説明

ポリイミド管状成型体およびその製造方法、中間転写ベルト、定着ベルト、ならびに画像形成装置

【課題】積層構造を有するポリイミド管状成型体において、ポリイミド層間の界面の乱れがよくせいされたポリイミド管状成型体を提供する。
【解決手段】ポリイミド樹脂およびイミド化反応を促進する化合物を含む第1の層と、ポリイミド樹脂を含み、前記第1の層上に有する第2の層と、を備えたポリイミド管状成型体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド管状成型体およびその製造方法、中間転写ベルト、定着ベルト、ならびに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置は、導電性材料からなる感光体上に電荷を形成し、変調した画像信号をレーザー光などで静電潜像を形成した後、帯電したトナーにより静電潜像を現像してトナー像とする。次いでこのトナー像を直接又は中間転写体を介して紙などの記録媒体に転写することにより画像を得る装置である。
【0003】
電子写真方式を利用した画像形成装置では、従来、電子写真感光体などの像保持体に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像し、得られたトナー像を無端ベルトである中間転写ベルト上に静電気的に転写(1次転写工程)した後、転写紙などの被転写媒体上に再度転写(2次転写工程)して画像を形成する画像形成装置が知られている。特に、異なる複数色のトナー像を重ねることでカラー画像を得る方式(タンデム方式)の画像形成装置においては、中間転写ベルトが好適に用いられている。この種の画像形成装置においては、導電性を有する導電性中間転写ベルトが広く用いられてきた。
かかる中間転写ベルトは、例えばポリフッ化ビニリデン(例えば、特許文献1参照)、ポリカーボネート(例えば、特許文献2参照)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体とポリカーボネートとのブレンド(例えば、特許文献3参照)などの熱可塑性樹脂にカーボンブラック等の導電剤を分散させた導電性無端ベルトが提案されている。
【0004】
またこの中間転写体を加熱することで記録媒体上のトナー像を定着せしめる方法、即ち中間転写及び定着方式が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また中間転写ベルト外周面の表面抵抗率を8LogΩ/□以上12LogΩ/□以下、内周面の表面抵抗率を5LogΩ/□以上10LogΩ/□以下とする技術が開示されている(例えば、特許文献5参照)。また、中間転写体の表面抵抗率を10LogΩ/□以上14LogΩ/□以下、体積抵抗率を13LogΩ・cm以下とし、かつ表面抵抗率を10Ω/□、体積抵抗率を10Ω・cmで表したときX≦Yとする技術が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
【特許文献1】特開平5−200904号公報
【特許文献2】特開平6−228335号公報
【特許文献3】特開平6−149083号公報
【特許文献4】特開平6−258960号公報
【特許文献5】特開平8−30109号公報
【特許文献6】特開2004−46277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、積層構造を有するポリイミド管状成型体において、ポリイミド層間の界面の乱れが抑制されたポリイミド管状成型体およびその製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段により解決される。すなわち、
請求項1にかかる発明は、ポリイミド樹脂およびイミド化反応を促進する化合物を含む第1の層と、前記第1の層上に、ポリイミド樹脂を含む第2の層と、を備えたポリイミド管状成型体である。
【0007】
請求項2にかかる発明は、前記イミド化反応を促進する化合物は、3級アミン化合物、または、3級アミン化合物および脱水剤である請求項1に記載のポリイミド管状成型体である。
【0008】
請求項3にかかる発明は、前記イミド化反応を促進する化合物は、オキシカルボン酸誘導体である請求項1に記載のポリイミド管状成型体である。
【0009】
請求項4にかかる発明は、前記第2の層は、前記イミド化反応を促進する化合物を含まない請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポリイミド管状成型体である。
【0010】
請求項5にかかる発明は、前記第1の層および第2の層は、導電剤をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポリイミド管状成型体である。
【0011】
請求項6にかかる発明は、円筒状金型外面に、ポリイミド樹脂前駆体、イミド化反応を促進する化合物、および有機溶剤を含む第1のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布し、200℃以下の温度で加熱処理して、基材層を形成する基材層形成工程と、前記基材層上に、ポリイミド樹脂前駆体および有機溶剤を含む第2のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布し、200℃以下の温度で加熱処理をして、表面層を形成する表面層形成工程と、前記基材層および表面層を、200℃を超える温度で加熱処理する工程と、を備えたポリイミド管状成型体の製造方法である。
【0012】
請求項7にかかる発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポリイミド管状成型体を備えた中間転写ベルトである。
【0013】
請求項8にかかる発明は、像保持体と、該像保持体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された像保持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像保持体上の静電潜像をトナー像として顕像化する現像手段と、前記トナー像を中間転写ベルトに転写する一次転写手段と、前記中間転写ベルトに転写されたトナー像を、被転写媒体に転写する二次転写手段と、前記被転写媒体上のトナー像を定着する定着手段と、を備え、前記中間転写ベルトとして請求項1から請求項5の何れか1項に記載のポリイミド管状成型体を用いることを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
請求項9にかかる発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポリイミド管状成型体を備えた定着ベルトである。
【0015】
請求項10にかかる発明は、回転駆動する回転体と、前記回転体に表面が相対的に押し付けられて該回転体との間にシートを挟み込む挟込領域を形成し、前記回転体に従動して回転し、前記挟込領域に導入される前記シートを前記回転体とで搬送する請求項9に記載の定着ベルトと、前記挟込領域において前記シートにある未定着トナー像を加熱する加熱手段と、を備えた定着装置である。
【0016】
請求項11にかかる発明は、表面に形成される像を保持可能な像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段により前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記現像手段により形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段により転写された未定着トナー像を前記シートとしての前記記録媒体に定着させる請求項10に記載の定着装置と、を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れが抑制される、といった効果を奏する。
請求項2にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れがより抑制される、といった効果を奏する。
請求項3にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、製造適性に優れる、といった効果を奏する。
【0018】
