説明

ベンズイミダゾール誘導体及びこれをGABAA受容体複合体をモジュレートするために使用する方法

本発明は、新規ベンズイミダゾール誘導体, これらの化合物を含む医薬調合物及びこれを用いて治療する方法に関する。
本発明の化合物は、中枢神経疾患及び障害-------これはGABAA 受容体複合体のモジュレーションに応答する------の治療に、そして特に不安及び関連する疾患を克服するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ベンズイミダゾール誘導体, これらの化合物を含む医薬調合物及びこれを用いて治療する方法に関する。
【0002】
本発明の化合物は、中枢神経疾患及び障害-------これはGABAA 受容体複合体のモジュレーションに応答する------の治療に、そして特に不安及び関連する疾患を克服するために有用である。
【背景技術】
【0003】
GABAA 受容体複合体 , たとえばベンゾジアゼピン受容体の調節部位は,抗不安薬, たとえば古典的な抗不安性ベンゾジアゼピンの標的である。
【0004】
GABAA 受容体の多数のイソ型が存在する; それぞれの受容体はα1-6, β1-31-3, δ, ε及びθサブユニットイソ型から導かれるサブユニットを含むペンタメリック複合体である。古典的な抗不安性ベンゾジアゼピンは全くサブタイプ選択性を示さない。古典的なベンゾシアゼパンの欠点 (たとえば鎮静作用, 依存性及び認知機能障害)中の重要な要素の1つは、GABAA受容体のα1 サブユニットに関係があると示唆された。したがってα1 サブユニット以上にα2 及び(又は)α3 サブユニットに対する選択性を有する化合物が改善された副作用プロフィールを有すると期待されている。
【0005】
特許文献1に、ベンズイミダゾール化合物をベンゾジアゼピン受容体リガンドとして使用することが記載されている。
【0006】
特許文献2〜4に、GABA 受容体複合体に対する親和性を有するベンズイミダゾール化合物が記載されている。
【0007】
特許文献5に、GABA 受容体複合体に対するリガンドとしてのフェニルベンズイミダゾール誘導体が記載されている。
【0008】
特許文献6及び7に、ベンズイミダゾール化合物を麻酔薬として使用することが記載されている。
【特許文献1】欧州特許第616807号明細書
【特許文献2】国際公開第(WO)96/33194号明細書
【特許文献3】国際公開第(WO)96/33191号明細書
【特許文献4】国際公開第(WO)96/33192号明細書
【特許文献5】国際公開第(WO)98/34923号明細書
【特許文献6】国際公開第(WO)98/17651号明細書
【特許文献7】国際公開第(WO)00/78728号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし, 最適化された薬理学的プロフィールを有する化合物を見出すことに依然として強い要求がある。更に、昔からの化合物に不随する望まれない副作用のない有効な化合物を見出すことに強い要求がある。
【0010】
第一の局面で, 本発明は一般式I
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R 及びR’は上記に定義された通りである。)
で表わされる化合物又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0013】
その第二の局面で, 本発明は本発明の化合物, 又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩の治療上有効な量を, 少なくとも1種の薬学的に許容し得るキャリヤー、賦形剤又は希釈剤と共に含む医薬調合物を提供する。
【0014】
別の局面で, 本発明は本発明の化合物, 又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩を, ヒトを含めた哺乳類の疾患又は障害又は病態―――この疾患又は障害又は病態は中枢神経系でGABAA 受容体複合体のモジュレーションに応答する―――の治療、予防又は緩和用医薬調合物の製造のために使用する方法を提供する。
【0015】
また別の局面で、ヒトを含めた動物生体の疾患又は障害又は病態----------この障害、疾患又は病態は中枢神経系でGABAA 受容体複合体のモジュレーションに応答する------------を治療、予防又は緩和する方法であって、この方法が本発明の化合物、又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩の治療上有効な量を、これを必要とする上記動物生体に投与する段階を含むことを特徴とする、上記治療、予防又は緩和方法に関する。
【0016】
本発明のその他の目的は、下記の詳細な説明及び実施例から当業者に明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の詳細な説明
置換されたベンズイミダゾール誘導体
その第一の局面で、本発明は一般式(I)
【0018】
【化2】

