説明

プリント配線板及びその製造方法、並びに、このプリント配線板を用いた電子部品収容基板及びその製造方法

【課題】プリント配線板及びこれを用いた電子部品収容基板を高多層化、大型化させることなく、また、生産性を悪化させることなく、半導体素子等の電子部品をプリント配線板にフリップチップ実装できる、プリント配線板及びその製造方法、並びに、このプリント配線板を用いた電子部品収容基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板20の一面側に凹状に形成されたキャビティ46に電子部品60が収容された電子部品収容基板を製造する際、一面側に凸状のバンプ17を複数形成し、この一面側に、絶縁性樹脂とシート状の補強材とを有する絶縁層21を形成して補強材でバンプ上を絶縁性樹脂を介して覆い、バンプ上の絶縁性樹脂を残して補強材を除去し、さらにバンプ上の絶縁性樹脂にレーザ光を照射してこの絶縁性樹脂を除去してバンプを露出させ、バンプに対応する電極62を有する電子部品をキャビティに収容すると共に電極とバンプとをそれぞれ接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板及びその製造方法、並びに、このプリント配線板を用いた電子部品収容基板及びその製造方法に係り、特に、半導体素子等の電子部品が収容されるキャビティを備えたプリント配線板及びその製造方法、並びに、このプリント配線板を用いた電子部品収容基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、パソコン等の電子機器には、半導体素子等の電子部品がキャビティに収容された半導体パッケージ等の電子部品収容基板が用いられている。
この電子部品収容基板に用いられる基板として、通常、セラミック基板や、樹脂基板であるプリント配線板があるが、プリント配線板は、一般的に、セラミック基板に対して、軽量化,配線パターンの微細化,及び生産性の点で有利であるため、特に最近では、このプリント配線板が電子部品収容基板に広く用いられている。
このような半導体パッケージ等の電子部品収容基板に用いられるプリント配線板の一例が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平6−334067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、プリント配線板と、そのキャビティに収容された電子部品である半導体素子とを電気的に接続する接続方法として、ワイヤーボンディング法やフリップチップ法がある。
しかしながら、ワイヤーボンディング法では、近年の半導体素子の高集積化に伴って、プリント配線板と半導体素子との接続端子数が増加する傾向にあり、このため、これら接続端子をプリント配線板の複数の配線層に設けなければならないので、プリント配線板及びこれを用いた電子部品収容基板がそれぞれ高多層化、大型化してしまうといった不具合が生じる。
また、接続端子毎にワイヤーボンディングを行うので、接続端子数の増加に応じて一プリント配線板あたりのワイヤーボンディングに要する時間が長くなるため、生産性を悪化させる要因となる。
【0004】
一方、フリップチップ法では、プリント配線板のキャビティに設けられた接続端子部にバンプを形成する場合、印刷法ではキャビティ内への印刷が困難であるため、キャビティ内にバンプを印刷によって形成することは難しい。
また、上記バンプをワイヤーボンディング法を用いて形成する方法があるが、この方法はワイヤーボンディング法を用いるため、上述した理由と同様の理由により、プリント配線板及びこれを用いた電子部品収容基板がそれぞれ高多層化、大型化してしまうといった不具合が生じると共に、生産性を悪化させる要因となる。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、プリント配線板及びこれを用いた電子部品収容基板を高多層化、大型化させることなく、また、生産性を悪化させることなく、半導体素子等の電子部品をプリント配線板にフリップチップ実装できる、プリント配線板及びその製造方法、並びに、このプリント配線板を用いた電子部品収容基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本願各発明は次の手段を有する。
