説明

ポジ型感光性組成物

【課題】
バーニング不要で優れた密着性を有し、かつひび割れを防止した感光膜を得ることができる新規なポジ型感光性組成物を提供する。
【解決手段】
(A)分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を有する高分子物質、(B)画像露光光源の赤外線を吸収して熱に変換する光熱変換物質、及び(M)樹脂改質剤を含有してなるようにした。前記樹脂改質剤(M)としては、グリセリン及びその誘導体、ジグリセリン及びその誘導体、ポリグリセリン及びその脂肪酸エステル、ヒアルロン酸及びその塩、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、果糖、ブドウ糖、オリゴ糖、オリゴ糖アルコール、マルチトール、トレハロース、還元澱粉加水分解物、グリシンベタイン、ピロリドンカルボン酸及びその塩、並びに乳酸ナトリウム等が好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性組成物に関し、より詳しくは、波長700〜1,100nmのレーザー光に露光感応して該感応部がアルカリ現像液に可溶になる赤外波長域レーザー感応性を有し、ひび割れの起こりにくい感光膜を得ることができるアルカリ可溶性のポジ型感光性組成物に関する。本発明のポジ型感光性組成物は、フォトファブリケーションにおいて有効に用いることができ、特に、印刷版、電子部品、精密機器部品、偽造防止用関連部材等の製造に適用されるフォトファブリケーションの分野に好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
従来、波長700〜1,100nmのレーザー光に露光感応して該感応部がアルカリ現像液に可溶になるポジ型感光性組成物に関し、1)塗布作業室内の湿度が25〜60%の範囲において塗布するときに被塗布対象に塗布してその後のバーニングが不要でアルミニウムに対して必要十分な密着性が得られるのは勿論のこと、特にアルミニウムに比べて遥かに強い密着力が必要な銅又は硫酸銅メッキに対して必要十分な密着性が得られる、2)60〜70秒位の適切な時間で残渣が発生しない良好なアルカリ現像が行なえて、現像液のアルカリ強度が低くても現像が可能であるため、現像中の作業及び廃液処理等が容易である、3)バーニング処理を行なわないことで高感度が保たれレジスト画像のエッジが露光の照射パターンの通りにシャープな輪郭で切れる極めて良好な現像が行なえる、4)現像後の膜減りが少なく膜減りに起因するピンホールの発生が少ない極めて良好な現像が行なえる、4)レジスト画像に光沢があり、そのまま印刷に供しても数千枚刷れる程の耐刷性のあるレジスト画像が得られ、感光膜形成後現像前の取り扱いにおける耐キズ性が向上する、5)レーザーによる画像焼付及び現像のラチチュードが秀逸なポジ型感光性組成物を提供することを目的として、本願出願人は、(A)分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を有する高分子物質、及び(B)画像露光光源の赤外線を吸収して熱に変換する光熱変換物質を含有するポジ型感光性組成物を提案し、好評を得ている(特許文献1)。
【0003】
しかし、上記のような従来のポジ型感光性組成物は、バーニング不要で優れた密着性を有するが、湿度などの変化によってはひび割れが生ずるおそれがある。
【特許文献1】WO2005/001576A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、バーニング不要で優れた密着性を有し、かつひび割れを防止した感光膜を得ることができる新規なポジ型感光性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のポジ型感光性組成物は、(A)分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を有する高分子物質、(B)画像露光光源の赤外線を吸収して熱に変換する光熱変換物質、及び(M)樹脂改質剤を含有してなることを特徴とする。
【0006】
前記高分子物質(A)が、カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を少なくとも1つ有する不飽和化合物(a1)より得られる重合体、並びに前記不飽和化合物(a1)及び該不飽和化合物と共重合可能な化合物(a2)より得られる共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の高分子物質であることが好ましい。
【0007】
前記不飽和合物(a1)が、マレイン酸、(メタ)アクリル酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好適である。本発明において、アクリルとメタクリルを併せて(メタ)アクリルと称する。
【0008】
前記高分子物質(A)が、マレイン酸重合体、(メタ)アクリル酸重合体、スチレン/マレイン酸系共重合体及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の共重合体であることが好ましい。
【0009】
前記高分子物質(A)が、スチレン/無水マレイン酸系共重合体に水酸基を有する化合物を反応させて得られるスチレン/マレイン酸系共重合体であることが好ましい。前記水酸基を有する化合物が、アルコールであることが好適である。
【0010】
前記高分子物質(A)が、下記一般式(1)で示される共重合体であることが好ましい。