【0019】
{式中、
R はシクロアルキルを示し、そして
R’は 5-7-員のヘテロ環状環を示し、
このヘテロ環状環は場合によりハロ, ヒドロキシ, アミノ, アルキルアミノ, アミノアルキル, アルキルアミノアルキル, シアノ, ニトロ, トリフルオロメチル, トリフルオロメトキシ, アルコキシ, アルコキシアルキル, シクロアルコキシ, アルキル, シクロアルキル, シクロアルキルアルキル, アルケニル及びアルキニルより成る群から独立して選ばれた1種以上の置換基によって置換されていてよい。}
で表わされる化合物、又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0020】
1つの実施態様において, Rはシクロプロピル又はシクロヘキシルを示す。2つ目の実施態様において, Rはシクロプロピルを示す。3つ目の実施態様において, Rはシクロヘキシルを示す。
【0021】
第二の実施態様において, R’は5-7-員のヘテロ環状環を示し、このヘテロ環状環は場合によりハロ, ヒドロキシ, アミノ, アルキルアミノ, アミノアルキル, シアノ, ニトロ, トリフルオロメチル, トリフルオロメトキシ, アルコキシ, シクロアルコキシ, アルキル, シクロアルキル, シクロアルキルアルキル, アルケニル及びアルキニルより成る群から独立して選ばれた1種以上の置換基によって置換されていてよい。
【0022】
別の実施態様において, R’はピリジル, チアゾリル, イソオキサゾリル, イミダゾリル, ピロリル及びピラゾリルより成る群から選ばれたヘテロ環状環を示し、このヘテロ環状環は場合により1種以上のハロによって置換されていてよい。
【0023】
また、別の実施態様において, R’は場合により1種以上のハロによって置換されたピリジルを示す。具体的な実施態様において, R’はピリジン-3-イルを示す。別の実施態様において、R’は1種のハロ, たとえばフッ素によって置換されたピリジルを示す。具体的な実施態様において, R’はフルオロピリジル, たとえば2-フルオロ-ピリジン-5-イルを示す。
【0024】
別の実施態様において, R’はチアゾリル, たとえば2-チアゾリルを示す。
【0025】
また別の実施態様において, R’はイソオキサゾリル, たとえば3-イソオキサゾリルを示す。
【0026】
別の実施態様において, R’はイミダゾリル, たとえば1-イミダゾリルを示す。
【0027】
また別の実施態様において, R’はピロリル, たとえば1-ピロリルを示す。
【0028】
別の実施態様において, R’はピラゾリル, たとえば1-ピラゾリルを示す。
【0029】
また別の実施態様において, 本発明の化合物は、一般式 (I)で表わされる化合物のN-オキシドである。具体的な実施態様において, R’はピリジル-N-オキシド、たとえば 3-ピリジル-N-オキシドを示す。
【0030】
具体的な実施態様において、本発明の化合物は、
5-シクロプロピル-1-(3-(3-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロプロピル-1-(3-(2-チアゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロプロピル-1-(3-(2-フルオロ-5-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロプロピル-1-(3-(3-イソオキサゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロプロピル-1-(3-(1-オキシ-3-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロヘキシル-1-(3-(1-イミダゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロヘキシル-1-(3-(1-ピロリル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロヘキシル-1-(3-(1-ピラゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール;
又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物,
又はその薬学的に許容し得る塩である。
【0031】
上記実施態様2種以上のあらゆる組み合わせは、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0032】
置換基の定義
本発明の範囲において、ハロはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
【0033】
本発明の範囲において、アルキル基は一価の飽和、直鎖状又は分枝状炭化水素鎖を示す。炭化水素鎖は好ましくは炭素原子1〜6個を有し(C1-6-アルキル)、これはペンチル, イソペンチル, ネオペンチル, t-ペンチル, ヘキシル及びイソヘキシルを含む。好ましい具体例において、アルキルはC1-4-アルキル基を示し、これはブチル、イソブチル、s−ブチル及びt−ブチルを含む。本発明の別の好ましい実施態様において、アルキルはC1-3-アルキ基を示し、これは特にメチル, エチル, プロピル又はイソプロピルであることができる。
【0034】
本発明の範囲において、アルケニル基は二重結合1個以上を有する炭素鎖を示し、これはジエン、トリエン及びポリエンを含む。好ましい具体例において、本発明のアルケニル基は少なくとも1個の二重結合を含む炭素原子2〜6個(C2-6-アルケニル)を有する。最も好ましい具体例において、本発明のアルケニル基はエテニル; 1- 又は 2-プロペニル; 1-, 2- 又は 3-ブテニル, 又は 1,3-ブトジエニル; 1-, 2-, 3-, 4- 又は 5-ヘキセニル, 又は1,3-ヘキシジエニル, 又は 1,3,5-ヘキシトリエニルである。
【0035】
本発明の範囲において、アルキニル基は三重結合1個以上を有する炭素鎖を示し、これはジイン、トリイン及びポリインを含む。好ましい具体例において、本発明のアルキニル基は少なくとも1個の三重結合を含む炭素原子2〜6個(C2-6-アルキニル)を有する。最も好ましい具体例において、本発明のアルキニル基はエチニル、1-, 又は 2-プロピニル; 1-, 2-, 又は 3-ブチニル, 又は 1,3-ブチジイニル; 1-, 2-, 3-, 4-ペンチニル, 又は1,3-ペンチジイニル; 1-, 2-, 3-, 4-, 又は5-ヘニニル基, 又は 1,3-ヘキシジイニル基又は 1,3,5-ヘキシトリイニルである。
【0036】
本発明の範囲において、シクロアルキル基は環状アルキル基、好ましくは炭素原子3〜7個を有するシクロアルキル基であって(C3-7-シクロアルキル)、これはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含む。
【0037】
アルコキシはO-アルキルを意味し, このアルキルは上記に定義された通りである。
【0038】
アルコキシアルキルは上記に定義された通りのアルコキシ及び上記に定義された通りのアルキルを意味し、たとえばメトキシメチルを示す。
【0039】
シクロアルコキシはO-シクロアルキルを示し, このシクロアルキルは上記に定義された通りである。
【0040】
シクロアルキルアルキルは上記に定義された通りのシクロアルキル及び上記に定義された通りのアルキルを意味し、たとえばシクロプロピルメチルを示す。
【0041】
本発明の範囲において、アルキルアミノは-NH-アルキル又は-N-(アルキル)2 (式中、アルキルは上記に定義された通りである。)を示す。
【0042】
本発明の範囲において、5-7-員のヘテロ環状環はその環構造中にヘテロ原子1個以上を有する5-7-員の単環状基を示す。好ましいヘテロ原子は窒素(N)、酸素(O)及びイオウ(S)を含む。環構造は特に飽和された又は一部飽和された芳香族化合物 (すなわちヘテロアリール)であることができる。
【0043】
本発明の好ましい芳香族ヘテロ環状単環状5-員の基の例は、フラン, 特に 2- 又は 3-フリル; チオフェン, 特に 2- 又は 3-チエニル; ピロール (アゾール), 特に 1-, 2- 又は 3-ピロリル; オキサゾール, 特に オキサゾール-(2-, 4- 又は 5-)イル; チアゾール, 特に チアゾール-(2-, 4-, 又は 5-)イル; イミダゾール, 特にイミダゾール-(1-, 2-, 4- 又は 5-)イル; ピラゾール, 特に ピラゾール-(1-, 3-, 4- 又は 5-)イル; イソオキサゾール, 特にイソオキサゾール-(3-, 4- 又は 5-)イル; イソチアゾール, 特に イソチアゾール-(3-, 4- 又は 5-)イル; 1,2,3-オキサジアゾール, 特に 1,2,3-オキサジアゾール-(4- 又は 5-)イル; 1,2,4-オキサジアゾール, 特に 1,2,4-オキサジアゾール-(3- 又は 5-)イル; 1,2,5-オキサジアゾール, 特に 1,2,5-オキサジアゾール-(3- 又は 4-)イル; 1,3,4-オキサジアゾール, 特に 1,3,4-オキサジアゾール-(2- 又は 5-)イル;1,2,3-トリアゾール, 特に 1,2,3-トリアゾール-(1-, 4- 又は 5-)イル; 1,2,4-トリアゾール, 特に1,2,4-トリアゾール(1-, 3- 又は 4-)イル; 1,2,4-チアジアゾール, 特に 1,2,4-チアジアゾール-(3- 又は 5-)イル; 1,2,5-チアジアゾール, 特に 1,2,5-チアジアゾール-(3- 又は 4-)イル; 1,3,4-チアジアゾール, 特に 1,3,4-チアジアゾール-(2- 又は 5-)イル; 及びテトラゾール, 特に テトラゾール-(1- 又は 5-)イルを含む。
【0044】
本発明の好ましい飽和された又は一部飽和されたヘテロ環状単環状5-員の基は、1,3-ジオキソラン, 特に 1,3-ジオキソラン-(2- 又は 4-)イル; イミダゾリジン, 特に イミダゾリジン-(1-,2-,3-,4- 又は 5-)イル; 2-イミダゾリン, 特に 2-イミダゾリン-(1-,2-,4- 又は 5-)イル; 3-イミダゾリン, 特に 3-イミダゾリン-(1-,2-,4- 又は 5-)イル; 4-イミダゾリン、特に 4-イミダゾリン-(1-,2-,4- 又は 5-)イル; ジヒドロ-オキサゾール (オキサゾリン), 特に ジヒドロ-オキサゾール-(2-,4- 又は 5-)イル; テトラヒドロ-オキサゾール (オキサゾリジン), 特に テトラヒドロ-オキサゾール-(2-,4- 又は 5-)イル; 1,2,3-オキサジアゾリン, 特に1,2,3-オキサジアゾール-(4- 又は 5-)イル; 1,2,4-オキサジアゾリン, 特に 1,2,4-オキサジアゾリン-(3- 又は 5-)イル; 1,2,5-オキサジアゾリン, 特に 1,2,5-オキサジアゾリン-(3- 又は 4-)イル; 1,2,3-オキサジアゾリジン, 特に 1,2,3-オキサジアゾリジン-(4- 又は 5-)イル; 1,2,4-オキサジアゾリジン, 特に 1,2,4-オキサジアゾリジン-(3- 又は 5-)イル; 1,2,5-オキサジアゾリジン, 特に 1,2,5-オキサジアゾリジン-(3- 又は 4-)イル; ジヒドロ-ピロール (ピロリン), 特に ジヒドロ-ピロール-(1-,2- 又は 3-)イル; テトラヒドロ-ピロール (ピロリジン), 特に テトラヒドロ-ピロール-(1-,2- 又は 3-)イル; ピラゾリジン, 特に ピラゾリジン-(1-,2-,3-,4- 又は 5-)イル; 2-ピラゾリン, 特に 2-ピラゾリン-(1-,3-,4- 又は 5-)イル; 及び3-ピラゾリン, 特に 3-ピラゾリン-(1-,3-,4- 又は 5-)イルを含む。
【0045】
本発明の好ましい芳香族ヘテロ環状単環状6-員の基の例は、ピリジン, 特にピリジン-(2-,3- 又は4-)イル; ピリダジン, 特にピリダジン-(3- 又は 4-)イル; ピリミジン, 特にピリミジン-(2-,4- 又は5-)イル; ピラジン, 特にピラジン-(2-,3-,5- 又は6-)イル; 1,3,5-トリアジン, 特に1,3,5-トリアジン-(2-,4- 又は6-)イル; 及びホスフィニン, 特にホスフィニン-(2-,3- 又は4-)イルを含む。
【0046】
本発明の好ましい飽和された又は一部飽和されたヘテロ環状単環状6-員の基の例は、1,4-ジオキソラン, 特に1,4-ジオキソラン-(2- 又は3-)イル; 1,4-ジチアン, 特に1,4-ジチアン-(2-又は3-)イル; モルホリン, 特にモルホリン-(2-,3- 又は4-)イル; 1,4-オキサジン, 特に1,4-オキサジン-(2-)イル; オキサジアジン, 特にオキサジアジン-(2-,3- 又は5-)イル; ピペリジン, 特にピペリジン-(1-,2-,3-又は4-)イル; ピペラジン, 特にピペラジン-(1-,2-,3- 又は4-)イル; ジヒドロ-ピラン, 特にジヒドロ-ピラン-(2-,3- 又は4-)イル; テトラヒドロ-ピラン, 特にテトラヒドロ-ピラン-(2-,3- 又は4-)イル; チオモルホリン, 特にチオモルホリン(2-,3- 又は4-)イル; 及び1,3,5-トリチアン, 特に1,3,5-トリチアン-(2-)イルを含む。
【0047】
本発明の好ましい飽和された又は一部飽和されたヘテロ環状単環状7-員の基は、ホモピペリジン, 特にホモピペリジン-(1-,2-,3- 又は4-)イル; 及びホモピペラジン, 特にホモピペラジン-(1-,2-,3- 又は 4-)イルを含む。
【0048】
薬学的に許容し得る塩
本発明の化合物を、意図される投与に適するすべての形態で提供することができる。適する形態は薬学的に(すなわち生理学的に)許容し得る塩及び本発明の化合物のプレドラッグ形及びプロドラッグ形を含む。
【0049】
薬学的に許容し得る付加塩の例としては、以下のものに限定されないが、非毒性無機- 及び有機酸付加塩、たとえば塩酸に由来する塩酸塩、臭化水素酸に由来する臭化水素酸塩、硝酸に由来する硝酸塩、過塩素酸に由来する過塩素酸塩、リン酸に由来するリン酸塩、硫酸に由来する硫酸塩、ギ酸に由来するギ酸塩、酢酸に由来する酢酸塩、アコニチン酸に由来するアコニチン酸塩、アスコルビン酸に由来するアスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸に由来するベンゼンスルホン酸塩、安息香酸に由来する安息香酸塩、ケイヒ酸に由来するケイヒ酸塩、クエン酸に由来するクエン酸塩、エンボン酸(embonic acid)に由来するエンボン酸塩、エナンチン酸(enanthic acid) に由来するエナンチン酸塩、フマル酸に由来するフマル酸塩、グルタミン酸に由来するグルタミン酸塩、グリコール酸に由来するグリコール酸塩、乳酸に由来する乳酸塩、マレイン酸に由来するマレイン酸塩、マロン酸に由来するマロン酸塩、マンデル酸に由来するマンデル酸塩、メタンスルホン酸に由来するメタンスルホン酸塩、ナフタレン-2- スルホン酸に由来するナフタレン-2-スルホン酸塩、フタル酸に由来するフタル酸塩、サリチル酸に由来するサリチル酸塩、ソルビン酸に由来するソルビン酸塩、ステアリン酸に由来するステアリン酸塩、コハク酸に由来するコハク酸塩、酒石酸に由来する酒石酸塩、トルエン-p-スルホン酸に由来するトルエン-p-スルホン酸塩を包含している。この様な塩は従来公知のかつ当該技術分野で記載されている方法で製造することができる。
【0050】
その他の酸、たとえばシュウ酸−−これ自体、薬学的に許容し得るとは考えられていない−−は、本発明の化合物及びその薬学的に許容し得る酸付加塩を得る際の中間体化合物として有用な塩の製造に適している。
【0051】
本発明の化合物の金属塩はアルカリ金属塩、たとえばカルボキシ基を含有する本発明の化合物のナトリウム塩を含む。
【0052】
本発明の範囲いおいて、N−含有化合物の“オニウム塩”も薬学的に許容し得る塩(アザ−オニウム塩)として考慮される。好ましい“オニウム塩”はアルキル-オニウム塩, シクロアルキル-オニウム塩及びシクロアルキルアルキル-オニウム塩を含む。
【0053】
本発明の化合物のプレ-又はプロドラッグの例は、親化合物の反応性又は誘導可能な基1個以上で変化された化合物を包含する。特に重要なことはカルボキシル基、ヒドロキシル基又はアミノ基を用いて変化された化合物である。適当な誘導体の例はエステル類又はアミド類である。
【0054】
本発明の化合物は薬学的に許容し得る溶剤、たとえば水、エタノール等々と共に溶解性形(dissoluble forms)で又は非溶解性形(indissoluble forms)で提供することができる。溶解性形は水和された形、たとえば一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物等を包含してよい。一般に、溶解性形は本発明の目的のための非溶解性形に相当するものと考えられる。
【0055】
立体異性体
本発明の化合物が1個以上のキラル中心を有することができ、そしてこのような化合物が異性体の形で存在することは当業者によって認められている。
【0056】
これらの異性体及び個々の異性体それ自体は本発明の範囲内にある。
【0057】
当業者に周知の光学的異性体分割法が使用され、そしてこの方法は当該分野の平均的な技術者にとって明らかである。この様な方法は、J. Jaques, A. Collet及びS. Wilen 著 “Enantiomers, Racemates, and Resolutions”, John Wiley 及び Sons,ニューヨーク(1981)中に記載されている。
【0058】
また、光学的活性化合物も光学的活性出発化合物から製造することができる。
【0059】
N-オキシド
