説明

ホットメルト接着剤組成物並びにそれらの製造及び使用のための方法

ホットメルト接着剤組成物は、建築産業及び産業メンテナンス及び組立て用途において、基材を合わせて積層するのに用いることができる。ホットメルト接着剤組成物は、薄層(1ミクロン厚〜200ミクロン厚)を基材上に形成するのに噴霧可能である。ホットメルト接着剤は、水分に曝すことにより硬化することが可能であり、又は冷却することにより堅くなり、又はそれらを併用することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
接着剤組成物並びにその製造及び使用のための方法を開示する。接着剤組成物を水分に曝すことによってかつ/又は接着剤組成物を冷却することによって製造される接着剤製品は、建築産業及び産業メンテナンス及び積層体の形成等の用途に関する組立て(assemblyに有用である。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2008年6月24日付けで出願された米国仮特許出願第61/075,030号の利益を主張する。米国仮特許出願第61/075,030号は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0003】
湿分硬化性オルガノシロキサン組成物には、様々な用途における使用、例えば、要素間の接合部に塗布され硬化し、それらの間にエラストマー性のシールをもたらすことができるシーラント組成物としての使用が見出されている。これらの組成物は、室温で硬化し、所望の品質のシールを作製するのに特別な加熱又は他の硬化条件も一般的に必要としないため、特に封止、例えば、高速道路の接合部、自動車のヘッドライト等の物品における接合部、並びに建築物及びガラスの取り付け工事用途(glazing applications)における接合部にとって興味深いものである。
【0004】
多くの湿分硬化性オルガノシロキサン組成物が提案されており、通常、少なくとも2つのシラノール基を含有する少なくとも1つの実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンと、ポリオルガノシロキサンと反応して架橋網目をもたらすことができる架橋剤と、触媒材料とから形成される。これらの組成物は、水分により促される縮合反応によって硬化する。
【0005】
湿分硬化性オルガノシロキサン組成物中の架橋剤は一般的に、容易に加水分解する多官能性シランから選択される。一般的に使用される架橋剤は、トリアセトキシシラン、トリアルコキシシラン、トリアミノシラン及びトリオキシモシランである。縮合反応は、例えば、ジアルコキシアルキルシリル基によるポリオルガノシロキサンのキャッピングを受け、エンドキャップのアルコキシ基及び/又はシラノール基のその後の相互作用により架橋構造をもたらすことを介して進行すると考えられる。
【0006】
製造及び貯蔵中の組成物の硬化は幾らかは許容可能であるが、この硬化は、組成物が大気水分の影響下で硬化するように意図されているその意図される作用部位での塗布前に極端に進行しないことが重要である。故に、組成物を水分に曝すことは、製造及び貯蔵中のバッチ間において差しつかえのない低い一定の程度に保つべきであり、そうでなければ、組成物は、組成物をその使用目的にとって実用的でないものとなる程度まで硬化してしまう。
【0007】
有機ケイ素化合物をベースとする湿分硬化性組成物は一般的に、微細充填剤を含有する。一般的に用いられる充填剤は、硬化材料を強化し、製品のコストを下げるか、又はその他、所望の組合せの特性を与えるものである。
【0008】
典型的な充填剤としては、高表面積シリカ、石英粉末、酸化鉄、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭酸カルシウム及び珪藻土が挙げられるが、これらに限定されない。湿分硬化性オルガノシロキサン組成物は、充填剤とポリオルガノシロキサンとを合わせて混合し、架橋剤と触媒とをこの混合物に添加し、その後、得られる組成物を、カートリッジ、ペール缶又はドラム缶等の容器内にパッケージングし、その後、水分の浸入を防止するように密閉する、バッチプロセス又は連続プロセスを用いて製造することができる。
【0009】
シリコーン感圧接着剤(以後、PSAと称する場合もある)は典型的に、少なくとも2つの主成分、すなわち、直鎖状シロキサンポリマー、及びトリオルガノシロキサン単位(すなわち、R3SiO1/2単位(式中、Rは一価有機基を示す)と、シリケート単位(すなわち、SiO4/2単位)とから本質的に成る粘着付与樹脂を含有する。上記の2つの成分に加えて、幾つかのシリコーンPSA組成物は、最終接着剤製品の様々な特性を最適なものとするために、幾つかの架橋手段(例えば、過酸化物硬化系又はヒドロシリル化硬化系)を含有する。ポリマー成分によりもたらされる高い粘度を考慮して、これらのPSA組成物は典型的に、塗布を簡単にするために有機溶媒中に分散される。これらのPSAの幾つかは、水分に曝すことによって組成物を硬化させる反応性基を含有する。上記の樹脂及びポリマーの割合、並びに他のパラメータを調節すれば、類似の組合せを配合してコーティング組成物を得ることができる。溶媒を使用しない或る特定の他の条件下でもホットメルトPSAを得ることができる。
【発明の概要】
【0010】
ホットメルト接着剤組成物は、
(1)2wt%未満のシラノール含量を有し、かつR13SiO1/2で表される単官能性単位及びSiO4/2で表される四官能性単位(式中、R1は置換又は非置換の一価炭化水素ラジカルである)から構成される、シリコーン樹脂と、
(2)式R23SiOの二官能性単位及び式R4aX’3-aSiG−の末端単位(式中、R2はアルコキシ基又は非置換若しくは置換の一価炭化水素ラジカルであり、R3は非置換若しくは置換の一価炭化水素ラジカルであり、R4はアミノアルキル又はR1基であり、X’は加水分解性基であり、Gは該末端単位のケイ素原子を別のケイ素原子と連結させる二価の基であり、aは0又は1である)から構成される、オルガノポリシロキサンと、
(3)シラン架橋剤と、
(4)触媒とを、含む。
ホットメルト接着剤組成物は、これらに限定されるものではないが、建築及び組立て形式の用途、例えば、基材を合わせて積層することを含む、積層等の用途に有用である。代替的に、ホットメルト接着剤組成物は、そのセルフレベリング性及び填隙性に起因して封入及び封止等の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に従って製造された窓の一部である。
【図2】本発明に従って製造された蓋のシールを有する筐体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ホットメルト接着剤組成物
