ホーンアレイアンテナ
【課題】簡単な構造でサイドローブ特性に優れたアレイアンテナを実現することである。
【解決手段】本発明のホーンアレイアンテナは、導波管に接続される第1の角度を有する第1テーパ部と、前記第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、を有するホーンアンテナ素子を複数配列することにより形成される。当該構成を採ることによりグレーティングローブを抑制することができる。
【解決手段】本発明のホーンアレイアンテナは、導波管に接続される第1の角度を有する第1テーパ部と、前記第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、を有するホーンアンテナ素子を複数配列することにより形成される。当該構成を採ることによりグレーティングローブを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホーンアレイアンテナに関し、特にサイドローブ特性に優れたホーンアレイアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ポイント・ツー・ポイントなどの無線システムで用いられるアンテナに要求されるサイドローブ特性は、国際規格に規定されている。代表的な国際規格として、ETSI規格があり、例えば、ETSI EN 302 217-4-2がこれに該当する。規格には、サイドローブレベルに許される最大レベルが規定されており、所定のレベルよりもサイドローブを抑える必要がある。
【0003】
ポイント・ツー・ポイントで用いられるアンテナとしては、パラボラアンテナが一般的である。しかし、パラボラアンテナを用いて規格で定められるサイドローブ特性を満足するためには、パラボラアンテナ自体の厚みが厚くなってしまう。装置との一体化を考慮すると、厚いアンテナは装置全体の大型化に繋がるため、薄型のアンテナが望まれる。
【0004】
薄型のアンテナとしては、例えば、マイクロストリップ線路を用いたアレイアンテナがある。しかしながら、ミリ波帯で用いるアンテナにおいて、マイクロストリップ線路は伝送損失が大きく、十分なアンテナ利得を得られないことが問題である。
【0005】
上記の問題点を解消するアンテナとして、より伝送損失が少ない導波管を用いたアレイアンテナが挙げられる。特許文献1には、電力供給ネットワーク上に導波管を配置し、その先にホーンの一部を段上に変化させたボックスホーンが接続されたアレイアンテナが開示されている。当該アンテナを用いれば伝送損失を抑えつつ、薄型のアンテナを実現することができる。また、特許文献2には、誘電体の両端にテーパを付けてホーンアンテナに嵌め込んだアンテナ素子を2つの平行列に並べることでサイドローブ特性を改善した相対的に小型なアレイアンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平10−508173号公報
【特許文献2】特表2010−539812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一般的にホーンアンテナの開口長は放射電波の1波長より長く、特許文献2のホーンアレイアンテナを用いても、素子間隔が1波長を超えると、グレーティングローブが発生し、サイドローブ特性が劣化する。また、グレーティングローブ抑制技術の一つである特許文献1のホーンアレイアンテナは、磁界面において径が段上に変化する構造を持つことで、磁界面における放射パターンは改善されるものの、電界面における放射パターンについては改善されていない。
【0008】
そこで、周囲への不要な放射を抑えるためにサイドローブ特性をより改善させたアンテナが要求される。
【0009】
本発明は上記点を鑑み、グレーティングローブレベルを低減しつつ、伝送損失の少ない薄型アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアレイアンテナは、導波管に接続される第1の角度を有する第1テーパ部と、前記第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、を有するホーンアンテナ素子を複数配列した構成をとる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、グレーティングローブレベルを低減しつつ、伝送損失の少ない薄型アンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1に係るホーンアンテナ素子の形状を示した図である。
【図2】実施の形態1に係るアレイアンテナの外観図である。
【図3】実施の形態1に係るアレイアンテナの模式図である。
【図4】背景技術に係るホーンアンテナ素子の形状を示した図である。
【図5】本発明に係るホーンアンテナ素子における等位相面を示した概念図である。
【図6】グレーティングローブの発生原理を示した図である。
【図7】実施の形態1に係るアレイアンテナ素子の第2テーパ部の長さと位相差との関係を示したグラフである。
【図8】実施の形態1に係るアレイアンテナ素子の第2テーパ部の長さと位相差との関係を示したグラフである。
【図9】変形例1に係るホーンアンテナ素子の垂直断面図である。
【図10】誘電体レンズの作用を示した図である。
【図11】変形例2に係るアレイアンテナの断面図の一部を示した図である。
【図12】変形例2に係るホーンアンテナ素子の放射面での位相差を示したグラフである。
【図13】変形例2に係るアレイアンテナの放射電波の角度依存性を示したグラフである。
【図14】変形例2の別の形態に係るホーンアンテナ素子の断面図の一部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態1に係るホーンアンテナ素子の形状を示した斜視図であり、図2は、当該ホーンアンテナ素子を縦8列横8列の計64個配列したアレイアンテナの外観図である。
【0014】
本実施の形態1に係るホーンアンテナ素子は、ホーン軸に対して所定のテーパ角度φ1を有する第1テーパ部10と、ホーン軸に対して所定のテーパ角度φ2を有する第2テーパ部11とから構成される。
【0015】
第1テーパ部10の一端は導波管と接続され、他端は第2テーパ部11と接続されている。第1テーパ部10のテーパ角度φ1は、開口の大きさとホーンの軸長に基づいて定まる角度であり、通常0<φ1<90の関係を満たす角度から選ばれる。なお、ホーン軸は通常開口面に対して垂直の角度を有する。
【0016】
第2テーパ部11は、後述するように開口面における放射電波の位相差を揃える位相調整部としての機能を有する。第2テーパ部11は、テーパ角度φ2が0度付近、すなわち開口面に対してほぼ垂直な角度となるように形成される。
【0017】
このように、本実施の形態1に係るホーンアンテナ素子では、テーパの一部を開口面に対して垂直に伸ばした形状(ストレートにした形状)を有することを特徴としている。当該ホーンアンテナ素子をアレイ状に配列し、放射素子であるホーンアンテナ素子に電磁エネルギーを供給する導波管の分配回路を背面に形成することでホーンアレイアンテナとする。
【0018】
図3は、当該ホーンアレイアンテナの模式図である。ホーンアンテナ素子を複数配列したホーンアレイ12と当該ホーンアレイ12の背面に設けられる導波管分配回路13は、鋳物や射出成形樹脂で一体化成型される。導波管分配回路13は、各ホーンアンテナ素子に電波を伝送するための導波管の一部であり、図3のように、背面側から給電点15を有する板金14を設置して導波管分配回路13を閉じることで、中空状の導波管が形成される。鋳物には、例えばアルミ合金が用いられる。樹脂の場合は、誘電体の表面をメタライズすることにより、ホーンアレイアンテナ及び導波管として動作させることができる。アンテナ全体を鋳物や射出成型樹脂で作ることにより、安価かつ精度よく製造できる。また、ホーンアレイアンテナと導波管分配回路を一体化することにより、両者の面あわせによる誤差がなくなるため、本発明が目的としているサイドローブ特性の向上及び利得の向上を図ることができる。
