説明

プローバー装置,プローブ触針クリーニング方法および半導体チップ検査装置ならびに半導体チップ検査方法

【課題】プローブ触針に対する良好なクリーニングが行え、しかもクリーニングのリアルタイム化を可能にし、検査自体の信頼性や品質向上、および検査コストの削減化を図る。
【解決手段】半導体チップの検査を繰り返し実行している間に、エアー送出部15から空気をプローブカード13上のプローブ触針14の周囲から内方へと送り、各プローブ触針14に付着した削りカスなどの塵埃を、プローブ触針14の配置位置内方へと飛散させる。プローブ触針14の配置位置内方へ飛散した塵埃は、プローブカード13の中央部に配置されているバキューム部16により吸い上げることにより、装置外部に回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハー上の半導体チップの検査に際して用いられるプローバー装置、および該プローバー装置におけるプローブ触針のクリーニング方法、該プローバー装置を用いる半導体チップ検査装置,半導体チップ検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の高集積化,多機能化、および低コスト化が必須になってきており、この場合、そのチップサイズを小さくするというよりか、パッケージングされた組立品をいかに効率よく小チップにするかが課題となっている。
【0003】
さらに、半導体装置としての組立品の検査コストもまた、販売製品としては避けられない事項であり、特に品質,信頼性を維持するという観点では重要な課題となっている。
【0004】
しかしながら、当該検査において検査内容や検査の信頼性などに注力されているため、この検査コストについては、検査上の装置や設備においてあまり考慮されていない現況にある。
【0005】
また、この検査上の装置や設備においてプローバー装置を用いる場合、プローブ触針による検査動作の安定化のため、該プローブ触針とウェハー上の電極との接点において発生する削りカスなどの塵埃を除去しており、そのクリーニングに関する技術が提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平5−41424号公報
【特許文献2】特開2000−174080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のプローバー装置を用いた半導体ウェハーに対する検査装置では、クリーニングに際して、検査装置およびそれに関連する設備を一旦停止することが必要であった。
【0007】
また、従来技術において、クリーニングに際し空気のダウンフローを発生させる構成のものでは、連続検査動作により、除去した削りカスなどの塵埃が、再度、プローブ触針あるいはウェハーに付着する可能性がある。
【0008】
前記のようなクリーニングのリアルタイム性と塵埃の完全除去とを図ることは、検査の低コスト化にとって大きな課題である。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決し、プローブ触針に対する良好なクリーニングが行え、しかもクリーニングのリアルタイム化を可能にし、検査自体の信頼性や品質向上、および検査コストの削減化を図ることができるプローバー装置,プローブ触針クリーニング方法および半導体チップ検査装置ならびに半導体チップ検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、被検査体に接触して電気的検査を行う複数のプローブ触針が設けられたプローブカードを有するプローバー装置において、前記プローブ触針の側周囲から該プローブ触針に対して、前記プローブ触針に付着した塵埃を除去するエアーを送るエアー送出部と、前記プローブカードにおける前記プローブ触針の配置中央部分から、前記除去された塵埃を吸引する吸引部とを備えたことを特徴とし、この構成によって、プローブ触針からの削りカスなどの除去クリーニングを、他部への散乱なく良好に行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のプローバー装置において、塵埃の流動性に基づきエアー送出部を配置し、前記流動性に基づき吸引部を配置したことを特徴とし、この構成によって、予想される塵埃の種類によってエアー送出部および吸引部を構成することによって、良好なクリーニングが行われる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、被検査体に接触して電気的検査を行う複数のプローブ触針が設けられたプローブカードを有するプローバー装置における前記プローブ触針のクリーニングを行うプローブ触針クリーニング方法において、前記プローブ触針の側周囲から該プローブ触針に対して、前記プローブ触針に付着した塵埃を除去するエアーを送り、前記プローブカードにおける前記プローブ触針の配置中央部分から、前記除去された塵埃を吸引することを特徴とし、この方法によって、プローブ触針から削りカスなどを除去するクリーニングを、他部への散乱なく良好に行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載のプローバー装置と、被検査体として半導体ウェハーの半導体チップの機能を検査するプログラムを格納するメモリ部と、前記プローバー装置に接続され、前記プログラムに従って前記プローバー装置のプローブ触針にて前記半導体チップに対する検査処理を行うテスターとを備えた半導体チップ検査装置であって、この構成によって、プローブ触針による検査処理と、プローブ触針のクリーニングとを両立するコントロールが可能になる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の半導体チップ検査装置による検査処理と共に、請求項1または2記載のプローバー装置にて請求項3記載のプローブ触針クリーニング方法を実行させることを特徴とする半導体チップ検査方法であって、この方法によって、プローブ触針による検査処理と、プローブ触針のクリーニングとをタイミングよく制御することが可能になり、クリーニングのリアルタイム化を実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プローブ触針から削りカスなどを除去するクリーニングを、他部への散乱なく良好に行うことができ、また、プローブ触針による検査処理と、プローブ触針のクリーニングとをタイミングよく制御することが可能になり、クリーニングのリアルタイム化を実現することができる。