1)基板(20)と、前記基板の一面側に凹状に形成されたキャビティ(46)と、前記キャビティの底面に凸状に形成された複数のバンプ(17)と、前記各バンプの頂部及びその近傍が露出された状態で当該各バンプの間隙を埋める絶縁層(21)と、を有する構成としたことを特徴とするプリント配線板(50)である。
2)プリント配線板の製造方法において、基板(20)の一面側に、凸状のバンプ(17)を複数形成するバンプ形成工程と、前記バンプ形成工程後に、前記一面側に、絶縁性樹脂とシート状の補強材とを有する絶縁層(21)を形成して当該補強材で前記バンプ上を前記絶縁性樹脂を介して覆う絶縁層形成工程と、前記絶縁層形成工程後に、前記バンプが形成されている領域を含む領域において、前記バンプ上の前記絶縁性樹脂を残して前記補強材を除去する補強材除去工程と、前記補強材除去工程後に、前記残した絶縁性樹脂にレーザ光を照射して当該絶縁性樹脂を除去し、前記バンプを露出させる絶縁性樹脂除去工程と、を有するプリント配線板(50)の製造方法である。
3)基板(20)の一面側に凹状に形成されたキャビティ(46)に電子部品(60)が収容された電子部品収容基板において、前記基板は、前記キャビティの底面に凸状に形成された複数のバンプ(17)と、該各バンプの頂部及びその近傍が露出された状態で当該各バンプの間隙を埋める絶縁層(21)とを有し、前記電子部品は、前記バンプに対応する電極(62)を有し、前記基板と前記電子部品とは、前記バンプと前記電極とがそれぞれ電気的に接続されてなることを特徴とする電子部品収容基板(100)である。
4)基板(20)の一面側に凹状に形成されたキャビティ(46)に電子部品(60)が収容された電子部品収容基板の製造方法において、前記一面側に凸状のバンプ(17)を複数形成するバンプ形成工程と、前記バンプ形成工程後に、前記一面側に、絶縁性樹脂とシート状の補強材とを有する絶縁層(21)を形成して当該補強材で前記バンプ上を前記絶縁性樹脂を介して覆う絶縁層形成工程と、前記絶縁層形成工程後に、前記バンプが形成されている領域を含む領域において、前記バンプ上の前記絶縁性樹脂を残して前記補強材を除去する補強材除去工程と、前記補強材除去工程後に、前記バンプ上の前記絶縁性樹脂にレーザ光を照射して当該絶縁性樹脂を除去し、前記バンプを露出させる絶縁性樹脂除去工程と、前記絶縁性樹脂除去工程後に、前記バンプに対応する電極(62)を有する前記電子部品を前記キャビティに収容すると共に、前記電極と前記バンプとをそれぞれ接合する接合工程と、を有する電子部品収容基板(100)の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るプリント配線板及びその製造方法、並びに、このプリント配線板を用いた電子部品収容基板及びその製造方法によれば、プリント配線板及びこれを用いた電子部品収容基板を高多層化、大型化させることなく、また、生産性を悪化させることなく、半導体素子等の電子部品をプリント配線板にフリップチップ実装できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図16を用いて説明する。
図1〜図13は、本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第1工程〜第13工程をそれぞれ説明するための模式的断面図であり、図14及び図15は、本発明に係り、上記プリント配線板を用いた電子部品収容基板及びその製造方法の実施例における第14工程及び第15工程をそれぞれ説明するための模式的断面図である。
【0009】
<実施例>
まず、半導体素子等の電子部品が収容されるキャビティを有するプリント配線板及びその製造方法について、図1〜図13を用いて説明する。
【0010】
[第1工程](図1参照)
主としてコア材2とその両面に設けられた銅箔3a,3bとからなる両面銅張り板1において、周知の方法により、一方の銅箔3aを部分的にエッチングして、コア材2が露出してなる開口部4を形成する。
コア材2は、ガラスクロス等のシート状補強材にエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させて硬化したものである。図1では、シート状補強材を破線で模式的に示している。
実施例では、コア材2の厚さを0.1mm、銅箔3a,3bの厚さをそれぞれ12μmとし、開口部4の開口径を80μmとした。
【0011】
