、しかもその燃焼の際にエマルジョンに含まれる水の水蒸気潜熱に起因して排気中のNOx濃度の低減に有効であり、またエマルジョン中の水自体が燃焼を始めることにより、未燃焼の炭化水素との燃焼反応を起こして、PM等の粒子状物質の低減にも有効である。その上、エマルジョン化のために有害な界面活性剤を使用しないため、界面活性剤の燃焼による有害物質が発生する心配もない。
【0058】
次に図7を参照して本発明の第2実施例を説明する。この実施例は、先の実施例における活性炭素繊維からなる蓄電部材5を省略したものであり、その他の構成は、第1実施例と同じであるので、各構成部材には、第1実施例と同じ参照符号を付した。
【0059】
而して第1実施例では、液槽底壁Vaのコンデンサー的な作用を強化して陰電極Mから液槽V内の液中への電子放出を効率よく行わせるために、活性炭素繊維からなる蓄電部材5を液槽底壁Vaを挟んで渦巻きコイル4上に近接配置しているが、この蓄電部材5を第2実施例のように省略しても、液槽底壁Va自体のコンデンサー的な作用は得られ、電子の放出効率が多少低下するだけであることから、プラズマ放電流X自体の発生は可能である。この第2実施例では、蓄電部材5の省略によりそれだけ構造簡素化が図られる。
【0060】
次に図8を参照して本発明の第3実施例を説明する。この実施例は、高電圧放電手段としての高周波高電圧パルス放電用電源Eのグランド側端子Ebに接続したグランド側の外部配線Lbを液槽V内に直接引き込むように配線すると共に、その端末部を、液槽V内底部に設置した導電材製の陰電極Mに接続したものであって、先の実施例の陰電極Mにおける渦巻きコイル4や蓄電部材5は省略されている。その他の構成は、第1実施例と同じであるので、各構成部材には、第1実施例と同じ参照符号を付した。
【0061】
而して第1、第2実施例の陰電極M構造では、液槽V内の液中へ引き込む配線部分を無くして感電のリスクを軽減し得る効果があるが、そのリスクに対し万全の措置をとれれば、本第3実施例のような陰電極構造としても、プラズマ放電流X自体の発生は可能であり、実用上問題はない。この第3実施例では、陰電極構造が簡素化されてコスト節減が図られる。
【0062】
次に図9を参照して本発明の第4実施例を説明する。この実施例は、量産性を高めるためにプラズマ放電処理を連続的且つ効率よく行えるようにしたものである。プラズマ放電処理液生成装置Aは、液体を貯留する液槽Vの内部に堰としての鉛直平板状の堰板40が一体に設けられ、この堰板40により液槽V内が少なくとも2室(図示例では第1室C1と第2室C2)に画成される。その第1,第2室C1,C2間には、その各々の底部に両端が開口する連通路42が接続され、その連通路42には、第1室C1から第2室C2に向けて収容液を強制的に還流させる還流手段としてのポンプ41が介装されていて、そのポンプ41の運転により第2室C2に還流された収容液が堰板40の上端部を超えて第1室C1側にオーバフロー可能となっている。堰板40の上端部には、そこをオーバフローしようとする収容液中に浸漬されるように陰電極Mが該上端部の長手方向に沿って配設される。
【0063】
前記陰電極Mは、図示例では導電性の金網で堰板40の上端部にこれを跨ぐように逆U字状に形成され、一方、陽電極Pは、陰電極Mの斜め上方空間に堰板40の上端部の長手方向に沿って互いに間隔をおいて並設されて各々の先端が該陰電極Mに向かって延びる導電性材料よりなる多数の放電用針7…を備える。尚、それら放電用針7…の取付構造は、先の実施例と基本的に同様であるので、説明を省略する。
【0064】
液槽Vの外には、先の実施例と同様、高電圧放電手段としての高周波高電圧パルス放電用電源Eが設置されており、この電源Eの印加側端子Eaに接続した印加側の外部配線Laが前記陽電極Pの放電用針7に接続される。また同電源Eのグランド側端子Ebに接続したグランド側の外部配線Lbは接地Gされており、その外部配線Lbの途中に前記陰電極Mが介装される。尚、図9に鎖線で示すように、前記外部配線La,Lbの途中(特に高周波高電圧パルス放電用電源Eと陽電極P,陰電極Mとの間)には必要に応じて電圧調整用のトランスTを介装可能である。
【0065】
而して、この第4実施例においては、液槽V内にプラズマ放電処理すべき液体W(即ち油又は水の何れか一方)を予め入れておき、還流手段としてのポンプ41を連続運転すると、第1室C1内の液体Wがポンプ41で第2室C2内に強制的に圧送され、これにより、第2室C2内の液面が上昇して堰板40を超えるようになると、その液体Wが堰板40の上部からオーバフローして第1室C1に流下し、このようにして第1室C1と第2室C2間で液槽V内の液体Vが強制循環される。この液体循環状態において、堰板40の斜め上方で液槽V内の上部空間に存する前記陽電極Pと、液槽Vの液中(図示例では堰板40の上端部近傍)に浸漬させた陰電極Mとの間で、高周波高電圧パルス放電用電源Eにより高周波高電圧パルスを放電させると、先の実施例と同様にして、陽電極P(放電用針7)と、堰板40をオーバフローしようとする液体Wの液面との間でプラズマ放電流Xが生じる。そして、このプラズマ放電流Xを、堰板40をオーバフローしようとする前記液体Wに直接作用させることにより、この液体Wが、先の実施例で得られるプラズマ放電処理液と同様のプラズマ放電処理液となる。
