説明

ホットメルト接着剤を用いたカーペットタイルとその製法

カーペットタイルとその製法であって、カーペットタイルはタフティングされた表糸と、基布、及び少なくとも3種類のポリマーを含んだ複数の層で構成される。複数の層の第1層はプリコート層であり、第2、第3層はそれぞれ、プリコート層に押出成形された無溶剤ホットメルト接着剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、カーペットタイルに関するものであり、特に2層以上の押出成形ホットメルト接着剤層を有するカーペットタイル及びカーペットタイルの製法に関する。
【0002】
カーペットタイルには多くの利点があるため、カーペットタイルの利用がじゅうたんやロールカーペットなどと比べて近年増えている。例えば、従来のロールカーペットに比べて、カーペットタイルは簡単に安価で設置及び取り外しが可能である。現代のオフィス環境では、オープンスペース概念によるシステム家具が一般的になってきており、カーペットロールの取り外しには多大なコストがかかる。タイルなら、システム家具を持ち上げ古いタイルを取り外し、新しいタイルを入れるだけで、カーペットの取り外しが可能である。これにより、中規模プロジェクトでも、カーペットの除去及び取換えにかけるお金を何十万ドルも節約できる。
【0003】
さらに、カーペットタイルなら簡単に修理することもできる。通常、従来のロールカーペットでは、傷んだり汚れた個所はその部分を切り取って予備のカーペット片でパッチを充てる。このような方法では、どんなにうまく修繕しても、パッチを当てた部分は明らかにそれと分かり、カーペット全体としてのデザインの美しさを損なってしまう。カーペット全体を交換するという方法もあるが出費がかさむ。しかし、カーペットタイルなら、汚れて傷んだ個所の個々のタイルを交換すればよい。擦り切れたり汚れたりしていない他のタイルはそのまま残しておくことができるため、カーペット全体としてのデザインの美しさを保つことができ、傷んだカーペットの修理費用も節約できる。このように、カーペットタイルは従来のロールカーペットに代わる魅力的な代替品である。
【0004】
カーペットタイルの従来製法では、表繊維を基布にタフティングし、プリコート接着剤及び水溶性の溶剤をベースにした熱可塑性の接着剤からなる弾力層の両方を基布の裏面に塗布し貼り付ける。例えば、従来のカーペットタイルは、基布にタフティングされた表繊維を含み、基布にはエチレン−酢酸ビニルエマルジョン(VAE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、プラスチゾル、またはアクリルなどのプリコート接着剤が塗られる。プリコート接着剤が塗布されると、次にカーペットには熱可塑性の接着剤が塗られる。熱可塑性の接着剤としては、ラテックスやウレタン、ビニルポリマーなどがよく知られている。多くのカーペットタイルの基布接着剤では、ラテックスがもっともよく使用されている。従来のラテックス剤は水溶液状で、水分含有量が高く粘度が低かった。ラテックスに含まれる余分な水成分は、カーペットを一連の高価な乾燥ユニットに通して除去する。
【0005】
あいにくこれらのラテックスベースのカーペットタイルには、いくつかの不利な点がある。まず、この接着剤が水溶液ベースであるので、耐湿性が悪いという傾向がある。そのため、ラテックスベースのカーペットタイルは、湿気がカーペットの基布を通してカーペットタイルの裏側にたまる。たまった湿気を除去するのは難しく、これらはカビの温床となり、カーペットタイルそのものを劣化させたり、周辺の空気が悪くなるなど環境にも悪い。その結果、従来のラテックスベースのカーペットタイルは、湿気の多く発生する場所では頻繁に交換しなければならない。
【0006】
次に、ラテックスベースのカーペットタイルは糸やバッキング、接着剤にそれぞれ異なる材料を使用しているため、カーペットタイルを簡単にリサイクルできない。リサイクルするには、非常に高価で複雑かつ非効率的なカーペット分離技術を開発する必要がある。さらに、この種のリサイクルプロセスは、リサイクルによりできた素材を使って同じ材料を作る継続的な閉じたループでのリサイクルシステムではない。カーペット素材の違いによる化学物質の違いにより、個々の構成材料を分離してリサイクルするのには高いコストがかかる。その結果、カーペットは廃棄せざるを得ず、国内周辺のごみ埋立地のごみを増やすことになる。さらに、ラテックスベースのポリマー組成は生分解可能ではないため、カーペットタイルはごみ埋立地に何年も残ることになる。
【0007】
ラテックスベースのプリコートカーペットタイルのもう1つの欠点は、湿気が多かったりカーペットが濡れると、タフティングが外れることである。ラテックス層は水分を取り込み、膨張し、タフティングが簡単に外れるようになる。この種の製品では、製造時に取り付けたタフティングの50パーセント(%)が取れることも稀ではない。
【0008】
このような不具合を解決する方法の1つとして、カーペットタイルに使用されている従来のラテックス接着剤に代えて、押出成形ポリオレフィン接着剤またはポリウレタン接着剤が提案されている。ポリオレフィンとポリウレタン接着剤は、幅広い素材に対してメルトフローレートが高く、接着特性が良い。また、ポリオレフィンとポリウレタン接着剤は、簡単にリサイクル可能である。ポリオレフィンとポリウレタンは、このようにカーペットで使用するのに魅力的な性質を持っているが、他の素材と比較すると高価なため、製造コストが増加する。
【0009】
ホットメルト接着剤(HMA)は、比較的安価で簡単に使用でき簡単にリサイクルも可能であることから、従来のロールカーペットには一般的に使用されている接着剤である。溶剤や保持体が必要無く100%熱可塑性の化合物で構成されているのもまた、よく使用されている理由である。HMAには、エチレンや酢酸ビニル(EVA)の共重合体や、ポリオレフィン、ポリアミドやポリエステルなど、様々なポリマーを使用することができる。中でも、EVAは、メルトフローレートの範囲が広く、幅広い素材にたいして接着特性が良く、比較的安価なことから、HMAによく使用されている。
【0010】
