説明

プリント基板及びその製造方法、電子部品の実装方法

【課題】プリント基板の製造時に、基板上に凸部を形成することで、プリント基板の表面に位置ズレを防止し、プリント基板の製造時に新たな工程を設けることなく、製造工程を減らし、製造コストを低減することができる。さらに、リフロー時に位置ズレが生じないような電子部品の実装方法を実現することが可能となり、リフロー後の半田接合の信頼性を確保することができる。
【解決手段】本発明にかかるプリント基板は、基板1上に設置した電極間6、7に配設した配線材51と、配線材51上に塗布した保護材52と、保護材52上に印刷したシルク53と、を有する凸部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ等のあらゆる電子機器に用いられ、半導体等の電子部品を実装するためのプリント基板及びその製造方法並びに電子部品の実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板上には、ICソケットや、コンデンサ等の電子部品が実装されている。
プリント基板上に電子部品を実装する場合、プリント基板上に構成された半田ランドの上に、半田クリームを印刷し、この半田クリームの上に電子部品の電極が対面するようにマウントされる。
【0003】
そして、この状態を保持したまま、プリント基板をリフロー炉に投入して加熱し半田クリームを溶融させ、半田ランドと電極を接合させることによって電子部品が実装される。
【0004】
一般的に、数アンペア程度の比較的大きな電流を制御する電子部品は、半田接続部の信頼度を確保するため、リフロー時に半田フィレットが形成されるように、プリント配線板の半田ランドの面積を、電子部品の電極の接地面積よりも一回り大きく構成する。
【0005】
しかし、このようにプリント配線板の半田ランドの面積を、電子部品の電極の接地面積よりも一回り大きく構成すると、電子部品の横方向の位置固定がないため、リフロー時に半田クリームが溶融し電子部品の一方向へのズレが生じることになる。このズレが大きいと、半田ランドから電極がはみ出てしまい、近隣の電極と誤接合を生じるという問題や、所望の接合強度を確保することが困難となる問題がある。
【0006】
このような状況下、リフロー時に位置ズレが生じないような電子部品の実装方法、プリント基板及びその製造方法が、近年、種々検討されてきた。
【0007】
例えば、特許文献1には、IC(集積回路)パッケージをプリント基板に取り付ける場合に位置合わせを容易にした半導体装置に関する発明が記載されている。具体的には、底面に凸部あるいは凹部を設け、上記凸部をプリント基板上に設けられた凸部装着部あるいは上記凹部をプリント基板上に設けられた凹部装着部に装着するようにした半導体装置が記載されている。
【0008】
図4に、特許文献1にかかる半導体装置の構造断面図を示す。
図4には、ICパッケージ100の底面に、凹部102、103が設けられ、また基板101には、凹部102、103が装着される凹部装着部104、105が設けられている。そして、凹部装着部102、103に装着されることにより、ICパッケージ100を基板101に位置合わせすることができる。すなわち、プリント基板の凸部に電子部品底面の凹部を嵌め合わせることで位置を固定しズレを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭58−125853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、発明者は、上記の半導体装置には改善すべき点があると考えた。
図4に係る半導体装置においては、プリント基板は、通常、平板の基材を加工するので、この表面上に凸部を設けるためにプリント基板製造時に新たな工程を設けなければならず、製造工程の増加、ひいては製造コスト増を招くという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプリント基板は、基板上に設置した電極間に配設した配線材と、前記配線材上に塗布した保護材と、前記保護材上に印刷したシルクと、を有する凸部を備える。
【0012】
このような構成により、プリント基板の製造時に、基板上に凸部を備えることで、プリント基板の表面に位置ズレを防止することができる。
【0013】
本発明に係るプリント基板は、基板上に設置した電極間に配設した半田ランドとしての銅箔と、前記銅箔の全体を覆うように塗布したソルダーレジストと、前記ソルダーレジストの上部に印刷したシルクと、を有する凸部を備える。
【0014】