【0019】
以下、本実施の形態1に係るホーンアンテナ素子について背景技術に係るホーンアンテナ素子と対比しながらその構造及び動作を説明する。図4は、背景技術に係る一般的なホーンアンテナ素子の形状を示した図であり、図5は、この一般的なホーンアンテナ素子(a)と本実施の形態1に係るホーンアンテナ素子(b)の垂直断面及び電波の等位相面の分布を模式的に示した図である。
【0020】
一般的なホーンアンテナ素子(a)では、ホーンアンテナ素子の開口面から球面波が放射されるため、開口面においてホーンの中心と端で位相がずれてしまう。すなわち、開口面における位相は、ホーンの中心部分が進み、ホーン端付近では遅れた分布となる。一方、本発明のホーンアンテナ素子は、テーパの一部を開口面に対して略垂直の角度となるように形成することで、球面波を平面波に変換して放射している。そのため、開口面においてホーンの中心と端での位相差が改善される。
【0021】
次に、図6を用いてグレーティングローブの発生の原理を示す。一般的に、アレイ状に配置されたアンテナ素子の素子間隔dが半波長より長い場合は、主ビーム以外にも放射ビームが現れ、次の式(1)を満たす方向θnにグレーティングローブが発生する。
Sinθn = Sinθ0 + nλ/d (1)
θ0:主ビームの方向
θn:グレーティングローブの方向
n:自然数
d:素子間隔
【0022】
また、主ビーム方向が正面(θ0= 0度)の場合は、素子間隔が1波長未満であれば、グレーティングローブは発生しない。例えば、素子間隔を2波長とすると、式(1)において、d=2λ、n=1、θ0=0となり、θn=arcsin(1/2) = 30 [deg]となる。すなわち、正面から30度の方向に第1グレーティングローブが発生し、サイドローブ特性が劣化する。
【0023】
利得の関係上、一般的にホーンの開口は1波長以上の長さに設定され、ホーン1素子での開口面における位相分布がフラットではない場合、アレイ化した際にグレーティングローブが発生する。ホーンの開口面において位相が完全にフラットであれば、素子間隔が1波長を超えても、原理上グレーティングローブが発生することはない。そこで、本発明のホーンアンテナ素子は、テーパの一部を開口面付近で開口面に対して垂直にすることにより、球面波を平面波に変換して放射する。当該構成とすることで、ホーン開口面での位相差を小さくし、グレーティングローブの発生を抑制する。
【0024】
実際は、アンテナの厚みが増すため、開口面に垂直なストレート部分の軸長をあまり長くとることができない。そのため、位相分布を完全にはフラットにすることはできず、若干のグレーティングローブが生じ得る。そこで、アンテナの小型化とグレーティングローブ低減によるサイドローブ特性の改善という2つの点を考慮しながら適切なストレート部分の長さを選択してアンテナを設計することが求められる。
【0025】
図7に、当該ストレート部分の長さと位相差との関係を示す。図7は、有効開口を約2波長、第1テーパ部であるテーパ部分の高さaが約3波長のホーンアンテナ素子について、第2テーパ部である当該ストレート部分の長さbを0波長から5波長まで0.2波長間隔で変化させた場合の位相差を示している。なお、第1テーパ部分の高さ等のパラメータは、適宜変更可能であり、図7に示すグラフはその一例を示している。また、ストレート部分は開口に対して略垂直の角度に設定している。縦軸の位相差は、開口面分布における中心部と端部での位相差を示している。
【0026】
図7から読み取れるように、ストレート部分を設けない(すなわち第2テーパ部を有さない一般的なホーンアンテナ素子)の場合の位相差が42度程度あるのに対し、ストレート部分の長さが長くなるにつれて、全体的な傾向として位相差が軽減されていく様子をみてとることができる。
【0027】
一方、第1テーパ部と第2テーパ部の境界と、開口面と自由空間との境界でインピーダンスの不連続面があるため、ストレート部分の長さにより周期的に位相差が増加する点が発生してしまう。これら位相差が増加する点においては、ホーンアンテナ素子の開口長やホーン軸の長さ等に調整を加えることにより位相差の増加を抑制することができる。しかしながら、ホーンアンテナ素子の開口長やホーン軸の長さ等についての設計自由度を残しておくために、放射する波長に対してストレート部分の長さを適切に選択してアンテナ設計することが求められる。
【0028】
例えば、図7において、3.4波長や4.0〜4.2波長の長さをストレート部分の長さとして採用すると大きな位相差軽減によるグレーティングローブ抑制が可能となる。一方、ストレート部分を長くすることはアンテナの大型化にも繋がるため、これらのバランスを考慮した上でアンテナ設計することがより好ましい。アンテナの実装状況にも依存するが、アンテナ自体の大きさを大きくできない事情がある場合には、ストレート部分の長さとして3波長以下の長さから選択することが好ましい。
【0029】
図8は、図7で示すデータのうち、ストレート部分の長さが0〜3波長の場合におけるより詳細なデータである。図8から読み取れるように、ストレート部分の長さが0波長(すなわちストレート部分を設けない)場合と比較して、0.1〜0.2波長、0.6〜0.9波長、1.1〜3.0波長では、位相差が軽減されており、グレーティングローブを抑制できる。
【0030】
ここで、ストレート部分を設けることで位相差を10度程度軽減できると、規格で定められるレベル以下にグレーティングローブを抑えることが他の技術との組み合わせる上で容易に実現できるようになるため好ましい。従って、ストレート部分の長さを0.7〜0.8波長、1.2波長〜2.5波長、2.7波長〜3.0波長の中から選択することが好ましい。なお、上記範囲外でも、例えば0.1波長〜0.2波長の長さでは、アンテナ自体の厚みをほとんど変更することなく、9度程度の位相差が軽減できるため、アンテナの厚みを殆んど変更できない場合などには、この長さをストレート部分の長さとして採用することも好ましい。
【0031】
また、位相差が20度程度軽減できるとグレーティングローブレベルを約10dBほど低減できる。このことから、グレーティングローブレベルの低減にさらに重点を置く場合には、ストレート部分の長さを、0.7〜0.8波長、1.2〜2.0波長、2.2〜2.4波長から採用することがより好ましい。
【0032】
また、図8からわかるようにストレート部分を設けることにより周期的に位相差が増加する点が発生する一方、逆に特定の波長の長さでは、大幅な位相差の落ち込みが生じ、グレーティングローブレベルを大幅に低減できる長さがある。例えば、1.3〜1.4波長付近や2.2波長〜2.3波長付近では、位相差が約5度まで軽減されており、非常に大きなグレーティングローブレベル低減効果が望める。特に、ストレート部分の長さが1.8波長では、位相差が約1度と、ストレート部分を設けない場合と比べて40度以上位相差が軽減されており、ほぼ平面波となって放射面から電波が放射される。このように、特定の波長で現れる大幅な位相軽減部分をストレート部分の長さとして選択することで、非常に良好なグレーティングローブレベルの低減を実現することができる。
【0033】
以上説明したように、本発明のホーンアレイアンテナは、導波管に接続される第1の角度を有する第1テーパ部と、前記第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、を有するホーンアンテナ素子を複数配列することにより形成される。当該構成とすることで、比較的簡単な構造でサイドローブ特性に優れたアレイアンテナを実現することができる。
【0034】