【0011】
【化1】

[式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子もしくは置換又は非置換のアルキル基を示し、aは1〜3の整数、bは6〜8の整数である。]
【0012】
前記樹脂改質剤(M)が、グリセリン、グリセリン誘導体、ジグリセリン、ジグリセリン誘導体、ポリグリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の塩、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、果糖、ブドウ糖、オリゴ糖、オリゴ糖アルコール、マルチトール、トレハロース、還元澱粉加水分解物、グリシンベタイン、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸塩及び乳酸ナトリウムからなる群から選択される一種又は二種以上であることが好ましい。
【0013】
前記樹脂改質剤(M)としては、界面活性剤も好適に用いることができる。前記界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸などが使用可能である。
【0014】
本発明のポジ型感光性組成物に、(C)溶解阻止剤をさらに含有することが好適である。
本発明のポジ型感光性組成物に、(D)光酸発生剤をさらに含有することが好適である。
本発明のポジ型感光性組成物に、(E)(1)ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、(2)ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、(3)ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、(4)ポリ酢酸ビニル、(5)ポリビニルブチラール、(6)ポリビニルホルマール、(7)テルペンフェノール樹脂、(8)アルキルフェノール樹脂、(9)メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、及び(10)ケトン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂をさらに含有することが好適である。
本発明のポジ型感光性組成物に、(F)トリアリールメタン系染料をさらに含有することが好ましい。
【0015】
本発明のフォトファブリケーション方法は、本発明のポジ型感光性組成物を用いることを特徴とする。該フォトファブリケーション方法を、印刷版、電子部品、精密機器部品、及び偽造防止用関連部材等を製造する為に適用することが好ましい。
【0016】
本発明の製版方法は、本発明のポジ型感光性組成物を用いることを特徴とする。本発明の製版方法により、凹版(グラビア)、平版、凸版、孔版等の印刷版を作成することができる。
【0017】
本発明のポジ型感光性組成物を感光液として用いたグラビア版の一般的な製版工程は次の通りである。
1.シリンダーに感光液塗布(ドライ膜厚2−5μmが好ましい。ピンホールを無くすため膜は厚い方が良いが、薄い方が使用量が少ない分コストは安くなる。)→2.乾燥(タッチドライまで15分→終了まで15〜20分)→3.露光(光源:半導体レーザー830nm、220mJ/cm)→4.現像(60〜90秒/25℃)→5.水洗(スプレー30秒)→6.エッチング(深度10〜30μm、腐食 塩化第二銅水溶液、銅換算60g/L)→7.レジスト剥離(アルカリ剥離)→8.水洗→9.Crメッキ(水に対してクロム酸250g/L,硫酸2.5g/L)→10.水洗→11.印刷。
【0018】
本発明のポジ型感光性組成物を感光液として用いた平版(PS版)の一般的な製版工程は次の通りである。
1.CTP(PS版)(アルミ研摩→感光液塗布→乾燥)→2.露光(光源:半導体レーザー830nm、220mJ/cm)→3.現像→4.印刷。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、バーニング不要で優れた密着性を有し、かつひび割れを防止した感光膜を得ることができる新規なポジ型感光性組成物を提供することができるという著大な効果を有する。
【0020】
本発明のポジ型感光性組成物は、グラビア印刷用の被製版ロールの硫酸銅メッキ面にポジ型感光膜を形成するのに好ましいが、これに限定されるものではなく、アルミニウム、亜鉛、鋼等の金属板、アルミニウム、亜鉛、銅、鉄、クロム、ニッケル等をメッキ又は蒸着した金属板、樹脂を塗布した紙、アルミニウム等の金属箔を貼着した紙、プラスチックフィルム、親水化処理したプラスチックフィルム、及びガラス板等に適用しても低温での密着性が良好であり、高感度が得られる。
【0021】
従って、感光性平版印刷版、簡易校正印刷用プルーフ、配線板やグラビア用銅エッチングレジスト、フラットディスプレイ製造に用いられるカラーフィルター用レジスト、LSI製造用フォトレジスト等に好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらの実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0023】
