説明

ポリイソブチレンベースの架橋性ポリマーおよびそれを含有する医療機器

【課題】ポリイソブチレンベースの架橋性ポリマーまたは架橋ポリマー、そのポリマーを含有する組成物、およびそのポリマーを用いて形成される医療機器を提供する。
【解決手段】一態様によれば、本発明は、ポリイソブチレンセグメントと2つ以上の反応基からなるコポリマーを含む架橋性組成物または架橋組成物に関する。他の態様によれば、本発明は、その組成物を含有する医療機器に関する。他の態様によれば、本発明は、その組成物を用いて医療機器を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ポリイソブチレンベースの架橋性ポリマーおよびそれを含有する医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体内へ植込むかあるいは挿入する医療機器にポリマー材料を使用することは、現代医療の実施において一般的である。例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン、フルオロポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、発泡PTFE(ePTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)のようなポリマー材料が、医療リード線のためにコーティング材料/絶縁体として用いられ、機械的保護、電気的絶縁、またはこれらの双方が得られる。
他の例として、薬剤を放出してステント再狭窄の影響を相殺するためにステントの上にポリマーコーティングを有する薬剤溶出ステントが知られている。薬剤溶出冠状動脈ステントの個々の例としては、Boston Scientific Corp.(TAXUS, PROMUS)、Johnson & Johnson(CYPHER)等から市販されているステントが挙げられる。S.V. Ranade et al., Acta Biomater. 2005 Jan; 1(1): 137-44 and R. Virmani et al., Circulation 2004 Feb 17, 109(6) 701-5を参照のこと。このようなポリマーコーティングには、例えば、ポリ(n-ブチルメタクリレート)のようなホモポリマー、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(イソブチレン-コ-スチレン)のようなコポリマー、例えば、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)三元共重合体(SIBS)を含む様々なタイプのポリマー材料が用いられており、これらは、例えば、Pinchukらの米国特許第6,545,097号明細書に記載されている。SIBS三元共重合体は、軟質エラストマー低ガラス転移温度(Tg)中間ブロックと硬質高Tg末端ブロックを有する。SIBS共重合体は、熱可塑性エラストマーであり、非常に生体適合性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ポリイソブチレンベースの架橋性ポリマーまたは架橋ポリマー、そのポリマーを含有する組成物、およびそのポリマーを用いて形成される医療機器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、本発明は、ポリイソブチレンセグメントと2つ以上の反応基からなる共重合体を含む架橋性組成物または架橋組成物に関する。
【0005】
他の態様によれば、本発明は、その組成物を含有する医療機器に関する。
【0006】
他の態様によれば、本発明は、その組成物を用いて医療機器を製造する方法に関する。
【0007】
他の利点の中でも、架橋は、得られた組成物および機器に、耐摩耗性の改善、溶解性の低下および荷重下での寸法安定性または耐クリープ性の改善を与える。ポリイソブチレンベースのポリマーの使用に関連する利点には、生体安定性および生体適合性が含まれる。
【0008】
本発明のこれらのおよび他の態様および実施態様ならびに種々の追加の利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を見ることにより当業者に容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のより完全な理解は、本発明の多くの態様および実施態様の以下の詳細な説明によって得られる。以下の本発明の詳細な説明は、本発明を具体的に説明するものであるが、限定するものではない。
【0010】
一態様によれば、本発明は、架橋性ポリイソブチレンホモポリマーまたはコポリマー(本明細書においてひとまとめにして“架橋性ポリイソブチレンポリマー”と呼ぶ)を含む組成物に関する。
【0011】
周知のように、“ポリマー”は、一般にモノマーと呼ばれる、1つ以上の構成単位の複数のコピー(例えば、5から10まで25まで50まで100まで250まで500まで1000以上までのコピー)を含有する分子である。本明細書に用いられる用語“モノマー”は、遊離モノマーやポリマーに組み込まれたものを意味し、区別は用語が用いられている前後関係から明らかである。
【0012】
ポリマーは多くの配置を取ることができ、例えば、特に、線状、環状および枝分かれの配置より選ぶことができる。枝分かれ配置には、星型配置(例えば、3つ以上の鎖が1つの分岐点から出ている配置)、櫛型配置(例えば、主鎖と複数の側鎖を有する配置、“グラフト”配置とも呼ばれる)、樹枝状配置(例えば、樹木状ポリマーや多分岐重合体ポリマー)等が含まれる。
【0013】
本明細書に用いられる“ホモポリマー”は、単一の構成単位(すなわち、モノマー)の複数のコピーを含有するポリマーである。“コポリマー”は、少なくとも2つの異なる構成単位の複数のコピーを含有するポリマーである。
【0014】
本明細書に用いられる“ポリマーセグメント”または“セグメント”は、ポリマーの一部である。ポリマーセグメントは、非分枝かまたは分枝であり得る。ポリマーセグメントは、単一のタイプの構成単位(本明細書において“ホモポリマーセグメント”とも呼ばれる)または、例えば、ランダム、統計、傾斜、または周期(例えば、交互)分布で存在することができる、複数のタイプの構成単位(本明細書において“コポリマーセグメント”とも呼ばれる)を含有することができる。
【0015】
本明細書に用いられる軟質セグメントは、体温より低いTg、より典型的には35℃から20℃まで0℃まで-25℃まで-50℃以下までを示すものである。硬質セグメントは、体温を超えるTg、より典型的には40℃から50℃まで75℃まで100℃以上までを示すものである。Tgは、示差走査熱量測定(DSC)、動的機械分析(DMA)および熱機械分析(TMA)によって測定され得る。
【0016】
上述したように、一態様において、本発明は、架橋性ポリイソブチレンポリマーを含む架橋性組成物に関する。ポリイソブチレンポリマーは、例えば、他の可能性の中でも、ポリマーの中に少なくとも1つの反応基、例えば、ポリマーの中に少なくとも1つの炭素-炭素不飽和の位置(例えば、-CH=CH-または-C≡C-に対応する)、より典型的には2つ以上の炭素-炭素不飽和の位置(例えば、2、3、4、5、10以上)を与えることによって架橋性にすることができる。一般に、ポリマー中の反応基(例えば、炭素-炭素不飽和位置等)の数が多いほど、最終生成物の架橋密度が大きい。
【0017】
例えば、ある実施態様において、下記式(I)のポリイソブチレンホモポリマーを形成することができ、末端二重結合(すなわち、ビニル基)を有する:
【化1】

【0018】
(式中、nは、2以上の整数である(例えば、特に、2から5まで10まで25まで50まで100まで250まで500まで1000まで3,000までの範囲にある))。
1つ以上のポリイソブチレンセグメントと、1つ以上の非ポリイソブチレンセグメント(その数例を以下に記載する)と、末端ビニル基とを含むポリイソブチレンコポリマーもまた、本発明に用いるために形成することができる。
【0019】
上記のポリイソブチレンポリマーは末端二重結合を有するが、他の実施態様においては、非末端二重結合を有するポリイソブチレンホモポリマーおよびコポリマーが本発明の実施に使われる。例としては、下記式(II)のポリマーが含まれ、内部二重結合を有する:
【化2】

【0020】
(式中、nは、2以上の整数(特に、2から5まで10まで25まで50まで100まで250まで500まで1000まで3,000までの範囲にある)であり; kは、1、2、3、4、5以上の整数であり、Lは、開始剤残基であり、R1は、-CH3であり、R2は、各々独立して、-H、-X、-CH2X、CHX2、-CX3、-C≡Nまたは-NO2であり、ここで、Xは、各々独立して、ハロゲンであり; Nu2は、-OH、-NH2、ハロゲン、-N3、-O-CH2C2H、-OR3(ここで、R3は、Cl-C12アルキルである)ポリマーまたはコポリマーセグメント、チミン、-CH2-C(O)OH、-C(O)N3、-NHC(O)OR、-C(O)NHR、または-NHC(O)NHRより選ばれ、ここで、Rは、Cl-C12アルキル、またはペプチド-NH-基である)。
例えば、Faustの国際公開第2008/060333号パンフレットを参照のこと。ある実施態様において、式(II)のNu2 R3は、非ポリイソブチレンポリマーセグメント、例えば、以下に記載されるものである。
【0021】
式(II)のポリイソブチレンホモポリマーおよびコポリマーは、本発明の組成物においてそれ自体で用いることができ、あるいはこれらを用いて、以下に詳述される本発明に用いるためのコポリマーをさらに形成することができる、例えば、ポリイソブチレンウレタンコポリマー(例えば、ここで、Nu2は、-OHである)、ポリイソブチレン尿素コポリマー(例えば、ここで、Nu2は、-NH2である)またはポリイソブチレンウレタン/尿素コポリマー(例えば、ここで、Nu2は、-OH、-NH2、またはこれらの双方の組み合わせである)が形成され得る。ウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーもまた、イソシアネート末端ポリイソブチレン(すなわち、Nu2を-N=C=Oで置き換える)を用いて形成され得る。
【0022】
ポリウレタンは、典型的には、多官能性イソシアネート(例えば、脂肪族ジイソシアネートと芳香族性ジイソシアネート双方が含まれるジイソシアナート)とポリオール(例えば、マクログリコール)から合成されるコポリマーの系統群である。例えば、本発明のポリウレタンは、1つ以上のポリイソブチレンセグメントと1つ以上の選択できる非ポリイソブチレンセグメントを含有するマクログリコール(例えば、マクロジオール)から合成され得る。例えば、脂肪族または芳香族性ジオールおよび/またはジアミンを、例えば、ポリウレタンに物理的性質の改善を与える、連鎖延長剤として使うことができる。例えば、連鎖延長剤の使用によりコポリマーにおける硬質セグメント(例えば、MDIのような芳香族ジイソシナネーから生じる)と軟質セグメントの比率の増加の結果として硬度(デュロメータ)が増加し得る。ジアミンが連鎖延長剤として使われる場合、尿素結合が形成され、得られたポリマーはポリウレタン/ポリ尿素と呼ぶことができる。
【0023】
ポリ尿素は、典型的には多官能性イソシアネートとポリアミンから合成されるコポリマーの系統群である。例えば、本発明のポリ尿素は、1つ以上のポリイソブチレンセグメントと1つ以上の選択できる非ポリイソブチレンセグメントを含有するジアミンから合成され得る。ポリウレタンと同様に、脂肪族または芳香族性ジオールまたはジアミンを連鎖延長剤として使うことができる。
【0024】
イソシアネート、アルコールおよびアミンの官能性が得られる化学種を逆転させることによって、例えば、軟質セグメントを得る高分子多官能性イソシアネート(例えば、ポリイソブチレン含有ジイソシアネート、例えば、式(II)(Nuは-C≡Nである)のポリマー)、硬質セグメントを得る小分子ジオールまたはジアミン(例えば、芳香族ジオールまたはジアミン、例えば、メチレンビスフェニレンジオール)および連鎖延長剤として小分子ジイソシアナートを用いることによって、類似のウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーが形成され得ることに留意されたい。
【0025】