本発明は、ホットメルト接着剤組成物並びにその製造及び使用のための方法に関する。ホットメルト接着剤組成物は、(1)55%〜62%のシリコーン樹脂と、(2)38%〜45%のオルガノポリシロキサンと、(3)0.1%〜5%、代替的には0.9%〜1.1%のシラン架橋剤と、(4)0.02%〜2%、代替的には0.1%〜0.5%の触媒とを含む。ホットメルト接着剤組成物は、125℃で5000mPa・s〜30000mPa・s、代替的には125℃で8000mPa・s〜25000mPa・sの範囲の粘度を有する。ホットメルト接着剤組成物は充填剤を含んでいなくてもよい。「充填剤を含まない」とは、ホットメルト接着剤組成物が粒子を含有しないか、又はホットメルト接着剤組成物が125℃で30000mPa・sより大きい粘度を有しないような十分小さい粒子量しか含有しないことを意味する。
【0013】
(1)シリコーン樹脂
本明細書中で有用なシリコーン樹脂は、R13SiO1/2で表される単官能性単位と、SiO4/2で表される四官能性単位とを含有する。R1は置換又は非置換の一価炭化水素ラジカルを表す。このタイプのシリコーン樹脂は、感圧接着剤として用いられるオルガノシロキサン組成物中に存在する成分の1つとして当該技術分野で既知である。
【0014】
シリコーン樹脂は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘプタン等の液状炭化水素中又は低粘度の環状及び直鎖状ポリジオルガノシロキサン等の液状有機ケイ素化合物中に可溶性である。
【0015】
13SiO1/2単位中、R1は典型的に、最大20個の炭素原子、典型的には1個〜10個の炭素原子を含有する一価炭化水素ラジカルである。R1に好適な炭化水素ラジカルの例としては、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル等のアルキルラジカル;ビニル、アリル及び5−ヘキセニル等のアルケニルラジカル;シクロへキシル及びシクロヘキセニルエチル等の脂環式ラジカル;並びに、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチル等のアリールラジカルが挙げられる。R1上に存在し得る非反応性置換基としては、ハロゲン及びシアノが挙げられるが、これらに限定されない。R1で表され得る典型的な置換炭化水素ラジカルとしては、クロロメチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
13SiO1/2単位中のR1ラジカルの少なくとも3分の1、代替的には少なくとも3分の2が、メチルラジカルである。R13SiO1/2単位の例としては、Me3SiO1/2、PhMe2SiO1/2及びMe2ViSiO1/2(式中、Me、Ph及びViはそれぞれ、メチル、フェニル及びビニルを示す)が挙げられるが、これらに限定されない。シリコーン樹脂はこれらの単位の2種以上を含有していてもよい。
【0017】
シリコーン樹脂中のR13SiO1/2単位とSiO4/2単位とのモル比は、典型的に0.5/1〜1.5/1、好ましくは0.6/1〜0.9/1である。これらのモル比は簡便にはSi29n.m.r.分光法により測定される。この技法は、シリコーン樹脂の合計ヒドロキシル含量に加えて、シリコーン樹脂に、また最初のシリコーン樹脂中に存在するネオペンタマー(Si(OSiMe34)に由来する、R13SiO1/2(「M」)単位及びSiO4/2(「Q」)単位の濃度を定量的に決定することができる。
【0018】
本発明の目的のために、R13SiO1/2とSiO4/2との比は、{M(樹脂)+M(ネオペンタマー)}/{Q(樹脂)+Q(ネオペンタマー)}として表すことができ、シリコーン樹脂の樹脂部分及びネオペンタマー部分のシリケート基の合計数に対する、樹脂部分及びネオペンタマー部分のトリオルガノシロキシ基の合計数の比を表す。
【0019】
シリコーン樹脂は、2.0wt%以下、代替的には0.7wt%以下、代替的には0.3wt%以下の、式XSiO3/2で表される末端単位(式中、Xは、ヒドロキシル又は加水分解性基、例えば、メトキシ及びエトキシ等のアルコキシ;イソプロペニルオキシ等のアルケニルオキシ;メチルエチルケトキシモ等のケトキシモ;アセトキシ等のカルボキシ;アセトアミドキシ等のアミドキシ;並びに、N,N−ジメチルアミノキシ等のアミノキシを表す)を含有する。シリコーン樹脂中に存在するシラノール基の濃度は、フーリエ変換赤外分光分析(FTIR)を用いて求めることができる。
【0020】
シリコーン樹脂の所望のフロー特性を達成するのに必要とされる数平均分子量(Mn)は、シリコーン樹脂の分子量、及びこの成分中に存在するR1で表される炭化水素ラジカルのタイプ(複数可)に少なくとも一部依存する。本明細書中で用いられるMnは、ネオペンタマーを表すピークを測定から除外して、ゲル浸透クロマトグラフィを用いて測定される分子量を表す。シリコーン樹脂のMnは、典型的には3000より大きく、より典型的には4500〜7500である。典型的に、150℃を超える熱ホールド(thermal hold:耐熱性)(すなわち、高温において接着力を維持する、接着剤の性能)は、Mnが3000を超える場合にかなり大きくなる。
【0021】
シリコーン樹脂は任意の好適な方法にて製造することができる。このタイプのシリコーン樹脂は対応するシランの共加水分解により、又は当該技術分野で既知であるシリカヒドロゾルキャッピング法により製造されることが報告されている。好ましくは、シリコーン樹脂はDaudt, et al.の米国特許第2,676,182号;Rivers-Farrell et al.の米国特許第4,611,042号;及びButlerの米国特許第4,774,310号のシリカヒドロゾルキャッピング法によって製造される。
【0022】
シリコーン樹脂を製造するに用いられる中間体は、典型的には式R13SiX’(式中、X’は加水分解性基を表す)のトリオルガノシラン、及び4個の加水分解性基、例えばハロゲン、アルコキシ若しくはヒドロキシル等を有するシラン又はアルカリ金属ケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム等のいずれかである。
【0023】
シリコーン樹脂中のケイ素結合したヒドロキシル基(すなわち、HOR1SiO1/2基又はHOSiO3/2基)はシリコーン樹脂の総重量の0.7重量%未満、代替的には0.3%未満であることが望ましい。シリコーン樹脂の製造中に形成されたケイ素結合したヒドロキシル基は、シリコーン樹脂と適当な末端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンとを反応させることにより、トリヒドロカルビルシロキシ基又は加水分解性基に変換される。加水分解性基を含有するシランは、典型的にはシリコーン樹脂のケイ素結合したヒドロキシル基と反応させるために要する量を超えて添加される。
