説明

ボスウェル酸及び選択的に濃縮したボスウェル酸の新規な塩、ならびにそのための方法

本発明は、ボスウェル酸、又は新規改良方法を介して得られる選択的に濃縮した3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェル酸(AKBA)又は11−ケト−β−ボスウェル酸(KBA)の化合物と、有機アミン、より特定すればグルコサミンとの間の反応により得られる新規な塩又はイオン対錯体に関する。これらの塩又はイオン対錯体は、関節の消炎及び鎮痛治療、ならびに癌予防又は癌治療薬の栄養補助食品及び食品補助において有用である。これらの塩又はイオン対錯体は、炎症性疾患又は癌を治療するための、身体外部又は臓器対象の化粧用又は医薬用の組成物においても使用し得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、置換/非置換ボスウェル酸と、特にグルコサミンであるが、それだけに限らない、特定の有機塩基との新規な塩又はイオン対錯体に関する。本発明はまた、ボスウェル酸の混合物を含む抽出物から、以下それぞれ(AKBA)及び(KBA)と称する、3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェル酸及び11−ケト−β−ボスウェル酸を、選択的に濃縮する改良方法も含む。
【0002】
背景技術
炎症は、刺激、外傷、又は感染により引き起こされ、発赤及び発熱、腫脹、機能喪失、及び痛みを特色とする、肝要な保護的生体過程である。前記誘発条件に加え、炎症は年齢関連性因子により起こる場合もある。一般人口の平均寿命は、感染症の効率的な抑制、及び栄養食品入手の向上により、過去数十年間で劇的に伸びている。寿命におけるこの明確な伸びのために、変化する環境条件と相まって、関節炎、糖尿病、癌、循環器疾患など、年齢関連性の慢性疾患発生率が上昇した。慢性的な炎症状態及び癌は、世界中の多くの国で、全文化の人々にとって、新たな健康問題となってきた。関節炎は、現代で最も衰弱性の強い疾患の1種である。これら2疾患の患者及びその家族の生活の質が、深刻な影響を受けている。非ステロイド性抗炎症薬は、最も一般的に使用されるリウマチ性疾患の治療薬である。現在、数十年に及ぶ、多様な文化による使用を経て、その確立した安全性及び有効性により、天然の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)への需要が著しく急増してきた。
【0003】
炎症及び発癌の過程は、アラキドン酸の増加した代謝活性により引き起こされることが知られている。この過程中、アラキドン酸は、2つの主な経路、シクロオキシゲナーゼ(COX)及びリポキシゲナーゼ(LOX)の経路へ分岐する。COX経路は、プロスタグランジン及びトロンボキサンの生成を引き起こし、LOX経路は、ロイコトリエン(LTS)及びヒドロキシルエイコサテテトラエン酸(HETE)となる。これらの種類の炎症分子は、深刻な生物学的影響を及ぼし、ヒトの癌の発現及び進行を促進する。
【0004】
ロイコトリエン及び5(S)−HETEは、炎症、アレルギー、及び閉塞過程の重要な媒介物質である。ロイコトリエンは、微小血管の透過性を増大する、強力な走化性物質である。5−リポキシゲナーゼの抑制により、TNF−α(炎症において中心的な役割を果たすサイトカイン)の発現が間接的に減少される。したがって、5−リポキシゲナーゼは、喘息、関節炎、潰瘍性大腸炎などの腸疾患、及びショック、虚血などの循環障害を含む、種々の炎症及び過敏症性ヒト疾患に対処する潜在能力がある抑制剤を同定するための標的酵素である。
【0005】
同様に、プロスタグランジンは、慢性的な炎症部位で高濃度に生成される細胞間のメッセンジャーで、血管拡張を起こし、血管透過性を増大させ、痛み受容体を感作できる。炎症促進プロスタグランジン(PGE2)は、誘導性アイソフォーム、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)により生成される。胃腸及び腎臓系機能において重要なプロスタグランジンは、恒常的に発現するアイソフォーム、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)により生成される。COX−1は、保護的ハウスキーピングアイソフォームであり、胃の分泌物に存在する酸及びペプシン間に障壁を形成する粘膜の粘膜細胞生成を調節する。したがって、非選択的COX抑制剤は、深刻な副作用を引き起こす。そのため、世界中の科学者が、5−リポキシゲナーゼ及びシクロオキシゲナーゼ−2の酵素を阻害する非ステロイド系消炎剤を同定することに、多大な努力を注いでいる。COX−2及び5−LOXは共に、いかなる種類の炎症状態においても一般的に発現するので、COX−2及び5−LOXの両酵素を阻害することができる、いわゆる二重作用性消炎剤を得ることに、現在努力が集中している。残念なことに、炎症性疾患の症状を実際に軽減できる新規な二重作用性天然NSAIDを発見する可能性は、非常に薄い。したがって、本研究者らは、COX−2阻害作用を有する薬物と5−LOX阻害作用を有する薬物との組合せを使用するということが、次善の選択肢であると想到した。
【0006】
