説明

プリニル誘導体及びカリウムチャネルモジュレーターとしてのそれらの使用

本発明は、新規プリニル誘導体、及びカリウムチャネル調節剤としてのそれらの使用に関する。さらに、本発明は、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害の治療又は軽減に有用な医薬組成物を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規プリニル誘導体、及びカリウムチャネル調節剤(modulating agent)としてのそれらの使用に関する。さらに、本発明は、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害の治療又は軽減に有用な医薬組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
イオンチャネルは膜貫通タンパク質であり、これらは細胞膜を横切る無機イオンの輸送を触媒する。イオンチャネルは、活動電位の発生及びタイミング、シナプス伝達、ホルモンの分泌、筋肉の収縮などの多様な過程に関与する。
【0003】
すべての哺乳動物細胞は、それらの細胞膜においてカリウム(K)チャネルを発現し、これらのチャネルは膜電位の調節において支配的な役割を果たす。神経及び筋肉の細胞において、これらのチャネルは、活動電位の頻度及び形、神経伝達物質の放出、並びに気管支及び血管の拡張度合いを調節する。
【0004】
分子の観点からは、Kチャネルは、最大で最も多様なイオンチャネルグループを表す。全体像として、Kチャネルは大きな5つのサブファミリー:電位活性化Kチャネル(K)、QT延長関連Kチャネル(KvLQT)、内向き整流(KIR)、2ポアKチャネル(KTP)、及びカルシウム活性化Kチャネル(Kca)に分けることができる。
【0005】
最後のグループのCa2+活性化Kチャネルは、明確に定義された3つのサブタイプ:SKチャネル、IKチャネル及びBKチャネルからなる。SK、IK及びBKは、単一チャネルコンダクタンスを意味する(小、中及び大コンダクタンスのKチャネル)。SK、IK及びBKチャネルは、例えば、電圧−及びカルシウム−感受性、薬理、分布及び機能における違いを示す。
【0006】
SKチャネルは多くの中枢神経及び神経節に存在し、そこでのSKチャネルの主な機能は、長く続く癲癇誘発活動が起こるのを防ぐために、1つ又はいくつのかの活動電位に従い神経細胞を過分極させることである。SKチャネルはまた、骨格筋、分泌細胞、肝細胞、及びTリンパ球を含めて、いくつかの末梢細胞にも存在する。正常な骨格筋におけるSKチャネルの意義は明らかでないが、それらの数は、脱神経化された筋肉においてかなり増加し、筋緊張性筋ジストロフィー患者の筋肉における多数のSKチャネルは、この疾患の病因における役割を示唆する。
【0007】
研究は、Kチャネルが、喘息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患及び鼻漏、痙攣、血管攣縮、冠動脈攣縮、腎臓障害、多発性嚢胞腎疾患、膀胱痙縮、過活動膀胱、尿失禁、膀胱流出閉塞、間質性膀胱炎、過敏性腸症候群、胃腸機能障害、分泌性下痢、虚血、脳虚血、虚血性心疾患、狭心症、冠状動脈心疾患、外傷性脳損傷、精神病、不安、鬱病、痴呆、記憶及び注意欠陥、アルツハイマー病、月経困難症、ナルコレプシー、レイノー病、間欠性跛行、シェーグレン症候群、片頭痛、疼痛、不整脈、高血圧、欠神発作、筋緊張性筋ジストロフィー、口腔乾燥症、II型糖尿病、高インスリン血症、早産、禿げ、癌及び免疫抑制を含めて、かなりの数の疾患の治療における治療標的であり得ることを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、SKチャネル、又はSKチャネルのサブタイプを調節できる新規化学化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
それゆえに、本発明の第1の態様において、本発明は、式Ia又はIbの新規プリニル誘導体、
【化1】


その異性体又はその異性体の混合物、そのN−オキシド、そのプロドラッグ、或いはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
nは、0、1、2又は3であり;
XはO、S又はNR’を表し;式中、R’は水素、アルキル、シクロアルキル、フェニル又はベンジルを表し;
Yは、アルキル、シクロアルキル又はフェニルを表し;このアルキル、シクロアルキル及びフェニルは、アルキル、シクロアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ及びアミノからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されており;
は、水素、アルキル又はアルコキシ−アルキルを表し;また
Hetは、ピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル及びピリジニルから選択される複素環式基を表し、このピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル及びピリジニルは、アルキル、ヒドロキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシ−カルボニル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ−カルボニル、N,N−ジアルキル−アミノ−カルボニル、フェニル及びベンジルからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている。
【0010】
別の態様において、本発明は、有効量の本発明の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害を治療又は軽減するための医薬品の製造のための、本発明の誘導体の使用、並びに、カリウムチャネルの調節に反応する疾患又は病状の治療又は軽減の方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
カリウムチャネル調節剤
本発明の第1の態様において、本発明は、式Ia又はIbの新規プリニル誘導体、
【化2】


その立体異性体又はその立体異性体の混合物、そのN−オキシド、そのプロドラッグ、或いはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
nは、0、1、2又は3であり;
XはO、S又はNR’を表し;式中、R’は水素、アルキル、シクロアルキル、フェニル又はベンジルを表し;
Yは、アルキル、シクロアルキル又はフェニルを表し;このアルキル、シクロアルキル及びフェニルは、アルキル、シクロアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ及びアミノからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されており;
は、水素、アルキル又はアルコキシ−アルキルを表し;また
Hetは、ピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル及びピリジニルから選択される複素環式基を表し、このピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル及びピリジニルは、アルキル、ヒドロキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシ−カルボニル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ−カルボニル、N,N−ジアルキル−アミノ−カルボニル、フェニル及びベンジルからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている。
【0013】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式IIa又はIIbのプリニル−ピラゾール誘導体、
【化3】


その立体異性体又はその立体異性体の混合物、そのN−オキシド、そのプロドラッグ、或いはその薬学的に許容される塩であり、式中、
n、X、Y及びRは、上で定義された通りであり;また
、R及びRの1つは水素を表し;R、R及びRの他の2つは、互いに独立して、アルキル、ヒドロキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシ−カルボニル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ−カルボニル、N,N−ジアルキル−アミノ−カルボニル、フェニル又はベンジルを表す。
【0014】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式IIIa又はIIIbのプリニル−インダゾリル誘導体、
【化4】