【0066】
この第4実施例によれば、液槽Vの第1室C1と第2室C2間で収容液としての油又は水を循環させながらその収容液に対しプラズマ放電処理を継続的且つ十分に行うことができるため、プラズマ放電処理液の量産化やコスト節減を図る上で有利である。しかも図示例では、堰板40の上端部長手方向に沿って配列された多数の放電用針7…から堰板40のオーバフロー流に向かって多数の(従って広範囲に亘り)プラズマ放電流Xを生じさせることができるから、プラズマ放電処理を連続的に効率よく行うことができる。
【0067】
ところで前記各実施例では、本発明に係るプラズマ放電処理液生成装置Aによりプラズマ放電処理された燃料油としての灯油を、同じくプラズマ放電処理液生成装置Aによりプラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位を300mV以下に調整された水と混合、乳化することでエマルジョン燃料が得られるようにしたが、本発明では、プラズマ放電処理すべき燃料油として、灯油以外の種々の燃料油、例えば軽油や重油、廃棄食用油等を用いるようにしても、同様の効果が期待できる。
【0068】
また本発明に係るプラズマ放電処理液生成装置Aによりプラズマ放電処理された食用油(例えばサラダ油)を、同じくプラズマ放電処理液生成装置Aによりプラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位を300mV以下に調整された水と混合、乳化することで、マヨネーズ、サラダドレッシング等のエマルジョン食品が容易に効率よく製造できるようになる。しかもこのエマルジョン食品は、エマルジョン化のために有害な界面活性剤を使用しないので、安全性の高い高品質なものとなる。
【0069】
また本発明に係るプラズマ放電処理液生成装置Aによりプラズマ放電処理された化粧用油を、同じくプラズマ放電処理液生成装置Aによりプラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位を300mV以下に調整された水と混合、乳化することで、化粧乳液等のエマルジョン化粧品が容易に効率よく製造できるようになる。しかもこのエマルジョン化粧品は、エマルジョン化のために有害な界面活性剤を使用しないので、安全性の高い高品質なものとなる。
【0070】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。例えば、第1実施例では蓄電部材5として活性炭素繊維からなる繊維成形体を用いたが、この活性炭素繊維に代えて、液槽底壁Vaの上面側に集まるマイナス電荷(電子)を蓄電可能であり且つ水中へ放出可能な種々の素材を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施例に係るプラズマ放電処理液生成装置を示す全体縦断面図
【図2】前記プラズマ放電処理液生成装置の平断面図(図1の2−2線断面図)
【図3】図1の3矢視部の拡大縦断面図
【図4】プラズマ放電の原理を説明するための実験モデル図
【図5】陽電極と陰電極間でのプラズマ放電流の発生状態を簡略的に示す説明図
【図6】プラズマ放電処理済みの油及び水を混合、乳化させる攪拌器の一例を示す縦断面図
【図7】本発明の第2実施例に係るプラズマ放電処理液生成装置を示す、図1対応図
【図8】本発明の第3実施例に係るプラズマ放電処理液生成装置を示す、図1対応図
【図9】本発明の第4実施例に係るプラズマ放電処理液生成装置を示す全体縦断面図
【図10】図9の10矢視平面図
【図11】第4実施例に係るプラズマ放電処理液生成装置の要部を示す斜視図(図9の11矢視より見た斜視図)
【図12】陽電極と陰電極間でのプラズマ放電流の発生状態を簡略的に示す説明図(図11の12−12線拡大断面図)
【符号の説明】
【0072】
A・・・プラズマ放電処理油生成装置
C1・・第1室
C2・・第2室
E・・・高周波高電圧パルス放電用電源(高電圧放電手段)
Ea・・印加側端子
Eb・・グランド側端子
G・・・接地
M・・・陰電極
P・・・陽電極
V・・・液槽
W・・・液体(油又は水)
Wf・・液面
X・・・プラズマ放電流
7・・・放電用針
40・・堰板(堰)