関節リウマチは、関節の潤滑機構及び緩衝作用に影響する、慢性の炎症状態である。この自己免疫疾患の結果、骨表面が破壊されて、硬直、腫脹、疲労、きりきりする痛み(crippling pain)に至る。骨関節炎は、関節炎の一般的な形であり、主に軟骨グリコアミノグリカン(glycoaminoglycon)の進行性変性の結果である。その損傷は、軟骨を含む関節構造を回復及び修復する能力が減少することにより、しばしば悪化する。軟骨の平滑な表面は、硬く、粗くなり、摩擦を起こす。この結果、関節は変形し、痛み、硬直する。諸研究により、4千万人を超えるアメリカ人が骨関節炎を有し、うち80%の人々が50歳を超えていることが指摘されている。そのため、骨関節炎治療の主な焦点には、軟骨細胞の再生及び正常な関節機能に必要な生体物質の生成を刺激するだけでなく、痛み、炎症を減少する薬剤が含まれるべきである。
【0007】
したがって、本発明の目的は、栄養補助食品として、有害な副作用を伴わずに抗関節炎特性を示す、塩又はイオン対錯体を提供することである。
【0008】
[ボスウェル酸]
インドの乳香として知られているボスウェリア種のゴム樹脂は、インドの伝統アユルベーダ医療で抗炎症剤として使用されてきた。古代アユルベーダ教本には、その治療用法が記されている。インドのCSIR研究所で行われた臨床治験により、有害な副作用がなく、患者の88%に可から優の結果が示された(Singh,G.B.、Status report、anti−inflammatory drugs from plant sources、1982)。膝骨関節炎を有する患者の、無作為で二重盲検の偽薬比較臨床試験により、統計的に有意な痛みの改善、腫脹の減少、膝屈曲の増加などが示された(Kimmatkar、Phytomedicine、2003、10、3〜7)。ボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)抽出物により見られる治療効果は、潰瘍性大腸炎を有する患者におけるスルファサラジン及びメサラジンにより示される治療効果に匹敵した(Gupta、I.ら、Eur.J.Med.Res.、1998、3、511〜14、及びGerhardt,H.ら、Gastroenterol.、2001、39、11〜17)。消炎作用源は、ボスウェル酸(Safayhi、H.ら、Planta Medica、1997、63、487〜493、及びJ.Pharmacol.Exp.Ther.、1992、261、1143〜46、共に米国から出版された雑誌)、ボスウェリア樹脂から単離された一群のトリテルペン酸(Pardhy,R.S.ら、Indian J.Chem.、1978、16B、176〜178)にあるとされた。これらの化合物は、5−リポキシゲナーゼ(5−LOX)を抑制することにより、抗炎症活性を発揮する。ボスウェル酸は、その抗増殖作用でも、近年注目を集めた。ボスウェル酸は、in vitroでいくつかの白血病細胞系を阻害し、メラノーマ成長を抑制し、アポトーシスを誘発した(Hostanska,K.ら、Anticancer Res.、2002、22(5)、2853〜62)。アセチルボスウェル酸は、ヒトのトポイソメラーゼI及びIIαの二重阻害剤という独特な部類であることがわかった(Syrovets、T.ら、Mol.Pharmacol.、2000、58(1)、71〜81)。ボスウェル酸の免疫調節活性は、米国から出版された、Phytotheraphy Research、1996、10、107〜112で、Sharmaらにより報告された。ボスウェル酸の構造条件に対する詳細な研究により、全6種の酸のうち、以下AKBAと称する3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェル酸が、5−LOXに対し最も顕著な阻害活性を示すことが指摘された(Sailer,E.R.ら、British J.Pharmacology、1996、117、615〜618)。AKBAは独特な機序により作用し、カルシウム依存的及び可逆的に5−LOXに結合し、非酸化還元型で非競合的な阻害剤として作用する(Sailer,E.R.ら、Eur.J.Biochem.、1998、256、364〜368)。AKBA、あるいはそれを含む植物の抽出物又は組成物は、すじを柔軟にし、及び/又は皮膚を弛緩する薬剤として、局所適用に有効であると報告された(Alain,M.ら、米国特許出願第20040166178号、2004年8月26日付)。したがってAKBAは、慢性的炎症性疾患の治療の可能性に対して、徹底的な調査の対象となった。
【0009】
[グルコサミン]
グルコサミンは、関節構造で多量に見出される天然物質である。関節構造におけるグルコサミンの主な機能は、関節組織の修復及び保持に必要な軟骨成分を生成することである。グルコサミンは、関節をまとめ合わせ、軟骨基質の増加を促進する、線維性物質のタンパク質であるコラーゲンなどの、関節構造成分の形成を刺激する。コラーゲンは、関節軟骨と呼ばれる緩衝クッションの主な成分である。それは滑液の生成に必要な栄養素でもある。人によっては、グルコサミンを生成する能力が年齢とともに失われる恐れがあり、その結果、骨関節炎患者においては、損耗中に破壊された軟骨の成長が阻害される(Towhead,T.E.、Arthritis and Rheumatism、2003、49、601〜604)。グルコサミン硫酸塩の形で栄養補助食品として経口で摂取すると、グルコサミンは、関節破壊に対し保護効果を発揮することが明らかになっており、更に関節組織による選択的使用によって、健全な関節機能を促進し、骨関節炎における潜在的な治療効果を示す(Perry,G.H.ら、Ann.Rheum.Dis.、1972、31、440〜448)。