本発明の範囲において、N-オキシドは窒素含有化合物、たとえばこのようなN-オキシドを生じる能力のあるN-含有ヘテロ環状化合物, 及び1種以上のアミノ基を有する化合物のオキシド誘導体を示す。たとえばピリジルを含む化合物のN-オキシドは1-オキシ-ピリジン-2, -3 又は -4-イル誘導体であることができる。
【0060】
本発明の化合物のN-オキシドは、通常の酸化剤、たとえば過酸化水素を用いて酸、たとえば酢酸の存在下で高められた温度で対応する窒素塩基の酸化によって, 又は適当な溶剤, たとえば ジクロロエタン, 酢酸エチル又は酢酸メチル中で過酸、たとえば過酢酸との反応によってか, 又はクロロホルム又はジクロロメタン中での3-クロロペルオキシ安息香酸との反応によって製造することができる。
【0061】
標識された化合物
本発明の化合物は、その標識された形でか又は標識されていない形で使用することができる。本発明の範囲において、“標識”とは当該化合物にマーカーを結合させることを意味し、これがその化合物の定量的検出を容易に可能にする。
【0062】
本発明の標識された化合物は、診断機器、放射性トレーサー又は種々の診断法での監視剤として、及び生体内レセプターイメージング(in vivo receptor imaging) に有用であることができる。
【0063】
本発明の標識された化合物は、標識として少なくとも1種の放射性核種を含有するのが好ましい。陽電子射出放射性核種類はすべて使用することができる。本発明の範囲において、放射性核種は好ましくは2H (ジュウテリウム), 3H (トリチウム), 13C, 14C, 131I, 125I, 123I 及び18Fより成る群から選ばれる。
【0064】
本発明の標識された異性体の理学検出法は、陽電子発光断層撮影法(PET)、シングルフォトン画像撮影法(Single Photon Imaging Computed Tomography (SPECT))、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴画像法(MRI)及び計算機軸X線断層撮影法(Computed Axial X-ray Tomography (CAT))及びその組み合わせから選ぶことができる。
【0065】
製造方法
本発明の化合物を化学合成に通常の方法、たとえば下記例に記載する方法によって製造することができる。本発明で記載される方法の出発化合物は公知であるか又は市販化合物から常法で製造することができる。
【0066】
また、本発明のある化合物は、常法で本発明の他の化合物に変えることができる。
【0067】
ここに記載される反応最終生成物を、通常の手段、たとえば抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィー等によって単離することができる。
【0068】
本発明の化合物は非溶媒和形で及び薬学的に許容し得る溶剤、たとえば水, エタノール等々との溶媒和形で存在することができる。一般に, 溶媒和形は本発明の目的にとって非溶媒和に相当するとみなされる。
【0069】
生物学的活性
本発明の化合物は、GABAA受容体複合体を調節(modulate)することができる。これらを、その特定のサブユニットを含むGABAA受容体複合体に結合するその能力に関して調べることができる。
【0070】
したがって、GABAA受容体のベンゾジアゼピン部位に対するリガンドである本発明の化合物は、中枢神経系の種々の障害の治療及び(又は)予防に使用される。それ故に別の局面で, 本発明の化合物は中枢神経系でGABAA受容体複合体のモジュレーションに応答する 疾患、障害又は病態の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。
【0071】
具体的な実施態様において, 本発明の化合物は
・ 不安障害, たとえば広場恐怖症を伴う又は伴わないパニック障害, パニック障害の病歴のない広場恐怖症, 動物恐怖症及び社会恐怖症を含むその他の恐怖症, 強迫性障害, 及び全般性又は物質誘発性不安障害;
・ 外傷後ストレス障害及び急性ストレス障害を含むストレス障害;
・ 睡眠障害;
・ 記憶障害;
・ 神経症;
・ けいれん性疾患, たとえば癲癇, 又は子供の熱性けいれん;
・ 偏頭痛;
・ 抑うつ性又は二極性障害, たとえば単一エピソード又は反復性大うつ病性障害, 気分変調性障害, 双極I型及び双極II型躁病及び循環病;
・ 統合失調症を含む精神異常;
・ 大脳虚血に起因する神経変性;
・ 注意欠陥多動性障害;
・ 痛み及び侵害受容;
・ 急性, 遅発性及び予測性嘔吐を含む嘔吐、特に化学療法又は放射線誘発性嘔吐;
・ 乗り物酔い, 術後悪心及び嘔吐(vomiting);
・ 神経性食欲不振及び神経性大食症を含む摂食障害;
・ 月経前症候群;
・ 筋肉けいれん 又は 痙縮,たとえば下半身不随患者の痙縮;
・ アルコール離脱を含む薬物乱用又は薬物依存の影響;
・ 認知障害, たとえばアルツハイマー病; 及び
・ サーカディアンリズム障害, たとえば時差ボケ又は交代制の仕事の影響を受ける対象者のサーカディアンリズム障害
の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。
【0072】
好ましくは本発明の化合物は、不安障害, たとえば広場恐怖症を伴う又は伴わないパニック障害, パニック障害の病歴のない広場恐怖症、動物恐怖症及び社会恐怖症を含むその他の恐怖症, 強迫性障害, 及び全般性又は物質誘発性不安障害の治療、予防又は緩和に有用であるとみなされる。
【0073】
更に, 本発明の化合物は、ヒトGABAA受容体に結合可能な化合物を検出するアッセイにおける放射性リガンドとして有用である。
【0074】
医薬調合物
もう一つの局面において、本発明は、本発明の化合物の治療上有効な量を含有する新規の医薬調合物を提供する。
【0075】
本発明の化合物を治療で使用するにあたり、そのまま化合物として投与することもできるが、有効成分を場合により生理学的に許容し得る塩の形で、1種以上の佐薬、賦形剤、希釈剤、緩衝剤及び(又は)その他の慣用の薬学的助剤と共に医薬調合物の形で提供するが好ましい。
【0076】
好ましい実施態様において、本発明は、本発明の化合物又はその薬学的に許容し得る塩又は誘導体を薬学的に許容し得るキャリヤー1種以上及び場合により他の治療及び(又は)予防成分と共に含有する医薬調合物を提供する。このキャリヤーは、調合物中の他の成分と適合し、そしてこれを投与される患者に有害でないという意味で“許容し得”なければならない。
【0077】
本発明の医薬調合物は経口、直腸、気管支、鼻腔、肺、局所(バッカル及び舌下を含めて)、経皮、膣又は腸管外(皮膚−、皮下−、筋肉内−、腹腔内−、静脈内−、動脈内−、脳内−、眼内注射又は注入)投与に適するものであるか、あるいは粉末及び液体エアゾール投与を含む吸入又はガス注入による又は徐放システムによる投与に適する形のものであってよい。徐放システムの適当な例は、本発明の化合物を含有する固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックス-------そのマトリックスは製品の形で、たとえばフィルム又はマイクロカプセルであってよい--------を含む。
【0078】
通常の佐薬、キャリヤー又は希釈剤と共に、本発明の化合物を、医薬調合物及びその単位投薬形とすることができる。このような形態は固体、特に錠剤又は充填カプセル、粉末及びペレット形態及び液体、特に水溶液又は非水溶液、懸濁液、エマルジョンン、エリキシル又はこれによって充填されたカプセル、経口使用するためのすべての形で、直腸投与様坐剤の形で又は非経口用滅菌注射溶液の形で使用する。この様な医薬調合物及びその単位投薬形は通常の成分を通常の割合で、別の有効物質又は成分の存在下又は不存在下に含有し、この様な単位投薬形は、有効成分の適する有効量を、使用される、計画された一日投薬範囲に相応して含有することができる。
【0079】
本発明の化合物を、多種の経口及び非経口投薬形で投与することができる。下記の投薬形は、有効成分として本発明の化合物又は本発明の化学物の薬学的に許容し得る塩のどちらかを含有してよいことは当業者に明らかである。
【0080】
本発明の化合物から医薬調合物を製造することに関して薬学的に許容し得るキャリヤーは固体又は液体のどちらかである。固形医薬として粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カッシェ、坐剤及び分散可能な顆粒が挙げられる。固形キャリヤーは、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑沢剤、沈殿防止剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤又はカプセル化材料として作用してもよい物質1種以上であることができる。
【0081】
粉末中で、キャリヤーは微粉砕された固体であって、これは微粉砕された有効成分との混合物中にある。
【0082】
錠剤中に、有効成分は適する割合で必要な結合容量を有するキャリヤーと混合され、所望の形態と大きさに圧縮される。
【0083】
粉末及び錠剤は有効物質約5又は10〜約70%を含有する。適するキャリヤーは炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、でんぷん、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ロウ、カカオバター等々である。“製造”なる表現は、キャリヤーとしてのカプセル化材料を用いて有効物質を調製することを含み、1個以上のキャリヤー含有又は不含で、有効物質が有効物質と結合するあるキャリヤーによって囲まれたカプセルを提供する。同様にカッシェ及びロゼンジも含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸薬、カッシェ及びロゼンジを経口投与に適する固形で使用することができる。
【0084】
坐剤を製造するために、低融点ロウ、たとえば脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物を先ず融解し、有効成分をこれ中に均一に攪拌によって分散する。次いで融解された均一な混合物を通常のサイズの型に注ぎ、冷却し、それによって固化する。
【0085】
膣投与に適する製剤を、有効成分に加えて技術上適することが周知であるキャリヤーを含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレーとして製造する。
【0086】
液剤としては、溶液、懸濁液及びエマルジョン、たとえば水又は水- プロピレングリコール溶液が挙げられる。たとえば非経口注射液剤をポリエチレングリコール水溶液中の溶液として調製することができる。
【0087】
本発明の化合物を非経口投与(たとえば注射、たとえばボルス注射液又は連続注入による)のために調製し、そして単位投薬形でアンプル、前もって充填された注射器、少量の注入剤中に又は多様な投薬容器中に添加される保存剤と共に存在する。調合物は油状又は水性賦形剤中で懸濁液、溶液又はエマルジョンのような形態をとり、調製剤、たとえば沈殿防止剤、安定剤及び(又は)分散剤を含有することができる。あるいは有効成分は、無菌固体の無菌単離によって得られる粉末形であるか又は適する賦形剤、たとえば発熱性物質不含無菌水で構成されているために、使用前に溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形であってよい。
【0088】
経口使用に適する水溶液を、水中に有効成分を溶解し、所望に応じて適する着色剤、風味剤、安定剤及び増粘剤を加えて製造することができる。
【0089】
経口使用に適する水性懸濁液を、微粉砕された有効成分を水中で粘性物質、たとえば天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、又は他のよく知られた懸濁化剤と共に分散することによって製造することができる。
【0090】
使用する少し前に、経口投与のために液状形調合物に変えられる固形調合物も挙げられる。この様な液状形として溶液、懸濁液及びエマルジョンが挙げられる。これらの調合物は、有効成分に加えて、着色剤、風味剤、安定剤、緩衝物質、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等々を含有する。
【0091】
表皮への局所投与のために、本発明の化合物を軟膏、クリーム又はローションとして又は経皮吸収パッチとして調製する。軟膏及びクリームをたとえば適する増粘剤及び(又は)ゲル化剤の添加して水性又は油性ベースを用いて調製する。ローションを水性又は油性ベースを用いて調製し、これは一般に1種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、又は着色剤を含有する。
【0092】
口中での局所投与に適する調合物としては風味ベース、通常ショ糖及びアカシア又はトラガント中に有効成分を含有するロゼンジ、不活性ベース、たとえばゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシア中に有効成分を含有するパスチル、及び適する液体キャリヤー中に有効成分を含有する洗口剤が挙げられる。
【0093】
溶液又は懸濁液を鼻腔に通常の手段、たとえば点滴器、ピペット又はスプレーによって直接に投与する。調合物は単一又は多様- 投薬形で供給される。
【0094】
呼吸器官への投与はエアゾール調合物によって達成される。このエアゾール中に有効成分を適する噴射剤、たとえばクロロフルオロカーボン(CFC)、たとえばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン又はジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適するガスで圧縮パックして供給する。エアゾールはまた界面活性剤、たとえばレシチンを通常含有する。医薬の投薬量は計量バルブの供給によって調節される。
【0095】
あるいは有効成分を、乾燥粉末の形でたとえば適する粉末ベース、たとえば乳糖、でんぷん、でんぷん誘導体、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドン(PVP)中の化合物の粉末混合物の形で供給することができる。通常、粉末キャリヤーは鼻腔内でゲルを形成する。粉末調合物は、単位投薬形の形で、たとえばゼラチンのカプセル又はカードリッジ、又は発泡パックの形で存在し、これから粉末を吸入器によって投与する。
【0096】
呼吸器官への投与を意図する調合物(鼻腔調合物を含む)中で、化合物はたとえば5ミクロン以下の大きさの小粒サイズを一般に有する。この様な粒子サイズは技術上周知の方法、たとえば微粒子への細砕化によって得られる。
【0097】
所望の場合、有効成分の遊離を維持する適した調合物を使用する。
【0098】
医薬調合物は、単位投薬形であるのが好ましい。この様な形で、調合物を有効成分の適する量を含有する単位投薬形に再分割する。単位投薬形は、包装された医薬、医薬の別々の量を含有するパッケージ、たとえば包装された錠剤、カプセル、及び小瓶又はアンプル中の粉末であってよい。単位投薬形はまたカプセル、錠剤、カッシェ又はロゼンジそれ自体であるか又は包装された形でこれらのいずれかの適する数であってもよい。
【0099】
経口投与用錠剤又はカプセル及び静脈内投与用液体及び連続注入剤が好ましい調合物である。
【0100】
調合物及び投与方法に関する更に詳しい説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing Co., Easton, PA)の最新版中に見出される。
【0101】
治療上有効な薬用量とは、症状又は病態を改善する有効成分のその量を意味する。治療効果及び毒性, たとえばED50 及びLD50, を細胞培養又は動物実験で標準薬理学的処理によって測定することができる。治療効果と毒性作用の間の薬用量割合は、治療指標であって、比率LD50/ED50によって表わすことができる。大きい治療指標を示す医薬調合物が好ましい。
【0102】
当然のことながら投薬量は、治療される個体(individual)の年齢、体重及び病態、並びに投与経路、投薬形及び療法, 及び所望の結果に対して慎重に調整せねばならず、そして正確な投薬量は医師によって当然決定されるのがよい。
【0103】
実際の薬用量は治療される疾患の性質及び過酷さ及び投与経路に依存し、更にその量は医師の裁量にまかされており、所望の治療効果を生じるために本発明の特定の状況に薬用量を適合させることによって変化させることができる。しかし個々の薬用量あたり有効成分約0.1 〜約500 mg、好ましくは約1〜約100 mg、最も好ましくは約1〜 約10 mgを含有する調合物が治療的処置に適当であると現在考えられている。
【0104】
有効成分を、1日1回又は数回の薬用量で投与することができる。満足のいく結果は、ある場合、0.1 μg /kg i.v.(静脈内)及び1 μg /kg p.o.(腹腔内)ほどの低い薬用量で得ることができる。薬用量範囲の上限は約10 mg/kg i.v.(静脈内)及び100 mg/kg p.o.(腹腔内)であると現在見なされる。好ましい範囲は、一日あたり約0.1 μg /kg〜約10 mg/kg(静脈内)及び約1 μg /kg 〜約100 mg/kg(腹腔内)である。
【実施例】
【0105】
次の例によって本発明を詳述するが、これらが請求項に記載される本発明の範囲に何らの限定を与えることを意図するものではない。
【0106】
中間体の製造
下記式中、「tricyclopropylindium」はトリシクロプロピルインジウムを意味する。
【0107】
【化3】