上述したように、本発明のウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、典型的には、1つ以上の不飽和の位置を含む。例えば、本発明のある態様によれば、(a)1つ以上のポリイソブチレンセグメント、(b)1つ以上の不飽和の位置、(c)1つ以上ジイソシアネート残基、(d)1つ以上の選択できる連鎖延長剤残基および(e)1つ以上の選択できる非ポリイソブチレンポリマーセグメントを含有するポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーが得られる。
【0026】
1つ以上の不飽和の位置は、種々の方法で本発明のウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーに導入することができる。例えば、本発明のある実施態様において、本発明の不飽和コポリマーは、以下の化学種の1つ以上を用いて形成することができる: (a)1つ以上の不飽和の位置を含有するマクログリコール(例えば、マクロジオール)(例えば、1つ以上のポリイソブチレンセグメントを含有する不飽和マクログリコール、1つ以上の非ポリイソブチレンポリマーセグメントを含有する不飽和マクログリコール、または1つ以上のポリイソブチレンセグメントと1つ以上の非ポリイソブチレンポリマーセグメントを含有する不飽和マクログリコール)、(b)1つ以上の不飽和の位置を含有するジイソシアネートおよび(c)1つ以上の不飽和の位置を含有する連鎖延長剤残基。
【0027】
選択できる非ポリイソブチレンセグメントの例としては、軟質および硬質ポリマーセグメント、例えば、ポリエーテルセグメント、フッ素化ポリエーテルセグメントを含むフルオロポリマーセグメント、ポリエステルセグメント、ポリ(アクリレート)セグメント、ポリ(メタクリレート)セグメント、ポリシロキサンセグメント、ポリスチレンセグメント、およびポリカーボネートセグメントが挙げられる。上述のように、ある実施態様において、その非ポリイソブチレンセグメントが本発明のコポリマーに、マクログリコール(例えば、ジオール)の形で導入される。そのうえ、ある実施態様において、その非ポリイソブチレンセグメントが1つ以上の不飽和の位置を備えてもよい。ポリエーテルセグメントの例としては、線状、枝分れおよび環状のホモポリ(アルキレンオキシド)およびコポリ(アルキレンオキシド)セグメントが挙げられ、特に、以下の1つ以上: メチレンオキシド、ジメチレンオキシド(エチレンオキシド)、トリメチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびテトラメチレンオキシド、ペンタメチレンオキシド、およびヘキサメチレンオキシドおよび高級類似体から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが含まれる。
【0028】
この点で、いくつかの実施態様においては、ポリテトラメチレンオキシドジオール(PTMOジオール)またはポリヘキサメチレンオキシドジオール(PHMOジオール)のようなポリエーテルジオール相溶剤が、ポリウレタン硬質セグメントのPIB軟質セグメントへの一様分布を促進させるためにかつポリマーにおいて好ましいミクロ相分離を達成するために合成プロセスで不飽和ポリイソブチレンホモポリマーのジオールに添加することができる。そのポリアルキレンオキシドもまた、以下の1つ以上のような重要な機械的性質: 特に、引張強さ、引張り係数、曲げ弾性率、伸び、引裂強さ、屈曲疲れ、引張クリープ、および耐摩耗性能を改善する。反応混合物中の軟質セグメント組成物は、PIBジオールとポリエーテルジオール(例えば、PTMOジオール、PHMOジオール等)の質量比を、例えば、100:0から99:1に95:5に90:10に75:25に50:50に25:75に10:90に5:95に0.1:99.9に、より好ましくは90:10から85:15に80:20に75:25に70:30に変えることによって変動し得る。いくつかの実施態様において、PIBジオール、ポリエーテルジオールまたはこれらの双方は、1つ以上の不飽和の位置を備えてもよい。
【0029】
同様に、本発明のポリウレタンにおいて軟質セグメント(例えば、ポリイソブチレンセグメントおよび非ポリイソブチレンソフトセグメント、あるとすれば)と硬質セグメント(例えば、芳香族ジイソシアネートと連鎖延長剤、例えば、ブタンジオール)との質量比は、種々のショア硬さ、広範囲の物理的性質と機械的性質、および機能性能の配列を達成するために、例えば、99:1から95:5に90:10に75:25に50:50に25:75に10:90に5:95に1:99に、より好ましくは95:5に90:10に80:20に70:30に65:35に60:40も50:50に変動させることができる。
【0030】
軟質フルオロポリマーセグメントの例としては、ペルフルオロアクリレートセグメントおよびフッ素化ポリエーテルセグメント、例えば、線状、枝分かれ、環状のホモポリ(フッ素化アルキレンオキシド)やコポリ(フッ素化アルキレンオキシド)のセグメントが挙げられ、特に、以下の1つ以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーのセグメントが含まれる: ペルフルオロメチレンオキシド、ペルフルオロジメチレンオキシド(ペルフルオロエチレンオキシド)、ペルフルオロトリメチレンオキシドおよびペルフルオロプロピレンオキシド。
【0031】
軟質ポリエステルセグメントの例としては、特に、以下の1つ以上から形成される線状、枝分かれおよび環状のホモポリマーおよびコポリマーのセグメントが挙げられる: エチレンアジペート、プロピレンアジペート、テトラメチレンアジペート、ヘキサメチレンアジペートを含むアルキレンアジペート。
【0032】
軟質ポリ(アクリレート)セグメントの例としては、線状、枝分かれおよび環状のホモポリ(アクリレート)およびコポリ(アクリレート)のセグメントが挙げられ、特に、以下の1つ以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが含まれる: メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレートのようなアルキルアクリレート。
【0033】
軟質ポリ(メタクリレート)セグメントの例としては、線状、枝分かれおよび環状のホモポリ(メタクリレート)およびコポリ(メタクリレート)セグメントが挙げられ、特に、以下の1つ以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが含まれる: ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレートのようなアルキルメタクリレート。
【0034】
軟質ポリシロキサンセグメントの例としては、線状、枝分かれおよび環状のホモポリシロキサンおよびコポリシロキサンセグメントが挙げられ、特に、以下の1つ以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが含まれる: ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、メチルエチルシロキサンのようなジアルキルシロキサン。
【0035】
軟質ポリカーボネートセグメントの例としては、以下のカーボネート単位の1つ以上のタイプを含むものが挙げられる
【化3】

(ここで、Rは、直鎖、分枝鎖および環状のアルキル基より選ばれ得る)。
個々の例としては、特に、以下のモノマーの1つ以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが含まれる: エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、およびヘキサメチレンカーボネート。
【0036】
上記のように、選択できる非ポリイソブチレンセグメントの例としては、また、ポリ(ビニル芳香族)セグメント、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)セグメントのような硬質ポリマーセグメントが挙げられる。
【0037】
硬質ポリ(ビニル芳香族)セグメントの例としては、線状、枝分かれおよび環状のホモポリ(ビニル芳香族)およびコポリ(ビニル芳香族)セグメントが挙げられ、特に、以下のビニル芳香族モノマーの1つ以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが含まれる: スチレン、2-ビニルナフタレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-アセトキシスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレンおよび4-メチルスチレン。
【0038】
硬質ポリ(アルキルアクリレート)セグメントの例としては、線状、枝分かれおよび環状のホモポリ(アルキルアクリレート)およびコポリ(アルキルアクリレート)セグメントが挙げられ、特に、以下のアクリレートモノマーの1つ以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが含まれる: t-ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレートおよびイソボルニルアクリレート。
【0039】
硬質ポリ(アルキルメタクリレート)セグメントの例としては、線状、枝分かれおよび環状のホモポリ(アルキルメタクリレート)およびコポリ(アルキルメタクリレート)セグメントが挙げられ、特に、以下のアルキルメタクリレートモノマーの1つ以上から形成されるホモポリマーおよびコポリマーセグメントが含まれる: メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレート。
【0040】
選択できる非ポリイソブチレンセグメントの例としては、さらに、例えば、特に、以下の1つ以上から形成される生物分解性の線状、枝分かれおよび環状のホモポリマーおよびコポリマーセグメントが挙げられる: d-乳酸、l-乳酸、グリコール酸、ε-カプロラクトン、およびd,l-乳酸、ヒドロキシブチレート、チロシンポリエステル、チロシンポリカーボネート、ポリエステルアミド、およびポリアンヒドリド。
【0041】
本明細書に記載される種々のポリイソブチレンおよび選択できる非ポリイソブチレンポリマーセグメントは、分子量が広く異なることができ、典型的には、2と1000反復単位(モノマー単位)の間から構成され、例えば2から5まで10まで25まで50まで100まで250まで500まで1000反復単位までの範囲にある。
【0042】
上述のように、本明細書に記載される種々のポリイソブチレンおよび選択できる非ポリイソブチレンポリマーセグメントは、いくつかの実施態様において1つ以上の反応基(例えば、1つ以上の不飽和の位置)を備え得る。
【0043】
本明細書に記載されている種々のポリイソブチレンおよび選択できる非ポリイソブチレンポリマーセグメントは、ポリオール(例えば、ジオール、トリオール等)の形でまたはポリアミン(例えば、ジアミン、トリアミン等)としてこれらを供給することによって本発明のポリウレタン、ポリ尿素およびポリウレタン/ポリ尿素に組み込むことができる。ポリオールが本明細書に一般的に記載されているが、ポリアミンおよびポリオール/ポリアミンの組み合わせを用いて類似の方法を行うことができるとともに類似の組成物を生成させることができることは理解すべきである。
【0044】
ポリイソブチレンポリオールの個々の例としては、2つ以上の不飽和の位置を含有してもよくあるいは飽和されてもよい(例えば、不飽和が他の物質によって導入される)線状ポリイソブチレンポリオールおよび枝分かれポリイソブチレンポリオール(例えば、3アームポリイソブチレントリオール)が挙げられる。例えば、Faustの特許公開第2008/060333号パンフレット、J.P. Kennedy et al.“Designed Polymers by Carbocationic Macromolecular Engineering: Theory and Practice”, Hanser Publishers 1991, pp. 191-193、Joseph P. Kennedy, Journal of Elastomers and Plastics 1985 17: 82-88、およびその中に引用された参考文献を参照のこと。さらに個々の例としては、各末端に-OH末端官能基を有しかつ0、1、2、3つ以上の不飽和の位置を有する線状ポリイソブチレンジオールが含まれ、これらは、例えば、上記のFaustおよびKennedyの参考文献に記載されているものと同様の方法を用いて形成され得る。
