説明

ヘアスタイリング組成物

【課題】良好な保持性および良好な光沢の双方をもたらすヘアスタイリング配合物の提供。
【解決手段】(a)(1)30〜75重量%の1.490以上の屈折率を有するモノマー、(2)1〜30重量%の酸官能性モノマー、および(3)5〜69重量%の追加のモノマー;を含む可溶性のポリマー、(b)(1)0〜75重量%の噴射剤、(2)5〜95重量%の揮発性有機溶媒、および(3)0〜50重量%の水;を含む溶媒−噴射剤混合物、(c)中和剤:ポリマー(a)の酸官能基に対するモル比は0:1から1.1:1である、中和剤、並びに(d)アジュバント:ポリマー(a)の重量比が0:1から1.4:1である、アジュバント;を含み、ポリマー(a)と混合物(b)との合計重量を基準にして、ポリマー(a)が1〜10重量%、混合物(b)が90〜99重量%である、ヘアスタイリング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
良好な保持性(すなわち、髪を所定の位置に保つ能力)および良好な輝き(すなわち、髪に輝く外観を与える能力)の双方を提供するヘアスタイリング配合物が望まれる。
【背景技術】
【0002】
過去においては、ヘアスタイリング配合物は、その配合物が良好な保持性を有するようにする特定のポリマーを含んでいたが、これらの配合物は消費者に望まれる輝きの水準を欠いていた。過去においては、このような配合物のいくつかは1種以上の添加剤、例えば、有機置換シリコーンなども有していた。添加剤は場合によっては輝きを増強させるのに有効であったが、それはまた配合物が髪を保持する能力を低減させた。
【0003】
ヘアスタイリング組成物は場合によっては噴霧されるので、その組成物中に使用されるポリマーは好適な溶媒中に充分に溶解することも望まれる。さらに、適切な噴霧のためには、組成物中に使用されるポリマーの溶液が高すぎない粘度を有するべきであることが望まれる。また、ヘアスタイリング組成物が安定であること(すなわち、組成物が貯蔵されている間に如何なる成分も沈降しないこと)が望まれる。さらに、乾燥後に、ヘアスタイリング組成物が例えば、シャンプーを用いた洗浄によって、容易に取り除かれることが望まれる。
【0004】
米国特許第4,315,910号は、例えば、スチレン/無水マレイン酸ポリマーなどのポリマーを含むエアゾールヘアスプレー組成物を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,315,910号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
良好な保持性および良好な輝きの双方をもたらすヘアスタイリング配合物を提供することが望まれる。このような配合物に好適なポリマーであって、充分に可溶性で、高すぎない粘度を有する溶液を形成するこのようなポリマーを提供することも望まれる。乾燥したときに除去可能なヘアスタイリング組成物に使用されうるポリマーを提供することも望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、
(a)(i)ポリマーの重量を基準にして30重量%〜75重量%の、1.490以上の屈折率を有する1種以上のモノマー、
(ii)ポリマーの重量を基準にして1重量%〜30重量%の、1種以上の酸官能性モノマー、および
(iii)ポリマーの重量を基準にして5重量%〜69重量%の、1種以上の追加のモノマー;
を重合単位として含む1種以上の充分に可溶性のポリマー、
(b)(i)溶媒−噴射剤混合物の重量を基準にして0重量%〜75重量%の噴射剤、
(ii)溶媒−噴射剤混合物の重量を基準にして5重量%〜95重量%の揮発性有機溶媒、および
(iii)溶媒−噴射剤混合物の重量を基準にして0重量%〜50重量%の水;
を含む溶媒−噴射剤混合物、
(c)中和剤、ただし当該中和剤の、前記ポリマー(a)の酸官能基に対するモル比は0:1から1.1:1である、並びに
(d)1種以上のアジュバント、ただし全てのアジュバントの合計重量の、前記ポリマー(a)の重量に対する比は0:1から1.4:1である;
を含み、
前記ポリマー(a)の量が、前記ポリマー(a)と前記溶媒−噴射剤混合物(b)との合計重量を基準にして1重量%〜10重量%であり、
前記溶媒−噴射剤混合物(b)の量が、前記ポリマー(a)と前記溶媒−噴射剤混合物(b)との合計重量を基準にして90重量%〜99重量%である、
ヘアスタイリング組成物が提供される。
【0008】
本発明の第2の態様においては、
(AA)上記ポリマー(a)と同じ定義の1種以上の充分に可溶性のポリマー、
(BB)(i)溶媒混合物の重量を基準にして、0重量%〜50重量%の揮発性有機溶媒、および
(ii)溶媒混合物の重量を基準にして、50重量%〜100重量%の水;
を含む溶媒混合物、
(c)上述の中和剤、
(d)上述の1種以上のアジュバント
を含み、
前記ポリマー(AA)の量が、前記ポリマー(AA)と前記溶媒混合物(BB)との合計重量を基準にして1重量%〜20重量%であり、
前記溶媒混合物(BB)の量が、前記ポリマー(AA)と前記溶媒混合物(BB)との合計重量を基準にして80重量%〜99重量%である、
ヘアスタイリング組成物が提供される。
【0009】
本発明の第3の態様においては、上に定義されるモノマー(i)、(ii)および(iii)を含む1種以上のモノマー混合物の乳化重合を含み、当該乳化重合が1種以上の非イオン性界面活性剤および1種以上の連鎖移動剤の存在下で、部分的にまたは完全に行われる、ポリマーを製造する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において使用される「ヘアスタイリング組成物」は髪を特定の形状または配置に保持するために髪に使用されうる組成物である。このような組成物は典型的には、組成物および最終的には組成物が適用される髪に所望の特性を与える様に設計された、様々なポリマー系樹脂、ガムおよび/または接着剤を含む。このポリマーは様々な目的、例えば、髪保持、ボリューム向上、外観向上および所望の触感付与の1以上のために使用される。髪を特定の形状に保持するヘアスタイリング組成物の能力の多くは、組成物中に使用される1種以上のポリマーから生じる。ヘアスタイリング組成物には、例えば、ヘアスプレー、スタイリングジェル、スプレージェルおよびムースが挙げられる。
【0011】
本明細書において使用され、Textbook of Polymer Science、第二版、1971においてFW Billmayer,JR.により定義される「ポリマー」は、より小さな化学的繰り返し単位の反応生成物で構成される相対的に大きな分子である。
【0012】
ポリマー分子量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC、ゲル浸透クロマトグラフィー、GPCとも呼ばれる)などの標準的な方法によって測定されうる。概して、ポリマーは1,000以上の重量平均分子量(Mw)を有する。あるポリマーは数平均分子量Mnによって特徴づけられる。
【0013】
本明細書において使用される「ポリマーの重量」はポリマーの乾燥重量を意味する。互いに反応できポリマーの繰り返し単位を形成できる分子は本明細書において「モノマー」として理解される。本発明において有用なモノマーの種類の一例は、例えば、エチレン性不飽和モノマー(すなわち、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有するモノマー)である。典型的なエチレン性不飽和モノマーは500未満の分子量を有する。そのようなモノマーには、例えばビニルモノマーがある。ある好適なビニルモノマーには、例えば、スチレン、置換スチレン、ジエン、エチレン、エチレン誘導体およびこれらの混合物が挙げられる。エチレン誘導体には、例えば、以下のもの:酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリラート、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニル、ハロゲン化アルケン、およびこれらの混合物:の非置換体または置換体が挙げられる。本明細書において使用される、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味し;「(メタ)アクリラート」はアクリラート、またはメタクリラートを意味し;「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミドまたはメタアクリルアミドを意味する。「置換」は少なくとも1種の結合された化学基、例えば、アルキル基、アルケニル基、ビニル基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、他の官能基、およびこれらの組み合わせを有することを意味する。
【0014】
特定のモノマーを単独でまたは他のモノマーと共に重合することにより製造されるポリマーは、本明細書において重合単位としてそのモノマーを含むと称される。
【0015】
本明細書において使用される化合物の「標準沸点」は1気圧での沸点である。本明細書において使用される「揮発性」化合物は250℃以下の標準沸点の化合物である。本明細書において使用される「INCI」は化粧品原料国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)である。
【0016】
本明細書において使用される「有機」化合物は、一般的に無機化合物であると認められる炭素含有化合物以外の、1以上の炭素原子を含む化合物である。一般的に無機化合物であると認められる炭素含有化合物の例には、酸化炭素(例えば、二酸化炭素など)、二硫化炭素、シアン化金属、金属カルボニル、ホスゲン、硫化カルボニル、金属炭酸塩および金属重炭酸塩が挙げられる。
【0017】
ある実施形態においては、本発明のヘアスタイリング組成物はヘアスプレーとして適する。このような実施形態のいくつかにおいては、ヘアスタイリング組成物はポンプスプレーまたはエアゾールスプレーとして適する。このような実施形態のいくつかにおいては、ヘアスタイリング組成物はエアゾールスプレーとして適する。
【0018】
本発明のヘアスタイリング組成物は1種以上のポリマー(本明細書において「ポリマー(a)」と称される)を含む。本明細書において使用される「ポリマー(AA)」は「ポリマー(a)」と同じ特徴を有する。ある実施形態においては、ポリマー(a)は1種以上のビニルポリマーを含む。ある実施形態においては、ヘアスタイリング組成物中の全てのポリマー(a)はビニルポリマーである。本明細書において使用されるビニルポリマーはビニルモノマーの重合により製造されたポリマーである。ある実施形態においては、ビニルポリマーはビニルモノマーのフリーラジカル重合により製造される。
【0019】
ポリマー(a)の組成とは無関係に、ある実施形態においては、25,000以上または50,000以上のMwを有する1種以上のポリマー(a)が使用される。独立して、ある実施形態においては、300,000以下または150,000以下のMwを有する1種以上のポリマー(a)が使用される。独立して、ある実施形態においては、全てのポリマー(a)が25,000〜300,000のMwを有する。
【0020】
本発明のポリマー(a)は、1.490以上の屈折率を有する1種以上のモノマー(本明細書において「モノマー(i)」と称される)の重合単位を含む。モノマーの屈折率は、例えば、ASTM標準D1218−02により、25℃で測定されうる。ある実施形態においては、モノマー(i)は1.500以上、または1.530以上の屈折率を有する1種以上のモノマーを含む。ある実施形態においては、全てのモノマー(i)は1.530以上の屈折率を有するモノマーである。
【0021】
ある実施形態においては、モノマー(i)は1種以上のビニルモノマーを含む。ある実施形態においては、モノマー(i)は1種以上のビニル芳香族モノマーを含む。ビニル芳香族モノマーは1以上の炭素−炭素二重結合かつ1以上の芳香環を含むモノマーである。好適なビニル芳香族モノマーには、例えば、ベンジル基を有するモノマー、フェニル基を有するモノマー、スチレン、スチレンの誘導体(例えば、アルファ−メチルスチレン)およびこれらの混合物が挙げられる。ある実施形態においては、全てのモノマー(i)はビニル芳香族モノマーである。ある実施形態においては、モノマー(i)はスチレン、アルファ−メチルスチレンまたはこれらの混合物の1種以上を含む。ある実施形態においては、全てのモノマー(i)はスチレン、アルファ−メチルスチレンおよびこれらの混合物から選択される。
【0022】
好適なモノマー(i)の混合物も好適である。
【0023】
本発明のポリマー(a)におけるモノマー(i)の重合単位の量は、ポリマー(a)の重量を基準にして30重量%〜75重量%である。ある実施形態においては、モノマー(i)の重合単位の量は、ポリマーの重量を基準にして35重量%以上、または39重量%以上である。ある実施形態においては、モノマー(i)の重合単位の量は、ポリマーの重量を基準にして65重量%以下、または55重量%以下である。
【0024】
本発明のポリマー(a)は少なくとも1つの酸官能基を有する1種以上のモノマー(本明細書において「モノマー(ii)」と称される)の重合単位の1種以上をさらに含む。好適な酸官能基には、例えば、スルホン酸基およびカルボン酸基が挙げられる。酸官能基は中性形態もしくはイオン性形態またはこの混合物であってよい。ある好適なモノマー(ii)には、例えば、少なくとも1つの酸官能基を有するビニルモノマーが挙げられる。独立して、ある実施形態においては、カルボン酸基を有する少なくとも1種のモノマー(ii)が使用される。ある実施形態においては、全てのモノマー(ii)はカルボン酸基を有する。
【0025】
スルホン酸基を有する好適なモノマー(ii)には、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。好適なモノマー(ii)には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
