説明

プロテインキナーゼ阻害剤として有用な(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−4−イル)−ヘテロ芳香族化合物

本発明は、プロテインキナーゼの阻害剤として有用な化合物に関する。本発明はまた、この化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物および種々の疾患、病気または障害の治療におけるこの組成物の使用方法を提供する。特定の実施形態において、これらの化合物は、p70S6k、GSK−3および/またはROCKプロテインキナーゼの阻害剤として有効である。これらの化合物は、一般式Iを有する。これらの組成物はまた、細胞死および細胞過形成を予防するための方法に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、プロテインキナーゼの阻害剤として有用な化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む薬学的に受容可能な組成物および種々の障害の処置においてこの組成物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
新たな治療剤の検索は、酵素の構造および疾患と関連する他の生体分子のよりよい理解により、近年非常に助けられてきた。広範な研究の主題であった酵素の1つの重要なクラスは、プロテインキナーゼである。
【0003】
プロテインキナーゼは、細胞内の種々のシグナルトランスダクションプロセスの制御を担う構造的に関連する酵素の大きなファミリーを構成する(非特許文献1を参照のこと)。プロテインキナーゼは、これらの構造および触媒機能の保存に起因して、共通する祖先遺伝子から進化したと考えられる。ほぼ全てのキナーゼは、類似の250〜300アミノ酸の触媒ドメインを含む。キナーゼは、このキナーゼがリン酸化する(例えば、プロテイン−チロシン、プロテイン−セリン/スレオニン、脂質など)基質によってファミリーに分類され得る。これらのキナーゼファミリーの各々に一般に対応する配列モチーフが、同定された(例えば、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6を参照のこと)。
【0004】
一般に、プロテインキナーゼは、シグナル伝達経路に関与する、ヌクレオシド三リン酸からタンパク質アクセプターへのホスホリル転移をもたらすことによって細胞内シグナル伝達を媒介する。これらのリン酸化事象は、標的タンパク質の生物学的機能を調節または制御し得る分子のオン/オフのスイッチとして作用する。これらのリン酸化事象は、種々の細胞外刺激および他の刺激に応答して最終的に誘発される。このような刺激の例としては、環境的ストレスシグナルおよび化学的ストレスシグナル(例えば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線照射、細菌エンドトキシン、およびH)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子α(TNF−a))、ならびに増殖因子(例えば、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)、および線維芽細胞増殖因子(FGF))が挙げられる。細胞外刺激は、細胞増殖、移動、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋収縮、グルコース代謝、タンパク質合成の制御、および細胞周期の制御に関する1以上の細胞応答に影響を及ぼし得る。
【0005】
多くの疾患が、上記のように、プロテインキナーゼ媒介性事象によって誘発される異常な細胞応答と関連する。これらの疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経学的疾患および神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病、およびホルモン関連疾患。従って、治療剤として有効なプロテインキナーゼ阻害剤を見いだすために医化学において実質的な取り組みがなされてきた。
【0006】
キナーゼのAGCサブファミリーは、その基質をセリン残基およびスレオニン残基でリン酸化し、種々の周知のシグナル伝達プロセスに関与し、これらのシグナル伝達プロセスとしては、サイクリックAMPシグナル伝達、インスリンに対する応答、アポトーシス防御、ジアシルグリセロールシグナル伝達およびタンパク質翻訳の制御が挙げられるが、これらに限定されない(非特許文献7)。このサブファミリーは、ROCK、PKA、PKB(c−Akt)、PKC、PRK1、PRK2、p70S6KおよびPDKを含む。
【0007】
リボソームプロテインキナーゼp70S6K−1およびp70S6K−2は、とりわけPKBおよびMSKからなるプロテインキナーゼのAGCサブファミリーのメンバーである。p70S6キナーゼは、リボソームタンパク質S6のリン酸化およびその後の活性化を触媒し、このことは、タンパク質合成組織の構成要素をコードするmRNAの翻訳上方制御に関係している。
【0008】
これらのmRNAは、その5’転写開始部位にオリゴピリミジン区域を含み、5’TOPと呼ばれ、転写レベルにおける調節に不可欠であることが示されている(非特許文献8)。p70 S6K依存性S6リン酸化は、種々のホルモンおよび成長因子に応答して、主に、PI3K経路を介して刺激される(非特許文献9)。この経路は、mTORの調節下であり得るが、これは、ラパマイシンが、p70S6K活性を阻害するように作用し、特に、リボソームタンパク質をコードするこれらのmRNAの翻訳の下方制御の結果としてタンパク質合成を遮断するからである(非特許文献10)。
【0009】
インビトロ PDK1は、p70触媒ドメインの活性化ループにおけるThr252のリン酸化を触媒し、このリン酸化は、p70活性に不可欠である(非特許文献11)。ラパマイシンの使用ならびにキイロショウジョウバエ由来のdp70S6Kおよびマウス由来のp70S6K1の遺伝子欠失研究は、細胞増殖(cell growth)シグナル伝達および細胞増殖(cell proliferation)シグナル伝達の両方においてp70が中心的な役割を果たすことを証明した。
【0010】
3−ホスホイノシチド依存性プロテインキナーゼ−1(PDK1)は、プロテインキナーゼのAGCサブファミリーに属する多数のキナーゼの活性の調節に重要な役割を果たしている(非特許文献12)。これらとしては、プロテインキナーゼBのアイソフォーム(PKB、またAKTとしても知られる)、p70リボソームS6キナーゼ(S6K)(非特許文献13)およびp90リボソームS6キナーゼ(非特許文献14)が挙げられる。PDK1に仲介されるシグナル伝達は、インスリンおよび成長因子に応答して、そして、細胞の細胞外マトリックスに対する付着の結果として(インテグリンシグナル伝達)活性化される。一旦活性化されると、これらの酵素は、細胞の生存、増殖(growth)、増殖(proliferation)およびグルコース調節のようなプロセスの制御に重要な役割を果たす重要な調節タンパク質をリン酸化することによって多数の多様な細胞事象を媒介する(非特許文献15、非特許文献16)。PDK1は、556個のアミノ酸タンパク質であり、N末端触媒ドメインおよびC末端プレクストリン相同(PH)ドメインを有し、その活性化ループでこれらのキナーゼをリン酸化することによりその基質を活性化する(非特許文献17)。前立腺癌およびNSCLを含む多くのヒト癌は、多くの別個の遺伝的事象(例えば、PTEN変異または特定の重要な調節タンパク質の過剰発現)から生じるPDK1シグナル伝達経路機能を増加させた(非特許文献18、非特許文献19)。癌を処置するための潜在的な機構としてのPDK1の阻害は、PTENネガティブのヒト癌細胞株(U87MG)の、PDK1に関するアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたトランスフェクションによって実証された。PDK1タンパク質レベルにおける生じた減少は、細胞増殖および細胞生存の減少を引き起こす(非特許文献20)。結果的に、PDK1のATP結合部位阻害剤の設計は、とりわけ他の処置に、癌化学療法のための魅力的な標的を提供する。
【0011】
種々の範囲の癌細胞遺伝子型は、細胞生理学における以下の6個の不可欠な変化の発現に帰する:増殖シグナル伝達における自己充足(self−sufficiency)、アポトーシスの回避、増殖阻害シグナル伝達に対する非感受性、無限の複製能力、持続性の新脈管形成および転移につながる組織侵襲(非特許文献21)。PDK1は、PI3Kシグナル伝達経路の重大な伝達物質であって、増殖(growth)、増殖(proliferation)および生存を含む多数の細胞機能を調節する。結果的に、この経路の阻害は、癌の進行を規定する6個の必要条件の内の4個以上に影響を及ぼし得る。そういうものとして、PDK1阻害剤は、非常に広範な範囲のヒト癌の増殖に影響を有すると予測されている。
【0012】
特に、PI3K経路の活性のレベルの増加は、多数のヒト癌の発達、攻撃的な治療抵抗性の状態(化学療法に対する耐性の獲得)への進行および不十分な予後と関連している。この活性の増加は、一連の重要な事象に帰し、これらの事象としては、ネガティブな経路の調節因子(例えば、ホスファターゼ PTEN)の活性の低下、ポジティブな経路の調節因子の活性化変異および経路自体の構成要素の過剰発現(例えば、PKB、例としては以下:脳(神経膠腫)、乳房、結腸、頭部および頚部、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、甲状腺が挙げられる)が挙げられる(非特許文献22、非特許文献23、非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26、非特許文献27)。
【0013】
さらに、遺伝子ノックアウト研究、遺伝子ノックダウン研究、ドミナントネガティブ研究および経路の低分子阻害剤は、インビトロにおける多数の癌表現型を取り消すこと(例えば、増殖の遮断、生存度の低減および一連の細胞株における公知の化学療法剤に対する癌細胞への感受性付与)が実証(いくつかの研究は、インビボで類似した効果を実証した)されていて、これらの癌としては、以下の癌が示される:膵臓(非特許文献28、非特許文献29)、肺(非特許文献30、非特許文献29)、卵巣(非特許文献31、非特許文献29)、乳房(非特許文献32)、結腸(非特許文献29、非特許文献33)、頚部(非特許文献29)、前立腺(非特許文献34、非特許文献35、非特許文献36)および脳(多形グリア芽腫)(非特許文献37)。
【0014】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)は、それぞれ別個の遺伝子によってコードされるαアイソフォームおよびβアイソフォームから構成される(非特許文献38、非特許文献39)。GSK−3は、糖尿病、アルツハイマー病、躁鬱病などのCNS障害および神経変性疾患および心筋細胞肥大を含む種々の疾患に関係している(特許文献1、特許文献2および非特許文献40)。これらの疾患は、GSK−3が役割を果たす特定の細胞シグナル伝達経路の異常な作用によって引き起こされるか、またはそのような異常な作用を生じる。GSK−3は、多数の調節タンパク質をリン酸化し、その活性を調節することが見出されている。これらのタンパク質としては、グリコーゲン合成に必要な律速酵素であるグリコーゲンシンターゼ、微小管結合タンパク質τ、遺伝子転写因子β−カテニン、翻訳開始因子e1F2B、ならびにATPクエン酸リアーゼ、アクシン、熱ショック因子−1、c−Jun、c−Myc、c−Myb、CREBおよびCEPBαが挙げられる。これらの種々のタンパク質標的は、細胞代謝、細胞増殖、細胞分化および細胞発生の多数の局面でGSK−3に関係する。
【0015】
2型糖尿病の処置に関連するGSK−3媒介経路において、インスリン誘導性のシグナル伝達は、細胞のグルコース取り込みおよびグリコーゲン合成をもたらす。この経路の間、GSK−3は、インスリン誘導性シグナルのネガティブレギュレーターである。通常、インスリンの存在は、GSK−3媒介性リン酸化およびグリコーゲンシンターゼの非活性化を引き起こす。GSK−3の阻害は、グリコーゲン合成の増加およびグルコース取り込みの増加をもたらす(非特許文献41、非特許文献42、非特許文献43、非特許文献44)。しかし、インスリン応答が損なわれた糖尿病患者において、インスリンの比較的高い血中レベルの存在にもかかわらず、グリコーゲン合成およびグルコース取り込みは、増加しない。このことは、グルコースの異常に高い血中レベルにつながり、この血中レベルは、最終的には心臓血管疾患、腎不全および失明を生じる急性かつ長期の効果を伴う。このような患者において、正常なインスリン誘導性のGSK−3の阻害は、生じない。2型糖尿病を有する患者において、GSK−3が過剰発現されることも報告されている(特許文献2)。従って、GSK−3の治療阻害剤は、インスリンに対する応答を損なった糖尿病患者を処置するために有用であると考えられる。
【0016】
GSK−3活性はまた、アルツハイマー病とも関係している。この疾患は、周知のβ−アミロイドペプチド、および細胞内の神経細線維もつれの形成によって特徴付けられる。神経細線維もつれは、過リン酸化τタンパク質(hyperphosphorylated Tau protein)を含み、タウは、異常な部位でリン酸化されている。GSK−3は、細胞および動物モデルにおいて、これらの異常な部位をリン酸化することが示されている。さらに、GSK−3の阻害は、細胞のタウの過リン酸化を防ぐことが示されている(非特許文献45、非特許文献46)。従って、GSK−3活性は、神経細線維もつれの生成およびアルツハイマー病の進行を促進し得ると考えられる。
【0017】
アポトーシスは、虚血性脳損傷の病態生理学に関係している(非特許文献47、非特許文献48、非特許文献49、非特許文献50、非特許文献51、非特許文献52)。最近の刊行物は、GSK−3βの活性化がアポトーシス機構に関与し得ることを示唆している(非特許文献53、非特許文献54)。中大脳動脈閉塞(MCAO)によって誘導された虚血性脳卒中のラットモデルにおける研究は、虚血の後のGSK−3β発現が増加することを示した(非特許文献55、非特許文献56)。線維芽細胞増殖因子(FGF)は、ラットにおける永久的な中大脳動脈閉塞(MCO)後の虚血性脳損傷を減少させた(非特許文献57、非特許文献58)。実際、ラットの虚血モデルにおいて示されたFGFの神経保護効果は、GSK−3βのPI−3キナーゼ/AKT依存性不活性化によって媒介され得る(非特許文献59)。従って、大脳虚血性事象後のGSK−3βの阻害は、虚血性脳損傷を改善させ得る。
【0018】
GSK−3の別の基質は、GSK−3によるリン酸化の後分解されるβ−カテニンである。β−カテニンのレベルの減少は、分裂病患者で報告されていて、また神経細胞死の増加に関連する他の疾患と関連している(非特許文献60、非特許文献61、非特許文献62)。
【0019】
セリン/スレオニンキナーゼのAuroraファミリーは、細胞増殖に不可欠である(非特許文献63、非特許文献64、非特許文献65、非特許文献66)。従ってAuroraキナーゼファミリーの阻害剤は、全ての型の腫瘍の増殖をブロックする潜在能力を有している。
【0020】
3つの公知の哺乳動物ファミリーメンバーであるAuroraA(「1」)、B(「2」)およびC(「3」)は、染色体分離、紡錘体の機能および細胞質分裂を担うタンパク質と高度に相同である。Auroraの発現は、休止細胞では低いかまたは検出不可能であり、周期中の細胞のG2期および有糸分裂期の間は発現および活性が最高になる。哺乳動物細胞では、Auroraに対して提唱されている基質としては、ヒストンH3、染色体凝縮に関連するタンパク質、およびCENP−A、ミオシンII調節軽鎖、プロテインホスファターゼ1、TPX2(これらは全て細胞分裂に必要である)が挙げられる。
【0021】
1997年の発見以来、哺乳動物Auroraキナーゼファミリーは、腫瘍形成と密接に関連付けられてきた。このことについての最も説得力のある証拠は、AuroraAの過剰発現が、げっ歯類の線維芽細胞を形質転換することである(非特許文献67)。このキナーゼのレベルの向上した細胞は、複数の中心体および多極性の紡錘体を含み、迅速に異数体になる。Auroraキナーゼの腫瘍形成活性は、このような遺伝的不安定性の生成と関連しているようである。実際、乳房の腫瘍および胃の腫瘍におけるAuroraA遺伝子座の増幅と染色体不安定性との間の相関関係が観察されている(非特許文献68、非特許文献69)。Auroraキナーゼは、広範なヒト腫瘍で過剰発現すると報告されている。AuroraAの発現の上昇は、50%を超える結腸直腸腫瘍(非特許文献70、非特許文献71)、卵巣腫瘍(非特許文献72)および胃腫瘍(非特許文献73)、ならびに94%の乳房の侵襲性管腺癌(非特許文献74)で検出された。高レベルのAuroraAが、腎臓、子宮頸部、神経芽腫、黒色腫、リンパ腫、膵臓および前立腺の腫瘍細胞株でもまた報告されている(非特許文献75、非特許文献76、非特許文献77、非特許文献78)。AuroraAの増幅/過剰発現は、ヒト膀胱癌において観察され、そしてAuroraAの増幅は、異数性および攻撃性の臨床挙動と関連している(非特許文献79)。さらに、AuroraA遺伝子座(20q13)の増幅は、リンパ節転移陰性乳癌を有する患者の不十分な予後と関連する(非特許文献80)。AuroraBは、複数のヒト腫瘍細胞株(白血病細胞を含む)中で高く発現する(非特許文献81)。この酵素のレベルは、原発性結腸直腸癌におけるデュークス段階の関数として増加する(非特許文献82)。AuroraCは、通常生殖細胞にのみ見出されるが、また高い割合の原発性結腸直腸癌および種々の腫瘍細胞株(子宮頸部腺癌細胞および乳癌細胞を含む)で過剰発現している(非特許文献83、非特許文献84)。
【0022】
Auroraキナーゼの公知の機能に基づいて、その活性の阻害は、有糸分裂を中断させ、細胞周期の停止を引き起こす。従って、インビボでは、Aurora阻害剤は、腫瘍増殖を示し、回帰を誘導する。
【0023】
全てのAuroraファミリーメンバーのレベルの上昇は、広範な腫瘍細胞株において観察される。Auroraキナーゼは、多くのヒト腫瘍において過剰発現され、そして、このことは、哺乳動物の腫瘍における染色体の不安定性と関連していると報告されている(非特許文献85)。
【0024】
Aurora2は、複数のヒト腫瘍細胞株において高く発現し、そのレベルは、原発性結腸直腸癌におけるデュークス段階の関数として増加する(非特許文献86)。Aurora2は、有糸分裂の間の染色体の正確な分離の制御に役目を果たす。細胞周期の誤った調節は、細胞増殖および他の異常を生じ得る。ヒト結腸癌組織において、Aurora2タンパク質は、過剰発現している(非特許文献87、非特許文献88、非特許文献89)。Aurora2は、形質転換した細胞の大部分で過剰発現している。Bischoffらは、肺、結腸、腎臓、黒色腫および乳房の腫瘍に由来する細胞株の96%で高レベルのAurora2を見出した(非特許文献90)。二つの広範な研究は、結腸直腸腫瘍の54%(非特許文献90)および68%(非特許文献91)ならびに乳房の侵襲性管腺癌の94%(非特許文献92)においてAurora2の上昇を示す。
【0025】
Aurora1発現は、結腸、乳房、肺、黒色腫、腎臓、卵巣、膵臓、CNS、胃の腫瘍および白血病に由来する細胞株において上昇する(非特許文献93)。
【0026】
高レベルのAurora3は、いくつかの腫瘍細胞株中で検出されているが、正常な組織では、精巣に限定されている(非特許文献94)。高い割合(約50%)の結腸直腸癌におけるAurora3の過剰発現がまた、立証されている(非特許文献95)。それとは対照的に、Auroraファミリーは、大部分の正常な組織では低いレベルで発現しているが、例外は、高い割合の分裂細胞を有する組織(例えば、胸腺および精巣)である(非特許文献96)。
【0027】
増殖性障害においてAuroraキナーゼが果たす役割のさらなる総説については、非特許文献97、非特許文献98、非特許文献99、非特許文献100および非特許文献101を参照のこと。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、βシートリッチのアミノ末端小葉、および大部分はαヘリカルであるより大きなカルボキシ末端小葉からなるセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。CDKは、全てのプロテインキナーゼによって共有される11のサブドメインを示し、分子量は、33〜44kDの範囲内である。このキナーゼのファミリーは、CDK1、CDK2、CDK4およびCDK6を含むが、十分に活性になるために、CDK2のThr160に対応する残基でリン酸化を必要とする(非特許文献102)。
【0028】
各CDK複合体は、調節サイクリンサブユニット(例えば、サイクリンA、サイクリンB1、サイクリンB2、サイクリンD1、サイクリンD2、サイクリンD3およびサイクリンE)ならびに触媒キナーゼサブユニット(例えば、CDK1、CDK2、CDK4、CDK5およびCDK6)から形成される。それぞれ異なったキナーゼ/サイクリンの対は、G1期、S期、G2期およびM期として知られる細胞周期の異なった特異的な期を調節するように機能する(非特許文献103、非特許文献104)。
【0029】
CDKは、細胞増殖障害、特に癌に関与している。細胞増殖は、細胞分裂周期の直接的または間接的な脱調節(deregulation)の結果であり、CDKは、この周期の種々の期の調節において決定的な役割を果たしている。例えば、サイクリンD1の過剰発現は、一般に、多数のヒト癌(乳癌、結腸癌、肝細胞癌および神経膠腫)と関係している(非特許文献105)。CDK2/サイクリンE複合体は、細胞周期のG1初期からS期までの進行に重要な役割を果たし、サイクリンEの過剰発現は、種々の固形腫瘍と関連している。従って、サイクリンD1、サイクリンEの阻害剤またはそれらに関連するCDKは、癌治療の有用な標的である(非特許文献106)。
【0030】
CDK、特にCDK2はまた、アポトーシスおよびT細胞発生に役割を果たす。CDK2は、胸腺細胞アポトーシスの重要な調節因子として同定されている(非特許文献107)。CDK2キナーゼ活性の刺激は、特定の刺激に応答した胸腺細胞におけるアポトーシスの進行と関連している。CDK2キナーゼ活性の阻害は、このアポトーシスを遮断し、胸腺細胞の保護を生じる。
【0031】
細胞周期およびアポトーシスの調節に加えて、CDKは、転写のプロセスに直接的に関係している。多くのウイルスは、その複製プロセスにCDKを必要とする。CDK阻害剤がウイルス複製を抑制する例としては、ヒトサイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスおよび水痘‐帯状疱疹ウイルスが挙げられる(非特許文献108)。
【0032】
CDKの阻害はまた、例えば、アルツハイマー病などの神経変性障害の処置に有用である。アルツハイマー病と関連する対になったらせん状のフィラメント(PHF)の出現は、CDK5/p25によるτタンパク質の過リン酸化により引き起こされる(非特許文献108)。
【0033】
目的の1つのキナーゼファミリーは、Rho結合コイルドコイル形成タンパク質セリン/トレオニンキナーゼ(ROCK)であり、これは、Ras関連小GTPaseRhoのエフェクターであると考えられている。ROCKファミリーは、p160ROCK(ROCK−1)(非特許文献109)およびROKα/Rhoキナーゼ/ROCK−II(非特許文献110、非特許文献111、非特許文献112)、プロテインキナーゼPKN(非特許文献113、非特許文献114)、ならびにcitronおよびcitronキナーゼ(非特許文献115、非特許文献116)を含む。キナーゼのROCKファミリーは、Rhoに誘導されたアクチンストレスファイバーの形成および焦点接着を含む種々の機能(非特許文献117、非特許文献118、非特許文献119)、ならびにミオシンホスファターゼのダウンレギュレーション(非特許文献120)、血小板活性化(非特許文献121)、種々の刺激による平滑筋の収縮(非特許文献122)、大動脈平滑筋細胞のトロンビン誘導性応答(非特許文献123)、心筋細胞の肥大(非特許文献124)、気管支平滑筋の収縮(非特許文献125)、平滑筋収縮および非筋細胞の細胞骨格再構築(非特許文献126)、体積調節アニオンチャネルの活性化(非特許文献127)、神経突起収縮(非特許文献128)、好中球走化性(非特許文献129)、創傷治癒(非特許文献130)、腫瘍侵襲(非特許文献131)および細胞形質転換(非特許文献132)に関係していることが示されている。
【0034】
より詳細には、ROCKは、高血圧(非特許文献133、非特許文献134、非特許文献135、非特許文献136)、大脳血管痙攣(非特許文献137、非特許文献138、非特許文献139)、冠状血管痙攣(非特許文献140、非特許文献141、非特許文献142、非特許文献143、非特許文献144、非特許文献145)、気管支喘息(非特許文献146、非特許文献147、非特許文献148、非特許文献149)、早産(非特許文献150、非特許文献151、非特許文献152)、勃起機能不全(非特許文献153、非特許文献154)、緑内障(非特許文献155、非特許文献156)、血管平滑筋細胞増殖(非特許文献157、非特許文献158、非特許文献159、非特許文献160、非特許文献161)、心筋肥大(非特許文献162、非特許文献163、非特許文献164、非特許文献165)、悪性水癌(malignoma)(非特許文献166、非特許文献167、非特許文献168)、虚血/再灌流誘導障害(非特許文献169、非特許文献170)、内皮機能障害(非特許文献171、非特許文献172、非特許文献173)、クローン病および大腸炎(非特許文献174)、神経突起の成長(非特許文献175)、レーノー病(非特許文献176)、アンギナ(非特許文献177、非特許文献178、非特許文献179、非特許文献180)、アルツハイマー病(非特許文献181)、良性前立腺増殖症(非特許文献182)およびアテローム性動脈硬化症(非特許文献183、非特許文献184)を含む種々の疾患および障害に関係している。従って、ROCKキナーゼの阻害剤の開発は、ROCKキナーゼ経路に関係している障害の処置のための治療因子として有用である。
【特許文献1】WO 99/65897 明細書
【特許文献2】WO 00/38675 明細書
【非特許文献1】Hardie,G.およびHanks,S.The Protein Kinase Facts Book、IおよびII、Academic Press、San Diego,CA:1995年
【非特許文献2】Hanks,S.K.、Hunter,T.、FASEB J.1995年,9,p.576−596
【非特許文献3】Knightonら、Science 1991年、253、p.407−414
【非特許文献4】Hilesら、Cell 1992年、70、p.419−429
【非特許文献5】Kunzら、Cell 1993年、73、p.585−596
【非特許文献6】Garcia−Bustosら、EMBO J.1994年、13、p.2352−2361
【非特許文献7】Petersonら、Curr.Biol.1999年、9、R521
【非特許文献8】Volarevic,Sら、Prog.Nucleic Acid Res.Mol.Biol.2001年、65、p.101−186
【非特許文献9】Coffer,P.J.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun、1994年、198、p.780−786
