プリント配線板及びその製造方法
【課題】プリント配線板に形成されるビア等の接続孔におけるめっき不良を抑止でき、接続信頼性を向上させることが可能なプリント配線板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】プリント配線板100は、異なるテーパ角を有する内壁部で構成されたビアホール20(貫通孔)を有する熱硬化性樹脂シート16(絶縁層)と、その熱硬化性樹脂シート16上に設けられた銅箔17(導体層)と、ビアホール20から露呈するように設けられており、かつ、ビアホール20を介して銅箔17と電気的に接続された配線パターン13(配線層)とを備えるものである。
【解決手段】プリント配線板100は、異なるテーパ角を有する内壁部で構成されたビアホール20(貫通孔)を有する熱硬化性樹脂シート16(絶縁層)と、その熱硬化性樹脂シート16上に設けられた銅箔17(導体層)と、ビアホール20から露呈するように設けられており、かつ、ビアホール20を介して銅箔17と電気的に接続された配線パターン13(配線層)とを備えるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板及びその製造方法に関し、特に、多層プリント配線板における配線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線基板の高密度実装構造として、プリント配線板を、導体層と絶縁層が交互に積層された多層構造にすると共に、その内部に半導体ICチップ(ベアチップ、ダイ)等の能動部品や抵抗、キャパシタ等の受動部品を内蔵するモジュールやパッケージ構造が知られている。かかる多層構造においては、一般的に、層間にビアホールやコンタクトホール等の接続孔を形成し、それらの接続孔を利用して、異なる層に設けられた導体層や内蔵された電子部品の電極等を電気的に接続することが行なわれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、絶縁層とその上部及び下部にそれぞれ設けられた上部導体層及び下部導体層を備える多層基板において、上部導体層にレーザー照射径と同等の形状サイズを有する開口を形成し、その上部導体層の開口パターンをマスク(コンフォーマルマスク)として絶縁層にレーザーを照射し、被配線体となる下部導体層が絶縁層下に露呈するようにビアを穿設した後、その内部及び上部導体層にコンフォーマルめっきを施して上下導体層を接続する配線方法が記載されている。また、マスクを用いない方法として、特許文献1には、銅箔ごと絶縁層にビアを形成するカッパーダイレクト法が、特許文献2には、プリント配線板における一般的なビア形成として、基材に銅箔が貼付された銅張板に炭酸ガスレーザーを照射し、銅箔の上から基材に孔を形成する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2003−179351号公報
【特許文献2】特開2001−239386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のビア形成を用いた配線方法では、開口したビアの底部によって画成される下部導体層の面(ランド)とビアの内壁面とのなす角度が急峻なため、ビア内部をめっきしようとすると、ビアの開口部周縁(ビアの上部の角部)におけるめっきの厚さを十分に確保し難く、こうなると、その部位でめっき不良が生じしてしまい、その結果、被配線体であるビアの底壁(ランド)と上部導体層との接続信頼性が低下してしまうおそれがある。
【0005】
例えば、本発明者が種々検討したところ、特許文献1に記載されているコンフォーマルマスク法のように、レーザー照射径と同じ又はそれよりも小さい開口を有する導体層のパターンを絶縁層上に設け、そのコンフォーマルマスクを通して開口と同等又はそれよりも大きいビーム径のレーザーを照射してビアを形成する方法においても、レーザーのビーム径よりも大きい開口を導体層に形成し、レーザー照射を行なってビアを形成する方法においても、ビア上部の開口部周縁では、他の部分に比してめっきの付着が不十分となり、その部位において局所的にめっき膜が過度に薄くなってしまう傾向にあることが確認された。
【0006】
特に、近時、プリント配線基板においては、更なる高密度実装の要求に応えるべく、部品の端子ピッチや配線ピッチの狭小化(ファインピッチ化)が急速に進められ、その結果、ビアの高アスペクト化も進んでおり、また、めっき膜自体の薄層化も急務であるため、ビアのめっき不良に起因する接続信頼性の低下は、今後益々重大な問題となりつつある。殊に、半導体ICチップ等の電子部品を搭載したモジュールやパッケージは、ビア数が非常に多いため、製品の信頼性を確保・維持するために、全数のビアに対して接続信頼性を担保することは極めて重要な課題と言える。
【0007】
また、特許文献1に記載されている銅箔ごと絶縁層にビアを形成するカッパーダイレクト法や、特許文献2に記載された方法のように、上部導体層をパターニングしてマスクを形成せずに、導体層上にレーザーを照射して導体層もろとも絶縁層を貫通してビアを形成する方法では、その後のビアのめっきにおいて、ビアの開口部周縁におけるめっき厚を十分に確保し難くなる点に変わりはない。しかも、特許文献2には、かかる方法を用いると、穿設されたビアの周囲に銅箔のバリが生じてしまい、そのバリをウェットエッチで除去する必要があることが記載されており、この点においても、接続信頼性を確保する上で問題がある。
【0008】
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、プリント配線板に形成されるビア等の接続孔におけるめっき不良を抑止でき、これにより、接続信頼性を向上させることが可能であり、更なるファインピッチ化にも十分に対応できるプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるプリント配線板は、貫通孔を有する絶縁層と、絶縁層上に設けられた導体層と、貫通孔から露呈するように設けられており、かつ、貫通孔を介して導体層と電気的に接続された配線層とを備えており、貫通孔が、配線層と接する第1の内壁部、及び、導体層と接する第2の内壁部を有しており、かつ、第2の内壁部における導体層と接する部位の少なくとも一部のテーパ角が第1の内壁部のテーパ角よりも大きいものである。なお、配線層と導体層は、必ずしも層状をなしていなくともよく、例えば、配線層と導体層の両者又はいずれかは、電極や端子のような被配線体を含む概念である。
【0010】
或いは、本発明においては、貫通孔が、配線層と接する第1の内壁部、及び、導体層と接する第2の内壁部を有しており、かつ、導体層又は配線層の延在面と、第2の内壁部において導体層と接する部位の少なくとも一部がなす内角の大きさが、導体層又は配線層の延在面と第1の内壁部がなす内角の大きさよりも小さくされていると更に言い換えることもできる。
【0011】
このように構成されたプリント配線板では、絶縁層の一方(面)側に設けられた導体層と、絶縁層の他方(面)側に設けられた配線層とが、絶縁層に形成された貫通孔を介して接続されることにより両者が導通する。そして、この貫通孔は、第1の内壁部と第2の内壁部とを有しており、配線層に接続する第2の内壁部、すなわち、貫通孔の開口端を含む部位のうち、少なくとも導体層と接する部位のテーパ角が、その下部に位置する配線層に接続される第1の内壁部のテーパ角よりも大きくされ、貫通孔の開口部周縁の傾きが、底部に比して緩やかとなっている。換言すれば、貫通孔の開口端を含む第2の内壁部のうち、少なくとも導体層と接する部位が、内部から開口端に向かって緩やかに拡径されているので、導体層、貫通孔の内部、及び絶縁層下に露呈した配線層をめっきするときに、貫通孔の開口部周縁における少なくとも導体層と接する部位のめっき膜の厚さが、第2の内壁部を有しない従来の貫通孔に比して、十分に厚くされる。
【0012】
また、導体層と接している第2の内壁部の壁面の形状は、特に制限されず、例えば、平面、凹面、凸面、凹凸面等が挙げられ、これらのなかでは、第2の内壁部において導体層と接する部位の少なくとも一部の壁面が凹状をなすと好適である。第2の内壁部は所定のテーパ角を有して傾斜しており、このとき、第2の内壁部において導体層と接する部位の少なくとも一部の壁面が凹状をなす(すなわち凹面である)と、当該部位におけるめっきの保持量が増大してめっき膜の厚さを更に十分に厚くし易くなる利点がある。
【0013】
また、本発明によるプリント配線板の製造方法は、本発明のプリント配線板を有効に製造するための方法であり、絶縁層の一方(面)側に設けられた導体層と、絶縁層の他方(面)側に設けられた配線層とが、絶縁層に形成された貫通孔を介して電気的に接続されたプリント配線板の製法であって、絶縁層上に、開口を有する導体層を形成する工程と、絶縁層における開口に対応する部位に、その開口よりも小さい孔(開口の領域内に含まれる寸法形状の孔)を形成する工程と、開口を有する導体層をマスクとして、絶縁層における上記孔に対応する部位に、導体層と配線層とを接続するための貫通孔を形成する工程と、貫通孔の内部及び導体層にめっきを施すことにより、導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程とを有する。
【0014】
或いは、本発明によるプリント配線板の製造方法は、絶縁層に孔を形成する工程と、絶縁層の上又は絶縁層の上方にその孔よりも大きい開口(開口の領域内に孔が含まれる寸法形状の開口)を有するマスクを形成し、そのマスクを用いて、絶縁層におけるその孔に対応する部位に、導体層と配線層とを接続する貫通孔を形成する工程と、貫通孔の内部及び絶縁層にめっきを施すことにより、導体層を形成するとともに、該導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程とを有していてもよい。かかる方法においては、貫通孔を形成するために、絶縁層の上又は上方に設けた適宜のマスクを用いることができ、そのマスクは、絶縁層に被着していてもしていなくてもよく、貫通孔の内部及び絶縁層にめっきを施す前に絶縁層上から除去又は撤去される。また、貫通孔の内部及び絶縁層にめっきを施すことにより、貫通孔の内部及び絶縁層上にめっき層が一体に形成され、そのめっき層全体又はめっき層における絶縁層上の部分が、導体層として機能する。