本発明のポジ型感光性組成物は、(A)分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を有する高分子物質、(B)画像露光光源の赤外線を吸収して熱に変換する光熱変換物質、及び(M)樹脂改質剤、を必須成分として含有するものであり、必要に応じて、(C)溶解阻止剤、(D)光酸発生剤、(E)(1)ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、(2)ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、(3)ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、(4)ポリ酢酸ビニル、(5)ポリビニルブチラール、(6)ポリビニルホルマール、(7)テルペンフェノール樹脂、(8)アルキルフェノール樹脂、(9)メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、及び(10)ケトン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂、及び(F)トリアリールメタン系染料をさらに配合することが好ましい。
【0024】
前記高分子物質(A)としては、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を有する高分子物質であれば、特に限定されないが、カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を少なくとも1つ有する不飽和化合物(a1)の重合体や、前記不飽和化合物(a1)と該不飽和化合物と共重合可能な化合物(a2)の共重合体が好適な例として挙げられる。前記高分子物質(A)は、カルボキシル基を酸価が30〜500、特に、200〜250になるように含むことが好ましい。重量平均分子量としては1,500〜100,000が好適で好ましく、7,000〜10,000前後のものが更に好ましい。
【0025】
前記不飽和合物(a1)としては、マレイン酸、(メタ)アクリル酸、フマール酸、イタコン酸、及びそれらの誘導体等が好ましく、これらを単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
マレイン酸及びその誘導体(マレイン酸系単量体と称する。)としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル(例えば、マレイン酸モノメチル,マレイン酸モノエチル,マレイン酸モノ−n−プロピル,マレイン酸モノイソプロピル,マレイン酸モノ−n−ブチル,マレイン酸モノイソブチル及びマレイン酸モノ−tert−ブチル等)、マレイン酸ジエステル等が好適な例として挙げられる。
【0027】
(メタ)アクリル酸及びその誘導体[(メタ)アクリル系単量体と称する。]としては、例えば、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)が好適な例として挙げられる。
【0028】
前記不飽和化合物(a1)と共重合可能な化合物(a2)としては、不飽和二重結合を有する化合物が好ましく、スチレン、α−メチルスチレン、m又はp−メトキシスチレン、p−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシメチル−4−ヒドロキシ−スチレン等のスチレンとその誘導体(スチレン系単量体と称する。)が特に好ましい。これらを単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
前記高分子物質(A)としては、前記マレイン酸系単量体の重合体やマレイン酸系単量体を主成分とする共重合体、前記(メタ)アクリル系単量体の重合体や(メタ)アクリル系単量体を主成分とする共重合体、マレイン酸系単量体及び(メタ)アクリル系単量体とスチレン系単量体等の他の単量体との共重合体、マレイン酸系単量体とスチレン系単量体とを共重合して得られるスチレン/マレイン酸系共重合体(以下、共重合体(b1)と称する。)、アクリル系単量体とスチレン系単量体との共重合体、これら重合体の誘導体、又はそれらの変性物が好ましく、マレイン酸重合体、(メタ)アクリル酸重合体、下記一般式(2)及び/又は(3)で示される構造と下記一般式(4)で示される構造とを有する共重合体、又は(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとスチレン系単量体との共重合体がより好ましく、下記一般式(1)で示される共重合体であることがさらに好ましい。
【0030】
【化2】

式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は1価の置換基を示し、水素原子、低級アルキル基又は反応性二重結合を有する基が好ましい。
【0031】
【化3】

【0032】
【化4】

式(4)において、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は1価の置換基を示し、水素原子又はメチル基が好ましい、Rは水素原子又は1価の置換基を示し、水素原子、水酸基、アルキル基又はアルコキシ基が好ましい、Rは水素原子又は1価の置換基を示し、水素原子又はヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0033】
【化5】