【0024】
(2)オルガノポリシロキサン
本明細書中で有用なオルガノポリシロキサンは式R23SiOの二官能性単位及び式R1aX’3-aSiG−(式中、R2はアルコキシ基又は非置換若しくは置換の一価炭化水素ラジカルであり、R3は非置換又は置換の一価炭化水素ラジカルであり、R1は上記の通りの基であり、X’は加水分解性基であり、Gは、酸素原子、又は末端単位のケイ素原子を別のケイ素原子と連結させる二価の基であり、aは0又は1である)の末端単位から構成される。オルガノポリシロキサンは任意に式R3SiO3/2(式中、R3は前に記載された通りである)の三官能性単位の全体に基づいて20%まで含有することができる。R23SiO単位中のR2及びR3で表されるラジカルの少なくとも50%、典型的には少なくとも80%は、低級アルキル基、例えばメチル等である。
【0025】
オルガノポリシロキサン上に存在する末端単位は、式R1aX’3-aSiG−(式中、X’は加水分解性基であり、R1は上記の通りの基であり、Gは、酸素原子、又は末端単位のケイ素原子を別のケイ素原子と連結させる二価の基であり、下付き文字aは0又は1である)で表される。典型的に、オルガノポリシロキサンは、架橋生成物を形成するために、1分子当たり平均2つ以上の加水分解性(X’)基を含有する。X’で表される典型的な加水分解性基は、以下に限定されないが、ヒドロキシ、メトキシ及びエトキシ等のアルコキシ、イソプロペニルオキシ等のアルケニルオキシ、エノキシ、メチルエチルケトキシモ等のケトキシモ、アセトキシ等のカルボキシ、アセトアミドキシ等のアミドキシ、並びにN,N−ジメチルアミノキシ等のアミノキシが挙げられる。
【0026】
末端基で、aが0であれば、X’で表される基はアルコキシ、ケトキシモ、アルケニルオキシ、カルボキシ、アミノキシ、又はアミドキシであり得る。aが1であるなら、X’は典型的にはアルコキシであり、R5は例えばメチル若しくはエチル等のアルキル、又は例えばアミノプロピル若しくは3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル等のアミノアルキルである。アミノアルキルラジカルのアミノ部分は第一級、第二級又は第三級であり得る。
【0027】
末端単位の式中、Gは二価の基又は加水分解的に安定な原子である。加水分解的に安定とは、加水分解性ではなく、末端単位が組成物の硬化中に取り去られることなく、硬化反応が悪影響を受けないように、オルガノポリシロキサンにおいて末端単位のケイ素原子(複数可)を別のケイ素原子に連結するということを意味する。Gで表される加水分解的に安定な連結として、以下に限定されないが、酸素、アルキレン及びフェニレン等のヒドロカルビレン、酸素、窒素及び硫黄から選択されたヘテロ原子を1個又は複数含有するヒドロカルビレン、並びにこれら連結基の組合せが挙げられる。Gはシルアルキレン連結基、例えば−(OSiMe2)CH2CH2−、−(CH2CH2SiMe2)(OSiMe2)CH2CH2−、−(CH2CH2SiMe2)O−、−(CH2CH2SiMe2)(OSiMe2)O−、−(CH2CH2SiMe2)CH2CH2−、及び−CH2CH2−等、並びにシロキサン連結基、例えば−(OSiMe2)O−等、又はより好ましくは酸素原子を表し得る。
【0028】
好ましい末端単位の具体例として、以下に限定されないが、(MeO)3SiCH2CH2−、(MeO)3SiO−、Me(MeO)2SiO−、(EtO)3SiO−、(MeO)3SiCH2CH2SiMeCH2SiMeCH2CH2SiMe2O−、及びCH2=C(CH3)OSiO−が挙げられる。これらの式中、Meはメチルを表し、Etはエチルを表す。
【0029】
X’がアルコキシ基を含有するときは、このX’基を一番近いシロキサン単位から例えばエチレン等のアルキレンラジカルによって離しておくことが望ましい。この場合、R1aX’3-aSiG−は(MeO)3SiCH2CH2Si(Me2)O−となるであろう。アルコキシ基をトリアルコキシシリルアルキル基に変換する方法は従来技術に記載されている。例えば、式(MeO)3SiO−及びMe(MeO)2SiO−を有する湿分反応性基は、それぞれ式(MeO)4Si及び式Me(MeO)3Siを有する化合物によって、シラノール末端ポリオルガノシロキサンに導入することができる。代替的には、式(MeO)3SiH及びMe(MeO)2SiHを有する化合物それぞれは、ポリオルガノシロキサンがアルケニルラジカル(例えば、ビニル)及び白金族金属又はその化合物をヒドロシリル化反応触媒として含有するときに、使用することができる。他の加水分解性基、例えばジアルキルケトキシモ、アルケニルオキシ及びカルボキシ等がアルコキシ基を置き換えることができることは理解されるであろう。
【0030】
ホットメルト接着剤中に用いられるオルガノポリシロキサンは好ましくは、3つのアルコキシ基又はケトキシモ基、アルキルラジカル又はアミノアルキルラジカルのいずれかと共に2つのケトキシモ基又は2つのアルコキシ基、を含有するポリジメチルシロキサンである。
【0031】
オルガノポリシロキサンの粘度は、25℃で0.02Pa・s〜100Pa・s、典型的には0.35Pa・s〜60Pa・sの範囲であり得る。
【0032】
シリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンは、55/45〜70/30の範囲をとる(1)シリコーン樹脂と(2)オルガノポリシロキサンとの重量比、すなわち、樹脂/ポリマー比をもたらす量で存在する。シリコーン樹脂の量はシリコーン樹脂固形分の重量であるが、シリコーン樹脂を任意に溶媒中に溶解してもよい。代替的に、より多量のシリコーン樹脂を用いることもできるが、湿分硬化性ホットメルト接着剤組成物を基材に適用するには、より高い適用温度が必要となる。
【0033】
(3)シラン架橋剤
シラン架橋剤は、式R1nSiZ(4-n)(式中、R1は前に記載されている通りであり、Zは硬化材料を形成するために周囲条件下で少なくともオルガノポリシロキサンの末端基と反応する加水分解性基であり、nは0、1又は2である)で表される。典型的には、R1はアルキル基及び/又はフェニル基である。Zで表される好適な加水分解性基としては、以下に限定されないが、1個〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ、アセトキシ等のカルボキシ、メチルエチルケトキシモ等のケトキシモ、及びアミノキシが挙げられる。シラン架橋剤でnが2のときは、オルガノポリシロキサンは、典型的には3個のX’基(例えば、aが0である)を含有する。
【0034】
