説明

プロセスカートリッジ及びプロセスカートリッジを備えた画像形成装置

【課題】画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されたトナーカートリッジが繰返し使用される場合において、書換え頻度の高いデータも書換え頻度の低いデータもそのトナーカートリッジが備える不揮発性メモリに的確に記憶する。
【解決手段】画像形成装置150は、CPU300と、操作装置166と、プログラム等を記憶するROM306と、不揮発性記憶領域であるHDD302と、プログラムを実行する際の記憶領域を提供するRAM308とを含む。トナーカートリッジ200のメモリ210は、書換え頻度が高いトナー補給時間を記憶する第1のメモリ220と、書換え頻度の低い再生回数及び最大充填量をを記憶する第2のメモリ230とで構成され、第1のメモリ220は、再生回数によってトナー補給時間を記憶する領域が異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式等により記録媒体(代表的には用紙)に画像を形成する画像形成装置に関し、特に、画像形成装置本体に着脱自在に形成されるプロセスカートリッジ(筐体等が再使用される交換ユニット)であって、画像形成装置本体との間で通信されるデータを記憶する不揮発性メモリが装備され、その不揮発性メモリに確実にデータを書込み、その不揮発性メモリからデータを確実に読込むことができるプロセスカートリッジに関する。また、本発明は、このようなプロセスカートリッジを備えた画像形成装置にも関係がある。
【背景技術】
【0002】
従来から、カラー複写機等の画像形成装置において、部品をユニット化して、プロセスカートリッジ等の交換可能なユニット(交換ユニット)として構成されるものが多く開発されている。このような交換ユニットは、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成され、画像形成装置において既設の交換ユニットが寿命又は故障に至った場合に、ユーザー又はサービスマン等の作業者によって、既設の交換ユニットを新品の交換ユニットに入れ替えるメンテナンス作業が行なわれている。
【0003】
このような交換ユニットは、製造工場で全く新規に製造されたものの他に、既にいずれかの画像形成装置で使用された後に回収されてリサイクル工場にて再生処理されたリサイクル・ユニットも含まれる。特に、近年の省資源に対する意識の高まりに伴い、リサイクル・ユニットの再生処理は、画像形成装置のメーカー(純正メーカー)とは異なる再生メーカー(非純正メーカー)で行なわれる場合も増加する傾向がある。
【0004】
なお、一度使用された交換ユニット(例えばトナーカートリッジ)の筐体をそのまま再利用してトナーを再充填することは再使用(リユース)である。このリユースは、厳密には、製品化された物を再資源化し新たな製品の原料として利用(例えば、回収した廃ペットボトルを粉砕したペレット状のPET素材としてこれをポリエステル繊維として再製品化する利用)することを示すリサイクル(再循環)とは異なる概念である。しかしながら、本発明においては、広く用いられるリサイクルという文言を使用することとする。
【0005】
このような状況の下では、画像形成装置を製造したメーカーとは異なる再生メーカーが再生処理したプロセスカートリッジを用いる場合に、品質保証に対する責任の所在が不明確になるという問題がある。
【0006】
このような問題に対して、特開2005−140800号公報(特許文献1)は、画像形成装置本体に設置される装置ユニット(上述した交換ユニットと同じ。)が、画像形成装置のメーカーとは異なる再生メーカーによって再生処理されたものであっても、品質保証に対する責任の所在が明確化され、ユーザーによるリサイクル・ユニットの選択肢を制限することなくユーザー及びメーカーが安心して使用できる装置ユニットを開示する。この装置ユニットは、画像形成装置本体に着脱自在に設置される装置ユニットであって、画像形成装置本体との間で通信される情報を保持する不揮発性メモリを備え、この不揮発性メモリは、再生メーカーと再生回数と再生年月日と交換部品とのうちの少なくとも1つに係わる再生情報が他の情報と区別して書込まれる第1のメモリ領域と、新規に製造されたときの固定情報を保持する第2のメモリ領域と、故障履歴及び異常履歴のうちの少なくとも1つに係わる変動情報を保持する第3メモリ領域とを有することを特徴とする。これらの再生情報、固有情報及び変動情報は、互いに他の情報と区別して書込まれる所定のメモリ領域に記憶される。
【0007】
この装置ユニットによると、画像形成装置本体に対して交換される装置ユニットが再生処理される場合に、再生メーカー又は交換部品等の再生処理に係わる再生情報が、装置ユニットに設けられた不揮発性メモリの特定領域(第2のメモリ領域及び第3メモリ領域と区別された第1のメモリ領域)に保持される。これにより、画像形成装置のメーカーとは異なる再生メーカーによって再生処理されたものであっても、品質保証に対する責任の所在が明確化され、ユーザーの選択肢を制限することなくユーザー及びメーカーが安心して使用できる装置ユニットを提供することができる。
【0008】
また、特開平3−142794号公報(特許文献2)は、画像形成装置には関係がないが、メモリ異常(書込み領域の異常)が発生した場合には、その書込み領域への以後の書込みを禁止して他の領域に書込みを行なわせる等の対処によりデータ書込みの信頼性を高めた不揮発性メモリへのデータ書込み方法を開示している。さらに、特開平2−303874号公報(特許文献3)は、リサイクル・ユニットには関係がないが、画像形成装置の1つであるレーザビームプリンタ等における印字枚数を計数するにあたり不揮発性メモリへの書換え回数の制限を回避する計数装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−140800号公報
【特許文献2】特開平3−142794号公報
【特許文献3】特開平2−303874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
通常、様々な情報を記憶するためのメモリは、特許文献3にも開示されているように書込み回数に制限があり、その制限を超えて書込みを行なった場合には、データが正常に書込めない可能性がある。このため、メモリを製造又は販売するメーカー等においては、仕様により書込み回数を制限していることが多い。
【0011】