【0108】
4-フルオロ-3-ニトロ-1-シクロプロピルベンゼンを2-フルオロ-5-ヨード-1-ニトロベンゼン及びトリシクロプロピルインジウムからJ. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 4155-4160に記載された方法にしたがって製造する。
【0109】
3-(3-ピリジル)アニリンを国際公開第(WO)96/33191号明細書に記載されているように製造する。
【0110】
3-(2-フルオロ-5-ピリジル)アニリンを同様に3-ニトロフェニルボロン酸及び2-フルオロ-5-ブロモピリジンから製造する。
【0111】
【化4】

【0112】
3-ニトロ-チオ-ベンズアミド。酢酸エチル (200ml)中に3-ニトロベンゾニトリル (14.5g, 98mmol) 及びジエチルジチオホスフェート (16.5ml, 98mmol)を有する攪拌された溶液に、ガス状塩化水素を導入する。熱の発生が停止したときに、ガス注入を断ち、得られた混合物を一晩環境温度で攪拌しながら放置する。飽和炭酸ナトリウム水溶液 (400ml)を添加し, ついで層を分離する。有機層を硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、ついで減圧下に濃縮する。所望の生成物を石油エーテルと共に粉砕しながら濃縮物から沈殿させ、17.74gが得られる。
【0113】
2-(3-ニトロフェニル)チアゾール。氷酢酸 (150ml)中に上記生成物 (17.74g, 97mmol)を有する懸濁液に、クロロアセトアルデヒド (12.7ml, 100mmol)を添加し、得られた混合物を125°Cで2 時間攪拌する。冷却された混合物を氷水中に注ぎ、ついで水酸化ナトリウム水溶液 (12M)の添加によってアルカリ性にする。酢酸エチルを添加し、ついで得られたエマルションを層を分離する前にセルライトによって濾過する。水層を3回酢酸エチルで抽出し, ついで一緒にされた有機層を硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、減圧下に濃縮させる。濃縮物をカラムクロマトグラフィーによってシリカゲル上で酢酸エチル及びリグロイン (1:1 v/v)の混合物を用いて溶離させて精製して、所望の生成物 (6.6g)が得られる。
【0114】
3-(2-チアゾリル)アニリン。エタノール(170ml)中に上記生成物 (6.1g, 29.6mmol)を有する懸濁液に、ラネーニッケル (0.5g)を添加し、得られた混合物を水素吸収が停止するまで、環境温度で水素添加する。セライトによって濾過し、濾液から溶剤を蒸発させて、所望の生成物が定量的に残存する。
【0115】
【化5】