これにより、検査自体の信頼性や品質向上、および検査コストの削減化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態を説明するための半導体チップ検査装置の概略構成図であり、10は、被検査体として半導体ウェハーにおけるシステムLSIチップなどの半導体チップの機能を検査するプログラムを格納するメモリ部(図示せず)と、プログラムに従い半導体チップに対する検査処理を行うテスター(図示せず)などを備えたテストヘッド、11はテストヘッド10とプローバー装置12とを接続する接続部である。
【0018】
プローバー装置12は、プローブカード13と、このプローブカード13に複数設けられたプローブ触針14と、これらのプローブ触針14における外周の四方から該プローブ触針14で囲まれた内方へ空気を送り込むエアー送出部15と、プローブカード13の略中央部に設置されて空気を吸い込む吸引部であるバキューム部16と、半導体ウェハー17を所定位置に保持するウェハー吸着ステージ18などから構成されている。
【0019】
次に、前記構成の半導体チップ検査装置の検査動作を説明する。
【0020】
図1において、半導体ウェハー17を検査する際に、プローバー装置12内に半導体ウェハー17を入れ、ウェハー吸着ステージ18に載置して、真空吸着にて所定位置に保持固定する。同時に、プローバー装置12内にプローブカード13を入れ、ウェハー吸着ステージ18上に配設する。この状態において、プローバー装置12と、検査するためのプログラムを処理するテスターを備えたテストヘッド10とを接続部11により電気的に接続する。
【0021】
次に、テストヘッド10のテスターにて検査プログラムを実行して、プローブカード13に設けられているプローブ触針14を、半導体ウェハー17上の半導体チップの端子部分に接触させ、プログラム処理内容により電気的な検査を実施していく。半導体ウェハー17上には、半導体チップが多数の配置されており、その1チップずつプローブ触針14との接触を繰り返し実施して、全ての半導体チップの検査を実行する。
【0022】
そして、前記検査を繰り返し実行している間に、エアー送出部15から空気がプローブカード13上のプローブ触針14の周囲から内方へと送られ、各プローブ触針14に付着した削りカスなどの塵埃を内方へと飛散させる。プローブ触針14の配置位置内方へ飛散した塵埃は、プローブカード13の中央部に配置されているバキューム部16により吸い上げられ、装置外部に回収される。
【0023】
図2(a)〜(d)の説明図を参照して、本実施形態における検査とクリーニングの動作フローについて説明する。
【0024】
図2(a)は検査実施の状態を示しており、プローブ触針14が半導体ウェハー17に接触して所定の検査が行われる。この検査状態から図2(b)に示す検査終了の状態に移行する際に、エアー送出部15が動作して空気が噴出される。この空気流によりプローブ触針14に付着した削りカスを飛ばす。この動作は、図2(c)に示すプローブ触針14の次半導体ウェハー17’への移動状態になるまで継続される。そして、図2(d)に示す次半導体ウェハー17’の検査実施の状態になると、エアー送出部15が動作停止して空気の送出が停止する。この動作が繰り返して行われる。
【0025】
この検査とクリーニングの動作制御において、半導体ウェハー17を載置しているウェハー吸着ステージ18の上下動作に連動して、エアー送出部15の動作と動作停止とが実施される。バキューム部16は、検査開始と同時に常に動作しており、半導体ウェハー17表面上の削りカスの吸い上げは勿論のこと、塵埃なども吸い上げ、常時、クリーニングを行っている。
【0026】
図3はプローブ触針による端子削りカスの発生メカニズムを説明する断面図であり、20は、プローブ触針14が半導体ウェハー17上の端子21に接して削られた削りカス、20aは削りカス20の山、21aは半導体チップの端子21における削られた部分である。
【0027】
図3において、プローブ触針14を、半導体チップの端子21に対して押し当てるようにし、順次、次の端子へと移動させることにより検査が実施される。このため、プローブ触針14は撓り、かつ半導体チップの中心に向かって摺動することになる。このようにプローブ触針14を押し当てることにより、半導体チップの端子21の表面に削れた部分21aが形成され、その削りカス20が山20aのように半導体チップの端子21上に残る。これが検査工程中、例えば何百回と繰り返されることにより、プローブ触針14に削りカス20が付着することになる。
【0028】
図4,図5は本実施形態における前記付着削りカスを除去するプローブ触針クリーニングの説明図であり、図4は空気送出の説明図、図5は削りカス吸引の説明図である。
【0029】
図4において、プローブカード13にはプローブ触針14が複数(本例では4辺に4個ずつ)設けられており、図1に示すエアー送出部15から、プローブ触針14における外周の四方(図4の上下左右方向)からプローブ触針14で囲まれた内方へと空気が送り込まれる。図4に示すように、各ブローブ触針14の配置位置内方の中央部分に半導体チップ22が位置する。
【0030】
したがって、エアー送出部15からの空気流23は、プローブ触針14の内側に対して流れ込み、この空気流23によりプローブ触針14に付着した削りカス20が除去され、除去された削りカス20は半導体チップ22の中央方向、すなわちプローブカード13の中央部分へ飛散する。