上述したように、最近の画像形成装置においては、環境保護の観点から、リサイクル・ユニットが用いられ、再生処理に係わる再生情報(再生回数(世代情報)等)を所定のメモリ領域(所定のアドレスで指定されるメモリ領域)に記憶させている。このような再生情報は、頻繁に書込みが行なわれるわけではなく、再生処理が繰返されていった場合であっても、メモリの書込み回数の制限を超えてしまう可能性は少ない。一方、頻繁に書込みが行なわれるコピー枚数又はトナー残量等の情報が所定のメモリ領域に書込みが行なわれるようになっているときに再生処理が繰返されていった場合に(世代が増えても同じメモリ領域に書込みが行なわれるようになっている場合に)、メモリの書込み回数の制限を超えてしまう可能性がある。リサイクル・ユニットにおいて、コピー枚数又はトナー残量等の情報が正常にメモリに書込めないことは大きな問題である。
【0012】
また、リサイクルされるプロセスカートリッジにメモリを装備して、そのメモリに、書込み頻度が高い情報(例えばコピー枚数など)と、書込み頻度の低い情報(例えば再生回数)とを区別することなく書込むことは、メモリの使用方法として効率的であるとはいえないという問題がある。すなわち、書込み頻度が高い情報(例えばコピー枚数など)及び書込み頻度の低い情報(例えば再生回数)を一律に取扱い、再生回数(世代)によりアドレスを変更してそれらの情報を記憶させることは、書込み頻度の低い情報までアドレスを変更して記憶させることになり、その領域部分(書込み頻度が低いにもかかわらず世代ごとに与えられる領域部分)のメモリを効率的に使用していないことを示す。
【0013】
しかしながら、上述した特許文献1においては、リサイクルされるプロセスカートリッジに装備されるメモリを対象とした技術であるが、純正品以外のトナーカートリッジの使用を認めるが画質保証等の責任を負いかねるので、純正品のトナーカートリッジと純正品以外とのトナーカートリッジとを区別するためにデータ領域を区別している技術に過ぎない。特許文献2は、メモリに関係があっても、画像形成装置にもプロセスカートリッジにもリサイクルされるプロセスカートリッジにも関係がない。特許文献3は、画像形成装置における計数装置に関係があっても、プロセスカートリッジにもリサイクルされるプロセスカートリッジにも関係がない。
【0014】
すなわち、上述した特許文献に開示された技術を用いても、画像形成装置において、何世代にもわたって繰返し再使用されるプロセスカートリッジに装備されたメモリの容量を大きくすることなく、書換え頻度の高いデータも書換え頻度の低いデータも確実に記憶することはできない。
【0015】
したがって、本発明の目的は、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されたプロセスカートリッジが繰返し使用される場合において、書換え頻度の高いデータも書換え頻度の低いデータも不揮発性メモリに確実に記憶させることができるプロセスカートリッジ及びそのプロセスカートリッジを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のある局面に係るプロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱自在に設けられるプロセスカートリッジである。このプロセスカートリッジは、画像形成装置との間で通信されるデータを記憶する不揮発性メモリを備える。プロセスカートリッジが再生されて繰返し使用されることに対応して、不揮発性メモリは繰返し使用される。この不揮発性メモリは、再生回数に対応させて区分された複数の領域を有し、複数の領域に書込み頻度の高いデータが記憶される。
【0017】
例えば、トナーカートリッジ等のプロセスカートリッジは、その筐体及び不揮発性メモリが再使用され、筐体にトナーが再充填されて、繰返し使用される。このような場合において、書込み頻度の高いデータと書込み頻度の低いデータとを不揮発性メモリに記憶させることが行なわれる。再生回数が異なると(世代が異なると)、区分された複数の領域の中で異なる領域になるように、書込み頻度の高いデータが不揮発性メモリに書込まれる。このようにすると、書込み頻度の高いデータであっても不揮発性メモリの書込み保証回数を超えないようにできる。
【0018】
前回使用時において書込み頻度の高いデータが記憶された領域とは異なる領域であって、書込み履歴がない領域に、再生使用時において書込み頻度の高いデータが記憶されるように構成できる。
【0019】
前回の使用時に、書込み頻度の高いデータが記憶された領域とは異なる領域であって、書込みされていない領域に、再生使用時において、書込み頻度の高いデータが書込まれる。このため、書込み頻度の高いデータであっても不揮発性メモリの書込み保証回数を超えないようにできる。
【0020】
不揮発性メモリは、複数の領域に加えて、区分されない一の領域を有するように構成して、一の領域に書込み頻度の低いデータが記憶されるように構成できる。
【0021】
再生回数が異なると(世代が異なると)、再生回数に対応させて区分された複数の領域の中で異なる領域になるように、書込み頻度の高いデータが不揮発性メモリに書込まれることに加えて、不揮発性メモリの一の領域に、書込み頻度の低いデータが書込まれる。再生回数等の書込み頻度の低いデータは、一の領域に繰返し書込んでも、再生使用時に不揮発性メモリの書込み保証回数を超えることはない。このため、書込み頻度の低いデータは、一の領域に繰返し書込まれるので、大きな容量を必要としない。プロセスカートリッジが繰返し使用される場合において、書換え頻度の高いデータも書換え頻度の低いデータも不揮発性メモリに確実に記憶させることができる。
【0022】
前回使用時において書込み頻度の低いデータが記憶された領域に、再生使用時において書込み頻度の低いデータが記憶されるように構成できる。
【0023】
前回の使用時に、書込み頻度の低いデータが記憶された一の領域に、再生使用時において、書込み頻度の低いデータが書込まれる。このため、書込み頻度の低いデータは、再生回数に対応させた記憶領域を必要としない。
【0024】
書込み頻度の高いデータは、画像形成装置が画像を形成することにより消耗するメンテナンス対象物の状態を示す情報であり、書込み頻度の低いデータは、再生時に書込まれる情報であるように構成できる。
【0025】
画像形成装置が画像を形成することにより消耗するメンテナンス対象物の状態を示す書込み頻度の高いデータ、及び、再生時に書込まれる情報である書込み頻度の低いデータを、不揮発性メモリの書込み保証回数を超えないように書込むことができる。
【0026】
再生回数が予め定められた回数に到達すると、プロセスカートリッジの再生使用が禁止されるように構成できる。
【0027】
再生回数が予め定められた回数に到達すると再生使用を禁止するので、再生使用時における劣化限界までプロセスカートリッジを使用することができる。
【0028】