【非特許文献10】Kuo,C.J.ら、Nature 1992年、358、p.70−73
【非特許文献11】Alessi,D.R.、Curr.Biol.、1998年、8、p.69−81
【非特許文献12】Alessi,D.ら、Biochem.Soc.Trans 2001年、29、p.1
【非特許文献13】Avruch,J.ら、Prog.Mol.Subcell.Biol.2001年、26、p.115
【非特許文献14】Foedin,M.ら、EMBO J.2000年、19、p.2924〜2934
【非特許文献15】Lawlor,M.A.ら、J.Cell Sci.2001年、114、p.2903〜2910
【非特許文献16】Lawlor,M.A.ら、EMBO J.2002年、21、p.3728−3738
【非特許文献17】Belham,C.ら、Curr.Biol.1999年、9、R93〜R96
【非特許文献18】Graff,J.R.、Expert Opin.Ther.Targets 2002年、6、p.103〜113
【非特許文献19】Brognard,J.ら、Cancer Res.2001年、61、p.3986〜3997
【非特許文献20】Flynn,P.ら、Curr.Biol.2000年、10、p.1439〜1442
【非特許文献21】Hanahan,D.ら、Cell 2000年、100、p.57〜70
【非特許文献22】Teng,D.H.ら、Cancer Res.、1997年、57、p.5221〜5225
【非特許文献23】Brognard,J.ら、Cancer Res.、2001年、61、p.3986〜3997
【非特許文献24】Cheng,J.Q.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.、1996年、93、p.3636〜3641
【非特許文献25】Int.J.Cancer 1995年、64、p.280
【非特許文献26】Graff,J.R.、Expert Opin.Ther.Targets 2002年、6、p.103〜113
【非特許文献27】Am.J.Pathol.2001年、159、p.431
【非特許文献28】Cheng,J.Q.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.1996年、93、p.3636〜3641
【非特許文献29】Neoplasia、2001年、3、p.278
【非特許文献30】Brognard,J.ら、Cancer Res.2001年、61、p.3986〜3997
【非特許文献31】Hayakawa,J.ら、Cancer Res.2000年、60、p.5988〜5994
【非特許文献32】Mol.Cancer Ther.2002年、1、p.707
【非特許文献33】Alico,Sら、J.Biol.Chem.2002年、277、p.27613〜27621
【非特許文献34】Endocrinology 2001年、142、p.4795
【非特許文献35】Thakkar,Hら、J.Biol.Chem.2001年、276、p.38361〜38369
【非特許文献36】Chen,Xら、Oncogene 2001年、20、p.6073〜6083
【非特許文献37】Flynn,P.ら、Curr.Biol.2000年、10、p.1439〜1442
【非特許文献38】Coghlanら、Chemistry & Biology、2000年、7、p.793〜803
【非特許文献39】KimおよびKimmel、Curr.Opinion Genetics Dev.、2000年、10、p.508〜514
【非特許文献40】Haqら、J.Cell Biol.2000年、151、p.117
【非特許文献41】Kleinら、PNAS、1996年、93、p.8455〜9
【非特許文献42】Crossら、Biochem.J.、1994年、303、p.21〜26
【非特許文献43】Cohen、Biochem.Soc.Trans.、1993年、21、p.555〜567
【非特許文献44】Massillonら、Biochem J.、1994年、299、p.123〜128
【非特許文献45】Lovestoneら、Current Biology 1994年、4、p.1077〜86
【非特許文献46】Brownlessら、Neuroreport 1997年、8、p.3251〜55
【非特許文献47】Liら、1997年
【非特許文献48】Choiら、1996年
【非特許文献49】Charriaut−Marlangueら、1998年
【非特許文献50】GrahmおよびChen、2001年
【非特許文献51】Mulphyら、1999年
【非特許文献52】Nicoteraら、1999年
【非特許文献53】KaytorおよびOrr、2002年
【非特許文献54】Culbertら、2001年
【非特許文献55】Wangら、Brain Res、2000年、859、p.381〜5
【非特許文献56】Sasakiら、Neurol Res、2001年、23、p.588〜92
【非特許文献57】Fisherら、1995年
【非特許文献58】Songら、2002年
【非特許文献59】Hashimotoら、2002年
【非特許文献60】Zhongら、Nature、1998年、395、698〜702
【非特許文献61】Takashimaら、PNAS、1993年、90、p.7789〜93
【非特許文献62】Peiら、J.Neuropathol.Exp、1997年、56、p.70〜78
【非特許文献63】Bischoff,J.R.およびPlowman,G.D.、The Aurora/Ip11p kinase family:regulators of chromosome sagregation and cytokinesis、Trends in Cell Biology 1999年、9、p.454〜459
【非特許文献64】Giet,R.およびPrigent,C.、Aurora/Ip11p−related kinases,a new oncogenic family of mitotic serine−threonine kinases、Journal of Cell Science 1999年、112、p.3591〜3601
【非特許文献65】Nigg,E.A.、Mitotic kinases as regulators of cell division and its checkpoints、Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2001年、2、p.21〜32
【非特許文献66】Adams,R.R.、Carmena,M.およびEarnshaw,W.C.、Chromosomal passengers and the (aurora)ABCs of mitosis、Trends in Cell Biology 2001年、11、p.49〜54
【非特許文献67】Bischoff,J.R.ら、A homologue of Drosophila aurora kinase is oncogenic and amplified in human colorectal cancers.EMBO J.1998年、17、p.3052〜3065
【非特許文献68】Miyoshi,Y、Iwao,K.、Egawa,C.およびNoguchi,S.、Association of centrosomal kinase STK15/BTAK mRNA expression with chromosomal instability in human breast cancers.
【非特許文献69】Sakakura,C.ら、Tumor−amplified kinase BTAK is amplified and overexpressed in gastric cancers with possible involvement in aneuploid formation、British Journal of Cancer 2001年、84、p.814〜831
【非特許文献70】Bischoff,J.R.ら、A homologue of Drosophila aurora kinase is oncogenic and amplified in human colorectal cansers.EMBO J.1998年、p.3052〜3065
【非特許文献71】Takahashi,T.ら、Centrosomal kinases,HsAIRk1 and HsAIRK3,are overexpressed in primary colorectal cancers. Jpn.J.Cancer Res.2000年、91、p.1007〜1014
【非特許文献72】Gristko,T.M.ら、Activation and overexpression of centrosome kinase BTAK/Aurora−A in human ovarian cancer. Clinical Cancer Research 2003年、9、p.1420〜1426
【非特許文献73】Sakakura,C.ら、Tumor−amplified kinase BTAK is amplified and overexpressed in gastric cancers with possible involvement in aneuploid formation. British Journal of Cancer 2001年、84、p.824〜831
【非特許文献74】Tanaka,T.ら、Centrosomal kinase AIK1 is overexpressed in invasive ductal carcinoma of the breast.Cancer Research.、1999年、59、p.2041〜2044
【非特許文献75】Bischoff,J.R.ら、A homologue of Drosophila aurora kinase is oncogenic and amplified in human colorectal cancers. EMBO J.1998年、17、p.3052〜3065
【非特許文献76】Kimura,M.、Matsuda,Y.、Yoshioka,T.およびOkano,Y. Cell cycle−dependent expression and centrosomal localization of a third human Aurora/Ipl1−related protein kinase,AIK3.Journal of Biological Chemistry 1999年、274、p.7334〜7340
【非特許文献77】Zhouら、Tumour amplifiec kinase STK15/BTAK induces centrosome amplification,aneuploidy and transformation.Nature Genetics 1998年、20:p.189〜193
【非特許文献78】Liら、Overexpression of oncogenic STK15/BTAK/Aurora−A kinase in human pancreatic cancer.Clin Cancer Res.2003年、9(3):p.991〜7
【非特許文献79】Sen S.ら、Amplification/overexpression of a mitotic kinase gene in human bladder cancer.J Natl Cancer Inst.2002年、94(17):p.1320〜9
【非特許文献80】Isola,J.J.ら、Genetic aberrations detected by comparative genomic hybridization predict outcome in node−negative breast cancer.American Journal of Pathology 1995年、147、p.905〜911
【非特許文献81】Katayamaら、Human AIM−1:cDNA cloning and reduced expression during endomitosis in megakaryocyte−lineage cells.Gene 244:p.1〜7
【非特許文献82】Katayama,H.ら、Mitotic kinase expression and colorectal cancer progression.Journal of the National Cancer Institute 1999年、91、p.1160〜1162
【非特許文献83】Kimura,M.、Matsuda,Y.、Yoshioka,T.およびOkano,Y、Cell cycle−dependent expression and centrosomal localization of a third human Aurora/Ip11−related protein kinase,AIK3.Journal of Biological Chemistry 1999年、274、p.7334〜7340
【非特許文献84】Takahashi,T.ら、Centrosomal kinases,HsAIRk1 and HsAIRK3,are overexpressed in primary colorectal cancers.Jpn.J.Cancer Res. 2000年、91、p.1007〜1014
【非特許文献85】Miyoshiら、2001年、92、p.370〜373
【非特許文献86】Katayama,H.ら、Mitotic kinase expression and colorectal cancer progression、Journal of the National Cancer Institute 1999年、91、p.1160〜1162
【非特許文献87】Bischoffら、EMBO J.1998年、17、p.3052〜3065
【非特許文献88】Schumacherら、J.Cell Biol.、1998年、143、p.1635〜1646
【非特許文献89】Kimuraら、J.Biol.Chem.1997年、272、p.13766〜13771
【非特許文献90】Bischoffら、EMBO J.1998年、17、p.3052〜3065
【非特許文献91】Takahashiら、2000年、Jpn J Cancer Res.91、p.1007〜1014
【非特許文献92】Tanakaら、1999年、59、p.2041〜2044
【非特許文献93】Tatsukaら、1998年、58、p.4811〜4816
【非特許文献94】Kimuraら、1999年、274、p.7334〜7340
【非特許文献95】Takahashiら、Jpn J Cancer Res.2000年、91、p.1007〜1014
【非特許文献96】Bischoffら、EMBO J.1998年、17、p.3052〜3065
【非特許文献97】Bischoff,J.R.およびPlowman,G.D.、The Aurora/Ip11p kinase family:regulators of chromosome segregation and cytokinesis、Trends in Cell Biology 1999年、9、p.454〜459
【非特許文献98】Giet,R.およびPrigent,C.、Aurora/Ip11p−related kinases,a new ongogenic family of mitotic serine−threonine kinases、Journal of Cell Science 1999年、112、p.3591〜3601
【非特許文献99】Nigg,E.A.、Mitotic kinases as regular of cell division and its checkpoints、Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2001年、2、p.21〜32
【非特許文献100】Adams,R.R.、Carmena,M.およびEarnshaw,W.C.、Chromosomal passengers and the (aurora)ABCs of mitosis、Trends in Cell Biology 2001年、11、p.49〜54
【非特許文献101】Dutertre,S.、Descamps,S.およびPrigent,P.、On the role of aurora−A in centrosome function、Oncogene 2002年、21、p.6175〜6183
【非特許文献102】Meijer,L.Drug Resistance Updates 2000年、3、p.83〜88
【非特許文献103】Nature Reviews 2001年、2、p.21〜32
【非特許文献104】Flatt,P.、Pietenpol,J.、Drug Metabolism Reviews 2000年、32、p.283〜305
【非特許文献105】Flatt,P.、Pietenpol,J.、Drug Metabolism Reviews 2000年、32、p.283〜305
【非特許文献106】Kaubisch,A、Schwartz,G.、The Cancer Journal 2000年、6、p.192〜212
【非特許文献107】Williams,O.ら、European Journal of Immunology 2000年、p.709〜713
【非特許文献108】Meijer,L.、Drug Resistance Updates 2000年、3、p.83〜88
【非特許文献109】Ishizakiら、EMBO J.1996年、15、p.1885〜1893
【非特許文献110】Leungら、J.Biol.Chem.1995年、270、p.29051〜29054
【非特許文献111】Matsuiら、EMBO J.1996年、15、p.2208〜2216
【非特許文献112】Nakagawaら、FEBS Lett.1996年、392、p.189〜193
【非特許文献113】Amanoら、Science 1996年、271、p.648〜650
【非特許文献114】Watanabeら、Science 1996年、271、p.645〜648
【非特許文献115】Madauleら、Nature、1998年、394、p.491〜494
【非特許文献116】Madauleら、FEBS Lett.1995年、377、p.243〜248
【非特許文献117】Leungら、Mol.Cell Biol.1996年、16、p.5313〜5327
【非特許文献118】Amanoら、Science、1997年、275、p.1308〜1311
【非特許文献119】Ishizakiら、FEBS Lett.1997年、404、p.118〜124
【非特許文献120】Kimuraら、Science、1996年、273、p.245〜248
【非特許文献121】Klagesら、J.Cell.Biol.、1999年、144、p.745〜754
【非特許文献122】Fuら、FEBS Lett、1998年、440、p.183〜187
【非特許文献123】Seasholtzら、Cir.Res.、1999年、84、p.1186〜1193
【非特許文献124】Kuwaharaら、FEBS Lett.、1999年、452、p.314〜318
【非特許文献125】Yoshiiら、Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.、1999年、20、p.1190〜1200
【非特許文献126】Fukataら、Trends in Pharm.Sci、2001年、22、p.32〜39
【非特許文献127】Niliusら、J.Physiol.、1999年、516、p.67〜74
【非特許文献128】Hiroseら、J.Cell.Biol.1998年、141、p.1625〜1636
【非特許文献129】Niggli、FEBS Lett、1999年、445、p.69〜72
【非特許文献130】NobesおよびHall、J.Cell.Biol.、1999年、144、p.1235〜1244
【非特許文献131】Itohら、Nat.Med.1999年、5、p.221〜225
【非特許文献132】Sahaiら、Curr.Biol.、1999年、9、p.136〜145
【非特許文献133】Satohら、J.Clin.Invest.1994年、94、p.1397〜1403
【非特許文献134】Mukaiら、FASEB J.2001年、15、p.1062〜1064
【非特許文献135】Uehataら、Nature、1997年、389、p.990〜994
【非特許文献136】Masumotoら、Hypertension、2001年、38、p.1307〜1310
【非特許文献137】Satoら、Circ.Res.2000年、87、p.195〜200
【非特許文献138】Miyagiら、J.Neurosurg.2000年、93、p.471〜476、
【非特許文献139】Tachibanaら、Acta Neurochir(Wien)、1999年、141、p.13〜19
【非特許文献140】Shimokawaら、Jpn.Cir.J.2000年、64、p.1〜12
【非特許文献141】Kandabashiら、Circulation、2000年、101、p.1319〜1323
【非特許文献142】Katsumataら、Circulation、1997年、96、p.4357〜4363
【非特許文献143】Shimokawaら、Cardiovasc.Res.2001年、51、p.169〜177
【非特許文献144】Utsunomiyaら、J.Pharmacol.2001年、134、p.1724〜1730
【非特許文献145】Masumotoら、Circulation、2002年、105、p.1545〜1547
【非特許文献146】Chibaら、Comp.Biochem.Physiol.C Pharmacol.Txicol.Endocrinol.、1995年、11、p.351〜357
【非特許文献147】Chibaら、Br.J.Pharmacol.1999年、127、p.597〜600
【非特許文献148】Chibaら、Br.J.Pharmacol.2001年、133、p.886〜890
【非特許文献149】Iizukaら、Eur.J.Pharmacol.2000年、406、p.273〜279
【非特許文献150】Niroら、Biochem.Biophys.Res.Commun.1997年、230、p.356〜359
【非特許文献151】Taharaら、Endocrinology 2002年、143、p.920〜929
【非特許文献152】Kupittayanantら、Pflugers Arch.、2001年、443、p.112〜114
【非特許文献153】Chitaleyら、Nat.Med.2001年、7、p.119〜122
【非特許文献154】Millsら、J.Appl.Physiol.2001年、91、p.1269〜1273
【非特許文献155】Honjoら、Arch.Opthalmol.2001年、p.1171〜1178
【非特許文献156】Raoら、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.2001年、42、p.1029〜1037
【非特許文献157】Shimokawaら、Cardiovasc.Res.2001年、51、p.169〜177
【非特許文献158】Morishigeら、Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.、2001年、21、p.548〜554
【非特許文献159】Etoら、Am.Physiol.Heart Circ.Physiol.、2000年、278、H1744〜H1750
【非特許文献160】Sawadaら、Circulation 2000年、101、p.2030〜2023
【非特許文献161】Shibataら、Circulation、2001年、103、p.284〜289
【非特許文献162】Hoshijimaら、J.Biol.Chem.、1998年、273、p.7725〜77230
【非特許文献163】Sahら、J.Biol.Chem.1996年、271、p.31185〜31190
【非特許文献164】Kuwaharaら、FEBS Lett.1999年、452、p.314〜318
【非特許文献165】Yanazumeら、J.Biol.Chem.、2002年、277、p.8618〜8625
【非特許文献166】Itohら、Nat.Med.1999年、5、p.221〜225
【非特許文献167】Gendaら、Hepatology、1999年、30、p.1027〜1036
【非特許文献168】Somlyoら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、2000年、269、p.652〜659
【非特許文献169】Ikedaら、J.of Surgical Res.2003年、109、p.155〜160
【非特許文献170】Miznumaら、Transplantation、2003年、75、p.579〜586
【非特許文献171】Hernandez−Pereraら、Circ.Res.2000年、87、p.616〜622
【非特許文献172】Laufsら、J.Biol.Chem.1998年、273、p.24266〜24271
【非特許文献173】Etoら、Circ.Res.2001年、89、p.583〜590
【非特許文献174】Segainら、Gastroenterology、2003年、124(5)、p.1180〜1187
【非特許文献175】Fournierら、J.Neurosci.2003年、23、p.1416〜1423
【非特許文献176】Shimokawaら、J.Cardiovasc.Pharmacol.、2002年、39、p.319〜327
【非特許文献177】Utsunomiyaら、Br.J.Pharmacol.、2001年、134、p.1724〜1730
【非特許文献178】Masumotoら、Circulation、2002年、105、p.1545〜1547
【非特許文献179】Shimokawaら、J.Cardiovasc.Pharmacol.、2002年、40、p.751〜761
【非特許文献180】Satohら、Jpn.J.Pharmacol.、2001年、87、p.34〜40
【非特許文献181】Zhouら、Science、2003年、302、p.1215〜1218
【非特許文献182】Reesら、J.Urology、2003年、170、p.2517〜2522
【非特許文献183】Retzerら、FEBS Lett.、2000年、466、p.70〜74
【非特許文献184】Ishibashiら、Biochim.Biophys.Acta、2002年、1590、p.123〜130
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
従って、プロテインキナーゼの阻害剤として有用な化合物を開発する大きな必要性が存在する。特に、その活性化に関係する大多数の障害に現在利用可能である不適切な処置を考慮に入れると、特に、p70S6k、PDK1、GSK−3、Aurora2、CDK2およびROCKの阻害剤として有用である化合物を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0036】
(発明の要旨)
本発明の化合物、およびそれらの薬学的に受容可能な組成物が、プロテインキナーゼの阻害剤として有効であることが見出されている。特定の実施形態において、これらの化合物は、p70S6k、GSK−3および/またはROCKプロテインキナーゼのp阻害剤として有効である。これらの化合物は、一般式I:
【0037】
【化13】