また、上記のアンテナでは、ホーンアレイと導波管分配回路を一体化して成型することでサイドローブ特性の改善が図られている。導波管分配回路は、ホーンアレイの各ホーンに低損失で電波を供給する導波管群であり、板金で閉じることにより、各分配回路が導波管として機能する。ホーンアレイと導波管分配回路を別々の部品で構成する場合、両者の面あわせを精度良く行う必要がある。ここで、両者の接続面がうねっている場合や、面が粗い場合は、各ホーンアンテナ素子に供給される電波の位相が場所によって異なってしまう。ホーンアンテナに供給される位相にばらつきが生じると、利得とサイドローブ特性の劣化という問題が発生する。一方、ホーンアレイと導波管分配回路を一体化することにより、両者の面あわせによる誤差がなくなり、利得とサイドローブの劣化が少なくなるというメリットがある。一体成型の方法として、鋳物や射出成形樹脂があげられる。鋳物には、例えばアルミ合金が用いられる。アルミ合金を用いると、アンテナが重くなってしまうという場合は、比重の軽い樹脂を用いて表面をメタライズする方法を採ることも可能である。
【0035】
次に、本発明を用いた変形例について説明する。本発明は、アンテナの使用用途や設計自由度、アンテナコスト、重量、サイズなどの様々な観点から変形が可能である。
【0036】
(変形例1)
図9に、本発明の別の形態のホーンアレイアンテナの断面図を示す。図9(a)に示すホーンアンテナ素子は、テーパ部分からストレート部分まで多段で変換する形状を有する。すなわち、開口面に垂直な角度を有するホーン軸Yに対して第1のテーパ角度φ1を有する第1テーパ部10と、ホーン軸Yに対してほぼ平行な角度を有する(開口面に対してほぼ垂直な角度を有する)第2テーパ部11との間に、第1のテーパ角度φ1と平行な角度(0度)の中間の角度φ3、φ4・・φNを有する第3、第4、・・第Nのテーパ部16を有する構成としている。導波管に接続される第1テーパ部10と電波の放射面付近に設けられた第2テーパ部11とを中間角度を有するテーパ部を用いて接続することで、球面波から平面波への変換をスムーズに行うことができる。
【0037】
図9(b)に示すホーンアンテナ素子は、テーパ部分からストレート部分まで滑らかに変換する形状を有する。すなわち、ホーン軸Yに対して第1のテーパ角度φ1を有する第1テーパ部10と、ホーン軸Yに対して平行な角度を有する第2テーパ部11との間に、第1テーパ部10と第2テーパ部11を連続的に接続する接続部17を有する構成としている。このように曲率を有する接続部17を設けることで、球面波から平面波への変換をよりスムーズに行うことができる。
【0038】
図9(c)に示すホーンアンテナ素子は、放射面側のテーパを内向きにする形状を有する。すなわち、ホーン軸Yに対して第1のテーパ角度φ1を有する第1テーパ部10と、第1のテーパ角度φ1と比較して負の角度となる第2のテーパ角度φ2を有する第2テーパ部11とを有する。このように構成することで、開口の端の位相を進ませ、ホーンの軸長が相対的に短い場合でも開口面における位相をそろえることができる。
【0039】
(変形例2)
変形例2に係るホーンアレイアンテナは、ホーンアレイアンテナの開口に誘電体レンズを設置する構造をとっている。まず、図10を用いて誘電体レンズの作用について説明する。
【0040】
誘電体レンズは、放射面における電波の振幅及び位相分布を一様分布に近づける作用を有する。図10において、矢印は、電波の伝播する経路と方向を示している。導波管よりホーンに入力された電波は、ホーンの開口付近に取り付けられた誘電体レンズに向かって進む。このときの波面はほぼ球面になっている。電波は、誘電体レンズへ入射し、所定の屈折率(屈折率は誘電率の平方根)で屈折し、誘電体レンズの内部を通過し、誘電体レンズのホーン部と反対側から屈折して放射される。このときの波面の角度は、ホーンアンテナの軸に対して誘電体レンズ通過前と比べてより平行に近づき、波面は、球面波から平面波へと近づく。以上は、送信アンテナの場合の作用であるが、受信の場合はこれと逆の経路をたどって、誘電体レンズから入射した電波がホーンの根元部分に収束される。
【0041】
次に、変形例2に係るホーンアレイアンテナについて説明する。図11は、変形例2に係るホーンアレイアンテナの一部の断面図である。
【0042】
図11のホーンアレイアンテナは、実施の形態1で説明したホーンアレイアンテナの開口に誘電体レンズ20を別途備える構成をとる。すなわち、第1の角度を有する第1テーパ部と、第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、を有するホーンアンテナ素子を複数配列したホーンアレイアンテナの開口部に誘電体レンズをさらに備える構成をとる。
【0043】
このように構成することで、各々のホーンアンテナ素子の第2テーパ部11において、第1段階目として放射電波の位相分布が一様分布に近づけられ、第2テーパ部の先に設けられている誘電体レンズ20において第2段階目として更に放射電波の振幅及び位相分布が一様分布に近づけられる。このように2段階の位相調整が行われた後に、誘電体レンズ20のホーンに対して反対側の面である放射面から電波が外部へ放射される。従って、本変形例2のホーンアレイアンテナにおいて誘電体レンズ20を通過した電波は、振幅能率と位相能率が改善されており、従って、グレーティングローブの強度をさらに抑制するとともに、ホーンアレイアンテナの利得を向上させることができる。
【0044】
図12は、本変形例2のホーンアンテナ素子の開口面の位相分布計算値の一例である。開口面の位相分布は電界の方向と同じ面の分布である。ホーンアンテナ素子は、テーパの一部がストレートであり、誘電体レンズを備えている。ホーンアンテナ素子の有効開口は約2波長、テーパ部分(第1テーパ部)の高さaは約3波長、ストレート部分(第2テーパ部)の長さbは約0.8波長、誘電体レンズは比誘電率が2.1のテフロン(登録商標)、誘電体レンズの厚みは約0.5波長としている。
【0045】
縦軸は、0度の値で規格化した位相、横軸はホーンの大きさで規格化したホーンの中心からの距離である。横軸の0はホーンの中心を、横軸の1はホーンの端部をそれぞれ示している。実線は、図11に示す本変形例2のホーンアレイアンテナの1素子の開口面における位相分布を、破線は、図4に示す従来技術のホーンアンテナ素子の開口面における位相分布をそれぞれ示している。図12から読み取れるように、テーパの一部をストレートにし、誘電体レンズを装荷することにより、位相のずれが一般的なホーンアンテナ素子と比較して約40度改善している。位相分布が一様に近づいたことにより、位相能率が向上し利得が改善される。図7から読み取れるように誘電体レンズを用いずにストレート部分を0.8波長にした場合の位相差は約19度であり、図11から誘電体レンズを更に備えた場合の位相差が約3度である。従って、誘電体レンズを更に備えたことにより、約16度の位相差が改善されていることになる。
【0046】
図13に、本変形例2のホーンアレイアンテナ用いた放射パターン特性計算値の一例を示す。放射パターンは、前記開口面分布を有するホーンアンテナ16×16素子の放射パターンである。当該放射パターンは、電界の方向と同じ面のパターンである。横軸は角度、縦軸は0度の値で規格化した相対レベルを示している。実線は本発明のホーンアレイアンテナの場合であり、破線は、従来のホーンアンテナ素子を16×16素子配列した場合である。グラフから読み取れるように、第1グレーティングローブは20度〜30度付近で発生しているため、この角度範囲における相対レベル値について図13に合わせて載せておく。
【0047】
図13から読み取れるように、従来技術のホーンアレイアンテナでは主ビームから約26度の角度に第1グレーティングローブが発生しており、主ビームと比較した相対レベルは約−14dBである。一方、本発明のホーンアレイアンテナでは、従来技術の場合と同様の角度に僅かにグレーティングローブが発生しているが、その相対レベルは約−29dBと大幅に低減されている。このように、本変形例2のホーンアレイアンテナを用いた場合は、通常のホーンアレイアンテナと比べてグレーティングローブが約15dB低減されおり、大幅なサイドローブ改善効果が得られていることが確認できる。また、この場合での利得改善効果は1dB弱である。