その立体異性体又はその立体異性体の混合物、そのN−オキシド、そのプロドラッグ、或いはその薬学的に許容される塩であり、式中、n、X、Y、R、R、R及びRは上で定義された通りである。
【0015】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式IVa又はIVbのプリニル−インダゾリル誘導体、
【化5】


その立体異性体又はその立体異性体の混合物、そのN−オキシド、そのプロドラッグ、或いはその薬学的に許容される塩であり、式中、n、X、Y、R、R、R及びRは上で定義された通りである。
【0016】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Va又はVbのプリニル−ベンゾイミダゾリル誘導体、
【化6】


その立体異性体又はその立体異性体の混合物、そのN−オキシド、そのプロドラッグ、或いはその薬学的に許容される塩であり、式中、n、X、Y、R、R、R及びRは上で定義された通りである。
【0017】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式VIa又はVIbのプリニル−ピリジニル誘導体、
【化7】


その立体異性体又はその立体異性体の混合物、そのN−オキシド、そのプロドラッグ、或いはその薬学的に許容される塩であり、式中、n、X、Y、R、R、R及びRは上で定義された通りである。
【0018】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia、Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIa又はVIbの化合物であり、式中、nは、0、1、2又は3である。
【0019】
別の実施形態において、nは、0、1又は2である。
【0020】
別の実施形態において、nは0又は1である。
【0021】
別の実施形態において、nは0である。
【0022】
別の実施形態において、nは1である。
【0023】
別の実施形態において、nは2である。
【0024】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia、Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIa又はVIbの化合物であり、式中、Xは、O、S又はNR’を表し;式中、R’は、水素、アルキル、シクロアルキル、フェニル又はベンジルを表す。
【0025】
別の実施形態において、XはNR’を表し;式中、R’は水素、アルキル、又はシクロアルキルを表す。
【0026】
別の実施形態において、XはNR’を表し;式中、R’は水素又はメチルを表す。
【0027】
別の実施形態において、Xは、O、S又はNHを表す。
【0028】
別の実施形態において、XはOを表す。
【0029】
別の実施形態において、XはSを表す。
【0030】
別の実施形態において、XはNHを表す。
【0031】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia、Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIa又はVIbの化合物であり、式中、Yは、アルキル、シクロアルキル又はフェニルを表し;このアルキル、シクロアルキル及びフェニルは、アルキル、シクロアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ及びアミノからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている。
【0032】
別の実施形態において、Yはシクロアルキル又はフェニルを表し;このシクロアルキル及びフェニルは、アルキル、シクロアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ及びアミノからなる群から選択される置換基により2回以上置換されている。
【0033】
別の実施形態において、Yは、シクロアルキル又はフェニルを表し;このシクロアルキル及びフェニルは、ハロ(特に、フルオロ又はクロロ)及びトリフルオロメチルからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている。
【0034】
別の実施形態において、Yは、シクロアルキル又はフェニルを表し;このシクロアルキル及びフェニルは、ハロ、特に、フルオロ、クロロ又はブロモにより、2回以上置換されている。
【0035】
別の実施形態において、Yはフェニルを表し;このフェニルは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ又はアミノからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている。
【0036】
別の実施形態において、Yはフェニルを表し;このフェニルは、ハロ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ又はアミノからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている。
【0037】
別の実施形態において、Yはフェニルを表し;このフェニルは、ハロ、特に、フルオロ、クロロ又はブロモにより、2回以上置換されている。
【0038】
別の実施形態において、Yはフェニルを表し;このフェニルはハロにより2回置換されている。
【0039】
別の実施形態において、Yはフェニルを表し;このフェニルは、フルオロにより2回以上置換されている。
【0040】
別の実施形態において、Yはフェニルを表し;このフェニルはクロロにより2回以上置換されている。
【0041】
別の実施形態において、Yはフェニルを表し;このフェニルはトリフルオロメチルにより、2回以上置換されている。
【0042】
別の実施形態において、Yはフェニルを表し;このフェニルはシアノにより2回以上置換されている。
【0043】
別の実施形態において、Yはフェニルを表し;このフェニルはニトロにより2回以上置換されている。
【0044】
別の実施形態において、Yはフェニルを表し;このフェニルはアミノにより2回以上置換されている
【0045】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia、Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIa又はVIbの化合物であり、式中、Rは、水素、アルキル又はアルコキシ−アルキルを表す。
【0046】
別の実施形態において、Rは水素を表す。
【0047】
別の実施形態において、Rはアルキルを表す。
【0048】
別の実施形態において、Rはメチルを表す。
【0049】
別の実施形態において、Rはエチルを表す。
【0050】
別の実施形態において、Rはアルコキシ−アルキルを表す。
【0051】
別の実施形態において、Rはメトキシ−エチルを表す。
【0052】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、ピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル及びピリジニルから選択される複素環式基を表し、このピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル及びピリジニルは、アルキル、ヒドロキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシ−カルボニル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ−カルボニル、N,N−ジアルキル−アミノ−カルボニル、フェニル及びベンジルからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている。
【0053】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、ピラゾリル及びピリジニルから選択される複素環式基を表し、このピラゾリル及びピリジニルは、アルキル、ヒドロキシ−アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、アルコキシ−カルボニル、ニトロ、アミノ及びフェニルからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている。
【0054】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、アルキルにより2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0055】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、アルキルにより2回置換されているピラゾリルを表す。
【0056】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、メチルにより2回置換されているピラゾリルを表す。
【0057】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、ハロにより2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0058】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、ハロにより2回置換されているピラゾリルを表す。
【0059】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、トリフルオロメチルにより2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0060】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、ニトロにより2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0061】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、アミノにより2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0062】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、アルキル及びハロからなる群から選択される置換基により2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0063】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、アルキル及びトリフルオロメチルからなる群から選択される置換基により2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0064】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、アルキル及びヒドロキシ−アルキルからなる群から選択される置換基により2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0065】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、アルキル及びアルコキシ−カルボニルからなる群から選択される置換基により2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0066】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、アルキル及びフェニルからなる群から選択される置換基により2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0067】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、アルキルからなる群から選択される置換基により2回以上置換されているピラゾリルを表す。