【0116】
3-ニトロベンズアルデヒド オキシム。無水エタノール(500ml)中に3-ニトロベンズアルデヒド (50.5g, 0.33mol)を有する懸濁液に、ヒドロキシルアミン, 塩酸塩 (34.8g, 0.50mol) 及びトリエチルアミン (46.5ml, 0.33mol)を添加し、ついで得られた混合物を一晩還流攪拌する。溶剤を減圧下に蒸留し、水を残留物に添加する。得られた溶液を飽和炭酸ナトリウム溶液の添加によってアルカリ性にし、沈殿を濾過し, 水洗し、ついで風乾させて、生成物 (51.7g)が残存する。
【0117】
3-(3-ニトロフェニル)イソオキサゾール。無水ジメチルホルムアミド (500ml)中に上記生成物(10.0g, 60.2mmol)を有する溶液に、N-クロロスクシンイミド (9.6g, 72.3mmol) を添加し、ついで得られた混合物を60°Cで3 時間攪拌する。混合物を氷浴中で冷却させ、 ついでビニルブロマイド (40ml, 0.57mol) を滴加する。無水ジメチルホルムアミド中にトリエチルアミン (42ml, 0.3mol) を有する溶液を連続的に2 時間かけて添加しながら、得られた溶液を0°Cで維持する。添加の終了後、混合物を環境温度で一晩攪拌する。溶剤を減圧下で蒸留し、残留物を水と酢酸エチルに分配する。 層を分離し、有機層をブラインで洗浄し, 硫酸ナトリウムを介して乾燥させ、ついで蒸発乾固させる。残留物を酢酸エチル及び石油エーテル (1:9, v/v)を溶離剤として用いてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物 (7.1g)が残存する。
【0118】
【化6】