【0015】
また、本発明によるプリント配線板の製造方法は、絶縁層に孔を形成する工程と、その孔に対応する部位に、その孔よりも大きい開口(開口の領域内に孔が含まれる寸法形状の開口)を有する導体層を形成する工程と、その開口を有する導体層をマスクとして、絶縁層における孔に対応する部位に、導体層と配線層とを接続するための貫通孔を形成する工程と、貫通孔の内部及び導体層にめっきを施すことにより、前記導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程とを有してもよい。すなわち、本発明によるプリント配線板の製造方法では、絶縁層に孔を形成する工程と、絶縁層に開口を有する導体層を形成する工程のいずれを先に実施しても構わない。
【0016】
なお、本発明によるプリント配線板の製造方法における絶縁層に孔を形成する工程において、その孔は、貫通孔であっても非貫通孔であってもよく、貫通孔である場合、この時点で配線層が絶縁層下に露呈し得る。一方、その孔が非貫通孔の場合には、絶縁層に貫通孔を形成する工程において、配線層が絶縁層下にその貫通孔から露呈する。いずれの場合も、絶縁層に貫通孔を形成する工程を実施した後に、導体層と配線層とを接続するための形状を有する貫通孔、すなわち、前述した本発明のプリント配線板に備わる第1の内壁部及び第2の内壁部を有する貫通孔が画成される。
【0017】
より具体的には、貫通孔を形成する工程においては、孔を形成する工程において形成した孔の開口縁部(孔の開口端を含む部位)における導体層と接する部位の少なくとも一部にテーパ面が形成されるように、貫通孔を形成することが好ましい。これにより、貫通孔の第2の内壁部が確実に形成される。
【0018】
また、貫通孔を形成する工程においては、孔を形成する工程において孔を形成する際の絶縁層の研削レート(単位時間あたりの絶縁層の研削量)よりも小さい研削レートにて絶縁層を研削し、それにより貫通孔を形成すると好適である。こうすれば、孔の開口端を含む部位(開口縁部)にテーパ面が形成されるように、その開口縁部が面取りされるので、貫通孔の第2の内壁部を更に形成し易くなる。
【0019】
この場合、更に具体的には、絶縁層に孔を形成する工程においては、レーザー照射によりその孔を形成し、絶縁層に貫通孔を形成する工程においては、ブラスト処理(ウェットでもドライでもよい)により貫通孔を形成することが好ましい。このようにすれば、貫通孔の第1の内壁部に対応する微細で急峻な壁面形状を有する部位をレーザー照射のみ、又は、レーザー照射とブラスト処理の複合処理によって簡易に形成することができる。また、ブラスト処理による絶縁層の研削レートは、レーザー照射による絶縁層の研削レートに比して概して小さいので、孔の開口端を含む部位(開口縁部)にテーパ面が形成されるように、その開口縁部が面取りされる。よって、貫通孔の第2の内壁部を格段にかつより確実に形成し易くなる。
【0020】
ただし、絶縁層の材料物性と貫通孔に要求される形状によっては、ブラスト処理に代えて、デスミア処理、プラズマ(アッシング)処理、ジェットスクラブ処理、超音波処理、レーザー処理、ドリル加工等を用いてもよい。また、孔を形成する工程、及び、貫通孔を形成する工程においては、同種の処理を行ってもよく、この場合、上述の如く、貫通孔を形成する工程における絶縁層の研削レートが、孔を形成する工程における絶縁層の研削レートよりも小さくなるようにすればよい。例えば、両工程をレーザー照射処理によって行う場合には、貫通孔を形成する工程におけるレーザーの照射エネルギー密度を、孔を形成する工程におけるレーザーの照射エネルギー密度よりも小さくすればよく、そのためには、両工程でレーザーの照射エネルギーを同等にしつつ、貫通孔を形成する工程ではレーザービームをデフォーカスさせる等してビーム径をより大きくする方法を例示できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のプリント配線板及びその製造方法によれば、導体層と配線層とが、絶縁層に穿設された貫通孔を介して接続され、この貫通孔が、テーパ角の比較的小さい第1の内壁部とテーパ角が比較的大きい第2の内壁部を有しており、これにより、配線層及び貫通孔の内部をめっきするときに、貫通孔の開口部周縁における少なくとも配線層と接する部位のめっき膜の厚さが、第2の内壁部を有しない従来の貫通孔に比して、十分に厚くされる。よって、このようにめっき膜厚が局所的に薄くなることを抑止できるので、従来に比して、また、ビアが高アスペクト比を有していても、配線層と導体層との接続信頼性を向上させることができ、さらに、全体のめっき厚を予め薄く設定することができるので、更なるファインピッチ化、ひいては更なる高密度実装にも十分に対応することが可能であり、製品の信頼性をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0023】
図1乃至図8は、本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図(フロー図)であり、各工程におけるプリント配線板の要部を示す概略断面図である。本実施形態におけるプリント配線基板の製造方法は、例えば、半導体ICチップ等の能動部品や、抵抗、キャパシタ等の能動部品を内蔵する基板モジュールの基材を構成するコア基板上にそれら電子部品を搭載する場合、また、コア基板上に形成されるいわゆるビルドアップ層上にそれらの電子部品を搭載する場合等、種々のプリント配線板の製造に適用が可能である。
【0024】
本実施形態では、まずコア基板11を用意する( 図1)。コア基板11は、プリント配線板全体の機械的強度を確保する役割を果たすものであり、特に限定されるものではないが、例えば、両面銅箔付き樹脂基板を用いることができる。樹脂基板の材料としては、特に制限されず、ガラスクロス、ケブラー、アラミド、液晶ポリマー等の樹脂クロス、フッ素樹脂の多孔質シート等からなる芯材に、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が含浸された材料等を用いることが好ましく、また、その厚さは、例えば20μm〜200μm程度であることが好ましい。また、加工条件の均一化を目的として、LCP、PPS、PES,PEEK,PI等の芯材のないシート材料を用いてもよい。
【0025】
一方、銅箔12の厚さは、例えば1μm〜18μm程度であることが好ましい。銅箔12は、プリント配線基板用に用いられる電解銅箔(硫酸銅水溶液中に銅を溶解イオン化したものを電着ロールにて連続的に電着して銅箔化したもの)、或いは、圧延銅箔を使用することにより、その厚さのばらつきを極めて小さくすることができるので好ましい。また、必要に応じ、スェップ等の手法で銅箔12の厚さを調整してもよい。
【0026】
次に、コア基板11の両面に設けられた銅箔12をフォトリソグラフィ及びエッチングにより選択的に除去してパターニングすることにより、コア基板11上に配線やランドといった配線パターン13(配線層)を形成する(図2)。このとき、図示を省略するが、コア基板11上の所定の領域にある銅箔12が全面的に除去されることにより、電子部品の搭載領域を確保し、次いで、その所定領域に電子部品を搭載する。例えば、コア基板11上の所定領域に半導体ICチップをフェースアップ(パッドがコア基板11の外方を向く状態)で搭載し、この際、半導体ICチップはコア基板11上に接着剤等を用いて仮止め固定されることが好ましい。
【0027】
次いで、このコア基板11の両面に片面銅箔付き樹脂シート15を張り合わせる(図3)。片面銅箔付き樹脂シート15は、エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂シート16の一方面に銅箔17が貼付されたものである。かかる片面銅箔付き樹脂シート15を二枚用意し、その樹脂面をコア基板11の両面にそれぞれ張り合わせた後、熱プレスすることにより、片面銅箔付き樹脂シート15をコア基板11と一体化させる。これにより、予めコア基板11上に搭載された半導体ICチップ等の電子部品は、プリント配線板内に埋め込まれた状態となり、熱硬化性樹脂シート16及び銅箔17はそれぞれビルドアップ層の絶縁層及び導体層となる。
【0028】
次に、熱硬化性樹脂シート16上の銅箔17をフォトリソグラフィ及びエッチングにより選択的に除去してパターニングすることにより、後々ビアホールを形成するための開口18を有するマスクパターンを形成する(図4)。なお、特に限定されないが、開口パターンの直径としては、例えば30μm〜200μm程度に設定することが好ましい。
【0029】
次に、パターニングされた銅箔17の開口18の径よりも小さいビーム径を有するレーザーを、熱硬化性樹脂シート16における開口18に対応する領域内の所定位置に照射し、孔19を穿設する(図5)。孔19は、熱硬化性樹脂シート16を貫通して形成され、これにより、被配線体である配線パターン13が、熱硬化性樹脂シート16からなる絶縁層下に露呈する。ここで用いるレーザーの種類としては、特に制限されず、熱硬化性樹脂シート16の加工特性に優れる観点から、例えば、高出力の炭酸ガスレーザー等のガスレーザーが挙げられ、場合によっては、固体レーザーを用いることもできる。照射されたレーザーのエネルギーは、熱硬化性樹脂シート16に吸収され、その熱によって熱硬化性樹脂シート16の照射部位が燃焼し、図5に模式的に示すような図示下方に突出する形状の孔19が形成される。
【0030】
さらに、孔19が形成されたコア基板11に、パターニングされて開口18が形成された銅箔17をマスクとするアルミナウェットブラスト処理やサンドブラスト処理といったブラスト処理を施し、孔19の開口端の角部(開口縁部)を面取りしてビアホール20を形成する(図6)。このブラスト処理では、メディアである非金属粒又は金属粒を投射することによって被加工体である熱硬化性樹脂シート16が研削され、このときの熱硬化性樹脂シート16の研削レートは、孔19を形成するためのレーザー照射による熱硬化性樹脂シート16の研削レートよりも概して小さいので、孔19の深さ方向への研削の進行具合(言わば、研削の異方性)がレーザー照射に比して緩和又は抑制され、これにより孔19の開口縁部が面取りされ易くなる。また、このとき、熱硬化性樹脂シート16の孔19から露呈している配線パターン13は、ストッパーとして機能する。