【0010】
グルコサミン硫酸塩を用いるいくつかの二重盲検によれば、骨関節炎の症状緩和において、非ステロイド系消炎剤と匹敵するか、又はそれ以上でさえある治療効果が示された(Vaz,A.L.、Curr.Med.Res.Opin.、1982、8、145〜149;D’Ambrosia,E.D.ら、Pharmatherapeutica、1982、2、504〜508、及びTapadinhas,M.J.ら、Pharmatherapeutica、1982、3、157〜168)。NSAIDは症状を軽減するに過ぎないが、一方グルコサミンは、骨関節炎疾患の根本的原因に対処する。グルコサミンは、骨関節炎により引き起こされた損傷を修復するグルコサミノグリカンなど多くの構成成分に、基礎単位を提供することにより、身体がそれ自体の疾患に立ち向かう自然能力を支える。本研究では、グルコサミン塩酸塩を使用する。
【0011】
発明の開示
ボスウェリア・セラータのゴム樹脂の有機溶剤抽出物は、全6種のボスウェル酸及び2種のチルカル酸(tirucallic acids)を含む。これらの酸を図1に示し、B1、B2、B3、B4、B5、B6、T1、T2、及びT3で表す。諸研究により、AKBAは、全てのボスウェル酸の中でも最も強力な抗炎症剤と指摘されてきた。図1でB2として表されるAKBAの濃度は、抽出物中1〜10%の範囲にしかならないが、ほとんどの場合2〜3%の範囲である。ボスウェル酸一般、特にAKBAの潜在的有用性は、可能性のある全ての面から、これらの化合物の更なる開発を始める大きな刺激となり得る。
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
本発明は、新しく改良された方法を利用して、天然ボスウェリアの抽出物から、活性化合物のKBA及びAKBAを、30%〜100%といった治療に有用な範囲にまで選択的に濃縮後、該濃縮化合物を、抗関節炎の栄養補助食品として使用するために、向上した溶解性及び改善した治療有効性を有する、塩又はイオン対錯体に転換することを目的とする。塩又はイオン対の組合せは、ボスウェル酸の酸機能、及びアミノ有機化合物、特にグルコサミンからのアミン機能を利用することにより実現できる。
【0015】
天然ボスウェリア抽出物からのAKBAの濃縮は、国際特許出願(2003年9月12日付、PCT国際公開第03/074063号パンフレット)、及び米国特許(2003年10月23日付公開、出願番号第20030199581号、及び2004年4月15日付公開、出願第20040073060号)にも、すでに記載されていた。これらの特許に記載の方法では、多段階的処置が用いられ、手間のかかる後処理及びクロマトグラフィー精製が必要とされる。本発明は、アセチル化及びアリル酸化の各ステップが単一ポットで行われる改良方法である。この方法では、特許及び学術論文で報告されている各方法により必要とされているような、アセチル化後の労力集約的な後処理、及び酸化ステップへ移行する前の時間のかかる生成物乾燥に必要性が取り除かれる。またこの方法では、アセチル化ステップからの未反応のピリジン及び無水酢酸を効率的に利用して、CrO/ピリジン及びCrO/無水酢酸などの高活性酸化系を形成する。本発明は、過アセチル化及び酸化ステップの全反応時間を効率的に削減する。新規な方法では、クロマトグラフィーを全く必要とせず、酸/塩基の処理により、KBA/AKBA濃縮(30〜40%)生成物中にクロム不純物が存在する可能性が除去される。
【0016】
30〜40%11−ケト−β−ボスウェル酸(KBA)に濃縮した分画は、粗製混合物を塩基で処理し、次いで母液のろ過及び酸性化後、ろ過及び乾燥により白色固体の分離をすることによって実現できる。次いでそれを再アセチル化し、30〜40%AKBA濃縮分画を得る。KBA及びAKBAの濃縮率を高くした(40〜100%)分画は、加水分解混合物及び再アセチル化混合物に、それぞれクロマトグラフィー法を適用することにより得られる。
【0017】
AKBAを5〜100%の範囲で含む、ボスウェル酸のイオン性塩又はイオン対錯体は、適切に高めたボスウェル化合物及び適切なアミン化合物を使用し、実施例に挙げる代表的な手順を採用することにより得られる。
【0018】
本発明は、下記一般式を有する、ボスウェル酸及びケトボスウェル酸及びアセチルケトボスウェル酸のグルコサミンとの新規な塩又はイオン対錯体に関する。
【0019】
【化3】


式中、R及びRは、Hであるか、又は一緒になってケト基を形成し、
は、H又はアシル基であり、
Xは、NHR(式中、R、R及びRは、H、あるいは置換若しくは非置換の低級若しくは高級アルキル基、又はアリール基、又は環状アルキル基)で表される複素環塩基又は有機塩基である。
【0020】