【0068】
別の実施形態において、本発明の誘導体は式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、アルキルにより2回置換されたピラゾールを表す。
【0069】
別の実施形態において、本発明の誘導体は式Ia又はIbの化合物であり、式中、Hetは、メチルにより2回置換されたピラゾールを表す。
【0070】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、式IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIa又はVIbの化合物であり、式中、R、R及びRの1つは、水素を表し;R、R及びRの他の2つは、互いに独立して、アルキル、ヒドロキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシ−カルボニル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ−カルボニル、N,N−ジアルキル−アミノ−カルボニル、フェニル又はベンジルを表す。
【0071】
別の実施形態において、R、R及びRの1つは、水素を表し;R、R及びRの他の2つは、互いに独立して、アルキル、ヒドロキシ−アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルコキシ−カルボニル、ニトロ、アミノ、フェニル又はベンジルを表す。
【0072】
別の実施形態において、R、R及びRの1つは、水素を表し;R、R及びRの他の2つは、互いに独立して、アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、ニトロ又はアミノを表す。
【0073】
別の実施形態において、R、R及びRの1つは、水素を表し;R、R及びRの他の2つは、互いに独立して、アルキル又はフェニルを表す。
【0074】
別の実施形態において、R、R及びRの1つは、水素を表し;R、R及びRの他の2つは、互いに独立して、アルキルを表す。
【0075】
別の実施形態において、R、R及びRの1つは、水素を表し;R、R及びRの他の2つは、互いに独立して、ハロを表す。
【0076】
別の実施形態において、R、R及びRの1つは、水素を表し;R、R及びRの他の2つは、互いに独立して、アルキル又はフェニルを表す。
【0077】
本発明の別の実施形態において、アルキルはメチルを表す。
【0078】
本発明の別の実施形態において、アルキルはエチルを表す。
【0079】
本発明の別の実施形態において、ハロはフルオロを表す。
【0080】
本発明の別の実施形態において、ハロはクロロを表す。
【0081】
別の実施形態において、本発明の誘導体は、
(3,4−ジクロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−9−エチル−9H−プリン−6−イル]−アミン;(3,4−ジフルオロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−9−メチル−9H−プリン−6−イル]−アミン;又は
その立体異性体又はその立体異性体の混合物、そのN−オキシド、そのプロドラッグ、或いはその薬学的に許容される塩である。
【0082】
本明細書に記載の実施形態の2つ以上の組合せは、本発明の範囲内であると見なされている。
【0083】
置換基の定義
本発明の文脈において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0084】
本発明の文脈において、アルキル基は、1価で飽和の線状又は分岐状炭化水素鎖を示す。この炭化水素鎖は、好ましくは、1から18個の炭素原子(C1〜18−アルキル)、例えば、1から6個の炭素原子(C1〜6−アルキル;低級アルキル)(ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルが含まれる)のものを含む。別の実施形態において、アルキルは、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルを含めて、C1〜4−アルキル基を表す。本発明の別の実施形態において、アルキルは、C1〜3−アルキル基を表し、これは、特に、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであり得る。
【0085】
本発明の文脈において、アルケニル基は、ジ−エン、トリ−エン及びポリ−エンを含めて、1つ又は複数の2重結合を含む炭素鎖を示す。別の実施形態において、本発明でのアルケニル基は、少なくとも1つの2重結合を含み、2から8個の炭素原子(C2〜8−アルケニル)、例えば、2から6個の炭素原子(C2〜6−アルケニル)のものを含む。別の実施形態において、本発明でのアルケニル基は、エテニル;1−若しくは2−プロペニル;1−、2−若しくは3−ブテニル、又は1,3−ブテニル;1−、2−、3−、4−、若しくは5−ヘキセニル、又は1,3−ヘキセニル、又は1,3,5−ヘキセニル;1−、2−、3−、4−、5−、6−、若しくは7−オクテニル、又は1,3−オクテニル、又は1,3,5−オクテニル、又は1,3,5,7−オクテニルである。
【0086】
本発明の文脈において、アルキニル基は、ジ−イン、トリ−イン及びポリ−インを含めて、1つ又は複数の3重結合を含む、線状又は分岐状炭素鎖を示す。別の実施形態において、本発明でのアルキニル基は、少なくとも1つの3重結合を含み、2から8個の炭素原子(C2〜8−アルキニル)、例えば、2から6個の炭素原子(C2〜6−アルキニル)のものを含む。別の実施形態において、本発明でのアルキニル基は、エチニル;1−、若しくは2−プロピニル;1−、2−、若しくは3−ブチニル、又は1,3−ブタジイニル;1−、2−、3−、4−ペンチニル、又は1,3−ペンタジイニル;1−、2−、3−、4−、若しくは5−ヘキシニル、又は1,3−ヘキサジイニル又は1,3,5−ヘキサトリイニル;1−、2−、3−、4−、5−若しくは6−ヘプチニル、又は1,3−ヘプトジイニル、又は1,3,5−ヘプトトリイニル;1−、2−、3−、4−、5−、6−若しくは7−オクチニル、又は1,3−オクトジイニル、又は1,3,5−オクトトリイニル、又は1,3,5,7−オクトテトライニルである。
【0087】
本発明の文脈において、ヒドロキシ−アルキル基は、上で定義されたアルキル基を示し、このヒドロキシ−アルキル基は、1つ又は複数のヒドロキシ基により置換されている。本発明でのヒドロキシ−アルキル基の例には、2−ヒドロキシ−エチル、3−ヒドロキシ−プロピル、4−ヒドロキシ−ブチル、5−ヒドロキシ−ペンチル及び6−ヒドロキシ−ヘキシルが含まれる。
【0088】
本発明の文脈において、シクロアルキル基は、好ましくは3から10個の炭素原子(C3〜10−シクロアルキル)、例えば、3から8個の炭素原子(C3〜8−シクロアルキル)(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが含まれる);又は、例えば、3から6個の炭素原子(C3〜6−シクロアルキル)(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが含まれる)を含む環状アルキル基を示す。
【0089】
本発明の文脈において、シクロアルキル−アルキル基は、上で定義されたシクロアルキル基を示し、このシクロアルキル基は、やはり上で定義されたアルキル基上で置換されている。本発明でのシクロアルキル−アルキル基の例には、シクロプロピルメチル及びシクロプロピルエチルが含まれる。
【0090】
本発明の文脈において、アルコキシ基は、「アルキル−O−」基を示し、式中、アルキルは上で定義された通りである。本発明でのアルコキシ基の例には、メトキシ及びエトキシが含まれる。
【0091】
本発明の文脈において、アルコキシ−アルキル基は、「アルキル−O−アルキル−」基を示し、式中、アルキルは上で定義された通りである。本発明でのアルコキシ−アルキル基の例には、メトキシ−メチル、メトキシ−エチル、エトキシ−メチル、及びエトキシ−エチルが含まれる。
【0092】
本発明の文脈において、アルコキシ−カルボニル基は、「アルキル−O−CO−」基を示し、式中、アルキルは上で定義された通りである。本発明でのアルコキシ−カルボニル基の例には、メチル−、エチル−及びプロピル−エステル基が含まれる。
【0093】
本発明の文脈において、アミノ−カルボニル基は、「アミノ−CO−」基を示す。
【0094】
本発明の文脈において、N,N−ジアルキル−アミノ−カルボニル基は、上で定義されたアルキル基により2置換された、(tert)アミノ−カルボニル基を表す。
【0095】
異性体
本発明の誘導体は、エナンチオマー、ジアステレオマー、さらには、幾何異性体(シス−トランス異性体)を含めて、様々な立体異性体として存在し得る。本発明は、このような異性体のすべて、及び、ラセミ混合物を含めて、それらの任意の混合物を含む。
【0096】
ラセミ体(racemic form)は、公知の方法及び技術によって、光学対掌体に分割できる。ジアステレオマー塩を分離する1つの方法は、光学活性酸の使用、及び塩基による処理によって光学活性アミン化合物を遊離させることによる。ラセミ体(racemate)を光学対掌体に分割する別の方法は、光学活性マトリックスでのクロマトグラフィーに基づく。こうして、本発明のラセミ化合物は、例えば、d−又はl−(酒石酸、マンデル酸、又はカンファースルホン酸)塩の分別晶出によって、それらの光学対掌体に分割できる。
【0097】
本発明の化合物はまた、本発明の化合物と、活性化された光学活性カルボン酸(例えば、(+)若しくは(−)フェニルアラニン、(+)若しくは(−)フェニルグリシン、(+)若しくは(−)カンファン酸から誘導されるもの)との反応によるジアステレオマーアミドの生成によって、或いは、本発明の化合物と光学活性クロロホルマートなどとの反応によるジアステレオマーカルバマートの生成によっても分割され得る。
