説明

ポリグリセロールと少なくとも1種のカルボン酸および1種の多官能性カルボン酸との部分エステル、並びにその製造および使用

【課題】 再生可能な原料をベースとし、優れた貯蔵安定性および心地よいスキンケア感覚を備えたO/Wエマルジョンの配合に適した乳化剤を提供すること。
【解決手段】 本発明は、少なくとも1種のカルボン酸と1種の多官能性カルボン酸とを有する特定の(ポリ−)グリセロール部分エステル、その乳化剤としての使用、並びに、本発明の部分エステルを含む配合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の(ポリ−)グリセロールと少なくとも1種のカルボン酸および1種の多官能性カルボン酸との部分エステル、その乳化剤としての使用、並びに本発明の部分エステルを含む配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧品市場には可能な限り天然物を用いようとする大きな流れがある。これを満たすには、再生可能な原料をベースとする高性能乳化剤を提供する必要がある。化粧品における従来の乳化剤には、親水性基としてポリエチレングリコール(PEG)基が含まれていることが多い。これらは石油化学由来のエチレンオキサイドを重合して製造することができる。可能な限り天然物とする配合物において使用される原料は全て再生可能な原料由来とすべきであるから、そのような配合物ではPEG含有乳化剤は望ましいものではない。ポリグリセロールエステルは、再生可能原料をベースとする化粧料用乳化剤の好ましいPEGを含まない代替物である。化粧料の乳化剤としてポリグリセロールエステルを使用することは、周知の技術である。
【0003】
欧州特許第B−0835862号には、ポリグリセロールのエステル化度が30〜75%のポリグリセロールの混合物を、炭素原子数が12〜22を有する飽和または不飽和の直鎖または分岐脂肪酸と、平均で2〜2.4価の二量体脂肪酸とによりエステル化して得ることができるポリグリセロール部分エステルが記載されている。これらのエマルジョンは、特に凍結安定性が非常に良好であるという利点を有している。しかしながら、これらのエマルジョンは、依然、粘性が比較的高く、W/Oエマルジョンであり、そのため、これらのポリグリセロール部分エステルは、主に濃厚なローションおよびクリームの製造に適している。PEGを含まない天然物乳化剤のさらなる代替物として、クエン酸エステルも挙げられる。
【0004】
化粧料において乳化剤または可溶化剤としてクエン酸エステルを使用することも、同様に長く知られており、例えば、O/W乳化剤グリセリルステアレートシトレート、(2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸1,2,3−プロパントリオールモノオクタデカノエート、INCIグリセリルステアレートシトレート、CAS 39175−72−9)、Evonik Goldschmidtからとりわけ市販されている商品名がAXOL C 62というグリセリルステアレートのクエン酸エステルがある。国際公開第2006/034992号および国際公開第2008/092676号には、例えば、グリセリルステアレートシトレートを他の乳化剤と共に含む化粧料用O/Wエマルジョンが記載されている。国際公開第04/112731号には、グリセリルオレエートシトレートおよび粘度調節剤を含むO/W乳化剤が記載されている。
【0005】
クエン酸エステルを使用することの不利な点は、その高い加水分解性にあり、これにより、これらの乳化剤の使用範囲は、通常、5.5〜8のpH領域に限られている。このことは、例えばエコサートへの対応を意図し、可能な限り天然物とする化粧料配合物を開発するには特に不利になる。エコサート(Ecocert)基準に対応しようとする化粧品では、一般に、安息香酸またはソルビン酸などの有機酸のみを保存料として使用することができ、そのため、これらは、エマルジョンのpHが4〜5である必要がある。したがって、従来のクエン酸エステルはそのような配合物に使用することはできない。
【0006】
例えば、ポリグリセロール−3ジステアレートなどの簡単なポリグリセロールエステルは、配合の自由度が制限されるという特徴を一般に有し、これは、例えば、重要なエマルジョン系でのエマルジョンの不安定性として示される。例えば、ポリグリセリル−3メチルグルコースジステアレートなどの、ポリグリセロールおよびメチルグルコースとステアリン酸との混合エステルは、優れた安定性能を有しており、広範囲に使用することができる。しかしながら、これらの生成物中に存在するメチル基は原料のメタノールに基づいており、したがって、これも部分的には石油化学由来といえる。