【0048】
従来技術のホーンアレイアンテナに誘電体レンズを組み合わせることのみで15dBのグレーティングローブ低減を行うには、より高価で厚みのあるレンズを用いるか、より精密なレンズ設計などが必要となってくる。しかしながら、本発明では、開口面に対して所定の長さを有するストレート部分を設けることで、既に位相差が改善されており、この効果でグレーティングローブが10dB程度低減されている。従って、誘電体レンズによるグレーティングローブ低減は5dB程度ですむため、誘電体レンズに課せられる制約が小さくなり、安価で小さなレンズを用いても同等の効果を得ることができる。
【0049】
上記誘電体レンズに用いられる誘電体としては、材料コストや比誘電率、加工の容易度や比重などを勘案して適切に選択されるが、例えばポリカーボネイト、テフロン(登録商標)などが良好な誘電体レンズの候補である。また、誘電体レンズは、レドームを兼ねた構造とすることも可能である。ここで、レンズの構造は、ホーン側の面が凸で反対側が平らなレンズについて説明したがこれに限るものではなく、それ以外の形状でも問題ない。
【0050】
図14に別の形態の誘電体レンズを用いる例を示す。図12(a)のようにホーン側の面が平らで放射面が凸状の誘電体レンズを用いても良い。放射面に凸状の構造を設けることで、位相の制御が可能となる。また、図11(b)のように、両面が凸状の誘電体レンズを用いても良いし、図12(c)のように、ホーン側の面が凹状で、放射面が凸状の誘電体レンズを用いても良い。レンズ両面の形状を調整することで、振幅及び位相分布の制御の自由度を増すことができる。一般的には、図12(c)の場合の方が、振幅分布をより一様に近づけることができるため、振幅能率が高くなる。
【0051】
なお、上記説明のホーンアンテナ素子では、開口は四角形である場合について説明したがこれに限定するものではなく、多角形や円形の開口とすることができる。
【0052】
また、上記説明のホーンアレイアンテナとして、8×8素子によるホーンアレイアンテナを一例として挙げたが、これに限るものではなくN×M素子のホーンアレイアンテナ(N、Mは整数)に拡張することができる。
【0053】
なお、上記説明では、ホーンアレイアンテナと導波管分配回路を鋳物や射出成形樹脂を用いて一体成型する場合について説明したがこれに限定するものではなく、高精度の面合わせを行った上で別途成型する手法を用いて製造することも可能である。
【0054】
また、上記説明では第2テーパ部は、開口面に対して90度の角度(すなわちホーン軸に対して0度の角度)を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち第2テーパ部は第1テーパ部から放射される球面波をより平面波に変換する作用を有するテーパ部であるため、第2テーパ部の角度は、ホーン軸に対して平行な角度から第1テーパ部の角度の間(すなわち0〜φ1)の角度φ2を有していればよい。この角度φ2は、ホーンアンテナ素子の配列数や必要に応じて組み合わせる誘電体レンズ、要求されるサイドローブ特性などを勘案して決定されることになる。なお、要求されるサイドローブ特性を満たすために、他の条件の制約を緩和するためには、第2テーパ部φ2の角度は0度付近に設定されることが望ましい。
【0055】
なお、ここでいう開口面に対して垂直とは厳密に垂直である必要はなく、およそ垂直であればよい。アレイアンテナの使用目的等を勘案すれば、第2テーパ部の角度に数度程度のずれが生じても問題はない場合もあり、製造コストやサイドローブ特性等を勘案しながら製造精度や第2テーパ部の角度が求められることになる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、以下の形態をとることが可能である。
(付記)
【0057】
(1)導波管に接続される第1の角度を有する第1テーパ部と、前記第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、を有するホーンアンテナ素子を複数配列したホーンアレイアンテナ。
(2)前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.1波長〜0.2波長、0.6波長〜0.9波長、1.1〜3.0波長、3.4波長、4.0〜4.2波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、(1)に記載のホーンアレイアンテナ。
(3)前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.7波長〜0.8波長、1.2波長〜2.5波長、2.7波長〜3.0波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、(2)に記載のホーンアレイアンテナ。
(4)前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.7波長〜0.8波、1.2波長〜2.0波長、2.2波長〜2.4波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、(2)に記載のホーンアレイアンテナ。
(5)前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して1.3波長〜1.4波、1.8波長、2.2波長〜2.3波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、(2)に記載のホーンアレイアンテナ。
(6)前記複数のホーンアンテナ素子及び前記複数のホーンアンテナ素子に接続される導波管が一体化成型されていることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のホーンアレイアンテナ。
(7)前記第1テーパ部と前記第2のテーパ部を滑らかに接続する接続部をさらに備えることを特徴とする、(1)に記載のホーンアレイアンテナ。
(8)前記第2テーパ部と放射面との間に誘電体レンズを更に備える、(1)に記載のホーンアレイアンテナ。
【符号の説明】
【0058】
10 第1テーパ部
11 第2テーパ部
12 ホーンアレイ
13 導波管分配回路
14 板金
15 給電点
16 第3テーパ部
17 接続部
20 誘電体レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明はホーンアレイアンテナに関し、特にサイドローブ特性に優れたホーンアレイアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ポイント・ツー・ポイントなどの無線システムで用いられるアンテナに要求されるサイドローブ特性は、国際規格に規定されている。代表的な国際規格として、ETSI規格があり、例えば、ETSI EN 302 217-4-2がこれに該当する。規格には、サイドローブレベルに許される最大レベルが規定されており、所定のレベルよりもサイドローブを抑える必要がある。
【0003】
ポイント・ツー・ポイントで用いられるアンテナとしては、パラボラアンテナが一般的である。しかし、パラボラアンテナを用いて規格で定められるサイドローブ特性を満足するためには、パラボラアンテナ自体の厚みが厚くなってしまう。装置との一体化を考慮すると、厚いアンテナは装置全体の大型化に繋がるため、薄型のアンテナが望まれる。
【0004】
薄型のアンテナとしては、例えば、マイクロストリップ線路を用いたアレイアンテナがある。しかしながら、ミリ波帯で用いるアンテナにおいて、マイクロストリップ線路は伝送損失が大きく、十分なアンテナ利得を得られないことが問題である。
【0005】