【0031】
図5において、削りカス20は、空気流23により飛散されて半導体チップ22の中央部に集まることになり、この集まった削りカス20を、空気24と共にバキューム部16によって、プローブ触針14内側のプローブカード13の中央部分上方へ吸引することにより、削りカス20を、再度、プローブ触針や半導体ウェハー上に付着させることなく除去回収することができる。
【0032】
本実施形態において、空気流および削りカスの流動性,設置スペースなどを考慮して、エアー送出部15およびバキューム部16を設置することにより、プローブ触針14に付着した削りカスのクリーニングを効率よく良好に行うことができ、プローブ触針14の検査の信頼性,チップ品質の向上を実現することができる。
【0033】
さらに、このクリーニング手法は、テスターヘッド10とプローバー装置12とを接続してなる構成であるため、検査とクリーニングとを同期して適正なタイミングにより実施するようにプログラミングすることにより、検査工程を中断することなく、検査工程の1つとしてリアルタイムにクリーニングを実施することができ、検査の全体コストの低減化を図ることができる。
【0034】
図6,図7は本実施形態におけるエアー送出部の変形例を説明するための斜視図である。
【0035】
図6に示した例は、複数のプローブ触針14の個々に対して、それぞれエアー送出部25を配設した構成のものであり、ピンポイントで削りカス20を除去することができる。
【0036】
図7に示した例は、複数のプローブ触針14の全体に空気流が行きわたるように、横に長い空気送り出し口26aを設けたエアー送出部26を設置した構成のものである。
【0037】
図6,図7の構成例は共に、図1〜図5にて説明した実施形態におけるバキューム部16の構成と共に使用して、同様にクリーニングを実施することらより、図4に示すエアー送出部15よりも、プローブ触針14に付着した削りカス20を効率よく、略完全に除去することが可能になる。これによりプローバー装置のクリーニングは維持しながら、プローブ触針による検査の信頼性とチップ品質を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、プローバー装置,半導体チップ検査装置に適用され、特にウェハー表面上の半導体パッドとプローブ触針が接触することにより発生する削りカスのクリーニングを、検査効率を低減させることなく、リアルタイムに確実に行うプローバー装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態を説明するための半導体チップ検査装置の概略構成図
【図2】(a)〜(d)は本実施形態における検査とクリーニングの動作フローに係る説明図
【図3】本実施形態に係るプローブ触針による端子削りカスの発生メカニズムを説明する断面図
【図4】本実施形態における付着削りカスを除去するプローブ触針クリーニングの空気送出の説明図
【図5】本実施形態における付着削りカスを除去するプローブ触針クリーニングの削りカス吸引の説明図
【図6】本実施形態におけるエアー送出部の変形例を説明するための斜視図
【図7】本実施形態におけるエアー送出部の変形例を説明するための斜視図
【符号の説明】
【0040】
10 テストヘッド
11 接続部
12 プローバー装置
13 プローブカード
14 プローブ触針
15,25,26 エアー送出部
16 バキューム部
17 半導体ウェハー
18 ウェハー吸着ステージ
20 削りカス
21 端子
22 半導体チップ
23 空気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体に接触して電気的検査を行う複数のプローブ触針が設けられたプローブカードを有するプローバー装置において、
前記プローブ触針の側周囲から該プローブ触針に対して、前記プローブ触針に付着した塵埃を除去するエアーを送るエアー送出部と、
前記プローブカードにおける前記プローブ触針の配置中央部分から、前記除去された塵埃を吸引する吸引部とを備えたことを特徴とするプローバー装置。
【請求項2】
前記塵埃の流動性に基づき前記エアー送出部を配置し、前記流動性に基づき前記吸引部を配置したことを特徴とする請求項1記載のプローバー装置。
【請求項3】
被検査体に接触して電気的検査を行う複数のプローブ触針が設けられたプローブカードを有するプローバー装置における前記プローブ触針のクリーニングを行うプローブ触針クリーニング方法において、
前記プローブ触針の側周囲から該プローブ触針に対して、前記プローブ触針に付着した塵埃を除去するエアーを送り、前記プローブカードにおける前記プローブ触針の配置中央部分から、前記除去された塵埃を吸引することを特徴とするプローブ触針クリーニング方法。
【請求項4】
請求項1または2記載のプローバー装置と、
被検査体として半導体ウェハーの半導体チップの機能を検査するプログラムを格納するメモリ部と、
前記プローバー装置に接続され、前記プログラムに従って前記プローバー装置のプローブ触針にて前記半導体チップに対する検査処理を行うテスターとを備えたことを特徴とする半導体チップ検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体チップ検査装置による検査処理と共に、請求項1または2記載のプローバー装置にて請求項3記載のプローブ触針クリーニング方法を実行させることを特徴とする半導体チップ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−120961(P2007−120961A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309571(P2005−309571)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】