ある実施形態においては、モノマー(ii)は1つだけの酸官能基を有する少なくとも1種のモノマーを含む。
【0027】
ある実施形態においては、本発明のポリマー(a)は無水マレイン酸の重合単位を含まない。ある実施形態においては、本発明のポリマー(a)は酸無水物基を有するモノマーの重合単位を含まない。ある実施形態においては、本発明のポリマー(a)は1より多いカルボキシル基を有するモノマーの重合単位を含まない。ある実施形態においては、本発明のポリマー(a)は1より多い酸官能基を有するモノマーの重合単位を含まない。
【0028】
好適なモノマー(ii)の混合物も好適である。
【0029】
ポリマーにおけるモノマー(ii)の重合単位の量は、ポリマーの重量を基準にして1重量%〜30重量%である。ある実施形態においては、ポリマーにおけるモノマー(ii)の重合単位の量はポリマーの重量を基準にして、2重量%以上;または、5重量%以上;または、10重量%以上;または、12重量%以上;または、14重量%以上;または、18重量%以上;または、20重量%以上;または、22重量%以上である。
【0030】
ある実施形態においては、存在する全てのモノマー(i)は酸官能基を有しないモノマーである。独立して、ある実施形態においては、存在する全てのモノマー(ii)は1.490未満の屈折率を有するモノマーである。存在する全てのモノマー(i)が酸官能基を有しないモノマーであり、かつ存在する全てのモノマー(ii)が1.490未満の屈折率を有するモノマーである実施形態も意図される。
【0031】
1.490以上の屈折率を有しかつ少なくとも1つの酸官能基も有する1種以上のモノマーが使用される実施形態も意図される。このような実施形態において、1.490以上の屈折率を有するか、または少なくとも1つの酸官能基を有するか、または1.490の屈折率と少なくとも1つの官能基との両方を有するモノマーの重合単位の合計重量を特定し、各重合単位を一度にカウントすることによって、ポリマー(a)におけるモノマー(i)および(ii)の重合単位の量を計算することが意図される。その合計重量はポリマー(a)の重量を基準にして、31重量%〜95重量%であろう。
【0032】
1.490以上の屈折率を有しかつ少なくとも1つの酸官能基も有する1種以上のモノマーが使用される実施形態においては、いくつかの好適なこのようなモノマーには、例えば、スチレンスルホン酸および置換スチレンスルホン酸が挙げられる。
【0033】
本発明のポリマー(a)は、1種以上の追加のモノマー(本明細書において、「モノマー(iii)」と称する)の重合単位をさらに含む。モノマー(iii)として好適なモノマーは、モノマー(i)でなく、かつモノマー(ii)でもないモノマーである。ある実施形態においては、モノマー(iii)は1種以上のビニルモノマーを含む。ある実施形態においては、全てのモノマー(iii)はビニルモノマーである。
【0034】
いくつかの好適なモノマー(iii)には、例えば、オレフィン、ジエンおよび(メタ)アクリラートモノマーが挙げられる。本明細書において使用される、(メタ)アクリラートモノマーには、アクリル酸およびメタクリル酸の置換および非置換エステル並びにアミドが挙げられる。ある好適なモノマー(iii)には、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、例えば、アルキル基が1〜20の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖、環状またはその組み合わせであるものが挙げられる。ある実施形態においては、モノマー(iii)は1種以上のC−C20アルキルアクリラートを含む。ある実施形態においては、モノマー(iii)は、2以上の炭素原子を有するもしくは3以上の炭素原子を有するアルキルアクリラートの1種以上を含む。独立して、ある実施形態においては、モノマー(iii)は10以下の炭素原子を有するもしくは8以下の炭素原子を有するアルキルアクリラートの1種以上を含む。1種以上のアルキルアクリラートが使用されるある実施形態では、ポリマーにおけるアルキルアクリラートモノマーの重合単位の量は、ポリマーの重量を基準にして5重量%以上、または10重量%以上である。独立して、1種以上のアルキルアクリラートが使用されるある実施形態では、ポリマーにおけるアルキルアクリラートモノマーの重合単位の量は、ポリマーの重量を基準にして50重量%以下、または40重量%以下である。
【0035】
独立して、ある実施形態においては、モノマー(iii)は1種以上のC−C20アルキルメタクリラートを含む。ある実施形態においては、モノマー(iii)は6以下の炭素原子、または3以下の炭素原子、または2以下の炭素原子を有するアルキルメタクリラートの1種以上を含む。ある実施形態においては、モノマー(iii)は1種以上のアルキルアクリラートを含み、かつ1種以上のアルキルメタクリラートも含む。1種以上のアルキルメタクリラートが使用されるある実施形態では、ポリマーにおけるアルキルメタクリラートモノマーの重合単位の量は、ポリマーの重量を基準にして3重量%以上、または6重量%以上である。独立して、1種以上のアルキルメタクリラートが使用されるある実施形態では、ポリマーにおけるアルキルメタクリラートモノマーの重合単位の量は、ポリマーの重量を基準にして25重量%以下、または12重量%以下である。
【0036】
独立して、いくつかの好適なモノマー(iii)には、さらなる例として、エステル基が1以上の置換基、例えば、1以上のヒドロキシル基などを有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの構造を有する、(メタ)アクリル酸の置換アルキルエステルも挙げられる。いくつかの好適なモノマー(iii)には、例えば、アルキル基が1〜10の炭素原子を有する、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。ある実施形態においては、モノマー(iii)は、アルキル基が6以下の炭素原子、または4以下の炭素原子を有する、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルの1種以上を含む。ある好適な(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルには、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルおよびこれらの混合物が挙げられる。(メタ)アクリル酸の置換アルキルエステルの1種以上が使用されるある実施形態においては、ポリマーにおける(メタ)アクリル酸の置換アルキルエステルの重合単位の量は、ポリマーの重量を基準にして2重量%以上、または5重量%以上である。独立して、(メタ)アクリル酸の置換アルキルエステルの1種以上が使用されるある実施形態においては、ポリマーにおける(メタ)アクリル酸の置換アルキルエステルの重合単位の量は、ポリマーの重量を基準にして40重量%以下、または20重量%以下である。
【0037】
ある実施形態においては、モノマー(iii)は1種以上のアルキルアクリラート、1種以上のアルキルメタクリラートおよび1種以上の置換アルキル(メタ)アクリラートを含む。
【0038】
ある実施形態においては、モノマー(iii)は置換アルキル(メタ)アクリラートを含まない。
【0039】
ある実施形態においては、モノマー(ii)の重合単位の量と(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルの重合単位の量との合計は、ポリマーの重量を基準にして10重量%以上、または20重量%以上である。独立して、ある実施形態においては、モノマー(ii)の重合単位の量と(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルの重合単位の量との合計は、ポリマーの重量を基準にして50重量%以下、または40重量%以下である。
【0040】
ある実施形態においては、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルの量は、ポリマーの重量を基準にして5重量%以下または0重量%であり、モノマー(ii)の量はポリマーの重量を基準にして20重量%以上である。
【0041】
モノマー(iii)の組成に関係なく、本発明のポリマー(a)における、全てのモノマー(iii)の重合単位の合計量は、ポリマー(a)の重量を基準にして30重量%〜89重量%である。ある実施形態においては、モノマー(iii)の重合単位の合計量は、ポリマー(a)の重量を基準にして75重量%以下、または60重量%以下である。
【0042】
好適なモノマー(iii)の混合物も好適である。
【0043】
ある実施形態においては、ポリマー(a)の重合において1種以上の連鎖移動剤が使用される。連鎖移動剤はフリーラジカル重合の間の連鎖移動プロセスを促進するのに有効な化合物である。連鎖移動剤は、重合プロセスによって製造されるポリマーの分子量を低減させるように機能することが意図される。いくつかの好適な連鎖移動剤には、例えば、メルカプタン、硫化物、およびハロゲン化物が挙げられる。いくつかの好適なハロゲン化物には、例えば、ハロゲン化アルキル、例えば、ハロメタンなど、およびハロゲン化エステル(例えば、ハロゲン化酢酸エステルなど)が挙げられる。好適な硫化物には、例えば、ジアルキルジスルフィド、ジアリールジスルフィド、ジアロイルジスルフィドおよびキサントゲン類(xanthogens)が挙げられる。いくつかの好適なメルカプタンには、例えば、非置換アルキルメルカプタンおよび置換アルキルメルカプタンが挙げられる。置換アルキルメルカプタンには、例えば、1以上のチオール基と共に、分子のアルキル部分に1以上のヒドロキシル基および/または1以上のカルボキシル基が結合されている化合物が挙げられる。ある実施形態においては、1種以上の非置換アルキルメルカプタンが使用される。
【0044】
1種以上の連鎖移動剤が使用される実施形態のいくつかにおいては、連鎖移動剤の量は、全モノマー100gあたりのミリモル単位で、0.5以上;または1以上;または2以上である。独立して、1種以上の連鎖移動剤が使用される実施形態のいくつかにおいては、連鎖移動剤の量は、全モノマー100gあたりのミリモル単位で、20以下;または10以下;または5以下である。
【0045】
ある実施形態においては、本発明のポリマー(a)は、ビニルラクタムであるモノマーの重合単位を含まない。独立して、ある実施形態においては、本発明のポリマー(a)は、アクリル酸のアミドまたはメタクリル酸のアミドであるモノマーの重合単位を含まない。独立して、ある実施形態においては、本発明のポリマー(a)はアミド化合物であるモノマーの重合単位を含まない。独立して、ある実施形態においては、本発明のポリマー(a)は酢酸ビニルの重合単位を含まない。独立して、ある実施形態においては、本発明のポリマー(a)は、500以上の分子量を有するモノマーの重合単位を含まない。
【0046】
独立して、ある実施形態においては、本発明のポリマー(a)における重合単位の全ては、スチレン、アルキル置換スチレン、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、連鎖移動剤およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0047】
ポリマー(a)は充分に可溶性のポリマーである。本明細書において使用される「充分に可溶性」とは、ポリマーが次の基準を満たすことを意味する。後述の実施例のセクションに記載されるようにポリマー試験溶液が製造され、濁度について試験される。ポリマーが、12重量%(溶液の重量基準)ポリマー固形分の溶液中で120NTU以下の濁度を有する場合、または10重量%(溶液の重量基準)ポリマー固形分の溶液中で100NTU以下の濁度を有する場合に、ポリマーは充分に可溶性であると本明細書において見なされる。
【0048】
ある実施形態においては、ポリマー(a)は「増強された溶解性」を有し、これは本明細書において、ポリマーが10重量%(溶液の重量基準)ポリマー固形分の溶液中で20NTU以下の濁度を有することを意味する。
【0049】
ポリマー(a)の溶解性の程度とは関係なく、ある実施形態においては、本発明の組成物は貯蔵安定性である。すなわち、密封容器中で6ヶ月の貯蔵後に、目に見える沈殿がなく、濁度に変化がない。ある実施形態においては、18ヶ月の貯蔵後に、目に見える沈殿がなく、濁度に変化がない。
【0050】
本明細書において、ポリマーが上記基準を満たす場合に充分に可溶性であると見なされ、かつ充分に可溶性であると見なされるのはポリマーが上記基準を満たす場合に限られる。一般に、充分に可溶性であるポリマーが、後述の濁度試験以外の状況で観察される場合には、そのポリマーは光学的に透明な系の部分であることができ、または濁っている系の部分であることができることが意図される。例示のために、6未満のpHで乳化重合することにより製造された例のポリマーを考慮することが有用であり、例のポリマーは乳化重合により製造されたラテックスの形態で観察され;このような例のポリマーは、45%固形分を有し、6未満のpHを有するとして観察されることができた。ある場合には、このようなラテックスは濁っている場合があったが、それにもかかわらず、ポリマーが後述の濁度試験(これは、より高いpHへの中和およびエタノールと水での希釈を伴う)にかけられた場合に、そのポリマーが本明細書において「充分に可溶性」とみなしうるのに充分低い濁度を生じさせえたことは依然として可能なことである。
