説明

プリンタシステム

【課題】 排紙トレイに長期間放置されたRFIDタグ付き用紙に対し、
第三者に対する使用を制限し、意図しない文書の流通を防ぐ。
【解決手段】 排紙トレイに長期間放置されたRFIDタグ付き用紙に対し、
複写不許可の情報をRFIDタグに書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ付きをネットワークで接続するプリンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグ付き用紙、およびRFIDタグに読み書き可能なリーダライタを具備したプリンタで構成されるプリンタシステムにおいては、RFIDタグ内に複写の許可フラグを持たせることにより、そして機密文書に対しては複写許可フラグを不許可にすることにより、複写を出来なくしセキュリティレベルを保つことが可能となっている。
【0003】
又、別の従来例としては、セキュリティポリシーに基づいたドキュメントの読み取りとネットワーク配信を達成するために、RFID等を用いてドキュメントの識別情報を読み取る識別情報読取手段と、上記識別情報によって指定される動作要件を選択する動作要件選択手段と、上記動作要件選択手段によって選択された1つ以上の動作要件に従って所定動作の実行を制御する動作制御手段とを有する画像形成装置(例えば特許文献1参照)をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2004−152260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し機密文書以外の通常の文書は利便性なども考え、複写許可フラグは許可にされていることが多い。
【0005】
しかしながら排紙トレイに出力したRFIDタグ付き用紙をプリント命令を発行した者が長時間回収に行かず放置されていた場合、RFIDタグ付き用紙がプリント命令を発行した者以外の者に回収され、意図しない複写をされる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記の課題を解決する一手段として、以下の構成を備えるものである。
【0007】
文字、図形、画像等を含む文書データを記憶している文書サーバと、データの読み書きが可能で、そのデータを電波によって送受信するRFIDタグを付属してなるRFIDタグ付き用紙と、前記RFIDタグ付き用紙に形成されている文書を読み込む文書読み込み手段と、前記RFIDタグ付き用紙のRFIDタグ内に記録された前記文書サーバと該文書サーバ内での文書データの記憶位置とを特定する情報を含む文書情報を読み込む文書情報読み込み手段と、前記文書情報読み込み手段によって読み込んだ前記文書情報に基づいて前記文書サーバから該当する文書データを読み込む文書データ読み込み手段と、前記文書読み込み手段によって読み込んだ文書データまたは前記文書データ読み込み手段によって文書データに基づいて前記RFIDタグ付き用紙に記録されている文書を新たなRFIDタグ付き用紙に形成する文書複写手段と、前記文書情報読み込み手段から読み込まれた文書情報を新たなRFIDタグ付き用紙のRFIDタグに形成する文書情報書き込み手段と、前記文書複写手段により出力されたRFIDタグ付き用紙が、ある一定時間以上放置されていた場合、前記RFIDタグ付き用紙のRFIDタグ内の文書情報に複写を不許可にする情報を形成する出力文書管理手段と
を含むことを特徴とするプリントシステム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ある一定の時間を超えて排紙トレイに置かれたRFIDタグ付き用紙に対し、RFIDタグ内の複写許可フラグを不許可にすることにより、排紙トレイに置かれたRFIDタグ付き用紙を複写出来ないようにし、もし他人に持ち去られた場合でも該RFIDタグ付き用紙が複写出来ないことにより意図しない文書の流通を防ぎ従来よりセキュリティレベルを向上することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明によるプリンタシステムを添付図とともに示す実施例に基づき以下に説明する。ここではデジタル複写機を用いたプリンタシステムを例としてあげるが、もちろんインクジェットプリンタやイメージスキャナなどで構成されたプリンタシステムであってもよい。
【0010】
図1は、本発明のRFIDタグ付き用紙、及びRFIDタグに読み書き可能なリーダ・ライタを具備したデジタル複写機、及び文書データを記憶する文書サーバにより構成されるプリンタシステムを概略的に示したブロック図である。
【0011】