前回使用時において書込み頻度の高いデータが記憶された領域を、再生時に書込み禁止にされるように構成できる。
【0029】
再生使用時に、高い書込み頻度のデータが書込まれた領域は書込み禁止とするので、プロセスカートリッジに、再生回数が異なるデータ(書込み頻度の高いデータ)が同じ領域に重ねて書込まれることを回避できる。
【0030】
プロセスカートリッジはトナーカートリッジであって、書込み頻度の高いデータは、トナーの使用状態を示すデータであって、書込み頻度の低いデータは、トナーカートリッジに収納されたトナーの充填量に関する情報及び再生回数に関する情報であるように構成できる。
【0031】
トナーカートリッジは、画像形成装置において画像を形成して濃度が低下すると、トナーカートリッジから現像槽にトナーが供給される。このようなトナーの使用状態を示すデータは書込み頻度が高いデータとして、不揮発性メモリにおいて区分された複数の領域の中で異なる領域になるように、不揮発性メモリに書込まれる。このようにすると、再生使用時に不揮発性メモリの書込み保証回数を超えることはない。また、トナーカートリッジに収納されたトナーの充填量に関する情報及び再生回数に関するデータは、書込み頻度が低いデータとして、不揮発性メモリにおいて区分されない一の領域にメモリに書込まれる。このようにすると、書込み頻度が低いデータについてはメモリへ確実に書込むことができ、低い書込み頻度のデータについては大きな容量を用いることなくメモリへ確実に書込むことができる。
【0032】
本発明の別の局面に係る画像形成装置は、上述したいずれかに記載のプロセスカートリッジを備えるものである。
【0033】
画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されたプロセスカートリッジが繰返し使用される場合において、書換え頻度の高いデータも書換え頻度の低いデータもプロセスカートリッジの不揮発性メモリに確実に記憶させることができる画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されたプロセスカートリッジが繰返し使用される場合において、高い書込み頻度のデータについては不揮発性メモリにおいて異なる記憶領域に記憶させて、低い書込み頻度のデータについては大きな容量を用いることなくメモリへ確実に書込むことができる。この結果、書換え頻度の高いデータも書換え頻度の低いデータも不揮発性メモリに確実に記憶させることができるプロセスカートリッジ及びそのプロセスカートリッジを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置150の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置150の内部構成を簡略化して示す図である。
【図3】図1に示す画像形成装置150のハードウェア構成を示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るトナーカートリッジに装着される不揮発性メモリのメモリマップを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で実行されるトナー補給処理プログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で実行されるトナーカートリッジのメモリへの書込み処理プログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施の形態に係るプロセスカートリッジ及びそのプロセスカートリッジを備えた画像形成装置について説明する。以下の説明においては、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。なお、本実施の形態においては、電子写真方式の画像形成装置(複合機)について説明するが、本発明はこれに限定されず、プロセスカートリッジの一例であるトナーカートリッジが画像形成装置本体に着脱自在に設けられ、そのトナーカートリッジの筐体及びメモリをそのまま使用して、トナーを再充填して繰返し使用されるものであればよい。また、このようにリサイクルされるプロセスカートリッジ(交換ユニット、装置ユニット)は、トナーカートリッジに限定されず、繰返し使用される不揮発性メモリであって、画像形成装置本体との間で通信されるデータを記憶する不揮発性メモリを装備したものであればよい。
【0037】
[画像形成装置]
図1は、画像形成装置150の外観構成を示す図である。図2は、画像形成装置150の内部構成を簡略化して示す図である。図3は、画像形成装置150の機能ブロック図である。
【0038】
図1及び図2を参照して、画像形成装置150は、原稿読取部152、画像形成部154、給紙部156、及び排紙処理装置158を備える。
【0039】
ここで、コピーモードでの動作説明を行なうことによって、画像形成装置150の内部構成の説明とする。
【0040】
画像形成装置150においては、原稿載置台に置かれた原稿が原稿読取部152により画像データとして読取られ、読取られた画像データが図3に示すマイクロコンピュータ等から構成されるCPU(Central Processing Unit)300に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データが画像形成部154へと出力される。
【0041】
画像形成部154は、画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷するものであって、感光体ドラム222、帯電装置224、レーザスキャンユニット(以下、「LSU」と称する。)226、現像装置228、転写装置230、クリーニング装置232、定着装置234、及び図示しない除電装置等を備えている。
【0042】
画像形成部154には、主搬送路236及び反転搬送路238が設けられており、給紙部156から給紙されてきた記録用紙が主搬送路236に沿って搬送される。給紙部156は、用紙カセット240に収納された記録用紙、又は手差トレイ242に載置された記録用紙を1枚ずつ引出して記録用紙を画像形成部154の主搬送路236へと送り出す。
【0043】
画像形成部154の主搬送路236に沿って記録用紙が搬送されている途中で、記録用紙が感光体ドラム222と転写装置230との間を通過し、更に定着装置234を通過して、記録用紙に対する印刷が行なわれる。
【0044】
感光体ドラム222は、一方向に回転し、その表面は、クリーニング装置232と除電装置によりクリーニングされた後、帯電装置224により均一に帯電される。
【0045】