好適なシラン架橋剤としては、以下に限定されないが、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、及び例えばオルトケイ酸エチル等のオルトケイ酸アルキルが挙げられる。
【0035】
使用されるシラン架橋剤の量は、シリコーン樹脂とポリマーとの量に基づいて0.1pph(百分の一)〜15pph、典型的には0.1pph〜5pphの範囲である。シラン架橋剤があまりにも多量に存在すると、ホットメルト接着剤の生強度、及び/又は硬化速度が減少する。シラン架橋剤が揮発性であれば、最終ホットメルト接着剤組成物中で0.1pph〜15pphを達成するために過剰量を用いることが必要な場合がある。当業者が、0.1pph〜15pphを有する組成物を製造するに必要な量を決定することは可能であろう。
【0036】
(4)触媒
ホットメルト接着剤製剤にはチタネート触媒が典型的に用いられる。チタネート触媒は、テトラブチルチタネート等の有機チタン化合物、及びこれらの塩の、アセト酢酸エステル及びβ−ジケトン等のキレート剤で部分的にキレート化された誘導体である。用いられるチタネート触媒の量は、シリコーン樹脂とオルガノポリシロキサンとを組合せた量に基づき、0.02pph〜2pphの範囲、典型的には0.05pph〜1pphの範囲である。チタネート触媒をあまりにも多量に添加すると、組成物の硬化が阻害される。加えて、触媒の量が増大するにつれて、ホットメルト接着剤の粘度が増大するため、その材料を塗布するのにより高い融解温度が必要となる。
【0037】
(5)接着促進剤
ホットメルト接着剤組成物は、シリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンに基づく0.05pph〜2pphの接着促進剤を含有していてもよい。接着促進剤は、当該技術分野で既知であり、典型的に、式R5c6dSi(OR)4-(c+d)(式中、R5は独立して、少なくとも3個の炭素原子を有する置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R6は、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はアクリレート基等の接着促進基を有する少なくとも1つのSiC結合基を含有し、cは0〜2の値であり、dは1又は2のいずれかであり、c+dの合計が3以下である)を有するシランである。接着促進剤はまた上記のシランの部分縮合物であってもよい。
【0038】
(6)安定化剤
ホットメルト接着剤組成物は任意に安定化剤をさらに含み得る。当業者は、好適な安定化剤及び量を選択することができるであろう。例えば、Ciba Specialty ChemicalsからのTINUVIN(登録商標)製品(TINUVIN(登録商標)765等)が、UV線及び光に対する市販の安定化剤である。安定化剤の正確な量は、選択される安定化剤のタイプ及びホットメルト接着剤組成物の最終用途に依存するが、ホットメルト接着剤組成物に基づき、0.1%〜4%、代替的には最大0.15%の安定化剤が添加され得る。
【0039】
(7)顔料
ホットメルト接着剤組成物は任意に顔料をさらに含み得る。顔料の量は、選択される顔料のタイプ及び硬化したホットメルト接着剤製品の所望の着色度に依存する。例えば、ホットメルト接着剤組成物は、0%〜5%、代替的には最大2%の顔料、例えばカーボンブラックを含み得る。
【0040】
(8)非官能性ポリオルガノシロキサン
ホットメルト接着剤組成物は任意に非官能性ポリオルガノシロキサンをさらに含み得る。本願の目的で、「非官能性」とは、ポリオルガノシロキサンが湿分硬化反応に関与しないことを意味する。例えば、非官能性ポリオルガノシロキサンは、式R72SiOの二官能性単位及び式R83SiG−の末端単位(式中、各R7及び各R8は独立して、メチル、エチル、プロピル及びブチル等のアルキル、ビニル、アリル及びヘキセニル等のアルケニル、並びに、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル及びフェネチル等のアリールで例示される、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、Gは、酸素原子、又は末端単位のケイ素原子を別のケイ素原子と連結させる二価の基であり、代替的にGは酸素原子である)から成り得る。非官能性ポリオルガノシロキサンは、当該技術分野で既知であり、市販されている。好適な非官能性ポリオルガノシロキサンは、これに限定されるものではないが、Dow Corning Corporation(Midland, Michigan, U.S.A.)から市販されているDOW CORNING(登録商標)200 Fluidsで例示され、12500cSt〜60000cStの範囲の粘度を有し得る。
【0041】
ホットメルト接着剤組成物の製造
ホットメルト接着剤組成物を製造する方法は、(1)シリコーン樹脂と、(2)オルガノポリシロキサンと、(3)シラン架橋剤と、(4)触媒と、溶媒とを含む成分を組み合わせること、揮発物を取り除くためにこの組合せを押出し装置に供給すること、及び97.5%〜100%、代替的には98.5%〜100%、代替的には99%〜100%の不揮発分(NVC)を有するホットメルト接着剤組成物を回収することを含む。
【0042】
典型的には、ホットメルト接着剤を作製するのに溶媒が用いられる。溶媒は、シリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサンのフロー及び導入を助ける。しかしながら、溶媒は本質的に全て、ホットメルト接着剤を作製する連続プロセスで除去される。本質的にとは、ホットメルト接着剤組成物が、ホットメルト接着剤組成物を硬化することにより調製されるホットメルト接着剤の重量に基づき、2.5%より少ない(no more than)、代替的には0.5%未満の溶媒しか含有しないものであることを意味する。
【0043】
本方法で用いられる溶媒は、ホットメルト接着剤組成物を作製するのに用いられる成分の流動化を助けるものであるが、本質的に、ホットメルト接着剤組成物中の成分のいずれとも反応しないものである。好適な溶媒は、有機溶媒、例えば、トルエン、キシレン、塩化メチレン、ナフサミネラルスピリット、及び低分子量シロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、並びにそれらの組合せである。
【0044】
シリコーン樹脂、オルガノポリシロキサン、シラン架橋剤、触媒及び溶媒、並びにいずれかの任意の成分を連続混合装置に供給する。連続混合装置への添加の順序は、ホットメルト接着剤組成物を作製するのに重要でない。樹脂が典型的に0.7%より多いシラノールを有する場合には、任意の反応を起こして反応生成物(例えば、揮発物)を除去することを可能にするため、シラン架橋剤及び/又は触媒、並びに樹脂を一緒に添加することが望ましい。連続混合装置は、成分を混合することができ、溶媒を除去する手段を含むものとする。典型的には押出し装置が用いられ、より典型的には二軸スクリュー押出し装置が用いられる。
