説明

プリント配線板

【課題】 接続信頼性の高い電子部品実装用の接続パッドを備えるプリント配線板を提案する。
【解決手段】 パッド61が、回路58よりも厚みが2〜10μmの厚い。ICチップ90の金スタッドバンプ91を位置決めし(図4(C))、ICチップ90をプリント配線板10側に押し当て、金スタッドバンプ91とパッド61との接続を取る際に、ICチップ90がソルダーレジスト層70へ接触せず、金スタッドバンプ91とパッド61との接続信頼性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップなどの電子部品を搭載するプリント配線板の製造方法に関し、電子部品の金スタッドバンプ等の電極とAu−Au接続、異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film)接続するためのパッドを備えるプリント配線板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICチップをプリント配線板に搭載する際に、ICチップに設けた金スタッドバンプをプリント配線板側の金属被覆されたパッドへ接続させる接続方法が採用されることがある。金スタッドバンプを金属被覆されたパッドへ接続させる際には、両者に十分な圧力を加える必要がある。このため、ICチップがプリント配線板のソルダーレジスト層と接触してしまい、必要とされる圧力を掛けることができず、接続信頼性が低下することがあった。
【0003】
特許文献1には、Si基板に設けた金スタッドバンプをプリント配線板側の金属被覆パッドへ接続させる半導体装置が開示されている。特許文献1では、導体配線がレジスト膜で被覆され、チップ接続用端子の表面にはNi−P/Auからなるメッキ膜が形成され、Si基板側のAuバンプ(金スタッドバンプ)と接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−197673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のチップ接続用端子の表面のNi−P/Auメッキ膜は非常に薄い膜であり、導体配線を被覆するレジスト膜よりも厚みが薄い。このため、チップ接続用端子のNi−P/Auメッキ膜にSi基板側のAuバンプを加圧して接続を図る際に、Si基板がレジスト膜と接触することで十分な圧力を付加できず、接続不良が生じることが考えられる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、接続信頼性の高い実装用パッドを備えるプリント配線板を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願発明のプリント配線板は、
第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する絶縁板と、前記絶縁板の第1面に形成されていて、金バンプを有する電子部品を実装するためのパッドと該パッドと繋がっている導体回路とからなる配線と、前記パッドに形成されている金被膜と、からなるプリント配線板において、前記パッドの厚みは前記導体回路の厚みより厚い。
【発明の効果】
【0008】
本願発明のプリント配線板では、パッドが導体回路よりも厚みが厚い。このため、ICチップ等の電子部品を実装する際に、電子部品がソルダーレジスト層と接触することがない。したがって、加圧し易くなるので、電子部品とパッドとの接続信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の多層プリント配線板の断面図及び上面図である。
【図2】第1実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図3】第1実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図4】第1実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図5】第2実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図6】第2実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図7】第2実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図8】第1実施形態に係る多層プリント配線板の改変例を示す上面図及び断面図である。
【図9】第2実施形態に係る多層プリント配線板の改変例を示す上面図及び断面図である。
【図10】本発明のプリント配線板の改変例を示す平面図である。
【図11】第3実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図12】本発明の第1実施例の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図13】本発明の第1実施例の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図14】本発明の第1実施例の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図15】本発明の第1実施例の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図16】本発明の第1実施例の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図17】本発明の第1実施例の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図18】本発明の第1実施例の多層プリント配線板の製造方法を示す工程図である。