このような構成により、プリント基板の製造時に形成される銅箔、ソルダーレジスト、シルクを積層させ凸部を形成することで、プリント基板の表面に位置ズレを防止することができる。
【0015】
本発明に係るプリント基板の製造方法は、基板上に電極を設置し、前記電極間に配線材を配設し、前記配線材上に保護材を塗布し、前記保護材上にシルクを印刷し、凸部を形成する。
【0016】
このような構成により、プリント基板の製造時に新たな工程を別途設けることなく、製造工数を減らし、製造コストを低減することができる。
【0017】
本発明に係るプリント基板の製造方法は、基板上に設置した電極間に半田ランドの銅箔を配設し、前記銅箔の全体を覆うようにソルダーレジストを塗布し、前記ソルダーレジストの上部にシルクを印刷して凸部を形成する。
【0018】
このような構成により、プリント基板の製造時に形成される銅箔、ソルダーレジスト、シルクを積層させることにより、プリント基板の表面に凸部を形成し、リフロー時に位置ズレを防止するとともに、プリント基板の製造時に新たな工程を別途設けることなく、製造工数を減らし、製造コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、プリント基板の製造時に新たな工程を設けることなく、製造工程を減らし、製造コストを低減するとともに、リフロー後の半田接合の信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電子部品を実装したプリント基板の斜視図である。
【図2】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図2の一部拡大図である。
【図4】関連する技術(特許文献1)に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子部品を実装したプリント基板の斜視図であり、図2は、図2のA−A線に沿った断面図であり、図3は、図2の一部拡大図である。
【0023】
図2において、1はガラスエポキシ樹脂からなる基板であり、基板1の表面に、銅箔からなる半田ランド2、3が形成され、半田ランド2、3の上方にトランジスタの電子部品11がマウントされている。この電子部品11は、電極以外は、モールド樹脂の非導電性の材質で覆われている。
【0024】
ここで、基板1は、ガラスエポキシ樹脂の他に、コンポジット等の材質が用いられる。なお、電子部品11としては、トランジスタの他に、ダイオード、IC(集積回路)等が使用できる。
【0025】
銅箔からなる半田ランド2、3上のソルダーレジスト4は、半田の広がりを制限するとともに、半田溶融時の電子部品の電極位置を制限する。
半田ランド2の上方に形成された電極6は、電子部品11の発熱をプリント基板に放熱するように、他の電極より大きな接地面積を有する。例えば、電子部品11がトランジスタの場合は、電極6はコレクタまたはドレイン端子である。
【0026】
半田ランド3の上方に形成された電極7は、電極6より小さな接地面積を有する。例えば、電子部品11がトランジスタの場合は、電極7はベース、エミッタ、または、ゲート、ソースである。
半田ランド3と電極7の間には、溶融した半田クリーム8が流れ込み、電子部品の端子の先端に、半田フィレットを形成する。半田フィレットを形成することにより、接続強度が確保でき、半田ぬれ性を目視で確認することができるという効果が得られる。
【0027】
次に、図3を参照しつつ、電極6、7間に形成される凸部5についてより具体的に説明する。
基板1上に形成された配線材としての銅箔51は、基板1の製造時に、半田ランド2、3と同一工程で形成される。具体的には、銅箔51は、配線パターン形成時において、銅張積層板の銅箔面にエッチング保護膜を印刷して保護し、そのほかの部分を塩化鉄の水溶液で溶解して除去するようにして形成される。
【0028】
図3に示す保護材としてのソルダーレジスト52は、図2で示すソルダーレジスト4と同一工程で形成される。具体的には、ソルダーレジスト52は、感光性を有するソルダーレジスト用の樹脂ペーストを基板全面に塗布しこれを乾燥させた後、露光及び現像処理を行って開口部を形成した後、これを熱硬化させるようにして形成される。また、ソルダーレジスト52は、銅箔51の全体を覆うように塗布されているが、一部を覆ってもよい。形成されたソルダーレジスト52の上部に、シルク53を印刷する。このシルク53は、通常用いられる工程と同様に、プリント基板表面に回路記号等を印刷して形成する。具体的には、シルク53は、レジスト印刷後にシルクスクリーンを使って形成される。
【0029】
