説明

ポリオレフィンの製造方法、その製造装置、および、重合装置

【課題】所望のポリオレフィンを容易に製造できるポリオレフィンの製造方法に関する。
【解決手段】必要量のオレフィン、溶媒、触媒、水素ガス、および第3成分を重合手段210の蒸発潜熱除熱方式の重合槽210Aへ供給し、溶液重合する。重合槽210A内の気相空間の水素濃度を一定、または、水素のフィード流量を一定としつつ、重合槽210Aの気相分をモノマーの蒸発潜熱を利用して冷却しつつ循環させ、所望とする分子量のポリオレフィンの極限粘度となる状態に重合溶液の温度を制御する。重合溶液は、揮発成分を除去した後にペレット状に造粒する。温度調節する簡単な制御で所望の極限粘度となる分子量のポリオレフィンを製造でき、温度依存性の高いメタロセン系化合物の触媒を用いることで、調節時の極限粘度の応答性がよく歩留まりを向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒を用いてポリオレフィンを製造するポリオレフィンの製造方法、その製造装置、および、重合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンを製造する方法として、チーグラー系触媒やフィリップス系触媒などを使用して水素存在下でオレフィンを重合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の方法は、オレフィンの重合帯域におけるオレフィン、水素、触媒および助触媒の供給量、気相部のオレフィン濃度、水素濃度および圧力、並びに液相部の温度および液面高さを検出する。また、重合帯域より流出するポリオレフィン生成物の溶融流れ指数を実測する。そして、これら検出値と実測値とを用いて所定の演算により、重合帯域内で瞬間的に生成するポリオレフィンのMFRを推定するとともに、今後のMFR値の推移を予測する。この後、予測値と目標値との対比に基づいて、気相中の水素/オレフィンのモル比、重合温度、液相中の触媒・助触媒の濃度の目標値を演算し、目標値に基づいて、オレフィン原料や水素、触媒などの供給量、重合温度を調節する構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−140229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような原料や水素などの供給量を目標値に応じて調節する構成では、複数の調節因子にて制御するので、制御が複雑で、より容易に制御できる構成が望まれている。
本発明は、このような点に鑑み、所望のポリオレフィンを容易に製造できるポリオレフィンの製造方法、その製造装置、および、重合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に記載のポリオレフィンの製造方法は、溶媒および触媒を用いて重合槽でオレフィンを溶液重合してポリオレフィンを製造するポリオレフィンの製造方法であって、前記溶液重合時の前記重合槽内の気相空間における水素の濃度を所定値で一定、または、水素のフィード流量を一定とするとともに、前記溶液重合する重合溶液の温度を調整して前記製造するポリオレフィンの分子量を制御することを特徴とする。
【0006】
そして、本発明では、前記重合槽内の気相分を外部循環にて冷却して前記重合槽内の重合溶液の温度を制御する蒸発潜熱除熱方式を用いる構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記触媒は、温度依存性が高いものを用いる構成とすることが好ましい。
そして、本発明では、前記触媒は、メタロセン系化合物である構成とすることが好ましい。
さらに、本発明では、前記触媒として、(A)遷移金属化合物と、(B)遷移金属化合物とイオン対を形成する固体有機ホウ素化合物と、(C)有機アルミニウム化合物と、(D)α−オレフィン、内部オレフィン、ポリエンから選択される一種または二種以上の化合物を接触されてなるものを用いる構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記重合溶液の極限粘度の値に基づいて前記製造するポリオレフィンの分子量を認識する構成とすることが好ましい。
そして、本発明では、前記重合溶液の極限粘度を0.5dL/g以上15.0dL/g以下で製造する構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記ポリオレフィンは、アイソタクティックペンタッド分率が20モル%以上60モル%以下である構成とすることが好ましい。
さらに、本発明では、前記ポリオレフィンは、低分子量低規則性のポリプロピレンである構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記溶液重合時の圧力は、0.5MPa以上3MPa以下である構成とすることが好ましい。
【0007】
本発明に記載のポリオレフィンの製造装置は、溶媒および触媒を用いてオレフィンを溶液重合する重合槽を備えた溶液重合手段と、この溶液重合手段の重合槽内の気相空間における水素の濃度を所定値で一定、または、水素のフィード流量を一定としつつ、前記溶液重合手段で溶液重合する重合溶液の温度を調節する制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【0008】
