説明

プリプレグおよびその製造方法

【課題】 耐衝撃性に優れた複合材料を与え、単純かつ容易に製造でき、表面のタック保持性に優れるプリプレグを提供することにある。
【解決手段】
次の構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[C]が片面または両面の表層近傍に局在化したプリプレグと、構成要素[A]に構成要素[B]を含浸し、ベースプリプレグを得、ついでベースプリプレグに構成要素[C]を散布した後、加熱加圧して製造するプリプレグの製造方法である。
[A]:長繊維からなる強化繊維
[B]:マトリックス樹脂
[C]:繊維長が10〜25mmである熱可塑性樹脂の短繊維

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリプレグおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリプレグの表面にランダム配向した熱可塑性樹脂からなる長繊維を配置することで、タック性を保持したまま耐衝撃性の改良された複合材料を与えることが示されている。
【0003】
一方、特許文献2には、繊維長8mmの短繊維状熱可塑性樹脂を表面に局在化させることで耐衝撃性の改良された複合材料を与えることを示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開1994/016003号公報
【特許文献2】特開平4−292909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、長繊維をランダムに配向させる場合、熱可塑性樹脂からなる長繊維は非常に嵩高い構造を持ってしまい、熱可塑性樹脂からなる長繊維は、より多くの熱硬化性樹脂を保持することとなるため、比較的低い粘度のマトリックス樹脂を用いた場合に、熱可塑性樹脂からなる長繊維層にマトリックス樹脂が徐々に吸い込まれ、プリプレグ表面のタックが低下する問題をあった。
【0006】
特許文献2の方法では、一部の短繊維状熱可塑性樹脂がプリプレグの厚み方向に立ってしまうために、短繊維状熱可塑性樹脂が嵩高い構造を持ち、結果として比較的粘度の低いマトリックス樹脂を用いた場合にタックを保持できない問題があった。
【0007】
そこで、本発明は耐衝撃性に優れた複合材料を与え、単純かつ容易に製造でき、表面のタック保持性に優れるプリプレグとその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達するため次の構成を有する。
【0009】
すなわち本発明の要旨は、下の1)〜5)の通りである。
1)次の構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[C]が片面または両面の表層近傍に局在化したプリプレグ。
[A]:長繊維からなる強化繊維
[B]:マトリックス樹脂
[C]:繊維長が10〜25mmである熱可塑性樹脂の短繊維
2)構成要素[A]に構成要素[B]を含浸し、ベースプリプレグを得、ついでベースプリプレグに構成要素[C]を散布した後、加熱加圧して製造する1)記載のプリプレグの製造方法。
3)構成要素[B]の表面に構成要素[C]を散布し、貼り合わせたものをまず製作し、これを構成要素[A]と貼りあわせ、加熱加圧して形成する1)のプリプレグの製造方法。
4)構成要素[A]の上に構成要素[C]を載せ、ついで構成要素[B]を含浸させることにより形成する1)のプリプレグの製造方法。
5)2)〜4)の方法により形成した2次ベースプリプレグの上に構成要素[B]を貼り合わせて形成するプリプレグの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプリプレグは、耐衝撃性に優れた複合材料を与え、単純かつ容易に製造でき、表面のタック保持性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0012】
<構成要素[A]>
本発明で構成要素[A]として用いられるのは、長繊維からなる強化繊維であり、複合材料の使用目的に応じた様々なものが使用できる。
【0013】
本発明に用いる強化繊維の具体例としては、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、タングステンカーバイド繊維、ガラス繊維などが挙げられる。強化繊維は複数種を組み合わせて使用することもできる。
【0014】
これらのうち比強度、比弾性率が良好で軽量化に大きな寄与が認められる炭素繊維や黒鉛繊維が本発明には最適である。炭素繊維や黒鉛繊維は用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、引張伸度1.5%以上の高強度炭素繊維が複合材料の強度発現のため適している。引張強度450kgf/mm2 、引張伸度1.7%以上の高強度高伸度炭素繊維はさらに好ましく、引張伸度1.9%以上の高強度高伸度炭素繊維が最も適している。また、炭素繊維や黒鉛繊維は他の強化繊維を混合して用いてもかまわない。
【0015】
