説明

プログラマブルロジックコントローラ、情報処理装置、制御プログラム、およびテーブル作成プログラム

【課題】プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトの設定内容の変更を容易に反映させること。
【解決手段】PLCは、PCで作成されたプログラムやデータを内蔵された記憶装置に格納し、シーケンス制御の実行時に用いる。PLCには、メイン制御を実行する制御動作プログラムの他、スイッチ参照テーブルなどのデータが格納されている。スイッチ参照テーブルは、表示変更プログラムの実行時に参照されるデータであり、プログラマブル表示器に表示されるスイッチ等に割り当てられる出力動作や出力動作の実行を許可する動作条件とが対応付けられている。PLCは、該当するスイッチに割り当てられている出力動作をスイッチ参照テーブルに基づいて特定する。特定された出力動作がスイッチ参照テーブルに定義されている動作条件を満たしているか否かを判断し、条件を満たしている場合に該当する出力動作を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブルロジックコントローラ、情報処理装置、制御プログラム、およびテーブル作成プログラムに係り、例えば、画面配列が任意に設定可能なプログラマブル表示器を用いた制御に関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備等を制御するFA(ファクトリーオートメーション)用の制御装置として、プログラマブルロジックコントローラ(以下、PLCとする)が広い分野で用いられている。
PLCは、センサや機械スイッチなどの入力機器から入力信号を取り込み、予めプログラムされた条件に基づいてソレノイドバルブやモータなどの出力機器を自由に制御する装置である。
PLCは、専用のラダープログラム言語により記述されたソースプログラム(以下、ラダープログラムとする)を直接実行するように構成されている。
【0003】
近年、このようなPLCの入出力機器として、画面表示された情報を見ながら同一画面上で機械などを制御することができるマン・マシン・インターフェース機能を有するプログラマブル表示器が多用されている。
プログラマブル表示器は、画面配列や動作を、設定により自由に変えることができる表示装置であり、代表的なものにタッチパネルディスプレイなどがある。
PLCに接続されて用いられるプログラマブル表示器の動作制御もまた、ラダープログラムを実行することにより行われている。
【0004】
ラダープログラムは、シーケンス図を基準にしており、その内容は、シンボル(記号)表示により表現される命令語と、デバイス情報と、を組み合わせることによって記述されている。
このように、ラダープログラムは、専用の記号を用いて記述される言語であるため、プログラムの作成には専門的な知識が必要であり、また、手間の係る作業を要する。
そこで、従来、ラダープログラムの作成を支援し、作業者の負担を軽減するための技術が下記の特許文献に提案されている。
【特許文献1】特開平10−161713号公報
【0005】
特許文献1には、制御対象(出力装置)を制御(駆動)する条件の定義付けを、要素とその要素の状態条件とを示した条件表を作成することによって行い、作成された条件表に基づいてラダーシーケンスプログラムを生成する技術が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PLCに接続されるプログラマブル表示器に表示されるオブジェクトの設定内容等に変更が生じた場合には、その都度、上述したような作成ツールを用いてラダープログラムを再作成しなければならない。そのため、変更内容がPLCに反映されるまでに時間が掛かってしまっていた。
【0007】
そこで本発明は、プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトの設定内容の変更を容易に反映させることができるプログラマブルロジックコントローラ、制御プログラムを提供することを第1の目的とする。
また、プログラマブル表示器の設定内容の変更を容易にPLCに反映させるための参照テーブルを生成することができる情報処理装置およびテーブル作成プログラムを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明では、接続される機器から入力される信号に基づいて、制御内容を示したプログラムを逐次実行することによりシーケンス制御を行い、画面配列が任意に設定可能なプログラマブル表示器が接続されるプログラマブルロジックコントローラであって、前記プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトと、該オブジェクトに割り当てられる動作処理およびこの動作処理の実行を可能にする動作条件とが対応付けられた参照テーブルを取得する参照テーブル取得手段と、オブジェクトを特定するオブジェクト特定手段と、前記オブジェクト特定手段により特定されたオブジェクトに対応する動作処理を前記参照テーブルに基づいて特定する動作処理特定手段と、前記動作処理特定手段により特定された動作処理が、処理の実行を可能にする動作条件を満たしているか否かを前記参照テーブルに基づいて判断し、前記動作条件を満たしている場合に該動作処理を指示する指示手段と、を備えることにより前記第1の目的を達成する。
請求項2記載の発明では、請求項1記載のプログラマブルロジックコントローラにおいて、前記プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトは、スイッチボタンであり、前記参照テーブル取得手段は、スイッチボタンとこのスイッチボタンに割り当てられる動作処理および前記動作処理の実行を可能にする可能条件とが対応付けられた参照テーブルを取得し、前記オブジェクト特定手段は、スイッチボタンを特定し、前記動作処理特定手段は、特定されたスイッチボタンに対応する動作処理を前記参照テーブルに基づいて特定することを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項2記載のプログラマブルロジックコントローラにおいて、前記参照テーブル取得手段は、スイッチボタンとランプの表示処理動作とが対応付けられた参照テーブルを取得し、前記動作処理特定手段は、スイッチボタンに対応するランプの表示処理動作を前記参照テーブルに基づいて特定し、前記指示手段は、前記動作処理特定手段により特定された表示処理動作を前記プログラマブル表示器に指示することを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項2または請求項3記載のプログラマブルロジックコントローラにおいて、前記プログラマブル表示器において操作されたスイッチボタンを検出する検出手段を備え、前記オブジェクト特定手段は、前記検出手段により検出されたスイッチボタンを特定することを特徴とする。