本発明に記載の重合装置は、本発明に記載のポリオレフィンの製造装置と、このポリオレフィンの製造装置で溶液重合した重合溶液から揮発成分を除去する揮発成分除去手段と、この揮発成分除去手段で揮発成分が除去された重合溶液を造粒する造粒手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、溶液重合時の重合槽内の気相空間における水素の濃度を一定、または、水素のフィード流量を一定としつつ重合溶液の温度を調節してポリオレフィンの分子量を制御するので、温度を調整する簡単な制御で所望の分子量のポリオレフィンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る一実施形態のオレフィンの重合装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における重合手段周辺の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における重合溶液の蒸気圧と温度と濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るオレフィンの重合装置について図面を参照して説明する。
図1は、オレフィンの重合装置の概略構成を示すブロック図である。
【0012】
[オレフィンの重合装置の構成]
図1において、100はオレフィンの重合装置で、この重合装置100は、各種オレフィンを単独重合もしくは異なるオレフィンを共重合させてポリオレフィンを製造する装置である。
ここで、オレフィンとしては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなど、各種オレフィンを対象とすることができる。なお、特に、低分子量低規則性のポリプロピレンを製造する場合に本発明は好適である。
【0013】
特に、重合装置100として、重量平均分子量(Mw)が2以上40万以下のもの、好ましくは4以上10万以下の重合体の重合に好適である。
すなわち、低分子量を製造する場合、重合温度を高くする必要があり、重合温度が高いと、触媒活性が低下してしまい、生産効率が低下するおそれがある。一方、高分子量を製造する場合、重合体の粘度が高くなるため、重合する重合反応を実施する重合槽からの抜き出し不良が懸念されるため、抜き出し不良を回避するために重合体の濃度を上げる必要があり、生産効率が低下するおそれがあるためである。
【0014】
さらに、数平均分子量をMnとした場合、Mw/Mnは好ましくは1.8以上4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2.4以下とするものが好適である。
すなわち、Mw/Mnが4より大きな値では、分子量分布が広くなって低分子量成分が増大し、製品表面にいわゆるブリードしてべたつきを生じるおそれがあるためである。
【0015】
そして、製造するポリオレフィンとしては、DSC測定において、融点(Tm(℃))を示さないか、あるいはTmを示す場合はTmと融解吸熱量ΔH(J/g)が下記の関係式(1)を満たすものが好ましい。
(関係式1)
ΔH≧6×(Tm−140) …(1)
すなわち、特に、後述する触媒を用いて低分子量低規則性のポリプロピレンを製造する場合には、融点が50℃以上110℃以下、好ましくは60℃以上80℃以下のものが好適である。
【0016】
また、重合溶液の極限粘度が0.5dL/g以上15.0dL/g以下、好ましくは0.3dL/g以上1.2dL/g以下、より好ましくは0.4dL/g以上0.95dL/g以下となる分子量のものが好適である。
極限粘度が0.5dL/gより小さい値の重合体を製造する場合、重合温度を高くする必要がある。この重合温度を高くすることにより、触媒活性が低下し、生産効率が低下する不都合を生じるおそれがある。一方、極限粘度が15.0dL/gより大きい値の重合体を製造する場合、重合体の粘度が高くなるため、重合反応を実施する重合槽からの抜き出し不良を生じるおそれがある。このため、重合体の吹き出し不良を回避するために重合溶液における重合体の濃度を下げる必要があり、生産効率が低下するおそれがある。これらのことから、極限粘度を上述した所定の範囲に設定する。
【0017】
さらに、製造するポリオレフィンとしては、アイソタクティックペンタッド分率が20モル%以上60モル%以下、好ましくは40モル%以上55モル%以下、より好ましくは44モル%以上51モル%以下となるものが好適で、特に低分子量低規則性のポリプロピレンの製造に最適である。
アイソタクティックペンタッド分率が20モル%より小さい値では得られたポリオレフィンにべたつきが生じ、後工程での造粒時に粒子同士が再付着して生産性が低下するおそれがある。一方、アイソタクティックペンタッド分率が60モル%より大きい値では触媒性能を上回ることはなく、製造できないおそれがあるためである。
【0018】