【0007】
原理的には、O/W乳化剤としてソルビタンエステルまたはスクロースエステルを使用することも可能である。従来の組み合わせは、例えば、ソルビタンステアレートとスクロースココエートである。しかしながら、これらの組み合わせも、一般にエマルジョンの安定性に乏しく、配合の自由度が小さいという特徴を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、再生可能な原料(すなわち、例えば、エチレンオキサイド、メタノール、塩素または硫黄誘導体を合成で使用しない)を完全にベースとし、さらに、優れた貯蔵安定性および心地よいスキンケア感覚を備えたO/Wエマルジョン(クリーム、ローション)の配合に適した乳化剤を提供することにあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
意外にも、下記の(ポリ−)グリセロール部分エステルが上記目的を達成することがわかった。
【0010】
したがって、本発明は、10〜24個の炭素原子を有する1種以上のカルボン酸および多官能性カルボン酸基の(ポリ−)グリセロール部分エステルであって、請求項1に示す一般式(I)で表される多官能性カルボン酸エステル(ポリ−)グリセロール部分エステルを含むグリセロール部分エステル、それらの製造方法、乳化剤としてのそれらの使用、およびそれらを含む配合物を提供するものである。
【0011】
本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルの利点は、pHが3.5〜5.5の有機酸を使用して保存し得る安定な化粧料用および皮膚科用O/Wエマルジョンの製造を可能にする点にある。本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルが、顔料ないし固形分をエマルジョン調製物において非常に安定に保持することも、利点の一つである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、炭素原子が10〜24個、好ましくは12〜22個、特に好ましくは14〜18個の1種以上のカルボン酸の酸基を平均(数平均)0.75〜2.25個有し、かつ多官能性カルボン酸の基を平均(数平均)0.005〜0.5個有する(ポリ−)グリセロール部分エステルであって、多官能性カルボン酸エステル(ポリ−)グリセロール部分エステルを含み、但し、(ポリ−)グリセロール部分エステルを完全加水分解すると、同族体分布(カッコ内は好ましい範囲を示す):
グリセロール:0.01重量%〜20重量%(3重量%〜12重量%)、
ジグリセロール:0.01重量%〜60重量%(20重量%〜40重量%)、
トリグリセロール:0.01重量%〜60重量%(15重量%〜35重量%)、
テトラグリセロール:0.01重量%〜30重量%(5重量%〜20重量%)、
ペンタグリセロール:0.01重量%〜20重量%(0.1重量%〜15重量%)、および
オリゴグリセロール:100重量%まで
を有する(ポリ−)グリセロールが得られる(ポリ−)グリセロール部分エステルを提供する。ここで、上記重量パーセントは、(ポリ−)グリセロールの全量に基づくもので、この分布は後で説明するようにGC法を用いて求められる。
【0013】
本発明との関連において、用語「多官能性カルボン酸」は1つより多いカルボキシル基を有するカルボン酸を意味すると理解されるべきである。
【0014】
本発明において好ましい多官能性カルボン酸は、欧州特許第1683781号に記載の二量体脂肪酸、ジ−およびトリカルボン酸、特に、シュウ酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、およびヒドロキシジ−およびトリカルボン酸、特に、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、マレイン酸およびクエン酸、および芳香族酸、特に、フタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸であり、特に好ましくはクエン酸である。
【0015】
したがって、本発明において特に好ましい(ポリ−)グリセロール部分エステルは、炭素原子が10〜24個、好ましくは12〜22個、特に好ましくは14〜18個の1種以上のカルボン酸の酸基を平均(数平均)0.75〜2.25個有し、かつクエン酸基を平均(数平均)0.005〜0.5個有する(ポリ−)グリセロール部分エステルであって、一般式(I):
【化1】