ある実施形態においては、ポリマー(a)は乳化重合によって製造され、ラテックスの形態で存在する。このような実施形態のいくつかにおいて、完全なラテックスの部分が、目的、例えば濁度試験のために好適なある種の溶媒に添加される。このような場合において、溶媒に添加されるラテックスは、ポリマー自体に加えて、他の化合物、例えば乳化重合プロセスからのラテックス中に残存する界面活性剤(単一種または複数種)を含むであろうことが意図される。このような本発明のポリマー(a)のラテックスが試験される場合、充分に可溶性であることが示されるであろう。すなわち、ラテックスの化合物の全てを含む試験溶液は充分に低い濁度を有するであろう。
【0051】
たとえラテックス中に存在する1種以上の化合物が可溶性でなくても、本発明のポリマー(a)のラテックスは充分に可溶性であり得ることが考えられる。本発明は理論に限定されるものではないが、ある実施形態においては、1種以上の界面活性剤(またはラテックス中の他の化合物)は、ポリマー(a)とその界面活性剤との組み合わせが充分に可溶性であろうように、ポリマー(a)と充分に混和性であろうことが考えられる。
【0052】
揮発性有機化合物(VOC)含有量によって本発明の組成物を特徴づけることが有用である。組成物のVOC含有量は組成物の全重量を基準にした重量パーセンテージとして表される、全ての揮発性有機化合物の量である。250℃以下の標準沸点を有する2種以上の有機化合物が組成物中で使用される場合には、それらは組成物に添加される前に一緒に混合されてもよいし、されなくてもよいことが意図される。ある実施形態においては、本発明の組成物は30%〜95%のVOC含有量を有する。
【0053】
本明細書において「低−VOC」と称される実施形態である、いくつかの実施形態においては、ヘアスタイリング組成物のVOC含有量は30%〜65%である。いくつかの低−VOC実施形態においては、VOC含有量は45%以上;または50%以上である。独立して、いくつかの低−VOCの実施形態においては、VOC含有量は60%以下である。
【0054】
いくつかの低−VOCの実施形態はエアゾールスプレーとして有用であろうし、いくつかの低−VOCの実施形態はポンプスプレーとして有用であろうことが意図される。
【0055】
本明細書において「高−VOC」と称される実施形態である、いくつかの実施形態においては、ヘアスタイリング組成物のVOC含有量は70%〜95%である。いくつかの高−VOCの実施形態においては、VOC含有量は75%以上である。独立して、いくつかの高−VOCの実施形態においては、VOC含有量は90%以下;または85%以下である。
【0056】
いくつかの高−VOCの実施形態はエアゾールスプレーとして有用であろうし、いくつかの高−VOCの実施形態はポンプスプレーとして有用であろうことが意図される。
【0057】
VOC含有量が0%から30%未満である、本明細書において「非常に低−VOC」と称される実施形態も意図される。いくつかの非常に低−VOCの実施形態においては、噴射剤は使用されない。いくつかの非常に低−VOCの実施形態は、例えばスプレージェルとして有用であろうことが意図される。いくつかのスプレージェルは1種以上の増粘剤を含む。増粘剤が使用されるいくつかのスプレージェルにおいては、増粘剤の量は、増粘剤の、ポリマー(a)(または対ポリマー(AA))に対する重量比が0.05:1から1:1である。
【0058】
非常に低−VOCの実施形態においては、VOC含有量が0%〜1%であるいくつかの実施形態、すなわち本明細書において「著しい低−VOC」と称される実施形態が意図される。いくつかの著しい低−VOC実施形態は例えば、非エアゾールムース(non−aerosol mousses)、ヘアスタイリングジェル(hair styling gels)、ヘアセッティングローション(hair setting lotions)およびヘアポマード(hair pomades)として有用であろう。
【0059】
非エアゾールムースは、典型的には、1種以上のベタイン界面活性剤を、場合によっては0.05:1から1:1である、ベタイン界面活性剤の、ポリマー(a)(または、対ポリマー(AA))に対する重量比を有する量で含む。ヘアスタイリングジェルは、典型的には、1種以上の増粘剤(レオロジー改変剤とも称される)を、場合によっては0.05:1から0.5:1である、増粘剤の、ポリマー(a)(または、対ポリマー(AA))に対する重量比を有する量で含む。ヘアセッティングローションは、典型的には、1種以上の脂肪化合物(すなわち、可能ないくつかある化学基のなかで、8以上の炭素原子の炭化水素鎖を含む化合物)を、場合によっては0.1:1から2:1である、脂肪化合物の、ポリマー(a)(または、対ポリマー(AA))に対する重量比を有する量で含む。いくつかのヘアセッティングローションにおいては、脂肪化合物は20℃で液体である。ワックスは20℃で固体の脂肪化合物である。ヘアポマードは、場合によっては、1種以上のワックスを、場合によっては0.1:1から2:1である、ワックスの、ポリマー(a)(または、対ポリマー(AA))に対する重量比を有する量で含む。
【0060】
いくつかの実施形態においては、組成物が発泡体を形成する傾向がある。ある場合においては、このような発泡体は望ましくない。例えば、気泡の存在が処理された髪の輝きを低減させうる。このような実施形態においては、シリコーン消泡剤が場合によっては組成物に添加されうることが意図される。シリコーン消泡剤が使用される場合には、シリコーン消泡剤の、ポリマー(a)に対する重量比は、例えば、0.01:1から0.5:1、または0.05:1から0.15:1であり得る。
【0061】
ポリマー(a)に加えて、本発明のいくつかの組成物は成分(b)を含む。成分(b)は水、1種以上の揮発性有機溶媒、および場合によって、1種以上の噴射剤(propellant)を含む。成分(b)に含まれる揮発性有機溶媒は本明細書において「溶媒(sb)」と称される。溶媒(sb)は25℃で液体であり、ポリマー(a)を溶解させることができる。ある実施形態においては、200℃以下、または150℃以下、または100℃以下の沸点を有する1種以上の溶媒(sb)が使用される。独立して、ある実施形態においては、30℃以上、または45℃以上、または60℃以上の沸点を有する1種以上の溶媒(sb)が使用される。ある実施形態においては、ヘアスタイリング組成物中で使用される全ての有機溶媒は溶媒(sb)である。独立して、ある実施形態においては、ヘアスタイリング組成物中で使用される全ての有機溶媒は100℃以下の標準沸点を有する。
【0062】
いくつかの好適な溶媒(sb)には、例えば、直鎖、環式、分岐鎖またはこれらの組み合わせでありうる炭化水素;ケトン;エーテル;フラン;完全にまたは部分的にハロゲン化された炭化水素;アルコール;芳香族化合物;およびこれらの混合物が挙げられる。ある実施形態においては、溶媒(sb)は1種以上のアルコールを含む。好適なアルコールには、例えば1つのヒドロキシ基を有するC1−C5炭化水素が挙げられる。ある好適なアルコールはエチルアルコールである。
ある実施形態においては、溶媒(sb)は美容上許容できる。すなわち、溶媒(sb)はヘアスプレーおよび/または化粧品における使用(すなわち、人の髪および/または皮膚との接触を伴う使用)に適する。
【0063】
好適な有機溶媒の混合物も好適である。
【0064】
ある実施形態においては、1種以上のアルコール以外の有機溶媒は成分(b)に使用されない。
【0065】
成分(b)中の溶媒(sb)の量は、成分(b)の重量を基準にして、5重量%〜95重量%である。ある実施形態においては、成分(b)中の溶媒(sb)の量は、成分(b)の重量を基準にして、5〜90重量%である。
【0066】
成分(b)中の水の量は、成分(b)の重量を基準にして0重量%〜50重量%である。ある実施形態においては、成分(b)中の水の量は、成分(b)の重量を基準にして10重量%〜50重量%である。
【0067】
ある実施形態においては、成分(b)中に噴射剤は使用されない。
【0068】
本発明の組成物がエアゾールスプレーで使用されることが意図される実施形態においては、好適な噴射剤も使用される。噴射剤は25℃および1気圧で気体状である。ある好適な噴射剤は24℃以下;または0℃以下;または−20℃以下の標準沸点を有する。独立して、ある好適な噴射剤は−196℃以上;または−100℃以上;または−50℃以上の標準沸点を有する。
【0069】
ある実施形態においては、1種以上の有機噴射剤が使用される。ある実施形態においては、使用される全ての噴射剤は有機物である。
【0070】
1気圧での沸点とは関係なく、「液化噴射剤」と称されるいくつかの噴射剤は、加圧エアゾール缶内で25℃で液体である。このような液化噴射剤のいくつかは、例えば、ハロカーボン、炭化水素またはその混合物である。「圧縮ガス噴射剤」と呼ばれるある噴射剤は、加圧エアゾール缶の内側で25℃で気体状のままである。
【0071】
ある好適な噴射剤は、例えば、4以下の炭素原子を有するアルカン、2つの炭素原子を有するフッ素化炭化水素、ジメチルエーテル、およびこれらの混合物である。ある好適な噴射剤は、例えば、n−ブタン、イソブタン、プロパン、ジメチルエーテル、1,1−ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、およびこれらの混合物である。ある実施形態においては、噴射剤は、ジメチルエーテル、1,1−ジフルオロエタン、テトラフルオロエタンまたはこれらの混合物の1種以上を含む。ある実施形態においては、全ての噴射剤はジメチルエーテル、1,1−ジフルオロエタン、テトラフルオロエタンおよびこれらの混合物から選択される。
【0072】
ある実施形態においては、水可溶性噴射剤(すなわち、25℃、自己圧力で水に可溶性である噴射剤)が使用される。自己圧力(autogenous pressure)は、成分の揮発性により生じる密封されたエアゾール缶の内側での圧力である。ある好適な水可溶性噴射剤は、例えば、ジメチルエーテルである。ある実施形態においては、使用される全ての噴射剤は水可溶性である。ある実施形態においては、使用される唯一の噴射剤がジメチルエーテルである。
【0073】
1種以上の噴射剤が使用されるいくつかの実施形態においては、噴射剤の量は成分(b)の重量を基準にして、25重量%以上;または35重量%以上;または45重量%以上である。独立して、1種以上の噴射剤が使用されるいくつかの実施形態においては、噴射剤の量は成分(b)の重量を基準にして、60重量%以下;または55重量%以下である。
【0074】
本発明の様々な実施形態の全てのなかには、次のような、いくつかの例示的であるが限定するものではない実施形態が意図される。
【0075】
ある実施形態においては、成分(b)は、成分(b)の重量を基準にして、30重量%〜50重量%の水、および50重量%〜70重量%の溶媒(sb)を含むが、噴射剤を含まない。
【0076】
第2の実施形態においては、成分(b)は、成分(b)の重量を基準にして、5重量%〜25重量%の水、および75重量%〜90重量%の溶媒(sb)を含むが、噴射剤を含まない。
【0077】
第3の実施形態においては、成分(b)は、成分(b)の重量を基準にして、45重量%〜55重量%の噴射剤、30重量%〜45重量%の水、および0重量%〜25重量%の溶媒(sb)を含む。
【0078】
第4の実施形態においては、成分(b)は、成分(b)の重量を基準にして、40重量%〜60重量%の噴射剤、5重量%〜25重量%の水、および15重量%〜85重量%の溶媒(sb)を含む。
【0079】
第5の実施形態においては、成分(b)は、成分(b)の重量を基準にして、40重量%〜60重量%の噴射剤、0重量%〜1重量%の水、および40重量%〜60重量%の溶媒(sb)を含む。
【0080】
第6の実施形態においては、成分(b)は、成分(b)の重量を基準にして、0重量%〜1重量%の水、および99重量%〜100重量%の溶媒(sb)を含むが、噴射剤を含まない。
【0081】
成分(b)を使用する実施形態においては、本発明のヘアスタイリング組成物中に存在するポリマー(a)の量は、ポリマー(a)と成分(b)との合計重量を基準として1重量%〜10重量%である。ある実施形態においては、ポリマー(a)の量は、ポリマー(a)と成分(b)との合計重量を基準として2重量%以上;または3重量%以上;または4重量%以上である。ある実施形態においては、ポリマー(a)の量は、ポリマー(a)と成分(b)との合計重量を基準として8重量%以下;または6重量%以下;または5重量%以下である。
【0082】
ポリマー(a)に加えて、本発明の組成物のいくつかは成分(BB)を含む。成分(BB)は水および1種以上の揮発性有機溶媒を含む。成分(BB)に含まれる揮発性有機溶媒は、本明細書において「溶媒(SBB)」と称される。溶媒(SBB)は、本明細書において上述の溶媒(sb)と同じ特徴を有する。
【0083】
成分(BB)における溶媒(SBB)の量は、成分(BB)の重量を基準にして、0重量%〜50重量%である。
【0084】
成分(BB)における水の量は、成分(BB)の重量を基準にして50重量%〜100重量%である。
【0085】
ある実施形態においては、成分(BB)において噴射剤は使用されない。
【0086】
成分(BB)を使用する実施形態においては、本発明のヘアスタイリング組成物中に存在するポリマー(a)の量は、ポリマー(a)と成分(BB)との合計重量を基準として1重量%〜20重量%である。ある実施形態においては、ポリマー(a)の量は、ポリマー(a)と成分(BB)との合計重量を基準として2重量%以上;または3重量%以上;または4重量%以上である。ある実施形態においては、ポリマー(a)の量は、ポリマー(a)と成分(b)との合計重量を基準として15重量%以下;または12重量%以下である。
【0087】