[第2工程](図2参照)
開口部4が形成された範囲におけるコア材2を、例えばレーザ加工により除去して、銅箔3bが露出してなる穴部5を形成する。穴部5の穴径は80μmである。
【0012】
[第3工程](図3参照)
穴部5を埋めるように銅箔3a,3bの各表面上に導電層6a,6bを形成する。
導電層6a,6bは、第2工程を経た両面銅張り板1に、例えば、無電解銅めっき及び電気銅めっきを順次行うことによって形成することができる。
ここで、導電層6a,6bで埋められた穴部5は、後述する第1の配線層15と第2の配線層16とを電気的に接続するためのビア7となる。ビア7の直径は80μmである。
実施例では、銅箔3a,3bの各表面上の導電層6a,6bの厚さをそれぞれ30μmとした。
【0013】
[第4工程](図4参照)
コア材2の各表面上の銅箔3a,3b及び導電層6a,6bを、厚さ約3μmを残してエッチングする。
このエッチングで残した導電薄膜8a,8bは、後述する第5工程における電気めっき用のめっき導通膜となる。
【0014】
[第5工程](図5参照)
フォトリソグラティ法により、一方の導電薄膜8a上に、この導電薄膜8aが露出されてなる複数の開口部11aを有するめっきレジストパターン10aを形成し、他方の導電薄膜8b上に、この導電薄膜8bが露出されてなる開口部11bを有するめっきレジストパターン10bを形成する。
実施例では、一方の導電薄膜8a側のめっきレジストの厚さを80μmとし、他方の導電薄膜8b側のめっきレジストの厚さを50μmとした。
【0015】
[第6工程](図6参照)
導電薄膜8aをめっき導通膜として、導電薄膜8a上の開口部11aが設けられた範囲に、例えば電気銅めっきを行って、配線パターン18と柱状の複数の第1の導電部17とからなる第1の配線層15を形成し、導電薄膜8bをめっき導通膜として、導電薄膜8b上の開口部11bが設けられた範囲に、例えば、電気銅めっきを行って、第2の配線層16を形成する。
第1の配線層15及び第2の配線層16は、一回の電気銅めっきにより、並行して形成することができる。
実施例では、第1の導電部17が、直径が110μmであり高さが60μmである略円柱状となるように、また、第2の配線層16の厚さが20μmとなるように、電気銅めっきの条件を調整した。
【0016】
[第7工程](図7参照)
めっきレジストパターン10a,10bを除去し、さらにこの除去によって露出した導電薄膜8a,8bを除去することによって、第1の配線層15と第2の配線層16とがビア7を介して電気的に接続された両面配線板20を得る。
また、
なお、導電薄膜8a,8bを除去する際、第1の導電部17,配線パターン18,及び第2の配線層16における表面を含む表面近傍部もそれぞれ除去されて、それぞれの縁部は角が取れて丸みを帯びる。
【0017】
[第8工程](図8参照)
まず、第1の配線層15を覆うように、コア材2上に、第1の絶縁層21を、周知の方法、例えば真空熱プレス法により形成する。
第1の絶縁層21は、ガラスクロス等のシート状補強材にエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂を含浸して硬化させたものであり、この第1の絶縁層21の形成によって、第1の配線層15は、絶縁性樹脂を介してシート状補強材で覆われる。
実施例では、第1の絶縁層21における第1の配線層15上の厚さを0.2mmとした。
図8では、第1の絶縁層21におけるシート状補強材を、コア材2におけるシート状補強材と同様に、破線で模式的に示している。
【0018】
次に、第1の絶縁層21の所定の範囲に、例えばレーザ加工を施して、配線パターン18が露出してなる穴部22を形成する。
その後、穴部22を埋めるように第1の絶縁層21上に導電層を形成し、さらに、穴部22に埋められた導電層を残して、第1の絶縁層21上の導電層を除去することにより、ビア23を形成する。
そして、第1の絶縁層21上に、例えば、上述した第5工程〜第7工程と同様の工程を行って、配線パターン28と柱状の複数の第2の導電部27とからなる第3の配線層25を形成する。
上述した手順により、第1の配線層15と第3の配線層25とはビア23を介して電気的に接続される。
実施例では、ビア23の直径を80μmとし、第2の導電部27を、直径が110μmであり高さが60μmである略円柱状とした。
【0019】
[第9工程](図9参照)