【0045】
押出し装置を用いる場合、成分が、押出機に供給され、50℃〜250℃、代替的には80℃〜150℃の範囲の温度に加熱される。押出機内の成分を加熱することにより、粘度が下がり、成分の十分な混合が可能となる。このプロセスでは、典型的に、初めに、シリコーン樹脂、オルガノポリシロキサン及び溶媒を押出し装置に供給する。シラン架橋剤及び触媒は、この時点で添加してもよく、又は幾らか混合した後に装置内のさらに下流で添加してもよい。共回転型二軸スクリュー押出機におけるホットメルト接着剤の連続プロセスは、T. Peitz, "Continuous Processing of Hot Melt Adhesives on Co-Rotating Twin Screw Extruders", 1996 Hot Melt Symposium, p. 37-45に記載されている。
【0046】
溶媒は連続混合プロセス中に除去される。典型的には、連続混合装置に真空を印加して、溶媒及びホットメルト接着剤組成物中に存在し得る任意の他の揮発物の除去を容易にする。連続混合装置では単一段階又は複数段階で真空を印加してもよい。複数の真空段階の使用は溶媒に対する改善された除去をもたらすことが見出された。シラン架橋剤が揮発性であり得ることから、溶媒と共にシラン架橋剤が除去されることを防止するために、溶媒のほとんどを除去した後にシラン架橋剤を添加してもよい。
【0047】
使用方法
ホットメルト接着剤組成物は少なくとも2つの基材を互いに接着するために用いることができる。典型的に、ホットメルト接着剤組成物は、2つの基材の間の層として用いられ、第1の基材、硬化したホットメルト接着剤及び第2の基材の積層体を作製する。本明細書中で作製される積層構造はこれらの3つの層に限定されない。硬化したホットメルト接着剤と基材との付加的な層を付与してもよい。積層体中のホットメルト接着剤組成物の層は、連続又は不連続であり得る。
【0048】
さらに、様々な材料を基材として用いてもよい。ホットメルト接着剤組成物、又はその硬化生成物を塗布し得る好適な基材としては、ガラス;金属、例えば、アルミニウム、銅、金、ニッケル、シリコン、銀、ステンレススチール合金及びチタン;セラミック材料;工業用プラスチック、例えばエポキシ、ポリカーボネート、ポリ(ブチレンテレフタレート)樹脂、ポリアミド樹脂及びそれらのブレンド、例えば、ポリアミド樹脂と、The Dow Chemical Company(Midland, Michigan, U.S.A.)から販売されているもの等のシンジオタクティックポリスチレンとのブレンド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレンで変性されたポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ビニルエステル、ポリフタルアミド、ポリイミド、Du Pont(Wilmington, Delaware, U.S.A.)よりTEFLON(登録商標)として販売されているポリテトラフルオロエチレン、及びArkema, Inc.(Philadelphia, Pennsylvania, U.S.A.)よりKYNAR(登録商標)として販売されているポリビニリデンフルオライドを含むプラスチック;セルロース基材、例えば、紙、布地及び木材;高分子材料、例えば、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート及びポリオルガノシロキサンに由来の発泡体;並びに、それらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。2つ以上の基材が用いられる場合、それらの基材が同じ材料から作られることは必要とされない。例えば、ガラス基材と金属基材、又はガラス基材とプラスチック基材との積層体を形成することが可能である。代替的には、一タイプの基材を用いてもよく、例えば、硬化したホットメルト接着剤で互いに接着させた2つ以上の木材基材の積層体を形成することも可能である。
【0049】
積層構造を作製する一方法は、第1の基材の表面上にホットメルト接着剤組成物のフィルムを塗布することである。次に、第2の基材の表面をホットメルト接着剤組成物に接触させ、第1の表面及び第2の表面を互いにプレスする。溶融材料と共に用いるために好適な従来の塗布方法としては、浸漬、噴霧、共押出、ロール塗工、及び加熱したドクターブレード、ドローダウンバー及びカレンダーロールを用いた延展が挙げられるが、これらに限定されない。ホットメルト接着剤組成物は、80℃〜165℃、代替的には80℃〜150℃の範囲の温度に加熱することにより適用され、かつ噴霧又は繊維化(fiberizing:繊維状分解)により塗布される。ホットメルト接着剤組成物の得られるフィルムは、基材表面積1平方フィート当たり平均0.5グラム〜50グラム、代替的には1グラムのホットメルト接着剤組成物をもたらすのに十分なものであり得る。代替的に、フィルムは、1マイクロメートル〜200マイクロメートル、代替的には10マイクロメートル〜50マイクロメートルの範囲の平均厚みを有し得る。このタイプの塗布のための噴霧装置は、当該技術分野で既知であり、市販されている。当業者は、噴霧によって、厚み及び基材の被覆率が様々な値をとり得る不均一なフィルムが作られることを理解するであろう。好適な塗布装置は、ITW Dynatec、Graco又はNordsonから入手することができる。
【0050】
水分に曝すとホットメルト接着剤組成物は硬化する。ホットメルト接着剤組成物は、空気中の水分と接触させることによって、又は水分を直接導入すること、例えば、積層体を蒸気と接触させること若しくは積層体を高湿度チャンバ(humidity chamber)内に置くことによって水分に曝され得る。
【0051】
ホットメルト接着剤組成物のフィルムを形成し、その後、ホットメルト接着剤組成物のフィルムを硬化することによって積層体を形成することも可能である。硬化したフィルムの第1の表面を、第1の基材の表面に接触させる。次に、第2の基材の表面を、硬化したフィルムの別の表面と接触させ、第1の表面及び第2の表面を互いにプレスして積層体を形成する。
【0052】
積層体を作製するための別の代替方法は、第1の基材の表面上にホットメルト接着剤組成物のフィルムを塗布することである。次に、ホットメルト接着剤組成物を水分に曝すことによって硬化し、硬化したフィルムを作製する。その後、第2の基材を、第1の基材上の硬化したフィルムと接触させ、第1の表面及び第2の表面を互いにプレスし、積層体を形成する。第2の基材は取り外し可能であってもよい。