【0031】
なお、配線パターン13がビアホール20の底壁を画成するので、この状態においてビアホール20は非貫通孔であるが、ビアホール20は絶縁層たる熱硬化性樹脂シート16の層を貫通しているので、請求項に記載された本発明における「貫通孔」に該当する。
【0032】
次に、ビアホール20の内壁面を含む露出面のほぼ全面に下地導体層(図示せず)を形成する。下地導体層の形成方法としては、無電解メッキ法を用いることが好ましいが、スパッタ法、蒸着法等を用いることもできる。下地導体層は、その後に行う電解メッキの下地としての役割を果たすため、その厚さとしては非常に薄くてよく、例えば数十nm〜数μmの範囲から適時選択すればよい。次いで、電解メッキ法により下地導体層を成長させ、ビアホール20の内壁面を含む露出面であったほぼ全面にめっき膜21(下地導体層を含む)を成膜する(図7)。
【0033】
それから、フォトリソグラフィ及びエッチングによりめっき膜21を選択的に除去してパターニングすることにより、表層(外層)に配線やランドといった導体パターン22を形成する。こうして、ビアホール20を有する熱硬化性樹脂シート16と、その熱硬化性樹脂シート16上に設けられた銅箔17と、ビアホール20から露呈するように設けられており、かつ、ビアホール20を介して銅箔17と電気的に接続された配線パターン13とを備えており、ビアホール20が異なるテーパ角を有する内壁部で構成された本発明によるプリント配線板100を得る(図8)。
【0034】
ここで、図9乃至図12は、図7に示す状態のプリント配線板の要部を模式的に示す概略断面図であり、ビアホール20の種々の態様を示す図である。
【0035】
図9に示すビアホール20は、配線パターン13に下端が接する内壁部20a(第1の内壁部)と、銅箔17に上端が接する内壁部20b(第2の内壁部)に区分けすることができる。すなわち、ビアホール20は、内壁部20a,20bから構成されている。この態様では、内壁部20aの壁面Saは、図示下端から図示上方に向かって、直線的かつ比較的急峻に延びるように拡径するテーパ面とされている。一方、内壁部20bの壁面Sbは、図示上方に向かって、やや凹みながら(凹状をなす。逆言すれば、図示下方に向かって凸。)曲線的かつ比較的緩やかに延びるように拡径するテーパ面とされている。つまり、ビアホール20は、テーパ角の異なる二段階の壁面を有しており、内壁部20bのテーパ角は、内壁部20aのテーパ角よりも大きく、その全体的な傾斜は緩やかにされている。
【0036】
ここで、「テーパ角」とは、プリント配線板に垂直な断面において、内壁部20a,20bのそれぞれの両端(部)を直線で結んだ仮想線La,Lbと、プリント配線板に垂直な方向とのなす角度Ta,Tb(以下、「テーパ角Ta,Tb」という。)、すなわち、内壁部20a,20bのテーパ(面)の全体的な(平均的な)拡がり角をいう。なお、内壁部20aの両端とは、内壁部20aの図示下端(配線パターン13との接点)及び内壁部20bとの境界点を示し、内壁部20bの両端とは、内壁部20bの図示上端(銅箔17との接点)及び内壁部20bとの境界点を示す。よって、本態様においては、Ta(内壁部20aのテーパ角)<Tb(内壁部20bのテーパ角)とされている。これとは逆に、余角で考えると、内壁部20bと銅箔17の延在面のなす内角θb(テーパ角Tbの余角)は、内壁部20aと配線パターン13の延在面のなす内角θa(テーパ角Taの余角)よりも小さくされている、すなわち、θa(内壁部20aの上記内角)>θb(内壁部20bの上記内角)であると言うことができる。
【0037】
また、図10に示すビアホール20は、内壁部20bの壁面Sbが、図示上方に向かって、やや膨らみながら(凸状をなす。逆言すれば、図示上方に向かって凹。)曲線的かつ比較的緩やかに延びるように拡径するテーパ面とされていること以外は、図9に示すビアホール20と同様に形成されたものである。この態様においても、Ta(内壁部20aのテーパ角)<Tb(内壁部20bのテーパ角)とされており、逆に、余角に着目すれば、θa(内壁部20aの内角)>θb(内壁部20bの内角)とされている。
【0038】
さらに、図11に示すビアホール20は、内壁部20bの壁面Sbが、図示上方に向かって、直線的かつ比較的緩やかに延びるように拡径するテーパ面とされていること以外は、図9に示すビアホール20と同様に形成されたものである。この態様においても、Ta(内壁部20aのテーパ角)<Tb(内壁部20bのテーパ角)とされており、逆に、余角に着目すれば、θa(内壁部20aの内角)>θb(内壁部20bの内角)とされている。
【0039】
またさらに、図12に示すビアホール20は、内壁部20bの壁面Sbが、図示上方に向かって、直線的かつ比較的緩やかに延びるように拡径するテーパ面とされており、かつ、内壁部20a,20b間に、壁面Scが図示上方に向かって直線的かつ内壁部20aよりは緩やかにかつ内壁部20bよりは急峻に延びるように拡径するテーパ面とされた内壁部20cが設けられていること以外は、図9に示すビアホール20と同様に形成されたものである。この態様においては、Ta(内壁部20aのテーパ角)<Tc(内壁部20cのテーパ角)<Tb(内壁部20bのテーパ角)とされており、逆に、余角に着目すれば、θa(内壁部20aの内角)>θc(内壁部20cの内角)>θb(内壁部20bの内角)とされている。
【0040】
このように構成されたプリント配線板100及びその製造方法によれば、絶縁層である熱硬化性樹脂シート16の一方側に設けられた銅箔17と、熱硬化性樹脂シート16の他方側に設けられた配線パターン13とが、熱硬化性樹脂シート16に形成された内壁部20a,20b,(20c)を有するビアホール20を介して接続される。そして、ビアホール20は、銅箔17に接続する内壁部20b(ビアホール20の開口端を含む部位)のうち少なくとも銅箔17と接する部位のテーパ角Tbが、その下部に位置する配線パターン13に接する内壁部20aのテーパ角Taよりも大きくされ、ビアホール20の開口部周縁の傾きが、底部に比して、開口端に向かって緩やかに拡径されているので、銅箔17、ビアホール20の内部、及び、配線パターン13をめっきするときに、ビアホール20の開口部周縁における少なくとも銅箔17と接する部位のめっき膜21の厚さを、内壁部20bを有しない従来のビアホールに比して、十分に厚くすることができる。
【0041】
したがって、従来に比して、また、ビアホール20が高アスペクト比を有していても、配線パターン13と銅箔17との接続信頼性を向上させることができる。また、めっき膜21の厚さを予め薄く設定することができるので、更なるファインピッチ化、ひいては更なる高密度実装にも十分に対応することができる。
【0042】
また、このようなテーパ角が異なる複数の内壁部20a,20b,(20c)から構成されるビアホール20は、図5及び図6に示すように、二段階の工程で簡便に形成することができる。この際、従来のカッパーダイレクト法の如く銅箔17の上から熱硬化性樹脂シート16に同時に孔あけすることがないので、銅箔17のバリの発生を抑止できる。さらに、孔19に対するブラスト処理によって孔19の開口端を面取りしてビアホール20の内壁部20bを形成することにより、ブラストのメディア粒子とビアホール20の内壁面との衝突時の衝撃に起因して、特に内壁部20bの壁面Sbに微小な凹凸が形成されて表面が粗化され得るので、アンカー効果によってめっき膜21と熱硬化性樹脂シート16との被着性が向上され得る。
【0043】
次に、図13乃至図17は、本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図(フロー図)の一部であり、各工程におけるプリント配線板の要部を示す概略断面図である。
【0044】
本実施形態では、まず、図1及び図2に示す手順と同様にして、コア基板11上に配線やランドといった配線パターン13を形成する。このとき、図示を省略するが、コア基板11上の所定の領域にある銅箔12が全面的に除去されることにより、電子部品の搭載領域を確保し、次いで、その所定領域に電子部品を搭載する。例えば、コア基板11上の所定領域に半導体ICチップをフェースアップ(パッドがコア基板11の外方を向く状態)で搭載し、この際、半導体ICチップはコア基板11上に接着剤等を用いて仮止め固定されることが好ましい。
【0045】
次いで、このコア基板11の両面に、熱プレス等によって熱硬化性樹脂シート16を張り合わせる(図13)。これにより、予めコア基板11上に搭載された半導体ICチップ等の電子部品は、プリント配線板内に埋め込まれた状態となり、熱硬化性樹脂シート16はビルドアップ層の絶縁層となる。
【0046】
それから、所定のビーム径を有するレーザーを、熱硬化性樹脂シート16における所定位置に照射し、孔19を穿設する(図14)。次いで、熱硬化性樹脂シート16上、又は熱硬化性樹脂シート16の直上方に、孔19よりも大きな径を有する開口が設けられた適宜のマスクMを設置する(図15)。この状態で、アルミナウェットブラスト処理やサンドブラスト処理といったブラスト処理を施し、孔19の開口端の角部を面取りしてビアホール20を形成する(図16)。
【0047】
次に、マスクMを除去し、ビアホール20の内壁面を含む露出面のほぼ全面に無電解めっき法により下地導体層(図示せず)を形成した後、電解メッキ法により下地導体層を成長させ、ビアホール20の内壁面を含む露出面であったほぼ全面にめっき膜23(下地導体層を含む)を成膜する(図17)。それから、フォトリソグラフィ及びエッチングによりめっき膜23を選択的に除去してパターニングすることにより、図8に示す導体パターン22と同様の導体パターンを形成してプリント配線板を得る。このように、本実施形態で得られるプリント配線板は、図1乃至図8に示す手順で得たプリント配線板100における導体層15を有しない代わりに、めっき膜23が導体層を兼ねるものであり、導体層15を有しない分、熱硬化性樹脂シート16上の導体部分の薄膜化、ひいてはプリント配線板の低背化を図ることができる。
【0048】
