説明

プロセスユニット及び画像形成装置

【課題】潤滑剤と廃トナー収容部の交換作業を効率良く行うことができると共に、像担持体等を寿命まで有効に使用することが可能なプロセスユニットを提供する。
【解決手段】表面に画像を担持する像担持体2と、それに加えて、像担持体2の表面に画像を形成する現像手段4、像担持体2の表面を帯電させる帯電手段3、像担持体2の表面上のトナーを除去するクリーニング手段5のうちの少なくとも1つを、画像形成装置本体に対して着脱可能なユニット筐体10に設けたプロセスユニットにおいて、像担持体2の表面に供給される潤滑剤60と、像担持体2上から除去されたトナーを収容する廃トナー収容部51を、ユニット筐体10に対して一体的に着脱可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられるプロセスユニット、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、像担持体に加えて、現像手段、帯電手段、クリーニング手段等の少なくとも1つを一体に備え、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスユニットが知られている。このようなプロセスユニットを用いることによって、各プロセス手段の修理が必要になったときや、寿命を迎えたときに、プロセスユニットそのものを交換することで、画像形成装置を継続使用することが可能となる。また、プロセスユニットの交換作業のみで現状復帰できるので、サービスマンがユーザのもとで必要とする作業時間が短縮し、場合によってはサービスマンが出向かなくてもユーザが自ら交換することもできるようになる。
【0003】
上記プロセスユニットを採用している画像形成装置においては、通常、像担持体からクリーニング手段によって除去したトナーを収容する廃トナー収容部が設けられている。一般に、廃トナー収容部が満杯となって交換が必要となる交換周期は、像担持体や現像手段などのプロセス手段の寿命(交換周期)に比べて短いため、消耗品である廃トナー収容部のみを交換することで、プロセスユニットを交換せずに寿命まで使用できるようにしている(特許文献1参照)。
【0004】
また、像担持体のクリーニング性の向上のためや、画像転写時に画像の一部が抜けるいわゆる虫食い画像の発生を防止するために、プロセスユニットに潤滑剤供給手段を設け、像担持体の表面に潤滑剤を供給することが行われている。しかし、これに用いられる潤滑剤がプロセスユニットと一体となっていると、潤滑剤の残量が終期に近づいた場合、像担持体や現像手段、帯電手段など潤滑剤以外の部品がまだ使用できる場合でも、プロセスユニットごと交換しなければならないため、コスト高・資源の無駄となる問題がある。そこで、従来、プロセスユニット本体の長寿命化のために、潤滑剤を単独で交換可能としたプロセスユニットも考案されている(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、小型化された画像形成装置においては、省スペース化・部品数少による低コスト化のため、プロセスユニットから廃トナー収容部にトナーを直接排出する構成が用いられることが多い。このような構成の場合、プロセスユニットと廃トナー収容部は近接して配設されるため、設置できる廃トナー収容部の大きさが限られ、廃トナー収容部の交換頻度は多くなる。その結果、廃トナー収容部の交換時期が潤滑剤の終期と近くなることが考えられる。しかし、廃トナー収容部と潤滑剤の交換を別々に行う構成では、これらの交換作業が相次いだ場合に作業効率が悪いといった問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑み、潤滑剤と廃トナー収容部の交換作業を効率良く行うことができると共に、像担持体等を寿命まで有効に使用することが可能なプロセスユニット、及び画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、表面に画像を担持する像担持体と、それに加えて、前記像担持体の表面に画像を形成する現像手段、前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段、前記像担持体の表面上のトナーを除去するクリーニング手段のうちの少なくとも1つを、画像形成装置本体に対して着脱可能なユニット筐体に設けたプロセスユニットにおいて、前記像担持体の表面に供給される潤滑剤と、前記像担持体上から除去されたトナーを収容する廃トナー収容部を、前記ユニット筐体に対して一体的に着脱可能に構成したものである。
【0008】
これにより、潤滑剤と廃トナー収容部を同時に交換することができるようになる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のプロセスユニットにおいて、前記ユニット筐体を前記画像形成装置本体に装着した状態で、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を前記ユニット筐体に対して一体的に着脱可能に構成したものである。
【0010】
これにより、ユニット筐体を画像形成装置本体に装着したままで、潤滑剤と廃トナー収容部の交換を行うことができるので、交換作業のさらなる効率化を図れる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載のプロセスユニットにおいて、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を前記ユニット筐体に対して着脱する方向を、前記ユニット筐体を前記画像形成装置本体に対して着脱する方向と同方向となるように構成したものである。
【0012】
これにより、ユニット筐体を画像形成装置本体に装着したままで、潤滑剤と廃トナー収容部をユニット筐体に対して容易に着脱可能に構成できるようになる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のプロセスユニットにおいて、前記像担持体に前記潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を前記ユニット筐体に設け、当該潤滑剤供給手段を前記ユニット筐体に残したまま、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を前記ユニット筐体に対して一体的に着脱可能に構成したものである。
【0014】
潤滑剤供給手段をユニット筐体に残したまま、潤滑剤と廃トナー収容部をユニット筐体に対して一体的に着脱可能に構成することにより、潤滑剤供給手段をその寿命まで有効に使用することができるようになる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のプロセスユニットにおいて、前記廃トナー収容部に設けられたトナー導入口を閉塞するための蓋部材を、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を一体的に有する筐体に取付可能に構成したものである。