式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は1価の置換基であり、水素原子、もしくは置換又は非置換のアルキル基が好ましく、水素原子、低級アルキル基又はアルコキシアルキル基がより好ましい、R及びRが複数存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。R及びRの少なくとも1つが水素原子であることが好ましい、aは0又は1以上の整数であり、1〜3が好ましい、bは1以上の整数であり、6〜8が好ましい。
【0034】
前記スチレン/マレイン酸系共重合体の製造方法は特に限定されず、公知の方法に準じて行うことができるが、スチレン/無水マレイン酸系共重合体(即ち、スチレン系単量体と、無水マレイン酸との共重合物)に水酸基を有する化合物を反応させてエステル化させて得ることが好適である。
【0035】
前記水酸基を有する化合物としては、特に限定はないが、イソプロパノール、n−プロパノール、イソプロパノール/シクロヘキサノール、ブチルアルコール、イソオクタノール、エチレングリコール等のアルコール,エチレングリコールブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル,ジエチレングリコールエチルエーテル等のジエチレングリコールエーテルなどが挙げられる。
【0036】
また、前記高分子物質(A)として、前記共重合体(b1)を、反応性二重結合を有する化合物で変性したもの[以下、共重合体(b2)と称する。]を用いてもよい。この場合の式(2)及び(3)で示される構造と式(4)で示される構造の比率が約1であることが好ましい。上記共重合体(b2)としては、具体的には、共重合体(b1)中の酸無水物基又はカルボキシ基に、反応性二重結合を有する化合物を反応させることにより製造することができる。この場合アルカリ現像を行うために必要なカルボキシル基が共重合体中に残っていることが必要である。
【0037】
前記反応性二重結合を有する化合物としては、炭素−炭素二重結合を有する化合物が好ましく、具体的には、不飽和アルコール(例えば、アリルアルコール、2−ブテン−1−2−オール、フルフリルアルコール、オレイルアルコール、シンナミルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド等),アルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート等),オキシラン環及び反応性二重結合をそれぞれ1個有するエポキシ化合物(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−エチルグリシジルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、イタコン酸モノアルキルモノグリシジルエステル等)等が好適な例として挙げられる。
【0038】
また、上記共重合体(b2)として、不飽和アルコールにより反応性二重結合を導入されたものに、さらに反応性二重結合濃度を大きくするために、前記したオキシラン環及び反応性二重結合をそれぞれ1個有するエポキシ化合物を反応させ、さらに反応性二重結合濃度を大きくしたものを用いてもよい。
【0039】
上記共重合体(b1)及び(b2)の製造方法は特に限定されず、公知の方法(例えば、特公昭47−25470号公報、特公昭48−85679号公報及び特公昭51−21572号公報等参照。)に準じて行なうことができる。スチレン/マレイン酸系重合体以外のカルボキシ基を有する高分子物質も上記と同様に反応性二重結合を導入することができる。共重合体への反応性二重結合の付与は、硬化度の増加及び耐刷性の向上の点から好ましい。
【0040】
本発明のポジ型感光性組成物における高分子物質(A)の含有割合は、特に限定されないが、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(M)成分の固形分総量に対して、80〜98重量%であるのが好ましく、90〜95重量%であるのが更に好ましい。これら高分子物質(A)は、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。
【0041】
前記光熱変換物質(B)としては、吸収した光を熱に変換し得る化合物であれば特に限定はないが、波長700〜1,100nmの赤外線領域の一部又は全部に吸収帯を有する有機又は無機の顔料や染料、有機色素、金属、金属酸化物、金属炭化物、金属硼化物等が挙げられ、前記波長域の光を効率良く吸収し、且つ紫外線領域の光は殆ど吸収しないか又は吸収しても実質的に感応しない光吸収色素が好ましく、下記一般式(5)又は(6)で示される化合物やその誘導体が好適に用いられる。
【0042】
【化6】

[式(5)中、R〜R12は各々独立して、水素原子、メトキシ基、−N(CH、又は−N(Cを示し、Yは対アニオンを示し、YとしてはC−B(C、p−CHSO、又はCFSO等が挙げられる。]
【0043】
【化7】

[式(6)中、R13〜R18は各々独立して、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。Xは対アニオンを示し、Xとしてはハロゲン原子、ClO、BF、p−CHSO、又はPF等が挙げられる。]
【0044】