【0053】
本発明によるホットメルト接着剤組成物を硬化することにより調製される硬化したフィルムには、様々な産業、例えば、自動車、電子、建築、宇宙、テキスタイル、食品、給水及び医療における利用が見出される。代替的に、硬化したフィルムには、ソーラー産業又は輸送産業における利用が見出され得る。硬化したフィルムは、熱、水分、太陽光及び/又は電気回路等の悪条件の環境に対して耐性を有する接合剤(bonds)を提供することができる。例えば、硬化したフィルムは、印刷回路基板等の基材、及び電気部品又は電子部品を含有する他の基材用のコンフォーマルコーティングとして用いることができる。例えば、硬化したフィルムは、太陽電池のための風雨防止用途で用いることができる。代替的に、硬化したフィルムは、ソーラー産業における基材用の接着剤として有用であり得る。
【0054】
本発明に従い、ホットメルト接着剤組成物を用いて様々な積層体を製造することができる。例えば、積層体は、エアバッグ、自動車の内装、窓、蓋のシール又は絶縁被覆材料(insulation sheathing)の一部であってもよい。図1は、本発明による絶縁被覆材料100の部分断面図を示す。絶縁被覆材料100は、硬化したホットメルト接着剤103の薄膜に共に結合する、基板101と発泡体102とを備える。基板101は、例えば、木材、板紙、メソナイト、ビニル等のプラスチック、又は金属であり得る。
【0055】
図2は、本発明に従って製造された蓋のシールを有する、電子部品204用の筐体200の概略図を示す。筐体200は、例えば、
(1)上記のホットメルト接着剤組成物201を、容器202としてここに示される第1の基材の縁上に塗布すること、
(2)蓋203の縁部をホットメルト接着剤組成物201と接触させるように、容器202の上に、蓋203としてここで示される第2の基材を配置すること、及び
(3)ホットメルト接着剤組成物201を硬化して、容器202と蓋203との間に蓋のシールを形成すること、
によって作製することができる。
【0056】
当業者は、ホットメルト接着剤組成物を初めに蓋203の縁部に塗布した後に、蓋203を容器202上に配置してもよいことを理解するであろう。当業者は、ホットメルト接着剤組成物201の硬化を、基材(蓋203及び容器202)の一方又は両方への塗布前、塗布中又は塗布後に行ってもよいことを理解するであろう。代替的には、蓋を容器上に配置した後に、ホットメルト接着剤組成物、又はホットメルト接着剤組成物を硬化することにより形成されるホットメルト接着剤を蓋の縁部に塗布してもよい。
【実施例】
【0057】
実施例は、発明を当業者に説明するように意図されるものであり、特許請求の範囲に記載の発明の範囲を限定するように解釈されるべきものではない。これらの実施例中で用いられる成分は以下の通りである。
【0058】
材料:
シリコーン樹脂
樹脂B:0.8のモル比でトリオルガノシロキシ単位及びSiO2単位を含有するキシレン可溶性樹脂コポリマー。この樹脂はトリメチルシロキシ基でキャップすると、0.7%のSi結合したヒドロキシル基を有する樹脂を生成する。この樹脂はキシレン中に溶解すると、75%固形分の溶液を生成する。
【0059】
オルガノポリシロキサン
ポリマーA:−CH2CH2−(CH32SiOSi(CH32−CH2CH2Si(OMe)3末端基で終端される、粘度がおよそ70000csの主に直鎖状のポリジメチルシロキサンポリマー。
【0060】
架橋剤
アルコキシシランA:i−Bu Si(OMe)3、イソブチルトリメトキシシラン
【0061】
L−90シリカ−Cabot Corporationから市販されている100sq m/g表面積のヒュームドシリカ。
【0062】
チタネート触媒
チタネート触媒A:Ti(OtBu)4、テトラ−第三級ブチルチタン
【0063】
試験法:
NVC:不揮発分(NVC)は、デカンを内標準として用いて、ガスクロマトグラフィにより測定した。
ガスクロマトグラフィ法:試料は、4グラムのHPLCグレードのヘプタン及び0.04グラムのHPLCグレードのデカンで希釈した1グラムのホットメルト接着剤組成物を用いて調製した。試料が溶媒中に完全に溶解するまで、このブレンドをボルテックスタイプのミキサで混合した。マイクロピペットを用いて、試料をGCバイアルに移し、1分当たり114.0mLの総流量を用いるHP−1カラムを備えるHewlett-Packard製の5890 Series II等のガスクロマトグラフ器材のオートサンプラーに入れた。試験プログラムは、40℃の初期温度で1マイクロリットルの試料を注入し、温度を1分当たり15℃で170℃まで上昇させた後、1分当たり70℃で280℃まで上昇させ、280℃で5分間温度を維持するように設定した。その後、キシレン異性体、イソブチルテトラメトキシシラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、メタノール及びt−ブタノールに関するピークを用いて、各ホットメルト接着剤組成物における揮発分を算出した。
【0064】
粘度:平行平板の幾何学的配置を備える好適なレオメータ(TA Instruments製のARESレオメータ(New Castle, Delaware, USA))を用い、1Hzの振動周波数で100℃〜140℃の範囲の温度にわたって動的剪断粘度を測定した。平板の直径は2.5cmとし、100℃の開始温度における平板間の間隙を基準とした。ホットメルト接着剤試料を下部平板上に充填し、上部平板を下げて試料の厚みを0.15cm〜0.20cmとした。空気中における2℃/分の昇温勾配及び2%の初期の動ひずみを使用した。自動ひずみオプションは、レオメータ変換機からの少なくとも0.4g−cmのトルク信号を維持するように、ひずみを徐々に増大させることを確実なものとした。平板間の間隙は、1℃当たり2.5マイクロメートルの変化率で自動調節され、ステンレススチール平板の熱膨張は補償されるものであった。
【0065】
引張り:引張り特性は、ASTM D 412に従って評価した。ホットメルト接着剤組成物の75ミル厚のスラブを、剥離ライナ(3M 9956)間で成形し、5分間冷間プレスした。このスラブを21日間室温及び50%RHで硬化させた。引張り試験用ドッグボーン状(Tensile dog-bones)試験片(1インチ×0.125インチ)を、スラブから切り出し、MTS RT/5張力計(MTS Systems Corporation)において50ポンドのロードセルを用いて500mm/分で引っ張った。データ解析は、MTS Systems TestWorks(登録商標)4(v 4.08B)を用いて行った。
【0066】
実施例1〜実施例20、及び比較例1〜比較例4