請求項5記載の発明では、接続される機器から入力される信号に基づいて、制御内容を示したプログラムを逐次実行することによりシーケンス制御を行い、画面配列が任意に設定可能なプログラマブル表示器が接続されるプログラマブルロジックコントローラにおける制御動作時に用いられるデータテーブルを生成する情報処理装置であって、前記プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトの情報を取得するオブジェクト情報取得手段と、前記オブジェクト情報取得手段により取得されたオブジェクトに割り付ける動作処理、および、この動作処理の実行を可能にする動作条件を設定する入力画面を表示する入力画面表示手段と、前記入力画面表示手段により表示された入力画面から入力された動作処理および動作条件の設定を受け付ける設定受付手段と、前記設定受付手段により受け付けられた動作処理および動作条件が、オブジェクトに対応付けられた参照テーブルを生成する生成手段と、を備えることにより前記第2の目的を達成する。
請求項6記載の発明では、接続される機器から入力される信号に基づいて、制御内容を示したプログラムを逐次実行することによりシーケンス制御を行い、画面配列が任意に設定可能なプログラマブル表示器が接続されるプログラマブルロジックコントローラに、前記プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトと、該オブジェクトに割り当てられる動作処理およびこの動作処理の実行を可能にする動作条件とが対応付けられた参照テーブルを取得する参照テーブル取得機能と、オブジェクトを特定するオブジェクト特定機能と、前記オブジェクト特定機能により特定されたオブジェクトに対応する動作処理を前記参照テーブルに基づいて特定する動作処理特定機能と、前記動作処理特定機能により特定された動作処理が、処理の実行を可能にする動作条件を満たしているか否かを前記参照テーブルに基づいて判断し、前記動作条件を満たしている場合に該動作処理を指示する指示機能と、を実現させることにより前記第1の目的を達成する。
請求項7記載の発明では、接続される機器から入力される信号に基づいて、制御内容を示したプログラムを逐次実行することによりシーケンス制御を行い、画面配列が任意に設定可能なプログラマブル表示器が接続されるプログラマブルロジックコントローラにおける制御動作時に用いられるデータテーブルを生成する情報処理装置に、前記プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトの情報を取得するオブジェクト情報取得機能と、前記オブジェクト情報取得機能により取得されたオブジェクトに割り付ける動作処理、および、この動作処理の実行を可能にする動作条件を設定する入力画面を表示する入力画面表示機能と、前記入力画面表示機能により表示された入力画面から入力された動作処理および動作条件の設定を受け付ける設定受付機能と、前記設定受付機能により受け付けられた動作処理および動作条件が、オブジェクトに対応付けられた参照テーブルを生成する生成機能と、を実現させることにより前記第2の目的を達成する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、特定されたオブジェクトに対応する動作処理の特定、および特定された動作処理の実行が可能か否かの判断を参照テーブルに基づいて行うことにより、参照テーブルを書き換えるだけで、容易にプログラマブル表示器に表示されるオブジェクトに定義付けられる動作設定の変更を反映させることが可能なプログラマブルロジックコントローラを提供することができる。
請求項5記載の発明によれば、オブジェクトに割り付ける動作処理、および、この動作処理の実行を可能にする動作条件を設定する入力画面を表示し、この入力画面から入力された動作処理および動作条件に基づいて参照テーブル生成することにより、プログラマブル表示器の設定内容の変更をPLCに反映させるための参照テーブルを容易に生成することが可能な情報処理装置を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、特定されたオブジェクトに対応する動作処理の特定、および特定された動作処理の実行が可能か否かの判断を参照テーブルに基づいて行うことにより、参照テーブルを書き換えるだけで、容易にプログラマブル表示器に表示されるオブジェクトに定義付けられる動作設定の変更を反映させることが可能な制御プログラムを提供することができる。
請求項7記載の発明によれば、オブジェクトに割り付ける動作処理、および、この動作処理の実行を可能にする動作条件を設定する入力画面を表示し、この入力画面から入力された動作処理および動作条件に基づいて参照テーブル生成することにより、プログラマブル表示器の設定内容の変更をPLCに反映させるための参照テーブルを容易に生成することが可能なテーブル作成プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1〜図9を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施の形態では、特定の入力機器から入力される信号に基づいて、制御内容を示したプログラムを逐次実行することによりシーケンス制御を行うPLCおよびPLCに接続される機器で構成されるシーケンス制御システムについて説明する。
PLCには、センサや機械スイッチ等の入力機器、ソレノイドバルブやモータ等の出力機器、および入出力機器として機能するプログラマブル表示器が接続されている。
プログラマブル表示器は、画面配列や動作を、設定により自由に変えることができる表示装置である。
また、PLCには、PLCやプログラマブル表示器の制御動作を実行させるプログラムや各種データ等を作成するためのPCが接続されている。PCで作成されたプログラムやデータは、PLCに内蔵されている記憶装置に格納され、シーケンス制御の実行時に用いられる。
【0011】
PLCには、PLCのメイン制御を実行する制御動作プログラムの他、プログラマブル表示器の画面配列や動作等の設定を実行する表示設定プログラム、プログラマブル表示器に表示されるオブジェクト(スイッチ等)の動作条件等に割り付けられた変数(動作条件等の設定項目)を定義したスイッチ参照テーブルなどのデータが格納されている。