ポリエーテルポリオールの個々の例としては、ポリテトラメチレンオキシドジオールが挙げられ、これらは、Signa-Aldrich Co.、セントルイス、ミズーリ州、米国およびE.I. duPont de Nemours and Co.、ウィルミントン、デラウェア州、米国を含むさまざまな供給源から入手可能である。ポリシロキサンポリオールの個々の例としては、ポリジメチルシロキサンジオールが挙げられ、Dow Corning Corp.、ミッドランド、ミシガン州、米国、Chisso Corp.、東京、日本を含むさまざまな供給源から入手可能である。ポリカーボネートポリオールの個々の例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、例えば、Sigma-Aldrich Co.から入手可能なものが挙げられる。ポリフルオロアルキルエンオキシドジオールの個々の例としては、ZDOLTX、Ausimont、Bussi、イタリア、エトキシル化単位、すなわち、H(OCH2CH2)nOCH2CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2CH2O(CH2CH2O)nH(ここで、n、pおよびqは、整数である)で末端キャップした-CF2CF2O-および-CF2O-単位のランダム分布を含有するコポリペルフルオロアルキレンオキシドジオールが挙げられる。種々の分子量のポリスチレンジオール(α,ω-ジヒドロキシ末端ンポリスチレン)は、Polymer Source, Inc.、モントリオール、カナダから入手可能である。ポリスチレンジオールおよび3アームトリオールは、例えば、M. Weiβmueller et al.,“(Preparation and end-linking of hydroxyl-terminated polystyrene star macromolecules”, Macromolecular Chemistry and Physics 200(3), 1999, 541-551に記載されているものと同様の手順を用いて形成され得る。
【0045】
いくつかの実施態様において、ブロック共重合体に基づくポリオール(例えば、ジオール、トリオール等)が使われる。そのブロック共重合体ポリオールの個々の例としては、以下のもの(0、1、2つの以上の不飽和の位置を含有してもよい)が挙げられる: ポリ(テトラメチレンオキシド-b-イソブチレン)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキシド-b-イソブチレン-b-アルキレンオキシド)ジオール、ポリ(ジメチルシロキサン-b-イソブチレン)ジオール、ポリ(ジメチルシロキサン-b-イソブチレン-b-ジメチルシロキサン)ジオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボナネート-b-イソブチレン)ジオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート-b-イソブチレン-b-ヘキサメチレンカーボネート)ジオール、ポリ(メチルメタクリレート-b-イソブチレン)ジオール、ポリ(メチルメタクリレート-b-イソブチレン-b-メチルメタクリレート)ジオール、ポリ(スチレン-b-イソブチレン)ジオールおよびポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)ジオール(SIBSジオール)。
【0046】
本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーを形成するのに用いることができるホモポリマーおよびコポリマーのポリイソブチレンポリオール(およびポリアミン)の個々の例としては、下記式(II)のポリマーが挙げられる。
【化4】

(式中、nは、2以上の整数である(例えば、特に、2から5まで10まで25まで50まで100まで250まで500まで1000まで3000までの範囲にある); kは1、2、3、4、5以上の整数であり、Lは、開始剤残基であり、R1は、-CH3、R2は、各々独立して、-H、-X、-CH2X、CHX2、-CX3、-C≡Nまたは-NO2であり、ここで、Xは、各々独立してハロゲンである(好ましくは、R2は、-Hである); Nu2は、-OH、-NH2、または-OR3(ここで、R3は、-OHまたは-NH2末端を有する上記のような非ポリイソブチレンセグメントである)より選ばれる。
【0047】
上述のように、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、典型的には、1つ以上のジイソシアネート残基を含み、多くの実施態様においては1つ以上の連鎖延長剤残基も含む。
【0048】
本発明のウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーを形成するのに用いるためのジイソシアネートとしては、芳香族および非芳香族(例えば、脂肪族)ジイソシアネートが挙げられる。芳香族ジイソシアネートは、特に、以下の適切な基より選ばれ得る: 4,4'-メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート、3,3'-トリデン-4,4'-ジイソシアネートおよび3,3'-ジメチルジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート。非芳香族ジイソシアネートは、特に、以下の適切な基より選ばれ得る: 1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート、および2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)。1つ以上の不飽和の位置を含有するジイソシアネートが使われる実施態様において、そのジイソシアネートの例としては、例えば、特に、Brotherton et al.の米国特許第3,505,252号明細書に記載されている材料が挙げられる。
【0049】
選択できる連鎖延長剤は、典型的には、脂肪族または芳香族性ジオール(この場合、ウレタン結合はイソシアネート基との反応時に形成される)または脂肪族または芳香族性ジアミン(この場合、尿素結合はイソシアネート基との反応時に形成される)である。連鎖延長剤は、特に、以下の適切な基より選ばれ得る: α,ω-アルカンジオール、例えば、エチレングリコール(1,2-エタンジオール)、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、α,ω-アルカンジアミン、例えば、エタンジアミン、ジブチルアミン(1,4-ブタンジアミン)および1,6-ヘキサンジアミン、または4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)。1つ以上の不飽和の位置を含有する連鎖延長剤が使われる実施態様において、その連鎖延長剤の例としては、1つ以上の不飽和の位置を有する上記のジオール、例えば、α,ω-アルケンジオール、例えば、1,2-エテンジオール、1,4-ブテンジオール、1,6-ヘキサンジオール等、またはα,ω-アルケンジアミン、例えば、1,2-エテンジアミン、1,4-ブテンジアミン、1,6-ヘキセンジアミン等が挙げられる。
【0050】
連鎖延長剤は、また、特に、以下の適切な基より選ばれ得る: 上記のような硬質または軟質ポリマーポリイソブチレンおよび非ポリイソブチレンセグメント(より典型的には軟質ポリマーセグメント)に基づく短鎖ジオールポリマー(例えば、1000以下の数平均分子量を有するα,ω-ジヒドロキシ末端ポリマー)、短鎖ポリイソブチレンジオール、短鎖ポリエーテルポリオール、例えばポリテトラメチレンオキシドジオール、短鎖ポリシロキサンジオール、例えばポリジメチルシロキサンジオール、短鎖ポリカーボネートジオール、例えばポリヘキサメチレンカーボネートジオール、短鎖ポリ(フッ素化エーテル)ジオール、短鎖ポリエステルジオール、短鎖ポリアクリレートジオール、短鎖ポリメタクリラートジオールおよび短鎖ポリ(ビニル芳香族)ジオールが含まれる。ある実施態様において、その短鎖ジオールポリマーは、1つ以上の不飽和の位置を有することができる。
【0051】
ポリウレタン技術において既知のように、連鎖延長剤は、ウレタン、尿素またはウレタン/尿素ポリマーの硬質セグメント含量を増加させることができ(あるいは、いいかえると、ポリマー中の硬質セグメント材料と軟質セグメント材料との比率を増加させることができる)、結果として、弾性率が高くなり、破断時伸びが小さくなり、かつ強度が増加したポリマーを得ることができる。その連鎖延長剤は、また、上述したように本発明のポリマーの中に不飽和の位置を供給するために用いることができる。
【0052】
本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、例えば、バルクでまたは適切な溶媒を用いて合成することができる(例えば、重合反応に関与する種々の化学種を溶解することができるもの)。ある実施態様において、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、反応押出成形によって合成される。
【0053】
本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素ポリマーを生成するためにさまざまな合成戦略を使うことができる。これらの戦略には、典型的には、(a)1つ以上のポリオール(普通はジオール)化学種と1つ以上のポリイソシアネート(普通はジイソシアネート)化学種、(b)1つ以上のポリアミン(普通はジアミン)化学種と1つ以上のポリイソシアネート化学種、または(c)1つ以上のポリオール化学種と1つ以上のポリアミン化学種と1つ以上のポリイソシアネート化学種の反応が含まれる。反応は、例えば、正味、有機溶媒中、または溶媒として超臨界CO2を用いて行うことができる。アイオノマーは、ポリマー沈殿に使用し得る。
【0054】
例えば、ある実施態様において、第1のマクロジオール(M1)(例えば、2つ以上の不飽和の位置を有するポリイソブチレンジオール等)とジイソシアネート(DI)(例えば、MDI、TDI等)が単一段階で反応させる一段法を使うことができる。ジイソシアネートと第1のマクロジオールとのモル比は、1:1である。この技術を用いて、交互のマクロジオール残基とジイソシアネート残基を有するポリウレタン、すなわち、-[DI-M1-]n (nは、整数である)を形成することができる。いくつかの実施態様において、ジオールまたはジアミン連鎖延長剤(CE)(例えば、1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等、または1つ以上の不飽和の位置を有するジオール)は、反応混合物中に含まれ、この場合、ジイソシアネートと、第1のマクロジオールと連鎖延長剤の組み合わせとのモル比は1:1である。例えば、他の多くの可能性の中でも、DI:M1:CE比は、2:1:1に、2:1.5:0.5に、2:0.5:1.5に等しくなり得る。2:1:1に等しいDI:M1:CEの比が使われる場合、以下の構造を有するポリウレタン-[DI-M1-DI-CE-]nが形成され得る。このタイプの反応は、統計的分布を行うことが報告されているので、M1とCEの残基は示されるように完全に交互でないようである。例えば、F. Wang, “Polydimethylsiloxane Modification of Segmented Thermoplastic Polyurethanes and Polyureas”, Ph.D. dissertation, Virginia Polytechnic Institute and State University, April 13, 1998を参照のこと。
【0055】
他の実施態様において、イソシアネートを末端キャップした“プレポリマー”、DI-M1-DIを形成するために第1のマクロジオールとジイソシアネートを≧2:1のDI:M1モル比で一段階において反応させる二段階反応が使われる。次に、第2の段階において、1:1のジイソシアネートと第1のマクロジオールと連鎖延長剤の組み合わせとの全体のモル比と関連しての維持するために必要とする場合、追加のジイソシアネートとともに連鎖延長剤が添加される。上記のように、2:1:1に等しいDI:M1:CEのモル比が使われる場合、以下の構造を有するポリウレタン-[DI-M1-DI-CE-]nを形成することができるが、M1とCE残基は示されるように完全に交互にならない場合がある。反応制御が強化されるため、二段法によって製造されるポリウレタンは、一段法によって製造される対応するポリウレタンより規則的な構造を有する傾向がある。