上記の問題点を解消するアンテナとして、より伝送損失が少ない導波管を用いたアレイアンテナが挙げられる。特許文献1には、電力供給ネットワーク上に導波管を配置し、その先にホーンの一部を段上に変化させたボックスホーンが接続されたアレイアンテナが開示されている。当該アンテナを用いれば伝送損失を抑えつつ、薄型のアンテナを実現することができる。また、特許文献2には、誘電体の両端にテーパを付けてホーンアンテナに嵌め込んだアンテナ素子を2つの平行列に並べることでサイドローブ特性を改善した相対的に小型なアレイアンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平10−508173号公報
【特許文献2】特表2010−539812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一般的にホーンアンテナの開口長は放射電波の1波長より長く、特許文献2のホーンアレイアンテナを用いても、素子間隔が1波長を超えると、グレーティングローブが発生し、サイドローブ特性が劣化する。また、グレーティングローブ抑制技術の一つである特許文献1のホーンアレイアンテナは、磁界面において径が段上に変化する構造を持つことで、磁界面における放射パターンは改善されるものの、電界面における放射パターンについては改善されていない。
【0008】
そこで、周囲への不要な放射を抑えるためにサイドローブ特性をより改善させたアンテナが要求される。
【0009】
本発明は上記点を鑑み、グレーティングローブレベルを低減しつつ、伝送損失の少ない薄型アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアレイアンテナは、導波管に接続される第1の角度を有する第1テーパ部と、前記第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、を有するホーンアンテナ素子を複数配列した構成をとる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、グレーティングローブレベルを低減しつつ、伝送損失の少ない薄型アンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1に係るホーンアンテナ素子の形状を示した図である。
【図2】実施の形態1に係るアレイアンテナの外観図である。
【図3】実施の形態1に係るアレイアンテナの模式図である。
【図4】背景技術に係るホーンアンテナ素子の形状を示した図である。
【図5】本発明に係るホーンアンテナ素子における等位相面を示した概念図である。
【図6】グレーティングローブの発生原理を示した図である。
【図7】実施の形態1に係るアレイアンテナ素子の第2テーパ部の長さと位相差との関係を示したグラフである。
【図8】実施の形態1に係るアレイアンテナ素子の第2テーパ部の長さと位相差との関係を示したグラフである。
【図9】変形例1に係るホーンアンテナ素子の垂直断面図である。
【図10】誘電体レンズの作用を示した図である。
【図11】変形例2に係るアレイアンテナの断面図の一部を示した図である。
【図12】変形例2に係るホーンアンテナ素子の放射面での位相差を示したグラフである。
【図13】変形例2に係るアレイアンテナの放射電波の角度依存性を示したグラフである。
【図14】変形例2の別の形態に係るホーンアンテナ素子の断面図の一部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態1に係るホーンアンテナ素子の形状を示した斜視図であり、図2は、当該ホーンアンテナ素子を縦8列横8列の計64個配列したアレイアンテナの外観図である。
【0014】
本実施の形態1に係るホーンアンテナ素子は、ホーン軸に対して所定のテーパ角度φ1を有する第1テーパ部10と、ホーン軸に対して所定のテーパ角度φ2を有する第2テーパ部11とから構成される。
【0015】
第1テーパ部10の一端は導波管と接続され、他端は第2テーパ部11と接続されている。第1テーパ部10のテーパ角度φ1は、開口の大きさとホーンの軸長に基づいて定まる角度であり、通常0<φ1<90の関係を満たす角度から選ばれる。なお、ホーン軸は通常開口面に対して垂直の角度を有する。
【0016】
第2テーパ部11は、後述するように開口面における放射電波の位相差を揃える位相調整部としての機能を有する。第2テーパ部11は、テーパ角度φ2が0度付近、すなわち開口面に対してほぼ垂直な角度となるように形成される。
【0017】
このように、本実施の形態1に係るホーンアンテナ素子では、テーパの一部を開口面に対して垂直に伸ばした形状(ストレートにした形状)を有することを特徴としている。当該ホーンアンテナ素子をアレイ状に配列し、放射素子であるホーンアンテナ素子に電磁エネルギーを供給する導波管の分配回路を背面に形成することでホーンアレイアンテナとする。
【0018】
図3は、当該ホーンアレイアンテナの模式図である。ホーンアンテナ素子を複数配列したホーンアレイ12と当該ホーンアレイ12の背面に設けられる導波管分配回路13は、鋳物や射出成形樹脂で一体化成型される。導波管分配回路13は、各ホーンアンテナ素子に電波を伝送するための導波管の一部であり、図3のように、背面側から給電点15を有する板金14を設置して導波管分配回路13を閉じることで、中空状の導波管が形成される。鋳物には、例えばアルミ合金が用いられる。樹脂の場合は、誘電体の表面をメタライズすることにより、ホーンアレイアンテナ及び導波管として動作させることができる。アンテナ全体を鋳物や射出成型樹脂で作ることにより、安価かつ精度よく製造できる。また、ホーンアレイアンテナと導波管分配回路を一体化することにより、両者の面あわせによる誤差がなくなるため、本発明が目的としているサイドローブ特性の向上及び利得の向上を図ることができる。
【0019】
以下、本実施の形態1に係るホーンアンテナ素子について背景技術に係るホーンアンテナ素子と対比しながらその構造及び動作を説明する。図4は、背景技術に係る一般的なホーンアンテナ素子の形状を示した図であり、図5は、この一般的なホーンアンテナ素子(a)と本実施の形態1に係るホーンアンテナ素子(b)の垂直断面及び電波の等位相面の分布を模式的に示した図である。
【0020】
一般的なホーンアンテナ素子(a)では、ホーンアンテナ素子の開口面から球面波が放射されるため、開口面においてホーンの中心と端で位相がずれてしまう。すなわち、開口面における位相は、ホーンの中心部分が進み、ホーン端付近では遅れた分布となる。一方、本発明のホーンアンテナ素子は、テーパの一部を開口面に対して略垂直の角度となるように形成することで、球面波を平面波に変換して放射している。そのため、開口面においてホーンの中心と端での位相差が改善される。
【0021】
次に、図6を用いてグレーティングローブの発生の原理を示す。一般的に、アレイ状に配置されたアンテナ素子の素子間隔dが半波長より長い場合は、主ビーム以外にも放射ビームが現れ、次の式(1)を満たす方向θnにグレーティングローブが発生する。
Sinθn = Sinθ0 + nλ/d (1)
θ0:主ビームの方向
θn:グレーティングローブの方向
n:自然数
d:素子間隔
【0022】
また、主ビーム方向が正面(θ0= 0度)の場合は、素子間隔が1波長未満であれば、グレーティングローブは発生しない。例えば、素子間隔を2波長とすると、式(1)において、d=2λ、n=1、θ0=0となり、θn=arcsin(1/2) = 30 [deg]となる。すなわち、正面から30度の方向に第1グレーティングローブが発生し、サイドローブ特性が劣化する。
【0023】
利得の関係上、一般的にホーンの開口は1波長以上の長さに設定され、ホーン1素子での開口面における位相分布がフラットではない場合、アレイ化した際にグレーティングローブが発生する。ホーンの開口面において位相が完全にフラットであれば、素子間隔が1波長を超えても、原理上グレーティングローブが発生することはない。そこで、本発明のホーンアンテナ素子は、テーパの一部を開口面付近で開口面に対して垂直にすることにより、球面波を平面波に変換して放射する。当該構成とすることで、ホーン開口面での位相差を小さくし、グレーティングローブの発生を抑制する。