100,101はプリント出力された紙で、紙の中にRFIDタグ102が埋め込まれている。103,104,105はデジタル複写機で、各デジタル複写機はRFIDタグと後述する無線通信によりデータの送受信を行うためのリーダライタ106を備えている。107はローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワークで、デジタル複写機103,104が接続されている。デジタル複写機105はLAN107に接続されておらずスタンドアロンでの使用に限定される。108は文書サーバであり、前記LAN107に接続されている。109はPCである。
【0012】
図2はデジタル複写機の構成を示す側断面図である。デジタル複写機200は、原稿画像を読み取るイメージリーダ部201と、イメージリーダ部201で読み取った画像データを再現するプリンタ部202とに大きく分けられる。イメージリーダ部201は、600dpi(dots/inch)の解像度で原稿を読み取り、デジタル信号処理を行う部分である。プリンタ部202は、イメージリーダ部201によって読み取られた原稿画像に対応した画像を1200dpiの解像度で指定用紙にフルカラープリント出力する部分である。イメージリーダ部201において、原稿台ガラス(以下、プラテン)203上の原稿204は、ランプ205で照射され、ミラー206,207,208に導かれ、レンズ209によって、集光された光を電気信号に変換する3ラインセンサ(以下、CCD)210上に像を結び、フルカラー情報レツド(R)、グリーン(G),ブルー(B)成分として信号処理部211に送られる。なお、205,206を固定しているキヤリツジは速度vで、207,208は速度1/2vでラインセンサの電気的走査(主走査)方向に対して垂直方向に機械的に動くことによって、原稿全面を走査(副走査)する。信号処理部211においては、読み取られた画像信号を電気的に処理し、マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),ブラツク(Bk)の各成分に分解し、プリンタ部202に送る。また、イメージリーダ部201における一回の原稿走査につき、M、C、Y、Bkのうちひとつの成分がプリンタ部202に送られ、計4回の原稿走査によって、一回のプリントアウトが完成する。イメージリーダ部201より送られてくるM、C、Y、Bkの各画像信号は、レーザドライバ212に送られる。レーザドライバ212は、送られてきた画像信号に応じ、半導体レーザ213を変調駆動する。レーザ光は、ポリゴンミラー214,f−θレンズ215,ミラー216を介し、感光ドラム217上を走査する。218は回転現像器であり、マゼンタ現像部219、シアン現像部220、イエロー現像部221、ブラツク現像部222より構成され、4つの現像部が交互に感光ドラム217に接し、感光ドラム上に形成された潜像現像をトナーで現像する。223は転写ドラムであり、用紙カセツト224または225より供給される用紙をこの転写ドラム223に巻き付け、感光ドラム上に現像された像を用紙に転写する。この様にして、M、C、Y、Bkの4色が順次転写された後に、用紙は定着ユニツト226を通過して、トナーが用紙に定着された後に排紙トレイ227に排紙される。
【0013】
図3は前記デジタル複写機200における、紙などの記録媒体に印字を行うプリンタ部の電気信号を処理する部分の構成を詳細に示したものである。301はCPUで、プリンタの各部の制御を行うためのものである。302はRAMであり前記CPUが演算した結果や、プリンタが扱う画像データなどを一時的に記憶しておくためのものである。303はROMであり、前記CPUが動作するためのプログラムや、画像データを生成するためのフォントデータなどが格納されている。304は、前記CPU、RAM、ROMが接続されているローカルバスである。305はI/Oバスであり、機能拡張用の内部Busである。306は前記ローカルバスとI/Oバスを接続するためのブリッジ回路である。307はプリンタ部で、紙などの記録媒体に画像を形成するための部分である。電子写真方式やインクジェット方式など様々な形式のプリンタ部が存在する。308はプリンタインターフェース部であり、前記プリンタ部とI/Oバスを接続するためのものであり、CPUの指示に従って302のRAMに格納されている画像データを307のプリンタ部へ転送することが可能である。309はハードディスクドライブであり、画像データのスプールを行ったり、301のCPUが様々の処理を行うためのプログラムなどを格納させておくためのものである。311はネットワークインターフェースコントローラであり、図1の14に示したローカルエリアネットワークへ接続するために使用される。312は、イメージプロセッシングユニット(以下IPU)であり、解像度変換などの画像処理を行うためのものである。313はラスタイメージプロセッサであり、301のCPUの指示により、311のネットワークインターフェース回路を経由して外部から転送されたページ記述言語の画像データをビットマップ画像へ展開し、302のRAMへ展開したビットマップデータを格納するために使用される。314はビデオRAMで、CPUにより外部のCRTやLCDパネルに表示した表示データが書き込まれるものである。315はビデオインターフェースであり、VRAMに格納されている表示データを外部のCRTやLCDパネルに表示するためのインターフェースをするためのものである。316は拡張I/Oインターフェースであり、たとえば携帯機器などと301のCPUが通信などを行うためのインターフェース回路である。
