説明

プリント基板用圧延銅箔、及びその製造方法

【課題】プリント基板用基材の表面に圧延銅箔を貼り合わせたCCL(copper clad laminate)である銅張積層板のはんだ耐熱性を向上させたプリント基板用圧延銅箔、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】プリント基板用圧延銅箔1は、銅箔2における基材貼り合わせ面側に、粗化銅めっき層4、ニッケル−コバルト合金めっき層5、亜鉛めっき層6、クロメート処理層7、及びシランカップリング層8を順次積層して形成されている。ニッケル−コバルト合金めっき層5のニッケルとコバルトとのめっき量の合計は、20μg/cm以上45μg/cm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板用圧延銅箔、及びその製造方法に係り、特に、フレキシブルプリント基板用圧延銅箔、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の導電体としては、銅箔又は銅合金箔(以下、単に「銅箔」という。)を用いるのが一般的である。この銅箔は、ポリイミドやガラスエポキシなどの樹脂材料からなる絶縁性のプリント基板用基材の表面に貼り合わせてCCL(copper clad laminate)である銅張積層板を形成する工程、エッチングによりCCLに回路配線を形成する工程、回路配線上に表面処理を行う工程などを経て、プリント基板の導電体として形成される。
【0003】
このCCLの形成では、銅箔とプリント基板用基材との間には高い密着強度が要求される。銅箔とプリント基板用基材との密着性を向上させるため、銅箔の密着面に粗化処理を施し、表面粗度を上げることでアンカー効果を大きくさせることが一般的に行われている。粗化処理された銅箔とプリント基板用基材とを接着させる工程では、加熱時間はプリント基板用基材の種類によって異なるけれども、200℃又はそれ以上の温度で加熱する必要がある。この温度は、銅箔にとって高温の領域であり、銅箔には耐熱性が要求される。
【0004】
銅箔とプリント基板用基材とを接着させた後の工程では、CCLに電子部品を実装するためのはんだ付けを行うので、銅箔のはんだ耐熱性も要求される。銅箔のはんだ耐熱性を向上させるためには、防錆処理として、銅箔の表面にニッケルめっきを施すことが一般的に行われている(例えば、特許文献1参照。)。このニッケルめっきは、銅原子の拡散バリアの働きを有する。安定したニッケルめっきを施すためには、処理液のpHの変動を抑制することが重要であり、pH緩衝剤としてはホウ酸やクエン酸などが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−119902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、粗化処理された銅箔の採用が進んでいく中で、CCLのはんだ耐熱性の要求も高くなってきている。はんだ耐熱性が低いと、銅箔とプリント基板用基材との間に膨れ(気泡)及び剥がれが発生してしまう。はんだ耐熱性の評価方法としては、CCLを一定温度(例えば、200℃以上)のはんだ浴に一定時間(例えば、数秒〜数十秒)浸漬させることで、銅箔とプリント基板用基材との間に気泡や剥がれを発生する現象が起きないか否かを観察する手法がある。
【0007】
CCLのはんだ耐熱性を向上させるためには、銅箔にニッケル−コバルト合金めっきを施し、そのめっき量を増量させることが考えられるが、銅箔の生産ラインの速度を低下させることなく、生産能力の低下を回避するためにニッケル−コバルト合金めっきの電流値を上げる必要がある。しかしながら、ニッケル−コバルト合金めっきは、pHが重要であり、不溶性陽極を使用する場合は、特に、電流値を上げる程、陽極で酸素が発生しやすく、pHは低下しやすくなる。pHの変動を抑制するため、pH緩衝剤の適正な濃度の検討も必要となる。
【0008】
