説明

ポジ型光像形成性底面反射防止コーティング

本発明は、水性アルカリ性溶液中で現像することによってパターンを形成することができる光像形成性反射防止コーティング組成物であって、(i)コーティング溶剤中に可溶性であって、発色団、架橋性部分、任意に及び、水性アルカリ性溶液中へのポリマーの可溶性を助ける官能基を酸または熱条件下に生成する解裂性基を含むポリマーA、及び; (ii)少なくとも一種の光酸発生剤; (iii)架橋剤; (iv)任意に、熱酸発生剤; (v)現像の前に水性アルカリ性溶液中に可溶性であり、かつポリマーAと不混和性で、コーティング溶剤中に可溶性のポリマーB; (vi)コーティング溶剤組成物、及び(vii)任意に、クエンチャを含む前記光像形成性反射防止コーティング組成物に関する。本発明はまた、該反射防止コーティングに像を形成する方法にも関する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のポジ型光像形成性で及び水性現像可能な反射防止コーティング組成物、及び該新規現像剤可溶性反射防止コーティングの層を、反射性基材とフォトレジストコーティングとの間に形成することによる前記組成物のイメージプロセッシングにおける使用に関する。このような組成物は、フォトリソグラフィ技術、就中、深紫外線(deep ultraviolet radiation)を用いた露光を必要とするフォトリソグラフィ技術による半導体デバイスの製造に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物は、微細化された電子部品の製造のためのマイクログラフィプロセスに、例えばコンピュータチップや集積回路の製造に使用されている。一般的に、これらのプロセスでは、先ず、フォトレジスト組成物のフィルムの薄い被膜を、集積回路の製造に使用されるケイ素ウェハなどの基材上に塗布する。この被覆された基材を次いでベークしてフォトレジスト組成物中の溶剤を蒸発させて、基材上に被膜を定着させる。基材のこの被覆及びベークされた表面を次に放射線による像様露光に付す。
【0003】
この放射線露光は、被覆された表面の露光された領域において化学的な変化を引き起こす。可視光線、紫外線(UV)、電子ビーム及びX線放射エネルギーが、現在、マイクロリソグラフィプロセスに常用されている放射線種である。この像様露光の後、被覆された基材を現像剤溶液で処理して、フォトレジストの放射線露光された領域または未露光の領域のいずれかを溶解、除去する。
【0004】
フォトレジスト組成物にはネガ型とポジ型の二つのタイプのものがある。ポジ型フォトレジスト組成物を放射線に像様露光すると、放射線に曝された領域のフォトレジスト組成物が現像剤溶液に可溶性になり、他方、未露光の領域のフォトレジスト被膜は、このような溶液に比較的不溶性のまま残る。それ故、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理すると、フォトレジスト被膜の露光された領域が除去されて被膜にポジ型の像が形成され、それによってフォトレジスト組成物が堆積していたところの下にある基材表面の所望の部分が裸出される。ネガ型フォトレジストでは、現像剤は露光されていない部分を除去する。
【0005】
半導体デバイスは微細化される傾向にあり、そのためこのような微細化に伴う問題を解消するために、より一層短い波長の放射線に感度のある新しいフォトレジストや、及び精巧なマルチレベルシステムの両方が使用されている。フォトリソグラフィにおける高吸収性の反射防止膜の使用は、高反射性基材からの光の後方反射(back reflection)の結果生ずる問題を軽減するためのより簡単な方策である。底面反射防止膜は基材上に塗布され、次いでこの反射防止膜の上にフォトレジストの層が付与される。このフォトレジストは像様露光及び現像される。次いで、露光された領域の反射防止膜は、典型的にはエッチングされ、そうしてフォトレジストパターンが基材に転写される。従来技術において既知の反射防止膜の殆どは、ドライエッチングされるように設計されている。反射防止フィルムのエッチング速度は、反射防止フィルムが、エッチングプロセスの間にレジストフィルムの過剰の損失を伴うことなくエッチングされるように、フォトレジストと比べて比較的高いものである必要がある。反射防止膜には無機コーティングと有機コーティングの二つの既知の種のものがある。しかし、これらのタイプのコーティングはどちらも、これまでドライエッチングによる除去用には設計されてきた。
【0006】
加えて、反射防止膜のドライエッチング速度が、反射防止膜の上面にコーティングされたフォトレジストのエッチング速度と類似するかまたはこれより遅い場合には、フォトレジストパターンがダメージを受けるかまたは基材に正確に転写されない恐れがある。有機系コーティングを除去するためのエッチング条件は、基材にもダメージを与え得る。それ故、ドライエッチングする必要がなく、また特にエッチングダメージに敏感な化合物半導体タイプの基材において、良好なリソグラフィ性能も供し得る、有機系底面反射防止コーティングに対する要望がある。
【0007】
本発明の新規方策は、ドライエッチングにより除去されるのではなく、水性アルカリ性溶液によって現像し得る吸収性ポジ型像形成性底面反射防止コーティングを使用することである。底面反射防止コーティングの水性除去は、被膜のドライエッチング速度に関する要件を排除し、コスト集約的なドライエッチング加工工程を低減し、またドライエッチングによって生ずる基材へのダメージを防ぐ。本発明の吸収性底面反射防止コーティング組成物は、架橋性化合物と、少なくとも二つの非混和性ポリマーとを含み、ここで被膜中において、二つのポリマーは相分離する。被膜は硬化され、次いで上面ポジ型フォトレジストを露光するのに使用したのと同じ波長の光で露光されると、該反射防止膜は、フォトレジストを現像するのに使用するのと同じ現像剤中で像形成可能になる。このプロセスは、多くの加工工程を排除することによりリソグラフィプロセスを大きく簡素化する。該反射防止膜は感光性であるため、反射防止膜の除去の程度は、反射防止膜中での残存フォトレジスト像の良好な描画を可能にする光学潜像によって画定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US6,114,085
【特許文献2】US5,652,297
【特許文献3】US5,981,145
【特許文献4】US6,187,506
【特許文献5】US5,939,236
【特許文献6】US5,935,760
【特許文献7】米国特許出願第12/269,072号明細書
【特許文献8】US5,731,386
【特許文献9】US5,880,169
【特許文献10】US5,939,236
【特許文献11】US5,354,643
【特許文献12】US5,716,756
【特許文献13】DE3,930,086
【特許文献14】DE3,930,087
【特許文献15】独国特許出願第P4,112,967.9号明細書
【特許文献16】US4,491,628
【特許文献17】US5,350,660
【特許文献18】US5,843,624
【特許文献19】US6,866,984
【特許文献20】US6,447,980
【特許文献21】US6,723,488
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】T.Yamaoka,et al.,Trends in Photochem.Photobio.,7:45(2001)
【非特許文献2】S.Moon,et al.,Chem.Mater.,6:1854(1994)
【非特許文献3】H.Schacht,et al.,ACS Symp.Ser.706:78(1998)
【非特許文献4】F.M.Houlihan et al.,J.Photopolym.Sci.Techn.,3:259(1990)
【非特許文献5】T.Yamaoka et al.,J.Photopolym.Sci.Techn.,3:275 (1990)
【非特許文献6】L.Schlegel et al.,J.Photopolym.Sci.Techn.,3:281(1990)
【非特許文献7】M.Shirai et al.,J.Photopolym.Sci.Techn.,3:301(1990)
【非特許文献8】CRC Handbook of Chemistry and Physics,CRC Press Inc.