上式において、有機塩基は、グルコサミン(2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコース)、ニコチンアミド(3−ピリジンカルボキサミド)、ピリドキシン(5−ヒドロキシ−6−メチル−3,4−ピリジンジメタノール)、カフェイン(3,7−ジヒドロ−1,3,7−トリメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)、クレアチン(N−(アミノイミノメチル)−N−メチルグリシン)、アラントイン(2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)尿素)、テオブロミン(3,7−ジヒドロ−3,7−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)、テオフィリン(3,7−ジヒドロ−1,3−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)、メサラミン(5−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸)、エンフェナム酸(2−[(2−フェニルエチル)アミノ]安息香酸)、エトフェナメート(2−[[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−アミノ]安息香酸2−(2−ヒドロキシエトキシエチルエステル)、フルフェナム酸(2−[[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]安息香酸)、メクロフェナム酸(2−[(2,6−ジクロロ−3−メチルフェニル)−アミノ]安息香酸)、メフェナム酸(2−[(2,3−ジメチルフェニル)−アミノ]安息香酸)、ニフルム酸(2−[[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−アミノ]−3−ピリジンカルボン酸)、タルニフルメート(2−[[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]−3−ピリジンカルボン酸1,3−ジヒドロ−3−オキソ−1−イソベンゾフラニルエステル)、テロフェナメート(2−[(2,6−ジクロロ−3−メチルフェニル)−アミノ]安息香酸エトキシメチルエステル)、トルフェナム酸(2−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)−アミノ]安息香酸)、S−アデノシルメチオニン((3S)−5’−[(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)メチルスルホニオ]−5’−デオキシアデノシン分子内塩)、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(1−[2−(3−メチルブトキシ)−2−フェニルエチル]ピロリジン)、ベンジダミン(N,N−ジメチル−3−[[1−(フェニルメチル)−1H−インダゾール−3−イル]オキシ]−1−プロパンアミン)、ジフェンピラミド(N−2−ピリジニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アセトアミド)、ジタゾール(2,2’−[(4,5−ジフェニル−2−オキサゾリル)イミノ]−ビスエタノール)、エモルファゾン(4−エトキシ−2−メチル−5−(4−モルホリニル)−3(2H)−ピリダジノン)、フェプラジノール((±)−α−[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−アミノ]メチル]ベンゼンメタノール)、パラニリン(4−(9H−フルオレン−9−イリデンメチル)ベンゼンカルボキシミドアミド)、ペリソキサール(α−(5−フェニル−3−イソオキサゾリル)−1−ピペリジンエタノール)である。
【0021】
本発明者らは、ボスウェル酸のヘテロ原子塩基(「有機塩基」とも称する)との塩又はイオン対錯体を、炎症を減少し、他の健康上の利点を提供する食餌又は医薬の組成物中に含めるために合成する、簡易な方法を開示した。これらの塩又はイオン対錯体は、反応式1に示すように、有機酸(RCOOH)と有機塩基(NR)との簡易な酸塩基反応により合成される。
【0022】
【化4】

【0023】
本発明による新規の組成物は、以下の方法により調製できる。
(a)ボスウェル酸又はケトボスウェル酸又はアセチルケトボスウェル酸を有機塩基と反応させる。
(b)有機遊離塩基をその場(in situ)生成し、ボスウェル酸又はケトボスウェル酸又はアセチルケトボスウェル酸と反応させる。
【0024】
第1の方法では、化学量論的等量の反応剤を混合し、所望の塩又はイオン対錯体を得る。該反応は、有機遊離塩基、特にグルコサミン遊離塩基を、ボスウェル酸の水性メタノール溶液へゆっくり添加することにより開始するのが好ましい。ボスウェル酸(HPLCにより48%)は、ボスウェリア・セラータのゴム樹脂から抽出する公知の方法により得ることができる。グルコサミン遊離塩基は、陰イオン交換樹脂処理により、グルコサミン塩酸塩から遊離することができる。濃縮11−ケトボスウェル酸又は3−O−アセチル−11−ケトボスウェル酸(30%〜100%)は、本明細書に記載の改良方法を使用して、ボスウェリア・セラータのゴム樹脂から得た。
【0025】
この方法により調製された塩又は対錯体は、ボスウェル酸を10〜70%、グルコサミンを5〜40%の間で含んでよい。
【0026】
本発明の化合物を調製する第2の方法によれば、化学量論的量のボスウェル酸、水酸化カリウム、及び有機塩基塩、特にグルコサミン塩酸塩を、水性メタノール媒体中で反応させる。
【0027】
本発明の更なる態様は、上記化合物を、医薬として許容可能な担体(例えば、水性又は非水性の担体)中に含む組成物である。
【0028】
本発明のまた更なる態様は、それを必要とするヒト又は動物の対象に、治療有効量(例えば、治療、進行遅延などに有効な量)の上記化合物を投与することを含む、炎症性疾患を治療する方法である。