ある実施形態においては、本発明の組成物は1種以上の中和剤化合物(neutralizing compound)を含む。ヘアスタイリング組成物中でポリマー(a)が「そのままで」またはポリマー(a)に含まれる酸官能基のいくつかもしくは全部の中和により可溶性であることが意図される。酸官能基は、ヘアスタイリング組成物中のポリマー(a)を溶解するのを助けることができる少なくとも1種の中和剤化合物を用いて従来技術によって中和されうる。使用される場合には中和剤化合物は、例えば、アミン、アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物、水酸化アンモニウム、およびこれらの混合物の1種以上から選択されうる。好適なアミン中和剤には、例えば、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジメチル−2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノ−イソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、モルホリンおよびこれらの混合物が挙げられる。好適なアルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物には、例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。ある実施形態においては、中和剤は2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N,N−ジメチル−2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、水酸化カリウム、トリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンの1種以上から選択される。好適な中和剤化合物の混合物も好適である。
【0088】
中和剤化合物が使用される実施形態においては、ポリマー(a)の酸官能基に対する中和剤化合物のモル当量比は、例えば、0.05以上、または0.1以上、または0.5以上、または0.75以上である。独立して、中和剤化合物が使用される実施形態においては、ポリマー(a)の酸官能基に対する中和剤化合物のモル当量比は、例えば、1.1以下である。
【0089】
1種以上のアジュバントが使用される実施形態においては、アジュバントには、例えば、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))以外の1種以上のポリマー、1種以上の防腐剤(例えば、有機酸、イソチアゾロン、ヨードプロピニルブチルカーバメート、ベンジルアルコール、イミダゾリジニルウレアおよびアルキルパラベンの1種以上);増粘剤;保湿剤(例えば、グリセリン、絹タンパク質加水分解物および小麦タンパク質加水分解物);コンディショニング剤、例えば、パンテノール;コンディショニング剤(米国特許第5,164,177号は、好適なコンディショニング剤についてのさらなる一般的かつ具体的な詳細について参照されうる);乳化剤;帯電防止剤;抽出物;タンパク質;ビタミン;着色剤;UV保護剤;香料および腐蝕防止剤が挙げられうる。ある実施形態においては、アジュバントは使用されない。
【0090】
1種以上のアジュバントが使用されるある実施形態においては、アジュバントの合計量の重量の、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))の重量に対する比が0.01:1、もしくはそれより高く;または0.05:1、もしくはそれより高く;または0.1:1、もしくはそれより高い。独立して、1種以上のアジュバントが使用されるある実施形態においては、アジュバントの合計量の重量の、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))の重量に対する比が1.4:1、もしくはそれより低く;または1.2:1、もしくはそれより低く;または1.1:1、もしくはそれより低い。
【0091】
ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))以外の1種以上のポリマーが本発明の組成物中で使用される実施形態においては、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))以外のポリマーは、1種以上の髪固定ポリマー、例えば、アクリル酸ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)/酢酸ビニルコポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリラート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー、メタアクリロイルエチル−ベタイン/メタアクリラートコポリマー、メタクリル酸/メタクリルエステルコポリマー、アクリラート/アクリル酸ヒドロキシエステルコポリマー、メタクリル酸/アクリル酸エステルコポリマー、およびポリエステルであってよい。ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))との混合に有用であり得る追加の髪固定ポリマーには、例えば(INCI名で)、PVP/VAコポリマー、PVM/MAのエチルエステルコポリマー、PVM/MAのブチルエステルコポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル、VA/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、アクリラートコポリマー、ジグリコール/CHDM/イソフタラート/SIPコポリマー、アクリラート/アクリル酸ヒドロキシエステルコポリマー、メタクリラート/アクリラートコポリマー/アミン塩、AMP−アクリラート/ジアセトン−アクリルアミドコポリマー、AMPD−アクリラート/ジアセトン−アクリルアミドコポリマー、アクリラート/メタクリラートポリマー、アクリラート/アクリルアミドコポリマー、PVP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリラートコポリマー、ポリビニルカプロラクタム、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー、アクリラート/スクシナート/ヒドロキシアクリラートコポリマー、ポリウレタン−1、オクチルアクリルアミド/アクリラート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー、ビニルカプロラクタム/VP/メタクリル酸ジメチルアミノエチルコポリマー、アクリラート/t−ブチルアクリルアミドコポリマー、アクリラート/C1−2スクシナート/ヒドロキシアクリラートコポリマー、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウラートナトリウム/アクリル酸ポリマーおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0092】
ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))以外の1種以上のポリマーが本発明の組成物に使用される実施形態においては、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))以外のポリマーは、1種以上のレオロジー改変剤ポリマー、例えば、アクリラートステアレス−20メタクリラートコポリマー、アクリラートベヘネス−25メタクリラートコポリマー、アクリラートステアレス−20メタクリラートクロスポリマー(Acrylates Steareth−20 Methacrylate Crosspolymer)、アクリラートコポリマー、アクリラート/ビニルネオデカノアートクロスポリマー、およびこれらの混合物などであることができる。
【0093】
ある実施形態においては、ヘアスタイリング組成物中の全てのポリマーはポリマー(a)(または、ポリマー(AA))である。独立して、ある実施形態においては、1種類だけのポリマー(a)(または、ポリマー(AA))が使用される。1種類だけのポリマー(a)(または、ポリマー(AA))が使用される実施形態においては、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))は、例えば、分子量、ガラス転移温度および粒子サイズなどの特徴の前後の通常の分布を示すであろうが、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))は別の特徴を有する2種以上の異なるポリマーのブレンドではない。
【0094】
本発明の組成物中の水はあらゆる方法によって組成物中に導入されうる。例えば、水が組成物に直接添加されうることが考えられる。例えば、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))が乳化重合によって製造されてポリマーラテックスを形成することができ、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))と水との双方を含むそのラテックスが組成物に添加されうることも考えられる。幾分かの水が組成物に直接添加され、および幾分かの水がポリマーラテックスの部分として添加される実施形態も考えられる。
【0095】
ある実施形態においては、本発明のヘアスタイリング組成物は、シリコーン化合物を含まない。独立して、ある実施形態においては、本発明のヘアスタイリング組成物は可塑剤を含まない。独立して、ある実施形態においては、本発明のヘアスタイリング組成物は架橋を生じさせるのに充分な量の二価の金属カチオンを含まない。ある実施形態においては、本発明のヘアスタイリング組成物に二価の金属カチオンは添加されない。ある実施形態においては、二価の金属カチオンは本発明のヘアスタイリング組成物中に存在しない。
【0096】
ある実施形態においては、本発明のヘアスタイリング組成物は充分に可溶性である。すなわち、(使用される場合には)噴射剤以外の全ての成分が一緒に混合され、生じた溶液について後述の実施例に記載されるように濁度が測定される場合には、濁度の結果は、12%ポリマー固形分の溶液中で120NTU以下であるか、または10%ポリマー固形分の溶液中で100NTU以下である。
【0097】
ある実施形態においては、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))は乳化重合によって製造される。乳化重合は周知の方法であり、例えば、M.S.El−Aasser in ”Emulsion Polymerization”(Chapter 1 of An Introduction to Polymer Colloids,edited by F.Candau and R.H.Ottewill,Kluwer Academic Publishers,1990)に記載されている。
【0098】
乳化重合を使用するある実施形態においては、使用される方法は水性乳化重合である。
【0099】
乳化重合は1種以上の界面活性剤の使用を伴う。ある実施形態においては、ポリマーを製造するその乳化方法は1種以上の非イオン性界面活性剤の使用を伴う。
【0100】
好適な非イオン性界面活性剤には、例えば、ポリオキシアルキレン界面活性剤、ポリアルキレングリコールエステル、多価アルコールの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、ポリアルコキシル化多価アルコールの脂肪酸エステル、ポリアルコキシル化天然油脂、ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーおよびこれらの混合物が挙げられる。好適なポリオキシアルキレン界面活性剤においては、ある好適な例は、ポリオキシエチレン界面活性剤、例えば、アルコールアルコキシラート、アルキルフェノールアルコキシラートおよびこれらの混合物などである。好適なアルコールアルコキシラートには、例えば、アルコールエトキシラートおよびアルコールプロポキシラートが挙げられる。ある実施形態においては、1種以上のアルコールエトキシラートが使用される。ある実施形態においては、1種以上の第二級アルコールエトキシラートが使用される。ある実施形態においては、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))の重合に使用される全ての非イオン性界面活性剤は、第二級アルコールエトキシラートである。
【0101】
ある実施形態においては、乳化重合において使用される非イオン性界面活性剤の量は、重合に使用されるモノマーの合計重量を基準にして、0.5重量%〜12重量%である。ある実施形態においては、非イオン性界面活性剤の量は、重合に使用されるモノマーの合計重量を基準にして、1重量%以上;または、2重量%以上;または、5重量%以上である。独立して、ある実施形態においては、非イオン性界面活性剤の量は、重合に使用されるモノマーの合計重量を基準にして、10重量%以下;または、8重量%以下である。
【0102】
ある実施形態においては、乳化重合プロセスにおいてアニオン性界面活性剤は使用されない。ある実施形態においては、乳化重合プロセスにおいて、1種以上の非イオン性界面活性剤に加えて、1種以上のアニオン性界面活性剤が使用される。好適なアニオン性界面活性剤には、例えば、スルホスクシネート(sulfosuccinates)、スルホナート(sulfonates)、およびスルファート(sulfates)が挙げられる。それぞれのアニオン性界面活性剤に会合しているのはカチオンであり;好適なカチオンには、例えば、アンモニウム、アルカリ金属のカチオン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0103】
独立して、ある実施形態においては、乳化重合プロセスはカチオン性界面活性剤を使用しない。独立して、ある実施形態においては、乳化重合プロセスは両性イオン性界面活性剤を使用しない。
【0104】
1種以上のアニオン性界面活性剤が使用されるある実施形態においては、1種以上のアルキルポリアルコキシラートスルファート界面活性剤が使用される。アルキルポリアルコキシラートスルファート界面活性剤は、構造
【化1】