本発明の目的は、プリント基板用基材の表面に圧延銅箔を貼り合わせたCCL(copper clad laminate)である銅張積層板のはんだ耐熱性を向上させたプリント基板用圧延銅箔、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明は、基材と貼り合わせて用いる圧延銅箔の前記基材側の表面上に順次積層して形成され、少なくとも粗化銅めっき層と、ニッケル−コバルト合金めっき層を含む1以上の層からなる防錆処理層とを有し、前記ニッケル−コバルト合金めっき層のニッケルとコバルトとのめっき量の合計が、20μg/cm以上45μg/cm以下であることを特徴とするプリント基板用圧延銅箔にある。
【0010】
[2]上記[1]記載のプリント基板用圧延銅箔は、前記粗化銅めっき層の基材側の表面には、下地銅めっき層が更に形成され、前記粗化銅めっき層の基材側とは反対側の表面には、カプセル銅めっき層が更に形成され、前記防錆処理層は、前記下地銅めっき層から順に、前記ニッケル−コバルト合金めっき層、亜鉛めっき層、クロメート処理層、及びシランカップリング層からなる多層めっき層により構成されていることを特徴とする。
【0011】
[3]上記[1]又は[2]記載のプリント基板用圧延銅箔は、前記ニッケルとコバルトとのめっき量のコバルト/(ニッケル+コバルト)の比を0.4以上0.6以下の値に調整することを特徴とする。
【0012】
[4]本発明は更に、基材と貼り合わせて用いる圧延銅箔の前記基材側の表面上に、少なくとも粗化銅めっき層、及びニッケル−コバルト合金めっき層を含む1以上の層からなる防錆処理層を順次積層して形成するにあたり、硫酸ニッケルを100g/L以上200g/L未満、硫酸コバルトを15g/L以上35g/L未満、及びクエン酸ナトリウムを20g/L以上40g/L未満含有し、pH(水素イオン濃度)値が、2以上4以下であるめっき液を用い、前記ニッケル−コバルト合金めっき層を形成することを特徴とするプリント基板用圧延銅箔の製造方法を提供する。
【0013】
[5]上記[4]記載の製造方法にあって、前記めっき液は、液温を35℃以上55℃以下とし、めっき時の電流密度を3.5A/dm以上5.5A/dm以下とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
銅箔における基材と密着する面のニッケルとコバルトのめっき量の合計を20μg/cm以上45μg/cm以下に調整することで、例えばポリイミド樹脂材料からなる絶縁性のプリント基板用基材の表面に圧延銅箔を貼り合わせたCCLのはんだ耐熱性を向上させることができる。
【0015】
めっき液中に含まれるクエン酸ナトリウム濃度を20g/L以上40g/L以下に調整することで、電流密度3.5A/dm以上5.5A/dm以下の条件でpHの変動を抑制し、安定した製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリント基板用圧延銅箔の断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0018】
(プリント基板用圧延銅箔の構造)
図1において、全体を示す符号1は、プリント基板用の圧延銅箔である。この圧延銅箔1は、フレキシブルプリント基板の導電体となる銅箔として好適に用いられるものであり、銅箔2の基材接着面側(基材側)に粗化銅めっき層(粗化箔)4、及び防錆処理層(粗化箔)3を順次積層形成した薄膜積層構造となっている。
【0019】
この銅箔2としては、例えばタフピッチ銅(TPC)や無酸素銅(OFC)からなる圧延銅箔が用いられる。銅箔2の厚さとしては、例えば32μm程度、好ましくは8〜18μmの範囲が好適である。一方、銅箔2と貼り合わせて用いる図示しない基材としては、例えばポリイミド樹脂材料やガラスエポキシ樹脂材料等からなるシート状又はフィルム状をなす絶縁性のフレキシブルプリント基板が用いられる。
【0020】
(粗化銅めっき層)
この粗化銅めっき層4は、図1に示すように、銅箔2に粗化銅めっきされることで層状に形成されている。粗化銅めっき層4は、例えば十点平均粗さRzが1.0μm程度の粗化処理が施されており、表面全域にわたって均一な粗面化形状を有している。圧延銅箔1、即ち粗化銅めっき層4の表面粗度を上げることで、防錆処理層3に対するアンカー効果が得られる。粗化銅めっき層の膜厚としては、例えば0.4〜0.5μmの範囲が好適である。