請求項4にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れがより抑制される、といった効果を奏する。
請求項5にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、抵抗特性の乱れが抑制される、といった効果を奏する。
【0019】
請求項6にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れが抑制される、といった効果を奏する。
【0020】
請求項7にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れに起因する画質欠陥の発生が抑制される、といった効果を奏する。
請求項8にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、中間転写ベルトの抵抗特性の乱れに起因する画質欠陥の発生が抑制される、といった効果を奏する。
【0021】
請求項9にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れに起因する画質欠陥の発生が抑制される、といった効果を奏する。
請求項10にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れに起因する定着ムラの発生が抑制される、といった効果を奏する。
請求項11にかかる発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、2つのポリイミド層間の界面の乱れに起因する定着ムラの発生が抑制される、といった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。
[ポリイミド管状成型体]
第1実施形態のポリイミド管状成型体は、ポリイミド樹脂およびイミド化反応を促進する化合物を含む第1の層と、前記第1の層上に積層され、ポリイミド樹脂を含む第2の層とを備える。前記第1の層は、例えば、基材層を構成し、前記第2の層は、例えば、表面層を構成する。
前記第1の層がポリイミド樹脂およびイミド化反応を促進する化合物を含むことで、第2の層を形成する際に第1の層との界面の乱れが抑制され、さらに熱収縮による影響が緩和され、断層化が抑制された積層体が形成される。
【0023】
前記第1の層は、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸樹脂と、イミド化反応を促進する化合物と、必要に応じて含まれる溶媒と導電剤とをさらに含んで構成されるポリアミック酸樹脂組成物から形成される。
【0024】
前記ポリアミック酸樹脂は、ポリアミック酸構造を含むポリマーであってポリイミド樹脂の前駆体となりうるポリアミック酸を示す。ポリアミック酸の構造としては特に制限はないが、下記一般式(1)で表されるポリアミック酸を好適に挙げることができる。
【0025】
【化1】

【0026】
一般式(1)中、Rは4価の有機基を示し、Rは2価の有機基を示す。以下、ポリアミック酸をより詳細に説明する。
【0027】
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを等モル量を有機極性溶媒中で重合反応させて得られる。
【0028】
−テトラカルボン酸二無水物−
ポリアミック酸の製造に用いられ得るテトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も使用できる。
【0029】
芳香族系テトラカルボン酸としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等を挙げることができる。
【0030】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
【0031】
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物が好ましく、さらに、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、が好適に使用される。
【0032】
これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
−ジアミン化合物−
次にポリアミック酸の製造に用いられ得るジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物であれば特に限定されない。
【0034】
例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等を挙げることができる。
【0035】
ジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、が好ましい。
これらのジアミン化合物は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
−テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との組み合わせ−
ポリアミック酸としては、成型体の強度の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族系ジアミンとを含むものが好ましい。
【0037】
−合成溶媒−
このポリアミック酸の生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエン等の芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されない。
【0038】
−ポリアミック酸重合時の固形分濃度−
ポリアミック酸溶液の固形分濃度は特に規定されるものではないが、例えば5質量%以上50質量%以下が好ましく、さらに10質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0039】
−ポリアミック酸重合温度−
ポリアミック酸重合時の反応温度としては、例えば0℃以上80℃以下の範囲で行われる。
【0040】
−イミド化反応を促進する化合物−
イミド化反応を促進する化合物は、3級アミン化合物単独、3級アミン化合物と脱水剤との組み合わせ、および、オキシカルボン酸誘導体から選ばれることが望ましい。
【0041】
(3級アミン化合物)
3級アミン化合物(以下、単に「3級アミン」ということがある)は、イミド化反応の触媒として働くものであり、例えば、ピリジン、ピコリン、コリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、およびトリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができるが、中でもピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリン、およびトリエチルアミンから選ばれる1種又は2種以上を好適に使用することができる。
【0042】
3級アミンの含有量は、例えばポリアミック酸構造を含むポリマー100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下添加される。
【0043】
(脱水剤)
脱水剤は、イミド化反応時の脱水剤として働き、イミド化反応を促進するものである。脱水剤としては、1価のカルボン酸無水物であれば特に限定はされず、無水酢酸、プロピオン酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブタン酸無水物及びシュウ酸無水物などが挙げられ、これらの中でも無水酢酸が好適である。これらは、1種類又は2種類以上用いてもよい。
【0044】
脱水剤の含有量は、例えばポリアミック酸構造を含むポリマー100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下添加される。
【0045】
本実施形態における3級アミンと脱水剤の組み合わせとしては、β−ピコリンと無水酢酸、イソキノリンと無水酢酸、ピリジンと無水酢酸等を挙げることができる。
【0046】