(式中、RおよびRはアルキル基であり、nは1〜1,000である)を有する。ある実施形態においては、Rは6以上の炭素原子、または8以上の炭素原子を有する。ある実施形態においては、Rはラウリルである。ある実施形態においては、Rは2もしくは3の炭素原子、またはこれらの混合物を有する。ある実施形態においては、−R−は−CH−CH−である。ある実施形態においては、nは10以上、または30以上、または50以上である。独立して、ある実施形態においては、nは200以下、または100以下、または75以下である。ある実施形態においては、ポリマー(a)(または、ポリマー(AA))の重合に使用される全てのアニオン性界面活性剤は、アルキルポリアルコキシラートスルファート界面活性剤である。
【0105】
1種以上のアニオン性界面活性剤が使用されるある実施形態においては、アニオン性界面活性剤の量は、重合に使用されるモノマーの合計重量を基準にして、0.02重量%〜1重量%である。独立して、1種以上のアニオン性界面活性剤が使用されるある実施形態においては、アニオン性界面活性剤の量は、重合に使用されるモノマーの合計重量を基準にして、0.01重量%以上;または、0.03重量%以上である。独立して、1種以上のアニオン性界面活性剤が使用されるある実施形態においては、アニオン性界面活性剤の量は、重合に使用されるモノマーの合計重量を基準にして、0.8重量%以下;または、0.4重量%以下;または、0.2重量%以下である。
【0106】
ある実施形態においては、それぞれの界面活性剤は充分に可溶性である。界面活性剤が後述の試験に合格する場合には、本明細書において界面活性剤は充分に可溶性であると見なされる。試験される界面活性剤が100%エタノール(200プルーフ、変性)に添加され、試験混合物を形成する。試験混合物中に使用される界面活性剤の量は、20gのエタノールに添加された0.50g活性物質である。溶液は5分間撹拌され、後述するように濁度が試験される。可溶性界面活性剤は、この試験によって100NTUヘイズ(haze)単位未満を有し、20分静置後に目に見える沈殿を示さないものである。
【0107】
本明細書および特許請求の範囲において、全ての操作および測定は、具体的なケースが他に示されない限りは、25℃で行われることが理解される。
【実施例】
【0108】
次の実施例において、次の用語および試験手順が使用される:
BA=ブチルアクリラート
MMA=メチルメタクリラート
HEMA=ヒドロキシエチルメタクリラート
MAA=メタクリル酸
Sty=スチレン
BzA=ベンジルアクリラート
EHA=2−エチルヘキシルアクリラート
n−DDM=n−ドデシルメルカプタン
t−DDM=t−ドデシルメルカプタン
3−MBP=プロピオン酸3−メルカプト−ブチル
15−S−40=Dow Chemical Co.からのTergitol(商標)15−S−40第二級アルコールエトキシラート
FES−61=Cognis Co.からのDisponil(商標)FES−61脂肪アルコールポリグリコールエーテル硫酸、ナトリウム塩
AMP−95=Angus Chemical Co.からのアミノメチルプロパノール
DS−4=Stepan Co.からのPolystep(商標)A−16−22、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
RS−610=Rhodia,Inc.からのRhodafac(商標)RS−610−A−25、リン酸エステルアンモニウム
ALS=Stepan Co.からのPolystep(商標)B−7、ラウリル硫酸アンモニウム
【0109】
分子量
サンプルはTHF(2mg固形分ポリマー/THFml)中に溶解され、一晩振とうし、0.45マイクロメートルPTFEフィルターを通してろ過された。分析は、40℃で、Agilent(商標)モデル1100アイソクラチックポンプ(isocratic pump)、オートサンプラー、脱気装置(すべて、ドイツのWaldbronn,Co.から)、およびWaters(商標)モデル2414示差屈折計(Milford Co.)を含む液体クロマトグラフを用いるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって行われた。カラムセットは、直列に連結された3つのPLgelカラム(5マイクロメートル、300×7.5mm、それぞれは、孔サイズ100、1,000および10,000オングストローム単位を有する)を含んでいた。注入体積は100マイクロリットルであった。データ取得および解析は、英国Polymer LaboratoriesからのCirrus(商標)ソフトウェアバージョン3.0を用いて行った。分子質量データは2種の市販のあらかじめ秤量されたポリスチレン参照用混合物から得られる10−点標準曲線によって、三次適合を用いて決定された。報告される量はMw(重量平均分子量)およびMw/Mn(Mwを数平均分子量Mnで割ることによって得られる商)である。記号「Mw(k)」はMwを1,000で割ったものを意味する。
【0110】
12%ポリマー固形分でのサンプル溶液の製造
サンプル溶液は次のように製造された。ポリマー(a)の酸基に等価のAMP−95の量を計算することによるか、または7.5のpH値まで滴定することによって、ラテックスまたは溶液のサンプルがAMP−95で中和される。6グラムの固形分ポリマーを含むように、中和されたラテックスポリマーの量が選択される。その選択された量の中和されたラテックスポリマーは30.0gのエタノール、および溶液の合計重量を50.0gにするのに充分な水と混合される。
【0111】
10%ポリマー固形分でのサンプル溶液の製造
5グラムの固形分ポリマーを含むように中和されたラテックスポリマーの量が選択されることを除いて、12%でのサンプル製造(上述)と同じである。
【0112】
粘度
サンプル溶液は、25℃で、ブルックフィールド(Brookfield)粘度計モデルDV−II+を、12rpmで用いて試験された。スピンドルはフルスケールの20〜80パーセントの粘度計の読み取り値を与える様に選択された。結果は、ミリパスカル・秒(mPa・s)、(これは、センチポアズに等しい)で報告される。結果はV12(12%ポリマー固形分でのサンプル溶液のmPa・sでの粘度)またはV10(10%ポリマー固形分でのサンプル溶液のmPa・sでの粘度)として報告される。
V12が50mPa・s以下の場合、またはV10が30mPa・s以下の場合は、ポリマーが許容できる粘度を有すると見なされる。
【0113】
濁度
サンプル溶液は30ml(1オンス)サイズのバイアル中に入れられ、HF Scientific Micro100実験室濁度計を用い、米国環境保護庁により刊行されたEPA方法180.1(ネフェロ分析方法)としての規格を用いて測定された。結果は、ネフェロ分析濁度単位(Nephelometric Turbidity Units;NTU)を、T12(12%ポリマー固形分でのサンプル溶液のNTUでの濁度)またはT10(10%ポリマー固形分でのサンプル溶液のNTUでの濁度)として報告する。
ポリマーが120NTU以下のT12を有する場合、または100NTU以下のT10を有する場合に、ポリマーは許容できる濁度を有すると見なされる。
可溶性界面活性剤は、この試験によって100NTU未満のヘイズを有し、20分間の静置後に目に見える沈殿を示さないものである。
【0114】
輝き(shine)
輝きを評価するために使用された試験は、実施例4および7に後述される。表3においては、輝きの結果は、後述の実施例4に示される結果に基づいて、最良(1の値)から最悪(5の値)の評定である。
【0115】
保持
「保持」特性は3つの異なる試験:ループ変形、カール保持および高湿度カール保持によって評価された。
ループ変形試験は、髪のカールをその初期直径の25%圧縮する仕事量を測定する。圧縮は髪の房(tress)のそれぞれについて5回繰り返した。測定は21℃(70°F)、46%湿度で行われた。Dia−Stron MTT−175(Dia−Stron Ltd)小型引張試験器が使用された。試験条件:
圧縮=25%
サイクル=5
速度=120mm/分
直径=30mm
接触力=5
最大力=2000
【0116】
髪の房はER暗茶色の髪の房であった;それぞれの房は2.0g±0.1gであった。カールされていない髪の房のそれぞれの長さは200mmであった。髪の房は洗浄用シャンプーおよび温水で洗浄され、次いで空気乾燥された。髪の房は再び濡らされ、65mm×20mmカーラー上でカールされ、髪留めピンで所定の位置に保持された。カールした髪の房は21℃で16時間空気乾燥させられた。乾燥したカールした髪の房にエアゾールヘアスプレーで、20.3cm(8インチ)の距離から2秒間、前と後ろに噴霧した。カールした処理された髪の房は、25℃(77°F)、湿度44%の制御された環境で最低で2時間乾燥させられた。
【0117】
エアゾールスプレーは次の通り配合された(重量部):50部のジメチルエーテル、30部のエタノール、15部の水、並びに5部の固形分のポリマーおよびアミノメチルプロパノール。試験の直前に、カールをほどくことなく、髪の房からカーラーが注意深く取り外された。カールした髪の房は小型引張り試験器に配置され。カール圧縮に必要とされる仕事量が測定された。仕事量の値は3つの髪の房についての結果の平均であり、gmf(すなわち、グラム力)の単位で報告される。
W1=1回目の圧縮で必要な仕事量
W5=5回目の圧縮で必要な仕事量
%SR=剛性保持率=100×W5/W1
圧縮に必要な仕事量が200グラム力以上である場合には、処理された髪は許容可能に剛性であると見なされる。90%以上の剛性保持率の値が許容可能である。
【0118】
高湿度カール保持は、処理された髪がその形状を保持する能力を測定する。最初のカールされていない長さが200mmである髪の房(ループ変形試験において使用されるのと同様のもの)が洗浄用シャンプーおよび温水で洗浄され、次いで空気乾燥させられた。髪の房は再び濡らされ、60mm×20mmカーラー上でカールされ、髪留めピンで所定の位置に保持された。カールした髪の房は21℃で16時間空気乾燥させられた。乾燥したカールした髪の房は、20.3cm(8インチ)の距離から、2秒間、前と後ろで噴霧することにより処理された。カールした処理された髪の房は、25℃(77°F)、湿度44%の制御された環境で最低で1時間乾燥させられた。
カールはカーラーから注意深く取り外された。最初のカール長さが測定された。髪の房は高湿度チャンバ(25℃、湿度88%)内に配置され、髪の房の長さを測定するために所定の間隔で取り出された。
【0119】
エアゾールスプレーはループ変形試験におけるように配合された。それぞれの報告された結果は3つの髪の房の平均である。報告された数(mm単位)は
L0=初期のカール長さ
L1=1時間後のカール長さ
L4=4時間後のカール長さ
L24=24時間後のカール長さ
24時間でのカール保持パーセント(「%CR24」)も報告され、これは次の様に計算される:
【数1】