ホットメルト接着剤は、ラテックス接着剤のような溶剤ベースの接着剤と比較すると、非常に多くの利点を持つ。第1の利点は、製造工程で有害大気汚染物質(HPA)や揮発性有機化合物(VOC)を含まないことである。HAPやVOCを製造工程から除去することで、作業者も環境もこれらの有害汚染物質にさらされることがない。もう1つの利点は、HMAを使用したカーペットの生産コストが水溶性または有機溶剤ベースの接着剤を使用したカーペットの生産コストよりも安い点である。原料のコストが、溶剤ベースの接着剤の構成材料のコストに比べてかなり安く、またHMA関連の設備には、高価な汚染防止設備が必要ないため溶剤ベースの接着剤に比べて非常に安価である。さらに、HMAは冷却性が高いため、特別な冷却用エアドライヤーの必要がなく、また接着剤を塗布するためのキルンの必要もないことから、HMAを使用すると製造が簡単になり、その結果カーペットの価格が安くなる。しかしながらこれまで、ホットメルト接着剤はカーペットタイルの製造には使用されてこなかった。
【0011】
よって、安価に製造でき、耐湿性が高く、適度な接着強度を持つ、従来の硬化型ラテックスを使用したカーペットタイルに代わるようなリサイクル可能なカーペットタイルが必要である。また、HMAが塗布されたバッキングを使用する、安価でリサイクル可能であり、さらに耐湿性が高く適度な接着強度を持つカーペットタイルが必要である。さらに、HMAを使用した、安価で、リサイクル可能なカーペットタイルを、安価で、ワンパス接着可能で、連続した工程で作成する必要がある。
【発明の開示】
【0012】
本発明の好ましい形態を簡潔に説明すると、本発明は複数の層から成る押出成形ホットメルトバッキングを有するカーペットタイルにおける上記必要性を満たすものである。概略を説明すると、本発明によるカーペットタイルは、タフティングされた表糸、基布及び少なくとも3種類のポリマーを含んだ層(プリコート層と、無溶剤層で構成される少なくとも2層)を含む。プリコート層は少なくとも約20重量パーセント(wt%)の粘着性の高い樹脂を含むホットメルト接着剤(HMA)で構成されている。本発明の例示的実施形態では、プリコート層は約2wt%から約80wt%のポリエチレンを含み、約20wt%から約98wt%の粘着性の高い樹脂を含む。粘着性の高い樹脂は、例えば約15wt%までの油脂、ワックス、及び酸化防止剤を含むことができる。
【0013】
プリコート層の粘度は、華氏250度(°F)、すなわち摂氏約121度(℃)、から約430°F(221℃)の温度において、約50cps(センチポイズ)から約50、000cpsである。さらに好ましくは、プリコート層の粘度は、約330°F(166℃)から約425°F(218℃)の温度において、約100cpsから約35,000cpsで、さらに好ましくは約350°F(177℃)において、約500cpsである。プリコート層は、ロール塗布、押出成形、または従来のスロットコーターを使用して形成しても良い。
【0014】
第1の押出成形ポリマー層と第2の押出成形ポリマー層は、無溶剤系HMA組成物で形成される。HMA組成物には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、エチレン−エチルアクレート共重合体(EEA)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、及びこれらの混合物(例えば、ポリプロピレンとEPDMの混合物など)を含むことができるが、好ましくはEVAを含む。押出成形ポリマー層の一方または両方に、充填剤を含んでいても良い。例えば、EVAは単体で用いると比較的高価であるため、充填剤のような安価な増量剤を高い割合で混ぜ合わせることにより価格を下げるような試みがなされている。約60wt%までの充填剤を使うことで採算の合う組成物が作成できる。充填剤はポリマー層の粘度を増加させるため、最適なポリマー層を形成するには、充填剤入りHMA組成物の流動率及び機械的な特性を最適なバランスに保つ必要がある。
【0015】
本発明で一般的に使用される用語である「ホットメルト接着剤」すなわち「HMA」 組成物には、充填剤入りHMA(様々な割合で)と、充填剤無しHMAの両方を含む場合があることは、当業者には理解されることであり、本発明で公開している、粘度や温度、その他の組成の仕様の範囲は、充填剤入り/充填剤無しHMAでそれぞれ異なる。
【0016】
例えば、充填剤無しHMAでは、第1の押出ポリマー層と第2の押出ポリマー層のEVA組成は、約60wt%から約98%のポリエチレンと、約2wt%から約40wt%のポリ(酢酸ビニル)をから成る。この共重合体の融点は組成により、約140°F(60℃)から約450°F(232℃)の範囲である。また、充填剤無しHMAホットメルト接着剤の粘度は、約390°F(199℃)から約430°F(221℃)の温度において、約250,000cpsから約1,500,000cpsで、好ましくは約410°F(210℃)で約402,000cpsである。
【0017】
第1の押出成形ポリマー層と第2の押出成形ポリマー層にも充填剤を充填しても良い。ポリマー(例えばEVAなど)と充填剤の混合比は、名目上約40wt%のポリマーに対して充填剤は約60%である。しかしながら、この混合比は、ポリマーを約10wt%から約95wt%の範囲の値に変更することも可能で、この場合は充填剤は残りの割合を占める。
【0018】
さらに詳しく説明すると、カーペットタイルの第1の押出成形ポリマー層のホットメルト接着剤は、プリコート層の上に、単位面積当たりの重量で約2オンス平方ヤード(oz/yd)(34g/m2=oz/ydの概換算で68グラム平方メートル(g/m))から50oz/yd(1700g/m)の範囲で塗布し、第2の押出成形ポリマー層は、第1の押出成形ポリマー層よりも接着剤の量を多くし、約10oz/yd(340g/m)から約70oz/yd(2380g/m)の量を塗布する。本ホットメルト接着剤はさらに約2g/10minから250g/10minの間のメルトフローレートを持つ。
【0019】