スイッチ参照テーブルには、表示変更プログラムの実行時に参照されるデータであり、プログラマブル表示器に表示されるオブジェクト(スイッチ等)に割り当てられる出力動作(出力機器の駆動やタスクの実行など)やこの出力動作の実行を許可する(可能にする)動作条件とが対応付けられている。
PLCは、例えば、プログラム表示器に表示されたスイッチ等のオブジェクトが操作された場合、該当するスイッチに割り当てられている出力動作をスイッチ参照テーブルに基づいて特定する。
そして、PLCは、特定された出力動作がスイッチ参照テーブルに定義されている動作条件を満たしているか否かを判断し、条件を満たしている場合に該当する出力動作を実行させる。
本実施の形態によれば、スイッチ参照テーブルにおける変数を変更するだけで、プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトの操作に定義付けられている動作設定の変更が容易にできる。
【0012】
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施の形態に係るシーケンス制御システムの概略構成を示した図である。
図1に示されるように、シーケンス制御システムは、PLC(プルグラマブルロジックコントローラ)1、プログラマブル表示器2、入力機器31、出力機器32およびPC(パーソナルコンピュータ)4を備えている。
【0013】
図2は、PLC1の構成および周辺機器の接続状態を示した図である。
図2に示されるように、PLC1は、記憶装置11、演算装置12、制御装置13、入出力I/F(インターフェース)14、入力回路15および出力回路16を備えている。
記憶装置11は、PLC1の制御に用いられるデータやプログラムを格納する装置であり、ROM(リードオンリメモリ)やRAM(ランダムアクセスメモリ)等のメモリ装置により構成されている。
記憶装置11には、制御動作プログラム111、表示設定プログラム112、表示変更プログラム113、通信プログラム114、スイッチ参照テーブル115、タスクプログラム116等のプログラムやデータが格納されている。
【0014】
制御動作プログラム111は、PLC1における制御動作を実行するためのプログラムである。
この制御動作プログラム111は、専用のラダープログラム言語により記述されたプログラムであり、シーケンス図をベースとした、シンボル(記号)表示により表現される命令語と、デバイス情報と、を組み合わせることによって記述されている。
表示設定プログラム112は、プログラマブル表示器2の画面配列や動作等の設定を実行するためのプログラムである。
なお、この表示設定プログラム112は、プログラマブル表示器2に内蔵されているメモリ装置に格納し、プログラマブル表示器2側で画面配列や動作等の設定を実行するようにしてもよい。
【0015】
表示変更プログラム113は、プログラマブル表示器2に表示されるスイッチやランプ等のオブジェクトの表示動作や、オブジェクトに対応付けられる処理動作の変更を実行、即ちこれらの変更をPLC1に反映させるためのプログラムである。
通信プログラム114は、PLC1に接続されるプログラマブル表示器2、入力機器31、出力機器32、PC4などの周辺装置とPLC1間のデータ(信号)の通信を制御するプログラムである。
【0016】
スイッチ参照テーブル115は、表示変更プログラム113の実行時に参照するデータであり、プログラマブル表示器2に表示されるオブジェクト(スイッチ等)に割り当てられた(割り付けられた)変数にアクセスする際に用いられる。
このスイッチ参照テーブル115には、プログラム表示器2に表示されるオブジェクトと、オブジェクトに割り当てられる出力動作処理およびこの出力動作処理の実行を可能にする動作条件との対応関係が表されている。
スイッチ参照テーブル115は、PC4において、専用のプログラムを用いて作成(生成)されたデータテーブルであり、このスイッチ参照テーブル115の内容を変更することにより、プログラマブル表示器2に表示されるスイッチやランプ等のオブジェクトの表示動作や、オブジェクトに対応付けられる処理動作の変更を定義することができる。
【0017】
タスクプログラム116は、予め定義されている特定のシーケンス制御動作(タスク)を実行するためのプログラムである。
このタスクプログラム116は、タスクごとに識別子(格納部を示すアドレスなど)が付されており、制御動作プログラム111の実行中にタスクが指定された場合に、該当するタスクを実行するタスクプログラム116を読み出し、実行するように構成されている。
【0018】
演算装置12は、PLC1の中心となって処理を行う装置であり、マイクロコンピュータ等のCPU(中央演算処理装置)により構成されている。
演算装置12では、記憶装置11に格納されている制御動作プログラム111、表示設定プログラム112、表示変更プログラム113、通信プログラム114、タスクプログラム116等のプログラムを実行することにより、内部装置および周辺装置を制御してデータを受け取り、そのデータを演算・加工し、記憶装置11内のRAMに記憶したり、結果を出力したり等の一連の動作を実行する。
また、演算装置12は、内部に数をカウントするレジスタ、即ちカウンタを備えている。なお、レジスタは、データを一時的に保存しておくために用いられる小容量で高速なメモリで構成されている。
制御装置13は、演算装置12と共にPLC1における制御を実行する装置である。
【0019】
入出力I/F14は、PLC1とPC4間のデータ(信号)の通信を行うためのインターフェースである。PLC1とPC4間のデータ通信は、USB(ユニバーサルシリアルバス)ケーブル等のケーブル通信や赤外線通信等を用いて行うことができる。
入力回路15は、装置や操作盤に設置した様々なセンサや機械スイッチ等の入力機器31から出力される出力信号、またプログラマブル表示器2を介して入力される操作信号など、PLC1の外部装置(周辺装置)からの入力信号を取り込む回路装置である。
【0020】
出力回路16は、演算装置12において実行された、制御動作プログラム111、表示設定プログラム112、表示変更プログラム113、タスクプログラム116等の結果に基づいて出力機器32やプログラマブル表示器2へ制御信号を出力する回路装置である。
このように構成されるPLC1は、入力機器31やプログラム表示器2から入力される信号に基づいて、制御動作プログラム111、表示設定プログラム112、表示変更プログラム113等の制御内容を示したプログラムを逐次実行することによりシーケンス制御を行う。