【0120】
シャンプー除去性
20.32cm(8インチ)長さで2.0±0.1グラムの髪の房(ニューヨークのInternational Hair Importersから得られたヨーロッパ人の茶色のバージンヘアー)がアルコールでストリップされ、次いでトレセメディープクレンジングシャンプー(TRESemme Deep Cleansing Shampoo)で洗浄した。髪は、その髪見本(hair swatches)の前面および背面の両方について、2秒間スプレーで処理された。室温、50%相対湿度で2時間乾燥させ、次いでトレセメディープクレンジングシャンプーで洗浄した。25℃で一晩乾燥後、髪見本は、処理されていない髪と対比して、パネリストにより、手触りおよびフレーキング(flaking)について評価された。結果が、処理されていない髪に対して違いを示さなかった場合には、それは優れたシャンプー除去性を示す。非常にわずかなフレーキングまたはコーティングされた手触りが観察される場合には、それは良好なシャンプー除去性を示す。目に見えるフレーキングおよびコーティングされた手触りの髪については、悪い〜非常に悪いシャンプー除去性と見なされる。
【0121】
光沢(Gloss)
光沢測定は、膜が1時間乾燥させられた後に行われた。光沢を決定する方法は、”Annual Book of ASTM Standards”セクション15、15.04巻、試験手順ASTM D1455(2000)に記載されている。Gardner Byk Micro−Tri−Glossメーター、カタログ番号4520が使用され、80°、60°および20°光沢を記録した。
【0122】
実施例1:ポリマーの製造
ポリマーは次のように製造された。415gの脱イオン水、9.1gのDS−4界面活性剤(23%)、245gのBA、280gのスチレン、63gのMMA、112gのMAAを含むモノマー混合物が製造された。300mlの脱イオン水および21.4gのDS−4(23%)を含む反応容器を85℃に(窒素下で)加熱した後、1%のモノマー混合物を添加し、5.6gの水でリンスし、続いて、5分間保ち、次いで10gの水中の0.7gの過硫酸アンモニウム(APS)を添加した。この組み合わせが85℃で5分間保たれた。次いで、0.7gのAPS、1.4gのKCOおよび60gの水であるコフィードと共に、残りのモノマー混合物が120分の間にわたって添加された。600gの脱イオン水である第2のコフィードも120分の間にわたって供給された。コフィード添加の60分後、30g水中の1.26gのNHHCOである第3のコフィードも開始し、60分の間にわたって供給された。全てのコフィードが完了した後、15gのリンスが添加され、容器は85℃で15分間保たれ、次いで80℃に冷却され、続いて、1以上のチェイス(chase)が行われた(すなわち、開始剤の添加、それに続いて80℃での保持期間)。生成物は冷却され、ろ過され、ポリマーエマルジョンのサンプル2213g(32.2%固形分、PS=61nm)を生じさせた。
【0123】
実施例1A:ポリマーの製造
535mlの脱イオン水および10gのRS−610(25%活性物)を含む反応容器を85℃に(窒素下で)加熱した後、366gの脱イオン水、10gのRS−610−A25界面活性剤(25%)、350gのBA、400gのスチレン、90gのMMA、160gのMAAおよび6.0gのn−DDMの混合物の4.7%(65g)が添加され、5.0gの水でリンスされ、続いて、5分間保持し、次いで15gの水中の1.5gの過硫酸アンモニウム(APS)を添加した。この組み合わせを85℃で5分間保持した。次いで、残りのモノマー混合物を120分の間にわたって添加した。1.5gのAPSおよび120gの脱イオン水である第2のコフィードも130分の間にわたって供給された。全てのコフィードが完了した後、40gのリンスが添加され、容器は85℃で25分間保持された。反応混合物はチェイスされ、次いで冷却され、ろ過されて、ポリマーエマルジョンのサンプル2208g(45.1%固形分、PS=158nm)を生じさせた。
【0124】
実施例1B:溶液重合によるポリマーの製造
ポリマーは次の通り溶液重合プロセスによって製造された。700gの試薬等級エタノール、400gのスチレン、150gのBA、50gのMMA、220gのHEMAおよび180gのMAAを含むモノマー混合物が製造された。別に、6.7gのTriganox125−C75および123gの試薬等級エタノールを含む開始剤溶液が製造された。475gの試薬等級エタノール、10%の上記モノマー混合物および10%の上記開始剤溶液を含む反応容器を79℃に窒素雰囲気下で加熱した後、残りのモノマー混合物および開始剤溶液が180分の間にわたって添加された。全ての供給が完了した後、反応混合物は79℃で30分間保たれた。次いで、20gのTriganox125−C75および80gのエタノールを含む第2の開始剤溶液が79℃で180分間で供給された。生成物は冷却され、ろ過され、溶液ポリマーのサンプル2515g(40%固形分)を生じさせた。
【0125】
実施例1C:ポリマーの製造
ポリマーは次の通り乳化重合プロセスによって製造された。549gの脱イオン水、18gのRS−610(23%)、7.5gのDisponil FES993、288gのBA、342gのスチレン、135gのHEMA、130.5gのMAAおよび3.6gのn−DDMを含むモノマー混合物が製造された。340mlの脱イオン水および7.2gのRS−610を含む反応容器を85℃に(窒素下で)加熱した後、4%のモノマー混合物および4.5gのMAAが添加され、5gの水でリンスされ、続いて、5分間保持され、次いで18gの水中の0.9gの過硫酸アンモニウム(APS)を添加した。この組み合わせを85℃で5分間保持した。次いで、0.9gのAPSおよび117gの水であるコフィードと共に、残りのモノマー混合物を180分の間にわたって添加した。全てのコフィードが完了した後、45gのリンスが添加され、容器は85℃で15分間保持され、次いで80℃に冷却され、続いて、1以上のチェイスがなされた(すなわち、開始剤の添加に続く80℃での保持期間)。生成物は冷却され、ろ過され、ポリマーエマルジョンのサンプル(40%固形分、PS=213nm)2324gを生じさせた。
【0126】
実施例2:比較ポリマーサンプルCPA
実施例1の重合方法を使用して、25BA/47MMA/10HEMA/18MAA/0.6n−DDMの組成を有する比較ポリマーサンプルCPAが製造された。数は重量部である。
【0127】
実施例3:様々なポリマーと試験結果
実施例1および実施例1Aの方法を使用して様々なポリマーが製造された。そして、それらは下記の表1、2および3に示される。実施例1の方法は比較サンプルC1−C4について使用された。実施例1に記載されたDS−4から変えられた界面活性剤または界面活性剤の混合物が示される。実施例1Aの方法が比較サンプルC5−C8、サンプル9−10、比較サンプルC11−C12およびサンプル13−18について使用された。実施例1Aに記載されたRS−610から変えられた界面活性剤または界面活性剤の混合物が示される。モノマー混合物を反応容器に添加する前にモノマー混合物に添加された連鎖移動剤が示される。モノマーについて示された量は重量部である。連鎖移動剤についておよび界面活性剤について示された量は、モノマーの合計重量を基準にした重量パーセントである。「C」で始まるサンプル番号のサンプルは比較例である。略語「界面1」は1種の界面活性剤を意味し、「界面2」は別の界面活性剤を意味する。成分が「−−」を示す場合には、その成分はサンプル中で使用されなかった。試験手順が「−−」を示す場合には、その試験はそのサンプルについて行われなかった。
【0128】
【表1】