上述の第8工程を経た両面配線板20の第1の絶縁層21(図9における上側)側に、周知の方法により、第2の絶縁層31、第4の配線層32、第3の絶縁層33、第5の配線層34、第4の絶縁層35、及び第6の配線層36を順次形成する。
第2の絶縁層31は、ガラスクロス等のシート状補強材にエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂を含浸して硬化させたものであり、この第2の絶縁層31の形成によって、第3の配線層25は、絶縁性樹脂を介してシート状補強材で覆われる。
実施例では、第2の絶縁層31における第3の配線層25上の厚さを0.2mmとした。
図9では、第2の絶縁層31におけるシート状補強材を、コア材2並びに第1の絶縁層21におけるシート状補強材と同様に、破線で模式的に示している。
【0020】
また、第8工程を経た両面配線板20のコア材2側(図9における下側)に、周知の方法により、第5の絶縁層38、第7の配線層39、第6の絶縁層40、及び第8の配線層41を順次形成する。
第1〜第8の配線層15,16,25,32,34,36,39,41は、図示しないビアやスルーホールによって電気的に接続されている。
【0021】
実施例では、第3〜第6の絶縁層33,35,38,40を、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂を硬化させたものとし、第3の絶縁層33における第4の配線層32上の厚さ、第4の絶縁層35における第5の配線層34上の厚さ、第5の絶縁層38における第2の配線層16上(図9における下側)の厚さ、及び第6の絶縁層40における第7の配線層39上(図9における下側)の厚さが、それぞれ70μmとなるように、ロールコート法を用いて形成した。
【0022】
[第10工程](図10参照)
第1の導電部17及び第2の導電部27が形成されている領域を含む領域における第4の絶縁層35及び第3の絶縁層33と第2の絶縁層31の一部とを、例えばドリル加工等の機械加工により除去して、凹状の第1のザグリ部45を形成する。
詳しくは、第1の導電部17及び第2の導電部27が形成されている領域を含む領域において、第4の絶縁層35及び第3の絶縁層33を除去すると共に、第2の導電部27が露出しないように第2の導電部27上の絶縁性樹脂を残して、第2の絶縁層31におけるシート状補強材を含む領域を除去する。
ドリル加工を用いる場合、図示しないドリル加工機におけるドリルの加工深さを調整することにより、上述した第1のザグリ部45を形成することができる。
【0023】
[第11工程](図11参照)
第2の導電部27が形成されている領域を残して、第1の導電部17が形成されている領域を含む領域における第1の絶縁層21の一部を、例えばドリル加工等の機械加工により除去して、凹状の第2のザグリ部46を形成する。
詳しくは、第2の導電部27が形成されている領域を残して第1の導電部17が形成されている領域を含む領域において、第1の導電部17が露出しないように第1の導電部17上の絶縁性樹脂を残して、第1の絶縁層21におけるシート状補強材を含む領域を除去する。
ドリル加工を用いる場合、図示しないドリル加工機におけるドリルの加工深さを調整することにより、上述した第2のザグリ部46を形成することができる。
【0024】
[第12工程](図12参照)
上述の第11工程を経た両面配線板20における第1のザグリ部45及び第2のザグリ部46が形成された範囲に、レーザ光を走査させながら照射してレーザ加工を行い、第1の絶縁層21及び第2の絶縁層31をそれぞれ部分的に除去することによって、第1の導電部17及び第2の導電部27における各頂部及びその近傍をそれぞれ露出させる。
実施例では、ピーク波長が9.1μm〜10.6μmの短パルス炭酸ガスレーザによるレーザ加工を行ったが、これに限定させるものではなく、短パルス炭酸ガスレーザに替えて、例えば、エキシマレーザやピーク波長が265〜533nmのYAGレーザ等を用いることもできる。
【0025】
ガラスクロス等のシート状補強材は、絶縁性樹脂に比べてレーザ加工性が悪いため、上述した第11工程及び第12工程のように、まず、シート状補強材を含む領域をドリル加工等の機械加工により除去し、その後、シート状補強材が除去されて絶縁性樹脂のみとなった領域をレーザ加工により除去することによって、第1の導電部17及び第2の導電部27をそれぞれ精度良く露出させることができる。