【発明の概要】
【0010】
本発明は、水性アルカリ性溶液中で現像することによってパターンを形成することができる光像形成性反射防止コーティング組成物であって、(i)発色団、フッ素化基、架橋部分、任意に及び解裂性基を含み、コーティング溶剤中に可溶性のポリマーA、但し前記解裂性基は、水性アルカリ性溶液中での該ポリマーの可溶性を助ける官能基を酸または熱条件下に生成するものである; (ii)少なくとも一種の光酸発生剤; (iii)架橋剤; (iv)任意に、熱酸発生剤; (v) 現像前に水性アルカリ性溶液中に可溶性であるポリマーB、但し該ポリマーBは、ポリマーAと不混和性であり、コーティング溶剤中に可溶性であるものであり; 及び(vi)コーティング溶剤組成物、及び(vii) 任意に、クエンチャを含む、光像形成性反射防止コーティング組成物に関する。本発明は、更に、本発明の反射防止組成物を用いて像を形成する方法にも関する。
【0011】
また、本発明は、水性アルカリ性溶液中で現像することによってパターンを形成できる光像形成性反射防止コーティング組成物であって、(i)コーティング溶剤中に可溶性であって、かつ発色団、架橋性部分、及び任意に、解裂性基を含むポリマーA、但し、前記解裂性基は、水性アルカリ性溶液中への該ポリマーの可溶性を助ける官能基を酸または熱条件下に生成するものであり; (ii)少なくとも一種の光酸発生剤; (iii)架橋剤; (iv)任意に、熱酸発生剤; (v)現像の前に水性アルカリ性溶液中に可溶性のポリマーB、ここでこのポリマーBは、ポリマーAと不混和性であり、かつコーティング溶剤中に可溶性であり; 及び(vi)コーティング溶剤組成物、及び(vii)任意に、クエンチャを含む、前記光像形成性反射防止コーティング組成物にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、該現像可能な反射防止コーティングのためのコーティングプロセスを示す。
【0013】
[発明の開示]
本発明は、新規の吸収性光像形成性で水性アルカリ現像可能なポジ型像形成性反射防止コーティング組成物であって、(i)コーティング溶剤中に可溶性でかつ発色団、任意にフッ素化基、架橋可能な基、例えばヒドロキシル及び/またはカルボキシル部分、任意に及び解裂性基を含むポリマーA、但し、前記の解裂性基は、水性アルカリ性溶液中へのポリマーの可溶性を促進するのを助ける官能基を酸または熱条件下に生成するものであり; (ii)少なくとも一種の光酸発生剤; (iii)架橋剤; (iv)任意に、熱酸発生剤; (v)現像の前に水性アルカリ性溶液中に可溶性のポリマーB、但し前記ポリマーBはポリマーAと不混和性であり、かつコーティング溶剤中に可溶性であり; 及び(vi)コーティング溶剤組成物; 及び任意に(vii)クエンチャを含む、前記コーティング組成物に関する。
【0014】
ポリマーAの発色団、任意にフッ素化基、及び架橋可能な部分は、一つのモノマー性単位中に存在していてもよいし、または別個の単位中に単独でまたは混ざって存在することができる。ポリマーAは、酸解裂性発色団を含んでもよい。ポリマーAは、反射防止コーティング中でポリマーBとは相分離する、というのもこれらのポリマーは不混和性だからである。本発明は更に、特に約50nm〜約450nmの照射のために、このような組成物を使用する方法にも関する。
【0015】
本発明の反射防止コーティング組成物は、基材からフォトレジスト中への反射を防ぐために、基材の上かつポジ型フォトレジストの下にコーティングされる。該新規反射防止コーティングは、上面フォトレジストと同じ波長の光で光像形成可能であり、そしてまた、フォトレジストを典型的に現像するのに使用されるのと同じ水性アルカリ性現像溶液で現像可能であり、そうして現像工程の後に反射防止コーティングにパターンを形成する。本発明の新規の水性アルカリ現像性反射防止コーティング及びフォトレジストは、同じ工程で現像することができる。該反射防止コーティング組成物は、少なくとも二種の不混和性ポリマー、架橋剤、光酸発生剤、任意に熱酸発生剤、及び任意にクエンチャを含む。反射防止コーティングを形成する時に、二つの不混和性ポリマーA及びBは、コーティング内で相分離して、ポリマーBが、ポリマーAの下に層を形成する。コーティングする時、ポリマーBは、水性アルカリ性溶液中に可溶性でも非可溶性であってもよいが、現像の前には水性アルカリ性溶液中に可溶性であり、ポリマーBは、硬化プロセスの間に架橋されても、架橋されなくともよく、そしてポリマーBは、発色団を含んでいても、含んでいなくともよい。組成物中のポリマーAは、水性アルカリ性溶液中に可溶性であっても、非可溶性であってもよいが、現像の前には水性アルカリ性溶液中に可溶性になる。ポリマーAは、架橋されることができる。該反射防止コーティング組成物は反射性基材上にコーティングされる。スピンコートプロセス中に形成する場合のあるエッジビードは、次いで、エッジビード除去溶剤を用いて除去することができる。なぜならば、ポリマーは、エッジビードリムーバとして使用される溶剤中になおも可溶性であるからである。被膜は次いでベークしてコーティング溶液中の溶剤を除去し、また、反射防止膜層とフォトレジストとの間の相互混合の程度を防止または最小化し及び被膜を水性アルカリ性現像剤中に不溶性にするために、反射防止コーティング、特にポリマーAを架橋する。以下の説明に拘束されるものではないが、硬化工程の間に、架橋剤、特にビニルエーテル末端基を含む化合物と、ポリマーAのヒドロキシル及び/またはカルボキシル基のような架橋可能な基とが、反射防止コーティング中で反応して、被膜内に酸不安定性基を形成する。ベーク及び硬化の後、ポリマーAを含む上部反射防止コーティング層は、アルカリ性現像溶液及びフォトレジストの溶剤のどちらにも本質的に不溶性である。ポリマーBを含む下部層は、硬化段階の間に架橋されてもよいし、または架橋されなくともよく、ポリマーBが架橋可能な基を含む場合には、これは架橋されることができるが、しかし現像の前には、ポリマーBは水性アルカリ現像剤中に可溶性である。露光の後及び水性アルカリ性溶液中で現像する前に、ポリマーA及び/またはB中の酸不安定性基は酸の存在下に解裂して、ポリマーA及び/またはポリマーBを水性アルカリ性溶液中に可溶性にする基を形成する。
【0016】
硬化された反射防止膜の上にはポジ型フォトレジストをコーティングし、そしてベークしてフォトレジスト溶剤を除去する。化学線に露光する前は、フォトレジスト、及び相分離した反射防止膜の上部層は、フォトレジストの水性アルカリ性現像溶液中に不溶性である。このマルチレベルシステムは次いで単一の段階で放射線に像様露光され、ここで次いで酸が上面フォトレジスト及び底面反射防止膜中に発生する。反射防止膜中に存在する光酸発生剤は放射線によって光分解される。次のベーク工程において、露光された領域中で、ポリマー上に存在する架橋された部位(酸不安定性基)及び/または追加の酸不安定性基を有する反射防止膜のポリマーが、光の作用により発生した酸の存在下に分解されて、ポリマーを、それ故反射防止膜を水性アルカリ性現像剤中に可溶性にする。次の現像工程は、ポジ型フォトレジストと反射防止膜の両方の露光された領域を溶解して、そうしてポジ型像を形成して、次の加工のために基材をクリア(clear)な状態にする。
【0017】
本発明の新規方法に有用な該新規反射防止コーティングは、架橋剤、ポリマーA、ポリマーB、光酸発生剤、及び任意に、熱酸発生剤及び/またはクエンチャを含む。ポリマーAは、少なくとも一つの架橋可能な部分、例えばヒドロキシル及び/またはカルボキシル基、少なくとも一つの吸収性発色団、及び任意に、フッ素化基を含み、ここでこれらの部分は、一つの単位中に存在するか、または異なるモノマー性単位中に別々に存在するか、または異なるモノマー性単位中に混合して存在する。例えば、発色団及びヒドロキシ部分が一つの単位中に存在し、フッ素化基が他の単位中に存在し得るか、またはフッ素化基及び架橋可能な基が一つの単位に、そして発色団が他の単位に存在し得る、などである。ポリマーA及びポリマーBの疎水性の違いは、これらの二つのポリマーを相分離させて、それらの相違する自由表面エネルギーの故に本質的に二つの別個の層を形成することを可能にし、この際、ポリマーAは、ポリマーBよりも疎水性が高い。ポリマーA中のフッ素化基は、ポリマーの水接触角を高めて、ポリマーBと比べてポリマーAの疎水性を高める。吸収性発色団は、被膜のベークプロセス中に遊離の染料が分解または昇華することを避けるために、組成物中に遊離の染料であることとは対照的に、ポリマー内に結合される。ヒドロキシ及び/またはカルボキシ単位は架橋性部位を供する。
【0018】
該反射防止コーティングのポリマーA及び任意にポリマーBは、フォトレジストを露光するのに使用する放射線を吸収することができる発色団基を含む。吸収性発色団の例は、一つ〜四つの個別のまたは縮合した環を有する炭化水素芳香族部分及びヘテロ環式芳香族部分であり、ここで各々の環中には3〜10個の原子がある。重合し得る吸収性発色団を有するモノマーの例は、置換されているかもしくは置換されていないフェニル、置換されているかもしくは置換されていないアントラシル、置換されているかもしくは置換されていないフェナントリル、置換されているかもしくは置換されていないナフチル、酸素、窒素、硫黄またはこれらの組み合わせなどのヘテロ原子を含む置換されているかもしくは置換されていないヘテロ環、例えばピロリジニル、ピラニル、ピペリジニル、アクリジニル、キノリニルを含むビニル化合物である。置換基は任意のヒドロカルビル基であることができ、更にヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。このような基の例は、(C〜C12)アルキレン、エステル、エーテルなどである。他の発色団は、US6,114,085(特許文献1)に及びUS5,652,297(特許文献2)、US5,981,145(特許文献3)、US6,187,506(特許文献4)、US5,939,236(特許文献5)及びUS5,935,760(特許文献6)に記載されており、これらもまた使用することができる。なおこれらの特許文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。モノマーは、ビニル化合物、例えばビニルエステル化合物、ビニルエーテル化合物、ビニル芳香族類、ビニルアルキレン芳香族化合物などのビニル化合物であることができる。