また、他の光吸収色素としては、例えば、特開平11−231515号公報に記載されているような窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等を含む複素環等がポリメチン(−CH=)nで結合された、広義の所謂シアニン系色素が代表的なものとして挙げられ、具体的には、例えば、キノリン系(所謂、シアニン系)、インドール系(所謂、インドシアニン系)、ベンゾチアゾール系(所謂、チオシアニン系)、イミノシクロヘキサジエン系(所謂、ポリメチン系)、ピリリウム系、チアピリリウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、アズレニウム系等が挙げられ、中で、キノリン系、インドール系、ベンゾチアゾール系、イミノシクロヘキサジエン系、ピリリウム系、又はチアピリリウム系が好ましい。特に、フタロシアニンやシアニンが好ましい。
【0045】
前記光熱変換物質(B)は、波長700〜1,100nmの赤外波長領域の一部又は全部に吸収帯を有し該赤外波長領域のレーザー光を吸収して熱分解する特性を有し、前記カルボキシル基を有する高分子物質(A)の分子の熱切断によるアルカリ可溶性の低分子化・アブレーションに関与する。
【0046】
光熱変換物質の添加量の多少は、露光で発生する熱の過多と不足に関係し、又、赤外レーザー光の強弱は、露光部分に存在する有機高分子物質の熱分解の過多と不足に関係するので適切な量に設定される。本発明のポジ型感光性組成物における光熱変換物質(B)の含有割合は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(M)成分の固形分総量に対して、0.1〜10重量%であるのが好ましく、1〜4重量%であるのが更に好ましい。
【0047】
前記樹脂改質剤(M)として、グリセリン、グリセリン誘導体、ジグリセリン、ジグリセリン誘導体、ポリグリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム等のヒアルロン酸の塩、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、果糖、ブドウ糖、オリゴ糖、オリゴ糖アルコール、マルチトール、トレハロース、還元澱粉加水分解物、グリシンベタイン、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸塩及び乳酸ナトリウムからなる群から選択される一種又は二種以上が好適に用いられる。
【0048】
また、前記樹脂改質剤(M)としては、界面活性剤も好適に用いることができる。前記界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸などが使用可能である。
【0049】
本発明のポジ型感光性組成物における樹脂改質剤(M)の含有割合は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(M)成分の固形分総量に対して、0.1〜3重量%であるのが好ましく、0.5〜2重量%であるのが更に好ましい。
【0050】
前記溶解阻止剤(C)は、露光部と非露光部のアルカリ現像液に対する溶解性の時間差を増大させる目的で配合され、高分子物質(A)と水素結合を形成して該高分子物質の溶解性を低下させる機能を有し、かつ、赤外領域の光を殆ど吸収せず、赤外領域の光で分解されないものが用いられる。
【0051】
前記溶解阻止剤(C)として、下記式(7)で示される化合物(4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール)を用いることが好ましい。
【化8】

【0052】
また、溶解阻止剤(C)として、公知の溶解阻止剤を用いることもできる。具体的には、スルホン酸エステル、燐酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族ジスルホン、カルボン酸無水物、芳香族ケトン、芳香族アルデヒド、芳香族アミン、芳香族エーテル等や、ラクトン骨格、チオラクトン骨格、N,N−ジアリールアミド骨格、又はジアリールメチルイミノ骨格を有する酸発色性色素、ラクトン骨格、チオラクトン骨格、又はスルホラクトン骨格を有する塩基発色性色素、非イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの中では、ラクトン骨格を有する酸発色性色素が好ましい。
【0053】
本発明のポジ型感光性組成物における溶解阻止剤(C)の含有割合は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(M)成分の固形分総量に対して、0.5〜8重量%であるのが好ましく、1〜5重量%がより好ましい。これら溶解阻止剤は単独で使用しても良く、2種以上併用してもよい。
【0054】
前記光酸発生剤(D)は、光により酸を発生する物質であり、増感剤として作用する。前記光酸発生剤(D)としては、例えば、特許文献1記載の化合物、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、芳香族スルホン酸エステル、トリアジン化合物、ジアゾジスルホン系化合物等が挙げられ、下記式(8)で示される化合物が特に好ましい。
【0055】
【化9】

【0056】
光酸発生剤としては、具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)のIRGACUREシリーズ、みどり化学株式会社の製品名:BDE,Anisil,BBI−102,TAZ−101,TAZ−104,TAZ−106,TAZ−110,BC等の光酸発生剤を広く使用できる。又、和光純薬工業株式会社のジアゾジスルホン系、トリフェニルスルホニウム系の光酸発生剤を使用できる。
【0057】