[式中、R、R、RおよびRは、互いに独立して、同一または異なり、かつ
H、または
一般式(II):
【化2】


(式中、mは1以上であり、RおよびRは、互いに独立して、同一または異なり、かつ
H、または
炭素原子が10〜24個、好ましくは12〜22個、特に好ましくは14〜18個のアシル基
から選択され、このアシル基は(ポリ−)グリセロールでエステル化されたカルボン酸のアシル基によって決まり、平均(数平均)してRまたはRの少なくとも1つの基はHである)で表される基
から選択される]
で表わされるクエン酸エステル(ポリ−)グリセロール部分エステルを含み、但し、平均(数平均)してR、RまたはRの少なくとも1つの基はHではなく、かつこの(ポリ−)グリセロール部分エステルを完全加水分解すると、同族体分布(カッコ内は好ましい範囲を示す):
グリセロール:0.01重量%〜20重量%(3重量%〜12重量%)、
ジグリセロール:0.01重量%〜60重量%(20重量%〜40重量%)、
トリグリセロール:0.01重量%〜60重量%(15重量%〜35重量%)、
テトラグリセロール:0.01重量%〜30重量%(5重量%〜20重量%)、
ペンタグリセロール:0.01重量%〜20重量%(0.1重量%〜15重量%)、および
オリゴグリセロール:100重量%まで
を有する(ポリ−)グリセロールが得られる(ポリ−)グリセロール部分エステルである。ここで、上記重量パーセントは、(ポリ−)グリセロールの全量に基づき、この分布は後で説明するようにGC法により求められる。
【0016】
当業者であれば、ポリグリセロールが、そのポリマー特性のために、異なる化合物の統計的混合物からなることは知っていよう。ポリグリセロールは、グリセロールモノマーの2つの1位、1つの1位と1つの2位、または2つの2位の位置の間でエーテル結合を形成することができ、1つ以上の環を有する環状構造も同様に知られている。詳細は、例えば、"Original synthesis of linear, branched and cyclic oligoglycerol standards", Cassel et al., Eur. J. Org. Chem. 2001, 875-896を参照されたい。
【0017】
同族体分布の測定に適したGC法は、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルの加水分解またはアルコール分解、得られた酸からのポリグリセロールの分離、およびガスクロマトグラフィによる分析を含む。このためには、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステル0.6gを、0.5MのKOHエタノール溶液25ml中で還流しながら30分間沸騰させ、硫酸でpHをpH2〜3に調節する。得られた脂肪酸を、各回に1体積の石油エーテルを使用する抽出を3回繰り返して分離する。抽出物を混合し、蒸発により濃縮して、約10mlにする。オートサンプラー容器中で、0.5mlのサンプルを、0.5mlのMTBEおよび1mlの水酸化トリメチルアニリニウム(メタノール中0.2M)で処理し、GCで分析する。これを、スプリット/スプリットレス・インジェクター、キャピラリーカラムおよび水素炎イオン化検出器を具備したガスクロマトグラフにより、次の条件下で行う。
【0018】
【表1】