3級アミンと脱水剤の含有量は、例えばポリアミック酸構造を含むポリマー100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下添加されうる。
【0047】
(オキシカルボン酸誘導体)
本実施形態にかかるオキシカルボン酸誘導体としては、下記一般式(2)、(3)または(4)で示される化合物が例示される。
かかる化合物は、ポリアミック酸組成物中に添加することで、乾燥・焼成工程時のポリアミック酸脱水閉環反応を促進する作用を及ぼす。
【0048】
【化2】

【0049】
一般式(2)、(3)および(4)中、X、XおよびXはそれぞれ水酸基を示し、n、mおよびpは、それぞれ独立に1以上5以下の整数を示す。
このうち、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、4−ヒドロキシナフトエ酸、5−ヒドロキシナフトエ酸、等が好適に使用される。
【0050】
本実施形態におけるイミド化反応を促進する化合物としては、上記の化合物の他に、分子内にアミノ基またはスルホニル基を有する芳香族カルボン酸化合物を挙げることができる。具体的には、前記一般式(2)、(3)および(4)におけるX、XおよびXがそれぞれ独立にアミノ基またはスルホニル基を示す化合物が例示される。
このうち、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−スルホニル安息香酸、4−アミノナフトエ酸、4−スルホニルナフトエ酸等が好適に使用される。
【0051】
さらにイミド化反応を促進する化合物としては、分子内にアミノ基またはスルホニル基を有すフェノール化合物を挙げることができる。具体的には、下記一般式(5)、(6)または(7)で示される化合物が例示される。
【0052】
【化3】

【0053】
一般式(5)、(6)および(7)中、X、XおよびXは、それぞれ独立にアミノ基またはスルホニル基を示す。q、rおよびsはそれぞれ独立に1以上5以下の整数を示す。
このうち、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、3−ヒドロキシスルホン酸、4−ヒドロキシスルホン酸等が好適に使用される。
【0054】
これらイミド化反応を促進する化合物は、単独または2種以上を組み合わせて用いても良い。これらは、ポリアミック酸組成物の溶媒中に溶解させて用いられる。
【0055】
前記イミド化反応を促進する化合物の添加量は、例えばポリアミック酸構造を含むポリマー100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがさらに好ましい。
【0056】
本実施形態における第1の層には、イミド化反応を促進する化合物として、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−スルホニル安息香酸、4−アミノナフトエ酸、4−スルホニルナフトエ酸を、ポリアミック酸構造を含むポリマー100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下含有することが好ましく、ピリリジン、β−キノリン、イソキノリン、無水酢酸をポリアミック酸構造を含むポリマー100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下含有することがより好ましい。
【0057】
(溶媒)
本実施形態に用いられるポリアミック酸組成物の溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエン等の芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されない。
【0058】
前記溶媒は、先のポリアミック酸合成時から使用しても、ポリアミック酸重合後に予め定めた溶媒に置換してもよい。溶媒の置換には、ポリアミック酸溶液に予め定めた量の溶剤を添加して希釈する方法、ポリマーを再沈殿した後に予め定めた溶媒中に再溶解させる方法、溶剤を徐々に留去しながら予め定めた溶媒を添加して組成物を調製する方法のいずれかでもよい。
【0059】
(導電剤)
導電剤としては、導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm未満、以下同様である)もしくは半導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)の粉末(1次粒径が10μm未満の粒子の粉末が好ましく、さらに望ましくは1次粒径が1μm以下の粒子の粉末)が使用でき、所望の電気抵抗を安定して得ることができれば、導特に制限はないが、ケッチエンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示できる。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよい。これらのなかでもpH5以下の酸性カーボンブラックを添加することが望ましい。
【0060】
−酸性カーボンブラック−
酸性カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温(例えば、300℃以上800℃以下)雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温(例えば25℃、以下同様)下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温(例えば、300℃以上800℃以下)下での空気酸化後、低い温度(例えば、20℃以上200℃以下)下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。
【0061】
具体的には、酸性カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸性カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。
【0062】
なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、適用しうる。
【0063】
酸性カーボンブラックのpH値は、例えばpH5.0以下であるが、pH4.5以下であることが好ましく、pH4.0以下であることがより好ましい。
【0064】
ここで、pHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
【0065】
酸性カーボンブラックは、その揮発成分が、例えば1質量%以上25質量%以下であることが好ましく、2質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、3.5質量%以上15質量%以下含まれていることがさらに好ましい。
【0066】
酸性カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5%)等が挙げられる。
【0067】
酸性カーボンブラックの含有量は、ポリアミック酸組成物中、ポリアミック酸100質量部に対して、10質量%以上30質量%以下配合されることが望ましく、18質量%以上30質量%以下配合されることがより望ましい。
【0068】
(分散剤)
分散剤としては、低分子量/高分子量又は、カチオン系/アニオン系/非イオン系から選ばれるいずれの種類の分散剤を使用することもできる。分散剤として非イオン系高分子を使用することが望ましい。ポリビニルピロリドン、ポリリン酸類が好適に使用しえる。
【0069】
−非イオン系高分子−
非イオン系高分子としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピペリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の非イオン系高分子を添加することができる。本発明においては、カーボンブラックの分散性がより高まることから、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)を含むことが望ましい。
【0070】
前記ポリアミック酸組成物中、非イオン系高分子の配合量は、ポリアミック酸100質量部に対して、0.2質量部以上3質量部以下であることが望ましい。
【0071】