【0016】
この場合、潤滑剤と廃トナー収容部とをユニット筐体に対して一体的に取り外した際、蓋部材によって廃トナー収容部のトナー導入口を閉塞することができるので、トナー導入口からトナーがこぼれ落ちたり、飛散したりするのを防止できる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のプロセスユニットにおいて、前記廃トナー収容部に設けられたトナー導入口を開閉するシャッタ部材を、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を一体的に有する筐体に設けたものである。
【0018】
この場合も、潤滑剤と廃トナー収容部とをユニット筐体に対して一体的に取り外した際、シャッタ部材によって廃トナー収容部のトナー導入口を閉じることができるので、トナー導入口からトナーがこぼれ落ちたり、飛散したりするのを防止できる。しかも、この場合、上記請求項5に記載の構成とは異なり、蓋部材を取り付ける作業を行わなくてもよいので、作業性が向上する。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6に記載のプロセスユニットにおいて、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部との前記ユニット筐体に対する着脱動作に連動させて、前記シャッタ部材を開閉可能に構成したものである。
【0020】
潤滑剤と廃トナー収容部とのユニット筐体に対する着脱動作に連動させて、シャッタ部材を開閉可能に構成することにより、シャッタ部材の開閉作業を別途行う必要がないので作業性をより向上させることが可能となる。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載のプロセスユニットにおいて、前記潤滑剤の残量が終期に近づいたことを判断可能な潤滑剤量判断手段を備えるものである。
【0022】
これにより、潤滑剤が無くなる前に新しい潤滑剤に交換することができるので、クリーニング不良や転写不良、像担持体等へのダメージなどの不具合の発生を未然に防ぐことができる。
【0023】
請求項9の発明は、請求項8に記載のプロセスユニットにおいて、前記潤滑剤の残量が終期に近づいたか否かを、潤滑剤使用量に基づく予測によって判断するようにしたものである。
【0024】
この場合、潤滑剤の残量が終期に近づいたか否かを判断するために機械的な検知手段は必要ないので、簡易に判断することができると共に、部品点数が少なくなり、低コスト化及び小型化を図れる。
【0025】
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載のプロセスユニットにおいて、前記廃トナー収容部が満杯状態に近づいたことを判断可能なトナー収容量判断手段を備えるものである。
【0026】
これにより、廃トナー収容部が満杯状態になる前に新しい廃トナー収容部に交換することができるので、廃トナーの停滞や廃トナーロック(ブロッキング)状態などの不具合の発生を未然に防ぐことができる。
【0027】
請求項11の発明は、請求項10に記載のプロセスユニットにおいて、前記廃トナー収容部が満杯状態に近づいたか否かを、廃トナー収容部へのトナーの収容量に基づいて予測して判断するようにしたものである。
【0028】
この場合、廃トナー収容部が満杯状態に近づいたか否かを判断するために機械的な検知手段は必要ないので、簡易に判断することができると共に、部品点数が少なくなり、低コスト化及び小型化を図れる。
【0029】
請求項12の発明は、請求項10に記載のプロセスユニットにおいて、前記廃トナー収容部が満杯状態に近づいたか否かを、廃トナー収容部のトナー収容量を直接検知することにより判断するようにしたものである。
【0030】
トナー収容量を直接検知して判断することにより、満杯状態に近づいたか否かの判断をより正確に行うことが可能となる。
【0031】
請求項13の発明は、請求項12に記載のプロセスユニットにおいて、光を照射する投光部と、当該投光部から照射された光を受光する受光部を備えると共に、光を透過させる光透過部材を前記投光部と前記受光部との間に介在するように前記廃トナー収容部に設け、前記廃トナー収容部に収容されたトナーによって前記光透過部材における光路が遮断されることにより前記満杯状態に近づいたことを検知するように構成したものである。
【0032】
これにより、廃トナー収容部のトナー収容量を直接検知して、廃トナー収容部が満杯状態に近づいたか否かを判断することができる。
【0033】
請求項14の発明は、請求項12に記載のプロセスユニットにおいて、前記廃トナー収容部に可撓性の膜部材を設けると共に、当該膜部材に接触又は近接して設けられた可動被検知部材と、当該可動被検知部材の可動を検知する検知手段とを備え、前記廃トナー収容部に収容されたトナーによって前記膜部材が前記可動被検知部材側へ押されるのに伴い可動被検知部材が可動するのを前記検知手段が検知することにより前記満杯状態に近づいたことを検知するように構成したものである。
【0034】
これにより、廃トナー収容部のトナー収容量を直接検知して、廃トナー収容部が満杯状態に近づいたか否かを判断することができる。
【0035】
請求項15の発明は、請求項1から14のいずれか1項に記載のプロセスユニットにおいて、前記廃トナー収容部内のトナーを均す均し部材を設けたものである。
【0036】
これにより、廃トナー収容部内のトナーを一様に均すことができ、満杯状態となっているか否かを正確に判断できるようになる。また、廃トナー収容部の収容空間を有効活用することができ、廃トナー収容部内にトナーを効率よく収容できるようになる。
【0037】
請求項16の発明は、請求項15に記載のプロセスユニットにおいて、前記均し部材を、回転軸と当該回転軸上にその軸方向に沿って配設された羽根部によって構成したものである。
【0038】
この場合、均し部材は羽根部を有しているので、移動させることができるトナーの量が多くなる。このため、トナーを廃トナー収容部内により効率よく収容することが可能となる。また、これにより、満杯状態の検知精度の向上も図れる。
【0039】
請求項17の発明は、請求項1から16のいずれか1項に記載のプロセスユニットにおいて、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を前記ユニット筐体に対して一体的に取り外した際に、前記潤滑剤を収容する潤滑剤収容部から前記潤滑剤が抜け出るのを防止するストッパを設けたものである。
【0040】
これにより、潤滑剤と廃トナー収容部とをユニット筐体に対して一体的に取り外した際、ストッパによって潤滑剤を潤滑剤収容部から抜け出ないようにすることが可能となる。
【0041】