【0019】
これにより、脂肪酸がメチルエステルとして炭素鎖の長さに応じて分離される。個々の脂肪酸の相対的含有量はピーク面積を算出することにより求めることができる。石油エーテルで抽出された残渣を、水酸化バリウムによりpHを7〜8に調整し、沈殿した硫酸バリウムを遠心分離により分離する。上澄み液を抜き取り、20mlのエタノールで残渣を3回抽出する。一緒にした上澄み液を80℃、50mbarで蒸発させて濃縮し、残渣をピリジン中に溶解する。オートサンプラー容器中で0.5mlのサンプルを1mlのN−メチル−N−トリフルオロアセトアミドにより処理し、80℃で30分間加熱する。オンカラムインジェクターおよび水素炎イオン化検出器を具備したガス液体クロマトグラフを次の条件で使用して、ポリグリセロールをトリメチルシリル誘導体としてGCで分析する。
【0020】
【表2】

【0021】
この条件下で、ポリグリセロールは重合度に応じて分離され、さらに、重合度5まで環状異性体を直鎖異性体から分離することができる。個々のオリゴマーのピーク面積を、ピーク間の最下点で垂線によって互いに分離する。重合度が6を超えるオリゴマーの分解能は低いので、ヘプタグリセロール及びより高いオリゴマーのピーク面積は1つに纏め、多分散性指数の計算ではヘプタグリセロールとして考慮する。さらに、多分散性指数の計算を行うために、環状および直鎖異性体は纏めて1つにする。個々のオリゴマー/異性体の相対的含有量は、ピーク面積を算出することにより求めることができる。同様に、この方法は、本発明のエステルの調製に使用する原料の特徴を調べるためにも利用することができる。
【0022】
本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステル中のRおよびRとして適切なアシル基は、同一または異なる基であるが、異なることが好ましい。その理由は、その製造プロセスの性質上、それらのアシル基を生成するカルボン酸の工業グレードの混合物を使用することが好ましいからである。炭素原子が10〜24個、好ましくは12〜22個、特に好ましくは14〜18個のアシル基としては、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、およびこれらの混合物の酸のアシル基が好ましい。天然混合物は、例えば、主成分としてラウリン酸、及び飽和C14〜C18脂肪酸、さらに任意選択により飽和C〜C10脂肪酸および不飽和脂肪酸を含むココナッツ脂肪酸であり、また、本質的にパルミチン酸およびステアリン酸の混合物であり、これとの関連で特に好ましいアシル基を生成し、ステアリン酸:パルミチン酸の比が100:0.01〜0.01:100の範囲内で大きく変化し得る、獣脂脂肪酸である。ここでは、重量比は30:70〜95:5が好ましく、45:55〜90:10が特に好ましい。
【0023】
モノオレフィン型不飽和酸、例えば、ヘキサデセン酸;オレイン酸(シス−9−オクタデセン酸)またはエライジン酸(トランス−9−オクタデセン酸)などのオクタデセン酸;エイコセン酸;エルシン酸(シス−13−ドコセン酸)またはブラシジン酸(トランス−13−ドコセン酸)などのドコセン酸、およびポリ不飽和脂肪酸、例えば、リノール酸およびリノレン酸などのオクタデカジエン酸およびオクタデカトリエン酸、並びにこれらの混合物のアシル基もまた適している。これに関連して、オレイン酸、リシノール酸、エルシン酸およびイソステアリン酸などの18〜22個の炭素原子を有する液体脂肪酸が特に適している。炭化水素鎖中の分岐または二重結合のために、これらの固化温度は35℃未満である。水素化リシノール酸などのワックス様成分も含む脂肪酸混合物を使用することも可能である。
【0024】
本発明において、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルを完全加水分解して得られる(ポリ−)グリセロールは、2〜6、好ましくは2.5〜4.5、非常に特に好ましくは3〜4の平均重合度を有することが好ましい。計算に関し、ポリグリセロールの平均重合度<n>は、式、
<n>=(112200−18OHV)/(74OHV−56100)
により、水酸基価(OHV(mgKOH/g))から計算する。水酸基価の決定に適した測定方法としては、特に、DGF C-V 17 a (53)、Ph. Eur. 2.5.3 Method AおよびDIN 53240による方法がある。
【0025】
本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルを完全加水分解して得られる(ポリ−)グリセロールは、0.8〜2.5、好ましくは1.0〜1.8の多分散性指数を有することが有利である。多分散性指数はまた、次のように計算することができる。
【数1】