前記第2の層は、ポリイミド樹脂を含み、前記第1の層上に積層される。第2の層が含むポリイミド樹脂は前記第1の層におけるポリイミド樹脂と同義であり、望ましい実施形態も同様である。
【0072】
前記第2の層は、イミド化反応を促進する化合物を含んでいてもよいが、その含有量は、例えばポリアミック酸100質量部に対して、5質量部以下であることが望ましく、イミド化反応を促進する化合物を含まないことがより望ましい。
【0073】
前記第2の層は、導電剤を含むことが望ましい。前記導電剤は前記第1の層における導電剤と同義であり、望ましい実施形態も同様である。
また前記第2の層における導電剤の含有量は、第1の層における導電剤の含有量と異なることが望ましい。第1の層における導電剤の含有量を第2の層における導電剤の含有量に対して、例えば1質量%以上10質量%多くすることが望ましい。
【0074】
以上、ポリアミック酸組成物について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた形態で実施しうる。
【0075】
[ポリイミド管状成型体の製造方法]
以下、第2実施形態である上記ポリイミド樹脂の前駆体としてのポリアミック酸組成物を用いたポリイミド管状成型体の製造方法の一例について詳細に説明する。
【0076】
−ポリアミック酸組成物(A)の製造方法−
まず、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を有機溶媒中で重合反応させて得られたポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸溶液をメタノールなどの貧溶媒中に添加してポリアミック酸を析出させ再沈殿精製する。析出したポリアミック酸をろ別した後、γ−ブチロラクトンなどの溶媒に再溶解させ、ポリアミック酸溶液を得る。
【0077】
ポリアミック酸溶液に、予め定めた量のイミド化反応を促進する化合物を加えて攪拌溶解させ、ポリアミック酸組成物を得る。イミド化反応を促進する化合物としては、3級アミン単独、3級アミンと脱水剤(例えば、無水カルボン酸等)、オキシカルボン酸誘導体を挙げることができる。
【0078】
次に、この溶液に、導電剤(例えば、カーボンブラック)をポリアミック酸樹脂の乾燥質量100質量部に対して合計5質量部以上60質量部以下含有せしめる。
【0079】
ここで、この導電剤を分散させ、その凝集体を壊砕する方法としては、ミキサーや攪拌子による攪拌、平行ロール、超音波分散などの物理的手法、さらには分散剤の導入などの化学的手法が例示されるが、これらに限定されるものではない。
上記工程によってポリアミック酸組成物(A)を調製する。
【0080】
−ポリアミック酸組成物(B)の製造方法−
上記ポリアミック酸組成物(A)の製造方法と同様にして得られるポリアミック酸溶液にカーボンブラックなどの導電剤をポリアミック酸樹脂の乾燥質量100質量部に対して合計5質量部以上60質量部以下含有せしめる。かかるカーボンブラックなどの導電剤の配合量は、ポリアミック酸組成物(A)に比べて、少なくする。
【0081】
上記と同様にして、導電剤などの無機粉体を分散させ、ポリアミック酸組成物(B)を調製する。
【0082】
−(工程1)第1の層(例えば、基材層)の形成−
上記工程にて得られたポリアミック酸組成物(A)を金型の外面に塗布する。金型としては、円筒形金型が好ましく、金型の代わりに、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、従来既知の様々な素材の成形型が、本実施形態に係る成形型として良好に動作し得る。また、成形型の表面にガラスコートやセラミックコートなどを設けること、また、シリコーン系やフッ素系の剥離剤を使用することも選択されうる。更に、円筒金型に対するクリアランス調整がなされた膜厚制御用金型を、円筒金型に通し金型外面に沿って移動させることで、余分な溶液を排除し円筒金型上の溶液の厚みを調整する。円筒金型上への溶液塗布の段階で、溶液の厚み制御がなされていれば、特に膜厚制御用金型を用いなくてもよい。
【0083】
次に、ポリアミック酸組成物(A)を塗布したこの円筒金型を、加熱環境に置き、含有溶媒の20質量%から60質量%以上を揮発させるための乾燥を行う。この際、溶媒は膜中に残留していても構わず、塗膜表面が乾燥し、円筒金型を傾けても流動しない状態であれば問題ない。
【0084】
乾燥温度は、イミド化反応を促進する化合物の沸点以下、例えば、200℃以下が好ましい。イミド化反応を促進する化合物が3級アミンである場合、例えば、3級アミンとしてβ−ピコリンを使用した場合、その沸点は常圧下では144℃であるため、乾燥は、144℃以下の温度範囲で行う。また、イミド化反応を促進する化合物がオキシカルボン酸誘導体である場合、例えば、オキシカルボン酸誘導体として4−ヒドロキシ安息香酸を使用した場合、明確な沸点を持たないため、溶媒の揮発分を考慮して乾燥温度を設定する。通常は、60℃から150℃の範囲で行う。
【0085】
−(工程2)第2の層(例えば、表面層)の形成−
次に、上記工程にて得られた第1の層外表面にポリアミック酸組成物(B)を塗布する。塗布方法としては、第1の層形成に用いられた装置、条件を使用する。
【0086】
次に、ポリアミック酸組成物(B)を塗布したこの円筒金型を、(工程1)と同様に加熱環境(例えば、200℃以下が望ましい)に置き、含有溶媒の20質量%から60質量%以上を揮発させるための乾燥を行う。
【0087】
−(工程3)焼成−
更に、第1の層と第2の層とが形成された金型を温度200℃以上400℃以下で加熱し、イミド化反応を進行させる。イミド化反応の温度は、原料のテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類によって、それぞれ異なるが、イミド化反応が完結する温度に設定しなければならない。
その後、金型から樹脂を取り外し、目的のポリイミド管状成型体を得られる。
【0088】
本実施形態においては、例えば、第1の層(例えば、基材層)がイミド化反応を促進する化合物を含むことで、工程1で形成される第1の層において部分的にイミド化反応が進行する。このため第1の層が工程2におけるポリアミック酸組成物(B)に対して部分的に不溶化する。また工程1における残存溶媒により工程3における熱収縮の影響が緩和され、断層化の発生が抑制された積層成型体が製造される。
【0089】
以上、本発明のポリイミド管状成型体の製造方法について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
【0090】
本実施形態のポリイミド管状成型体は、例えば、電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ、これらの複合装置などの電子写真装置に用いられる。具体的には、本発明のポリイミド管状成型体は、例えば、中間転写ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、定着ベルトとして用いられる。
【0091】
本実施形態におけるポリイミド管状成型体の最大厚みと最小厚みの差は、ポリイミド管状成型体の平均厚みの20%以下であることが望ましい。
なお、「ベルトの厚み」とは、ベルトと5mm以上の面積で接触した平板間の距離を測定する厚み計で測定される厚みのことであり、ベルト表面に特異的に存在する幅50μm以下の突起物の高さを無視したものである。
また、ポリイミド管状成型体の厚さは、ベルトの用途を考慮すると、ベルトの厚みは10μm以上1000μm以下であり、30μm以上150μm以下であることが望ましい。
【0092】
導電剤を含む場合、ポリイミド管状成型体の体積抵抗率は、10Ω・cm以上1012Ω・cm以下であることが好ましい。10Ω・cm以上1012Ω・cm以下であることがより好ましい。
【0093】
また、本実施形態では、ポリイミド管状成型体に導電剤を含む形態を説明したが、これに限られず、導電剤が含まれない形態であってもよい。このように、導電剤が含まれないベルトは、例えば、電子写真複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ、これらの複合装置といった電子写真方式の画像形成装置における搬送ベルト、定着ベルト等の用途に供してもよい。
【0094】
(画像形成装置)