また、本発明によるプリント配線板を製造する更に他の方法として、例えば、図4に示す工程と図5に示す工程の順序を逆にしてもよい。すなわち、樹脂シート15として、銅箔17が張り合わされていないものを用い、先に、所定のビーム径を有するレーザーを、熱硬化性樹脂シート16の所定位置に照射して孔19を穿設する(つまり、図1、図2、図13、及び図14に示す工程をその順に実行する。)。それから、例えば、熱硬化性樹脂シート16の孔19及びその周囲にレジストをパターニングした後、その露出面全体に種々の堆積法やめっき法によって銅膜を成膜し、レジストを除去することにより、図5に示す銅箔17と同様のパターン、つまり、開口径が孔19よりも大きい銅膜のパターンを形成する。その後、図6乃至図8に示す工程をその順に実施してプリント配線板100と同等の構造を有するプリント配線板を得ることができる。
【0049】
なお、上述したとおり、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更を加えることが可能である。例えば、コア基板11及び樹脂シート15における導体は、銅箔に制限されず、他の金属層を用いてもよい。さらに、プリント配線板100に内蔵される電子部品(内蔵素子)は、上述したものに限定されず、その他各種の電子部品(L,C,R単体のチップ部品、L,C,Rのアレイ、セラミック多層基板を用いたLCR複合チップ部品等)を内蔵させてもよい。この場合、内蔵電子部品の増加に伴って導体層と接続すべき被配線体であるパッド電極の数が増加し、パッド電極の高さも様々となってビアホールのアスペクト比も種々異なるが、このような場合でも、本発明によれば、ビアホールの開口端周縁においてめっき膜が局所的に過度に薄くなることを防止して接続信頼性を高めることができるので、従来は対応が困難であった内蔵素子の増加による接続信頼性に関わる種々の問題を解消することが可能となる。
【0050】
また、孔19が熱硬化性樹脂シート16を貫通して形成されなくてもよく、所定の深さの非貫通孔とし、その後のブラスト処理等によって、孔19の開口端の角部(開口縁部)の面取り(内壁部20bのテーパ面の形成)と、孔19を貫通させてビアホール20を完成することを同工程で行なってもよい。さらに、孔19を形成する工程及びビアホール20を形成する工程は、それぞれレーザー照射及びブラスト処理に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、導体層と配線層との貫通孔を介した接続において、貫通孔の開口部周縁におけるめっき膜の十分な厚さを実現できるので、プリント配線板に形成されるビア等の接続孔におけるめっき不良を抑止でき、これにより、プリント配線板内部での接続信頼性を向上させることができるので、種々の電子部品を内蔵するようなプリント配線板、多層配線基板等、及び、それらを備える機器、装置、システム、設備等、ならびに、それらの製造に広くかつ有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図2】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図3】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図4】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図5】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図6】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図7】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図8】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図9】図7に示す状態のプリント配線板の要部を模式的に示す概略断面図である。
【図10】図7に示す状態のプリント配線板の要部を模式的に示す概略断面図である。
【図11】図7に示す状態のプリント配線板の要部を模式的に示す概略断面図である。
【図12】図7に示す状態のプリント配線板の要部を模式的に示す概略断面図である。
【図13】本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図14】本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図15】本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図16】本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図17】本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【符号の説明】
【0053】
11…コア基板、12…銅箔、13…配線パターン(配線層)、15…樹脂シート、16…熱硬化性樹脂シート(絶縁層)、17…銅箔(導体層)、18…開口、19…孔、20…ビアホール(貫通孔)、20a…内壁部(第1の内壁部)、20b…内壁部(第2の内壁部)、20c…内壁部、21,23…めっき膜、22…導体パターン、100…プリント配線板、La,Lb…仮想線、M…マスク、Sa,Sb,Sc…壁面、Ta,Tb…テーパ角、θa,θb…内角。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板及びその製造方法に関し、特に、多層プリント配線板における配線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線基板の高密度実装構造として、プリント配線板を、導体層と絶縁層が交互に積層された多層構造にすると共に、その内部に半導体ICチップ(ベアチップ、ダイ)等の能動部品や抵抗、キャパシタ等の受動部品を内蔵するモジュールやパッケージ構造が知られている。かかる多層構造においては、一般的に、層間にビアホールやコンタクトホール等の接続孔を形成し、それらの接続孔を利用して、異なる層に設けられた導体層や内蔵された電子部品の電極等を電気的に接続することが行なわれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、絶縁層とその上部及び下部にそれぞれ設けられた上部導体層及び下部導体層を備える多層基板において、上部導体層にレーザー照射径と同等の形状サイズを有する開口を形成し、その上部導体層の開口パターンをマスク(コンフォーマルマスク)として絶縁層にレーザーを照射し、被配線体となる下部導体層が絶縁層下に露呈するようにビアを穿設した後、その内部及び上部導体層にコンフォーマルめっきを施して上下導体層を接続する配線方法が記載されている。また、マスクを用いない方法として、特許文献1には、銅箔ごと絶縁層にビアを形成するカッパーダイレクト法が、特許文献2には、プリント配線板における一般的なビア形成として、基材に銅箔が貼付された銅張板に炭酸ガスレーザーを照射し、銅箔の上から基材に孔を形成する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2003−179351号公報
【特許文献2】特開2001−239386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のビア形成を用いた配線方法では、開口したビアの底部によって画成される下部導体層の面(ランド)とビアの内壁面とのなす角度が急峻なため、ビア内部をめっきしようとすると、ビアの開口部周縁(ビアの上部の角部)におけるめっきの厚さを十分に確保し難く、こうなると、その部位でめっき不良が生じしてしまい、その結果、被配線体であるビアの底壁(ランド)と上部導体層との接続信頼性が低下してしまうおそれがある。
【0005】
例えば、本発明者が種々検討したところ、特許文献1に記載されているコンフォーマルマスク法のように、レーザー照射径と同じ又はそれよりも小さい開口を有する導体層のパターンを絶縁層上に設け、そのコンフォーマルマスクを通して開口と同等又はそれよりも大きいビーム径のレーザーを照射してビアを形成する方法においても、レーザーのビーム径よりも大きい開口を導体層に形成し、レーザー照射を行なってビアを形成する方法においても、ビア上部の開口部周縁では、他の部分に比してめっきの付着が不十分となり、その部位において局所的にめっき膜が過度に薄くなってしまう傾向にあることが確認された。
【0006】
特に、近時、プリント配線基板においては、更なる高密度実装の要求に応えるべく、部品の端子ピッチや配線ピッチの狭小化(ファインピッチ化)が急速に進められ、その結果、ビアの高アスペクト化も進んでおり、また、めっき膜自体の薄層化も急務であるため、ビアのめっき不良に起因する接続信頼性の低下は、今後益々重大な問題となりつつある。殊に、半導体ICチップ等の電子部品を搭載したモジュールやパッケージは、ビア数が非常に多いため、製品の信頼性を確保・維持するために、全数のビアに対して接続信頼性を担保することは極めて重要な課題と言える。
【0007】
また、特許文献1に記載されている銅箔ごと絶縁層にビアを形成するカッパーダイレクト法や、特許文献2に記載された方法のように、上部導体層をパターニングしてマスクを形成せずに、導体層上にレーザーを照射して導体層もろとも絶縁層を貫通してビアを形成する方法では、その後のビアのめっきにおいて、ビアの開口部周縁におけるめっき厚を十分に確保し難くなる点に変わりはない。しかも、特許文献2には、かかる方法を用いると、穿設されたビアの周囲に銅箔のバリが生じてしまい、そのバリをウェットエッチで除去する必要があることが記載されており、この点においても、接続信頼性を確保する上で問題がある。
【0008】