【0119】
3-(3-アミノフェニル)イソオキサゾール。無水エタノール(100ml)中に上記生成物 (7.1g, 37.4mmol)を有する懸濁液を、水素吸収が停止するまで、触媒としてPd (活性炭上に5%)を用いて環境温度で水素添加する。得られた混合物をセルライトによって濾過し、濾液を蒸発させて、所望の生成物が黄色油状物(5.75g)として残存する。
【0120】
例 1
【0121】
【化7】

【0122】
4-シクロプロピル-2-ニトロ-N-(3-(3-ピリジル)フェニル)アニリン。無水ジメチルホルムアミド (10ml)中にN-(3-(3-ピリジル)フェニル) ホルムアミド (1.26g, 6.4mmol) を有する溶液に、水素化ナトリウム (0.82g 鉱油中の60% 分散液, 6.4mmol)を添加する。水素の発生が停止したときに、4-フルオロ-3-ニトロシクロプロピルベンゼン (0.58g, 3.2mmol) を添加し、得られた混合物を室温で2 時間攪拌し、ついで4容量の水中に注ぐ。酢酸エチルを添加し、得られた混合物を層の分離の前にセライトによって濾過する。水層を酢酸エチルで抽出し, 一緒にされた有機抽出物を塩化カルシウム水溶液(3M)で洗浄し, 硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、蒸発乾固する。残留物をシリカゲル上で溶離剤として酢酸エチル及び石油エーテル (1:1 v/v)の混合物を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製して所望の生成物 (0.5g)が得られる。
【0123】
4-シクロプロピル-2-ニトロ-N-(3-(2-チアゾリル)フェニル)アニリンを同様に 4-フルオロ-3-ニトロシクロプロピルベンゼン及びN-(3-(2-チアゾリル)フェニル) ホルムアミドから製造する。
【0124】
4-シクロプロピル-2-ニトロ-N-(3-(2-フルオロ-5-ピリジル)フェニル)アニリンを同様に 4-フルオロ-3-ニトロシクロプロピルベンゼン及びN-(3-(2-フルオロ-5-ピリジル)フェニル) ホルムアミドから製造する。
【0125】
4-シクロプロピル-2-ニトロ-N-(3-(3-イソオキサゾリル)フェニル)アニリンを同様に4-フルオロ-3-ニトロシクロプロピルベンゼン及び N-(3-(3-イソオキサゾリル)フェニル) ホルムアミドから製造する。
【0126】
【化8】

【0127】
2-アミノ-4-シクロプロピル-N-(3-(3-ピリジル)フェニル)アニリンを無水エタノール中で, 触媒としてPd (活性炭上に5%担持)を用いる4-シクロプロピル-2-ニトロ-N-(3-(3-ピリジル)フェニル)アニリンの水素添加によって製造する。
【0128】
2-アミノ-4-シクロプロピル-N-(3-(2-チアゾリル)フェニル)アニリンを無水エタノール中で, 触媒としてラネーニッケルを用いる 4-シクロプロピル-2-ニトロ-N-(3-(2-チアゾリル)フェニル)アニリンの水素添加によって製造する。
【0129】
2-アミノ-4-シクロプロピル-N-(3-(2-フルオロ-5-ピリジル)フェニル)アニリンを無水エタノール中で, 触媒としてPd (活性炭上に5%担持)を用いる4-シクロプロピル-2-ニトロ-N-(3-(2-フルオロ-5-ピリジル)フェニル)アニリンの水素添加によって製造する。
【0130】
2-アミノ-4-シクロプロピル-N-(3-(3-イソオキサゾリル)フェニル)アニリンを無水エタノール中で, 触媒としてPd (活性炭上に5%担持)を用いる4-シクロプロピル-2-ニトロ-N-(3-(3-イソオキサゾリル)フェニル)アニリンの水素添加によって製造する。
【0131】
5-シクロプロピル-1-(3-(3-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール。テトラヒドロフラン (10ml) 中に2-アミノ-4-シクロプロピル-N-(3-(3-ピリジル)フェニル)アニリン (0.35g, 1.2mmol) を有する溶液に、トリエチルオルトホルマート (0.64ml, 2.5mmol) 及び触媒量のp-トルエンスルホン酸を添加し、ついで得られた混合物を1 時間還流攪拌する。溶剤を減圧下で除去し、残留物を水と酢酸エチルに分配する。有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、蒸発乾固する。ジエチルエーテルと共に粉砕しながら、所望の生成物を残留物から結晶化させる (0.29g) Mp (融点) 89-90°C。
【0132】
5-シクロプロピル-1-(3-(2-チアゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール を同様な方法で 2-アミノ-4-シクロプロピル-N-(3-(2-チアゾリル)フェニル)アニリンから製造する。 Mp 75-77°C。
【0133】
5-シクロプロピル-1-(3-(2-フルオロ-5-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾールを同様な方法で 2-アミノ-4-シクロプロピル-N-(3-(2-フルオロ-5-ピリジル)フェニル)アニリンから製造する。Mp 145-146°C。
【0134】
5-シクロプロピル-1-(3-(3-イソオキサゾリル)フェニル)ベンズイミダゾールを同様な方法で2-アミノ-4-シクロプロピル-N-(3-(3-イソオキサゾリル)フェニル)アニリンから製造する。
【0135】
例 2
別の方法として, 5-シクロプロピル-1-(3-(3-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール を下記のように製造する:
【0136】
【化9】