【0021】
図3は、PC4の構成および周辺機器の接続状態を示した図である。
図3に示されるように、PC4は、記憶装置41、演算装置42、入力装置43、出力装置44、制御装置45、入出力I/F46を備えた情報処理装置から構成される。
記憶装置41は、PC4の制御に用いられるデータやプログラムを格納する装置であり、ROMやRAM、ハードディスク等のメモリ装置により構成されている。
記憶装置41には、PC4のシステム管理や基本的な操作環境を提供するOS(オペレーションシステム)を実行するプログラムの他、設定パラメータ411、ラダー作成プログラム412、ラダー変更プログラム413、表示画面設定プログラム414、データ変換プログラム415、通信プログラム416等のプログラムやデータが格納されている。
【0022】
設定パラメータ411は、PC4で実行される処理に与える種々のデータであり、特定の機能を用いる際に必要となるデータ、命令の機能、オプション指定を行わせるためのデータである。
ラダー作成プログラム412は、PLC1における制御動作を実行するための制御動作プログラム111を作成するためのプログラムである。
ラダー変更プログラム413は、ラダー作成プログラム412により作成された制御動作プログラム111の内容を変更するプログラムである。
【0023】
表示画面設定プログラム414は、表示設定プログラム112やプログラマブル表示器2に表示するスイッチやランプ等のオブジェクトの作成(設定)やオブジェクトの画面配列の設定を行うプログラムを作成するプログラムである。
また、表示画面設定プログラム414は、表示変更プログラム113を作成するプログラムとしての機能を有している。
データ変換プログラム415は、PC4の操作者が入力した設定条件に基づいて変換処理を行い、PLC1において表示変更プログラム113を実行する際に用いられるスイッチ参照テーブル115を作成(生成)するプログラムである。
通信プログラム416は、PC4に接続されるPLC1などの周辺装置とPC4間のデータ(信号)の通信を制御するプログラムである。
【0024】
演算装置42は、PC4の中心となって処理を行う装置であり、CPU(中央演算処理装置)により構成されている。
演算装置42では、記憶装置41に格納されているOSプログラム、設定パラメータ411、ラダー作成プログラム412、ラダー変更プログラム413、表示画面設定プログラム414、データ変換プログラム415、通信プログラム416等のプログラムのプログラムを実行することにより、内部装置および周辺装置を制御してデータを受け取り、そのデータを演算・加工し、記憶装置41内のRAMに記憶したり、結果を出力したり等の一連の動作を実行する。
【0025】
入力装置43は、PC4へコマンドやデータを入力する装置であり、キーボードやマウス、デジタル・カメラ、スキャナ、タブレット、ジョイスティック、ビデオ入力装置、音声入力装置、バーコード・リーダ等により構成されている。
データをPC4の外部から取り込む(入力する)ことも可能であり、この場合には、データが記憶された記憶媒体を読み込むための読み取り装置が入力装置43として機能する。また、データをインターネットなどのネットワークを介してPC4に取り込む(入力する)ことも可能である。
【0026】
出力装置44は、PC4の処理した結果を外部出力する装置であり、処理結果を人間が認識できる文字や数字、画像などにして出力するディスプレイやプリンタ、またプロッタや音声出力装置などにより構成されている。
本実施の形態では、出力装置44として、ディスプレイが用いられており、このディスプレイの表示画面上に、ラダー作成プログラム412、ラダー変更プログラム413、表示画面設定プログラム414等を実行した際の入力画面が表示される。
PC4の操作者は、ディスプレイに表示された内容に基づいてパラメータ等のデータの入力を行う。
制御装置45は、演算装置42と共にPC4における制御を実行する装置である。
入出力I/F46は、PLC1とPC4間のデータ(信号)の通信を行うためのインターフェースである。PLC1とPC4間のデータ通信は、USB(ユニバーサルシリアルバス)ケーブル等のケーブル通信や赤外線通信等を用いて行うことができる。
【0027】
図1の説明に戻り、PLC1に接続されたプログラマブル表示器2は、マン・マシン・インターフェース機能を有し、上述したPLC1の入出力機器として機能する。
プログラマブル表示器2は、表示設定プログラム112で設定された画面を表示するディスプレイであり、本実施の形態では、タッチパネル式の表示装置(以下、タッチパネルとする)が用いられている。
タッチパネルは、感圧式や静電式のパネルを備えることにより、例えば、メニュー項目などが表示されている画面を指で直接触れることでポインティング(選択)を可能とするスクリーン画面を備えた装置である。
なお、プログラマブル表示器2は、タッチパネルの機能を備えていない液晶ディスプレイやCRT(ブラウン管)ディスプレイ等で構成するようにしてもよい。なお、この場合は、表示されるメニュー項目等のスイッチを選択するために、画面上のカーソル(ポインタ)を操作するためのキーボードやマウス等の入力装置を備えておく。
【0028】
図4は、プログラマブル表示器2に表示される表示画面の一例を示した図である。
プログラマブル表示器2は、PLC1またはプログラマブル表示器2に格納されている、画面配列や動作等の設定を実行する表示設定プログラム112を起動することにより、設定された画面がディスプレイ上に表示される。
図4に示されるように、ディスプレイ上には、例えば、PLC1により制御されている製造工程の状況を示す工程図、各燃料の残量を示すインジケータ、押下(選択)することにより燃料の補給やアームの位置調整(アームの移動)等の処理動作の指示(入力)を行うことが可能な複数のスイッチ(スイッチボタン)21、スイッチ21のそれぞれの操作状態を示すランプ22などが表示される。
【0029】
例えば、「A燃料補給」の処理動作が割り付けられているスイッチ21を操作者が押下(選択)した場合には、図4に示されるように、対応するランプ22が点灯するように構成されている。
点灯するランプ22の色や表示形態(点灯時の輝度や点滅速度など)は、表示設定プログラム112により予め設定されているが、PLC1において表示変更プログラム113が起動されている場合は、表示変更プログラム113において定義された内容、即ち、スイッチ参照テーブル115に示されている設定条件(指示内容)が優先して反映されるように構成されている。