ここで、立体規則性の指標として用いたアイソタクティックペンタッド分率の測定は、A.Zambelliにより開示された13C−NMR法(Macromolecules,6925,1973)に準拠して行った。具体的には、まず、i−PP試料220mgを10mm径NMR試料管に採取し、1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン混合溶液(90/10vol%)を2.5ml加え140℃で均一に混合物を溶解させた後、JNM−EX400(商品名:日本電子株式会社製)を用いて13C−NMRスペクトルを測定した。13C−NMRスペクトル測定条件を以下に示す。
・パルス幅 :7.5μs/45度
・観測周波数の範囲 :25,000Hz
・パルス繰り返し時間:4秒
・測定温度 :130℃
・積算回数 :10,000回
【0019】
そして、アイソタクティックペンタッド分率とは、プロピレン5分子の結合パターントータル9種類(「mmmm」、「mmmr」、「rmmr」、「mmrr」、「rmrr+mrmm」、「rmrm」、「rrrr」、「mrrr」、「mrrm」)のそれぞれに対応して13C−NMRスペクトルとして観測される9本のピークすべての面積に対して、「mmmm」に対応するピーク面積の相対比率として定義され、具体的には以下の式(2)により算出した。ここで、2つのピークに重なりがある場合、2つのピークの谷からベースラインまで垂直に垂線を引き、両者のピークを分割した(垂直分割法)。
アイソタクティックペンタッド分率(mol%)
={A(mmmm)/A(トータル)}×100 …(2)
ここで、A(mmmm)はmmmmピークの面積であり、A(トータル)は9本のピーク面積の合計を意味する。
なお、2つのピークに重なりがある場合、上記垂直分割法の他に各ピークをローレンツ型ピークの集合体として波形分離を行う方法も知られており、解析ソフト(日本電子(株)のALICE 2)を用いて求めた値を用いてもよい。
【0020】
そして、重合装置100は、重合設備200と、この重合設備200の動作を制御する制御手段としての制御装置300と、を備えている。
重合設備200は、溶媒を用いてオレフィンを重合(溶液重合)してポリオレフィンを製造するプラント設備である。この重合設備200は、重合手段210と、重合溶液の揮発成分除去装置としての脱揮手段220と、造粒手段230と、を備えている。
【0021】
重合手段210は、重合反応を実施する装置で、図2に示すように、重合槽210Aを備えている。この重合槽210Aは、例えば蒸発潜熱除熱方式が好ましく用いられる。この蒸発潜熱除熱方式は、例えばモノマーの蒸発潜熱を利用するもので、除熱系1系列当たりの除熱量を大きく確保でき、経済的に優れている。さらに、蒸発潜熱除熱方式は、重合により重合槽210A内の重合溶液の粘度が増大するなどしても効率よく良好に冷却できるので好ましい。
なお、全体的に冷却できる程度に製造量が比較的に少ない場合には重合槽210Aの小型化が図れる重合槽210Aの外部から冷却するジャケット除熱方式や、重合溶液の粘度が高くない場合には重合溶液を循環させて冷却する外部循環方式、重合温度に分子量が大きく依存しない触媒系を用いる場合には原料や溶剤を事前に冷却してから供給する原料顕熱除熱方式などとしてもよい。
そして、この重合手段210には、原料のオレフィンであるプロピレンを重合槽210Aに供給する原料供給手段211が接続されている。また、重合手段210には、溶媒、例えばプロピレンを溶液重合する場合には例えばn−ヘプタンを重合槽210Aに供給する溶媒供給手段212が接続されている。さらに、重合手段210には、触媒を供給する触媒供給手段213が接続されている。また、重合手段210には、触媒を活性化させてプロピレンの重合を開始させる水素ガス(H2)を供給する水素ガス供給手段214が接続されている。さらに、重合手段210には、助触媒や第3成分を供給する第3成分供給手段215が接続されている。
【0022】
そして、重合槽210Aでは、例えば低分子量低規則性のポリプロピレンを重合する場合、溶液重合時の圧力は0.5MPa以上3MPa以下が好ましい。
すなわち、圧力を上げれば重合溶液中の重合体の濃度が増えて生産効率が向上する。ただし、3MPaより高い圧力では、重合溶液中の重合体の濃度はほとんど増えず生産効率の向上は望めず、圧力増大による設備の大型化や消費エネルギーの増大などの不都合を生じるおそれがある。一方、0.5MPaより低い圧力では、立体規則性が発現せず、目的とする重合体が得られなくなるためである。
【0023】
また、重合槽210Aでの重合温度は、60℃以上100℃以下に設定することが好ましい。
すなわち、低分子量低規則性のポリプロピレンを重合する際、触媒の活性に基づく分子量制御に適した温度範囲である。
【0024】
さらに、重合槽210Aでの重合溶液の滞留時間は、0.5時間以上2時間以下に設定することが好ましい。
滞留時間を長く設定することで、触媒を有効に活用できる一方、滞留時間が長すぎると重合槽210Aの大きさが大きくなり、設備の大型化や設備コストが増大するなどの不都合を生じるおそれがある。このため、特に低分子量低規則性のポリプロピレンを重合する際には、上述した滞留時間に設定することが好ましい。
【0025】
また、重合槽210Aでの重合溶液中の重合体の濃度は、20質量%以上40質量%以下に設定することが好ましい。