【0098】
光学異性体を分割するためのさらなる方法は、当技術分野において公知である。このような方法には、Jacques J、Collet A、及びWilen S、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」(John Wiley and Sons、New York(1981年))に記載のものが含まれる。
【0099】
さらに、本発明の化合物のいくつかは、オキシムであるため、−C=N−2重結合の回りの置換基の配置に応じて、2つの形、syn−及びanti−形(Z−及びE−形)で存在し得る。こうして、本発明の化合物は、syn−又はanti−形(Z−及びE−形)であり得る、或いは、それはこれらの混合物であり得る。
【0100】
薬学的に許容される塩
本発明の誘導体は、意図される投与に適する任意の形で提供され得る。適切な形には、本発明の化合物の薬学的に(即ち、生理学的に)許容される塩、及びプレ−又はプロドラッグ形が含まれる。
【0101】
薬学的に許容される付加塩の例には、限定ではなく、無毒の無機及び有機酸付加塩、例えば、塩酸から誘導される塩酸塩、臭化水素酸から誘導される臭化水素酸塩、硝酸から誘導される硝酸塩、過塩素酸から誘導される過塩素酸塩、リン酸から誘導されるリン酸塩、硫酸から誘導される硫酸塩、ギ酸から誘導されるギ酸塩、酢酸から誘導される酢酸塩、アコニット酸から誘導されるアコニット酸塩、アスコルビン酸から誘導されるアスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸から誘導されるベンゼンスルホン酸塩、安息香酸から誘導される安息香酸塩、ケイ皮酸から誘導されるケイ皮酸塩、クエン酸から誘導されるクエン酸塩、エンボン酸から誘導されるエンボン酸塩、エナント酸から誘導されるエナント酸塩、フマル酸から誘導されるフマル酸塩、グルタミン酸から誘導されるグルタミン酸塩、グリコール酸から誘導されるグリコール酸塩、乳酸から誘導される乳酸塩、マレイン酸から誘導されるマレイン酸塩、マロン酸から誘導されるマロン酸塩、マンデル酸から誘導されるマンデル酸塩、メタンスルホン酸から誘導されるメタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸から誘導されるナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸から誘導されるフタル酸塩、サリチル酸から誘導されるサリチル酸塩、ソルビン酸から誘導されるソルビン酸塩、ステアリン酸から誘導されるステアリン酸塩、コハク酸から誘導されるコハク酸塩、酒石酸から誘導される酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸から誘導されるトルエン−p−スルホン酸塩などが含まれる。このような塩は、当技術分野においてよく知られており、記載されている手順によって生成され得る。
【0102】
シュウ酸のような他の酸は、薬学的に許容されるとは見なされないかもしれないが、本発明の誘導体及びその薬学的に許容される酸付加塩を得る中間体として有用である塩の調製において有用であり得る。
【0103】
本発明の化合物の金属塩には、アルカリ金属塩、例えば、カルボキシ基を含む本発明の化合物のナトリウム塩が含まれる。
【0104】
本発明の文脈において、N−含有化合物の「オニウム塩」もまた、薬学的に許容される塩として想定されている。「オニウム塩」の例には、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩、及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が含まれる。
【0105】
本発明の誘導体は、水、エタノールなどのような薬学的に許容される溶媒と一緒に、溶解性又は非溶解性の形で提供され得る。溶解性の形には、また、一水和物、二水和物、0.5水和物、三水和物、四水和物などのような水和した形が含まれ得る。通常、溶解性の形は、本発明の目的にとっては、非溶解性の形と等価であると考えられている。
【0106】
調製方法
本発明の誘導体は、化学合成の通常の方法、例えば実施例に記載されているものによって調製され得る。本出願に記載されている方法での出発材料は、公知である、又は市販の化学品から通常の方法によって容易に調製され得る。
【0107】
本明細書に記載されている反応の最終生成物は、通常の技術によって、例えば、抽出、晶析、蒸留、クロマトグラフィーなどによって分離され得る。
【0108】
生体活性
本発明の誘導体は、in vitroでの実験を経て、カリウムチャネル調節剤として有用であることが見出された。本発明の化合物は、SK1、SK2及び/又はSK3チャネルを選択的に調節できる。
【0109】
それゆえに、別の態様において、本発明は、医薬品の製造のための、本発明の誘導体の使用に関し、この医薬品は、カルシウムチャネル、例えば、SKチャネル(例えば、SK1、SK2及び/又はSK3チャネル)の活性に関連する疾患又は障害の治療又は軽減に有用であり得る。
【0110】
別の実施形態において、カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害は、呼吸器疾患、癲癇、痙攣、発作、欠神発作、血管攣縮、冠動脈攣縮、腎臓障害、多発性嚢胞腎疾患、膀胱痙縮、過活動膀胱(OAB)、尿失禁、膀胱流出閉塞、間質性膀胱炎(IC)、勃起不全、胃腸機能障害、分泌性下痢、虚血、脳虚血、虚血性心疾患、狭心症、冠状動脈心疾患、自閉症、運動失調、外傷性脳損傷、パーキンソン病、双極性障害、精神病、統合失調症、不安、鬱病、躁病、気分障害、痴呆、記憶及び注意欠陥、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、月経困難症、ナルコレプシー、レイノー病、間欠性跛行、シェーグレン症候群、不整脈、高血圧、筋緊張性筋ジストロフィー、痙直、口腔乾燥症、II型糖尿病、高インスリン血症、早産、禿げ、癌、過敏性腸症候群(IBS)、免疫抑制、片頭痛又は疼痛、例えば、骨盤痛若しくは腹痛、或いは、化学物質(特に、オピオイド、ヘロイン、コカイン及びモルヒネ、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン様薬物、並びにアルコール)の乱用の中止によって引き起こされる禁断症状である。
【0111】
別の実施形態において、カリウムチャネルの活性に関連する疾患及び障害は、呼吸器疾患、失禁、勃起不全、不安、癲癇、精神病、統合失調症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)又は疼痛である。
【0112】
別の実施形態において、カリウムチャネルの活性に関連する疾患及び障害は、呼吸器疾患、特に、喘息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は鼻漏である。
【0113】
別の実施形態において、カリウムチャネルの活性に関連する疾患及び障害は、過活動膀胱、例えば、失禁である。
【0114】
別の実施形態において、カリウムチャネルの活性に関連する疾患及び障害は、癲癇、発作、欠神発作又は痙攣である。
【0115】
別の実施形態において、カリウムチャネルの活性に関連する疾患及び障害は統合失調症である。
【0116】
別の実施形態において、カリウムチャネルの活性に関連する疾患及び障害は疼痛である。
【0117】
試験された化合物は、本明細書に記載されているようにして求められた生体活性を、マイクロモル及びサブ−マイクロモルの範囲(即ち、1未満から100μM超まで、例えば、0.1未満から約10μMまで)で示した。
【0118】
医薬組成物
さらに別の態様において、本発明は、治療に有効な量の本発明の誘導体を含む新規医薬組成物を提供する。
【0119】
治療に用いられる本発明の誘導体は原体化合物の状態で投与され得るが、(場合によって、生理学的に許容される塩の形としての)活性成分を、1種又は複数のアジュバント、賦形剤、担体及び/又は希釈剤と一緒に医薬組成物に導入することが好ましい。
【0120】
別の実施形態において、本発明は、本発明の誘導体、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を、そのための1種又は複数の薬学的に許容される担体、及び場合によって、他の治療及び/又は予防成分と一緒に含む医薬組成物を提供する。(複数の)担体は、配合物の他の成分に適合しており、その受容者にとって有害でないという意味において、許容されるのでなければならない。
【0121】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、鼻、局所(バッカル及び舌下が含まれる)、経皮、膣若しくは非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、大脳内、眼内への注射若しくは注入)投与に適するもの、或いは、粉末及び液体エアロゾル投与を含めて、吸入若しくは吹入による、又は徐放系による投与に適する形態のものであり得る。徐放系の適切な例には、本発明の化合物を含む、固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれ、このマトリックスは成形物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態であり得る。
【0122】
このように、本発明の誘導体は、通常のアジュバント、担体、又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及びその単位投与(unit dosage)の形態に置かれ得る。このような形態には、固形剤、特に、錠剤、充填カプセル、粉末及びペレットの形態、並びに、液剤、特に、水性又は非水性溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、及びこれらにより充填されたカプセル(以上、すべて経口用途)、直腸投与のための座薬、並びに非経口用途のための滅菌注入液が含まれる。このような医薬組成物及びそれらの単位投与形態は、さらなる活性化合物又は活性素と共に、又はそれらなしに、通常の成分を通常の比率で含み得る、また、このような単位投与形態は、使用される1日当たりの用量範囲に対応する任意の適切で有効な量の活性成分を含み得る。
【0123】
本発明の誘導体は、多様な経口及び非経口の投与形態で投与できる。以下の投与形態は、活性成分として、本発明の化合物、又は本発明の化合物の薬学的に許容される塩のいずれかを含み得ることが、当業者には明らかであろう。
【0124】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は、固体又は液体であり得る。固体の形態の製剤(preparation)には、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、カシェー、座薬、及び分散性顆粒が含まれる。固体の担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑剤、懸濁剤、バインダー、保存剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材料としての役目もまた果たし得る1種又は複数の物質であり得る。