【0014】
通信形態はシリアル通信や、バイセントロインターフェース、またはBluetoothなどの無線通信などの形式がある。106はRFIDリーダライタ部であり、後述するRFIDに対して無線通信によりデータを読み書きするためのものである。
【0015】
図4は前記デジタル複写機200における、スキャナ部の電気信号を処理する部分の構成を詳細に示したものである。401はCPUで、スキャナの各部の制御を行うためのものである。402はRAMであり前記CPUが演算した結果や、スキャナが読み込んだ画像データなどを一時的に記憶しておくためのものである。403はROMであり、前記CPUが動作するためのプログラムなどが格納されている。404は、前記CPU、RAM、ROMが接続されているローカルバスである。405はI/Oバスであり、機能拡張用の内部Busである。406は前記ローカルバスとI/Oバスを接続するためのブリッジ回路である。407はスキャナ部で、不図示の原稿台に置かれた原稿から読み取った光学的な信号を、CCDなどを用いて電子データに変換し、その電子データを転送するための部分である。408はスキャナインターフェース部であり、前記スキャナ部とI/Oバスを接続するためのものであり、CPUの指示に従って、前記スキャナから転送される原稿を読み取った電子データを、402のRAMに転送することが可能である。410はネットワークインターフェースコントローラであり、図1の14に示したローカルエリアネットワークへ接続するために使用される。409は、イメージプロセッシングユニット(以下IPU)であり、解像度変換などの画像処理を行うためのものである。411は拡張I/Oインターフェースであり、たとえば携帯機器などと401のCPUが通信などを行うためのインターフェース回路である。通信形態はシリアル通信や、バイセントロインターフェース、またはBluetoothなどの無線通信などの形式がある。106はRFIDリーダライタ部であり、後述するRFIDに対して無線通信によりデータを読み書きするためのものである。
【0016】
図5においてスキャナ部201及びプリンタ部202に具備されたRFIDタグの読み取り、または書き込みを行うためのリーダライタ部106の詳細な説明を行う。リーダライタ部106は、RFIDタグ部600に対して電波を送信するための送信アンテナ部501と、送信アンテナから送信する電波の変調を行うための変調回路502と、RFIDタグ部600から送られてくる電波を受信するための受信アンテナ部503、受信アンテナ部503より受信した信号を復調するための復調回路504、また送信アンテナ部501と変調回路502、受信アンテナ部503、復調回路504を制御するための制御部505と、上位機器との通信を行うI/F部506と、送信アンテナ部501に接続され、RFIDタグ部600への電力供給を行う電源507から構成される。
【0017】
前記制御部505は、外部からの指示により変調回路502を用いて電力を供給するための電波および、送信するデータを変調して、送信アンテナ部501より外部へ電波を送信する。また、外部より受信した電波信号を、受信アンテナ部503で受信して、復調回路504によって復調したのち、データ信号として扱えるように変換することが可能である。
【0018】
次に図6において、RFIDタグ部600の詳細な説明を行う。RFIDタグ部600は、不揮発性メモリ601、電波602を送受信するためのアンテナ部と、共振コンデンサ部603、電源の整流・平滑を行うための電力形成部604と、電波の変調、復調を行うための復変調部605、制御部606とから構成される。
【0019】
アンテナ部602は、共振コンデンサ603と組み合わされ、共振回路を構成できるようになっている。外部から電力を供給するための電波信号が送られることにより、これを共振回路で受けとって、電力形成部604へ供給し、電力形成部604はRFIDタグ部600を動作させるための電力を供給することが可能となる。前記電力は、不揮発性メモリ601や、復変調回路605へ供給される。制御部606は、RFIDタグ部600の制御を行うためのものである。
【0020】
外部から、電力を供給するための電波とあわせて、RFIDタグ部から読み出す、または書き着込むためのデータも同時に送受信され、RFIDタグ部600へ送られてきた信号は、復変調回路605によって、復調され制御部606を介して、不揮発性メモリ601へ記憶される。また、制御部606によって、不揮発性メモリ601から読み出されたデータは、復変調回路605によって変調され、アンテナ部602から電波信号として送信可能である。
【0021】