請求項18の発明は、請求項1から17のいずれか1項に記載のプロセスユニットにおいて、前記潤滑剤をステアリン酸亜鉛で形成したものである。
【0042】
潤滑剤をステアリン酸亜鉛で形成することにより、潤滑剤による像担持体の摩擦低減効果が大きくなる。
【0043】
請求項19の発明は、請求項1から18のいずれか1項に記載のプロセスユニットを備えた画像形成装置である。
【0044】
画像形成装置が、請求項1から18のいずれか1項に記載のプロセスユニットを備えているので、これらのプロセスユニットによる上記効果が得られる。
【0045】
請求項20の発明は、請求項19に記載の画像形成装置において、前記プロセスユニットを複数備え、各プロセスユニットの使用頻度に応じて、前記潤滑剤の量と前記廃トナー収容部の収容量を異ならせたものである。
【0046】
これにより、各プロセスユニットにおける潤滑剤及び廃トナー収容部の交換周期を揃えることができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、潤滑剤と廃トナー収容部とを同時に交換することができるので、交換回数が少なくなり交換作業の効率化が図れる。また、交換周期の短い潤滑剤と廃トナー収容部をユニット筐体に対して着脱可能とすることにより、像担持体などは寿命まで有効に使用することが可能である。これにより、プロセスユニットの長寿命化が図られ、無駄な廃棄物をなくすことができるので、省資源化及び低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプロセスユニットを着脱する様子を示す斜視図である。
【図3】前記プロセスユニットの概略断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る潤滑剤・廃トナーユニットを着脱する様子を示す斜視図である。
【図5】前記潤滑剤・廃トナーユニットを交換する様子を示す概略断面図である。
【図6】前記プロセスユニットの他の実施形態の構成を示す斜視図である。
【図7】潤滑剤・廃トナーユニットにシャッタ部材を設けた構成を示す概略断面図である。
【図8】図7に示すシャッタ部材の斜視図である。
【図9】図7に示す構成とは着脱方向が異なる潤滑剤・廃トナーユニットにシャッタ部材を設けた構成を示す概略断面図である。
【図10】シャッタ部材のさらに別の構成を示す概略断面図である。
【図11】図10に示すシャッタ部材の斜視図である。
【図12】図10に示す構成とは着脱方向が異なる潤滑剤・廃トナーユニットにシャッタ部材を設けた構成を示す概略断面図である。
【図13】潤滑剤の脱落を防止するストッパを設けた構成を示す概略断面図である。
【図14】トナー収容量を検知する検知機構の構成を示す概略断面図である。
【図15】前記検知機構の他の構成を示す概略断面図である。
【図16】廃トナー収容部に均し部材を設けた構成を示す概略断面図である。
【図17】均し部材の作用を説明するための図である。
【図18】均し部材の他の実施形態を示す概略構成図である。
【図19】図18に示す構成の概略断面図である。
【図20】各プロセスユニットの使用頻度に応じて、潤滑剤量及び廃トナー収容量を異ならせた実施形態の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0050】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、画像形成装置本体100に着脱可能に構成された画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを備えている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。具体的には、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電する帯電手段としての帯電装置3と、感光体2上にトナー画像を形成する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面上のトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置5と、感光体2の表面に潤滑剤を供給(塗布)する潤滑剤塗布装置6を備えている。また、本実施形態では、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを長手方向に抜き差しすることにより画像形成装置本体100に対して着脱可能に構成している(図2参照)。
【0051】
画像形成装置本体100の上部には、各色のトナーを充填したトナーボトル7が設けてある。トナーボトル7内の各色トナーは、図示しないトナー移送管を介して対応する現像装置4へ移送されるようになっている。また、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、各感光体2の表面を露光する露光装置8が配設されている。露光装置8からは、各感光体2へレーザ光が照射されるようになっている。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkと各トナーボトル7との間には、転写装置9が配設されている。転写装置9は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト11を有する。中間転写ベルト11は、複数の支持ローラ12,13,14,15によって張架されている。複数の支持ローラ12,13,14,15のうちの1つが駆動ローラとなっており、その駆動ローラが回転することにより、中間転写ベルト11は図の矢印に示す方向に走行するようになっている。
【0052】
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ16が配設されている。各一次転写ローラ16と各感光体2とによって中間転写ベルト11を挟み込んだ箇所には、一次転写ニップが形成されている。また、中間転写ベルト11の図の右側の外周面に、二次転写手段としての二次転写ローラ17が当接している。この二次転写ローラ17とこれに対向する支持ローラ12とによって中間転写ベルト11を挟み込んだ箇所には、二次転写ニップが形成されている。また、中間転写ベルト11の図の左端の外周面には、中間転写ベルト11の表面を清掃するベルトクリーニング装置18が配設されている。
【0053】
画像形成装置本体100の下部には、記録媒体としての記録用紙Pを収容した給紙トレイ19や、給紙トレイ19から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ20等が設けてある。また、画像形成装置本体100内には、給紙トレイ19から上方へ記録用紙Pを案内するための搬送経路Rが形成されている。この搬送経路Rにおいて、給紙ローラ20を配設した位置から二次転写ローラ17を配設した位置に至る途中には、記録用紙Pの搬送タイミングを計るための一対のレジストローラ21が配設されている。また、二次転写ローラ17の配設位置の上方には、記録用紙P上の画像を定着させるための定着装置22を配設している。さらに、定着装置22の上方には、画像形成装置本体100の上面を凹ませて形成したストック部23に記録用紙Pを排出するための一対の排紙ローラ24が配設されている。