重合体の濃度を高くすることで溶媒を減らすことができ、製造コストを低減できる一方、重合体の濃度が高すぎると、重合槽210A内での混合性が悪化し、製品性状が悪化するおそれがある。このため、特に低分子量低規則性のポリプロピレンを重合する際には、上述した重合体の濃度に設定することが好ましい。
【0026】
そして、重合槽210A内での水素分圧は、1kPa以上100kPa以下に設定することが好ましい。
水素分圧が高すぎると重合圧力が高くなり、上述したように設備の大型化などの不都合を生じるおそれがあることから、水素分圧を可能な限り低く抑えることが好ましいが、特に後述する触媒を用いる場合には、水素分圧が低すぎると触媒活性が低減する。これらのことから、水素分圧を上述した範囲内に設定することが好ましい。
【0027】
ここで、触媒としては、オレフィンの重合に利用される各種触媒を利用可能である。特に、温度依存性が高いメタロセン系の触媒、具体的には(A)遷移金属化合物と、(B)遷移金属化合物とイオン対を形成する固体有機ホウ素化合物と、(C)有機アルミニウム化合物と、(D)α−オレフィン、内部オレフィン、ポリエンから選択される一種または二種以上の化合物を接触されてなる触媒(特願2007−514550号に記載の触媒)、あるいは、(A)遷移金属化合物と、(B)遷移金属化合物とイオン対を形成する固体有機ホウ素化合物と、(C)有機アルミニウム化合物を接触されてなる触媒が、高効率で安定してポリオレフィンが得られることから好ましい。例えば、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドが好適に利用できる。
【0028】
脱揮手段220は、重合手段210に接続され、重合手段210の重合槽210Aから流出する重合溶液から揮発性成分を除去する装置である。脱揮手段220は、図2に示す脱モノマー槽221および脱溶剤槽を備えている。
脱モノマー槽221は、重合槽210Aに接続され、重合溶液が流入される。この脱モノマー槽221には、重合溶液から揮発する未反応の原料のプロピレンおよび溶媒である揮発成分を回収する揮発成分ガス回収手段222が接続されている。
揮発成分ガス回収手段222は、脱モノマー槽221内を減圧する減圧装置と、この減圧装置にて吸気した気相から、揮発成分を分集する回収装置と、この回収装置にて回収した揮発成分を各成分に精製する精製装置と、などを備えている。
この脱モノマー槽221では、重合溶液中の重合体の濃度が90質量%以上、好ましくは95質量%以上となる程度まで、揮発成分を除去する構成とする。すなわち、製品中に残留する揮発成分の量は、その揮発成分を分離除去する槽内での温度と圧力条件により決定されるポリオレフィンと揮発成分との気液平衡の状態で決まる。そして、重合溶液中の重合体の濃度が低い場合、後段での脱溶剤槽における揮発成分の蒸発潜熱により温度が低下する割合が大きくなる。このため、脱溶剤槽で所望とする気液平衡が得られなくなり、蒸発潜熱による温度低下分の熱量を別途補う必要があり、十分に揮発成分を蒸発させて分離させることが困難となるので、重合体の濃度が90質量%以上となるようにあらかじめ揮発成分を分離除去する。
この重合体の濃度が90質量%以上に分離除去する条件として、上述したようにポリオレフィンと揮発成分との気液平衡の条件である温度と圧力とにより決まるが、例えば低分子量低規則性のポリプロピレンを製造する場合で、揮発成分ガス回収手段222での減圧する能力が脱モノマー槽221内の圧力0.02MPaである場合、重合溶液の温度は188℃以上(脱モノマー槽221における重合溶液の流入時の温度としては200〜220℃程度)に設定する。
なお、脱モノマー槽221は、1槽のみならず、例えば前段で未反応のモノマーを分離除去し、後段で溶剤の大半を分離除去する多段構成とすることが好ましい。すなわち、より揮発成分ガス回収手段222や槽などの構成の小型化が図れ、回収後の揮発成分の精製処理も容易となるためである。
【0029】
脱溶剤槽は、重合溶液流入路を介して脱モノマー槽221に接続され、脱モノマー槽221である程度の揮発成分が除去された重合溶液が流入される。この脱溶剤槽には、重合溶液が流入される内部の減圧空間を減圧する図示しない減圧装置が設けられ、脱溶剤槽は耐減圧構造に構築されている。この減圧装置と脱溶剤槽とにより、本発明の減圧手段が構成される。この減圧装置は、揮発成分ガス回収手段222の減圧装置との共用としてプラント設備の簡略化を図ることが好ましい。
そして、減圧装置は、好ましくは0.5kPa以下(4torr以下)に脱溶剤槽内をフルバキュームできる構成が好ましい。すなわち、揮発成分の臭気による製品の品質悪化を防止すべく残留する揮発成分の量を200質量ppm以下、好ましくは100質量ppm以下とする必要がある。このことにより、ポリオレフィンと揮発成分との気液平衡値に基づき、ポリオレフィンが変質しない温度条件である230℃に設定した場合、0.5kPa以下(4torr以下)に設定する。
【0030】
また、重合溶液流入路には、脱モノマー槽221内の重合溶液を脱溶剤槽へ送り出す図示しない送出ポンプと、加熱手段としての熱交換手段と、この熱交換手段の下流側となる脱溶剤槽側に加圧手段としての圧力調整バルブが設けられている。