式中、nは、個々のオリゴマーiの重合度であり、
<n>は、ポリグリセロールの平均重合度であり、
は、上記GC法で求められたポリグリセロール中のオリゴマーiのフラクションである。
【0026】
本発明の有利な(ポリ−)グリセロール部分エステルは、(ポリ−)グリセロール部分エステルを完全加水分解した後、得られたRおよびR由来のカルボン酸と(ポリ−)グリセロールとのモル比が2:3〜4:1、特には1:1.2〜3:1、非常に特に好ましくは1:1〜2:1であることを特徴としている。モル比の決定に使用できる方法は、上記のGC法である。
【0027】
本発明においては、(ポリ−)グリセロール部分エステルを完全加水分解した後、得られる多官能性カルボン酸、特に、得られたクエン酸と(ポリ−)グリセロールとのモル比が1:2〜1:200、特には1:5〜1:150、非常に特に好ましくは1:10〜1:100であることが好ましい。モル比の決定に使用できる方法は、上記のGC法である。
【0028】
本発明の好ましい(ポリ−)グリセロール部分エステルは、鹸化価(SV)と水酸基価(OHV)との比が1:1.3〜1:2.6、特には1:1.5〜1:2.4、非常に特に好ましくは1:1.6〜1:2.2であることを特徴としている。本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルの酸価(AV)は、好ましくは<50、特には<10、非常に特に好ましくは<5である。酸価の決定に適した方法としては、特に、DGF C-V 2、Ph. Eur. 2.5.1、ISO 3682、ASTM D 974、およびDIN EN ISO 2114による方法があり、鹸化価の決定に適した方法としては、DIN EN ISO 3657: 2003-12、およびDIN 53401: 1988-06がある。本発明において、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルは、融点が35℃超、好ましくは40℃超、特には45℃超であることが好ましい。
【0029】
本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルは、後述する方法により得ることができ、したがって、本発明は、さらに、多官能性カルボン酸エステル(ポリ−)グリセロール部分エステルを含む(ポリ−)グリセロール部分エステルの製造方法であって、
A)同族体分布(カッコ内は好ましい範囲を示す)が、
グリセロール:0.01〜20(3〜12)重量%、
ジグリセロール:0.01〜60(20〜40)重量%、
トリグリセロール:0.01〜60(15〜35)重量%、
テトラグリセロール:0.01〜30(5〜20)重量%、
ペンタグリセロール:0.01〜20(0.1〜10)重量%、
オリゴグリセロール:100重量%まで
である(ポリ−)グリセロールを提供する工程
(上記重量パーセントは、(ポリ−)グリセロールの全量に基づくもので、この分布は先に説明したようにGC法により求められる)、
B)炭素原子が10〜24個、好ましくは12〜22個、より好ましくは14〜18個の1種以上のカルボン酸で(ポリ−)グリセロールの一部をエステル化する工程、および
C)多官能性カルボン酸によりさらにエステル化する工程を含み、
工程C)で使用する多官能性カルボン酸と工程A)で使用する(ポリ−)グリセロールとのモル比が1:2〜1:200、好ましくは1:5〜1:150、非常に特に好ましくは1:10〜1:100である方法を提供するものである。
【0030】
本発明の方法で使用する多官能性カルボン酸は、欧州特許第1683781号に記載の二量体脂肪酸、シュウ酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、マレイン酸、クエン酸、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸を含む群、好ましくは、これらからなる群より選択されることが好ましく、クエン酸を使用することが特に好ましい。
【0031】
本発明の方法の他の実施形態においては、工程C)は、工程B)の前に実施することもできる。
【0032】
本発明の方法において、工程B)で使用するカルボン酸と工程A)で使用する(ポリ−)グリセロールのモル比は、好ましくは2:3〜4:1、特には1:1.2〜3:1、非常に特に好ましくは1:1〜2:1である。
【0033】
本発明において、工程A)で使用するポリグリセロールの平均重合度は、2〜6であることが好ましく、特には2.5〜4.5であり、非常に特に好ましくは3〜4である。
【0034】
工程A)の(ポリ−)グリセロールは、例えば、グリシドールの重合(例えば、塩基触媒により)、エピクロロヒドリンの重合(例えば、等モル量のNaOHなどの塩基の存在下で)、またはグリセロールの重縮合などの種々の方法で提供することができる。本発明においては、特に触媒量の塩基、特にNaOHまたはKOHの存在下にグリセロールを縮合することによって、(ポリ−)グリセロールを提供することが好ましい。好適な反応条件は、220〜260℃の温度、20〜800mbar、特には50〜500mbarの減圧下が適しており、これにより水の除去が容易になる。
【0035】
要求された同族体分布を有する(ポリ−)グリセロールを提供するとともに、高い多分散性指数および好ましい重合度を与える特に好ましい方法は、
A1)グリセロールを、触媒量の塩基の存在下、好ましくは全反応混合物に対して0.2〜5重量%のNaOHまたはKOHの存在下、温度範囲220〜260℃、圧力範囲250〜1000mbarで、好ましくは水を蒸発分離しながら、反応混合物が全反応混合物に対して70重量%未満、好ましくは60重量%未満のグリセロールを含むまで、グリセロールを反応させる工程、
A2)反応混合物の水酸基価が1400未満、好ましくは1200未満になるまで、水を蒸発分離しながら、20〜200mbarの範囲の減圧下でグリセロールをさらに反応させる工程、および、任意選択により
A3)触媒を酸、好ましくは鉱酸で中和する工程
を含む。
【0036】
本発明の方法において、工程B)およびC)は、適切な場合には触媒の存在下で、当業者に知られたエステル化反応の条件で行われる。特に、このエステル化は反応混合物から水を除去しながら行われる。工程B)は、好ましくは180〜260℃、特に好ましくは210〜250℃で行われ、工程C)は、好ましくは100〜170℃、特に好ましくは120〜140℃で行われる。
【0037】