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、プリント配線板に形成されるビア等の接続孔におけるめっき不良を抑止でき、これにより、接続信頼性を向上させることが可能であり、更なるファインピッチ化にも十分に対応できるプリント配線板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるプリント配線板は、貫通孔を有する絶縁層と、絶縁層上に設けられた導体層と、貫通孔から露呈するように設けられており、かつ、貫通孔を介して導体層と電気的に接続された配線層とを備えており、貫通孔が、配線層と接する第1の内壁部、及び、導体層と接する第2の内壁部を有しており、かつ、第2の内壁部における導体層と接する部位の少なくとも一部のテーパ角が第1の内壁部のテーパ角よりも大きいものである。なお、配線層と導体層は、必ずしも層状をなしていなくともよく、例えば、配線層と導体層の両者又はいずれかは、電極や端子のような被配線体を含む概念である。
【0010】
或いは、本発明においては、貫通孔が、配線層と接する第1の内壁部、及び、導体層と接する第2の内壁部を有しており、かつ、導体層又は配線層の延在面と、第2の内壁部において導体層と接する部位の少なくとも一部がなす内角の大きさが、導体層又は配線層の延在面と第1の内壁部がなす内角の大きさよりも小さくされていると更に言い換えることもできる。
【0011】
このように構成されたプリント配線板では、絶縁層の一方(面)側に設けられた導体層と、絶縁層の他方(面)側に設けられた配線層とが、絶縁層に形成された貫通孔を介して接続されることにより両者が導通する。そして、この貫通孔は、第1の内壁部と第2の内壁部とを有しており、配線層に接続する第2の内壁部、すなわち、貫通孔の開口端を含む部位のうち、少なくとも導体層と接する部位のテーパ角が、その下部に位置する配線層に接続される第1の内壁部のテーパ角よりも大きくされ、貫通孔の開口部周縁の傾きが、底部に比して緩やかとなっている。換言すれば、貫通孔の開口端を含む第2の内壁部のうち、少なくとも導体層と接する部位が、内部から開口端に向かって緩やかに拡径されているので、導体層、貫通孔の内部、及び絶縁層下に露呈した配線層をめっきするときに、貫通孔の開口部周縁における少なくとも導体層と接する部位のめっき膜の厚さが、第2の内壁部を有しない従来の貫通孔に比して、十分に厚くされる。
【0012】
また、導体層と接している第2の内壁部の壁面の形状は、特に制限されず、例えば、平面、凹面、凸面、凹凸面等が挙げられ、これらのなかでは、第2の内壁部において導体層と接する部位の少なくとも一部の壁面が凹状をなすと好適である。第2の内壁部は所定のテーパ角を有して傾斜しており、このとき、第2の内壁部において導体層と接する部位の少なくとも一部の壁面が凹状をなす(すなわち凹面である)と、当該部位におけるめっきの保持量が増大してめっき膜の厚さを更に十分に厚くし易くなる利点がある。
【0013】
また、本発明によるプリント配線板の製造方法は、本発明のプリント配線板を有効に製造するための方法であり、絶縁層の一方(面)側に設けられた導体層と、絶縁層の他方(面)側に設けられた配線層とが、絶縁層に形成された貫通孔を介して電気的に接続されたプリント配線板の製法であって、絶縁層上に、開口を有する導体層を形成する工程と、絶縁層における開口に対応する部位に、その開口よりも小さい孔(開口の領域内に含まれる寸法形状の孔)を形成する工程と、開口を有する導体層をマスクとして、絶縁層における上記孔に対応する部位に、導体層と配線層とを接続するための貫通孔を形成する工程と、貫通孔の内部及び導体層にめっきを施すことにより、導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程とを有する。
【0014】
或いは、本発明によるプリント配線板の製造方法は、絶縁層に孔を形成する工程と、絶縁層の上又は絶縁層の上方にその孔よりも大きい開口(開口の領域内に孔が含まれる寸法形状の開口)を有するマスクを形成し、そのマスクを用いて、絶縁層におけるその孔に対応する部位に、導体層と配線層とを接続する貫通孔を形成する工程と、貫通孔の内部及び絶縁層にめっきを施すことにより、導体層を形成するとともに、該導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程とを有していてもよい。かかる方法においては、貫通孔を形成するために、絶縁層の上又は上方に設けた適宜のマスクを用いることができ、そのマスクは、絶縁層に被着していてもしていなくてもよく、貫通孔の内部及び絶縁層にめっきを施す前に絶縁層上から除去又は撤去される。また、貫通孔の内部及び絶縁層にめっきを施すことにより、貫通孔の内部及び絶縁層上にめっき層が一体に形成され、そのめっき層全体又はめっき層における絶縁層上の部分が、導体層として機能する。
【0015】
また、本発明によるプリント配線板の製造方法は、絶縁層に孔を形成する工程と、その孔に対応する部位に、その孔よりも大きい開口(開口の領域内に孔が含まれる寸法形状の開口)を有する導体層を形成する工程と、その開口を有する導体層をマスクとして、絶縁層における孔に対応する部位に、導体層と配線層とを接続するための貫通孔を形成する工程と、貫通孔の内部及び導体層にめっきを施すことにより、前記導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程とを有してもよい。すなわち、本発明によるプリント配線板の製造方法では、絶縁層に孔を形成する工程と、絶縁層に開口を有する導体層を形成する工程のいずれを先に実施しても構わない。
【0016】
なお、本発明によるプリント配線板の製造方法における絶縁層に孔を形成する工程において、その孔は、貫通孔であっても非貫通孔であってもよく、貫通孔である場合、この時点で配線層が絶縁層下に露呈し得る。一方、その孔が非貫通孔の場合には、絶縁層に貫通孔を形成する工程において、配線層が絶縁層下にその貫通孔から露呈する。いずれの場合も、絶縁層に貫通孔を形成する工程を実施した後に、導体層と配線層とを接続するための形状を有する貫通孔、すなわち、前述した本発明のプリント配線板に備わる第1の内壁部及び第2の内壁部を有する貫通孔が画成される。
【0017】
より具体的には、貫通孔を形成する工程においては、孔を形成する工程において形成した孔の開口縁部(孔の開口端を含む部位)における導体層と接する部位の少なくとも一部にテーパ面が形成されるように、貫通孔を形成することが好ましい。これにより、貫通孔の第2の内壁部が確実に形成される。
【0018】
また、貫通孔を形成する工程においては、孔を形成する工程において孔を形成する際の絶縁層の研削レート(単位時間あたりの絶縁層の研削量)よりも小さい研削レートにて絶縁層を研削し、それにより貫通孔を形成すると好適である。こうすれば、孔の開口端を含む部位(開口縁部)にテーパ面が形成されるように、その開口縁部が面取りされるので、貫通孔の第2の内壁部を更に形成し易くなる。
【0019】
この場合、更に具体的には、絶縁層に孔を形成する工程においては、レーザー照射によりその孔を形成し、絶縁層に貫通孔を形成する工程においては、ブラスト処理(ウェットでもドライでもよい)により貫通孔を形成することが好ましい。このようにすれば、貫通孔の第1の内壁部に対応する微細で急峻な壁面形状を有する部位をレーザー照射のみ、又は、レーザー照射とブラスト処理の複合処理によって簡易に形成することができる。また、ブラスト処理による絶縁層の研削レートは、レーザー照射による絶縁層の研削レートに比して概して小さいので、孔の開口端を含む部位(開口縁部)にテーパ面が形成されるように、その開口縁部が面取りされる。よって、貫通孔の第2の内壁部を格段にかつより確実に形成し易くなる。
【0020】
ただし、絶縁層の材料物性と貫通孔に要求される形状によっては、ブラスト処理に代えて、デスミア処理、プラズマ(アッシング)処理、ジェットスクラブ処理、超音波処理、レーザー処理、ドリル加工等を用いてもよい。また、孔を形成する工程、及び、貫通孔を形成する工程においては、同種の処理を行ってもよく、この場合、上述の如く、貫通孔を形成する工程における絶縁層の研削レートが、孔を形成する工程における絶縁層の研削レートよりも小さくなるようにすればよい。例えば、両工程をレーザー照射処理によって行う場合には、貫通孔を形成する工程におけるレーザーの照射エネルギー密度を、孔を形成する工程におけるレーザーの照射エネルギー密度よりも小さくすればよく、そのためには、両工程でレーザーの照射エネルギーを同等にしつつ、貫通孔を形成する工程ではレーザービームをデフォーカスさせる等してビーム径をより大きくする方法を例示できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のプリント配線板及びその製造方法によれば、導体層と配線層とが、絶縁層に穿設された貫通孔を介して接続され、この貫通孔が、テーパ角の比較的小さい第1の内壁部とテーパ角が比較的大きい第2の内壁部を有しており、これにより、配線層及び貫通孔の内部をめっきするときに、貫通孔の開口部周縁における少なくとも配線層と接する部位のめっき膜の厚さが、第2の内壁部を有しない従来の貫通孔に比して、十分に厚くされる。よって、このようにめっき膜厚が局所的に薄くなることを抑止できるので、従来に比して、また、ビアが高アスペクト比を有していても、配線層と導体層との接続信頼性を向上させることができ、さらに、全体のめっき厚を予め薄く設定することができるので、更なるファインピッチ化、ひいては更なる高密度実装にも十分に対応することが可能であり、製品の信頼性をより一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0023】
図1乃至図8は、本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図(フロー図)であり、各工程におけるプリント配線板の要部を示す概略断面図である。本実施形態におけるプリント配線基板の製造方法は、例えば、半導体ICチップ等の能動部品や、抵抗、キャパシタ等の能動部品を内蔵する基板モジュールの基材を構成するコア基板上にそれら電子部品を搭載する場合、また、コア基板上に形成されるいわゆるビルドアップ層上にそれらの電子部品を搭載する場合等、種々のプリント配線板の製造に適用が可能である。
【0024】