【0056】
他のある実施態様において、第1のマクロジオール(M1)(例えば、0、1、2つ以上の不飽和の位置を有するポリイソブチレンジオール)、第2のマクロジオール(M2)(例えば、0、1、2つ以上の不飽和の位置を有するポリエーテルジオール、フルオロポリマージオール、ポリシロキサンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリアクリレートジオール、ポリメタクリレートジオール、ポリスチレンジオール等)およびジイソシアネート(DI)(例えば、MDI、TDI等)を一段階で反応させる一段法を使うことができる。ジイソシアネートと第1と第2のジオールとのモル比は、1:1である。例えば、DI:M1:M2比は、他の可能性の中でも、2:1:1に等しい場合があり、2:1.5:0.5に等しい場合があり、2:0.5:1.5に等しい場合がある。2:1:1に等しいDI:M1:M2の比が使われる場合、以下の構造を有するポリウレタン-[DI-M1-DI-M2-]nを形成することができるが、示されるように連鎖は完全に交互にならないようである。いくつかの実施態様において、ジイソシアネートと第1と第2のマクロジオールおよび連鎖延長剤とのモル比が1:1であるように連鎖延長剤が反応混合物に添加される。例えば、DI:M1:M2:CE比は、多くの他の可能性の中でも、4:1:1:2に等しくなる場合があり、2:0.67:0.33:1に等しくなる場合があり、2:0.33:0.67:1に等しくなる場合があり、または5:1:1:3に等しくなる場合がある。4:1:1:2に等しいDI:M1:M2:CEの比が使われる場合、以下の構造-[DI-M1-DI-CE-DI-M2-DI-CE-]nを形成することができるが、示されるように連鎖は完全に交互にならないようである。
【0057】
いくつかの実施態様において、第1と第2のマクロジオールおよびジイソシアネートを第一段階において≧2:1:1のDI:M1:M2の比で反応させて、イソシアネートをキャップした第1と第2のマクロジオール、例えば、DI-M1-DIおよびDI-M2-DIを形成する二段法が使われる。第二段階において、マクロジオールのイソシアネートエンドキャップと反応する連鎖延長剤が添加される。いくつかの実施態様において、連鎖延長剤の水酸基またはアミン基のモル数がマクロジオールについてイソシアネート末端キャップのモル数を超えてもよく、その場合には、適切な全体の化学量論を維持するために必要とされるように第二段階において追加のジイソシアネートが添加され得る。上記のように、ジイソシアネートと第1のマクロジオール、第2のマクロジオール、および連鎖延長剤の合計とのモル比が、典型的には1:1であり、例えば、DI:M1:M2:CEは、4:1:1:2に等しくなる場合があり、理論的には以下の反復構造-[DI-M1-DI-CE-DI-M2-DI-CE-]nを有する理想とされたポリウレタンを得ることができるが、示されるように完全に交互にならないようである。他の例において、DI:M1:M2:CE比は、多くの他の可能性の中でも、4:1.5:0.5:2に等しい場合があり、5:1:1:3に等しい場合もある。
【0058】
いくつかの実施態様において、第1のマクロジオールとジイソシアネートを第一段階において反応させて、イソシアネート末端キャップが第1のマクロジオールの各末端で形成されるように典型的には≧2:1のDI:M1比でイソシアネートをキャップした第1のマクロジオールを形成する3、4つ以上の段階が使われてもよい(1:1のDI:M1比を含む他の比も可能であるが、これはマクロジオール当たり平均1つのイソシアネート末端キャップを生じる)。この段階の後、第二段階が続き、第2のマクロジオールが添加されて、イソシアネートをキャップした第1のマクロジオールの一方または双方のイソシアネート末端キャップと反応する。DI、M1およびM2の相対比によっては、この段階を用いて、構造(他の統計的可能性の中でも)、M2-DI-M1-DI-M2(2:1:2のDI:M1:M2比の場合)、M2-DI-M1-DI(2:1:1のDI:M1:M2比の場合)、またはM1-DI-M2(1:1:1のDI:M1:M2比の場合)を生成することができる。
【0059】
ある実施態様において、化学量論を維持するために必要とされるように、混合マクロジオールプレポリマー、例えば、特に、前項での1つ(例えば、M2-DI-M1-DI-M2、M1-DI-M2-DI-M1、DI-M1-DI-M2等)をジオールまたはジアミン連鎖延長剤およびジイソシアネートと同時に反応させる。例えば、連鎖延長プロセスを用いて、特に、以下のラインに沿って理想とされた構造を生成することができる: -[DI-M2-DI-M1-DI-M2-DI-CE-]n、-[DI-M1-DI-M2-DI-M1-DI-CE-]nまたは[-DI-M1-DI-M2-DI-CE-]n。なおまた、連鎖が示されるように完全に交互にならないことは留意される。
【0060】
他のある実施態様において、混合マクロジオールプレポリマーを充分なジイソシアネートと反応させて、混合マクロジオールプレポリマーのためのイソシアネート末端キャップを形成する(例えば、他の可能性の中でも、DI-M2-DI-M1-DI-M2-DI、DI-M1-DI-M2-DI-M1-DIまたはDI-M1-DI-M2-DIを生じる)。次に、このイソシアネートを末端キャップした混合マクロジオールをジオールまたはジアミン連鎖延長剤と反応させることができる(およびジイソシアネート、化学量論を維持するために必要とされる)。例えば、イソシアネートを末端キャップした混合マクロジオールを等モル量の連鎖延長剤と反応させて、特に、下記の式の理想とされた構造を得ることができる: -[DI-M2-DI-M1-DI-M2-DI-CE-]n、-[DI-M1-DI-M2-DI-M1-DI-CE-]nまたは-[DI-M1-DI-M2-DI-CE-]n
【0061】
上記および他の技術を用いて、種々のウレタン、尿素およびウレタン/尿素を含む様々な架橋性ポリイソブチレンポリマーを形成することができる。本発明の架橋性組成物の中の架橋性ポリイソブチレンポリマーに典型的な数平均分子量は、1,000から300,000ダルトンまでの範囲にあり、特に、例えば、1,000から2,000まで5,000まで10,000まで15,000まで20,000まで25,000まで50,000まで100,000まで300,000ダルトンの範囲にある。デュロメータ値は、例えば、ジイソシアネートのタイプによって、また、ポリマー中の軟質セグメントと硬質セグメントとの比によって影響され(例えば、もしあるとすれば、ポリマーにおける軟質セグメントの長さや連鎖延長の程度によっても影響される)、広く変動することになり、典型的には10Aから75Dまで、例えば、10Aから20Aまで30Aまで40Aまで50Aまで60Aまで70Aまで80Aまで90Aまで100A(=58D)まで60Dまで65Dまで70Dまで75Dまでの範囲にある。
【0062】
本発明の種々の態様において、(a)1つ以上のタイプの架橋性ポリイソブチレンポリマー、(b)1つ以上の選択できる補足剤、例えば、特に、(i)治療剤(その多くの例が後述されている)および(ii)架橋を促進させる化合物(“架橋剤”)、例えば、触媒、光開始剤、レドックス開始剤および熱に不安定な開始剤が含まれる開始剤、促進剤、硬化剤、追加の不飽和ポリマー等および(iii)蛍光透視標識形質を含む、架橋性の組成物が提供される。
【0063】
架橋は、適切な架橋化学種、例えば、特に、反応生成物の一部になることなく化学反応の完了を助ける化学種(例えば、触媒、促進剤等)および/または架橋ポリマーの網目構造の一部になる化学種(例えば、開始剤、硬化剤、追加のモノマー、ポリマー等)によって進行させることができる。
【0064】
架橋は、エネルギー(例えば、加熱または電離放射線または非電離放射線、例えば、eビーム放射線、γ線、紫外線等の)、化学薬剤(例えば、湿気、硬化剤等)、またはこれらの双方にさらすことによって開始することができる。
【0065】
開始剤の例としては、フリーラジカル生成化学種が挙げられ、加熱(すなわち、熱開始剤、例えば、ペルオキシド開始剤、アゾ開始剤等)および/または光(すなわち、光開始剤、例えば、ベンゾインエーテル、アリールケトン、アシルホスフィンオキシド等)によって活性化または加速させることができる。
【0066】
熱開始反応のためのペルオキシド開始剤の例としては、以下が挙げられる: 過酸化ベンゾイル、t-アミルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルα-クミルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシベンゾエート)-3-ヘキシン、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ブタン、および2,2-ジ-(t-アミルペルオキシ)プロパン。
【0067】
熱開始反応のために、特に、Wako Specialty Chemicals製の2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、V-50、V-086、またはArkema製のAZDN、AIVN、Azocarboxyのようなアゾ化合物を使うこともできる。
【0068】
光開始剤の個々の例としては、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケトンアセタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、メチルチオキサノン、2,4,6,トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO)、アシルホスフィンオキシド(APO)およびビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)が挙げられる。
【0069】
理論によって縛られることを望まないが、フリーラジカル開始剤がラジカルを形成し、それが他の物質の中の炭素-炭素二重結合(例えば、本発明の架橋性ポリイソブチレンポリマーの中の炭素-炭素二重結合)を攻撃し、その物質にラジカルを形成すると考えられる。形成されると、一方の物質によるラジカルが、例えば、もう一方の物質(例えば、他の架橋性ポリマー)の二重結合を攻撃し、その物質と新規なラジカル中心の間に化学結合を形成することができる。あるいは、2つの異なる物質によるラジカルが一緒になって、新たなラジカル中心を生成させずに物質の間に結合を形成することができる(組み合わせと呼ばれるプロセス)。正確な反応機構に関係なく、物質の間で架橋が生成される。得られた架橋は、加水分解や他の分解の形態を受けやすい官能基(例えば、エステル、アミド等)を形成させずに、炭素-炭素結合の形成に基づいている。
【0070】
ポリマーが可動状態、例えば、溶融状態にあるときに、架橋を増強することができ、この状態はラジカル生成と同時に、あるいはラジカル生成に続いて確かめることができる。
【0071】
フリーラジカル架橋反応は、また、2つ以上の不飽和の位置を有する多官能性架橋剤の導入によって促進させることができる(例えば、-HC=CH-、-HC=CH2、-C≡C-または-C≡CH)。例えば、本発明のいくつかの実施態様において、ビニル架橋剤を添加して、ポリマー間の架橋を増強することができる。例えば、このためにHC=CH-(CH2)n-HC=CHまたはHC=CH-[CH2-C(CH3)2]n-HC=CH、(ここで、nは、整数であり、例えば、0から20までの範囲にある)のようなアルケンを用いることができる。後者の化学種が短鎖(例えば、20モノマー以下)の末端不飽和ポリイソブチレン架橋剤であることに留意されたい。この点について、架橋剤と本発明のポリマーと間の適合性は、架橋されるポリマーに見られるのと同じかまたは同様のモノマー組成物を有するポリマーブロックを含有する多官能性架橋剤を用いることによって強強することができる。他の実施態様において、本発明のポリマーの中で用いられる追加のブロックに対応する短鎖の末端不飽和ポリマーも、架橋剤として使うことができる(例えば、短鎖の末端不飽和ポリエーテルセグメント、ポリ(アクリレート)セグメント、ポリ(メタクリレート)セグメント、ポリシロキサンセグメント、ポリカーボネートセグメント等)。
【0072】
追加の多官能性架橋剤の例としては、主鎖に、例えば、ポリ(ブタジエン)に沿って、ポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマーと架橋することができる不飽和を含有するポリマー、および架橋反応の間に重合し得る不飽和モノマーが挙げられる。これらのモノマーは、例えば、特に、エポキシド基、カルボキシル基またはヒドロキシル基を含有する官能性を組み込むことができる。
