説明

ボルト及び鉄筋の錆取り磨き具

【課題】短い剣先ボルトもしくは大径、小径のボルトやナットは勿論、長いボルトもしくは鉄筋の錆取り及びぴかぴか磨き等を可能にした。
【解決手段】ブラシ3とブラシ押えbと回転リングcとベアリングdを嵌挿したブラシホルダーaを、下方ケースgに嵌挿し、下方ケースgに嵌挿した回転リングcにベアリング押えeを嵌挿し、且大径ギアfを嵌着し、モーター17と出力軸18を内蔵するハンドルiを出力軸18に取着のギア19と噛合する他方のギア16と同軸の駆動軸13の下端部に取着の小径ギア14を、大径ギアfと噛合させると共に、上方ケースhと下方ケースgとを嵌合し組み立てたボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長短何れのボルト及び鉄筋等の錆取りとぴかぴか磨きが可能なボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボルト破断跡処理方法とボルト破断跡処理装置として、特許第4297512号特許公報が開示されている。
【0003】
前記開示の特許公報の発明には、研磨、研削、切削、錆落とし、・・・といった研磨処理が可能な処理具8がホルダー9にセットされている。
【0004】
しかし、前記発明の処理具8は、明細書の発明の詳細な説明に、ボルト軸3のネジ部である山、谷部に、前記処理具8が回転しながら当たって錆取りをするという実施例に関する記載はない。
【0005】
そして、ナット6に付着の錆取りを可能にする実施例も記載されていない。
【0006】
さらに、従来工業用ブラシとして実用新案登録第3119300号登録実用新案公報が開示されている。
【0007】
前記開示の登録実用新案公報の考案は、ボルト・ナット・ワッシャー部に発生した錆や古い塗膜を除去るためにブラシ材が使用されている。
【0008】
しかし、前記ブラシ材は、遠心力でブラシ材を広げ、その広がり作用によって錆や古い塗膜を除去せしめるものとされている。
【0009】
さらに、この考案は、ボルト山、谷部に隈なくブラシ材が入り込むことを可能にした構造でないので、十分な錆取りができない。
【0010】
また、本件特許出願人が平成23年8月23日付をもって出願したボルト等の錆取り具(特願2011−181457)があるが、この出願は、短い剣先ボルトもしくは大径、小径のボルトもしくはナットに付着の錆や塗装はがしやペンキはがし等を、単に被せながら前記作業を行う構造であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4297512号特許公報
【特許文献2】実用新案登録第3119300号登録実用新案公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、前記文献1の発明及び同文献2の考案と異なり、短い剣先ボルトもしくは大径、小径のボルトもしくはナットは勿論のこと、長いボルトもしくは鉄筋の錆取り及びぴかぴか磨き等を可能にした点である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明のボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具は、上方に上方開口部1を、下方に下方開口部2を有し、且ブラシ3が内挿可能な嵌挿部4を有する鍔部5付きブラシホルダーaと、前記下方開口部2に嵌挿し、且内側に貫通孔6を形成するブラシ押えbと、前記ブラシ押えbを嵌挿する貫通孔7を形成せしめる回転リングcと、前記回転リングcが嵌挿する貫通孔8付きベアリングdと、前記ベアリングdの上方部に前記ベアリングdを押えるベアリング押えeと、前記ベアリングdと前記ベアリング押えeとの上方部にして、且前記回転リングcに嵌挿せしめる大径ギアfと、前記ベアリングdを嵌挿し、且下方に内側方に突設する下方開口部9を有する鍔部10を有する下方ケースgと、前記大径ギアfを嵌挿の嵌挿部11を有し、且上方部に貫通孔12と前記大径ギアfと噛合し、且駆動軸13を軸着する小径ギア14を嵌挿及び貫通する小径嵌挿部15を形成せしめる上方ケースhと、前記駆動軸13の上端部にギア16を取着すると共に、モーター17を内蔵し、且前記モーター17の出力軸18に前記駆動軸13側のギア16と噛合するギア19を軸着せしめハンドルiとを別設し、