好ましい発色性(chromophoric)モノマーは、置換されているかもしくは置換されていないフェニル、置換されているかもしくは置換されていないアントラシル、及び置換されているかもしくは置換されていないナフチルのビニル化合物、より好ましいモノマーは、スチレン、ヒドロキシスチレン、アセトキシスチレン、安息香酸ビニル、4−tert−ブチル安息香酸ビニル、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレート、N−メチルマレイミド、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、フェニルメタクリレート、フェノールメタクリレート、ベンジルメタクリレート、9−アントラセニルメタクリレート、9−ビニルアントラセン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルフタルイミド、N−(3−ヒドロキシ)フェニルメタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシカルボニルフェニルアゾ)フェニルメタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシル−4−エトキシカルボニルフェニルアゾ)フェニルメタクリルアミド、N−(2,4−ジニトロフェニルアミノフェニル)マレイミド、3−(4−アセトアミノフェニル)アゾ−4−ヒドロキシスチレン、3−(4−エトキシカルボニルフェニル)アゾ−アセトアセトキシエチルメタクリレート、3−(4−ヒドロキシフェニル)アゾ−アセトアセトキシエチルメタクリレート、3−(4−スルホフェニル)アゾアセトアセトキシエチルメタクリレートのテトラヒドロアンモニウムスルフェート塩、及び等価の構造物である。適当な露光波長において吸収を示す任意の発色団を、単独でまたは他の発色団と組み合わせて使用し得ることも本発明の範囲内である。置換基は、ヒドロキシル、アルキル、エステル、エーテル、アルコキシカルボニル、フルオロアルコール、ビニルオキシアルキレンなどであることができる。
【0019】
アルキルは、所望の炭素原子数及び原子価を有する線状または分枝状アルキルを意味する。アルキル基は概ね脂肪族であり、そして環状または非環式であることができる。適当な非環式基は、メチル、エチル、n−もしくはiso−プロピル、n−、iso−もしくはtert−ブチル、線状もしくは分枝状ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル及びヘキサデシルであることができる。特に他に記載がなければ、アルキルは、炭素原子数1〜10の部分である。環状アルキル基は、単環式または多環式であることができる。単環式アルキル基の例には、置換されたシクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチル基などが挙げられる。置換基は、ここに記載の非環式アルキル基のうちの任意のものであることができる。適当な二環式アルキル基には、置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、及びビシクロ[3.3.2]デカン、及び類似物などが挙げられる。三環式アルキル基の例には、トリシクロ[5.4.0.0.2,9]ウンデカン、トリシクロ[4.2.1.2.7,9]ウンデカン、トリシクロ[5.3.2.0.4,9]ドデカン、及びトリシクロ[5.2.1.0.2,6]デカンなどが挙げられる。ここに記載のように、環状アルキル基は、上記非環式アルキル基のうちの任意のものを置換基として有し得る。
【0020】
更に、及び本明細書で使用する場合に、“置換された”という用語は、全ての可能な有機化合物の置換基を包含するものと解される。広い意味では、可能な置換基には、非環式及び環式、分枝状及び非分枝状、炭素環式及びヘテロ環式、芳香族及び非芳香族の、有機化合物置換基が挙げられる。例示的な置換基には、例えば、上記のものなどが挙げられる。可能な置換基は、適当な有機化合物について一種またはそれ以上で、同一かまたは異なるものであることができる。本発明の目的において、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、及び/またはヘテロ原子の原子価を満足する、ここに記載の任意の可能な有機化合物置換基を有することができる。本発明は、可能な有機化合物置換基によって如何様にも限定されることを意図しない。
【0021】
該新規発明のポリマー(複数種可)が、架橋性部位を有する少なくとも一つの単位を含む場合には、この架橋性部位は、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基によって例示され、アルカリ性可溶性ももたらす。ポリマーの一つの機能は、良好なコーティング品質を与えることであり、他の機能は、反射防止膜が、像形成プロセス中に可溶性を変化することを可能にさせることである。ポリマー中のヒドロキシルまたはカルボキシル基は、可溶性の変化のために必要な成分のうちの一つを供する。重合時にこのような単位を与えるモノマーの例は、限定はされないが、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を含む置換されたもしくは置換されていないビニルモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニルアルコール、ヒドロキシスチレン類、1,1’,2,2’,3,3’−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを含むビニルモノマーであるが、ポリマーをアルカリ可溶性に及び好ましくは水不溶性にするものであれば任意のモノマーを使用し得る。該ポリマーは、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を含むモノマー単位の混合物を含むこともできる。1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基を含むビニルモノマーは、以下の構造(1)〜(6)によって表される化合物並びにそれらの置換された等価物によって例示される。
【0022】
【化1】

【0023】
【化2】

【0024】
該新規発明のポリマーが、フッ素化された部分を有する少なくとも一つの単位を含む場合には、このフッ素化された部分は、ポリマーの主鎖中に存在してもよいし、または側基として存在してもよい。側基としてのフッ素化部分は、エーテル基、エステル基、アルキル基、アリール、アラルキルなどを介して単位に結合してもよい。フッ素化部分は、部分的にフッ素化されたアルキル基、または完全にフッ素化されたアルキル基、または部分的にフッ素化されたアルキルアルコール基、または完全にフッ素化されたアルキルアルコール基であることができる。フッ素化部分には、ヒドロキシル、ハロゲンまたはカルボン酸基が結合していてもよい。フッ素化基を有する単位の例は、構造1〜6、ヘキサフルオロ(分枝状または線状)プロパノール、フッ素化アルキル、フッ素化アリール、フッ素化アラルキル、及びこれらの混合物である。具体的には、ポリマーAは、ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1−シクロヘキシル−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)ブチルメタクリレート(MA−ACH−HFA)、及び1−メチル−[4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−3(トリフルオロメチル)ブチル]メタクリレートなどのモノマーから誘導されるものなどのフッ素化基を含む。一つの場合には、ポリマーAは、フェノール基を有する単位、及びフルオロアルコール基の3,5−ビス(ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)シクロヘキシルメタクリレートを有する単位を含む。
【0025】
架橋性基、フッ素化基及び吸収性発色団を含む単位の他に、該ポリマーは、他のモノマー性単位を含んでもよく、このような単位は他の望ましい性質を与え得る。この追加のモノマーの例は、−CR’R’−CR’R’−であり、ここでR’〜R’は、独立して、H、(C−C10)アルキル、(C−C10)アルコキシ、ニトロ、ハライド、シアノ、アルキルアリール、アルケニル、ジシアノビニル、SOCF、COOD、SOD、COD、OD、ND、SD、SOD、NHCOD、SOND(ここで、DはH、または(C−C10)アルキル、ヒドロキシ(C−C10)アルキル、(C−C10)アルキルOCOCHCOCHである)であるか、あるいはR’とR’とは、一緒になって、無水物、ピリジンまたはピロリドンなどの環状基を形成するか、あるいはR’〜R’は、独立して、H、(C−C10)アルキル、(C−C10)アルコキシであり及びR’は親水性基である。親水性基の例は、限定はされないが、O(CHOH、O(CHO(CH)OH、(CHOH(n=0〜4)、COO(C−C)アルキル、COOE及びSOE(Eは、H、アンモニウム、アルキルアンモニウムである)である。他のモノマーは、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレートであることができる。酸に不安定な基を含むモノマー性単位、例えば酸に不安定な基でキャップされたヒドロキシスチレン、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸なども使用し得る。酸に不安定な基の例は、限定はされないが、少なくとも一つのβ水素を有する第二及び第三アルキル(炭素原子数最大20)、アセタール類及びケタール類、トリメチルシリル、及びβ−トリメチルシリル置換アルキルである。酸に不安定な基の代表的な例は、tert−ブチル、tert−ペンチル、イソボルニル、1−アルキルシクロヘキシル、1−アルキルシクロペンチル、シクロヘキシル、2−アルキル−2−アダマンチル、2−アルキル−2−ノルボルニルである。酸に不安定な基の他の例は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、置換されたもしくは置換されていないメトキシカルボニル、β−トリアルキルシリルアルキル基(例えば、CH−CHSi(CH、CH(−CHSi(CH、CH−CH(Si(CH及び類似物)である。
【0026】