【0125】
粉末では、担体は、細かく分割された活性成分との混合物として存在する細かく分割された固体である。
【0126】
錠剤では、活性成分は、適切な比率で必要な結合能力を有する担体と混合され、所望の形状及び大きさに固められる。
【0127】
粉末及び錠剤は、好ましくは、5又は10から約70パーセントの活性化合物を含む。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどである。「製剤」という用語は、カプセル(活性成分は(担体と共に又は担体なしに)カプセル中に担体によって囲まれているので、担体はカプセルと結び付いている)を提供する担体としてのカプセル化材料と活性化合物の配合剤(formulation)を含むものとする。同様に、カシェー及び薬用ドロップ(lozenge)が含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸剤、カシェー、及び薬用ドロップは、経口投与に適する固体の形態として用いることができる。
【0128】
座薬の調製では、低融点ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドの混合物又はココアバター)が、最初に溶融され、活性成分が、攪拌によるなどして、それに均質に分散される。次いで、溶融した均質な混合物は、都合のよい大きさの型に注入され、放冷される結果、固化する。
【0129】
膣投与に適する組成物は、活性成分以外に、当技術分野において適切であると知られている担体を含む、膣座薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム(foam)又はスプレーとして提供され得る。
【0130】
液体製剤には、溶液、懸濁液、及びエマルジョンが、例えば、水又は水−プロピレングリコールの溶液が含まれる。例えば、非経口注入液製剤は、ポリエチレングリコール水溶液の溶液として配合され得る。
【0131】
このように、本発明による誘導体は、非経口投与(例えば、注入による、例えば、ボーラス注入又は連続注入)のために配合され得る、また、アンプル、予め充填された注射器、小容量注入液として単位用量(unit dose)の形態で、又は保存剤が添加された多数回用量容器として、提供され得る。これらの組成物は、懸濁液、溶液、又は油性若しくは水性媒体中のエマルジョンのような形態をとり得る、また、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような配合剤を含み得る。代わりに、活性成分は、使用前に適切な媒体(例えば、滅菌したパイロジェンフリー水)により再溶解される粉末の形態(滅菌固体の無菌隔離によって又は溶液からの凍結乾燥によって得られる)であってもよい。
【0132】
経口用途に適する水性溶液は、活性成分を水に溶かし、望まれる場合、適切な着色剤、香味剤、安定剤及び増粘剤を加えることによって調製できる。
【0133】
経口用途に適する水性懸濁液は、細かく分割された活性成分を、粘性のある材料(例えば、天然又は合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又は他のよく知られた懸濁剤)を含む水に分散させることによって製造できる。
【0134】
やはり含まれるのは、使用のすぐ前に、経口投与のための液体の形態の製剤に変換することを意図した固体の形態の製剤である。このような液体の形態には、溶液、懸濁液、及びエマルジョンが含まれる。これらの製剤は、活性成分以外に、着色剤、香味剤、安定剤、緩衝液、人工及び天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0135】
表皮への局所投与では、本発明による化合物は、軟膏、クリーム又はローションとして、或いは経皮パッチとして配合され得る。軟膏及びクリームは、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を添加して、水性又は油性のベースを用いて配合され得る。ローションは、水性又は油性のベースを用いて配合され得る、また、通常、1種又は複数の、乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は着色剤もまた含むであろう。
【0136】
口内における局所投与に適する組成物には、香味ベース(通常、スクロース及びアカシア又はトラガカント)に活性剤を含む薬用ドロップ;不活性ベース(例えば、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシア)に活性剤を含むトローチ(pastille);並びに、適切な液体担体に活性成分を含むマウスウォッシュが含まれる。
【0137】
溶液又は懸濁液は、通常の手段によって、例えば、スポイト(dropper)、ピペット又はスプレーにより鼻腔に直接付けられる。これらの組成物は、1回用量又は多数回用量の形態で提供され得る。スポイト又はピペットでの後者の場合、これは、予め決まった適当な容積の溶液又は懸濁液を投与する患者によって実施され得る。スプレーの場合、これは、例えば、噴霧スプレーポンプに計量して供給することによって実施され得る。
【0138】
気道への投与は、活性成分が、クロロフルオロカーボン(CFC)(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン)、二酸化炭素、或いは他の適切なガスのような適切な圧縮不活性ガスを用いる加圧容器として供給されるエアロゾル製剤によってもまた達成され得る。エアロゾルは、都合よく、レシチンのような界面活性剤もまた含み得る。薬剤の用量は、計量バルブを備えることによって制御され得る。
【0139】
代わりに、活性成分は、ドライ粉末の形態で、例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)及びポリビニルピロリドン(PVP)のような適切な粉末ベース中に本発明の化合物を混ぜた粉末混合物として提供され得る。都合よく、粉末担体は鼻腔内でゲルを生成する。粉末組成物は、単位用量の形態で、例えば、カプセル又はカートリッジ(例えばゼラチンの)として、或いは、ブリスターパック(これから、粉末が吸入器によって投与され得る)として提供され得る。
【0140】
鼻腔内組成物を含めて、気道への投与が意図される組成物において、組成物は、通常、例えば5ミクロン以下の程度の小さな粒径を有するであろう。このような粒径は、当技術分野において公知の手段によって、例えば微粉化(micronization)によって得ることができる。
【0141】
望まれる場合、活性成分を徐放するようになっている組成物が用いられ得る。
【0142】
医薬製剤は、好ましくは、単位投与の形態になっている。このような形態において、製剤は、適量の活性成分を含む単位用量に小分割される。単位投与の形態は、パッケージ化された製剤であり得る(このパッケージは離散量の製剤、例えば、パッケージ化された錠剤、カプセル、及びバイアル又はアンプル内の粉末を含む)。また、単位投与形態は、カプセル、錠剤、カシェー、又は薬用ドロップそれ自体であり得る、或いは、単位投与形態は、パッケージ化された形態の適切な数のこれらのいずれかであり得る。
【0143】
一実施形態において、本発明は、経口投与のための錠剤又はカプセルを提供する。
【0144】
別の実施形態において、本発明は、静脈内投与及び連続注入のための液剤を提供する。
【0145】
製剤及び投与についての技術のさらなる詳細は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、PA)の最新版に見出すことができる。
【0146】
治療に有効な用量とは、症状又は病状を改善する活性成分の量を表す。治療効果及び毒性、例えば、ED50及びLD50は、細胞培養又は実験動物での標準的な薬理学的手順によって求めることができる。治療と毒性の効果の間の用量比は、治療指数であり、比LD50/ED50によって表すことができる。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。
【0147】
投与される用量は、言うまでもなく、治療されている個体の年齢、体重及び病状、さらには投与経路、投与形態及び投与計画に対して注意深く調節されなければならず、所望の結果、及び正確な投与量は、言うまでもなく、専門家によって決定されるべきである。
【0148】
実際の投与量は、治療されている疾患の特質及び重症度並びに投与経路に応じて決まり、医師の裁量に任されており、所望の治療効果を生じるように、本発明の特定の状況に対する投与量の増減によって変更され得る。しかし、1回用量当たり、約0.1から約500mg、例えば、約1から約100mg、例えば、約1から約10mgの活性成分を含む医薬組成物が治療処置にとって適切であると、現在は想定されている。
【0149】
活性成分は、1日当たり1回又は数回、投与され得る。満足すべき結果は、特定の事例において、0.1μg/kg i.v.及び1μg/kg p.o.のように少ない投与量によって得ることができる。投与量範囲の上限は、約10mg/kg i.v.及び100mg/kg p.o.であると、現在は見なされている。他の範囲は、約0.1μg/kgから約10mg/kg/日 i.v.、及び約1μg/kgから約100mg/kg/日 p.o.である。
【0150】
治療方法
別の態様において、本発明は、ヒトを含めて、動物生体の疾患若しくは障害若しくは病状の予防、治療又は軽減のための方法を提供し、この疾患若しくは障害若しくは病状は、カリウムチャネル、特にSKチャネルの調節に反応し、この方法は、ヒトを含めて、それを必要としているこのような動物生体に、治療に有効な量の本発明の誘導体を投与することを含む。
【0151】
本発明に合致すると想定される徴候は、前記のものである。
【0152】
適切な投与量範囲は、通常の通り、投与の正確な方式、投与される形態、投与が対象とする徴候、当該患者及び当該患者の体重、さらに、担当の医師又は獣医の選択及び経験に応じて、1日当たり0.1から1000ミリグラム、1日当たり10〜500ミリグラム、又は1日当たり30〜100ミリグラムであると、現在は想定されている。
【0153】
満足すべき結果は、特定の事例において、0.005mg/kg i.v.及び0.01mg/kg p.o.のように少ない投与量によって得ることができる。投与量範囲の上限は、約10mg/kg i.v.及び100mg/kg p.o.である。他の範囲は、約0.001から約1mg/kg i.v.及び約0.1から約10mg/kg p.o.である。
【実施例】
【0154】
本発明が、次の実施例を参照してさらに例示され、これらの実施例は、特許請求の範囲に記される本発明の範囲を決して限定しようとするものではない。
【0155】
(実施例1)
2,6−ジクロロ−9−メチル−9H−プリン及び2,6−ジクロロ−7−メチル−7H−プリン(中間体化合物)
【化8】