熱交換手段は、例えば、蒸発潜熱除熱方式の重合手段210との熱交換、すなわち重合反応時に除去した熱を利用して重合溶液を加熱する。具体的には、プロピレンを単独重合した場合、230℃〜250℃程度に加熱するとよい。すなわち、重合体が変質せず、かつ後段での減圧時に揮発成分が十分に発泡できる蒸気圧が得られる高い温度に加熱すればよい。具体的には、残留する揮発成分量は、温度と圧力との条件によるポリオレフィンと揮発成分との気液平衡により決まるので、温度が低くなるほど処理する槽内での真空度を高くする必要がある。このことから、230℃より低くすると工業設備的に設定することが困難な高い真空度に設定する必要があり、250℃より高く加熱すると重合体が分解して分子量が低下したり色目が悪化したりするなどの重合体の変質を招くおそれがあるためである。
圧力調整バルブは、重合溶液流入路内を流過する重合溶液が、熱交換手段で加熱された際に発泡しない圧力で流通する状態に圧力調整する。すなわち、重合溶液の組成により蒸気圧が異なるので、重合溶液の発泡しない圧力も蒸気圧に応じて設定すればよく、蒸気圧より高い圧力に調整することで発泡を防止できる。
【0031】
また、脱溶剤槽の重合溶液流入路が接続する上部には、ドーム部が設けられている。このドーム部における減圧空間に臨む底面には、多孔部材が設けられている。この多孔部材は、円板状で厚さ方向に沿った軸方向を有する複数の流路が貫通形成されている。
これら流路は、例えば、重合溶液の粘度が重合体としてプロピレンを単独重合したポリプロピレンである場合の粘度程度である場合、直径が2mm以上15mm以下、好ましくは3mm以上7mm以下で形成するとよい。流路の直径が2mmより小さくなると、重合溶液が流通しにくくなり、圧力損失が増大して製造効率の向上が得られにくくなるおそれがあるためである。一方、流路の直径が15mmより大きくなると、流路を流通する重合溶液中に揮発成分が発泡した際に、発泡が重合溶液の外面側まで到達しなくなり、破泡できずに重合溶液内に再び溶け込むおそれがあるためである。すなわち、効率よく破泡するためには重合溶液の表面積を増大させる必要があるが、流路の直径が15mmより大きくなると、表面積の増大による破泡の効果が得られにくいためである。
さらに、流路のピッチは、7mm以上16mm以下で形成するとよい。流路のピッチが7mmより狭くなると、粘性が比較的に高い重合溶液の場合、流路の下流側端部で気泡が風船のように膨らんで破泡する前に隣の気泡とくっついて良好に破泡できなくなるおそれがある。さらに、強度が低下しないように多孔部材の厚さ寸法を厚くする必要があり、装置の大型化や多孔部材のコストの増大などの不都合を生じるおそれがある。一方、流路のピッチが16mmより広くなると、多孔部材の通過時の重合溶液の表面積が減少し、十分に破泡できなくなるおそれがある。さらに、重合溶液の表面積が少なくならないように流路を複数設ける必要があり、多孔部材の径寸法が増大して装置の大型化や多孔部材のコストの増大などの不都合を生じるおそれがある。これらのことから、流路のピッチは、7mm以上16mm以下で設計する。
そして、流路のピッチ寸法に対する流路の孔径の割合、すなわち流路の直径(D)とピッチ(L)との関係(D/L)は、0.4以下、特にプロピレン単独重合の場合では2.3とすることが好ましい。ここで、Dに対してLの値が小さすぎると隣接する流路を流通した重合溶液とくっついて重合体を分散させる効果がほとんど得られなくなり、Dに対してLの値が大きすぎると多孔部材が大きくなって設備が大型化し、設備コストが増大するおそれがあるためである。すなわち、多孔部材は、単に破泡のみを目的とする場合に限らず、重合体の分散も目的としているためである。
そして、脱溶剤槽の底部には、揮発成分が高度に除去された重合溶液を次工程の造粒手段230へ送る移送ポンプを備え流出路が接続されている。
【0032】
造粒手段230は、図示しない冷却器と、造粒機と、冷却槽と、脱水手段と、などを備えている。
冷却器は、脱溶剤槽から移送された重合溶液を、造粒可能なある程度の粘性を有する温度以下まで冷却する。
造粒機は、冷却器で冷却された重合体を、金型ノズルから流出させるとともに水を噴霧し、金型ノズルの流出口から所定の間隙で離間する回転切断刃にてペレット状に切断する。
冷却槽は、造粒機で造粒されたペレット状の重合体を、造粒時に噴霧した水とともに撹拌しつつ十分に冷却する。すなわち、冷却槽は、造粒時では完全に固化していないため、造粒後にペレット同士が付着してしまう不都合を防止するため、撹拌しつつ互いに付着しない温度まで十分に冷却し、オレフィンの重合体が製造される。なお、冷却に使用する水としては、製造するポリオレフィンが例えば低分子量低規則性のポリプロピレンなどの融点が比較的に低い場合、エマルジョンタイプのシリコーンオイルを混合したものを用い、いわゆるブロッキングを防止することが好ましい。
脱水手段は、造粒後のペレットに付着する水分を除去する。この水分の除去する方法として、遠心分離や送風乾燥など、各種方法を利用することができる。
そして、製造されたペレット状のオレフィンの重合体は、貯蔵ホッパなどに適宜貯留される。
なお、造粒手段230は、幅広いペレット生産量に対応するために、並列状に複数設けた構成としてもよい。
【0033】