該ポリマーの一つの機能は、不安定性基を用いて露光から現像にかけて反射防止膜にその可溶性を変化させることを可能にすることである。該ポリマー(複数種可)は、現像の前に可溶性の変化をもたらし得る酸に不安定な基または熱に不安定な基を含むことができる。未保護の不安定性基は、親水性基、例えばカルボン酸、ヒドロキシ、フルオロアルキルアルコール、スルホンアミド類などである。酸に不安定な基は、ポリマーA及びポリマーB中の存在しても、存在していなくともよい。保護する前の親水性部分を含むポリマーは、水性アルカリ性溶液中に可溶性であるが、酸に不安定な基で保護されると不溶性になる。親水性でありそして保護する前にアルカリ可溶性を与えるモノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアルコール、ヒドロキシスチレン類、1,1',2,2',3,3'−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを含むビニルモノマー、及びスルホンアミド類(例えば、2−トリフルオロメタンスルホニルアミノエチルメタクリレート及び2−スルホニルアミノ−2,2−ジフルオロエチルメタクリレート)などの基であるが、ポリマーをアルカリ可溶性にするものであれば任意の基を使用し得る。親水性官能基は、酸に不安定な基、例えばアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、オキソシクロヘキシル、環状ラクトン、ベンジル、シリル、アルキルシリル、置換されたベンジル、アルコキシアルキル、例えばエトキシエチルもしくはメトキシエトキシエチル、アセトキシアルコキシアルキル、例えばアセトキシエトキシエチル、テトラヒドロフラニル、メンチル、テトラヒドロピラニル及びメバロノラクトンで保護することができる。酸に不安定な基の例には、限定はされないが、t−ブトキシカルボニル、トリシクロ(5.3.2.0)デカニル、2−メチル−2−アダマンチル、エチルシクロペンチル、イソボルニル、ノルボルニル、アダマンチルオキシエトキシエチル、メンチル、第三ブチル、テトラヒドロピラニル、3−オキソシクロヘキシル、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、ベータ−(ガンマ−ブチロラクトニル)、及びメバロノラクトンなどが挙げられる。モノマーの一部は上記の不安定性基を有するビニル化合物である。酸で解裂し得る酸に不安定な基は、ポリマーに結合してよく、これは、酸の存在下にアルカリ可溶性のポリマーを与える。保護されたモノマーを重合してホモポリマーとするか、または必要に応じて他の未保護のモノマーと重合することができる。またその代わりに、アルカリ可溶性ホモポリマーまたはコポリマーを、酸不安定性基を与える化合物または複数種の化合物と反応させてもよい。
【0027】
ポリマーAの一つの態様では、該ポリマーは、発色団、架橋性部位、及びフッ素化部分を含む。発色団は、上述したもののうちの任意のものであることができ、そして更に、193nm露光用途には4−ヒドロキシスチレン及び4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、及び248nm用途のためには9−アントラセニルメチルメタクリレートもしくはビニルアントラセンによって例示し得る。架橋部位は、上述のものまたは他の既知の官能基のうちの任意のものであることができ、そして更に、フェノール性ヒドロキシ基、フルオロアルコール基及びカルボン酸基によって例示され得る。フッ素化部分は、上述のもののうち任意のものであることができ、そして更に、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1−シクロヘキシル−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−3−(トリフルオロメチル)ブチルメタクリレート(MA−ACH−HFA)、及び1−メチル−[4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−3(トリフルオロメチル)ブチル]メタクリレートなどのモノマーによって例示され得る。一つのケースでは、ポリマーAは、フェノール性基を有する単位、及びフルオロアルコール基の3,5−ビス(ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)シクロヘキシルメタクリレートを有する単位を含む。
【0028】
ポリマーAの他の態様では、該ポリマーは、発色団、フッ素化部分、架橋部位、及び酸に不安定な基を含む。発色団は、上記のもののうちの任意のものであることができ、そして更に、4−ヒドロキシスチレン及び4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートによって例示され得る。架橋部位は、上記のもののうちの任意のものであることができ、そして更にヒドロキシル基及びカルボキシル基によって例示し得る。フッ素化部分は、上記のもののうちの任意のものであることができ、そして更にペンタフルオロプロピルメタクリレートによって例示され得る。酸に不安定な基は上記のもののうちの任意のものであることができ、そして2−エチルアダマンチルメタクリレート、エチルシクロペンチル、及び2−メチル−2−アダマンチルなどのモノマーによって例示し得る。一つのケースでは、ポリマーAは、フェノール性基、酸解裂性アダマンチル基を有する単位、及びフルオロ脂肪族基を有する単位を含む。ポリマーAの他の例には、解裂性基としての2−メチルアダマンチルメタクリレートまたは2−エチルアダマンチルメタクリレートまたはエチルシクロペンチルアクリレートと、1−メチル−[4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−3(トリフルオロメチル)ブチル]メタクリレート、及びフェノール性基を有するモノマーとのものなどが挙げられる。
【0029】
ポリマーAの一例は次のものである。
【0030】
【化3】

【0031】
〜Rは、独立して、HまたはC−Cアルキルであり、Xは単原子価結合または連結基であり、Chrは発色団を含み、WはHまたは架橋性官能基であり、Rは部分的にもしくは完全にフッ素化されたアルキル基であり、Yは、H、OH、COOR及びCOOHから選択され、Rはアルキルであり、Zは架橋性官能基であり、Lは不安定性基であり、a>1、b>1及びc≧0、d≧0であり、a、b、c及びdは、存在する場合には正の整数である。ポリマーAの一つの態様では、a>1、b>1、及びC≧0、d>0であり、a、b、c及びdは、存在する場合には正の整数である。連結基Xは、ここで使用する場合に、アルキル、酸素、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの混合物であることができる。不安定性基Lは、ここで使用する場合に、例えば熱条件下または酸性もしくは塩基性条件下に、ポリマーから解裂され得る基である。Lの例は、2−エチルアダマンチル、2−メチルアダマンチル、エチルシクロペンチル、及びメバロノラクトンである。架橋性官能基としてのZは、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル、フェノール性またはエポキシであることができる。フェノールとしてのZが好ましい。Wは、水素または架橋性官能基であることができる。Chrは、上述のように発色団である。
【0032】
ポリマーAは、コーティング溶剤中に可溶性であり、そしてコーティングプロセスの間に分離して反射防止膜中の上部層を形成する。ポリマーBは、コーティング溶剤中に可溶性であり、そしてコーティングプロセスの間に分離して反射防止膜中の下部層を形成する。ポリマーBはポリマーAよりも親水性が高い。ポリマーAは吸収性であり、発色団を含む。ポリマーBは、吸収性であっても、吸収性でなくともよく、任意に、発色団を含むことができる。ポリマーBは、フッ素化基を含んでいてもよいが、ポリマーAよりも高親水性でなければならない。ポリマーBは、現像の前に水性アルカリ性溶液、特に、フォトレジストの現像に使用される水性アルカリ性現像剤中に可溶性である。追加的に、コーティングの後のポリマーBは水性アルカリ性溶液中に可溶性でもよいし、可溶性でなくともよいが、現像の前には可溶性である。ポリマーBにおける可溶性の変化は、ここに記載の基を用いて、熱不安定性基または酸不安定性基を解裂することによって起こり得る。組成物中のポリマーBの一つの態様では、該ポリマーは水性アルカリ性溶液中に可溶性である。ポリマーBは、親水性官能基、例えば芳香族もしくはアルキルヒドロキシル、フッ素化アルキルアルコール、カルボン酸、アミド、スルホンアミド、スルホン酸、及び任意に発色団を含む。好ましいものは、芳香族ヒドロキシル及びヘキサフルオロアルコール基である。ポリマーBに有用なモノマーの更なる例は、ヒドロキシスチレン、[(4−ヒドロキシフェニル)メタクリレート]アルキル(メタ)アクリレート、アルキルまたはフルオロアルキルスルホンアミド基含有モノマー、アミド基含有モノマー、例えばメタクリルアミド、[(2−ヒドロキシエチル) メタクリレート]のホモポリマーまたはコポリマーである。ポリマーBは、ポリ(4−ヒドロキシフェニル)メタクリレート、ポリ(ヒドロキシスチレン)、またはポリ(ヒドロキシスチレン)−co−メチルメタクリレートのコポリマーであることができる。ポリマーBは、酸に不安定な基を含むことができ、これらは組成物のポリマーB中に存在する。ポリマーBは、架橋剤と反応して酸に不安定な基を形成する架橋性官能基を含んでもよいが、このような酸に不安定な基は、光の作用によって生成した酸の存在下に解裂される。
【0033】
ポリマーA及びポリマーBの疎水性または親水性は、水接触角を用いて測定することができる。接触角は、標準的なビデオ接触角技術などの標準的な技術を用いて測定できる。ポリマーAは、ポリマーBよりも大きい接触角を有し、ここで水接触角の差異(ポリマーA接触角−ポリマーB接触角)は5〜25度の範囲、または5〜20度の範囲、または5〜15度の範囲、または5〜10度の範囲、または10〜25度の範囲、または10〜20度の範囲、または15〜25度の範囲、または15〜20度の範囲である。
【0034】
本発明のポリマーは、任意の既知の重合方法、例えば開環メタセシス、遊離基重合、縮合重合により、有機金属触媒を用いて、またはアニオンもしくはカチオン共重合技術によって合成することができる。該ポリマーは、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、または類似の技術を用いて合成し得る。本発明のポリマーは重合して、約1,000〜約1,000,000、好ましくは約2,000〜約80,000、より好ましくは約6,000〜約50,000の重量平均分子量を有するポリマーを与える。遊離基ポリマーの多分散性(Mw/Mn)(Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量である)は1.0〜10.0の範囲であることができ、ここでポリマーの分子量はゲル透過クロマトグラフィによって測定できる。