【0073】
フリーラジカルベースの架橋戦略の他の架橋戦略を本発明と共に使うことができる。例えば、ペルオキシ酸、例えば、特に、メタクロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)のようなペルオキシカルボン酸を用いて、本発明のポリマー中の炭素-炭素二重結合を酸化して、エポキシド基(オキシラン)を生成することができる。得られたエポキシド含有ポリマーは、放射線(電離放射線または非電離放射線)にさらすことによって架橋することができる。得られたエポキシド含有ポリマーは、また、硬化剤、例えば、トリエチレンテトラミン(TETA)のような多官能性アミンまたは以下に記載されるような二官能性アミンにさらすことによって架橋することができる。これらが一緒に混合されるときに、アミン基とエポキシド基とが反応して、共有結合を形成する。
【0074】
他の例として、架橋は、“クリック”ケミストリーの使用によって達成され得る。典型的な反応としては、末端アルキンとアジドとの反応、トルエンスルホニルシアニドのような活性化ニトリルと妨害されてないアジドとの反応、またはエポキシド、アジリジンまたは環状スルフェートのようなひずんだ環の求核開環反応が含まれる。アルキンは、ポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマー(ひとまとめにしてPIBPU)中、例えば、PIBセグメント中、またはジイソシアネートセグメント中のいかなる位置にもあるペンダント基であり得る。典型的な架橋反応において、ペンダントアルキンを有するPIB PUは、脂肪族または芳香族ジアジドと反応される。あるいは、PIB PUの主鎖におけるエポキシド環とジアミンとの反応によって、開環重合による架橋が生じる。
【0075】
さらに他の例として、架橋は、ヒドロシリル化によって達成され得る。ヒドロシリル化には、不飽和炭素-炭素結合全体にSi-H結合の付加を必要とする。この付加は、貴金属、典型的には白金によって触媒される。このために有効な架橋剤の例は、多官能性シランである。
【0076】
他の例として、架橋は、最初に本明細書に記載されるような不飽和ポリマーをシラン化合物でヒドロシリル化することによって達成することができ、そこで、シラン結合(Si-H)がポリマーに見られるペンダントオレフィン不飽和と反応する。上記のように、この反応は、貴金属、典型的には白金によって触媒され得る。この実施態様において、続いての架橋反応のためにシランは1つ以上のアルキルシロキシ基を含有する。その化合物の例は、Sigma-Aldrichから入手可能なトリス(トリメチルシロキシ)シランである。他の例としては、式SiHn(OR)4-n(式中、nは、1、2または3の整数であり、Rは、炭素原子1〜10個を有する分枝鎖および非分枝鎖アルキル基および炭素原子6〜10個を有するアリール基より選ばれる)の化学種が挙げられる。そのポリマーは、湿気硬化性(架橋性)である。特に、水にさらすと架橋が進行することになり、ポリマー中のアルコキシ基を加水分解させ、続いて隣接するヒドロキシル基を縮合して、-Si-O-Si-結合を含有する架橋を形成する。このプロセスは、例えば、蒸気オートクレーブによってまたは適切な触媒、例えば有機スズ触媒の使用によって促進させることができる。
【0077】
他の実施態様において、架橋は、グリシジル基またはカルボン酸基のような末端基を有するポリマーを用いて達成され得る。そのような場合、結果として生じる架橋された接着剤は、エポキシドまたはエステルであり、熱の有無において湿気硬化される。
【0078】
上記からわかるように、ある実施態様において、本発明の組成物は、特に、多官能性アミン、多官能性エポキシドまたは多官能性シランのような適切な多官能性架橋剤と接触するときに架橋され得る。これらの実施態様において、本発明の架橋性ポリイソブチレンベースのポリマーを含む組成物は、第1の容器で供給することができ、多官能性架橋剤(例えば、多官能性アミン、多官能性シラン等)はキットの形で第2の容器で供給することができる。
【0079】
本発明のある実施態様において、本発明の架橋性組成物は、1つ以上の医療機器構成要素に(例えば、医療機器構成要素上のコーティングとしてまたは2個以上の医療機器構成要素を結合するための接着剤として)適用され、次に適切な状態(例えば、熱、放射線、多官能性架橋剤、大気水分等)の下で硬化される。末端二重結合を有する低分子量PIBPUおよびフリーラジカル開始剤は、いくつかの可能性の1つである。他の可能性は、末端二重結合を有するPIBPU、二重結合を有する第2の低分子量ポリマー/オリゴマーおよびフリーラジカル開始剤である。
【0080】
本発明の架橋性組成物は、特に、ポリイソブチレン含有ポリマー、例えば、熱可塑性ポリイソブチレンコポリマー、例えば、1つ以上のポリイソブチレンセグメントと1つ以上の硬質セグメントを有するもののコーティングまたは接着剤として有益である。そのコポリマーの例としては、1つ以上のポリイソブチレンセグメントと、例えば、特に、上記のもの(例えば、ポリ(ビニル芳香族)、ポリ(アルキルアクリレート)またはポリ(アルキルメタクリレート)硬質セグメント、例えば、ポリスチレン、ポリ(tert-ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)より選ばれる1つ以上の硬質セグメントを有するブロック共重合体が挙げられる。そのポリマーの個々の例は、2つの硬質セグメントの間に軟質セグメントを有する三元ブロック共重合体、例えば、特に、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)、ポリ(tert-ブチルアクリレート-b-イソブチレン-b-tert-ブチルアクリレート、ポリ(メチルメタクリレート-b-イソブチレン-b-メチルメタクリレート)が挙げられる。
【0081】
そのコポリマーの例としては、さらに、例えば、上記のような技術を用いて、調製することができるポリイソブチレン含有ポリウレタン、ポリ尿素またはポリウレタン/ポリ尿素が含まれる(ただし、ポリイソブチレン、ジイソシアネートおよび選択できる成分、例えば、連鎖延長剤、非ポリイソブチレンポリマー成分は、1つ以上の不飽和の位置を含有する必要がない)。したがって、例としては、一つ以上のポリイソブチレン軟質セグメント、芳香族ジイソシアネートから生じる1つ以上のセグメント(例えば、MDI、TDI、NDI等)、および1つ以上の選択できるセグメント(例えば、連鎖延長剤および/または、例えば、特に、上記のものより選ぶことができる非ポリイソブチレンポリマーセグメントから生じるセグメント)を有するポリウレタン、ポリ尿素およびポリウレタン/ポリ尿素が挙げられる。
【0082】
個々の例として、本発明の架橋性組成物は、一つ以上の成分を被覆または接着するために用いることができ、1つ以上の成分は、例えば、少なくとも1000ダルトンの数平均分子量を有する、1つ以上のポリイソブチレンセグメントと1つ以上のポリテトラメチレンオキシドセグメントを含む熱可塑性ポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマーを含有する(例えば、他の可能性の中でも、ポリイソブチレンジオール、ポリヘキサメチレンオキシドまたはポリヘキサメチレンオキシドジオール、ジイソシアネートとしてMDIおよび連鎖延長剤として1,4-ブタンジオールから形成されるコポリマー)。
【0083】
本発明の架橋性組成物は、非ポリイソブチレンポリマーセグメントから成る材料(例えば、ポリエーテルセグメント、ポリアクリレートセグメント、ポリメタクリレートセグメント、ポリビニル芳香族性セグメント、ポリシロキサンセグメント、ポリカーボネートセグメントら)に適用される場合、ある実施態様において、架橋性組成物は、適合する非ポリイソブチレン物質(すなわち、そのモノマー含量を有するもの)を含有する。例えば、適合する非ポリイソブチレンセグメントは、組成物中の架橋性ポリイソブチレンポリマーの中のセグメントとして供給することができ、または組成物中の別の物質の中に供給することもでき、例えば、他の可能性の中でも、末端不飽和を有するその非ポリイソブチレンセグメントからなる架橋剤を組成物中に含めることができる。個々の例において、シリコーンへの接着を強化するために、ポリシロキサンセグメント(例えば、ポリジメチルシロキサンセグメント)を組成物中に供給することができる。その組成物は、例えば、シリコーンをシリコーンに結合するかまたはシリコーンをポリイソブチレン含有ポリマーに結合するために使用し得る。
【0084】
個々の例として、本発明の架橋性組成物は、1つ以上のポリイソブチレンセグメントと2つ以上の不飽和の位置を含有する低分子量ポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマー(1000と50,000ダルトンの間にある、例えば、1,000から2,500まで5,000まで10,000まで25,000まで50,000ダルトンの範囲にある数平均分子量を有する)を、架橋剤、治療剤等の選択できる物質と共に含むことができる(例えば、ジビニルまたはジアリルポリイソブチレンジオール、ジイソシアネートとしてのMDIおよび連鎖延長剤として1,4-ブタンジオールから形成されるコポリマーを含みかつ架橋剤として有機過酸化物(芳香族性/脂肪族)、例えば、過酸化ジクミルまたは過酸化ベンゾイル、ケトン、例えば、ベンゾフェノンまたはメチルフェニルケトン、有機アジド、例えばAIBN、または有機金属触媒、例えば白金錯体を含む組成物)。
【0085】
他の個々の例として、本発明の架橋性組成物は、1つ以上のポリイソブチレンセグメント、1つ以上の非ポリイソブチレンポリマーセグメント(例えば、1つ以上のポリテトラメチレンオキシドセグメント等)および2つ以上の不飽和の位置を含有する低分子量ポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマー(例えば、1,000と50,000ダルトンの間の範囲にある、例えば1,000から2,500まで5,000まで10,000まで25,000まで50,000ダルトンまでの範囲にある数平均分子量を有する)を、選択できる物質、例えば、架橋剤、治療薬等と共に含むことができる(例えば、ジビニルまたはジアリルポリイソブチレンジオール、ポリテトラメチレンオキシドジオール、ジイソシアネートとしてMDIおよび連鎖延長剤として1,4-ブタンジオールから形成されるコポリマーを含みかつ架橋剤として有機過酸化物(芳香族/脂肪族)、例えば、過酸化ジクミルまたは過酸化ベンゾイル、有機のアジド、例えばAIBN、または有機金属触媒、例えば白金錯体を含む組成物)。
【0086】
さらに他の個々の例として、本発明の架橋性組成物は、1つ以上のポリイソブチレンセグメントおよび2つ以上の不飽和の部位を含有する低分子量ポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマー(例えば、1,000と50,000ダルトンの間の範囲にある数平均分子量を有する)、非ポリイソブチレンポリマーセグメント含有架橋剤(例えば、2つ以上の不飽和の部位を有するポリテトラメチレンオキシド架橋剤)を、選択できる薬剤、例えば、架橋剤、治療剤等と共に含むことができる(例えば、特に、(a)ジビニルまたはジアリルポリイソブチレンジオールから形成されたコポリマー、ジイソシアネートとしてMDIおよび連鎖延長剤として1,4-ブタンジオールおよび(b)架橋剤、例えば、ジビニルポリテトラメチレンオキシド、有機過酸化物(芳香族性/脂肪族)、例えば、過酸化ジクミルまたは過酸化ベンゾイル、ケトン、例えば、ベンゾフェノンまたはメチルフェニルケトン、有機アジド、例えば、AIBNおよび/または有機金属触媒、例えば、白金錯体を含む組成物)。
【0087】
ある実施態様において、本発明の架橋性組成物は、医療機器構成要素を、例えば、成形によってまたは反応性押出しによって形成するために用いられる。たとえば、いくつかの実施態様において、本発明の架橋性組成物をモールドに導入し、例えば、加熱によってまたは放射線にさらすことによって(例えば、対象の放射線によって透過され得るモールドを用いて)、硬化することができ、または本発明の架橋性組成物を架橋に至る化学種(例えば、水/湿気、多官能性架橋剤等)と共にモールドに導入することができる。その製品は、成形されたことの継目または他の証拠をしばしば有するが、必ずしもあらゆる場合にあるわけではない。
【0088】