前記ブラシ3と前記ブラシ押えbと前記回転リングcと前記ベアリングdを嵌挿した前記ブラシホルダーaを、前記下方ケースgに嵌挿し、前記下方ケースgに嵌挿した回転リングcに前記ベアリング押えeを嵌挿し、且前記大径ギアfを嵌着し、前記モーター17と出力軸18を内蔵する前記ハンドルiを前記出力軸18に取着のギア19と噛合する他方のギア16と同軸の駆動軸13の下端部に取着の小径ギア14を、前記大径ギアfと噛合させると共に、前記上方ケースhと前記下方ケースgとを嵌合し組み立てることを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するための手段として、請求項2記載の発明のボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具は、前記下方ケースgの外周側部にハンドル20を取着せしめることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するための手段として、請求項3記載の発明のボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具は、前記上方ケースhの外周側部にハンドル20を取着せしめることを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するための手段として、請求項4記載の発明のボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具は、前記ブラシ3を複数重合せしめ使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明は、上方に上方開口部を、下方に下方開口部を有し、且ブラシが内挿可能な嵌挿部を有する鍔部付きブラシホルダーと、前記下方開口部に嵌挿し、且内側に貫通孔を形成するブラシ押えと、前記ブラシ押えを嵌挿する貫通孔を形成せしめる回転リングと、前記回転リングが嵌挿する貫通孔付きベアリングと、前記ベアリングの上方部に前記ベアリングを押えるベアリング押えと、前記ベアリングと前記ベアリング押えとの上方部にして、且前記回転リングに嵌挿せしめる大径ギアと、前記ベアリングを嵌挿し、且下方に内側方に突設する下方開口部を有する鍔部を有する下方ケースと、前記大径ギアを嵌挿の嵌挿部を有し、且上方部に貫通孔と前記大径ギアと噛合し、且駆動軸を軸着する小径ギアを嵌挿及び貫通する小径嵌挿部を形成せしめる上方ケースと、前記駆動軸の上端部にギアを取着すると共に、モーターを内蔵し、且前記モーターの出力軸に前記駆動軸側のギアと噛合するギアを軸着せしめハンドルとを別設し、
前記ブラシと前記ブラシ押えと前記回転リングと前記ベアリングを嵌挿した前記ブラシホルダーを、前記下方ケースに嵌挿し、前記下方ケースに嵌挿した回転リングに前記ベアリング押えを嵌挿し、且前記大径ギアを嵌着し、前記モーターと出力軸を内蔵する前記ハンドルを前記出力軸に取着のギアと噛合する他方のギアと同軸の駆動軸の下端部に取着の小径ギアを、前記大径ギアと噛合させると共に、前記上方ケースと前記下方ケースとを嵌合し組み立てるボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具なので、前記文献1の発明及び同文献2の考案と異なり、短い剣先ボルトもしくは大径、小径のボルトもしくはナットは勿論のこと、長いボルトもしくは鉄筋の錆取り及びぴかぴか磨き等を可能にした利点がある。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記下方ケースの外周側部にハンドルを取着せしめるボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具なので、前記請求項1に記載の発明と同じ効果を有している。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記上方ケースの外周側部にハンドルを取着せしめるボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具なので、前記請求項1に記載の発明と同じ効果を有している。
【0020】
請求項4に記載の発明は、前記ブラシを複数重合せしめ使用するボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具なので、前記請求項1に記載の発明と同じ効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明ボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具の一部切欠縦断正面図である。
【0022】
【図2】同分解斜視図である。
【0023】
【図3】同平面図である。
【0024】
【図4】同斜視図である。
【0025】