【0026】
[第13工程](図13参照)
まず、第12工程におけるレーザ加工後の残渣を、例えば、過マンガン酸カリウム溶液を用いた酸化処理や、プラズマ処理、ブラスト処理等により除去する。
次に、上述の工程を経た両面配線板20に、無電解金めっきを行って、第1の導電部17,第2の導電部27,第6の配線層36,及び第8の配線層41の露出している表面に、金めっき層48をそれぞれ形成する。
【0027】
上述した第1工程〜第13工程により、第1〜第8の配線層15,16,25,32,34,36,39,41からなる8層の配線層を有するプリント配線板50を得る。
プリント配線板50において、第1のザグリ部45及び第2のザグリ部46は、後述する半導体素子60,70等の電子部品が収容されるキャビティとなり、金めっき層48が表面に形成された第1の導電部17及び第2の導電部27は、上記電子部品とプリント配線板50とを電気的に接続するための第1のバンプ51及び第2のバンプ52となる。
【0028】
また、第1のバンプ51同士は、第1の絶縁層21によって互いに絶縁されており、第2のバンプ52同士は、第2の絶縁層31によって互いに絶縁されている。即ち、第1の絶縁層21及び第2の絶縁層31は、プリント配線板50に半導体素子60,70等の電子部品をフリップチップ実装した際に、アンダーフィルとして機能する。
【0029】
次に、上述したプリント配線板50に、後述する半導体素子60,70等の電子部品が収容されてなる電子部品収容基板及びその製造方法について、図14及び図15を用いて説明する。
【0030】
[第14工程](図14参照)
まず、半導体基板部61の一面側に複数の電極62が形成された電子部品である半導体素子60を、電極62と第1のバンプ51とがそれぞれ互いに対向するように位置合わせした後、プリント配線板50にフリップチップ実装する。
実施例では、超音波を併用した熱圧着によって、複数の電極62と複数の第1のバンプ51とを一度に接合した。
このフリップチップ実装により、半導体素子60とプリント配線板50とは、電極62及び第1のバンプ51を介して電気的に接続される。
【0031】
次に、半導体基板部71の一面側に複数の電極72が形成された電子部品である半導体素子70を、電極72と第2のバンプ52とがそれぞれ互いに対向するように位置合わせして後、プリント配線板50にフリップチップ実装する。
実施例では、超音波を併用した熱圧着によって、複数の電極72と複数の第2のバンプ52とを一度に接合した。
このフリップチップ実装により、半導体素子70と多層プリント配線板50とは、電極72及び第2のバンプ52を介して電気的に接続される。
【0032】
[第15工程](図15参照)
上述の第14工程を経たプリント配線板50において、第1のザグリ部45及び第2のザグリ部46からなるキャビティに、絶縁性樹脂80を充填する。
実施例では、液状で未硬化状態の絶縁性樹脂80を、ディスペンス法を用いて上記キャビティ内に塗布した後、この絶縁性樹脂80を硬化することによって、上記キャビティに絶縁性樹脂80を充填した。
【0033】
上述した第1工程〜第15工程により、プリント配線板50のキャビティに2つの半導体素子60,70が収容されると共に、フリップチップ実装により、これら半導体素子60,70とプリント配線板50とがそれぞれ電気的に接続されてなる電子部品収容基板100を得る。
【0034】
上述した、プリント配線板及びその製造方法、並びに、このプリント配線板を用いた電子部品収容基板及びその製造方法によれば、プリント配線板のキャビィティ内に複数のバンプを一度に形成することができるので、プリント配線板及びこれを用いた電子部品収容基板を高多層化、大型化させることなく、また、生産性を悪化させることなく、半導体素子等の電子部品をプリント配線板にフリップチップ実装することが可能になる。
【0035】
また、上述した、プリント配線板及びその製造方法、並びに、このプリント配線板を用いた電子部品収容基板及びその製造方法によれば、プリント配線板におけるバンプ同士が絶縁層によって互いに絶縁されているので、フリップチップ実装に用いられるアンダーフィルを別途設ける必要がない。
【0036】
<変形例>
ここで、上述した実施例の変形例について、図16を用いて説明する。
図16は、上述した実施例の変形例について説明するための模式的断面図である。なお、実施例と同じ構成部については、それぞれ同じ符号を付す。