水素化ナトリウム(ミネラルオイル中60%、2.53g、63.5mmol)を、2,6−ジクロロプリン(10.0g、52.9mmol)の氷冷したテトラヒドロフラン(75mL)溶液に加え、混合物を30分間攪拌した。ヨウ化メチル(3.29mL、52.9mmol)を滴下して加え、反応混合物を室温で一夜攪拌した。水を加え、水性相を2回酢酸エチルにより抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空で濃縮した。ジクロロメタンを加え、未溶解物を濾過によって除去した。結晶性化合物は、2,6−ジクロロ−7−メチル−7H−プリン(1.19g、11%)であることが分かった。濾液を真空で濃縮し、酢酸エチル/ヘプタンを溶離剤としてフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、2,6−ジクロロ−9−メチル−9H−プリン(3.0g、28%)を得た。
【0156】
2,6−ジクロロ−9−エチル−9H−プリン及び2,6−ジクロロ−7−エチル−7H−プリン(中間体化合物)
【化9】


これらを、ヨウ化メチルの代わりにヨウ化エチルを用いて、実施例1に従って調製した。
【0157】
(実施例2)
N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ホルムアミド(中間体化合物)
【化10】


3,4−ジクロロアニリン(5.0g、30.9mmol)及びギ酸(25mL、663mmol)を30分間加熱還流した。混合物を真空で濃縮した。炭酸ナトリウム飽和水溶液を加え、水性相を2回酢酸エチルにより抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空で濃縮して、N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ホルムアミド(5.5g、94%)を、ベージュ色の結晶性化合物として得た。
【0158】
N−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−ホルムアミド(中間体化合物)
【化11】