【0021】
この粗化銅めっき層4の基材側の表面には、図示しない下地銅めっき層が形成されるとともに、粗化銅めっき層4の基材側とは反対側の表面には、図示しないカプセル銅めっき層が形成されていることが好適である。下地銅めっき層の膜厚としては、例えば0.4μm程度が好適であり、カプセル銅めっき層としては、例えば0.4μm程度が好適である。この下地銅めっき層、及びカプセル銅めっき層の存在により、めっき欠陥のない粗化銅めっき層4を形成することができるようになり、良好なアンカー効果が得られるので、防錆処理層3との密着性が向上する。
【0022】
(防錆処理層)
この防錆処理層3は、図1に示すように、ニッケル−コバルト合金めっき層5、亜鉛めっき層6、クロメート処理層7、及びシランカップリング層8からなる多層のめっき層により構成されている。ニッケル−コバルト合金めっき層5、亜鉛めっき層6、クロメート処理層7、及びシランカップリング層8の全膜厚としては、35〜55μmの範囲が望ましい。
【0023】
(ニッケル−コバルト合金めっき層)
図示例の圧延銅箔1は、防錆処理層3のニッケル−コバルト合金めっき層5に主要な特徴部を有している。このニッケル−コバルト合金めっき層5としては、粗化処理を施した銅箔2にニッケル−コバルト合金めっきを施すことで、銅原子の拡散バリア性や耐酸化変色性を向上させることができる。結果的として、フレキシブルプリント基板用基材であるポリイミド系樹脂との接着性(接着強度)を高めることができる。
【0024】
ニッケル−コバルト合金めっき液としては、硫酸ニッケル濃度を100g/L以上200g/L未満、硫酸コバルト濃度を15g/L以上35g/L未満に調整することが最適である。硫酸ニッケル濃度が100g/L未満であり、硫酸コバルト濃度が15g/L未満であると、接着性が大きく低下するので好ましくない。一方、硫酸ニッケル濃度200g/L以上、及び硫酸コバルト濃度35g/L以上では、製造工程で使用される酸(例えば硫酸、硝酸、塩酸、もしくは過酸化水素などの酸化性酸)によりコバルトが溶解し、いわゆる「染み込み現象」が発生することがあるので好ましくない。
【0025】
pH緩衝剤としては、クエン酸ナトリウムを用いることが好適である。クエン酸ナトリウム濃度としては、20g/L以上40g/L未満が最適である。クエン酸ナトリウム濃度が20g/L未満であると、必要なpH緩衝力が得られない。一方、クエン酸ナトリウム濃度が40g/L以上であると、クエン酸の錯体化による電流効率の低下によりニッケル−コバルト合金めっき層5が減少してしまうので好ましくない。
【0026】
pH(水素イオン濃度)値としては、2以上4以下とするのが好適である。pH2未満ではニッケル−コバルト合金めっき以前に施した粗化処理によって銅箔表面に付着した銅めっきの凹凸がニッケル−コバルト合金めっき液中で再溶解してしまうことがある。一方、pH4を超えると、クエン酸ナトリウムのpH緩衝力が弱くなり、pH変動が大きくなりやすいので好ましくない。
【0027】
ニッケル−コバルト合金のめっき量の合計としては、20μg/cm以上45μg/cm以下であることが特に望ましい。めっき量の合計が20μg/cm未満であると、銅箔2とポリイミド系樹脂との間に気泡や剥がれが発生し、初期の目的とする接着強度が得られないので好ましくない。一方、めっき量の合計が45μg/cmを超えると、高い濃度のコバルトを添加しても、ポリイミド系樹脂との接着性はほとんど変化せず、しかもニッケルに比べてコバルトが非常に高価であるため、コスト面で不利になり、実用的ではない。更に、CCLに回路配線を形成するときのエッチング性が低下するので好ましくない。
【0028】
めっき量のコバルト/(ニッケル+コバルト)の比を0.4以上0.6以下の値に調整することが好適である。コバルト/(ニッケル+コバルト)の比が0.4未満では付着するコバルト量が少なく、ニッケル−コバルト合金めっきにおける接着強度を優先する効果が得られない。コバルト/(ニッケル+コバルト)の比が0.6より過大に添加しても、ニッケル−コバルト合金めっきを施した銅箔2とポリイミド系樹脂との間の接着力は変化せず、しかもニッケルに比べてコバルトが非常に高価であるため、実用的ではない。更に、CCLに回路配線を形成するときのエッチング性が低下する。