【0037】
まず、上述した実施例の第1工程〜第12工程と同様の工程を行う。
次に、第6の配線層36をめっきレジストで覆った状態で、上述した実施例の第13工程と同様の工程を行って、第1の導電部17及び第2の導電部27の露出している表面に、金めっき層48をそれぞれ形成する。
金めっき層48が表面に形成された第1の導電部17及び第2の導電部27は、実施例と同様に、電子部品である半導体素子60,70とプリント配線板50とを電気的に接続するための第1のバンプ51及び第2のバンプ52となる。
【0038】
その後、上述した実施例の第14工程及び第15工程と同様の工程を行う。
【0039】
そして、周知の方法により、第4の絶縁層35上及び絶縁性樹脂80上に、第6の配線層36を覆うように第7の絶縁層91を形成し、さらにこの第7の絶縁層91上に第9の配線層93を形成する。
また、周知の方法により、第6の絶縁層40上(図16における下側)に、第8の配線層41を覆うように第8の絶縁層92を形成し、さらに、この第8の絶縁層92上(図16における下側)に第10の配線層94を形成する。
その後、第9の配線層93及び第10の配線層94の各表面に金めっき層96を形成する。
【0040】
上述した工程により、変形例の電子部品収容基板110を得る。
この電子部品収容基板110及びその製造方法によれば、半導体素子60,70が収容されたキャビティ上にも配線パターンを形成することができる。
【0041】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0042】
例えば、実施例及び変形例では、2つの半導体素子60,70をプリント配線板50のキャビティ内にフリップチップ実装した後、このキャビティ内を絶縁性樹脂80で埋めたが、これに限定されるものではなく、一方の半導体素子60をフリップチップ実装した後に第1のザグリ部45を絶縁性樹脂で埋め、その後、他方の半導体素子70をフリップチップ実装した後に第2のザグリ部46を絶縁性樹脂で埋めるようにしてもよい。
この場合、第1のザグリ部45を埋める絶縁性樹脂と、第2のザグリ部46を埋める絶縁性樹脂とは、同じものであってもよいし、組成や粘度が異なるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第1工程を説明するための模式的断面図である。
【図2】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第2工程を説明するための模式的断面図である。
【図3】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第3工程を説明するための模式的断面図である。
【図4】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第4工程を説明するための模式的断面図である。
【図5】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第5工程を説明するための模式的断面図である。
【図6】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第6工程を説明するための模式的断面図である。
【図7】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第7工程を説明するための模式的断面図である。
【図8】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第8工程を説明するための模式的断面図である。
【図9】本発明に係る多層プリント配線板及びその製造方法の実施例における第9工程を説明するための模式的断面図である。
【図10】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第10工程を説明するための模式的断面図である。
【図11】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第11工程を説明するための模式的断面図である。
【図12】本発明に係る多層プリント配線板及びその製造方法の実施例における第12工程を説明するための模式的断面図である。