強化繊維は、その形状や配列を限定されず、たとえば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物状、組み紐状であっても使用可能である。また、特に、比強度、非弾性率が高いことを要求される用途には強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易な織物状の配列も本発明には適している。
【0016】
<構成要素[B]>
本発明に構成要素[B]として用いられるマトリックス樹脂には、熱または光や電子線などの外部からのエネルギーにより硬化する樹脂が主成分として用いられ、特に熱により硬化するいわゆる熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
【0017】
本発明に適した熱硬化性樹脂としては、特にエポキシ樹脂があげられ、一般に硬化剤や硬化触媒と組合せて用いられる。特に、アミン類、フェノール類、炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、アミン類を前駆体とするエポキシ樹脂として、テトラグルシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、ジグリジシルアニリン、ジグリジシルトルイジンの各種異性体が挙げられる。フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、などが挙げられる。炭素炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂等があげられる。また、これらのエポキシ樹脂の中でも、ジシクロペンタジエン、ナフタレン、オキサジゾリドン環、ビフェニル、キサンテンなどの骨格を持つエポキシ樹脂は耐熱性や剛性に優れるため好ましい。また、これらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂も用いられる。
【0018】
エポキシ樹脂はエポキシ硬化剤と組合せて好ましく用いられる。エポキシ硬化剤はエポキシ基と反応しうる活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。好ましくは、アミノ基、酸無水物基、アジド基を有する化合物が適している。具体的には、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、ジアミノジフェニルメタンの各種誘導体、アミノ安息香酸エステル類が適している。具体的に説明すると、ジシアンジアミドはプリプレグの保存性に優れるため好んで用いられる。また、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるため本発明には最も適している。
【0019】
また、フェノール樹脂やベンゾオキサジン樹脂などもエポキシ樹脂の硬化剤として用いることができる。
【0020】
アミノ安息香酸エステル類としては、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエートやネオペンチルグリコールジ−p−アミノベンゾエートが好んで用いられ、ジアミノジフェニルスルホンに比較して、耐熱性に劣るものの、引張伸度に優れるため用途に応じて選択して用いられる。
【0021】
構成要素[B]に用いるエポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂としては、マレイミド樹脂、アセチレン末端を有する樹脂、ナジック酸末端を有する樹脂、シアン酸エステル末端を有する樹脂、ビニル末端を有する樹脂、アリル末端を有する樹脂も好ましく用いられる。これらは適宜、エポキシ樹脂や他の樹脂と混合しても良い。また、反応性希釈剤を用いたり熱可塑性樹脂やエラストマーなどの改質剤を耐熱性が大きく低下しない程度に混合して用いたりしてもかまわない。
【0022】
上記のビスマレイミドとシアン酸エステルで構成されるビスマレイミド・トリアジン樹脂(BT樹脂)も本発明の構成要素[B]に用いる熱硬化性樹脂として好適である。シアン酸エステル末端を有する樹脂としては、ビスフェノールAに代表される多価フェノールのシアン酸エステル化合物が好適である。シアン酸エステル樹脂とビスマレイミド樹脂と組合せた樹脂は、三菱ガス化学(株)製からBTレジンとして市販されており本発明に適している。これらは一般にエポキシ樹脂より、耐熱性と耐水性が良好である半面、靭性や耐衝撃性が劣るため用途に応じて選択して用いられる。
【0023】
さらに、末端反応性基を持つ熱硬化性ポリイミド樹脂も本発明の構成要素[B]として好適である。末端反応性基としてはナジイミド基、アセチレン基、ベンゾシクロブテン基などが好適である。
【0024】
また、本発明の構成要素[B]には、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂といった工業界で広く認知された熱硬化性樹脂も用いることができる。
【0025】
また、本発明の構成要素[B]には、熱硬化性樹脂の他に熱可塑性樹脂や微粉末状シリカなどの無機質微粒子やエラストマーなどを混合して改質することも可能である。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドポリアクリレート、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンのようなエンジニアリングプラスチックに属する熱可塑性樹脂の一群がより好ましく用いられる。耐熱性に優れることから、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンなどが特に好ましく使用される。