図1は、第4実施形態または第7実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。第4実施形態に係る画像形成装置は、第3実施形態にかかる中間転写ベルトとして、上記第1実施形態に係るポリイミド管状成型体を適用した形態である。また、第7実施形態に係る画像形成装置は、第6実施形態にかかる定着装置が備える第5実施形態にかかる定着ベルトとして、上記第1実施形態に係るポリイミド管状成型体を適用した形態である。
さらに、第4実施形態または第7実施形態にかかる画像形成装置に、搬送ベルトとして、上記第1実施形態に係るポリイミド管状成型体を適用してもよい。
【0095】
図1に示される画像形成装置100は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
【0096】
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体ドラム11を備えている。
【0097】
感光体ドラム11の周囲には、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段の一例として、感光体ドラム11を帯電させる帯電器12が設けられ、前記帯電手段により帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段の一例として、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザー露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
【0098】
また、感光体ドラム11の周囲には、前記潜像形成手段により前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
【0099】
さらに、感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザー露光器13、現像器14、一次転写ロール16及びドラムクリーナ17の電子写真用デバイスが感光体ドラム11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、直線状に配置されている。
【0100】
中間転写体である中間転写ベルト15には、既述の第1実施形態に係るポリイミド管状成型体が適用される。
【0101】
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図1に示すB方向に予め定めた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる支持ロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング支持ロール34を有している。
【0102】
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
【0103】
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
【0104】
二次転写部20は、支持ロール25と、前記現像手段により形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段の一例としての、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
【0105】
支持ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この支持ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
【0106】
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
【0107】
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで支持ロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されて支持ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
【0108】
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。
【0109】
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた予め定めたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは画像形成を開始するように構成されている。
【0110】
更に、本実施形態の画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定めたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
【0111】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示す画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により予め定めた画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kによって作像作業が実行される。
【0112】
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の予め定めた画像処理が必要に応じて施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザー露光器13に出力される。
【0113】
レーザー露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザーから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザー露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
【0114】
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
【0115】
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から予め定めたサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合せロール(図示せず)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
【0116】
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が支持ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と支持ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と支持ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
【0117】
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
【0118】
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング支持ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
【0119】
(定着装置)
次に、第6実施形態である定着装置の一例について説明する。定着装置としては、種々の構成があり、以下に、第5実施形態に係る定着ベルトを備える定着装置として、加熱源を有する加熱ロールと圧力パッドが押圧された加圧ベルトと備えた定着装置と、加熱源が押圧された加熱ベルトと加圧ロールと備えた定着装置とを説明する。これらの定着装置における加熱ベルト、加圧ベルトとして上記第1実施形態に係るポリイミド管状成型体が適用される。なお、摺動シートとして上記第1実施形態に係るポリイミド管状成型体を適用してもよい。
【0120】