カーペットタイルはまた、第1の押出成形ポリマー層と第2の押出成形ポリマー層との間に寸法安定性を保つためのスクリムを含んでいても良い。カーペットタイルの第2の押出成形ポリマー層の下面には衝撃吸収用のバッキングを備え、カーペットタイルとして最適なクッション性を持たせている。第2の押出成形ポリマー層は衝撃吸収用のバッキングの代わりに、カーペットタイルとして求められるクッション性をもたせられる発泡剤を含んでいても良い。最後に、カーペットタイルのタフティングされた表糸には、シミ阻害薬、防汚剤、静電気防止剤、抗菌剤、またはこれらの混合物などのような化学薬品を1種類かそれ以上を局所的に含んでいても良い。
【0020】
本発明の様々な実施例では、少なくともHMA層を3層含んだカーペットタイルの製法プロセスについても説明する。この製法プロセスでは、まず繊維を基布にタフティングして生地反を形成する。生地反は次にタイル塗装ラインに送られ、他の生地反と結び付けられ連続的な巻物となる。次に生地反は、J−boxまたはロールアキュムレータ、またはこの両方を含むアキュムレータセクションに送られる。生地反は次に第1の塗装工程に送られ、ロールコーターで基布の裏面にプリコート層が塗布される。プリコート層は、少なくとも約20wt%の粘着性の高い樹脂で構成されるHMAである。
【0021】
生地反は次に第1の押出成形工程に送られ、プリコート層の粘着性がまだ高い間に、つまりガラス転移点である約100°F(38℃)よりも高い温度で、EVAのような第1のホットメルト接着剤層がプリコート層の上に押出成形される。充填剤無しEVAのみのHMAを使用する場合、例えば、EVAは約60wt%から約98wt%のポリエチレンと、約2wt%から約40wt%のポリ(酢酸ビニル)で構成される。名目上、第1の押出成形工程では、約25oz/yd(850g/m)のEVAホットメルト接着剤層が生地反バッキングの上に押出成形される。ただし、約10oz/yd(340g/m)から約50oz/yd(1700g/m)の範囲の量のEVAホットメルト接着剤であればプリコート層の上に押出成形することができる。
【0022】
押出成形したHMA接着剤の第1層がまだ温かく粘着性が高い間に、その上にスクリムを塗布しカーペットタイル完成品に寸法安定性を与える。スクリムは基本的に寸法安定性を付与するために使用する。スクリムは約2oz/yd(68g/m)の重量であるが、約0.5oz/yd(17g/m)から約4oz/yd(136g/m)の範囲の値ならどんな重量でも良い。一般的にスクリムは繊維ガラスのような不織布で構成されている。スクリムは、あるいは繊維ガラスやその他の適当な素材を用いた織布でも良い。
【0023】
生地反はさらに、第1の押出成形HMA層、またはスクリムを使用する場合はスクリムの上に、第2のホットメルト接着剤層が押出成形される第2の押出成形工程に送られる。EVAのみのHMAでは、第2の押出成形層のEVA組成物は第1の押出成形層のEVA組成物とほぼ同じであるが、重量は異なり、約20oz/yd(680g/m)から約70oz/yd(2380g/m)の範囲の値であり、より好ましくは、約40oz/yd(1360g/m)から約45oz/yd(1530g/m)の範囲の値を第1の押出成形HMA層またはスクリム上に塗布する。
【0024】
次に、ホットメルト接着剤の第2の押出成形層の上に衝撃吸収用のバッキングをかぶせ、カーペットタイルに最適なクッション性をもたせる。
【0025】
カーペットタイルの製造プロセスには、少なくとも1種類の化学薬品を表繊維に局所的に塗布する工程を含んでいても良い。特殊化学薬品には、シミ阻害薬、防汚剤、静電気防止剤、抗菌剤、またはこれらの混合物を含む。化学薬品を塗布後、生地反はオーブンを通過し、表繊維の化学薬品を硬化させる。タフティングされたバッキングは次に布目矯正機を通り、カーペットタイルがポリマー接着剤コーティングゾーンに入る前に布目を矯正しても良い。
【0026】
製造プロセスはさらに、すべてのポリマー層が塗布された後に、生地反を一連の冷却ローラーに通す冷却工程を含んでいても良い。次に生地反は個々のカーペットタイルに裁断される。
【0027】
これらのまたはその他本発明の目的、特徴及び利点は、以降の明細書を図面と併せて読むことでさらに明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
複数ある参照図面において、同一の番号は同一の要素を参照している。図1は本発明の様々な実施例におけるカーペットタイル100の断面図である。カーペット100は、表糸105を含み、この表糸は基布110にタフティングあるいは織りこまれ生地反を形成する。表糸105は、ナイロン6、ナイロン6,6、綿、ウール、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、及びその他のポリオレフィンを含む(ただしこれらに限定されない)自然素材あるいは合成素材を含む様々な材料で作成できる。表糸105のフェース重量は、約5oz/yd(170g/m)から約50oz/yd(1700g/m)である。
【0029】
基布110は、通常不織布下地で形成されている。不織布下地は、カーペットタイル100に安定性をもたせ、カーペット設置時には適当なひだを形成する。不織布下地は、ポリ(エチレン−テレフタレート)[PET]、ポリ(トリメチレン−テレフタレート)[PTT]、ポリ(ブチレン−テレフタレート)[PBT]、ポリ(エチレン−テレフタルレート−イソフタレート共重合体)、ポリ(エチレン−ナフタレン−ジ−カルボン酸塩)[PEN]、及びこれらの共重合体などのポリエステルから作成され、好ましくはPETから作成される。不織布下地は、ポリアミド被覆に覆われたポリエステルコアから作成しても良い。一般的に、ポリエステルコアは、PET、PTT、PBT、PEN、ポリ(エチレン−テレフタレート−イソフタレート共重合体)、及びこれらの共重合体から作成される。ポリアミド被覆は、ポリカプロラクタム[ナイロン6]、ポリ(7−ヘプタンアミド)[ナイロン7]、ポリカプリルラクタム[ナイロン8]、ポリ(9−ノナンアミド)[ナイロン9]、ポリ(テトラメチレンアジパミド)[ナイロン4,6]、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)[ナイロン6,6]、ポリ(メチレンー4,4−ジシクロヘキシレンドデカンジアミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンスベルアミド)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、及びポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)から作成され、好ましいポリアミドとしてはポリカプロラクタム[ナイロン6]で作成される。基布110はまた、綿やジュート、レーヨン、紙、ナイロン、ポリプロピレン、その他のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどの自然素材または合成織布素材や、不織布と織布下地との組み合わせで作成しても良い。