【0129】
サンプルC1、C1A、C2、C3、C4およびC5を精査すると、連鎖移動剤の増大が粘度を低減させ、また濁度を増大させたことを示す。全てのサンプルがアニオン性界面活性剤だけを有していたこれらのサンプルにおいては、許容可能な粘度および許容可能な濁度の双方を有するサンプルはなかった。
サンプルC3、C5およびC6を精査すると、広範囲のアニオン性界面活性剤にわたって、濁度は許容できないままであったことを示す。
【0130】
【表2】

【0131】
サンプルC5およびC7を精査すると、双方ともアニオン性界面活性剤を有し、かつ双方とも許容できない濁度を有するサンプルのなかでは、ポリマー中にHEMAを有するサンプルにおける濁度は向上したことを示す。
サンプルC8、9および10を精査すると、アニオン性界面活性剤が使用される場合には、粘度を許容不可にすることなく濁度が向上したことを示す。
【0132】
【表3】

【0133】
サンプルC11、C12、13、14および15を精査すると、許容可能な濁度および許容可能な粘度を有するサンプルのなかでは、最も多量のスチレンを含むサンプルが最もよい輝きを有していたことを示す。
サンプル14、16、17および18を精査すると、サンプル14で使用されたn−DDMの量より少ない量のt−DDMで、許容可能な濁度および許容可能な粘度が得られたことを示す。t−DDMの使用の利点は様々なポリマー組成物について示される。
【0134】
実施例4:ヘアスタイリング組成物
実施例3に示されたサンプルポリマーのいくつかを用いてエアゾール濃縮組成物が製造された。ポリマーラテックスは下記のポリマー固形分を生じさせるのに充分な量で添加された。AMP−95はポリマーの酸含有量の100%を中和するのに充分な量で添加された。それぞれの配合は次の通りであった:
【表4】