まず、定着装置60について説明する。図2は、第5実施形態にかかる定着ベルト備える定着装置60の構成を示す概略図である。この定着装置60において、加圧ベルト62として第1実施形態のポリイミド管状成型体をその構成に応じて適用し得る。
【0121】
定着装置60は、図2に示すように、回転駆動する回転体の一例としての加熱ロール61と、加圧ベルト62と、加圧ベルト62を介して加熱ロール61を加圧する圧力部材の一例としての圧力パッド64とを備えて構成されている。なお、圧力パッド64は、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されても良く、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されても良い。
【0122】
加熱ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612及び離型層613を積層して構成されたものである。加熱ロール61の内部には、挟込領域において未定着トナー像を加熱する加熱手段の一例としてのハロゲンランプ66が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
【0123】
一方、加熱ロール61の表面には感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が予め定めた設定温度(例えば、150℃)を維持される。
【0124】
加圧ベルト62は、内部に配置された圧力パッド64とベルト走行ガイド63と、後段で述べる両端部に配置されたエッジガイド80によって回転自在に支持されている。そして、挟込領域Nにおいて加熱ロール61に対して圧接されて配置されている。
【0125】
圧力パッド64は、加圧ベルト62の内側において、加圧ベルト62を介して加熱ロール61に加圧される状態で配置され、加熱ロール61との間で挟込領域Nを形成している。圧力パッド64は、幅の広い挟込領域Nを確保するためのプレ挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
【0126】
さらに、加圧ベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、プレ挟込部材64a及び剥離挟込部材64bの加圧ベルト62と接する面に摺動シート68が設けられている。そして、圧力パッド64と摺動シート68とは、金属製のホルダ65に保持されている。
【0127】
さらに、ホルダ65にはベルト走行ガイド63が取り付けられ、加圧ベルト62が回転する構成となっている。
【0128】
そして加熱ロール61は、図示しない駆動モータにより矢印C方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の方向へ回転する。すなわち、加熱ロール61が図1における時計方向へ回転するのに対して、加圧ベルト62は反時計方向へ回転する。
【0129】
未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体)は、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域Nに作用する圧力と、加熱ロール61から供給される熱とによって定着される。
【0130】
定着装置60では、加熱ロール61の外周面に倣う凹形状のプレ挟込部材64aにより、プレ挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
【0131】
また、定着装置60では、加熱ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
【0132】
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが加熱ロール61から剥離しやすい。
【0133】
また、剥離の補助手段として、加熱ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設されている。剥離部材70は、剥離バッフル71が加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
【0134】
次に、定着装置90について説明する。図3は、第5実施形態にかかる定着ベルトを備える定着装置90の構成を示す概略図である。この定着装置90において、加熱ベルト(定着ベルト)92として第1実施形態のポリイミド管状成型体をその構成に応じて適用し得る。
なお、上記定着装置60と同様な構成については、同様の符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
【0135】
図3に示すように、定着装置90は、加熱ベルト92と、加圧ロール91とを備えて構成されている。
【0136】
そして、加熱ベルト92が用紙Kのトナー像保持面側に配置されるとともに、加熱ベルト92の内側には、加熱手段の一例としての抵抗発熱体であるセラミックヒータ82が配設され、セラミックヒータ82から挟込領域Nに熱を供給するように構成している。
【0137】
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がフラットに形成されている。そして、加熱ベルト92を介して加圧ロール91に加圧される状態で配置され、挟込領域Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。挟込領域Nを通過した用紙Kは、挟込領域Nの出口領域(剥離挟込部)において加熱ベルト92の曲率の変化によって加熱ベルト92から剥離される。
【0138】
さらに、加熱ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、加熱ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、摺動シート68が配設されている。この摺動シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成してもよい。
【0139】
一方、加圧ロール91は加熱ベルト92に対向するように配置され、図示しない駆動モータにより矢印D方向に回転し、この回転に従動して加熱ベルト92が回転するように構成されている。加圧ロール91は、コア(円柱状芯金)911と、コア911の外周面に被覆した耐熱性弾性体層912と、さらに耐熱性樹脂被覆又は耐熱性ゴム被覆による離型層913とが積層されて構成され、必要に応じて各層はトナーのオフセット対策としてカーボンブラックなどの添加により半導電性化されている。
【0140】
また、剥離の補助手段として、加熱ベルト92の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設してもよい。剥離部材70は、剥離バッフル71が加熱ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ベルト92と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
【0141】
加えて、ホルダ95の両端部にはエッジガイド(不図示)が配設されている。エッジガイドは、ホルダ95の両端部において対向するように配置された両エッジガイドの内側面が、加熱ベルト92の幅と一致する間隔を持つように配置されている。そして、加熱ベルト92が回転する際には、加熱ベルト92の端部が両エッジガイドの内側面に接触することによって、加熱ベルト92の幅方向への移動が規制されている。このように、加熱ベルト92は、エッジガイドによって片寄りが規制されるように設定されている。
【0142】
そして、未定着トナー像を有する用紙Kは、定着入口ガイドによって定着装置90の挟込領域Nに導かれる。用紙Kが挟込領域Nを通過する際には、用紙K上のトナー像は、挟込領域Nに作用する圧力と、加熱ベルト92側のセラミックヒータから供給される熱とによって定着される。
【0143】
上記実施形態では、第1実施形態にかかるポリイミド管状成型体を画像形成装置用のベルト部材(中間転写ベルト、定着ベルト等)に適用した形態を説明したが、これに限られず、例えばシート等の被搬送物を搬送するためのベルトを備えた搬送装置における、当該ベルトに適用してもよい。
【実施例】