これを、3,4−ジフルオロアニリン及びギ酸から、実施例2に従って調製した。
【0159】
(実施例3)
(2−クロロ−9−エチル−9H−プリン−6−イル)−(3,4−ジクロロ−フェニル)−アミン(中間体化合物)
【化12】


N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ホルムアミド(1.75g、9.2mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶かした。水素化ナトリウム(ミネラルオイル中60%、440mg、11.1mmol)を加え、混合物を30分間攪拌した。2,6−ジクロロ−9−エチル−9H−プリン(2.0g、9.2mmol)を加え、反応混合物を一夜加熱還流し、室温に冷却し、水に注いだ。水性相を酢酸エチルにより2回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空で濃縮した。再結晶により、(2−クロロ−9−エチル−9H−プリン−6−イル)−(3,4−ジクロロ−フェニル)−アミン(1.36g、43%)を黄色の結晶性化合物として得た。
【0160】
(2−クロロ−9−メチル−9H−プリン−6−イル)−(3,4−ジクロロ−フェニル)−アミン(中間体化合物)
【化13】


これを、N−(3,4−ジクロロ−フェニル)−ホルムアミド及び2,6−ジクロロ−9−メチル−9H−プリンから、実施例3に従って調製した。
【0161】
(実施例4)
(3,4−ジクロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−9−エチル−9H−プリン−6−イル]−アミン(化合物4.1)
【化14】


水素化ナトリウム(ミネラルオイル中60%、180mg、4.55mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶かした3,5−ジメチルピラゾール(360mg、3.8mmol)に加え、混合物を室温で30分間攪拌した。(2−クロロ−9−エチル−9H−プリン−6−イル)−(3,4−ジクロロ−フェニル)−アミン(1.3g、3.80mmol)を加え、反応混合物を150℃で7日間加熱し、室温に冷却し、水に注いだ。水性相を酢酸エチルにより2回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア)によって精製して、(3,4−ジクロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−9−エチル−9H−プリン−6−イル]−アミン(30mg、2%)を黄色の発泡体として得た。
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、402.1006Daを示す。計算値402.100074Da、相違1.3ppm。
【0162】
(実施例5)
(3,4−ジフルオロ−フェニル)−(2−ヒドラジノ−9−メチル−9H−プリン−6−イル)−アミン(中間体化合物)
【化15】