比較例1及び比較例2に関しては、まず、樹脂B及びポリマーAを5ガロン容の金属ペール缶内で混合し、その後、定量ポンプにより二軸スクリュー配合機(TSC)の第1のバレルに供給した。アルコキシシランAと触媒Aとの事前混合スラリーを下流で添加し、混合した。この混合物を、流出量が約10ポンド/時間となるように30mmの二軸スクリューの押出機にポンプで送り込んだ。バレル温度(bl temp)、スクリュー速度(rpm)及び真空条件(真空mmHg)を表中に提示する。実施例1〜実施例14、並びに比較例3及び比較例4は、加熱されたスタティックミキサを介して計量された別々の流れで樹脂及びポリマーをTSC内に供給するプロセス条件を使用した。TSCは、供給量に応じて250rpm〜500rpmで運転した。
【0067】
各真空段階前の二軸スクリュー押出機には、真空前にシールを作るのに用いた2つの逆進要素(10/10左旋回)が存在した。各真空ポート下では、3つ〜4つの長い搬送要素(42/42)を用い、より大きな表面積及びより長い滞留時間を真空に曝した。第1のポートでは部分真空を用いて発泡を防止し、その後のポートではより高い真空(20インチHg超)を用いた。シラン/触媒は、加圧下で定量ポンプにより配合機の下流部分に添加した。注入位置は、3つ目の真空ポートと4つ目の真空ポートとの間のホットメルトの高密度相とした。最終的な真空段階は13インチHg及び180°Fに設定して、反応副生成物を除去した。合計して4つの真空ポートを用いた。
【0068】
各実施例で調製したホットメルト接着剤組成物に関して不揮発分及び粘度を測定した。硬化したホットメルト接着剤の引張り特性は、上記の試験方法に従って測定した。シリコーン樹脂、オルガノポリシロキサン、並びに触媒及び架橋剤の量、並びに試験結果は以下で表1に示す。
【0069】
実施例17、実施例19、実施例20及び実施例21−単一重ね剪断試験法:
Kynar(登録商標)ポリビニリデンフルオライド(PVDF)シート(Rowland Technologies(Wallingford, CT)から入手)を1インチ×4インチのクーポンに切断した。1インチの重なり及び0.002インチの接合線の厚みを用いて接着剤試験材料を2つのクーポンの間に挟むことによって、重ね剪断試験片を構成した。重ね剪断試験片を、2つのポリテトラフルオロエチレンベースの剥離ライナに挿入し、5分間40℃で熱間プレスした。過剰な接着剤をこすり落とし、3日間、接着剤の状態を慣らすか(非反応性)又は硬化させた(反応性)。MTS Alliance RT/5張力計を用いて50mm・分-1のクロスヘッドスピード(cross cross-head speed)で重ね剪断試験片を引っ張り、複数の試験片からのピーク応力を平均して、接着強度の測定値を得た。結果を以下で表2に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0074】
ホットメルト接着剤組成物、及びホットメルト接着剤組成物を硬化することによって調製されるホットメルト接着剤には、建築産業並びに産業組立て用途及び産業メンテナンス用途における使用が見出される。ホットメルト接着剤組成物は、これらに限定されるものではないが、建築及び組立て形式の用途、例えば、基板を合わせて積層することを含む、積層等の用途に有用である。代替的に、ホットメルト接着剤組成物は、そのセルフレベリング性及び填隙性に起因して封入及び封止等の用途に有用である。例えば、ホットメルト接着剤組成物を被覆材に置くと、その低い粘度から、ホットメルト接着剤が流れ、間隙を埋めて、封止及び硬化する。
【符号の説明】
【0075】
100 絶縁被覆材料
101 基板
102 ポリイソシアヌレートの発泡体
103 硬化したホットメルト接着剤
200 筐体
201 ホットメルト接着剤組成物
202 容器
203 蓋
204 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体物品を製造する方法であって、
(i)噴霧又は繊維化により、第1の基材上に、125℃で5000mPa・s〜30000mPa・sの範囲の粘度を有するホットメルト接着剤組成物を塗布することであって、該ホットメルト接着剤組成物が、
(1)2wt%未満のシラノール含量を有し、かつR13SiO1/2で表される単官能性単位及びSiO4/2で表される四官能性単位(式中、R1は置換又は非置換の一価炭化水素ラジカルである)を含む、55部〜62部のシリコーン樹脂と、
(2)式R23SiOの二官能性単位及び式R4aX’3-aSiG−の末端単位(式中、R2はアルコキシ基又は非置換若しくは置換の一価炭化水素ラジカルであり、R3は非置換若しくは置換の一価炭化水素ラジカルであり、R4はアミノアルキル又はR1基であり、X’は加水分解性基であり、Gは、酸素原子、又は該末端単位のケイ素原子を別のケイ素原子と連結させる二価の基であり、aは0又は1である)から構成される、38部〜45部のオルガノポリシロキサンと、
(3)シリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサン100部当たり0.1部〜5部のシラン架橋剤と、
(4)シリコーン樹脂及びオルガノポリシロキサン100部当たり0.02部〜2部のチタネート触媒と、
を含むが、但し、前記ホットメルト接着剤組成物は充填剤を含まず、該ホットメルト接着剤組成物の不揮発分は97.5%〜100%であるものとし、塗布することによりフィルムを形成する、
(ii)第2の基材を前記フィルムに接触させること、及び
(iii)前記ホットメルト接着剤組成物を硬化すること、
を含む、積層体物品を製造する方法。
【請求項2】
前記ホットメルト接着剤組成物を80℃〜165℃の範囲の温度に加熱することによって工程(i)を実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルムの厚みが1マイクロメートル〜200マイクロメートルの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(i)の生成物が、前記基材上のホットメルト接着剤組成物1平方フィート当たり、0.5グラム〜50グラムの範囲の量である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の基材及び前記第2の基材がそれぞれ独立して、発泡体、ガラス、金属、セラミック材料、プラスチック及びセルロース基材から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の基材及び前記第2の基材が同じである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の基材が木材である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の基材が発泡体である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(ii)前に、前記第2の基材に前記ホットメルト接着剤組成物を噴霧することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(ii)前、工程(ii)中又は両方で工程(iii)を実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ホットメルト接着剤組成物を水分に曝すことによって工程(iii)を実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の基材上の前記ホットメルト接着剤組成物を、工程(iii)前に完全に又は部分的に硬化する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項によって製造した、積層体。