【0030】
表糸105は、その端同士が基布110の表面から外側に向かって伸びるようにして基布にタフティングされる。一般的に表糸は約90g/mから約200g/mの重量で、好ましくは約120g/mの重量で基布にタフティングされる。タフティングは、当業者によく知られた従来技術を使用して行う。さらに、当業者にはよく知られているように、タフティングされた表糸105のループはそのまま切断せずにノーカットパイルカーペットを形成したり、ループを切断してカットパイルカーペットを形成したり、一部を切断して短毛カーペットを形成しても良い。
【0031】
カーペットタイル100は、基布110に塗布されたプリコート層115を含む。プリコート層115の主な目的は、タフティングされた表糸105に浸透し、タフティングされ糸の束を形成している表糸105を結束する繊維の個々の端を覆い基布110にタフティングされた表糸105を結合することである。これにより、製造プロセス中に、個々の繊維の一端がカーペットバッキングの外側に引っ張られることを防ぐ。プリコート層115はまた、粘着付与剤として働き、次のポリマー層を受け入れるための結合表面を形成することができ、さらにカーペットに適切量のフレキシビリティ(ドレープ)を形成する。1つの好ましい実施の形態では、プリコート層115は、粘着性の高い樹脂または薬剤を単体で、あるいはポリエチレンとの混合物として含むホットメルト接着剤(HMA)で構成される。粘着性の薬剤は、好ましくは、プリコート層115の少なくとも約20wt%含まれ、ポリエチレンは残りの0wt%から約80wt%の範囲で含まれる。さらに好ましくは、粘着性の薬剤はプリコート層115の約30wt%から80wt%の範囲で含まれ、ポリエチレンはプリコート層115の残りの約20wt%から約70wt%の範囲で含まれる。最も好ましくは、粘着性の薬剤は、プリコート層115の約60wt%含まれ、ポリエチレンは残りの40wt%含まれる。
【0032】
プリコート層115は、通常、基布に、約2oz/yd(68g/m)から約20oz/yd(680g/m)の範囲で塗布され、さらに好ましくは、約8oz/yd(272g/m)から約12oz/yd(408g/m)の範囲で塗布される。プリコート層115の粘度は、約300°F(149℃)から約350°F(177℃)の温度範囲で、約50cpsから約5000cpsの範囲であり、さらに好ましくは約335°F(168℃)で約1000cpsである。
【0033】
プリコート層115で使用されているHMAの粘着性薬剤の組成物は、自然樹脂または合成樹脂やロジン素材など、当業者に一般的に知られている粘着性薬剤に適した材料であればどんなものでも良い。使用できる粘着性薬剤の分類としては、クマロンインデン樹脂やテルペン樹脂、またスチレン化テルペン、ブタジエンスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、及び炭化水素樹脂を含んでいても良い。粘着性の薬剤はまた、ロジン素材、低分子量スチレン硬質樹脂、不均化ペンタエリトリトールエステル、及び芳香族化合物と脂肪族化合物モノマーシステムの共重合体を含んでいても良い。ロジン素材は、ゴム、木材、またはトールオイルロジンなどでも良い。ロジン素材はまた、二量体化ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、またはロジンのエステルなど変性ロジンでも良い。
【0034】
プリコート層115の上に、第1の押出成形ポリマー層120が形成されるが、このポリマー層120の主な機能は基布110に表糸105を持続的にタフティングすることである。本発明の最良の形態では、第1の押出成形ポリマー層120はHMA、あるいは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、エチレン−エチルアクリレート共単量体(EEA)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエン重合体(EPDM)、及びこれらの混合物(例えば、ポリプロピレンとEPDMの混合物など)を含むがこれに限定されることなく、好ましくはEVAが良い。
【0035】
第1の押出成形ポリマー層120がEVAホットメルト接着剤の場合、EVAのポリ(酢酸ビニル)含有量はEVAの約2wt%から約40wt%であり、より好ましくはEVAの約8wt%から約30wt%である。EVAホットメルト接着剤のメルトフローレートは、約0.2グラム毎分(g/min)から約25g/minであり、約2.5g/minであればより好ましい。EVAホットメルト接着剤の融点は、共重合体の組成により異なるが約140°F(60℃)から約450°F(232℃)であり、より好ましくは約180°F(82℃)で、この温度はプリコート層115で使用されているHMAの融点よりも高い。通常、約25oz/yd(850g/m)のEVAがプリコート層115の裏面に押出成形されるが、その量は約10oz/yd(340g/m)から約50oz/yd(1700g/m)の範囲である。EVAホットメルト接着剤の押出成形温度は、好ましくは約350°F(177℃)から約385°F(196℃)であるが、約275°F(135℃)から約450°F(232℃)の範囲であれば良い。EVAホットメルト接着剤の粘度は、390°F(199℃)から430°F(221℃)の温度範囲において、約250,000cpsから約1,500,000cpsの範囲である。より好ましくは、EVAホットメルト接着剤の粘度は、390°F(199℃)において約521,000cps、410°F(210℃)において約402,000cps、430°F(221℃)において約320,000cpsである。