制御装置300は、例えばコンピューターが用いられ、重合設備200の運転条件を制御する。具体的には、原料供給手段211からの原料の供給量、溶媒供給手段212からの溶媒の供給量、触媒供給手段213からの触媒の供給量、水素ガス供給手段214からの水素ガスの供給量、第3成分供給手段215からの第3成分の供給量、重合槽210A内の気相分を循環させて重合溶液の温度を制御したり、脱揮手段220における減圧する圧力、熱交換手段での加熱する温度、圧力調整バルブで加圧する圧力、移送ポンプの駆動制御による流量制御、造粒手段230における冷却する温度や回転切断刃の回転速度などを制御したりする。
ここで、コンピューターとは、1台のパーソナルコンピューターに限らず、複数のコンピューターをネットワーク状に組み合わせた構成、CPU(Central Processing Unit)やマイクロコンピューターなどの素子、あるいは複数の電子部品が搭載された回路基板などをも含むものである。
また、制御装置300は、ポリオレフィンの濃度、重合溶液の温度、重合溶液の蒸気圧および減圧処理の時間長に基づいて、減圧処理後の重合溶液中の揮発成分含有量を200質量ppm以下とするあらかじめ設定された条件、すなわち圧力調整バルブにより加圧する圧力、熱交換手段により加熱する温度、減圧手段により減圧する圧力および重合溶液の流量などを制御する。
すなわち、図3に示すように、重合溶液の集合物の濃度における揮発成分の蒸気圧および温度には所定の関係があることから、重合溶液の組成に基づく蒸気圧の特性に基づいて、減圧する圧力、熱交換手段で加熱する温度、減圧処理の時間長となる脱モノマー槽221や脱溶剤槽の大きさに対する流量などが設定され、設定された数値に従って重合設備200を制御する。
【0034】
[オレフィンの重合体の製造]
制御装置300は、あらかじめ取得した生産計画データに基づいて原料などの必要量を認識し、原料供給手段211、溶媒供給手段212、触媒供給手段213、水素ガス供給手段214、第3成分供給手段215をそれぞれ制御して、必要量の原料、溶媒、触媒、水素ガス、および第3成分を重合手段210の重合槽210Aへ供給させる。
そして、制御装置300は、重合槽210A内の気相成分を図示しない冷却器で適宜冷却しつつ循環させて重合槽210A内の重合溶液の温度を制御して重合反応を進行させる。この重合反応の際、制御装置300は、重合槽210A内の気相空間における水素の濃度を所定値で一定、または、水素のフィード流量を一定として、重合溶液の温度を調整して、重合溶液の極限粘度が所望とするポリオレフィンの分子量に対応した値となるように制御する。
【0035】
この後、制御装置300は、重合槽210A内の重合溶液を脱揮手段220の脱モノマー槽221に移送し、別途駆動制御している揮発成分ガス回収手段222にて、重合溶液から揮発成分を除去する。この揮発成分ガス回収手段222の運転制御としては、重合溶液中の重合体の濃度が90質量%以上となる程度まで、所定の圧力に減圧した脱モノマー槽221内に滞留させる。すなわち、重合溶液の集合物の濃度における揮発成分の蒸気圧および温度の関係に基づいて、減圧する圧力や流量などを制御する。
そして、制御装置300は、脱モノマー槽221で重合溶液中の重合体の濃度が90質量%以上に揮発成分を除去した重合溶液を、重合溶液流入路を介して脱溶剤槽へ流入させる。この重合溶液が重合溶液流入路を流通する際、制御装置300にて制御された重合溶液流入路の圧力調整バルブにより、所定の圧力すなわち加熱中に発泡しない圧力まで加圧された状態となる。さらに、重合溶液は、制御装置300にて制御された熱交換手段により所定の温度まで熱交換により加熱される。そして、加圧状態で加熱された重合溶液は、圧力調整バルブを流通した後、直ちに、制御装置300にて所定の圧力に減圧された脱溶剤槽のドーム部に発泡しつつ流入する。
この発泡した重合溶液は、多数の気泡が破泡せずに混入する状態となっている。そして、この気泡が混入する重合溶液は、多孔部材の複数の流路を流通する。この流通の際、重合溶液はさらに発泡が進行して気泡径が大きくなるとともに、重合溶液内に混入する気泡が流路の内面となる重合溶液の外面に現れる状態となり、気泡が破泡する。すなわち、重合溶液が複数の流路を流通することにより、表面積が増大させられる状態となる。このことにより、内部に混入する気泡が重合溶液の外表面に現れる状態となり、破泡する。そして、破泡により分離された揮発成分は、重合溶液内に再溶解しないように脱溶剤槽の上部より揮発成分ガス回収手段222にて回収される。
【0036】
そして、脱揮手段220で揮発成分が十分に分離、例えば残留する揮発成分が200ppm以下まで分離された重合溶液である重合体は、造粒手段230へ移送ポンプを備え流出路を介して移送される。
この造粒手段230では、制御装置300にて制御された冷却器にて移送された重合体を冷却し、造粒機にてペレット状に造粒する。造粒後のペレット状の重合体は、互いに付着しないように直ちに冷却槽にて十分に冷却固化され、ペレット状のオレフィンの重合体が製造される。
この冷却固化された重合体は、適宜水分を除去した後、貯蔵ホッパなどに移送されて適宜貯留される。
【0037】
[実施形態の作用効果]