【0035】
該新規反射防止コーティング組成物はコーティングされ、次いで熱の適用によって基材上で硬化する。加熱は、ポリマー上のカルボキシル基またはヒドロキシル基と架橋剤との間の架橋反応を誘発し、そして酸または熱不安定性架橋結合が生ずる。架橋剤がビニルエーテルを末端に持つ化合物でありそしてポリマーがカルボキシル基またはヒドロキシル基を含む場合に、特定の不安定性アセタール架橋結合を簡単に促すことができる。生じる構造は、高耐溶剤性であり、かつフォトレジスト成分の相互拡散に対して感化されないものとなることができる。このような硬化プロセスは、通常の熱硬化性反射防止コーティングのそれと同じである。
【0036】
本発明で有用なビニルエーテルを末端に有する架橋剤は一般構造式(7)によって表すことができる。
【0037】
【化4】

【0038】
式中、Rは有機基である。Rは、(C−C30)線状、分枝状もしくは環状アルキル、置換されたもしくは置換されていない(C−C40)アリール、置換されたもしくは置換されていない(C−C40)脂環式炭化水素から選択してよく、そしてn≧2である。末端ビニルエーテル基が、ポリマーのヒドロキシルまたはカルボキシル基と反応して酸不安定性アセタール結合を形成するものと考えられる。このようなビニルエーテルを末端に有する架橋剤の例には、ビス(4−ビニルオキシブチル)アジペート; ビス(4−ビニルオキシブチル)スクシネート; ビス(4−ビニルオキシブチル)イソフタレート; ビス(4−ビニルオキシメチルシクロヘキシルメチル)グルタレート; トリス(4−ビニルオキシブチル)トリメリテート; ビス(4−ビニルオキシメチルシクロヘキシルメチル)テレフタレート; ビス(4−ビニルオキシメチルシクロヘキシルメチル)イソフタレート; ビス(4−ビニルオキシブチル)(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスカルバメート; 1,2,4−トリス(4−ビニルオキシブチル)シクロヘキサントリカルボキシレート; ビス(4−ビニルオキシブチル)(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスカルバメート; 及びトリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、Aldrich Companyによって供給される様々なVectomer(登録商標)ビニルエーテルモノマー、及びビニルオキシ側基を有するポリマーなどが挙げられる。他のビニルエーテルを末端に持つ架橋剤は、T.Yamaoka,et al.,Trends in Photochem.Photobio.,7:45(2001)(非特許文献1); S.Moon,et al.,Chem.Mater.,6:1854(1994)(非特許文献2); またはH.Schacht,et al.,ACS Symp.Ser.706:78(1998)(非特許文献3)に記載されており、これらもまた使用し得る。なお、これらの文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。該ポリマーと反応した時に不安定性基を供し得る他の架橋剤またはクエンチャは、2008年11月12日に出願されたHoulihanらの米国特許出願第12/269,072号明細書(特許文献7)に記載されている。この文献の内容は、本明細書に掲載されたものとする。
【0039】
架橋剤は、ポリマー上の反応性基当たりビニルエーテル架橋性官能基0.20〜2.00モル当量を与える割合で反射防止コーティングに加えることができ、特に好ましくは反応基当たり0.50〜1.50反応性当量である。
【0040】
本発明の反射防止コーティング組成物は光酸発生剤を含み、反射防止コーティング中の光酸発生剤及びフォトレジスト中の光酸発生剤は、光の同じ波長に感度を示し、それ故、同一の光の放射波長が、両方の層に酸を生成させることができる。反射防止膜中の光酸発生剤から光発生を介して存在する反射防止コーティング中の露光された領域中の酸は、酸に不安定な架橋結合と反応してポリマーを解架橋して、反射防止コーティングの露光された領域を水性アルカリ性現像剤中に可溶性にする。選択される反射防止コーティングの光酸発生剤は、使用すべきフォトレジストに依存する。該新規組成物の光酸発生剤(PAG)は、所望の露光波長、好ましくは深紫外線フォトレジストには248nm、193nm及び157nmで吸収を示すものから、及び365nm、436nm及びブロードバンドフォトレジストにはナフトキノンジアジドまたはスルホニウム塩から選択される。酸発生感光性化合物の適当な例には、限定はされないが、イオン性光酸発生剤(PAG)、例えばジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、または非イオン性PAG、例えばジアゾスルホニル化合物、スルホニルオキシイミド類、及びニトロベンジルスルホネートエステル類などが挙げられるが、照射時に酸を生成するものであれば任意の感光性化合物を使用し得る。オニウム塩は、通常は、有機溶剤中に可溶性の形で、大概はヨードニウムまたはスルホニウム塩の形で使用され、これの例は、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート及びこれらの類似物などである。使用し得る、照射時に酸を形成する他の化合物は、トリアジン類、オキサゾール類、オキサジアゾール類、チアゾール類、置換された2−ピロン類である。フェノールスルホン酸エステル類、ビス−スルホニルメタン類、ビス−スルホニルメタン類またはビス−スルホニルジアゾメタン類、トリフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリフェニルスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジフェニルヨードニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、ジフェニルヨードニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及びこれらの同族体も同様に可能な候補である。光活性化合物の混合物も使用し得る。
【0041】
365nmでの露光には、光酸発生剤はスルホニウム塩またはジアゾナフトキノン類、特に該ポリマーの酸に不安定な基と反応し得る酸を生成することができる2,1,4−ジアゾナフトキノン類であることができる。オキシムスルホネート類、置換されたもしくは置換されていないナフタルイミジルトリフレート類またはスルホネート類も光酸発生剤として知られている。上面フォトレジストと同じ波長の光を吸収するものであれば任意の光酸発生剤を使用し得る。当技術分野で既知の光酸発生剤、例えばUS5,731,386(特許文献8)、US5,880,169(特許文献9)、US5,939,236(特許文献10)、US5,354,643(特許文献11)、US5,716,756(特許文献12)、DE3,930,086(特許文献13)、DE3,930,087(特許文献14)、独国特許出願第P4,112,967.9号明細書(特許文献15)、F.M.Houlihan et al.,J.Photopolym.Sci.Techn.,3:259(1990)(非特許文献4);T.Yamaoka et al.,J.Photopolym.Sci.Techn.,3:275(1990)(非特許文献5),L.Schlegel et al.,J.Photopolym.Sci.Techn.,3:281(1990)(非特許文献6)またはM.Shirai et al.,J.Photopolym.Sci.Techn.,3:301(1990)(非特許文献7)に記載のものなどを使用し得る。これらの米国特許及び特許出願明細書の内容は本明細書に掲載されたものとする。
【0042】
反射防止コーティング組成物の固形成分は、該反射防止コーティングの固形成分を溶解する溶剤または溶剤混合物と混合する。反射防止コーティング組成物の適当な例には、例えば、グリコールエーテル誘導体,例えばエチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、またはジエチレングリコールジメチルエーテル; グリコールエーテルエステル誘導体、例えばエチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、またはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート; カルボキシレート類、例えば酢酸エチル、酢酸n−ブチル及び酢酸アミル; 二塩基性酸のカルボキシレート類、例えばジエチルオキシレート及びジエチルマロネート; グリコール類のジカルボキシレート類、例えばエチレングリコールジアセテート及びプロピレングリコールジアセテート; 及びヒドロキシカルボキシレート類、例えば乳酸メチル、乳酸エチル、グリコール酸エチル、及びエチル−3−ヒドロキシプロピオネート; ケトンエステル類、例えばピルビン酸メチルまたはピルビン酸エチル; アルコキシカルボン酸エステル類、例えばメチル3−メトキシプロピオネート、エチル3−エトキシプロピオネート、エチル2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオネート、またはメチルエトキシプロピオネート; ケトン誘導体、例えばメチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンまたは2−ヘプタノン; ケトンエーテル誘導体、例えばジアセトンアルコールメチルエーテル; ケトンアルコール誘導体、例えばアセトールまたはジアセトンアルコール; ケタールまたはアセタール類、例えば1,3ジオキサラン及びジエトキシプロパン; ラクトン類、例えばブチロラクトン; アミド誘導体、例えばジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド、アニソール、及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0043】