LSU226は、印刷対象の画像データに基づいてレーザ光を変調し、このレーザ光によって感光体ドラム222の表面を主走査方向に繰返し走査して、静電潜像を感光体ドラム222の表面に形成する。
【0046】
現像装置228は、トナーを感光体ドラム222の表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム222の表面に形成する。
【0047】
転写装置230は、当該転写装置230と感光体ドラム222との間を通過していく記録用紙に感光体ドラム222の表面のトナー像を転写する。
【0048】
定着装置234は、記録用紙を加熱するための加熱ローラ248と、記録用紙を加圧するための加圧ローラ250とを含む。記録用紙は、加熱ローラ248によって加熱され、かつ、加圧ローラ250によって加圧されることによって、記録用紙上に転写されたトナー像が記録用紙に定着される。
【0049】
主搬送路236と反転搬送路238との接続位置には、分岐爪244が配設されている。記録用紙の片面のみに印刷が行なわれる場合は、分岐爪244が位置決めされ、この分岐爪244により定着装置234からの記録用紙が排紙トレイ246又は排紙処理装置158の方へと導かれる。
【0050】
記録用紙の両面に印刷が行なわれる場合は、分岐爪244が所定方向に回動されて記録用紙が反転搬送路238の方へと導かれる。記録用紙は、反転搬送路238を通過して、その表裏を反転されて主搬送路236へと再び搬送され、主搬送路236の再度の搬送途中で、その裏面への印刷が行なわれて排紙トレイ246又は排紙処理装置158の方へと導かれる。
【0051】
上記のようにして印刷された記録用紙は、排紙トレイ246又は排紙処理装置158の方へと導かれて排紙トレイ246に排出され、又は排紙処理装置158の各排紙トレイ168の何れかに排出される。
【0052】
排紙処理装置158では、複数の記録用紙を各排紙トレイ168に仕分けして排出する処理、各記録用紙にパンチングする処理、及び各記録用紙にステープルする処理を施す。例えば、複数部の印刷物を作成する場合は、各排紙トレイ168に印刷物の一部ずつが割り当てられるように、各記録用紙を各排紙トレイ168に仕分けして排出し、排紙トレイ168ごとに、排紙トレイ168上の各記録用紙にパンチング処理又はステープル処理を施して印刷物を作成する。
【0053】
[ハードウェアブロック]
図3を参照して、画像形成装置150はさらに、画像形成処理に関する各機能の設定が可能な操作装置166と、プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)306と、通電が遮断された場合であってもプログラム及びデータ等を記憶可能な不揮発性記憶領域であるHDD(Hard Disk Drive)302と、プログラムを実行する際の記憶領域を提供するためのRAM(Random Access Memory)308とを含む。
【0054】
画像形成装置150はさらに、原稿読取部152、画像形成部154、操作装置166、ROM306、HDD302、及びRAM308に接続されるバス310と、バス310に接続された、画像形成装置としての一般的機能を実現するためのCPU300とを含む。
【0055】
ROM306には、画像形成装置150の動作を制御するのに必要なプログラム及びデータ等が記憶されている。CPU300は、ROM306に格納されているプログラム及びデータに従って画像形成装置150の制御を行なうと共に画像形成装置150の各機能に関する制御を実行する。
【0056】
RAM308は、CPU300による演算及び処理の結果を一時的に記憶するワーキングメモリとしての機能と、画像データを記憶するフレームメモリとしての機能とを提供する。
【0057】
原稿読取部152、画像形成部154、操作装置166の板状の操作パネル170及び表示パネル172、並びにROM306、HDD302、及びRAM308に対する制御は、CPU300が所定のプログラムを実行することにより行なわれる。
【0058】
操作装置166は、操作装置166の表面の右側の領域に配置された、テンキー、及びその他の種々の操作ボタンであるハードキーが備えられている板状の操作パネル170と、操作装置166の中央部から左側の領域に配置された、小型のタッチパネル一体型液晶表示装置から構成されている表示パネル172とを含む。操作パネル170と表示パネル172とは一つの筐体に保持され、操作装置166は全体として一体となるように構成されている。
【0059】
この操作装置166においては、表示パネル172に、この画像形成装置150の状態、ジョブの処理状況、消耗部品の交換及びメンテナンス作業の要請等が表示される。表示パネル172の液晶表示装置の表示領域上には選択ボタンが表示され、この選択ボタンの表示されている領域を指で押すと、タッチパネルがその押された位置を検出する。プログラム上で選択ボタンの表示位置とタッチパネルが押された位置とを照合することにより、画像形成装置150の機能設定及び動作指示等が行なわれる。
【0060】
この画像形成装置150が複写機能のみを備えるものである場合には、主電源としてコピー電源スイッチを備え、この画像形成装置150が複写機能に加えてファクシミリ機能等を備えた複合機である場合にはファクシミリ受信のために主電源をオフにできないので、主電源とは別にコピー電源スイッチを備える。このようなコピー電源スイッチがオフからオンにされることにより、複写可能な状態になる。なお、コピー電源スイッチがオフであってもCPU300は動作可能であるとする。
【0061】
この画像形成装置150には、一般的な画像形成装置が備えるように、画像形成装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジを備える。ここでは、このプロセスカートリッジはトナーカートリッジ200であるとする。このトナーカートリッジ200は、不揮発性メモリ(以下、単に「メモリ」と記載する。)210を装備している。このメモリ210は、例えばフラッシュメモリで構成され、電力が供給されなくともデータを保持することができる不揮発性メモリである。このような不揮発性である反面、データの書込み回数に10000回程度の制限がある。このメモリ210は、CPU300のコマンドにより、バス310を介して又は直接的に(専用の通信線を介して)RAM308に記憶されたデータが転送されて、メモリマップの規定に従って記憶される。
【0062】
メモリ210は、第1のメモリ220及び第2のメモリ230を備える。より具体的には、アドレスの位置をマップで規定しておいて、マップにより指定されるアドレスを異ならせて、第1のメモリ220及び第2のメモリ230を実現している。
【0063】