【図5】同斜視図である。
【0026】
【図6】同斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
請求項1〜4に記載の発明に関する実施の形態は共通しているので、一括して以下のとおり説明する。
【0028】
図において、aは本発明のボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具の構成部材であるブラシホルダーであり、以下の構成からなっている。
【0029】
すなわち、上方に上方開口部1を、下方に下方開口部2を有し、且ブラシ3が嵌挿する嵌挿部4を有する鍔部5が形成されている。そしてこのブラシホルダーaは通常平面視が円形状である。
【0030】
前記ブラシ3はボルト又は鉄筋が嵌挿可能な径の孔が内側に形成され且複数重合して使用する。通常は2個使用し、錆取り又は磨き時に空廻りをしないようセットする。
【0031】
そして材質的には、金属製線材をリング状の内巻きにして形成されているものを使用する。
【0032】
図において、bはブラシ押えであり、その構成は、下方開口部2に嵌挿し、且内側に貫通孔6を形成するものである。
【0033】
cは回転リングであり、その構成は前記ブラシ押えbを嵌挿する貫通孔7を形成する。そして平面視は円形状である。
【0034】
dはベアリングであり、このベアリングdは前記回転リングcが嵌挿する貫通孔8が形成されている。
【0035】
さらに、eはベアリング押えであり、その構成は内側に貫通孔8aが形成され前記ベアリングdの上方に位置し、且ベアリングdを押さえるようにした。平面視は円形状である。
【0036】
fは大径ギアであり、内側に貫通孔8bが形成され、前記ベアリングdと前記ベアリング押えeとの上方部にして、且前記回転リングcを嵌挿せしめる貫通孔8bを有している。
【0037】
gは下方ケースであり、以下の構成からなる。
【0038】
すなわち、前記ベアリングdを嵌挿し、且下方に内側方に突設する下方開口部9を有する鍔部10を形成する。
【0039】
前記下方開口部9は、円形状である。
【0040】
さらに、この下方ケースgは、所定の厚さを有し、且外周側部9aは、平面視が稍四辺形状をしている。ただし、一外周側部9aだけ外側方に突設する突出部9bを形成している。
【0041】
hは上方ケースであり、以下の構成からなる。
【0042】
すなわち、前記大径ギアfを嵌挿する嵌挿部11と、上方部に長いボルトもしくは長い鉄筋が嵌挿可能な径を有する貫通孔12と前記大径ギアfと噛合し、且駆動軸13を軸着する小径ギア14を嵌挿及び貫通する小径嵌挿部15を形成する。
【0043】
iはハンドルであり以下の構成からなる。
【0044】
すなわち前記駆動軸13の上端部にギア16を取着すると共に、モーター17を内蔵し、且前記モーター17の出力軸18に前記駆動軸13側のギア16と噛合するギア19を図1に図示のように軸着し組立てる。
【0045】
さらに、前記下方ケースgの外周側部に取手20を取着する。
【0046】
前記上方ケースhの外周側部にも取手20を取着するが、前記上下ケースg、hが図1のように組立てられたときは、重合しないように取着される。
【0047】
前記ブラシ3は、図1のように複数重合せしめ使用する。
【0048】
上記の各構成部材は以下のようにして組み立てる。
【0049】
第1に、図1のように前記ブラシ3と前記ブラシ押えbと前記回転リングcと前記ベアリングdを嵌挿した前記ブラシホルダーaを、前記下方ケースgに嵌挿する。
【0050】
第2に、前記下方ケースgに嵌挿した回転リングcに前記ベアリング押えeを嵌挿し、且前記大径ギアfを嵌着する。
【0051】
第3に、前記モーター17と出力軸18を内蔵する前記ハンドルiを前記出力軸18に取着のギア19と噛合する他方のギア16と同軸の駆動軸13の下端部に取着の小径ギア14を、前記大径ギアfと噛合させる。その際、前記上方ケースhと前記下方ケースgとは嵌合し組み立てられる(図1参照)。
【0052】
上記のようにして各構成部材が組立てられた本発明の錆取り磨き具の使用方法は以下のとおりである。
【0053】
前記上下方ケースg、hに取着の何れか一方の取手20、20を左手で握持し、他方前記ハンドルiを右手で握持する。その際スイッチを入れモーター17を駆動させる。
【0054】
前記のようにモーター17が駆動すると、前記駆動軸18が回転し、同時に噛合中のギア19、16が回転する。さらに前記小径ギア14が大径ギアfを減速し回転する。
【0055】