他の実施態様において、本発明の架橋性組成物を反応性押出プロセスで押出すことができ、押出しプロセスの熱によって架橋に至るかまたは架橋に至る化学種(例えば、水/湿気、多官能性架橋剤等)を押出機バレルに沿って適切な位置で押出機に導入される。
【0089】
ある実施態様において、本発明の架橋性組成物を用いて、医療機器構成要素上にコーティングを形成する。例えば、いくつかの実施態様において、本発明の架橋性組成物を医療機器構成要素に適用し、例えば、オーバーモーディングによって、加熱によって、放射線にさらすことによって、または架橋に至る化学種(例えば、水/湿気、多官能性架橋剤、有機金属錯体等)と混合することによって、硬化することができる。
【0090】
ある実施態様において、本発明の架橋性組成物は、2つ以上の医療機器構成要素を相互に結合するために用いられる。例えば、ある実施態様において、本発明の架橋性組成物は、2つ以上の医療機器構成要素の間に位置し、例えば、加熱によって、放射線にさらすことによって、または架橋に至る化学種(例えば、水/湿気、多官能性架橋剤等)と混合することによって硬化される。例えば、本発明の架橋性組成物は、シリコーン構成要素をシリコーン構成要素に結合するために、シリコーン構成要素をポリウレタン構成要素に結合するために、ポリウレタン構成要素をポリウレタン構成要素に結合するために、ポリイソブチレンポリマー(例えば、ポリイソブチレンホモポリマーまたはコポリマー、例えば、ブロック共重合体、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン/尿素等)構成要素をポリイソブチレンポリマー構成要素に結合するために、ポリイソブチレンポリマー構成要素をシリコーン構成要素に結合するために、ポリイソブチレンポリマー構成要素を非ポリイソブチレンポリウレタン構成要素に結合するために等に用いることができる。これらの実施態様の多くにおいて、架橋性組成物は、適合性を最大にするために各構成要素に共通であるポリマーセグメントを含有する(例えば、シリコーン構成要素を結合するときはポリジメチルシロキサン、ポリイソブチレンポリマー構成要素を結合するにはポリイソブチレンセグメント等)。
【0091】
より一般的には、本発明の様々な態様によれば、植込み型および挿入型医療機器が提供され、これは1つ以上の架橋ポリイソブチレンポリマー(例えば、1つ以上の架橋ポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマー)を含有する1つ以上のポリマー領域を含有する。本明細書に用いられる“ポリマー領域”は、ポリマー、例えば、50wt%以下から75wt%まで90wt%まで95wt%まで97.5wt%まで99wt%以上のポリマーを含有する領域(例えば、機器全体、機器構成部分、機器コーティング層、機器との接着領域等)である。
【0092】
上記のように、いくつかの実施態様において、本発明のポリマー領域は、医療機器全体に対応する。他の実施態様において、ポリマー領域は、医療機器の1つ以上の部分に対応する。例えば、ポリマー領域は、医療機器構成要素の形で、医療機器に組み込まれる1つ以上の繊維の形で、下にある医療機器または機器構成要素の全部または一部のみの上に形成される1つ以上のポリマー層の形で、2つ以上の他の医療機器構成要素を相互に結合する接着領域の形で等であり得る。
【0093】
本発明の実施のための医療機器の例としては、植込み型または挿入型医療機器、例えば、特に、神経刺激システム、例えば、脊髄刺激作用(SCS)システム、深部脳刺激作用(DBS)システム、末梢神経刺激作用(PNS)システム、胃神経刺激システム、人工内耳システム、人工網膜システムを含む植込み型電気刺激システム、植込み型ペースメーカシステム、植込み型心臓除細動器(ICD)、心臓再同期治療除細動器(CRDT)を含み、リード絶縁体、外側本体絶縁体、上記植込み型電気刺激システムのための構成要素を含むリード線のためのポリマー成分が含まれる心臓システム、ステント(冠状動脈血管ステント、末梢血管ステント、大脳ステント、尿道ステント、尿管ステント、胆管ステント、気管ステント、胃腸ステント、食道ステントを含む)、ステント被覆、ステントグラフト、人工血管、心臓弁や血管弁を含む弁、腹部大動脈瘤(AAA)機器(例えば、AAAステント、AAAグラフト等)、血管アクセスポート、透析ポート、脳動脈瘤フィラーコイル(Guglilmi離脱型コイルや金属コイルを含む)を含む塞栓形成装置、塞栓物質、組織バルキング装置、カテーテル(例えば、腎臓または血管カテーテル、例えば、バルーンカテーテルや種々の中心静脈カテーテル)、ガイドワイヤ、バルーン、フィルター(例えば、大静脈フィルター、蒸留保護装置のためのメッシュフィルター)、中隔欠損閉鎖器、心筋プラグ、パッチ、心室補助装置、例えば、左心室補助心臓またはポンプ、完全人工心臓、シャント、吻合クリップまたはリング、軟骨、骨、皮膚、他の生体内組織再生のための組織工学足場(例えば、多孔質足場、組織一体化のためのエレクトロスパンフィルムまたはメンブラン)、尿道スリング、ヘルニア“メッシュ”、人工靱帯、整形外科用補綴、ワングラフト、脊椎円板、人工歯根、生検装置、また、体内に植込まれるかまたは挿入される被覆基体(例えば、金属、ポリマー、セラミック、これらの組み合わせを含み得る)が挙げられる。
【0094】
ある好適な実施態様において、本発明の架橋性ポリイソブチレンポリマーを用いて、シングルルーメンやマルチルーメンの押出物や管状(チューブ形)絶縁層、および植込み型電気リード線のための内外コーティングを含む少なくとも1つの導体が伸びるリード線絶縁構成要素を形成することができ、または本発明の架橋性ポリイソブチレンポリマーを用いて、さまざまな他のリード線構成要素(例えば、O-リングシール、ドラッグデリバリーカラー、リードチップ材料、リード線末端ピン、ヘッダ等)を形成することができる。
【0095】
ある実施態様において、本発明の架橋性ポリイソブチレンポリマーを用いて、電子信号生成/検出構成要素のポリマー成分を形成することができ、それ例としては、植込み型パルス発生器、植込み型心臓除細動器(ICD)および植込み型心臓再同期治療(CRT)機器が挙げられる。その電子信号生成/検出構成要素は、例えば、右室のリードシステム、右心房リードシステム、左心房/心室リードシステムと連動して用いることができ、例えば、脊椎動物被検者(ヒト、ペット、家畜を含む)における徐脈、心頻拍(例えば、心室性頻拍症)または心臓の同期不全を治療するために用いることもできる。そのポリマー成分の個々の例としては、他の多くの用途の中でも、“缶”(すなわち、電子信号生成/検出構成要素を含有するハウジング)のためのコネクタ(プラグ)、缶のためのシール(コーティング)、ドラッグデリバリーカラー、デリバリーカラー、プラグ、受動固定チップ/タイン、チップアセンブリ、成形シール、および縫合スリーブが挙げられる。
【0096】
シングルルーメンおよびマルチルーメンの構成要素は、例えば、反応押出成形によって形成され得る。個別部品、例えば、特に、Oリングシール、リードチップ材料、リード末端ピン、ヘッダ、コネクタ(プラグ)、ドラッグデリバリーカラー、ドラッグデリバリープラグ、またはシリコーンまたはポリウレタンから現在成形されている他の構成要素は、例えば、成形によって形成され得る。
【0097】
低デュロメータ材料(例えば、40Aから70Aショア硬さ)は、シール、ネックジョイント、受動固定タインのような構成要素ために好適であり得る。その低デュロメータ材料は、橋かけ剤および架橋剤の存在下に連鎖延長をほとんどしないかまたは全くしないウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーを含む上記の架橋性ポリイソブチレンポリマーのいずれかを用いて形成することができる。中間デュロメータ材料(例えば、70Aから85Aショア硬さ)は、特に、リードチップ、コネクタのような構成要素に好適であり得る。高いデュロメータ材料(例えば、85Aから75Dのショア硬さ段階)は、末端ピン、機器ヘッダ等の構成要素に好適であり得る。
【0098】
本発明の接着剤を用いて一方の構成要素をもう一方に接続することが望ましいリード線に典型的な用途としては、種々のポリマーとポリマー間やポリマーと金属間の接合部、より詳しくは、ヘッダと止めネジシール部、ポートシール部、末端リングシール部、薬剤カラー結合部、IS-4末端におけるすべての接合部、ピグテール接合ケーブル、ポリウレタンブーツと末端封止、先端とチュービングのネック領域(Reliance IS-1およびIS-4)、ペーシングリードにおける末端領域、ペーシングリードにおけるSST末端リングとシール部、チタンとの結合(Reliance IS-1およびIS-4)、末端部や遠位遷移領域における結合部、ヘッダとチタン缶等が挙げられる。
【0099】
医療機器技術(例えば、ポリエーテル、ポリエステルおよびポリカーボネートベースのポリウレタン、ポリジメチルシロキサンとのブレンドおよび/またはコポリマー)に現在用いられている様々な既知のポリウレタンは、そこで遭遇する苛酷な(例えば、酸化的、加水分解的、酵素的等)状態のために、最終的に患者の体内への挿入時に、環境応力亀裂を呈し得る。そのポリウレタンがリード絶縁体材料として使われる場合、その亀裂によって体液がリードに入りかつ、例えば、導体(1つ以上)および/または導体(1つ以上)によって電流を生成する電子構成要素間でショートを生じることが可能であり得る。さらに、電気リード線の範囲内の金属導体(1つ以上)の緩慢な腐食が生体内環境においてしばしば遭遇する。したがって、緩慢な腐食プロセスから生成される金属イオンは、ポリウレタンを含む種々の絶縁材料と反応することが知られ、材料の分解や劣化を生じることになり得る金属イオン酸化(MIO)が引き起こされる。これにより、急速なバッテリ不足を招くとともに確実に治療する機器の能力に影響し得る。
【0100】
一方、本発明のポリイソブチレンウレタン、尿素およびウレタン/尿素コポリマーは、生体安定性および生体適合性を増強すると考えられる。この点で、本発明のコポリマー内のポリイソブチレンセグメントが、既知のポリウレタン軟質セグメント、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、およびポリカーボネートベースのポリウレタンおよび/またはポリジメチルシロキサンとのブレンド/コポリマーに比べて劣化(例えば、酸化的、加水分解的、酵素的、金属イオン等)に対する抵抗が大きいと考えられる。ポリイソブチレンは、また、良好なバリヤー性を有しかつ生体適合性であることが知られている。
【0101】
本発明の材料が良好な構造的特性と電気特性、良好な生体安定性および良好な生体適合性を有することから、ある実施態様において、内外のコーティングを必要とせずにリード絶縁材料として単一押出しを使うことができる。ある実施態様において、その長さに沿ってデュロメータが変動するシングル押出しを形成することができる。例えば、遠位先端部(リードチップナビゲーションのために可撓性を与える)又はその近傍の40Aから押出しの近位端部(リード前進のために剛性を与える)又はその近傍の100Aまで押出しを変動させることができる。個々の一例において、反応押出しの過程で相対量のポリイソブチレンジオール、選択できる非ポリイソブチレンジオール、ジイソシアネートおよび連鎖延長剤を変えることによって材料のデュロメータを変化させることができる。また、押出しの過程で供給される架橋剤の量を変えることによってデュロメータを変化させることができる。
【0102】
上述のように、架橋ポリイソブチレンポリマーに加えて、本発明の医療機器に用いるためのポリマー領域は、必要により1つ以上の補足物質を含有することができる。
【0103】
例えば、いくつかの実施態様において、有機変性ケイ酸塩が、補助物質としてポリマー領域を形成するポリマーとブレンドされる。その物質が湿気のために複雑な経路を生じるように作用し、それにより領域の透湿性が低下し得る。さらに、そのケイ酸塩は、強度を維持しかつ材料の弾性率を増加させることができる。補足物質には、さらに、アルミナ、銀ナノ粒子、ケイ酸塩/アルミナ/銀ナノ粒子複合体のような物質が含まれる。補助物質には、さらに、特に、タングステン酸カルシウムおよび他のタングステンベース組成物のような蛍光透視マーカーが含まれる。
【0104】
いくつかの実施態様において、1つ以上の治療剤が、本発明のポリマー領域の下に、その中に含まれ(ブレンド)、またはそれに結合される(例えば、共有結合でまたは非共有結合で結合される)。“治療剤”、“薬剤”、“医薬的に活性な物質”、“医薬的に活性な材料”、および他の関連用語が同じ意味で本明細書に用いることができる。
【0105】