反応の経過は、例えば、生成物の酸価により監視することができるが、これは工程B)およびC)では、所望の酸価に到達するまで継続することが好ましいことを意味する。工程C)では、使用する多官能性カルボン酸は、一般に、完全にはエステル化されず、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルが、部分的に依然、遊離カルボキシル基を含有するように反応する。
【0038】
本発明の方法の工程B)で使用するカルボン酸は、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステル中のアシル基RおよびRを与える好ましいカルボン酸として上に記載したものが好ましい。本発明においては、特に、パルミチン酸とステアリン酸が上記の比である上記獣脂脂肪酸が使用される。
【0039】
本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルと、本発明の方法により得られるもしくは得られた(ポリ−)グリセロール部分エステルは、再生可能原料のみをベースとし、かつ、高い配合自由度を有する高性能O/W乳化剤として、特に化粧料配合物に使用するのに非常に適している。
【0040】
したがって、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルまたは本発明の方法により得られるもしくは得られた(ポリ−)グリセロール部分エステルを含むエマルジョンが、本発明により提供される。本発明のコンテクストにおいては、乳化剤は、少なくとも1種の、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルまたは本発明の方法により得られるもしくは得られた少なくとも1種の(ポリ−)グリセロール部分エステルと、適切な場合、少なくとも1種の共乳化剤とからなる乳化剤を意味するものと理解されるべきであり、共乳化剤を含むことが好ましい。
【0041】
本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルと、本発明の方法により得られるもしくは得られた(ポリ−)グリセロール部分エステルは、同様に、化粧料または医薬品配合物の製造、特に化粧クリームおよびローションの製造に使用するのに非常に適している。この場合、クリームおよびローションは延びのよいペースト状または流動性を有する稠度の化粧料O/Wエマルジョンを意味するものと理解される。一般に、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルは、例えば、顔、ボディおよび手のケアクリームおよびローションに、サンスクリーンエマルジョンに、メイキャップ用品に、例えば制汗剤/デオドラント剤分野のエアロゾル、ロールオン、ポンプスプレー、スティックに、ベビーケア製品に、インティメイトケア製品、フットケア製品、ヘアケア製品、ネイルケア製品、デンタルケア製品、またはオーラルケア製品に、および皮膚用軟膏に使用することができる。
【0042】
したがって、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルまたは本発明の方法により得られるもしくは得られた(ポリ−)グリセロール部分エステルを含む化粧料または医薬品配合物、特にO/W配合物が、同様に、本発明により提供される。本発明の好ましい配合物は、サンスクリーン調製物およびO/Wメイキャップ用配合物である。
【0043】
本発明の好ましい配合物は、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルまたは本発明の方法により得られるもしくは得られた(ポリ−)グリセロール部分エステルを、配合物の全量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%含む。
【0044】
本発明の配合物は、例えば、
皮膚軟化剤、
共乳化剤
増粘剤/粘度調節剤/安定剤、
抗酸化剤、
ハイドロトロープ剤(またはポリオール)、
固体およびフィラー、
真珠光沢添加剤、
デオドラントおよび制汗活性成分、
防虫剤、
セルフタンニング剤、
保存料、
コンディショナー、
香料、
染料、
化粧活性成分、
ケア添加剤、
過脂肪剤、
溶剤
の群から選択される少なくとも1種の追加成分を含むことができる。
【0045】
個々のグループの中でも典型的な物として使用することができる物質は、当業者に知られており、例えば、独国特許出願公開第102008001788.4号に記載されている。この特許出願は参照することによりここに組み込まれ、したがって、本開示の一部を構成する。さらに任意選択の成分、および、それらの成分の使用量に関しては、当業者に知られた関連ハンドブック、例えば、K. Schrader, "Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika[Fundamentals and Formulations of Cosmetics]", 2nd edition, page 329 to 341, Huthig Buch Verlag Heidelbergを参照すれば明示されている。当該添加剤の量は、目的とする用途により決められる。特定の用途に対してガイドラインとなる典型的な配合は、従来技術として知られており、また、例えば各原料および活性成分に関する製造者のパンフレットに記載されている。一般に、これらの従来の配合は変更することなく取り入れることができる。しかしながら、必要ならば、適用性と最適化を目的とする簡単な実験を行うことにより、所望の修正を容易に行うことができる。
【0046】
本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルおよび乳化剤は、エマルジョン配合物中に顔料または固形分を極めて安定に保持することができるので、特定の皮膚感覚を与えるために使用する固形分およびフィラー、特に粒子および添加剤、例えば、シリコーンエラストマー、PMMA粒子、PE粒子、PS粒子、ナイロン粒子、窒化ホウ素、スターチ、マイカおよびタルクなどは、好ましい追加成分である。
【0047】
本発明においては、保存料として有機酸、特にソルビン酸、安息香酸および/またはデヒドロ酢酸を、全配合物に対して特に0.01〜1.0重量%の範囲で含む配合物が特に好ましい。さらに、本発明の好ましい配合物は、pHが3.5〜5.5、特に4.0〜5.0である。
【0048】