41・・ポンプ(還流手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油(W)を貯留した液槽(V)と、この液槽(V)の油面(Wf)上の空間に配設される放電用の陽電極(P)と、この液槽(V)の油中に少なくとも一部を臨ませた陰電極(M)と、その陰電極(M)より油中に電子を過度に放出させて陽電極(P)と油面(Wf)との間でプラズマ放電を生じさせ得るように該陽電極(P)と陰電極(M)との間で高電圧放電を行うための高電圧放電手段(E)とを少なくとも備えたことを特徴とする、プラズマ放電処理油生成装置。
【請求項2】
水と混合、乳化されてエマルジョンを形成するための、エマルジョン原料油であって、 前記請求項1に記載されたプラズマ放電処理油生成装置(A)によりプラズマ放電処理されたことを特徴とする、エマルジョン原料油。
【請求項3】
液体を貯留した液槽(V)と、この液槽(V)の液面(Wf)上の空間に配設される放電用の陽電極(P)と、この液槽(V)の液中に少なくとも一部を臨ませた陰電極(M)と、その陰電極(M)より液中に電子を過度に放出させて陽電極(P)と液面(Wf)との間でプラズマ放電を生じさせ得るように該陽電極(P)と陰電極(M)との間で高電圧放電を行うための高電圧放電手段(E)とを少なくとも備えてなるプラズマ放電処理液生成装置(A)を用いて、油と水を別々にプラズマ放電処理し、
次いで、そのプラズマ放電処理された油と水とを混合、乳化してエマルジョンを得ることを特徴とする、エマルジョン製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載のエマルジョン原料油を、酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化してエマルジョンを得ることを特徴とする、エマルジョン製造方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のエマルジョン製造方法により得られたエマルジョン燃料であって、
プラズマ放電処理された燃料油を、プラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化して構成されることを特徴とする、エマルジョン燃料。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のエマルジョン製造方法により得られたエマルジョン食品であって、
プラズマ放電処理された食用油を、プラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化して構成されることを特徴とする、エマルジョン食品。
【請求項7】
請求項3又は4に記載のエマルジョン製造方法により得られたエマルジョン化粧品であって、
プラズマ放電処理された化粧用油を、プラズマ放電処理された水、又は酸化還元電位が300mV以下に調整された水と混合、乳化して構成されることを特徴とする、エマルジョン化粧品。
【請求項8】
内部に液体(W)を貯留した液槽(V)と、この液槽(V)の液面(Wf)上の空間に配設される放電用の陽電極(P)と、この液槽(V)の液中に少なくとも一部を臨ませた陰電極(M)と、その陰電極(M)より液中に電子を過度に放出させて陽電極(P)と液面(Wf)との間でプラズマ放電を生じさせ得るように該陽電極(P)と陰電極(M)との間で高電圧放電を行うための高電圧放電手段(E)とを少なくとも備えてなるプラズマ放電処理液生成装置であって、
前記液槽(V)は、その内部を少なくとも2室(C1,C2)に分割する堰(40)を備え、その2室(C1,C2)間には、その第1室(C1)から第2室(C2)に向けて収容液を強制的に還流させる還流手段(41)が設けられていて、その第2室(C2)に還流された収容液が前記堰(40)の上端部を超えて第1室(C1)側にオーバフロー可能であり、
前記堰(40)の上端部には、そこをオーバフローしようとする収容液中に浸漬されるように前記陰電極(M)が該上端部の長手方向に沿って配設されることを特徴とする、プラズマ放電処理液生成装置。
【請求項9】
前記陰電極(M)は、金網で前記堰(40)の上端部にこれを跨ぐように形成され、前記陽電極(P)は、前記陰電極(M)の上方空間に前記堰(40)の上端部の長手方向に互いに間隔をおいて並設されて各々の先端が該陰電極(M)に向かって延びる導電性材料よりなる多数の放電用針(7)を備えることを特徴とする、請求項8に記載のプラズマ放電処理液生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−224156(P2007−224156A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47331(P2006−47331)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(503373850)株式会社スタイ・ラボ (5)
【Fターム(参考)】