【0029】
ニッケル−コバルト合金めっき層5を形成するにあたっては、硫酸ニッケルを100g/L以上200g/L未満、硫酸コバルトを15g/L以上35g/L未満、及びクエン酸ナトリウムを20g/L以上40g/L未満含有し、pH値が2以上4以下であるめっき液を用い、液温35℃以上55℃以下、及び電流密度3.5A/dm以上5.5A/dm以下とした処理条件で、ニッケル−コバルト合金めっきを行うことが好ましい。
【0030】
この処理条件で、ニッケル−コバルト合金めっきを行うことで、ニッケル−コバルト合金のめっき量の合計が20μg/cm以上45μg/cm以下であり、ニッケルとコバルトとのめっき量のコバルト/(ニッケル+コバルト)の比が0.4以上0.6以下であるニッケル−コバルト合金めっき層5が効果的に得られる。
【0031】
(亜鉛めっき層)
ニッケル−コバルト合金めっきを施した銅箔2に防錆処理層3として亜鉛めっき層6を形成することが一般的である。亜鉛の付着金属量としては、0.5μg/cm以上3μg/cm以下であることが好ましい。0.5μg/cm未満では、防錆層としての役割を果たさないばかりでなく、クロメート処理層7におけるクロム付着量の制御が困難になる。一方、亜鉛の付着金属量が3μg/cmより大きいと、ポリイミド系樹脂と接着させてエッチングにより回路を作製する際に、回路面に露出した亜鉛がフレキシブルプリント配線板の製造工程中の酸などによって溶出しやすくなり、ポリイミド系樹脂との接着面積が減少して接着強度が低下するので好ましくない。
【0032】
(クロメート処理層)
亜鉛めっき層6にクロメート化成処理を施すことが一般的である。3価クロムを使用した3価クロム化成処理方法を用いる。クロムの付着金属量としては、0.5μg/cm以上2.5μg/cm以下とするのが望ましい。クロムの付着金属量が0.5μg/cm未満では、耐酸化変色性、耐湿変色性といった防錆能力が不足する。一方、クロムの付着金属量が2.5μg/cmを超えると、クロム層自体が厚く脆弱な層となり、銅箔2としての接着力が低下してしまうので好ましくない。
【0033】
(シランカップリング層)
クロメート処理層7にシランカップリング処理を行うことが一般的である。これにより、銅箔2の接着力を向上させることができる。このシランカップリング処理は、銅箔2をシランカップリング処理剤の水溶液に浸漬させることで行う。
【0034】
以上のように構成された実施の形態に係る圧延銅箔1によれば、銅箔2に粗化銅めっき処理、ニッケル−コバルト合金めっき処理、亜鉛めっき処理、クロメート処理、及びシランカップリング処理を順次施すことで、フレキシブルプリント基板用基材との接着性が良好であり、均一で安定した箔膜が得られる。
【実施例】
【0035】
以下に、図1を参照しながら、本発明の更に具体的な実施の形態として、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、この実施例では、上記実施の形態である圧延銅箔1の典型的な一例を挙げており、本発明は、この実施例に限定されるものではないことは勿論である。
【0036】
この実施例では、厚さ10.5μmの銅箔2に、厚さ0.4μmの下地銅めっき、厚さ0.5μmの粗化銅めっき、及び厚さ0.4μmのカプセル銅めっきを施し、防錆処理として、厚さ20〜25μmのニッケル−コバルト合金めっき、厚さ1μmの亜鉛めっき、厚さ1μm以下のクロメート処理、及び厚さ1μm以下のシランカップリング処理を順次施した。ニッケル−コバルト合金めっき以外は定法に従い製作した。
【0037】
ここで、ニッケル−コバルト合金めっき条件としては、電流密度を4.5A/dmとし、めっき時間を8秒とした。ニッケル−コバルト合金めっき液の組成としては、硫酸ニッケル175g/L、硫酸コバルト25g/L、及びクエン酸ナトリウム30g/Lで、液温40℃、及びpH3の条件で行った。
【0038】
上記条件で施したニッケル−コバルト合金めっき層5のニッケル−コバルトのめっき量の合計は、硫酸ニッケル16.5μg/cm、及び硫酸コバルト15.5μg/cmであり、コバルト/(ニッケル+コバルト)の比の百分率は48%であった。