本発明の組成物は、更に、熱酸発生剤を含むことができる。架橋は、熱の存在下に、ヒドロキシル及び/またはカルボキシル基を含むポリマーと架橋剤との間で起き得るが、典型的には、反応時間は長くなり得る。熱酸発生剤は、この架橋反応を加速するために使用され、そして短い硬化時間が好ましい場合に望ましい。熱酸発生剤は、加熱時に酸を放出する。任意の既知の酸または熱酸発生剤を使用でき、限定はされないが、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、スクアリン酸、2−ニトロベンジルトシレート、クロロ酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ノナフレート酸、トリフルオロメタンスルホン酸、有機スルホン酸の他のアルキルエステル、上記の酸の塩によって例示される。追加的に、中程度の酸性度を有する酸、すなわちpKa(酸解離定数の−log10)が1.0よりも大きい酸を、特に末端にビニルを有する架橋剤との組み合わせで、使用できる。pKaが5.0未満の酸及び1.0超の酸も使用できる。生ずるアセタール結合は、光の作用により発生した酸の存在下に容易に解裂可能である。中程度の酸性度を有する酸または熱酸発生剤から誘導される酸の例は、限定はされないが、マレイン酸(pKa=1.83)、クロロ酢酸(pKa=1.4)、ジクロロ酢酸(pKa=1.48)、シュウ酸(pKa=1.3)、ケイ皮酸(pKa=4.45)、酒石酸(pKa=4.3)、グリコール酸(pKa=3.8)、フマル酸(pKa=4.45)、マロン酸(pKa=2.8)、シアノ酢酸(pKa=2.7)などである。塩基によってブロックされて熱酸発生剤を形成する酸が好ましい。上述のような酸は、アミン等の塩基によってブロックし得る。典型的な塩基は、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリドデシルアミンなどである。加えて、カルボン酸またはアリールカルボン酸などの弱酸のアニオンを有するジアリールまたはトリアルキルスルホニウム塩を使用し得る。塩基によってブロックされた酸は、酸と塩基とを組み合わせることによって形成でき、この際、酸:塩基比率は約1:1〜約1:3の範囲である。所望のpKaを有する酸及びそれらの塩の更なる例は、当技術分野において通常の知識を有する者ならば、入手可能な文献、例えばCRC Handbook of Chemistry and Physics,CRC Press Inc.(非特許文献8)を参照することによって知ることができる。なお、この文献の内容は本明細書に掲載されたものとする。幾つかの態様では、熱酸が、酸が発生された後に、これがコーティング中に永久には残らず、それゆえ、逆反応を促進せず、しかし被膜から除かれるようなものであることも望ましい場合がある。酸は、架橋が起こった後に、熱によって分解するかまたは気化し、そして分解生成物が被膜から焼き出されるか、または酸がコーティングから昇華し得るということが考えられる。そのため、硬化後には、被膜中に遊離の酸が残らないかまたは非常に少量のみ残り、そしてアセタール結合の分解を引き起こす逆反応は起こらない。酸を発生することができ、その後、フォトレジストのコーティングの前に除去できる熱酸発生剤が、幾つかの場合に好ましい。被膜中に残る弱酸もまた機能的であり得る。なぜならば、これらはアセタール結合の分解を大きく妨げないであろうからである。熱酸発生剤から誘導される酸は、好ましくは、約130℃〜約220℃、より好ましくは150℃〜約200℃の温度で反射防止コーティングから除去される。熱酸発生剤は、固形物の0.1〜25重量%、特に0.1〜約5重量%の範囲のレベルで反射防止組成物中に存在し得る。
【0044】
本発明の典型的な反射防止コーティング組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして固形物を約15重量%までの割合で、好ましくは8%未満の割合で含むことができる。固形物は、反射防止コーティング組成物の全固形分を基準にして、光酸発生剤0.01〜25重量%、ポリマー50〜99重量%、架橋剤1〜50重量%、場合により及び熱酸発生剤またはクエンチャ0.01〜25重量%を含むことができる。好ましくは、光酸発生剤の量は約0.01〜約20重量%の範囲である。ポリマーAとポリマーBとの重量比は、基材のリソグラフィ要求に合わせて調節される。組成物中のポリマーBの割合は、基材のトポグラフィに合致させるために調整される。トポグラフィ構造が深いほど、ポリマーAに対してより多量のポリマーBを必要とするであろう。ポリマーA:ポリマーBの重量比は4:1〜1:4または3:1〜1:3または2:1〜1:2であることができる。好ましくは、架橋剤は、約5〜約40重量%、より好ましくは10〜35重量%の範囲である。固形成分は、溶剤中にまたは溶剤の混合物中に溶解され、そして濾過して不純物を取り除く。該反射防止コーティングの成分は、イオン交換カラムに通したり、濾過、及び抽出プロセスなどの技術によって処理して、製品の品質を高めることもできる。
【0045】
コーティングの性能を増強するために、本発明の反射防止組成物には他の成分も加えることができ、例えば低級アルコール、表面レベリング剤、塩基クエンチャ、粘着促進剤、消泡剤などを加えることができる。これらの添加剤は、30重量%までの量で存在し得る。他のポリマー、例えばノボラック、ポリヒドロキシスチレン、ポリメチルメタクリレート及びポリアリーレートを該組成物に加えてもよいが、性能が悪影響を受けないことが条件である。好ましくは、このポリマーの量は、該組成物の全固形物の35重量%未満に、より好ましくは20重量%未満、更により好ましくは15重量%未満に抑える。安定性を高めるために塩基も該組成物に加えてもよい。光塩基及び非光塩基の両方が既知の添加剤である。塩基の例は、アミン類、水酸化アンモニウム、及び感光性塩基である。特に好ましい塩基は、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリオクチルアミン、n−オクチルアミン、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、トリフェニルスルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムシクラメート及びトリス(tert−ブチルフェニル)スルホニウムシクラメートである。
【0046】
該新規組成物の吸収パラメータ(k)は、エリプソメトリーを用いて測定して、約0.1〜約1.0、好ましくは約0.15〜約0.7の範囲である。反射防止コーティングの屈折率(n)も最適化される。n及びk値は、エリプソメータ、例えばJ.A.Woollam WVASE VU−302TMエリプソメータを用いて計算できる。k及びnの最適な範囲の正確な値は、使用する露光波長及び適用のタイプに依存する。193nmに典型的には、好ましいkの範囲は0.1〜0.75であり、248nmでは好ましいkの範囲は0.15〜0.8であり、そして365nmでは好ましい範囲は0.1〜0.8である。反射防止コーティングの厚さは、上面フォトレジストの厚さよりも薄い。好ましくは、反射防止コーティングの膜厚は、(露光波長/屈折率)の値よりも薄く、より好ましくは、厚さは、(露光波長/2×屈折率)の値よりも薄く、ここで屈折率は、反射防止コーティングの屈折率であり、エリプソメータを用いて測定できる。反射防止コーティングの最適な膜厚は、露光波長、反射防止コーティング及びフォトレジストの屈折率、上面及び底面コーティングの吸収特性、及び基材の光学特性によって決まる。底面反射防止コーティングは、露光及び現像ステップにより除去しなければならないので、最適な膜厚は、反射防止コーティング中に光の吸収が存在しない光学ノードを避けることによって決定される。
【0047】
該反射防止コーティング組成物は、当業者には周知の技術、例えばディップコート法、スピンコート法またはスプレーコート法などを用いて基材に塗布される。当技術分野で既知の様々な基材、例えば平坦であるか、トポグラフィーを有するかまたはホールを有する基材を使用し得る。半導体基材の例は結晶性及び多結晶性ケイ素、二酸化ケイ素、(オキシ)窒化ケイ素、アルミニウム、アルミニウム/ケイ素合金、及びタングステンである。或る場合には、基材の縁のところに、エッジビードと称されるフォトレジストフィルムの堆積物が生ずることがある。このエッジビードは、当技術分野において通常の知識を有する者にとって周知の技術を用いて、溶剤または複数種の溶剤の混合物を用いて除去できる。本発明の組成物は、エッジビードリムーバと特に相性がよい。エッジビードリムーバに使用される典型的な溶剤は、乳酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、またはこれらの混合物である。コーティングは次いで硬化される。好ましい温度範囲は、ホットプレートまたは等価の加熱装置では、約30〜120秒間で約120℃〜約240℃、より好ましくは45〜90秒間で約150℃〜約200℃である。反射防止コーティングの膜厚は約20nm〜約300nmの範囲であることができる。相分離した底部層の厚さは、約10nm〜約200nmの範囲であることができる。相分離した上部相の厚さは約10nm〜約100nmの範囲であることができる。最適な膜厚は、当業界において周知な通り、良好なリソグラフィー性が得られる膜厚に、特にフォトレジスト中に定在波が観察されない膜厚となるよう決定される。図1は、該反射防止コーティングの相分離を示しており、ここで本発明の新規の現像可能な底面反射防止コーティング(DBARC)は、トポグラフィーを有する基材上にコーティングされる。コーティングは相分離し、ここでポリマーBが主としてトポグラフィを覆い、そしてポリマーAが主としてトポグラフィ図形上に上部層を形成する。該DBARCの硬化した上部反射防止層は、この段階では、アルカリ性現像溶液中に不溶性である。次いでフォトレジストが、反射防止コーティングの上にコーティングされる。
【0048】
水性アルカリ性溶液で現像されるポジ型フォトレジストが本発明に有用であるが、フォトレジスト及び反射防止コーティング中の光活性化合物が、フォトレジストの像形成プロセスに使用される同じ露光波長で吸収を示すことが条件である。ポジ型フォトレジスト組成物は、放射線に像様露光され、放射線に曝された領域のフォトレジスト組成物が現像剤溶液により溶けやすくなり、他方、未露光の領域は、現像剤溶液に比較的不溶性のままである。それゆえ、露光されたポジ型フォトレジストを現像剤で処理すると、コーティングの露光された領域が除去されて、フォトレジストコーティングにポジ型の像が形成される。フォトレジスト解像度とは、レジスト組成物が、露光及び現像の後に、高いレベルの鋭い像縁をもってフォトマスクから基材へと転写できる最小の図形(feature)と定義される。現在の多くの製造用途では、1ミクロン未満のオーダーのレジスト解像度が必要である。加えて、現像されたフォトレジストの壁の側面が基材に対してほぼ垂直であることが大概の場合に望まれる。レジストコーティングの現像された領域と現像されていない領域との間のこのような明確な境界画定が、基材へのマスク像の正確なパターン転写に繋がるのである。微細化に向かう動向がデバイス上での微小寸法(CD)を小さくしているのでこの事はより一層重要な事柄となっている。