【図19】第1実施例に係る多層プリント配線板の断面図である。
【図20】第1実施形態に係る多層プリント配線板にICチップを載置した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
[第1実施形態]
図1(A)〜図1(D)を参照して、本発明のプリント配線板の構成について説明する。
図1(A)は、多層プリント配線板10の断面図を示している。多層プリント配線板10では、コア基板30の表面に導体回路34が形成されている。コア基板30の表面と裏面とはスルーホール36を介して接続されている。スルーホール36は、スルーホールランドを構成する蓋めっき層36a、36dと、側壁導体層36bとから成り、側壁導体層36bの内部には樹脂充填剤37が充填されている。蓋めっき層(スルーホールランド)36a、36dの上にフィルドビア60及び導体回路58の形成された樹脂絶縁層50と、フィルドビア160及び導体回路158の形成された樹脂絶縁層150とが配設されている。上面側の導体回路158の所定位置にはパッド161が形成されている。樹脂絶縁層150の上層にはソルダーレジスト層70が形成されており、上面側の該ソルダーレジスト層70の開口部71を介して導体回路158の一部とパッド161が露出され、下面側の開口部71にバンプ78が形成されている。
【0011】
図1(B)は、多層プリント配線板10の一部を拡大して示した上面図を示し、図1(C)は、図1(B)に示したA−A’断面を示している。パッド161の厚みは、導体回路158よりも厚く形成されており、2〜10μm程度厚く形成されることが好ましい。パッド161は、配線板と半導体チップなどの電子部品とが電気的に接続されるために用いられ、必要に応じてパッド表面にAu等の金属膜74を被覆する。
【0012】
引き続き、本発明の第1実施形態に係るプリント配線板10の製造方法について図2〜図4を参照して説明する。
(1)樹脂から成る絶縁層(図2(A))50上に、銅等の金属膜52を形成する(図2(B))。金属膜は、無電解銅めっきで形成できる。ここで、めっき膜を形成する代わりに、金属箔を貼り付けることもできる。
【0013】
(2)金属膜52上に、パッド及び導体回路を形成するための第1のめっきレジスト54aを形成し(図2(C))、電解めっき液に浸漬し、金属膜52を介して通電し、めっきレジスト非形成部に第1の電解銅めっき膜56aを形成する(図2(D))。
【0014】
(3)導体回路となる第1の電解銅めっき膜56a上にパッドを形成するための第2のめっきレジスト55を形成し(図3(A))、電解めっき液に浸漬し、第2のめっきレジスト55の非形成部の第1の電解銅めっき膜56a上に2〜10μmの厚みの第2の電解銅めっき膜59を形成する(図3(B))。
【0015】
(4)第1のめっきレジスト54a及び第2のめっきレジスト55を剥離し、第1の電解銅めっき膜56aから成る導体回路58と、第1の電解銅めっき膜56a及び第1の電解銅めっき膜56a上に形成された第2の電解銅めっき膜59から成るパッド61とを形成する(図3(C))。そして、第1のめっきレジスト54a下の金属膜52をエッチングにより除去する(図3(D))。これにより、厚みh1:15μmの導体回路58と、厚みh2:18〜25μmのパッド61を形成する。
【0016】
(5)絶縁層50上に、パッド61を露出する開口部71を設け、厚みh3:25〜35μmのソルダーレジスト層70を形成する(図4(A))。なお、開口部71は、パッドのみを露出してもよく、パッドの周辺部を開口させてもよい。
【0017】
(6)開口部71から露出するパッド61に、ニッケル‐金からなる金属被膜72を形成する(図4(B))。これにより、プリント配線板10が完成する。
【0018】
引き続き、プリント配線板10へのICチップの搭載について説明する。
プリント配線板10のパッド61に対向させるように、プリント配線板に搭載するICチップ90の金スタッドバンプ91を位置決めし(図4(C))、ICチップ90をプリント配線板10側に押し当て、金スタッドバンプ91とパッド61との接続を取り、ICチップ90をプリント配線板10に搭載し、ICチップ90とプリント配線板10との間にアンダーフィル材UFを充填する。(図4(D))。別例として、ニッケル‐金からなる金属被膜72は、図3(B)で示した電気銅めっき膜59を形成した後に形成することも可能である。その場合、金属被膜は、パッドの上面にのみ形成されることになる。(図4(E))。
なお、パッド61の厚みは、絶縁層70よりも低くすることが好ましい。絶縁層70よりも厚いパッド61を形成することも可能であるが、電子部品の実装位置が高くなるため、軽薄化という点では、絶縁層よりも低くする方が良い。なお、金属被膜72は、ニッケル、金以外に、パラジウム、白金、銀、鉛、亜鉛、錫から選ばれる金属を用いることができる。
【0019】
第1実施形態の製造方法に係るプリント配線板では、パッド61が、第1の電解銅めっき膜56aと2〜10μmの第2の電解銅めっき膜59とから成り、第1の電解銅めっき膜56aから成る導体回路58よりも厚みが2〜10μmの厚い。このため、ICチップ90をプリント配線板10側に押し当て、金スタッドバンプ91とパッド61との接続を取る際に、ICチップ90がソルダーレジスト層70へ接触せず、充分な圧力を加えることで金スタッドバンプ91とパッド61との接続信頼性を高めることができる。また、第1のめっき膜上に第2のめっき膜を形成して厚みを高めるので、エッチングレジストを被覆してエッチングを行い導体回路の厚みを薄くする製造方法と比較して、パッド及び導体回路にサイドエッチングが発生せず、パッド及び導体回路の信頼性を低下させることが無い。