【0039】
CCLの耐熱性の試験条件としては、はんだ加熱温度を300℃とし、浸漬時間を10秒とした。この試験後、銅箔2とポリイミド系樹脂との間に膨れや剥がれが発生したか否かを調査した。CCLのはんだ耐熱性と、ニッケル−コバルト合金めっき層5の(ニッケル+コバルト)のめっき合計量との関係を下記の表1に示す。
【0040】
銅箔2とポリイミド系樹脂との間に膨れや剥がれが発生した場合をNG判定とした。これを表1に×印で表した。ニッケル−コバルト合金めっきを過剰にすると、CCLに回路配線を形成するときのエッチング性が低下したため、この場合もNG判定とした。これを×印、及び△印で表1に表した。
【0041】
表1から明らかなように、ニッケル−コバルト合金のめっき量としては、20μg/cm以上45μg/cm以下の許容規定範囲に調整することが望ましいということが分かる。
【0042】
ニッケル−コバルト合金のめっき量の合計(ニッケル+コバルト)、コバルト/(ニッケル+コバルト)の比、及びめっき液中のクエン酸ナトリウム濃度を上記特許文献1のものより増量させても、銅箔2におけるフレキシブルプリント基板用基材と貼り合わせる側の接着面の黒味が増すことになる。つまり、銅原子の拡散バリア性や耐酸化変色性が向上することとなる。その結果、ポリイミド樹脂材料からなる絶縁性のプリント基板用基材の表面に圧延銅箔1を貼り合わせたCCLのはんだ耐熱性を大幅に向上させることが可能になる。
【0043】
【表1】

【符号の説明】
【0044】
1 圧延銅箔
2 銅箔
3 防錆処理層
4 粗化銅めっき層
5 ニッケル−コバルト合金めっき層
6 亜鉛めっき層
7 クロメート処理層
8 シランカップリング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と貼り合わせて用いる圧延銅箔の前記基材側の表面上に順次積層して形成され、少なくとも粗化銅めっき層と、ニッケル−コバルト合金めっき層を含む1以上の層からなる防錆処理層とを有し、
前記ニッケル−コバルト合金めっき層のニッケルとコバルトとのめっき量の合計が、20μg/cm以上45μg/cm以下であることを特徴とするプリント基板用圧延銅箔。
【請求項2】
前記粗化銅めっき層の基材側の表面には、下地銅めっき層が更に形成され、
前記粗化銅めっき層の基材側とは反対側の表面には、カプセル銅めっき層が更に形成され、
前記防錆処理層は、前記下地銅めっき層から順に、前記ニッケル−コバルト合金めっき層、亜鉛めっき層、クロメート処理層、及びシランカップリング層からなる多層めっき層により構成されていることを特徴とする請求項1記載のプリント基板用圧延銅箔。
【請求項3】
前記ニッケルとコバルトとのめっき量のコバルト/(ニッケル+コバルト)の比を0.4以上0.6以下の値に調整することを特徴とする請求項1又は2記載のプリント基板用圧延銅箔。
【請求項4】
基材と貼り合わせて用いる圧延銅箔の前記基材側の表面上に、少なくとも粗化銅めっき層、及びニッケル−コバルト合金めっき層を含む1以上の層からなる防錆処理層を順次積層して形成するにあたり、
硫酸ニッケルを100g/L以上200g/L未満、硫酸コバルトを15g/L以上35g/L未満、及びクエン酸ナトリウムを20g/L以上40g/L未満含有し、pH(水素イオン濃度)値が、2以上4以下であるめっき液を用い、前記ニッケル−コバルト合金めっき層を形成することを特徴とするプリント基板用圧延銅箔の製造方法。
【請求項5】
前記めっき液は、液温を35℃以上55℃以下とし、めっき時の電流密度を3.5A/dm以上5.5A/dm以下とすることを特徴とする請求項4記載のプリント基板用圧延銅箔の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−57231(P2012−57231A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203401(P2010−203401)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】