【請求項14】
建築産業又は産業メンテナンス及び組立て用途における、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項15】
エレクトロニクス産業用途における、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項16】
テキスタイル産業用途における、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項17】
自動車、電子、建築、宇宙、テキスタイル、食品、給水及び医療から成る群から選択される産業における、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項18】
ソーラー及び輸送から成る群から選択される産業における、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項19】
積層体物品を製造する方法であって、
(i)第1の基材上に、125℃で5000mPa・s〜30000mPa・sの範囲の粘度を有するホットメルト接着剤組成物を塗布することであって、該ホットメルト接着剤組成物が、
(1)2wt%未満のシラノール含量を有し、かつR13SiO1/2で表される単官能性単位及びSiO4/2で表される四官能性単位(式中、R1は置換又は非置換の一価炭化水素ラジカルである)を含む、55部〜62部のシリコーン樹脂と、
(2)式R72SiOの二官能性単位及び式R8SiG−の末端単位(式中、各R7及び各R8は独立して、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、Gは、酸素原子、又は該末端単位のケイ素原子を別のケイ素原子と連結させる二価の基である)から構成される、38部〜45部の非官能性ポリオルガノシロキサンと、
を含むが、但し、前記ホットメルト接着剤組成物の不揮発分は97.5%〜100%であるものとし、塗布することによりフィルムを形成する、
(ii)第2の基材を前記フィルムに接触させること、及び
(iii)前記ホットメルト接着剤組成物を冷却すること、
を含む、積層体物品を製造する方法。
【請求項20】
噴霧、繊維化、ロール塗工又は押出しによって工程(i)を実施する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ホットメルト接着剤組成物を80℃〜165℃の範囲の温度に加熱することによって工程(i)を実施する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記フィルムの厚みが1マイクロメートル〜200マイクロメートルの範囲である、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
工程(i)の生成物が、前記基材上のホットメルト接着剤組成物1平方フィート当たり、0.5グラム〜50グラムの範囲の量である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の基材及び前記第2の基材がそれぞれ独立して、発泡体、ガラス、金属、セラミック材料、プラスチック及びセルロース基材から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の基材及び前記第2の基材が同じである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の基材が木材である、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の基材が発泡体である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
工程(ii)前に、前記第2の基材に前記ホットメルト接着剤組成物を噴霧することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
工程(ii)前、工程(ii)中又は両方で工程(iii)を実施する、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
請求項19〜29のいずれか一項によって製造した、積層体。
【請求項31】
建築産業又は産業メンテナンス及び組立て用途における、請求項19〜29のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項32】
エレクトロニクス産業用途における、請求項19〜29のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項33】
テキスタイル産業用途における、請求項19〜29のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項34】
自動車、電子、建築、宇宙、テキスタイル、食品、給水及び医療から成る群から選択される産業における、請求項19〜29のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項35】
ソーラー及び輸送から成る群から選択される産業における、請求項19〜29のいずれか一項に記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−525444(P2011−525444A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516458(P2011−516458)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/047721
【国際公開番号】WO2010/008749
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】