本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルが、本発明の配合物の耐水性を高めるのに非常に適していることが見出されている。このことは、サンスクリーン調製物、およびO/Wメイキャップ用配合物に特に有利である。したがって、本発明は、化粧料または医薬品配合物、特にサンスクリーン調製物(これらは、顔料または固形物、特に酸化チタンを含むことが好ましい)の耐水性を向上させるための、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルまたは本発明の方法により得られるもしくは得られた(ポリ−)グリセロール部分エステル、および本発明の乳化剤の使用をさらに提供する。これに関連して、耐水性は、水との接触によって、配合物が表面、特に皮膚から容易に除去されるのを防止することを意味すると理解される。耐水性は、Int. J. Cosm. Sci., 2007, 29, 451-460に記載されているように、簡単なインビトロの試験で測定することができる。
【0049】
次に挙げる実施例は、本発明の一例として記載するものであって、それらの実施例で特定した実施形態に本発明を限定する意図はなく、本発明の範囲は本明細書全体と請求項から決められるものである。特に明記しない限り、示したパーセント(%)は全て、質量パーセントである。
【実施例】
【0050】
実施例1:乳化剤1:
1190mgKOH/gの平均OH価を有する90gのポリグリセロールを、240℃で窒素を導入しながら、210gのステアリン酸と反応させる。反応による水を蒸留により除去する。酸価が<2mgKOH/gになったところで、ポリグリセロールエステルを130℃に冷却し、40gのクエン酸を加え、圧力を50mbarに減圧する。この反応で生じた水を再度除去する。酸価が<50になったところで、窒素を導入して真空を破り、生成物を取り出す。
OH価: 237mgKOH/g
AV: 45mgKOH/g
鹸化価: 189mgKOH/g
【0051】
実施例2:乳化剤2:
1120mgKOH/gの平均OH価を有する137.2gのポリグリセロールを、240℃で窒素を導入しながら、254.8gのステアリン酸と反応させる。反応による水を蒸留により除去する。酸価が<2mgKOH/gになったところで、ポリグリセロールエステルを130℃に冷却し、8gのクエン酸を加え、圧力を50mbarに減圧する。反応で生じた水を再度除去する。酸価が<1になったところで、窒素を導入して真空を破り、生成物を取り出す。
OH価: 235mgKOH/g
AV: 2.3mgKOH/g
鹸化価: 145mgKOH/g
【0052】
実施例3:乳化剤3:
1000mgKOH/gの平均OH価を有する152.8gのポリグリセロールを、240℃で窒素を導入しながら、229.2gのステアリン酸と反応させる。反応による水を蒸留により除去する。酸価が<2mgKOH/gになったところで、ポリグリセロールエステルを130℃に冷却し、18gのクエン酸を加え、圧力を50mbarに減圧する。反応で生じた水を再度除去する。酸価が<3mgKOH/gになったところで、窒素を導入して真空を破り、生成物を取り出す。
OH価: 241mgKOH/g
AV: 2.6mgKOH/g
鹸化価: 140mgKOH/g
【0053】
実施例4:乳化剤4:
1120mgKOH/gの平均OH価を有する114.6gのポリグリセロールを、240℃で窒素を導入しながら、267.4gのパルミチン酸と反応させる。反応による水を蒸留により除去する。酸価が<2mgKOH/gになったところで、ポリグリセロールエステルを130℃に冷却し、18gのクエン酸を加え、圧力を50mbarに減圧する。反応で生じた水を再度除去する。酸価が<3mgKOH/gになったところで、窒素を導入して真空を破り、生成物を取り出す。
OH価: 189mgKOH/g
AV: 2.8mgKOH/g
鹸化価: 148mgKOH/g
【0054】
実施例5:乳化剤5:
1000mgKOH/gの平均OH価を有する133.7gのポリグリセロールを、240℃で窒素を導入しながら、248.3gのベヘン酸と反応させる。反応による水を蒸留により除去する。酸価が<2mgKOH/gになったところで、ポリグリセロールエステルを130℃に冷却し、18gのクエン酸を加え、圧力を50mbarに減圧する。反応で生じた水を再度除去する。酸価が<3mgKOH/gになったところで、窒素を導入して真空を破り、生成物を取り出す。
OH価: 287.9mgKOH/g
AV: 2.8mgKOH/g
鹸化価: 111mgKOH/g
【0055】
適用例:
適用例の全ての濃度は重量パーセントである。エマルジョンの調製には、当業者に知られた従来のホモノジナイズ法を使用した。したがって、典型的には、油相および水相を70〜75℃に加熱する方法でエマルジョンを調製した。その後、油相を攪拌して水相と混合するか、あるいは油相および水相を攪拌せずに合わせた。その後、適当なホモジナイザー(例えば、Ultrathurrax)を使用して約1〜2分間ホモジナイズした。温度50〜60℃で、安定化ポリマー(例えば、カルボマー)を油分散剤としてエマルジョンに撹拌して混合させることが好ましい。その後、混合物を手短にホモジナイズする。さらに別の成分(例えば、保存料、活性成分)を40℃で好適に加えた。配合物が有機酸で保存される場合、エマルジョンのpHを約5に調節した。
【0056】
1)従来技術に対する性能の差異
これらの実験は、本発明のポリグリセロール部分エステルがエマルジョンの安定性に関して有利であることを示すことを意図している。ここで選ばれた完全に天然原料をベースとするO/W乳化剤の代表例は、グルセリルステアレートシトレート、ポリグリセリル−3ジステアレート、およびソルビタンステアレートとスクロースココエートとの従来型組み合わせであった。エマルジョンの貯蔵安定性を調べるために、それらを室温、40℃および45℃で3ヶ月間貯蔵した。低温安定性を調べるために、それらはさらに−5℃で1ヶ月間貯蔵し、25℃/−15℃/25℃の冷凍−解凍サイクルを3回繰り返した。外観または稠度の相当の変化、および特に油または水の沈殿を、不安定性の基準として評価した。公平な比較を確実なものとするために、乳化剤の量および対応する稠度調節剤(ステアリルアルコール、グリセリルステアレート)の量を、いずれの場合も、対応する乳化剤のタイプに応じて最適化した。全油相の含有率は常に25.0%に調整した。したがって、本発明の実施例が、比較用乳化剤を含有するエマルジョンと同等の初期稠度を有していることは、確実であるといえよう。
【0057】
【表3】