【0020】
第1実施形態の製造方法の係るプリント配線板では、パッド61に金属被膜72が形成され、金スタッドバンプ91と接続される。パッドの厚みが厚いため、金スタッドバンプ91がパッド61へ押しつけられた際に高い圧力が加わるので、接続信頼性を高めることができる。
【0021】
更に、第1実施形態の製造方法に係るプリント配線板では、金スタッドバンプ91がパッド61へ押しつけられた際に、ソルダーレジスト層70とICチップ90とが当接しても、パッド61の厚みが厚く金スタッドバンプ91へ加わる圧力が高いので、接続信頼性を高めることができる。
【0022】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るプリント配線板10の製造方法について図5〜図7を参照して説明する。
(1)樹脂から成る絶縁層(図5(A))50上に、銅等の金属膜52を形成する(図5(B))。金属膜は、無電解銅めっきで形成できる。ここで、めっき膜を形成する代わりに、金属箔を貼り付けることもできる。
【0023】
(2)金属膜52上に、パッド及び導体回路を形成するためのめっきレジスト54bを形成し(図5(C))、電解めっき液に浸漬し、金属膜52を介して通電し、めっきレジスト非形成部に厚み18〜25μmの電解銅めっき膜56bを形成する(図5(D))。
【0024】
(3)パッドとなる電解銅めっき膜56b上にパッドを形成するためのエッチングレジスト57を形成し(図6(A))、エッチング液に浸漬し、エッチングレジスト57の非形成部である導体回路となる電解銅めっき膜56bの表面を厚み2〜10μmエッチングする(図6(B))。
【0025】
(4)めっきレジスト54b及びエッチングレジスト57を剥離し、厚み2〜10μmエッチングされた電解銅めっき膜56bから成る導体回路58と、エッチングされない電解銅めっき膜56bから成るパッド61とを形成する(図6(C))。そして、めっきレジスト54b下の金属膜52をエッチングにより除去する(図6(D))。これにより、厚みh1:15μmの導体回路58と、厚みh2:18〜25μmのパッド61を形成する。
【0026】
(5)絶縁層50上に、パッド61を露出する開口部71を設け、厚みh3:25〜35μmのソルダーレジスト層70を形成する(図7(A))。
【0027】
(6)開口71から露出するパッド61に、ニッケル‐金からなる金属被膜72を形成する(図7(B))。これにより、プリント配線板10が完成する。
【0028】
引き続き、プリント配線板10へのICチップの搭載について説明する。
プリント配線板10のパッド61に対向させるように、プリント配線板に搭載するICチップ90の金スタッドバンプ91を位置決めし(図7(C))、ICチップ90をプリント配線板10側に押し当て、金スタッドバンプ91とパッド61との接続を取り、ICチップ90をプリント配線板10に搭載し、ICチップ90とプリント配線板10との間にアンダーフィル材UFを充填する。(図7(D))。
【0029】
第2実施形態の製造方法に係るプリント配線板10では、パッド61が、2〜10μm程度エッチングが施される導体回路58よりも厚みが厚い。このため、ICチップ90をプリント配線板10側に押し当て、金スタッドバンプ91とパッド61との接続を取る際に、ICチップ90がソルダーレジスト層70へ接触せず、充分な圧力を加えることで金スタッドバンプ91とパッド61との接続信頼性を高めることができる。また、エッチングの際に、パッド61の側面、及び、導体回路58の側面にはめっきレジスト54aが残っているので、パッド61及び導体回路58にサイドエッチングが発生しない。このため、サイドエッチングが発生する、エッチングレジストを被覆してエッチングを行い配線の厚みを薄くする製造方法と比較して、パッド及び配線の信頼性を低下させることが無い。
【0030】
上記第1実施形態及び第2実施形態において説明したプリント配線板に係るパッドは、配線幅とパッド幅が等しいものに限るものではなく、図10(A)に示すように、矩形形状の複数のパッド61を、ソルダーレジスト層70に設けた開口71により露出させることもできる。また、図10(B)のように、略円形形状のパッド61を設けてもよく、図10(C)のように、パッドのみを格子状に形成し、凸部のソルダーレジストから露出させてもよい。
【0031】
さらに、第1実施形態の変更例として、次のような方法も可能である。図8(A)は、プリント配線板10上に第2のめっきレジスト55が形成された上面図であり、図8(B)と図8(C)は、それぞれ、図8(A)で示したH1−H1’とW1−W1’の断面図である。第2のめっきレジスト55が、第1の電解銅めっき膜の幅よりも狭く形成されている。この場合、その後に形成されるパッド61は、図8(D)に示すように、導体回路58よりも縦方向、横方向ともに狭く形成されることになる。
【0032】
また、第2実施形態の変更例として、次のような方法も可能である。
図9(A)は、第1の電解銅めっき膜上にエッチングレジスト57が形成された上面図であり、図9(B)と図9(C)は、それぞれ、図9(A)で示したH2−H2’とW2−W2’の断面図である。エッチングレジスト57が、第1の電解銅めっき膜の幅よりも狭く形成されている。この場合、その後に形成されるパッド61は、図9(D)に示すように、導体回路58よりも縦方向、横方向ともに狭く形成されることになる。
【0033】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係るプリント配線板10の製造方法について図11を参照して説明する。