第1のメモリ220には、書換え頻度の高いデータが記憶される。また第1のメモリ220は、複数の領域を備える。第2のメモリ230には、書換え頻度の低いデータが記憶される。
【0064】
このメモリ210には、トナーカートリッジ200の寿命を管理するためのカートリッジ使用量データ(このデータは後述するようにトナー供給モータの駆動時間を積算した値であるトナー補給時間で管理されるメンテナンス対象物の状態を示す情報)、トナー残量を管理するための最大充填量等のカートリッジ情報、及び、トナーカートリッジ200の再生回数等を記憶する。トナーカートリッジ200の寿命を管理するためのカートリッジ使用量は、トナーカートリッジ200で作成可能な画像の最大数を反映できるように最大計数値を格納できる領域が確保されている。
【0065】
本実施の形態に係るトナーカートリッジ200の寿命は、トナー補給時間を計測して管理される。具体的には、現像槽内のトナー濃度センサを使用してトナー濃度を検出する。印字によりトナーが消費されてトナー濃度が薄いことが検出されると、トナー供給モータを回転させてトナーカートリッジ200から現像槽へトナーを補給する。トナー供給モータの駆動中(トナー補給中)に、画像形成装置150の内部カウンタを使用してトナー補給時間を計測する。この計測に用いられる内部カウンタは積算型カウンタである。本実施の形態においては、トナー補給時間の精度(書込み頻度、書込み間隔)は、画層形成装置150本体において10msecであって、メモリ210において1secであるとする。
【0066】
トナー補給時においては、10msecごとにRAM308にカウンタを積算したトナー補給時間が書込まれ、1secごとにRAM308からメモリ210にトナー補給時間が書込まれる。トナー補給時において1secごとにメモリ210にトナー補給時間が書込まれ、トナー寿命をトナー補給時間5000秒〜8000秒で規定すると、1世代において第1のメモリ220に5000回〜8000回トナー補給時間が書込まれる。このため、このトナー補給時間は書換え頻度の高いデータである。なお、RAM308に対する書込み間隔及びメモリ210に対する書込み間隔は一例であって、本発明がこのような時間間隔に限定されるものではなく、RAM308への書込みタイミングもメモリ210への書込み間隔も1secであっても構わない。
【0067】
残量を管理するための最大充填量データは、現在のトナー残量を0%〜100%で表わす場合等に使用する。トナーカートリッジ200の使用量を最大充填量で除算すれば、おおよその残量を算出することができる。この最大充填量データは、本実施の形態においてはトナー補給時間に対応するデータとしているが、コピー枚数、感光体ドラム222の走行距離又は感光体ドラム222の回転時間等の他の指標であっても構わない。
【0068】
この最大充填量データは、トナーカートリッジ200の製造時又は再生時にメモリ210に書込まれ、以降のトナーカートリッジ200の使用中においては変更されないデータである。このため、この最大充填量データは、第2のメモリ230に記憶される書換え頻度の低いデータである。なお、再生時に製造時とは異なる最大充填量データを書込むことにより、製造時と再生時とでトナーカートリッジの仕様を変更することができる。例えば、環境等が異なるためにトナー充填量を変える必要がある場合に、再生時に違う仕向け(国内向け仕様から海外仕様等)に変更することができる。
【0069】
また、再生回数データ(何世代目であるかを示すデータ)は、再生時に利用回数を更新する。この再生回数データは、再生時に書込み、以降のトナーカートリッジ200の使用中においては変更されないデータであるため、第2のメモリ230に記憶される書換え頻度の低いデータである。
【0070】
以下に、より具体的に、メモリ210への書込み回数(更新回数、メモリアクセス回数)が、制限回数(保証回数)を超えないことについて説明する。本実施の形態においては、残量を管理するための最大充填量を6000secとして、トナーカートリッジ200が印刷に利用可能な寿命であると仮定する。この場合、上述したように1sec間隔でメモリ210へ書込むので、トナー補給時間を更新するためにメモリ210にアクセスする回数は6000回となる。このように1世代あたりであっても書込み回数が多いので、第2世代以降においてメモリアクセス保証回数を超えない配慮が必要である。メモリアクセス保証回数を超えてアクセスするとメモリ化け等を引き起こす可能性があるためである。
【0071】
トナーカートリッジ200に装備されたメモリ210のアクセス保証回数が10000回とした場合、第1世代におけるトナーカートリッジ200のメモリ210へのアクセス回数は上記のように6000回である。このため、メモリアクセス保証回数(10000回)>メモリアクセス回数(6000回)であって、メモリアクセス保証回数を超えることによるメモリ化け等の可能性はないといえる。
【0072】
しかし、リサイクル(再生使用)を考えた場合には(この場合におけるリサイクルにおいてはメモリ210はそのまま再使用される)、第2世代におけるトナーカートリッジ200のメモリ210へのアクセス回数も6000回である。このため、第1世代のメモリアクセス回数6000回に第2世代のメモリアクセス回数6000回が加わるので、メモリアクセス保証回数(10000回)<メモリアクセス回数(12000回)となり、メモリアクセス保証回数を超えることによるメモリ化け等の可能性があるといえる。
【0073】
このような第N世代(N=2、3、・・・)におけるメモリアクセス回数がメモリ保証回数を超えないようにするために、メモリ210における第1のメモリ220は複数のメモリ領域に区分され、世代ごとに書込むメモリ領域を異ならせている。
【0074】
図4を参照して、トナーカートリッジ200に装備されるメモリ210のアドレスマップについて説明する。図4に示すように、第1のメモリ220は、メモリアドレスにより5個の領域に区分されている。なお、本実施の形態においては、最大4回リサイクルされるとして、第1のメモリ220を5個の領域に区分しているが、リサイクル回数が4回に限定されることを示すものではない。
【0075】
メモリ210の第1のメモリ220として、00hから始まる4バイト分の領域には再生0回目のトナー補給時間(すなわち第1世代)が記憶され、04hから始まる4バイト分の領域には再生1回目のトナー補給時間(すなわち第2世代)が記憶され、08hから始まる4バイト分の領域には再生2回目のトナー補給時間(すなわち第3世代)が記憶され、0Chから始まる4バイト分の領域には再生3回目のトナー補給時間(すなわち第4世代)が記憶され、10hから始まる4バイト分の領域には再生4回目のトナー補給時間(すなわち第5世代)が記憶される。