を有するか、またはこれらの薬学的に受容可能な塩であり、ここで、環AおよびRは、以下に定義されるとおりである。
【0038】
これらの化合物およびこれらの薬学的に受容可能な組成物は、種々の疾患、障害または状態を処置または予防するのに有用であり、これらの疾患、障害、状態としては、心臓病、糖尿病、アルツハイマー病、免疫不全障害、炎症性疾患、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害(例えば、骨粗しょう症)、増殖性障害、感染性疾患、免疫仲介性疾患、神経変性障害もしくは神経性障害、またはウイルス疾患が挙げられるが、これらに限定されない。この組成物はまた、細胞死および細胞過形成を予防するための方法に有用であり、従って、脳卒中、心臓発作および器官低酸素症における再灌流/虚血を処置または予防するために使用され得る。この組成物はまた、トロンビン誘導性血小板凝集を予防するための方法に有用である。
【0039】
本発明によって提供される化合物はまた、生物学的現象および病理学的現象におけるキナーゼの研究;このようなキナーゼにより仲介される細胞内シグナル伝達経路の研究;ならびに新規のキナーゼ阻害剤の比較評価に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
(本発明の特定の実施態様の詳細な説明)
(1.本発明の化合物の概要)
本発明は、式Iの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関する:
【0041】
【化14】

ここで:
は、R、−SOR、−SON(R)、−C(O)R、−CORまたは−CON(R)である;
各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択されるか、または:
同じ窒素原子上の2個のR基は、該窒素原子と一緒になって、3員〜8員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環を形成し、該環は、該窒素原子に加えて、1個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
環Aは、1個〜4個のヘテロ原子を有する5員ヘテロ芳香環であり、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで、該環は、1個、2個または3個のL−R基で置換されている;
各Rは、別個に、C1〜6脂肪族、CN、ハロゲン、NOまたはArから選択される;
各Lは、別個に、原子価結合または必要に応じて置換したC1〜6アルキリデン鎖から選択され、ここで、Lの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)−、−CO−、−NRCO−、−C(O)NR−、−SONR−、−NRSO−または−NRSONR−で置き換えられている;そして
Arは、必要に応じて置換した3員〜8員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環式環または8員〜10員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環であり、該単環式環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、そして該二環式環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。
【0042】
ある実施態様では、本発明は、式Iの化合物を提供し、ここで、環Aがその4位置でCN、−C(O)NR、−C(O)NHN(R)(R)、−C(O)OR、イミダゾリルまたは1,2,4−トリアゾリルで置換された1,2,3−トリアゾール−1−イルであるとき、該環Aの1,2,3−トリアゾール−1−イルは、その5位置で、−CHN(R)Rまたは−CHCHN(R)Rで置換されていない。
【0043】
他の実施態様では、本発明は、式Iの化合物を提供し、ここで、環Aがテトラゾリルであるとき、環Aは、その5位置でL−Rで置換されてテトラゾール−2−イルである。
【0044】
(2.化合物および定義)
本発明の化合物には、上で一般的に記述したものが挙げられ、さらに、本明細書中で開示したクラス、下位分類および種により例示される。本明細書中で使用する以下の定義は、特に明記しない限り、適用される。本発明の目的のために、化学元素は、the Periodic Table of the Elements,CAS version,Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.に従って、同定される。さらに、有機化学の一般的な原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999および「March’s Advanced Organic Chemistry」、5th Ed.,Ed.:Smith,M.B.and March,J.,John Wiley & Sons,New York:2001で記述されており、それらの全内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0045】
本明細書中で記述する本発明の化合物は、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基(例えば、上で一般に例示したもの、または本発明の特定のクラス、下位分類および種で代表されるもの)で置換され得る。「必要に応じて置換した」との語句は、「置換または非置換」との語句と交換可能に使用されることが分かる。一般に、「置換された」との用語(その前に「必要に応じて」との用語が付いていようといまいと)は、特定した置換基のラジカルを有する所定の構造にある水素ラジカルを置き換えることを意味する。特に明記しない限り、必要に応じて置換した基は、その基の各置換可能位置で置換基を有し得、任意の所定の構造にある1個より多い位置が特定した基から選択される1個より多い置換基で置換され得るとき、その置換基は、どの位置でも、同一または異なり得る。本発明で想定される置換基および変数の組合せは、好ましくは、例えば、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物の形成を生じるものである。本明細書中で使用する「安定な」との用語は、それらの製造、検出、好ましくは、それらの回収、精製、および本明細書中で開示した目的の1つまたはそれ以上に使用することを可能にする条件に晒すとき、実質的に変化しない化合物を意味する。ある実施態様では、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、水分または他の化学的に反応性の状態なしで、40℃以下の温度で、少なくとも1週間保持したとき、実質的に変化しないものである。
【0046】
本明細書中で使用する「脂肪族」または「脂肪族基」との用語は、直鎖(すなわち、分枝していない)または分枝の置換または非置換炭化水素鎖(これは、完全に飽和しているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する)または単環式炭化水素または二環式炭化水素(これは、完全に飽和しているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有する)であるが、芳香族ではなく(これはまた、本明細書中にて、「炭素環式」または「シクロアルキル」とも呼ばれる)、分子の残りと単一の結合点を有する。特に明記しない限り、脂肪族基は、1個〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。ある実施態様では、脂肪族基は、1個〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施態様では、脂肪族基は、1個〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施態様では、脂肪族基は、1個〜6個の脂肪族炭素原子を含有し、さらに他の実施態様では、脂肪族基は、1個〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。ある実施態様では、「環状脂肪族」(または「炭素環式」または「シクロアルキル」)とは、単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素を意味し、これは、完全に飽和しているか、または1個またはそれ以上の不飽和単位を含有するが、それは、芳香族ではなく、分子の残りと単一の結合点を有し、ここで、該二環式の環系にある任意の個々の環は、3員〜7員を有する。適当な脂肪族基には、直鎖または分枝の置換または非置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびそれらの混成体(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書中で使用する「ヘテロ脂肪族」との用語は、1個または2個の炭素原子を1個またはそれ以上の酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素で別個に置換した脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換または非置換、分枝または非分枝、環式または非環式であり得、「ヘテロサイクル」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ環状脂肪族」基または「複素環」基を含む。
【0048】
本明細書中で使用する「ヘテロサイクル」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環状脂肪族」または「複素環」との用語は、1個またはそれ以上の環メンバーが別個に選択したヘテロ原子である単環式、二環式または三環式の環系を意味する。ある実施態様では、この「ヘテロサイクル」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ環状脂肪族」基または「複素環」基は、3個〜14個の環メンバーを有し、ここで、1個またはそれ以上の環メンバーは、酸素、イオウ、窒素またはリンから別個に選択されるヘテロ原子であり、そして該系内の各環は、3個〜7個の環メンバーを含有する。
【0049】
「ヘテロ原子」との用語は、1種またはそれ以上の酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素(窒素、イオウ、リンまたはケイ素の任意の酸化形状;任意の塩基性窒素の四級化形状;複素環の置換可能窒素(例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のもののように)、NH(ピロリジニル中のもののように)またはNR(N−置換ピロリジニル中のもののように)を含めて)を意味する。
【0050】
本明細書中で使用する「不飽和」との用語は、ある部分が1個またはそれ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0051】
本明細書中で使用する「アルコキシ」または「チオアルキル」との用語は、酸素(「アルコキシ」)またはイオウ(「チオアルキル」)原子を介して炭素主鎖に結合したアルキル基(これは、先に定義した)を意味する。
【0052】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」との用語は、場合によっては、1個またはそれ以上のハロゲン原子で置換され得るアルキル、アルケニルまたはアルコキシを意味する。「ハロゲン」との用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0053】
「アリール」との用語は、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この環系内の各環は、3員〜7員を含有する。「アリール」との用語は、「アリール環」との用語と交換可能に使用され得る。「アリール」との用語はまた、以下で定義するヘテロアリール環系を意味する。
【0054】
「ヘテロアリール」との用語は、単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の少なくとも1個の環は、芳香族であり、この系内の少なくとも1個の環は、1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有し、ここで、この系内の各環は、3員〜7員を含有する。「ヘテロアリール」との用語は、「ヘテロアリール環」との用語または「ヘテロ芳香族」との用語と交換可能に使用され得る。
【0055】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含めて)基またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含めて)基は、1個またはそれ以上の置換基を含有し得る。上でまたはアリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適当な置換基は、一般に、以下から選択される:ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;必要に応じてRで置換したフェニル(Ph);必要に応じてRで置換した−O(Ph);必要に応じてRで置換した−(CH1〜2(Ph);必要に応じてRで置換した−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(O)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(O)N(R;−OC(O)N(R;−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSOR°;−C(=S)N(R;−C(=NH)−N(R;または−(CH0〜2NHC(O)R;ここで、Rの各存在は、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族、非置換5員〜6員ヘテロアリールまたは複素環、フェニル、−O(Ph)または−CH(Ph)、または上記定義にもかかわらず、Rの2個の別個の存在は、同じ置換基または異なる置換基上にて、各R基が結合する原子と一緒になって、5員〜8員ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環または3員〜8員シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環を形成し、この環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、Rの前述のC1〜4脂肪族基の各々は、非置換である。
【0056】
脂肪族またはヘテロ脂肪族基または非芳香族複素環は、1個またはそれ以上の置換基を含有し得る。脂肪族またはヘテロ脂肪族基または非芳香族複素環の飽和炭素上の適当な置換基には、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙したものから選択され、さらに、以下が挙げられる:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)または=NRであって、ここで、各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族から選択される。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、Rの前述のC1〜4脂肪族基の各々は、非置換である。
【0057】
非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−NRSOから選択される;ここで、Rは、水素、必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基、必要に応じて置換したフェニル、必要に応じて置換した−O(Ph)、必要に応じて置換した−CH(Ph)、必要に応じて置換した−(CH)H(Ph)、必要に応じて置換した−CH=CH(Ph);または非置換5員〜6員ヘテロアリールまたは複素環(これは、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される)、または上記定義にもかかわらず、Rの2個の別個の存在は、同じ置換基または異なる置換基上にて、各R基が結合する原子と一緒になって、5員〜8員ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環または3員〜8員シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール環を形成し、この環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。Rの脂肪族基またはフェニル環上の任意の置換基は、−NH、−NH(C1〜4脂肪族)、−N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、−OH、−O(C1〜4脂肪族)、−NO、−CN、−COH、−CO(C1〜4脂肪族)、−O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、Rの前述のC1〜4脂肪族基の各々は、非置換である。
【0058】
「アルキリデン鎖」との用語は、直鎖または分枝炭素鎖であって、完全に飽和であり得るか1個またはそれ以上の不飽和単位を有し得かつ分子の残りと2個の結合点を有するものを意味する。アルキリデン鎖の飽和炭素上の適当な置換基は、脂肪族基について上で列挙したものから選択される。
【0059】
上で詳述するように、ある実施態様では、R(またはR、または本明細書中で同様に定義した他の変数)は、各変数が結合する原子と一緒になって、5員〜8員ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環または3員〜8員シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環を形成し、この環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。R(またはR、または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の別個の存在が、各変数が結合する原子と一緒になるとき、形成される代表的な環には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:a)同じ原子に結合するR(またはR、または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の別個の存在は、その原子と一緒になって、環、例えば、N(Rを形成し、ここで、Rの両方の存在は、その窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基またはモルホリン−4−イル基を形成する;b)異なる原子に結合するR(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の別個の存在は、これらの原子の両方と一緒になって、環を形成し、例えば、ここで、フェニル基は、OR
【0060】
【化15】