【図13】本発明に係るプリント配線板及びその製造方法の実施例における第13工程を説明するための模式的断面図である。
【図14】本発明に係る電子部品収容基板及びその製造方法の実施例における第14工程を説明するための模式的断面図である。
【図15】本発明に係る電子部品収容基板及びその製造方法の実施例における第15工程を説明するための模式的断面図である。
【図16】実施例の変形例を説明するための模式的断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 両面銅張り板、 2 コア材、 3a,3b 銅箔、 4,11a,11b 開口部、 5 穴部、 6a,6b 導電層、 7,23 ビア、 8a,8b 導電薄膜、 10a,10b めっきレジストパターン、 15,16,25,32,34,36,39,41 配線層、 17,27 導電部、 18,28 配線パターン、 20 両面配線板、 21,31,33,35,38,40 絶縁層、 22 穴部、 45,46 ザグリ部、 48 金めっき層、 50 多層プリント配線板、 51,52 バンプ、 60,70 半導体素子(電子部品)、 61,71 半導体基板部、 62,72 電極、 80 絶縁性樹脂、 100 電子部品収容基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一面側に凹状に形成されたキャビティと、
前記キャビティの底面に凸状に形成された複数のバンプと、
前記各バンプの頂部及びその近傍が露出された状態で当該各バンプの間隙を埋める絶縁層と、
を有する構成としたことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
プリント配線板の製造方法において、
基板の一面側に、凸状のバンプを複数形成するバンプ形成工程と、
前記バンプ形成工程後に、前記一面側に、絶縁性樹脂とシート状の補強材とを有する絶縁層を形成して当該補強材で前記バンプ上を前記絶縁性樹脂を介して覆う絶縁層形成工程と、
前記絶縁層形成工程後に、前記バンプが形成されている領域を含む領域において、前記バンプ上の前記絶縁性樹脂を残して前記補強材を除去する補強材除去工程と、
前記補強材除去工程後に、前記残した絶縁性樹脂にレーザ光を照射して当該絶縁性樹脂を除去し、前記バンプを露出させる絶縁性樹脂除去工程と、
を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
基板の一面側に凹状に形成されたキャビティに電子部品が収容された電子部品収容基板において、
前記基板は、前記キャビティの底面に凸状に形成された複数のバンプと、該各バンプの頂部及びその近傍が露出された状態で当該各バンプの間隙を埋める絶縁層とを有し、
前記電子部品は、前記バンプに対応する電極を有し、
前記基板と前記電子部品とは、前記バンプと前記電極とがそれぞれ電気的に接続されてなることを特徴とする電子部品収容基板。
【請求項4】
基板の一面側に凹状に形成されたキャビティに電子部品が収容された電子部品収容基板の製造方法において、
前記一面側に凸状のバンプを複数形成するバンプ形成工程と、
前記バンプ形成工程後に、前記一面側に、絶縁性樹脂とシート状の補強材とを有する絶縁層を形成して当該補強材で前記バンプ上を前記絶縁性樹脂を介して覆う絶縁層形成工程と、
前記絶縁層形成工程後に、前記バンプが形成されている領域を含む領域において、前記バンプ上の前記絶縁性樹脂を残して前記補強材を除去する補強材除去工程と、
前記補強材除去工程後に、前記バンプ上の前記絶縁性樹脂にレーザ光を照射して当該絶縁性樹脂を除去し、前記バンプを露出させる絶縁性樹脂除去工程と、
前記絶縁性樹脂除去工程後に、前記バンプに対応する電極を有する前記電子部品を前記キャビティに収容すると共に、前記電極と前記バンプとをそれぞれ接合する接合工程と、
を有する電子部品収容基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−300636(P2008−300636A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145198(P2007−145198)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000243906)株式会社メイコー (34)
【Fターム(参考)】