【0144】
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0145】
<実施例1>
(合成例1:ポリアミック酸溶液の調製)
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコ中に、五酸化リンによって乾燥した窒素ガスを通じ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(0.1モル)とN−メチル−2−ピロリドン117.68gを注入した。十分攪拌・溶解した後、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル20.02g(0.1モル)をN−メチル−2−ピロリドン80.08gに溶解させた溶液を10℃に保持したフラスコ内に徐々に滴下した。ジアミン溶液滴下後10℃以上15℃以下にて攪拌・重合を行った。
反応溶液を大量のメタノール中に注ぎ、再沈殿精製を行った。析出した白色ポリマーをろ別・乾燥した後、N−メチル−2−ピロリドンに再溶解させて、固形分濃度20質量%のポリアミック酸溶液(PAA−1)を得た。
【0146】
(調製例1:ポリアミック酸組成物(A−1)の調製)
ポリアミック酸溶液(PAA−1)200g中に、β−ピコリン4.0g(ポリアミック酸に対して10質量%)を加えて溶解させた後、乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%)6.0gを添加して、ボールミルにて6時間で処理して、カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物(A−1)を得た。
【0147】
(調製例2:ポリアミック酸組成物(B−1)の調製)
ポリアミック酸溶液(PAA−1)200g中に乾燥した酸化処理カーボンブラック(SPECIAL BLACK4(Degussa社製、pH4.0、揮発分:14.0%)8.0gを添加して、ボールミルにて6時間で処理して、カーボンブラック分散ポリアミック酸組成物(B−1)を得た。
【0148】
上記で得られたポリアミック酸組成物(A−1)を、内径90mm、長さ450mmの円筒状SUS製金型表面に塗布した。なお、この円筒状金型には、表面にフッ素系の離型剤を予め塗布することで、ベルト成形後の剥離性を向上させた。次に、金型を回転させながら、温度120℃の条件で、30分間乾燥処理を行い、基材層(第1の層)を形成した。
乾燥後の基材層の一部を長さ1cm、幅1cmに切り取り、イミド化率の測定に用いた。
【0149】
次いで、表面層(第2の層)を形成すべく、ポリアミック酸組成物(B−1)を、先の塗布工程と同様にして、基材層上に塗布した。温度120℃の条件で、30分間乾燥処理を行い、基材層上に表面層を形成した。
乾燥後の膜の一部を長さ1cm、幅1cmに切り取り、基材層を剥離して、イミド化率の測定に用いた。
【0150】
上記で得られた基材層と表面層とが形成された金型をクリーンオーブンに入れ、300℃、30分焼成を行い、イミド化反応を進行させた。その後、金型を室温(25℃)で放冷し、金型から樹脂を取り外し、目的の積層構造をもつポリイミド管状成型体を得た。
【0151】
[評価]
得られたポリイミド管状成型体につき、以下の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0152】
−残溶剤含率−
基材層、表面層形成(乾燥処理後)の際の残留溶媒含率を重量法にて測定して求めた。
【0153】
−イミド化率−
得られたポリイミド管状成型体から試験片を切り出しFT−IR(堀場製作所製顕微FT−IR分光器FT−530)により測定を行った。400℃焼成品をイミド化率100%として、1776cm−1のイミド基に由来するカルボニル基の伸縮ピークと1500cm−1の芳香環の振動ピークとの比により求めた。
【0154】
−ベルト厚み測定−
得られたポリイミド管状成型体から、長さ10cm、幅10cmの試験片をランダムに10箇所切りだし、フィルム厚み計(TECLOCK CORPORATION製定圧厚さ測定器PG−02)を用いて、各試料で中心と四隅の5点の厚みを測定し、それらの平均値をベルト厚みとした。
【0155】
−引張り強度−
引張り強度は、引張り試験機(アイコーエンジニアリング株式会社製1605N)にて測定した。打ち抜き成型機を使用して、長さ100mm、幅5mmの試験片を作製し、40mm長で引張り試験を行った。
【0156】
−ベルト外観−
得られたポリイミド管状成型体の外観を、目視観察し、以下の評価基準で評価を行った。
○:まったくボイドの発生が見られず、膜の均一性に優れる。
○△:ボイドの発生がやや見られるが、実用には問題ない。
△:ボイドの発生が見られ、実用にはやや支障がある。
×:ボイドが多発し、実用できない。
【0157】
−管状成型体の内面/外面表面抵抗値−
得られたポリイミド管状成型体から10×10cmの試験片を切りだし、その管状成型体内面と外面について以下の手順で表面抵抗率を求めた。測定は、前述の試験片を円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧100V印加して10秒後の電流値をアドバンテスト社製R8340Aを用いて測定し、その電流値から無端ベルト外周面/内周面の表面抵抗率(ρs)を算出し、その値から表面抵抗率の常用対数値(log(ρs)(logΩ))を算出しその管状成型体内面と外面抵抗値を測定した。
【0158】
−電子写真機搭載試験−
得られたポリイミド管状成型体から、200mm×200mmの試料片を切り出した。富士ゼロックス社製電子写真装置DocuCentreColor400CP中間転写ベルトから200mm×200mmベルト片を切り出して、代わりに先の試料片を組み込んだ。テストパターンでの通紙試験を行って、初期複写画質について通常搭載ベルト部との比較評価を行った。複写画質の評価項目として、ウロコ状濃度ムラの有無、白点の有無、を評価した。また、50000枚通紙テスト後の画質を同様に評価した。
【0159】
(ウロコ状濃度ムラ)
○:ウロコ状濃度ムラが発生せず
△:ウロコ状濃度ムラが印字画素面積中10%以内に発生する
×:ウロコ状濃度ムラが印字画素面積中10%以上に発生する
【0160】
(白点)
○:白点が発生せず
△:白点が印字画素面積中10%以内に発生する
×:白点が印字画素面積中10%以上に発生する
【0161】
<実施例2から5>
実施例1におけるポリアミック酸組成物(A−1)の調製において、イミド化反応を促進する化合物の種類および配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてポリイミド管状成型体を作製した。作製したポリイミド管状成型体について、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
【0162】
<比較例1>
実施例1におけるポリアミック酸組成物(A)の調製において、イミド化反応を促進する化合物を配合しなかった以外は実施例1と同様にしてポリイミド管状成型体を作製した。作製したポリイミド管状成型体について、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
【0163】
<比較例2>
実施例1で調製したポリアミック酸組成物(A)の調製において、イミド化反応を促進する化合物を配合しなかった以外は実施例1と同様にして調製したポリアミック酸組成物(A-6)を用い、ポリアミック酸組成物(B)を用いずに、積層構造を有しない、単層ポリイミド成型体を製造した。作製したポリイミド管状成型体について、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表1に示す。
【0164】
【表1】

【0165】
実施例1から5で作製したポリイミド管状成型体においては、いずれも基材層と表面層の界面の乱れが抑制され、抵抗特性の乱れも抑制されていた。また電子写真装置に搭載した場合、印字画質にウロコ状濃度ムラ、白点などの欠陥の発生が抑制されていた。一方、比較例1で作製したポリイミド管状成型体においては、基材層と表面層の界面に乱れがあり、成型体の一部で剥離が生じていた。さらに電子写真装置に搭載した場合、印字画質にウロコ状濃度ムラ、白点などの欠陥が発生してしまった。さらに比較例2で作製したポリイミド管状成型体においては、比較例1に見られた剥離はないものの、電子写真装置に搭載した場合、印字画質にウロコ状濃度ムラ、白点などの欠陥が発生してしまった。