の2個の存在で置換されており、Rのこれらの2個の存在は、それらが結合する酸素原子と一緒になって、以下の縮合6員酸素含有環を形成する:
【0061】
【化16】

(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の別個の存在が各変数が結合する原子と一緒になるときに、他の種々の環が形成でき上で詳述した例は、限定するつもりはないことが明らかである。
【0062】
特に明記しない限り、本明細書中で描写した構造はまた、その構造の全ての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何異性体(すなわち、立体配座))形状;例えば、各非対称中心のRおよびS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、および(Z)および(E)立体配座異性体を含むことを意味する。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体だけでなく鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何異性体(すなわち、立体配座)混合物は、本発明の範囲内である。特に明記しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形状は、本発明の範囲内である。あるいは、特に明記しない限り、本明細書中で描写した構造はまた、1個またはそれ以上の同位体的に富んだ原子の存在下にてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、水素を重水素または三重水素で置き換えるか炭素を13C−または14C−富んだ炭素で置き換えたこと以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析手段またはプローブとして、有用である。
【0063】
(3.代表的な化合物の説明)
1実施態様によれば、環Aは、2個〜4個の窒素を有する5員ヘテロ芳香環であり、ここで、該環は、1個、2個または3個のL−R基で置換されている。
【0064】
他の実施態様によれば、環Aは、1個または2個の窒素と1個のイオウ原子または1個の酸素原子のいずれかとを有する5員ヘテロ芳香環であり、ここで、該環は、1個または2個のL−R基で置換されている。
【0065】
他の実施態様によれば、環Aは、1個のイオウ原子または1個の酸素原子のいずれかを有する5員ヘテロ芳香環であり、ここで、該環は、1個または2個のL−R基で置換されている。
【0066】
他の実施態様によれば、環Aは、以下の部分から選択される:
【0067】
【化17】

ここで、各環A部分は、本明細書中にて上で定義したような、1個、2個または3個のL−R基で置換されている。
【0068】
本発明の他の局面は、式Iの化合物に関し、ここで、環Aは、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリルまたはテトラゾリルであり、ここで、各環A部分は、本明細書中にて上で定義したような、1個、2個または3個のL−R基で置換されている。
【0069】
ある実施態様では、本発明は、式Iの化合物を提供し、ここで、環Aは、環A−iであり、そして該化合物は、式IIの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩である:
【0070】
【化18】

ここで、LおよびRは、本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて、上で定義したとおりである。
【0071】
他の実施態様では、本発明は、式IIの化合物を実質的に含む式Iの化合物を提供する。本明細書中で使用する「式IIの化合物を実質的に含む」との語句は、該化合物が、少なくとも約40%の式IIの化合物を含有することを意味する。ある実施態様では、本発明は、約40〜95%の式IIの化合物を含む式Iの化合物を提供する。他の実施態様では、本発明は、約50〜80%の式IIの化合物を含む式Iの化合物を提供する。さらに他の実施態様では、本発明は、約60〜75%の式IIの化合物を含む式Iの化合物を提供する。
【0072】
本明細書中で使用する「約」との用語は、プラスマイナス10%の逸脱を意味する。
【0073】
本発明の他の実施態様によれば、式Iおよび式IIのいずれかのL部分は、C1〜4アルキリデン鎖であり、ここで、Lの1個または2個のメチレン単位は、別個に、−NR−、−S−、−O−、−NRC(O)−、−C(O)NR−、−C(O)O−または−C(O)−で置き換えられている。
【0074】
ある実施態様では、式Iおよび式IIのいずれかのL部分は、必要に応じて置換した分枝C1〜6アルキリデン鎖であり、ここで、Lの1個または2個のメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−NR−、−S−、−O−、−NRC(O)−、−C(O)NR−、−C(O)O−または−C(O)−で置き換えられている。
【0075】
本発明の他の実施態様は、式Iおよび式IIのいずれかの化合物に関し、ここで、Lは、原子価結合である。
【0076】
本発明の他の実施態様は、式Iおよび式IIのいずれかの化合物に関し、ここで、Rは、必要に応じて置換したC1〜4脂肪族である。このような基には、必要に応じて置換したイソプロピル、エチル、イソブチルおよびメチルが挙げられる。このR脂肪族基に適当な置換基には、ハロゲン、NH、CNおよびOHが挙げられる。
【0077】
他の実施態様によれば、本発明は、式Iおよび式IIのいずれかの化合物を提供し、ここで、Rは、Arであり、ここで、Arは、必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環式環または必要に応じて置換した9員〜10員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環であり、該単環式環は、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、そして該二環式環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される。ある実施態様では、該R基のAr部分は、必要に応じて置換したフェニル、ピリジル、ベンゾフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノリニルまたはナフチルである。このR基のAr部分上の適当な置換基には、ハロゲン、OR、ハロC1〜4脂肪族、RまたはNHSOが挙げられる。このような基には、クロロ、フルオロ、ブロモ、OH、OMe、CFおよびNHSOが挙げられる。ArがORで置換されているとき、このような基には、さらに、RがC1〜4脂肪族(これは、必要に応じて、5員〜6員の複素環で置換されており、この複素環は、1個〜2個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される)であるものが挙げられる。このような環には、必要に応じて置換したピペラジニル、ピペリジン−1−イルおよびピペリジン−4−イルが挙げられる。
【0078】
式Iの代表的な化合物は、以下の表1で示す。
【0079】
(表1.式Iの代表的な化合物)
【0080】
【化19】

【0081】
【化20】

【0082】
【化21】

【0083】
【化22】

【0084】
【化23】

【0085】
【化24】

【0086】
【化25】

【0087】
【化26】

(4.一般合成方法)
本発明の化合物は、一般に、以下の一般スキームおよび次の調製実施例で説明されているように、類似の化合物に関する当業者に公知の方法により、調製され得る。
【0088】
(スキームI)
【0089】
【化27】

上記スキームIは、環Aが1個のL−R基でテトラゾリル置換されているときの本発明の特定の代表的な化合物を調製する一般的な合成経路を示す。これらの化合物は、V.G.Andrianov,A.V.Eremeev,Chem.Heterocycl.Compd.,(1994),30,608−611およびT.Ichikawa,T.Kato,T.Takenishi;J.Heterocycl.Chem.,(1965),2,253−255で記述された方法と実質的に類似の方法により、調製される。当業者であれば、中間体6および8から本発明の種々の化合物(これには、化合物I−24が挙げられるが、これに限定されない)が調製されることを認識するであろう。当業者であれば、また、カルボキシレート化合物8から化合物I−24を調製するのに使用されるアシル化工程が種々の公知の方法により実行され得ることを認識するであろう。
【0090】
(スキームII)
【0091】
【化28】

上記スキームIIは、環Aが1個のL−R基でチアゾリル置換されているときの本発明の特定の代表的な化合物を調製する一般的な合成経路を示す。これらの化合物は、Gazz.Chim.Ital.,(1931),61,51およびRuss.Chem.Bull.,(1993),42(4),708で記述された方法と実質的に類似の方法により、調製される。当業者であれば、種々の公知方法により中間体14から本発明の種々の化合物(これには、化合物I−25が挙げられるが、これに限定されない)が調製されることを認識するであろう。
【0092】
(スキームIII)
【0093】
【化29】

上記スキームIIIは、環Aが1個のL−R基でチエニル置換されているときの本発明の特定の代表的な化合物を調製する一般的な合成経路を示す。当業者であれば、種々の公知方法により中間体17から本発明の種々の化合物(これには、化合物I−26が挙げられるが、これに限定されない)が調製されることを認識するであろう。
【0094】
(スキームIV)
【0095】
【化30】

上記スキームIVは、環Aが1個のL−R基でトリアゾリル置換されているときの本発明の特定の代表的な化合物を調製する一般的な合成経路を示す。これらの化合物は、T.Ichikawa,T.Kato,T.Talcenishi;J.Heterocycl.Chem.,(1965),2,253−255で記述された方法と実質的に類似の方法により、調製される。
【0096】
(スキームV)
【0097】
【化31】

上記スキームVは、環Aが1個のL−R基でトリアゾリル置換されているときの本発明の特定の代表的な化合物を調製する一般的な合成経路を示す。
【0098】
(スキームVI)
【0099】
【化32】