【0030】
次に、プログラマブル表示器2に表示されるオブジェクトの表示動作や処理動作の変更を定義する際に用いられるスイッチ参照テーブル115の作成方法について説明する。
なお、本実施の形態では、スイッチ参照テーブル115は、PC4において作成(生成)されたデータがPLC1に送信されるように構成されているため、ここでは、PC4におけるスイッチ参照テーブル115の作成方法について説明する。
PC4において表示画面設定プログラム414を起動し、プログラマブル表示器2に表示されるオブジェクト(スイッチ等)の動作条件の変更を行う変更設定メニューを選択する。
PC4は、例えば、プログラマブル表示器2の画面配列を設定する表示設定プログラム112を読み出し、このプログラムで定義されているオブジェクト(スイッチ21やランプ22等)の情報を取得する。
そしてPC4は、取得した情報に基づいて、オブジェクトごとに割り付けられている動作条件の設定画面(変更画面)をディスプレイに表示させる。
【0031】
図5は、スイッチ番号ごとに動作を設定する画面の一例を示した図である。
本実施の形態では、図4に示されるようなスイッチ21をオブジェクトとして用いた場合について説明する。スイッチ21には、それぞれ識別子として機能するスイッチ番号が付されており、ここでは、スイッチ番号1〜512まで設けることができるようになっている。
また、本実施の形態では、スイッチ21に割り付けられる動作として、出力機器32の一つであるソレノイドバルブを駆動する「Sol」モードと、指定したタスクプログラム116を実行させる「Task」モードが設けられている場合について説明する。
なお、「Sol」モードでは、シングルソレノイドまたはダブルソレノイドの選択設定が可能である。
【0032】
図5に示されるようなフォームを用いて、スイッチ21の設定をスイッチ番号ごとに行う。
操作者は、設定画面のモード設定項目において、スイッチ21に割り付ける動作モードの設定(入力)を行う。
この動作モードの設定は、プルダウンメニューから「Sol」または「Task」のいずれかを選択することにより行うことができる。
図5(a)は、「Sol」モードを選択した場合の表示画面の例を示し、図5(b)は、「Task」モードを選択した場合の表示画面の例を示す。
モード設定項目において「Sol」モードが選択された場合、図5(a)に示されるように、出力の設定、即ち動作させるソレノイドバルブの設定(指示)を入力する項目が表示される。
【0033】
操作者は、スイッチ21に割り付けるソレノイドバルブの種別(シングルソレノイドまたはダブルソレノイド)、およびソレノイドバルブのアドレス情報を設定(入力)する。
一方、モード設定項目において「Task」モードが選択された場合、図5(b)に示されるように、実行させるタスクの設定(指示)を入力する項目が表示される。
なお、ここで設定されるタスクは、予め専用の言語で記述されたタスクプログラム116としてPLC1の記憶装置11に格納されている。
操作者は、スイッチ21に割り付けるタスクの識別子(タスク番号)およびフラグ等を設定(入力)する。
【0034】
また、スイッチ21に、図4に示されるようなランプ22を割り付ける場合には、ランプ設定項目において、割り付けるランプ22の設定を行う。
ランプ設定項目では、表示させるランプ22のアドレス情報や、スイッチ21に割り付けられる動作の実行時における点灯の有無(オン/オフ)等を設定(入力)する。
また、図示されていないが、ランプ設定項目では、拡張機能として、表示させるランプ22の色や表示形態(点灯時の輝度や点滅速度など)の設定ができるように構成されている。
【0035】
さらに、モード設定項目において設定されたモードの動作条件を設定(指示)を入力する動作条件設定項目が表示される。
操作者は、動作条件設定項目において、スイッチ21に割り付けられた動作(ソレノイドバルブの駆動またはタスクの実行)を実際に実行可能とする動作条件を設定する。
動作条件の設定は、例えば、入力機器31からの入力信号に基づくAND条件やOR条件、内部制限(インターロックなど)を入力することにより行う。
本実施の形態では、ここで設定された動作条件を満たしていない場合には、該当するスイッチ21が操作された場合であっても、割り付けられた動作が実行できないように構成されている。
なお、このようにして設定されるオブジェクト(スイッチ21)の動作条件等の設定項目は、オブジェクト(スイッチ21)ごとに割り付けられている変数として機能する。
この変数は、表示画面設定プログラム414などのエディタプログラム(編集プログラム)にて割り付けることができる。
【0036】
PC4は、上述した動作条件の設定画面における操作者の設定(入力)をスイッチ番号ごとに受け付け、記憶装置41に格納する。
そして、全てのスイッチ21(または設定を変更するスイッチ21)に関する動作条件の設定が終了した後、PC4においてデータ変換プログラム415を起動する。
そして、記憶装置41に格納された設定(入力)データの変換処理を実行し、スイッチ参照テーブル115を作成(生成)する。
図6は、スイッチ参照テーブル115の一例を示した図である。
操作者により設定された条件設定のデータは、図5に示されるような、スイッチ21に割り付けられた項目の設定(定義データ)がスイッチ番号順に配列された2次元のデータテーブルであるスイッチ参照テーブル115に変換される。
【0037】
スイッチ参照テーブル115における「スイッチ番号」は、プログラマブル表示器2に表示されるスイッチ21に連番で割り付けられたアドレス番号を示し、「モード」は、スイッチ21に割り付けられる動作(「Sol」モードまたは「Task」モード)を示す。「出力先1」「出力先2」は、ソレノイドバルブの駆動信号の出力先のアドレス情報を示し、「ランプ」は、ランプ22の動作信号の出力先のアドレス情報を示す。
なお、図6の波線部(スイッチ番号「17」)は、図5(a)に示される表示画面(「Sol」モードを選択した場合)における条件設定の入力データがテーブルに反映された行を示す。
このようにしてPC4において作成(生成)されたスイッチ参照テーブル115は、入出力I/F14を介してPLC1に送信(転送)される。PLC1は、受信したスイッチ参照テーブル115を記憶装置11に格納する。
【0038】
次に、本実施の形態に係るシーケンス制御システムにおいてプログラマブル表示器2に表示されるスイッチ21が操作者により操作された場合のPLC1の制御動作について説明する。
図7は、プログラマブル表示器2に表示されるスイッチ21の操作時におけるPLC1の制御動作の処理手順を示したフローチャートである。