第1実施形態の(1)〜(4)工程、又は、第2実施形態の(1)〜(4)工程で、絶縁層50上に回路58と該回路よりも2〜10μm厚みの厚いパッド61とを形成する(図11(A))。そして、絶縁層50上に、樹脂フィルム中に金属等の導電性粒子を含有する異方導電性フィルム(Anisotropic Conductive Film)98を載置し、プリント配線板10を完成する(図11(B))。
【0034】
プリント配線板10のパッド61に対向させるように、プリント配線板に搭載するICチップ90のバンプ92を位置決めし(図11(C))、ICチップ90をプリント配線板10側に押し当て、バンプ92とパッド61とをACF98を介して接続を取り、ICチップ90をプリント配線板10に搭載する(図11(D))。
【0035】
第3実施形態のプリント配線板10では、パッド61が回路58よりも厚みが厚いため、ACF(異方導電性フィルム)98を介して、回路58を短絡させることなく、パッド61のみバンプ92へ接続を取ることができる。
【0036】
[実施例]
[第1実施例]
先ず、本発明の第1実施例に係るビルドアップ多層プリント配線板10の構成について、図12〜図20を参照して説明する。図19は、該多層プリント配線板10の断面図を、図20は、図19に示す多層プリント配線板10にICチップ90を取り付け、ドータボード94へ載置した状態を示している。図19に示すように、多層プリント配線板10では、コア基板30の表面に導体回路34が形成されている。コア基板30の表面と裏面とはスルーホール36を介して接続されている。スルーホール36は、スルーホールランドを構成する蓋めっき層36a、36dと、側壁導体層36bとから成り、側壁導体層36bの内部には樹脂充填剤37が充填されている。蓋めっき層(スルーホールランド)36a、36dの上にフィルドビア60及び導体回路58の形成された樹脂絶縁層50と、フィルドビア160及び導体回路158の形成された樹脂絶縁層150とが配設されている。上面側の導体回路158の所定位置にはパッド161が形成されている。樹脂絶縁層150の上層にはソルダーレジスト層70が形成されており、上面側の該ソルダーレジスト層70の開口部71を介してパッド161が露出され、下面側の開口部71にバンプ78が形成されている。
【0037】
図20中に示すように、多層プリント配線板10の上面側のパッド161は、ICチップ90のバンプ92へ金スタッドバンプ91を介して接続される。一方、下側のハンダバンプ78は、ドータボード94のランド96へ接続されている。
【0038】
引き続き、図20を参照して上述した多層プリント配線板10の製造方法について図12〜図19を参照して説明する。
(1)厚さ0.2〜0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板30の両面に5〜250μmの銅箔32がラミネートされている銅張積層板30Aを出発材料とした(図12(A))。まず、この銅張積層板をドリル削孔して通孔16を穿設し(図12(B))、無電解めっき処理および電解めっき処理(後述するめっき液と条件(工程(13)、(15))参照)を施し、スルーホール36の側壁導体層36bを形成した(図12(C))。通孔16の開口径は、ドリルの選択により0.1〜0.25mmΦで形成し、そのピッチは0.15〜0.575mmとした。
【0039】
(2)スルーホール36を形成した基板30を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、スルーホール36の側壁導体層36b及び表面に粗化面36αを形成する(図12(D))。
【0040】
(3)次に、平均粒径10μmの銅粒子を含む充填剤37(タツタ電線製の非導電性穴埋め銅ペースト、商品名:DDペースト)を、スルーホール36へスクリーン印刷によって充填し、乾燥、硬化させる(図13(A))。これは、スルーホール部分に開口を設けたマスクを載置した基板上に、印刷法にて塗布することによりスルーホールに充填させ、充填後、乾燥、硬化させる。
【0041】
引き続き、そして、スルーホール36からはみ出した充填剤37を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により除去し、さらにこのベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行い、基板30の表面を平坦化する(図13(B)参照)。このようにして、スルーホール36の側壁導体層36bと樹脂充填剤37とが粗化層36αを介して強固に密着した基板30を得る。
【0042】
(4)前記(3)で平坦化した基板30表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与し、無電解銅めっきを施すことにより、厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜23を形成する(図13(C)参照)。
【0043】
(5)ついで、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜24を形成し、導体回路34となる部分の厚付け、およびスルーホール36に充填された充填剤37を覆う蓋めっき層(スルーホールランド)となる部分を形成する(図13(D))。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180 g/l
硫酸銅 80 g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL)