図7はプリンタ部202より排紙トレイ207に出力されたRFIDタグ付き用紙101に対する制御を示すフロー図である。まずS701でユーザからの指示により、プリンタ部202よりRFIDタグ付き用紙101が出力される。S702では出力されたRFIDタグ付き用紙101が複写許可されているかどうか判断する。S702にて複写が許可されていないと判断された場合にはS705に進む。S702で複写が許可されていると判断されている場合は、S703で排紙トレイ227に出力されたRFIDタグ付き用紙101が残っているかどうか判断する。これはプリンタ部202に具備されたRFIDリーダライタ106が前出のRFIDタグ付き用紙101のRFIDタグと通信可能かどうかによって判断する。S703にて排紙トレイ227にRFIDタグ付き用紙101が残っていると判断された場合にはS704に進む。S704ではRFIDタグ付き用紙101がプリンタ部202より出力されてから定められた時間を経過したかどうかを判断する。この定められた時間はユーザが設定するものであり、5分や10分などの時間であるが、0であってももちろんかまわない。
【0022】
S704で定められた時間を経過していないと判断された場合にはS703に進み、S704で定められた時間を経過したと判断された場合にはS705に進む。S705においてはRFIDタグ付き用紙101に具備されたRFIDタグに対し、プリンタ部202に具備されたRFIDリーダライタ106が複写許可のフラグを不許可とする情報を書き込む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるプリンタシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明によるプリンタシステムを構成するデジタル複写機の構成図である。
【図3】本発明によるプリンタシステムを構成するデジタル複写機のプリンタ部のブロック図である。
【図4】本発明によるプリンタシステムを構成するデジタル複写機のスキャナ部のブロック図である。
【図5】本発明によるプリンタシステムを構成するRFIDタグ付き用紙内のRFIDタグのブロック図である。
【図6】本発明によるプリンタシステムを構成するデジタル複写機に具備されるRFIDタグのリーダライタのブロック図である。
【図7】本発明によるプリンタシステムによるプリンタ部より出力されたRFIDタグ付き用紙に対する制御を示すフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字、図形、画像等を含む文書データを記憶している文書サーバと、データの読み書きが可能で、そのデータを電波によって送受信するRFIDタグを付属してなるRFIDタグ付き用紙と、
前記RFIDタグ付き用紙に形成されている文書を読み込む文書読み込み手段と、
前記RFIDタグ付き用紙のRFIDタグ内に記録された前記文書サーバと該文書サーバ内での文書データの記憶位置とを特定する情報を含む文書情報を読み込む文書情報読み込み手段と、
前記文書情報読み込み手段によって読み込んだ前記文書情報に基づいて前記文書サーバから該当する文書データを読み込む文書データ読み込み手段と、
前記文書読み込み手段によって読み込んだ文書データまたは前記文書データ読み込み手段によって文書データに基づいて前記RFIDタグ付き用紙に記録されている文書を新たなRFIDタグ付き用紙に形成する文書複写手段と、
を含むことを特徴とするプリントシステム。
【請求項2】
前記文書情報読み込み手段から読み込まれた文書情報を新たなRFIDタグ付き用紙のRFIDタグに形成する文書情報書き込み手段を有することを特徴とする請求項1記載のプリントシステム。
【請求項3】
文書情報には複写の許可、不許可の情報が含まれていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のプリントシステム。
【請求項4】
文書情報には文書サーバを用いる複写の許可、不許可の情報および文書サーバを用いない複写の許可、不許可の情報が含まれていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のプリントシステム。
【請求項5】
前記文書複写手段により出力されたRFIDタグ付き用紙が、ある一定時間以上放置されていた場合、前記RFIDタグ付き用紙のRFIDタグ内の文書情報に複写を不許可にする情報を形成する出力文書管理手段を有することを特徴とする請求項3または請求項4記載のプリントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−133966(P2006−133966A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320568(P2004−320568)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】