【0029】
天然ボスウェリア抽出物中のAKBAを濃縮し、塩又はイオン対錯体を作製する改良方法に関する好ましい実施形態を実施例1〜6に提示する。
【0030】
以下の実施例で本発明の詳細な実施形態を記述するが、当分野の技術者には公知である明らかな等価物及び改変は、添付の特許請求の範囲から除外されることはない。
【0031】
(実施例1)
11−ケト−β−ボスウェル酸、及び3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェル酸の単離:
1a)AKBA濃縮分画へのボスウェリア抽出物単一ポット転換
ボスウェリア・セラータ抽出物(85%、10kg)のピリジン溶液(5.4L)に、水冷式還流冷却器を装備した100L全ガラス反応器内で、無水酢酸(4.2L)を室温で添加し、混合物を攪拌下、60〜65℃で加熱した。3時間後、混合物を周囲温度まで冷却し、酢酸(24L)及び無水酢酸(24L)で希釈した。内容物を冷却し、温度を40℃未満に維持しながら、三酸化クロム(6.4kg)でゆっくり処理した。添加後、攪拌を更に2時間続け、次いで混合物を氷水中に注ぎ、内容物を完全に混合した。固形物をろ過し、水で洗浄、真空オーブン中で乾燥し、残渣(14kg)を得た。粗製生成物のHPLC分析により、ボスウェル酸B1、B4、及びB6が、B2(AKBA)へ完全に転換したことが示された。
【0032】
1b)30〜40%3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェル酸の単離
上記粗反応混合物(5kg)を、4N塩酸(45L)へ添加し、60℃で4時間加熱した。混合物を周囲温度まで冷却し、ろ過した。沈殿物を4N HCl、次いで水で洗浄し、真空オーブン中で乾燥し、30〜40%(2.8kg)に濃縮したAKBAを得た。
【0033】
1c)3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェル酸の単離
上記濃縮化合物(500g)を、5%〜30%酢酸エチル/ヘキサンの混合物を使用し、シリカカラムクロマトグラフィーにかけた。各分画をTLCによりモニターし、AKBA(30%〜60%)を含む分画を組み合わせ、ヘキサンと酢酸エチルとの混合物中で結晶化し、85%AKBAまで濃縮した分画を得た。同じ溶媒系中で結晶化を繰り返し、100%まで濃縮したAKBAを回収した。
【0034】
1d)11−ケト−β−ボスウェル酸の単離
別法として、粗混合物をメタノールに溶解し、塩基処理(8N KOH)した。沈殿物をろ過により分離して捨てた。母液を酸性化し、オフホワイトの析出物をろ過して、水で洗浄し、真空下で乾燥して30〜40%ケトボスウェル酸(KBA)を得た。得られた11−ケト−β−ボスウェル酸混合物(200g)をシリカゲル250gに吸収し、シリカ500g上でカラムクロマトグラフィーにかけた。該カラムを、ヘキサン、10%酢酸エチル/ヘキサン、20%酢酸エチル/ヘキサン、及び30%酢酸エチル/ヘキサンの混合物で溶出した。各分画をTLCによりモニターし、11−ケト−β−ボスウェル酸を含む分画を合わせ、蒸発させた。残渣にエチル/ヘキサン混合物からの結晶化を繰り返して行い、純粋な11−ケト−β−ボスウェル酸(45g、純度95〜100%)を得た。
【0035】
1e)実施例1aで述べた方法の更なる変形形態では、無水酢酸の添加を省いた。代わりに、過アセチル化混合物を酢酸20Lで希釈し、酢酸100L中CrO(6.4kg)で処理した。24時間後、反応混合物を過剰の水で急冷し、実施例1aに記述したように処理した。
【0036】
(実施例2)
ボスウェル酸のグルコサミン塩:
ボスウェル酸(2g、48%ボスウェル酸)の95%水性メタノール溶液(50mL)に、グルコサミン遊離塩基溶液(8.6mL、0.4g)を添加し、室温で1時間攪拌した。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、乾燥してボスウェル酸のグルコサミン塩又はイオン対錯体を、pH6.3、90%水性メタノールに可溶な灰色の粉末(2.3g)として得た。
【0037】
こうして得られたボスウェル酸のグルコサミン塩又はイオン対錯体の分析特性は、B1:4.75%、B2:2.10%、B3:5.44%、B4:14.91%、B5:2.18%、B6:8.66%、合計:38.04%、グルコサミン(遊離塩基として):8.52%である。
【0038】
(実施例3)
ボスウェル酸(KCl)のグルコサミン塩:
ボスウェル酸(5g、48%ボスウェル酸)のメタノール溶液(125mL)に、グルコサミン塩酸塩(2g)水溶液(8mL)を添加し、室温で15分間攪拌した。次いで水酸化カリウム(0.52g、20%水溶液2.6mL)を、10分かけてゆっくり入れ、該溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、乾燥してボスウェル酸のグルコサミン塩又はイオン対錯体を、pH6.8、90%水性メタノールに可溶な灰色の粉末(7.5g)として得た。
【0039】
こうして得られたボスウェル酸のグルコサミン塩又はイオン対錯体の分析特性は、B1:4.04%、B2:1.86%、B3:4.65%、B4:12.73%、B5:1.76%、B6:7.34%、合計:32.38%、グルコサミン(遊離塩基として):12.44%である。