1 ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm
時間 30分
温度 室温
【0044】
(6)導体回路および蓋めっき層となる部分を形成した基板30の両面に、市販の感光性ドライフィルムを張り付け、パターンを有するマスクを載置して、100mJ/cmで露光、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのエッチングレジスト25を形成する(図13(E)参照)。
【0045】
(7)そして、エッチングレジスト25を形成してない部分のめっき膜23,24と銅箔32を、塩化第2銅を主成分とするエッチング液にて溶解除去し、さらに、エッチングレジスト25を5%KOHで剥離除去して、独立した導体回路34、および、充填剤37を覆う蓋めっき層36a、36dを形成する(図14(A)参照)。所謂テンティング法である。
【0046】
(8)次に、導体回路34および充填剤27を覆う蓋めっき層36a、36dの表面にメック社製のマイクロエッチング剤(CZシリーズ)を使用して粗化層(凹凸層)34βを形成した(図14(B))。
【0047】
(9)基板の両面に、基板より少し大きめの層間樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)50γを基板上に載置し、圧力0.45MPa、温度80℃、圧着時間10秒の条件で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の方法により真空ラミネーター装置を用いて貼り付けることにより樹脂絶縁層50を形成した(図14(C))。すなわち、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に、真空度67Pa、圧力0.47MPa、温度85℃、圧着時間60秒の条件で本圧着し、その後、170℃で40分間熱硬化させた。
【0048】
(10)次に、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅3〜30μ秒、マスクの貫通孔の径1.0〜5.0mm、1〜3ショットの条件で樹脂絶縁層50にバイアホール用開口51を形成した(図14(D))。ここで、樹脂絶縁層50には、バイアホールの底の直径がφ60μmになるように、上記レーザ条件を調整した。この結果、蓋めっき層36a,36d上に形成されたバイアホールの底径はΦ60μmとなった。
【0049】
(11)フィルドビア用開口51を形成した基板を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、樹脂絶縁層50の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、フィルドビア用開口51の内壁を含む樹脂絶縁層50の表面に粗化面50αを形成した(図15(A))。
【0050】
(12)次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
さらに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、樹脂絶縁層の表面およびフィルドビア用開口の内壁面に触媒核を付着させた。すなわち、上記基板を塩化パラジウム(PbCl2 )と塩化第一スズ(SnCl2 )とを含む触媒液中に浸漬し、パラジウム金属を析出させることにより触媒を付与した。
【0051】
(13)次に、上村工業社製の無電解銅めっき水溶液(スルカップPEA)中に、触媒を付与した基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.3〜3.0μmの無電解銅めっき膜を形成し、バイアホール用開口51の内壁を含む樹脂絶縁層50の表面に無電解銅めっき膜52が形成された基板を得た(図15(B))。
〔無電解めっき条件〕
34度の液温度で45分
【0052】
(14)無電解銅めっき膜52が形成された基板に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、110mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ25μmのめっきレジスト54を設けた(図15(C))。
【0053】
(15)ついで、基板30を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解めっきを施し電解めっき膜56を形成した(図16(A))。
〔電解めっき液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
レベリング剤 50 mg/l
光沢剤 50 mg/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 70 分
温度 22±2 ℃
【0054】
(16)さらに、めっきレジスト54を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト下の無電解めっき膜を硫酸と過酸化水素との混合液でエッチング処理して溶解除去し、独立の導体回路58及びフィルドビア60とした(図16(B))。
【0055】
(17)ついで、上記(4)と同様の処理を行い、導体回路58及びフィルドビア60の表面に粗化面58αを形成した。上層の導体回路58の厚みは15μmの厚みであった(図16(C))。ただし、上層の導体回路の厚みは、5〜25μmの間で形成してもよい。
【0056】