【0076】
このように、トナー補給時間等の書換え頻度の高いデータは、第1のメモリ220に配置された複数の領域に、世代ごとに領域を変更して記憶される。この領域は図4に示すメモリマップで記載されており、基本的にはトナー補給時間等の書換え頻度の高いデータは、世代が若いほどメモリアドレスの小さい側に(アドレス値の若い側に)書込まれるとともに、後述する第2のメモリ230よりもメモリアドレスの小さい側に書込まれる。なお、本実施の形態においては、世代が若いほどメモリアドレスの小さい側に配置しているが、本発明がこれに限定されることを示すものではない。
【0077】
さらに、メモリ210の第2のメモリ230として、14hから始まる4バイト分の領域及び18hから始まる1バイト分の領域が確保されている。これらの領域には、最大充填量及び再生回数が記憶される。再生時には、第2のメモリ230に記憶された再生回数データを更新(例えば初期値を0として1ずつカウントアップ)する。この再生回数データを参照することにより、複数個に区分された第1のメモリ220のどのアドレスから読出せばよいのかを管理できる。
【0078】
このようにして、書換え頻度の高いデータは、再生の度に(世代が増える度に)アクセスするエリアが変更されるため、メモリ210のアクセス回数を超えることなく使用することができる。また、アクセスの頻度が高いデータを記憶する第1のメモリ220についてのみ、複数のエリアを備えるようにしているため、メモリ210の容量を最小としつつ、メモリ210へのアクセス回数を保証したリサイクル(再生)されるトナーカートリッジ200を実現することができる。
【0079】
なお、本実施の形態においては、第2のメモリ230は、「再生回数データ」及び「最大充填量データ」を記憶しているが、リサイクル時に市場調査又は解析等に使用したい事象発生時のデータ(例えば、故障情報やトナーエンド時の情報等)を記憶させるようにしても構わない。このようなデータもメモリ210に規定されている保証回数を超えて書込みされることがないため、アクセス頻度の低いデータとして取扱うことができる。これらの情報については、世代が変わっても記憶領域を変更せずに記憶することで、メモリ210を有効に使用することができ、総合的に極力小さい容量のメモリを用いて、再生処理されるユニット(プロセスカートリッジ)の情報を記憶することができ、コスト面でも有利である。
【0080】
このように、メモリ210は1つのメモリチップであって、そのメモリ210の第1のメモリ220を複数の記憶領域に分割して、世代ごとに書込み頻度の高いデータの書換え位置(メモリアドレス)を変更する。なお、メモリ自体が(コストアップにならないのであれば)複数個であっても構わない。さらに、メモリ210からの読出しは、一括して全て読出してRAM308に記憶して必要なデータを取り出しても、先にアドレス18hに再生回数データを読みに行って現在の世代を認識してから特定のアドレスを読みに行ってトナー補給時間を認識しても構わない。
【0081】
また、トナーカートリッジ200の再生時において、前の世代の記憶領域を書込み禁止とする処理を行なうことも好ましい。さらに、設定された再生回数(第1のメモリ220の領域の数により定まる回数)を超えると、再生使用を禁止する処理を行なうことも好ましい。
【0082】
[ソフトウェア構成]
図5は、画像形成装置150のCPU300で実行されるトナー補給処理プログラムの制御構造を示すフローチャートであって、図6は、画像形成装置150で実行されるトナーカートリッジ200のメモリ210への書込み処理プログラムの制御構造を示すフローチャートである。図5に示すトナー補給処理プログラムは、トナー供給モータの駆動時間を、例えば10msecごとにカウントしてRAM308に書込み(例えば図5に示すプログラムのサイクルタイムが10msec又はトナー供給モータの駆動時間カウンタの分解能が10msec)、RAM308はこれをトナー補給時間として管理して、図6に示すメモリ210への書込み処理プログラムは、1secごとにRAM308からトナー補給時間をメモリ210へ書込む。なお、画像形成装置150のCPU300は、このようなプログラムと並行して、コンピュータ又は画像形成装置としての一般的機能を実現するプログラムを実行する。しかし、そのプログラムは、本発明の本質的部分とは直接関係するものではないので、その詳細についてはここでは説明しない。
【0083】
図5を参照して、ステップ(以下、ステップをSと記載する。)1000にて、画像形成装置150のCPU300(以下、単にCPU300と記載する。)は、コピー電源がオンされたか否かを判定する。このとき、CPU300は、オフにされていたコピー電源スイッチがユーザーによりオンにされることによりコピー電源がオンしたと判定する。コピー電源がオンすると(S1000にてYES)、処理はS1010へ移される。もしそうでないと(S1000にてNO)、この処理はS1000へ戻される。
【0084】
S1010にて、CPU300は、トナーカートリッジ200のメモリ210の第2のメモリ230から、データ(再生回数、最大充填量)を読出す。S1020にて、CPU300は、トナーカートリッジ200のメモリ210の第1のメモリ220から、再生回数により決定されるアドレスにしたがって、再生回数に対応するトナー補給時間を読出す。
【0085】
これらのS1010及びS1020における処理は、電源がオンされた後の初期化ルーチンが作動することにより実行される。すなわち、トナーカートリッジ200のメモリ210に記憶されているデータ(第1のメモリ220に記憶されたトナー補給時間(ただし再生回数に対応するアドレスに記憶されたトナー補給時間)、第2のメモリ230に記憶された再生回数データ及び最大充填量データ)をそれぞれ読出して、画像形成装置150のRAM308上に展開する。
【0086】
S1030にて、CPU300は、トナー補給時間が最大充填量よりも小さいか否かを判定する。このとき、CPU300は、トナーカートリッジ200から読出してRAM308に展開されたデータ又は後述するようにトナーが補給されてRAM308に書込まれたトナー補給時間についてのデータを使用して、トナーカートリッジ200の寿命の終端に到達(トナー補給時間が最大充填量に到達)しているか否かを判定する。コピー電源のオン直後は、第2のメモリ230の「再生回数データ」から再生回数を読出して、複数の記憶領域を備える第1のメモリ220から、その再生回数に応じた「トナー補給時間」のデータを読出す。電源オン後に第1のメモリ220から読出された「トナー補給時間」又は電源オン後の画像形成中にトナーが補給されて積算された最新の「トナー補給時間」と、第2のメモリ230から読出した「最大充填量データ」とを比較して、トナー補給時間が寿命の終端に到達しているか否かを判定する。トナー補給時間が最大充填量よりも小さいと判定されると(S1030にてYES)、処理はS1040へ移される。もしそうでないと(S1030にてNO)、処理はS1100へ移される。