【0040】
(実施例4)
ボスウェル酸(KCl)のグルコサミン塩:
ボスウェル酸(5g、48%ボスウェル酸)のメタノール溶液(125mL)に、グルコサミン塩酸塩(4g)の水溶液(11mL)を添加し、室温で15分間攪拌した。次いで水酸化カリウム(0.52g、20%水溶液2.6mL)を、10分かけてゆっくり入れ、該溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、乾燥してボスウェル酸のグルコサミン塩又はイオン対錯体を、pH6.6、90%水性メタノールに可溶な灰色の粉末(9.6g)として得た。
【0041】
こうして得られたボスウェル酸のグルコサミン塩又はイオン対錯体の分析特性は、B1:3.14%、B2:1.37%、B3:3.36%、B4:9.75%、B5:0.93%、B6:4.76%、合計:23.31%、グルコサミン(遊離塩基として):27.16%である。
【0042】
(実施例5)
アセチルケトボスウェル酸(KCl)のグルコサミン塩:
アセチルケトボスウェル酸(5g、30%AKBA)のメタノール溶液(100mL)に、グルコサミン塩酸塩(0.63g)の水溶液(3mL)を添加し、室温で15分間攪拌した。次いで水酸化カリウム(0.164g、20%水溶液0.82mL)を、10分かけてゆっくり入れ、該溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、乾燥してアセチルケトボスウェル酸のグルコサミン塩又はイオン対錯体を、pH6.7、90%水性メタノールに可溶な灰色の粉末(4.8g)として得た。
【0043】
こうして得られたアセチルケトボスウェル酸のグルコサミン塩又はイオン対錯体の分析特性は、AKBA:27.68%、グルコサミン(遊離塩基として):5.42%である。
【0044】
(実施例6)
アセチルケトボスウェル酸(KCl)のグルコサミン塩:
アセチルケトボスウェル酸(5g、30%AKBA)のメタノール溶液(100mL)に、グルコサミン塩酸塩(5g)の水溶液(15mL)を添加し、室温で15分間攪拌した。次いで水酸化カリウム(0.2g、20%水溶液1.0mL)を、10分かけてゆっくり入れ、該溶液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、乾燥してアセチルケトボスウェル酸のグルコサミン塩又はイオン錯体を、pH5.6、90%水性メタノールに可溶な灰色の粉末(9.3g)として得た。
【0045】
こうして得られたアセチルケトボスウェル酸のグルコサミン塩又はイオン対錯体の分析特性は、AKBA:15.30%、グルコサミン(遊離塩基として):39.44%である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式I、
【化1】


[式中R及びRは、Hであるか、又は一緒になってケト基を形成し、
は、H又はアシル基であり、
Xは、NHR(式中、R、R及びRは、H、あるいは置換若しくは非置換の低級若しくは高級アルキル基、又はアリール基、又は環状アルキル基)で表される、複素環塩基又は有機塩基である]
を有する、ボスウェル酸の天然混合物又は濃縮ケトボスウェル酸又は濃縮アセチルケトボスウェル酸と、有機アミンとの新規な塩又はイオン対錯体であって、
前記有機塩基が、グルコサミン(2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコース)、ニコチンアミド(3−ピリジンカルボキサミド)、ピリドキシン(5−ヒドロキシ−6−メチル−3,4−ピリジンジメタノール)、カフェイン(3,7−ジヒドロ−1,3,7−トリメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)、クレアチン(N−(アミノイミノメチル)−N−メチルグリシン)、アラントイン(2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)尿素)、テオブロミン(3,7−ジヒドロ−3,7−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)、テオフィリン(3,7−ジヒドロ−1,3−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)、メサラミン(5−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸)、エンフェナム酸(2−[(2−フェニルエチル)アミノ]安息香酸)、エトフェナメート(2−[[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−アミノ]安息香酸2−(2−ヒドロキシエトキシエチルエステル)、フルフェナム酸(2−[[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]安息香酸)、メクロフェナム酸(2−[(2,6−ジクロロ−3−メチルフェニル)アミノ]安息香酸)、メフェナム酸(2−[(2,3−ジメチルフェニル)−アミノ]安息香酸)、ニフルム酸(2−[[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−アミノ]−3−ピリジンカルボン酸)、タルニフルメート(2−[[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