【0036】
第1の押出成形ポリマー層120の下に、第2の押出成形ポリマー層125を形成する。第2の押出成形ポリマー層も無溶剤系ホットメルト接着剤層である。第2の押出成形ポリマー層125のホットメルト接着剤は、第1の押出成形ポリマー層120で使用されているホットメルト接着剤と同一の成分組成でも良い。ただし、第2の押出成形ポリマー層125のホットメルト接着剤は、第1の押出成形ポリマー層120に比べて重量が重い。本発明の最良の実施形態では、約20oz/yd(680g/m)から約70oz/yd(2380g/m)、より好ましくは約45oz/yd(1530g/m)のホットメルト接着剤を第1の押出成形ポリマー層120の裏面に押出成形する。
【0037】
第1と第2の押出成形ポリマー層のどちらか一方、あるいは両方に、その他の成分を含む場合がある。特に、ホットメルト接着剤には、不活性充填剤を含んでいても良い。本発明の最良の実施形態の一つでは、ホットメルト接着剤は約60wt%の不活性充填剤を含み、残りの約40wt%はポリマー成分で構成されている。好ましい実施の形態では、ホットメルト接着剤の約10wt%から約95wt%がポリマー成分で、残りは充填剤である。例えば、充填剤入りEVA HMAは、好ましくは約30wt%から40wt%のEVAを含み、残りは充填剤で構成される。
【0038】
不活性充填剤は、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸セシウム(CsCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、及び炭酸マグネシウム(MgCO)などの炭酸塩、硫酸バリウム(BaSO)などの硫酸塩、酸化鉄(FeまたはFe)、酸化アルミニウム(Al)、酸化タングステン(WO)、酸化チタン(TiO)、酸化シリコン(SiO)などの酸化物、粘土などのケイ酸塩、及び金属塩などで構成される。さらに、不活性充填剤は、難燃性が要求される用途では、三水和アルミナ(ATH)や水酸化マグネシウム(MgOH)など、これに限定はされないがこれらの難燃剤でも良い。
【0039】
不活性充填剤はさらに、使用済みガラスや使用済みカーペット、及び/またはその他の使用済みリサイクル材料などの使用済み品でも良い。不活性充填剤を使用済みガラスで構成する場合、ガラスは細かく砕き、パウダー状にしてから充填剤に加える。カレットガラスは、自動車用ガラスや建築用ガラス(厚板ガラス)、フリントガラス、Eガラス、ホウケイ酸ガラス、茶ガラス(瓶ガラス)、緑ガラス(瓶ガラス)及び石炭フライアッシュ、あるいはこれらの混合物から構成される。不活性充填剤を使用済みカーペットで構成する場合、使用済みカーペットは細かく刻んでカレット状にしてからホットメルト接着剤に加える。使用済みカーペット以外に、カーペットの製造プロセスで副産物として出る、せん断加工で発生するカーペットの余りや細かい繊維ごみなどを使用して不活性充填剤を作成できる。例えば、使用済み品には、約52wt%のポリプロピレン、約40wt%のCaCO(または上記に挙げられたその他の不活性充填剤)、及び約8wt%のスチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックスの残余物などで構成される使用済み高密度ポリプロピレンカーペットや、約93wt%のポリプロピレン、約5wt%未満のナイロン、約2wt%の灰、及び約0.3wt%のSBRラテックスの残余物で構成される使用済みポリプロピレン繊維、主にポリプロピレンで構成される使用済み高密度ポリエチレンストレッチラップフィルム、約50wt%未満のポリエチレン、約50wt%未満のポリプロピレン、及び約1wt%未満のアッシュで構成される使用済み瓶の蓋、またはこれらの使用済み品の混合物を含む。使用済み品を使用することで、埋め立てごみになるはずだった素材が、カーペットやカーペットタイル100などの新しい有益な製品に生まれ変わるため、環境に良い影響を与える。
【0040】
ホットメルト接着剤が確実に押出機の中を流れるようにするため、ステアリン酸を潤滑剤として使用しても良い。ステアリン酸は、潤滑剤となる以外に、ホットメルト接着剤の引裂強度を増加させる。通常ステアリン酸は、充填剤入り、あるいは充填剤無しホットメルト接着剤の約1wt%までの重量で混合し、さらに好ましくは約0.2wt%を混合する。
【0041】
充填剤入りあるいは充填剤無しのホットメルト接着剤はまた、カーボンブラックや他の着色剤など色素を含んでいてもよく、ホットメルト接着剤に色を付けたり、不透明感を増すことができる。色素は通常ホットメルト接着剤の約1wt%以下の量であり、より好ましくは約0.1wt%含まれる。
【0042】
ホットメルト接着剤は温度が上昇すると熱酸化により劣化しやすくなる。そのため、熱酸化による劣化の可能性を少なくするために、ホットメルト接着剤には酸化防止剤を含んでいても良い。適切な酸化防止剤は、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオ−ビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、ブチル化ヒドロキシアニソール、及びブチル化ヒドロキシトルエンなどを含むがこれらに限定されない。充填剤入り、あるいは充填剤無しホットメルト接着剤には通常接着剤の約2wt%以下の酸化防止剤が含まれ、好ましくは、ホットメルト接着剤の約0.01wt%から1wt%の量の酸化防止剤が含まれる。
【0043】