本実施形態では、まずコア基板11を用意する( 図1)。コア基板11は、プリント配線板全体の機械的強度を確保する役割を果たすものであり、特に限定されるものではないが、例えば、両面銅箔付き樹脂基板を用いることができる。樹脂基板の材料としては、特に制限されず、ガラスクロス、ケブラー、アラミド、液晶ポリマー等の樹脂クロス、フッ素樹脂の多孔質シート等からなる芯材に、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が含浸された材料等を用いることが好ましく、また、その厚さは、例えば20μm〜200μm程度であることが好ましい。また、加工条件の均一化を目的として、LCP、PPS、PES,PEEK,PI等の芯材のないシート材料を用いてもよい。
【0025】
一方、銅箔12の厚さは、例えば1μm〜18μm程度であることが好ましい。銅箔12は、プリント配線基板用に用いられる電解銅箔(硫酸銅水溶液中に銅を溶解イオン化したものを電着ロールにて連続的に電着して銅箔化したもの)、或いは、圧延銅箔を使用することにより、その厚さのばらつきを極めて小さくすることができるので好ましい。また、必要に応じ、スェップ等の手法で銅箔12の厚さを調整してもよい。
【0026】
次に、コア基板11の両面に設けられた銅箔12をフォトリソグラフィ及びエッチングにより選択的に除去してパターニングすることにより、コア基板11上に配線やランドといった配線パターン13(配線層)を形成する(図2)。このとき、図示を省略するが、コア基板11上の所定の領域にある銅箔12が全面的に除去されることにより、電子部品の搭載領域を確保し、次いで、その所定領域に電子部品を搭載する。例えば、コア基板11上の所定領域に半導体ICチップをフェースアップ(パッドがコア基板11の外方を向く状態)で搭載し、この際、半導体ICチップはコア基板11上に接着剤等を用いて仮止め固定されることが好ましい。
【0027】
次いで、このコア基板11の両面に片面銅箔付き樹脂シート15を張り合わせる(図3)。片面銅箔付き樹脂シート15は、エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂シート16の一方面に銅箔17が貼付されたものである。かかる片面銅箔付き樹脂シート15を二枚用意し、その樹脂面をコア基板11の両面にそれぞれ張り合わせた後、熱プレスすることにより、片面銅箔付き樹脂シート15をコア基板11と一体化させる。これにより、予めコア基板11上に搭載された半導体ICチップ等の電子部品は、プリント配線板内に埋め込まれた状態となり、熱硬化性樹脂シート16及び銅箔17はそれぞれビルドアップ層の絶縁層及び導体層となる。
【0028】
次に、熱硬化性樹脂シート16上の銅箔17をフォトリソグラフィ及びエッチングにより選択的に除去してパターニングすることにより、後々ビアホールを形成するための開口18を有するマスクパターンを形成する(図4)。なお、特に限定されないが、開口パターンの直径としては、例えば30μm〜200μm程度に設定することが好ましい。
【0029】
次に、パターニングされた銅箔17の開口18の径よりも小さいビーム径を有するレーザーを、熱硬化性樹脂シート16における開口18に対応する領域内の所定位置に照射し、孔19を穿設する(図5)。孔19は、熱硬化性樹脂シート16を貫通して形成され、これにより、被配線体である配線パターン13が、熱硬化性樹脂シート16からなる絶縁層下に露呈する。ここで用いるレーザーの種類としては、特に制限されず、熱硬化性樹脂シート16の加工特性に優れる観点から、例えば、高出力の炭酸ガスレーザー等のガスレーザーが挙げられ、場合によっては、固体レーザーを用いることもできる。照射されたレーザーのエネルギーは、熱硬化性樹脂シート16に吸収され、その熱によって熱硬化性樹脂シート16の照射部位が燃焼し、図5に模式的に示すような図示下方に突出する形状の孔19が形成される。
【0030】
さらに、孔19が形成されたコア基板11に、パターニングされて開口18が形成された銅箔17をマスクとするアルミナウェットブラスト処理やサンドブラスト処理といったブラスト処理を施し、孔19の開口端の角部(開口縁部)を面取りしてビアホール20を形成する(図6)。このブラスト処理では、メディアである非金属粒又は金属粒を投射することによって被加工体である熱硬化性樹脂シート16が研削され、このときの熱硬化性樹脂シート16の研削レートは、孔19を形成するためのレーザー照射による熱硬化性樹脂シート16の研削レートよりも概して小さいので、孔19の深さ方向への研削の進行具合(言わば、研削の異方性)がレーザー照射に比して緩和又は抑制され、これにより孔19の開口縁部が面取りされ易くなる。また、このとき、熱硬化性樹脂シート16の孔19から露呈している配線パターン13は、ストッパーとして機能する。
【0031】
なお、配線パターン13がビアホール20の底壁を画成するので、この状態においてビアホール20は非貫通孔であるが、ビアホール20は絶縁層たる熱硬化性樹脂シート16の層を貫通しているので、請求項に記載された本発明における「貫通孔」に該当する。
【0032】
次に、ビアホール20の内壁面を含む露出面のほぼ全面に下地導体層(図示せず)を形成する。下地導体層の形成方法としては、無電解メッキ法を用いることが好ましいが、スパッタ法、蒸着法等を用いることもできる。下地導体層は、その後に行う電解メッキの下地としての役割を果たすため、その厚さとしては非常に薄くてよく、例えば数十nm〜数μmの範囲から適時選択すればよい。次いで、電解メッキ法により下地導体層を成長させ、ビアホール20の内壁面を含む露出面であったほぼ全面にめっき膜21(下地導体層を含む)を成膜する(図7)。
【0033】
それから、フォトリソグラフィ及びエッチングによりめっき膜21を選択的に除去してパターニングすることにより、表層(外層)に配線やランドといった導体パターン22を形成する。こうして、ビアホール20を有する熱硬化性樹脂シート16と、その熱硬化性樹脂シート16上に設けられた銅箔17と、ビアホール20から露呈するように設けられており、かつ、ビアホール20を介して銅箔17と電気的に接続された配線パターン13とを備えており、ビアホール20が異なるテーパ角を有する内壁部で構成された本発明によるプリント配線板100を得る(図8)。
【0034】
ここで、図9乃至図12は、図7に示す状態のプリント配線板の要部を模式的に示す概略断面図であり、ビアホール20の種々の態様を示す図である。
【0035】
図9に示すビアホール20は、配線パターン13に下端が接する内壁部20a(第1の内壁部)と、銅箔17に上端が接する内壁部20b(第2の内壁部)に区分けすることができる。すなわち、ビアホール20は、内壁部20a,20bから構成されている。この態様では、内壁部20aの壁面Saは、図示下端から図示上方に向かって、直線的かつ比較的急峻に延びるように拡径するテーパ面とされている。一方、内壁部20bの壁面Sbは、図示上方に向かって、やや凹みながら(凹状をなす。逆言すれば、図示下方に向かって凸。)曲線的かつ比較的緩やかに延びるように拡径するテーパ面とされている。つまり、ビアホール20は、テーパ角の異なる二段階の壁面を有しており、内壁部20bのテーパ角は、内壁部20aのテーパ角よりも大きく、その全体的な傾斜は緩やかにされている。
【0036】
ここで、「テーパ角」とは、プリント配線板に垂直な断面において、内壁部20a,20bのそれぞれの両端(部)を直線で結んだ仮想線La,Lbと、プリント配線板に垂直な方向とのなす角度Ta,Tb(以下、「テーパ角Ta,Tb」という。)、すなわち、内壁部20a,20bのテーパ(面)の全体的な(平均的な)拡がり角をいう。なお、内壁部20aの両端とは、内壁部20aの図示下端(配線パターン13との接点)及び内壁部20bとの境界点を示し、内壁部20bの両端とは、内壁部20bの図示上端(銅箔17との接点)及び内壁部20bとの境界点を示す。よって、本態様においては、Ta(内壁部20aのテーパ角)<Tb(内壁部20bのテーパ角)とされている。これとは逆に、余角で考えると、内壁部20bと銅箔17の延在面のなす内角θb(テーパ角Tbの余角)は、内壁部20aと配線パターン13の延在面のなす内角θa(テーパ角Taの余角)よりも小さくされている、すなわち、θa(内壁部20aの上記内角)>θb(内壁部20bの上記内角)であると言うことができる。
【0037】
また、図10に示すビアホール20は、内壁部20bの壁面Sbが、図示上方に向かって、やや膨らみながら(凸状をなす。逆言すれば、図示上方に向かって凹。)曲線的かつ比較的緩やかに延びるように拡径するテーパ面とされていること以外は、図9に示すビアホール20と同様に形成されたものである。この態様においても、Ta(内壁部20aのテーパ角)<Tb(内壁部20bのテーパ角)とされており、逆に、余角に着目すれば、θa(内壁部20aの内角)>θb(内壁部20bの内角)とされている。
【0038】
さらに、図11に示すビアホール20は、内壁部20bの壁面Sbが、図示上方に向かって、直線的かつ比較的緩やかに延びるように拡径するテーパ面とされていること以外は、図9に示すビアホール20と同様に形成されたものである。この態様においても、Ta(内壁部20aのテーパ角)<Tb(内壁部20bのテーパ角)とされており、逆に、余角に着目すれば、θa(内壁部20aの内角)>θb(内壁部20bの内角)とされている。
【0039】
またさらに、図12に示すビアホール20は、内壁部20bの壁面Sbが、図示上方に向かって、直線的かつ比較的緩やかに延びるように拡径するテーパ面とされており、かつ、内壁部20a,20b間に、壁面Scが図示上方に向かって直線的かつ内壁部20aよりは緩やかにかつ内壁部20bよりは急峻に延びるように拡径するテーパ面とされた内壁部20cが設けられていること以外は、図9に示すビアホール20と同様に形成されたものである。この態様においては、Ta(内壁部20aのテーパ角)<Tc(内壁部20cのテーパ角)<Tb(内壁部20bのテーパ角)とされており、逆に、余角に着目すれば、θa(内壁部20aの内角)>θc(内壁部20cの内角)>θb(内壁部20bの内角)とされている。
【0040】