【0024】
実際は、アンテナの厚みが増すため、開口面に垂直なストレート部分の軸長をあまり長くとることができない。そのため、位相分布を完全にはフラットにすることはできず、若干のグレーティングローブが生じ得る。そこで、アンテナの小型化とグレーティングローブ低減によるサイドローブ特性の改善という2つの点を考慮しながら適切なストレート部分の長さを選択してアンテナを設計することが求められる。
【0025】
図7に、当該ストレート部分の長さと位相差との関係を示す。図7は、有効開口を約2波長、第1テーパ部であるテーパ部分の高さaが約3波長のホーンアンテナ素子について、第2テーパ部である当該ストレート部分の長さbを0波長から5波長まで0.2波長間隔で変化させた場合の位相差を示している。なお、第1テーパ部分の高さ等のパラメータは、適宜変更可能であり、図7に示すグラフはその一例を示している。また、ストレート部分は開口に対して略垂直の角度に設定している。縦軸の位相差は、開口面分布における中心部と端部での位相差を示している。
【0026】
図7から読み取れるように、ストレート部分を設けない(すなわち第2テーパ部を有さない一般的なホーンアンテナ素子)の場合の位相差が42度程度あるのに対し、ストレート部分の長さが長くなるにつれて、全体的な傾向として位相差が軽減されていく様子をみてとることができる。
【0027】
一方、第1テーパ部と第2テーパ部の境界と、開口面と自由空間との境界でインピーダンスの不連続面があるため、ストレート部分の長さにより周期的に位相差が増加する点が発生してしまう。これら位相差が増加する点においては、ホーンアンテナ素子の開口長やホーン軸の長さ等に調整を加えることにより位相差の増加を抑制することができる。しかしながら、ホーンアンテナ素子の開口長やホーン軸の長さ等についての設計自由度を残しておくために、放射する波長に対してストレート部分の長さを適切に選択してアンテナ設計することが求められる。
【0028】
例えば、図7において、3.4波長や4.0〜4.2波長の長さをストレート部分の長さとして採用すると大きな位相差軽減によるグレーティングローブ抑制が可能となる。一方、ストレート部分を長くすることはアンテナの大型化にも繋がるため、これらのバランスを考慮した上でアンテナ設計することがより好ましい。アンテナの実装状況にも依存するが、アンテナ自体の大きさを大きくできない事情がある場合には、ストレート部分の長さとして3波長以下の長さから選択することが好ましい。
【0029】
図8は、図7で示すデータのうち、ストレート部分の長さが0〜3波長の場合におけるより詳細なデータである。図8から読み取れるように、ストレート部分の長さが0波長(すなわちストレート部分を設けない)場合と比較して、0.1〜0.2波長、0.6〜0.9波長、1.1〜3.0波長では、位相差が軽減されており、グレーティングローブを抑制できる。
【0030】
ここで、ストレート部分を設けることで位相差を10度程度軽減できると、規格で定められるレベル以下にグレーティングローブを抑えることが他の技術との組み合わせる上で容易に実現できるようになるため好ましい。従って、ストレート部分の長さを0.7〜0.8波長、1.2波長〜2.5波長、2.7波長〜3.0波長の中から選択することが好ましい。なお、上記範囲外でも、例えば0.1波長〜0.2波長の長さでは、アンテナ自体の厚みをほとんど変更することなく、9度程度の位相差が軽減できるため、アンテナの厚みを殆んど変更できない場合などには、この長さをストレート部分の長さとして採用することも好ましい。
【0031】
また、位相差が20度程度軽減できるとグレーティングローブレベルを約10dBほど低減できる。このことから、グレーティングローブレベルの低減にさらに重点を置く場合には、ストレート部分の長さを、0.7〜0.8波長、1.2〜2.0波長、2.2〜2.4波長から採用することがより好ましい。
【0032】
また、図8からわかるようにストレート部分を設けることにより周期的に位相差が増加する点が発生する一方、逆に特定の波長の長さでは、大幅な位相差の落ち込みが生じ、グレーティングローブレベルを大幅に低減できる長さがある。例えば、1.3〜1.4波長付近や2.2波長〜2.3波長付近では、位相差が約5度まで軽減されており、非常に大きなグレーティングローブレベル低減効果が望める。特に、ストレート部分の長さが1.8波長では、位相差が約1度と、ストレート部分を設けない場合と比べて40度以上位相差が軽減されており、ほぼ平面波となって放射面から電波が放射される。このように、特定の波長で現れる大幅な位相軽減部分をストレート部分の長さとして選択することで、非常に良好なグレーティングローブレベルの低減を実現することができる。
【0033】
以上説明したように、本発明のホーンアレイアンテナは、導波管に接続される第1の角度を有する第1テーパ部と、前記第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、を有するホーンアンテナ素子を複数配列することにより形成される。当該構成とすることで、比較的簡単な構造でサイドローブ特性に優れたアレイアンテナを実現することができる。
【0034】
また、上記のアンテナでは、ホーンアレイと導波管分配回路を一体化して成型することでサイドローブ特性の改善が図られている。導波管分配回路は、ホーンアレイの各ホーンに低損失で電波を供給する導波管群であり、板金で閉じることにより、各分配回路が導波管として機能する。ホーンアレイと導波管分配回路を別々の部品で構成する場合、両者の面あわせを精度良く行う必要がある。ここで、両者の接続面がうねっている場合や、面が粗い場合は、各ホーンアンテナ素子に供給される電波の位相が場所によって異なってしまう。ホーンアンテナに供給される位相にばらつきが生じると、利得とサイドローブ特性の劣化という問題が発生する。一方、ホーンアレイと導波管分配回路を一体化することにより、両者の面あわせによる誤差がなくなり、利得とサイドローブの劣化が少なくなるというメリットがある。一体成型の方法として、鋳物や射出成形樹脂があげられる。鋳物には、例えばアルミ合金が用いられる。アルミ合金を用いると、アンテナが重くなってしまうという場合は、比重の軽い樹脂を用いて表面をメタライズする方法を採ることも可能である。
【0035】
次に、本発明を用いた変形例について説明する。本発明は、アンテナの使用用途や設計自由度、アンテナコスト、重量、サイズなどの様々な観点から変形が可能である。
【0036】
(変形例1)
図9に、本発明の別の形態のホーンアレイアンテナの断面図を示す。図9(a)に示すホーンアンテナ素子は、テーパ部分からストレート部分まで多段で変換する形状を有する。すなわち、開口面に垂直な角度を有するホーン軸Yに対して第1のテーパ角度φ1を有する第1テーパ部10と、ホーン軸Yに対してほぼ平行な角度を有する(開口面に対してほぼ垂直な角度を有する)第2テーパ部11との間に、第1のテーパ角度φ1と平行な角度(0度)の中間の角度φ3、φ4・・φNを有する第3、第4、・・第Nのテーパ部16を有する構成としている。導波管に接続される第1テーパ部10と電波の放射面付近に設けられた第2テーパ部11とを中間角度を有するテーパ部を用いて接続することで、球面波から平面波への変換をスムーズに行うことができる。
【0037】
図9(b)に示すホーンアンテナ素子は、テーパ部分からストレート部分まで滑らかに変換する形状を有する。すなわち、ホーン軸Yに対して第1のテーパ角度φ1を有する第1テーパ部10と、ホーン軸Yに対して平行な角度を有する第2テーパ部11との間に、第1テーパ部10と第2テーパ部11を連続的に接続する接続部17を有する構成としている。このように曲率を有する接続部17を設けることで、球面波から平面波への変換をよりスムーズに行うことができる。