カーペットタイル100は、第1の押出成形ポリマー層120と第2の押出成形ポリマー層125の間にスクリム130を任意に含んでいても良い。スクリム130を含む目的は、カーペットタイル100完成品の寸法安定性を付与することである。スクリム130は一般的には繊維ガラスのような不織布で構成されている。しかしこの場合の不織布繊維は、ポリエステルやポリアミド、ポリウレタンやこれらの共重合体や混合物などのポリマーで形成されている。スクリム130はまたガラス繊維からなる織布でもよく、絡み織りを使いカーペットタイル100の完成品に寸法安定性を付与している。
【0044】
カーペットタイル100は第2の押出成形ポリマー層125の下に、従来からある熱可塑性材料で形成されるクッション性のあるバッキング135を任意に含んでいても良い。例えば、クッション性のあるバッキング135は、発泡剤、ゴム、ポリクロロプレン、アクリロニトリルブタジエン共重合体、エチレンプロピレンジエンゴムなどの天然ゴムまたは合成ゴムであればどんなものからでも構成することができる。クッション性のあるバッキング135は、また、石油樹脂、ビニル系のポリマー、ポリブチレン樹脂、ポリイソブテンブタジエン樹脂やこれらの共重合体などその他ポリマー材料や、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアセタール)、ポリ(ビニルブチラール)やこれらの共重合体、及び前記材料の混合物で構成されていても良い。クッション性のあるバッキング135はさらに様々なくぼみやひだを含むことでカーペットタイル100と床との間に摩擦を生じさせ、カーペットタイル100の抵抗を増加し、カーペット設置後これが移動しないようにしている。
【0045】
本発明の別の実施例では、クッション層135を別に設けるのではなく、第2の押出成形ポリマー層125が発泡剤を含み、カーペットに発泡体バッキングを形成している。発泡剤を使用する場合は、アゾジカーボンアミド、トルエンスルホニルセミカルバジド、及びオキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジドなど(ただしこれに限定されない)の従来からある様々な発泡剤を使用することができる。通常、発泡剤の量は接着化合物が必要とする発泡体の量により決まる。一般的に発泡剤は、ホットメルト接着剤(充填剤入りでも充填剤無しでも良い)の総重量の約0.1wt%から約2wt%を第2の押出成形ポリマー層125に混合するが、より好ましくは約0.75wt%が良い。
【0046】
図2は、本発明のいくつかの実施例における安価でリサイクル可能なカーペットタイル100の製造プロセス200を説明する論理流れ図である。本発明によるカーペットタイル100は、以降で説明する連続的なプロセスで作成するのに特に適している。プロセス200は205から始まり、最初に糸105を基布材110にタフティングし生地反を形成する。タフティング、あるいは表糸に針を通して表糸105を基布材110にタフティングする方法は、本発明ではあまり重要ではない。従って、表糸のタフティングは、従来からあるタフティング手法や機械を使って行えば良い。糸はナイロン、ナイロン6,6、ポリエステル、プロピレン、PTT、3GT、アクリル、ウール、綿、またはこれらのいかなる混合物で構成されていても良い。糸のフェース重量は、約10oz/yd(340g/m)から約50oz/yd(1700g/m)の範囲で、より好ましくは約18oz/yd(612g/m)から約32oz/yd(1088g/m)の範囲である。バッキング材110は、高さ約6フィート、横幅約72インチ(183センチメートル(cm))から約80インチ(203cm)の、より好ましくは横幅約76インチ(193cm)の生産ラインに送られる。
【0047】
生地反はその後アキュムレータに送られ、1人または複数の作業者が生地反の端同士を互いに結び付ける。一般的に、アキュムレータにはj−boxとロールアキュムレータのどちらか一方または両方から成り、個々の形状の生地反を収集する。アキュムレータでは、作業者が生地反の端を縫い合わせることができるようになっており、一方でラインスピードは毎分約10フィート(fpm)、すなわち毎分約3メートル(mpm)から約80fpm (24mpm)の間である。ここでは、生地反はタフティングされた表繊維105が上を向く方向に向けられる。
【0048】
210では、タフティングされた表繊維105に1つまたは複数の局所薬剤を施す。タフティングされた表繊維105に施される局所薬剤には、フェノール樹脂、メタクリル酸樹脂、及びスチレン無水マレイン酸共重合体などの着色防止薬、カルボキシメチルセルロースのような親水コロイド、ポリアクリル酸のような合成親水性ポリマー、フルオロケミカル系システムなどの防汚剤や、静電気防止剤、またはこれらの混合物などを含む。
【0049】
局所薬剤は、噴霧器ユニットや泡状にしてタフティングされた表繊維105に塗布する。局所薬剤は一般的には、繊維の総重量の約10wt%から約14wt%の量がタフティングされた表繊維に塗布される。生地反は、その後タフティングされた表繊維105の薬剤を硬化させるために局所オーブンに入れる。局所オーブンの一般的な温度は、約250°F(121℃)から約350°F(177℃)で、表繊維105の融点よりもかなり低い温度である。
【0050】
次に、215では、生地反は反転ユニットにより反転され、基布110の裏面が上を向くような向きに生地反を反転させる。反転された生地反は、220で布目矯正機を任意に通過する。布目矯正機は、生地反の裏面にポリマー層を塗布する前に、表繊維105の布目が確実に整列するようにする。
【0051】
生地反は布目矯正機を通過すると、225で第1のコーティング工程に進み、ここで生地反の裏面に第1のポリマー層115が塗布される。第1のポリマー層115は通常ホットメルトプリコート接着剤である。ホットメルトプリコート層115は、糸の束を形成する繊維の個々の端を覆い、繊維が“毛羽立つ”のを防ぎ、また糸が摩耗したときに糸の一端が引っ張られるのを防ぐためにタフトの結束力にある一定のレベルの強度を持たせる。さらに、プリコート層115はカーペットタイル100に塗布される可能性のあるすべての追加バッキング層に対して粘着性の薬剤の役目を果たす。プリコート層115は粘着性の薬剤と、任意にポリエチレンを含む。本発明の最良の実施形態では、プリコート層115は約20wt%から約100wt%の粘着性の薬剤を含み、約0wt%から約80wt%のポリエチレンを含む。プリコート接着層115は、通常、約250°F(121℃)から約450°F(232℃)の間の温度で、より好ましくは約350°F(177℃)で基布110の裏面に塗布される。この温度では、ホットメルト層115の粘度は約500cpsである。プリコート層115は、約2oz/yd(68g/m)から約20oz/yd(680g/m)の範囲でロールコーターを使用して塗布され、より好ましくは約8oz/yd(272g/m)から約10oz/yd(340g/m)の範囲で塗布される。