上記スキームVIは、環Aが1個のL−R基でトリアゾール−1−イル置換されているときの本発明の特定の代表的な化合物を調製する一般的な合成経路を示す。これらの化合物は、W.K.Warburton,J.Cliem.Soc.(C),(1966),1522;G.I.Gregoryら,,J.Chem.Soc.Permkin Trans.1,(1973),47−51;V.G.Andrianovら、Chem.Heterocycl.Cpds.,(1994),30(4),475−477;およびChem.Heterocycl.Cpds.(1992),28(7),808−812で記述された方法と実質的に類似の方法により、調製される。
【0100】
上でおよび本明細書中では、特定の代表的な実施態様が描写され記述されているものの、本発明の化合物は、当業者に一般に利用可能な方法により、適当な出発物質を使用して、上で一般に記述した方法に従って、調製できる。
【0101】
(5.使用、処方物および投与)
本明細書中で記述した化合物および組成物は、一般に、1種またはそれ以上のプロテインキナーゼ活性を阻害するのに有用である。キナーゼの構造、機能、および疾患または病徴におけるそれらの役割に関連したそれ以上の情報は、the Protein Kinase Resource website(http://kinases.sdsc.edu/html/index.shtml)で入手できる。
【0102】
本明細書中で記述した化合物および組成物により、また、本明細書で記述した方法に対して阻害されるキナーゼの例には、p70S6k、GSK−3および/またはROCK、およびこれらのキナーゼの全ての亜型が挙げられるが、これらに限定されない。従って、本発明の化合物および組成物はまた、前述のキナーゼの1種またはそれ以上が関与している疾患および病徴を治療するのに特に適している。
【0103】
特定の1実施態様では、本発明の化合物および組成物は、p70S6k、GSK−3および/またはROCKの阻害剤であり、それゆえ、これらの化合物および組成物は、p70S6k、GSK−3および/またはROCKに関連した疾患または病徴を治療するかそれらの重症度を軽減するのに特に有用である。
【0104】
p70S6k、GSK−3および/またはROCKの阻害剤として本発明で使用される化合物の活性は、インビトロ、インビボまたは細胞系にて、アッセイされ得る。インビトロアッセイには、活性化したp70S6k、GSK−3および/またはROCKのリン酸化活性またはATPase活性のいずれかの阻害を決定するアッセイが挙げられる。別のインビトロアッセイは、その阻害剤がp70S6k、GSK−3および/またはROCKに結合する性能を定量化する。阻害剤の結合は、その阻害剤を結合前に放射標識することにより、阻害剤/ROCK、阻害剤/GSK−3または阻害剤/p70S6k錯体を単離することにより、そして結合した放射標識の量を決定することにより、測定され得る。あるいは、阻害剤の結合は、競争実験を実行することにより決定され得、この場合、新しい阻害剤は、公知の放射性リガンドに結合したp70S6k、GSK−3および/またはROCKでインキュベートされる。p70S6k、GSK−3および/またはROCKキナーゼの阻害剤として本発明で利用される化合物をアッセイする詳細な条件は、以下の実施例で示す。
【0105】
他の実施態様によれば、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体と、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルとを含有する組成物または薬学的に受容可能な組成物を提供する。他の実施態様によれば、本発明の組成物中での化合物の量は、生体試料または患者において、プロテインキナーゼ(特に、p70S6k、GSK−3および/またはROCKキナーゼ)を検出可能に阻害するのに有効な量である。好ましくは、本発明の組成物は、このような組成物が必要な患者に投与するように処方される。最も好ましくは、本発明の組成物は、患者に経口投与するように、処方される。
【0106】
本明細書中で使用する「患者」との用語は、動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0107】
「薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクル」との用語は、処方する化合物の薬理学的な活性を損なわない非毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルを意味する。本発明の組成物で使用され得る薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
本明細書中で使用する「検出可能に阻害する」との用語は、該組成物およびp70S6k、GSK−3および/またはROCKキナーゼを含有する試料と、該組成物なしでp70S6k、GSK−3および/またはROCKキナーゼを含有する等価試料との間のp70S6k、GSK−3および/またはROCK活性の測定可能な変化を意味する。
【0109】
「薬学的に受容可能な誘導体」とは、本発明の化合物の任意の非毒性の薬学的に受容可能な塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体であって、レシピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性代謝物または残留物を直接的または間接的のいずれかで提供できるものを意味する。
【0110】
本明細書中で使用する「阻害的に活性な代謝物またはそれらの残留物」とは、代謝物またはそれらの残留物が、また、p70S6k、GSK−3および/またはROCKキナーゼの阻害剤であることを意味する。
【0111】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、薬学的に受容可能な無機および有機の酸および塩基から誘導したものが挙げられる。適当な酸塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩が挙げられる。他の酸(例えば、シュウ酸)は、それ自体は薬学的に受容可能ではないものの、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製で、使用できる。
【0112】
適当な塩基から誘導した塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN−(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示した化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定している。このような四級化により、水溶性または油溶性または水分散性または油分散性の生成物を得ることができる。
【0113】
本発明の組成物は、経口的、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から、鼻から、頬から、膣から、または移植したレザバを介して、投与できる。本明細書中で使用する「非経口的」との用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、鞘内、病巣内および頭蓋内の注射方法または注入方法を含める。好ましくは、これらの組成物は、経口的または静脈内で投与される。本発明の組成物の無菌の注射可能な形状は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。この懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の方法に従って、処方できる。この無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に適当な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用できる適当な賦形剤および溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来、溶媒または懸濁媒体として、無菌の非揮発性油が使用されている。
【0114】
この目的には、いずれかのブランドの非揮発性油が使用でき、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能なオイル(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチレン化した型)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)または類似の分散剤(これらは、乳濁液または懸濁液を含めた薬学的に受容可能な剤形を処方する際に、通例、使用される)を含有できる。他の通例使用される界面活性剤(例えば、Tweens、Spansおよび他の乳化剤)または生体利用能向上剤(これらは、薬学的に受容可能な固体、液状または他の剤形を製造する際に、通例使用される)もまた、処方の目的のために、使用できる。
【0115】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、いずれかの経口的に適当な剤形(これには、カプセル、錠剤、および水性懸濁液および水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、投与できる。経口用途のための錠剤の場合には、通常使用される担体には、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、典型的には、添加される。カプセル形状での経口投与に有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口用途に水性懸濁液が必要なとき、その活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。望ましいなら、ある種の甘味料、香料または着色剤を添加してもよい。
【0116】
あるいは、本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、直腸投与のための座剤の形状で投与するとき、この試薬と、適当な非刺激性の賦形剤(これは、室温で固体であるが、直腸温では液体であり、従って、直腸で融けて活性成分を放出する)と混合することにより、調製できる。このような物質には、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0117】
本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、特に、治療の標的が局所的な適用により容易にアクセスできる領域または器官(目、皮膚または下部腸道の疾患を含めて)を含むとき、局所的に投与できる。これらの領域または器官のそれぞれに適当な局所製剤は、容易に調製される。
【0118】
下部腸道に対する局所適用は、直腸座剤処方(上記)により、または適当な浣腸処方にて、行うことができる。局所的な皮膚間パッチもまた、使用できる。
【0119】
局所的に適用するためには、この薬学的に受容可能な組成物は、1種またはそれ以上の担体に懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適当な軟膏で、処方できる。本発明の化合物の局所投与用の担体には、鉱油、液状石油、ホワイト石油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、この薬学的に受容可能な組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に適当な担体に懸濁するかまたは溶解した活性成分を含む適当なローションまたはクリームで処方できる。適当な担体には、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
眼科用途には、この薬学的に受容可能な組成物は、防腐剤(例えば、ベンジルアルコニウムクロライド)と共にまたはそれなしで、pHを調整したアイソトニック無菌サリンの微細化懸濁液として、または、好ましくは、pHを調整したアイソトニック無菌サリンの溶液として、処方できる。あるいは、眼科用途には、この薬学的に受容可能な組成物は、軟膏(例えば、ペトロラタム)に処方できる。
【0121】
鼻エアロゾルまたは鼻吸入により投与するには、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、製薬処方の当該技術分野で周知の技術に従って、調製され、サリン中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を使用して、調製できる。
【0122】
最も好ましくは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口投与用に処方される。
【0123】
単一剤形の組成物を製造する担体物質と組み合わされ得る本発明の化合物の量は、治療する患者および特定の投与様式に依存して、変わる。好ましくは、これらの組成物は、これらの組成物を受ける患者に0.01〜100mg/体重1kg/日の間の投薬量の阻害剤が投与できるように、処方されるべきである。
【0124】
任意の特定の患者のための特定の投薬量および処置レジメンは、種々の因子(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、常食、投与時間、排泄率、薬物の組合せ、疾患の重篤度および経過、および患者の疾患に対する素因、および処置する医師の判断を含む)に依存することもまた理解できるはずである。この組成物中の本発明の化合物の量はまた、その組成物中の特定の化合物に依存する。
【0125】
1実施態様によれば、本発明は、生体試料において、プロテインキナーゼ活性を阻害する方法に関し、該方法は、該生体試料を、本発明の化合物または該化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。
【0126】
他の実施態様によれば、本発明は、生体試料において、p70S6k、GSK−3および/またはROCKキナーゼ活性阻害する方法に関し、該方法は、該生体試料を、本発明の化合物または該化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。
【0127】
本明細書中で使用する「生体試料」との用語は、細胞培養物またはそれらの抽出物;哺乳動物またはその抽出物から得られる生検材料;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液またはそれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
生体試料でのp70S6k、GSK−3および/またはROCKキナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。このような目的の例には、輸血、臓器移植、生体試料の保存および生物検定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
本発明の他の実施態様は、患者において、プロテインキナーゼ活性を阻害する方法に関し、該方法は、該患者に、本発明の化合物または該化合物を含有する組成物を投与する工程を包含する。
【0130】
他の実施態様によれば、本発明は、患者において、p70S6k、GSK−3および/またはROCKキナーゼ活性を阻害する方法に関し、該方法は、該患者に、本発明の化合物または該化合物を含有する組成物を投与する工程を包含する。
【0131】
本明細書中で使用する「p70S6kが媒介する病気または疾患」とは、p70S6kが一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。「p70S6kが媒介する病気または疾患」との用語はまた、p70S6k阻害剤で治療することにより軽減される疾患または状態を意味する。従って、本発明の他の実施態様は、p70S6kが一定の役割を果たすことが知られている1種またはそれ以上の疾患を治療するかその重症度を軽減することに関する。具体的には、本発明は、増殖障害(例えば、癌および結節硬化症)を治療するかその重症度を軽減する方法に関し、ここで、該方法は、それを必要としている患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0132】
本明細書中で使用する「PDK1が媒介する病気または疾患」とは、PDK1が一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。「PDK1が媒介する病気または疾患」との用語はまた、PDK1阻害剤で治療することにより軽減される疾患または状態を意味する。従って、本発明の他の実施態様は、PDK1が一定の役割を果たすことが知られている1種またはそれ以上の疾患を治療するかその重症度を軽減することに関する。具体的には、本発明は、増殖障害、および膵臓癌、前立腺癌または卵巣癌から選択される疾患または病気を治療するかその重症度を軽減する方法に関し、ここで、該方法は、それを必要としている患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0133】
本明細書中で使用する「GSK3が媒介する病気または疾患」とは、GSK3が一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。従って、本発明の他の実施態様は、GSK3が一定の役割を果たすことが知られている1種またはそれ以上の疾患を治療するかその重症度を軽減することに関する。具体的には、本発明は、自己免疫疾患、炎症疾患、代謝障害、精神障害、糖尿病、血管新生障害、タウオポシー(tauopothy)、神経または神経変性疾患、脊髄損傷、緑内障、禿頭症または循環器病から選択される疾患または病気を治療するかその重症度を軽減する方法に関し、ここで、該方法は、それを必要としている患者に、本発明の組成物を投与する工程を包含する。
【0134】
本明細書中で使用する「Auroraが媒介する病気または疾患」とは、Aurora族プロテインキナーゼが一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。従って、本発明の他の実施態様は、Auroraが一定の役割を果たすことが知られている1種またはそれ以上の疾患を治療するかその重症度を軽減することに関する。具体的には、本発明は、黒色腫、白血病、または以下から選択される癌から選択される疾患または病気を治療するかその重症度を軽減する方法に関する:直腸癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、子宮頚癌、肺癌、CNS、腎臓癌、前立腺癌、リンパ腫、神経芽細胞腫、膵臓癌、白血病および膀胱癌。
【0135】
本発明の他の局面は、患者における癌細胞の癌細胞の有糸分裂を中断させることに関し、該方法は、該患者に、本発明の化合物またはそれらの組成物を投与する工程を包含する。
【0136】
他の実施態様によれば、本発明は、患者における癌を治療するかその重症度を軽減する方法に関し、該方法は、Aurora−1、Aurora−2および/またはAurora−3を本発明の化合物またはそれらの組成物で阻害することにより、該癌細胞の有糸分裂を中断させる工程を包含する。
【0137】
本明細書中で使用する「ROCKが媒介する病気または疾患」とは、ROCKが一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。「ROCKが媒介する病気または疾患」との用語はまた、ROCK阻害剤で治療することにより軽減される疾患または状態を意味する。このような疾患には、高血圧症、アンギナ、脳血管収縮、喘息、末梢循環障害、早産、癌、勃起不全、動脈硬化症、攣縮(脳血管攣縮および冠動脈攣縮)、網膜症(例えば、緑内障)、炎症障害、自己免疫疾患、AIDS、骨粗鬆症、心筋肥大、虚血/再灌流誘発傷害、前立腺肥大症および内皮不全が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
本明細書中で使用する「CDK2が媒介する病気または疾患」とは、CDK2が一定の役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。従って、これらの化合物は、CDK2キナーゼの活性により影響されることが知られている疾患または病気を治療するのに有用である。このような疾患または病気には、ウイルス性感染、神経変性疾患、および胸腺細胞アポトーシス関連障害が挙げられる。このような疾患または病気には、また、細胞分裂周期(特に、G1段階からS段階までの進行)が調節できなくなることに起因する増殖障害が挙げられる。
【0139】
他の実施態様によれば、本発明は、癌を治療するかその重症度を軽減する方法に関し、該方法は、本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な組成物でCDK2を阻害することにより、癌細胞の転移またはそれらの増殖段階を阻止する工程を包含する。
【0140】
治療する特定の病気または疾患に依存して、本発明の組成物中には、その病気を治療するのに通常投与される追加治療薬もまた、存在し得る。本明細書中で使用するように、その病気を治療するのに通常投与される追加治療薬は、「治療する疾患または病気に適当である」として、知られている。
【0141】
例えば、増殖性疾患および癌を治療するために、化学療法薬または他の抗増殖薬が本発明の化合物と併用され得る。公知の化学療法薬の例には、Gleevec(登録商標)、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキソール、インターフェロンおよび白金誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
本発明の阻害剤がまた併用され得る薬剤の他の例には、アルツハイマー病の治療薬(例えば、Aricept(登録商標)およびExcelon(登録商標));パーキンソン病の治療薬(例えば、L−DOPA/カルビドパ、エンタカポン、ロピンロール、プロミペキソール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、トリヘキシフェンジルおよびアマンダジン);多発性硬化症(MS)の治療薬(例えば、β−インターフェロン(例えば、Avonex(登録商標)およびRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)およびミトキサントロン);喘息の治療薬(例えば、アルブテロールおよびSingulair(登録商標));精神分裂病の治療薬(例えば、ジプレキサ、リスパダール、セロクエルおよびハロペリドール);抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド、TNF遮断薬、IL−1 RA、アザチオプリンおよびスルファサラジン);免疫調節薬または免疫抑制薬(例えば、サイクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリンおよびスルファサラジン);神経栄養因子(例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャンネル遮断薬、リルゾールおよび抗パーキンソン病薬);循環器病の治療薬(例えば、β−遮断薬、ACE阻害剤、利尿薬、硝酸塩、カルシウムチャンネル遮断薬およびスタチン);肝臓病の治療薬(例えば、コルチコステロイド、コレステラミン、インターフェロンおよび抗ウイルス薬);血液疾患の治療薬(例えば、コルチコステロイド、抗白血病薬および成長因子);および免疫不全疾患の治療薬(γ−グロブリン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
これらの追加薬剤は、複数投薬レジメンの一部として、この化合物を含有する組成物とは別々に投与され得る。あるいは、これらの薬剤は、単一剤形の一部として投与され得、単一組成物中にて、本発明の化合物と共に混合され得る。もし、複数投薬レジメンの一部として投与するなら、2種の活性剤は、同時、順次、または互いに一定時間以内(通常、互いに5時間以内)に、投入され得る。
【0144】
担体物質と混ぜ合わされて単一剤形を生じ得る(上記追加治療薬を含有する組成物中での)この化合物と追加治療薬との両方の量は、治療するホストおよび特定の投与様式に依存して、変わる。好ましくは、本発明の組成物は、0.01〜100mg/体重1kg/日の間の投薬量の式Iの化合物が投与できるように、処方すべきである。
【0145】
追加治療薬を含有する組成物では、その追加治療薬と本発明の化合物とは、相乗的に作用し得る。従って、このような組成物中での追加治療薬の量は、その治療薬だけを使用する単独療法で必要な量よりも少ない。このような組成物中では、0.01〜100mg/体重1kg/日の間の投薬量の追加治療薬が投与できる。
【0146】
本発明の組成物中に存在する追加治療薬の量は、唯一の活性剤としてその治療薬を含有する組成物で通常投与される量以下である。好ましくは、現在開示された組成物中の追加治療薬の量は、唯一の活性剤としてその治療薬を含有する組成物中で存在する量の約50%〜100%の範囲である。
【0147】
本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な組成物はまた、移植可能医療用具(例えば、補綴物、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテル)を被覆する組成物に取り込まれ得る。例えば、血管ステントは、再狭窄(傷害後に血管壁が再び狭くなること)を克服するのに使用されている。しかしながら、ステントまたは他の移植可能装置を使用している患者は、血餅の形成または血小板の活性化というリスクがある。これらの好ましくない影響は、その装置を、キナーゼ阻害剤を含有する薬学的に受容可能な組成物で予め被覆することにより、防止または軽減され得る。適当な被覆および被覆した移植可能装置の一般的な作製は、米国特許第6,099,562号;第5,886,026号;および第5,304,121号で記述されている。これらの被覆には、典型的には、生体適合性高分子材料(例えば、ヒドロゲル重合体、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン−酢酸ビニルおよびそれらの混合物)がある。これらの被覆は、必要に応じて、さらに、その組成物で制御した放出特性を与えるために、フルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組合せの適当なトップコートにより、覆われ得る。本発明の化合物で被覆される移植可能装置は、本発明の他の実施態様である。
【0148】
前述の方法の各々は、1種またはそれ以上のプロテインキナーゼの阻害、またはそれにより軽減される疾患の治療に関し、好ましくは、式Iの化合物、または上でおよび本明細書中で記述したようなそれらの任意の種類および下位分類を使って、実行される。
【0149】
本発明をさらに十分に理解するために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的だけのものであり、いずれの様式でも、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではないことが理解できるはずである。
【実施例】
【0150】
本明細書中で使用する「R」との用語は、特に明記しない限り、以下のHPLC方法の1つを使用して化合物について得られ保持時間(分間)を意味する:
方法A:
カラム:Hypersil BDS C18 5um、2.1×50mm:
流速:1.0mL/分
勾配:2.39分間にわたって、HO(0.1%TFA)中で、0〜95%MeCN(0.1%TFA)。
【0151】
方法B:
カラム:YMC Base Pro C18 5um、2×50mm:
流速:1.0mL/分
勾配:5.0分間にわたって、HO(0.2%ギ酸)中で、10〜90%MeCN。
【0152】
方法C:
カラム:Phenomenex C18(2)Lunaカラム(30×4.6mm)(これは、40℃で維持した)
流速:2mL/分
勾配:0分、80%HO〜20%MeCN、
2.5分、0%HO〜100%MeCN、
3.5分、0%HO〜100%MeCN
全ての化合物の番号は、表1(上記)の化合物番号に対応している。
【0153】
(実施例1)
【0154】
【化33】

4−アミノ−N−ヒドロキシ−フラザン−3−カルボキサミジン:
マロンニトリル(38.00g、0.58mmol)の2N HCl(300mL)溶液に、その内部温度を氷浴で25℃未満に保ちつつ、NaNO(81.00g、1.17mmol)のHO(200mL)溶液を滴下した。得られた混合物を1時間撹拌し、そして一晩にわたって室温まで温めた。18時間後、ヒドロキシルアミン塩酸塩(89.00g、1.29mmol)のHO(100mL)溶液を加えた。次いで、その内部温度を氷浴で20℃未満に保ちつつ、この溶液がpH10に達するまで、10N NaOHの溶液を加えた。その黄色溶液を、室温で、1時間撹拌し、次いで、還流状態で、3時間加熱した。その反応混合物を、1/3の容量まで、または溶液から固形物が沈殿し始めるまで濃縮し、得られた懸濁液を、室温で、一晩撹拌した。濾過により黄色固形物を除去し、そしてベージュ色固形物として集め、これを、最小量の水で洗浄して、クリーム色固形物として、表題化合物(22.1g、27%)を得た。HPLC 方法A R=0.49分間、m/z(ES)(M+H) 144。
【0155】
(実施例2)
【0156】
【化34】

4−アミノ−フラザン−3−カルボニトリル:
4−アミノ−N−ヒドロキシ−フラザン−3−カルボキサミジン(10.00g、69.90mmol)の酢酸45mL懸濁液(これは、氷浴の助けを借りて冷却した)に、鉛丹Pb(15.34g、22.00mmol)を少しずつ加えた。得られた橙色混合物を、室温で、0.5時間撹拌した。その後、その温度を65℃まで上げ、そして撹拌を2時間継続した。得られたスラリーを外界温度まで冷却し、それから、この酢酸を真空除去した。得られた黄色固形物をHO(30mL)で希釈し、そしてジエチルエーテル(2×200mL)で抽出し、飽和NaHCO(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、そして真空中で濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(これは、30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出する)にかけると、クリーム色固形物として、表題化合物(2.12g、28%)が得られた。HPLC 方法A R=0.68分間、m/z(ES)質量応答なし。
【0157】
(実施例3)
【0158】
【化35】

4−アミノ−N−アミノ−フラザン−3−カルボキサミジン:
4−アミノ−フラザン−3−カルボニトリル(0.50g、4.50mmol)のアセトニトリル(7.0mL)溶液に、ヒドラジン一水和物(0.28mL)を滴下した。この溶液を、外界温度で、3時間撹拌し、その後、白色固形物が沈殿した。この固形物をアセトニトリルで洗浄し、そして真空乾燥して、白色綿毛状固形物として、表題化合物(0.60g、94%)を得た。HPLC 方法A R 0.18分間、m/z(ES9)(M+H) 143。
【0159】
(実施例4)
4−(1H−テトラゾール−5−イル)−フラザン−3−イルアミン:
方法A:
【0160】
【化36】