【0087】
S1040にて、CPU300は、画像形成処理を実行する。このとき、CPU300は、RAM308上に展開したトナー補給時間がトナーカートリッジ200の寿命終端に到達していないので、画像形成装置150を印刷可能な待機状態に移行させる。待機状態において印刷要求コマンドが発行されると、画像形成装置150が作動して印刷が行なわれる。
【0088】
S1050にて、CPU300は、トナー濃度が低下したか否かを判定する。このとき、CPU300は、図示しないトナー濃度センサ(現像槽内に設置)を使用してトナー濃度を検出して、予め定められたしきい値以下であると、トナー濃度が低下したと判定する。トナー濃度が低下したと判定されると(S1050にてYES)、処理はS1060へ移される。もしそうでないと(S1050にてNO)、この処理はS1090へ移される。
【0089】
S1060にて、CPU300は、トナーを補給する。具体的には、CPU300は、トナー供給モータを回転させてトナーカートリッジ200から現像槽へトナーを補給する。S1070にて、CPU300は、トナー補給時間を積算する。S1080にて、CPU300は、トナー補給時間(積算値)をRAM308に書込む。
【0090】
S1090にて、CPU300は、コピー電源がオフされたか否かを判定する。このとき、CPU300は、オンにされていたコピー電源スイッチがユーザーによりオフにされることによりコピー電源がオフしたと判定する。コピー電源がオフされると(S1090にてYES)、処理はS1100へ移される。もしそうでないと(S1090にてNO)、この処理はS1030へ戻されて、画像形成処理を継続する。
【0091】
S1100にて、CPU300は、画像形成装置150を停止させる処理を実行する。このとき、S1030にてNOと判定された場合には、RAM308上に展開したトナー補給時間に基づいて判定された結果、トナーカートリッジ200が寿命に到達しているという場合であるので、トナーカートリッジ200は使い果されている。このような場合には、停止処理として、その使い切ったトナーカートリッジ200についてのメッセージ(カートリッジ寿命及び交換要求指示)が表示パネル172に表示される。なお、この画像形成装置150の作動は、使い切ったトナーカートリッジ200を交換するまで中断される。
【0092】
図6を参照して、S2000にて、CPU300は、トナー補給中か否かを判定する。このとき、CPU300は、図5のS1060の処理が行なわれているとトナー補給中であると判定する。トナー補給中であると(S2000にてYES)、処理はS2010へ移される。もしそうでないと(S2000にてNO)、この処理はS2000へ戻される。
【0093】
S2010にて、CPU300は、トナー補給中において1secタイマがタイムアップしたか否かを判定する。1secタイマがタイムアップすると(S2010にてYES)、処理はS2020へ移される。もしそうでないと(S2010にてNO)、この処理はS2000へ戻される。
【0094】
S2020にて、CPU300は、RAM308に書込まれているトナー補給時間(積算値)を、トナーカートリッジ200に装備されたメモリ210の第1のメモリ220における、再生回数に対応する領域にトナー補給時間として書込む。すなわち、トナー濃度が薄い状態が検出されてトナー補給が行なわれている場合には、トナー補給時間が1secを経過するごとに、積算されたトナー補給時間がトナーカートリッジ200の第1のメモリ220に書込まれる。
【0095】
S2030にて、CPU300は、1secタイマをリセットする。その後、この処理はS2000へ戻される。
【0096】
[動作]
以上のような構造及びフローチャートに基づく、本実施の形態に係る画像形成装置150の動作について説明する。
【0097】
−印刷中にトナー補給なし−
トナーカートリッジ200が装着された画像形成装置150の電源がオフからオンにされると(S1000にてYES)、トナーカートリッジ200の第2のメモリ230から再生回数(アドレス14h)及び最大充填量(アドレス18h)が読出され(S1010)、さらに、トナーカートリッジ200の第1のメモリ220からその再生回数に対応するトナー補給時間が読出されて(S1020)、それぞれRAM308に展開される。このとき、このトナーカートリッジ200が、第1世代である場合(再生回数が0回目である場合)には第1のメモリ220のアドレス00hから、第2世代である場合(再生回数が1回目である場合)には第1のメモリ220のアドレス04hから、第3世代である場合(再生回数が2回目である場合)には第1のメモリ220のアドレス08hから、第4世代である場合(再生回数が3回目である場合)には第1のメモリ220のアドレス0Chから、第5世代である場合(再生回数が4回目である場合)には第1のメモリ220のアドレス10hから、読出される。なお、第1のメモリ230の全領域を読込んでも構わないのは、上述したとおりである。
【0098】
メモリ210から読出されたトナー補給時間が最大充填量に到達していない場合には(S1030にてYES)、画像形成装置150が印刷可能な待機状態に移行されて、印刷要求コマンドが発行されると、画像形成装置150が作動して印刷が行なわれる(S1040)。このような画像形成中に、トナー濃度センサにより検出されたトナー濃度が低下しないと(S1050にてNO)、電源がオフにされるまで、画像形成処理が継続される。
【0099】
−印刷中にトナー補給ありで最大充填量に到達せず−
メモリ210から読出されたトナー補給時間が最大充填量に到達していない場合には(S1030にてYES)、画像形成装置150が印刷可能な待機状態に移行されて、印刷要求コマンドが発行されると、画像形成装置150が作動して印刷が行なわれる(S1040)。このような画像形成中に、トナー濃度センサにより検出されたトナー濃度が低下すると(S1050にてYES)、トナー供給モータが回転されてトナーカートリッジ200から現像槽へトナーが補給される(S1060)。トナー補給時間が積算されて(S1070)、RAM308に書込まれる(S1080)。
【0100】