上述した実施形態によれば、溶液重合時の重合槽210A内の気相空間における水素の濃度を一定、または、水素のフィード流量を一定としつつ重合溶液の温度を調節してポリオレフィンの分子量を制御するので、温度を調整する簡単な制御で製造できる。
例えば、温度依存性の高い触媒を用いることで所望とする分子量に制御する応答時間の短縮も図れる。また、ある程度のまとまった製造量でも十分に効率よく重合溶液を冷却できる蒸発潜熱除熱方式を利用することで温度制御が容易にできる。これらのように、重合槽210A内の気相空間における水素濃度を一定、または、水素のフィード流量を一定として重合反応時の温度を調整する本発明によれば、従来の水素の供給量を調節して水素分圧を制御する構成では応答時間が長くなってオフスペック品が増大してしまう不都合を生じずに、歩留まりを向上して効率よく製造できる。
【0038】
そして、本実施形態では、蒸発潜熱除熱方式で重合溶液の温度を調節している。
このため、重合反応が停滞し易いために重合反応の活性を維持するために水素を供給する構成で、気相分の容積が比較的に大きくなる重合槽210Aの構成でも、重合溶液の全体を所望の温度に調整することが比較的に迅速で容易に得られる。したがって、所望とするポリオレフィンの分子量となる極性粘度の重合溶液に良好に調製できる。
【0039】
また、本実施形態では、触媒として温度依存性が高いもの、特にメタロセン系化合物を用いている。
このため、重合溶液の温度調節に応じて応答よく重合を制御でき、オフスペック品を減少して効率よく所望とするポリオレフィンを製造できる。
そして、メタロセン系化合物の触媒としては、特に(A)遷移金属化合物と、(B)遷移金属化合物とイオン対を形成する固体有機ホウ素化合物と、(C)有機アルミニウム化合物と、(D)α−オレフィン、内部オレフィン、ポリエンから選択される一種または二種以上の化合物を接触されてなるもの、あるいは、(A)遷移金属化合物と、(B)遷移金属化合物とイオン対を形成する固体有機ホウ素化合物と、(C)有機アルミニウム化合物を接触されてなるものは、特に温度依存性が高いことから、特に温度調節に応じて所望とする分子量のポリオレフィンを製造できる。
【0040】
また、本実施形態では、重合溶液の極限粘度の値に基づいて製造するポリオレフィンの分子量を認識している。
このため、重合溶液の性状に基づく集合溶液の温度調節が容易にできることから、所望とする分子量のポリオレフィンを歩留まりよく製造できる。
【0041】
そして、低分子量低規則性のポリプロピレンの製造に好適である。
低分子量低規則性のポリプロピレンは、重合体中の溶剤が短時間で発泡し、破泡するので、重合体が脱溶剤槽で脱揮処理される間に重合体中の溶剤量平行に達しやすく、容易に脱揮処理できるとともに、装置の小型化が容易に図れ、好適である。
【0042】
[実施形態の変形例]
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしても適用できる。
【0043】
すなわち、制御装置300により重合設備200の運転条件を制御して重合装置100を自動運転する構成を例示したが、この構成に限らない。例えば、運転条件を適宜手動により設定して運転させる手動運転とする構成としてもよい。
さらには、製造に関しても連続式に限らず、バッチ式としてもよい。
また、制御装置300で制御する際の条件として上述した式1に基づいて制御したが、制御条件としても式1の条件に限られるものではない。
【0044】
そして、オレフィンとして、エチレン、プロピレン、ブチレンなど、各種オレフィンを対象とすることができる。
さらに、製造するポリオレフィンとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの単独重合体に限らず、エチレンとプロピレンとの共重合体を製造させる場合にも適用できる。
【0045】
そして、脱揮手段220としては、脱モノマー槽221と脱溶剤槽との2段構成を例示したが、1段のみあるいは3段以上の多段構成とするなどしてもよい。
特に、加圧しつつ熱交換手段で加熱する際に発泡しない構成が好ましいことから、この加圧・加熱する際にある程度、例えば重合体の濃度が90質量%以上のものとしておくことが好ましい。したがって、多段の構成とすることで効率よく容易に高度に揮発成分を分離除去できる。なお、脱モノマー槽221で重合体の濃度が90質量%以上まで揮発成分を除去していなくてもよい。すなわち、加熱時に発泡しないように圧力を掛ければよい。
そして、加圧手段としては、圧力調整バルブに限らず、例えば、ポンプなどを用いて容器内に圧入して重合溶液を加圧するなど、各種加圧する構成を利用できる。
同様に、加熱する構成についても、熱交換手段に限らず、重合溶液を貯留する容器の外部をヒーターなどにて加熱するなど、各種加熱方法を利用できる。なお、重合手段210で生じる熱を利用する熱交換により、エネルギーを有効利用でき、効率よく製造できるので好ましい。
【0046】
また、プロピレンを単独重合させる構成において、例えば、脱溶剤槽における減圧する圧力が0.5kPa以下に高度に減圧できる場合などでは、熱交換手段で230〜250℃に加熱しなくてもよい。
さらに、減圧する圧力も0.5kPa以下に限られない。
【0047】