【0026】
また、これらの熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂との反応性の官能基を有することは、靭性向上および硬化樹脂の耐環境性維持の観点から好ましい。特に好ましい官能基としては、カルボキシル基、アミノ基および水酸基などが挙げられる
<構成要素[C]>
構成要素[C]は、熱可塑性樹脂の短繊維である。短繊維の長さは、10mm〜25mmである。この範囲の繊維長を用いることで、プリプレグ表面近傍に局在化した熱可塑性樹脂の短繊維層が密な構造になる。このため、この短繊維層に吸収される構成要素[B]の量を減らすことができ、複合材料の強度低下や構成要素[B]として比較的低粘度のマトリックス樹脂を用いた場合にも径時変化によるタック減少などの不具合を防ぐことができる。短繊維の長さとは、短繊維をギロチンカッターなどによりカットする際に設定する設定長のことである。
【0027】
構成要素[C]は繊維直径として3〜100μmの直径を持つことが好ましい。繊維の直径が細い場合、同じ目付けであれば短繊維の本数が多くなるため、短繊維の重なりが多くなり、結果として嵩高い構造となってしまう。繊維直径を3μm以上にすることでプリプレグ表面近傍に局在化した熱可塑性樹脂の短繊維層を密な構造にすることができ好ましい。一方、短繊維の直径が大きい場合、短繊維の本数が少なくなるため、プリプレグ表面に短繊維同士の隙間が広くなってしまう、このため短繊維層がマトリックス樹脂を保持することが出来ず、結果としてプリプレグ表面のタックが弱くなる。短繊維直径を100μm以下にすることで、プリプレグ表面にタックを出すことができ好ましい。
【0028】
構成要素[C]の素材は熱可塑性樹脂である。主鎖に、炭素炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合、カルボニル結合から選ばれる結合を有する熱可塑性樹脂が代表的である。特に、ポリアミド、ポリカーボナート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリベンズイミダゾールは耐衝撃性に優れるので本発明に使用する不織布の素材として適している。この中でも、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンは、高靭性かつ耐熱性良好であるため本発明に好適である。ポリアミドの靭性は特に優れており非晶質透明ナイロンに属するものを使用することにより耐熱性をも兼ね備えることができる。
【0029】
構成要素[C]は、プリプレグ中において、表層近傍に局在化することが必要である。このことにより、プリプレグから複合材料を作製した場合、一定厚みの層間領域を形成し、構成要素[C]が層間に局在化するため、耐衝撃性の優れた複合材料を与える。表層近傍に局在化するとは、具体的には、構成要素[C]の90%以上が、プリプレグの表面からプリプレグ厚みの30%までの部位に存在することを意味する。構成要素[C]の90%以上が、プリプレグの表面からプリプレグ厚みの20%までの部位に存在する場合は、より顕著に本発明の効果が現れるのでさらに好ましい。
【0030】
前記の条件をはずれ、表層近傍を越えて、層の内部深くに構成要素[C]が多量に存在する場合、層間でのエネルギー吸収が不十分になって複合材料の耐衝撃性、層間靭性の向上効果は小さくなり、また強化繊維の配列を乱し、強化繊維近傍のマトリックス樹脂の分率を低下させるため強度や耐熱性を損なうおそれがある。
プリプレグ中の構成要素[C]の分布は、プリプレグ両面において同様に局在化したものであれば、プリプレグの表裏にかかわりなく自由に積層して複合材料を得ることが可能であるため最適である。しかし、プリプレグの片面のみに構成要素[C]が同様に局在化したプリプレグでも、プリプレグどうしを積層する時に構成要素[C]が必ずプリプレグ間にくるよう使用すれば同様の効果が得られるため、このようなプリプレグも本発明に含まれる。
【0031】
プリプレグ中の構成要素[C]の分布状態は、国際公開1994/016003号公報に記載の方法で評価することができる。
【0032】
構成要素[C]の量は、プリプレグあるいは複合材料中の構成要素[B]と構成要素[C]との総和に対して2〜30質量%の範囲が適している。2質量%以上では効果が発現し、また30質量%以下とすると、プリプレグのタック性は確保される。
【0033】
特に構成要素[B]の剛性を複合材料の圧縮強度の発現に活かしたまま、破断伸度が高く高靭性を有する構成要素[C]で複合材料の層間を高靭化する目的で使用する場合は、むしろ2〜20質量%の少ない範囲のほうが好適であり、さらに好ましくは4〜13質量%の範囲である。
【0034】
以上述べたような構成のプリプレグの製造方法としては、以下のような方法を用いることができる。
【0035】
<プリプレグの製造方法1>
構成要素[A]に構成要素[B]を含浸させベースプリプレグを得、次いで構成要素[C]を散布しプリプレグを形成する。このままでは、構成要素[C]がプリプレグ表面に露出したままになり、タック性が不十分になるので、散布後、ヒートローラーなどを用いて加熱加圧し、構成要素[C]に構成要素[B]を含浸させ、プリプレグ表面にタックを付与することが望ましい。