]−3−ピリジンカルボン酸1,3−ジヒドロ−3−オキソ−1−イソベンゾフラニルエステル)、テロフェナメート(2−[(2,6−ジクロロ−3−メチルフェニル)−アミノ]安息香酸エトキシメチルエステル)、トルフェナム酸(2−[(3−クロロ−2−メチルフェニル)−アミノ]安息香酸)、S−アデノシルメチオニン((3S)−5’−[(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)メチルスルホニオ]−5’−デオキシアデノシン分子内塩)、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(1−[2−(3−メチルブトキシ)−2−フェニルエチル]ピロリジン)、ベンジダミン(N,N−ジメチル−3−[[1−(フェニルメチル)−1H−インダゾール−3−イル]オキシ]−1−プロパンアミン)、ジフェンピラミド(N−2−ピリジニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アセトアミド)、ジタゾール(2,2’−[(4,5−ジフェニル−2−オキサゾリル)イミノ]−ビスエタノール)、エモルファゾン(4−エトキシ−2−メチル−5−(4−モルホリニル)−3(2H)−ピリダジノン)、フェプラジノール((±)−α−[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−アミノ]メチル]ベンゼンメタノール)、パラニリン(4−(9H−フルオレン−9−イリデンメチル)ベンゼンカルボキシミドアミド)、ペリソキサール(α−(5−フェニル−3−イソオキサゾリル)−1−ピペリジンエタノール)である、
新規な塩又はイオン対錯体。
【請求項2】
天然ボスウェル酸のグルコサミン塩、又はグルコサミン及びボスウェル酸のイオン対錯体であって、R及びRがHであるか、又は一緒にOを形成し、RがH又はCOCHであり、Xがグルコサミンである、請求項1に記載の塩又はイオン対錯体。
【請求項3】
アセチルケトボスウェル酸のグルコサミン塩、又はグルコサミン及びアセチルケトボスウェル酸のイオン対錯体であって、R及びRが一緒にOを形成し、RがCOCHであり、Xがグルコサミンであり、塩又はイオン対錯体の調製前のアセチルケトボスウェル酸成分の純度が2〜100%の範囲である、請求項1に記載の塩又はイオン対錯体。
【請求項4】
ケトボスウェル酸のグルコサミン塩、又はグルコサミン及びケトボスウェル酸のイオン対錯体であって、R及びRが一緒にOを形成し、RがHであり、Xがグルコサミンであり、塩又はイオン対錯体の調製前のケトボスウェル酸成分の純度が2〜100%の範囲である、請求項1に記載の塩又は対錯体。
【請求項5】
前記塩又はイオン対錯体が、様々な濃度の、チルカル酸の塩又はイオン対組成物を場合により含む、請求項1に記載のボスウェル酸の塩又はイオン対錯体。
【請求項6】
前記チルカル酸が、3−オキソ−チルカル酸、3−ヒドロキシ−チルカル酸、及び3−アセトキシ−チルカル酸であり、塩の組成物全体の0〜20%を構成する、請求項1に記載のボスウェル酸塩又はイオン対錯体。
【請求項7】
グルコサミン遊離塩基をボスウェル酸の水性メタノール溶液にゆっくり添加するステップを含む、一般式Iのボスウェル酸及びグルコサミンを含有する塩又はイオン対錯体の調製方法。
【請求項8】
減圧下で溶媒を除去することにより、前記塩又はイオン対錯体の組成物を反応混合物から回収する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
グルコサミン遊離塩基のその場生成、及びボスウェル酸との反応の各ステップを含む、一般式Iのボスウェル酸及びグルコサミンを含有する塩又はイオン対錯体の調製方法。
【請求項10】
遊離塩基の前記その場生成が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのような塩基の添加により達成され、アルコール又は水性アルコールの存在下で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記塩又はイオン対錯体が、減圧下で溶媒を蒸発させることにより得られる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ボスウェル酸:5〜60%程度、及びグルコサミン:5〜70%程度である、請求項1に記載のボスウェル酸及びグルコサミンの天然混合物を含む塩又はイオン対錯体の組成物。
【請求項13】
ボスウェル酸5〜60%、グルコサミン5〜70%、カリウム2〜5%、及び塩化物2〜5%を含む、請求項1に記載のボスウェル酸及びグルコサミンの塩の組成物。
【請求項14】
AKBA5〜95%、グルコサミン5〜95%、カリウム2〜25%、及び塩化物2〜25%を含む、請求項1に記載のアセチルケトボスウェル酸及びグルコサミンの塩の組成物。
【請求項15】
ボスウェリア種のゴム樹脂から得た、ボスウェル酸の混合物を含む抽出物から、請求項3及び14に記載の塩を製造するための25〜100%3−Oアセチル−11−ケト−β−ボスウェル酸を製造する方法であって、前記抽出物由来のボスウェル酸含有分画のアセチル化ステップ、続いて、断続的後処理をしない、同じ反応容器内での前記アセチル化生成物の酸化ステップ、次いで酸処理及び/又はクロマトグラフ分離によって、25〜100%の範囲に3−Oアセチル−11−ケト−β−ボスウェル酸を濃縮した分画を得るステップを含む方法。