【0135】
配合物は次の通りであった:
【表5】

【0136】
実施例4:試験
1.5gのそれぞれの配合物をピペットで艶消しブラックパネルの上に置き、乾燥させ、次いで9人の訓練された観察者によって検査された。それぞれの観察者はそれぞれのパネルに対して、1(艶消し)から5(輝き)の評定を決めた。結果は次の通りであった:
【0137】
【表6】

【0138】
本発明の組成物は比較の組成物よりも概して良好な輝きを有していた。それぞれの列のスコアを一緒に足すと、それぞれの配合物についての合計スコアを出すことができる。この合計によると、最も輝きのあるサンプル(すなわち、最も高い合計スコアを有するもの)は配合物Fであり、続いて(合計スコアが減っていく順に)E、次いでD、次いでCB、次いでCC、次いでCAとGが同じであった。
【0139】
実施例5:追加のポリマー
n−DDMを使用することなく、40Sty/35BA/9MMA/16MAAのモノマー組成で、実施例1の方法を使用してポリマーPHが製造された。ポリマーPHは実施例4の方法によって、4%ポリマー固形分で配合物Hを製造するために使用された。Mwは383,000であった。
【0140】
実施例6:追加の比較例
実施例5の方法を使用して、4%のポリマー固形分で、ポリマーAmphomer(商標)LV−71(National Starch Co.からのオクチルアクリルアミド/アクリラート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー)を用いて、比較のエアゾールヘアスプレー組成物(CPJ)が製造された。比較組成物CPKは市販の輝きスプレーであり、比較組成物CPLはAmphomer(商標)28−4910(National Starch Co.からのオクチルアクリルアミド/アクリラート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー)を含む市販の高−VOCエアゾールスプレーであった。
【0141】
実施例7:追加の試験
脱色したブロンドの髪の房(それぞれ2.0g)に15cm(6インチ)の距離から組成物が噴霧され、乾燥され、秤量された。それぞれの髪の房が合計0.01gの乾燥組成物を有するまで手順が繰り返された。10人の訓練されたパネリストがその髪を検査し、それぞれの髪の房を1(艶消し)から5(輝き)で評定した。10人の評定の平均がそれぞれの組成物について示される。結果は次の通りであった:
【0142】
【表7】

【0143】
実施例8:ループ変形試験の結果
【表8】

【0144】
【表9】

【0145】
結果は、Acudyne(商標)180および未処理の対照の髪の房と比較して、サンプル14および15からの良好な剛性を示す。サンプル14および15は良好な剛性保持も有していた。Acudyne(商標)180はモノマー(i)を有していない。
【0146】
実施例9:高湿度カール保持試験の結果
【表10】

【0147】
【表11】

【0148】
結果は、試験サンプルについて高湿度条件下で保持の良好な維持を示す。
【0149】
実施例10:界面活性剤の可溶性
界面活性剤は可溶性について試験された。活性物0.5gの界面活性剤が100%のエタノール(200プルーフ、変性)に添加され、5分間撹拌された。濁度が上述のように測定された。結果は以下の通りであった:
【0150】
【表12】

【0151】
実施例11:追加の輝きデータ
ヘアスタイリング組成物が次のように製造された。次の成分が混合された:
ジメチルエーテル 50g
5gの固形分ポリマーをもたらすラテックス形態のポリマー(約12.3gのラテックス)
100%の酸基を中和するためのAMP−95(約0.9g)
合計で100gにする量(約37g)のSDアルコール40B(Pharmacoより)
【0152】
混合は次のように行われた:SDアルコール40Bが混合容器に入れられた。ラテックス形態のポリマーが撹拌しながら添加された。AMP−95が撹拌しながら添加された(混合物は透明になった)。ジメチルエーテルが加圧下に添加された。
輝きを評価するために、2.0gの髪の束がエアゾールスプレーで8インチの距離から処理された。処理量は髪の束上に0.02gの乾燥配合物であった。髪の束は脱色されたブロンドまたはヨーロッパ人の暗茶色のバージンヘアであった。髪の束は6人のパネリストによって輝きボックス内で評価された。6人のパネリストの結果は平均化され、評定を与えた。その評定の尺度は0(フラット(flat)、艶消し)から0.5刻みで5(高輝き、光沢)までであった。
【0153】
【表13】

【0154】
実施例12:追加のポリマー
追加のポリマーが製造された。実施例1Bを使用してポリマー19が製造された。実施例1Cを使用してポリマー20−25が製造された。ポリマーは次の通りであった:
【0155】
【表14】

【0156】
実施例13:試験
実施例15および19−25が試験された。ヘアスタイリング組成物が実施例11におけるように製造された(サンプル19については、ラテックスの代わりに溶液が使用された)。「透明度」は透明、わずかに(sl)曇り、または非常にわずかに(v.sl.)曇りとして特徴づけられる、目に見える外観の評価である。結果は次の通りであった:
【0157】
【表15】

【0158】
実施例14:ヘアスタイリングジェル
次のものは、上記実施例12のサンプル24を使用するヘアスタイリングジェルの例である。このヘアスタイリングジェルは望ましい特性を有するであろうと期待される。
【0159】
【表16】

【0160】
実施例15:ヘアスプレー組成物
次のものは、上記実施例12のサンプル24を使用するヘアスプレー組成物の例である。この組成物は所望の特性を有するであろうと期待される。
【0161】
【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)ポリマーの重量を基準にして30重量%〜75重量%の、1.490以上の屈折率を有する1種以上のモノマー、
(ii)ポリマーの重量を基準にして1重量%〜30重量%の、1種以上の酸官能性モノマー、および
(iii)ポリマーの重量を基準にして5重量%〜69重量%の、1種以上の追加のモノマー;
を重合単位として含む1種以上の充分に可溶性のポリマー、
(b)(i)溶媒−噴射剤混合物の重量を基準にして0重量%〜75重量%の噴射剤、
(ii)溶媒−噴射剤混合物の重量を基準にして5重量%〜95重量%の揮発性有機溶媒、および
(iii)溶媒−噴射剤混合物の重量を基準にして0重量%〜50重量%の水;
を含む溶媒−噴射剤混合物、
(c)中和剤、ただし当該中和剤の、前記ポリマー(a)の酸官能基に対するモル比は0:1から1.1:1である、並びに
(d)1種以上のアジュバント、ただし、全てのアジュバントの合計重量の、前記ポリマー(a)の重量に対する比は0:1から1.4:1である;
を含み、
前記ポリマー(a)の量が、前記ポリマー(a)と前記溶媒−噴射剤混合物(b)との合計重量を基準にして1重量%〜10重量%であり、
前記溶媒−噴射剤混合物(b)の量が、前記ポリマー(a)と前記溶媒−噴射剤混合物(b)との合計重量を基準にして90重量%〜99重量%である、
ヘアスタイリング組成物。
【請求項2】
モノマー(i)が1種以上のビニル芳香族モノマーを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
モノマー(iii)が1種以上のヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ポリマーの重量を基準にして、モノマー(iii)が0重量%〜5重量%のヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートを含み、かつモノマー(ii)の量が20重量%以上である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
(AA)(i)ポリマーの重量を基準にして30重量%〜75重量%の、1.490以上の屈折率を有する1種以上のモノマー、
(ii)ポリマーの重量を基準にして1重量%〜30重量%の、1種以上の酸官能性モノマー、および
(iii)ポリマーの重量を基準にして5重量%〜69重量%の、1種以上の追加のモノマー;
を重合単位として含む1種以上の充分に可溶性のポリマー、
(BB)(i)溶媒混合物の重量を基準にして0重量%〜50重量%の揮発性有機溶媒、および
(ii)溶媒混合物の重量を基準にして50重量%〜100重量%の水;
を含む溶媒混合物、
(c)中和剤、ただし当該中和剤の、前記ポリマー(AA)の酸官能基に対するモル比は0:1から1.1:1である、並びに
(d)1種以上のアジュバント、ただし、全てのアジュバントの合計重量の、前記ポリマー(AA)の重量に対する比は0:1から1.4:1である;
を含み、
前記ポリマー(AA)の量が、前記ポリマー(AA)と前記溶媒混合物(BB)との合計重量を基準にして、1重量%〜30重量%であり、
前記溶媒混合物(BB)の量が、前記ポリマー(AA)と前記溶媒混合物(BB)との合計重量を基準にして80重量%〜99重量%である、
ヘアスタイリング組成物。
【請求項6】
髪を所望の配置にする工程および当該髪に請求項1の組成物を適用する工程を含む髪をスタイリングする方法。
【請求項7】
1種以上のモノマー混合物の乳化重合を含む、ポリマーを製造する方法であって、前記モノマー混合物が
(i)前記モノマー混合物の重量を基準にして30重量%〜75重量%の、1.490以上の屈折率を有する1種以上のモノマー、
(ii)前記モノマー混合物の重量を基準にして1重量%〜30重量%の、1種以上の酸官能性モノマー、および
(iii)前記モノマー混合物の重量を基準にして5重量%〜69重量%の、1種以上の追加のモノマー;
を含み、
前記乳化重合が1種以上の非イオン性界面活性剤および1種以上の連鎖移動剤の存在下で部分的にまたは完全に行われる、
ポリマーを製造する方法。
【請求項8】
連鎖移動剤が1種以上のアルキルメルカプタンを含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
連鎖移動剤がt−ドデシルメルカプタンを含む請求項6に記載の方法。
【請求項10】
連鎖移動剤の量が、モノマー混合物の100グラムあたり0.5〜20ミリモルである請求項6に記載の方法。

【公開番号】特開2009−249381(P2009−249381A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−90022(P2009−90022)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】