このようなトナー補給中には(S2000にてYES)、1secごとに(S2010にてYES)、RAM308に書込まれているトナー補給時間(積算値)がメモリ210の第1のメモリ220における再生回数に対応する領域に書込まれる(S2020)。このときに、このトナーカートリッジ200が第1世代である場合(再生回数が0回目である場合)には第1のメモリ220のアドレス00hに、第2世代である場合(再生回数が1回目である場合)には第1のメモリ220のアドレス04hに、第3世代である場合(再生回数が2回目である場合)には第1のメモリ220のアドレス08hに、第4世代である場合(再生回数が3回目である場合)には第1のメモリ220のアドレス0Chに、第5世代である場合(再生回数が4回目である場合)には第1のメモリ220のアドレス10hに、書込まれる。このように、トナーが補給される場合には、トナー補給時間が積算されて(S1070)、サイクルタイムである10msecごとにRAM308に記憶され(S1080)、1secタイマの設定値である1secごとにメモリ210に記憶される(S2020)。電源がオフにされるまで、このような画像形成処理が継続される。
【0101】
−印刷中にトナー補給ありで最大充填量に到達−
画像形成中に、トナー濃度センサにより検出されたトナー濃度が低下すると(S1050にてYES)、トナー供給モータが回転されてトナーカートリッジ200から現像槽へトナーが補給される(S1060)。トナー補給時間が積算されて(S1070)、10msecごとにRAM308に記憶され(S1080)、1secごとにメモリ210に記憶される(S2020)。
【0102】
さらに画像形成が継続される場合において(S1090にてNO)、RAM308に書込まれたトナー補給時間が最大充填量以上になると(S1030にてNO)、画像形成処理が停止される(S1100)。
【0103】
−電源オン時に最大充填量に到達−
画像形成装置150の電源がオフからオンにされると(S1000にてYES)、トナーカートリッジ200の第2のメモリ230から再生回数及び最大充填量が読出され(S1010)、さらに、トナーカートリッジ200の第1のメモリ220からトナー補給時間が読出されて(S1020)、それぞれRAM308に展開される。
【0104】
メモリ210から読出されたトナー補給時間が最大充填量に到達しているので(S1030にてNO)、画像形成装置150が印刷可能な待機状態に移行されないで、画像形成処理が停止される(S1100)。
【0105】
以上のようにして、本実施の形態に係る画像形成装置によると、交換可能かつリサイクル使用可能なトナーカートリッジを使用する画像形成装置において、トナーカートリッジに使用状況に関するデータを記憶するメモリを備え、そのメモリに書換え頻度の高いデータを書込む第1のメモリと、書込み頻度の低いデータを書込む第2のメモリとを備え、第1のメモリ領域には再生回数に応じた複数の領域を備えるようにした。このため、再生回数が増えた場合には、書換え頻度の高いデータについてのメモリの書込みアドレスが変更され、書換え頻度の低いデータについてのメモリの書込みアドレスが変更しないで同じアドレスに書込む。このため、メモリの記憶容量をできるだけ増加させることなく、メモリへの書換え回数を保証しながら、トナーカートリッジのリサイクルが可能になる。
【0106】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0107】
150 画像形成装置
166 操作装置
170 操作パネル
172 表示パネル
200 トナーカートリッジ
210 不揮発性メモリ(メモリ)
220 第1のメモリ
230 第2のメモリ
300 CPU
302 HDD
306 ROM
308 RAM
310 バス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に着脱自在に設けられるプロセスカートリッジであって、
前記画像形成装置との間で通信されるデータを記憶する不揮発性メモリを備え、
前記プロセスカートリッジが再生されて繰返し使用されることに対応して、前記不揮発性メモリは繰返し使用され、
前記不揮発性メモリは、再生回数に対応させて区分された複数の領域を有し、
前記複数の領域に書込み頻度の高いデータが記憶される、プロセスカートリッジ。
【請求項2】
前回使用時において書込み頻度の高いデータが記憶された領域とは異なる領域であって、書込み履歴がない領域に、再生使用時において書込み頻度の高いデータが記憶される、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記不揮発性メモリは、前記複数の領域に加えて、区分されない一の領域を有し、
前記一の領域に書込み頻度の低いデータが記憶される、請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前回使用時において書込み頻度の低いデータが記憶された領域に、再生使用時において書込み頻度の低いデータが記憶される、請求項3に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記書込み頻度の高いデータは、前記画像形成装置が画像を形成することにより消耗するメンテナンス対象物の状態を示す情報である、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記書込み頻度の低いデータは、前記再生時に書込まれる情報である、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
再生回数が予め定められた回数に到達すると、前記プロセスカートリッジの再生使用が禁止される、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前回使用時において書込み頻度の高いデータが記憶された領域を、再生時に書込み禁止にされる、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記プロセスカートリッジはトナーカートリッジであって、
前記書込み頻度の高いデータは、トナーの使用状態を示すデータであって、
前記書込み頻度の低いデータは、前記トナーカートリッジに収納されたトナーの充填量に関する情報及び再生回数に関する情報である、請求項1〜請求項8のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載のプロセスカートリッジを備える画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−204446(P2010−204446A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50652(P2009−50652)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】