【0054】
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図示しない駆動装置によって図の時計回りに回転駆動され、各感光体2の表面が帯電装置3によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体2の表面には、露光装置8からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視画像化)される。
【0055】
中間転写ベルト11を張架する駆動ローラが回転駆動することにより、中間転写ベルト11が図の矢印で示す方向に走行する。また、各一次転写ローラ16に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ16と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト11上に順次重ね合わせて転写される。かくして中間転写ベルト11はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、トナー画像の転写を終えた各感光体2の表面に、潤滑剤塗布装置6によって潤滑剤が塗布され、次いで、クリーニング装置5によって各感光体2の表面に残留するトナーが除去される。
【0056】
また、作像動作が開始されると、給紙ローラ20の回転を開始し、給紙トレイ19に収容された記録用紙Pが搬送経路Rに送り出される。搬送経路Rに送り出された記録用紙Pは、レジストローラ21によって一旦停止される。その後、レジストローラ21の駆動を再開し、記録用紙Pを、上記中間転写ベルト11上のトナー画像とタイミングを合わせて、二次転写ローラ17と中間転写ベルト11との間の二次転写ニップに送る。このとき二次転写ローラ17には、中間転写ベルト11上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、記録用紙Pと中間転写ベルト11上のトナー画像とが二次転写ニップに到達した際、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト11上のトナー画像が記録用紙P上に一括して転写される。また、転写後の中間転写ベルト11上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置18によって除去される。トナー画像が転写された記録用紙Pは定着手段22へと搬送され、そこでトナー画像が記録用紙Pに定着される。その後、記録用紙Pは排紙ローラ24によってストック部23へと排出される。
【0057】
以上の説明は、記録用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0058】
図3は、上記プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの概略構成図である。以下、図3に基づいて、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkに設けられた各種装置の構成について説明する。
図3に示すように、帯電装置3は、感光体2に対向して配設された帯電部材としての帯電ローラ30と、帯電ローラ30が感光体2と対向する面と反対側の面に当接するように配置された帯電クリーニングローラ31とによって構成されている。
【0059】
現像装置4は、現像剤を収容する現像剤収容部40と、感光体2に対向して配置された現像ローラ41と、その現像ローラ41上の現像剤量を規制する現像ブレード42と、現像剤収容部40内の現像剤を現像ローラ41に搬送する搬送スクリュー43とを有している。本実施形態では、現像剤としてトナーとキャリアを有する二成分系現像剤を用いている。
【0060】
クリーニング装置5は、感光体2上の残留トナーを除去するクリーニングブレード50と、感光体2上から除去されたトナーを収容する廃トナー収容部51とを有する。クリーニングブレード50の先端は、所定の加圧力で感光体2の表面に当接している。
【0061】
潤滑剤塗布装置6は、固形状の潤滑剤60と、潤滑剤供給手段としての潤滑剤塗布ローラ61と、潤滑剤60を保持する潤滑剤保持部材62と、潤滑剤60を潤滑剤塗布ローラ61に接触させるように付勢する加圧部材としての加圧スプリング63とを有している。潤滑剤塗布ローラ61は、感光体2の表面に接触しており、感光体2の回転方向に対してトレーリング方向(順方向)に回転するようになっている。潤滑剤塗布ローラ61としては、ブラシローラやスポンジローラ等が好ましい。本実施形態では、潤滑剤60を潤滑剤塗布ローラ60に接触させるために加圧スプリング63を用いているが、潤滑剤60に錘を設け、その錘に作用する重力によって潤滑剤60を潤滑剤塗布ローラ61に接触させるようにしてもよい。あるいは、潤滑剤60をその自重によって潤滑剤塗布ローラ61に接触させるように構成することも可能である。また、潤滑剤60は潤滑剤保持部材62に対して両面粘着テープや接着剤等によって固定されている。
【0062】
潤滑剤60は、脂肪酸金属塩、フッ素系樹脂等から成るものが使用できるが、感光体2の摩擦を低減する効果の大きい点で、特に脂肪酸金属塩が好ましい。脂肪酸金属塩としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、スタエリン酸、アレイン酸等の直鎖状炭化水素の脂肪酸金属塩が挙げられ、金属としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム、チラン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉄などが好ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0063】
次に、図3を参照して、上記プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの動作について説明する。
作像動作が開始されると、感光体2は図3の時計回りに回転駆動され、このとき帯電電圧を印加された帯電ローラ30によって感光体2が所定の極性に帯電される。また、帯電ローラ30は、帯電クリーニングローラ31によって清掃される。その後、上記露光装置からの露光によって形成された感光体2上の静電潜像が現像ローラ41との対向位置に移動し、そこで現像ローラ41から静電潜像にトナーが供給される。詳しくは、図3の反時計回り回転する現像ローラ41に担持された現像剤が、現像ブレード42によって所定の厚さに規制された後、現像ローラ41と感光体2との間の現像領域に運ばれて、ここで現像剤中のトナーが感光体2上の静電潜像に静電的に移行して、当該静電潜像がトナー画像として可視像化される。そして、感光体2上のトナー画像は、感光体2の上部位置に移動し、ここで図示しない上記中間転写ベルトに転写される。