4−アミノ−N−アミノ−フラザン−3−カルボキサミジン(0.60g、4.2mmol)の2%HCl水溶液(12mL)の溶液(これは、0℃まで冷却した)に、撹拌しつつ、亜硝酸ナトリウム(0.30g、4.3mmol)水溶液を加えた。撹拌を、0℃で、2時間継続し、その後、白色固形物が沈殿し、そして濾過により除去した。水層を1/3の容量まで濃縮し、そして濃HClで、pH1まで酸性化した。このテトラゾールを酢酸エチル(3×30mL)に抽出することにより単離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして真空中で濃縮して、黄色固形物(0.32g、50%)として、4−(1H−テトラゾール−5−イル)−フラザン−3−イルアミンを得た。HPLC 方法A R=0.59分間、m/z(ES+)(M+H) 154。
【0161】
方法B:
【0162】
【化37】

4−アミノ−フラザン−3−カルボニトリル(0.10g、0.90mmol)およびトリメチルシリルアジド(0.21g、1.82mmol)のトルエン(10mL)溶液に、ジブチルスズオキシド(0.227g、0.91mmol)を加え、その混合物を、LC−MSによりニトリルの完全な消費が認められるまで、130℃で、20時間加熱した。この反応混合物を外界温度まで冷却し、そして真空中で濃縮した。その残渣をメタノールに溶解し、そして酢酸エチルと10%炭酸水素ナトリウム溶液との間で分配し、有機部分を10%炭酸水素ナトリウム溶液の別の部分で洗浄した。合わせた水性抽出物を10%HCl溶液でpH2まで酸性化し、そして酢酸エチル(2×30mL)に再抽出した。合わせた有機物をMgSOで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮して、白色固形物(0.122g、87%)として、4−(1H−テトラゾール−5−イル)−フラザン−3−イルアミンを得た。
【0163】
(実施例5)
【0164】
【化38】

アニリンをアセチル化する一般的な方法:
アニリン(1.84mmol)のTHE(10mL/mmol)溶液に、室温で撹拌しつつ、トリエチルアミン(2.80mmol)および塩化ブロモアセチル(2.40mmol)を順次加えた。撹拌を3時間継続し、その後、この溶液を真空中で濃縮した。得られた油状物を0.5N HClで洗浄し、そして酢酸エチル(×2)に抽出した。合わせた有機物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして真空中で濃縮して、褐色油状物として、必要なアミドを得た。
【0165】
(a)3−トリフルオロメチルアニリン;R=1.37分間、m/z(ES)(M+H) 282。
【0166】
(b)2,4−ジメチルアニリン;R=1.24分間、m/z(ES)(M+H) 242。
【0167】
(c)α−アミノナフタレン;R=1.27分間、m/z(ES)(M+H) 265。
【0168】
(実施例6)
【0169】
【化39】

テトラゾールアルキル化の一般的な方法:
4−(1H−テトラゾール−5−イル)−フラザン−3−イルアミン(0.060g、0.39mmol)のアセトニトリル(4mL、10mL/mmol)溶液に、PS−カーボネート(0.326g、2.4mmol/g)、ブロモ−アセチル化アニリン(0.43mmol)およびヨウ化カリウム(触媒)を加えた。その反応物を、60℃で、18時間、またはこのテトラゾールの消費が完了するまで、加熱した。このPS−カーボネートを濾過により除去し、そしてアセトニトリルのアリコート(2×10mL)で洗浄した。合わせた有機物を真空中で濃縮し、そしてHPLCで精製した。
【0170】
(実施例7)
【0171】
【化40】

対応する臭化物からアジドを形成する一般的な手順:
ブロモ−アセチル化アニリン(2.05mmol)のDMSO(10mL)溶液に、アジ化ナトリウム(6.20mmol)を加えた。その反応物を、一晩にわたって、60℃まで加熱し、次いで、外界温度まで冷却した。この反応混合物を水(10mL)に注ぎ、そして酢酸エチル(3×50mL)に抽出した。合わせた有機物を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃厚な油状物に濃縮した。
【0172】
(a)2−アジド−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド;R=1.39分間、m/z(ES)(M+H) 245
(b)2−アジド−N−(2,4−ジメチル−フェニル)−アセトアミド;R=1.25分間、m/z(ES)(M+H) 205
(実施例8)
【0173】
【化41】

1,5−置換テトラゾールをレギオ選択的に合成する一般的な方法:
4−アミノ−フラザン−3−カルボニトリル(0.269g、2.45mmol)のDMSO(2mL、1mL/mmol)スラリーに、描写したアジド(1.96mmol)とトリフリト酸スカンジウム(0.241g、0.49mmol)とを加えた。その反応物を、4日間にわたって(またはニトリルが消費されるまで)、130℃まで加熱した。この反応物を外界温度まで冷却し、水(10mL)で洗浄し、そして酢酸エチル(3×10mL)に抽出した。合わせた有機物を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして真空中で濃縮した。得られた粗アミドをTHF(30mL)に溶解し、そしてPS−トリフェニルホスフィン(0.30g、3mmol/g)で18時間処理した。この樹脂を濾過により除去し、得られた1,5置換テトラゾールを真空中で濃縮し、そしてHPLCで精製した。
【0174】
(a)2−[5−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−テトラゾール−1−イル]−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド;(0.139g、11%)
(b)2−[5−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−テトラゾール−1−イル]−N−(2,4−ジメチル−フェニル)−アセトアミド;(0.073g、10%)
(実施例9)
【0175】
【化42】

フェニルアセトンを臭素化する一般的な方法:
酢酸(33重量%、0.90g)中の3−(トリフルオロメチル)フェニルアセトン(0.17mL、0.99mmol)およびHBrの混合物に、酢酸(0.8mL)に溶解した臭素(0.11mL、2.18mmol)を加え、そして室温で、N雰囲気下にて、撹拌した。18時間撹拌した後、アセトン(1.7mL)を加え、室温で、さらに24時間撹拌した。その反応混合物を真空中で濃縮し、そしてDCM(20mL)に溶解し、ブライン(10mL)で洗浄し、次いで、乾燥し(NaSO)、そして真空中で濃縮し、次いで、フラッシュクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)で精製して、選択的な臭素化した生成物(0.11g、40%)を得た。
【0176】
(a)1−ブロモ−3−フェニル−プロパン−2−オン;(0.29g、18%)HNMR(400MHz、CDCl)7.60−7.37(m、5H)、3.94(s、2H)、3.91(s、2H)。
【0177】
(b)1−ブロモ−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−プロパン−2−オン;HNMR(400MHz、CDCl)7.60−7.37(m、4H)、4.07(s、2H)、3.95(s、2H)。
【0178】
(実施例10)
【0179】
【化43】

1−[5−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−テトラゾール−1−イル]−3−フェニル−プロパン−2−オンおよび1−[5−(4−アミノ−フラザン−3−イル)−テトラゾール−2−イル]−3−フェニル−プロパン−2−オン:
MeCN(1mL)中の4−(1H−テトラゾール−5−イル)−フラザン−3−イルアミン(0.080g、0.52mmol)に、PS−CO(0.44g)、触媒量のヨウ化カリウムに続いて、MeCN(0.5mL)中の1−ブロモ−3−フェニル−プロパン−2−オン(0.29g、1.36mmol)を加えた。その反応混合物を、70℃で、48時間撹拌した。この反応混合物を濾過し、その濾液を濃縮した。その残渣を分取HPLCで精製して、2,5および1,5カップリング生成物の2:1混合物(8mg、5%)を得た。HPLC 方法A R=1.31分間、m/z(ES)(M+H) 286。
【0180】
(実施例11)
【0181】
【化44】

N−(4−シアノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド:
4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボニトリル(0.50g、4.5mmol)のCHCl(5mL)懸濁液に、N雰囲気下にて、DMAP(0.55g、0.45mmol)を加え、続いて、トリフルオロ無水酢酸(0.71mL、5.0mmol)を加えた、その黄色溶液を、室温で、一晩撹拌した。24時間後、その反応混合物を氷に注ぎ、そしてジエチルエーテル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、そして濃縮して、ベージュ色固形物(0.64g、68%)を得た。
【0182】
【化45】

N−(4−(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド:
N−(4−シアノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(0.10g、0.49mmol)のTFA(2mL)懸濁液に、チオセミカルバジド(0.044g、0.49mmol)を加えた、その反応混合物を氷に注ぎ、そして飽和NaHCOでpH=7まで中和した。水層を酢酸エチルで抽出した(2×50mL)。合わせた有機層をNaClで洗浄した。ジエチルエーテルで倍散すると、ベージュ色固形物(0.070g、51%)として、表題化合物が得られた。
【0183】
【化46】

2−(3−メトキシフェニル)−N−(5−(4−(トリフルオロアセトアミド)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アセトアミド:
THF(3mL)中でN−(4−(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(0.01g、0.04mmol)、2−(3−メトキシフェニル)酢酸(0.007g、0.04mmol)、1−(メチルスルホニル)−ベンゾトリアゾール(0.008g、0.04mmol)、EtN(0.01ml、0.07mmol)を含有する混合物を、160℃で10分間マイクロ波照射することにより、加熱した。その褐色混合物を濃縮し、その生成物を分取HPLCで精製して、白色固形物として、2−(3−メトキシ−フェニル)−N−(5−(4−(トリフルオロアセトアミド)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アセトアミド(0.01g、67%)を得た。LCMS 428.9(M+1)、LCMS保持時間 3.9分間(方法B(下記))。
【0184】
N−(5−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−2−(3−メトキシフェニル)アセトアミド(I−65):
2−(3−メトキシフェニル)−N−(5−(4−(トリフルオロアセトアミド)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アセトアミドのMeOH(3mL)溶液に、10%KCOを加えた。室温で24時間撹拌した後、その反応混合物を濃縮し、そして分取HPLCに適用して、白色固形物として、I−65(0.02g、51%)を得た。
【0185】
(実施例12)
【0186】
【化47】

3−ヒドロキシフェニル酢酸メチル:
3−ヒドロキシフェニル酢酸(75.3g、0.5mol)をメタノール(900mL)に溶解した。濃硫酸(2mL)を加え、その混合物を、5時間還流した。溶媒を蒸発させ、その残渣を酢酸エチル(1000mL)に溶解し、水(2×600mL)およびブラインで洗浄し、そして乾燥した(MgSO)。溶媒を蒸発させて、油状物(82g、定量収率)として、3−ヒドロキシフェニル酢酸メチルを得た。
【0187】
【化48】

3−(3−(N−Boc−ピペリジン−4−イル)−プロポキシ)−フェニル酢酸メチル:
3−ヒドロキシフェニル酢酸メチル0.409g(2.4mmol)、N−Boc−ピペリジン−4−イル−プロパノール0.50g(20.5mmol)およびトリフェニルホスフィン0.645g(24.6mmol)のTHF溶液に、0℃で、アゾジカルボン酸ジイソプロピルをゆっくりと加え、次いで、氷浴を取り除き、その反応混合物を、室温で、一晩撹拌した。回転乾燥で溶媒を除去し、その残渣を塩化メチレン2mLに溶解し、そしてシリカゲルカラムに装填し、その生成物を80%ヘキサンおよび20%酢酸エチルで溶出した。3−(3−(N−Boc−ピペリジン−4−イル)−プロポキシ)−フェニル酢酸メチル(0.5g、62%)を得た。
【0188】
【化49】

3−(3−(N−Boc−ピペリジン−4−イル)−プロポキシ)−フェニル酢酸:
3−(3−(N−Boc−ピペリジン−4−イル)−プロポキシ)−フェニル酢酸メチル(0.5g、1.3mmol)をメタノールに溶解し、そして2N NaOH(3mL)を加えた。その反応物を、60℃で、2時間撹拌し、次いで、その溶液をpH6.5に調節し、その生成物を酢酸エチルに抽出し、そして有機相をMgSOで乾燥した。溶媒を除去すると、3−(3−(N−Boc−ピペリジン−4−イル)−プロポキシ)−フェニル酢酸(0.30g)が現れた。
【0189】
【化50】

(実施例13)
【0190】
【化51】

N−トリフルオロアセチル−4−(5−(3−(3−(N−Boc−ピペリジン−4−イル)−プロポキシ)−フェニルアセチル)アミノ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン:
実施例11(上記)で記述した方法と類似の方法により、3−(3−(N−Boc−ピペリジン−4−イル)−プロポキシ)−フェニル酢酸およびN−(4−(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミドから調製した、収量30mg。
【0191】
(実施例14)
【0192】
【化52】

2−(3−(3−(ピペリジン−4−イル)プロポキシ)フェニル)−N−(5−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アセトアミド(I−69):
N−トリフルオロアセチル−4−(5−(3−(3−(N−Boc−ピペリジン−4−イル)−プロポキシ)−フェニルアセチル)アミノ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(100mg、0.16mmol)をMeOH(2mL)に懸濁し、そして10%KCO水溶液(0.1mL)を加えた。その混合物を、室温で、一晩撹拌し、次いで、乾燥状態まで蒸発させた。その残渣をCHCl(2mL)およびTFA(0.1mL)に溶解し、そして室温で、一晩撹拌し、次いで、その反応物を乾燥状態まで蒸発させた。分取HPLCに従って、所望生成物である2−(3−(3−(ピペリジン−4−イル)プロポキシ)フェニル)−N−(5−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アセトアミドを単離した。収量:0.14g(89%)。
【0193】
【化53】

(実施例15)
【0194】
【化54】

3−(3−クロロ−プロポキシ)−フェニル酢酸メチル:
3−ヒドロキシフェニル酢酸メチル(87g、0.52mol)をアセトン(500mL)に溶解した、1−ブロモ−3−クロロプロパン(55mL、0.56mol)を加え、続いて、炭酸カリウム(73g、0.53mol)およびアセトン(100mL)を加えた。その反応物を還流状態まで加熱した。24時間後、さらに多くの1−ブロモ−3−クロロプロパン(5mL、50mmol)を加え、その反応物を、さらに24時間還流した。この混合物を冷却し、濾過し、そして回転乾燥した。その生成物をシリカゲルの短カラム(650g:直径135mmのカラム)(これは、ヘキサン、およびヘキサン中の30%酢酸エチルで溶出する)に通すことにより精製して、油状物として、3−(3−クロロ−プロポキシ)−フェニル酢酸メチル(120g、95%)を得た。
【0195】
【化55】

3−(3−クロロ−プロポキシ)−フェニル酢酸:
3−(3−クロロ−プロポキシ)−フェニル酢酸メチル(12.7g、52.3mmol)をジオキサン(25mL)に溶解し、そして1N NaOH(53mL)を加えた。その混合物を、室温で、45分間撹拌し、次いで、1N 塩酸(60mL)を加えることにより、酸性化した。白色沈殿物が形成され、これを濾過し、1N HCl、水で洗浄し、そして乾燥した。3−(3−クロロ−プロポキシ)−フェニル酢酸(11.7g、98%)。
【0196】
【化56】

(実施例16)
【0197】
【化57】

3−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フェニル酢酸:
3−(3−クロロ−プロポキシ)−フェニル酢酸(0.5g、2.2mmol)およびN−メチルピペラジン(1.9mL)の混合物を、60℃で、一晩加熱した。その反応物を水で希釈し、そして分取HPLCで精製して、透明ゲル(0.6g、94%)として、生成物を得た。
【0198】
(実施例17)
2−(3−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ)フェニル)−N−(5−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アセトアミド(I−70):
3−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロポキシ]−フェニル酢酸を使用して、実施例11と実質的に類似の方法により、化合物I−70を調製した。収量:0.03g(33%)。
【0199】
【化58】

(実施例18)
【0200】
【化59】

2−(3−(3−(ピペラジン−1−イル)プロポキシ)フェニル)−N−(5−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アセトアミド(I−71):
N−トリフルオロアセチル−4−(5−(3−(3−クロロ−プロポキシ)−フェニルアセチル)アミノ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(0.05g、0.1mmol)、ピペラジン(0.035g、0.4mmol)およびEtOH(0.3mL)を、120℃で2×10分間にわたってマイクロ波照射することにより、加熱した。その反応物を水で希釈し、そして分取HPLCで精製した。収量:0.03g(33%)。
【0201】
【化60】

(実施例19)
【0202】
【化61】

2−(3−(3−(ピペリジン−4−イルアミノ)プロポキシ)フェニル)−N−(5−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アセトアミド(I−72):
N−トリフルオロアセチル−4−(5−(3−(3−クロロ−プロポキシ)−フェニルアセチル)アミノ−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−フラザン−3−イルアミン(0.05g、0.1mmol)、4−アミノ−N−Boc−ピペリジン(0.082g、0.4mmol)およびEtOH(0.3mL)を、120℃で10分間、150℃で10分間、そして150℃で30分間にわたってマイクロ波照射することにより、加熱した。その反応物を水で希釈し、そして分取HPLCで精製した。収量:0.02g(43%)。
【0203】
【化62】

(実施例20)
【0204】
【化63】

4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボン酸エチル:
4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボン酸(0.25g、1.9mmol)のEtOH(2mL)溶液に、氷浴での冷却下にて、SOCl(0.2mL)を滴下した。得られた混合物を4時間還流し、次いで、濃縮した。その油状物をHO(50mL)で希釈し、そしてジエチルエーテル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、そして濃縮して、白色固形物(0.15g、50%)を得た。
【0205】
【化64】

4−(エトキシカルボニル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イルカルバミン酸第三級ブチル:
4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボン酸エチル(0.70g、4.5mmol)およびDMAP(0.07g、0.45mmol)のTHF(25mL)溶液に、二炭酸ジ−t−ブチル(1.1mL、4.9mmol)を加えた。室温で24時間撹拌した後、他の等量の二炭酸ジ−t−ブチルを加え、その反応物を、60℃で、0.5時間加熱した。この反応混合物を濃縮し、そして氷を加え、ジエチルエーテル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNaClで洗浄し、MgSOで乾燥し、そして濃縮して、黄色油状物(1.0g、88%)を得た。
【0206】
【化65】