ここで、シルクとは、基板1上に実装する部品の属性、例えば、型式、大きさ、方向、位置等や、基板の部品番号、製造メーカー名等を含んだ図面である。基板1の色に合わせて、シルクは通常白色で印刷される。このように、シルクを基板に印刷するのは、主に、製造ラインの作業者等が目視で部品の属性を確認するためである。
【0030】
上述したように、基板1上に、銅箔51、ソルダーレジスト52およびシルク53を順に積層することにより、基板1上に凸部5を形成する。
【0031】
次に、図2および図3を参照しつつ、基板1上の電子部品11の実装方法について説明する。
半田ランド2およびソルダーレジスト4により、半田接合部は、電極6の接地面積より一回り大きく形成し、半田ランド3およびソルダーレジスト4により、半田接合部は、電極7の接地面積より一回り大きく形成して、それぞれの半田接合部の上部に、クリーム半田を印刷して、電子部品をマウントする。具体的には、(プリント基板の凸部5と電子部品の凹部11がは嵌め合わされる)のようにしてマウントされる。これにより、半田接合の信頼度を確保することができる。
【0032】
実装されたプリント基板が、リフロー炉に投入されると、クリーム半田が溶融し、電子部品11は、接続面積が大きく半田量の多い電極6の方に、横方向に引っ張られる。その結果、ソルダーレジスト4により制限された半田接合部の範囲内でズレを生じる。
【0033】
しかし、プリント基板の凸部5と電子部品の凹部11の壁面が接触することで、所定の範囲を超えては動かず、電極7と半田ランド3は好適に半田接合される。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態に係る発明においては、プリント基板の製造時に形成される銅箔、ソルダーレジスト、シルクを積層させることにより、プリント基板の表面に位置ズレを防止する凸部を形成し、もって、プリント基板の製造時に新たな工程を別途設けることなく、製造工数を減らし、製造コストを低減することができる。さらに、リフロー後の半田接合の信頼性を確保することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 基板
2 半田ランド
3 半田ランド
4 ソルダーレジスト
5 凸部
6 電極
7 電極
8 溶融した半田クリーム
9 半導体
10 溶融した半田クリーム
11 電子部品
51 銅箔
52 ソルダーレジスト
53 シルク
100 ICパッケージ
101 プリント基板
102 凹部
103 凹部
104 凹部
105 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設置した電極間に配設した配線材と、前記配線材上に塗布した保護材と、前記保護材上に印刷したシルクと、を有する凸部を備えるプリント基板。
【請求項2】
前記配線材が銅箔であることを特徴とする請求項1に記載のプリント基板。
【請求項3】
前記保護材がソルダーレジストであることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント基板。
【請求項4】
基板上に設置した電極間に配設した半田ランドとしての銅箔と、
前記銅箔の全体を覆うように塗布したソルダーレジストと、
前記ソルダーレジストの上部に印刷したシルクと、を有する凸部を備えるプリント基板。
【請求項5】
基板上に電極を設置し、前記電極間に配線材を配設し、前記配線材上に保護材を塗布し、前記保護材上にシルクを印刷し、凸部を形成するプリント基板の製造方法。
【請求項6】
前記配線材が銅箔であることを特徴とする請求項5に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項7】
前記保護材がソルダーレジストであることを特徴とする請求項5または6に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項8】
基板上に設置した電極間に半田ランドの銅箔を配設し、
前記銅箔の全体を覆うようにソルダーレジストを塗布し、
前記ソルダーレジストの上部に、シルクを印刷して凸部を形成するプリント基板の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリント基板に、前記凸部に嵌め込む凹部を形成した電子部品を実装する電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−222742(P2011−222742A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90210(P2010−90210)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】