【0052】
次に230で、生地反は第1の押出成形工程に進み、第1の押出成形ポリマー層120がホットメルトプリコート層115の上に形成される。最適なタフトの結束力と接着力を確保するために、第1の押出成形ポリマー層120はホットメルトプリコート層115がやや“粘着性が高い”間に形成する。つまり、第1の押出成形ポリマー層120は、ホットメルトプリコート層115の温度がまだ軟化点よりも高い状態で塗布し、その温度は約250°F(121℃)から約450°F(232℃)の範囲である。本発明の最良の形態では、第1の押出成形ポリマー層120はホットメルト接着剤組成物である。好ましくは、ホットメルト接着剤はEVAで構成される。ポリ(酢酸ビニル)の含有量は、EVAホットメルト接着剤の約2wt%から約40wt%であり、より好ましくは約19wt%から約20wt%の間で、残りの組成はポリエチレンで構成される。
【0053】
ホットメルト接着剤はまた不活性充填剤を含んでいても良い。本発明の最良の形態では、ホットメルト接着剤は約60wt%の不活性充填剤と、約40wt%のポリマーで構成される。ただし、不活性充填剤の許容濃度はホットメルト接着剤の約60wt%から95wt%の範囲である。これにより、ホットメルト接着剤のメルトフローレートは、約0.2g/minから約25g/minの範囲であり、より好ましくは約2.5g/minである。例えば、充填剤入りEVAのメルトフローレートは約1g/minである。
【0054】
押出成形工程は、好ましくはバリアスクリュー付きシングルスクリュー式押出機である。ただし、マルチスクリュー式押出機、ディスク式押出機、ラム式押出機などのような他のタイプの押出プロセスを用いても、本発明の範囲から逸脱することはない。通常、プリコート層115の裏面には、約25oz/yd(850g/m)の重量のホットメルト接着剤が押出成形される。ただし、約10oz/yd (340g/m)から50oz/yd(1700g/m)の間の値は許容重量範囲である。ホットメルト接着剤は、好ましくは、生地反と少なくとも同じ幅の溶融HMAをシート状に形成するように金型を使って押出成形する。シート状の溶融HMAはタフティングされた糸105を覆い、ループ状に接着し、個々の繊維と糸を基布110に完全に固定する。一方でカーペットタイル100に必要な十分なフレキシビリティとひだを維持する。
【0055】
235では、第1の押出成形ポリマー層120の温度が約150°F(66℃)から450°F(232℃)の範囲である間に、任意のスクリム130を第1の押出成形ポリマー層120の上に塗布する。スクリム130は、好ましくは繊維ガラスのような不織布で構成され、カーペットに寸法安定性を付与する。
【0056】
生地反は次に、第2の押出成形工程240に進み、第2の押出成形ポリマー層125が第1の押出成形ポリマー層120または任意の不織布繊維ガラススクリム130の上に押出成形される。本発明の最良の形態では、第2の押出成形ポリマー層125は、第1の押出成形ポリマー層120と同じホットメルト接着剤で構成されている。ただし、第2の押出成形層125は、第1の押出成形層よりも若干重く、ターゲット重量は約20oz/yd(680g/m)から約70oz/yd(2380g/m)の範囲で、40oz/yd(1360g/m)から約45oz/yd(1530g/m)の範囲であればより好ましい。
【0057】
次の245では、クッション性のあるバッキング135を任意に生地反に塗布する。発明の最良の形態では、クッション性のあるバッキング135は第2の押出成形ポリマー層125にラミネート加工しても良い。クッション性のあるバッキング135は不織布で作成されるが、より好ましくは高密度ポリウレタン、スチレンブタジエン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニルなどで作成した発泡バッキングが良い。クッション性のあるバッキング135の密度は、約12ポンド/立方フィート(lbs/ft)、すなわち0.19グラム/立方センチメートル(g/cm)から24lbs/ft(0.38g/cm)の範囲であるが、クッション性のあるバッキングの密度は好ましくは約18lbs/ft(0.29g/cm)である。
【0058】
クッション性のあるバッキング135を別に作成する代わりに、第2の押出成形ポリマー層125に発泡剤を含み、発泡バッキングを形成しても良い。発泡剤を使用する場合は、アゾジカーボンアミド、トルエンスルホニルセミカルバジド、及びオキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジドなど(ただしこれらに限定されない)の従来からある様々な発泡剤を使用することができる。一般的に発泡剤は、接着剤の中に約0.1wt%から約2.0wt%含まれ、好ましくは第2の押出成形ポリマー層125の約0.75wt%含まれる。クッション性のあるバッキング135を形成する場合、生地反は一連の冷却ローラーを通過しアキュムレータに到着させることで、ポリマー層の温度を公称温度である約75°F(24℃)から約80°F(27℃)に冷却することができる。
【0059】
最後に、250では、生地反は金型裁断機に送られ、適当な製品サイズ(例えば、18インチx18インチ、24インチx24インチ、または36インチx36インチなど)のカーペットタイル100に金型裁断される。そのほか、生地反は、大きな径(例えば8インチ径)のドラムに入れられ、オフライン金型裁断工程に送られカーペットタイル100の次の工程に移ることもできる。