前記大径ギアfの回転と同時に大径ギアfに貫通孔8bに嵌着している前記ブラシホルダーaと前記回転リングcが一体となって、前記ブラシホルダーa内に嵌挿している前記ブラシ3がブラシ押えbの支止によって確実に減速しながら回転している。
【0056】
前記のような動作をしている本発明の錆取り磨き具を両手で握持したままボルトもしくは鉄筋(図示なし)の頭部を前記ブラシ押えbの貫通孔6に嵌挿し、徐々に本発明の錆取り磨き具を移動させ前記ボルト等の頭部が前記ブラシ3の貫通孔を通過し、前記上方ケースhの貫通孔12を貫通し飛出する。
【0057】
前記のように、本発明の錆取り磨き具を徐々に移動すると、移動中に前記ブラシ3がボルトもしくは鉄筋の外周部をこすりながら回転移動をする。その時ボルト、鉄筋の外周部に付着の錆、塗装、ペンキ等をきれいにはがすかもしくは除去し、ピカピカにするものである。
【0058】
前記ブラシ3は、使用による錆取り及び磨き機能が減退したときは、前記ブラシ押えbを除去し、新規なブラシ3と交換する。
【符号の説明】
【0059】
a ブラシホルダー
b ブラシ押え
c 回転リング
d ベアリング
e ベアリング押え
f 大径ギア
g 下方ケース
h 上方ケース
i ハンドル
1 上方開口部
2 下方開口部
3 ブラシ
4 嵌挿部
5 鍔部
6 貫通孔
7 貫通孔
8 貫通孔
8b 貫通孔
9 下方開口部
9a 外周側部
9b 突出部
10 鍔部
11 嵌挿部
12 貫通孔
13 駆動部
14 小径ギア
15 小径嵌挿部
16 ギア
17 モーター
18 駆動軸
19 ギア
20 取手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に上方開口部を、下方に下方開口部を有し、且ブラシが内挿可能な嵌挿部を有する鍔部付きブラシホルダーと、前記下方開口部に嵌挿し、且内側に貫通孔を形成するブラシ押えと、前記ブラシ押えを嵌挿する貫通孔を形成せしめる回転リングと、前記回転リングが嵌挿する貫通孔付きベアリングと、前記ベアリングの上方部に前記ベアリングを押えるベアリング押えと、前記ベアリングと前記ベアリング押えとの上方部にして、且前記回転リングに嵌挿せしめる大径ギアと、前記ベアリングを嵌挿し、且下方に内側方に突設する下方開口部を有する鍔部を有する下方ケースと、前記大径ギアを嵌挿の嵌挿部を有し、且上方部に貫通孔と前記大径ギアと噛合し、且駆動軸を軸着する小径ギアを嵌挿及び貫通する小径嵌挿部を形成せしめる上方ケースと、前記駆動軸の上端部にギアを取着すると共に、モーターを内蔵し、且前記モーターの出力軸に前記駆動軸側のギアと噛合するギアを軸着せしめハンドルとを別設し、
前記ブラシと前記ブラシ押えと前記回転リングと前記ベアリングを嵌挿した前記ブラシホルダーを、前記下方ケースに嵌挿し、前記下方ケースに嵌挿した回転リングに前記ベアリング押えを嵌挿し、且前記大径ギアを嵌着し、前記モーターと出力軸を内蔵する前記ハンドルを前記出力軸に取着のギアと噛合する他方のギアと同軸の駆動軸の下端部に取着の小径ギアを、前記大径ギアと噛合させると共に、前記上方ケースと前記下方ケースとを嵌合し組み立てることを特徴とするボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具。
【請求項2】
前記下方ケースの外周側部にハンドルを取着せしめることを特徴とする請求項1に記載のボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具。
【請求項3】
前記上方ケースの外周側部にハンドルを取着せしめることを特徴とする請求項1又は同2に記載のボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具。
【請求項4】
前記ブラシを複数重合せしめ使用することを特徴とする請求項1又は同2又は同3に記載のボルト及び鉄筋等の錆取り磨き具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−111660(P2013−111660A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257015(P2011−257015)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【特許番号】特許第5168678号(P5168678)
【特許公報発行日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【出願人】(591188941)株式会社サカタ製作所 (11)
【出願人】(503049508)有限会社アイエスマック (3)
【Fターム(参考)】