【0064】
上記トナー画像が転写された後、図3の反時計回りに回転する潤滑剤塗布ローラ61によって、感光体2の表面に潤滑剤が塗布される。その後、感光体2の表面に残留するトナーがクリーニングブレード50によって除去され、除去された残留トナーTは、廃トナー収容部51内に収容される。
【0065】
以下、本発明の特徴部分について説明する。
図3に示すように、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、それぞれ、ユニット筐体10を備えている。このユニット筐体10は、画像形成装置本体100に対して着脱可能に構成されている。また、ユニット筐体10には、感光体2や帯電装置3及び現像装置4等が一体的に設けられている。ただし、潤滑剤60や廃トナー収容部51等はユニット筐体10に設けられていない。詳しくは、潤滑剤60、潤滑剤保持部材62、加圧スプリング63、及び廃トナー収容部51は、ユニット筐体10とは別体で構成された別筐体70に設けられている。なお、本実施形態では、潤滑剤塗布装置6の構成部材のうち、潤滑剤塗布ローラ61は、ユニット筐体10側に設けてある。
【0066】
図4に示すように、上記潤滑剤60や廃トナー収容51等を設けた別筐体70は、ユニット筐体10に対して着脱可能に構成されている。すなわち、潤滑剤60、潤滑剤保持部材62、加圧スプリング63、及び廃トナー収容部51は、ユニット筐体10に対して一体的に着脱可能な1つのサブユニット(以下、「潤滑剤・廃トナーユニット」と言う)として構成されている。
【0067】
上記のように、本発明では、潤滑剤60と廃トナー収容部51等を着脱可能な潤滑剤・廃トナーユニットとして構成しているので、図5(a)に示すように、潤滑剤60が消費されて無くなり、廃トナー収容部51が廃トナーTで満杯となった場合は、ユニット筐体10から当該潤滑剤・廃トナーユニットAを取り外し(図5(b)参照)、新しい潤滑剤・廃トナーユニットAを装着することにより(図5(c)参照)、潤滑剤60と廃トナー収容部51とを同時に交換することができる。
【0068】
上記本発明の実施形態では、潤滑剤・廃トナーユニットAのユニット筐体10に対する着脱方向が、プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの画像形成装置本体100に対する着脱方向(図2で示す矢印の方向)と異なっている(直交している)ため、潤滑剤・廃トナーユニットAの交換作業を行うには、一旦、プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを画像形成装置本体100に対して取り外した状態にする必要がある。
【0069】
これに対し、図6に示す実施形態のように、潤滑剤・廃トナーユニットAのユニット筐体10に対する着脱方向を、プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの画像形成装置本体100に対する着脱方向と同方向となるように構成した場合は、プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを画像形成装置本体100に対して装着したままで、潤滑剤・廃トナーユニットAの着脱を容易に行うことができるようになる。これにより、潤滑剤・廃トナーユニットAの交換作業のさらなる効率化を図れる。
【0070】
図7は、潤滑剤・廃トナーユニットにシャッタ部材を設けた構成を示す図である。また、図8に、そのシャッタ部材の斜視図を示す。
図8に示すように、シャッタ部材55は、シャッタ部56と、シャッタ部56を保持するシャッタ保持部材57と、シャッタ保持部材57を支持する一対の回動アーム58とを有する。具体的には、シャッタ部56は、長方形のシート状の部材などで構成される。そして、このシャッタ部56の長手方向に伸びる端縁を、棒状のシャッタ保持部材57に取り付けている。また、シャッタ保持部材57の両端部には、一対の回動アーム58の一端部が取り付けられている。各回動アーム58の他端部には、回動支点部58aが設けてあり、回動アーム58は、この回動支点部58aを中心に潤滑剤・廃トナーユニットAの筐体70に対して回動可能に取り付けられている(図7参照)。図7の(a)(b)に示すように、シャッタ部材55が回動すると、シャッタ部56によって廃トナー収容部51のトナー導入口51aが開閉される。
【0071】
シャッタ部材55は、回動支点部58aに設けられている付勢部材としてのスプリング59(図8参照)によって閉じるように付勢されている。また、一対の回動アーム58の一方には、回動支点部58aを設けた端部から延伸した操作部58bが設けられている。潤滑剤・廃トナーユニットAをユニット筐体に装着する際、この操作部58bにプロセスユニット側の図示しない当接部が当接することで、操作部58bを上記スプリング59の付勢力に抗して図7(b)に示すように押し下げてシャッタ部材55を開状態にすることができる。
【0072】
なお、ここでは、潤滑剤・廃トナーユニットAは、その長手方向に沿って(図7の紙面に直交する方向に)着脱するように構成されており、操作部58bを押し下げる上記当接部は、潤滑剤・廃トナーユニットAの装着方向に沿って下方へ傾斜するガイドレール等により構成されている。
【0073】
一方、潤滑剤・廃トナーユニットAをユニット筐体から取り外した場合は、上記当接部による操作部58bの押し下げ作用が無くなるので、図7(a)に示すようにシャッタ部材55は閉じられた状態となる。
【0074】
図9は、図7に示す構成とは着脱方向が異なる潤滑剤・廃トナーユニットにシャッタ部材を設けた構成を示す概略断面図である。
この場合、潤滑剤・廃トナーユニットAは、その長手方向の直交する方向(図9の紙面の横方向)に着脱するように構成されている。本構成におけるシャッタ部材55は、基本的に上記構成と同様に構成されているが、開動作するための上記操作部58bを有していない。ここでは、回動アーム58を湾曲させて形成し、潤滑剤・廃トナーユニットAをユニット筐体に装着する際、プロセスユニット側の図示しない当接部が回動アーム58に当接することで、シャッタ部材55を開状態にする。それ以外は、上記構成と同様に構成されている。
【0075】
また、図10と図11に、シャッタ部材のさらに別の構成を示す。
図11に示すように、この構成では上記構成と異なり、シャッタ部材55のシャッタ部56が可撓性の膜材で構成されている。また、図10に示すように、潤滑剤・廃トナーユニットAの筐体70には、シャッタ部56を収容可能なシャッタ収容部69が設けられている。また、シャッタ部56の先端部には、その先端部がシャッタ収容部69内から抜け出ないようにするためのストッパ部材54が設けられている。詳しくは、シャッタ収容部69の幅が開口部で狭くなっており、ストッパ部材54は、シャッタ収容部69内では移動できるが開口部からは抜け出ないようになっている。それ以外の構成は、図8に示す上記構成と同様である。