【0060】
本発明はその最良の形態で公開されている一方で、この発明及び以降に記載の請求項の精神と範囲から逸脱することなく、これを修正、追加、削除できることは当業者にとっては明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は本発明のいくつかの実施例におけるカーペットタイルの断面図である。
【図2】図2は本発明のいくつかの実施例におけるカーペットタイルの製造プロセスを説明する論理流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維と、
前記繊維の基布と、
前記基布上に塗布されたプリコート層と、
前記プリコート層に塗布された第1の無溶剤ホットメルト接着剤層と、
前記第1の無溶剤ホットメルト接着剤層の上に設けられた第2の無溶剤ホットメルト接着剤層
を備えるカーペットタイル。
【請求項2】
前記第1及び前記第2の無溶剤ホットメルト接着剤層の間にスクリム層をさらに備える、請求項1に記載のカーペットタイル。
【請求項3】
前記プリコート層が、粘着性の高い樹脂から構成されている、請求項1に記載のカーペットタイル。
【請求項4】
前記プリコート層がさらに、前記プリコート層の総重量の約80重量パーセント以下のポリエチレンから構成される請求項3に記載のカーペットタイル。
【請求項5】
前記第1及び第2の無溶剤ホットメルト接着層が、それぞれ、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンジエンモノマー、またはこれらを少なくとも1つ含む混合物から構成される、請求項1に記載のカーペットタイル。
【請求項6】
前記第1及び第2の無溶剤ホットメルト接着層が不活性充填剤から構成される請求項1に記載のカーペットタイル。
【請求項7】
前記不活性充填剤が、前記無溶剤ホットメルト接着層の約5重量パーセントから約90重量パーセントで構成される請求項6に記載のカーペットタイル。
【請求項8】
前記不活性充填剤が、炭酸塩、硫酸塩、酸化物塩、ケイ酸塩、金属塩、難燃剤、使用済みリサイクル品、またはこれらの中のいずれかの混合物で構成される、請求項6に記載のカーペットタイル。
【請求項9】
前記第1の無溶剤ホットメルト接着層の単位面積当たりの重量が、約2オンス/平方ヤードから約50オンス/平方ヤードである、請求項1に記載のカーペットタイル。
【請求項10】
前記第2の無溶剤ホットメルト接着層の単位面積当たりの重量が、約10オンス/平方ヤードから約70オンス/平方ヤードであり、第2の無溶剤ホットメルト接着層の単位面積当たりの重量が、第1の無溶剤ホットメルト接着層の単位面積当たりの重量よりも大きい、請求項1に記載のカーペットタイル。
【請求項11】
前記第2の無溶剤ホットメルト接着層の上にさらにクッション性のあるバッキングを形成する、請求項1に記載のカーペットタイル。
【請求項12】
前記繊維に化学薬品を局所的にさらに含む、請求項1に記載のカーペットタイル。
【請求項13】
繊維と、
前記繊維の基布と、
前記基布に蒸着された、粘着性の高い樹脂を含むプリコート層と、
前記プリコート層に蒸着された第1の無溶剤ホットメルト接着剤層と、
前記第1の無溶剤ホットメルト接着剤層の上に蒸着された第2の無溶剤ホットメルト接着剤層を備え、
前記第1及び第2のホットメルト接着剤層の一方または両方が共重合体を含み、前記共重合体はその総重量の約60重量パーセントから約98重量パーセントのポリエチレンと、約2重量パーセントから約40重量パーセントのポリ(酢酸ビニル)を含む、
カーペットタイル。
【請求項14】
前記第1及び第2の無溶剤ホットメルト接着剤層の一方または両方がさらに、約5重量パーセントから約90重量パーセントの不活性充填剤を含み、共重合体の重量とのバランスの取れた、請求項13に記載のカーペットタイル。
【請求項15】
前記プリコート層がさらに、前記プリコート層の総重量の約80重量パーセント以下のポリエチレンを含む、請求項13に記載のカーペットタイル。
【請求項16】
複数の繊維を基布にタフティングして生地反を形成し、
前記生地反の基布の裏面にプリコート層を塗布し、
前記プリコート層に第1の無溶剤ホットメルト接着層を押出成形し、
前記第1の無溶剤ホットメルト接着層の上に第2の無溶剤ホットメルト接着層を押出成形し、
前記生地反を個々のカーペットタイルに裁断する、
カーペットタイルの製法。
【請求項17】
前記第2の無溶剤ホットメルト接着層を押出成形する前に、前記第1の無溶剤ホットメルト接着層の上にスクリムを形成する方法をさらに備えた、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の無溶剤ホットメルト層の上にクッション性のあるバッキングを蒸着する方法をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の繊維に局所的に化学薬品を塗布する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1及び第2の無溶剤ホットメルト接着剤層の一方または両方は、共重合体の総重量に対して約60重量パーセントから約98重量パーセントのポリエチレンと、約2重量パーセントから約40重量パーセントのポリ(酢酸ビニル)を含む共重合体を押出成形する、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−535535(P2009−535535A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507769(P2009−507769)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/009981
【国際公開番号】WO2007/127222
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508320468)モホーク・カーペット・コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】