4−(エトキシカルボニル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボヒドラジド第三級ブチル:
4−(エトキシカルボニル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イルカルバミン酸第三級ブチルC(0.15g、6.1mmol)のEtOH(5mL)溶液に、ヒドラジン水和物(0.2mL、6.7mmol)を加えた。この黄色溶液を、還流状態で、0.5時間加熱し、そして濃縮して、黄色油状物(0.90g、95%)を得た。
【0207】
【化66】

4−(5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イルカルバミン酸第三級ブチル:
4−(エトキシカルボニル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボヒドラジド第三級ブチルD(0.10g、0.41mmol)のMeOH(2mL)溶液に、臭化シアン(1.4mL、1.2mmol)を加えた。この黄色溶液を、還流状態で、1時間加熱し、濃縮し、そして飽和NaHCO(10mL)で希釈した。水層を酢酸エチルで抽出した(3×20mL)。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、そして濃縮して、黄色固形物(0.55g、50)を得た。
【0208】
【化67】

N−(5−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−2−フェニルアセトアミド(I−75):
4−(5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イルカルバミン酸第三級ブチル(0.15g、0.06mmol)、フェニル酢酸(0.008g、0.06mmol)、1−(メチルスルホニル)−1H−ベンゾトリアゾール(0.013g、0.07mmol)、EtN(0.02ml、0.11mmol)のTHF(3mL)溶液を、160℃で10分間にわたってマイクロ波照射することより、加熱した。その褐色混合物を濃縮し、TFA(0.5mL)で希釈し、そして分取HPLCで精製して、白色固形物として、(0.01g、63%)を得た。
【0209】
【化68】

(実施例21)
(3−(メタンスルホニルアミノ)−フェニル酢酸の調製)
3−アミノフェニル酢酸メチル:
3−アミノフェニル酢酸(15.5g、0.10mol)をメタノール(150mL)に懸濁し、そして0℃まで冷却した。撹拌下にて、塩化チオニル(11.2mL、0.15mol)を滴下した。透明橙色溶液を得、これを、4時間撹拌し、次いで、蒸発させた。その固形残渣を、酢酸エチル(150mL)と飽和炭酸水素ナトリウム(150mL)との間で分配し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)およびブラインで洗浄し、そして乾燥した(NaSO)。褐色油状物(14.1g、83%)として、3−アミノフェニル酢酸メチルを単離した。
【0210】
【化69】

(3−メタンスルホニルアミノ−フェニル)−酢酸メチル:
3−アミノフェニル酢酸メチル(2.26g、13.7mmol)を乾燥塩化メチレン(20mL)に溶解し、そして0℃まで冷却した。ピリジン(2.2mL、27.2mmol)を加え、続いて、塩化メタンスルホニル(1.3mL、16.8mmol)を滴下した。その混合物を、0℃で、1時間、そして室温で、3時間撹拌し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム溶液100mLに注いだ。有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)、1N HCl(2×100mL)およびブラインで洗浄した。MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させると、3−(メタンスルホニル)フェニル酢酸メチル(3.36g、100%)が現れた。
【0211】
【化70】

3−(メタンスルホニルアミノ)−フェニル酢酸:
3−(メタンスルホニルアミノ)−フェニル酢酸メチル(3.36g、13.8mmol)をエタノール(16mL)に溶解し、そして1N NaOH(30mL)を加えた。その反応物を1時間撹拌し、次いで、1N HCl(50mL)および水(50mL)を加えた。その生成物を酢酸エチル(3×50mL)に抽出し、合わせた抽出物を水およびブラインで洗浄し、そして乾燥した(MgSO)。溶媒を除去すると、3−(メタンスルホニル)フェニル酢酸(2.90g、92%)が得られた。
【0212】
【化71】

(実施例22)
N−(5−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−2−(3−(メチルスルホニルアミノ)フェニル)アセトアミド(I−77):
2−(3−(メチルスルホニルアミノ)フェニル)酢酸を使用して、実施例20(上記)で記述した様式と実質的に類似の様式で、調製した。収量:0.03g(43%)。
【0213】
【化72】

(実施例23)
2−(3−(3−(ピペリジン−4−イル)プロポキシ)フェニル)−N−(5−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)アセトアミド(I−78):
3−(3−(N−Boc−ピペリジン−4−イル)−プロポキシ)−フェニル酢酸を使用して、実施例20(上記)で記述した様式と実質的に類似の様式で、調製した。収量:0.03g(38%)。
【0214】
【化73】

(実施例24)
N−(5−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−2−(3−メトキシフェニル)アセトアミド(I−79):
2−(3−メトキシフェニル)酢酸を使用して、実施例20(上記)で記述した様式と実質的に類似の様式で、調製した。収量:0.02g(33%)。
【0215】
【化74】

(実施例25)
(2−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1H−イミダゾール−1−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(I−28)の調製)
【0216】
【化75】

2−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル)酢酸:
2−(2−アミノエチルアミノ)酢酸(35mg、0.3mmol)および4−アミノ−3−メチルイマダト−1,2,5−オキサジアゾール(43mg、0.3mmol)をエタノール1mL中にて混ぜ合わせ、そしてマイクロ波にて、5分間にわたって、100℃まで加熱した。溶媒を除去して、63mgの白色固形物を得た。
【0217】
【化76】

2−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(I−64):
2−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル)酢酸(170mg、0.8mmol)をDMFに溶解し、この溶液に、3−トリフルオロメチルアニリン(1.2g、7.4mmol)を加え、続いて、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP試薬)(0.44g、1.0mmol)およびDIEA(0.4mL、2.3mmol)を加えた。その反応混合物を、室温で、一晩撹拌し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウムおよび酢酸エチルで希釈した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮して、油状物を得、これを、カラムクロマトグラフィー(20〜60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、白色固形物(35mg、0.1mmol、12%)として、表題化合物を得た。
【0218】
【化77】

2−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1H−イミダゾール−l−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(I−28):
2−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)−フェニル)−アセトアミド(35mg、0.1mmol)をジオキサン3mLに溶解し、この溶液に、固形物として、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(45mg、2mmol)を加えた。その反応混合物を、マイクロ波にて、5分間にわたって、120℃まで加熱した。この反応混合物を濃縮して、褐色残渣を得、これを、バイオテージ(biotage)カラム(25S、23〜60%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、生成物(15mg、0.04mmol、収率40%)を得た。
【0219】
【化78】

(実施例26)
(2−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(I−64)の代替的な合成)
【0220】
【化79】

2−ブロモ−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド:
3−トリフルオロメチルアニリン(1.6g、10mmol)を、DIEA(3.4mL、20mmol)と共に、ジクロロメタンに溶解し、0℃まで冷却し、この溶液に、純粋液体として、塩化ブロモアセチルを加えた(発熱性)。1時間後、その反応混合物を1N HClで洗浄し、乾燥し、そして褐色油状物に濃縮し、これを、カラムクロマトグラフィー(10〜40%EtOAc/ヘキサン)で精製して、淡褐色油状物(1.8g、6.4mmol、収率64%)を得た。
【0221】
【化80】

2−((3−(トリフルオロメチル)フェニルカルバモイル)−メチルアミノ)−エチルカルバミン酸第三級ブチル:
2−アミノエチルカルバミン酸第三級ブチル(0.32g、2mmol)を、DIEA(0.6mL、3.4mmol)と共に、ジクロロメタンに溶解した。この溶液に、2−ブロモ−N−(3−(トリフルオロメチル)−フェニル)アセトアミドを加え、その反応混合物を、室温で、6時間撹拌した。この反応混合物を油状物に濃縮し、そしてカラムクロマトグラフィー(溶離液:EtOAC)で精製して、生成物(0.37g、1.02mmol、収率50%)を得た。
【0222】
【化81】

2−(2−アミノエチルアミノ)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミドビストリフルオロ酢酸塩:
2−((3−(トリフルオロメチル)フェニルカルバモイル)メチルアミノ)エチルカルバミン酸第三級ブチル(0.36g、1mmol)を、ジクロロメタン中にて、1時間にわたって、トリフルオロ酢酸で処理し、次いで、油状物に濃縮して、このビス−トリフルオロ酢酸塩(0.49g、1mmol、100%)を得た。
【0223】
【化82】

2−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド(I−64):
2−(2−アミノエチルアミノ)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミドビストリフルオロ酢酸塩(0.44g、0.9mmol)を、4−アミノ−3−メチルイマダト−1,2,5−オキサジアゾール(140mg、1mmol)と共に、EtOHに溶解し、そしてマイクロ波で、6分間にわたって、110℃まで加熱した、その反応混合物を酢酸エチルおよび飽和炭酸水素ナトリウムで希釈し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして油状物に濃縮し、これを、カラムクロマトグラフィー(25〜60%EtOAc/ヘキサン)で精製して、生成物(0.12g、0.34mmol、収率34%)を得た。
【0224】
【化83】

(実施例27)
(4−(1−イソブチル−4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン(I−43)の調製)
【0225】
【化84】

4−(4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン:
2−アミノ−1−フェニルエタノン(100mg、0.74mmol)および4−アミノ−3−メチルイマダト−1,2,5−オキサジアゾール(100mg、0.70mmol)をEtOHに溶解し、そして5滴の酢酸を加えた。その反応混合物を、マイクロ波で、5分間にわたって、100℃まで加熱し、次いで、油状物に濃縮し、これを、カラムクロマトグラフィー(0〜40%EtOAc)で精製して、生成物(50mg、0.22mmol、収率31%)を得た。FIA MH+ 227.8。
【0226】
【化85】

4−(1−イソブチル−4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン(1−43):
4−(4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン(50mg、0.22mmol)の合成は、DMFに溶解し、そしてNaH(15mg、0.7mmol)を加えた。その反応混合物は、暗赤色になった。ヨウ化イソブチル(60mg、0.33mmol)を加え、この反応混合物を、マイクロ波で、5分間にわたって、120℃まで加熱した。この反応混合物を油状物に濃縮し、これを、RPHPLC(CHCN/HO、0.1%TFA)で精製して、生成物(12mg、0.042mmol、収率19%)を得た。
【0227】
【化86】

(実施例28)
(4−(1−(2−メトキシフェニル)−4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン(I−61)の調製)
【0228】
【化87】

2−(2−メトキシフェニルアミノ)−1−フェニルエチルカルバミン酸第三級ブチル:
Boc−フェニルグリシナール(0.74g、3.1mmol)および2−メトキシアニリン(0.40g、3.3mmol)をジクロロメタン中で混ぜ合わせ、そして固形物として、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.80g、3.8mmol)を加えた。その反応混合物を、室温で、4時間撹拌し、10%クエン酸および酢酸エチルで希釈し、次いで、有機層を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして油状物に濃縮し、これを、シリカ上カラムクロマトグラフィー(0〜30%EtOAc/ヘキサン)で精製して、泡状物(0.54g、1.6mmol、収率51%)を得た。
【0229】
【化88】

N−(2−アミノ−2−フェニルエチル)−2−メトキシベンゼンアミン:
2−(2−メトキシフェニルアミノ)−1−フェニルエチルカルバミン酸第三級ブチル(0.54g、1.6mmol)を、ジオキサン中の4N HCl(10mL)に溶解した。1時間後、その反応混合物を乾燥状態まで濃縮し、酢酸エチルに吸収させ、有機層を1N NaOHで洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濃縮して、褐色油状物(0.35g、1.45mmol、収率90%)として、この遊離アミンを得た。
【0230】
【化89】

4−(4,5−ジヒドロ−1−(2−メトキシフェニル)−4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン:
N−(2−アミノ−2−フェニルエチル)−2−メトキシベンゼンアミン(35mg、0.14mmol)および4−アミノ−3−メチルイマダト−1,2,5−オキサジアゾール(30mg、0.21mmol)をEtOHに溶解し、そして5滴の酢酸を加えた。その反応混合物を、マイクロ波で、5分間にわたって、100℃まで加熱し、次いで、油状物に濃縮し、これを、カラムクロマトグラフィー(0〜40%EtOAc)で精製して、生成物(34mg、0.10mmol、収率72%)を得た。
【0231】
【化90】

4−(1−(2−メトキシフェニル)−4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン(I−61):
4−(4,5−ジヒドロ−1−(2−メトキシフェニル)−4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン(34mg、0.10mmol)を、DDQ(23mg、0.1mmol)と共に、THFに溶解した。その反応混合物を、室温で、2時間撹拌し、シリカで濾過し、そして再度、同じ反応条件に一晩かけた。この反応混合物をBiotageカラムに吸収し、そして5〜30%EtOAc/ヘキサンで溶出して、白色泡状物(28mg、0.084mmol、84%)を得た。
【0232】
【化91】

(実施例29)
【0233】
【化92】

4−アミノ−N−イソブチル−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボキサミジン:
4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボニトリル(220mg、2mmol)およびイソブチルアミン(0.2mL、2mmol)のジクロロエタン(1mL)溶液に、AlCl(293mg、2.2mmol)を加えた。その反応混合物を20分間撹拌し、次いで、氷冷水(5mL)でクエンチした。この混合物をジエチルエーテル(3×20mL)で抽出した。合わせた抽出物を無水NaSOで乾燥し、そして真空下にて濃縮して、白色固形物として、表題化合物を得た。MS 184 M+1。この粗生成物を、さらに精製することなく、次の工程に運んだ。
【0234】
(実施例30)
【0235】
【化93】

2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−イソブチル−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル(1−80):
iPrOH(1mL)中の4−アミノ−N−イソブチル−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボキサミジン(18mg、0.1mmol)、ブロモピルビン酸エチル(28μL、0.2mmol)および炭酸水素ナトリウム(17mg、0.2mmol)の混合物を、150℃で、20分間マイクロ波にかけた。粗反応混合物を分取HPLCで精製して、白色固形物として、表題化合物を得た。
【0236】
【化94】

(実施例31)
【0237】
【化95】

4−(1−イソブチル−4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン(1−81):
DMF(0.5mL)中の4−アミノ−N−イソブチル−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボキサミジン(38mg、0.2mmol)、1−クロロプロパノン(37mg、0.4mmol)および炭酸カリウム(55mg、0.4mmol)の混合物を、180℃で、20分間マイクロ波にかけた。この粗混合物をGilsonで精製し、次いで、フラッシュピペットカラムで精製して、白色固形物(2.5mg)として、表題化合物を得た。
【0238】
【化96】

(実施例32)
【0239】
【化97】

2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−イソブチル−1H−イミダゾール−4−カルボニトリル(I−82):
THF(0.5mL)中の4−アミノ−N−イソブチル−1,2,5−オキサジアゾール−3−カルボキサミジン(55mg、0.3mmol)、iPrNEt(100μL、0.6mmol)および2−クロロアクリロニトリル(0.1mL)の混合物を、160℃で、30分間マイクロ波にかけた。その粗混合物を分取HPLCで精製して、白色固形物(35mg)として、ジヒドロイミダゾール中間体を得た。HPLC R 5.0分間;M+1ピークとして、MS 235。トルエン(0.5mL)中のこのジヒドロイミダゾール中間体(24mg、0.1mmol)、MnO(50mg、0.9mmol)の混合物を、85℃で、一晩撹拌した。固形物を濾過により除去し、そしてジクロロメタンで洗浄した。合わせた濾液を真空下にて濃縮した。粗生成物を分取HPLCで精製して、白色固形物(5mg)として、表題化合物を得た。
【0240】
【化98】

(実施例33)
上記実施例1〜24で記述した方法、スキームI〜VIで図示した方法と実質的に類似の方法により、また、当業者に公知の方法により、本発明の他の化合物を調製した。これらの化合物の特徴付けデータは、以下の表2で要約し、これには、LC/MS、HPLCおよびH NMRデータが含まれる。
【0241】
(表2.式Iの選択した化合物の特徴付けデータ)
【0242】
【化99】

【0243】
【化100】

(実施例34)
(2−(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イルイミダゾール誘導体を調製する一般的な手順)
【0244】
【化101】

ビス−アミン(2.0mmol)のEtOH(4ml)溶液に、イミダート(2.0mmol)を加え、その混合物を、還流状態で、72時間加熱した。溶媒を蒸発させ、その残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtO/石油エーテル)で精製して、生成物(32)を得た。
【0245】
手順A:
このジヒドロイミダゾール誘導体(32)(0.15mmol)のトルエン(2ml)溶液に、MnO(0.75mmol)を加え、その混合物を、95℃(油浴温度)で、16時間加熱した。室温まで冷却した後、この反応混合物をセライトで濾過し、そのセライトプラグを洗浄した(EtOAc)。減圧下にて溶媒を蒸発させ、その残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtO)で精製して、生成物(33)を得た。
【0246】
手順B:
このジヒドロイミダゾール誘導体(0.98mmol)のトルエン(10ml)溶液に、DDQ(1.47mmol)を加え、その混合物を、室温で、一晩撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させ、その残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、EtO/石油エーテル)で精製して、生成物を得た。上記方法により調製された化合物には、以下が挙げられる:
【0247】
【化102】

(2−(4−アミノ)−1,2,5−オキサジアゾール−3−イルイミダゾール誘導体を調製する一般的な手順)
【0248】
【化103】

イミダート(0.35mmol)およびMeCN(5mL)の混合物に、KCO(0.525mmol)を加え、続いて、アミノケトン(0.35mmol)を加え、その混合物を、還流状態で、16時間加熱した。室温まで冷却した後、この反応混合物をエーテル(20mL)で希釈し、HOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、そして減圧下にて溶媒を蒸発させた。その残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、エーテル)で精製して、生成物(35)を得た。上記方法に従って調製された化合物には、以下が挙げられる:
【0249】
【化104】