【0076】
この場合、図10(a)に示すように、潤滑剤・廃トナーユニットAがプロセスユニットから取り外された状態では、スプリング59(図11参照)の付勢力によりシャッタ部材55が持ち上げられて、トナー導入口51aと潤滑剤収容部64の両方が閉じられた状態となる。一方、潤滑剤・廃トナーユニットAを装着する際、潤滑剤・廃トナーユニットAをその長手方向(図10の紙面に直交する方向)に移動させると、回動アーム58に設けてある操作部58bにプロセスユニット側の図示しない当接部が当接して、図10(b)に示すように操作部58bを押し上げる。これにより、シャッタ部材55が下げられて、トナー導入口51aと潤滑剤収容部64とが開放された状態となる。
【0077】
また、同様に、図10、図11に示す構成を、長手方向と直交する方向に着脱する潤滑剤・廃トナーユニットAにも適用可能である。その構成を図12に示す。
図12に示す構成では、回動アーム58に設けてある操作部58bがL字形に形成されている以外は、図10及び図11に示す構成と同様である。この場合、潤滑剤・廃トナーユニットAを装着する際に、潤滑剤・廃トナーユニットAをその長手方向と直交する方向(図12の紙面の横方向)に移動させると、操作部58bにプロセスユニット側の図示しない当接部が当接することにより、図12(b)に示すように操作部58bが図の反時計回りに回動する。これにより、シャッタ部材55が下げられて、トナー導入口51aと潤滑剤収容部64とが開放された状態となる。
【0078】
以上のように、シャッタ部材55を設けている構成では、シャッタ部材55によって廃トナー収容部51のトナー導入口51aを閉塞することができるので、潤滑剤・廃トナーユニットAを取り外した際に、廃トナー収容部51内に収容されている廃トナーがトナー導入口51aからこぼれ落ちたり、飛散したりするのを防止することができる。また、図示省略するが、トナー導入口51aを閉塞するための蓋部材を、潤滑剤・廃トナーユニットAの筐体70に取付可能に構成することによっても、トナー導入口51aからの廃トナーの飛散等を防止することが可能である。ただし、その場合は、蓋部材を取り付ける作業が必要となるので、それよりも開閉可能なシャッタ部材55を設ける場合の方が作業性が向上する。さらに、上記構成のように、潤滑剤・廃トナーユニットAの着脱動作に連動させてシャッタ部材55を開閉可能に構成することにより、シャッタ部材55の開閉作業を別途行う必要がないので作業性をより向上させることが可能である。
【0079】
図13は、潤滑剤の脱落を防止するストッパを設けた構成を示す概略断面図である。
図13に示すように、この構成では、潤滑剤60を収容する潤滑剤収容部64の開口部側に、爪状に形成されたストッパ65を設けている。これにより、潤滑剤・廃トナーユニットAをプロセスユニットのユニット筐体10に対して取り外した際、潤滑剤60が加圧スプリング63によって潤滑剤収容部64の開口部側へ押されても、ストッパ65によって潤滑剤60を潤滑剤収容部64から抜け出ないようにすることが可能となる。また、図13に示す構成では、ストッパ65が潤滑剤塗布ローラ61に接触するように配設されているため、ストッパ65は潤滑剤塗布ローラ61に付着した廃トナーを除去するフリッカー部材としても機能するようになっている。
【0080】
ところで、潤滑剤60が無くなった状態で画像形成を行うと、感光体へ潤滑剤が供給されなくなるため、クリーニング不良や転写不良が生じたり、感光体やクリーニングブレードにダメージが及んだりする虞がある。また、廃トナー収容部51が満杯状態で画像形成を行うと、感光体から除去された廃トナーが搬送経路内で停滞し、停滞した廃トナーが固化した時、廃トナーロック(ブロッキング)状態を引き起こす虞がある。従って、上記不具合の発生を未然に防ぐには、潤滑剤60が無くなる前、あるいは廃トナー収容部51が満杯状態となる前に、潤滑剤・廃トナーユニットAを交換する必要がある。そのため、潤滑剤60の残量が終期に近づいたことを判断可能な潤滑剤量判断手段や、廃トナー収容部51が満杯状態に近づいたことを判断可能なトナー収容量判断手段を設け、これらの判断手段の判断に基づき交換指示を出すように構成することが望ましい。
【0081】
上記潤滑剤60の残量の終期を判断する方法としては、潤滑剤60の使用量に基づいて予測する方法などがある。具体的には、潤滑剤60の使用量は、累積印刷枚数に基づいて算出することができるので、印刷枚数をカウントすることにより、潤滑剤60の残量が終期に近づいたか否かを判断できる。
【0082】
また、上記廃トナー収容部51の満杯状態を判断する方法としては、廃トナー収容部51へのトナーの収容量に基づいて予測する方法と、廃トナー収容部51のトナー収容量を直接検知して判断する方法などがある。前者の方法の場合、画像の累積印字画素数に基づいてトナー収容量を算出することにより、満杯状態に近づいたか否かを判断することが可能である。一方、後者の方法は、例えば図14や図15に示す検知機構を用いることによって実現可能である。
【0083】
図14に示す検知機構は、光を照射する投光部71aとその照射された光を受光する受光部71bとを有する透過型の光学センサ71を備えている。また、廃トナー収容部51を構成する筐体70に貫通孔70aが形成されており、貫通孔70aには光を通過させる透明部材から成る光透過部材72が挿嵌されている。光透過部材72は、筐体70の外側に突出して光学センサ71の投光部71aと受光部71bとの間に介在している。
【0084】
図14(a)に示すように、廃トナー収容部51が満杯状態となっていない場合は、投光部71aから照射された光が光透過部材72を通過し、受光部71bに受光されている。その後、図14(b)に示すように、廃トナー収容部51に廃トナーTが収容され満杯状態に近づくと、光透過部材72内に廃トナーTが収容されることにより、光透過部材72における光路が遮断される。このように、図14に示す実施形態では、廃トナーTによる光路の遮断を光学センサ71が検知することにより、廃トナー収容部51が満杯状態に近づいたことを判断できるようになっている。
【0085】
また、図15に示す検知機構は、廃トナー収容部51を構成する筐体70に回動可能に支持された可動被検知部材73と、画像形成装置本体の図示しないフレーム等に設けられた検知手段としての透過型の光学センサ74を備えている。また、廃トナー収容部51を構成する筐体70に貫通孔70aが形成されており、その貫通孔70aを塞ぐように可撓性の膜部材75が設けてある。上記可動被検知部材73は、光学センサ74が有する投光部と受光部との間の光路を遮る位置に配置される遮光部73aを有する。また、可動被検知部材73は、膜部材75に接触又は近接する位置に配置される接触部73bを有している。