【0137】
N-(3-(3-ピリジル)フェニル)-4-ブロモ -2-ニトロアニリン。無水N-メチル-2-ピロリジノン(30ml)中に1-ブロモ -4-フルオロ-3-ニトロベンゼン (12.9g; 58.8mmol)を有する溶液に、 3-(3-ピリジル)アニリン (10.0g; 58.8mmol) 及びトリエチルアミン(8.2ml; 58.8mmol) を添加し、ついで混合物を120°Cで一晩攪拌する。冷却後、混合物を氷-水 (300ml)中に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。抽出物をブラインで洗浄し, 硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、減圧で蒸発させる。残留物をシリカゲル上で溶離剤として酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィーによって精製して、帯赤色の生成物(11.9g; 55%)が得られる。
【0138】
【化10】

【0139】
N-(3-(3-ピリジル)フェニル)-2-アミノ-4-ブロモアニリン。上記生成物 (11.8g; 31.9mmol) をエタノール (150ml) 及びジクロロメタン (50ml) の混合物に溶解させ、環境温度で触媒としてラネーニッケルを用いて、水素の取り込みが停止するまで水素添加する。混合物を濾過助剤によって濾過し、濾液を蒸発乾固させて、所望のフェニレンジアミンを定量的に残存させる。
【0140】
【化11】

【0141】
5-ブロモ -1-(3-(3-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール。テトラヒドロフラン (50ml)中に上記ジアミン(10.0g; 29.4mmol)を有する溶液に、トリエチルオルトホルマート (14.7ml; 88.2mmol) 及び触媒量のp-トルエンスルホン酸を添加する。混合物を 30分間還流攪拌する。冷却後、水 (300ml)を添加し、生成物を濾過し, 水洗し、ついで乾燥させる。収量8.8g (85.7%)。
【0142】
【化12】

【0143】
5-シクロプロピル-1-(3-(3-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール。シクロプロピル 基を、J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 4155-4160 に記載されているように上記生成物及びトリシクロプロピルインジウムから導入する。生成物を分取LC-MSによってExterra MS8 カラム(27mm x 100mm)上で溶離剤として A: ギ酸水溶液 (0.1% v/v) 及びB: アセトニトリルの混合物を用いて (勾配: 13分以内に80% A からから60% Aへ)精製する。生成物を8.16分で溶離する。
収量:40%。Mp. 90°C。
【0144】
例 3
【0145】
【化13】

【0146】
5-シクロプロピル-1-(3-(1-オキシ-3-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール。ジクロロメタン (20ml) 中に5-シクロプロピル-1-(3-(3-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール (0.40g, 1.3mmol) を有する溶液に、m-クロロペルオキシ過安息香酸(0.35g, 1.4mmol)を添加し、得られた混合物を室温で2時間攪拌する。飽和炭酸ナトリウム水溶液を添加し、層を分離する。有機層を、硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、蒸発乾固する。所望の生成物をt-ブチルメチルエーテルと共に粉砕しながら残留物から沈殿させる(0.27g)。Mp 169-170°C。
【0147】
例 4
【0148】
【化14】

【0149】
N-(4-シクロヘキシル-2-ニトロフェニル)アセトアミド。4-シクロヘキシルアニリン (10.0g, 57.1mmol) 及び無水酢酸(50ml)の混合物を、50°Cで1時間攪拌する。得られた混合物を氷浴中で冷却し、ついで濃硫酸(25ml)中に硝酸カリウム(10.0g, 99.0mmol)を有する溶液を、温度を15-18°Cで保ちながら滴加する。添加の後, 混合物を氷-水(400g)中に注ぐ。沈殿を濾過し, 水洗し、ついで乾燥させる。この粗生成物 (12g) は モノ- 及びジニトラート化された生成物の1:1 混合物を含有する。所望の生成物を、シリカゲル上で, 溶離剤(6.5g)として石油エーテル及び酢酸エチル(9:1, v/v)の混合物を用いるカラムクロマトグラフィーによって単離する。
【0150】
4-シクロヘキシル-2-ニトロアニリン。ジメトキシエタン (30ml) 中に上記生成物 (3.5g, 13.3mmol)を有する溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(40ml, 1M)を添加する。 得られた混合物を40°Cで一晩攪拌し、ついで水 (200ml)中に注ぐ。層を分離し、水層をジエチルエーテルで抽出する。一緒にされた有機抽出物を硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、減圧下に蒸発させて、所望の生成物を定量的に残存させる。
【0151】
【化15】

【0152】
N-(3-ブロモフェニル)-4-シクロヘキシル-2-ニトロアニリン。上記生成物を (2.1g, 9.6mmol), 1-ブロモ -3-ヨードベンゼン (5.4g, 19.1mmol), 炭酸カリウム(1.4g, 10mmol) 及び触媒量の銅粉末の混合物を200°Cで一晩攪拌する。反応混合物を100°Cに冷却させ、ついでトルエンを添加する。得られた混合物を100°Cで30 分間攪拌し、ついで熱いうちに濾過する。濾液を減圧下に濃縮し、濃縮物を石油エーテルと酢酸エチル (9:1, v/v)の混合物を用いて シリカゲルを通して溶離し、N-(3-ヨードフェニル)-4-シクロヘキシル-2-ニトロアニリンとの混合物の形で所望の生成物(0.76g)が得られる。
【0153】
4-シクロヘキシル-N-(3-(1-イミダゾリル)フェニル)-2-ニトロアニリン。上記生成物を (0.76g), イミダゾール (0.55g, 8.1mmol), 炭酸カリウム(0.3g, 2.2mmol) 及び触媒量の銅粉末の混合物を170°Cに3時間加熱する。反応混合物を100°Cに冷却させ, 水を添加し、得られた混合物をジエチルエーテルで抽出する前に室温に冷却させる。エーテル抽出物を、硫酸マグネシウムを介して乾燥させ、減圧下に蒸発させる。残留物をシリカゲル上で溶離剤として酢酸エチルを用いるカラムクロマトグラフィーによって 精製して、所望の生成物(0.25g)が得られる。
【0154】
4- シクロヘキシル-N-(3-(1-ピロリル)フェニル)-2-ニトロアニリンを同様な方法で N-(3-ブロモフェニル)-4-シクロヘキシル-2-ニトロアニリン及びピロールから製造する。
【0155】
4-シクロヘキシル-N-(3-(1-ピラゾリル)フェニル)-2-ニトロアニリン を同様な方法で N-(3-ブロモフェニル)-4-シクロヘキシル-2-ニトロアニリン及びピロールから製造する。
【0156】
2-アミノ-4-シクロヘキシル-N-(3-(1-イミダゾリル)フェニル)アニリン。メタノール(10ml)中に4- シクロヘキシル-N-(3-(1-イミダゾリル)フェニル)-2-ニトロアニリン (0.25g, 0.7mmol)を有する溶液に、触媒量のパラジウム(活性炭上に5%担持)を添加する。得られた混合物を、水素取り込みが停止するまで環境温度で水素添加し、その後セライトによって濾過する。濾液を減圧下に蒸発させて所望の生成物が定量的に得られる。
【0157】
2-アミノ-4-シクロヘキシル-N-(3-(1-ピロリル)フェニル)アニリンを同様に 4- シクロヘキシル-N-(3-(1-ピロリル)フェニル)-2-ニトロアニリンから製造する。
【0158】
2-アミノ-4-シクロヘキシル-N-(3-(1-ピラゾリル)フェニル)アニリンを同様に 4-シクロヘキシル-N-(3-(1-ピラゾリル)フェニル)-2-ニトロアニリンから製造する。
【0159】
5-シクロヘキシル-1-(3-(1-イミダゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール, 塩酸塩。ギ酸(1ml)中に2-アミノ-4-シクロヘキシル-N-(3-(1-イミダゾリル)フェニル)アニリン (0.2g, 0.6mmol)を有する溶液を、4 時間還流攪拌する。冷却された混合物を水酸化ナトリウム水溶液(6M)の添加によってアルカリ性にし、酢酸エチルを用いて抽出する。有機抽出物を硫酸マグネシウムを介して乾燥させ, 減圧下に濃縮し、ついで酢酸エチルとエタノール(4:1, v/v)の混合物を用いてシリカゲルによって溶離する。 所望の生成物をエーテル性塩化水素を溶離物に添加しながらその塩酸塩として沈殿させる。(0.1g)。Mp 222-225°C。
【0160】
5-シクロヘキシル-1-(3-(1-ピロリル)フェニル)ベンズイミダゾール を同様に 2-アミノ-4-シクロヘキシル-N-(3-(1-ピロリル)フェニル)アニリンから製造する。
【0161】
5-シクロヘキシル-1-(3-(1-ピラゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール を同様に 2-アミノ-4-シクロヘキシル-N-(3-(1-ピラゾリル)フェニル)アニリンから製造する。
【0162】
試験法
試験法1
3H-フルニトラゼパム (3H-FNM) 結合のインビトロ阻害
GABA 認識部位及びベンゾジアゼピン調節ユニット(modulatory unit)を、選択的に3H-フルニトラゼパムで標識することができる。
【0163】
組織調製
その他に明記しない限り、0-4°Cで調製を行う。雄性ウスターラット(150-200g) から得られた大脳皮質をウルトラタラックスホモジナイザーを用いて20 mlのTris-HCl (30 mM, pH 7.4)中で5-10秒間ホモジナイズする。浮遊液を15分間27.000×g で遠心分離し、ペレットを3回緩衝液で洗浄する( 27,000 ×g、10 分間遠心分離)。洗浄されたペレットを緩衝液20ml 中で均質化し、水浴(37°C)上で30分間インキュベートして 内因性GABAを除去し、ついで10 分間27,000 × gで遠心分離する。ついでペレットを緩衝液中で均質化し、10分間27.000×g で遠心分離する。最終ペレットを30 mlの緩衝液中に再浮遊させ、調製物を凍結させて、-20°Cで保存する。
【0164】
アッセイ
膜調製物を解凍し、2°Cで10 分間 27,000×gで遠心分離する。ペレットを2回20 mlの50 mM トリス-シトレート, pH 7.1 でウルトラタラックスホモジナイザーを用いて洗浄し、10 分間 27,000 x gで遠心分離する。最終ペレットを50 mM トリス-シトレート, pH 7.1 (原組織1g あたり500 mlの緩衝液)中に再浮遊させ, ついで結合アッセイに使用する。0.5 mlの組織のアリコートを25 μlの試験溶液及び25 μlの3H-FNM (1 nM, 最終濃度)に添加し, 混合し、ついで40 分間2°Cでインキュベートする。非-特異結合をクロナゼパム(1 μM, 最終濃度)を用いて測定する。インキュベーションの後、サンプルを5 mlの氷冷緩衝液に添加し、吸引下にワットマンGF/Cガラスファイバーフィルター上に直接注ぎ、ついで直ちに5 ml の氷冷緩衝液で洗浄する。フィルター上の放射能の量を通常の液体シンチレーション計数器によって測定する。特異的結合は、全結合から非特異的結合を差し引いたものである。
【0165】
結果
IC50を算出する前に、25-75%特異結合阻害が得られなければならない。
【0166】
試験値をIC50として表わす(3H-FNMの特異結合を50%阻害する供試化合物の濃度(μM))。
【0167】
【数1】