(18)上記(9)〜(15)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の樹脂絶縁層150上に、めっきレジスト154の非形成部に、無電解めっき膜152及び電解めっき膜156から成る導体回路158及びフィルドビア160を形成する(図16(D))。
【0057】
(19)回路パタンとなる銅めっき膜156上にパッドを形成するための第2のめっきレジスト155を形成する(図17(A))。
【0058】
(20)電解めっき液に浸漬し、第2のめっきレジスト155に非形成部の銅めっき膜156上に2〜10μmの厚みの電解銅めっき膜159を形成する(図17(B))。
【0059】
(21)めっきレジスト154及び第2のめっきレジスト155を剥離し、銅めっき膜156から成る回路158に形成された銅めっき膜159から成るパッド161を形成する。そして、めっきレジスト154下の金属膜152をエッチングにより剥離した後、粗化層160αを形成する(図17(C))。
【0060】
(22)次に、多層配線基板の両面に、市販のソルダーレジスト組成物70を25〜35μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層70に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、200μmの直径の開口71を形成した(図18(A))。
そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが20〜30μmのソルダーレジストパターン層を形成した。
【0061】
(23)次に、ソルダーレジスト層70を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部71に厚さ0.5μmのニッケルめっき層72を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10-3mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10-1mol/l)を含む無電解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層72上に、厚さ0.03μmの金めっき層74を形成した(図18(B))。ニッケル−金層以外にも、スズ、貴金属層(金、銀、パラジウム、白金など)の単層を形成してもよい。
【0062】
(24)この後、下面側のソルダーレジスト層の開口にスズ−アンチモンを含有するはんだペーストを印刷した後、200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)を形成し、はんだバンプ78を有する多層プリント配線板を製造した(図19)。
【0063】
引き続き、多層プリント配線板10へのICチップの搭載及びドータボードへの取り付けについて説明する。
多層プリント配線板10のパッド161に対向させるように、多層プリント配線板に搭載するICチップ90の金スタッドバンプ91を位置決めし、ICチップ90をプリント配線板10側に押し当て、金スタッドバンプ91とパッド161との接続を取り、ICチップ90を多層プリント配線板10に搭載する。そして、半田バンプ78を介して多層プリント配線板10をドータボード94へ取り付ける(図20)。
【符号の説明】
【0064】
10 プリント配線板、多層プリント配線板
30 基板
36 スルーホール
50 樹脂絶縁層
52 めっき膜
54 めっきレジスト
56 電解めっき膜
58 導体回路
60 フィルドビア
61 パッド
70 ソルダーレジスト層
71 開口
78 半田バンプ
152 めっき膜
154 めっきレジスト
156 めっき膜
158 導体回路
160 フィルドビア
161 パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する絶縁板と、
前記絶縁板の第1面に形成されていて、金バンプを有する電子部品を実装するためのパッドと該パッドと繋がっている導体回路とからなる配線と、
前記パッドに形成されている金属被膜と、からなるプリント配線板において、
前記パッドの厚みは前記導体回路の厚みより厚い。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記パッドの幅は、前記導体回路の幅は略同一である。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記パッドの厚みは、前記導体回路の厚みより2〜10μm厚い。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板において、さらに、前記絶縁板の第1面と前記配線上に形成されているソルダーレジスト層を有し、前記パッドの厚みは、前記ソルダーレジスト層より薄く、前記導体回路より厚い。
【請求項5】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記金属被膜は前記パッド及び前記パッドと繋がっている導体回路の一部に形成されている。
【請求項6】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記金属被膜は、Au,Ni,Pd,Pt,Pb,Ag,Sn,Znから選ばれる少なくとも1種からなる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−206170(P2010−206170A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290265(P2009−290265)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】