様々な疾患や状態の治療(即ち、疾患又は状態の予防、疾患又は状態と関連している症状の減少又は排除、又は疾患又は状態の実質的な又は完全な排除)に用いられるものを含む様々な治療剤を本発明と共に使うことができる。
【0106】
本発明と共に用いられる例示的な治療剤としては、以下のものが挙げられる: (a)抗血栓剤、例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、クロピドグレル、PPack (デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン); (b)抗炎症剤、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、メサラミン; (c)抗新生物剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤、例えば、パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖を遮断できるモノクローナル抗体、チミジンキナーゼ阻害剤; (d)麻酔剤物質、例えば、リドカイン、ブピバカイン、ロピバカイン; (e)抗凝固剤、例えば、D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、ダニ抗血小板ペプチド; (f)血管細胞増殖促進剤、例えば、成長因子、転写活性化因子、翻訳促進剤; (g)血管細胞増殖阻害剤、例えば、成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写リプレッサ、翻訳リプレッサ、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対向する抗体、成長因子と細胞毒素からなる二官能性分子、抗体と細胞毒からなる二官能性分子; (h)タンパク質キナーゼ阻害剤及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チルホスチン、ゲニステイン、キノキサリン); (i)プロスタサイクリン類似体; (j)コレステロール低下剤; (k)アンギオポイエチン; (l)抗菌剤、例えば、トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシド、ニトロフラントイン; (m)細胞毒性薬、細胞増殖抑制剤、細胞増殖影響因子; (n)血管拡張剤; (o)内在性血管作用機序を妨害する薬剤; (p)白血球動員阻害剤、例えば、モノクローナル抗体; (q)サイトカイン; (r)ホルモン; (s)HSP 90タンパク質阻害剤(即ち、熱ショックタンパク、これは分子シャペロン又はハウスキーピングタンパクであり、細胞の増殖及び生存の原因である他のクライアントタンパク質/シグナル伝達タンパク質の安定性と機能に必要である)、ゲルダナマイシンを含む; (t)α受容体拮抗薬(例えば、ドキサゾシン、タムスロシン)、β受容体作動薬(例えば、ドブタミン、サルメテロール)、β受容体拮抗薬(例えば、アテノロール、メタプロロール、ブトキサミン)、アンギオテンシンII受容体拮抗薬(例えば、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン)、及び鎮痙薬(例えば、塩化オキシブチニン、フラボキサート、トルテロジン、硫酸ヒオスシアミン、ジサイクロミン)、(u) bARKct阻害剤、(v)ホスホランバン阻害剤、(w) Serca 2遺伝子/タンパク質、(x)免疫応答調節物質、アミノキゾリン、例えば、レシキモドやイミキモドのようなイミダゾキノリンを含む、及び(y)ヒトアポリポタンパク質(例えば、AI、AII、AIII、AIV、AV等)、(z)選択エストロゲン受容体モジュレーター(SERMs)例えば、ラロキシフェン、ラソホキシフェン、アルゾキシフェン、ミプロキシフェン、オスペミフェン、PKS 3741、MF 101、SR 16234、(aa)PPAR-αアゴニスト、γアゴニストおよびδアゴニストを含むPPARアゴニスト、例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、ネトグリタゾン、フェノフィブラート、ベキサオテン、メタグリダセン、リボグリタゾン、テサグリタザル、 (bb) PGE2アゴニストを含むPGE2アゴニスト、例えば、アルプロスタジルまたはONO 8815Ly、(cc)トロンビン受容体活性化ペプチド(TRAP)、(dd)ベナゼプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、イミダプリル、デラプリル、モエキシプリル、スピラプリルを含むバソペプチダーゼ阻害剤、(ee)チモシンβ4、(ff)ホスホリルコリン、ホスファチジルイノシトールおよび、ホスファチジルコリンを含むリン脂質、(gg) VLA-4アンタゴニストおよびVCAM-1アンタゴニスト、(hh)非汚染性タンパク耐性剤、例えばポリエチレングリコールおよび(ii)治癒促進剤。
【0107】
必ずしも上で挙げたものだけでない多くの治療剤が、血管治療法のための候補物質として、例えば、再狭窄を標的にする薬剤(抗狭窄剤)として確認されている。このような薬剤は、本発明の実施に有効であり、以下の1つ以上を含んでいる:(a)ジルチアゼムやクレンチアゼムのようなベンゾチアゼピン、ニフェジピン、アムロジピン、ニカルダピンのようなジヒドロピリジン、ベラパミルのようなフェニルアルキルアミンが含まれるCa-チャンネル遮断薬、(b)ケタンセリンやナフチドロフリルのような5-HT拮抗薬、フルオキセチンのような5-HT取込み阻害剤が含まれるセロトニン経路モジュレーター、(c)シロスタゾールやジピリダモールのようなホスホジエステラーゼ阻害剤、フォルスコリンのようなアデニル酸/グアニル酸シクラーゼ賦活薬、アデノシン類似体が含まれる環状ヌクレオチド経路薬、(d)プラゾシンやブナゾシンのようなα-拮抗薬、プロプラノロールのようなβ-拮抗薬及びラベタロールやカルベジロールのようなα/β-拮抗薬が含まれるカテコールアミンモジュレーター、(e)ボセンタン、シタクスセンタンナトリウム、アトラセンタン、エンドネンタンのようなエンドセリン受容体拮抗薬、(f)ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、亜硝酸アミルのような有機硝酸塩/亜硝酸塩、ニトロプルシドナトリウムのような無機ニトロソ化合物、モルシドミンやリンシドミンのようなシドノンイミン、ジアゼニウムジオラートやアルカンジアミンのNO付加物のようなノノエート、低分子量化合物(例えば、カプトプリル、グルタチオン、N-アセチルペニシラミンのS-ニトロソ誘導体)や高分子量化合物(例えば、タンパク質、ペプチド、オリゴ糖類、多糖類、合成ポリマー/オリゴマー、天然ポリマー/オリゴマーのS-ニトロソ誘導体)を含むS-ニトロソ化合物、C-ニトロソ化合物、O-ニトロソ化合物、N-ニトロソ化合物、L-アルギニンが含まれる一酸化窒素供与体/放出分子、(g)シラザプリル、フォシノプリル、エナラプリルのようなACE阻害薬、(h)サララシンやロサルチンのようなATII-受容体拮抗薬、
【0108】
(i)アルブミンやポリエチレンオキシドのような血小板接着阻害剤、(j)シロスタゾール、アスピリン、チエノピリジン(チクロピジン、クロピドグレル)、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバンのようなGP IIb/IIIa阻害剤が含まれる血小板凝集阻害剤、(k)ヘパリン、低分子量ヘパリン、硫酸デキストラン、β-シクロデキストリンテトラデカスルフェートのようなヘパリノイド、ヒルジン、ヒルログ、PPACK(D-phe-L-プロピル-L-arg-クロロメチルケトン)、アルガトロバンのようなトロンビン阻害剤、アンチスタチンやTAP(ダニ抗凝固ペプチドのようなFXa阻害剤、ワルファリンのようなビタミンK阻害剤、活性化プロテインCが含まれる凝固経路モジュレーター、(l)アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、スルフィンピラゾンのようなシクロオキシゲナーゼ経路阻害剤、(m)デキサメタゾン、プレドニゾロン、メトプレドニゾロンヒドロコルチゾンのような天然コルチコステロイドや合成コルチコステロイド、(n)ノルジヒドログアイアレチン酸、カフェ酸のようなリポキシゲナーゼ経路阻害剤、(o)ロイコトリエン受容体拮抗薬、(p)E-セレクチンとP-セレクチンの拮抗薬、(q)VCAM-1とICAM-1の相互作用の阻害剤、(r)PGE1やPGI2のようなプロスタグランジン、シプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロスト、ベラプロストのようなプロスタサイクリン類似体が含まれるプロスタグランジンやその類似体、(s)ビスホスホネートが含まれるマクロファージ活性化予防剤、(t)ロバスタチン、プラバスタチン、フラバスタチン、シンバスタチン、セリバスタチンのようなHMG-CoA還元酵素阻害剤、(u)魚油及びω-3脂肪酸、(v)プロブコール、ビタミンC、ビタミンE、エブセレン、トランスレチノイン酸、SOD(オルゴテイン)、SODミミックス、ベルテポルフィン、ロスタポルフィン、AGI 1067、M40419のようなフリーラジカルスカベンジャー/抗酸化剤、
【0109】
(w) bFGF抗体やキメラ融合タンパク質のようなFGF経路薬、トラピジルのようなPDGF受容体拮抗薬、アンギオペプチンやオクレオチドのようなソマトスタチン類似体を含むIGF経路薬、ポリアニオン性薬剤(ヘパリン、フコイジン)、デコリン、TGF-β抗体のようなTGF-β経路物質、EGF抗体、受容体拮抗薬、キメラ融合タンパク質のようなEGF経路薬、サリドマイドやその類似体のようなTNF-α経路薬、スロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベン、リドグレルのようなトロンボキサンA2(TXA2)経路モジュレーター、チロホスチン、ゲニステイン、キノキサリン誘導体のようなタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤が含まれる種々の成長因子に影響する薬剤、(x)マリマスタット、イロマスタット、メタスタット、バチマスタット、ペントサンポリスルフェート、レビマスタット、インシクリニド、アプラタスタット、PG 116800、RO 1130830またはABT 518のようなマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)経路阻害剤、(y)サイトカラシンBのような細胞運動阻害剤、(z)プリン類似体(例えば、塩素化プリンヌクレオシド類似体である、6-メルカプトプリン又はクラドリビン)、ピリミジン類似体(例えば、シタラビン、5-フルオロウラシル)、メトトレキセートのような代謝拮抗薬、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホネート、エチレンイミン、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソ尿素、シスプラチン、微小管動態に影響する薬剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、Epo D、パクリタキセル、エポチロン)、カスパーゼ活性化剤、プロテアソーム阻害剤、血管形成阻害剤(例えば、エンドスタチン、アンギオスタチン、スクアラミン)、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス、ビオリムス、セリバスタチン、フラボピリドール及びスラミンが含まれる抗増殖剤/抗新生物剤、(aa)ハロフギノン又は他のキナゾリノン誘導体、ピルフェニドン、トラニラストのようなマトリックス沈着/組織化経路阻害剤、(bb)VEGFやRGDペプチドのような内皮化促進剤、(cc)ペントキシフィリンのような血液レオロジーモジュレーターおよび(dd)塩化アラゲブリウム(ALT-711)のようなグルコース架橋切断薬。
【0110】
治療剤が存在する場合、広範囲の装填が本発明の医療機器と共に用いることができる。典型的な治療剤装填は、例えば、ポリマー領域の1wt%以下から2wt%まで5wt%まで10wt%まで25wt%以上までの範囲にある。
【実施例】
【0111】
実施例1:
はじめに、例えば、以下より選ばれる、100から100,000ダルトンまでの範囲にある数平均分子量を有する末端不飽和を有するポリイソブチレン(PIB)誘導体を合成する:
【化5】

(ここで、nは、1から50までの範囲にある整数である)。