(2−クロロ−9−メチル−9H−プリン−6−イル)−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−アミン(2.42g、8.18mmol)をテトラヒドロフラン(40mL)に溶かした。ヒドラジン一水和物(20mL、403mmol)を加え、反応混合物を一夜加熱還流した。翌日、水を加え、得られた固体を濾過によって捕集し、水により洗い、乾燥して、(3,4−ジフルオロ−フェニル)−(2−ヒドラジノ−9−メチル−9H−プリン−6−イル)−アミン(2.15g、90%)を灰色結晶性化合物として得た。
【0163】
(実施例6)
(3,4−ジフルオロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−9−メチル−9H−プリン−6−イル]−アミン(化合物6.1)
【化16】


(3,4−ジフルオロ−フェニル)−(2−ヒドラジノ−9−メチル−9H−プリン−6−イル)−アミン(200mg、0.67mmol)及び2,4−ペンタンジオン(0.10mL、0.96mmol)を、エタノール(10mL)中、30分間加熱還流した。水を加え、白色結晶性化合物を濾過によって捕集し、水により洗い、乾燥して、(3,4−ジフルオロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−9−メチル−9H−プリン−6−イル]−(4−フルオロ−フェニル)−アミン(170mg、70%)を得た。
[M+H]のLC−ESI−HRMSは356.144Daを示す。計算値356.143524Da、相違1.3ppm。
【0164】
(実施例7)
生体活性
下の実施例は本発明の化合物の生体活性を例示する。例えばWO2006/100212に記載されているように、小コンダクタンスCa2+活性化Kチャネル(SKチャネル、サブタイプ3)を通るイオン電流が、hSK3チャネルを発現するHEK293組織培養細胞を用いて、古典的なパッチクランプの設定でパッチクランプ法のホールセル(whole−cell)方式を用いて記録される。
【0165】
求めたSC100の値は、ベースライン電流を100%だけ増加させるのに必要とされる賦活濃度として定義される。下のSC100の値は、本発明の化合物のSK3活性化特性を示すものである。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia又はIbのプリニル誘導体、
【化1】


その立体異性体又はその立体異性体の混合物、そのN−オキシド、そのプロドラッグ、或いはその薬学的に許容される塩[式中、
nは、0、1、2又は3であり;
XはO、S又はNR’を表し、式中、R’は水素、アルキル、シクロアルキル、フェニル又はベンジルを表し;
Yは、アルキル、シクロアルキル又はフェニルを表し;このアルキル、シクロアルキル又はフェニルは、アルキル、シクロアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ及びアミノからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されており;
は、シクロアルキル、フェニル又はベンジルを表し;また、
Hetは、ピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル及びピリジニルから選択される複素環式基を表し、このピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル及びピリジニルは、アルキル、ヒドロキシ−アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシ−カルボニル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ−カルボニル、N,N−ジアルキル−アミノ−カルボニル、フェニル及びベンジルからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている]。
【請求項2】
nが0、1又は2である、請求項1に記載のプリニル誘導体。
【請求項3】
Xが、O、S又はNR’を表し;式中R’が水素又はアルキルを表す、請求項1又は2に記載のプリニル誘導体。
【請求項4】
Yが、シクロアルキル又はフェニルを表し;このシクロアルキル及びフェニルが、アルキル、シクロアルキル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ及びアミノからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載のプリニル誘導体。
【請求項5】
が水素又はアルキルを表す、請求項1から4までのいずれか一項に記載のプリニル誘導体。
【請求項6】
Hetが、ピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル及びピリジニルから選択される複素環式基を表し、このピラゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル及びピリジニルが、アルキル、ヒドロキシ−アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシ−カルボニル、シアノ、ニトロ、アミノ、フェニル及びベンジルからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載のプリニル誘導体。
【請求項7】
Hetが、ピラゾリルを表し、このピラゾリルが、アルキル、ヒドロキシ−アルキル、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシ−カルボニル、シアノ、ニトロ、アミノ、フェニル及びベンジルからなる群から選択される置換基により、2回以上置換されている、請求項6に記載のプリニル誘導体。
【請求項8】
(3,4−ジクロロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−9−エチル−9H−プリン−6−イル]−アミン;
(3,4−ジフルオロ−フェニル)−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−9−メチル−9H−プリン−6−イル]−アミン;又は
その立体異性体又はその立体異性体の混合物、そのN−オキシド、そのプロドラッグ、或いはその薬学的に許容される塩である請求項1に記載のプリニル誘導体。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載のプリニル誘導体、又はその薬学的に許容される付加塩、又はそのプロドラッグの治療に有効な量を、少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物。
【請求項10】
カリウムチャネルの活性に関連する、ヒトを含めた哺乳動物の疾患又は障害又は病状の治療、予防又は軽減のための医薬品の製造のための、請求項1から8までのいずれか一項に記載のプリニル誘導体の使用。
【請求項11】
カリウムチャネルの活性に関連する疾患又は障害が、呼吸器疾患、癲癇、痙攣、発作、欠神発作、血管攣縮、冠動脈攣縮、腎臓障害、多発性嚢胞腎疾患、膀胱痙縮、尿失禁、過活動膀胱、膀胱流出閉塞、間質性膀胱炎、勃起不全、胃腸機能障害、分泌性下痢、虚血、脳虚血、虚血性心疾患、狭心症、冠状動脈心疾患、自閉症、運動失調、外傷性脳損傷、パーキンソン病、双極性障害、精神病、統合失調症、不安、鬱病、躁病、気分障害、痴呆、記憶及び注意欠陥、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、月経困難症、ナルコレプシー、レイノー病、間欠性跛行、シェーグレン症候群、不整脈、高血圧、筋緊張性筋ジストロフィー、痙直、口腔乾燥症、II型糖尿病、高インスリン血症、早産、禿げ、癌、過敏性腸症候群、免疫抑制、片頭痛若しくは疼痛、又は、化学物質(特に、オピオイド、ヘロイン、コカイン及びモルヒネ、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン様薬物、並びにアルコール)の乱用の中止によって引き起こされる禁断症状である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
カリウムチャネルの調節に反応する、ヒトを含めた動物生体の疾患又は障害又は病状の治療、予防又は軽減の方法であって、それを必要としている、ヒトを含めた、このような動物生体に、請求項1から8までのいずれか一項に記載のプリニル誘導体の治療に有効な量を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2010−522721(P2010−522721A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500275(P2010−500275)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053657
【国際公開番号】WO2008/116912
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】