【請求項16】
およそ、KBA5〜95%、グルコサミン5〜95%、カリウム2〜25%、及び塩化物2〜25%を含む、請求項1に記載の11−ケト−β−ボスウェル酸及びグルコサミンの塩の組成物。
【請求項17】
ボスウェリア種のゴム樹脂から、請求項4及び16に記載の塩又はイオン対錯体の組成物を生成するための25〜100%11−ケト−β−ボスウェル酸を製造する方法であって、前記抽出物由来のボスウェル酸含有分画のアセチル化ステップ、続いて、断続的後処理をしない、同じ反応容器内での前記アセチル化生成物の酸化ステップ、次いで過アセチル化酸化生成物の塩基処理及び/又はクロマトグラフ分離によって、25〜100%の範囲に11−ケト−β−ボスウェル酸を濃縮した分画を得るステップを含む方法。
【請求項18】
前記アセチル化ステップが、無水酢酸/ピリジン、又はアセチルクロライド/ピリジン、又は無水酢酸単独で前記抽出物を処理することにより行われる、請求項15及び17に記載の方法。
【請求項19】
前記酸化が、酢酸無水酢酸/三酸化クロム、又は酢酸/三酸化クロムでアセチル化反応混合物を処理することにより行われる、請求項15及び17に記載の方法。
【請求項20】
アセチル化及び酸化後の反応生成物が、氷水に注ぎ、次いで固形物のろ過、水での洗浄、及び乾燥により得られる、請求項15、17、18、及び19に記載の方法。
【請求項21】
前記生成物を、高温において、4N HClで処理し、得られる混合物をろ過し、4N HCl及び水で洗浄し、乾燥して25〜40%AKBAを得る、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
酸処理後の前記生成物を、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、ヘキサン、メタノールなどの有機溶剤を単独で、又は組み合わせて使用する、シリカカラムクロマトグラフィーにかけてAKBA濃縮分画を得、適当な溶媒中で結晶化を繰り返した後、40〜100%AKBAを回収する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記生成物を、適当な溶媒中で塩基(8N KOH)処理し、次いで母液をろ過及び酸性化し、固形物をろ過し、乾燥して25〜40%KBAを得る、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
塩基処理後の前記生成物を、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、ヘキサン及びメタノールなどの有機溶剤を単独で、又は組み合わせて使用する、シリカカラムクロマトグラフィーにかけてKBA濃縮分画を得、適当な溶媒中で結晶化を繰り返した後、40〜100%KBAを回収する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
結晶化の溶媒が、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、ヘキサン及びメタノールの単独又は組合せである、請求項22及び24に記載の方法。
【請求項26】
25〜100%の範囲で濃縮した前記KBAを、ピリジン/無水酢酸、又は無水酢酸だけを使用してアセチル化し、25〜100%の範囲に濃縮したAKBAを得る、請求項15及び17に記載の方法。
【請求項27】
ボスウェル酸又はケトボスウェル酸又はアセチルケトボスウェル酸及び有機アミンが、本明細書に記載するように実質的に含まれている、塩又はイオン対錯体。
【請求項28】
抗炎症剤として、鎮痛剤として、癌化学予防のために、及び抗癌剤として強力な5−リポキシゲナーゼ活性を示す、請求項1に記載の式Iに表される、ボスウェル酸又はケトボスウェル酸又はアセチルケトボスウェル酸と、グルコサミン又は他の有機アミンとの新規な塩又はイオン対錯体の使用。
【請求項29】
化粧品及び炎症性疾患を治療する医薬組成物における、請求項1に記載の式Iで表されるボスウェル酸又はケトボスウェル酸又はアセチルケトボスウェル酸と、有機アミンとの新規塩の使用。
【請求項30】
請求項1に記載の式Iの塩又はイオン対組成物を、それを必要とする人に投与することを含む、炎症性疾患の治療法。
【請求項31】
医薬として許容可能な担体中に、請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項32】
前記担体が水性又は非水性の担体である、請求項31に記載の医薬組成物。


【公表番号】特表2008−538205(P2008−538205A)
【公表日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500340(P2008−500340)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【国際出願番号】PCT/IN2005/000074
【国際公開番号】WO2006/095355
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507008219)
【出願人】(507008220)
【出願人】(507008172)
【出願人】(507008208)
【出願人】(507008194)
【Fターム(参考)】