次に、末端不飽和を有するPIB誘導体を、それ自体でまたは適切な架橋剤、例えば、UV開始剤(例えば、ベンゾフェノン、過酸化ベンゾイル、AIBN等)または熱開始剤(例えば、過酸化ジクミルのような過酸化物)または有機金属触媒(例えば、白金触媒)または他の既知の架橋剤と、押出すか、成形する(例えば、射出成形する)か、または結合または接続される2つ以上の構成要素上にまたはそれの間に加える。次に、得られた組成物を、加熱を用いてまたは放射線(例えば、UV可視光、電子ビーム、γ線、レーザ照射等)、湿気または金属触媒を用いて、室温または高温度で架橋する。
【0112】
実施例2
はじめに、例えば、以下より選ばれる、100から100,000ダルトンまでの範囲にある数平均分子量を有するポリイソブチレン(PIB)誘導体を合成する:
【化6】

【0113】
(ここで、nは、1から50までの範囲にある整数であり、Xは、-OH、-NH2、-COOH、-COOCH2CH3、-CHOCH2(エポキシド)、-N=C=O、O[Si(R)2O]mH(ここで、mは、1から100までの範囲にあり、Rは、低級アルキル、例えば、-CH3、-C2H5等)である)、OSi(R)3 (ここで、Rは低級アルコキシ(例えば、アセトキシ)である)、-CH=CH2、-CH≡CH、-OC(=O)C(CH3)=CH2、OC(=O)C(H)、=CH2および-OC(=O)OCH2(CH2)pCH=CH2 (ここで、pは、1から10までの範囲にある)、ならびに-O[Si(R)2O]m-(CH2)p-CH=CH2、-O[Si(R)2O]m-(CH2)p-C≡CH、-O[Si(R)2O]m-[CH2C(CH3)2]q-(CH2)p-C≡CHおよび-O[Si(R)2O]m-[CH2-C(CH3)2]q-(CH2)pCH=CH2 (ここで、mは、2から100までの範囲にあり、pは、1から10までの範囲にあり、qは、2から25までの範囲にある)より選ばれる)。
Xが、例えば、-OH、-NH2または-COOHである場合、官能基として2つ以上の末端イソシアネートを有する有機架橋剤を使うことができる。有機架橋剤は、例えば、芳香族または脂肪族(例えば、直鎖、分枝鎖または多分岐脂肪族)またはこれらの組み合わせであり得る。架橋反応は、室温でまたは高温で実施され得る。
Xが、例えば、-N=C=Oである場合、2つ以上の-OH、-NH2または-COOH末端基を有する有機架橋剤を使うことができる。有機架橋剤は、例えば、芳香族または脂肪族(例えば、直鎖、分枝鎖または過分岐脂肪族)またはこれらの組み合わせであり得る。架橋反応は、室温でまたは高温で実施され得る。
Xが末端不飽和を含む場合、例えば、Xが-O[Si(R)2O]n、-CH=CH2、-O[Si(R)2O]m-(CH2)p-CH=CH2、-O[Si(R)2O]m-(CH2)p-C≡CH、-O[Si(R)2O]m-[CH2-C(CH3)2]q-(CH2)p-C≡CHまたは-O[Si(R)2O]m-[CH2-C(CH3)2]q-(CH2)pCH=CH2 (ここで、nは、2から100までの範囲にあり、pは、1から10までの範囲にあり、qは、2から25までの範囲にある)であるか、またはXが-OC(=O)C(H)=CH2、OC(=O)C(CH3)=CH2、または-OC(=O)OCH2(CH2)pCH=CH2 (ここで、pは、1から10までの範囲にある)である場合、架橋反応は、架橋剤、たとえば、UV開始剤(例えば、ベンゾフェノン、過酸化ベンゾイル、AIBN等)、熱開始剤(例えば、過酸化ジクミルのような過酸化物)、または有機金属触媒(例えば、白金触媒)の存在下または非存在下で実施され得る。架橋反応は、熱を用いてまたは放射線(例えば、UV可視光、電子ビーム、γ線、レーザ照射等)、湿気または金属触媒を用いて、室温または高温で実施され得る。
【0114】
実施例3
末端官能基を有する100から100,000ダルトンの範囲にある数平均分子量を有する適切なポリイソブチレンウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマー(PIBPU)、例えば、
【化7】

(ここで、nは、1から50までの範囲にある整数であり、Xは、例えば、-CH=CH2、-(CH2)pCH=CH2(ここで、pは、1から10までの範囲にある)、-CH≡CH、-O[Si(R)2O]mCH=CH2(ここで、mは、1から100までの範囲にあり、Rは、低級アルキル(例えば、-CH3、-C2H5等)である)、-OC(=O)C(H)=CH2または-OC(=O)C(CH3)=CH2、または-O[Si(R)2O]m-(CH2)p-CH=CH2、O[Si(R)2O]m-(CH2)p-C≡CH、-O[Si(R)2O]m-[CH2-C(CH3)2]q-(CH2)p-C≡CHまたは-O[Si(R)2O]m-[CH2C(CH3)2]q-(CH2)pCH=CH2(ここで、mは、2から100までの範囲にあり、pは、1からの10まで範囲にあり、qは、2から25の範囲にある)より選ばれる)
を用いて、上記実施例1および実施例2のような手順を使うことができる。
【0115】
架橋反応は、架橋剤、たとえば、UV開始剤(例えば、ベンゾフェノン、過酸化ベンゾイル、AIBN等)、熱開始剤(例えば、過酸化ジクミルのような過酸化物)、または有機金属触媒(例えば、白金触媒)の存在下または非存在下で実施され得る。架橋反応は、熱を用いてまたは放射線(例えば、UV可視光、電子ビーム、γ線、レーザ照射等)、湿気または金属触媒を用いて、室温または高温で実施され得る。
【0116】
種々の実施態様が本明細書に詳細に示され説明されているが、本発明の修正及び変更が上記教示によって包含され、本発明の真意及び意図した範囲を逸脱することなく添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソブチレンセグメントと2つ以上の反応基からなるポリマーを含む架橋性組成物。
【請求項2】
ポリマーが、ウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマーである、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項3】
ポリマーが、1,000から150,000ダルトンまでの範囲にある数平均分子量を有する低分子量コポリマーである、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項4】
反応基が、不飽和基である、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項5】
ポリマーが、-CH=CH2および-CH≡CHより選ばれる末端基を含む、請求項4に記載の架橋性組成物。
【請求項6】
ポリマーが、-O[Si(R)2O]m-(CH2)p-CH=CH2(ここで、Rは、C1-C4アルキルであり、mは、1から100までの範囲にあり、pは、1から10までの範囲にある)より選ばれる末端基を含む、請求項4に記載の架橋性組成物。
【請求項7】
組成物が、さらに、フリーラジカル熱開始剤または光開始剤を含む、請求項4に記載の架橋性組成物。
【請求項8】
反応基が、COOH基、エポキシド基およびアルキルシロキシ基より選ばれる、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項9】
ポリマーが、-OH、-NH2、および-N=C=O基より選ばれる末端基を含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項10】
前記組成物が、放射線、熱、有機金属触媒、架橋剤、またはこれらの組み合わせにさらすことによって硬化される接着剤である、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項11】
組成物が、さらに、不飽和基、エポキシド基、アルキルシロキシ基、-COOH基、-OH基、-NH2基および-N=C=O基より選ばれる複数の反応基を有する架橋剤を含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項12】
組成物が、さらに、治療剤を含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項13】
前記ポリマーが、さらに、非ポリイソブチレンポリマーセグメントを含む、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項14】
非ポリイソブチレンポリマーセグメントが、ポリエーテルセグメント、フッ素化ポリエーテルセグメント、フルオロポリマーセグメント、ポリエステルセグメント、ポリアクリレートセグメント、ポリメタクリレートセグメント、ポリシロキサンセグメント、フッ素化ポリシロキサン、およびポリカーボネートセグメントより選ばれる、請求項13に記載の架橋性組成物。
【請求項15】
非ポリイソブチレンポリマーセグメントが、ポリテトラメチレンオキシドセグメント、ポリヘキサメチレンオキシドセグメント、ポリジメチルシロキサンセグメント、ポリペルフルオロアルキレンオキシドセグメントおよびポリヘキサメチレンカーボネートセグメントより選ばれる、請求項13に記載の架橋性組成物。
【請求項16】
コポリマーが、芳香族ジイソシアネートの残基を含む、請求項2に記載の架橋性組成物。
【請求項17】
コポリマーが、連鎖延長剤残基を含む、請求項2に記載の架橋性組成物。
【請求項18】
ポリイソブチレンセグメントを含む架橋したポリマーからなるポリマー領域を含む医療機器。
【請求項19】
ポリマーが、架橋したウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマーである、請求項18に記載の医療機器。
【請求項20】
ポリマー領域が、架橋剤残基を含む、請求項18に記載の医療機器。
【請求項21】
前記ポリマー領域が、医療機器構成要素に加えられるコーティングまたは接着剤層である、請求項18に記載の医療機器。
【請求項22】
前記ポリマー領域が、成形されたまたは押出された医療機器構成要素である、請求項18に記載の医療機器。
【請求項23】
前記医療機器が、ステント、心臓弁、植込み型電気リード、ペースメーカー、細動除去器および心不全機器より選ばれる、請求項18に記載の医療機器。
【請求項24】
前記ポリマー領域が、さらに、治療剤を含む、請求項18に記載の医療機器。
【請求項25】
医療機器を形成する方法であって、ポリイソブチレンセグメントを含むポリマーを架橋する工程を含む、前記方法。
【請求項26】
前記ポリマーが、ウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマーである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記架橋する工程が、医療機器構成要素にコーティングを加えて架橋する工程または接着剤を架橋して2つ以上の医療機器構成要素を相互に接着させる工程とともに行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
1つ以上の前記医療機器構成要素が、ポリイソブチレンセグメントを含むコポリマーを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記架橋する工程が、射出成形または押出し操作とともに行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
医療機器を形成する方法であって、ポリイソブチレンセグメントを含むポリマー成分の表面上でポリイソブチレンセグメントを含む架橋性ポリマーを架橋する工程を含む、前記方法。
【請求項31】
前記架橋する工程が、コーティングまたは接着剤層を前記医療機器構成要素に加える工程とともに行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記医療機器構成要素が、ポリイソブチレンセグメントを含むウレタン、尿素またはウレタン/尿素コポリマーを含む、請求項30に記載の方法。

【公表番号】特表2013−502495(P2013−502495A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525706(P2012−525706)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/046072
【国際公開番号】WO2011/022583
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】