【0058】
本発明の乳化剤2を使用した配合物は、貯蔵安定性のある配合物を与えるが、比較用乳化剤を含有するクリームは貯蔵安定性がかなり低くなっている。
【0059】
さらに、O/Wローションにおいて、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルを、ポリグリセリル−3ジステアレート(C4)、およびソルビタンステアレートとスクロースステアレートとの組み合わせ(C5)と比較した。
【0060】
【表4】

【0061】
本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルを使用すれば、比較用乳化剤と比較して高温安定性がかなり向上することが、ここでも同様に示されている。
【0062】
他のエマルジョン例:
これらの例は、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルが多くの化粧料配合物に使用できることを示すことを意図している。
【0063】
さらに、本発明の(ポリ−)グリセロール部分エステルを使用することにより、エマルジョン調製物に顔料または固形分を安定に取り込むことが可能になる。
【0064】
さらにまた、これらの例は、典型的な共乳化剤、オイル、増粘剤および安定剤と良好な親和性を示している。
【0065】
【表5】

【0066】
【表6】

【0067】
【表7】

【0068】
【表8】

【0069】
【表9】

【0070】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素原子が10〜24個の1種以上のカルボン酸の酸基を平均(数平均)0.75〜2.25個を有し、かつ、多官能性カルボン酸、特に二量体脂肪酸、シュウ酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、マレイン酸、クエン酸、フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸の基を平均(数平均)0.005〜0.5個有する(ポリ−)グリセロール部分エステルであって、
多官能性カルボン酸エステル(ポリ−)グリセロール部分エステルを含み、但し、前記(ポリ−)グリセロール部分エステルを完全加水分解すると、以下の同族体分布:
グリセロール:0.01重量%〜20重量%、
ジグリセロール:0.01重量%〜60重量%、
トリグリセロール:0.01重量%〜60重量%
テトラグリセロール:0.01重量%〜30重量%、
ペンタグリセロール:0.01重量%〜20重量%、および
オリゴグリセロール:100重量%まで
を有する(ポリ−)グリセロールが得られる、(ポリ−)グリセロール部分エステル。
【請求項2】
前記多官能性カルボン酸がクエン酸であり、かつ、一般式(I):
【化1】


[式中、R、R、RおよびRは、互いに独立して、同一または異なり、かつ、
H、または
一般式(II):
【化2】


(式中、mは1以上であり、RおよびRは、互いに独立して、同一または異なり、かつ
H、または
炭素原子が10〜24個のアシル基
から選択され、前記アシル基は前記(ポリ−)グリセロールでエステル化された前記カルボン酸のアシル基によって決まり、平均して前記RまたはRの少なくとも1つの基はHである)で表される基から選択され、
但し、平均(数平均)してR、RまたはRの少なくとも1つの基はHではない]
で表わされるクエン酸エステル(ポリ−)グリセロール部分エステルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル。
【請求項3】
前記部分エステルの完全加水分解後において、前記RおよびR由来の得られたカルボン酸と(ポリ−)グリセロールとのモル比が2:3〜4:1であることを特徴とする、請求項1または2に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル。
【請求項4】
鹸化価と水酸基価との比が1:1.3〜1:2.6であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル。
【請求項5】
前記酸価が50未満であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル。
【請求項6】
融点が35℃超であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル。
【請求項7】
およびRを決める前記アシル基は、重量比30:70〜95:5のステアリン酸とパルミチン酸の混合物に由来することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル。
【請求項8】
(ポリ−)グリセロール部分エステルの製造方法であって、
A)同族体分布が
グリセロール:0.01〜20重量%、
ジグリセロール:0.01〜60重量%、
トリグリセロール:0.01〜60重量%、
テトラグリセロール:0.01〜30重量%、
ペンタグリセロール:0.01〜20重量%、
オリゴグリセロール:100重量%まで
である、(ポリ−)グリセロールを提供する工程、
B)炭素原子が10〜24個の1種以上のカルボン酸で前記(ポリ−)グリセロールの一部をエステル化する工程、および
C)多官能性カルボン酸でさらにエステル化する工程を含み、
前記工程C)で使用する多官能性カルボン酸と工程A)で使用する(ポリ−)グリセロールとのモル比が1:2〜1:200である、方法。
【請求項9】
使用する前記1種以上のカルボン酸と(ポリ−)グリセロールとのモル比が、2:3〜4:1であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記多官能性カルボン酸がクエン酸であり、かつ、前記カルボン酸が重量比30:70〜95:5のステアリン酸とパルミチン酸との混合物であることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル、または請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法によって得られる(ポリ−)グリセロール部分エステルの使用。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル、または請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法によって得られる(ポリ−)グリセロール部分エステルの、化粧料または医薬品配合物を製造するための使用。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル、または請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法によって得られる(ポリ−)グリセロール部分エステルを含む、乳化剤。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル、または請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法によって得られる(ポリ−)グリセロール部分エステル、または請求項13に記載の乳化剤の、化粧料または医薬品配合物の耐水性を向上させるための使用。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の(ポリ−)グリセロール部分エステル、または請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法によって得られる(ポリ−)グリセロール部分エステルを含む、化粧料または医薬品配合物。
【請求項16】
前記(ポリ−)グリセロール部分エステルが、0.01〜10重量%の量で存在することを特徴とする、請求項14に記載の化粧料または医薬品配合物。
【請求項17】
有機酸が、保存料として0.01〜1.0重量%の範囲で存在することを特徴とする、請求項14または15に記載の化粧料または医薬品配合物。
【請求項18】
pHが3.5〜5.5であることを特徴とする、請求項14〜16のいずれか一項に記載の化粧料または医薬品配合物。

【公開番号】特開2011−184439(P2011−184439A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−45799(P2011−45799)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】