このように構成されたプリント配線板100及びその製造方法によれば、絶縁層である熱硬化性樹脂シート16の一方側に設けられた銅箔17と、熱硬化性樹脂シート16の他方側に設けられた配線パターン13とが、熱硬化性樹脂シート16に形成された内壁部20a,20b,(20c)を有するビアホール20を介して接続される。そして、ビアホール20は、銅箔17に接続する内壁部20b(ビアホール20の開口端を含む部位)のうち少なくとも銅箔17と接する部位のテーパ角Tbが、その下部に位置する配線パターン13に接する内壁部20aのテーパ角Taよりも大きくされ、ビアホール20の開口部周縁の傾きが、底部に比して、開口端に向かって緩やかに拡径されているので、銅箔17、ビアホール20の内部、及び、配線パターン13をめっきするときに、ビアホール20の開口部周縁における少なくとも銅箔17と接する部位のめっき膜21の厚さを、内壁部20bを有しない従来のビアホールに比して、十分に厚くすることができる。
【0041】
したがって、従来に比して、また、ビアホール20が高アスペクト比を有していても、配線パターン13と銅箔17との接続信頼性を向上させることができる。また、めっき膜21の厚さを予め薄く設定することができるので、更なるファインピッチ化、ひいては更なる高密度実装にも十分に対応することができる。
【0042】
また、このようなテーパ角が異なる複数の内壁部20a,20b,(20c)から構成されるビアホール20は、図5及び図6に示すように、二段階の工程で簡便に形成することができる。この際、従来のカッパーダイレクト法の如く銅箔17の上から熱硬化性樹脂シート16に同時に孔あけすることがないので、銅箔17のバリの発生を抑止できる。さらに、孔19に対するブラスト処理によって孔19の開口端を面取りしてビアホール20の内壁部20bを形成することにより、ブラストのメディア粒子とビアホール20の内壁面との衝突時の衝撃に起因して、特に内壁部20bの壁面Sbに微小な凹凸が形成されて表面が粗化され得るので、アンカー効果によってめっき膜21と熱硬化性樹脂シート16との被着性が向上され得る。
【0043】
次に、図13乃至図17は、本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図(フロー図)の一部であり、各工程におけるプリント配線板の要部を示す概略断面図である。
【0044】
本実施形態では、まず、図1及び図2に示す手順と同様にして、コア基板11上に配線やランドといった配線パターン13を形成する。このとき、図示を省略するが、コア基板11上の所定の領域にある銅箔12が全面的に除去されることにより、電子部品の搭載領域を確保し、次いで、その所定領域に電子部品を搭載する。例えば、コア基板11上の所定領域に半導体ICチップをフェースアップ(パッドがコア基板11の外方を向く状態)で搭載し、この際、半導体ICチップはコア基板11上に接着剤等を用いて仮止め固定されることが好ましい。
【0045】
次いで、このコア基板11の両面に、熱プレス等によって熱硬化性樹脂シート16を張り合わせる(図13)。これにより、予めコア基板11上に搭載された半導体ICチップ等の電子部品は、プリント配線板内に埋め込まれた状態となり、熱硬化性樹脂シート16はビルドアップ層の絶縁層となる。
【0046】
それから、所定のビーム径を有するレーザーを、熱硬化性樹脂シート16における所定位置に照射し、孔19を穿設する(図14)。次いで、熱硬化性樹脂シート16上、又は熱硬化性樹脂シート16の直上方に、孔19よりも大きな径を有する開口が設けられた適宜のマスクMを設置する(図15)。この状態で、アルミナウェットブラスト処理やサンドブラスト処理といったブラスト処理を施し、孔19の開口端の角部を面取りしてビアホール20を形成する(図16)。
【0047】
次に、マスクMを除去し、ビアホール20の内壁面を含む露出面のほぼ全面に無電解めっき法により下地導体層(図示せず)を形成した後、電解メッキ法により下地導体層を成長させ、ビアホール20の内壁面を含む露出面であったほぼ全面にめっき膜23(下地導体層を含む)を成膜する(図17)。それから、フォトリソグラフィ及びエッチングによりめっき膜23を選択的に除去してパターニングすることにより、図8に示す導体パターン22と同様の導体パターンを形成してプリント配線板を得る。このように、本実施形態で得られるプリント配線板は、図1乃至図8に示す手順で得たプリント配線板100における導体層15を有しない代わりに、めっき膜23が導体層を兼ねるものであり、導体層15を有しない分、熱硬化性樹脂シート16上の導体部分の薄膜化、ひいてはプリント配線板の低背化を図ることができる。
【0048】
また、本発明によるプリント配線板を製造する更に他の方法として、例えば、図4に示す工程と図5に示す工程の順序を逆にしてもよい。すなわち、樹脂シート15として、銅箔17が張り合わされていないものを用い、先に、所定のビーム径を有するレーザーを、熱硬化性樹脂シート16の所定位置に照射して孔19を穿設する(つまり、図1、図2、図13、及び図14に示す工程をその順に実行する。)。それから、例えば、熱硬化性樹脂シート16の孔19及びその周囲にレジストをパターニングした後、その露出面全体に種々の堆積法やめっき法によって銅膜を成膜し、レジストを除去することにより、図5に示す銅箔17と同様のパターン、つまり、開口径が孔19よりも大きい銅膜のパターンを形成する。その後、図6乃至図8に示す工程をその順に実施してプリント配線板100と同等の構造を有するプリント配線板を得ることができる。
【0049】
なお、上述したとおり、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更を加えることが可能である。例えば、コア基板11及び樹脂シート15における導体は、銅箔に制限されず、他の金属層を用いてもよい。さらに、プリント配線板100に内蔵される電子部品(内蔵素子)は、上述したものに限定されず、その他各種の電子部品(L,C,R単体のチップ部品、L,C,Rのアレイ、セラミック多層基板を用いたLCR複合チップ部品等)を内蔵させてもよい。この場合、内蔵電子部品の増加に伴って導体層と接続すべき被配線体であるパッド電極の数が増加し、パッド電極の高さも様々となってビアホールのアスペクト比も種々異なるが、このような場合でも、本発明によれば、ビアホールの開口端周縁においてめっき膜が局所的に過度に薄くなることを防止して接続信頼性を高めることができるので、従来は対応が困難であった内蔵素子の増加による接続信頼性に関わる種々の問題を解消することが可能となる。
【0050】
また、孔19が熱硬化性樹脂シート16を貫通して形成されなくてもよく、所定の深さの非貫通孔とし、その後のブラスト処理等によって、孔19の開口端の角部(開口縁部)の面取り(内壁部20bのテーパ面の形成)と、孔19を貫通させてビアホール20を完成することを同工程で行なってもよい。さらに、孔19を形成する工程及びビアホール20を形成する工程は、それぞれレーザー照射及びブラスト処理に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、導体層と配線層との貫通孔を介した接続において、貫通孔の開口部周縁におけるめっき膜の十分な厚さを実現できるので、プリント配線板に形成されるビア等の接続孔におけるめっき不良を抑止でき、これにより、プリント配線板内部での接続信頼性を向上させることができるので、種々の電子部品を内蔵するようなプリント配線板、多層配線基板等、及び、それらを備える機器、装置、システム、設備等、ならびに、それらの製造に広くかつ有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図2】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図3】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図4】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図5】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図6】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図7】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図8】本発明によるプリント配線板の好適な一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図9】図7に示す状態のプリント配線板の要部を模式的に示す概略断面図である。
【図10】図7に示す状態のプリント配線板の要部を模式的に示す概略断面図である。
【図11】図7に示す状態のプリント配線板の要部を模式的に示す概略断面図である。
【図12】図7に示す状態のプリント配線板の要部を模式的に示す概略断面図である。
【図13】本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図14】本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図15】本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図16】本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【図17】本発明によるプリント配線板の好適な他の一実施形態を製造する手順を示す工程図である。
【符号の説明】
【0053】
11…コア基板、12…銅箔、13…配線パターン(配線層)、15…樹脂シート、16…熱硬化性樹脂シート(絶縁層)、17…銅箔(導体層)、18…開口、19…孔、20…ビアホール(貫通孔)、20a…内壁部(第1の内壁部)、20b…内壁部(第2の内壁部)、20c…内壁部、21,23…めっき膜、22…導体パターン、100…プリント配線板、La,Lb…仮想線、M…マスク、Sa,Sb,Sc…壁面、Ta,Tb…テーパ角、θa,θb…内角。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた導体層と、
前記貫通孔から露呈するように設けられており、かつ、前記貫通孔を介して前記導体層と電気的に接続された配線層と、
を備えており、