【0049】
ノボラック樹脂及び光活性化合物としてのキノン−ジアジド化合物を含むポジ型フォトレジストは当技術分野において周知である。ノボラック樹脂は、典型的には、ホルムアルデヒドと一種またはそれ以上のポリ置換フェノールとを、酸触媒、例えばシュウ酸の存在下に縮合させることによって製造される。光活性化合物は、一般的に、ポリヒドロキシフェノール化合物を、ナフトキノンジアジド酸またはそれらの誘導体と反応させることによって得られる。これらのタイプのレジストの感度は、典型的には、約300nm〜440nmの範囲である。
【0050】
これまで、微細化に大きな進展をもたらした幾つかの主要な深紫外線(uv)露光技術があり、これらは、248nm、193nm、157nm及び13.5nmの放射線である。248nm用のフォトレジストは、典型的には、置換されたポリヒドロキシスチレン及びそれのコポリマー/オニウム塩、例えばUS4,491,628(特許文献16)及びUS5,350,660(特許文献17)に記載のものなどに基づく。他方、200nm未満の露光用のフォトレジストは、芳香族類がこの波長で不透明なために非芳香族ポリマーを必要とする。US5,843,624(特許文献18)及びUS6,866,984(特許文献19)は、193nm露光用に有用なフォトレジストを開示している。一般的に、脂肪環式炭化水素を含むポリマーが、200nm未満の露光用のフォトレジストに使用される。脂肪環式炭化水素は多くの理由からポリマーに組み入れられる。主には、これらは、耐エッチング性を向上する比較的高い炭素:水素比を有し、またこれらは低い波長で透明性を供し、更にこれらは比較的高いガラス転移温度を有するからである。US5,843,624(特許文献18)は、無水マレイン酸及び不飽和環状モノマーとを遊離基重合することによって得られる、フォトレジスト用ポリマーを開示している。193nmフォトレジストの既知の任意のタイプのいずれも使用でき、例えばUS6,447,980(特許文献20)及びUS6,723,488(特許文献21)に記載ものなどが挙げられる。これらの特許文献の内容は本明細書中に掲載されたものとする。
【0051】
次いで、フォトレジストのフィルムを、硬化された反射防止コーティングの上にコーティングし、そしてベークしてフォトレジスト溶剤を実質的に除去する。次いで、フォトレジスト及び反射防止コーティング層を化学線に像様露光する。次の加熱ステップでは、露光ステップ中に発生した酸が反応して、反射防止コーティング組成物のポリマーを解架橋して、反射防止コーティングの露光された領域を現像溶液中にアルカリ可溶性に変える。露光後ベークステップ用の温度は、ホットプレートまたは等価の加熱システムで30〜200秒間で40℃〜200℃の範囲、好ましくは40〜90秒間で80℃〜160℃の範囲であることができる。幾つかの場合には、露光後ベークを省略することができる。なぜならば、一部のアセタール酸不安定性結合などの或るケミストリーによっては、室温で解保護化が進行し得るからである。該反射防止コーティングの露光された領域中のポリマーは、今や水性アルカリ性溶液中に可溶性である。この二層システムを次いで水性アルカリ性現像剤中で現像して、フォトレジスト及び反射防止コーティングを除去する。フォトレジスト及び反射防止コーティングは、水性アルカリ性現像剤を用いて単一のステップで現像できる。現像剤は、好ましくは、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む、水性アルカリ性溶液である。現像剤は、更に、添加剤、例えば界面活性剤、ポリマー、イソプロパノール、エタノールなどを含んでもよい。フォトレジストコーティング及び反射防止コーティングを塗布及び像形成する方法は当業者には周知であり、使用したフォトレジストと反射防止コーティングとの組み合わせの特定のタイプに合わせて最適化される。像が形成された二層システムは、次いで、集積回路の製造プロセスによって要求されるように二次加工、例えば金属堆積及びエッチングをすることができる。
【0052】
上記に言及した米国特許及び特許出願はいずれも、全ての目的に関して、その内容の全てが本明細書に掲載されたものとする。以下の具体例は、本発明の組成物を製造及び使用する方法の詳細な例示を与えるものである。しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に使用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈するべきものではない。他に記載がなければ、範囲及び数値は重量に基づく。
【実施例】
【0053】
吸収パラメータ(k)及び屈折率(n)は、角度可変分光エリプソメトリを用いて測定した。底部反射防止コーティング(B.A.R.C.)溶液は、下塗りしたケイ素ウェハ上にスピンコートし、そしてベークして所定のフィルム厚を得た。次いで、これらのコーティングされたウェハを、J.A.WoollamまたはSopra Corporation社製のエリプソメータを用いて測定した。得られたデータを近似(fit)してB.A.R.C.フィルムのk及びn値を得た。水接触角は、VCA2500XEビデオ接触角装置を用いて測定した。
【0054】
例1:(PQMA/AMMA/MA−BTHB−OH)ターポリマーの合成
【0055】
【化5】

【0056】
攪拌機、熱電対及び還流冷却器を備えた250mL丸底フラスコ中に、窒素下に、9−アントラセニルメチルメタクリレート(AMMA,4.34g)、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート(PQMA、8.410g)、1−ヒドロキシ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)−3−ブチルメタクリレート(MA−BTHB−OH、4.87g)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN、0.86g)、及びテトラヒドロフラン(THF、106.50g)を加え、そして攪拌して固形物を溶解した。この混合物を5時間65℃に加熱し、30分間室温に冷却し、次いでヘキサン類(800mL)中に析出させた。その析出物を真空濾過して集め、テトラヒドロフラン(THF)(90mL)中に溶解し、そしてヘキサン類(800mL)中にもう一度析出させた。その析出物を真空濾過によって集め、45℃で乾燥して白色の固形物(14.4g、79%)を得た。ポリマーの分子量及びNMR組成を表1に示す。
【0057】
このポリマーは、248nmで1.56&0.33、193nmで1.76&0.46のn&k値を有していた。
【0058】
例2:PQMA/EAdMA/PFPMAターポリマーの合成
攪拌機、熱電対及び還流冷却器を備えた250mL丸底フラスコ中に、窒素下に、2−エチルアダマンチルメタクリレート(EAdMA、7.75g)、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート(PQMA、16.69g)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート(PFPMA,6.81g)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN、6.25g)、及びテトラヒドロフラン(THF、87.50g)を加え、そして攪拌して溶解させた。この混合物を5時間65℃に加熱し、30分間室温に冷却し、次いでヘキサン類(875mL)中に析出させた。この析出物を真空濾過によって集め、THF(85mL)中に溶解し、そしてヘキサン類(875mL)中にもう一度析出させた。最後に、析出物を80mLのメタノール中に再溶解し、そして水(875mL)中で析出させた。析出物を真空濾過によって集めそして45℃で乾燥して白色の固形物(23.14g、74%)を得た。ポリマーの分子量及びNMR組成を表1に示す。
【0059】
ポリマーは、193nmで1.81及び0.59のn&kを有していた。
【0060】
例3:PQMA/PFPMA/MA−3,5−HFA−CHOHターポリマー
攪拌機、熱電対及び還流冷却器を備えた250mL丸底フラスコ中に、窒素下に、3,5−ビス(ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシ−2−プロピル)シクロヘキシルメタクリレート(MA−3,5−HFA−CHOH、8.28g)、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート(PQMA、11.78g)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート(PFPMA,6.02g)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN、3.91g)、及びテトラヒドロフラン(THF、70.00g)を加え、そして攪拌して溶解させた。この混合物を5時間65℃に加熱し、15分間冷却し、メタノール(3mL)で急冷し、更に室温まで冷却し、次いでヘキサン類(750mL)中に析出させた。その析出物を真空濾過によって集め、THF(85mL)中に溶解し、そしてヘキサン類(750mL)中にもう一度析出させた。最後に、その析出物を70gのメタノール中に再溶解し、そして水(750mL)中で析出させた。その析出物を真空濾過によって集めそして45℃で乾燥して白色の固形物(22.19g、85%)を得た。このポリマーのn&k値は、193nmで1.71及び0.38であった。ポリマーの分子量及びNMRを表1に示す。
【0061】
例4:ポリマーの相分離の証明