PLC1に電源が投入されると、演算装置12は、記憶装置11から制御動作プログラム111、表示設定プログラム112、表示変更プログラム113を読み出し起動する。
【0039】
PLC1において各プログラムが実行されると、演算装置12は、プログラマブル表示器2においてスイッチ21の押下(操作)信号が検出されたか否かを判断する(ステップ11)。
プログラマブル表示器2においてスイッチ21が押下(操作)されると、プログラマブル表示器2から該当するスイッチ21の押下信号が入力回路15を介してPLC1に入力される。
演算装置12は、入力回路15にスイッチ21の押下信号が入力されたか否かを判断する。なお、スイッチ21の押下信号が入力されたか否かの判断は、検出手段として機能する。
【0040】
スイッチ21の押下信号が検出されない場合(ステップ11:N)、演算装置12は、引き続き信号の検出処理を続行する。
一方、スイッチ21の押下信号が検出された場合(ステップ11:Y)、演算装置12は、入力回路15に入力された押下信号に基づいて、押下されたスイッチ21に付されているスイッチ番号を特定する。なお、このスイッチ番号の特定は、オブジェクト特定手段として機能する。
そして、演算装置12は、記憶装置11に格納されているスイッチ参照テーブル115を参照し(読み出し)、該当するスイッチ番号(特定されたスイッチ番号)に割り付けられている動作条件のデータを取得する(ステップ12)。なお、この動作条件のデータの取得は、動作処理特定手段として機能する。
【0041】
続いて、演算装置12は、取得した動作条件データに基づいて、該当するスイッチ番号に割り付けられている処理動作(ソレノイドバルブの駆動またはタスクの実行)が可能か否か、即ち、処理動作の動作条件(インターロックなどの内部制限の条件)を満たしているか否かを判断する(ステップ13)。
該当するスイッチ番号に割り付けられている処理動作の動作条件を満たしていない場合、即ち、処理動作の実行が不可能な場合(ステップ13:N)、演算装置12は、引き続き信号の検出処理を続行する。
一方、該当するスイッチ番号に割り付けられている処理動作の動作条件を満たしている場合、即ち、処理動作の実行が可能な場合(ステップ13:Y)、演算装置12は、取得した動作条件データに基づいて、該当するスイッチ番号に割り付けられている処理動作がソレノイドバルブの駆動を示すSolモードであるか否かを判断する(ステップ14)。
【0042】
該当するスイッチ番号に割り付けられている処理動作がSolモードである場合(ステップ14;Y)、演算装置12は、取得した動作条件データに基づいて、駆動信号を出力回路16を介して該当するソレノイドバルブ(出力機器32)に出力し、ソレノイドバルブを駆動させる(ステップ15)。
一方、該当するスイッチ番号に割り付けられている処理動作がSolモードでない場合(ステップ14;N)、即ち該当するスイッチ番号に割り付けられている処理動作がTaskモードである場合、演算装置12は、取得した動作条件データに基づいて、指定されたタスク(動作シーケンス)を実行するタスクプログラム116を起動し、動作シーケンスを実行させる(ステップ16)。
なお、処理動作の動作条件の判断およびソレノイドバルブの駆動または動作シーケンスの実行は、指示手段として機能する。
【0043】
続いて、演算装置12は、プログラマブル表示器2が起動中であるか否かを判断する(ステップ17)。プログラマブル表示器2が起動中であるか否かの判断は、例えば、プログラム表示器2における電源の管理状態に基づいて行うことができる。
プログラム表示器2が起動中である場合(ステップ17:Y)、演算装置12は、ステップ11の処理に戻り、引き続き信号の検出処理を続行する。
一方、プログラム表示器2が起動中でない場合(ステップ17:N)、例えば、プログラマブル表示器2における電源の供給が停止状態である場合、そのまま処理を終了する。
【0044】
このように、プログラマブル表示器2に表示されるスイッチ21の操作時におけるPLC1の制御動作の処理を実行するプログラム(ラダープログラム)を起動させると、PLC1は、プログラマブル表示器2の状態を監視しながら、スイッチ参照テーブル115の内容を反映した(内容に対応した)制御動作を実行することができる。
【0045】
次に、本実施の形態に係るシーケンス制御システムにおけるプログラマブル表示器2に表示されるスイッチ21に対応付けられた(紐付けされた)ランプ22の表示動作について説明する。
図8は、プログラマブル表示器2に表示されるランプ22の表示動作の処理手順を示したフローチャートである。
ここでは、スイッチ参照テーブル115において定義(設定)されたランプ22の表示動作(オン/オフ動作)をプログラマブル表示器2に反映させる方法について説明する。
【0046】
演算装置12は、記憶装置11から表示変更プログラム113を読み出し起動する。
PLC1が起動すると、演算装置12は、はじめに、内蔵されているスイッチ番号をカウントするカウンタのリセット処理、即ち、カウンタ値を「0(ゼロ)」に戻す処理を行う(ステップ21)。
次に、演算装置12は、スイッチ番号のカウンタ値に「1」を足す(加える)カウントアップ処理を実行する(ステップ22)。
続いて、演算装置12は、記憶装置11に格納されているスイッチ参照テーブル115を参照し(読み出し)、カウンタ値に該当するスイッチ番号に割り付けられている動作条件のデータを取得する(ステップ23)。
【0047】
次に、演算装置12は、カウンタ値に該当するスイッチ番号に割り付けられているランプの表示動作の設定に基づいて、該当するランプ22の制御信号(オン信号またはオフ信号)を出力回路16を介して出力し、プログラマブル表示器2における該当ランプ22の表示動作の設定変更を行う(ステップ24)。
続いて、演算装置12は、プログラマブル表示器2が起動中であるか否かを判断する(ステップ25)。
プログラマブル表示器2が起動中でない場合(ステップ25:N)、例えば、プログラマブル表示器2における電源の供給が停止状態である場合、そのまま処理を終了する。
【0048】
一方、プログラマブル表示器2が起動中である場合(ステップ25:Y)、演算装置12は、スイッチ番号のカウンタ値とプログラマブル表示器2に設けられるスイッチ21に付されているスイッチ番号の最大値との比較を行い、スイッチ番号のカウンタ値がスイッチ番号の最大値より小さいか否かを判断する(ステップ26)。
スイッチ番号のカウンタ値がスイッチ番号の最大値より小さい場合(ステップ26:Y)、演算装置12は、引き続きステップ22の処理に戻る。