【0038】
図9(c)に示すホーンアンテナ素子は、放射面側のテーパを内向きにする形状を有する。すなわち、ホーン軸Yに対して第1のテーパ角度φ1を有する第1テーパ部10と、第1のテーパ角度φ1と比較して負の角度となる第2のテーパ角度φ2を有する第2テーパ部11とを有する。このように構成することで、開口の端の位相を進ませ、ホーンの軸長が相対的に短い場合でも開口面における位相をそろえることができる。
【0039】
(変形例2)
変形例2に係るホーンアレイアンテナは、ホーンアレイアンテナの開口に誘電体レンズを設置する構造をとっている。まず、図10を用いて誘電体レンズの作用について説明する。
【0040】
誘電体レンズは、放射面における電波の振幅及び位相分布を一様分布に近づける作用を有する。図10において、矢印は、電波の伝播する経路と方向を示している。導波管よりホーンに入力された電波は、ホーンの開口付近に取り付けられた誘電体レンズに向かって進む。このときの波面はほぼ球面になっている。電波は、誘電体レンズへ入射し、所定の屈折率(屈折率は誘電率の平方根)で屈折し、誘電体レンズの内部を通過し、誘電体レンズのホーン部と反対側から屈折して放射される。このときの波面の角度は、ホーンアンテナの軸に対して誘電体レンズ通過前と比べてより平行に近づき、波面は、球面波から平面波へと近づく。以上は、送信アンテナの場合の作用であるが、受信の場合はこれと逆の経路をたどって、誘電体レンズから入射した電波がホーンの根元部分に収束される。
【0041】
次に、変形例2に係るホーンアレイアンテナについて説明する。図11は、変形例2に係るホーンアレイアンテナの一部の断面図である。
【0042】
図11のホーンアレイアンテナは、実施の形態1で説明したホーンアレイアンテナの開口に誘電体レンズ20を別途備える構成をとる。すなわち、第1の角度を有する第1テーパ部と、第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、を有するホーンアンテナ素子を複数配列したホーンアレイアンテナの開口部に誘電体レンズをさらに備える構成をとる。
【0043】
このように構成することで、各々のホーンアンテナ素子の第2テーパ部11において、第1段階目として放射電波の位相分布が一様分布に近づけられ、第2テーパ部の先に設けられている誘電体レンズ20において第2段階目として更に放射電波の振幅及び位相分布が一様分布に近づけられる。このように2段階の位相調整が行われた後に、誘電体レンズ20のホーンに対して反対側の面である放射面から電波が外部へ放射される。従って、本変形例2のホーンアレイアンテナにおいて誘電体レンズ20を通過した電波は、振幅能率と位相能率が改善されており、従って、グレーティングローブの強度をさらに抑制するとともに、ホーンアレイアンテナの利得を向上させることができる。
【0044】
図12は、本変形例2のホーンアンテナ素子の開口面の位相分布計算値の一例である。開口面の位相分布は電界の方向と同じ面の分布である。ホーンアンテナ素子は、テーパの一部がストレートであり、誘電体レンズを備えている。ホーンアンテナ素子の有効開口は約2波長、テーパ部分(第1テーパ部)の高さaは約3波長、ストレート部分(第2テーパ部)の長さbは約0.8波長、誘電体レンズは比誘電率が2.1のテフロン(登録商標)、誘電体レンズの厚みは約0.5波長としている。
【0045】
縦軸は、0度の値で規格化した位相、横軸はホーンの大きさで規格化したホーンの中心からの距離である。横軸の0はホーンの中心を、横軸の1はホーンの端部をそれぞれ示している。実線は、図11に示す本変形例2のホーンアレイアンテナの1素子の開口面における位相分布を、破線は、図4に示す従来技術のホーンアンテナ素子の開口面における位相分布をそれぞれ示している。図12から読み取れるように、テーパの一部をストレートにし、誘電体レンズを装荷することにより、位相のずれが一般的なホーンアンテナ素子と比較して約40度改善している。位相分布が一様に近づいたことにより、位相能率が向上し利得が改善される。図7から読み取れるように誘電体レンズを用いずにストレート部分を0.8波長にした場合の位相差は約19度であり、図11から誘電体レンズを更に備えた場合の位相差が約3度である。従って、誘電体レンズを更に備えたことにより、約16度の位相差が改善されていることになる。
【0046】
図13に、本変形例2のホーンアレイアンテナ用いた放射パターン特性計算値の一例を示す。放射パターンは、前記開口面分布を有するホーンアンテナ16×16素子の放射パターンである。当該放射パターンは、電界の方向と同じ面のパターンである。横軸は角度、縦軸は0度の値で規格化した相対レベルを示している。実線は本発明のホーンアレイアンテナの場合であり、破線は、従来のホーンアンテナ素子を16×16素子配列した場合である。グラフから読み取れるように、第1グレーティングローブは20度〜30度付近で発生しているため、この角度範囲における相対レベル値について図13に合わせて載せておく。
【0047】
図13から読み取れるように、従来技術のホーンアレイアンテナでは主ビームから約26度の角度に第1グレーティングローブが発生しており、主ビームと比較した相対レベルは約−14dBである。一方、本発明のホーンアレイアンテナでは、従来技術の場合と同様の角度に僅かにグレーティングローブが発生しているが、その相対レベルは約−29dBと大幅に低減されている。このように、本変形例2のホーンアレイアンテナを用いた場合は、通常のホーンアレイアンテナと比べてグレーティングローブが約15dB低減されおり、大幅なサイドローブ改善効果が得られていることが確認できる。また、この場合での利得改善効果は1dB弱である。
【0048】
従来技術のホーンアレイアンテナに誘電体レンズを組み合わせることのみで15dBのグレーティングローブ低減を行うには、より高価で厚みのあるレンズを用いるか、より精密なレンズ設計などが必要となってくる。しかしながら、本発明では、開口面に対して所定の長さを有するストレート部分を設けることで、既に位相差が改善されており、この効果でグレーティングローブが10dB程度低減されている。従って、誘電体レンズによるグレーティングローブ低減は5dB程度ですむため、誘電体レンズに課せられる制約が小さくなり、安価で小さなレンズを用いても同等の効果を得ることができる。
【0049】
上記誘電体レンズに用いられる誘電体としては、材料コストや比誘電率、加工の容易度や比重などを勘案して適切に選択されるが、例えばポリカーボネイト、テフロン(登録商標)などが良好な誘電体レンズの候補である。また、誘電体レンズは、レドームを兼ねた構造とすることも可能である。ここで、レンズの構造は、ホーン側の面が凸で反対側が平らなレンズについて説明したがこれに限るものではなく、それ以外の形状でも問題ない。
【0050】
図14に別の形態の誘電体レンズを用いる例を示す。図12(a)のようにホーン側の面が平らで放射面が凸状の誘電体レンズを用いても良い。放射面に凸状の構造を設けることで、位相の制御が可能となる。また、図11(b)のように、両面が凸状の誘電体レンズを用いても良いし、図12(c)のように、ホーン側の面が凹状で、放射面が凸状の誘電体レンズを用いても良い。レンズ両面の形状を調整することで、振幅及び位相分布の制御の自由度を増すことができる。一般的には、図12(c)の場合の方が、振幅分布をより一様に近づけることができるため、振幅能率が高くなる。
【0051】
なお、上記説明のホーンアンテナ素子では、開口は四角形である場合について説明したがこれに限定するものではなく、多角形や円形の開口とすることができる。
【0052】
また、上記説明のホーンアレイアンテナとして、8×8素子によるホーンアレイアンテナを一例として挙げたが、これに限るものではなくN×M素子のホーンアレイアンテナ(N、Mは整数)に拡張することができる。
【0053】