0.3388gのポリヒドロキシスチレン及び0.27gの例1からのポリマーをPGMEA中に混合することによって15gの溶液を調製した。この溶液を8インチケイ素ウェハ上にコーティングし、60分間180℃でベークした。次いで、このコーティングされたウェハを静的接触角測定に使用した。同様にして、表1に示す各ポリマーを使用して他のポリマー溶液を調製した。ポリマーBの粘度に依存して、ポリマーAに対するそれの相対重量比を変えた。全ての場合において、適当な重量のポリマーBを、(60nmFTを与えた)ポリマーAと同じrpmで100nmFTを与えるように、取った。静的接触角(SCA)測定は、種々のポリマーの分離能力を検証するために行った。親水性ポリマー単独の接触角と、加えて、自己分離性フッ素化疎水性ポリマーの接触角を測定した。結果は、これらの二つのポリマー間に層の分離があることを示し、これは、これら二種のポリマー間に十分な化学的相違があることを示唆する。該DBARC組成物の接触角は、実験誤差内で、該組成物に使用した個別の疎水性ポリマーAの接触角と同一であり、このことは、この疎水性ポリマーが、DBARCフィルム中で上部層を形成していることを示す。また、これらの充填親水性ポリマーは、現像剤可溶性であることが確認された。結果を表1に示す。DBARC組成物中の疎水性ポリマーAと親水性ポリマーBとの接触角の違いはΔSCAとして示す。
【0062】
【表1】

【0063】
PHS: ポリヒドロキシスチレン
HPQMA: ポリ(4−ヒドロキシフェニル)メタクリレート
AMMA: 9−アントラセニルメチルメタクリレート
MMA: メチルメタクリレート
ポリマーA: 親水性ポリマー
ポリマーB: 疎水性ポリマー
DBARC: 現像可能な反射防止コーティング
ΔSCA: ポリマーAまたはDBARCの接触角−ポリマーBの接触角
SCA: 静的接触角
【0064】
例5: 248nm露光用の調合物調製:
例1のポリマー1.32g、ポリ(ヒドロキシスチレン−co−メチルメタクリレート)0.22g、1,2,4−トリス(4−ビニルオキシブチル)シクロヘキサントリカルボキシレート0.35g、光酸発生剤としてのビス[(トリフェニル)スルホニウム]パーフルオロブタンスルホネート7.1g、テトラメチルアンモニウムデオキシコレート0.093g、PGMEA46.96g、PGME39.13g及びEL11.74gをプラスチックボトル中で混合し、そして室温で6時間混ぜ続け、そして以下に示すようにリソグラフィを評価した。
【0065】
上記の処方においてポリ(ヒドロキシスチレン−co−メチルメタクリレート)ポリマーの代わりに、ポリ(ヒドロキシスチレン)か、またはポリ(ヒドロキシスチレン(61)−co−t−ブトキシスチレン(39))のコポリマーを使用して、追加の調合物を調合した。
【0066】
例6:248nm波長へのリソグラフィ露光
8インチケイ素ウェハを、120℃で35秒間、HMDSで下塗りした。次いで、下塗りしたウェハを例5で調製した調合物でコーティングし、そして170℃で60秒間ベークして70nmの膜厚を得た。次いで、AZ(登録商標)DX6850PTMKrFフォトレジスト(AZ(登録商標)Electronic USA Corp.70,Meister Ave.,Somerville,NJから入手可能)を、前記の硬化した膜の上にコーティングし、そして100℃/90秒のベークに付し及び110℃/90秒で露光後ベークした。図形を、AZ300MIFTM現像剤溶液(AZ(登録商標)Electronic USA Corp.70,Meister Ave.,Somerville,NJから入手可能)を用いて60秒間現像した。1/2輪帯照明を有する0.65NA FPA3000EX5ツールを、6%HTPSMマスクと共に使用した。150、200、300nm密集ライン/スペースの図形及び220nm孤立ラインの図形を評価した。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
例7:254nm&193nmコンタクト露光:
0.52gのポリ(4−ビニルフェノール)(ポリマーB)、0.4gのPQMA/AMMA/MA−BTHB−OHポリマー(例1、ポリマーA)、0.23gの1,2,4−トリス(4−ビニルオキシブチル)シクロヘキサントリカルボキシレート、光酸発生剤としての0.065gのビス[(トリフェニル)スルホニウム]パーフルオロブタンスルホネート、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(9.53g)/乳酸エチル(0.65g)の混合物を含むDBARC調合物を8インチケイ素ウェハ上にコーティングし、180℃/60秒間ベークし、そしてコンタクトマスクを用いて、フラッド露光(flood exposure)により深紫外線源254nmフィルタ&193nmフィルタに別々に曝し50mJの全線量を供した。193nm&254nm露光において、DBARC像が少なくとも10mJ/cmの感光度をもって解像されたことが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性アルカリ性溶液中で現像することによってパターンを形成することができる光像形成性反射防止コーティング組成物であって、
(i)コーティング溶剤中に可溶性であって、発色団、フッ素化基、架橋性部分、任意に及び、水性アルカリ性溶液中へのポリマーの可溶性を助ける官能基(好ましくは酸または熱に不安定な基)を酸または熱条件下に生成する解裂性基を含むポリマーA、及び;
(ii)少なくとも一種の光酸発生剤;
(iii)架橋剤;
(iv)任意に、熱酸発生剤;
(v)現像の前に水性アルカリ性溶液中に可溶性であり、かつポリマーAと不混和性で、コーティング溶剤中に可溶性のポリマーB;
(vi)コーティング溶剤組成物、及び
(vii)任意に、クエンチャ、
を含む、前記光像形成性反射防止コーティング組成物。
【請求項2】
架橋性部分がヒドロキシル及び/またはカルボキシルである、請求項1の反射防止コーティング組成物。
【請求項3】
ポリマーAにおいて、ヒドロキシ基がヒドロキシ芳香族であり、好ましくはヒドロキシフェニル、ヒドロキシナフチル、及びヒドロキシアントラシルから選択される、請求項1または2の反射防止コーティング組成物。
【請求項4】
ポリマーAにおいて、フッ素化基が、フルオロアルコール、パーフルオロアルキル、及び部分フッ素化アルキル基から選択される、請求項1〜3のいずれか一つの反射防止コーティング組成物。
【請求項5】
ポリマーAが次の構造を有する、請求項1〜4のいずれか一つの反射防止コーティング組成物。
【化1】

式中、R〜Rは独立してHまたはC−Cアルキルであり、Xは単原子価結合または連結基であり、Chrは発色団を含み、Wは、Hまたは架橋性官能基であり、Rは部分または完全フッ素化アルキル基であり、Yは、H、OH、COOR及びCOOHから選択され、Rはアルキルであり、Zは架橋性官能基であり、Lは不安定性基であり、a>1、b>1及びc≧0、d≧0であり、a、b、c及びdは存在する場合に正の整数である。
【請求項6】
ポリマーBが、ヒドロキシフェニルと、アクリレートから誘導されるモノマー性単位とを含む、請求項1〜5のいずれか一つの反射防止コーティング組成物。
【請求項7】
ポリマーBが、ポリマーAよりも小さい水接触角を有し、ここで好ましくは、ポリマーAとポリマーBとの水接触角の差異が5〜25度の範囲である、請求項1〜6のいずれか一つの反射防止コーティング組成物。
【請求項8】
光像形成性反射防止コーティング組成物に像を形成する方法であって、
a)請求項1〜7のいずれか一つの底面光像形成性反射防止コーティング組成物のコーティングを基材上に形成し;
b)ポリマーAが分離してポリマーBの上に層を形成するように、反射防止コーティングをベークし;
c)底面コーティングの上に上面フォトレジスト層のコーティングを供し;
d)フォトレジスト及び底面コーティング層を、同じ波長の化学線で像様露光し;
e)基材上でフォトレジスト及び底面コーティング層を露光後ベークし; 及び
f)フォトレジスト及び底面コーティング層を水性アルカリ性溶液で現像して、フォトレジスト層及び反射防止コーティング層にパターンを形成する、
ことを含む前記方法。
【請求項9】
反射防止コーティング組成物のコーティングの後かつそれのベークの前に、エッジビードを除去するステップを更に含む、請求項8の方法。
【請求項10】
反射防止コーティングが、フォトレジスト層のコーティングの前のベークステップの後に有機溶剤及び水性アルカリ性溶液中に不溶性となり、そしてフォトレジスト及び底面反射防止コーティング層の現像の前の化学線による露光の後に水性アルカリ性溶液中に可溶性になる、請求項8または9の方法。
【請求項11】
現像剤がテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを含む、請求項8〜10のいずれか一つの方法。
【請求項12】
水性アルカリ性溶液中で現像することによってパターンを形成することができる光像形成性反射防止コーティング組成物であって、
(i)コーティング溶剤中に可溶性であって、発色団、架橋性部分、任意に及び、水性アルカリ性溶液中でのポリマーの可溶性を助ける官能基を酸または熱条件下に生成する解裂性基を含む、ポリマーA、及び;
(ii)少なくとも一種の光酸発生剤;
(iii)架橋剤;
(iv)任意に、熱酸発生剤;
(v)現像の前に水性アルカリ性溶液中に可溶性であり、かつポリマーAと不混和性で、コーティング溶剤中に可溶性のポリマーB; 及び
(vi)コーティング溶剤組成物、及び
(v)任意に、クエンチャ、
を含む、光像形成性反射防止コーティング組成物。
【請求項13】
ポリマーAとポリマーBとの水接触角の差異が5〜25度の範囲であり、及びポリマーAが、ポリマーBよりも高い接触角を有する、請求項12の反射防止コーティング組成物。
【請求項14】
ポリマーAの解裂性基が酸または熱に不安定な基である、請求項12または13の反射防止コーティング組成物。
【請求項15】
架橋性部分がヒドロキシル及び/またはカルボキシルである、請求項12〜14のいずれか一つの反射防止コーティング組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2013−506865(P2013−506865A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531508(P2012−531508)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007449
【国際公開番号】WO2011/039560
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(305010827)エイゼット・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・コーポレイション (81)
【Fターム(参考)】