一方、スイッチ番号のカウンタ値がスイッチ番号の最大値より小さくない場合(ステップ26:N)、即ち、スイッチ番号のカウンタ値がスイッチ番号の最大値に達した場合、演算装置12は、ステップ21の処理に戻り、カウンタのリセット処理から一連の処理を続行する。
【0049】
PLC1では、上述した一連のプログラマブル表示器2に表示されるランプ22の表示動作の処理を、制御動作プログラム111によるPLC1の制御動作や、プログラマブル表示器2に表示されるスイッチ21の操作時におけるPLC1の制御動作(ソレノイドバルブの駆動制御やタスク実行時の動作シーケンス)に関係なく常時ループし、リアルタイムでスイッチ参照テーブル115において設定(変更)されたランプ22の表示動作をプログラマブル表示器2に反映させることができる。
また、本実施の形態では、スイッチ21に割り付けられたランプ22について説明したが、スイッチ21、即ち、オブジェクトに割り付け可能な表示アイテムはこれに限定されるものではない。
例えば、シーケンスのサイクルタイム数の表示画面や生産数の表示画面等を割り付けるようにしてもよい。なおこのようなカウンタを表示させる場合には、対応するオブジェクトを表示させずに、カウンタのみを表示させるようにしてもよい。
【0050】
上述したように、本実施の形態によれば、PC4において、変更設定の内容を示すスイッチ参照テーブル115を、プログラマブル表示器2に表示されるオブジェクト(スイッチ21やランプ22等)と制御動作とを関連付けながら作成することができるため、プログラマブル表示器2の表示内容の追加・変更に対して、柔軟かつ容易に対応することができる。
本実施の形態によれば、スイッチ参照テーブル115における変数を変更するだけで、プログラマブル表示器2の表示設定の変更やオブジェクト(スイッチ21)操作に定義付けられている動作設定の変更ができるため、プログラマブル表示器2における機能の拡張が容易にできる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、PC4において、スイッチ参照テーブル115を作成する際に、専用のラダープログラム言語により記述されたプログラムを介さずに、プログラマブル表示器2に表示されるオブジェクトの表示動作や処理動作の設定を行うことができる。従って、スイッチ参照テーブル115を作成する際に、ラダープログラムの専門知識を必要としないため、プログラマブル表示器2の開発を効率よく行うことができる。
本実施の形態によれば、図5に示されるモード設定項目において、指定したタスクプログラム116を実行させる「Task」モードを指定することができるため、タスクプログラムに定義されている細かい制御や複雑な制御と、プログラマブル表示器2に表示されるオブジェクトとを容易に関連付けることができるため、プログラマブル表示器2に対応するソフトウェアの開発期間の短縮化を図ることができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、図9に示すような、入力条件X1に対して出力動作Y1が定義されているシーケンス制御、即ち、入力機器の1つの動作(入力信号)に対して、出力機器の1つの出力動作が定義される単純なシーケンス制御をラダープログラムを作成することなくPLC1に実行させることができる。
例えば、プログラマブル表示器2において、スイッチ番号「1」に該当するスイッチ21が押下(操作)された場合に、出力機器32のアドレス「0001」に該当するソレノイドバルブを駆動させたり、スイッチ番号「2」に該当するスイッチ21が押下(操作)された場合に、スイッチ番号「2」に割り付けられているランプ22を点灯させたりなどの動作をPLC1に容易に実行させることができる。
【0053】
このようなスイッチ参照テーブル115を読み出して行う処理は、PLC1のメイン制御を実行する制御動作プログラム111と並行して行うことが可能である。
そのため、例えば、スイッチ参照テーブル115を読み出して処理を実行する表示変更プログラム113等に優先順位を設けておくことにより、制御動作プログラム111において予め制御動作が定義されている場合であっても、容易に定義内容の変更をPLC1に反映させることができる。
これにより、プログラマブル表示器2に対応するソフトウェアの開発期間の短縮化を図ることができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、図9に示される出力動作Y1に、指定したアドレスに格納されているタスクプログラム116の起動(実行)を設定することができるため、単純な出力機器32のオン/オフ制御だけでなく、細かいシーケンス制御の動作設定を行うことができる。
さらに、本実施の形態によれば、従来、ラダープログラムにおいてAND/OR条件や内部制限(インターロック条件)等で記述されていた条件設定の内容をスイッチ参照テーブル115に示すことができるため、図9に示される出力動作Y1の動作許可条件(動作条件)をラダープログラムを介さずに設定することができる。これにより、出力動作Y1の詳細な動作許可条件(動作条件)を容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施の形態に係るシーケンス制御システムの概略構成を示した図である。
【図2】PLCの構成および周辺機器の接続状態を示した図である。
【図3】PCの構成および周辺機器の接続状態を示した図である。
【図4】プログラマブル表示器に表示される表示画面の一例を示した図である。
【図5】スイッチ番号ごとに動作を設定する画面の一例を示した図である。
【図6】スイッチ参照テーブルの一例を示した図である。
【図7】プログラマブル表示器に表示されるスイッチの操作時におけるPLCの制御動作の処理手順を示したフローチャートである。
【図8】プログラマブル表示器に表示されるランプの表示動作の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】単純なシーケンス制御のラダー回路を示した図である。
【符号の説明】
【0056】
1 PLC
2 プログラマブル表示器
4 PC
11 記憶装置
12 演算装置
13 制御装置
14 入出力I/F
15 入力回路
16 出力回路
21 スイッチ
22 ランプ
31 入力機器
32 出力機器
41 記憶装置
42 演算装置
43 入力装置
44 出力装置
45 制御装置
46 入出力I/F
111 制御動作プログラム
112 表示設定プログラム
113 表示変更プログラム
114 通信プログラム