【0168】
{上記式中、
Coはコントロールアッセイ中の特異結合であり、そして
Cxはテストアッセイ中の特異結合である。
(算出は通常の質量作用動力学であるとする。)}

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

{式中、
R はシクロアルキルを示し、そして
R’は 5-7-員のヘテロ環状環を示し、
このヘテロ環状環は場合によりハロ, ヒドロキシ, アミノ, アルキルアミノ, アミノアルキル, アルキルアミノアルキル, シアノ, ニトロ, トリフルオロメチル, トリフルオロメトキシ, アルコキシ, アルコキシアルキル, シクロアルコキシ, アルキル, シクロアルキル, シクロアルキルアルキル, アルケニル及びアルキニルより成る群から独立して選ばれた1種以上の置換基によって置換されていてよい。}
で表わされる化合物、又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
R がシクロプロピル又はシクロヘキシルを示す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R’がピリジル, チアゾリル, イソオキサゾリル, イミダゾリル, ピロリル及びピラゾリルより成る群から選ばれたヘテロ環状環を示し、このヘテロ環状環は場合により1種以上のハロによって置換されていてよい、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
5-シクロプロピル-1-(3-(3-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロプロピル-1-(3-(2-チアゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロプロピル-1-(3-(2-フルオロ-5-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロプロピル-1-(3-(3-イソオキサゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロプロピル-1-(3-(1-オキシ-3-ピリジル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロヘキシル-1-(3-(1-イミダゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール;
5-シクロヘキシル-1-(3-(1-ピロリル)フェニル)ベンズイミダゾール又は
5-シクロヘキシル-1-(3-(1-ピラゾリル)フェニル)ベンズイミダゾール
又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物,
又はその薬学的に許容し得る塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
請求項1-4のいずれか1つに記載の化合物, 又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩の治療上有効な量を, 少なくとも1種の薬学的に許容し得るキャリヤー、賦形剤又は希釈剤と共に含む医薬調合物。
【請求項6】
請求項1-4のいずれか1つに記載の化合物, 又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩を医薬の製造に使用する方法。
【請求項7】
ヒトを含めた哺乳類の疾患又は障害又は病態―――この疾患又は障害又は病態は中枢神経系でGABAA 受容体複合体のモジュレーションに応答する―――の治療、予防又は緩和用医薬調合物の製造のための、請求項6記載の使用する方法。
【請求項8】
前記疾患、障害又は病態が、不安障害, 広場恐怖症を伴う又は伴わないパニック障害, パニック障害の病歴のない広場恐怖症, 動物及びその他の恐怖症, 社会恐怖症, 強迫性障害, 及び全般性又は物質誘発性不安障害; ストレス障害, 外傷後及び急性ストレス障害, 睡眠障害, 記憶障害, 神経症, けいれん性疾患, 癲癇, 子供の熱性けいれん, 偏頭痛, 抑うつ性又は二極性障害, 単一エピソード又は反復性大うつ病性障害, 気分変調性障害, 双極I型及び双極II型躁病, 循環病, 統合失調症を含む精神異常, 大脳虚血に起因する神経変性, 注意欠陥多動性障害, 痛み, 侵害受容, 嘔吐(emesis), 急性, 遅発性及び予測性嘔吐, 特に化学療法又は放射線誘発性嘔吐, 乗り物酔い, 術後悪心, 嘔吐(vomiting), 摂食障害, 神経性食欲不振, 神経性大食症, 月経前症候群, 筋肉けいれん, 痙縮, たとえば 下半身不随患者の痙縮, 薬物乱用又は薬物依存の影響, アルコール離脱, 認知障害、アルツハイマー病, 又はサーカディアンリズム障害, たとえば時差ボケ又は交代制の仕事の影響を受ける対象者のサーカディアンリズム障害である、請求項7記載の使用する方法。
【請求項9】
ヒトを含めた動物生体の疾患又は障害又は病態----------この障害、疾患又は病態は中枢神経系GABAA 受容体複合体のモジュレーションに応答する------------を治療、予防又は緩和する方法であって、この方法が請求項1-4のいずれか1つに記載の化合物、又はそのN-オキシド, 又はそのあらゆる異性体又はその異性体のあらゆる混合物, 又はその薬学的に許容し得る塩の治療上有効な量を、これを必要とする上記動物生体に投与する段階を含むことを特徴とする、上記治療、予防又は緩和方法。

【公表番号】特表2006−522069(P2006−522069A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505509(P2006−505509)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050415
【国際公開番号】WO2004/087137
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(591019645)ニューロサーチ、アクティーゼルスカブ (16)
【氏名又は名称原語表記】NEUROSEARCH A/S
【Fターム(参考)】