【0036】
この方法の変法として、構成要素[A]に構成要素[B]の一部を含浸させたものの表面に構成要素[C]を貼り合わせた後、構成要素[B]の残り部分を離型紙などの上に塗布して貼りあわせ、加熱加圧して含浸させてもよい。また、この場合、構成要素[A]に含浸させる構成要素[B]と後工程で貼り合わせる構成要素[B]の組成が異なってもよい。特に、後工程で貼り合わせる構成要素[B]として、構成要素[A]に含浸させる構成要素[B]よりも粘着性の強いものを使用するとプリプレグのタック性を向上させることができ、好ましい。
【0037】
<プリプレグの製造方法2>
離型紙などの支持体に塗布した構成要素[B]の表面に構成要素[C]を貼り合わせた後、構成要素[A]と貼りあわせ、加熱加圧することによりプリプレグを形成する。
【0038】
この方法の変法として、あらかじめ構成要素[A]に構成要素[B]を一部含浸させておいて同様の操作を行う方法も用いることができる。
【0039】
<プリプレグの製造方法3>
構成要素[A]の上に構成要素[C]を載せ、ついで構成要素[B]を含浸させることによりプリプレグを形成する。この方法は構成要素[A]が織物のように形態保持性を持つ場合に特に適している。
【0040】
<プリプレグの製造方法4>
上記の方法1〜3によって形成したプリプレグの表面に離型紙などの支持体に塗布した構成要素[B]を貼りあわせて、プリプレグを形成する。
この工程で貼り合わせる構成要素[B]は上記の方法1〜3によってプリプレグを形成する際に用いる構成要素[B]よりも粘着性の強いものを使用するとプリプレグのタック性を向上させることができ、好ましい。
【実施例】
【0041】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0042】
<タック評価>
プリプレグを室温22℃、湿度50RH%の環境下に24時間放置し、触感テストによりタック評価を行った。
【0043】
評価結果 ○ :取り扱い性に優れたタックである。
【0044】
評価結果 × :タックが弱すぎるため、取り扱い性が悪い。
【0045】
(実施例1)
ナイロン12(ダイセル・ヒュルズ社:L2140)のペレットを80℃で12時間、真空乾燥を行った後、溶融紡糸し、トータルデニール150d、24フィラメントの繊維を得た。得られたナイロン12繊維を20mmの長さでカットし短繊維とした。
【0046】
三菱レイヨン(株)製エポキシ樹脂組成物である#1053Iと三菱レイヨン(株)製、高強度中弾性炭素繊維、MR50Aとからなるベースプリプレグをドラムワイント゛法で製造した。
【0047】
ベースプリプレグの炭素繊維目付は、190g/m、樹脂含有率27質量%であった。ベースプリプレグに上記の短繊維を、7.5g/mの目付けにて散布し、熱プレスにより短繊維層を含浸させ2次プリプレグを得た。次いで、簡易コーターを用いて、離型紙上に22.5g/mの目付けで塗布した樹脂組成物#1053Iを得られた2次プリプレグ上にのせ、熱プレスにより貼り付け、プリプレグを得た。得られたプリプレグの炭素繊維目付は、190g/m、樹脂含有率34.5質量%であった。
【0048】
(実施例2、比較例1、2)
ナイロン12繊維のカット長を12、8、35mmとした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグを得た。プリプレグの炭素繊維目付は、いずれも190g/m2、樹脂含有率34.5重量%であった。
【0049】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のプリプレグは、耐衝撃性に優れた複合材料を与え、単純かつ容易に製造でき、表面のタック保持性に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[C]が片面または両面の表層近傍に局在化したプリプレグ。
[A]:長繊維からなる強化繊維
[B]:マトリックス樹脂
[C]:繊維長が10〜25mmである熱可塑性樹脂の短繊維
【請求項2】
構成要素[A]に構成要素[B]を含浸し、ベースプリプレグを得、ついでベースプリプレグに構成要素[C]を散布した後、加熱加圧して製造する請求項1記載のプリプレグの製造方法。
【請求項3】
構成要素[B]の表面に構成要素[C]を散布し、貼り合わせたものをまず製作し、これを構成要素[A]と貼りあわせ、加熱加圧して形成する請求項1記載のプリプレグの製造方法。
【請求項4】
構成要素[A]の上に構成要素[C]を載せ、ついで構成要素[B]を含浸させることにより形成する請求項1記載のプリプレグの製造方法。
【請求項5】
請求項2〜4の方法により形成した2次ベースプリプレグの上に構成要素[B]を貼り合わせて形成するプリプレグの製造方法。

【公開番号】特開2010−275505(P2010−275505A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132225(P2009−132225)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】