115 スイッチ参照テーブル
116 タスクプログラム
411 設定パラメータ
412 ラダー作成プログラム
413 ラダー変更プログラム
414 表示画面設定プログラム
415 データ変換プログラム
416 通信プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続される機器から入力される信号に基づいて、制御内容を示したプログラムを逐次実行することによりシーケンス制御を行い、画面配列が任意に設定可能なプログラマブル表示器が接続されるプログラマブルロジックコントローラであって、
前記プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトと、該オブジェクトに割り当てられる動作処理およびこの動作処理の実行を可能にする動作条件とが対応付けられた参照テーブルを取得する参照テーブル取得手段と、
オブジェクトを特定するオブジェクト特定手段と、
前記オブジェクト特定手段により特定されたオブジェクトに対応する動作処理を前記参照テーブルに基づいて特定する動作処理特定手段と、
前記動作処理特定手段により特定された動作処理が、処理の実行を可能にする動作条件を満たしているか否かを前記参照テーブルに基づいて判断し、前記動作条件を満たしている場合に該動作処理を指示する指示手段と、
を備えたことを特徴とするプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項2】
前記プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトは、スイッチボタンであり、
前記参照テーブル取得手段は、スイッチボタンとこのスイッチボタンに割り当てられる動作処理および前記動作処理の実行を可能にする可能条件とが対応付けられた参照テーブルを取得し、
前記オブジェクト特定手段は、スイッチボタンを特定し、
前記動作処理特定手段は、特定されたスイッチボタンに対応する動作処理を前記参照テーブルに基づいて特定することを特徴とする請求項1記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項3】
前記参照テーブル取得手段は、スイッチボタンとランプの表示処理動作とが対応付けられた参照テーブルを取得し、
前記動作処理特定手段は、スイッチボタンに対応するランプの表示処理動作を前記参照テーブルに基づいて特定し、
前記指示手段は、前記動作処理特定手段により特定された表示処理動作を前記プログラマブル表示器に指示することを特徴とする請求項2記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項4】
前記プログラマブル表示器において操作されたスイッチボタンを検出する検出手段を備え、
前記オブジェクト特定手段は、前記検出手段により検出されたスイッチボタンを特定することを特徴とする請求項2または請求項3記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項5】
接続される機器から入力される信号に基づいて、制御内容を示したプログラムを逐次実行することによりシーケンス制御を行い、画面配列が任意に設定可能なプログラマブル表示器が接続されるプログラマブルロジックコントローラにおける制御動作時に用いられるデータテーブルを生成する情報処理装置であって、
前記プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトの情報を取得するオブジェクト情報取得手段と、
前記オブジェクト情報取得手段により取得されたオブジェクトに割り付ける動作処理、および、この動作処理の実行を可能にする動作条件を設定する入力画面を表示する入力画面表示手段と、
前記入力画面表示手段により表示された入力画面から入力された動作処理および動作条件の設定を受け付ける設定受付手段と、
前記設定受付手段により受け付けられた動作処理および動作条件が、オブジェクトに対応付けられた参照テーブルを生成する生成手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
接続される機器から入力される信号に基づいて、制御内容を示したプログラムを逐次実行することによりシーケンス制御を行い、画面配列が任意に設定可能なプログラマブル表示器が接続されるプログラマブルロジックコントローラに、
前記プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトと、該オブジェクトに割り当てられる動作処理およびこの動作処理の実行を可能にする動作条件とが対応付けられた参照テーブルを取得する参照テーブル取得機能と、
オブジェクトを特定するオブジェクト特定機能と、
前記オブジェクト特定機能により特定されたオブジェクトに対応する動作処理を前記参照テーブルに基づいて特定する動作処理特定機能と、
前記動作処理特定機能により特定された動作処理が、処理の実行を可能にする動作条件を満たしているか否かを前記参照テーブルに基づいて判断し、前記動作条件を満たしている場合に該動作処理を指示する指示機能と、
を実現させるための制御プログラム。
【請求項7】
接続される機器から入力される信号に基づいて、制御内容を示したプログラムを逐次実行することによりシーケンス制御を行い、画面配列が任意に設定可能なプログラマブル表示器が接続されるプログラマブルロジックコントローラにおける制御動作時に用いられるデータテーブルを生成する情報処理装置に、
前記プログラマブル表示器に表示されるオブジェクトの情報を取得するオブジェクト情報取得機能と、
前記オブジェクト情報取得機能により取得されたオブジェクトに割り付ける動作処理、および、この動作処理の実行を可能にする動作条件を設定する入力画面を表示する入力画面表示機能と、
前記入力画面表示機能により表示された入力画面から入力された動作処理および動作条件の設定を受け付ける設定受付機能と、
前記設定受付機能により受け付けられた動作処理および動作条件が、オブジェクトに対応付けられた参照テーブルを生成する生成機能と、
を実現させるためのテーブル作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−207196(P2007−207196A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29033(P2006−29033)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】