(実施例35 CDK−2阻害アッセイ)
化合物を、標準共役酵素アッセイ(Foxら、Protein Sci.1998、7、2249)を使用して、CDK−2を阻害する能力について、以下の様式で、スクリーニングする。
【0250】
0.1M HEPES 7.5、10mM MgCl、1mM DTT、25mM NaCl、2.5mM ホスホエノールピルビン酸、300mM NADH、30mg/ml ピルビン酸キナーゼ、10mg/ml 乳酸脱水素酵素、100mM ATPおよび100μM ペプチド(American Peptide、Sunnyvale、CA)を含有するアッセイストック緩衝溶液に、本発明の化合物のDMSO溶液を、30μMの最終濃度まで添加する。生じた混合物を、30℃で10分間インキュベートする。
【0251】
この反応を、10μlのCDK−2/サイクリンAストック溶液を添加することによって開始し、アッセイ中25nMの最終濃度を生じる。反応の速度は、Biorad Ultramarkプレートリーダー(Hercules、CA)を使用して、30℃で、5分間の読み取り時間にわたって340nmで吸光度をモニタリングすることによって得られる。K値は、阻害剤濃度の関数として速度データから決定される。
【0252】
(実施例36 PDK−1阻害アッセイ)
化合物を、放射性のリン酸塩取り込みアッセイ(PittおよびLee、J.Biomol.Screen.1996、1、47)を使用して、PDK−1を阻害する能力について、スクリーニングする。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、2mM DTTの混合物中でアッセイを実施する。このアッセイにおける最終基質濃度は、40μM ATP(Sigma Chemicals)および65μMペプチド(PDKtide,Upstate、Lake Placid、NY)である。30℃で、約27.5nCi/μlの[γ−32P]ATP(Amersham Pharmacia Biotech、Amersham、UK)の存在下で、25nM PDK−1でアッセイを行なう。ATPを除く上に列挙した全ての試薬および本発明の試験化合物を含有するアッセイストック緩衝溶液を調製する。15μlのストック溶液を96ウェルプレート中に入れ、その後、本発明の試験化合物を含有する0.5mM DMSOストックを1μl添加する(最終化合物濃度25μM、最終DMSO濃度5%)。このプレートを、30℃で、約10分間プレインキュベートし、4μlのATPを添加することによって反応を開始する(最終濃度40μM)。
【0253】
10分後、100μlの100mMリン酸、0.01% Tween−20の添加によって、10分後反応を停止する。ホスホセルロース96ウェルプレート(Millipore、カタログ番号MAPHNOB50)を、100μlの100mM リン酸、0.01% Tween−20で前処理し、その後、反応混合物(100μl)を添加する。少なくとも5分間浸漬するために、洗浄工程(4×200μl 100mMリン酸、0.01% Tween−20)の前にスポットを放置する。乾燥後、20μlのOptiphase「SuperMix」液体シンチレーション混液(Perkin Elmer)をウェルに添加し、その後シンチレーション計数(1450 Microbeta Scintillation Counter、Wallac)する。試験化合物を含まず、アッセイ混合物およびDMSOを含む標準ウェルに対して50%より大きい阻害を示す本発明の化合物を、IC50値を決定するために滴定する。
【0254】
(実施例37 p70S6K阻害アッセイ)
化合物を、Upstate Biotechnologyの放射性のリン酸塩取り込みアッセイ(PittおよびLee、J.Biomol.Screen.1996、1、47)を使用して、p70S6Kを阻害する能力について、スクリーニングした。8mM MOPS(pH7.0)、10mM 酢酸マグネシウム、0.2mM EDTAの混合物中でアッセイを行なった。このアッセイ中の最終基質濃度は、15μM ATP(Sigma Chemicals)および100μM ペプチド(Upstate Ltd.Dundee、UK)であった。30℃で、p70S6K(5〜10mU、Upstate Ltd.、Dundee、UK)および[γ−33P]ATP(特異的活性約500cpm/pmol、Amersham Pharmacia Biotech、Amersham、UK)の存在下で、アッセイを実施した。ATPを除く上に列挙した全ての試薬および本発明の試験化合物を含有するアッセイストック緩衝溶液を調製した。15μlのストック溶液を96ウェルプレート中に入れ、その後、本発明の試験化合物を含有する40μMまたは8μMのDMSOストックを2連で添加した(それぞれ、最終化合物濃度2μMまたは0.4μM、最終DMSO濃度5%)。このプレートを30℃で約10分間プレインキュベートし、4μlのATP(最終濃度15μM)の添加によって反応を開始した。
【0255】
10分後、5μlの3%リン酸溶液を添加することによって、反応を停止した。ホスホセルロース96ウェルプレート(Millipore、カタログ番号MAPHNOB50)を、100μlの100mM リン酸、0.01% Tween−20で前処理し、その後、反応混合物(20μl)を添加した。少なくとも5分間浸漬するために、洗浄工程(4×200μl 100mM リン酸、0.01% Tween−20)の前にスポットを放置した。乾燥後、20μlのOptiphase「SuperMix」液体シンチレーション混液(Perkin Elmer)をウェルに添加し、その後シンチレーション計数(1450 Microbeta Liquid Scintillation Counter、Wallac)した。
【0256】
p70S6K活性と、試験化合物を含まないアッセイ混合物およびDMSOを含む標準ウェルとを比較することにより、2μMおよび0.4μMでの本発明の化合物の阻害%を計算した。標準ウェルに対して高い阻害を示す本発明の化合物を、IC50値を決定するために滴定した。
【0257】
本発明の化合物は、p70S6Kの阻害剤であることが見出された。
【0258】
(実施例38 ROCK阻害アッセイ)
本発明の化合物を、標準共役酵素アッセイ(Foxら、Protein Sci.、1998、7、2249)を使用して、ROCKを阻害する能力についてスクリーニングした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、1mM DTTおよび1.5% DMSO中で反応を実施した。このアッセイにおける最終基質濃度は、13μM ATP(Sigma chemicals)および200μM ペプチド(American Peptide、Sunnyvale、CA)であった。30℃で、200nM ROCKで、アッセイを行なった。共役酵素系の成分の最終濃度は、2.5mM ホスホエノールピルビン酸、400μM NADH、30μg/mlピルビン酸キナーゼおよび10μg/ml 乳酸脱水素酵素であった。
【0259】
ROCK、DTTを除く上に列挙した全ての試薬および本発明の目的の試験化合物を含有するアッセイストック緩衝溶液を調製した。56μlの試験反応物を384ウェルプレート中に入れ、その後、本発明の試験化合物を含有する2mM DMSOストックを1μl添加した(最終化合物濃度30μM)。このプレートを、30℃で、約10分間プレインキュベートし、10μlの酵素を添加することによって反応を開始した(最終濃度100nM)。30℃で、5分間の読み取り時間にわたってBioRad、Ultramarkプレートリーダー(Hercules、CA)を使用して、反応の速度を得た。
【0260】
本発明の化合物は、ROCKの阻害剤であることが見出された。
【0261】
(実施例39 GSK−3阻害アッセイ)
本発明の化合物を、標準共役酵素系(Foxら、Protein Sci.1998、7、2249)を使用して、GSK−3β(AA 1〜420)活性を阻害する能力についてスクリーニングした。100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、300μM NADH、1mM DTTおよび1.5% DMSOを含有する溶液中で反応を実施した。このアッセイにおける最終基質濃度は、20μM ATP(Sigma Chemicals、St Louis、MO)および300μM ペプチド(American Peptide、Sunyvale、CA)であった。30℃で、20nM GSK−3βで、反応を行なった。共役酵素系の成分の最終濃度は、2.5mM ホスホエノールピルビン酸、300μM NADH、30μg/mlピルビン酸キナーゼ、および10μg/ml 乳酸脱水素酵素であった。
【0262】
ATPを除く上に列挙した全ての試薬および本発明の試験化合物を含有するアッセイストック緩衝溶液を調製した。本発明の試験化合物を0.002μM〜30μMの最終濃度で5μl含むアッセイストック緩衝溶液(175μl)を、96ウェルプレート中で30℃で10分間インキュベートした。代表的に、分けたプレート中で、本発明の試験化合物のDMSOでの連続希釈を調製する(10mMの化合物ストックから)ことにより、12点の滴定を行なった。20μlのATPを添加することにより(最終濃度20μM)、この反応を開始した。30℃で、10分間にわたってMolecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale、CA)を使用して、反応の速度を得た。阻害剤濃度の関数としての速度データからKi値を決定した。
【0263】
本発明の化合物は、GSK3を阻害することが見出された。
【0264】
(実施例40 Aurora2阻害アッセイ)
化合物を、標準共役酵素アッセイ(Foxら、Protein Sci.1998、7、2249)を使用して、Aurora2を阻害する能力について、以下の様式でスクリーニングする。
【0265】
0.1M HEPES 7.5、10mM MgCl、1mM DTT、25mM NaCl、2.5mM ホスホエノールピルビン酸、300mM NADH、30mg/ml ピルビン酸キナーゼ、10mg/ml 乳酸脱水素酵素、40mM ATPおよび800μMペプチド(American Peptide、Sunnyvale、CA)を含有するアッセイストック緩衝溶液に、本発明の化合物のDMSO溶液を、30μMの最終濃度まで添加する。生じた混合物を、30℃で10分間インキュベートする。この反応を10μlのAurora2ストック溶液の添加によって開始し、アッセイ中70nMの最終濃度を生じる。反応の速度は、Biorad Ultramarkプレートリーダー(Hercules、CA)を使用して、30℃で5分間の読み取り時間にわたって340nmで吸光度をモニタリングすることによって得られる。K値は、阻害剤濃度の関数として速度データから決定される。
【0266】
本発明者らは、本発明の多数の実施形態を記載してきたが、本発明者らの基本的な実施例を改変して、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供し得ることは明らかである。従って、本発明の範囲は、例として提示した特定の実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲によって規定されるべきであることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化1】

ここで:
は、R、−SOR、−SON(R)、−C(O)R、−CORまたは−CON(R)である;
各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択されるか、または:
同じ窒素原子上の2個のR基は、該窒素と一緒になって、3員〜8員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の環を形成し、該環は、該窒素に加えて、1個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
環Aは、1個〜4個のヘテロ原子を有する5員ヘテロ芳香環であり、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで、該環は、1個、2個または3個のL−R基で置換されている;
各Rは、別個に、C1〜6脂肪族、CN、ハロゲン、NOまたはArから選択される;
各Lは、別個に、原子価結合または必要に応じて置換したC1〜6アルキリデン鎖から選択され、ここで、Lの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)−、−CO−、−NRCO−、−C(O)NR−、−SONR−、−NRSO−または−NRSONR−で置き換えられている;そして
Arは、必要に応じて置換した3員〜8員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環式環または8員〜10員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環であり、該単環式環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、そして該二環式環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
但し:
(i)環Aがその4位置でCN、−C(O)NR、−C(O)NHN(R)(R)、−C(O)OR、イミダゾリルまたは1,2,4−トリアゾリルで置換された1,2,3−トリアゾール−1−イルであるとき、該環Aの1,2,3−トリアゾール−1−イルは、その5位置で、−CHN(R)Rまたは−CHCHN(R)Rで置換されていない;そして
(ii)環Aがテトラゾリルであるとき、環Aは、その5位置でL−Rで置換されたテトラゾール−2−イルである、
化合物。
【請求項2】
環Aが、2個〜4個の窒素を有する5員ヘテロ芳香環であり、ここで、該環が、1個、2個または3個のL−R基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
環Aが、1個または2個の窒素と1個のイオウ原子または1個の酸素原子のいずれかとを有する5員ヘテロ芳香環であり、ここで、該環が、1個または2個のL−R基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
環Aが、1個のイオウ原子または1個の酸素原子のいずれかを有する5員ヘテロ芳香環であり、ここで、該環が、1個または2個のL−R基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
環Aが、以下の部分から選択される、請求項1に記載の化合物:
【化2】

ここで、各環A部分は、1個、2個または3個のL−R基で置換されている、
化合物。
【請求項6】
環Aが、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリルまたはテトラゾリルであり、ここで、各環A部分が、1個、2個または3個のL−R基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、式IIの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩である、請求項1に記載の化合物。
【化3】

【請求項8】
式IIの化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩を実質的に含む、請求項1に記載の化合物。
【化4】

【請求項9】
Lが、原子価結合または必要に応じて置換したC1〜6アルキリデン鎖であり、ここで、Lの1個または2個のメチレン単位が、別個に、−NR−、−S−、−O−、−NRC(O)−、−C(O)NR−、−C(O)O−または−C(O)−で置き換えられている、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、必要に応じて置換したC1〜4脂肪族である、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
が、Arであり、ここで、Arが、必要に応じて置換した5員〜6員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環式環または必要に応じて置換した9員〜10員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環であり、該単環式環が、0個〜2個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子が、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、そして該二環式環が、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子が、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項12】
Arが、必要に応じて置換したフェニル、ピリジル、ベンゾフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノリニルまたはナフチルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が、以下から選択される、請求項1に記載の化合物。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【請求項14】
式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩と、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルとを含有する、組成物:
【化12】

ここで:
は、R、−SOR、−SON(R)、−C(O)R、−CORまたは−CON(R)である;
各Rは、別個に、水素または必要に応じて置換したC1〜6脂肪族基から選択されるか、または:
同じ窒素原子上の2個のR基は、該窒素と一緒になって、3員〜8員の飽和、部分不飽和または完全不飽和環を形成し、該環は、該窒素に加えて、1個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
環Aは、1個〜4個のヘテロ原子を有する5員ヘテロ芳香環であり、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、ここで、該環は、1個、2個または3個のL−R基で置換されている;
各Rは、別個に、C1〜6脂肪族、CN、ハロゲン、NOまたはArから選択される;
各Lは、別個に、原子価結合または必要に応じて置換したC1〜6アルキリデン鎖から選択され、ここで、Lの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、別個に、−O−、−S−、−NR−、−NRC(O)−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−C(O)−、−CO−、−NRCO−、−C(O)NR−、−SONR−、−NRSO−または−NRSONR−で置き換えられている;そして
Arは、必要に応じて置換した3員〜8員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環式環または8員〜10員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環であり、該単環式環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択され、そして該二環式環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、窒素、酸素またはイオウから選択される;
但し:
環Aがその4位置でCN、−C(O)NR、−C(O)NHN(R)(R)、−C(O)OR、イミダゾリルまたは1,2,4−トリアゾリルで置換された1,2,3−トリアゾール−1−イルであるとき、該環Aの1,2,3−トリアゾール−1−イルは、その5位置で、−CHN(R)Rまたは−CHCHN(R)Rで置換されていない、
組成物。
【請求項15】
さらに、抗増殖薬、抗炎症薬、免疫調節薬、神経栄養因子、循環器病の治療薬、肝臓病の治療薬、抗ウイルス薬、血液疾患の治療薬、糖尿病の治療薬または免疫不全疾患の治療薬から選択される治療薬を含有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
生体試料において、p70S6k、GSK−3またはROCKプロテインキナーゼ活性を阻害する方法であって、該方法は、該生体試料を、以下のa)またはb)と接触させる工程を包含する:
a)請求項1に記載の化合物;または
b)請求項14に記載の組成物、
方法。
【請求項17】
患者において、p70S6k、GSK−3またはROCKプロテインキナーゼ活性を阻害する方法であって、該患者に、請求項14に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項18】
増殖障害を治療するかその重症度を軽減する方法であって、それを必要としている患者に、請求項14に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項19】
結節硬化症を治療するかその重症度を軽減する方法であって、それを必要としている患者に、請求項14に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項20】
増殖障害、心臓障害、神経変性疾患、精神障害、自己免疫疾患、臓器移植に付随した病気、炎症障害、免疫媒介障害、ウイルス性疾患または骨障害から選択される疾患状態または障害を治療するかその重症度を軽減する方法であって、該患者に、請求項1に記載の化合物または請求項14に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
前記疾患、病気または障害が、アレルギー、喘息、糖尿病、アルツハイマー病、ハンティングトン病、パーキンソン病、AIDS−関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML、ルーゲーリグ病)、多発性硬化症(MS)、精神分裂病、心筋細胞肥大、再灌流/虚血(例えば、脳卒中)、禿頭症、癌、肝腫大、心肥大を含めた循環器病、嚢胞性線維症、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、乾癬、炎症、高血圧症、狭心症、脳血管収縮、末梢循環障害、早産、動脈硬化症、血管攣縮(脳血管攣縮、冠動脈攣縮)、網膜症、勃起不全(ED)、AIDS、骨粗鬆症、クローン病および大腸炎、神経突起成長、またはレイノー病である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記疾患、病気または障害が、高血圧症、脳血管攣縮、冠動脈攣縮、気管支喘息、早期陣痛、勃起不全、緑内障、血管平滑筋細胞増殖、心筋肥大、マリグノーマ(malignoma)、虚血/再灌流誘発傷害、内皮不全、クローン病および大腸炎、神経突起成長、レイノー病、アンギナ、アルツハイマー病、良性前立腺肥大症、またはアテローム性動脈硬化症である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記疾患、病気または障害が、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、勃起不全(ED)、再灌流/虚血(例えば、脳卒中)、または血管攣縮(脳血管攣縮および冠動脈攣縮)である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
治療または重症度の軽減の必要な患者における自己免疫疾患、炎症疾患、代謝障害、精神障害、糖尿病、血管新生障害、タウオポシー、神経または神経変性疾患、脊髄損傷、緑内障、禿頭症または循環器病を治療するかその重症度を軽減する方法であって、該患者に、請求項14に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。

【公表番号】特表2007−512230(P2007−512230A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524089(P2006−524089)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/027182
【国際公開番号】WO2005/019190
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】