【0086】
図15(a)に示すように、廃トナー収容部51が満杯状態となっていない場合は、可動被検知部材73の接触部73bが、貫通孔70aに進入し膜部材75を内側へ押し込んだ状態となっている。また、この状態で、被検知部材73の遮光部73aは、光学センサ74の投光部と受光部との間に介在しており、遮光部73aによって光路が遮られている。その後、図15(b)に示すように、廃トナー収容部51に廃トナーTが収容され満杯状態に近づくと、収容された廃トナーTによって膜部材73が可動被検知部材73側に押されることにより、接触部73bが膜部材75によって押されて可動被検知部材73が回動する。これにより、遮光部73aが光学センサ74の光路を遮る位置から退避し、投光部から受光部へ光が入射される。このように、図15に示す実施形態では、廃トナーTによって膜部材75が押されて可動被検知部材73を可動させるのを光学センサ74が検知することにより、廃トナー収容部51が満杯状態に近づいたことを判断できるようになっている。なお、この実施形態とは反対に、廃トナー収容部51が満杯状態に近づいた際、遮光部73bが光路を遮るように構成することも可能である。
【0087】
上記のように、潤滑剤60の残量の終期に近づいたか否か、又は、廃トナー収容部51の満杯状態に近づいたか否かを判断できるように構成することで、潤滑剤60が無くなる前、又は廃トナー収容部51が満杯状態になる前に、潤滑剤・廃トナーユニットAを交換することができ、各種不具合の発生を防止することができるようになる。特に、累積印刷枚数や画像の累積印字画素数等に基づく予測制御によって判断するように構成した場合は、機械的な検知手段は不要となるので、簡易に判断することができると共に、部品点数が少なくなり、低コスト化及び小型化を図れる利点がある。一方、図14や図15に示すような機械的な検知手段によって、トナー収容量を直接検知して判断するように構成した場合は、より正確な判断を行うことが可能である。
【0088】
また、廃トナーは凝集度が高く流動性が悪いので、廃トナー収容部51内で廃トナーが偏って溜まった場合は、予想よりも早期に満杯状態と判断されてしまう可能性がある。そのため、図16に示すように、廃トナー収容部51内の廃トナーTを均す均し部材76を設けることが望ましい。図16に示す実施形態では、均し部材76は図示しない駆動源から駆動力を受けて回転可能に構成されており、均し部材76が回転することにより廃トナー収容部51内の廃トナーTの高さを一様に均すことができるようになっている。例えば、図17に示すように、廃トナーTの一部が均し部材76よりも高い位置Bに堆積している場合、均し部材76を回転させることにより、その高い位置Bに堆積している廃トナーを崩して、均し部材76よりも低い位置Cへ移動させることができる。これにより、満杯状態となっているか否かを正確に判断できるようになる。また、廃トナー収容部51の収容空間を有効活用することができ、廃トナー収容部51内に廃トナーTを効率よく収容できるようになる。
【0089】
図18、図19に、上記均し部材の他の実施形態を示す。
この実施形態では、均し部材76は、回転軸76aと当該回転軸76aの軸方向に沿って配設された羽根部76bによって構成されている。図18では、羽根部76bを回転軸76aに複数枚設けているが、羽根部76bの枚数や、形状、大きさなどは図に示すものに限定されない。図19に示すように、均し部材76を反時計回りに回転させることで、廃トナー収容部51のトナー導入口51aの近傍に高く堆積しがちな廃トナーTを、羽根部76bによって奥側(トナー導入口51aから遠い方)へ移動させることができる。また、この場合、均し部材76は羽根部76bを有しているので、図16に示す均し部材76に比べて、移動させることができる廃トナーTの量が多い。このため、廃トナーTを廃トナー収容部51内により効率よく収容することが可能となる。また、これにより、満杯状態の検知精度の向上も図れる。
【0090】
均し部材76を駆動させる方法は、例えば、単独モータによって駆動させる方法、あるいは感光体に駆動力を付与するモータにギアを連結して均し部材76に駆動力を伝達する方法などがあるが、その方法は特に限定されない。なお、均し部材76を単独モータで駆動させる場合は、均し部材76の回転トルクを検知することにより、廃トナー収容部51の満杯状態、すなわち潤滑剤・廃トナーユニットの交換時期を検知することも可能である。
【0091】
また、カラー画像形成装置においては、ユーザ等の使用の仕方によって、例えば、フルカラー画像形成モードよりもモノクロ画像形成モードの方が使用頻度の高い場合がある。この場合、ブラックのプロセスユニットは、カラーのプロセスユニットよりも、潤滑剤60の消費量が多く、廃トナー収容部51へ収容される廃トナーの量も多いため、潤滑剤・廃トナーユニットAを早期に交換する必要があり、交換周期が異なってしまう。そこで、図20に示すように、使用頻度の高いブラックのプロセスユニット1Bk(同図の(b))の潤滑剤60の量と廃トナー収容部51の収容量を、カラーのプロセスユニット1Y,1C,1M(同図の(a))よりも多くすることにより、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの潤滑剤・廃トナーユニットAの交換周期を揃えることができる。このように、各プロセスユニットの使用頻度に応じて、潤滑剤量及び廃トナー収容量を異ならせることにより、各プロセスユニットの潤滑剤・廃トナーユニットAの交換周期を揃えることができ、作業効率を向上させることが可能である。
【0092】
以上のように、本発明によれば、潤滑剤と廃トナー収容部とを同時に交換することができるので、交換回数が少なくなり交換作業の効率化が図れる。また、交換周期の短い潤滑剤と廃トナー収容部をユニット筐体に対して着脱可能とすることにより、感光体、帯電装置、現像装置、クリーニング装置などはそれらの寿命まで有効に使用することが可能である。これにより、プロセスユニットの長寿命化が図られ、無駄な廃棄物をなくすことができるので、省資源化及び低コスト化を実現できる。また、上記実施形態においては、潤滑剤供給手段(潤滑剤塗布ローラ61)をユニット筐体10に残したまま、潤滑剤・廃トナーユニットAを交換することができるので(図5参照)、潤滑剤供給手段をその寿命まで有効に使用することができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。また、本発明に係る画像形成装置は、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1Y,1C,1M,1Bk プロセスユニット
2 感光体(像担持体)
3 帯電装置(帯電手段)
4 現像装置(現像手段)
5 クリーニング装置(クリーニング手段)
6 潤滑剤塗布装置
10 ユニット筐体
51 廃トナー収容部
51a トナー導入口
55 シャッタ部材
60 潤滑剤
61 潤滑剤塗布ローラ(潤滑剤供給手段)
64 潤滑剤収容部