本発明のポジ型感光性組成物における光酸発生剤(D)の含有割合は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(M)成分の固形分総量に対して、0.5〜10重量%であるのが好ましく、1〜5重量%がより好ましい。これら光酸発生剤は単独で使用しても良く、2種以上併用してもよい。また、他の増感剤と組み合わせて使用しても良い。
【0058】
前記樹脂(E)は、(1)ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、(2)ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、(3)ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、(4)ポリ酢酸ビニル、(5)ポリビニルブチラール、(6)ポリビニルホルマール、(7)テルペンフェノール樹脂、(8)アルキルフェノール樹脂、(9)メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、及び(10)ケトン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ可溶性樹脂であり、密着性改良剤として機能する。前記樹脂(E)としては、特許文献1記載の樹脂を同様に用いることができる。
【0059】
本発明のポジ型感光性組成物における樹脂(E)の含有割合は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(M)成分の固形分総量に対して、1〜40重量%であるのが好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
【0060】
前記(F)トリアリールメタン系染料としては、従来公知のトリアリールメタン系の着色染料を広く使用できるが、具体的には、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ビクトリアブルーB、オイルブルー613(オリエント化学工業(株)製の商品名)及びこれらの誘導体が好ましい。これらトリアリールメタン系色素は単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0061】
着色染料を用いることにより、現像によりパターンができた際に感光膜の表面のピンホール、ゴミ等がはっきり認識でき修正液(オペーク)で塗込み作業がし易いという効果がある。染料の濃度が高いほど見やすく好ましい。なお、半導体産業では修正出来ないため、クリーンルームで製造を行っているが、印刷業界、電子部品関連では失敗品を再生させるため、修正を行う。
【0062】
本発明のポジ型感光性組成物における染料(F)の含有割合は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分及び(M)成分の固形分総量に対して、0.1〜10重量%であるのが好ましく、1〜4重量%がより好ましい。
【0063】
本発明のポリ型感光性組成物は、上記した成分に加えて、必要に応じて、他の顔料又は染料等の着色剤、増感剤、現像促進剤、密着性改質剤、塗布性改良剤等の各種添加剤を配合してもよい。現像促進剤は、例えば、ジカルボン酸又はアミン類又はグリコール類を微量添加することが好ましい。
【0064】
本発明のポジ型感光性組成物は、通常、溶媒に溶解した溶液として使用される。溶媒の使用割合は、感光性組成物の固形分総量に対して、通常、重量比で1〜20倍程度の範囲である。
【0065】
溶媒としては、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与えるものであれば特に制限はなく、セロソルブ系溶媒、プロピレングリコール系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、高極性溶媒を使用できる。セロソルブ系溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等が挙げられる。プロピレングリコール系溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。エステル系溶媒としては、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等が挙げられる。アルコール系溶媒としては、ヘプタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール等が挙げられる。高極性溶媒としては、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン系溶媒やジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。その他、酢酸、あるいはこれらの混合溶媒、更にはこれらに芳香族炭化水素を添加したもの等が挙げられる。
【0066】
本発明のポジ型感光性組成物は、通常、前記各成分をセロソルブ系溶媒、プロピレングリコール系溶媒等の溶媒に溶解した溶液として支持体表面であるグラビア印刷用の被製版ロールの銅メッキ面又は硫酸銅メッキ面に塗布し自然乾燥した後、高速回転して被製版ロールの表面で風を切り感光膜内における遠心力による質量作用と表面近傍が若干の負圧状態になることで溶剤残留濃度を6%以下に低減することにより、支持体表面に感光性組成物層が形成されたポジ型感光膜とされる。
【0067】