前記貫通孔は、前記配線層と接する第1の内壁部、及び、前記導体層と接する第2の内壁部を有しており、かつ、前記第2の内壁部における前記導体層と接する部位の少なくとも一部のテーパ角が、前記第1の内壁部のテーパ角よりも大きい、
プリント配線板。
【請求項2】
貫通孔を有する絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた導体層と、
前記貫通孔から露呈するように設けられており、かつ、前記貫通孔を介して前記導体層と電気的に接続された配線層と、
を備えており、
前記貫通孔は、前記配線層と接する第1の内壁部、及び、前記導体層と接する第2の内壁部を有しており、かつ、前記導体層又は前記配線層の延在面と、前記第2の内壁部において導体層と接する部位の少なくとも一部がなす内角の大きさが、前記導体層又は前記配線層の延在面と前記第1の内壁部がなす内角の大きさよりも小さい、
プリント配線板。
【請求項3】
前記第2の内壁部において導体層と接する部位の少なくとも一部の壁面が凹状をなす、請求項1又は2記載のプリント配線板。
【請求項4】
導体層と配線層とが、絶縁層に形成された貫通孔を介して電気的に接続されたプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁層上に、開口を有する導体層を形成する工程と、
前記絶縁層における前記開口に対応する部位に、前記開口よりも小さい孔を形成する工程と、
前記開口を有する導体層をマスクとして、前記絶縁層における前記孔に対応する部位に、前記導体層と前記配線層とを接続するための貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の内部及び前記導体層にめっきを施すことにより、前記導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程と、
を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
導体層と配線層とが、絶縁層に形成された貫通孔を介して電気的に接続されたプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁層に孔を形成する工程と、
前記絶縁層の上又は前記絶縁層の上方に前記孔よりも大きい開口を有するマスクを設け、該マスクを用いて、前記絶縁層における前記孔に対応する部位に、前記導体層と前記配線層とを接続する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の内部及び前記絶縁層にめっきを施すことにより、導体層を形成するとともに、該導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程と、
を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
導体層と配線層とが、絶縁層に形成された貫通孔を介して電気的に接続されたプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁層に孔を形成する工程と、
前記孔に対応する部位に、前記孔よりも大きい開口を有する導体層を形成する工程と、
前記開口を有する導体層をマスクとして、前記絶縁層における前記孔に対応する部位に、前記導体層と前記配線層とを接続するための貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の内部及び前記導体層にめっきを施すことにより、前記導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程と、
を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記貫通孔を形成する工程においては、前記孔を形成する工程において形成した孔の開口縁部における前記導体層と接する部位の少なくとも一部にテーパ面が形成されるように、前記貫通孔を形成する、
請求項4〜6のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記貫通孔を形成する工程においては、前記孔を形成する工程において孔を形成する際の前記絶縁層の研削レートよりも小さい研削レートで前記絶縁層を研削し、前記貫通孔を形成する、
請求項4〜7のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
前記孔を形成する工程においては、レーザー照射により前記孔を形成し、
前記貫通孔を形成する工程においては、ブラスト処理により前記貫通孔を形成する、
請求項4〜8のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項1】
貫通孔を有する絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた導体層と、
前記貫通孔から露呈するように設けられており、かつ、前記貫通孔を介して前記導体層と電気的に接続された配線層と、
を備えており、
前記貫通孔は、前記配線層と接する第1の内壁部、及び、前記導体層と接する第2の内壁部を有しており、かつ、前記第2の内壁部における前記導体層と接する部位の少なくとも一部のテーパ角が、前記第1の内壁部のテーパ角よりも大きい、
プリント配線板。
【請求項2】
貫通孔を有する絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた導体層と、
前記貫通孔から露呈するように設けられており、かつ、前記貫通孔を介して前記導体層と電気的に接続された配線層と、
を備えており、
前記貫通孔は、前記配線層と接する第1の内壁部、及び、前記導体層と接する第2の内壁部を有しており、かつ、前記導体層又は前記配線層の延在面と、前記第2の内壁部において導体層と接する部位の少なくとも一部がなす内角の大きさが、前記導体層又は前記配線層の延在面と前記第1の内壁部がなす内角の大きさよりも小さい、
プリント配線板。
【請求項3】
前記第2の内壁部において導体層と接する部位の少なくとも一部の壁面が凹状をなす、請求項1又は2記載のプリント配線板。
【請求項4】
導体層と配線層とが、絶縁層に形成された貫通孔を介して電気的に接続されたプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁層上に、開口を有する導体層を形成する工程と、
前記絶縁層における前記開口に対応する部位に、前記開口よりも小さい孔を形成する工程と、
前記開口を有する導体層をマスクとして、前記絶縁層における前記孔に対応する部位に、前記導体層と前記配線層とを接続するための貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の内部及び前記導体層にめっきを施すことにより、前記導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程と、
を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
導体層と配線層とが、絶縁層に形成された貫通孔を介して電気的に接続されたプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁層に孔を形成する工程と、
前記絶縁層の上又は前記絶縁層の上方に前記孔よりも大きい開口を有するマスクを設け、該マスクを用いて、前記絶縁層における前記孔に対応する部位に、前記導体層と前記配線層とを接続する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の内部及び前記絶縁層にめっきを施すことにより、導体層を形成するとともに、該導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程と、
を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
導体層と配線層とが、絶縁層に形成された貫通孔を介して電気的に接続されたプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁層に孔を形成する工程と、
前記孔に対応する部位に、前記孔よりも大きい開口を有する導体層を形成する工程と、
前記開口を有する導体層をマスクとして、前記絶縁層における前記孔に対応する部位に、前記導体層と前記配線層とを接続するための貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の内部及び前記導体層にめっきを施すことにより、前記導体層と前記配線層とを電気的に接続する工程と、
を有するプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
前記貫通孔を形成する工程においては、前記孔を形成する工程において形成した孔の開口縁部における前記導体層と接する部位の少なくとも一部にテーパ面が形成されるように、前記貫通孔を形成する、
請求項4〜6のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
前記貫通孔を形成する工程においては、前記孔を形成する工程において孔を形成する際の前記絶縁層の研削レートよりも小さい研削レートで前記絶縁層を研削し、前記貫通孔を形成する、
請求項4〜7のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
前記孔を形成する工程においては、レーザー照射により前記孔を形成し、
前記貫通孔を形成する工程においては、ブラスト処理により前記貫通孔を形成する、
請求項4〜8のいずれか1項記載のプリント配線板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−200356(P2009−200356A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42062(P2008−42062)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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