なお、上記説明では、ホーンアレイアンテナと導波管分配回路を鋳物や射出成形樹脂を用いて一体成型する場合について説明したがこれに限定するものではなく、高精度の面合わせを行った上で別途成型する手法を用いて製造することも可能である。
【0054】
また、上記説明では第2テーパ部は、開口面に対して90度の角度(すなわちホーン軸に対して0度の角度)を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち第2テーパ部は第1テーパ部から放射される球面波をより平面波に変換する作用を有するテーパ部であるため、第2テーパ部の角度は、ホーン軸に対して平行な角度から第1テーパ部の角度の間(すなわち0〜φ1)の角度φ2を有していればよい。この角度φ2は、ホーンアンテナ素子の配列数や必要に応じて組み合わせる誘電体レンズ、要求されるサイドローブ特性などを勘案して決定されることになる。なお、要求されるサイドローブ特性を満たすために、他の条件の制約を緩和するためには、第2テーパ部φ2の角度は0度付近に設定されることが望ましい。
【0055】
なお、ここでいう開口面に対して垂直とは厳密に垂直である必要はなく、およそ垂直であればよい。アレイアンテナの使用目的等を勘案すれば、第2テーパ部の角度に数度程度のずれが生じても問題はない場合もあり、製造コストやサイドローブ特性等を勘案しながら製造精度や第2テーパ部の角度が求められることになる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、以下の形態をとることが可能である。
(付記)
【0057】
(1)導波管に接続される第1の角度を有する第1テーパ部と、前記第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、を有するホーンアンテナ素子を複数配列したホーンアレイアンテナ。
(2)前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.1波長〜0.2波長、0.6波長〜0.9波長、1.1〜3.0波長、3.4波長、4.0〜4.2波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、(1)に記載のホーンアレイアンテナ。
(3)前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.7波長〜0.8波長、1.2波長〜2.5波長、2.7波長〜3.0波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、(2)に記載のホーンアレイアンテナ。
(4)前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.7波長〜0.8波、1.2波長〜2.0波長、2.2波長〜2.4波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、(2)に記載のホーンアレイアンテナ。
(5)前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して1.3波長〜1.4波、1.8波長、2.2波長〜2.3波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、(2)に記載のホーンアレイアンテナ。
(6)前記複数のホーンアンテナ素子及び前記複数のホーンアンテナ素子に接続される導波管が一体化成型されていることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のホーンアレイアンテナ。
(7)前記第1テーパ部と前記第2のテーパ部を滑らかに接続する接続部をさらに備えることを特徴とする、(1)に記載のホーンアレイアンテナ。
(8)前記第2テーパ部と放射面との間に誘電体レンズを更に備える、(1)に記載のホーンアレイアンテナ。
【符号の説明】
【0058】
10 第1テーパ部
11 第2テーパ部
12 ホーンアレイ
13 導波管分配回路
14 板金
15 給電点
16 第3テーパ部
17 接続部
20 誘電体レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波管に接続される第1の角度を有する第1テーパ部と、
前記第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、
を有するホーンアンテナ素子を複数配列したホーンアレイアンテナ。
【請求項2】
前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.1波長〜5.0波長の長さを有することを特徴とする、
請求項1に記載のホーンアレイアンテナ。
【請求項3】
前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.1波長〜0.2波長、0.6波長〜0.9波長、1.1〜3.0波長、3.4波長、4.0〜4.2波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、
請求項1に記載のホーンアレイアンテナ。
【請求項4】
前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.7波長〜0.8波、1.2波長〜2.0波長、2.2波長〜2.4波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、
請求項1に記載のホーンアレイアンテナ。
【請求項5】
前記複数のホーンアンテナ素子及び前記複数のホーンアンテナ素子に接続される導波管が一体化成型されていることを特徴とする、
請求項1に記載のホーンアレイアンテナ。
【請求項6】
前記第2テーパ部と放射面との間に誘電体レンズを更に備える、
請求項1に記載のホーンアレイアンテナ。
【請求項1】
導波管に接続される第1の角度を有する第1テーパ部と、
前記第1テーパ部と放射面との間に設けられ、放射又は受信する電波の波長に対して所定の関係を満たす長さを有し、かつ、開口面に対して略垂直の角度を有する第2テーパ部と、
を有するホーンアンテナ素子を複数配列したホーンアレイアンテナ。
【請求項2】
前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.1波長〜5.0波長の長さを有することを特徴とする、
請求項1に記載のホーンアレイアンテナ。
【請求項3】
前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.1波長〜0.2波長、0.6波長〜0.9波長、1.1〜3.0波長、3.4波長、4.0〜4.2波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、
請求項1に記載のホーンアレイアンテナ。
【請求項4】
前記第2テーパ部は、放射又は受信する電波の波長に対して0.7波長〜0.8波、1.2波長〜2.0波長、2.2波長〜2.4波長のいずれかの長さを有することを特徴とする、
請求項1に記載のホーンアレイアンテナ。
【請求項5】
前記複数のホーンアンテナ素子及び前記複数のホーンアンテナ素子に接続される導波管が一体化成型されていることを特徴とする、
請求項1に記載のホーンアレイアンテナ。
【請求項6】
前記第2テーパ部と放射面との間に誘電体レンズを更に備える、
請求項1に記載のホーンアレイアンテナ。
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2012−175680(P2012−175680A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38915(P2011−38915)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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