塗布方法として、メニスカスコート、ファウンティンコート、ディップコート、回転塗布、ロール塗布、ワイヤーバー塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、及びカーテン塗布等を用いることができる。塗布膜の厚さは1〜6μmの範囲とすることが好ましく、さらに3〜5μmとするのが好ましい。
【0068】
ポジ型感光性組成物層を画像露光する光源としては、波長700〜1,100nmの赤外レーザー光線を発生する半導体レーザーやYAGレーザーが好ましい。他に、ルビーレーザー、LED等の固体レーザーを用いることが出来る。レーザー光源の光強度としては、2.0×10mJ/s・cm以上とすることが好ましく、1.0×10mJ/s・cm以上とすることが特に好ましい。
【0069】
本発明のポジ型感光性組成物を用いて形成した感光膜に対して用いる現像液としては、無機アルカリ(例えば、Na、Kの塩等)、又は有機アルカリ(例えば、TMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)、又はコリン等)などの無機又は有機のアルカリからなる現像剤が好ましい。
【0070】
現像は、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等により、通常、15〜45℃程度の温度、好ましくは22〜32℃で行なう。
【実施例】
【0071】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0072】
(実施例1、2及び比較例1)
表1に示す配合物質及び配合割合によりポジ型感光性組成物を調製し、テスト感光液とした。
【0073】
【表1】

【0074】
表1中の各成分は下記の通りである。
樹脂A1:SMA 1440(SARTOMER社製,スチレン/無水マレイン酸共重合体のブチルセロソルブによる部分エステル化物)。
赤外線吸収色素:前記式(3)で示される赤外線吸収色素
樹脂改質剤1:グリセリン
樹脂改質剤2:ソルビトール
溶解阻止剤:TrisP−PA(本州化学工業(株)製、前記式(2)で示される化合物)。
光酸発生剤:IRGACURE 250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、前記式(5)で示される化合物)
樹脂E1:PVP/VAコポリマー(分子量46,000、ガラス転移点96℃のビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドン/酢酸ビニル 50/50)
着色色素:オイルブルー613(オリエント化学工業(株)製、Color Index(C.I.) No. 42595)
PM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
IPA:イソプロピルアルコール
MEK:メチルエチルケトン
【0075】
得られたテスト感光液を用いて下記の実験を行った。なお、実験室内は25℃、表2に示す湿度条件下で実験を行った。ロール母材が鉄であり硫酸銅メッキされ鏡面研磨された200φmmの被製版ロールを、ファウンテンコーティング装置(除湿装置と加湿装置が付設されていて湿度を所望にコントロールできる装置)で両端チャックして25r.p.mで回転し、ワイピングクロスで十分に拭浄した。なお、該ファウンテンコーティング装置は、ポジ型感光性組成物中の溶剤がコーティング中に蒸発して溶剤の割合が変化することを回避するものである。
【0076】
その後、上端からテスト感光液が涌き出るパイプを被製版ロールの一端に約500μmのギャップを有するように位置させ、テスト感光液をコーティングに必要な量だけ湧き出させるようにして、該パイプを被製版ロールの一端から他端まで移動してスパイラルスキャン方式でテスト感光液を均一に塗布し、塗布終了から5分間25r.p.mで回転を続行した後回転停止した。
【0077】
5分間待って、液垂れについて観察したところ、肉眼で液垂れが生じたことが観察できなかった。そして、膜厚測定をしたところ、ロールの下面部分と上面部分とで差異はなかった。もって、液垂れが生じなく状態に乾固した感光膜をセットできたことを確認した。
【0078】
引き続いて、試験ロールを100r.p.mで20分間回転して停止し、感光膜中の溶剤残留濃度を測定したところ、2.9%であった。
【0079】
続いて、試験ロールをクレオサイテックス社の高出力半導体レーザーヘッドを搭載した露光装置(株式会社シンク・ラボラトリー製)に取付けて該試験ロールに赤外波長域のレーザーを照射してポジ画像を焼き付け、次いで、試験ロールを現像装置に取付けて回転して現像槽を上昇させて残渣がなくなるまで現像を行い、その後水洗した。なお、現像液はKOH4.2%(25℃)を用いた。得られたレジスト画像を顕微鏡により評価した。結果を表2に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
表2中の評価方法は下記の通りである。
1)エッジの解像性
解像力テストパターンを用いて、市松模様、グレーチングの7.9μmの線のエッジがシャープかどうかを測定した。表中◎は良好な結果であり解像性が合格、×は画像なしで製版できず解像性が不合格。
2)現像ラチチュード
大日本印刷株式会社製のセル蔵(網点の開孔率自動測定のできる装置)を用いて測定を行った。現像の回数を多くしたテスト(本実施例では3回)により、7.9μm×7.9μmの露光により、セル面積計算で60−75μmに入っている場合は、印刷濃度の許容範囲に入っている為、良好であり、表中◎で示した。印刷許容範囲外の場合を表中×で示した。
3)密着性