そして、多孔部材としては、D/L≦0.4に限られるものではなく、破泡および分散効果が得られるものであればいずれのものが適用できる。
また、多孔部材としては、例えば軽石などのように、流路が直線状ではなく屈曲したり枝分かれ状であったりする多孔質部材、あるいはメッシュ状部材などでもよい。
【0048】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構成に変更するなどしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、溶媒を用いてオレフィンを単独もしくは共重合によりポリオレフィンを製造する際の重合溶液から揮発成分を除去するための重合溶液の揮発成分除去装置、さらにはこの揮発成分除去装置を備えた重合装置に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
100……重合装置
210……重合手段
210A…重合槽
220……揮発成分除去装置としての脱揮手段
300……制御手段としての制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒および触媒を用いて重合槽でオレフィンを溶液重合してポリオレフィンを製造するポリオレフィンの製造方法であって、
前記溶液重合時の前記重合槽内の気相空間における水素の濃度を所定値で一定、または、水素のフィード流量を一定とするとともに、前記溶液重合する重合溶液の温度を調整して前記製造するポリオレフィンの分子量を制御する
ことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のポリオレフィンの製造方法であって、
前記重合槽内の気相分を外部循環にて冷却して前記重合槽内の重合溶液の温度を制御する蒸発潜熱除熱方式を用いる
ことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のポリオレフィンの製造方法であって、
前記触媒は、温度依存性が高いものを用いる
ことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のポリオレフィンの製造方法であって、
前記触媒は、メタロセン系化合物である
ことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のポリオレフィンの製造方法であって、
前記触媒として、(A)遷移金属化合物と、(B)遷移金属化合物とイオン対を形成する固体有機ホウ素化合物と、(C)有機アルミニウム化合物と、(D)α−オレフィン、内部オレフィン、ポリエンから選択される一種または二種以上の化合物を接触されてなるものを用いる
ことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のポリオレフィンの製造方法であって、
前記重合溶液の極限粘度の値に基づいて前記製造するポリオレフィンの分子量を認識する
ことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載ポリオレフィンの製造方法であって、
前記重合溶液の極限粘度を0.5dL/g以上15.0dL/g以下で製造する
ことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のポリオレフィンの製造方法であって、
前記ポリオレフィンは、アイソタクティックペンタッド分率が20モル%以上60モル%以下である
ことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のポリオレフィンの製造方法であって、
前記ポリオレフィンは、低分子量低規則性のポリプロピレンである
ことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のポリオレフィンの製造方法であって、
前記溶液重合時の圧力は、0.5MPa以上3MPa以下である
ことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
【請求項11】
溶媒および触媒を用いてオレフィンを溶液重合する重合槽を備えた溶液重合手段と、
この溶液重合手段の重合槽内の気相空間における水素の濃度を所定値で一定、または、水素のフィード流量を一定としつつ、前記溶液重合手段で溶液重合する重合溶液の温度を調節する制御手段と、
を具備したことを特徴としたポリオレフィンの製造装置。
【請求項12】
請求項11に記載のポリオレフィンの製造装置と、
このポリオレフィンの製造装置で溶液重合した重合溶液から揮発成分を除去する揮発成分除去手段と、
この揮発成分除去手段で揮発成分が除去された重合溶液を造粒する造粒手段と、
を具備したことを特徴とした重合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−57721(P2011−57721A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205245(P2009−205245)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】