上記の結果より、中間転写ベルトとして、良好な印字画質を達成し得るポリイミド管状成型体は、本発明にかかるもののみであった。
【0166】
<実施例6>
(調製例3:ポリアミック酸組成物(A−7)の調製)
ポリアミック酸溶液(PAA−1)200g中に、β−ピコリン4.0g(ポリアミック酸に対して10質量%)を加えて溶解させて、ポリアミック酸組成物(A−7)を得た。
【0167】
(調製例4:ポリアミック酸組成物(B−2)の調製)
ポリアミック酸溶液(PAA−1)を、ポリアミック酸組成物(B−2)とした。
【0168】
上記で得られたポリアミック酸組成物(A−7)を、外径30mm、長さ450mmの円筒状SUS製金型表面に塗布した。なお、この円筒状金型には、表面にフッ素系の離型剤を予め塗布することで、ベルト成形後の剥離性を向上させた。次に、金型を回転させながら、温度120℃の条件で、30分間乾燥処理を行い、基材層(第1の層)を形成した。
乾燥後の基材層の一部を長さ1cm、幅1cmに切り取り、イミド化率の測定に用いた。
【0169】
次いで、表面層(第2の層)を形成すべく、ポリアミック酸溶液(B−2)を、先の塗布工程と同様にして、基材層上に塗布した。温度120℃の条件で、30分間乾燥処理を行い、基材層上に表面層を形成した。
乾燥後の膜の一部を長さ1cm、幅1cmに切り取り、基材層を剥離して、イミド化率の測定に用いた。
【0170】
上記で得られた基材層と表面層とが形成された金型をクリーンオーブンに入れ、300℃、30分焼成を行い、イミド化反応を進行させた。その後、金型を室温(25℃)で放冷し、金型から樹脂を取り外し、目的の積層構造をもつポリイミド管状成型体を得た。
【0171】
[評価]
得られたポリイミド管状成型体につき、以下の評価を行なった。結果を表2に示す。
【0172】
実施例1における評価と同様にして、残溶剤含率、イミド化率、ベルト厚み測定、引張り強度、ベルト外観の評価を行なった。
【0173】
−電子写真機搭載試験−
得られたポリイミド管状成型体から、200mm×200mmの試料片を切り出した。富士ゼロックス社製電子写真装置DocuCentreColor400を用い、図1に示した定着装置である加熱ロール・加圧ベルト方式の定着装置を搭載して、加圧ベルトから200mm×200mmベルト片を切り出して、代わりに先の試料片を組み込んだ。テストパターンでの通紙試験を行って、初期複写画質について通常搭載ベルト部との比較評価を行った。複写画質の評価項目として、こすれ、にじみ、を以下の評価基準にて評価した。また、50000枚通紙テスト後の画質を同様に評価した。
【0174】
(こすれ)
「こすれ」は印字ドットの端部境界部に見られる画素欠陥で、境界部が引きずったように不明瞭になっている欠陥で、用紙進行方向に発生する。
○:こすれが発生せず
△:こすれが印字画素面積中10%以内に発生する
×:こすれが印字画素面積中10%以上に発生する
【0175】
(にじみ)
「にじみ」は方向に関係なく、印字画素に濃度にムラがあることが特徴である。
○:にじみが発生せず
△:にじみが印字画素面積中10%以内に発生する
×:にじみが印字画素面積中10%以上に発生する
【0176】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】第4実施形態または第7実施形態にかかる画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】第6実施形態にかかる定着装置を示す概略構成図である。
【図3】第6実施形態にかかる定着装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0178】
11 感光体ドラム
14 現像器
15 中間転写体
22 2次転写ロール
25 ロール
35 クリーニング装置
50 給紙部
51 送りローラ
55 搬送ベルト
60 定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミド樹脂およびイミド化反応を促進する化合物を含む第1の層と、
前記第1の層上に、ポリイミド樹脂を含む第2の層と、
を備えたポリイミド管状成型体。
【請求項2】
前記イミド化反応を促進する化合物は、3級アミン化合物、または、3級アミン化合物および脱水剤である請求項1に記載のポリイミド管状成型体。
【請求項3】
前記イミド化反応を促進する化合物は、オキシカルボン酸誘導体である請求項1に記載のポリイミド管状成型体。
【請求項4】
前記第2の層は、前記イミド化反応を促進する化合物を含まない請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポリイミド管状成型体。
【請求項5】
前記第1の層および第2の層は、導電剤をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポリイミド管状成型体。
【請求項6】
円筒状金型外面に、ポリイミド樹脂前駆体、イミド化反応を促進する化合物、および有機溶剤を含む第1のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布し、200℃以下の温度で加熱処理して、基材層を形成する基材層形成工程と、
前記基材層上に、ポリイミド樹脂前駆体および有機溶剤を含む第2のポリイミド樹脂前駆体組成物を塗布し、200℃以下の温度で加熱処理をして、表面層を形成する表面層形成工程と、
前記基材層および表面層を、200℃を超える温度で加熱処理する工程と、
を備えたポリイミド管状成型体の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポリイミド管状成型体を備えた中間転写ベルト。
【請求項8】
像保持体と、該像保持体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された像保持体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記像保持体上の静電潜像をトナー像として顕像化する現像手段と、前記トナー像を中間転写ベルトに転写する一次転写手段と、前記中間転写ベルトに転写されたトナー像を、被転写媒体に転写する二次転写手段と、前記被転写媒体上のトナー像を定着する定着手段と、を備え、
前記中間転写ベルトとして請求項1からから請求項5の何れか1項に記載のポリイミド管状成型体を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポリイミド管状成型体を備えた定着ベルト。
【請求項10】
回転駆動する回転体と、
前記回転体に表面が相対的に押し付けられて該回転体との間にシートを挟み込む挟込領域を形成し、前記回転体に従動して回転し、前記挟込領域に導入される前記シートを前記回転体とで搬送する請求項9に記載の定着ベルトと、
前記挟込領域において前記シートにある未定着トナー像を加熱する加熱手段と、
を備えた定着装置。
【請求項11】
表面に形成される像を保持可能な像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段により帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像形成手段により前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記現像手段により形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段により転写された未定着トナー像を前記シートとしての前記記録媒体に定着させる請求項10に記載の定着装置と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−221647(P2010−221647A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74163(P2009−74163)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】