tesa test: DIN EN ISO 2409 tesaテープによる碁盤目密着性テストで100マスが全て残る場合を◎、20%未満の範囲で剥離される場合を○、20%以上剥離する場合を×とした。
4)感度
露光量をふり画像パターンに再現性が近いもので感度を決定。露光機はクレオ社のサーマルイメージングヘッドを用いた。
5)現像
残渣がなくなるまでの現像時間を測定した。
6)残膜率
塗膜の厚みを測定する装置であるFILMETRICS Thin Film Analyzer F20(Filmetrics Co製)を用いて、現像前の膜厚、現像後の膜厚を測定し、残膜率を算出した。
7)画像
オリジナル画像に再現性が近いかどうかを評価した。◎:非常に良好、×:非常に悪い、−:現像で画像が無くなる。
8)ひび割れ検査
感光膜にひび割れが発生したか否かを評価した。
【0082】
表2に示した如く、実施例1及び2のポジ型感光性組成物は、湿度15−20%の条件下で、70秒で残渣がないシャープなパターンが得られる良好な現像が得られ、エッチング後も画像に問題がなかった。一方、比較例1では現像後は実施例1及び2と同様に70秒で残渣がないシャープなパターンが得られたが、エッチング時に感光膜にひび割れが生じ、エッチング後の画像に明らかに、エッチングされてはいけない部分がひび割れ状にエッチングされた。レジスト膜とエッチングされる銅表面がエッチング液に投入時、エッチング温度40℃にレジスト膜と銅表面の膨張率が違うためにレジスト膜にひび割れが発生した。
【0083】
なお、硫酸銅メッキ面の代わりに銅面又はアルミニウム面を用いた以外は実施例1と同様に行った場合について実験を行ったがいずれも実施例1と同様、良好な結果が得られた。アルミニウム面の場合、特に広い現像ラチチュードが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を有する高分子物質、
(B)画像露光光源の赤外線を吸収して熱に変換する光熱変換物質、及び
(M)樹脂改質剤
を含有してなることを特徴とするポジ型感光性組成物。
【請求項2】
前記樹脂改質剤(M)が、グリセリン、グリセリン誘導体、ジグリセリン、ジグリセリン誘導体、ポリグリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の塩、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、果糖、ブドウ糖、オリゴ糖、オリゴ糖アルコール、マルチトール、トレハロース、還元澱粉加水分解物、グリシンベタイン、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸塩及び乳酸ナトリウムからなる群から選択される一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1記載のポジ型感光性組成物。
【請求項3】
前記樹脂改質剤(M)が、界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載のポジ型感光性組成物。
【請求項4】
(C)溶解阻止剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポジ型感光性組成物。
【請求項5】
(D)光酸発生剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポジ型感光性組成物。
【請求項6】
(E)(1)ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、(2)ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、(3)ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、(4)ポリ酢酸ビニル、(5)ポリビニルブチラール、(6)ポリビニルホルマール、(7)テルペンフェノール樹脂、(8)アルキルフェノール樹脂、(9)メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、及び(10)ケトン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポジ型感光性組成物。
【請求項7】
(F)トリアリールメタン系染料をさらに含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のポジ型感光性組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載のポジ型感光性組成物を用いることを特徴とするフォトファブリケーション方法。
【請求項9】
印刷版、電子部品、精密機器部品、又は偽造防止用関連部材を製造するために適用されることを特徴とする請求項8記載のフォトファブリケーション方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項記載のポジ型感光性組成物を用いた製版方法。

【公開番号】特開2007−298532(P2007−298532A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115337(P2006−115337)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000131625)株式会社シンク・ラボラトリー (52)
【Fターム(参考)】