65 ストッパ
71a 投光部
71b 受光部
72 光透過部材
73 可動被検知部材
74 光学センサ(検知手段)
75 膜部材
76 均し部材
76a 回転軸
76b 羽根部
100 画像形成装置本体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2006−11360号公報
【特許文献2】特開2005−242301号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に画像を担持する像担持体と、それに加えて、前記像担持体の表面に画像を形成する現像手段、前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段、前記像担持体の表面上のトナーを除去するクリーニング手段のうちの少なくとも1つを、画像形成装置本体に対して着脱可能なユニット筐体に設けたプロセスユニットにおいて、
前記像担持体の表面に供給される潤滑剤と、前記像担持体上から除去されたトナーを収容する廃トナー収容部を、前記ユニット筐体に対して一体的に着脱可能に構成したことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項2】
前記ユニット筐体を前記画像形成装置本体に装着した状態で、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を前記ユニット筐体に対して一体的に着脱可能に構成した請求項1に記載のプロセスユニット。
【請求項3】
前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を前記ユニット筐体に対して着脱する方向を、前記ユニット筐体を前記画像形成装置本体に対して着脱する方向と同方向となるように構成した請求項2に記載のプロセスユニット。
【請求項4】
前記像担持体に前記潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を前記ユニット筐体に設け、
当該潤滑剤供給手段を前記ユニット筐体に残したまま、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を前記ユニット筐体に対して一体的に着脱可能に構成した請求項1から3のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項5】
前記廃トナー収容部に設けられたトナー導入口を閉塞するための蓋部材を、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を一体的に有する筐体に取付可能に構成した請求項1から4のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項6】
前記廃トナー収容部に設けられたトナー導入口を開閉するシャッタ部材を、前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を一体的に有する筐体に設けた請求項1から4のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項7】
前記潤滑剤と前記廃トナー収容部との前記ユニット筐体に対する着脱動作に連動させて、前記シャッタ部材を開閉可能に構成した請求項6に記載のプロセスユニット。
【請求項8】
前記潤滑剤の残量が終期に近づいたことを判断可能な潤滑剤量判断手段を備える請求項1から7のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項9】
前記潤滑剤の残量が終期に近づいたか否かを、潤滑剤使用量に基づく予測によって判断するようにした請求項8に記載のプロセスユニット。
【請求項10】
前記廃トナー収容部が満杯状態に近づいたことを判断可能なトナー収容量判断手段を備える請求項1から9のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項11】
前記廃トナー収容部が満杯状態に近づいたか否かを、廃トナー収容部へのトナーの収容量に基づく予測によって判断するようにした請求項10に記載のプロセスユニット。
【請求項12】
前記廃トナー収容部が満杯状態に近づいたか否かを、廃トナー収容部のトナー収容量を直接検知することにより判断するようにした請求項10に記載のプロセスユニット。
【請求項13】
光を照射する投光部と、当該投光部から照射された光を受光する受光部を備えると共に、光を透過させる光透過部材を前記投光部と前記受光部との間に介在するように前記廃トナー収容部に設け、前記廃トナー収容部に収容されたトナーによって前記光透過部材における光路が遮断されることにより前記満杯状態に近づいたことを検知するように構成した請求項12に記載のプロセスユニット。
【請求項14】
前記廃トナー収容部に可撓性の膜部材を設けると共に、当該膜部材に接触又は近接して設けられた可動被検知部材と、当該可動被検知部材の可動を検知する検知手段とを備え、前記廃トナー収容部に収容されたトナーによって前記膜部材が前記可動被検知部材側へ押されるのに伴い可動被検知部材が可動するのを前記検知手段が検知することにより前記満杯状態に近づいたことを検知するように構成した請求項12に記載のプロセスユニット。
【請求項15】
前記廃トナー収容部内のトナーを均す均し部材を設けた請求項1から14のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項16】
前記均し部材を、回転軸と当該回転軸上にその軸方向に沿って配設された羽根部によって構成した請求項15に記載のプロセスユニット。
【請求項17】
前記潤滑剤と前記廃トナー収容部を前記ユニット筐体に対して一体的に取り外した際に、前記潤滑剤を収容する潤滑剤収容部から前記潤滑剤が抜け出るのを防止するストッパを設けた請求項1から16のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項18】
前記潤滑剤をステアリン酸亜鉛で形成した請求項1から17のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載のプロセスユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項20】
前記プロセスユニットを複数備え、各プロセスユニットの使用頻度に応じて、前記潤滑剤の量と前記廃トナー収容部の収容量を異ならせた請求項19に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−253173(P2011−253173A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36966(P2011−36966)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】